特許第6576910号(P6576910)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6576910植え込み型液圧式閉塞システムにおけるスローリークを検出するための方法およびデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576910
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】植え込み型液圧式閉塞システムにおけるスローリークを検出するための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/48 20060101AFI20190909BHJP
【FI】
   A61F2/48
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-514400(P2016-514400)
(86)(22)【出願日】2014年5月21日
(65)【公表番号】特表2016-518235(P2016-518235A)
(43)【公表日】2016年6月23日
(86)【国際出願番号】EP2014060468
(87)【国際公開番号】WO2014187871
(87)【国際公開日】20141127
【審査請求日】2017年3月1日
(31)【優先権主張番号】1354538
(32)【優先日】2013年5月21日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514211596
【氏名又は名称】ユロマン
【氏名又は名称原語表記】UROMEMS
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】ハミド、ラムラウイ
【審査官】 佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−642(JP,A)
【文献】 特開平4−303459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然導管(10)を閉塞するために動物またはヒトの体内に植え込み可能である液圧式閉塞システムであって、
‐以下を含む液圧回路:
‐閉塞されるべき前記自然導管(10)の一部分を囲む可変体積の液体を含有する膨張型閉塞カフ(9)、
‐液体を含有する貯留部(4)、および
‐前記カフ(9)と前記貯留部(4)との間の流体接続(8)
‐前記液圧回路の可動要素(22)と結合され、および予め決定された体積の液体を前記貯留部(4)から前記カフ(9)へ、または前記カフ(9)から前記貯留部(4)へ移送して、前記自然導管(10)に対して前記カフ(9)によって施される圧縮を変動させるために前記可動要素(22)を移動させるように構成された作動デバイス(2)、
‐前記自然導管(10)に対して、予め決定された圧縮を施すように前記作動デバイス(2)を作動させるように構成されたコントロールユニット(7)、
を含み、
‐前記液圧回路の圧力を測定するように構成された圧力センサー(5)
前記可動要素(22)の位置を測定するように構成された位置センサー、
‐以下を行うように構成されたプロセスユニット:
・前記圧力センサーおよび位置センサーの測定データから、前記可動要素(22)の予め決められた位置における前記液圧回路の圧力の変動であって、基準圧力に対する変動を計測すること、
・前記圧力の変動の値が、所定の基準を満足するか否かによって、前記液圧回路におけるスローリークの有無を検出すること、
を含むことを特徴とする、自然導管(10)を閉塞するために動物またはヒトの体内に植え込み可能である、液圧式閉塞システム。
【請求項2】
前記液圧回路の液体の喪失として現れるスローリークを検出するためであり、前記所定の基準が、以下の条件:
‐前記液圧回路の前記圧力が、固定値よりも小さいこと、
‐前記液圧回路の前記圧力が、前記可動要素(22)の前記予め決められた位置に対して最初に測定された圧力値のあるパーセントよりも小さいこと、および
‐経時で定期的に記録された前記可動要素(22)の前記予め決められた位置に対する前記液圧回路の前記圧力の値のデータベースから構築された数学的関数から得られる値が、予め決定された値よりも小さいこと、
のうちの1つ、または前記条件の組み合わせから選択される、請求項1に記載の液圧式閉塞システム。
【請求項3】
前記貯留部(4)が、可変体積を有し、前記体積は、アクチュエーターによって移動される可動要素(22)の線形変位によって調節される、請求項1または2に記載の液圧式閉塞システム。
【請求項4】
前記可動要素(22)の前記予め決められた位置が、前記貯留部(4)の前記体積を最大化する前記可動要素(22)の停止位置である、請求項3に記載の液圧式閉塞システム。
【請求項5】
前記予め決定された位置に対する前記液圧回路の測定された前記圧力が、ゼロまたは負の閾値未満となった場合に、前記所定の基準が満たされる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液圧式閉塞システム。
【請求項6】
前記液圧回路への液体の添加をもたらすスローリークを検出するためであり、前記所定の基準が、以下の条件:
‐前記液圧回路の前記圧力が、固定値よりも大きいこと、
‐前記液圧回路の前記圧力が、前記可動要素(22)の前記予め決められた位置に対して最初に測定された圧力値のあるパーセントよりも大きいこと、および
‐経時で定期的に記録された前記可動要素(22)の前記予め決められた位置に対する前記圧力の値のデータベースから構築された数学的関数から得られる値が、予め決定された値よりも大きいこと、
のうちの1つ、または前記条件の組み合わせから選択される、請求項1に記載の液圧式閉塞システム。
【請求項7】
スローリークの前記所定の基準が満たされた場合に、ユーザーに警告を発することをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液圧式閉塞システム。
【請求項8】
前記作動デバイスが、蠕動ポンプを含み、移送されるべき液体の前記体積は、前記ポンプのローターの角変位によって調節される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の液圧式閉塞システム。
【請求項9】
前記閉塞システムが、人工尿道括約筋である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の液圧式閉塞システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然導管を閉塞するための動物またはヒトの体内の植え込み型液圧式閉塞システムにおけるスローリークを検出するための方法およびデバイスに関する。
【0002】
本発明は、尿路、肛門、食道、もしくは幽門人工括約筋、またはさらには胃リング(gastric ring)も含むいかなるタイプの閉塞システムにも適用される。
【背景技術】
【0003】
患者の自然導管を完全にまたは部分的に閉塞するための閉塞システムの植え込みは、様々な適応症に対して知られている。
【0004】
例えば、尿失禁の治療は、患者に人工括約筋を植え込むことを含む場合がある。
【0005】
そのような括約筋は、典型的には、尿漏れを防ぐために尿道に直接または間接的圧縮を施すことを目的として尿道(男性または女性)、または場合によっては膀胱頸部(女性)もしくは前立腺(男性)の周囲に配置される閉塞要素、尿道または膀胱頸部に施される圧縮を変動されるための前記閉塞要素の作動デバイス、ならびに作動デバイスのコントロールユニットを含む。
【0006】
液圧式システムの場合、閉塞要素は、可変体積の液体を含有する膨張型カフ(inflatable cuff)であり、作動デバイスは、カフと流体接続されている液体含有貯留部、およびカフの圧縮または圧縮解除のために前記液体の添加または除去を行うためのアクチュエーターを含む。
【0007】
そのような人工括約筋は、特に、[1]および[2]に記載されている。
【0008】
人工括約筋の別の例は、[3]に記載されている。
【0009】
そのようなシステムでは、液圧回路でスローリークが発生する可能性がある。
【0010】
本文中における「スローリーク」とは、少量で長期間にわたる(少なくとも数日間であるが、より一般的には、数か月間のオーダー)液体の喪失(それぞれ、添加)を意味し、液圧回路の圧力を徐々に低下(それぞれ、増加)させる。
【0011】
反対に、液圧回路の圧力の急な低下が引き起こされる場合、リークは、急速なリークと見なされる。
【0012】
この場合、急速リークは、きっかけとなるイベントが発生した時点で(例えば、カフと液体貯留部とを接続するチューブの外れ)またはそのすぐ後に(例えば、シールを確保する材料のうちの1つの著しい損傷)検出可能である。
【0013】
逆に、スローリークは、原因となる故障発生の数日後、またはさらには数か月後になってようやく検出可能となる。
【0014】
そのようなスローリークは、以下を含む様々な原因で発生し得る:
−液圧回路の機械式要素の損傷、例えば要素の亀裂、
−貯留部または閉塞カフへのチューブの接続の欠陥、
−チューブおよび/または閉塞カフを構成する材料の多孔性(一般的には、シリコーンから作られる)、ならびに液圧回路中に含有される生理食塩水溶液の不適切な濃度により、細胞外媒体と液圧回路との間に濃度勾配が発生し、最も濃度の低い媒体から最も濃度の高い媒体への水の拡散が引き起こされる。特に、液圧回路中に含有される液体が、外部媒体と比較して不充分な濃度である場合(低浸透圧)、水は、液圧回路の外に拡散する傾向にあり、前記回路中の体積の減少に繋がり;反対に、液圧回路中に含有される液体の濃度が高過ぎる場合(高浸透圧)、液圧回路の外から入ってくる水の拡散が発生し、体積が増加する結果となる[4]。
【0015】
スローリークの影響は、閉塞システムの作動を変化させることである。
【0016】
実際、同じ作動指示の場合、液圧回路が閉塞システムの植え込み時よりも少ないまたは多い液体を含有するということは、閉塞されるべき導管に対して施される圧縮を変動させる結果となる。
【0017】
スローリークが液体の喪失に繋がる場合、それは、カフによって施される閉塞の減少、およびその結果としての閉塞システムの有効性の低下を含み得る。
【0018】
スローリークが液体の添加に繋がる場合、それは、液圧回路の圧力の進行的な上昇を含み、カフによって囲まれた組織の過剰な圧縮が引き起こされる。
【0019】
現在提案されている閉塞システムは、液圧回路のスローリークの検出、および患者またはその医師に対する警告を行うことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、従って、このタイプのリークの検出、および必要に応じて医師または患者への警告を行うための方法ならびにデバイスを設計することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によると、自然導管を閉塞するための動物またはヒトの体内の植え込み型液圧式閉塞システムにおけるスローリークを検出するための方法が提案され、前記閉塞システムは:
‐以下を含む液圧回路:
‐閉塞されるべき自然導管の一部分を囲む可変体積の液体を含有する膨張型閉塞カフ、
‐液体を含有する貯留部、および
‐カフと貯留部との間の流体接続
‐前記液圧回路の可動要素と結合され、および決定された体積の液体を貯留部からカフへ、またはカフから貯留部へ移送して、前記導管に対して前記カフによって施される圧縮を変動させるために前記可動要素を移動させるように構成された作動デバイス、
‐導管に対して決定された圧縮を施すように作動デバイスを作動させるように構成されたコントロールユニット、
を含み、導管に対してカフによって施される圧縮の変動は、貯留部とカフとの間の前記液体の調節可能体積の移送によって作り出される。
【0022】
前記検出方法は:
‐移送される液体の決定された体積を定める可動要素の位置である作動デバイスの決定された歪(変位)に対する液圧回路の圧力の変化を測定すること、
‐作動デバイスの前記決定された歪(変位)に対する前記回路で測定された圧力が所定の基準を満たす場合に、液圧回路におけるスローリークを検出すること
を含む。
【0023】
本発明の範囲内において、スローリークは、直接の流れ、拡散(特に浸透圧型)などに関わらず、物理的および/または化学的機構を用いた液圧回路からの、または液圧回路への液体移送のいずれの現象をも含み得る。
【0024】
また、そのようなリークは、最も多くの場合、液圧回路から外部媒体への液体の移送を含み得るが、場合によっては、外部媒体から液圧回路への移送も含み得る。
【0025】
本発明の実施形態によると、前記所定の検出基準は、以下の条件のうちの1つ、または前記条件の組み合わせから選択されてよい:
‐液圧回路の圧力が、固定値よりも小さいこと。
‐液圧回路の圧力が、作動デバイスの前記決定された歪に対して最初に測定された圧力値のあるパーセントよりも小さいこと。
‐経時で定期的に記録された作動デバイスの前記決定された歪に対する前記圧力の値のデータベースから構築された数学的関数から得られる値が、決定された値よりも小さいこと。
【0026】
この場合、液圧回路の液体の喪失に相当するスローリークが検出される。
【0027】
実施形態によると、貯留部は、可変体積を有し、体積は、アクチュエーターによって移動される可動要素の線形変位によって調節される。
【0028】
この場合、作動デバイスの決定された歪は、貯留部の体積を最大とする可動要素の停止位置であってよい。
【0029】
本発明の実施形態によると、前記決定された歪に対する液圧回路の測定された圧力が、ゼロまたは負の閾値未満となった場合に、決定された検出基準が満たされる。
【0030】
本発明の別の実施形態によると、液圧回路への液体の添加に繋がるスローリークを検出するために、前記所定の検出基準は、以下の条件のうちの1つ、または前記条件の組み合わせから選択されてよい:
‐液圧回路の圧力が、固定値よりも大きいこと。
‐液圧回路の圧力が、作動デバイスの前記決定された歪に対して最初に測定された圧力値のあるパーセントよりも大きいこと。
‐経時で定期的に記録された作動デバイスの前記決定された歪に対する前記圧力の値のデータベースから構築された数学的関数から得られる値が、決定された値よりも大きいこと。
【0031】
特に有利には、この方法はまた、スローリークの検出基準が満たされた場合に、ユーザーに警告を発することも含む。
【0032】
実施形態によると、作動デバイスは、蠕動ポンプを含み、移送されるべき液体の体積は、前記ポンプのローターの角度変位によって調節される。
【0033】
好ましいが限定されない本発明の適用によると、閉塞システムは、人工尿道括約筋である。
【0034】
別の目的は、前記方法を実行するためのデバイスに関する。
【0035】
より厳密には、これは、自然導管を閉塞するために動物またはヒトの体内に植え込み可能である液圧式閉塞システムにおけるスローリークを検出するためのデバイスであり、前記閉塞システムは:
‐以下を含む液圧回路:
‐閉塞されるべき自然導管の一部分を囲む可変体積の液体を含有する膨張型閉塞カフ、
‐液体を含有する貯留部、および
‐カフと貯留部との間の流体接続
‐前記液圧回路の可動要素と結合され、および決定された体積の液体を貯留部からカフへ、またはカフから貯留部へ移送して、前記導管に対して前記カフによって施される圧縮を変動させるために前記可動要素を移動させるように構成された作動デバイス、
‐導管に対して決定された圧縮を施すように作動デバイスを作動させるように構成されたコントロールユニット、
を含む。
【0036】
本発明によると、検出のための前記デバイスは:
‐液圧回路の圧力を測定するように構成されたセンサー、
‐作動デバイスに適用された歪を測定するように構成されたセンサー、
‐以下を行うように構成されたプロセスユニット:
・前記センサーの測定データから、移送される液体の決定された体積を定める可動要素の位置である作動デバイスの決定された歪に対する液圧回路の圧力の変化を測定すること、
・作動デバイスの前記決定された歪に対する前記回路で測定された圧力が、決定された基準を満たす場合に、液圧回路のスローリークを検出すること、
を含む。
【0037】
最後に、本発明は、上記で述べたものなどのスローリークを検出するための方法を実行するように構成されたデバイスを含む、自然導管を閉塞するために動物またはヒトの体内に植え込み可能である液圧式閉塞システムに関する。
【0038】
本発明のその他の特徴および利点は、添付の図面を参照して、以下の詳細な記述から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、本発明の実施形態に従う液圧式閉塞システムのブロック図である。
図2図2は、本発明の別の実施形態に従う液圧式閉塞システムのブロック図である。
図3図3は、スローリークの検出デバイスが組み込まれた閉塞システムのコントロールユニットの構造のブロック図である。
図4A図4Aは、スローリークの場合における時間の関数としての液圧回路圧力の変動の曲線の例を示す。
図4B図4Bは、液圧式閉塞システムの場合におけるピストンの種々の位置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
一般的に、閉塞システムは、閉塞されるべき自然導管を囲む閉塞要素を含む。
【0041】
該当する閉塞システムの用途に応じて、閉塞されるべき導管は、尿路導管(特に、尿道もしくは膀胱頸部)、肛門、食道、幽門の導管、またはさらには胃(胃リングの場合)であってよい。
【0042】
前記導管の閉塞は、全閉塞(尿漏れを防ぐように設計された尿道括約筋の場合)または部分閉塞(胃に入る食べ物の量を制限するように設計された胃リングの場合)であってよい。
【0043】
人工括約筋はまた、閉塞要素によって施される圧縮を調節するための作動デバイスも含む。
【0044】
従って、前記閉塞要素の作動モードに応じて、閉塞要素と作動デバイスとは接続されている。
【0045】
閉塞液圧式システムの場合、閉塞要素は、調節可能体積の液体を含有する場合が多い膨張型カフであり、作動デバイスは、液体貯留部を含み、カフと作動デバイスとの間の接続は、目的が、施される圧縮の増加か、または減少かに応じて、カフと貯留部との間を二方向で液体移送するためのチューブを含む。
【0046】
最も旧式の閉塞システムでは、この作動デバイスは、患者によってマニュアル制御され、例えば、皮膚下に配置されたポンプデバイスに施される圧力による。
【0047】
現時点では、閉塞要素の制御のためにマニュアルで患者がポンプに圧力を施す必要がないように、より洗練されたシステムが開発中である。
【0048】
閉塞システムは、やはり患者の体内に植え込み可能であり、カフの作動デバイスを制御するように構成されたコントロールユニットを含む。
【0049】
現時点では、異なる作動技術を利用した異なるタイプの液圧式閉塞システムが存在する。
【0050】
このような異なる閉塞システムは、当業者に公知である。
【0051】
人工尿道括約筋については、例えば、上記で引用した以下の文書[1]〜[3]が参照され得る。
【0052】
作動デバイスおよびコントロールユニットは、有利には、それを保護するように設計された患者の体内に植え込み可能であるケース中に含まれる。
【0053】
ケースは、典型的には、生体適合性材料で作られる。
【0054】
図1は、本発明の実施形態に従うリーク検出デバイスを備えた閉塞液圧式システムのブロック図である。
【0055】
閉塞要素9は、可変量の液体が充填される場合が多い膨張型カフの形態であり、カフ内部の液体圧力の変動が、閉塞されるべき自然導管10に施される圧縮を変動させる。
【0056】
例えば生理食塩水溶液の液体貯留部4は、チューブ8によってカフと流体接続されるように配置される。
【0057】
カフ9、貯留部4、およびチューブ2の集合体が、閉塞システムの液圧回路を形成する。
【0058】
この液圧回路により、貯留部からカフへ液体の一部を移送して、導管10に施される圧縮を増加し、および逆に、カフから貯留部へ液体の一部を移送して、カフによって導管10に施される圧縮を減少させることが可能となる。
【0059】
この目的のために、閉塞システムはまた、この液体の移送を行い、カフによって導管10に施される圧縮を変動させるための、液圧回路に結合された作動デバイス2も含む。
【0060】
この液体移送は、固定要素に対する可動要素の変位を含む。考慮される実施形態によると、この変位は、並進運動または回転運動であってよい。
【0061】
有利な実施形態によると、貯留部4は、可変体積を有する。
【0062】
例えば、しかしこれに限定されないが、体積の変動は、貯留部の壁を移動させることによって行われてよく、作動デバイス2は、前記壁を移動させるためのアクチュエーターを含む。
【0063】
この場合、貯留部は、回転膜(rolling membrane)、ピストン、蛇腹(bellows)、または貯留部本体を形成している固定要素に対する可動要素の線形変位によってその体積を変動させるためのその他の何らかの手段を含んでよい。
【0064】
当業者であれば、既存のアクチュエーターから、貯留部について計画される実行機能として適切なアクチュエーターを選択することができる。
【0065】
限定されない例は、圧電式アクチュエーターなどである。
【0066】
ここでは示されてはいないが、作動デバイスは、貯留部に対して施される動作を測定するためのセンサーを含む。
【0067】
例えば、作動が、貯留部の可動壁の変位から成る場合、前記センサーは、可動壁の位置を特定するための位置センサーから成っていてよい。
【0068】
較正では、可動壁の位置と貯留部体積の変動との間の関係、ならびに貯留部体積の変動と液圧回路の圧力との間、および最終的には液圧回路の圧力と閉塞されるべき導管に施される圧縮との間の関係の両方が決定される。
【0069】
液圧回路の圧力と貯留部から膨張型カフへ移送される体積との間の関係は、所望に応じて、数学的関係の形で表されてもよい。
【0070】
場合に応じて、この関係は、線形であっても、またはそうでなくてもよい。
【0071】
従って、導管10のある圧縮を得ることを考慮して、液圧回路中の液体のある圧力を得るために可動壁に課すべき変位を決定することが可能である。
【0072】
この場合、作動デバイスの変位制御は、液圧回路の圧力の測定に基づいている。
【0073】
この理由から、図1に示される実施形態では、貯留部の液体圧力が測定されるように、圧力センサー5が、貯留部4の壁に配置される。
【0074】
閉塞システムはまた、導管10に決定された圧縮を施すように作動デバイス2を作動させるよう構成されたコントロールユニット7も含む。
【0075】
歪は、導管の決定された圧縮を得るために作動デバイスによって施される必要のある動作から成る。
【0076】
コントロールユニット7と作動デバイス2との間の接続6は、図1では、有線の形態で示したが、当業者によって選択される技術に応じて、それは無線で操作されてもよいことは理解される。
【0077】
また、センサー5とコントロールユニット7との間にも接続6(有線であってもそうでなくても)が存在する。
【0078】
図2は、液圧式閉塞システムの別の実施形態を示す。
【0079】
図1と同じ符号で示されるコンポーネントは、同じ機能を実行するものであり、従って、さらに詳細に記載することはしない。
【0080】
図1に示されるデバイスと比較して、液圧回路の圧力を測定するためのセンサー5は、導管10の圧力が直接測定されるように、貯留部4の壁ではなく、閉塞カフ9に配置される。
【0081】
圧力センサーは、それ自体本発明の範囲から逸脱することなく、液圧回路の、または圧縮システムのその他のいずれの場所で用いられてもよいことは理解される。
【0082】
別の実施形態では(図示せず)、作動デバイスは、貯留部に含有される液体を閉塞カフへ、またはその逆へ移送するための蠕動ポンプを含む。そのようなポンプは、典型的には、変形可能チューブを含む固定ヘッド、およびヘッド中で回転可能であるローターを有し、変形可能チューブを変形して閉塞するローラーを備えている。ローターおよびローラーの回転により、2つの隣接するローラー間のチューブに含有される液体の体積分が運ばれ、前記貯留部の前記体積をカフへ、またはその逆へ移送することが可能となる。
【0083】
上記で述べた実施形態は、本発明を限定することを意図するものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく、その他の作動手段およびその他のセンサーが選択されてよい。
【0084】
液圧回路圧力の測定
液圧回路の圧力の測定は、例えば上述の圧力センサーの1つ以上を用いて、前記回路のいずれの地点で行われてもよい。
【0085】
本発明では、作動デバイスの決定された歪に対応する特定の状況における液圧回路の圧力の変化に注目する。
【0086】
この決定された歪は、閉塞システムで用いられる作動デバイスの種類に応じて異なる。
【0087】
液体の移送が可動要素の変位(並進運動または回転運動)を含む場合において、歪は、有利には、前記要素の位置である。
【0088】
例えば、貯留部がその体積を変動させるための可動壁を持ち、作動デバイスが決定された距離で前記壁を移動させるように構成される場合、液圧回路の圧力がモニタリングされる決定された歪は、貯留部中の液体の決定された体積を定める壁の位置に対応し得る。
【0089】
好ましい実施形態によると、前記壁のオープン停止位置(open stop position)(貯留部の最大体積に対応、閉塞カフは空)が、前記位置として選択される。
【0090】
スローリークが液圧回路で発生している場合、壁のこの決定された位置に対する液圧回路の圧力は、低下する傾向にあり、マイナスとなる場合さえある。
【0091】
同様に、作動デバイスが蠕動ポンプを含む場合、それに対する液圧回路の圧力変化がモニタリングされる歪は、導管のある圧縮を得るための、または蠕動ポンプに接続された貯留部の体積を最大化するための前記ポンプのヘッドに対するローターの角度参照位置に対して定められてよい。
【0092】
経時での圧力のモニタリング
液圧回路に発生し得るスローリークを検出するために、上記で述べた所定の歪に対する液圧回路の圧力が定期的に記録される。
【0093】
測定の周期性は、必ずしも規則的である必要はなく、すなわち、2回の連続する測定の間が、異なる長さの時間間隔にわたっていてもよい。
【0094】
また、圧力の記録は、必ずしも所定の歪に遭遇する毎に行われる必要はなく、所望に応じて、医師の決定による頻度に従って、より低い頻度で行われてもよい。
【0095】
また、測定の周期性は、対象となる閉塞システムの種類に応じて異なってもよい。
【0096】
例えば、尿道または肛門閉塞システムの場合、排尿または排便を可能とするために、少なくとも1日に1回は閉塞カフが開かれる。
【0097】
従って、このようなシステムの場合、液圧回路の圧力は、少なくとも1回の排尿または排便の間に液圧回路の圧力を記録することによって、毎日モニタリングされてよい。
【0098】
その他のシステムでは(例えば、胃リング)、システムの較正は、ユーザーによって行われるコントロールの過程で、または参照位置に作動デバイスを配置することによって自律的に、閉塞システムの機能に影響を与えない状態で行われてよい。
【0099】
スローリーク検出のための基準
スローリークの検出基準は、様々な可能性から選択されてよく、そのうちの一部を以下で述べる。
【0100】
スローリークが液圧回路の液体の喪失を引き起こす場合にまず注目する。
【0101】
本発明の第一の実施形態によると、そのようなスローリークの検出基準は、液圧回路の圧力が、患者とは独立して任意に固定された固定値未満となった場合に満たされる。
【0102】
この閾値は、好ましくは、ゼロまたは負である。
【0103】
別の実施形態によると、スローリークの検出基準は、液圧回路の圧力が、最初に測定された圧力の値のあるパーセント未満となった場合に満たされる。
【0104】
例えば、液圧回路の圧力の値は、患者に閉塞システムが植え込まれた後に作動デバイスの決定された歪に対して測定され、この値が参照値として選択される。
【0105】
この参照値のあるパーセントが、それを超えた場合にスローリークが検出される値であるとして選択される。
【0106】
例えば、このパーセントは、20%のオーダーであってよい。
【0107】
この値は、負であってよく、およびシステムの1つ以上のパラメーターに比例していてもよい。
【0108】
この基準の利点は、それが、検出方法の開始時に患者に対して行われた測定に基づいていることから、患者の個々の状況を考慮しているということである。
【0109】
本発明の別の実施形態によると、スローリークの検出基準は、測定された圧力自体ではなく、前記圧力の関数と決定された値との比較を含む。
【0110】
この場合、前記決定された値と比較されるべきこの値は、経時で定期的に測定された圧力の値のデータベースから構築された数学的関数から得られた値であってよい。
【0111】
この場合、スローリークの存在は、例えば、積x・Pが閾値未満に低下した場合に考慮されてよく、xは、閉塞システムの材料の老化を考慮するために経時で変化するパラメーターであり、Pは、ある歪に対して液圧回路で測定された圧力である。
【0112】
例えば、この閾値は、特に負であってよい。
【0113】
また、特に上記の段落に提示されたものを含む異なる基準を組み合わせることによって異なる状態を同時に考慮に入れるより複雑な決定基準を定めることも実行可能である。
【0114】
有利には、ゼロまたは負の閾値を選択することにより、液体の喪失を引き起こすスローリークと自然導管の萎縮症とが区別される。
【0115】
萎縮症は、閉塞カフによって圧縮される組織の局所的な菲薄化である。
【0116】
従って、それは、導管の決定された圧縮を得るために作動デバイスに適用されるべき歪の変動をもたらす結果となる。
【0117】
しかし、この場合、液圧回路中の圧力は、作動デバイスの決定された歪に対して常に正に維持される。
【0118】
従って、作動デバイスの決定された歪に対して液圧回路で見られる圧力が、ゼロまたは負の閾値未満であることが、スローリークの特徴である。
【0119】
図3は、スローリーク発生の可能性を検出するためのプロセスユニットの一般的構造の実施形態を示す。
【0120】
プロセスユニット18は、作動デバイスの所定の歪が観察された場合に圧力の測定を制御し、測定値を処理し、および測定された圧力をスローリークの少なくとも1つの検出基準と比較するためのアルゴリズムを実行するように構成されたマイクロプロセッサー16を含む。
【0121】
この目的のために、マイクロプロセッサー16は、インターフェイス13によって、少なくとも1つの圧力センサー5と通信を行う。
【0122】
有利には、マイクロプロセッサーは、所定の歪が適用されているかどうかを判断するために、作動デバイスに施される歪を表す作動デバイスのセンサーとも通信を行う。
【0123】
通信は、矢印で描かれており、公知のプロトコルに従って、有線接続または無線接続によって行われてよい。
【0124】
プロセスユニット18はまた、検出プログラム、測定された圧力値、およびスローリーク検出のために満たすべき条件が記録されるメモリ14も含む。
【0125】
プロセスユニットは、1つ以上のクロック15も含む。
【0126】
マイクロプロセッサー16は、インターフェイス13、メモリ14、およびクロック15と接続される。
【0127】
マイクロプロセッサー16は、インターフェイス17によって、作動デバイス2とも通信を行う。
【0128】
図4Aおよび4Bは、液圧式閉塞システムにおけるスローリークの検出の例を示す。
【0129】
図4Bに示す実施形態では、貯留部4は、ピストン22の変位による可変体積を有する。
【0130】
ピストンの移動距離は、2つの限界位置によって定められ:閉塞カフが空である場合のピストンの初期停止に対応する位置Pi、および導管の最大圧縮が施されるように閉塞カフが液体で満たされた場合のピストンの最終停止に対応する位置Pfである。
【0131】
矢印24は、貯留部から閉塞カフへの液体の排出方向を示す。
【0132】
ピストンが位置Piにある場合の液圧回路の圧力の変動に注目する。
【0133】
閉塞システムの開始時における液圧回路の圧力を、p0とする。
【0134】
図4Aのグラフは、スローリークが発生している状況において、ピストンが位置Piにある場合の経時での圧力pの変化を示す。
【0135】
このグラフから分かるように、圧力pは、初期値p0から次第に低下している。
【0136】
圧力pの曲線が、pjで示される所定の閾値に到達すると、スローリークが検出されたと見なされる。
【0137】
必要に応じて、患者および/または医師に対して、プロセスユニットから警告が発せられる。
【0138】
その場合、医師は、新たな外科手術を避け、液圧回路に新たな体積の液体を添加することを決定することができる。
【0139】
この添加は、一般的には液圧回路上に、特には貯留部上に備えられた注入ポートを介して行われてよい。
【0140】
注入ポートは、患者の皮膚に相対して配置される貯留部の壁のうちの1つに備えられる隔壁を含んでよく、それによって、医師は、皮膚を通して貯留部にニードルを導入することができる。
【0141】
隔壁は、ニードルを引き抜く過程および引き抜いた後に貯留部のシールが確保される生体適合性材料から作られる。
【0142】
この用途には、シリコーンが一般的に用いられる。
【0143】
液体が高浸透圧である場合
液体が高浸透圧溶液である場合、外部から液圧回路への液体の拡散のリスクが存在し、液圧回路の過剰加圧が引き起こされる可能性が高い[4]。
【0144】
本発明は、そのような状況を検出し、ユーザーに警告する。
【0145】
この場合、貯留部もしくは蠕動ポンプの可動要素の位置、またはアクチュエーターの決定された歪に対する圧力が、次第に増加することになる。
【0146】
検出基準は、上記で述べた基準のうちの1つから選択されてよいが、圧力が決定された値よりも大きい場合に検出が行われる点が異なっている。
【0147】
圧力の曲線が所定の閾値に到達すると、解除(cancellation)が検出されたと見なされる。
【0148】
必要に応じて、患者および/または医師に対して、プロセスユニットから警告が発せられる。
【0149】
その場合、医師は、液圧回路中の液体のある体積を除去し、それによって組織の過剰な圧縮を回避することを決定することができる。
【0150】
この除去は、一般的には液圧回路上に、特には貯留部上に備えられた注入ポートを介して行われてよい。
【0151】
参考文献
[1]国際公開第2009/027196号
[2]Development of a Novel Artificial Urinary Sphincter, H. Lamraoui et al, IEEE/ASME Transactions on Mechatronics, Vol. 15, No. 6, Dec. 2010
[3]米国特許第6,162,238号
[4]F. Maillet, J.-M. Buzelin, O. Bouchot, and G. Karam, "Management of artificial urinary sphincter dysfunction," European Urology, vol. 46, no. 2, pp. 241-246, Aug. 2004
[5]C. Hajivassiliou, "A review of the complications and results of implantation of the AMS artificial urinary sphincter," European Urology, vol. 35, no. 1, pp. 36-44, 1999
図1
図2
図3
図4A
図4B