特許第6576861号(P6576861)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576861
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】アスファルトフィニッシャ
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/48 20060101AFI20190909BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20190909BHJP
   F01N 3/08 20060101ALN20190909BHJP
【FI】
   E01C19/48 A
   F01N3/28 301V
   !F01N3/08 B
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-51564(P2016-51564)
(22)【出願日】2016年3月15日
(65)【公開番号】特開2017-166198(P2017-166198A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2018年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】馬場 信行
(72)【発明者】
【氏名】古藤 健一
【審査官】 西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−139389(JP,A)
【文献】 特開2015−075022(JP,A)
【文献】 特開2010−090788(JP,A)
【文献】 特開2012−215123(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02479398(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/48
F01N 3/24
F01N 3/28
F01N 3/08
F01N 13/00
F01N 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタと、
前記トラクタの前側に設置されたホッパと、
前記ホッパ内の舗装材を前記トラクタの後側へ搬送するコンベアと、
前記コンベアによって搬送されて路面上に撒かれた舗装材を車幅方向に敷き拡げるスクリュと、
前記スクリュによって敷き拡げられた舗装材を前記スクリュの後側で敷き均すスクリードと、
前記トラクタの上部に設けられた運転席と、
前記運転席の前側の前記トラクタ内に形成されるエンジン室に搭載されたエンジンと、
前記エンジン室内に配置され、且つ、前記エンジンに対して車幅方向に隣接して配置される冷却ファンと、
前記エンジン室内に配置され、且つ、前記エンジンの排気ガスを浄化する排気ガス処理装置と、を備え、
前記冷却ファンと前記排気ガス処理装置は、進行方向に対する車幅方向に並んで配置され、且つ、
前記排気ガス処理装置は前記冷却ファンによる風を受けるように前記冷却ファンの下流側に配置される、
アスファルトフィニッシャ。
【請求項2】
前記排気ガス処理装置は二段構造である、
請求項1に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項3】
前記排気ガス処理装置は車幅方向に沿って配置される、
請求項1又は2に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項4】
前記排気ガス処理装置は車両前後方向に沿って配置される、
請求項1又は2に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項5】
前記排気ガス処理装置は外部に露出している、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアスファルトフィニッシャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンを搭載したアスファルトフィニッシャに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンによって駆動される自走式のアスファルトフィニッシャが知られている(特許文献1参照。)。
【0003】
このアスファルトフィニッシャに搭載されたディーゼルエンジンは窒素酸化物を含む排気ガスを排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−139389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1は、排気ガスの浄化については言及していない。
【0006】
上述に鑑み、排気ガスを浄化可能なアスファルトフィニッシャの提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施例に係るアスファルトフィニッシャは、トラクタと、前記トラクタの前側に設置されたホッパと、前記ホッパ内の舗装材を前記トラクタの後側へ搬送するコンベアと、前記コンベアによって搬送されて路面上に撒かれた舗装材を車幅方向に敷き拡げるスクリュと、前記スクリュによって敷き拡げられた舗装材を前記スクリュの後側で敷き均すスクリードと、前記トラクタの上部に設けられた運転席と、前記運転席の前側の前記トラクタ内に形成されるエンジン室に搭載されたエンジンと、前記エンジン室内に配置され、且つ、前記エンジンに対して車幅方向に隣接して配置される冷却ファンと、前記エンジン室内に配置され、且つ、前記エンジンの排気ガスを浄化する排気ガス処理装置と、を備え、前記冷却ファンと前記排気ガス処理装置は、進行方向に対する車幅方向に並んで配置され、且つ、前記排気ガス処理装置は前記冷却ファンによる風を受けるように前記冷却ファンの下流側に配置される。

【発明の効果】
【0008】
上述の手段により、排気ガスを浄化可能なアスファルトフィニッシャが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例に係るアスファルトフィニッシャの図である。
図2図1のアスファルトフィニッシャに搭載される排気ガス処理システムの構成例を示す図である。
図3】エンジン室における排気ガス処理装置の配置例を示す図である。
図4】排気管の部分拡大図である。
図5】エンジン室における排気ガス処理装置の別の配置例を示す図である。
図6】エンジン室における排気ガス処理装置の更に別の配置例を示す図である。
図7】尿素水タンクの別の配置例を示すアスファルトフィニッシャの図である。
図8】尿素水タンクの別の配置例を示すアスファルトフィニッシャの図である。
図9】尿素水タンクの別の配置例を示すアスファルトフィニッシャの図である。
図10】尿素水タンクの別の配置例を示すアスファルトフィニッシャの図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施例に係る道路機械の一例であるアスファルトフィニッシャ100の図である。具体的には、図1(A)は左側面図であり、図1(B)は上面図である。
【0011】
アスファルトフィニッシャ100は、主に、トラクタ1、ホッパ2、及びスクリード3で構成される。
【0012】
トラクタ1はアスファルトフィニッシャ100を走行させるための機構である。本実施例では、トラクタ1は走行用油圧モータを用いて前輪4及び後輪5を回転させてアスファルトフィニッシャ100を移動させる。走行用油圧モータは、エンジン6によって駆動される油圧ポンプから作動油の供給を受けて回転する。トラクタ1には、エンジン6、排気ガス処理装置7、燃料タンク8、尿素水タンク9等が搭載される。
【0013】
エンジン6及び排気ガス処理装置7はエンジン室に設置される。エンジン室はトラクタ1の+X側(前側)部分に形成されている。本実施例では、エンジン室において、エンジン6が−Y側(左側)に配置され、排気ガス処理装置7がエンジン6の+Y側(右側)に隣接して配置される。
【0014】
エンジン室は、ハッチングで示すエンジンフード1aによってその上面が部分的に覆われ、外装カバー1bによってその側面が覆われている。エンジン6及び排気ガス処理装置7はエンジンフード1a内に配置される。エンジンフード1aは開閉可能に構成され、その表面に通気孔が形成されている。外装カバー1bは開閉不能又は開閉可能に構成され、その表面に通気孔が形成されている。本実施例では、エンジンフード1aはその一部がパンチングメタルで構成され、別の一部に通気ルーバを有する。外装カバー1bは通気ルーバを有する。
【0015】
燃料タンク8及び尿素水タンク9はタンク室内に設置される。タンク室はトラクタ1の+X側(前側)部分で且つエンジン室の−Z側(下側)に形成されている。本実施例では、タンク室において、燃料タンク8及び尿素水タンク9は−Y側(左側)に配置され、尿素水タンク9は燃料タンク8の−X側(後側)に隣接して配置される。そのため、尿素水タンク9は上面視で後輪5と燃料タンク8との間に配置される。
【0016】
ホッパ2は舗装材を受け入れるための機構である。本実施例では、ホッパシリンダ2aによってY軸方向(車幅方向)に開閉できるように構成される。アスファルトフィニッシャ100は、通常、ホッパ2を全開状態にして舗装材運搬車両としてのダンプトラックの荷台から舗装材(例えばアスファルト合材である。)を受け入れる。ホッパ2内に受け入れられた舗装材はコンベア10及びスクリュ11を用いてスクリード3に給送される。
【0017】
コンベア10は、ホッパ2内の舗装材をトラクタ1の−X側(後側)へ搬送する。スクリュ11は、コンベア10によって搬送されて路面上に撒かれた舗装材をY軸方向(車幅方向)に敷き拡げる。
【0018】
スクリード3は舗装材を敷き均すための機構である。本実施例では、スクリード3はトラクタ1によって牽引される浮動スクリードであり、レベリングアーム3aを介してトラクタ1と連結される。
【0019】
図2は、図1のアスファルトフィニッシャ100に搭載される排気ガス処理システム150の構成例を示す図である。排気ガス処理システム150はディーゼルエンジンであるエンジン6から排出される排気ガスを浄化する。
【0020】
排気ガス処理装置7は、エンジン6の排気ガスを段階的に浄化する装置であり、第1処理部7a及び第2処理部7bを含む。第1処理部7aは、例えば、排気ガス中の粒子状物質を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタである。第2処理部7bは、例えば、排気ガス中のNOxを還元除去する選択還元触媒である。
【0021】
第2処理部7bとしての選択還元触媒は、還元剤の供給を受けて排気ガス中のNOxを連続的に還元除去する。本実施例では取扱いの容易さから還元剤として尿素水(尿素水溶液)が用いられる。
【0022】
エアフィルタ6aを通じて吸気管6b内に導入された空気は、ターボチャージャ61及びインタークーラ65を通過してエンジン6に供給される。そして、エンジン6からの排気ガスは、ターボチャージャ61を経た後にその下流の排気管6cに至り、排気ガス処理装置7により浄化処理が行われた後で大気中に排出される。
【0023】
排気管6cには排気ガス処理装置7の第1処理部7aと第2処理部7bとが接続部63を介して直列に接続されている。接続部63には選択還元触媒に尿素水を供給するための尿素水噴射装置68が設けられている。尿素水噴射装置68は、尿素水ホース69を介して尿素水タンク9に接続されている。
【0024】
尿素水ホース69の中間にはサプライモジュールSMが設けられる。サプライモジュールSMは、尿素水供給ポンプ70及びフィルタ71を含む。本実施例では、サプライモジュールSMは、尿素水タンク9と尿素水供給ポンプ70との間にフィルタ71が配置されるように構成される。
【0025】
尿素水タンク9内に貯留された尿素水は、尿素水供給ポンプ70により尿素水噴射装置68に供給され、尿素水噴射装置68から排気管6cにおける第2処理部7b(選択還元触媒)の上流位置に向けて噴射される。
【0026】
尿素水噴射装置68から噴射された尿素水は選択還元触媒に供給される。供給された尿素水は、選択還元触媒のところで加水分解されてアンモニアを生成する。このアンモニアが排気ガスに含まれるNOxを還元する。このようにして排気ガスの浄化が行われる。
【0027】
第1NOxセンサ72及び第2NOxセンサ73は排気ガス内のNOx濃度を検出するセンサである。本実施例では、第1NOxセンサ72が尿素水噴射装置68の上流側に配置され、第2NOxセンサ73が選択還元触媒の下流側に配置される。
【0028】
尿素水残量センサ74は尿素水タンク9内の尿素水残量を検出するセンサである。本実施例では尿素水残量センサ74は尿素水タンク9の上部に配置される。
【0029】
第1NOxセンサ72、第2NOxセンサ73、尿素水残量センサ74、尿素水噴射装置68、及び尿素水供給ポンプ70は、排気ガスコントローラ75に接続されている。排気ガスコントローラ75は、第1NOxセンサ72及び第2NOxセンサ73のそれぞれで検出されるNOx濃度に基づき、尿素水噴射装置68及び尿素水供給ポンプ70を制御して適正量の尿素水が噴射されるようにする。
【0030】
また、排気ガスコントローラ75は、尿素水残量センサ74から出力される尿素水残量に基づいて尿素水タンク9の全容積に対する尿素水残量の割合を算出する。本実施例では、尿素水タンク9の全容積に対する尿素水残量の割合を尿素水残量比とする。例えば、尿素水残量比50%は、尿素水タンク9の容量の半分の尿素水が尿素水タンク9内に残存していることを表す。
【0031】
排気ガスコントローラ75は通信手段を介してエンジンコントロールモジュール(以下、「ECM」とする。)60に接続されている。ECM60はエンジン6を制御する装置である。ECM60は通信手段を介してメインコントローラ76に接続され、メインコントローラ76は通信手段を介してモニタ77(表示装置)に接続されている。モニタ77は警告、運転状態等を表示可能である。
【0032】
ECM60、排気ガスコントローラ75、及びメインコントローラ76はそれぞれ、CPU、RAM、ROM、入出力ポート、記憶装置等を含む演算装置である。メインコントローラ76は、排気ガスコントローラ75が有している排気ガス処理システム150に関する各種情報を利用可能である。
【0033】
排気ガス処理システム150は、尿素水タンク9及び尿素水ホース69に熱を供給する熱供給機構を有する。熱供給機構は、例えば、寒冷地での尿素水の凍結を防止し、或いは、凍結した尿素水を溶解するための機構である。本実施例では、冷却水ホース80を通過するエンジン6のエンジン冷却水(例えばロング・ライフ・クーラント)が利用される。
【0034】
具体的には、エンジン6を冷却した直後のエンジン冷却水は、比較的高い温度を維持しながら、冷却水ホース80の第1部分81を通って第2部分82に至る。第2部分82は尿素水タンク9の外面に接する冷却水ホース80の一部である。尿素水より高温のエンジン冷却水は第2部分82を流れるときに尿素水タンク9及びその内部にある尿素水に熱を供給する。
【0035】
その後、エンジン冷却水は第3部分83及びサプライモジュールSMに至る。第3部分83は尿素水ホース69に密着する冷却水ホース80の一部である。尿素水より高温のエンジン冷却水は尿素水ホース69に沿う冷却水ホース80の第3部分83を流れるときに尿素水ホース69及びその内部にある尿素水に熱を供給する。また、尿素水より高温のエンジン冷却水は、サプライモジュールSM内に形成された流路を流れるときにサプライモジュールSM(尿素水供給ポンプ70及びフィルタ71を含む。)並びにその内部にある尿素水に熱を供給する。
【0036】
その後、第2部分82及び第3部分83での熱の供給を終えて比較的低い温度となったエンジン冷却水は冷却水ホース80の第4部分84を通って熱交換機ユニット13に至る。第4部分84は第3部分83と熱交換機ユニット13との間に配索される冷却水ホース80の一部であり、尿素水ホース69には密着しない。
【0037】
第5部分85は、尿素水噴射装置68を冷却するために用いられる冷却水ホース80の一部である。高温状態の尿素水噴射装置68よりも低温のエンジン冷却水は第5部分85を流れるときに高温状態の尿素水噴射装置68から熱を奪い尿素水噴射装置68を冷却してその過熱を防止する。その後、熱の供給を受けて比較的高い温度となった(尿素水より高温の)エンジン冷却水は、尿素水ホース69に沿う第6部分86(第5部分85の一部)を流れるときに尿素水ホース69及びその内部にある尿素水に熱を供給する。尿素水噴射装置68が低温状態にある場合には、低温状態の尿素水噴射装置68よりも高温のエンジン冷却水は第5部分85を流れるときに尿素水噴射装置68及びその内部にある尿素水に熱を供給する。その後、第6部分86での熱の供給を終えて比較的低い温度となったエンジン冷却水は、第3部分83を流れてきたエンジン冷却水と合流した後で第4部分84を通って熱交換機ユニット13に至る。
【0038】
このようにして、熱供給機構は、エンジン冷却水を利用して尿素水タンク9、尿素水ホース69、サプライモジュールSM、及び尿素水噴射装置68に熱を供給し、それらの内部にある尿素水の凍結を防止し、或いは、凍結した尿素水を溶解する。
【0039】
次に図3を参照し、エンジン室内における排気ガス処理装置7の配置について説明する。図3は、エンジン室内における排気ガス処理装置7の配置例を示す図であり、図1(A)及び図1(B)のそれぞれに示す一点鎖線を含む平面を−X側(後側)から見た図に相当する。エンジン室には、エンジン6、排気ガス処理装置7、冷却ファン12、熱交換機ユニット13等が配設されている。破線で囲まれた領域は、後輪走行用ポンプ、コンベア・スクリュ用ポンプ、チャージポンプ等が配置されるポンプ室PRを示す。
【0040】
エンジン6は、フレーム31に配設されたエンジン取付け座31aの上部に、エンジンマウント31bを介して支持されている。エンジンマウント31bは防振マウントであり、エンジン6で発生する振動がフレーム31に伝達されるのを防止している。
【0041】
フレーム31は、アスファルトフィニッシャ100の骨格を構成する部材である。本実施例では、フレーム31は、ホッパ2、スクリード3、コンベア10、スクリュ11等を支持する。
【0042】
エンジン6の−Y側には、冷却ファン12が配設されている。また、冷却ファン12の−Y側には熱交換機ユニット13が配設されている。
【0043】
冷却ファン12はエンジン6により回転駆動される。冷却ファン12が回転駆動されることにより、外装カバー1bに設けられた通気孔から外気が冷却風Wとしてエンジン室内に取り込まれる。熱交換機ユニット13は、エンジン室内に取り込まれた冷却風Wにより熱交換処理(冷却処理)を行う。熱交換機ユニット13はエンジン室内の冷却風Wの流れ方向に関し冷却ファン12の上流側に配置される。
【0044】
熱交換機ユニット13は、ラジエータ、燃料クーラ、オイルクーラ、インタークーラ65等の熱交換機を一体的に含む。
【0045】
ラジエータはエンジン6内を流れる冷却水を冷却する。燃料クーラは燃料タンク8に戻る余剰燃料を冷却する。オイルクーラは油圧シリンダ等の油圧機器を循環する作動油を冷却する。インタークーラ65はエンジン6に供給される圧縮空気を冷却する。これらの熱交換機のそれぞれにおける冷却水、作動油等の各種冷媒は冷却風Wにより冷却される。
【0046】
エンジン6の+Y側には油圧ポンプ14が取付けられている。油圧ポンプ14は油圧シリンダ等の油圧機器の油圧源である。油圧ポンプ14はエンジン6により駆動される。
【0047】
エンジン6から排出された排気ガスは排気ガス処理装置7により浄化される。エンジン6から排出される排気ガス中には窒素酸化物等の物質が含まれる。これらの物質を除去するためにエンジン6には排気ガス処理装置7が接続管としての排気管6cを介して接続されている。
【0048】
排気ガス処理装置7は第1処理部7aとしてのディーゼルパティキュレートフィルタと第2処理部7bとしての選択還元触媒とを含む。第1処理部7aと第2処理部7bとは接続部63により連結されている。第2処理部7bを通過した排気ガスは出口管64を介して大気中に放出される。
【0049】
本実施例では、第1処理部7a及び第2処理部7bは何れもX軸方向に延びる円筒形状を有する。そして、第1処理部7aの+Z方向(上方)に第2処理部7bが配置される上下二段構造を有する。
【0050】
ディーゼルパティキュレートフィルタは、その上流側に前段酸化触媒を備えていてもよい。選択還元触媒はその下流側に後段酸化触媒を備えていてもよい。ディーゼルパティキュレートフィルタは、触媒煤煙フィルタ(Catalyzed Soot Filter (CSF))等の酸化触媒担持型フィルタであってもよい。
【0051】
排気ガス処理装置7は、油圧ポンプ14より高い位置でエンジン6から離れて配置されるように支持フレーム体36によって支持される。支持フレーム体36は、アスファルトフィニッシャ100の骨格を構成する部材であり、フレーム31上に固定されている。この構成により、排気ガス処理装置7の重量がエンジン6にかかることはなく、エンジン6と排気ガス処理装置7との間にブラケットが設置されることもない。そのため、そのようなブラケットに大きな負担がかかることもなく、エンジン6のボディに大きな負担がかかることもない。
【0052】
フレーム31における熱交換機ユニット13の配設位置には固定台38が形成されている。固定台38はフレーム31から突出するように形成されている。熱交換機ユニット13は固定台38上に固定される。
【0053】
エンジン6、排気ガス処理装置7、及び熱交換機ユニット13がエンジン室内に固定された状態において、エンジン6、排気ガス処理装置7、及び熱交換機ユニット13はエンジンフード1aで覆われた状態となる。
【0054】
次に図4を参照し、排気管6cの構成例について説明する。図4は、図3の破線円C1内の排気管6cの一部を示す図であり、図4(A)が+X側(前側)から見た図を示し、図4(B)が図4(A)の一点鎖線を含む平面を−Y側(左側)から見た図を示す。
【0055】
図4(A)に示すように、排気管6cは、可撓部6c1、直管部6c2、及び湾曲管部6c3を含む。
【0056】
可撓部6c1は外力等に応じて撓むことができる部分である。本実施例では可撓部6c1は伸縮可能な蛇腹構造を有するベローズ管で構成される。可撓部6c1は、フレキシブル管、コルゲート管等で構成されてもよい。この構成により、排気管6cは、エンジン6の振動数と排気ガス処理装置7の振動数とが異なる場合であっても、エンジン6の排気ポートと排気ガス処理装置7とを安定的に且つ継続的に接続できる。また、一方の振動が他方に伝わるのを抑制或いは防止でき、エンジン6及び排気ガス処理装置7のそれぞれの耐久性を向上させることができる。
【0057】
直管部6c2は外力等に応じて撓むことなく直線状に延びる部分である。本実施例では、可撓部6c1と直管部6c2とは一体的に形成されている。但し、可撓部6c1と直管部6c2とは連結可能な別々の部材であってもよい。直管部6c2はその端部にフランジ部6c2fを有し、他の部材に接続できるように構成される。
【0058】
湾曲管部6c3は外力等に応じて撓むことなく湾曲して延びる部分である。本実施例では、湾曲管部6c3はその端部にフランジ部6c3fを有し、他の部材に接続できるように構成される。
【0059】
本実施例では、直管部6c2のフランジ部6c2fは、湾曲管部6c3のフランジ部6c3fに重ね合わされ、ボルト及びナットを用いて締結される。また、排気管6cは、支持フレーム体36に固定される代わりに、支持フレーム体36に取り付けられた支持部材としてのUボルト20によって支えられる。例えば、図4(A)及び図4(B)に示すように、排気管6cは、直管部6c2がUボルト20の内側を通るように配置され、X軸方向に揺動可能な状態でUボルト20によって支持される。排気管6cはL字フック等の他の支持部材によって支えられてもよい。この場合、排気管6cは、Z軸方向に揺動可能であってもよい。
【0060】
次に図5を参照し、エンジン室内における排気ガス処理装置7の別の配置例について説明する。図5は、エンジン室内における排気ガス処理装置7の別の配置例を示す図であり、図3に対応する。
【0061】
図5の構成は、排気ガス処理装置7の長手軸がY軸方向(車幅方向)に沿って配置されている点で、排気ガス処理装置7の長手軸がX軸方向(車両前後方向)に沿って配置されている図3の構成と相違する。
【0062】
この構成により、冷却風Wは、第1処理部7a及び第2処理部7bのそれぞれの円形端面に当たった後、Y軸方向に延びる第1処理部7a及び第2処理部7bのそれぞれの円筒面に沿って流れ、第1処理部7a及び第2処理部7bのそれぞれを冷却する。
【0063】
次に図6を参照し、エンジン室内における排気ガス処理装置7の更に別の配置例について説明する。図5は、エンジン室内における排気ガス処理装置7の更に別の配置例を示す図であり、図3図5に対応する。
【0064】
図6の構成は、第1処理部7a及び第2処理部7bが同じ高さで一直線上に配置されている点で、上下二段で配置されている図5の構成と相違する。
【0065】
この構成により、冷却風Wは、第1処理部7aの円形端面に当たった後、Y軸方向に延びる第1処理部7a及び第2処理部7bのそれぞれの円筒面に沿って流れ、第1処理部7a及び第2処理部7bのそれぞれを順番に冷却する。
【0066】
次に図7図9を参照し、尿素水タンク9の別の配置例について説明する。図7(A)、図8(A)、図9(A)は何れもアスファルトフィニッシャ100の左側面図であり図1(A)に対応する。図7(B)、図8(B)、図9(B)は何れもアスファルトフィニッシャ100の上面図であり図1(B)に対応する。図7図9は、図の明瞭化のため、エンジンフード1a及び外装カバー1bの通気孔の図示を省略する。また、コンベア10及びスクリュ11の隠れ線の図示を省略する。
【0067】
図7のアスファルトフィニッシャ100は、ホッパ2の−Z側(下側)の空間に尿素水タンク9を配置した点で、後輪5と燃料タンク8との間に尿素水タンク9を配置する図1のアスファルトフィニッシャ100と相違する。
【0068】
図8のアスファルトフィニッシャ100は、ホッパ2と燃料タンク8との間に薄型の尿素水タンク9を配置した点で図1のアスファルトフィニッシャ100と相違する。
【0069】
図9のアスファルトフィニッシャ100は、外装カバー1bと熱交換機ユニット13との間に尿素水タンク9を配置した点で図1のアスファルトフィニッシャ100と相違する。なお、図1図7、及び図8は、明瞭化のため、熱交換機ユニット13の図示を省略している。しかしながら、図1図7、及び図8のそれぞれにおける不図示の熱交換機ユニット13は、図9の場合と同様、エンジン6の−Y側(左側)に隣接して配置されている。
【0070】
図1及び図7図9のそれぞれに示す尿素水タンク9は何れもアスファルトフィニッシャ100の稼働中に高温になり過ぎないように配置されている。尿素水タンク9内の尿素水の変質を防止するためである。
【0071】
また、図1及び図7図9のそれぞれに示す尿素水タンク9は何れも燃料タンク8の近くに配置されている。具体的には、アスファルトフィニッシャ100の−Y側(左側)の側面に隣接するように配置されている。燃料タンク8の給油口の近くに尿素水タンク9の給油口が設置されるようにするためである。
【0072】
次に図10を参照し、アスファルトフィニッシャ100Aにおける燃料タンク8及び尿素水タンク9の配置について説明する。図10(A)はアスファルトフィニッシャ100Aの左側面図であり図1(A)に対応する。図10(B)はアスファルトフィニッシャ100Aの上面図であり図1(B)に対応する。
【0073】
図10のアスファルトフィニッシャ100Aは、前輪4及び後輪5の代わりにクローラ5Aを備える点で図1のアスファルトフィニッシャ100と相違する。
【0074】
また、図10のアスファルトフィニッシャ100Aは、クローラ5Aよりも高い位置で且つエンジン6よりも低い位置に燃料タンク8及び尿素水タンク9を配置した点で、後輪5とほぼ同じ高さに燃料タンク8及び尿素水タンク9を配置する図1のアスファルトフィニッシャ100と相違する。
【0075】
図10のアスファルトフィニッシャ100Aでは、尿素水タンク9は、燃料タンク8の−X側(後側)に隣接して配置されている。但し、尿素水タンク9は、図7に示すようにホッパ2の−Z側(下側)に配置されてもよく、図8に示すようにホッパ2と燃料タンク8との間に配置されてもよく、図9に示すように外装カバー1bと熱交換機ユニット13との間に配置されてもよい。
【0076】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0077】
1・・・トラクタ 1a・・・エンジンフード 1b・・・外装カバー 2・・・ホッパ 2a・・・ホッパシリンダ 3・・・スクリード 3a・・・レベリングアーム 4・・・前輪 5・・・後輪 5A・・・クローラ 6・・・エンジン 6a・・・エアフィルタ 6b・・・吸気管 6c・・・排気管 6c1・・・可撓部 6c2・・・直管部 6c2f・・・フランジ部 6c3・・・湾曲管部 6c3f・・・フランジ部 7・・・排気ガス処理装置 7a・・・第1処理部 7b・・・第2処理部 8・・・燃料タンク 9・・・尿素水タンク 10・・・コンベア 11・・・スクリュ 12・・・冷却ファン 13・・・熱交換機ユニット 14・・・油圧ポンプ 20・・・Uボルト 31・・・フレーム 31a・・・エンジン取付け座 31b・・・エンジンマウント 36・・・支持フレーム体 38・・・固定台 60・・・エンジンコントロールモジュール 61・・・ターボチャージャ 63・・・接続部 64・・・出口管 65・・・インタークーラ 68・・・尿素水噴射装置 69・・・尿素水ホース 70・・・尿素水供給ポンプ 71・・・フィルタ 72・・・第1NOxセンサ 73・・・第2NOxセンサ 74・・・尿素水残量センサ 75・・・排気ガスコントローラ 76・・・メインコントローラ 77・・・モニタ 80・・・冷却水ホース 81・・・第1部分 82・・・第2部分 83・・・第3部分 84・・・第4部分 85・・・第5部分 86・・・第6部分 100、100A・・・アスファルトフィニッシャ 150・・・排気ガス処理システム SM・・・サプライモジュール
図1
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図10