(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1撮像において収集された少なくとも一つの時相の第1画像と第2撮像において収集された複数の時相の第2画像とから、所定の画素値よりも大きい画素値を有する画像領域を抽出する抽出部と、
前記少なくとも一つの時相の第1画像と前記複数の時相の第2画像とについて、前記画像領域の動きに応じて変動する特徴量を算出する算出部と、
前記特徴量に基づいて、前記少なくとも一つの時相の第1画像と前記複数の時相の第2画像との中から、前記画像領域の画像特徴が類似する第1画像と第2画像とを選択する選択部と、を具備し、
前記少なくとも一つの時相の第1画像は、造影剤により撮像部位が造影されていない被検体を対象とする画像であり、前記複数の時相の第2画像は、造影剤により撮像部位が造影されている被検体を対象とする画像である、
医用画像処理装置。
第1撮像において収集された少なくとも一つの時相の第1画像と第2撮像において収集された複数の時相の第2画像とから、所定の画素値よりも大きい画素値を有する画像領域を抽出する抽出部と、
前記少なくとも一つの時相の第1画像と前記複数の時相の第2画像とについて、前記画像領域の動きに応じて変動する特徴量を算出する算出部と、
前記特徴量に基づいて、前記少なくとも一つの時相の第1画像と前記複数の時相の第2画像との中から、前記画像領域の画像特徴が類似する第1画像と第2画像とを選択する選択部と、を具備し、
前記少なくとも一つの時相の第1画像と前記複数の時相の第2画像とは、造影剤により撮像部位が造影されている被検体を対象とする画像である、
医用画像処理装置。
前記抽出部は、前記少なくとも一つの時相の第1画像のうちの所定の時相の第1画像に基づいて前記画像領域以外の他の画像領域をマスク領域とする第1マスク画像を発生し、前記複数の時相の第2画像のうちの所定の時相の第2画像に基づいて前記画像領域以外の他の画像領域をマスク領域とする第2マスク画像を発生し、前記第1マスク画像を用いて前記少なくとも一つの時相の第1画像にマスク処理を施して前記少なくとも一つの時相の第1画像の各々から前記画像領域を抽出し、前記第2マスク画像を用いて前記複数の時相の第2画像にマスク処理を施して前記複数の時相の第2画像の各々から前記抽出された画像領域を抽出する、請求項1又は2記載の医用画像処理装置。
前記算出部は、前記複数の種類の特徴量として、算出対象時相よりも前又は後の時相に対する前記算出対象時相における前記画像領域の移動量、平均画素値、総画素値、及び容積の少なくとも一つを算出する、請求項7記載の医用画像処理装置。
前記選択部は、前記複数の種類の特徴量にそれぞれ対応する複数の特徴量スコアを前記少なくとも一つの時相の第1画像と前記複数の時相の第2画像とについて算出し、前記複数の特徴量スコアに基づく総合スコアを前記少なくとも一つの時相の第1画像と前記複数の時相の第2画像との全ての組み合わせについて算出し、前記全ての組み合わせの中から前記総合スコアが最も高い組み合わせに係る第1画像と第2画像とを選択する、請求項8記載の医用画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる医用画像処理装置を説明する。
【0008】
本実施形態に係る医用画像処理装置は、医用モダリティにより発生された医用画像を処理するコンピュータ装置である。本実施形態に係る医用画像処理装置は、X線コンピュータ断層撮影装置、磁気共鳴イメージング装置、超音波診断装置、及び核医学診断装置等の如何なる医用モダリティにより発生された医用画像をも処理対象とする。以下、本実施形態を具体的に説明するため、本実施形態に係る医用画像処理装置は、特に言及しない限り、X線コンピュータ断層撮影装置により発生されたCT画像を処理するものとする。
【0009】
本実施形態に係る医用画像処理装置は、X線コンピュータ断層撮影装置により収集されたCT画像を画像処理するためのコンピュータ装置である。X線コンピュータ断層撮影装置は、被検体の撮像領域をX線で撮像する。具体的には、X線コンピュータ断層撮影装置は、X線管とX線検出器とが取り付けられた回転フレームを回転しながら、X線管からX線を発生し、X線管から発生され被検体を透過したX線をX線検出器で検出する。X線コンピュータ断層撮影装置は、X線検出器により検出されたX線に応じた生データをデータ収集回路(DAS:Data Acquisition System)により収集し、収集された生データに基づいてCT画像のデータを画像再構成装置により再構成する。なお、本実施形態に係る医用画像処理装置は、X線コンピュータ断層撮影装置に組み込まれても良いし、X線コンピュータ断層撮影装置とは別体のコンピュータ装置でも良い。なお、以下の説明を具体的に行うため医用画像処理装置は、X線コンピュータ断層撮影装置とは別体のコンピュータ装置であるとする。
【0010】
また、本実施形態に係る被検体にはX線高吸収物質が含まれているものとする。本実施形態に係るX線高吸収物質としては、具体的には、石灰化部分やステントなどが挙げられる。石灰化部分は、被検体の血管壁等に沈着されたカルシウム成分である。ステントは、血管の内腔を保持するための器具である。ステントは、例えば、石灰化の治療等に用いられる。本実施形態に係る被検体の撮像領域としては、血管を含む、心臓や頭部、腹部等の如何なる部位を対象としても良い。しかしながら、以下の説明において本実施形態に係る撮像領域は、臨床において差分処理が頻繁に利用される冠動脈内腔評価の対象である心臓であるものとする。
【0011】
図1は、本実施形態に係る医用画像処理装置の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る医用画像処理装置は、制御部11を中枢として記憶部13、領域抽出部15、パラメータ算出部17、画像選択部19、差分部21、表示部23、入力部25、及び通信部27を有する。
【0012】
記憶部13は、種々の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。具体的には、記憶部13は、複数のCT画像群のデータを記憶する記憶装置である。例えば、記憶部13は、第1撮像によりX線コンピュータ断層撮影装置により収集された第1CT画像群のデータと、第2撮像によりX線コンピュータ断層撮影装置により収集された第2CT画像群のデータとを記憶している。第1撮像は、第2撮像よりも時間的に前に行われるものとする。各CT画像群は、単一のCT画像により構成されても良いし、複数のCT画像により構成されても良い。CT画像は、上記の通り、X線コンピュータ断層撮影装置により収集される、CT値の空間分布を示す画像である。CT画像群に含まれる各CT画像は心位相又は呼吸位相等の時相に関連づけられている。第1CT画像群と第2CT画像群とは造影CT画像群と非造影CT画像群とであっても良いし、第1CT画像群と第2CT画像群との両方が造影CT画像群であっても良い。非造影CT画像群は、撮像部位が造影されていない被検体を対象とする、複数の時相に関する時系列の複数のCT画像を含む。造影CT画像群は、造影剤により撮像部位が造影されている被検体を対象とする、複数の時相に関する時系列の複数のCT画像を含む。CT画像に関連づけられる時相としては心位相や呼吸位相が挙げられる。非造影CT画像群のデータと造影CT画像群のデータとは、記憶部13に記憶されている。
【0013】
領域抽出部15は、第1CT画像群に含まれる各時相の第1CT画像と第2CT画像群に含まれる各時相の第2CT画像とから、所定のCT値よりも大きいCT値を有する特定の画像領域を抽出する。具体的には、特定の画像領域として、X線高吸収物質に関する画像領域(以下、X線高吸収領域と呼ぶ)が画像処理により抽出される。X線高吸収領域を構成する各画素は、当該X線高吸収領域と他の組織や物質に関する画像領域とを識別可能な所定のCT値よりも大きいCT値を有している。なお、画像領域は、複数の画素の集合であるとする。
【0014】
パラメータ算出部17は、第1CT画像群に含まれる各時相の第1CT画像と第2CT画像群に含まれる各時相の第2CT画像とについて、X線高吸収領域の動きに応じて変動する特徴量を算出する。特徴量は、X線高吸収領域の画像特徴を定量する。画像特徴は、具体的には、幾何学的特徴と画素値特徴との少なくとも一方の性質を含む。X線高吸収領域の幾何学的特徴は、例えば、X線高吸収領域の位置や形状、大きさ等を含む。X線高吸収領域の画素値特徴は、例えば、X線高吸収領域のCT値やCT値の統計量等を含む。特徴量は、X線高吸収領域のCT値と画素数との少なくとも一方に基づいて算出される。特徴量としては、例えば、X線高吸収領域の移動量、平均CT値、総CT値、及び容積が挙げられる。
【0015】
画像選択部19は、パラメータ算出部17により算出された特徴量に基づいて、第1CT画像群に含まれる複数の時相の第1CT画像と第2CT画像群に含まれる複数の時相の第2CT画像との中から、X線高吸収領域の画像特徴が類似する第1CT画像と第2CT画像とを選択する。画像選択部19は、X線高吸収領域の画像特徴が類似するのであれば、同一の時相に関する第1CT画像と第2CT画像とを選択することもあるし、異なる時相に関する第1CT画像と第2CT画像とを選択することもある。
【0016】
差分部21は、CT画像に差分処理を施す。具体的には、差分部21は、画像選択部19により選択された第1CT画像と第2CT画像との差分画像を発生する。
【0017】
なお、領域抽出部15、パラメータ算出部17、画像選択部19、及び差分部21は、単一の画像処理装置により実現されても良いし、個別の画像処理装置により実現されても良い。画像処理装置は、CPUやMPU、GPU等の演算装置とHDDやSSD、ROM、RAM等の記憶装置とを有する。
【0018】
表示部23は、CT画像や差分画像等の種々の情報を表示機器に表示する。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等が適宜利用可能である。
【0019】
入力部25は、入力機器によるユーザからの各種指令や情報入力を受け付ける。入力機器としては、キーボードやマウス、各種スイッチ等が利用可能である。
【0020】
通信部27は、ネットワークに接続された他のコンピュータ装置と通信するネットワークインタフェースである。例えば、通信部27は、ネットワークを介してPACS(Picture Archiving and Communication System)からCT画像のデータを受信したり、差分画像のデータを送信したりする。また、通信部27は、ネットワークを介してX線コンピュータ断層撮影装置からCT画像のデータを受信しても良い。
【0021】
制御部11は、本実施形態に係る医用画像処理装置の中枢として機能する。制御部11は、CPUやMPU等の演算装置とROMやRAM等の記憶装置とを有する。制御部11は、本実施形態に係る画像処理プログラムを記憶部13等から読み出し、当該画像処理プログラムに従って各種構成要素を制御する。これにより、本実施形態に係る最適時相組み合わせの選択及び差分処理が実行される。
【0022】
以下、本実施形態に係る医用画像処理装置の動作例について説明する。なお、以下の説明において第1CT画像群のデータは非造影CT画像群のデータであり、第2CT画像群のデータは造影CT画像群のデータであるとする。また、本実施形態に係るCT画像は、CT値の2次元の空間分布を示すスライス画像であっても良いし、3次元の空間分布を示すボリューム画像であっても良い。スライスは2次元状に配列された複数のピクセルにより構成され、ボリューム画像は3次元状に配列された複数のボクセルにより構成される。ピクセル又はボクセルにはCT値が割り当てられている。以下、本実施形態に係る動作例を具体的に説明するため、CT画像はボリューム画像であるとする。また、非造影ボリューム画像に含まれる各非造影ボリューム画像と造影ボリューム画像群に含まれる各造影ボリューム画像との各々は、心位相に関連づけられているとする。
【0023】
図2は、本実施形態に係る制御部11の制御のもとに行われる最適時相組み合わせの選択及び差分処理に係る一連の処理の流れを示す図である。
【0024】
当該処理の開始指示が入力部25を介してユーザによりなされると制御部11は、差分処理により供される非造影CT画像群のデータと造影CT画像群のデータとを記憶部13から読み出す(ステップSA1)。非造影ボリューム画像群のデータと造影ボリューム画像群のデータとは同一の被検体を被写体とするボリューム画像群である。非造影ボリューム画像群に含まれる非造影ボリューム画像は、X線高吸収物質に関するX線高吸収領域を含む。造影ボリューム画像群に含まれる造影ボリューム画像は、X線高吸収領域の他に、造影された血管に関する画像領域(以下、造影血管領域と呼ぶことにする)を含む。なお制御部11は、非造影ボリューム画像群及び造影ボリューム画像群の全てのボリューム画像のデータを読み出す必要はない。例えば、制御部11は、非造影ボリューム画像群及び造影ボリューム画像群に含まれる全てのボリューム画像のうちの、所定の心位相範囲のボリューム画像のデータのみを読み出しても良い。当該心位相範囲としては、心臓の拍動によるX線吸収物質の動きが比較的少ない範囲、例えば、70%〜79%の10位相分が好適である。なお、読出し対象の心位相範囲は、入力部25等を介して任意に設定可能である。
【0025】
ステップSA1が行われると制御部11は、領域抽出部15に抽出処理を行わせる(ステップSA2)。ステップSA2において領域抽出部15は、制御部11により読み出された非造影ボリューム画像群の各心位相の非造影ボリューム画像と造影ボリューム画像群の各心位相の造影ボリューム画像とからX線高吸収領域を抽出する。
【0026】
図3は、ステップSA2において行われる領域抽出部15による抽出処理の流れを模式的に示す図である。
図3Aは、非造影ボリューム画像群についての抽出処理の流れを模式的に示す図である。
図3Bは、造影ボリューム画像群についての抽出処理の流れを模式的に示す図である。抽出処理は、ステップSA1において読み込まれた非造影ボリューム画像群と造影ボリューム画像群とについて個別に行われる。ここで、ステップSA1において読み込まれた非造影ボリューム画像群は、心位相θA1からθAmまでのm個の非造影ボリューム画像を有し、造影ボリューム画像群は、心位相θB1からθBnまでのn個の非造影ボリューム画像を有するものとする。mとnとは同数であっても良いし、異なっていても良い。最適時相組み合わせの趣旨から、mとnとのいずれか一方は1個でも良いが、他方は3個以上である必要がある。なお、以下の説明においてmとnとは、ともに3個以上であるものとする。
【0027】
図3A及び
図3Bに示すように、まず領域抽出部15は、非造影ボリューム画像群と造影ボリューム画像群との各々から、マスクボリューム画像に用いられる所定の心位相のボリューム画像を選択する(ステップSB1)。所定の心位相としては、拍動による心臓の動きが比較的に少ない時相が設定される。具体的には、所定の心位相としては、拡張中期、すなわち、心位相75%に設定されると良い。あるいは、所定の心位相として、ステップSA1において読み出された心位相範囲の中間位相や初期位相、終期位相等であっても良い。なお、所定の心位相は、ユーザにより入力部25等を介して任意の値に設定可能である。例えば、領域抽出部15は、
図3A及び
図3Bに示すように、非造影ボリューム画像群から心位相θA2の非造影ボリューム画像を選択し、造影ボリューム画像群から心位相θB2の造影ボリューム画像を選択する。
【0028】
ステップSB1が行われると領域抽出部15は、ステップSB1において選択されたボリューム画像に基づいて、X線高吸収領域以外の画像領域をマスク領域とするマスクボリューム画像を発生する(ステップSB2)。マスクボリューム画像の発生処理は、ステップSB1において選択された非造影ボリューム画像と造影ボリューム画像との各々について個別に行われる。
【0029】
図4は、領域抽出部15によるマスクボリューム画像の発生処理の処理内容を段階的に示す図である。なお、
図4においては、造影ボリューム画像のみが図示されているが、非造影ボリューム画像に対しても同様の方法によりマスクボリューム画像が発生される。
【0030】
図4に示すように、ステップSB1において選択された造影ボリューム画像(非造影ボリューム画像も同様)は、心筋等の人体組織(具体的には、軟部組織や水、脂肪組織)に対応する画像領域(以下、人体組織領域と呼ぶ)R1等の他にX線高吸収物質に対応するX線高吸収領域R2を含んでいる。X線高吸収領域としては、石灰化部分に対応する画像領域(以下、石灰化領域と呼ぶ)やステントに対応する画像領域(以下、ステント領域と呼ぶ)が挙げられる。また、造影ボリューム画像は、血管に注入された造影剤に対応する画像領域(以下、造影剤領域と呼ぶ)R3を含んでいる。一般的に、造影剤領域R3のCT値は人体組織領域R1のCT値に比して高く、X線高吸収領域R2のCT値に比して低い。例えば、X線高吸収領域R2のCT値は600〜2,000H.U.に分布し、造影剤領域R3のCT値は300〜400H.U.に分布し、人体組織領域R1のCT値は−100〜+100H.U.に分布する。なお、各ボリューム画像に必ずしも石灰化領域とステント領域との両方が含まれることを要せず、石灰化領域とステント領域との何れか一方が含まれていれば良い。また、各ボリューム画像に石灰化領域とステント領域との両方が含まれている場合と含まれていない場合とで以下の処理に違いは無い。そのため、以下の説明を簡便に行うため、石灰化領域とステント領域との両方が各ボリューム画像に含まれているものとする。
【0031】
まず、領域抽出部15は、ボリューム画像に閾値処理を施して石灰化領域とステント領域とを当該ボリューム画像から抽出する。非造影ボリューム画像に対する閾値処理に関する閾値は、石灰化領域とステント領域とを人体組織領域から識別可能なCT値に設定される。領域抽出部は、当該CT値を閾値とする閾値処理を非造影ボリューム画像に施して石灰化領域とステント領域とを抽出する。なお、石灰化領域とステント領域とは区別して抽出されない。ここで、石灰化領域とステント領域とをまとめて石灰化・ステント領域R2と呼ぶことにする。すなわち、非造影ボリューム画像から石灰化・ステント領域が抽出される。
【0032】
造影ボリューム画像に対する閾値処理に関する閾値は、石灰化・ステント領域R2を造影剤領域R3から識別可能なCT値に設定される。領域抽出部15は、当該CT値を閾値とする閾値処理を造影ボリューム画像に施して石灰化・ステント領域R2を抽出する。なお、造影ボリューム画像に含まれる造影剤領域R3と石灰化・ステント領域R2とは、互いにCT値範囲がオーバラップする場合がある。この場合、領域抽出部15は、造影ボリューム画像から閾値処理により造影剤領域R3と石灰化・ステント領域R2との複合領域を抽出し、ベイズ推定により複合領域に含まれる造影剤領域R3と石灰化・ステント領域R2とを区別し、複合領域から造影剤領域R3を削除する。これにより、造影ボリューム画像から石灰化・ステント領域R2が抽出される。
【0033】
次に、領域抽出部15は、抽出された石灰化・ステント領域R2を、3次元的に表面から所定のボクセル数だけ拡張する。所定のボクセル数は、心臓の拍動に伴いボリューム画像内の石灰化・ステント領域R2の位置や形状が変化した場合であっても、拡張後の石灰化・ステント領域R4に収まる程度の個数に設定される。例えば、所定のボクセル数は、例えば、10ボクセル程度に設定されると良い。
【0034】
そして、領域抽出部15は、拡張後の石灰化・ステント領域R4を構成するボクセルに0値を割り当て、拡張後の石灰化・ステント領域R4以外の画像領域を構成するボクセルに所定値(例えば、1値や255値)を割り当てることによりマスクボリューム画像を発生する。拡張後の石灰化・ステント領域R4以外の画像領域がマスク領域に設定され、拡張後の石灰化・ステント領域R4を非マスク領域に設定される。
【0035】
このようにして領域抽出部15は、非造影ボリューム画像に基づいて、石灰化・ステント領域以外の他の画像領域をマスク領域とするマスクボリューム画像(以下、非造影マスクボリューム画像と呼ぶ)を発生し、造影ボリューム画像に基づいて、石灰化・ステント領域以外の他の画像領域をマスク領域とするマスクボリューム画像(以下、造影マスクボリューム画像と呼ぶ)を発生する。
【0036】
ステップSB2が行われると領域抽出部15は、ステップSB2において発生されたマスクボリューム画像を利用して各ボリューム画像群に含まれる各心位相に関するボリューム画像から石灰化・ステント領域を抽出する(ステップSB3)。具体的には、領域抽出部15は、非造影ボリューム画像群の各心位相θA1〜θAmに関する非造影ボリューム画像から非造影マスクボリューム画像を利用して、非マスク領域に一致する画像領域(以下、抽出領域と呼ぶ)REを抽出する。抽出領域REは、人体組織領域等の、石灰化・ステント領域以外の画像領域を含んでいる。領域抽出部15は、抽出領域REから、標準的なX線高吸収領域が示すCT値(例えば、600HU〜2000HU)を基準とした閾値処理により石灰化・ステント領域RTを抽出する。すなわち、抽出領域REのうちの当該閾値よりも大きいCT値を有する画素の集合が石灰化・ステント領域RTとして抽出される。このようにして非造影ボリューム画像群の各心位相θA1〜θAmに関する非造影ボリューム画像から各心位相θA1〜θAmに関する石灰化・ステント領域RTを抽出する。同様にして、領域抽出部15は、造影ボリューム画像群の各心位相θB1〜θBnに関する造影ボリューム画像から各心位相θB1〜θBnに関する石灰化・ステント領域RTを抽出する。
【0037】
以上によりステップSA2における領域抽出部15による抽出処理が終了する。
【0038】
ステップSA2が行われると制御部11は、パラメータ算出部17に算出処理を行わせる(ステップSA3)。ステップSA3においてパラメータ算出部17は、非造影ボリューム画像群の各心位相θA1〜θAmに関する石灰化・ステント領域と造影ボリューム画像群の各心位相θB1〜θBnに関する石灰化・ステント領域とについて、石灰化・ステント領域の動きに応じて変動する特徴量を算出する。上記の通り、特徴量としては、例えば、石灰化・ステント領域の移動量、平均CT値、総CT値、及び容積が算出される。
【0039】
総CT値としては、算出対象位相に関する石灰化・ステント領域を構成する全ボクセルのCT値の合計値が算出される。CT値は、石灰化部分やステントの動きに伴い過小評価される。以下、CT値の過小評価について簡単に説明する。なお、説明の簡単のため、石灰化領域の本来のCT値が600H.U.であるとする。石灰化部分が完全に停止している場合、当該石灰化部分に対応する石灰化領域を構成する全てのボクセルはCT値600H.U.を有する。しかしながら、石灰化部分が激しく動く場合、当該石灰化部分に対応する石灰化領域の端部は、時間分解能が不十分のため、石灰化領域のCT値が周辺の人体組織や造影剤等を示す画像領域まで広がってしまう(Blurring)。そのため、石灰化領域の端部のCT値は、石灰化領域が本来有すべき600H.U.よりも低下してしまう。この場合、石灰化・ステント領域のCT値は、石灰化部分が激しく動くほど小さい値を有することとなる。また、総CT値は、心拍に伴う石灰化領域やステント領域の形状の変化に応じても変化する。
【0040】
平均CT値としては、算出対象位相に関する石灰化・ステント領域の総CT値を、当該石灰化・ステント領域を構成する複数のボクセルの個数で除した値が算出される。平均CT値は、石灰化部分やステントの動きに伴い過小評価される。そのため、石灰化・ステント領域の平均CT値は、石灰化部分が激しく動くほど小さい値を有することとなる。
【0041】
石灰化・ステント領域の移動量としては、算出対象位相に関する石灰化・ステント領域の、当該算出対象位相の前位相に関する石灰化・ステント領域に対する移動量が算出される。移動量は、算出対象位相に関する石灰化・ステント領域の総CT値と当該算出対象位相の前位相に関する石灰化・ステント領域の総CT値との差分により規定される。総CT値は、石灰化・ステント領域を構成する複数のボクセルのCT値の合計値に規定される。前位相としては、算出対象位相の1位相前の心位相であっても良いし、所定位相前の心位相であっても良い。同様に、算出対象位相に関する石灰化・ステント領域の、当該算出対象位相の後位相に関する石灰化・ステント領域に対する移動量が算出される。後位相としては、算出対象位相の1位相後の心位相であっても良いし、所定位相後の心位相であっても良い。移動量は、主に当該石灰化・ステント領域の位置や形状の時間的変化に大きく依存する。移動量が0値を有する場合、当該石灰化・ステント領域の位置や形状の変化が無いことを示す。
【0042】
容積としては、算出対象位相に関する石灰化・ステント領域を構成する全てのボクセルの個数が計数される。容積は、心拍に伴う石灰化領域やステント領域の形状の変化に応じて変化する。また、石灰化部分やステントの動きに伴うCT値の過小評価により、石灰化・ステント領域が縮小する場合がある。すなわち、ステップSA3における石灰化・ステント領域は、ステップSB3においてCT値を基準とする閾値処理により発生される。上述のように、石灰化部分やステントが動くとCT値が低下するので、本来、石灰化・ステント領域として抽出されるべきボクセルが抽出されない場合がある。このため、石灰化・ステント領域の容積は、心拍に伴うCT値の過小評価によっても変化する。
【0043】
ステップSA3が行われると制御部11は、画像選択部19に選択処理を行わせる(ステップSA4)。ステップSA4において画像選択部19は、ステップSA3において算出された特徴量に基づいて、非造影ボリューム画像群の各心位相θA1〜θAmに関するボリューム画像と造影ボリューム画像群の各心位相θB1〜θBnに関するボリューム画像との中から、石灰化・ステント領域が最も類似する非造影CTボリューム画像と造影CTボリューム画像とをそれぞれ選択する。具体的には、画像選択部19は、まず、
図5に示すように、ステップSA3において算出された各特徴量を、非造影ボリューム画像群に含まれる複数の非造影ボリューム画像の各々について、造影ボリューム画像群に含まれる複数の造影ボリューム画像に対して比較する。換言すれば、非造影ボリューム画像群の心位相θA1〜θAmのうちの一の心位相と造影ボリューム画像群の心位相θB1〜θBnのうちの一の心位相とからなる全ての組み合わせについて、ステップSA3において算出された各特徴量が比較される。比較により画像選択部19は、各特徴量について、当該特徴量を基準とした石灰化・ステント領域の画像特徴の類似度を示すスコアを算出する。スコアとしては、典型的には、非造影ボリューム画像の石灰化・ステント領域と造影ボリューム画像の石灰化・ステント領域との同種の特徴量同士の積が挙げられる。なお、スコアは、積のみに限定されず、同種の特徴量同士の和でも良い。
【0044】
図6は、非造影ボリューム画像群と造影ボリューム画像群との平均CT値の比較例を示す図である。
図6の縦軸は非造影ボリューム画像群の心位相を示し、横軸は造影ボリューム画像群の心位相を示す。各心位相に対応する数字は当該心位相に関する石灰化・ステント領域の平均CT値を示す。例えば、非造影ボリューム画像群の心位相71%の石灰化・ステント領域の平均CT値は「5」であり、造影ボリューム画像群の心位相71%の石灰化・ステント領域の平均CT値は「6」である。非造影ボリューム画像群の各心位相と造影ボリューム画像群の各心位相との交点は、平均CT値を基準とするスコア(以下、平均CT値スコアと呼ぶ)を示す。
図6においては、ハッチングのパターンで平均CT値スコアの値を示している。
図6においては、平均CT値スコアを3種類のハッチングで段階的に示している。例えば、右下がりの斜線により示される領域は、高程度の平均CT値を示し、ブランクにより示される領域は、中程度の平均CT値を示し、水平線により示される領域は、低程度の平均CT値を示す。例えば、非造影ボリューム画像群の心位相71%と造影ボリューム画像群の心位相71%との組み合わせの平均CT値スコアは、「5」×「6」=「30」である。上記の方法により、非造影ボリューム画像群の各非造影ボリューム画像と造影ボリューム画像群の各造影ボリューム画像との全ての組み合わせについて平均CT値スコアが算出される。
【0045】
石灰化・ステント領域の移動量、総CT値、及び容積についても画像選択部19は、平均CT値と同様に、非造影ボリューム画像群の各非造影ボリューム画像と造影ボリューム画像群の各造影ボリューム画像との全ての組み合わせについてスコアを算出する。以下、移動量を基準とするスコアを移動量スコアと呼び、総CT値を基準とするスコアを総CT値スコアと呼び、容積を基準とするスコアを容積スコアと呼ぶことにする。
【0046】
各特徴量に関するスコアが算出されると画像選択部19は、移動量スコア、平均CT値スコア、総CT値スコア、及び容積スコアに基づいて、非造影ボリューム画像群の各非造影ボリューム画像と造影ボリューム画像群の各造影ボリューム画像との全ての組み合わせの中から、石灰化・ステント領域の画像特徴が最も類似する組み合わせ(以下、最良の組み合わせと呼ぶ)を選択する。
【0047】
図7は、画像選択部19による最良の組み合わせの選択処理を模式的に示す図である。なお、
図6と同様に、
図7の各ハッチングはスコアの数値範囲に対応している。
図7に示すように、画像選択部19は、まず、移動量スコア、平均CT値スコア、総CT値スコア、及び容積スコアに基づいて、石灰化・ステント領域の画像特徴の類似度合いを示すスコア(以下、総合スコアと呼ぶ)を、各組み合わせについて算出する。総合スコアとしては、例えば、移動量スコア、平均CT値スコア、総CT値スコア、及び容積スコアの積が挙げられる。総合スコアが高いほど、当該心位相に関する非造影ボリューム画像内の石灰化・ステント領域と造影ボリューム画像内の石灰化・ステント領域とが動態的にも静態的にも画像特徴が一致していることを示す。すなわち総合スコアが最も高い組み合わせに係る非造影ボリューム画像に含まれる石灰化・ステント領域と造影ボリューム画像に含まれる石灰化・ステント領域とは、全ての組み合わせの中で、石灰化・ステント領域の動きが最も少なく且つ最も動き方が同一であると推定される。なお、総合スコアは、積のみに限定されず、和でも良い。
【0048】
なお各特徴量に基づくスコアは、当該特徴量の種類に応じて互いに尺度が異なる。そのため、尺度の大きい特徴量は、尺度の低い特徴量に比して、総合スコアに対する寄与が大きい。例えば、容積スコアは、移動量スコアに比して、絶対値が概して大きいため、総合スコアに対する寄与が大きい。この尺度のばらつきを制限するため、画像選択部19は、各特徴量に基づくスコアを共通の尺度に正規化しても良い。例えば、画像選択部19は、移動量スコア、平均CT値スコア、総CT値スコア、及び容積スコアを百分率に正規化する。画像選択部19は、正規化後の移動量スコア、正規化後の平均CT値スコア、正規化後の総CT値スコア、及び正規化後の容積スコアに基づいて総合スコアを算出する。例えば、上記と同様に、正規化後の移動量スコア、正規化後の平均CT値スコア、正規化後の総CT値スコア、及び正規化後の容積スコアの積が総合スコアとして算出されれば良い。
【0049】
また、各特徴量の性質に応じて画像選択部19は、各特徴量に基づくスコアに重みづけを施しても良い。
【0050】
図8は、重みづけされた特徴量に基づく組み合わせの選択処理を模式的に示す図である。なお、
図6及び7と同様に、
図8の各ハッチングはスコアの数値範囲に対応している。
図8に示すように、画像選択部19は、各特徴量の性質に応じた重み値で当該特徴量に基づくスコアに重みづけを施す。例えば、
図8に示すように、移動量スコアは重みAが与えられ、平均CT値スコアには重みBが与えられ、総CT値スコアには重みCが与えられ、容積スコアには重みDが与えられる。例えば、移動量が平均CT値や総CT値、容積に比して石灰化・ステント領域の画像特徴の動態及び静態に対して寄与していると考える場合、重みAを他の重み値に比して高く設定されると良い。なお、重み値は、ユーザにより入力部25を介して任意の値に設定可能である。
【0051】
重みづけが行われると画像選択部19は、正規化後の重み付けされた移動量スコア、正規化後の重み付けされた平均CT値スコア、正規化後の重み付けされた総CT値スコア、及び正規化後の重み付けされた容積スコアに基づいて総合スコアを算出する。例えば、上記と同様に、正規化後の重み付けされた移動量スコア、正規化後の重み付けされた平均CT値スコア、正規化後の重み付けされた総CT値スコア、及び正規化後の重み付けされた容積スコアの積が総合スコアとして算出されれば良い。なお、重み付けをする場合、画像選択部19は、必ずしも特徴量に基づくスコアに正規化を施さなくても良い。
【0052】
このように画像選択部19は、非造影ボリューム画像群に含まれる複数の非造影ボリューム画像と造影ボリューム画像群に含まれる複数の造影ボリューム画像との全ての組み合わせの中から、最も総合スコアが高い組み合わせを特定し、特定された組み合わせに係る非造影ボリューム画像と造影ボリューム画像とを自動的に選択する。
【0053】
表示部23は、選択された非造影ボリューム画像と造影ボリューム画像とを表示する。具体的には、表示部23は、選択された非造影ボリューム画像と造影ボリューム画像とを並べて又は重ね合わせて表示する。
【0054】
ステップSA4が行われると制御部11は、差分部21に差分処理を行わせる(ステップSA5)。ステップSA5において差分部21は、ステップS4において選択された非造影CTボリューム画像と造影CTボリューム画像との差分画像を発生する。
【0055】
図9は、差分部21による差分画像Isの発生処理を模式的に示す図である。
図9に示すように、非造影ボリューム画像Inは、人体組織領域R1及び石灰化・ステント領域R2を有している。造影ボリューム画像Icは、人体組織領域R1、石灰化・ステント領域R2、及び造影剤領域R3を有している。差分部21は、造影CTボリューム画像Icから非造影CTボリューム画像Inを減算することにより差分画像Isを発生する。非造影ボリューム画像Inと造影ボリューム画像Icとは、ステップSA3において画像選択部19により選択されており、石灰化・ステント領域R2の画像特徴が略一致している。従って、非造影ボリューム画像Inに含まれる石灰化・ステント領域R2と造影ボリューム画像Icに含まれる石灰化・ステント領域R2とは、ボリューム画像において略同一の座標を占め、且つ、略同一のCT値分布を有している。そのため、差分画像Isは、石灰化・ステント領域R2を含まず、造影剤領域R3、すなわち、血管内腔に関する画像領域のみを含むこととなる。このように、ステップSA5において発生された差分画像は、心位相に基づいて選択された非造影CTボリューム画像と造影CTボリューム画像とに基づく従来例に係る差分画像に比して、石灰化・ステント領域の画像特徴のずれに起因する画像アーチファクトが少ない。差分画像は、例えば、表示部23により表示される。また、差分画像は、通信部27を介してPACS等の画像サーバに登録される。
【0056】
以上で最適時相組み合わせの選択及び差分処理に係る一連の処理の説明を終了する。
【0057】
なお、上記の説明においては、特徴量として、移動量、平均CT値、総CT値、及び容積が算出されるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、特徴量として、移動量、平均CT値、総CT値、及び容積のうちの幾つかが算出されなくても良い。特徴量の種類を限定することにより、本願に係る一連の処理の処理時間を削減することができる。
【0058】
本実施形態の処理対象は、造影ボリューム画像と非造影ボリューム画像であるとしたが、如何なる画像の組み合わせても良い。例えば、医用画像処理装置は、パフュージョン画像と非造影ボリューム画像とを処理対象にしても良い。この場合、画像選択部19により選択されたパフュージョン画像と非造影ボリューム画像とは、差分部21により差分される必要はなく、表示部23により並べて又は重ね合わせて表示されると良い。なおパフュージョン画像は、造影ボリューム画像に基づいて発生され、CBV(cerebral blood volume)やCBF(cerebral blood flow)、MTT(mean transit time)等の血流解析値の空間分布を示す画像である。第1画像群と第2画像群とは、X線コンピュータ断層撮影装置により発生された画像に限定されず、磁気共鳴イメージング装置等のX線コンピュータ断層撮影装置以外の他の医用モダリティにより発生された画像でも良い。また、第1画像群と第2画像群とは必ずしも同一の医用モダリティにより発生される必要なく、異なる医用モダリティにより発生されても良い。例えば、第1画像群がX線コンピュータ断層撮影装置により発生されたCT画像群であり、第2画像群が磁気共鳴イメージング装置により発生されたMR画像群であると良い。また、第1画像群がX線コンピュータ断層撮影装置により発生されたCT画像群であり、第2画像群がPET装置により発生されたPET画像群であっても良い。
【0059】
上記の通り、本実施形態に係る医用画像処理装置は、領域抽出部15、パラメータ算出部17、及び画像選択部19を有している。記憶部13は、非造影ボリューム画像群に含まれる少なくとも一つの時相の非造影ボリューム画像のデータと造影ボリューム画像群に含まれる複数の時相の造影ボリューム画像のデータとから、X線高吸収物質に関するX線高吸収領域を抽出する。パラメータ算出部17は、少なくとも一つの時相の非造影ボリューム画像の各々と複数の時相の造影ボリューム画像の各々とについて、X線高吸収領域の動きに応じて変動する特徴量を算出する。画像選択部19は、算出された特徴量に基づいて、少なくとも一つの時相の非造影ボリューム画像と複数の時相の造影ボリューム画像との中から、X線高吸収領域の画像特徴が類似する第1の非造影ボリューム画像と造影ボリューム画像とを選択する。
【0060】
上記の構成により本実施形態に係る医用画像処理装置は、非造影ボリューム画像群に含まれる各非造影ボリューム画像と造影ボリューム画像群に含まれる各造影ボリューム画像との中から、X線高吸収領域の画像特徴が最も類似する非造影ボリューム画像と造影ボリューム画像とを自動的に選択することができる。従って、本実施形態に係る医用画像処理装置は、目視により非造影ボリューム画像と造影ボリューム画像との組み合わせを選択していた従来例に比して、自動的に且つ高速に組み合わせを選択することができる。また、自動的に組み合わせを選択することができるので、ユーザの経験に依らずに、誰でも同じ組み合わせ及び差分結果(すなわち、差分画像)を出力することができる。また、本実施形態に係る医用画像処理装置は、X線高吸収領域の画像特徴が最も類似する非造影ボリューム画像と造影ボリューム画像との差分画像が出力されるので、X線高吸収領域の画像特徴な相違に起因するアーチファクトの発生を最小限に留めることができる。結果的に、本実施形態に係る医用画像処理装置は、従来に比して簡便且つ短時間に高画質な差分画像を発生することができる。
【0061】
かくして本実施形態によれば、2つの医用画像群から画像特徴が類似する2つの医用画像を選択する場合において、2つの医用画像の最適な組み合わせを簡便に選択することが可能となる。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。