(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記実装基板上に実装された低雑音増幅器をさらに備え、前記低雑音増幅器は、前記共通ノードに結合されることにより前記キャリアアグリゲーション回路からの合成信号を受ける、請求項8に記載の高周波モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0018】
いくつかの実施形態の詳細な説明
本明細書では、見出しが設けられていても、それは便宜上設けられているだけでありクレームされている発明の範囲または意味には必ずしも影響しない。
【0019】
セルラーキャリアアグリゲーション(CA)は、共通経路を通して2つ以上の高周波(RF)信号を処理できるようにすることによってサポートすることが可能である。たとえば、キャリアアグリゲーションには、それぞれの周波数範囲が十分に離れている複数の周波数帯に対して1つの経路を使用することが関与し得る。このような構成では、2つ以上の周波数帯を同時に機能させることが可能である。
【0020】
受信機との関連では、キャリアアグリゲーションは、複数の周波数帯のRF信号が同時に処理されるようにすることによって、たとえば高データレート能力を提供することができる。このようなキャリアアグリゲーションシステムでは、各RF信号について低雑音指数(NF)を保つことが望ましい。集約されている2つの周波数帯の周波数が近い場合、2つの周波数帯の十分な分離を保つことも望ましい。
【0021】
図1は、複数の入力を受信し出力を生成するように構成されたCA回路110を含むキャリアアグリゲーション(CA)構成100を示す。この複数の入力は、第1のRF信号および第2のRF信号を含み得る。第1のRF信号は、共通入力ノード102(RF_IN)から、第1のフィルタ106aを含む第1の経路104aを通してCA回路110に与えることができる。同様に、第2のRF信号は、共通入力ノード102(RF_IN)から、第2のフィルタ106bを含む第2の経路104bを通してCA回路110に与えることができる。本明細書に記載のように、CA回路110は、共通出力ノード114での出力が、第1および第2のRF信号に関連する2つの分離された周波数帯を含む再合成されたRF信号となるように、構成し得る。また、本明細書に記載のように、CA回路110は、低損失、低雑音指数、および/または2つの信号経路104a、104b間の高度な分離といった望ましい性能の特徴を生出すように構成し得る。
【0022】
図1の例を含む、本明細書におけるさまざまな例について、2つの周波数帯の集約との関連で説明する。しかしながら、本開示の1つ以上の特徴は3つ以上の周波数帯の集約において実装し得ることが理解されるであろう。たとえば、
図2は、3つのRF信号が、共通入力ノード102(RF_IF)で分離され、それぞれのフィルタ106a、106b、106cを通して処理され、CA回路110によって再合成されることにより、共通出力ノード114(RF_OUT)において再合成RF信号を与える、CAアグリゲーション構成100を示す。
【0023】
図1および
図2のアグリゲーション構成100は、多数のRF用途において実装し得る。
図3は、本明細書に記載の1つ以上の特徴を有するCA回路110を受信機における低雑音増幅器(LNA)とともに実装し得るより具体的な例を示す。CA回路110は、複数の入力を受け出力を生成するように構成し得る。複数の入力は第1のRF信号および第2のRF信号を含み得る。第1のRF信号は、共通入力ノード102(RF_IN)から、第1のバンドパスフィルタ122を含む第1の経路を通してCA回路110に与えることができる。同様に、第2のRF信号は、共通入力ノード102(RF_IN)から、第2のバンドパスフィルタ124を含む第2の経路を通してCA回路110に与えることができる。本明細書に記載のように、CA回路110は、共通出力ノード114における出力が、第1および第2のRF信号に関連する2つの分離された周波数帯を含む再合成RF信号となるように、構成し得る。また、本明細書に記載のように、CA回路110は、低損失、低雑音指数、および/または2つの入力信号経路間の高度な分離といった望ましい性能の特徴を生出すように構成し得る。
【0024】
図3において、再合成RF信号はLNA1
20に与えられ増幅により出力ノード114における低雑音の増幅出力信号を生成することが示されている。LNA1
20は、十分に広い帯域幅に対して機能することにより再合成RF信号の第1および第2の帯域を効果的に増幅するように構成し得る。
【0025】
ある実施形態において、バンドパスフィルタ122、124は、たとえば表面弾性波(SAW)フィルタを含む多数のやり方で実装し得る。その他の種類のフィルタを利用できることが理解されるであろう。
【0026】
本明細書に記載のように、
図3のアグリゲーション構成100は、他のアグリゲーション構成よりも有利な多数の特徴を提供することができる。たとえば、
図4に示すアグリゲーション構成10では、RF信号が共通入力ノード(RF_IN)において分離され、分離後の2つのRF信号は各々バンドパスフィルタ(12または16)によって処理されLNA(14または18)によって増幅される。別々に処理され増幅されたRF信号(帯域「A」および「B」)はコンバイナ20によって合成されることにより共通出力ノード(RF_OUT)で出力RF信号を与えることが示されている。
【0027】
図4の例において、合成出力RF信号には、2つのLNA各々からの増幅された雑音の影響が含まれる。したがって、雑音指数は、たとえばおよそ3dB悪化し得る。
【0028】
一般的に、RF経路(たとえば
図4の帯域「A」および「B」に関連する経路)間およびそれぞれの帯域間に適切な分離がなければ、これは、合成RF信号の雑音指数に影響する。
図5は、LNA出力をさらにフィルタリングすることによって「A」帯域および「B」帯域間の周波数帯分布のより良い分離を実現し得る、一例としてのアグリゲーション構成30を示す。
図4の例と同様に、一例としてのアグリゲーション構成30は、共通入力ノード(RF_IN)において分離されるRF信号を含み、分離後の2つのRF信号は各々、バンドパスフィルタ(32または42)によって処理されLNA(34または44)によって増幅される。別々に処理され増幅されたRF信号(帯域「A」および「B」)は、合成されて共通出力ノード(RF_OUT)で合成RF信号を与える前にフィルタ36、46によってそれぞれさらにフィルタリングされることが示されている。このフィルタリングの結果、帯域「A」における共通出力ノード(RF_OUT)での総雑音出力は一般的にLNA34からの影響しか含まず、帯域「B」における共通出力ノード(RF_OUT)での総雑音出力は一般的にLNA44からの影響しか含まない。この構成は先に述べた例における雑音の3dBの悪化を回避するが、一般的には2つのLNAおよびLNA後の2つのフィルタに関連する過剰なコストの影響を受ける。
【0029】
一般的に、Qがより高い共振器から構成されたフィルタは、周波数帯、特に互いに比較的近い周波数帯に対してより良い分離をもたらす。たとえば、セルラー周波数帯B1およびB3は、受信動作のための範囲として2.110〜2.170GHzおよび1.805〜1.880GHzをそれぞれ有する。このような比較的近い周波数帯の対の場合、Qが低い共振器では、帯域の十分な分離は一般的に不可能である。したがって、一般的には高Q共振器が必要であるまたは望ましい。しかしながら、このような追加の高Q共振器を2つのLNA(たとえば
図5の34、44)の下流で使用することは、追加コストおよび必要空間という点から望ましくない可能性がある。
【0030】
図6は、
図3の構成のより具体的な例となり得るCA構成100を示す。
図6のCA構成100は、
図4および
図5の例に関連する問題のうちのいくつかまたはすべてに対処する特徴を含む、多数の望ましい特徴を提供することができる。
【0031】
図6において、一例としてのCA構成100は、共通入力ノード102(RF_IN)で分離されているRF信号を含む。分離後の第1のRF信号はバンドパスフィルタ122によってフィルタリングされることが示されており、分離後の第2のRF信号はバンドパスフィルタ124によってフィルタリングされることが示されている。フィルタリングされた第1および第2のRF信号は、共通ノード126で合成信号を与えるように構成されたCA回路110に与えられることが示されている。
【0032】
CA回路110は、全体的に150で示されている位相回路と、全体的に140で示されているスイッチ回路とを含むことが示されている。位相回路150およびスイッチ回路140によって提供することができる機能の例を本明細書においてより詳細に説明する。
【0033】
バンドパスフィルタ122からのフィルタリング後の第1のRF信号は第1の位相シフト回路152を通されることが示されている。同様に、バンドパスフィルタ124からのフィルタリング後の第2のRF信号は第2の位相シフト回路154を通されることが示されている。このような位相シフト回路の例を本明細書においてより詳細に説明する。
【0034】
それぞれの位相シフト回路(152、154)からの第1および第2のRF信号は共通ノード126で合成されることが示されている。ある実施形態において、スイッチS1は第1の位相シフト回路152と共通ノード126との間に実装すればよく、スイッチS2は第2の位相シフト回路154と共通ノード126との間に実装すればよい。このようなスイッチは、CA回路110を非CAモードまたはCAモードで動作させることができる。たとえば、
図6に示されるように第1のスイッチS1が閉じられ第2のスイッチS2が開かれると、CA回路110は対応する周波数帯の第1のRF信号を非CAモードで処理する。他方の周波数帯の第2のRF信号を非CAモードで処理するためには、第1のスイッチS1を開き第2のスイッチS2を閉じればよい。別の例では、
図7に示されるように第1および第2のスイッチ双方を閉じると、CA回路110はそれぞれの周波数帯の第1および第2のRF信号をどちらもCAモードで処理することができる。
【0035】
図6および
図7では、共通ノード126をLNA120の入力に結合することにより、処理されたRF信号(CAモードにおける合成RF信号または非CAモードにおける1つの帯域のRF信号)をLNA120に処理させることが示されている。LNA120はノード114における出力(RF_OUT)として増幅されたRF信号を生成することが示されている。
【0036】
図6および
図7の例において、スイッチ回路140はCA回路110を非CAモードおよびCAモードのうちのいずれかで動作させることができる。CA回路110がCAモードのみで動作するように構成されている実施形態では、スイッチ回路140を省略してもよい。
【0037】
図8は、第1および第2の信号経路を、選択されたインピーダンスを与えることによってCA動作を容易にするように構成し得る、一例としてのCA構成100を示す。説明のために、このような信号経路を「A」帯域および「B」帯域と呼ぶことができ、このような帯域は、キャリアアグリゲーションに適した帯域の任意の組合わせを含み得る。
図7の例と同様、スイッチS1およびS2双方をそれぞれの閉状態にすることによってCA動作を容易にすることができる。
【0038】
図8の例に示されるように、第1および第2の位相シフト回路152、154を利用して、第1(A)および第2(B)のバンドパスフィルタ122、124をLNA120に結合することができるとともに、合成されてLNA120にルーティングされる信号に所望のインピーダンス値を与えることができる。第1および第2の位相シフト回路152、154によるこのようなインピーダンス値の調整の例を本明細書においてより詳細に説明する。
【0039】
第1のフィルタ122のインピーダンスを、A帯域信号に対して所望のインピーダンスを与えるようにチューニングすることができる。したがって、A帯域フィルタ122の出力におけるA帯域信号に対するインピーダンスZ
Aはほぼ整合された値Z
O(たとえば50オーム)である。B帯域では、A帯域フィルタ122の出力におけるB帯域信号に対するインピーダンスZ
BはZ
Oに整合されていない。B帯域はA帯域フィルタの阻止帯にあるので、この不整合の反射係数|Γ
B|はほぼ1(unity)である。しかしながら、この反射の位相は一般的にフィルタの設計に依存する。したがって、A帯域フィルタ122の出力におけるB帯域信号に対するインピーダンスZ
Bは、大幅に不整合な値でZ
Oよりも大幅に大きいかまたは大幅に小さいかのいずれかである可能性がある。結果として|Γ
B|〜1という状態になる。
【0040】
理想的にはA帯域フィルタ122がB帯域信号に対して開路を示すべきである。しかしながら、A帯域フィルタ122はB帯域信号に対してこのような理想的な開放インピーダンスを提供しないかもしれない。したがって、A帯域フィルタ122の出力におけるB帯域信号に対するインピーダンスZ
Bは、Z
B=R
B+jX
Bという複素形式で表わすことができ、この式の実部(抵抗R
B)および虚部(リアクタンスX
B)は、インピーダンスZ
Bを開路状態(X
BおよびR
Bのうちの一方または双方がほぼ1(unity))から引き離す。
図8に示されるように、第1の位相シフト回路152は、Z
Aに対してZ
Oを実質的に維持しZ
BをR
B+jX
Bから開路状態に調整するまたは近づけるように構成し得る。
【0041】
同様に、第2のフィルタ124のインピーダンスを、B帯域信号に対して所望のインピーダンスを与えるようにチューニングすることができる。したがって、B帯域フィルタ124の出力におけるB帯域信号に対するインピーダンスZ
Bはほぼ整合された値Z
O(たとえば50オーム)である。A帯域では、B帯域フィルタ12
4の出力におけるA帯域信号に対するインピーダンスZ
AはZ
Oに整合されていない。A帯域はB帯域フィルタの阻止帯にあるので、この不整合の反射係数|Γ
A|はほぼ1(unity)である。しかしながら、この反射の位相はフィルタの設計に依存する。したがって、B帯域フィルタ12
4の出力におけるA帯域信号に対するインピーダンスZ
Aは、大幅に不整合な値でZ
Oよりも大幅に大きいかまたは大幅に小さいかのいずれかである可能性がある。結果として|Γ
A|〜1という状態になる。
【0042】
理想的にはB帯域フィルタ124がA帯域信号にとって開路のように見えるべきである。しかしながら、B帯域フィルタ124はA帯域信号に対してこのような理想的な開放インピーダンスを提供しないかもしれない。したがって、B帯域フィルタ124の出力におけるA帯域信号に対するインピーダンスZ
Aは、Z
A=R
A+jX
Aという複素形式で表わすことができ、この式の実部(抵抗R
A)および虚部(リアクタンスX
A)は、インピーダンスZ
Aを開路状態(X
AおよびR
Aのうちの一方または双方がほぼ1(unity))から引き離す。
図8に示されるように、第2の位相シフト回路154は、Z
Bに対してZ
Oを実質的に維持しZ
AをR
A+jX
Aから開路状態に調整するまたは近づけるように構成し得る。
【0043】
図8に示されるように、上記手法で構成された第1および第2の信号経路を有するCA構成100は、それぞれの経路からのA帯域信号およびB帯域信号を合成したものをLNAに対してインピーダンス整合させ、かつ、非帯域周波数成分を実質的に遮断する。したがって、SAWフィルタ等の追加の高Qフィルタを利用しなくても、雑音指数性能を改善することができる。
【0044】
図9〜
図15は、一例としての2つの周波数帯経路と、
図8を参照しながら説明した望ましいインピーダンスをこのような経路に沿う位相シフト回路が如何にして生成し得るかを示す。
図9には、一例としての帯域B3(1,805〜1,880MHz)およびB1/4(2,110〜2,170MHz)に関連する2つの分離された受信(Rx)経路が示される。B3帯域経路は
図8の一般的なA帯域経路の一例とみなすことができ、B1/4帯域経路は一般的なB帯域経路の一例とみなすことができる。
【0045】
図9において、分離されたB3帯域経路は、アンテナノード(ANT B3)と出力ノード(RX B3)との間にB3フィルタ「A」を含む。しかしながら、B3帯域経路は、B3フィルタと出力ノード(RX B3)との間に位相シフト回路を含まない。同様に、分離されたB1/4帯域経路は、アンテナノード(ANT B1)と出力ノード(RX B1)との間にB1/4フィルタ「B」を含むが位相シフト回路は含まない。
【0046】
図10は、
図9の回路の、1.792GHzと2.195GHzの間の周波数(freq)掃引における、RX B1ノード(左上のプロット)、
RX B3ノード(右上のプロット)、ANT B1ノード(左下のプロット)、およびANT B3ノード(右下のプロット)の、複素インピーダンス(impedance)値のスミスプロットの例を示す。より具体的には、ポイントm28およびm29のインピーダンス値はそれぞれ、RX B1ノードにおけるB3 Rx帯域の下限(1.805GHz)および上限(1.880GHz)に対応し、ポイントm6およびm14のインピーダンス値はそれぞれ、RX B3ノードにおけるB1 Rx帯域の下限(2.110GHz)および上限(2.170GHz)に対応し、ポイントm5およびm7のインピーダンス値はそれぞれ、ANT B1ノードにおけるB3 Rx帯域の下限(1.805GHz)および上限(1.880GHz)に対応し、ポイントm3およびm4のインピーダンス値はそれぞれ、ANT B3ノードにおけるB1 Rx帯域の下限(2.110GHz)および上限(2.170GHz)に対応する。
【0047】
図10において、インピーダンス範囲(m28〜m29、m6〜m14、m5〜m7、m3〜m4)は各々、スミスプロット上の開放インピーダンスの位置から大きくずれているが、スミスプロットの外周には近いままであることがわかる。
【0048】
図11は、一例としての帯域B3 Rx(1,805〜1,880MHz)およびB1/4 Rx(2,110〜2,170MHz)に関連する2つの分離された受信(Rx)経路を示し、各経路は、そのアンテナノードと出力ノードとの間において、第1の位相シフト回路と、フィルタと、第2の位相シフト回路とを含む。より具体的には、B3経路は、アンテナノード(ANT B3)と出力ノード(RX B3)との間において、第1の位相シフト回路200と、B3フィルタと、第2の位相シフト回路202とを含む。同様に、B1/4帯域経路は、アンテナノード(ANT B1)と出力ノード(RX B1)との間において、第1の位相シフト回路204と、B1/4フィルタと、第2の位相シフト回路206とを含む。
【0049】
図12は、
図11の回路の、RX B1ノード(左上のプロット)、BX B3ノード(右上のプロット)、ANT B1ノード(左下のプロット)、およびANT B3ノード(右下のプロット)の、複素インピーダンス値のスミスプロットの例を示す。
図10の例と同様に、ポイントm28およびm29のインピーダンス値はそれぞれ、RX B1ノードにおけるB3 Rx帯域の下限(1.805GHz)および上限(1.880GHz)に対応し、ポイントm6およびm14のインピーダンス値はそれぞれ、RX B3ノードにおけるB1 Rx帯域の下限(2.110GHz)および上限(2.170GHz)に対応し、ポイントm5およびm7のインピーダンス値はそれぞれ、ANT B1ノードにおけるB3 Rx帯域の下限(1.805GHz)および上限(1.880GHz)に対応し、ポイントm3およびm4のインピーダンス値はそれぞれ、ANT B3ノードにおけるB1 Rx帯域の下限(2.110GHz)および上限(2.170GHz)に対応する。
【0050】
図12において、4つのプロット各々がある量だけ回転させられていることにより、インピーダンス範囲(m28〜m29、m6〜m14、m5〜m7、m3〜m4)は各々、スミスプロット上でIm(Z)=0線に跨り大きなRe(Z)値を有するので、開放インピーダンスの位置にあるかまたはその位置に近いことがわかる。ある実施形態において、
図11の各遅延素子によって与えられる遅延の量を選択することにより、対応するスミスプロットに示される回転の量を与えることができる。
【0051】
図11および
図12を参照しながら説明したように、反対側の帯域の信号に対して高いインピーダンスを示すようにフィルタのアンテナ側をチューニングすることが望ましい。ある実施形態において、ダイプレクサ(たとえばB3−B1/4ダイプレクサ)のアンテナ側を、ダイプレクサの帯域フィルタ(たとえばB1/4帯域フィルタまたはB3帯域フィルタ)に入る反対側の帯域(たとえばB3帯域周波数信号またはB1/4帯域周波数信号)に対して所望の高いインピーダンスを示すように、構成し得る。
【0052】
図13は、共通アンテナノード(ANT B1/B3)および共通出力ノード(RX B1/B3)を与えるように端部で相互に接続されている、一例としての
図11の2つの受信(Rx)経路を示す。ある実施形態において、このような結合された経路は、各帯域経路が、
図11および
図12において説明したように帯域外信号(たとえばB3帯域経路のB1/4帯域信号およびB1/4帯域経路のB3帯域信号)に対し実質的に開放インピーダンスを与えるように、かつ、
図13に示されるように結合された時に共通アンテナノード(ANT B1/B3)および共通出力ノード(RX B1/B3)双方において2つの帯域信号に対し整合されたインピーダンスを与えるように、構成し得る。
【0053】
図14は、
図13の回路の共通出力ノードRX B1/B3(左上のプロット)および共通アンテナノード(ANT B1/B3)(左下のプロット)における複素インピーダンス値のスミスプロットの例を示す。RX B1/B3ノードについて、ポイントm53およびm54のインピーダンス値はそれぞれ、B3帯域周波数1.805GHzおよび1.880GHzに対応し、ポイントm55およびm56のインピーダンス値はそれぞれ、B1帯域周波数2.110GHzおよび2.170GHzに対応する。すべてのポイントm53、m54、m55、m56は、スミスチャートの中心近くに集まっており、RX B1/B3ノードのインピーダンスが、帯域B1およびB3双方のすべての周波数において50オームに実質的に十分に整合していることを示す。このことが生じる理由は、各経路が自身の帯域で他方の帯域による妨害を概ね受けないので、経路は物理的に結合されているものの、合成回路が、B1経路のみによって実質的に決まる帯域B1における整合と、B3経路のみによって実質的に決まる帯域B3における整合を示すことにある。
【0054】
同様に、ANT B1/B3ノードについて、ポイントm46およびm47のインピーダンス値はそれぞれ、周波数1.805GHzおよび1.880GHzに対応し、ポイントm48およびm49のインピーダンス値はそれぞれ、B1帯域周波数2.110GHzおよび2.170GHzに対応する。すべてのポイントm46、m47、m48、m49は、スミスチャートの中心近くに集まっており、ANT B1/B3ノードのインピーダンスが、帯域B1およびB3双方のすべての周波数において50オームに実質的に十分に整合していることを示す。このことが生じる理由は、各経路が自身の帯域で他方の帯域による妨害を概ね受けないので、経路は物理的に結合されているものの、合成回路が、B1経路のみによって実質的に決まる帯域B1における整合と、B3経路のみによって実質的に決まる帯域B3における整合を示すことにある。
【0055】
図14はさらに、
図13の回路の、ANT B1/B3ノードにおける反射係数S11(
図14のS(4,4))の分布(右下のパネル)およびRX B1/B3ノードにおける反射係数S22(
図14のS(5,5))の分布(右上のパネル)を示す。S11(S(4,4))およびS22(S(5,5))分布において、2つのRX帯域(B3 RXおよびB1 RX)各々における整合は顕著である。
【0056】
図15は、左上のパネルにおいて、
図9の回路のB3受信経路のスペクトル応答およびB1受信経路の独立したスペクトル応答を示す。同じ応答が実質的にそのまま
図11の回路に当てはまる。なぜなら、
図11において追加されている遅延は概ね位相にしか影響せず各経路の振幅には影響しないからである。B3 RX帯域(たとえばB3通過帯域)の利得のピークは230に示されており、B1 RX帯域(たとえばB1通過帯域)の利得のピークは232に示されている。各経路が、反対側の帯域では30dBを超える減衰を示していることが注目される。
【0057】
図15の右上のパネルは、
図13の回路の単一のスペクトル応答を示す。この単一の応答が、2つの通過帯域、すなわち234として示されるB3 RX通過帯域および236として示されるB1 RX通過帯域を示すことが注目される。
【0058】
図15の左下のパネルは、
図9/
図11の独立したB3受信経路が示すB3 RX通過帯域230と
図13の合成回路が示すB3 RX通過帯域234が、重なり合うことを示す。右下のパネルは、
図9/
図11の独立したB1受信経路が示すB1 RX通過帯域232と、
図13の合成回路が示すB1 RX通過帯域236が重なり合うことを示す。右下のパネルの例および左下のパネルの例いずれにおいても、
図13の合成回路の各通過帯域が、この合成回路を形成する独立した受信経路各々の通過帯域に、帯域幅という点でも特徴的なリップルという点でも似ていることがわかる。さらに、対応する位相シフト回路が追加され経路が合成される前の所与の帯域の利得分布は、このように位相シフト回路が追加され経路が合成された後の分布よりもわずかに高いだけである。このため、本明細書に記載の1つ以上の特徴を有する位相シフト回路を損失がほとんどまたは全くない状態で所望の機能を提供するように構成し得ることがわかる。
【0059】
図16Aは、
図13〜
図15の回路212、216等の位相シフト回路のより具体的な例を示す。
図16AのCA構成100は、
図8のCA構成100の一例であってもよい。アンテナからの入力RF信号(RF_IN)は入力ノード102で受けることができる。ダイプレクサ260は入力RF信号を受けるために入力ノード102に結合されることが示されている。このような受信信号は、帯域Aおよび帯域Bに対し帯域通過機能を提供するように構成されたフィルタ122、124を通して処理することができる。このような帯域の例を本明細書においてより詳細に説明する。ある実施形態において、ダイプレクサ260は、
図11〜
図15を参照しながら本明細書で述べたように入力RF信号に対してインピーダンス整合を与えるように構成し得る。
【0060】
バンドパスフィルタ122、124の出力は第1の位相シフト回路152を含む第1の経路および第2の位相シフト回路154を含む第2の経路にルーティングされることが示されている。第1の経路は第1の位相シフト回路152と共通出力ノードとの間においてスイッチS1をさらに含むことが示されている。第2の経路は第2の位相シフト回路154と共通出力ノードとの間においてスイッチS2をさらに含むことが示されている。
【0061】
処理された信号を上記第1および第2の経路から受ける共通出力ノードはLNA120の入力に結合されることが示されている。LNA120はノード114の増幅された出力信号(RF_OUT)を与えることが示されている。
【0062】
第1の位相シフト回路152はその入力(帯域Aフィルタ122の出力からの)とスイッチS1との間に直列に配置された容量C5およびC6を含むことが示されている。インダクタンスL5がC5およびC6間のノードを接地に結合することが示されている。
【0063】
第2の位相シフト回路154はその入力(帯域Bフィルタ124の出力からの)とスイッチS2との間に直列に配置された容量C2およびC3を含むことが示されている。インダクタンスL4がC2およびC3間のノードを接地に結合することが示されている。
【0064】
図16Bは、ローパス位相シフタ構成で実装される、
図13〜
図15の回路212、216等の位相シフト回路のより具体的な例を示す。
図16BのCA構成100は、
図8のCA構成100の一例であってもよい。アンテナからの入力RF信号(RF_IN)は入力ノード102で受けることができる。ダイプレクサ260は入力RF信号を受けるために入力ノード102に結合されることが示されている。このような受信信号は、帯域Aおよび帯域Bに対し帯域通過機能を提供するように構成されたフィルタ122、124を通して処理することができる。このような帯域の例を本明細書においてより詳細に説明する。ある実施形態において、ダイプレクサ260は、
図11〜
図15を参照しながら本明細書で述べたように入力RF信号に対してインピーダンス整合を与えるように構成し得る。
【0065】
バンドパスフィルタ122、124の出力は第1の位相シフト回路152を含む第1の経路および第2の位相シフト回路154を含む第2の経路にルーティングされることが示されている。第1の経路は第1の位相シフト回路152と共通出力ノードとの間においてスイッチS1をさらに含むことが示されている。第2の経路は第2の位相シフト回路154と共通出力ノードとの間においてスイッチS2をさらに含むことが示されている。
【0066】
処理された信号を上記第1および第2の経路から受ける共通出力ノードはLNA120の入力に結合されることが示されている。LNA120はノード114の増幅された出力信号(RF_OUT)を与えることが示されている。
【0067】
第1の位相シフト回路152はその入力(帯域Aフィルタ122の出力からの)とスイッチS1との間に直列に配置されたインダクタンスL5’およびL6’を含むことが示されている。容量C5’がL5’およびL6’間のノードを接地に結合することが示されている。
【0068】
第2の位相シフト回路154はその入力(帯域Bフィルタ124の出力からの)とスイッチS2との間に直列に配置されたインダクタンスL2’およびL3’を含むことが示されている。容量C4’がL2’およびL3’間のノードを接地に結合することが示されている。
【0069】
ある実施形態において、たとえば
図8および
図13を参照しながら本明細書で述べたさまざまな機能を、帯域の一例としてのB3 RXおよびB1/4 RXに関する
図16Aの構成例の、表1に示される容量およびインダクタンスの値とともに得ることができる。
【0071】
その他の帯域の対について容量およびインダクタンスの値をそれに応じて選択できることが理解されるであろう。また、
図16Bの、一例としての回路の要素の適切な値を用いて、同一または同様のさまざまな機能が得られることも理解されるであろう。
【0072】
ある実施形態において、上記容量および/またはインダクタンスのうちのいくつかまたはすべては、信号経路のまたはその他の導電性特徴の一部として実装してもよく、集中素子として実装してもよく、または、その任意の組合わせであってもよい。
【0073】
図17は、本明細書に記載の1つ以上の特徴を有する装置を製造するために実装し得るプロセス280を示す。ブロック282で、少なくともダイプレクサ機能を有する回路を基板上に装着するまたは与えることができる。さまざまな例においてキャリアアグリゲーション(CA)はダイプレクサとの関連で説明しているが、CAを3つ以上の帯域とともに実装する(たとえばマルチプレクサを利用)ことも可能であることが理解されるであろう。ある実施形態において、ダイプレクサを装置として実装してもよく、このような装置を基板上に装着してもよい。
【0074】
ブロック284で、ダイプレクサ回路の第1の出力と第1のスイッチの入力との間に第1の位相シフト回路を形成するまたは与えることができる。ブロック286で、ダイプレクサ回路の第2の出力と第2のスイッチの入力との間に第2の位相シフト回路を形成するまたは与えることができる。ブロック288で、第1のスイッチの出力と第2のスイッチの出力を共通ノードに結合することができる。ある実施形態において、第1および第2の位相シフト回路がそれぞれのスイッチを通して共通ノードに結合されているこのような構成は、CAモードまたは非CAモードでの装置の動作を容易にすることができる。
【0075】
ブロック290で、共通ノードを低雑音増幅器(LNA)の入力に結合することができる。ある実施形態において、このように2つの信号経路を1つのLNAに集約させることにより、スイッチの状態によって決まるCAモードまたは非CAモードでLNAを動作させることができる。
【0076】
ある実施形態において、
図17で説明した装置はRF用途に合わせて構成されたモジュールであってもよい。
図18は、積層基板等の実装基板302を有するRFモジュール300(たとえばフロントエンドモジュール)のブロック図を示す。このようなモジュールは1つ以上のLNAを含み得る。ある実施形態において、このようなLNAは半導体チップ304上に実装してもよい。このようなチップ上に実装されたLNAは、本明細書に記載の信号経路を通してRF信号を受けるように構成し得る。このようなLNAは、本明細書に記載の改善されたキャリアアグリゲーション(CA)機能に関連する1つ以上の有利な特徴から利益を得ることも可能である。
【0077】
モジュール300はさらに、1つ以上の半導体チップ306上に実装された複数のスイッチを含み得る。このようなスイッチは、分離を提供および/または容易にすること、CA動作モードを可能に/不能にすること、および非CAモードの帯域選択を含むさまざまなスイッチ機能を提供するように構成し得る。
【0078】
モジュール300はさらに、RF信号を処理するように構成された、1つ以上のダイプレクサおよび/または複数のフィルタ(まとめて310で示す)を含み得る。このようなダイプレクサ/フィルタは、表面実装装置(SMD)として実装してもよく、集積回路(IC)の一部として実装してもよく、または、その組合わせであってもよい。このようなダイプレクサ/フィルタは、たとえばSAWフィルタを含み得るまたはSAWフィルタに基づき得るものであり、高Q装置として構成し得る。
【0079】
図18において、複数の位相シフト回路はまとめて308で示されている。このような位相シフト回路は、本明細書に記載の1つ以上の特徴を含むことにより、特に、CAモードで機能させている異なる帯域に関連する経路間の改善された分離を提供することができる。
【0080】
図19は、本明細書に記載の1つ以上の特徴を含むRFアーキテクチャ400の一例を示す。ある実施形態において、このようなアーキテクチャは、
図18を参照しながら説明した例のようなモジュール300上に実装することができる。
図19のアーキテクチャ400をモジュールに限定する必要は必ずしもないことが理解されるであろう。
【0081】
図19の、一例としてのアーキテクチャ400は、RF信号を受信および/または送信するために構成されたいくつかの信号経路を含み得る。アーキテクチャ400はまた、アンテナポート402に結合されたアンテナスイッチ回路404を含み得る。このようなアンテナスイッチ回路は、セルラー周波数範囲のRF信号を、異なるセルラー帯域に関連する複数の経路にルーティングするように構成し得る。示されている例において、アンテナスイッチ回路404は、単極双投(SP2T)スイッチを含み、その極はアンテナポート402に結合されている。
【0082】
一例としてのRX経路に関連して、第1の経路はB2/B25/4帯域用に構成され、第2の経路はB3/B1/4帯域用に構成される。このような帯域に関連するRF信号はそれぞれのフィルタ406によって処理されることが示されている。
【0083】
第1の経路のB2/B25/4帯域(たとえば1.930〜1.995GHzおよび2.110〜2.155GHz)の信号は、本明細書に記載のようなキャリアアグリゲーションが可能であり、一群のLNA410のうちの1つのLNAによって増幅することができる。本明細書に記載の、B2/B25/4帯域のキャリアアグリゲーションは、B2/B25/4ダイプレクサとLNAとの間に実装された複数の位相シフト回路を含み得る。また、本明細書に記載の、このような位相シフト回路とLNAとの間の経路は、CAモードでの動作および非CAモードでの動作を行なえるようにするそれぞれのスイッチを含み得る。
【0084】
第2の経路のB3/B1/4帯域(たとえば1.805〜1.880GHzおよび2.110〜2.170GHz)の信号は、本明細書に記載のようなキャリアアグリゲーションが可能であり、一群のLNA410のうちの1つのLNAによって増幅することができる。このようなLNAは、たとえば1.805〜2.170GHzという帯域幅をカバーするように構成し得る。本明細書に記載のように、このようなキャリアアグリゲーションは、B3/B1/4ダイプレクサとLNAとの間に実装された複数の位相シフト回路を含み得る。また、本明細書に記載の、このような位相シフト回路とLNAとの間の経路は、CAモードでの動作および非CAモードでの動作を行なえるようにするそれぞれのスイッチを含み得る。
【0085】
LNAからの増幅された信号は、帯域選択スイッチ412にルーティングすることができる。帯域選択スイッチ412は、ノード416に結合されて、選択されたLNAからの増幅されたRF信号をさらに処理できるようにすることが、示されている。
【0086】
ある実装例において、本明細書に記載の1つ以上の特徴を有するアーキテクチャ、装置、および/または回路は、無線装置等のRF装置に含まれていてもよい。このようなアーキテクチャ、装置、および/または回路は、無線装置に直接実装されてもよく、本明細書に記載の1つ以上のモジュラー形態で実装されてもよく、または、その組合わせに実装されてもよい。ある実施形態において、このような無線装置は、たとえば、携帯電話、スマートフォン、電話機能付または電話機能なしのハンドヘルド無線装置、無線タブレット、無線ルータ、無線アクセスポイント、無線基地局等を含み得る。本開示の1つ以上の特徴は、無線装置との関連で説明されているが、基地局等のその他のRFシステムで実装することも可能であることが理解されるであろう。
【0087】
図20は、本明細書に記載の1つ以上の有利な特徴を有する一例としての無線装置500を概略的に示す。ある実施形態において、このような有利な特徴は、本明細書に記載のフロントエンド(FE)モジュール300および/またはアーキテクチャ400において実装することができる。このような特徴のうちの1つ以上をメインアンテナスイッチモジュール(ASM)514において実装することもできる。ある実施形態において、このようなFEM/アーキテクチャは、点線の枠によって示されるものよりも多いまたは少ない構成要素を含み得る。
【0088】
PAモジュール512の中のPAは、増幅および送信すべきRF信号を生成するようにかつ受信した信号を処理するように構成され動作することができるトランシーバ510から、それぞれのRF信号を受信することができる。トランシーバ510は、ユーザに適したデータおよび/または音声信号とトランシーバ510に適したRF信号との間の変換を提供するように構成されたベースバンドサブシステム508と対話することが示されている。また、トランシーバ510は、無線装置500の動作のための電力を管理するように構成された電力管理要素506に接続されていることが示されている。このような電力管理は、ベースバンドサブシステム508および無線装置500の他の構成要素の動作を制御することもできる。
【0089】
ベースバンドサブシステム508は、ユーザインターフェイス502に接続されることにより、ユーザに与えられユーザから受ける音声および/またはデータのさまざまな入力および出力を容易にすることが示されている。また、ベースバンドサブシステム508は、無線装置の動作を容易にするためにデータおよび/または命令を格納するように、および/またはユーザのための情報の記憶装置を提供するように構成されたメモリ504に接続されてもよい。
【0090】
一例としての無線装置500において、フロントエンドモジュール300/アーキテクチャ400は、本明細書に記載の1つ以上の機能を提供するように構成されたキャリアアグリゲーション対応の1つ以上の信号経路を含み得る。このような信号経路は、それぞれのダイプレクサを通してアンテナスイッチモジュール(ASM)404と通信することができる。ある実施形態において、ダイバーシティアンテナ530を通して受信した信号のうちの少なくともいくつかを、本明細書に記載のやり方でASM404から1つ以上の低雑音増幅器(LNA)518にルーティングすることができる。LNA518からの増幅された信号はトランシーバ510にルーティングされることが示されている。
【0091】
いくつかのその他の無線装置構成は、本明細書に記載の1つ以上の特徴を利用することができる。たとえば、無線装置はマルチバンド装置である必要はない。別の例において、無線装置は、ダイバーシティアンテナ等の他のアンテナ、および、Wi−Fi、Bluetooth(登録商標)、およびGPS等の他の接続特徴を含み得る。
【0092】
ダイバーシティ受信(DRx)の実装に関する例
無線装置において1つ以上のメインアンテナと1つ以上のダイバーシティアンテナを使用することにより、信号受信の品質を改善することができる。たとえば、ダイバーシティアンテナは、無線装置の近傍においてRF信号をさらにサンプリングすることを可能にする。加えて、無線装置のトランシーバを、メインアンテナおよびダイバーシティアンテナが受信した信号を処理するように構成することにより、メインアンテナのみを使用する構成と比較して、より高エネルギのおよび/または忠実度が改善された受信信号を取得することができる。
【0093】
メインアンテナおよびダイバーシティアンテナが受信した信号間の相関性を減じるためおよび/またはアンテナの分離を高めるためには、無線装置内におけるメインアンテナとダイバーシティアンテナの間の物理的な距離を比較的大きくしてこれらを分離すればよい。たとえば、ダイバーシティアンテナを無線装置の上部近くに配置しメインアンテナを無線装置の下部近くに配置してもよく、または、その逆にしてもよい。
【0094】
無線装置は、信号の送信または受信を、メインアンテナを用いて対応する信号をアンテナスイッチモジュールを通してトランシーバからまたはトランシーバにルーティングすることによって、行なうことができる。設計の規格に合うようにするまたはそれを超えるようにするためには、トランシーバ、アンテナスイッチモジュール、および/またはメインアンテナを、無線装置内で物理的に互いに近くなるようにすればよい。無線装置をこのように構成することにより、比較的小さい信号損失、低い雑音、および/または高度な分離が得られる。
【0095】
上記例において、メインアンテナがアンテナスイッチモジュールに物理的に近いということは、結果として、ダイバーシティアンテナがアンテナスイッチモジュールから相対的に遠いということになり得る。このような構成において、ダイバーシティアンテナとアンテナスイッチモジュールとの間の信号経路が比較的長いことにより、結果として、ダイバーシティアンテナを通して受信した信号に関連する多大な損失および/または損失の追加が生じ得る。したがって、本明細書に記載の1つ以上の特徴の実装を含む、ダイバーシティアンテナを通して受信した信号の処理を、ダイバーシティアンテナの近傍で行なうことは、有利となり得る。
【0096】
図21は、ある実施形態において本開示の1つ以上の特徴をダイバーシティ受信(DRx)モジュール300において実装できることを示す。このようなモジュールは、複数の構成要素を支持するように、かつこのような構成要素に関連する電気的接続を与えるまたは容易にするように構成された、実装基板302(たとえば積層基板)を含み得る。
【0097】
図21の例において、DRxモジュール300は、入力320においてダイバーシティアンテナ(
図21には示されていない)からのRF信号を受信しこのようなRF信号を低雑音増幅器(LNA)332にルーティングするように構成し得る。RF信号のこのようなルーティングにはキャリアアグリゲーション(CA)および/または非CA構成が関与し得ることが理解されるであろう。また、1つのLNA(たとえばブロードバンドLNA)が示されているが、DRxモジュール300内には2つ以上のLNAがあってもよいことが理解されるであろう。LNAの種類および動作モード(たとえばCAまたは非CA)に応じて、LNA332の出力334は、1つ以上の周波数帯に関連する1つ以上の周波数成分を含み得る。
【0098】
ある実施形態において、入力320とLNA332との間のRF信号の上記ルーティングのうちの一部またはすべてを、入力320とダイプレクサおよび/またはフィルタのアセンブリ(まとめて324で示す)との間の1つ以上のスイッチのアセンブリ322によって、および、ダイプレクサ/フィルタアセンブリ324とLNA332との間の1つ以上のスイッチのアセンブリ330によって、容易にすることができる。ある実施形態において、スイッチアセンブリ322、330を、たとえば1つ以上のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)チップの上に実装することができる。ある実施形態において、入力320とLNA332との間のRF信号の上記ルーティングのうちの一部またはすべてを、スイッチアセンブリ322、330に関連するスイッチのうちのいくつかまたはすべてがなくても実現することができる。
【0099】
図21の例において、ダイプレクサ/フィルタアセンブリ324は、一例としての2つのダイプレクサ326および2つの個別フィルタ328を含むものとして示されている。DRxモジュール300は、より多いまたは少ない数のダイプレクサおよびより多いまたは少ない数の個別フィルタを有し得ることが理解されるであろう。このようなダイプレクサ/フィルタは、たとえば、表面実装装置(SMD)として実装してもよく、集積回路(IC)の一部として実装してもよく、その組合わせであってもよい。このようなダイプレクサ/フィルタは、たとえばSAWフィルタを含み得るまたはSAWフィルタに基づき得るものであり、高Q装置として構成し得る。
【0100】
ある実施形態において、DRxモジュール300は、スイッチアセンブリ322、330およびLNA332のうちのいくつかまたはすべてに関連する制御機能を提供するようにおよび/または容易にするように構成された、MIPI RFFEインターフェイス340等の制御要素を含み得る。このような制御インターフェイスは1つ以上のI/O信号342に対して動作するように構成し得る。
【0101】
図22は、ある実施形態において、本明細書に記載の1つ以上の特徴を有するDRxモジュール300(たとえば
図21のDRxモジュール300)を、無線装置500等のRF装置に含めることができることを示す。このような無線装置において、ユーザインターフェイス502、メモリ504、電力管理506、ベースバンドサブシステム508、トランシーバ510、電力増幅器(PA)512、アンテナスイッチモジュール(ASM)514、およびアンテナ520等の構成要素は、
図20の例と概ね同様であってもよい。
【0102】
ある実施形態において、DRxモジュール300は、1つ以上のダイバーシティアンテナとASM514との間に実装し得る。このような構成によって、ダイバーシティアンテナ530を通して受信したRF信号を、ダイバーシティアンテナ530からのRF信号に対して雑音の損失がほとんどまたは全くない状態で、および/または雑音の追加がほとんどまたは全くない状態で、処理する(ある実施形態ではLNAによる増幅を含む)ことができる。次に、DRxモジュール300からの、このような処理された信号を、比較的損失が大きい可能性がある1つ以上の信号経路532を通してASMにルーティングすることができる。
【0103】
図22の例において、DRxモジュール300からのRF信号を、1つ以上の受信(Rx)経路を通しASM514を通してトランシーバ510にルーティングすることができる。このようなRx経路のうちのいくつかまたはすべてはそれぞれのLNAを含み得る。ある実施形態において、DRxモジュール300からのRF信号は、このようなLNAを用いてさらに増幅しても増幅しなくてもよい。
【0104】
本開示の1つ以上の特徴は、本明細書に記載のさまざまなセルラー周波数帯とともに実装することができる。このような帯域の例を表2に示す。この帯域のうちの少なくともいくつかはサブ帯域に分割できることが理解されるであろう。また、本開示の1つ以上の特徴を表2の例のような呼称がない周波数帯とともに実装し得ることも理解されるであろう。
【0106】
説明上「マルチプレクサ」、「多重化」等が「ダイプレクサ」、「二重化」等を含み得ることが理解されるであろう。
【0107】
本明細書および請求項を通して、文脈上明らかに別段の要求がない限り、「含む/備える」等の単語は、排他的または網羅的な意味ではなく、包括的な意味、すなわち「含むがそれに限定されない」という意味で解釈されるべきものである。本明細書において一般的に使用されている「結合される」という単語は、直接接続し得るまたは1つ以上の中間素子を介して接続し得る2つ以上の素子に関連する。加えて、「本明細書において」、「上記」、「下記」という単語および同様の意味を有する単語は、本願で使用される場合、この出願全体に関連しこの出願のある特定の部分に関連しているのではない。文脈上認められる場合、上記詳細な説明の中の、単数形または複数形の単語はそれぞれ、複数形または単数形を含み得る。2つ以上の項目を列挙した場合の「または」という単語は、この単語の解釈、すなわち、列挙された項目のうちのいずれか、列挙された項目すべて、および、列挙された項目の任意の組合わせ、という解釈をすべてカバーする。
【0108】
本発明の実施形態の上記詳細な説明は、網羅的であることまたは本発明を上記開示された形態そのものに限定することを意図していない。本発明の具体的な実施形態および本発明の例は例示を目的として記載されているが、均等であるさまざまな修正が本発明の範囲の中で可能であることを当業者は理解するであろう。たとえば、プロセスまたはブロックは所与の順序で示されているが、代替の実施形態は、他の順序のステップを有するルーチンを実行し得る、または、他の順序のブロックを有するシステムを採用し得る。また、いくつかのプロセスまたはブロックを、削除、移動、追加、細分、結合、および/または修正してもよい。これらプロセスまたはブロックは各々、さまざまな他の方法で実装してもよい。また、プロセスまたはブロックは連続して実行されるものとして示されている場合があるが、これらプロセスもしくはブロックは、その代わりに並列に実行されてもよく、または、異なる時間に実行されてもよい。
【0109】
本明細書において与えられている本発明の教示は、上記システムに限らずその他のシステムに応用できる。上記さまざまな実施形態の要素および機能を組合わせてさらに他の実施形態を提供することができる。
【0110】
発明のいくつかの実施形態について説明してきたが、これら実施形態は、専ら例示のために示しているのであって、本開示の範囲を限定する意図がある訳ではない。実際、本明細書に記載の新規な方法およびシステムは、他のさまざまな形態で実施し得る。さらに、本明細書に記載の方法およびシステムの形態における、さまざまな省略、代用、および変更は、本開示の精神から逸脱することなく行ない得る。以下の請求項およびそれらの均等物は、本開示の範囲および精神に含まれる形態または修正をカバーすることを意図している。