(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に開示されているようにラミネートフィルム外装体の溶着部分を折り畳んで小型化したラミネート形電池を、特許文献2に開示されているように厚み方向に湾曲させる場合、ラミネートフィルム外装体の折り畳まれた部分が、ラミネートフィルム外装体の平面視で該ラミネートフィルム外装体の外方に開く可能性がある。すなわち、ラミネートフィルム外装体の折り畳まれた部分は、ラミネート形電池の外周側に位置する。そのため、ラミネート形電池を厚み方向に湾曲させた場合、前記折り畳まれた部分は、その先端側が前記平面視でラミネートフィルム外装体の外方に開くような変形を生じる。
【0007】
特に、小型のウェアラブル機器に搭載されるような小型の電池の場合には、厚み方向に湾曲させた際の曲率半径が比較的小さくなる。そのため、ラミネートフィルム外装体の折り畳まれた部分は、その先端側が前記平面視でラミネートフィルム外装体の外方に開く可能性が高い。
【0008】
このように、ラミネートフィルム外装体の溶着部分が折り畳まれたラミネート形電池を湾曲させた場合に、折り畳んだ部分が前記平面視でラミネートフィルム外装体の外方に開くと、ラミネート形電池のコンパクト化が阻害される。
【0009】
本発明の目的は、電極体をラミネートフィルム外装体で覆うラミネート形電池において、厚み方向に湾曲させた場合でも電池のコンパクト化を実現可能な構成を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係るラミネート形電池は、電極体と、前記電極体を覆った状態で外周側が溶着されることにより、前記電極体を覆う膨出部と該膨出部から外方に突出する溶着部とが形成される、シート状のラミネートフィルム外装体と、一端側が前記電極体に接続され、他端側が前記ラミネートフィルム外装体から外方へ一方向に延びるように並んで設けられた正極接続端子及び負極接続端子と、前記溶着部のうち前記電極体に沿って前記一方向に延びる側方溶着部を、前記ラミネートフィルム外装体の厚み方向に折り曲げた状態で、前記ラミネートフィルム外装体における前記一方向の両端部のうち少なくとも一方の端部で固定する固定部材とを備える(第1の構成)。
【0011】
上述のように、電極体を覆った状態でラミネートフィルム外装体の外周側を溶着することにより形成される溶着部のうち、前記電極体に沿って正極接続端子及び負極接続端子の延伸方向である一方向に延びる側方溶着部を、前記ラミネートフィルム外装体の厚み方向に折り曲げることにより、ラミネート形電池の小型化を図れる。
【0012】
また、ラミネート形電池の場合、一般的に、前記一方向の両端部は、曲げに対する剛性が高い。すなわち、ラミネート形電池において、正極接続端子及び負極接続端子が設けられている端部は、溶着部が存在するため、剛性が高い。また、ラミネート形電池において正極接続端子及び負極接続端子が設けられている端部とは反対側の端部も、比較的、剛性が高い。例えば1枚のラミネートフィルム外装体によって電極体を覆う構成の場合、該ラミネートフィルム外装体の折り返し部分が、正極接続端子及び負極接続端子が設けられている端部とは反対側の端部に位置するため、該端部の剛性は比較的高い。また、例えば2枚のラミネートフィルム外装体によって電極体を覆う構成の場合、前記反対側の端部に溶着部が存在するため、該端部の剛性は比較的高い。
【0013】
そのため、側方溶着部を折り曲げても、ラミネート形電池における前記一方向の両端部では、前記側方溶着部が、ラミネートフィルム外装体の平面視で外方に向かって徐々に開く。さらに、ラミネート形電池を、側面視で前記一方向の中央部が凸になるように厚み方向に湾曲させた場合には、ラミネート形電池の前記一方向の端部において、折り曲げられた側方溶着部は、ラミネートフィルム外装体の平面視で外方に開きやすい。
【0014】
これに対し、上述の構成のように、前記ラミネートフィルム外装体において、前記一方向の両端部のうち少なくとも一方の端部で、前記側方溶着部を上述のように折り曲げた状態で固定部材によって固定する。これにより、ラミネート形電池を厚み方向に湾曲させた場合でも、折り曲げられた前記側方溶着部がラミネートフィルム外装体の平面視で外方に開くのを抑制できる。
【0015】
したがって、上述の構成により、湾曲させた場合でも小型化を実現できるラミネート形電池が得られる。
【0016】
前記第1の構成において、前記ラミネートフィルム外装体は、前記電極体を挟んで前記膨出部とは反対側に平面部を形成するように、前記電極体に対して配置されている。前記側方溶着部は、前記ラミネートフィルム外装体の平面視で、前記平面部上に重なるように折り曲げられている(第2の構成)。
【0017】
これにより、側方溶着部をよりコンパクトに折り畳むことができるため、ラミネート形電池をよりコンパクトな構成にすることができる。膨出部に対する側方溶着部の突出長さが大きい場合、該側方溶着部を膨出部側に折り曲げると、該側方溶着部が膨出部よりもラミネート形電池の厚み方向に突出する可能性がある。よって、ラミネート形電池の厚み寸法が大きくなる場合がある。これに対し、上述のように、側方溶着部を、電極体を挟んで膨出部とは反対側に形成された平面部上に重なるように折り曲げることにより、ラミネート形電池の厚み寸法を増大させることなく、ラミネート形電池のコンパクト化を図れる。
【0018】
前記第1または第2の構成において、前記固定部材は、前記側方溶着部を、前記ラミネートフィルム外装体の厚み方向に折り曲げた状態で、前記ラミネートフィルム外装体における前記一方向の両端部で固定する(第3の構成)。
【0019】
これにより、折り曲げられた側方溶着部を、ラミネートフィルム外装体における一方向の両端部で、固定部材によって、より確実に固定することができる。よって、ラミネート形電池を湾曲させた場合でも、折り曲げられた側方溶着部がラミネートフィルム外装体の平面視で該ラミネートフィルム外装体の外方に開くのをより確実に防止できる。したがって、湾曲したラミネート形電池の小型化をより確実に実現できる。
【0020】
前記第3の構成において、前記正極接続端子及び前記負極接続端子は、それぞれ、前記ラミネートフィルム外装体から外方に延出する部分に、前記ラミネートフィルム外装体の平面視で、前記ラミネートフィルム外装体と重なる位置で折り返される折曲部を有する。前記固定部材のうち、前記ラミネートフィルム外装体において前記正極接続端子及び前記負極接続端子が設けられている端部で前記側方溶着部を固定する固定部材は、絶縁材料からなるテープであり、前記正極接続端子及び前記負極接続端子のうち一方の接続端子の折曲部と前記ラミネートフィルム外装体との間の位置から、前記正極接続端子及び前記負極接続端子のうち他方の接続端子の折曲部を覆う位置まで延びるように配置されている(第4の構成)。
【0021】
上述のように、ラミネートフィルム外装体の平面視で該ラミネートフィルム外装体と重なる位置に折曲部を有する正極接続端子及び負極接続端子の折曲部に対し、絶縁材料からなるテープである固定部材を配置することにより、折曲部同士で短絡が生じるのを防止できる。すなわち、上述の構成により、正極接続端子の折曲部と負極接続端子の折曲部とは、固定部材の表側と裏側とにそれぞれ位置付けられるため、該固定部材によって電気的に絶縁される。したがって、正極接続端子の折曲部と負極接続端子の折曲部とで短絡が生じるのを防止できる。
【0022】
上述のように固定部材を配置することにより、該固定部材を、折り曲げた状態の側方溶着部を固定するために用いるだけでなく、正極接続端子の折曲部と負極接続端子の折曲部との絶縁部材としても用いることができる。
【0023】
また、上述のように正極接続端子及び負極接続端子にそれぞれ折曲部を設けることにより、前記正極接続端子及び前記負極接続端子の長さを短くしつつ、ラミネート形電池または機器に振動が加わった場合でも、前記正極接続端子及び前記負極接続端子のそれぞれの折曲部で振動を吸収することができる。
【0024】
すなわち、前記正極接続端子及び前記負極接続端子に、それぞれ、ラミネートフィルム外装体の平面視で、該ラミネートフィルム外装体と重なる位置で折り返すように折曲された折曲部を設けることにより、前記ラミネートフィルム外装体から突出する正極接続端子及び負極接続端子の長さを短くすることができる。これにより、ラミネート形電池と機器との接続部分をコンパクトな構成にすることができる。
【0025】
しかも、前記折曲部を設けることによって、機器またはラミネート形電池に振動が加わった場合でも、前記折曲部で変位を吸収することができる。これにより、ラミネート形電池と機器との接続部分における耐振動性を向上することができる。
【0026】
前記第4の構成において、前記ラミネートフィルム外装体は、前記正極接続端子及び前記負極接続端子における前記電極体との接続側を覆う接続被覆部を有する。前記正極接続端子及び前記負極接続端子は、それぞれの折曲部が、前記ラミネートフィルム外装体の平面視で前記接続被覆部と重なるように位置付けられている(第5の構成)。
【0027】
このように、正極接続端子及び負極接続端子の折曲部を、ラミネート形電池において比較的厚みの小さい接続被覆部上に配置することにより、ラミネート形電池全体でコンパクト化を図れる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一実施形態に係るラミネート形電池によれば、電極体を覆った状態でラミネートフィルム外装体の外周側を溶着することにより得られる溶着部のうち、正極接続端子及び負極接続端子の延伸方向(一方向)に延びる側方溶着部を、電極体の厚み方向に折り曲げた状態で、ラミネートフィルム外装体において前記一方向の両端部のうち少なくとも一方の端部で固定部材によって固定する。これにより、ラミネート形電池を湾曲させた場合でも、ラミネート形電池の小型化を図れる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0031】
(全体構成)
図1は、本発明の一実施形態であるラミネート形電池1の外観を示す図である。
図2は、ラミネート形電池1の概略構成を示す断面図である。このラミネート形電池1は、発電体として機能する電極体10がラミネートフィルム外装体20によって覆われた平面視で矩形状の二次電池である。ラミネート形電池1は、例えばウェアラブル機器の電池として用いられる。
【0032】
図1及び
図2に示すように、ラミネート形電池1は、電極体10と、電極体10を覆うラミネートフィルム外装体20とを備える。また、ラミネート形電池1は、電極体10の正極11及び負極12にそれぞれ接続される正極接続端子41及び負極接続端子42(接続端子)を備える。さらに、ラミネート形電池1は、正極接続端子41及び負極接続端子42の一部を覆う絶縁テープ50(固定部材)と、ラミネートフィルム外装体20の側方溶着部1fを折り曲げた状態で固定するための固定用テープ60(固定部材)とを備える。なお、ラミネート形電池1の内部には、非水電解液も封入されている。
【0033】
ラミネートフィルム外装体20は、アルミニウム製の金属箔の一面側がナイロンで覆われ、且つ、他面側がポリプロピレンで覆われた材料からなる。すなわち、ラミネートフィルム外装体20は、アルミニウムをナイロン及びポリプロピレンでラミネートした材料からなる。これにより、ラミネートフィルム外装体20は、ラミネートフィルム外装体20同士を重ね合わせた状態で加熱しながら圧力を加えることによって、溶着される。なお、金属箔は、アルミニウムに限らず、ステンレス等の他の金属材料によって形成されていてもよい。
【0034】
また、ラミネートフィルム外装体20は、略長方形状に形成されている。一対のラミネートフィルム外装体20によって電極体10を挟んだ状態で、該ラミネートフィルム外装体20の外周側同士を溶着することにより、
図1及び
図2に示すような膨出部1a及びシール部1bが形成される。すなわち、ラミネートフィルム外装体20が電極体10を覆うことにより膨出部1aが形成され、該膨出部1aの周囲でラミネートフィルム外装体20同士を接着することにより該膨出部1aを囲むようにシール部1bが形成される。
【0035】
図1に示すように、本実施形態では、電極体10は、直方体状に形成されている。そのため、膨出部1aは、ラミネートフィルム外装体20の平面視(以下、単に平面視ともいう)で、長方形状に形成される。シール部1bは、平面視で、ラミネート形電池1が長方形状になるように、膨出部1aの周りに形成されている。
【0036】
また、一対のラミネートフィルム外装体20は、
図2に示すように、ラミネート形電池1が、電極体10の厚み方向の一方側に平面部1cを有するとともに、電極体10の厚み方向の他方側に上述の膨出部1aを有するように、電極体10を挟んだ状態でラミネートフィルム外装体20の外周側同士が溶着されている。すなわち、一対のラミネートフィルム外装体20のうち、一方のラミネートフィルム外装体20が電極体10の外形に沿うように配置される。
【0037】
シール部1bのうち、ラミネート形電池1の長手方向の端部側に位置する部分では、正極接続端子41及び負極接続端子42は、一対のラミネートフィルム外装体20に挟み込まれた状態で、ラミネートフィルム外装体20同士が溶着されることにより固定されている。このようにラミネートフィルム外装体20が溶着されることによって正極接続端子41及び負極接続端子42が固定されている部分、すなわち、正極接続端子41及び負極接続端子42における電極体10の接続側がラミネートフィルム外装体20によって覆われている部分を、以下の説明ではタブシール部1d(接続被覆部)という。
【0038】
シール部1bのうち、ラミネート形電池1の短手方向の両端部に位置する部分は、膨出部1aから突出した側方溶着部1fである。これらの側方溶着部1fは、それぞれ、後述する正極接続端子41及び負極接続端子42の長手方向と交差する方向に突出しているとともに、電極体10に沿って正極接続端子41及び負極接続端子42の延伸方向(一方向)に延びている。
【0039】
また、これらの側方溶着部1fは、それぞれ、平面視でラミネート形電池1の平面部1cと重なるように、ラミネートフィルム外装体20の中央側に折り曲げられている。すなわち、シール部1bの側方溶着部1fには、平面視で平面部1cと重なるように、ラミネート形電池1の長手方向(正極接続端子41及び負極接続端子42の延伸方向)に延びる折り返し部1eが形成されている。
【0040】
このように、シール部1bの側方溶着部1fにそれぞれ折り返し部1eを形成することにより、ラミネート形電池1を小型化することができる。しかも、折り返し部1eをラミネート形電池1の平面部1cと重なるように形成することにより、ラミネート形電池1を厚み方向により確実にコンパクトな構成にすることができる。
【0041】
シール部1bの側方溶着部1fを膨出部1a側に向かって折り曲げた場合、膨出部1aに対する側方溶着部1fの突出長さによっては、該側方溶着部1fがラミネート形電池1の厚み方向に突出する可能性がある。これに対し、上述のように、側方溶着部1fを平面視でラミネート形電池1の平面部1cと重なるように折り曲げて折り返し部1eを形成することにより、ラミネート形電池1を、平面視で短手方向にコンパクトな構成にしつつ、厚み方向にもコンパクトな構成にすることができる。
【0042】
なお、本実施形態では、一対のラミネートフィルム外装体20の外周側同士を溶着しているが、この限りではなく、一枚のラミネートフィルム外装体を、電極体10を挟み込むように折り返して溶着してもよい。ラミネートフィルム外装体を折り返す方向については、電極体10に対する正極接続端子41及び負極接続端子42の延伸方向であってもよいし、幅方向であってもよい。
【0043】
電極体10は、
図2に示すように、それぞれシート状に形成された正極11及び負極12を、両者の間にシート状のセパレータ13が位置するように重ね合わせることにより形成された積層体である。なお、本実施形態では、電極体10は、シート状の正極11、負極12及びセパレータ13が積層された積層体であるが、この限りではなく、正極11、負極12及びセパレータ13を重ね合わせた状態で巻回した後、押しつぶすことにより扁平状に形成された巻回体であってもよい。
【0044】
なお、
図2には、電極体10の一例として、正極11及び負極12が合わせて5層積層された積層体が図示されているが、この限りではなく、電極体10は4層以下の積層体であってもよいし、6層以上の積層体であってもよい。
【0045】
正極11は、正極活物質を含有する正極活物質層を、アルミニウム等の金属箔製の正極集電体の両面または片面に設けたものである。詳しくは、正極11は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なリチウム含有酸化物である正極活物質、導電助剤及びバインダなどを含む正極合剤を、アルミニウム箔などからなる正極集電体上に塗布して乾燥させることによって形成される。正極活物質であるリチウム含有酸化物としては、例えば、LiCoO
2などのリチウムコバルト酸化物やLiMn
2O
4などのリチウムマンガン酸化物、LiNiO
2などのリチウムニッケル酸化物等のリチウム複合酸化物を用いるのが好ましい。なお、正極活物質として、1種類の物質のみを用いてもよいし、2種類以上の物質を用いてもよい。また、正極活物質は、上述の物質に限られない。
【0046】
負極12は、負極活物質を含有する負極活物質層を、銅等の金属箔製の負極集電体の両面にそれぞれ設けたものである。詳しくは、負極12は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質、導電助剤及びバインダなどを含む負極合剤を、銅箔などからなる負極集電体上に塗布して乾燥させることによって形成される。負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材料(黒鉛類、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類など)を用いるのが好ましい。負極活物質は、上述の物質に限られない。
【0047】
また、電極体10の正極11には、正極活物質層が形成されておらず正極集電体が露出した集電体露出領域(図示省略)に正極接続端子41が接続されている。一方、負極12には、負極活物質層が形成されておらず負極集電体が露出した集電体露出領域(図示省略)に負極接続端子42が接続されている。正極接続端子41及び負極接続端子42は、それぞれ一部がラミネートフィルム外装体20の外側に位置している。これにより、他の接続部品を介して外部に接続端子を引き出す構成に比べて、インピーダンスを小さくすることができる。
【0048】
正極接続端子41は、平面視で長方形状に形成されたアルミニウムの金属箔41a(第1接続端子)に、平面視で長方形状に形成されたニッケルの金属箔41b(第2接続端子)を溶接することによって構成されている。アルミニウムの金属箔41aの場合、機器の端子等に対して必要な強度を有するように溶接することが難しい。そのため、上述のように、アルミニウムの金属箔41aにニッケルの金属箔41bを溶接し、該ニッケルの金属箔41bを機器の端子等に溶接によって接続することにより、正極接続端子41と機器の端子との接続強度を確保することができる。
【0049】
詳しくは、正極接続端子41は、
図2に示すように、アルミニウムの金属箔41aにおける長手方向の一方の端部が正極11に接続されていて、アルミニウムの金属箔41aにおける長手方向の他方の端部がラミネートフィルム外装体20の外方に延出している。すなわち、正極接続端子41は、アルミニウムの金属箔41aが、ラミネートフィルム外装体20によって厚み方向に挟み込まれている。
【0050】
アルミニウムの金属箔41aのうち、ラミネートフィルム外装体20から外方に延出した部分は、平面視で該ラミネートフィルム外装体20のタブシール部1dに重なるように折り曲げられている。ニッケルの金属箔41bは、その長手方向の端部が、平面視でタブシール部1dと重なる部分に位置するアルミニウムの金属箔41aに対し、折り返すように溶接によって接続されている。
【0051】
すなわち、正極接続端子41は、ラミネートフィルム外装体20から外方に延出した部分に、平面視で、ラミネートフィルム外装体20の内方に向かって正極接続端子41が折り曲げられた第1折曲部41cを有する。また、正極接続端子41は、平面視でラミネートフィルム外装体20と重なる位置において、正極接続端子41の先端側がラミネートフィルム外装体20の外方に向かって延びるように折り返された第2折曲部41dを有する。
【0052】
なお、本実施形態では、第2折曲部41dは、正極接続端子41において、平面視でラミネートフィルム外装体20の内方に向かって延びるアルミニウムの金属箔41aに対し、ニッケルの金属箔41bを平面視でラミネートフィルム外装体20の外方に向かって延びるように配置した状態で2つの金属箔41a,41bを溶接することにより、実現されている。しかしながら、アルミニウムの金属箔41aまたはニッケルの金属箔41bのいずれかが折り曲げられることにより、第2折曲部41bが形成されていてもよい。
【0053】
このように、正極接続端子41が第1折曲部41c及び第2折曲部41dを有することにより、
図2に示すように、正極接続端子41は、その長手方向の断面で見て、Z字状に形成されている。
【0054】
以上のように、正極接続端子41は、ラミネートフィルム外装体20から外方に延出する部分の一部に、平面視で、ラミネートフィルム外装体20と重なる位置で折り返すように折曲部としての第2折曲部41dを設けることにより、正極接続端子41の長さを短くして、ラミネート形電池1と機器との接続部分をコンパクトな構成にすることができる。すなわち、正極接続端子41は、アルミニウムの金属箔41aとニッケルの金属箔41bとが溶接されているため、その溶接部分によって、ラミネート形電池1と機器との接続部分の長さが長くなる。これに対し、上述のような溶接部分を折曲部として、該折曲部を平面視でラミネートフィルム外装体20のタブシール部1dに重なるように配置することにより、ラミネート形電池1と機器との接続部分を、長さが短くコンパクトな構成にすることができる。
【0055】
負極接続端子42は、一方向に延びる銅等の金属箔によって構成されている。
図3に示すように、負極接続端子42は一方の端部が負極12に接続されていて(図示省略)、他方の端部がラミネートフィルム外装体20の外方に延出している。すなわち、負極接続端子42も、正極接続端子41と同様、ラミネートフィルム外装体20によって挟み込まれている。
【0056】
また、負極接続端子42は、正極接続端子41と同様、ラミネートフィルム外装体20の外方に延出している部分に、平面視で、ラミネートフィルム外装体20の内方に向かって負極接続端子42が折り曲げられた第1折曲部42aを有する。また、負極接続端子42は、平面視で、ラミネートフィルム外装体20と重なる位置で負極接続端子42の先端側がラミネートフィルム外装体20の外方に向かって延びるように負極接続端子42が折り曲げられた第2折曲部42bを有する。
【0057】
このように、負極接続端子42が第1折曲部42a及び第2折曲部42bを有することにより、
図3に示すように、負極接続端子42は、その長手方向の断面で見て、Z字状に折り曲げられている。
【0058】
図4に、ラミネート形電池1において、絶縁テープ50を剥がした状態を示す。この
図4に示すように、正極接続端子41だけでなく、負極接続端子42も、ラミネートフィルム外装体20から外方に延出する部分の一部に、平面視で、ラミネートフィルム外装体20と重なる位置で折り返すように折曲された折曲部としての第2折曲部42bを有する。そのため、正極接続端子41及び負極接続端子42をコンパクトに配置することができ、ラミネート形電池1と機器との接続部分を、長さが短くコンパクトな構成にすることができる。
【0059】
しかも、正極接続端子41及び負極接続端子42に上述のような第2折曲部41d,42bを設けることにより、ラミネート形電池1または機器に振動が加わった場合でも、第2折曲部41d,42bによって振動を吸収することができる。したがって、ラミネート形電池1または機器に加わる振動によって、正極接続端子41及び負極接続端子42が損傷を受けるのを防止できる。
【0060】
正極接続端子41及び負極接続端子42は、それぞれ、ラミネートフィルム外装体20から外方に延出する部分の基端部から、第2折曲部41d,42bまでの長さが同等である。これにより、正極接続端子41及び負極接続端子42を同程度にコンパクトな構成にすることができる。したがって、ラミネート形電池1全体のコンパクト化を図れる。また、ラミネート形電池1または機器に振動が加わった場合に、正極接続端子41及び負極接続端子42は、第2折曲部41d,42bで同等の変形特性を有する。したがって、正極接続端41子及び負極接続端子42は、同等の耐振動性を有する。
【0061】
なお、
図2及び
図3に示すように、正極接続端子41及び負極接続端子42の表面上には、それぞれ、ラミネートフィルム外装体20によって挟み込まれる部分に、正極側樹脂部45及び負極側樹脂部46(樹脂部材)が形成されている。すなわち、ラミネートフィルム外装体20と正極接続端子41との間に正極側樹脂部45が位置するとともに、ラミネートフィルム外装体20と負極接続端子42との間に負極側樹脂部46が位置する。
【0062】
これにより、ラミネートフィルム外装体20と、該ラミネートフィルム外装体20によって挟み込まれた正極接続端子41及び負極接続端子42とのそれぞれの接着強度を向上することができるとともに、正極接続端子41及び負極接続端子42とラミネートフィルム外装体20とをより確実に電気的に絶縁することができる。
【0063】
正極側樹脂部45及び負極側樹脂部46は、それぞれ、例えばポリプロピレン(PP)などの樹脂材料からなる平面視で長方形状のシートによって構成されている。このシートを、正極接続端子41及び負極接続端子42に対してそれぞれ直交する方向に延び且つ正極接続端子41及び負極接続端子42をそれぞれ挟み込むように配置した状態で、正極接続端子41及び負極接続端子42の各表面上に被着させることにより、正極側樹脂部45及び負極側樹脂部46がそれぞれ形成される。
【0064】
本実施形態では、
図1から
図4に示すように、上述のように設けられた正極側樹脂部45及び負極側樹脂部46も、それぞれ、正極接続端子41及び負極接続端子42とともに折り曲げられている。これにより、ラミネート形電池1をよりコンパクトな構成にすることができる。
【0065】
図1に示すように、ラミネートフィルム外装体20における正極接続端子45及び負極接続端子46とは反対側の長手方向の端部には、固定用テープ60が巻かれている。固定用テープ60は、ラミネートフィルム外装体20の側方溶着部1fを平面部1c上に折り重ねた状態で固定するように、ラミネートフィルム外装体20上に巻かれている。固定用テープ60は、例えばポリエステルフィルムによって構成されている。
【0066】
図1から
図3に示すように、ラミネート形電池1のタブシール部1dには、正極接続端子41及び負極接続端子42の第2折曲部41d,42bを覆うように、絶縁テープ50が巻かれている。絶縁テープ50は、正極接続端子41及び負極接続端子42の第2折曲部41d,42bをタブシール部1dに対して固定するように、ラミネート形電池1の短手方向に巻かれている。
【0067】
絶縁テープ50は、固定用テープ60と同様、例えばポリエステルフィルムによって構成されていて、固定用テープ60と同等のテープ幅を有する。絶縁テープ50及び固定用テープ60は、タブシール部1dにおけるラミネート形電池1の長手方向の長さと同等のテープ幅を有する。本実施形態では、絶縁テープ50と固定用テープ60とは同じ種類及びサイズのテープを用いる。これにより、ラミネート形電池1の製造コストを低減することができる。なお、絶縁テープ50及び固定用テープ60として、それぞれ、別の種類のテープを用いてもよい。
【0068】
図5に、絶縁テープ50のタブシール部1dに対する巻き始めの部分を示す。
図5に示すように、絶縁テープ50は、タブシール部1dに対する巻き始め部分が、正極接続端子41の第2折曲部41dとラミネートフィルム外装体20との間に位置する。一方、絶縁テープ50は、負極接続端子42を覆うように配置される。これにより、正極接続端子41の第2折曲部41dは絶縁テープの表側(
図5において上面側)に位置付けられる一方、負極接続端子42の第2折曲部42bは絶縁テープ50の裏側(
図5において下面側)に位置付けられる。よって、正極接続端子41の第2折曲部41dと負極接続端子42の第2折曲部42bとは、タブシール部1d上において、絶縁テープ50によって電気的に絶縁される。
【0069】
本実施形態のように、タブシール部1d上で正極接続端子41及び負極接続端子42を折り返すことにより、正極接続端子41及び負極接続端子42に第2折曲部41d,42bを設ける構成の場合、第2折曲部41d,42bの寸法精度によっては、正極接続端子41と負極接続端子42との距離が近くなり、短絡を生じる可能性がある。これに対し、上述のように正極接続端子41及び負極接続端子42に対して絶縁テープ50を配置することにより、該絶縁テープ50によって、正極接続端子41と負極接続端子42とを電気的に絶縁することができる。よって、正極接続端子41と負極接続端子42とが、第2折曲部41d,42bにおいて短絡を生じるのを防止できる。
【0070】
なお、絶縁テープ50は、
図5に示すようにタブシール部1dに対して巻かれた後、正極接続端子41の第2折曲部41dを覆うとともに、負極接続端子42の第2折曲部42bも再度、覆うように、タブシール部1dに対して巻かれる。これにより、正極接続端子41の第2折曲部41dが露出するのを防止できる。よって、正極接続端子41の第2折曲部41dが損傷を受けたり、機器の構成部品と接触して短絡を生じたりするのを防止できる。
【0071】
(ラミネート形電池の製造方法)
次に、上述のような構成を有するラミネート形電池1の製造方法について、
図6から
図9を用いて説明する。
図6は、ラミネートフィルム外装体20によって電極体10を覆うとともに正極接続端子41及び負極接続端子42をラミネートフィルム外装体20によって挟み込んだ状態で、ラミネートフィルム外装体20の外周側を溶着した状態を示す図である。
図7は、負極接続端子42を平面視でタブシール部1dに重なるように折り曲げるとともに、シール部1bのうち側方溶着部1fを折り返して固定用テープ60によって固定した状態を示す図である。
図8は、タブシール部1dに対して絶縁テープ50によって負極接続端子42を固定した状態を示す図である。
図9は、正極接続端子41のアルミニウムの金属箔41aを折り返して該金属箔41aにニッケルの金属箔41bを溶接によって接続した状態を示す図である。
【0072】
まず、それぞれシート状に形成された正極11、負極12及びセパレータ13を重ね合わせて、電極体10を形成する。また、正極接続端子41のアルミニウムの金属箔41a及び負極接続端子42の両面にそれぞれ樹脂のシートを貼り合わせることにより、正極側樹脂部45及び負極側樹脂部46を形成する。このように正極側樹脂部45及び負極側樹脂部46が形成された正極接続端子41のアルミニウムの金属箔41a及び負極接続端子42を、正極11及び負極12にそれぞれ接続する。なお、これらの工程は、従来のラミネート形電池の製造方法と同様なので、図示を省略する。
【0073】
さらに、電極体10を、ラミネートフィルム外装体20上に配置した状態で、別のラミネートフィルム外装体20を重ね合わせて、電極体10の周りで2枚のラミネートフィルム外装体20を溶着する。これにより、
図6に示すように、電極体10を囲むようにシール部1bが形成される。なお、シール部1bにおいて、正極接続端子41及び負極接続端子42が電極体10から延びる部分を覆う部分(タブシール部1d)は、他の部分に比べて、ラミネートフィルム外装体20の溶着範囲が広い。
【0074】
上述のように、2枚のラミネートフィルム外装体20によって電極体10を覆う場合、一方のラミネートフィルム外装体20によって平面部1cが形成されるように、2枚のラミネートフィルム外装体20を電極体10に対して配置する。すなわち、2枚のラミネートフィルム外装体20のうち、一方のラミネートフィルム外装体20は平面部1cを構成し、他方のラミネートフィルム外装体20は膨出部1aを構成する。
【0075】
次に、
図7に示すように、負極接続端子42のラミネートフィルム外装体20から延出している部分を、平面視でタブシール部1dに重なるように折り曲げることにより第1折曲部42aを形成する。さらに、負極接続端子42の第1折曲部42aよりも先端側を、負極接続端子42が平面視でラミネートフィルム外装体20の外方に向かって延びるように折り曲げることにより第2折曲部42bを形成する。これにより、負極接続端子42は、ラミネートフィルム外装体20から外方に延出する部分の一部に、平面視で、ラミネートフィルム外装体20と重なる位置で折り返すように折曲された第2折曲部42bを有する。
【0076】
なお、上述のように負極接続端子42を折り曲げる際には、負極側樹脂部46も折り曲げる。
【0077】
また、
図7に示すように、シール部1bのうち、ラミネートフィルム外装体20の短手方向の両端部に位置する側方溶着部1fを、平面部1c上に重なるように折り曲げた状態で、固定用テープ60によって固定する。すなわち、シール部1bのうち側方溶着部1fは、平面視で、ラミネートフィルム外装体20の短手方向の中央側に折り曲げられる。これにより、ラミネートフィルム外装体20の短手方向の両端部には折り返し部1eが形成される。
【0078】
固定用テープ60は、ラミネートフィルム外装体20における正極接続端子41及び負極接続端子42とは反対側の長手方向の端部に、巻かれている。すなわち、シール部1bのうち側方溶着部1fは、平面視で平面部1c上に重なるようにラミネートフィルム外装体20の短手方向の中央側に折り曲げられた状態で、ラミネートフィルム外装体20における正極接続端子41及び負極接続端子42とは反対側の長手方向端部で固定用テープ60によって固定されている。
【0079】
次に、
図8に示すように、負極接続端子42の第2折曲部42bを覆うように、タブシール部1d上に、絶縁テープ50を貼り付ける。絶縁テープ50は、タブシール部1dに対し、ラミネートフィルム外装体20の短手方向に延びるように貼り付けられる。このとき、絶縁テープ50は、タブシール部1d上で、後述のように正極接続端子41のアルミニウムの金属箔41aを折り返した際に位置付けられる位置から、負極接続端子42の第2折曲部42bを覆って、ラミネートフィルム外装体20の短手方向の両端部に位置する折り返し部1eをそれぞれ固定する位置まで貼り付けられる。
【0080】
これにより、絶縁テープ50によって、負極接続端子42がタブシール部1d上に固定されるとともに、折り返し部1eも平面部1cに対して固定される。
【0081】
その後、
図9に示すように、正極接続端子41のアルミニウムの金属箔41aをタブシール部1d及び絶縁テープ50上に折り返す。詳しくは、アルミニウムの金属箔41aを、平面視で、タブシール部1dと重なるように、ラミネートフィルム外装体20の内方側に向かって折り曲げる。これにより、アルミニウムの金属箔41aに第1折曲部41cが形成される。このとき、正極側樹脂部45も、アルミニウムの金属箔41aとともに折り曲げる。
【0082】
上述のように折り返されたアルミニウムの金属箔41a上に、該金属箔41aの折曲方向とは反対側に向かって、すなわち、平面視でラミネートフィルム外装体20の外方側に向かって延びるように、ニッケルの金属箔41bが配置された状態で、金属箔41a,41b同士が溶接される。これにより、ニッケルの金属箔41bは、その長手方向がアルミニウムの金属箔41aの長手方向と一致するように配置される。
【0083】
アルミニウムの金属箔41aに対してニッケルの金属箔41bを溶接して正極接続端子41を得た後、絶縁テープ50を、正極接続端子41上に貼るとともに、負極接続端子42上に再度、貼り付ける。これにより、
図1に示すようなラミネート形電池1が得られる。
【0084】
なお、絶縁テープ50は、負極接続端子42上に再度、貼り付けなくてもよい。正極接続端子41をラミネートフィルム外装体20に対して固定できれば、絶縁テープ50の貼り方はどのような貼り方であってもよい。
【0085】
ラミネート形電池1は、
図10に示すように、収容される機器の形状に合わせて湾曲するように形成される。ラミネートフィルム外装体20の短手方向の両端部に形成された折り返し部1eは固定用テープ60及び絶縁テープ50によって固定されている。そのため、ラミネート形電池1を湾曲させる際に、折り返し部1eが平面視で外方に開くのを防止できる。
【0086】
(実施形態の効果)
本実施形態では、ラミネートフィルム外装体20のシール部1bのうち、該ラミネートフィルム外装体20の短手方向の両端部に位置する側方溶着部1fを、ラミネート形電池1の平面部1c上に重なるように折り曲げることにより、折り曲げ部1eを形成する。これにより、ラミネート形電池1を平面視で短手方向にコンパクトな構成にしつつ、厚み方向にもコンパクトな構成にすることができる。
【0087】
そして、側方溶着部1fを上述のように折り曲げた状態で、ラミネートフィルム外装体20における正極接続端子41及び負極接続端子42とは反対側の長手方向の端部で、固定用テープ60によって固定することにより、ラミネート形電池1を湾曲させた場合に、折り曲げ部1eが平面視で外方に開くのを防止できる。これにより、湾曲させた場合でも小型化を実現できるラミネート形電池1が得られる。
【0088】
さらに、本実施形態では、側方溶着部1fを上述のように折り曲げた状態で、ラミネートフィルム外装体20における正極接続端子41及び負極接続端子42側の長手方向の端部で、絶縁テープ50によって側方溶着部1fを平面部1cに対して固定する。これにより、側方溶着部1fは、折り曲げられた状態で、ラミネート形電池1の長手方向の両端部で固定される。よって、ラミネート形電池1を湾曲させた場合に、折り曲げ部1eが平面視で外方に開くのをより確実に防止できる。
【0089】
しかも、絶縁テープ50は、正極接続端子41と負極接続端子42とを電気的に絶縁するように配置される。
【0090】
すなわち、本実施形態では、正極接続端子41及び負極接続端子42は、それぞれ、ラミネートフィルム外装体20から外方に延出する部分の一部に、平面視で、ラミネートフィルム外装体20と重なる位置で折り返すように形成された第2折曲部41d,42bを有する。そして、正極接続端子41及び負極接続端子42が絶縁テープ50の表側及び裏側にそれぞれ位置付けられるように、該絶縁テープ50を、正極接続端子41の第2折曲部41d及び負極接続端子42の第2折曲部42bに対して張り付ける。
【0091】
これにより、正極接続端子41の第2折曲部41dと負極接続端子42の第2折曲部42bとの間に絶縁テープ50が位置するため、正極接続端子41と負極接続端子42とを電気的に絶縁することができる。
【0092】
また、上述のように、正極接続端子41及び負極接続端子42にそれぞれ第2折曲部41d,42bを設けることにより、ラミネート形電池1と機器との接続部分をコンパクトな構成にすることができる。しかも、第2折曲部41d,42bを設けることにより、正極接続端子41及び負極接続端子42の変位を、第2折曲部41d,42bで吸収することが可能になる。これにより、ラミネート形電池1または機器に加わった振動を、第2折曲部41d,42bによって吸収することができる。
【0093】
しかも、タブシール部1dにおいて、正極接続端子41及び負極接続端子42とラミネートフィルム外装体20との間にそれぞれ配置された正極側樹脂部45及び負極側樹脂部46も、正極接続端子41のアルミニウムの金属箔41a及び負極接続端子42とともに折り曲げられる。これにより、ラミネート形電池1をよりコンパクトな構成にすることができる。
【0094】
本実施形態では、絶縁テープ50は、正極接続端子41の第2折曲部41dとタブシール部1dとの間から、負極接続端子42の第2折曲部42bを覆う位置まで延びるように配置される。これにより、簡単な構成によって、正極接続端子41と負極接続端子42とを絶縁テープ50によって絶縁することができる。したがって、正極接続端子41と負極接続端子42とが電気的に絶縁されたラミネート形電池1を容易に製造することができる。
【0095】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0096】
前記実施形態では、ラミネートフィルム外装体20の長手方向の両端部に、ラミネート形電池1のシール部1bの側方溶着部1fを折り曲げた状態で固定するための固定用テープ60及び絶縁テープ50が巻かれている。しかしながら、ラミネートフィルム外装体20における正極接続端子41及び負極接続端子42とは反対側の長手方向の端部のみに固定用テープ60が巻かれていてもよいし、ラミネートフィルム外装体20の長手方向の3箇所以上に、固定用テープが巻かれていてもよい。
【0097】
前記実施形態では、絶縁テープ50及び固定用テープ60は、ポリエステルフィルムによって構成されているが、この限りではなく、ポリエステルフィルム以外の材料によって構成されていてもよい。
【0098】
前記実施形態では、ラミネート形電池1のシール部1bの側方溶着部1fが、平面部1c上に重なるように折り曲げられている。しかしながら、側方溶着部1fは、ラミネート形電池1の膨出部1a側に折り曲げられていてもよい。すなわち、側方溶着部1fは、ラミネートフィルム外装体20の厚み方向に折り曲げられていればよい。
【0099】
前記実施形態では、正極接続端子41及び負極接続端子42は、それぞれ、第1折曲部41c,42a及び第2折曲部41d,42bを有するが、この限りではなく、3つ以上の折曲部を有していてもよい。すなわち、正極接続端子41及び負極接続端子42は、平面視で、ラミネートフィルム外装体20の外方に向かって折り返すような折曲部を有していれば、どのような構成であってもよい。
【0100】
前記実施形態では、正極接続端子41は、アルミニウムの金属箔41aとニッケルの金属箔41bとを溶接によって接合しているが、他の手段によって接合されていてもよい。また、正極接続端子41は、一体の金属箔によって構成されていてもよい。正極接続端子41を一体の金属箔によって構成する場合には、負極接続端子42と同様に折曲部を設ければよい。
【0101】
前記実施形態では、負極接続端子42は、一体の金属箔によって構成されているが、複数の部材が溶接された構成であってもよい。
【0102】
前記実施形態では、負極接続端子42の第2折曲部42bを形成した後に該第2折曲部42bを覆うように絶縁テープ50を貼り付けて、その後、正極接続端子41に第2折曲部41dを形成している。しかしながら、この限りではなく、最初に正極接続端子41の第2折曲部41dを形成した後に、該第2折曲部41dを覆うように絶縁テープ50を貼り付けて、その後、負極接続端子42に第2折曲部42bを形成してもよい。また、正極接続端子41の第2折曲部41dと負極接続端子42の第2折曲部42bとを、絶縁テープ50によって、同時にタブシール部1d上に固定してもよい。
【0103】
前記実施形態では、ラミネート形電池は、平面視で矩形状に形成されている。しかしながら、ラミネート形電池は、多角形状など、他の形状であってもよい。
【0104】
前記実施形態では、ラミネート形電池1はリチウムイオン電池である。しかしながら、ラミネート形電池1はリチウムイオン電池以外の電池であってもよい。