(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、既設の装置に用いられている光コネクタに接続される例えばLC型(またはMU型)等の第1プラグの替わりに、当該第1プラグとは異形(但し、異形とはフェルールの直径やツマミの外形等を含む)の例えばSC型等の第2プラグを接続する場合には、前記第1プラグと、前記第2プラグを接続可能なアダプタとを光ファイバで接続し、且つ前記第1プラグと前記アダプタとを連結した変換コードによって前記光ファイバを包皮してなる変換プラグが使用される。
【0003】
従来、上記変換プラグの変換コードに使用される材質としては、当該変換コードを例えば直角に屈曲させて上記既設装置の光コネクタに接続可能となるよう、蛇腹状に成形されたフレキシブルな導電性の金属製パイプが使用されていた。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明を実施するための一形態における変換プラグを介しての使用状態を示す分解斜視図である。
【
図3】同じく変換プラグを半割りした状態の内部詳細構造を示す分解斜視図である。
【
図4】同じく変換プラグの組み合わせた内部詳細構造を示すもので、(a)は平断面図、(b)は側断面図である。
【
図5】同じく変換プラグの変換コードを直角に屈曲させた状態を示し、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【
図6】同じく変換プラグの変換コードを直角に屈曲させた状態を示し、(a)は側断面図、(b)は平断面図である。
【
図7】同じく変換プラグ一端のアダプタにプラグを挿し込み、当該変換プラグの変換コードを直角に屈曲させて既設装置の光コネクタに接続した状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の一形態を詳細に説明する。
【0011】
本実施形態では、
図1乃至
図4に示すように、光ファイバ応用の各種装置、機器に既に設置された光コネクタ(後述するコネクタハウジング30)によって接続される光ファイバの第1プラグP1は、所定直径のフェルールを有している。例えば、図示された本実施例では、このコネクタハイジング30によって接続される第1プラグP1はフェルール直径が1.25mmのフェルールを内蔵するLC型の第1プラグP1を接続するものとなっている。
【0012】
そして、本実施形態の変換プラグ1は、上記既設のコネクタハウジング30に接続可能なLC型の第1プラグP1とは異形の、例えばフェルールの直径が例えば2.5mmのSC型の他の第2プラグP2をコネクタハウジング30に接続する時の間接的な接続部材(いわゆる仲介部材)として使用する。なお、LC型の第1プラグP1を使用する替わりに、直径1.25mmのフェルールを内蔵するMU型の第1プラグP1を接続するコネクタハウジング30を採用しても良い。
【0013】
<光コネクタの構成>
前記既設のコネクタハウジング30は、本実施形態においては、
図1及び
図7に示すように、一対の対向するLC型の第1プラグP1を相互接続するためのものであり、一対の対向する第1プラグP1を両端から相互に挿入可能とする嵌合部A、Bを両端に備えた矩形状の筒体となって形成されている。このコネクタハウジング30の左右両側面の略中央には、不図示の装置外壁の係止孔に差し込み係止させるための係止突起33と、前記装置外壁の係止孔の開口縁を前記係止突起33とで挟み込んで固定するための外向に弾発付勢された状態で一体形成した係止バネ34とを備えている。
【0014】
また、前記コネクタハウジング30内部の左右の側壁上側には、長手方向に沿って、第1プラグP1を挿入ガイドするためのガイド突条31aを備えた内向きコ字形状の凹溝部31が水平方向に形成されている。これらガイド突条31aおよび凹溝部31は、第1プラグP1の後述するカップリングスリーブ21及び解除レバー28等を含む凹凸外形状に対応している。さらに、前記コネクタハウジング30の嵌合部A上壁には、後述する第1プラグP1の解除レバー28を係合させるための下向きコ字形状のキー溝32が形成されている。
【0015】
<第1プラグの構成>
前記第1プラグP1は、
図1乃至
図4及び
図6に示すように、比較的高強度なプラスチックからなるカップリングスリーブ21と、このカップリングスリーブ21内にフェルール用チューブ22およびフェルールフレーム23に装着されたフェルール24と、フェルールフレーム23の後端部外周に装着されるスプリング25と、このスプリング25を介してフェルールフレーム23の後端部に嵌合するプラスチック製の本体フレーム26とを具備する。
【0016】
また、前記カップリングスリーブ21の外周面には、前記コネクタハウジング30の嵌合部Aの凹溝部31に係合しつつ挿入される左右一対の係合突起28aを有し且つ、前記嵌合部A上壁の下向きコ字形状のキー溝32との係合およびその解除を行うための解除レバー28が当該カップリングスリーブ21に一体的に設けられている。この解除レバー28は、カップリングスリーブ21上面の先端部から後端部に向かって徐々に当該カップリングスリーブ21外表面から離れるように傾斜して延設されており、その後端部は、本体フレーム26の上面に形成されたラッチレバー29に当接するようカップリングスリーブ21とは反対側に傾斜状に突出している。
【0017】
なお、上記した2心のコネクタハウジング30によるLC型光コネクタプラグ相互接続用コネクタを構成するものとしているが、これに替わって例えば4心用のコネクタハウジング30によるLC型光コネクタプラグ相互接続用コネクタを構成しても良い。
【0018】
<変換プラグの構成>
図1乃至
図4及び
図6に示すように、前記変換プラグ1は、前記第1プラグP1と、後述する光レセプタクル40とが、光ファイバ導通用のフレキシブルな非導電性もしくは弱導電性の材質によって形成された変換コード2によって連結されてなる。すなわち、前記第1プラグP1の本体フレーム26後端から突出したフェルール用チューブ22に筒状のコード押え部材3Aを介して変換コード2の一端開口側が固定され、この変換コード2の他端開口側は、他の筒状のコード押え部材3Bを介してハウジング押え部材4に固定されている。
【0019】
このハウジング押え部材4の左右側面には、当該ハウジング押え部材4に挿入されたコード押え部材3Bをネジ止め固定するための一対のネジ孔4aが形成されている。また、前記コード押え部材3A、3Bには、変換コード2の各端開口側と、第1プラグP1の本体フレーム26後端から突出したフェルール用チューブ22、及び前記ハウジング押え部材4に装着された光レセプタクル40の光コネクタプラグP3それぞれをネジ止め固定するための一対のネジ孔5a、5bが形成されている(
図4参照)。
【0020】
また、
図1乃至
図4に示すように、ハウジング41の基端部側(ハウジング押え部材4の取付けによって形成される他方の挿入孔44b側)は上記ハウジング押え部材4に嵌着され、例えば上記一対のネジ孔4aのうちの一方側にねじ込ませたネジで後述する光レセプタクル40のスリーブ42を圧接する等してハウジング41がハウジング押え部材4に固定される。前記第1プラグP1のLC用のフェルール24に接続された光ファイバFは、前記変換コード2内を通って、上記ハウジング押え部材4に装着された光レセプタクル40の光コネクタプラグP3のフェルール43に芯線F1が挿着される。なお、前記光レセプタクル40の先端開口部側は、前記したSC型の第2プラグP2を挿し込む嵌合部C(後述する一方の挿入孔44a)となっている。
【0021】
<変換コードの構成>
前記変換コード2の素材としては、屈曲保持可能なチューブ状もしくは蛇腹パイプ状に成形された非導電性のプラスチックを使用している。具体的なプラスチック素材としては、例えば熱可塑性樹脂であるポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオレフィン、PTEE等がある。また、蛇腹構造のABS樹脂や絶縁性の難燃シリコンゴム等の熱硬化性樹脂でも良い。
【0022】
また、前記変換コード2の他の素材としては、前記同様屈曲保持可能な蛇腹パイプ状に成形された弱導電性のステンレス鋼を使用する。このステンレス鋼は、クロム又はクロムとニッケルの合金鋼で一般にクロムを11%以上含む鉄鋼をいう。金属の中でもステンレスは比較的電気を通し難い材料である。すなわち、鋼にクロムを添加すると、鋼の表面にクロム・鉄合金の不働態皮膜ができ、耐食性が大幅に向上する。この不働態皮膜を利用したのが、耐食性に優れたステンレス鋼である。ステンレス鋼はその金属組織によりマルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系、二相ステンレス(オーステナイト・フェライト系)、析出硬化型ステンレスに分類され、高耐食性、高強度、高耐熱性合金として宇宙・航空機、船舶、自動車、建築、プラント等の構造材料の他、環境対応材料として精密機器、電気機械部品、装飾品、家庭用品等に広く利用されている。
【0023】
<光レセプタクルの構成>
前記光レセプタクル40の具体的な構成としては、
図3、
図4及び
図6に示すように、当該光レセプタクル40のSC用のフェルール43の芯線F1と、SC型の第2プラグP2のフェルールの芯線(不図示)を相互接続できるように、合成樹脂の成型品でなる光レセプタクル40の両端には、光学軸が一致するようにして、一方の挿入孔44aと、他方の挿入孔44bとをそれぞれ備えている。
【0024】
この他方の挿入孔44bには、小型の簡易プラグ構造による上記光コネクタプラグP3が挿入されているのであるが、この光コネクタプラグP3を固定するために挿入孔44bの開口側縁部には左右一対の係止片48と、上下一対のガイド片49とがそれぞれ突設されている。
【0025】
また、前記挿入孔44a内奥にある接合端壁には、円筒状のスリーブ42が、光学軸上で中心軸を一致させて挿入孔44aの開口端(嵌合部C)に向かって突設してある。
【0026】
そして、前記スリーブ42を囲繞するように、先端に鉤状の爪部を備えた係止片を対向させて成るロック部材45が設けられている。このスリーブ45内側には円筒状の割りスリーブ42aが装着され保持されている。
【0027】
また、前記挿入孔44aにおける上側壁中央には、第2プラグP2挿入時のガイドおよび安定保持のために、当該第2プラグP2のツマミQに設けられたキー突起Kを嵌合させるよう光軸方向に沿って直線溝条となったキー溝40aが形成されている。
【0028】
<第2プラグの構成>
上記したSC型の第2プラグP2は、
図1、
図7に示すように、光ファイバ芯線が挿入固定されるとともに後端にフランジが圧入保持される不図示のフェルールと、フランジ後端に位置しフェルールを前方に付勢する不図示のスプリングの後端を支持するストップリングと、これら各部材を覆うプラグフレームPFと、光ケーブルSの抗張力線である不図示のケブラを前記ストップリングに固定するカシメ座と、光ケーブルSのケブラ外側を覆う合成樹脂外皮であるシースを前記カシメ座に固定する不図示のカシメリングと、前記ストップリングに装着されるブーツBと、プラグフレームPFおよびストップリングの外側に被せられるツマミQとから概ね構成されている。このプラグフレームPFの左右側面には、
図1に示すように、前記光レセプタクル40のロック部材45の係止片を係架させるための係合溝Rを形成してある。
【0029】
次に、以上のように構成された形態についての使用の一例について説明する。
【0030】
前記したように既設のコネクタハウジング30に接続されるべきLC型の第1プラグP1とは異形の、SC型の他の第2プラグP2をこのコネクタハウジング30に接続する場合に、上記した構成による変換プラグ1が使用される。このとき、
図5(a)、(b)及び
図6(a)、(b)に示すように、例えば変換コード2を直角に屈曲保持させて上記既設装置の光コネクタ(コネクタハウジング30)に第1プラグP1を接続する場合がある。
【0031】
先ず、前記変換コード2を直角に屈曲保持させた状態で、該変換プラグ1の一端側の第1プラグP1をコネクタハウジング30の嵌合部A内へ押し込む。このとき、上記したコネクタハウジング30の嵌合部A内の下側にガイド突条31aを備えた内向きコ字形状の凹溝部31の存在により、挿入過程に伴って第1プラグP1自体が自然に水平状態となって挿入される。
【0032】
一方、第1プラグP1の解除レバー28は嵌合部Aのキー溝32に沿って下方に押圧されつつ当該嵌合部A内へ完全に押し込まれ、第1プラグP1のフェルール24がコネクタハウジング30の内奥側まで嵌合した際には、解除レバー28の左右一対の係合突起28aはキー溝32奥内側の不図示の係止溝に係合された状態となって接続作業が完了する。なお、コネクタハウジング30から第1プラグP1を取外す場合には、上記ラッチレバー29を押圧操作することで前記解除レバー28が押下げられ、これによって係合突起28aがキー溝32奥内側の不図示の係止溝から外れてコネクタハウジング30から第1プラグP1が容易に抜脱される。
【0033】
次いで、前記変換プラグ1の変換コード2を介した他端側の光レセプタクル40の嵌合部Cに、SC型の第2プラグP2を挿入する。このとき第2プラグP2のツマミQ上側のキー突起Kが光レセプタクル40の前記キー溝40aに嵌合されつつ挿入孔44a内に押込まれる。そして、光レセプタクル40のスリーブ42に第2プラグP2のフェルールが嵌合すると同時に、プラグフレームPFの左右側面にある係合溝Rに、前記光レセプタクル40のロック部材45の係止片が係架されて接続作業が完了する(
図7参照)。
【0034】
以上説明したように、本実施形態では、前記変換コード2を直角に屈曲保持させた状態で、万が一、電気配線等が変換コード2に接触したとしても、変換コード2自体が非導電性もしくは弱導電性の材質によって形成されてなるから、装置自体に何等の損害も与えないようにすることができ、これにより諸々の変換プラグのセキュリティシステムを構築可能にすることができる。
【0035】
換言すれば、電気配線等が変換コード2に接触する虞があっても、変換コード2自体が非導電性もしくは弱導電性の材質によって形成されてなるから、変換コード2をほぼ90度位まで自在に屈曲させることができる。