(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
炭素含有固体燃料をガス化するガス化炉にて生成された生成ガスから分離回収した粉体が流通する経路に設けられたストレーナにて捕捉された異物を除去する異物除去装置であって、
前記ストレーナをパージガスによって逆洗して脱離された異物を該パージガスとともに搬送する異物搬送経路と、
該異物搬送経路の下流に設けられた異物除去容器と、
該異物除去容器内に設けられ、前記異物を捕捉する異物除去フィルタと、
前記異物除去容器に接続され、前記異物除去フィルタを通過したガスを排気する排気経路と、
該排気経路に設けられた排気弁と、
該排気弁を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記異物搬送経路から前記異物及び前記パージガスを前記異物除去容器内に受け入れて、前記異物除去フィルタを通過したガスを、前記排気弁を制御して前記異物除去容器から排気して、前記異物除去容器の圧力上昇速度を緩和することを特徴とする異物除去装置。
炭素含有固体燃料をガス化するガス化炉にて生成された生成ガスから分離回収した粉体を流通する経路に設けられたストレーナにて捕捉された異物を除去する異物除去装置を用いた異物除去方法であって、
前記異物除去装置は、
前記ストレーナをパージガスによって逆洗して脱離された異物を該パージガスとともに搬送する異物搬送経路と、
該異物搬送経路の下流に設けられた異物除去容器と、
該異物除去容器内に設けられ、前記異物を捕捉する異物除去フィルタと、
前記異物除去容器に接続され、前記異物除去フィルタを通過したガスを排気する排気経路と、
該排気経路に設けられた排気弁と、
を備え、
前記異物搬送経路から前記異物及び前記パージガスを前記異物除去容器内に受け入れて、前記異物除去フィルタを通過したガスを、前記排気弁を制御して前記異物除去容器から排気して、前記異物除去容器の圧力上昇速度を緩和することを特徴とする異物除去方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
逆洗によってストレーナから脱離された異物は、異物除去ホッパで回収される。この逆洗は、異物除去ホッパ内の圧力をストレーナ側のパージ用窒素ガス供給配管の圧力よりも低くすることによって、パージガスがストレーナの逆洗方向へ通過して異物除去ホッパへ供給されることで行われる。そして、異物除去ホッパ内の圧力とパージ用窒素ガス供給配管の圧力とが均圧すると、逆洗が終了する。逆洗によって異物除去ホッパ内に捕集された異物は、異物回収タンクで回収される。
【0005】
上述のように、異物除去ホッパ内の圧力とパージ用窒素ガス供給配管の圧力との圧力差によって逆洗時の窒素ガスの流れの状態が決まるが、異物除去ホッパ内のガスを排気せずに逆洗を行うと、逆洗開始時の圧力差で逆洗効果が決まってしまう。したがって、逆洗開始時の異物除去ホッパ内の圧力が一定であれば、逆洗の経過とともに異物除去ホッパ内の圧力が上昇してゆき、異物除去ホッパ内の圧力とパージ用窒素ガス供給配管の圧力とが均圧して逆洗が終了するので、常に逆洗効果は一定となってしまう。
しかし、例えばストレーナの汚れの状況がひどい場合も逆洗効果が同じとなってしまうと、ストレーナの汚れを十分に除去できないおそれがある。特に、ガス化炉の負荷変化時はチャー搬送配管に滞留した異物が飛散してストレーナの詰まりが多くなる場合があり、このような場合には逆洗効果を高める必要がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、逆洗時間を可及的に長くしてストレーナの逆洗効果を向上させることができる異物除去装置、ガス化設備およびガス化複合発電設備ならびに異物除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の異物除去装置、ガス化設備およびガス化複合発電設備ならびに異物除去方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる異物除去装置は、炭素含有固体燃料をガス化するガス化炉にて生成された生成ガスから分離回収した粉体が流通する経路に設けられたストレーナにて捕捉された異物を除去する異物除去装置であって、前記ストレーナをパージガスによって逆洗して脱離された異物を該パージガスとともに搬送する異物搬送経路と、該異物搬送経路の下流に設けられた異物除去容器と、該異物除去容器内に設けられ、前記異物を捕捉する異物除去フィルタと、前記異物除去容器に接続され、前記異物除去フィルタを通過したガスを排気する排気経路と、該排気経路に設けられた排気弁と、該排気弁を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記異物搬送経路から前記異物及び前記パージガスを前記異物除去容器内に受け入れて、前記異物除去フィルタを通過したガスを、前記排気弁を制御して前記異物除去容器から排気して、前記異物除去容器の圧力上昇速度を緩和することを特徴とする。
【0008】
異物搬送経路から異物及びパージガスを受け入れている間、異物除去容器内からは排気を行い、排気による減圧もすることとしたので、異物除去容器内から排気しない場合に比べて、異物搬送経路と異物除去容器との間の差圧を維持、もしくは差圧が少なくなるまでの時間を長くなるような状態を長く確保できる。これにより、異物除去ホッパの圧力上昇速度が緩和されて、異物除去容器内で異物及びパージガスを受け入れることができる時間を長くすることができ、ストレーナの逆洗効果を向上させることができる。
【0009】
さらに、本発明の異物除去装置では、前記制御部は、前記異物除去フィルタの許容通過流速から決まる限界流速に基づいて前記排気弁を制御することを特徴とする。
【0010】
異物除去フィルタの許容通過流速から決まる限界流速に基づいて排気弁を制御することで、異物除去フィルタを損傷させない範囲で可能な限り異物除去容器からの排気流量を大きくすることができ、逆洗効果を向上させることができる。限界流速を超えず、かつ限界流速に近い値となるように排気弁を制御することが好ましい。例えば、限界流速に対して0%〜30%下回った流速を目標値として排気弁を制御する。
【0011】
また、本発明のガス化設備は、炭素含有固体燃料をガス化するガス化炉と、該ガス化炉にて生成した生成ガスから分離回収した粉体を貯留する粉体ホッパと、該粉体ホッパから導かれた粉体から捕捉した異物をストレーナから除去する上記のいずれかに記載された異物除去装置とを備えていることを特徴とする。
【0012】
上記の異物除去装置を備えているので、メンテナンス性の高いガス化設備を提供することができる。
【0013】
また、本発明のガス化複合発電設備は、炭素含有固体燃料を燃焼・ガス化することで生成ガスを生成する上記のガス化設備と、前記ガス化設備で生成した前記生成ガスの少なくとも一部を燃焼させることで回転駆動するガスタービンと、該ガスタービンによって回転駆動されて発電する発電機とを備えていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の異物除去方法は、炭素含有固体燃料をガス化するガス化炉にて生成された生成ガスから分離回収した粉体を流通する経路に設けられたストレーナにて捕捉された異物を除去する異物除去装置を用いた異物除去方法であって、前記異物除去装置は、前記ストレーナをパージガスによって逆洗して脱離された異物を該パージガスとともに搬送する異物搬送経路と、該異物搬送経路の下流に設けられた異物除去容器と、該異物除去容器内に設けられ、前記異物を捕捉する異物除去フィルタと、前記異物除去容器に接続され、前記異物除去フィルタを通過したガスを排気する排気経路と、該排気経路に設けられた排気弁とを備え、前記異物搬送経路から前記異物及び前記パージガスを前記異物除去容器内に受け入れて、前記異物除去フィルタを通過したガスを、前記排気弁を制御して前記異物除去容器から排気して、前記異物除去容器の圧力上昇速度を緩和することを特徴とする。
【0015】
異物搬送経路から異物及びパージガスを受け入れている間、異物除去容器から排気することとしたので、異物除去容器から排気しない場合に比べて、異物搬送経路と異物除去容器との間の差圧を確保できる。これにより、異物除去容器内で異物及びパージガスを受け入れることができる時間を長くすることができ、ストレーナの逆洗効果を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
異物搬送経路から異物及びパージガスを受け入れている間、異物除去容器内を減圧することとしたので、逆洗時間を長くすることができ、ストレーナの逆洗効果を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
図6には、本発明の一実施形態に係るガス化装置を適用した石炭ガス化複合発電設備50が示されている。
【0020】
石炭ガス化複合発電設備(ガス化複合発電設備)50は、石炭をガス化するガス化炉5の酸化剤として空気を用いており、ガス化炉5において、燃料から生成ガスを生成する空気燃焼方式を採用している。そして、石炭ガス化複合発電設備50は、ガス化炉5で生成した生成ガスを、ガス精製装置60で精製して燃料ガスとした後、ガスタービン設備80に供給して発電を行っている。すなわち、石炭ガス化複合発電設備50は、空気燃焼方式の発電設備となっている。ガス化炉5に供給する燃料としては、例えば、石炭等の炭素含有固体燃料が用いられる。
【0021】
石炭ガス化複合発電設備50は、給炭装置81と、ガス化炉5と、チャー回収装置82と、ガス精製装置60と、ガスタービン設備80と、蒸気タービン設備18と、発電機83と、排熱回収ボイラ84とを有している。
【0022】
給炭装置81は、原炭として炭素含有固体燃料である石炭が供給され、石炭ミルなどで粉砕することで、細かい粒子状に粉砕した微粉炭を製造する。給炭装置81で製造された微粉炭は、後述する空気分離装置85から供給される搬送用イナートガスとしての窒素ガスによって加圧してガス化炉5へ向けて供給される。イナートガスとは、酸素含有率が約5体積%以下の不活性ガスであり、窒素ガスや二酸化炭素ガスやアルゴンガスなどが代表例であるが、必ずしも約5%以下に制限されるものではない。
【0023】
ガス化炉5は、給炭装置81で製造された微粉炭が供給されると共に、チャー回収装置82で回収されたチャーが戻されて再利用可能に供給されている。
【0024】
また、ガス化炉5には、ガスタービン設備80の圧縮機61からの圧縮空気供給ライン86が接続されており、ガスタービン設備80で圧縮された圧縮空気がガス化炉5に供給可能となっている。空気分離装置85は、大気中の空気から窒素と酸素を分離生成するものであり、第1窒素供給ライン87によって空気分離装置85とガス化炉5とが接続されている。そして、この第1窒素供給ライン87には、給炭装置81からの給炭ライン81aが接続されている。また、第1窒素供給ライン87から分岐する第2窒素供給ライン88もガス化炉5に接続されており、この第2窒素供給ライン88には、チャー回収装置82からのチャー戻しライン89が接続されている。更に、空気分離装置85は、酸素供給ライン90によって、圧縮空気供給ライン86と接続されている。そして、空気分離装置85によって分離された窒素は、第1窒素供給ライン87及び第2窒素供給ライン88を流通することで、石炭やチャーの搬送用ガスとして利用される。また、空気分離装置85によって分離された酸素は、酸素供給ライン90及び圧縮空気供給ライン86を流通することで、ガス化炉5において酸化剤として利用される。
【0025】
ガス化炉5は、例えば、2段噴流床形式のガス化炉を有している。ガス化炉5は、内部に供給された石炭およびチャーを酸化剤により部分燃焼させることでガス化させ可燃性ガスを生成する。なお、ガス化炉5は、微粉炭に混入した異物やスラグを除去するスラグ除去装置48が設けられている。なお、ガス化炉5は噴流床ガス化炉に限らず、流動床ガス化炉や固定床ガス化炉としてもよい。そして、このガス化炉5には、チャー回収装置82に向けて可燃性ガスを供給するガス生成ライン6が接続されており、チャーを含む可燃性ガスが排出可能となっている。この場合、ガス生成ライン6にガス冷却器としてシンガスクーラ(例えば
図1の符号7参照)を設けることで、可燃性ガスを所定温度まで冷却してからチャー回収装置82に供給してもよい。
【0026】
チャー回収装置82は、脱塵設備10とチャー供給ホッパ15とを有している。この場合、脱塵設備10は、1つまたは複数のポーラスフィルタやサイクロンにより構成され、ガス化炉5で生成された可燃性ガスに含有するチャーを分離することができる。そして、チャーが分離された可燃性ガスは、ガス排出ライン53を通してガス精製装置60に送られる。チャー供給ホッパ15は、脱塵設備10で可燃性ガスから分離されたチャーを貯留するものである。なお、脱塵設備10とチャー供給ホッパ15との間にビンを配置し、このビンに複数のチャー供給ホッパ15を接続するように構成してもよい。そして、チャー供給ホッパ15からのチャー戻しライン89が第2窒素供給ライン88に接続されている。
【0027】
ガス精製装置60は、チャー回収装置82によりチャーが分離された可燃性ガスに対して、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物を取り除くことで、ガス精製を行うものである。そして、ガス精製装置60は、可燃性ガスを精製して燃料ガスを製造し、これをガスタービン設備80に供給する。なお、チャーが分離された可燃性ガス中にはまだ硫黄分が含まれているため、このガス精製装置60では、アミン吸収液によって硫黄分を除去することで、硫黄分を最終的には石膏として回収し、有効利用する。
【0028】
ガスタービン設備80は、圧縮機61、燃焼器62、タービン63を有しており、圧縮機61とタービン63とは、回転軸64により連結されている。燃焼器62には、圧縮機61からの圧縮空気供給ライン65が接続されると共に、ガス精製装置60からの燃料ガス供給ライン66が接続され、また、タービン63に向かって延びる燃焼ガス供給ライン67が接続されている。また、ガスタービン設備80は、圧縮機61からガス化炉5に延びる圧縮空気供給ライン86が設けられており、中途部に昇圧機68が設けられている。従って、燃焼器62では、圧縮機61から供給された圧縮空気の一部とガス精製装置60から供給された燃料ガスの少なくとも一部とを混合して燃焼させることで高温高圧の燃焼ガスを発生させ、発生させた燃焼ガスをタービンへ向けて供給する。そして、タービン63は、供給された燃焼ガスにより回転軸64を回転駆動させることで発電機83を回転駆動させる。
【0029】
蒸気タービン設備18は、ガスタービン設備80の回転軸64に連結されるタービン69を有しており、発電機83は、この回転軸64の基端部に連結されている。排熱回収ボイラ84は、ガスタービン設備80からの排ガスライン70が接続されており、給水と高温の排ガスとの間で熱交換を行うことで、蒸気を生成するものである。そして、排熱回収ボイラ84は、蒸気タービン設備18のタービン69との間に蒸気供給ライン71が設けられると共に、蒸気回収ライン72が設けられ、蒸気回収ライン72に復水器73が設けられている。また、排熱回収ボイラ84で生成する蒸気には、ガス化炉5の熱交換器で生成ガスと熱交換して生成された蒸気を排熱回収ボイラ84で更に熱交換したものを含んでもよい。従って、蒸気タービン設備18では、排熱回収ボイラ84から供給された蒸気によりタービン69が回転駆動し、回転軸64を回転駆動させることで発電機83を駆動させる。
【0030】
そして、排熱回収ボイラ84で熱が回収された排ガスは、ガス浄化装置74により有害物質を除去され、浄化された排ガスは、煙突75から大気へ放出される。
【0031】
次に上記の石炭ガス化複合発電設備50の作動について説明する。
【0032】
石炭ガス化複合発電設備50において、給炭装置81に原炭が供給されると、石炭は、給炭装置81において細かい粒子状に粉砕されることで微粉炭となる。給炭装置81で製造された微粉炭は、空気分離装置85から供給される窒素により第1窒素供給ライン87を流通してガス化炉5に供給される。また、後述するチャー回収装置82で回収されたチャーが、空気分離装置85から供給される窒素により第2窒素供給ライン88を流通してガス化炉5に供給される。更に、後述するガスタービン設備80から抽気された圧縮空気が昇圧機68で昇圧された後、空気分離装置85から供給される酸素と共に圧縮空気供給ライン86を通してガス化炉5に供給される。
【0033】
ガス化炉5では、供給された微粉炭及びチャーが圧縮空気により燃焼し、微粉炭及びチャーがガス化することで、可燃性ガスを生成する。そして、この可燃性ガスは、ガス化炉5からガス生成ライン6を通って排出され、チャー回収装置82に送られる。
【0034】
このチャー回収装置82にて、可燃性ガスは、まず、脱塵設備10に供給されることで、可燃性ガスに含有する微粒のチャーが分離される。そして、チャーが分離された可燃性ガスは、ガス排出ライン53を通してガス精製装置60に送られる。一方、可燃性ガスから分離した微粒チャーは、チャー供給ホッパ15に堆積され、チャー戻しライン89を通ってガス化炉5に戻されてリサイクルされる。
【0035】
チャー回収装置82によりチャーが分離された可燃性ガスは、ガス精製装置60にて、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物が取り除かれてガス精製され、燃料ガスが製造される。そして、ガスタービン設備80では、圧縮機61が圧縮空気を生成して燃焼器62に供給すると、この燃焼器62は、圧縮機61から供給される圧縮空気と、ガス精製装置60から供給される燃料ガスとを混合し、燃焼することで高温高圧の燃焼ガスを生成し、この燃焼ガスによりタービン63を回転駆動することで、回転軸64を介して圧縮機61の駆動源とするとともに、発電機83を回転駆動し、発電を行うことができる。
【0036】
そして、ガスタービン設備80におけるタービン63から排出された排気ガスは、排熱回収ボイラ84にて、給水と熱交換を行うことで蒸気を生成し、この生成した蒸気を蒸気タービン設備18に供給する。蒸気タービン設備18では、排熱回収ボイラ84から供給された蒸気によりタービン69を回転駆動することで、回転軸64を介して発電機83を回転駆動し、発電を行うことができる。
【0037】
その後、ガス浄化装置74では、排熱回収ボイラ84から排出された排気ガスの有害物質が除去され、浄化された排ガスが煙突75から大気へ放出される。
【0038】
次に、
図1を用いて、ガス化炉5のチャー回収系統について説明する。
図1に示したガス化設備は、ガス化炉5にて生成された生成ガスから分離回収したチャーが、チャー供給ホッパ15A,15Bから再びガス化炉5のチャーバーナ4に至るまでの系統中に、チャー集合物や錆等の異物を除去する異物除去装置を備えている。2基のチャー供給ホッパ15A,15Bが並列に設けられており、これらチャー供給ホッパ15A,15Bを切り替えてガス化炉5に微粉炭を供給する。また、チャー供給ホッパ15A,15Bの出口から導出されるチャー供給配管23A,23Bには、ろ過分級方式によるストレーナ20A,20Bがそれぞれ設けられている。
【0039】
ガス化炉5に、微粉炭バーナ3を介して微粉炭供給配管1から微粉炭が、また、チャーバーナ4を介してチャー供給配管26からチャーが、それぞれ投入される。これらの微粉炭及びチャーは、バーナ3,4に供給される空気,酸素含有ガス又は蒸気からなる酸化剤2とガス化反応し、生成ガスを発生する。ここで、生成ガスにはチャーも含まれている。
生成ガスはガス生成ライン6を通り、ガス冷却器7に入り、冷却水8で熱交換されて冷却される。ガス冷却器7から出た生成ガスは、ガス管9を経由して脱塵設備10にてチャー等の微粒子状の固体分が分離されて可燃性ガスとして、ガス管11からガスタービン等の後流設備に送られる。
【0040】
脱塵設備10は図示しない複数のポーラスフィルタやサイクロンにより構成され、集められたチャーは、チャービン12に一旦貯留される。チャービン12の鉛直方向下部には、チャー供給ホッパ15A,15Bが並列に設置されている。但し、両チャー供給ホッパ15A,15Bに、同時にチャーが受け入れられることはなく、チャーの受入れは交互に行われる。例えば、チャー供給ホッパ15Aが受入運転、チャー供給ホッパ15Bがガス化炉5への供給運転を行う場合には、次のような手順となる。
【0041】
図1に示すように、チャービン12からチャー供給ホッパ15Aへと向かうチャー搬送管にあるチャーカット弁13A及び気密弁14Aが開の状態で、チャービン12のチャーはチャー供給ホッパ15Aに受け入れられる。この際、チャービン12の圧力はガス化炉5よりも低いため、チャー供給配管23Aにある遮断弁19A,22Aは閉の状態になっている。一方、チャー供給ホッパ15Bはガス化炉5へチャーを供給するため、チャーカット弁13B及び気密弁14Bを閉とし、加圧窒素ガス供給ラインから窒素ガス等の不活性ガスによる加圧ガスが供給されることでチャー供給ホッパ15Bをガス化炉5の圧力以上に圧力を上昇させ、遮断弁19B,22Bが開の状態で、チャー供給配管23B,26を経由して、チャーバーナ4からガス化炉5に投入されて、燃焼される。
【0042】
ストレーナ20A,20Bの前後の差圧は、差圧計21A,21Bにて計測される。ストレーナ20A,20B内のフィルタの目開きは数mmであり、チャーの粒子径よりも十分大きいため、チャーは通過する。一方、目開きより大きい異物は通過できず、ストレーナ20A,20Bにて捕捉される。ストレーナ20A,20Bで捕捉された異物の量が多くなると、ストレーナ20A,20Bの差圧が上昇して制御部94にて検知される。
【0043】
チャー供給ホッパ15B内のチャー量が下限近傍に達したところで、チャー供給ホッパ15Aと切り替える操作を実施する。その操作は、先ず、チャーカット弁13A及び気密弁14Aを閉の状態とし、加圧窒素ガス供給ラインからチャー供給ホッパ15Aを加圧して、チャー供給ホッパ15Bとほぼ等しい圧力とする。次いで、遮断弁19A,22Aを開の状態とする。そして、遮断弁19B,22Bを閉の状態とし、チャー供給ホッパ減圧ラインからチャー供給ホッパ15Bを減圧し、チャービン12とほぼ同じ圧力にする。次いで、チャーカット弁13B及び気密弁14Bを開の状態にして、チャービン12からチャーを受け入れる。以上の操作を繰り返すことにより、連続的にガス化炉5にチャーを供給する。
【0044】
図2には、ストレーナ20にて捕捉された異物を除去する異物除去装置92の詳細が示されている。異物除去装置92は、ストレーナ20と、異物搬送配管30と、異物除去ホッパ34と、異物除去フィルタ35と、異物回収タンク37と、排気配管40と、排気調整弁42と、制御部94などから構成されている。
図2を用いた以下の説明では、2つのチャー供給ホッパのうちの一方について説明し、他方のチャー供給ホッパに関連する構成も同一の構成を有するものとする。また、2つのチャー供給ホッパ及びこれに関連する各構成を区別するために符号に付した「A」及び「B」を省略した符号を用いて説明する。
【0045】
上述のように、チャー供給配管23には、遮断弁19,22が設けられており、これら遮断弁19,22の間にストレーナ20が設けられている。
チャー供給配管23には、チャー搬送時の下流側に位置する遮断弁22とストレーナ20との間に、第1パージ用窒素ガス供給配管24が接続されている。第1パージ用窒素ガス供給配管24には、第1パージ用開閉弁25が設けられている。
チャー供給配管23には、チャー搬送時の上流側に位置する遮断弁19とストレーナ20との間に、第2パージ用窒素ガス供給配管27が接続されている。第2パージ用窒素ガス供給配管27には、第2パージ用開閉弁28が設けられている。
【0046】
チャー供給配管23には、第2パージ用窒素ガス供給配管27の接続部とストレーナ20との間に、異物搬送配管30の上流端が接続されている。異物搬送配管30には、異物回収弁32が設けられている。
異物搬送配管30の下流端は、異物除去ホッパ34に接続されている。異物除去ホッパ34内には、異物を捕捉する異物除去フィルタ35が設置されている。異物除去フィルタ35は、例えば多孔質とされた燒結金属や細かいメッシュを積層したフィルタ等によって構成されている。
【0047】
異物除去ホッパ34の鉛直下方には、異物払出弁36を介して異物回収タンク37が接続されている。
異物回収タンク37が接続され、異物除去フィルタ35によって仕切られた異物除去ホッパ34の下部空間34aに対して、上述した異物搬送配管30の下流端が接続されている。また、下部空間34aには、異物除去ホッパ34内を窒素ガスなどの不活性ガスで加圧するための加圧窒素ガス供給配管39が接続されている。
【0048】
異物除去フィルタ35によって仕切られた異物除去ホッパ34の上部空間34bには、排気配管40が接続されている。排気配管40には、排気遮断弁41と排気調整弁42とが設けられている。排気調整弁42は、上部空間34b内の圧力を計測する圧力計44の計測値に基づいて開度が制御されるようになっている。
上部空間34bには、異物除去フィルタ35を逆洗する際に用いるフィルタ逆洗用窒素ガス供給配管46が接続されている。
【0049】
上述した排気調整弁42等の各弁の制御は、制御部94によって行われる。
制御部94は、例えば、CPU、RAM、ROM、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータで読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。
【0050】
図3には、排気調整弁42の弁開度を制御する関数が示されている。この関数に関するデータは、制御部94の記憶部に格納されている。
同図において、横軸は異物除去ホッパ34内の圧力を示し、左縦軸は排気調整弁42の開度、右縦軸は異物除去フィルタ35のガス通過流速を示す。
【0051】
右縦軸を参照すれば分かるように、横軸の異物除去ホッパ圧力Pの変化に対して、異物除去フィルタ35のガス通過流速が目標流速V1にて一定となるように、排気調整弁42の開度を制御する。目標流速V1は、異物除去フィルタ35の許容通過流速から決まる限界流速に基づいて決定される。具体的には、限界流速を超えず、かつ限界流速に近い値となるように目標流速V1を設定することが好ましい。例えば、限界流速に対して0%〜30%下回った流速を目標流速V1として設定する。
【0052】
左縦軸を参照すれば分かるように、排気調整弁42は、制御部94の指令により、圧力計44で計測した異物除去ホッパ34の圧力が高いほど弁開度が小さくなるように制御される。これにより、異物除去ホッパ34の圧力の増減に応じて、異物除去フィルタ35のガス通過流速が一定の目標流速V1が得られるようになっている。
【0053】
次に、
図4を用いて、上記構成の異物除去装置92の動作について説明する。以下の動作は、制御部94の指令によって行われる。
先ず、必要に応じて加圧窒素ガス供給配管39から異物除去ホッパ34内に窒素ガスなどの不活性ガスを供給することにより、異物除去ホッパ34内の圧力を逆洗開始圧力P1に設定する。この逆洗開始圧力P1は、逆洗開始時の異物搬送配管30の圧力よりも低い値とされ、ストレーナ20の詰まり具合によって可変としてもよい。また
図4の縦軸のP2は、パージ用窒素ガス供給配管24,27の圧力であり、横軸は時間経過を示している。
【0054】
そして、異物回収弁32を閉としたままで、排気遮断弁41及び排気調整弁42を開とする。このとき、異物払出弁36は閉とされている。
その後、遮断弁19,22を閉としたままで、両パージ用開閉弁25,28を開とするとともに異物回収弁32を開として逆洗を開始する。
【0055】
逆洗中は、ストレーナ20を逆洗した後の窒素ガスが、ストレーナ20から脱離した異物とともに異物搬送配管30を通過して、異物除去ホッパ34の下部空間34aに導かれる。下部空間34a内に導かれた窒素ガスは、鉛直方向上方の異物除去フィルタ35を通過し、排気遮断弁41及び排気調整弁42を通り外部へと排気される。排気調整弁42は、異物除去フィルタ35のガス通過流速が目標流速V1となるように開度制御される。一方、下部空間34a内に導かれた異物は、異物除去フィルタ35を通過することができず、捕捉される。
【0056】
排気調整弁42を介して排出されるガス量よりも、異物除去ホッパ34内に受け入れられるガス量の方が多いので、異物除去ホッパ34内への窒素ガス及び異物の受入が進行すると、異物除去ホッパ34内の圧力は、
図4に示すように徐々に上昇していく。そして、異物除去ホッパ34内の圧力と両パージ用窒素ガス供給配管24,27の圧力とが均圧すると、異物回収弁32、両パージ用開閉弁25,28を閉として、逆洗を終了する。このとき、排気遮断弁41及び排気調整弁42は開とされたままとしておき、異物除去ホッパ34内の減圧を行う。
【0057】
減圧を行い、異物除去ホッパ34内の圧力が再び逆洗開始圧力P1になると、逆洗準備完了となり、所定のタイミングで逆洗を開始する。
【0058】
異物除去ホッパ34内に異物が堆積して、払出レベルに達すると、異物除去ホッパ34内を大気圧まで減圧する。そして、異物払出弁36を開として、異物を異物回収タンク37に払い出しする。この際に、所定の処理期間の経過や圧力計44の状況変化などから必要に応じて、フィルタ逆洗用窒素ガス供給配管46により窒素ガスを異物除去ホッパ34の上部空間34bに供給し、異物除去フィルタ35の逆洗を行ってもよい。異物除去フィルタ35の逆洗で分離された異物は下部空間34aで一時貯留され、次回のストレーナ20からの異物払出弁36の操作時に併せて異物を異物回収タンク37に払い出しされる。
【0059】
異物除去ホッパ34内から異物が払い出された後は、異物払出弁36を閉として異物の払い出しを終了する。
その後、加圧窒素ガス供給配管39から窒素ガスを異物除去ホッパ34内に供給して、逆洗開始圧力P1まで加圧して、逆洗準備をして次の逆洗に備える。
【0060】
図5には、本実施形態と比較例について、異物除去フィルタ35のガス通過流速と異物除去ホッパ34内の圧力の相違が示されている。同図において、横軸は時間を示し、左縦軸は異物除去フィルタ35のガス通過流速を示し、右縦軸は異物除去ホッパ34内の圧力を示す。
【0061】
比較例は、本実施形態と同じ装置構成を用いるが、逆洗の際に排気遮断弁41及び排気調整弁42を閉とした運転である。すなわち、逆洗の際に異物除去ホッパ34内の排気を行うか、排気を行わないかとの違いが
図5に示されている。
【0062】
図5において、本実施形態が実線で示されており、比較例が破線で示されている。左縦軸を参照すれば分かるように、異物除去フィルタ35のガス通過流速については、本実施形態では、排気調整弁42を制御することで異物除去ホッパ34内の圧力を調整し、目標流速V1が得られるようになっている。一方、比較例では、異物除去ホッパ34から排気が行われないので、逆洗開始時の流速がV1’で最大となり、後は単調に減少していく。
【0063】
右縦軸を参照すれば分かるように、異物除去ホッパ34内の圧力については、本実施形態では、異物除去ホッパ34内を異物除去フィルタ35のガス通過流速が目標流速V1となるように排気しながら逆洗を実施しているので圧力P2にて均圧するまでの逆洗時間としてT1を確保することができる。一方、比較例では、異物除去ホッパ34内を排気していないので、比較的早く圧力P2に達して均圧してしまい、逆洗時間としてT1’しか確保することができない。
【0064】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
異物搬送配管30から異物及びパージ窒素ガスを受け入れている間、異物除去ホッパ34から排気を行い、排気による減圧もすることとしたので、異物除去ホッパ34から排気しない場合に比べて、異物搬送配管30と異物除去ホッパ34との間の差圧を維持、もしくは差圧が少なくなるまでの時間を長くなるような状態を長く確保できる。これにより、異物除去ホッパ34の圧力上昇速度が緩和されて、逆洗時間を長くすることができ、ストレーナ20の逆洗効果を向上させることができる。
また、異物除去フィルタ35の許容通過流速から決まる限界流速に基づいて排気調整弁42を制御することで、異物除去フィルタ35を損傷させない範囲で可能な限り異物除去ホッパ34からの排気流量を大きくすることができ、異物除去ホッパ34内の圧力と両パージ用窒素ガス供給配管24,27の圧力とが均圧するまでの時間をさらに長くすることができ、逆洗効果を向上させることができる。
【0065】
なお、本実施形態では、ホッパなどの加圧や逆洗のパージに窒素ガスを使用しているが、窒素ガスには限定されない。不活性ガスを用いてもよい。