(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)脂肪族モノカルボン酸、ポリカルボン酸及びこれらの中和塩からなる群より選択される少なくとも一種のカルボン酸化合物、(B)アルカノールアミン化合物、(C)炭素数8〜50のヒドロキシル基含有化合物、及び(D)グリコールエーテルを含有する、硬質表面用洗浄剤組成物であって、
前記ヒドロキシル基含有化合物が、直鎖アルキル基のCH2OH基に対するβ位に炭素数1〜20の直鎖アルキル基が分岐した炭素数8〜40の脂肪族第一級アルコールであり、
前記グリコールエーテルが下記一般式(6)で表されるグリコールエーテルであり、
前記硬質表面用洗浄剤組成物全量を基準として、前記カルボン酸化合物の含有量が1〜40質量%であり、前記アルカノールアミン化合物の含有量が1〜60質量%であり、前記ヒドロキシル基含有化合物の含有量が0.01〜5質量%であり、前記グリコールエーテルの含有量が0.1〜15質量%である、硬質表面用洗浄剤組成物。
R8−O−(AO)nH …(6)
[一般式(6)中、R8は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数7〜10のアラルキル基を示し、AOは、炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を示し、nは1〜5を示す。]
前記カルボン酸化合物が、炭素数6〜12の直鎖又は分岐の不飽和又は飽和の脂肪族モノカルボン酸及びその中和塩からなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施形態の硬質表面用洗浄剤組成物は、(A)脂肪族モノカルボン酸、ポリカルボン酸及びこれらの中和塩からなる群より選択される少なくとも一種のカルボン酸化合物、(B)アルカノールアミン化合物、及び(C)炭素数8〜50のヒドロキシル基含有化合物、を含有する。
【0017】
本実施形態の硬質表面用洗浄剤組成物は、常温においても優れた液切れ性を有することができる。これにより、洗浄後の部品を乾燥する際のエネルギーコストの削減が期待できる。
【0018】
また、本実施形態の硬質表面用洗浄剤組成物は、常温においても十分な洗浄性と抑泡性とを発現することができる。これにより、これまで高温で行っていた洗浄工程を常温化することによって、洗浄浴の加熱が不要となりエネルギーコストの削減が期待できる。更に、従来の洗浄剤の場合、温度が下がると泡が消えにくくなるという問題があったが、本実施形態の硬質表面用洗浄剤組成物は、常温においても消泡性に優れるという性質を有することができる。
【0019】
上記(A)成分として用いる脂肪族モノカルボン酸としては、ヒドロキシル基を有していてもよい炭素数6〜24の直鎖又は分岐の不飽和又は飽和の脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。このような脂肪族モノカルボン酸として具体的には、カプロン酸、カプリル酸、エナント酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バグゼン酸、リノール酸、(9,12,15)−リノレン酸、(6,9,12)−リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、(8,11)−エイコサジエン酸、(5,8,11)−エイコサトリエン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、2−エチルヘキサン酸、2−メチルヘキサン酸、2−メチルヘプタン酸、トリメチルヘキサン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
上記(A)成分として用いる脂肪族モノカルボン酸の中和塩としては、上記脂肪族モノカルボン酸をアルカリ金属等によって中和された中和塩が挙げられる。ここで、アルカリ金属としてはナトリウム、カリウム、リチウムなどが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
上記(A)成分として用いる脂肪族モノカルボン酸及びその中和塩は、洗浄性の観点から、炭素数6〜18の直鎖又は分岐の不飽和又は飽和の脂肪族モノカルボン酸及びその中和塩が好ましく、炭素数6〜12の直鎖又は分岐の不飽和又は飽和の脂肪族モノカルボン酸及びその中和塩がより好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
上記(A)成分として用いるポリカルボン酸は、重量平均分子量が500〜150,000のポリカルボン酸が挙げられ、洗浄性、取り扱い性の観点から1,000〜100,000のポリカルボン酸が好ましく、1,000〜50,000のポリカルボン酸がより好ましい。本明細書において、ポリカルボン酸の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される値を意味する。
【0023】
ポリカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有するビニル系モノマーを用いて、従来公知のラジカル重合法で合成した単独重合体及び共重合体が挙げられる。ポリカルボン酸は、市販されているものを使用してもよい。ラジカル重合には、本発明を損なわない範囲で、上記のモノマー以外にカルボキシル基を有していない共重合可能なモノマーを使用してもよい。このようなモノマーとしては、エチレン、塩化ビニル、酢酸ビニルなどのビニル系モノマー、アクリルアミド、アクリレート類、メタクリレート類等が挙げられる。アクリレート類及びメタクリレート類としては、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数2〜3のアルケニル基を有するものが好ましい。これらのアルキル基又はアルケニル基は、ヒドロキシル基などの置換基を有していてもよい。このようなアクリレート類及びメタクリレート類としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート等が挙げられる。カルボキシル基を有するビニル系モノマーと、カルボキシル基を有していない共重合可能なモノマーとの重量比は、洗浄性の観点から100:0〜50:50であることが好ましく、100:0〜70:30であることがより好ましく、100:0〜90:10であることが更により好ましい。上記の共重合可能なモノマーは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
上記(A)成分として用いるポリカルボン酸の中和塩としては、上記ポリカルボン酸をアルカリ金属等によって中和された中和塩が挙げられる。ここで、アルカリ金属としてはナトリウム、カリウム、リチウムなどが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
ポリカルボン酸及びその中和塩の製造方法には特に制限はないが、例えば、上記モノマー及び/又はその塩の水溶液にラジカル重合開始剤を添加して、30〜150℃で2〜5時間加熱反応させる方法などを挙げることができる。このとき、上記モノマー及び/又はその塩の水溶液に、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類やアセトン等の水性溶剤を添加してもよい。また、用いるラジカル重合開始剤にも特に制限はないが、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過硫酸塩と重亜硫酸ナトリウム等の組み合わせによるレドックス系重合開始剤、過酸化水素、水溶性アゾ系重合開始剤等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ラジカル重合の際には、重合度を調整する目的で連鎖移動剤(例えば、チオグリコール酸オクチル)を添加してもよい。
【0026】
(A)成分として用いるポリカルボン酸及びその中和塩としては、洗浄性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、又はマレイン酸の単独重合体若しくはその中和塩、又はアクリル酸、メタクリル酸及びマレイン酸のいずれか1種以上をモノマー成分として含む共重合体若しくはその中和塩が好ましく、アクリル酸の単独重合体若しくはその中和塩がより好ましい。上述したポリカルボン酸及びその中和塩は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
硬質表面用洗浄剤組成物における(A)成分の配合量は、使用目的に応じて適宜設定されるが、洗浄性、防錆性、経済性の観点から、硬質表面用洗浄剤組成物全量を基準として、1〜40質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。
【0028】
(B)成分として用いるアルカノールアミン化合物は、特に限定されないが、下記一般式(4)で表されるアルカノールアミン化合物が好ましい。
【0029】
【化4】
[一般式(4)中、R
3及びR
4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜23のアリール基、又は炭素数7〜45のアラルキル基を示し、R
5は炭素数1〜22のアルキレン基、又は炭素数7〜15のアラルキレン基を示し、p及びqはそれぞれ独立に0又は1を示し、rは1〜3の整数を示し、p+q+rは3である。]
【0030】
上記一般式(4)で表されるアルカノールアミン化合物としては、具体的には、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン、2−(ジフェニルアミノ)エタノール、1−フェニルアミノエタノール、N−ベンジルエタノールアミン、N,N−ジベンジル−2−エタノールアミン、モノイソプロパノールアミン等のモノアルカノールアミン化合物;ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−t−ブチルジエタノールアミン、N−ベンジルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のジアルカノールアミン化合物;トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のトリアルカノールアミン化合物が挙げられる。
【0031】
上記一般式(4)で表されるアルカノールアミン化合物は、洗浄性、防錆性の観点から、式中のR
3が水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数6〜13のアリール基、又は炭素数7〜13のアラルキル基であり、R
4が水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数6〜13のアリール基、又は炭素数7〜13のアラルキル基であり、R
5が炭素数1〜8のアルキレン基、又は炭素数7〜14のアラルキレン基であり、pが0又は1であり、qが0又は1であり、rが1〜3であり、p+q+rが3であるアルカノールアミン化合物が好ましく、式中のR
5が炭素数1〜3のアルキレン基であり、p及びqが0であり、rが3であるアルカノールアミン化合物がより好ましい。
【0032】
上述したアルカノールアミン化合物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
(B)成分の配合については、所定量の(B)成分で(A)成分を予め中和した後、残りの(B)成分と(C)成分を配合してもよく、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の全量を一度に配合してもよい。
【0034】
硬質表面用洗浄剤組成物における(B)成分の配合量は、使用目的に応じて適宜設定されるが、洗浄性、防錆性、経済性の観点から、硬質表面用洗浄剤組成物全量を基準として、1〜60質量%であることが好ましく、1〜40質量%であることがより好ましい。
【0035】
(C)成分として用いる炭素数8〜50のヒドロキシル基含有化合物としては、炭素数8〜50の脂肪族モノアルコール、及び下記一般式(1)で表される炭素数8〜50のフェノール誘導体が挙げられる。
【0036】
【化5】
[一般式(1)中、R
1は下記一般式(2)で表される1価の基を示し、aは1〜5の整数である。
【化6】
{一般式(2)中、R
2は下記式(3)で表される2価の基を示し、bは1〜5の整数であり、a×bの総数が1〜5の範囲内にあり、式(1)中のaが2以上である場合、複数あるbは同一であっても異なっていてもよい。
【化7】
}]
【0037】
炭素数8〜50の脂肪族モノアルコールとしては、例えば、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、トリデシルアルコール等の直鎖第一級アルコール;4−ブチルオクタノール、2−ブチルデカノール、2−ヘキシルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−オクチルドデカノール、2−オクチルドデカノール、2−ドデシルヘキサデカノール、2−テトラデシルオクタデカノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、イソノナノール、イソデカノール、イソウンデカノール、イソトリデカノール等の分岐第一級アルコール;2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、2−ドデカノール、2−トリデカノール等の第二級アルコール;2−メチルヘプタン−2−オール、2−メチルデカン−2−オール、6−メチルウンデカン−6−オール、6−ペンチルウンデカン−6−オール等の第三級アルコール等が挙げられる。
【0038】
上記一般式(1)で表される炭素数8〜50のフェノール誘導体としては、モノスチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール、トリスチレン化フェノール等が挙げられる。スチレン化フェノールは、例えば、所定量のフェノールに、所定量のスチレンを、AlCl
3、SbCl
3、H
2SO
4、H
3PO
4又は活性白土等を触媒として、110〜140℃の温度で反応(フリーデルクラフツ反応)させる公知の製造方法によって得られる化合物が挙げられる。
【0039】
(C)成分は、洗浄性、乾燥性、消泡性の観点から、炭素数8〜50の脂肪族モノアルコールが好ましく、炭素数8〜40の脂肪族第一級アルコール、炭素数8〜32の脂肪族第二級アルコールがより好ましく、炭素数8〜18の直鎖脂肪族第一級アルコール、直鎖アルキル基のCH
2OH基に対するβ位以外に炭素数1〜3のアルキル基が分岐した炭素数8〜18の脂肪族第一級アルコール、直鎖アルキル基のCH
2OH基に対するβ位に炭素数1〜20の直鎖アルキル基が分岐した炭素数8〜40の脂肪族第一級アルコール(例えば、下記一般式(5)で表される化合物)、炭素数8〜24の脂肪族第二級アルコールが更により好ましく、直鎖アルキル基のCH
2OH基に対するβ位に炭素数2〜13の直鎖アルキル基が分岐した炭素数8〜32の脂肪族第一級アルコール(例えば、下記一般式(5)におけるR
6が炭素数2〜13のアルキル基であり、R
7が炭素数2〜26のアルキル基である化合物)が特に好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
【化8】
[一般式(5)中、R
6は、炭素数1〜20のアルキル基を示し、R
7は、炭素数3〜35のアルキル基を示す。]
【0041】
硬質表面用洗浄剤組成物における(C)成分の配合量は、使用目的に応じて適宜設定されるが、洗浄性、乾燥性、経済性の観点から、硬質表面用洗浄剤組成物全量を基準として、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.1〜3質量%であることがより好ましい。
【0042】
本実施形態の硬質表面用洗浄剤組成物は、洗浄性、乾燥性、消泡性の観点から、(A)成分と(B)成分と(C)成分との質量比が、(A):(B):(C)=10〜89.9:10〜89.9:0.1〜10であることが好ましい。
【0043】
本実施形態の硬質表面用洗浄剤組成物は、洗浄性、乾燥性の観点から、(D)グリコールエーテルを更に含有することができる。
【0044】
(D)成分として用いるグリコールエーテルとしては、下記一般式(6)で表されるグリコールエーテルが挙げられる。
R
8−O−(AO)
nH …(6)
[一般式(6)中、R
8は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数7〜10のアラルキル基を示し、AOは、炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を示し、nは1〜5を示す。]
【0045】
グリコールエーテルとしては、具体的には、ブチルアルコールAO(1〜5)付加物、2−エチルヘキサノールAO(1〜5)付加物、1−デカノールAO(1〜5)付加物、フェノールAO(1〜5)付加物、ベンジルアルコールAO(1〜5)付加物等が挙げられる。括弧内の数値はモル数を表す。なお、AOが複数ある場合(nが2以上)、AOのアルキレンオキシ基は同一であっても異なっていてもよく、異なっている場合は、ブロック付加でもランダム付加でも交互付加でも構わない。
【0046】
上記の中でも、洗浄性、乾燥性の観点から、一般式(6)中のR
8が炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数2〜8のアルケニル基であり、nが1〜5のグリコールエーテルであることが好ましい。
【0047】
上述したグリコールエーテルは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0048】
硬質表面用洗浄剤組成物における(D)成分の配合量は、使用目的に応じて適宜設定されるが、乾燥性、制泡性の観点から、硬質表面用洗浄剤組成物全量を基準として、0.1〜15質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。
【0049】
本実施形態の硬質表面用浄剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、防錆剤、消泡剤、防腐剤、界面活性剤、キレート剤、酸化防止剤、着色剤、消臭剤、芳香剤等を配合できる。
【0050】
防錆剤としては、ジカルボン酸等が挙げられ、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、ドデカン二酸、エイコサ二酸、イソドコサジエンニ酸、イソドコサン二酸、イソエイコサジエン二酸、ブチルオクタン二酸、ジアルコキシカルボニルイソドコサジエン二酸等が挙げられる。これらの防錆剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、ジカルボン酸を用いる場合、上記(A)成分の好ましい配合量を超えないように配合することが好ましい。
【0051】
消泡剤としては、シリコン系、ポリグリコール系、高級アルコール系、鉱物油系等が挙げられる。これら消泡剤は1種又は2種以上混合して使用することができる。なお、かかるポリグリコール系の消泡剤が上記(D)成分と重複する場合は、上記(D)成分の好ましい配合量を超えないように配合することが好ましい。また、高級アルコール系の消泡剤が上記(C)成分と重複する場合は、上記(C)成分の好ましい配合量を超えないように配合することが好ましい。
【0052】
防腐剤としては、芳香族カルボン酸等が挙げられ、具体的には、安息香酸、p−トルイル酸、p−エチル安息香酸、p−イソプロピル安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、キシリル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、ケイ皮酸、トルイル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸等が挙げられる。これらの防腐剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、芳香族カルボン酸が上記(A)成分と重複する場合は、上記(A)成分の好ましい配合量を超えないように配合することが好ましい。
【0053】
界面活性剤としては、高級アルコールアルキレンオキサイド付加物、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アルキレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンアルキレンオキサイド付加物等のノニオン界面活性剤、石鹸、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等のアニオン界面活性剤、アルキルアミノ脂肪酸塩、アルキルベタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、かかる高級アルコールアルキレンオキサイド付加物、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物等が上記(D)成分と重複する場合は、上記(D)成分の好ましい配合量を超えないように配合することが好ましい。
【0054】
キレート剤としては、EDTA、NTA、DTPA、HEDTA、TTHA等のアミノカルボン酸系キレート剤;HEDP、NTMP等のホスホン酸系キレート剤が挙げられる。これらのキレート剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、アミノカルボン酸系キレート剤が上記(A)成分と重複する場合は、上記(A)成分の好ましい配合量を超えないように配合することが好ましい。
【0055】
本実施形態の硬質表面用洗浄剤組成物のpHは、洗浄性、防錆性の観点から、5.0〜14.0であることが好ましく、8.0〜12.0であることがより好ましく、8.0〜11.0であることが特に好ましい。pHが5.0未満の場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエタノールアミン等のアルカリで調整することができる。pHが14.0を超える場合は、塩酸、硫酸、乳酸、ギ酸、クエン酸等の酸で調整することができる。これらpH調整剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、かかるトリエタノールアミン等のアルカノールアミン化合物が上記(B)成分と重複する場合は、上記(B)成分の好ましい配合量を超えないように用いることが好ましい。硬質表面用洗浄剤組成物のpHは、ガラス電極法などの公知の方法で測定することができる。
【0056】
本実施形態の硬質表面用洗浄剤組成物は、静的表面張力及び動的表面張力が、洗浄性、乾燥性の観点から、20〜60mN/mであることが好ましく、20〜50mN/mであることがより好ましい。静的表面張力はウィルヘルミー法にて測定することができ、動的表面張力は最大泡圧法にて測定することができる。
【0057】
本実施形態の硬質表面用洗浄剤組成物の洗浄対象となる硬質表面としては、硬質な表面を有している物質であれば特に限定されるものではないが、鉄、アルミニウム、金、銀、銅、鉛、チタン等の金属;石英ガラス、ソーダガラス、カリガラス、ホウケイ酸ガラス、鉛ガラス等のガラス;ステンレス、ジュラルミン・チタン合金等の合金;真鍮、トタン等のメッキ加工した金属;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、塩ビ、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド等のプラスチック;セラミックス;大理石、ダイヤモンド等の鉱物等が挙げられる。
【0058】
本実施形態の硬質表面用洗浄剤組成物は、そのまま使用してもよいが、該組成物を水で希釈して調製した処理液を使用してもよい。処理液の濃度は、洗浄性、経済性の観点から、硬質表面用洗浄剤組成物の含有量が、処理液全量を基準として、0.01〜50質量%であることが好ましく、0.05〜30質量%であることがより好ましく、0.1〜15質量%であることが更により好ましい。
【0059】
本実施形態における水は、水道水、井戸水、イオン交換水、又は蒸留水を好適に用いることができる。
【0060】
硬質表面用洗浄剤組成物を水で希釈して調製した処理液のpHは、洗浄性、防錆性の観点から、5.0〜14.0であることが好ましく、8.0〜12.0であることがより好ましく、8.0〜11.0であることが特に好ましい。pHが5.0未満の場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエタノールアミン等のアルカリで調整することができる。pHが14.0を超える場合は、塩酸、硫酸、乳酸、ギ酸、クエン酸等の酸で調整することができる。これらのpH調整剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン化合物が上記(B)成分と重複する場合は、上記(B)成分の好ましい配合量を超えないように用いることが好ましい。処理液のpHは、ガラス電極法などの公知の方法で測定することができる。
【0061】
硬質表面用洗浄剤組成物を水で希釈して調製した処理液の静的表面張力及び動的表面張力は、洗浄性、乾燥性の観点から、20〜60mN/mであることが好ましく、20〜50mN/mであることがより好ましい。処理液の静的表面張力はウィルヘルミー法にて測定し、動的表面張力は最大泡圧法にて測定することができる。
【0062】
本実施形態の硬質表面用洗浄剤組成物を用いた洗浄方法は、特に限定されるものではないが、超音波方法、噴霧方法、バブリング方法、バレル方法、浸漬揺動方法等の物理的操作を加えた洗浄方法に好適に使用される。
【0063】
洗浄温度は、洗浄性、経済性の観点から5〜100℃であることが好ましく、10〜80℃がより好ましく、15〜80℃が特に好ましい。洗浄時間は、被洗浄物の形状・大きさ、洗浄方法、洗浄条件に応じて適宜設定することができる。
【実施例】
【0064】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0065】
(実施例9〜
11、参考例1〜8、
12〜15、比較例1〜5)
実施例9〜
11、参考例1〜8、
12〜15、及び比較例1〜5の硬質表面用洗浄剤組成物は、表1〜4に示す成分及び組成(質量%)のとおりに調製した。具体的には、(F)イオン交換水に、成分(A)と成分(B)、参考例15並びに比較例2及び比較例3の場合は成分(E)を加えて混合して均一とし、さらに成分(C)、成分(D)を添加混合して調製した。得られた実施例9〜
11、参考例1〜8、
12〜15、及び比較例1〜5の硬質表面用洗浄剤組成物は、イオン交換水にて3質量%に希釈して硬質表面用洗浄剤を調整し下記評価試験に供した。
【0066】
[洗浄性評価試験]
市販の50mm×50mm×1mmに切断された冷間圧延した鋼板(以下、SPCC−SBという。)を試験片として用いた。n−ヘキサンにて試験片表面を洗浄し、汚染物質として防錆油(アンチラストP2800 JX日鉱日石エネルギー株式会社製)を0.2g塗布し、汚染試料とした。
【0067】
洗浄は、超音波洗浄機(ブランソニックB2200 日本エマソン株式会社製)に実施例9〜
11、参考例1〜8、
12〜15、及び比較例1〜5の各硬質表面用洗浄剤を充填し、硬質表面用洗浄剤を25℃、又は60℃に調温した後、汚染試料を浸漬し2分間超音波処理を施した。その後試験片を引き上げ、80℃にて30分間乾燥した。洗浄率は以下の式により算出した。
洗浄率(質量%)=[{洗浄前の汚染試料の重量(g)}−{洗浄後の汚染試料の重量(g)}]×100/[{洗浄前の汚染試料の重量(g)}−{試験片の重量(g)}]
【0068】
[残留液量評価試験]
SPCC−SBを試験片として用いた。n−ヘキサンにて試験片表面を洗浄し、25℃、又は60℃に調温された実施例9〜
11、参考例1〜8、
12〜15、及び比較例1〜5の各硬質表面用洗浄剤に1分間浸漬した後、試験片を液面に対し垂直に引き上げ、試験片表面に残留する液量を以下の式により算出した。残留液量が少ないほど乾燥が速くなることから残留液量を乾燥性の目安とした。
残留液量(g/m
2)=[{試験後の試験片重量(g)}−{試験前の試験片重量(g)}]/試験片の表面積(m
2)
【0069】
[抑泡性及び消泡性評価試験]
100mlネスラー管に所定の温度(25℃又は60℃)に調整された実施例9〜
11、参考例1〜8、
12〜15、及び比較例1〜5の各硬質表面用洗浄剤を50ml注ぎ、5秒間に振幅幅20cmで10回上下に振り、水平な台の上に静置した直後、及び静置1分後の液面からの泡量(mL)を測定した。
【0070】
なお、表1〜4のポリカルボン酸Na
*1及びポリカルボン酸Na
*2は以下の化合物を用いた。
*1:ポリアクリル酸ナトリウム、重量平均分子量6,000。
*2:ポリアクリル酸ナトリウム、重量平均分子量20,000。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
表1〜3に示されるように、実施例9〜
11、参考例1〜8、
12〜15の洗浄剤組成物は、25℃及び60℃のいずれの洗浄条件であっても残留液が少なく液切れ性に優れており、しかも洗浄性、抑泡性及び消泡性にも優れていることが確認された。