(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるような建設機械では、走行中においてガードを支持する支持フレームの特に支柱と梁との結合部ないしその近傍が破損する場合がある。
【0006】
本発明の目的は、支持フレームの破損を抑制可能な建設機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明者らは、特許文献1に記載されるような建設機械では、走行中におけるカウンタウェイトの振動に起因してアッパーフレームが左右方向及び上下方向に回動するように変形し、これにより支持フレームに対して当該支持フレームを変形させるような外力が作用することが原因であることを見出した。ここで、アッパーフレームには前後方向に延びる形状を有する縦板が設けられているため、路面によっては、建設機械の走行中においてカウンタウェイトが振動した場合、アッパーフレームが左右方向と平行な回転中心軸回りに回動するような変形(アッパーフレームの後部の前部に対する上下方向への変位)に比べ、アッパーフレームが前後方向と平行な回転中心軸回りに回動するような変形(アッパーフレームの縦板から右側の部位の縦板から左側の部位に対する上下方向への変位)の方が大きくなる場合がある。例えば、アッパーフレームのうち縦板よりも右側の部位がアッパーフレームのうち縦板よりも左側の部位に対して下方に変位するようにアッパーフレームが変形すると、支持フレームはその変形に追従しようとするため、この支持フレームには、縦板の右側に固定された支柱と当該支柱に結合された梁とのなす角を大きくし、かつ、縦板の左側に固定された支柱と当該支柱に結合された梁とのなす角を小さくするような外力が作用する。しかし、各支柱と梁とは、ボルト等によって互いに強固に結合されているため、この結合部に大きな曲げモーメントが生じる。このため、梁と支柱との結合部ないしその近傍が破損する恐れがある。
【0008】
よって、支持フレームへの曲げモーメントの発生を抑制することによって当該支持フレームの破損を抑制可能であることに想到した。
【0009】
本発明は、このような観点からなされたものであり、建設機械であって、アッパーフレームと、前記アッパーフレームの後部に載置されたカウンタウェイトと、前記アッパーフレームのうち当該アッパーフレームの右側の端部と当該アッパーフレームの左側の端部との間の部位に固定されており、前後方向に延びる形状を有する右縦板と、前記アッパーフレームのうち前記右縦板と当該アッパーフレームの左側の端部との間の部位に固定されており、前後方向に延びる形状を有する左縦板と、前記アッパーフレームのうち前記カウンタウェイトの前方に配置されており、機械室を形成するガードと、前記ガードを当該ガードの内側から支持する支持構造と、を備え、前記支持構造は、前記アッパーフレームのうち前記カウンタウェイトの前方でかつ前記右縦板と前記左縦板との間よりも右側の部位に固定された右前支柱、前記アッパーフレームのうち前記カウンタウェイトの前方でかつ前記右縦板と前記左縦板との間よりも左側の部位に固定された左前支柱、及び、各支柱の上端同士を接続する前方梁を含む支持フレームと、前記支持フレームに設けられた接続構造と、を有し、前記接続構造は、前記支持フレームのうち当該接続構造の一方側に位置する第1部位が前記支持フレームのうち当該接続構造の他方側に位置する第2部位に対して前後方向と平行な回転中心軸回りに回動可能となるように前記第1部位と前記第2部位とを接続する、建設機械を提供する。
【0010】
本建設機械では、カウンタウェイトの振動に起因してアッパーフレームが左右方向に回動するように変形し、これにより支持フレームに対して当該支持フレームが変形するような外力が作用した場合であっても、前記第1部位と前記第2部位とのなす角の角度が変わるように前記第1部位が前記第2部位に対して前後方向と平行な回転中心軸回りに回動するのが許容されるので、前記第1部位と前記第2部位との接続部ないしその近傍への曲げモーメントの発生が抑制される。よって、支持フレームの破損が抑制される。
【0011】
この場合において、前記接続構造は、前記前方梁が前記右前支柱及び前記左前支柱の少なくとも一方に対して前記回転中心軸回りに回動可能となるように、前記右前支柱と前記前方梁との接続部、及び、前記左前支柱と前記前方梁との接続部の少なくとも一方に設けられていることが好ましい。
【0012】
この態様では、梁と支柱との接続部に前記回転中心軸回りに回動可能な接続構造が設けられるので、前方梁の中間部や各支柱の中間部に接続構造が設けられる場合に比べて支持構造の組み立てが簡素化される。
【0013】
さらにこの場合において、前記右前支柱は、前記右縦板に固定された右内支柱と、前記アッパーフレームのうち左右方向について前記右内支柱から外側に離間した部位に固定された右外支柱と、を有し、前記左前支柱は、前記左縦板に固定された左内支柱と、前記アッパーフレームのうち左右方向について前記左内支柱から外側に離間した部位に固定された左外支柱と、を有し、前記前方梁は、前記右外支柱と前記右内支柱とを接続する右側梁と、前記左外支柱と前記左内支柱とを接続する左側梁と、前記右内支柱と前記左内支柱とを接続する中央梁と、を含み、前記接続構造は、前記右側梁及び前記中央梁の少なくとも一方が前記右内支柱に対して前記回転中心軸回りに回動可能となるように前記右側梁及び前記中央梁と前記右内支柱とを接続する右内接続部、及び、前記左側梁及び前記中央梁の少なくとも一方が前記左内支柱に対して前記回転中心軸回りに回動可能となるように前記左側梁及び前記中央梁と前記左内支柱とを接続する左内接続部の少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0014】
このようにすれば、アッパーフレームに対する支持フレームの安定的な保持と支持フレームの破損の抑制とを両立することができる。具体的に、支持フレームは、強度部材である右縦板及び左縦板に固定された右内支柱と左内支柱とを有するので、支持フレームがアッパーフレーム上に安定的に保持される。また、アッパーフレームが左右方向に回動するように変形する際、回転中心軸に近い右縦板及び左縦板を介して支持フレームに対して当該支持フレームを変形させる外力が作用するものの、この態様では、右側梁及び中央梁の少なくとも一方の梁の右内支柱に対する前記回転中心軸回りの回動、及び、左側梁及び中央梁の少なくとも一方の梁の左内支柱に対する前記回転中心軸回りの回動の少なくとも一方が許容される。よって、右側梁及び中央梁と右内支柱との接続部、及び、左側梁及び中央梁と左内支柱との接続部の少なくとも一方への曲げモーメントの発生が抑制される。
【0015】
また、建設機械において、前記接続構造は、前記右側梁が前記右外支柱に対して前記回転中心軸回りに回動可能となるように前記右側梁と前記右外支柱とを接続する右外接続部、及び、前記左側梁が前記左外支柱に対して前記回転中心軸回りに回動可能となるように前記左側梁と前記左外支柱とを接続する左外接続部の少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0016】
このようにすれば、より確実に支持フレームの破損が抑制される。
【0017】
具体的に、前記接続構造は、前記右外接続部及び前記左外接続部の双方を含み、前記右外接続部は、前記右外支柱を前後方向に貫通するように当該右外支柱に形成された右外支柱貫通孔と、前記右側梁が前記右外支柱と前後方向に重なるように配置されたときに前記右外支柱貫通孔と前後方向に重なりかつ当該右側梁を前後方向に貫通するように当該右側梁に形成された右側梁貫通孔と、前記右外支柱貫通孔内及び前記右側梁貫通孔内に挿通可能な形状を有し、かつ、両貫通孔内に挿通された状態で前記右側梁の前記右外支柱に対する前記回転中心軸回りの回動を許容するとともに前記右側梁の前記右外支柱からの離脱を規制する右外連結軸と、を含み、前記左外接続部は、前記左外支柱を前後方向に貫通するように当該左外支柱に形成された左外支柱貫通孔と、前記左側梁が前記左外支柱と前後方向に重なるように配置されたときに前記左外支柱貫通孔と前後方向に重なりかつ当該左側梁を前後方向に貫通するように当該左側梁に形成された左側梁貫通孔と、前記左外支柱貫通孔内及び前記左側梁貫通孔内に挿通可能な形状を有し、かつ、両貫通孔内に挿通された状態で前記左側梁の前記左外支柱に対する前記回転中心軸回りの回動を許容するとともに前記左側梁の前記左外支柱からの離脱を規制する左外連結軸と、を含むことが好ましい。
【0018】
この態様では、右外支柱貫通孔内及び前記右側梁貫通孔内に挿通された右外連結軸は、カウンタウェイトの振動等に起因する右側梁の右外支柱からの離脱の規制し、かつ、右側梁の右外支柱に対する前記回転中心軸回りの回動を許容する。
【0019】
この場合において、前記接続構造は、前記右内接続部及び前記左内接続部の双方を含み、前記右内接続部は、前記右内支柱の上端に形成されており前記右側梁を下方から支持可能な右側支持部と、前記右側梁に形成されており前記右側支持部に支持される右側被支持部と、を有し、前記右側被支持部は、前記右側支持部上において前記回転中心軸回りに回動可能となるように前記右側支持部上に載置されており、前記左内接続部は、前記左内支柱の上端に形成されており前記左側梁を下方から支持可能な左側支持部と、前記左側梁に形成されており前記左側支持部に支持される左側被支持部と、を有し、前記左側被支持部は、前記左側支持部上において前記回転中心軸回りに回動可能となるように前記左側支持部上に載置されていることが好ましい。
【0020】
この態様では、右側支持部上に載置された右側被支持部が、右側梁の右内支柱に対する前記回転中心軸回りの回動を許容し、左側支持部上に載置された左側被支持部が、左側梁の左内支柱に対する前記回転中心軸回りの回動を許容する。また、右側梁は、右外連結軸により右外支柱からの離脱が規制されているため、当該右側梁の右側被支持部を右内支柱の右側支持部上に載置することにより、右側梁の右内支柱に対する回動を許容する構造が簡単に構築される。このことは、左側梁についても同様である。よって、支持構造の組み立てが簡素化される。
【0021】
また、本建設機械において、前記支持フレームは、前記アッパーフレームのうち前記右前支柱よりも後方でかつ前記右縦板よりも右側の部位に固定された右後支柱と、前記アッパーフレームのうち前記左前支柱よりも後方でかつ前記左縦板よりも左側の部位に固定された左後支柱と、前記右前支柱の上端と前記右後支柱の上端とを接続する右外梁と、前記左前支柱の上端と前記左後支柱の上端とを接続する左外梁と、をさらに含み、前記接続構造は、前記右外梁が前記右前支柱及び前記右後支柱の少なくとも一方に対して左右方向と平行な回転中心軸回りに回動可能となるように前記右外梁と前記右前支柱及び前記右後支柱とを接続する右側方接続部と、前記左側梁が前記左前支柱及び前記左後支柱の少なくとも一方に対して左右方向と平行な回転中心軸回りに回動可能となるように前記左外梁と前記左前支柱及び前記左後支柱とを接続する左側方接続部と、をさらに含む、をさらに含むことが好ましい。
【0022】
この態様では、支持フレームに対して当該支持フレームを左右方向と平行な回転中心軸回りに回動させるような外力が作用した場合であっても、右外梁の右前支柱及び右後支柱の少なくとも一方の支柱に対する左右方向と平行な回転中心軸回りの回動が許容され、かつ、左外梁の左前支柱及び左後支柱の少なくとも一方の支柱に対する左右方向と平行な回転中心軸回りの回動が許容される。よって、より確実に支持フレームの破損が抑制される。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、支持フレームの破損を抑制可能な建設機械を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態の建設機械1について、
図1〜
図6を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、建設機械1として油圧ショベルが示されている。
【0026】
図1及び
図2に示されるように、本建設機械1は、右走行クローラ2R及び左走行クローラ2Lを有する下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に設けられたアッパーフレーム3と、カウンタウェイト4と、右縦板5Rと、左縦板5Lと、作業アタッチメント6と、ガード8と、支持構造と、を備えている。
【0027】
カウンタウェイト4は、アッパーフレーム3の後部に設けられている。
【0028】
右縦板5Rは、アッパーフレーム3のうち当該アッパーフレーム3の右側の端部と当該アッパーフレーム3の左側の端部との間の部位に固定されている。右縦板5Rは、アッパーフレーム3から起立するとともに前後方向に延びる形状を有する。
【0029】
左縦板5Lは、アッパーフレーム3のうち右縦板5Rと当該アッパーフレーム3の左側の端部との間の部位に固定されている。左縦板5Lは、アッパーフレーム3から起立するとともに前後方向に延びる形状を有する。
【0030】
作業アタッチメント6は、アッパーフレーム3に対して起伏可能となるように右縦板5R及び左縦板5Lに装着されている。作業アタッチメント6は、ブーム6aと、ブーム6aの先端部に連結されたアーム6bと、アーム6bの先端部に当該先端部に対して揺動可能に取り付けられたバケット6cと、を有する。ブーム6aは、ブームシリンダ6dの伸縮動作によってアッパーフレーム3に対して起伏する。アーム6bは、アームシリンダ6eの伸縮動作によってブーム6aに対して揺動する。バケット6cは、バケットシリンダ6fの伸縮動作によってアーム6bに対して揺動する。ブームシリンダ6d、アームシリンダ6e及びバケットシリンダ6fは、それぞれ油圧式の油圧シリンダからなる。
【0031】
アッパーフレーム3にはキャブ室7が設けられている。キャブ室7は、アッパーフレーム3のうち左縦板5Lの左側の部位に配置されている。
【0032】
ガード8は、エンジン(図示略)等を収容する機械室を形成する。なお、
図2では、ガード8の図示は省略されている。
【0033】
支持構造は、ガード8を当該ガード8の内側から支持する。支持構造は、支持フレーム10と、支持フレーム10に設けられた接続構造と、を有する。
【0034】
支持フレーム10は、複数の支柱と複数の梁とを有しており、エンジン等を収容可能な空間を画定する。具体的に、支持フレーム10は、右前支柱110と、左前支柱120と、右後支柱130と、左後支柱140と、前方梁150と、右外梁160と、左外梁170と、後方梁180と、を有している。
【0035】
右前支柱110は、アッパーフレーム3のうちカウンタウェイト4の前方でかつ右縦板5Rと左縦板5Lとの間よりも右側の部位に固定されている。本実施形態では、右前支柱110は、右縦板5Rの上面に固定された右内支柱112と、アッパーフレーム3のうち左右方向について右内支柱112から外側に離間した部位(アッパーフレーム3の右端の部位)に固定された右外支柱114と、を有している。右内支柱112の長さ寸法は、右外支柱114の長さ寸法よりも小さく設定されている。
【0036】
左前支柱120は、アッパーフレーム3のうちカウンタウェイト4の前方でかつ右縦板5Rと左縦板5Lとの間よりも左側の部位に固定されている。本実施形態では、左前支柱120は、左縦板5Lの上面に固定された左内支柱122と、アッパーフレーム3のうち左右方向について左内支柱122から外側に離間した部位(アッパーフレーム3の左端の部位)に固定された左外支柱124と、を有している。左内支柱122の長さ寸法は、左外支柱124の長さ寸法よりも小さく設定されている。右外支柱114、右内支柱112、左内支柱122及び左外支柱124は、アッパーフレーム3の右側の端部から左側の端部に向かってこの順に直線状に並ぶように配置されている。
【0037】
右後支柱130は、アッパーフレーム3のうち右外支柱114の後方の部位に固定されている。左後支柱140は、アッパーフレーム3のうち左外支柱124の後方の部位に固定されている。
【0038】
前方梁150は、右前支柱110の上端と左前支柱120の上端とを接続する。前方梁150は、左右方向に沿って直線状に延びる形状を有する。本実施形態では、前方梁150は、右外支柱114と右内支柱112とを接続する右側梁152と、左外支柱124と左内支柱122とを接続する左側梁154と、右内支柱112と左内支柱122とを接続する中央梁156と、を有している。
【0039】
右外梁160は、右外支柱114の上端と右後支柱130の上端とを接続する。左外梁170は、左外支柱124と左後支柱140の上端とを接続する。右外梁160及び左外梁170は、それぞれ前後方向に沿って直線状に延びる形状を有する。
【0040】
後方梁180は、右後支柱130の上端と左後支柱140の上端とを接続する。後方梁180は、左右方向に沿って直線状に延びる形状を有する。
【0041】
接続構造は、支持フレーム10のうち当該接続構造の一方側に位置する第1部位が支持フレーム10のうち当該接続構造の他方側に位置する第2部位に対して前後方向と平行な回転中心軸回りに回動可能となるように第1部位と第2部位とを接続する。本実施形態では、前記第1部位は、梁に相当し、前記第2部位は、支柱に相当する。つまり、接続構造は、梁が支柱に対して前後方向と平行な回転中心軸回りに回動可能となるように、換言すれば、梁と支柱とのなす角の角度が変わるのを許容するように梁と支柱とを接続している。具体的に、接続構造は、右内接続部210と、右外接続部220と、左内接続部230と、左外接続部240と、を含んでいる。
【0042】
右内接続部210は、右側梁152及び中央梁156の少なくとも一方が右内支柱112に対して前記回転中心軸回りに回動可能となるように右側梁152及び中央梁156と右内支柱112とを接続する。本実施形態では、右内接続部210は、右側梁152及び中央梁156の双方が右内支柱112に対して前記回転中心軸回りに回動可能となるように右側梁152及び中央梁156と右内支柱112とを接続する。
【0043】
右外接続部220は、右側梁152が右外支柱114に対して前記回転中心軸回りに回動可能となるように右側梁152と右外支柱114とを接続する。
【0044】
左内接続部230は、左側梁154及び中央梁156の少なくとも一方が左内支柱122に対して前記回転中心軸回りに回動可能となるように左側梁154及び中央梁156と左内支柱122とを接続する。本実施形態では、左内接続部230は、左側梁154及び中央梁156の双方が左内支柱122に対して前記回転中心軸回りに回動可能となるように左側梁154及び中央梁156と左内支柱122とを接続する。
【0045】
左外接続部240は、左側梁154が左外支柱124に対して前記回転中心軸回りに回動可能となるように左側梁154と左外支柱124とを接続する。
【0046】
以下、
図3〜
図5を参照しながら、各接続部210〜240の具体的な構造について、右外接続部220、右内接続部210、左外接続部240及び左内接続部230の順に説明する。
【0047】
右外支柱114は、前後方向に互いに対向する前壁114f及び後壁114rと、前壁114f及び後壁114rの側端部(本実施形態では右端部)同士を連結する側壁114sと、を有している。前壁114fの上部及び後壁114rの上部には、当該壁114f,114rを前後方向に貫通する右外支柱貫通孔114aが形成されている。
【0048】
右側梁152は、前後方向に互いに対向する前壁152f及び後壁152rと、前壁152f及び後壁152rの上端部同士を連結する上壁152uと、を有している。右側梁152の前壁152f及び後壁152r間の寸法は、右外支柱114の前壁114f及び後壁114r間の寸法よりも大きく設定されている。
図4及び
図5に示されるように、前壁152fの右側の端部及び後壁152rの右側の端部には、右側梁152の前壁152fが右外支柱114の前壁114fの前方に位置するとともに右側梁152の後壁152rが右外支柱114の後壁114rの後方に位置するように右側梁152が右外支柱114に重ね合されたときに、右外支柱貫通孔114aと前後方向に重なりかつ前壁152f及び後壁152rを前後方向に貫通する右側梁貫通孔152aが形成されている。
【0049】
図3及び
図5に示されるように、右外支柱114と右側梁152とは、右外支柱貫通孔114a及び右側梁貫通孔152a内に挿通可能な形状を有する右外連結軸222により連結されている。なお、
図4では、右外連結軸222の図示は省略されている。右外連結軸222の径は、右外支柱貫通孔114aの径及び右側梁貫通孔152aの径よりも小さく設定されている。右外連結軸222は、抜止部材224を取り付け可能な取付部222aを有している。抜止部材224は、右外連結軸222の右外支柱114及び右側梁152からの離脱を防止する。本実施形態では、抜止部材224としてEリングが用いられている。また、右外連結軸222が右外支柱貫通孔114a及び右側梁貫通孔152a内に挿通された状態において、右外支柱114の上端と右側梁152の上壁152uとの間には、右外支柱114の上端と上壁152uとの干渉を回避可能な程度の隙間が形成されている。
【0050】
以上の構造により、右側梁152及び右外支柱114は、前後方向と平行な回転中心軸回りに回動可能となるように(右側梁152と右外支柱114とのなす角の角度が変わるのを許容するように)互いに接続される。すなわち、右外支柱貫通孔114a、右側梁貫通孔152a及び右外連結軸222が、「右外接続部220」を構成する。以下、梁の支柱に対する前記回転中心軸回りの回動が許容されるように当該梁と支柱とが連結軸により連結される構造を「連結軸接続構造」という。
【0051】
次に、右内接続部210について説明する。
【0052】
右内支柱112は、前後方向に互いに対向する前壁112f及び後壁112rと、前壁112f及び後壁112rの側端部同士を連結する側壁112sと、を有している。前壁112fの上部及び後壁112rの上部には、当該壁112f,112rを前後方向に貫通する右内支柱貫通孔112aが形成されている。右内支柱112の上端部は、右側梁152の左側の端部を支持する右側支持部112bを構成する。本実施形態では、右側支持部112bは、中央梁156を介して右側梁152の左側の端部を支持している。
【0053】
右側梁152の上壁152uは、右側梁152の前壁152fの左側の端部及び後壁152rの左側の端部よりも左側に向かって延びる形状を有している。この上壁152uの左側の端部は、右側支持部112bに支持される右側被支持部152bを構成する。右側被支持部152bは、右側支持部112b上に載置されている。
【0054】
以上の構造により、右側梁152及び右内支柱112は、前後方向と平行な回転中心軸回りに回動可能となるように(右側梁152と右内支柱112とのなす角の角度が変わるのを許容するように)互いに接続される。すなわち、右側支持部112b、右側被支持部152bが、「右内接続部210」を構成する。以下、梁の支柱に対する前記回転中心軸回りの回動が許容すれるように当該梁が支柱上に載置される構造を「載置構造」という。
【0055】
また、中央梁156と右内支柱112とは、右外接続部220と同じ連結軸接続構造で接続されている。具体的に、中央梁156と右内支柱112とは、右内支柱貫通孔112aと中央梁156の右側の端部に形成された中央梁貫通孔156aとに挿通された中央連結軸212(
図3を参照)により連結されている。すなわち、本実施形態では、右内支柱貫通孔112a、中央梁貫通孔156a及び中央連結軸212も、「右内接続部210」を構成する。
【0056】
次に、左外接続部240について説明する。
【0057】
左外接続部240の構造は、右外接続部220と同じ連結軸接続構造であるので、説明を簡略化する。すなわち、左外支柱124の上部に形成された左外支柱貫通孔124a、左側梁154の左側の端部に形成された左側梁貫通孔154a及び両貫通孔124a,154a内に挿通可能な形状を有する左外連結軸242が、「左外接続部240」を構成する。
【0058】
次に、左内接続部230について説明する。この左内接続部230は、載置構造で接続されている。
【0059】
左内支柱122は、前後方向に互いに対向する前壁122f及び後壁122rと、前壁122f及び後壁122rの側端部同士を連結する側壁122sと、を有している。前壁122f及び後壁122rの上端部は、下方に向かうにしたがって次第に左右方向の寸法が大きくなりかつ左側に向かって凸となるように湾曲する形状に形成されている。この左内支柱122の上端部は、左側梁154の右側の端部を支持する左側支持部122bを構成する。本実施形態では、左側支持部122bは、中央梁156を介して左側梁154の右側の端部を支持している。
【0060】
左側梁154の上壁154uの右側の端部は、左側支持部122bに支持される左側被支持部154bを構成する。左側被支持部154bは、左側支持部122b上に載置されている。
【0061】
以上の構造により、左側梁154及び左内支柱122は、前後方向と平行な回転中心軸回りに回動可能となるように(左側梁154と左内支柱122とのなす角の角度が変わるのを許容するように)互いに接続される。すなわち、左側支持部122b及び左側被支持部154bが、「左内接続部230」を構成する。
【0062】
また、
図4に示されるように、中央梁156の左側の端部は、右側に向かうにしたがって次第に上下方向の寸法が大きくなりかつ上方に向かって凸となるように湾曲する形状に形成されている。この中央梁156の左側の端部の曲率半径は、左側支持部122bの曲率半径よりも大きく設定されている。中央梁156の左側の端部は、左側支持部122b上に載置されている。つまり、中央梁156の左側の端部は、左側支持部122bに支持される中央被支持部156bを構成する。中央被支持部156bは、前後方向と平行な回転中心軸回りに回動可能となるように左側支持部122bに支持されている。すなわち、本実施形態では、左側支持部122b及び中央被支持部156bも、「左内接続部230」を構成する。
【0063】
本実施形態では、接続構造は、右側方接続部250と、左側方接続部(図示略)と、をさらに含んでいる。
【0064】
右側方接続部250は、右外梁160が右外支柱114及び右後支柱130の少なくとも一方に対して左右方向と平行な回転中心軸回りに回動可能となるように右外梁160と右外支柱114及び右後支柱130とを接続する。本実施形態では、右側方接続部250は、右外梁160が右外支柱114及び右後支柱130の双方に対して左右方向と平行な回転中心軸回りに回動可能となるように右外梁160と右外支柱114及び右後支柱130とを接続する。右側方接続部250は、連結軸接続構造で接続されている。右外梁160と右外支柱114との接続部の構造と、右外梁160と右後支柱130との接続部の構造と、は互いに同じであるので、以下、右外梁160と右外支柱114との接続部の構造について説明する。
【0065】
右外支柱114の側壁114sの上部には、当該側壁114sを左右方向に貫通する右側方貫通孔が形成されている。
【0066】
右外梁160は、右外支柱114の側壁114sと平行でかつ前後方向に延びる形状を有する外壁160sと、外壁160sの上端から左側に向かって延びる形状を有する上壁160uと、を有している。
【0067】
外壁160sの前側の端部には、当該外壁160sが右外支柱114の側壁114sの右側に位置するように右外梁160が右外支柱114に重ね合されたときに、右側方貫通孔と左右方向に重なりかつ当該外壁160sを左右方向に貫通する右外梁貫通孔が形成されている。
【0068】
上壁160uの前端部は、右側梁152から後方に離間した位置(右側梁152と上下方向に重ならない位置)に設定されている。そして、右外支柱114と右外梁160とは、右外接続部220と同様に、右側方貫通孔及び右外梁貫通孔内に挿通された右外連結軸252及び抜止部材により接続されている。このため、右外梁160の右外支柱114に対する左右方向と平行な回転中心軸回りの回動が許容される。すなわち、右側方貫通孔、右外梁貫通孔及び右外連結軸252が、「右側方接続部250」を構成する。
【0069】
左側方接続部は、支持フレーム10の左右方向の中央を通りかつアッパーフレーム3と直交する面を基準として右側方接続部250と対称な構造を有するので、左側方接続部の説明は省略する。
【0070】
以上に説明した建設機械では、走行中、カウンタウェイト4の振動に起因してアッパーフレーム3が左右方向に回動するように変形し、これにより支持フレーム10に対して当該支持フレーム10が変形するような外力が作用する場合がある。本実施形態では、支持フレーム10に接続構造が設けられているので、すなわち、支持フレーム10のうち接続構造の一方側に位置する第1部位(梁)が支持フレーム10のうち接続構造の他方側に位置する第2部位(支柱)に対して前後方向と平行な回転中心軸回りに回動することが許容されているので、前記第1部位と前記第2部位との接続部ないしその近傍への曲げモーメントの発生が抑制される。例えば、
図6は、アッパーフレーム3の変形に起因して右外支柱114が右内支柱112に対して上方に変位するとともに左外支柱124が左内支柱122に対して下方に変位するような外力が支持フレーム10に作用した場合の当該支持フレーム10の状態を示している。この場合、本実施形態では、右外接続部220により、右側梁152と右外支柱114とのなす角の角度が小さくなるように右側梁152が右外支柱114に対して前記回転中心軸回りに回動することが許容されるので、右側梁152と右外支柱114との接続部ないしその近傍への曲げモーメントの発生が抑制される。このことは、右内接続部210、左内接続部230及び左外接続部240についても同様である。よって、支持フレーム10の破損が抑制される。
【0071】
また、支持フレーム10は、強度部材である右縦板5R及び左縦板5Lに固定された右内支柱112と左内支柱122とを有するので、支持フレーム10がアッパーフレーム3上に安定的に保持される。また、アッパーフレーム3が左右方向に回動するように変形する際、回転中心軸に近い右縦板5R及び左縦板5Lを介して支持フレーム10に対して当該支持フレーム10を変形させる外力が作用するものの、本実施形態では、右側梁152及び中央梁156の双方の梁の右内支柱112に対する前記回転中心軸回りの回動、及び、左側梁154及び中央梁156の双方の梁の左内支柱122に対する前記回転中心軸回りの回動が許容される。よって、右側梁152及び中央梁156と右内支柱112との接続部への曲げモーメントの発生、及び、左側梁及び中央梁と左内支柱との接続部への曲げモーメントの発生が抑制される。
【0072】
また、本実施形態では、右側梁152、左側梁154及び中央梁156は、それぞれ、左右方向におけるいずれか一方側の端部が連結軸接続構造で接続されており、他方が載置構造で接続されている。このため、各梁152,154,156の両側の端部が全て連結軸構造で接続される場合に比べ、各梁152,154,156の各支柱からの脱落の防止しつつ、支持フレーム10の組立てを簡素化することができる。
【0073】
また、本実施形態では、接続構造が右側方接続部250及び左側方接続部を有するので、支持フレーム10に対して当該支持フレーム10を左右方向と平行な回転中心軸回りに回動させるような外力が作用した場合であっても、支持フレーム10の破損が抑制される。
【0074】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0075】
上記実施形態では、各梁と各支柱との接続部に接続構造が設けられた例が示されたが、接続構造は、各梁の中間部や各支柱の中間部に設けられてもよい。ただし、接続構造は、上記実施形態のように、梁と支柱との接続部に設けられることが好ましい。このようにすれば、各梁の中間部や各支柱の中間部に接続構造が設けられる場合に比べて支持構造の組み立てが簡素化される。
【0076】
また、接続構造は、少なくとも1つの接続部を含んでいればよい。接続構造が単一の接続部のみを有する場合、その接続部の構造は、連結軸接続構造または載置構造のいずれであってもよい。この場合、他の梁及び柱の接続部は、溶接等により互いに強固に結合される。
【0077】
また、各接続部210〜250は、全て連結軸接続構造であってもよい。あるいは、右内接続部210及び左内接続部230が連結軸接続構造で接続され、右外接続部220及び左外接続部240が載置構造で接続されてもよい。
【0078】
また、右内支柱112及び左内支柱122のいずれか一方の支柱、換言すれば、右内接続部210及び左内接続部230のいずれか一方の接続部は、省略されてもよい。この場合、右外接続部220及び左外接続部240は、ともに連結軸接続構造で接続され、右内接続部210及び左内接続部230のいずれか他方の接続部は、載置構造で接続されることが好ましい。あるいは、右内接続部210及び左内接続部230の両方が省略されてもよい。この場合、右外接続部220及び左外接続部240のいずれか一方が連結軸接続構造で接続され、他方が載置構造で接続されることが好ましい。
【0079】
また、右内支柱112は、右縦板5Rの上面に固定される形態に限られない。右内支柱112は、アッパーフレーム3のうち右縦板5Rと右外支柱114との間の部位に固定されてもよい。このことは、左内支柱122についても同様である。
【0080】
また、連結軸接続構造において、梁及び支柱の少なくとも一方が連結軸に対して相対回転可能であれば(連結軸の径が貫通孔の径よりも小さければ)、連結軸の構造は、
図5に示される例に限られない。
図7には、例として、右外接続部210の変形例が示されている。この
図7に示されるように、右外連結軸222は、貫通孔114a,152aの径よりも小さな外径を有する円筒状の筒部221と、筒部221内に挿通されたボルト223と、を有するものであってもよい。この場合、抜止部材224としてナットが用いられる。
【0081】
また、連結軸接続構造において、梁が支柱に対して前後方向と平行な回転中心軸回りに回動可能であれば(支柱の上端と梁の上壁との干渉が回避可能であれば)、支柱の上端の形状は、上記の例に限られない。
図8には、左外接続部240の変形例が示されている。この
図8に示されるように、左外支柱124の上端は、左右方向の中央部から左右方向の外側に向かうにしたがって次第に下方に向かうように傾斜する形状に形成されてもよい。