特許第6576698号(P6576698)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576698
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】吹き出し装置及びエアカーテン装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 9/00 20060101AFI20190909BHJP
   F24F 13/072 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   F24F9/00 B
   F24F9/00 G
   F24F13/072 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-118270(P2015-118270)
(22)【出願日】2015年6月11日
(65)【公開番号】特開2017-3202(P2017-3202A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】596099963
【氏名又は名称】株式会社ニットー冷熱製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】西海 真
(72)【発明者】
【氏名】山田 達郎
【審査官】 安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−313603(JP,A)
【文献】 特開平11−316046(JP,A)
【文献】 特開2003−156241(JP,A)
【文献】 特表2001−510548(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0197057(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 9/00
F24F 13/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を吹き出す吹き出し部を備えた吹き出し装置であって、
前記吹き出し部は、所定の壁面に隣接して配置されており、
前記吹き出し部の吹き出し口は、流体が前記壁面の表面側を横切って吹き出されるように吹き出し方向が設定されており、
前記吹き出し部の吹き出し口よりも前記壁面側に、当該吹き出し口の吹き出し方向とほぼ同一方向に流体を吹き出す第二吹き出し部を設け、
前記吹き出し部は、流体供給側から吹き出し口側に向かって徐々に内部空間が狭くなる形状のノズルにて形成されており、
前記ノズルの吹き出し口よりも流体供給側に位置する箇所に、当該ノズル自体に形成された貫通孔からなる前記第二吹き出し部を備え、
前記ノズルは、少なくとも相互に対向する2つの傾斜面にて内部空間が囲まれて形成されることにより断面略三角形状に形成され、当該断面略三角形状の一つの頂点箇所に前記吹き出し口が形成されており、
前記2つの傾斜面のうち一方の傾斜面が前記壁面側に位置しており、
前記一方の傾斜面における前記ノズルの吹き出し口よりも流体供給側に位置する箇所に、前記貫通孔からなる前記第二吹き出し部が形成されている、
吹き出し装置。
【請求項2】
請求項に記載の吹き出し装置であって、
前記ノズルの吹き出し口は、前記壁面に沿って所定の長さを有して形成されており、
前記第二吹き出し部は、所定の長さを有する前記吹き出し口に沿って所定の長さのスリット形状に形成されている、
吹き出し装置。
【請求項3】
請求項に記載の吹き出し装置であって、
スリット形状に形成された前記第二吹き出し部の幅は、前記ノズルの吹き出し口の幅よりの狭く形成されている、
吹き出し装置。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれかに記載の吹き出し装置であって、
前記第二吹き出し部は、前記吹き出し部の吹き出し口よりも速い速度で流体を吹き出すよう構成されている、
吹き出し装置。
【請求項5】
出入り口の側方から空気を吹き出すことで、当該出入り口にエアカーテンを形成するエアカーテン装置であって、
出入り口に設置された開閉可能なシャッターの面に隣接して配置され、空気を吹き出す吹き出し部を備え、
前記吹き出し部の吹き出し口は、前記シャッターの面に沿って所定の長さを有して形成されており、空気を前記シャッターの表面側を横切るよう吹き出すことにより当該シャッターの表面側にエアカーテンを形成するように吹き出し方向が設定されており、
前記吹き出し部の吹き出し口よりも前記シャッター側に、当該吹き出し口の吹き出し方向とほぼ同一方向にさらに空気を吹き出す第二吹き出し部を備え、
前記吹き出し部は、流体供給側から吹き出し口側に向かって徐々に内部空間が狭くなる形状のノズルにて形成されており、
前記ノズルの吹き出し口よりも流体供給側に位置する箇所に、当該ノズル自体に形成された貫通孔からなる前記第二吹き出し部を備え、
前記ノズルは、少なくとも相互に対向する2つの傾斜面にて内部空間が囲まれて形成されることにより断面略三角形状に形成され、当該断面略三角形状の一つの頂点箇所に前記吹き出し口が形成されており、
前記2つの傾斜面のうち一方の傾斜面が前記シャッター側に位置しており、
前記一方の傾斜面における前記ノズルの吹き出し口よりも流体供給側に位置する箇所に、前記貫通孔からなる前記第二吹き出し部が形成されている、
エアカーテン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吹き出し装置にかかり、特に、流体を吹き出す吹き出し装置に関する。また、吹き出した空気によりエアカーテンを形成するエアカーテン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品や医薬品、精密機器などの製品は、衛生面や機能面から、虫やほこりなどの物質の混入を防ぐ必要がある。このため、これら製品を製造する建物や室内の出入り口には、虫やほこりなどの物質の侵入を防ぐ防虫・防塵構造が要求されている。
【0003】
例えば、防虫・防塵構造の一例として、特許文献1に開示されているようなエアカーテン装置がある。エアカーテン装置は、出入り口の面に沿って、あるいは、出入り口の外側に送風することで、当該出入り口を送風による空気で覆い、エアカーテンを形成している。このように、出入り口にエアカーテンを形成することで、人間はエアカーテンを通過して室内に入ることができる一方で、その際に、人間に付着した埃はエアカーテンにより吹き飛ばされたり、出入り口付近に存在する虫や埃はエアカーテンによって吹き飛ばされる。このため、出入り口付近に存在する虫や埃は、エアカーテンで遮断され、室内への侵入が防止される。
【0004】
そして、特許文献1では、さらに、出入り口にシャッターが設けられている状況に適用される装置を開示している。かかる装置では、まず、出入り口のシャッターが閉じられた状態で、出入り口付近に空気を吹き出してシャッターに付着した虫やほこりを飛ばし、その後、シャッターを開けて出入り口付近での空気の吹き出しを継続して、当該出入り口にエアカーテンを形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3963256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のような状況でエアカーテンを形成する場合、つまり、シャッターなどの壁面近くで空気を吹き出してエアカーテンを形成する場合には、吹き出した空気が壁面側に引き寄せられ、乱流となる、という問題が生じる。
【0007】
具体的に、図7(A)及び図8(A)に、壁面3近くで空気を吹き出す実験を行ったときの空気の流れを示す。まず、図7(A)では、ノズル2’の吹き出し口を壁面3とほぼ平行な方向に向けて空気A’を吹き出した時の様子を示している。また、図8(A)では、ノズル2’の吹き出し口を壁面3から遠ざける方向に向けて空気A’を吹き出したときの様子を示している。すると、いずれの場合でも、ノズル2’から吹き出された空気A’は壁面3側に引き寄せられ、当該壁面3側で乱流が生じている。これは、吹き出された空気A’に対する壁面3側の空間が、反対側の空間に対して狭く形成されることから、壁面3側の空間の気圧が低くなり、かかる壁面3側に吹き出された空気A’が引き寄せられていることと考えられる。
【0008】
このように、吹き出された空気が壁面側に引き寄せられたり乱流が生じると、虫やほこりなどの物質を出入り口側に巻き込んでしまうおそれがある。その結果、防虫・防塵効果が低下する、という問題が生じる。さらには、上述した乱流から、送風の強度が弱まり、吹き出し効率が低下する、という問題が生じる。そして、このような吹き出し効率が低下するという問題は、エアカーテンといった用途で空気の吹き出す場合に限らず、他の気体や液体といったあらゆる流体を吹き出す装置でも生じうる。
【0009】
このため、本発明の目的は、上述した課題である、流体を吹き出す際における吹き出し効率の低下、を解決することができる吹き出し装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一形態である吹き出し装置は、
流体を吹き出す吹き出し部を備えた吹き出し装置であって、
前記吹き出し部は、所定の壁面に隣接して配置されており、
前記吹き出し部の吹き出し口は、流体が前記壁面の表面側を横切って吹き出されるように吹き出し方向が設定されており、
前記吹き出し部の吹き出し口よりも前記壁面側に、当該吹き出し口の吹き出し方向とほぼ同一方向に流体を吹き出す第二吹き出し部を設けた、
という構成をとる。
【0011】
また、上記吹き出し装置では、
前記吹き出し部は、流体供給側から吹き出し口側に向かって徐々に内部空間が狭くなる形状のノズルにて形成されており、
前記ノズルの吹き出し口よりも流体供給側に位置する箇所に、当該ノズル自体に形成された貫通孔からなる前記第二吹き出し部を備えた、
という構成をとる。
【0012】
また、上記吹き出し装置では、
前記ノズルは、少なくとも相互に対向する2つの傾斜面にて内部空間が囲まれて形成されることにより断面略三角形状に形成され、当該断面略三角形状の一つの頂点箇所に前記吹き出し口が形成されており、
前記2つの傾斜面のうち一方の傾斜面が前記壁面側に位置しており、
前記一方の傾斜面における前記ノズルの吹き出し口よりも流体供給側に位置する箇所に、前記貫通孔からなる前記第二吹き出し部が形成されている、
という構成をとる。
【0013】
また、上記吹き出し装置では、
前記ノズルの吹き出し口は、前記壁面に沿って所定の長さを有して形成されており、
前記第二吹き出し部は、所定の長さを有する前記吹き出し口に沿って所定の長さのスリット形状に形成されている、
という構成をとる。
【0014】
また、上記吹き出し装置では、
スリット形状に形成された前記第二吹き出し部の幅は、前記ノズルの吹き出し口の幅よりの狭く形成されている、
という構成をとる。
【0015】
また、上記吹き出し装置では、
前記第二吹き出し部は、前記吹き出し部の吹き出し口よりも速い速度で流体を吹き出すよう構成されている、
という構成をとる。
【0016】
また、本発明の他の形態であるエアカーテン装置は、
出入り口の側方から空気を吹き出すことで、当該出入り口にエアカーテンを形成するエアカーテン装置であって、
出入り口に設置された開閉可能なシャッターの面に隣接して配置され、空気を吹き出す吹き出し部を備え、
前記吹き出し部の吹き出し口は、前記シャッターの面に沿って所定の長さを有して形成されており、空気を前記シャッターの表面側を横切るよう吹き出すことにより当該シャッターの表面側にエアカーテンを形成するように吹き出し方向が設定されており、
前記吹き出し部の吹き出し口よりも前記シャッター側に、当該吹き出し口の吹き出し方向とほぼ同一方向にさらに空気を吹き出す第二吹き出し部を備えた、
という構成をとる。
【0017】
また、上記エアカーテン装置では、
前記吹き出し部は、流体供給側から吹き出し口側に向かって徐々に内部空間が狭くなる形状のノズルにて形成されており、
前記ノズルの吹き出し口よりも流体供給側に位置する箇所に、当該ノズル自体に形成された貫通孔からなる前記第二吹き出し部を備えた、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以上のように構成されることにより、流体を吹き出す際における吹き出し効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明であるエアカーテン装置の構成を示す図である。
図2】本発明であるエアカーテン装置の構成及び動作例を示す図である。
図3】本発明であるエアカーテン装置の構成及び動作例を示す図である。
図4】本発明であるエアカーテン装置に装備されるノズルの構成を示す図である。
図5】本発明であるエアカーテン装置と比較される他のエアカーテン装置の動作例を示す図である。
図6】本発明であるエアカーテン装置の動作例を示す図である。
図7】本発明であるエアカーテン装置と比較対象となる他のエアカーテン装置とによるエアカーテン形成実験の様子を示す図である。
図8】本発明であるエアカーテン装置と比較対象となる他のエアカーテン装置とによるエアカーテン形成実験の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を、図1乃至図8を参照して説明する。図1乃至図4は、本発明の構成及び動作を説明するための図である。図5乃至図8は、本発明の動作における比較対象との相違を説明するために図である。
【0021】
本発明は、流体を吹き出す吹き出し装置であり、本実施形態ではエアカーテン装置を例にあげて説明する。図1に示すように、エアカーテン装置1は、室外と室内との出入り口に設置されるものである。具体的には、まず出入り口に、シート状のシャッター3が設置されており、当該シャッター3に隣接して柱形状のエアカーテン装置1が配置される。なお、シャッター3は、例えば、ビニールシートや扉で形成されており、人物が出入り口を出入りする際に開閉可能である。ただし、シャッター3は、壁面を形成しているものであればいかなる構造や材質で構成されていてもよい。
【0022】
エアカーテン装置1は、高さ方向に長く形成された四角柱状に形成されており、シャッター3よりも屋外側かつ側方に、隣接して設置されている。なお、本実施形態では、エアカーテン装置1は、シャッター3の横に位置しているが、上方や下方などに設置されていてもよい。
【0023】
そして、図2に示すように、エアカーテン装置1は、空気を吹き出すノズル2(吹き出し部)と、外部の空気を吸い込む面に装備されたフィルタ11と、当該フィルタ11を介して空気を吸い込んでノズル2から吹き出すよう作動するファンモータ及びファン12と、を備えている。なお、図2は、エアカーテン装置1を上方から見た図であり、当該エアカーテン装置1の内部構成を示している。
【0024】
上記ノズル2の構成を、図4を参照して詳述する。まず、ノズル2は、上述したようにエアカーテン装置1に装備されていることから、当該ノズル2がシャッター3の面に隣接して配置されていることとなる。そして、ノズル2自体は、略三角柱の形状に形成されており、シャッター3の高さ方向に沿って所定の高さ(長さ)を有するよう構成されている。
【0025】
具体的に、ノズル2は、2枚の略長方形状の板が一辺で連結するよう配置されており、2つの傾斜面21,22で内部空間が囲まれて形成されている。これにより、ノズル2の内部空間の断面は、略三角形状に形成されている。そして、断面略三角形状の1つの頂点箇所、つまり、2つの傾斜面21,22の連結箇所である一辺は、ノズル2自体の長さ方向に沿ってほぼ均一の幅に開口しており、空気が吹き出す吹き出し口23を形成している。そして、ノズル2の吹き出し口23とは反対側、つまり、断面略三角形状の1つの頂点箇所に対する底辺側は、開口しており、空気が供給される空気供給側(流体供給側)となる。換言すると、ノズル2は、内部の断面形状が、空気供給側から吹き出し口23側に向かって徐々に内部空間が狭くなる形状に形成されており、空気供給側よりも速い風速で空気が吹き出し口23から吹き出されることとなる。なお、吹き出し口23の長さは、シャッター3の高さと同等であったり、あるいは、それよりも長くても短くてもよい。
【0026】
そして、上記ノズル2は、空気をシャッター3の表面に沿って吹き出すように、空気の吹き出し方向を設定可能である。例えば、図2の例では、シャッター3の表面とほぼ平行に空気を吹き出すように吹き出し方向を設定しており、図3の例では、シャッター3の表面に対して約30度の角度で、当該表面に沿って空気を吹き出すよう吹き出し方向を設定している。これにより、ノズル2の吹き出し口23からは、図2及び図3に示すように、空気がシャッター3の表面側を横切るように吹き出されるため、当該シャッター3の表面側にエアカーテンを形成することができる。なお、図2図3において矢印で図示した空気Aの流れは、模式的に示したものであり、実際の流れについては後述する。
【0027】
また、ノズル2には、上記吹き出し口23以外にも空気を吹き出す第二吹き出し部として、スリット24が形成されている。スリット24は、ノズル2の内部から外部に通ずる貫通穴であり、ノズル2を構成する傾斜面21,22のうち、シャッター3側に位置する傾斜面21に形成されている。このとき、スリット24は、シャッター3の傾斜面21上に位置していることから、ノズル2上において吹き出し口23よりも空気供給側に位置する箇所に形成されていることとなる。そして、スリット24は、吹き出し口23と平行に高さ方向に延びて形成されており、当該吹き出し口23の長さと同等の長さに形成されている。これにより、ノズル2のスリット24からも、吹き出し口23とほぼ同一方向に空気が吹き出されることとなる。なお、スリット24の長さは、吹き出し口23と同等であることに限定されない。
【0028】
このとき、スリット24の幅は、吹き出し口23の幅よりも狭く形成されている。これにより、スリット24から吹き出される空気は、吹き出し口23から吹き出される空気の速度よりも速い速度で、吹き出されることとなる。
【0029】
上記構成のノズル2から吹き出された空気の流れを、図5乃至図8を参照して説明する。まず、図5は、上述したスリット24が形成されていない構造のノズル2’を用いた場合であり、当該吹き出し口23のみから吹き出される空気A’の流れを模式的に図示したものである。また、図7(A)及び図8(A)は、同様にスリット24が形成されていないノズル2’の吹き出し口23から吹き出される空気A’の流れの実験結果を視覚化したものである。この場合には、上記「発明が解決しようとする課題」で説明したように、ノズル2’から吹き出された空気A’はシャッター3側に引き寄せられ、当該シャッター3側で乱流が生じることとなる。
【0030】
これに対して、上述したスリット24を形成した本実施形態における構成のノズル2を用いた場合には、吹き出す空気Aの乱流を抑制することができる。このときのノズル2から吹き出される空気A,Bの流れの模式図を図6に示し、空気A,Bの流れの実験結果を視覚化したものを図7(B),図8(B)に示す。図7(B),図8(B)の実験結果に示すように、いずれもスリット23がない図7(A),図8(A)の場合と比較して、空気の乱流が生じていない。
【0031】
これは、図6の模式図や実験結果に示されることから、吹き出し口23からの空気Aのうちシャッター3側に引き寄せられる空気が、スリット24から吹き出された空気Bによりさらに同一方向に吹き飛ばされるためであると考えられる。特に、吹き出し口23の幅よりもスリット24の幅を狭く形成しているため、吹き出し口23から吹き出される空気Aよりもスリット24から吹き出される空気Bの幅が細く、吹き出し速度が速いため、上述したように乱流を抑制することができると考えられる。特に、図8(B)のノズル2の吹き出し方向をシャッター3面に対して約30度の角度に設定した場合には、図8(A)では空気Aのほとんどがシャッター3側に引き寄せられてしまっているが、図8(B)では設定した吹き出し方向に空気A,Bを吹き出すことができる。
【0032】
以上のように、上述したようにスリット24を備えた構造のノズル2をエアカーテン装置1に用いることで、空気がシャッター3に引き寄せられることなく、乱流を抑制した吹き出し効率の良い空気を吹き出すことができる。その結果、エアカーテンの機能の向上を図ることができる。
【0033】
ここで、上述したエアカーテン装置1の構成は一例であって、特にノズル2は他の構成であってもよい。例えば、ノズル2に形成されたスリット24は、必ずしも細長い形状の貫通穴やスリット形状であることに限定されず、複数の円形の貫通穴など、他の形状の貫通穴で形成してもよい。また、ノズル2にスリット24といった貫通穴を必ずしも設ける必要はなく、他の構造でスリット24から吹き出される空気Bと同等の空気を吹き出すよう構成してもよい。例えば、吹き出し口23よりもシャッター3側に、当該吹き出し口23の吹き出し方向とほぼ同一方向に空気を吹き出す別の吹き出し装置(第二吹き出し部)を設けてもよい。
【0034】
なお、上記では、吹き出し装置の一例として、エアカーテン装置1を挙げて説明したが、上述した構成を、例えば、エアコンや送風機など、空気や液体といった流体を吹き出すいかなる装置にも適用可能である。
【0035】
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 エアカーテン装置
11 フィルタ
12 ファンモータ及びファン
2 ノズル
21,22 傾斜面
23 吹き出し口
24 スリット
3 シャッター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8