特許第6576921号(P6576921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6576921マルチスペクトル撮像のための自動焦点方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576921
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】マルチスペクトル撮像のための自動焦点方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/36 20060101AFI20190909BHJP
【FI】
   G02B21/36
【請求項の数】7
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-526567(P2016-526567)
(86)(22)【出願日】2014年7月15日
(65)【公表番号】特表2016-527549(P2016-527549A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】EP2014065064
(87)【国際公開番号】WO2015007697
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2017年5月9日
(31)【優先権主張番号】61/847,978
(32)【優先日】2013年7月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507179346
【氏名又は名称】ベンタナ メディカル システムズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】ブレドノ,イェルク
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,ジム・エフ
(72)【発明者】
【氏名】サーカー,アニンディア
【審査官】 森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−506060(JP,A)
【文献】 特開2012−114798(JP,A)
【文献】 特開2007−193030(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/125347(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/00 − 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡スライドの焦点が合わせられた画像を取得するための方法であって、
較正ステップにおいて、カラーデジタル撮像素子のカラーチャネルのそれぞれにおいて最も鮮明な焦点面を提供する、前記カラーチャネルにとっての基準自動焦点面からのZオフセットを決定するステップであって、前記基準自動焦点面が、グレイスケール画像を分析することによって決定されるものであり、当該Zオフセットを決定するステップが、
訓練用スライドを用いて、前記カラーチャネルの各々に対する最も鮮明な焦点面及び前記基準自動焦点面を取得するステップと、
前記カラーチャネルの各々に対する前記最も鮮明な焦点面と、前記基準自動焦点面の間の差を決定することによって、各カラーチャネルに対してZオフセットを決定するステップと、
を含むものと、
走査ステップにおいて、前記訓練用スライドとは異なる前記顕微鏡スライドを用いることによって、前記顕微鏡スライドの位置を変更する間に、前記カラーデジタル撮像素子の視野に対する、前記カラーチャネルにとっての基準自動焦点面、及び、最も鮮明な焦点面を決定するステップであって、前記基準自動焦点面が、グレイスケール画像を分析することによって決定されるものと、
i) 視野に対する基準自動焦点面;
ii) 前記視野に対する基準自動焦点面と、視野に対する前記カラーチャンネルにとっての最も鮮明な焦点面の間のZオフセット;
iii)前記較正ステップで決定された前記カラーチャネルにとってのZオフセット;
を用いることによって、視野に対する基準自動焦点面を調整するステップと、
前記視野に対する調整された基準自動焦点面、及び、前記較正ステップにおいて決定された前記Zオフセットと、を用いて、前記カラーチャネルのそれぞれにおいて前記カラーデジタル撮像素子により、最適な焦面における、前記視野における画像データを得るステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記Zオフセットは、前記カラーデジタル撮像素子によって撮像されているスライド領域の位置に応じて変化する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記走査ステップは、
前記最も鮮明な焦点面における前記カラーチャネルにおいて画像を得るステップと、
前記最も鮮明な焦点面において、および、前記最も鮮明な焦点面からの前記Zオフセットにおいて取得された前記画像に対する鮮鋭度計量を算出するステップと、
前記カラーデジタル撮像素子から出力するために、最適な鮮鋭度計量によって前記画像を選択するステップと、
をさらに含む、請求項1又は2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記較正ステップは、較正スライドのZスライス走査を行うステップをさらに含む、請求項1又は2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記走査ステップはスライドのZスライス走査を行うステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
顕微鏡スライドの焦点が合わせられた画像を取得するための方法であって、
較正ステップにおいて、カラーデジタル撮像素子のカラーチャネルのそれぞれにおいて最も鮮明な焦点面を提供する、前記カラーチャネルにとっての基準自動焦点面からのZオフセットを決定するステップであって、前記基準自動焦点面が、グレイスケール画像を分析することによって決定されるものであり、当該Zオフセットを決定するステップが、
訓練用スライドを用いて、前記カラーチャネルの各々に対する最も鮮明な焦点面及び前記基準自動焦点面を取得するステップと、
前記カラーチャネルの各々に対する前記最も鮮明な焦点面と、前記基準自動焦点面の間の差を決定することによって、各カラーチャネルに対してZオフセットを決定するステップと、
を含むものと、
走査ステップにおいて、前記訓練用スライドとは異なる前記顕微鏡スライドを用いることによって、前記顕微鏡スライドの位置を変更する間に、前記カラーデジタル撮像素子の視野に対する、前記カラーチャネルにとっての基準自動焦点面、及び、最も鮮明な焦点面を決定するステップであって、前記基準自動焦点面が、グレイスケール画像を分析することによって決定されるものと、
i) 視野に対する基準自動焦点面;
ii) 前記視野に対する基準自動焦点面と、視野に対する前記カラーチャンネルにとっての最も鮮明な焦点面の間のZオフセット;
iii)前記較正ステップで決定された前記カラーチャネルにとってのZオフセット;
を用いることによって、視野に対する基準自動焦点面を調整するステップと、
前記視野に対する調整された基準自動焦点面、及び、前記較正ステップにおいて決定された前記Zオフセットと、を用いて、前記カラーチャネルのそれぞれにおいて前記カラーデジタル撮像素子により、最適な焦面における、前記視野における画像データを得るステップと、
を含むことによって、
光学系の色収差の影響を最小化する、
方法。
【請求項7】
顕微鏡スライドの焦点が合わせられた画像を取得するためのシステムであって、当該システムが、メモリ及びプロセッサを含み、当該システムが、
顕微鏡スライドの焦点が合わせられた画像を取得するための手段を有し、当該手段が、
カラーデジタル撮像素子のカラーチャネルのそれぞれにおいて最も鮮明な焦点面を提供する、前記カラーチャネルにとっての基準自動焦点面からのZオフセットを決定する手段であって、前記基準自動焦点面が、グレイスケール画像を分析することによって決定されるものであり、当該Zオフセットを決定する手段が、
訓練用スライドを用いて、前記カラーチャネルの各々に対する最も鮮明な焦点面及び前記基準自動焦点面を取得する手段と、
前記カラーチャネルの各々に対する前記最も鮮明な焦点面と、前記基準自動焦点面の間の差を決定することによって、各カラーチャネルに対してZオフセットを決定する手段と、
を含むものと、
前記訓練用スライドとは異なる前記顕微鏡スライドを用いることによって、前記顕微鏡スライドの位置を変更する間に、前記カラーデジタル撮像素子の視野に対する、前記カラーチャネルにとっての基準自動焦点面、及び、最も鮮明な焦点面を決定する手段であって、前記基準自動焦点面が、グレイスケール画像を分析することによって決定されるものと、
i) 視野に対する基準自動焦点面;
ii) 前記視野に対する基準自動焦点面と、視野に対する前記カラーチャンネルにとっての最も鮮明な焦点面の間のZオフセット;
iii)前記各カラーチャネルに対してZオフセットを決定する手段で決定された前記カラーチャネルにとってのZオフセット;
を用いることによって、視野に対する基準自動焦点面を調整する手段と、
前記視野に対する調整された基準自動焦点面、及び、前記各カラーチャネルに対してZオフセットを決定する手段で決定された前記Zオフセットと、を用いて、前記カラーチャネルのそれぞれにおいて前記カラーデジタル撮像素子により、最適な焦面における、前記視野における画像データを得る手段と、
を含み、
前記各手段の少なくとも1つが、前記プロセッサによる実行のために前記メモリに記憶されたコンピュータにより実行可能な命令を備える、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、顕微鏡スライドを撮像するためのコンピュータベースシステム、および、自動焦点技法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル病理学機器は、顕微鏡スライドのデジタル画像を作り出すために使用される場合が多い。病理学者および組織検査技師(histotechnologist)は、そのデジタル画像を視覚的に検査して、組織試料についての情報を得ること、および、最も適切な処置を識別して臨床転帰を改善することが多い。カラー画像を作り出すために、多くの場合、自動化スライドスキャナは、赤、緑、および、青(RGB)のカラーチャネルにおける画像を取得し、かつ、画像を組み合わせてRGB画像を作り出す。スキャナは、例えば、画像データを取得するために、複数のフィルタまたはチューナブルフィルタのベンチを有する蛍光撮像素子(imager)のような、種々のスペクトル特性を有する複数の画像チャネルも取得する。適した画像データを実現するために、自動化スライド走査は、多くの場合、多数の種々のZ平面で組織試料を自動的に走査することを含む。キャプチャされた画像の多くは、画像データがZ平面のほとんどにおいて焦点を外れることが多いため、ほとんどまたは全く価値がない。この問題はまた、フィルタベンチを使用した蛍光撮像に影響を及ぼす。
【0003】
また、青または緑のカラーチャネルにおける最良の焦点は、特に、撮像される特徴が小さい(例えば、光の波長の20倍未満)場合、赤のカラーチャネルにおける最良の焦点に対してZ平面でなくてもよい。1つのカラーチャネルの画像ぼけは、全体のカラー画像品質を低下させ、それによって、解釈、診断、および/または、自動化画像分析の深刻な問題がもたらされる可能性がある。ぼけを低減するために、カラースライドスキャナは、完全なZスタックの画像(例えば、各カラーチャネルに対するZスタック画像のセット)を取得し、かつ、複雑な自動焦点アルゴリズムを使用してZスタックから単一画像を作成することができる。残念ながら、これは、かなりのZスタック取得時間、大量のZスタックデータを記憶するためのメモリ、および、Zスタックデータを分析し、かつ、カラー画像を生成するためのかなりの処理時間を必要とする。あるいは、従来のカラースライドスキャナは、1チャネルに対する焦点(または焦)面を選択し、次いで、選択された焦点面で他のチャネルを走査することができる。例えば、焦点面は、緑チャネルの最良の焦点について選択可能である。スライドスキャナは、その焦点面で、赤および青のチャネルにおける画像を取得して、カラーまたはマルチスペクトル画像を作り出す。残念ながら、チャネルの全てに対して使用される共通の焦点面は、それぞれのチャネルにとって最良の焦点面でない場合があり、その結果、焦点合わせ手順を特色付けたもの以外の色によって特色付けられる特徴に対して、合成画像において好ましくない画像ぼけが生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示された技術の少なくともいくつかの実施形態は、視覚的鮮鋭度、色分離性、および、可読性の間のバランスを改善するために選択された焦面において画像をキャプチャすることによって、合成画像の焦点を高める撮像システムである。デジタル撮像素子デバイスのそれぞれのチャネル(例えば、カラーチャネル)またはフィルタ帯域は、異なる焦面を有することができる。「焦点が合った」焦面を選択して、限られた数の画像(例えば、チャネルまたはフィルタ帯域当たり1画像)をキャプチャして、撮像時間またはデータ記憶などを制限しながら、カラーチャネル全てに対して至適に焦点が合わせられた合成画像を作り出すことができる。撮像システムは、例えば、それぞれの焦面において得られた種々のカラーチャネルにおいて個々の画像を組み合わせることによって、標本の高度に焦点を合わせたカラー画像を作り出すことができる。
【0006】
焦面または「焦点が合った」Zスライスは、最小量のぼけ、最も鮮明な画像などを有するチャネル(またはフィルタ帯域)においてキャプチャされた画像に対応することができる。それぞれのカラーチャネル(またはフィルタ帯域)は、合成画像において観察されるぼけおよび/またはゆがみ(例えば、色収差)の量を制限するまたは実質的に低減するために、そのカラーチャネル(またはフィルタ帯域)に対して最適な焦面またはZスライスを使用してキャプチャされる。撮像システムは、例えば、患者からの組織試料の組織特性を示す1つまたは複数の較正顕微鏡スライド(例えば、ファントムスライド、組織特異的なトレーニングスライドなど)を撮像することができる。撮像システムは、較正スライドの取得した画像を分析して、例えば、ゆがみ、色収差、または、他の好ましくない問題を評価することができる。いくつかの較正プロセスでは、カラーチャネル全てに対する単一自動焦点面と、それぞれのカラーチャネルに対する最良の個々の焦面との間の色収差またはゆがみの影響が判断される。
【0007】
撮像システムは、同じ組織試料または異なる組織試料の後の視野を処理するためのモデルフィッティング(model fitting)技法を使用することができる。モデルフィッティングを、例えば、多項式フィッティング、または、変数として、標本の位置およびチャネルまたは帯域焦面の他の適したフィッティングを伴うオフセットまたはフィッティング技法とすることができる。いくつかの較正プロセスにおいて、1つまたは複数の較正スライドのZスタックの画像を得ることができる。撮像システムは、それぞれのチャネルまたはフィルタ帯域に対する焦面を決定し、かつ、その焦面を、自動焦点アルゴリズムから予測された焦面と比較することができる。この情報は、組織、細胞などのような物体を撮像する時に応用される焦点方法に対して提供される。該情報、ひいては、自動焦点アルゴリズムは、自動焦点アルゴリズムの精度を上げるために、比較に基づいて連続的にまたは周期的に更新可能である。いくつかの実施形態では、自動焦点アルゴリズムは、予測された焦面および実際の焦点が合った焦面における画像の比較に基づいて更新される。1チャネルにおける画像の比較を使用して、他のチャネルにおける焦面を選択することができる。よって、単一チャネルにおける2つの画像を使用して、さらなるチャネルにおける最適な焦面を決定することができる。さらに、1チャンネルの自動焦点アルゴリズムは、別のチャネルの調節(例えば、焦点合わせ)に基づいて調節可能である。これによって、全体の処理時間を低減し、かつ、画像品質を高めることができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、マルチスペクトルコンピュータベースシステムは、顕微鏡スライドの焦点が合わせられたカラー画像を取得する。較正ステップでは、システムは、カラーデジタル撮像素子の1つまたは複数のカラーチャネルに対して基準焦点面からのZオフセットを決定する。1つまたは複数の基準焦点面を、例えば、最終画像におけるカラーチャネルのサブセットにおいてそれぞれのカラーチャネルに対して個々に選択された最良の焦点面とすることができる。走査ステップでは、システムは、カラーデジタル撮像素子の視野に対する最良の焦点面を決定することができる。カラーデジタル撮像素子は、較正ステップにおいて決定されるZオフセットに従って、赤、緑、および、青のカラーチャネルのうちの1つまたは複数における視野において画像データを得ることができる。また、種々のルーチンを行って、それぞれのカラーチャネルを個々に自動焦点合わせすることができ、自動焦点合わせするための方法は、アプリケーションおよび手元の撮像された組織に基づいて選択可能である。
【0009】
いくつかの実施形態では、顕微鏡スライドの焦点が合わされた画像を取得するための方法を、光学系を有する顕微鏡、および、デジタルカラーカメラを使用して行うことができる。該方法は、デジタルカラーカメラの赤、緑、および、青のカラーチャネルのそれぞれにおける最良の焦点面からのZオフセットとして光学系に存在する色収差を特徴付けることを含む。顕微鏡スライドは、Zオフセットに従って、赤、緑、および、青のカラーチャネルから画像データを得ることによって、特徴付けられた色収差の効果を低減するように撮像可能である。マルチスペクトルシステムは、光学系を自動的に焦点合わせするように実行可能である命令を記憶するメモリを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】開示された技術の実施形態に従って、自動焦点技法を行うためのコンピュータベースシステムおよび環境を示す図である。
図2】開示された技術の実施形態に従って、自動焦点ルーチンを向上させるための設備を示すブロック図である。
図3】開示された技術の実施形態に従って、較正構成要素の処理を示すフロー図である。
図4】開示された技術の実施形態に従って、Z較正構成要素の処理を示すフロー図である。
図5】開示された技術の実施形態に従って、走査構成要素の処理を示すフロー図である。
図6】開示された技術の実施形態に従って、Z走査構成要素の処理を示すフロー図である。
図7】開示された技術の実施形態に従って、テスト構成要素の処理を示すブロック図である。
図8A】開示された技術の実施形態に従って、特定のスライドに対して生成されたさまざまなZスライスまたは焦面における表示画像を示す図である。
図8B】開示された技術の実施形態に従って、特定のスライドに対して生成されたさまざまなZスライスまたは焦面における表示画像を示す図である。
図8C】開示された技術の実施形態に従って、特定のスライドに対して生成されたさまざまなZスライスまたは焦面における表示画像を示す図である。
図8D】開示された技術の実施形態に従って、特定のスライドに対して生成されたさまざまなZスライスまたは焦面における表示画像を示す図である。
図8E】開示された技術の実施形態に従って、特定のスライドに対して生成されたさまざまなZスライスまたは焦面における表示画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
開示された技術の少なくともいくつかの実施形態は、種々のカラーチャネルまたはフィルタ帯域に対して種々の焦面および/またはZスライス(例えば、Zスタックまたは焦面マージプロセス(merging process)によって生成されたZ平面)において画像をキャプチャすることによってキャプチャされた画像の「鮮鋭度」を改善するように構成された設備を含む撮像システムである。それぞれのカラーチャネルまたはフィルタ帯域に対して、設備は、最小量のぼけを有する焦面またはZスライス(すなわち、「最も焦点が合った」焦面またはZスライス)を識別し、かつ、例えば、焦点が合わせられた画像をキャプチャするためにこれらの焦面またはZスライスを使用する。焦点が合わせられた画像を組み合わせて、焦点が合わせられた合成画像を作り出すことができる。例えば、焦点が合わせられた赤のチャネル画像、焦点が合わせられた緑のチャネル画像、および、焦点が合わせられた青のチャネル画像を組み合わせて、焦点が合わせられたカラー画像を作り出すことができる。設備は、それぞれのカラーチャネル(またはフィルタ帯域)にとって最適な焦面またはZスライスを使用するため、最終合成画像において観察される色収差の量を低減することができる。
【0012】
画像の「鮮鋭度」または焦点の鮮鋭度のことを言うと、顕微鏡検査およびデジタル撮像の当業者にとって典型的なことであるが、「最良の焦点」は必ずしも「最も鮮鋭」であるわけではないことをこの特許において強調したいことに留意されたい。多くの場合、視覚的または焦点鮮鋭度によるある組み合わせにおいてカラー分離性または可読性を最適化する方がより良い。従って、「より良い鮮鋭度」および「最高の鮮鋭度」によって、本発明者は、視覚的鮮鋭度、カラー分離性、および、可読性のバランスを取る意味で、「より最適」または「至適」を意味するものとする。標本の微細構造(診断にとって無関係である組織構造)のいくつかがそれほど明白ではない場合に画像は解釈するのがより容易であることが多いため「可読性」は含まれ、これは、本特許において識別されるモデルに含まれ得る。
【0013】
本明細書に記載される技法を使用して、位相検出自動焦点技法およびコントラスト検出自動焦点技法などを含むがこれらに限定されない受動型または能動型自動焦点技法といった既知の自動焦点およびZスライス技法を向上させることができる。さらなる自動焦点、Zスライス、および、スライド撮像技法は、BradleyおよびBamformによる「A One−pass Extended Depth of Field Algorithm Based on the Over−complete Discrete Wavelet Transform(過剰完全性(Over−complete)離散ウェーブレット変換に基づくフィールドアルゴリズムのワンパスの深度拡大)」、「Image and Vision Computing‘04 New Zealand(画像および視覚計算‘04ニュージーランド)」(IVCNZ‘04)、Akaroa、ニュージーランド、279〜284頁(2004年11月)、「Autofocus Imaging(オートフォーカスイメージング)」という名称の2011年5月4日に出願された米国特許非仮出願第13/697,681号、「On−the−Fly Focusing Sensor(オンザフライ焦点センサ)」という名称の2010年7月23日に出願された米国特許仮出願第61/367,341号、「Slide Caching in a Slide Scanning Microscope(スライド走査顕微鏡におけるスライドキャッシュ)」という名称の2010年1月28日に出願された米国特許仮出願第61/299,231号、「Scanning Microscope Slide Stage(走査顕微鏡スライドステージ)」という名称の2009年11月13日に出願された米国特許仮出願第61/261,251号、「High Speed Slide Scanning System for Digital Pathology(デジタル病理学のための高速スライド走査システム)」という名称の2009年10月29日に出願された米国特許仮出願第61/256,228号、「On−the−Fly Focusing Systems and Techniques for Scanning Microscopes(オンザフライ焦点システム、および走査顕微鏡のための技法)」という名称の2009年10月19日に出願された米国特許仮出願第61/252,995号、および、「Color Space Transformations for Use in Identifying Objects of Interest in Biological Specimens(生物標本内の関心対象を識別する際に使用するためのカラースペース変換)」という名称の2012年10月28日に出願された米国特許第7,200,252号において記載されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、設備は、較正段階またはステップ中に自動焦点モデルを生成し、かつ、後続のスライド走査および/または視野走査中に生成された自動焦点モデルを使用して、走査時間およびデータサイズを低減しつつ、それぞれの個々のカラーチャネル(またはフィルタ帯域)に対する焦点を改善させる。較正ステップ中、設備は、1画像に対して、「基準」自動焦点面またはZスライスを決定してから、さまざまなカラーチャネル(またはフィルタ帯域)に対して自動焦点面「オフセット」を決定する。較正ステップは、標本(例えば、バクテリアおよび生物的物質など)、組織(例えば、乳房組織および腫瘍組織など)、または、走査される他の標本の典型である1つまたは複数の「ファントム」または「トレーニングスライド」を分析することを含む。「基本」値は、種々の焦面においてキャプチャされたスライド(複数可)の画像を分析することによってトレーニングスライド(複数可)に自動焦点技法を応用することによって決定される。上述したものおよび他の自動焦点技法を含む多くの種々の自動焦点アルゴリズムを用いることができることを、当業者は認識するであろう。「基本」値は、いくつかの実施形態では、グレースケールバージョンのスライド(複数可)を使用して生成される。他の実施形態では、「基本」値は、単一カラーチャネル、カラーチャネルの組み合わせ(例えば、緑などの単一カラーチャネルによって特色づけられる場合があるカラーチャネルの組み合わせ)、単一フィルタ帯域、および、明度などを使用して生成される。較正ステップは、カラーチャネル(またはフィルタ帯域)にとって最高度の鮮鋭度を与える焦面に対応するそれぞれのカラーチャネル(またはフィルタ帯域)に対するZにおける「オフセット」値を決定することをさらに含むことができる。設備は、種々の焦面(または種々のZスライス)においてキャプチャされたスライド(複数可)のカラーチャネルまたはフィルタ帯域特異的な画像を分析して最も鮮鋭な焦面(またはZスライス)を識別することによって自動焦点技法を第1のスライドに応用することによって、それぞれの「オフセット」値を決定することができる。それぞれの「オフセット」値は、「基本値」との差異として計算可能である。例えば、「基本」値が23μm(マイクロメートル)のZにあり、赤のカラーチャネルにとって最も鮮鋭な焦面が24μmのZにある場合、赤のカラーチャネルオフセットは+1μmである。別の例として、「基本」値が25μmであり、赤のカラーチャネルにとって最も鮮鋭な焦面が24μmである場合、赤のカラーチャネルオフセットは−1μmである。別の例として、「基本」Zスライスが7の指数を有し、赤のカラーチャネルにとって最も鮮鋭なZスライスが9の指数を有する場合、赤のカラーチャネルオフセットは+2である。いくつかの実施形態では、基本値は、レンズの全可動範囲に対するその測定値に対応してよい。例えば、レンズが50μmの全可動範囲を有する場合、基本値は、全可動範囲に沿って0μm〜50μmの測定値を表す場合がある。複数のトレーニングスライドが使用される時、結果として生じる基本値およびオフセット値を、例えば、最も一般的な基本値およびオフセット値、または、他の適した集約技法を使用して、それぞれのスライド位置/カラーチャネル(またはフィルタ帯域)に対する平均基本値およびオフセット値を算出することによって、単一合成モデルに組み合わせることができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、設備は、スライドデータをグリッド(例えば、1×1、3×3、9×9、12×24、100×1000など)に分割し、かつ、グリッドのそれぞれのセクションに対して較正ステップを行う。例えば、設備がスライドデータを3×3のグリッドに分割する場合、設備は、9セクションのそれぞれに対して1つの「基本」値を生成し、9セクションのそれぞれに対してそれぞれのカラーチャネルまたはフィルタ帯域にとっての1つのオフセット値を生成する。このように、グリッドの各セクションに対してモデルを最適化することができる。「基本」値は、例えば、キャプチャされた画像データのグレースケールバージョン、キャプチャされた画像データの明度、キャプチャされた画像データの単一カラーチャネル(例えば、赤、緑、青)、および、特定のフィルタ帯域などを使用して計算可能である。
【0016】
いくつかの実施形態では、設備は、独立したカラーチャネル(またはフィルタ帯域)に対する組織構造的変動を反映している、例えば、適したファントムスライドまたは組織特異的トレーニングスライド(すなわち、較正スライド)のセットによる較正段階中に既存の自動焦点アルゴリズムを呼び出すことによって、較正データを作成する。設備は、既存の単一チャネル自動焦点方法を呼び出し、かつ、その結果を強化型自動焦点方法と比較して、単一平面自動焦点とそれぞれの個々の最良の焦点面との間の相違として、色収差の影響を判断することもできる。モデル適合性(例えば、変数としてスライド位置およびカラーチャネル(またはフィルタ帯域)を使用したオフセットまたは多項式フィッティング)を、較正後スライドを走査する間に用いることができる。
【0017】
ある実施形態では、設備は、適したファントムスライドのZスライス走査から較正データを作成し、それぞれのカラーチャネル(またはフィルタ帯域)に対して個々に最良の焦点を有するZスライスを決定し、これを、後に走査されるスライドに応用可能であるオフセット値を生成するために、同スライドに応用される自動焦点アルゴリズムの結果と比較する。いくつかの実施形態では、設備は、この較正技法を後に走査されるスライドに応用し、その較正情報を先に生成されたモデルと比較して、モデルを更新する必要があるかどうかを判断する。
【0018】
カラーチャネルの少なくとも1つは、オフセット無しでスライドに対して決定される「基準」自動焦点面またはZスライスで取得可能である。従って、少なくとも1つのカラーチャネルは、標準焦点面において、および、上述されるようにオフセットを応用することによって修正された焦点面によって撮像される。それぞれのカラーチャネルに対して、焦点鮮鋭度計量を、取得される2つの焦面またはZスライスに対して算出することができ、最適な平面(すなわち、最高の鮮鋭度)を、出力のために選択可能である。適切な焦点鮮鋭度最適化計量は、画像のx方向およびy方向において画像強度の勾配から導かれるまたは該勾配に関連付けられたいくつかの算出に基づくことができる。一実施形態では、このような計量の算出を、画像をx方向および/またはy方向に数画素平行移動させ、かつ、絶対差を合計することによって行うことができる。(例えば、焦点鮮鋭度の応用特異的測定値を含む)より複雑な焦点最適化計量アルゴリズムは、他に対して、(検討中の画像に共通している点、隅、線、隆起、平坦域、または、他の形状などの)1つのタイプの特徴からこの算出への寄与を高めるために頻繁に使用される。焦点鮮鋭度(従来の「鮮鋭度」)計量の評論を、S.Pertuz、D.Puig、M.Angel Garciaによる「Analysis of focus measure operators for shape−from−focus(shape−from−focusのための焦点測定演算子の分析)」、Pattern Recognition、第46巻、第5号、2013年5月、1415〜1432頁において見出すことができる。ここで、それら焦点鮮鋭度計量は「焦点測定演算子」と言う。一般化された焦点鮮鋭度計量を算出するための別の方法は、画像の1つのカラーチャネル、または、画像において利用可能なカラーチャネルの組み合わせを表す単色画像において、メジアンフィルタオペレーションまたは他のタイプの画像平滑化を実行することである。このようなフィルタの後、平滑化画像を取り去る、または、その他の場合は、その原物と組み合わせて、スカラ、ベクトルまたはマトリックスをもたらして、画像の焦点が合わされる時絶対値は高くなり、画像の焦点が外れる時絶対値は低くなる。2つの画像の絶対差を合計することは、このような組み合わせ方法の一例である。これを拡張して、メジアンフィルタを並列に複数回実行して、3×3の画素から5×5の画素、7×7の画素などへのフィルタの局所的な応用を増加させることができる。原物を含む時がある、結果として生じる画像における最大値に対応する値(または任意の他の強度測定値)は、直線に適合可能である、または、一連の値を特徴付ける何か他のやり方で組み合わせ可能である。鮮鋭な焦点にある画像に対して、このような線の傾きは、鮮鋭な焦点にない画像の傾きより大きい。よって、走査取得プロセスによって、撮像されたスライドに対してわずか2つの画像が取得されるが、焦点性能は標準的な自動焦点技法に対して損なわれないことが示されるであろう。このさらなる自動品質保証技法を、例えば、実験によって修正された取得のいくつかに対して画像品質悪化の危険性が示される時に使用することができる。いくつかの実施形態では、設備は、上述した自動品質保証技法がうまくいかない場合、自動焦点アルゴリズムの色収差の補正のために、モデルパラメータを自動的に更新する。必要とされる、または、所望される場合、堅牢な更新スキーム(例えば、先のおよび現在の観察の重み付きマッチング(weighted match)または最終N回のZスライス走査に対する最適な設定のサーチ)を用いることができる。
【0019】
図1は、開示された技術の実施形態に従って、組織標本を分析するためのコンピュータベースシステムおよび環境を示す。分析システム100は、撮像装置(imaging apparatus)110およびクライアントコンピュータシステム120を含む。標本を含んでいる顕微鏡スライドを、撮像装置110に装着することができる。撮像装置110は、自動焦点技法を行い、かつ、複数のカラーチャネルにおいて標本の画像を作り出すことができる。いくつかの実施形態では、撮像装置は、標本を含んでいる顕微鏡スライドの明視野および/または蛍光撮像のための顕微鏡を含む。撮像装置110はさらに、ホールスライドスキャナ(whole−slide scanner)であってよい。ホールスライドスキャナの1つの例は、譲受人であるVentana Medical Systems社(アリゾナ州、トゥーソン)のVENTANA iScan HT製品である。直接接続(図示せず)を通して、または、ネットワーク130を介してのどちらかで、画像をクライアントコンピュータシステム120に送信することができる。クライントコンピュータシステム120は、病理学者または組織検査技師などのユーザに画像を表示する。
【0020】
撮像装置110は、1つまたは複数の画像キャプチャデバイス111および設備200を含むことができるがこれらに限定されない。撮像装置110の内部構成要素は想像線において示される。画像キャプチャデバイス111は、光学系(例えば、1つまたは複数のレンズ115、センサ焦点レンズ群、顕微鏡対物レンズなど)を有するデジタル撮像素子113(例えば、デジタルカメラ)、または、撮像センサ(例えば、電荷結合デバイス(CCD)、または、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)画像センサなど)などを含むことができるがこれらに限定されない。デジタル実施形態では、デジタル撮像素子113は、焦点合わせさせる(例えば、自動焦点合わせさせる)ために協働する複数のレンズを含むことができる。CCDセンサは、標本スライド117のデジタル画像をキャプチャすることができる。いくつかの実施形態では、デジタル撮像素子113は、カラー画像を作り出すために、赤、緑、および、青のカラーチャネルを有し、種々の焦面またはZスライスで画像をキャプチャするように動作可能である。他の実施形態では、デジタル撮像素子113は、単色またはカラーセンサであり、光学系は、複数のフィルタおよび/またはチューナブルフィルタを含み、マルチスペクトルまたはカラー画像チャネルは、種々のフィルタおよび/またはフィルタ設定によって撮像素子113から複数の画像を取得することによって作成される。カラー画像を作り出す1つの方法は、少なくとも標本の一部分を含む顕微鏡スライドの領域またはスライド位置を含む、1つまたは複数の走査エリアを決定することを含む。走査エリアは複数のスナップショットに分割されてよい。画像は、スナップショットを組み合わせることによって作り出すことができる。標本またはスライド全体の組み合わせられた画像は、同じまたは異なる焦面でRGBチャネルにおける画像を有するスナップショットを有することができる。撮像装置110は、アクセスドア121およびコントローラ123も含むことができる。アクセスドア121を介して撮像装置110にスライドを装着することができ、コントローラ123を使用して、撮像装置110の動作を制御することができる。
【0021】
撮像装置110およびクライアントコンピュータシステム120は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、または、タブレットなどを含むことができ、デジタル電子回路部品、ファームウェア、ハードウェア、メモリ、コンピュータ記憶媒体、コンピュータプログラム、または、(プログラム式プロセッサを含む)プロセッサなどを含むことができ、デジタル画像をバイナリ形式で記憶することができる。画像はまた、画素のマトリックスに分割可能である。画素は、ビット深度によって定められる、1つまたは複数のビットのデジタル量を含むことができる。デジタル量は、例えば、画像処理によって導き出される、エネルギー、明るさ、色、強度、密度、高度、または、分類値を表すことができる。非限定的な例示のデジタル画像フォーマットは、ビットマップ、ジョイントピクチャエキスパートグループ(joint pictures expert group)(JPEG)、タグ付け画像ファイルフォーマット(tagged image file format)(TIFF)、および、グラフィックインターチェンジフォーマット(graphics interchange format)(GIF)、ならびに、他のデジタルデータフォーマットを含むがこれらに限定されない。
【0022】
ネットワーク130または直接接続は、撮像装置110およびクライアントコンピュータシステム120を相互接続する。ネットワーク130は、1つまたは複数のゲートウェイ、ルータ、ブリッジ、または、それらの組み合わせなどを含むことができるがこれらに限定されない。ネットワーク130は、ユーザがアクセス可能である1つまたは複数のサーバ、および、1つまたは複数のウェブサイトを含むことができ、クライアントコンピュータシステム120が利用することができる情報を送受信するために使用可能である。サーバは、情報(例えば、デジタル画像、アルゴリズム、または、染色プロトコルなど)を記憶するための1つまたは複数の関連付けられたデータベースを含むことができるがこれらに限定されない。ネットワーク130は、通信制御プロトコル(TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、インターネットプロトコル(IP)、および、他のデータプロトコルを使用するデータネットワークを含むことができるがこれらに限定されない。クライアントコンピュータシステム120は、本明細書に論じられる方法および技法を行うことができる。クライアントコンピュータシステム120の構成要素および特徴は、開示された技術の他の構成要素および特徴と混合およびマッチング可能である。
【0023】
図2は、いくつかの実施形態において、自動焦点ルーチンを向上させるための設備200を示すブロック図である。設備200は、較正構成要素210、Z較正構成要素220、走査構成要素230、240、テスト構成要素250、スライドデータ記憶260、および、モデル記憶270を備える。設備は、較正構成要素210、Z較正構成要素220、走査構成要素230、240、および/または、テスト構成要素250を選択的に呼び出すことができる。較正構成要素210は、後に走査されるスライドに応用可能である焦面ベース自動焦点モデルを較正しかつ生成する。Z較正構成要素220は、後に走査されるスライドに応用可能であるZスライスベース自動焦点モデルを較正しかつ生成する。走査構成要素230は、較正構成要素210によって生成された焦面ベース自動焦点モデルを使用して画像を走査しかつ生成することができる。Z走査構成要素240は、Z較正構成要素210によって生成されたZスライスベース自動焦点モデルを使用して画像を走査しかつ生成することができる。テスト構成要素250は、先に生成されたモデルを更新させる必要があるかどうかを判断し、更新させる必要がある場合、該モデルを更新する。スライドデータ記憶260は、キャプチャされたスライドデータ(例えば、Zスライスおよびメタデータなどの画像)を記憶する。モデル記憶270は、種々のスライド位置および種々のスライドデータタイプに対する基本値およびオフセット値などのモデル情報を記憶する。例えば、モデル記憶270は、種々のタイプの組織または他の撮像データに対する種々のモデルを含むことができる。
【0024】
図3は、いくつかの実施形態に従って、図2の較正構成要素210の処理を示すフロー図である。較正構成要素210を、単一のトレーニングスライドまたは一連のトレーニングスライドに対して呼び出して、自動焦点モデルを生成することができる。ブロック305において、該較正構成要素210はスライドのためのスライド位置(単数または複数)を決定する。例えば、該較正構成要素210が特定のグリッド構成のための値を生成するように構成される場合、該較正構成要素210は、グリッドのセクションに対応するスライドのエリア(単数または複数)を識別する。いくつかの実施形態では、該較正構成要素210は、ユーザにスライド位置を識別するように指示することができる。
【0025】
ブロック310〜345では、該較正構成要素210は、決定されたスライド位置のそれぞれを通してループして、それぞれのスライド位置に対する基本値およびオフセット値を生成する。ブロック315では、該較正構成要素210は、自動焦点技法を呼び出して現在のスライドの焦点が合った焦点の「基準」面を識別し、かつ、焦面(例えば、レンズ、または、撮像装置の他の部分から焦面までの距離)およびスライド位置の指示を記憶する。いくつかの実施形態では、基準面は、スライドのグレースケール画像を分析することによって決定可能である。他の実施形態では、基準面は、特定のカラーチャネル(またはフィルタ帯域)を分析することによって決定可能である。ブロック320〜340では、該較正構成要素210は、それぞれのカラーチャネル(またはフィルタ帯域)を通してループして、それぞれのカラーチャネル(またはフィルタ帯域)に対するオフセット値を決定する。ブロック325では、該較正構成要素210は、自動焦点技法を呼び出して、現在選択のカラーチャネル(またはフィルタ帯域)およびスライド位置に対して焦点が合った焦面を識別する。例えば、焦点が合った平面は、レンズ、または、撮像装置の他の部分から焦面までの距離に基づいて決定可能である。ブロック330では、現在選択のカラーチャネル(またはフィルタ帯域)に対するオフセットは、ブロック325およびブロック315において識別された焦面間の距離に基づいて決定される。ブロック335では、該較正構成要素210は、決定されたオフセットを記憶する。ブロック340では、もしあれば、次のカラーチャネル(またはフィルタ帯域)が選択され、その後、該較正構成要素210は、戻るようにループして、次のカラーチャネル(またはフィルタ帯域)を処理する。ブロック345では、該較正構成要素210は、もしあれば、次のスライド位置を選択し、その後、戻るようにループして次のスライド位置を処理する。
【0026】
ブロック350では、自動焦点モデルは、それぞれのスライド位置に対して決定された基本値およびオフセット値を使用して生成される。自動焦点モデルは、例えば、スライド位置の数および場所の指示、走査された物質のタイプ(例えば、乳房組織、バクテリアなど)、基準焦面に対応するそれぞれのスライド位置に対する、および、それぞれのカラーチャネルまたはフィルタ帯域に対する基本値、ならびに、それぞれのスライド位置に対する1つのオフセット値の指示を記憶する。表1は、3×3のグリッドレイアウトを使用して組織について生成されたモデルにおいて記憶可能であるデータのタイプの例を示す。
【0027】
【表1】
【0028】
この例において、モデルは、9つの赤チャネルオフセット(offsetred)、9つの緑チャネルオフセット(offsetgreen)、および、9つの青チャネルオフセット(offsetblue)を含み、それぞれ1つがそれぞれのスライド位置に対するものである。いくつかの実施形態では、モデルは、基準焦面を決定するために使用された画像のタイプ(例えば、グレースケール画像、特定のフィルタ帯域、特定のカラーチャネル)の指示も記憶することができる。表1に記憶されたデータは、人によって容易に解釈されるフォーマットで示されるが、データが任意の様式で、または、データ構造で記憶可能であることを、当業者は認識するであろう。
【0029】
図4は、いくつかの実施形態に従って、Zスライスベース自動焦点モデルを較正しかつ生成するためのZ較正構成要素220の処理を示すフローチャートである。構成要素220は、単一のトレーニングスライドまたは一連のトレーニングスライドについて設備200によって呼び出されて、自動焦点モデルを生成することができる。ブロック405では、該Z較正構成要素220は、任意の焦点合成技法を使用して、スライドに対してZスライスを生成する。いくつかの実施形態では、該Z較正構成要素220は、先にキャプチャされたスライドデータから生成された、記憶されたZスライスを読み出す(または、検索する)ことができる。このように、開示された技法を使用して、先にキャプチャされたスライドの自動焦点を向上させることができる。ブロック410では、スライドのスライド位置(単数または複数)を決定することができる。例えば、該Z較正構成要素220が特定のグリッド構成についての値を生成するように構成される場合、該Z較正構成要素220は、グリッドのセクションに対応するスライドのエリアを識別する。いくつかの実施形態では、ユーザはスライド位置を識別するように指示される。ブロック415〜450では、該Z較正構成要素220は、決定されたスライド位置のそれぞれを通してループして、それぞれのスライド位置に対する基本値およびオフセット値を生成する。ブロック420では、Zスライスは、例えば、既知の焦点合成技法を使用することによって、最も鮮鋭な画像を有するZスライスを識別するために分析される。いくつかの実施形態では、それぞれのZスライスのグレースケールバージョンを分析することによって、基準Zスライスを決定することができる。他の実施形態では、特定のカラーチャネルまたはフィルタ帯域を分析することによって、基準Zスライスを決定することができる。ブロック425〜445では、該Z較正構成要素220は、それぞれのカラーチャネル(またはフィルタ帯域)を通してループして、それぞれのカラーチャネル(またはフィルタ帯域)についてのオフセット値を決定する。ブロック430では、現在のカラーチャネルについて最も鮮鋭な画像を有するZスライスが識別される。ブロック435では、現在選択のカラーチャネル(またはフィルタ帯域)についてのオフセットは、ブロック420およびブロック430において識別されたZスライス間の相違に基づいて決定される。ブロック440では、該Z較正構成要素220は決定されたオフセットを記憶する。ブロック445では、もしあれば、次のカラーチャネル(またはフィルタ帯域)が選択され、その後、該Z較正構成要素220は、戻るようにループして、次のカラーチャネル(またはフィルタ帯域)を処理する。ブロック450では、該Z較正構成要素220は、もしあれば、次のスライド位置を選択し、その後、戻るようにループして次のスライド位置を処理する。ブロック455では、自動焦点モデルは、それぞれのスライド位置に対して決定された基本値およびオフセット値を使用して生成される。自動焦点モデルは、例えば、スライド位置の数および場所の指示、走査された物質のタイプ(例えば、乳房組織、バクテリアなど)、基準Zスライスに対応するそれぞれのスライド位置に対する、および、カラーチャネルまたはフィルタ帯域に対する基本値、ならびに、それぞれのスライド位置に対する1つのオフセット値の指示を記憶する。表2は、3×3のグリッドレイアウトを使用して組織について生成されたモデルにおいて記憶可能であるデータのタイプの例を示す。
【0030】
【表2】
【0031】
この例では、16のZスライスが生成され、それぞれのZスライスは0〜15の指数によって識別される。さらに、モデルは、9つの赤チャネルオフセット(offsetred)、9つの緑チャネルオフセット(offsetgreen)、および、9つの青チャネルオフセット(offsetblue)を含み、それぞれ1つがそれぞれのスライド位置に対するものである。いくつかの実施形態では、モデルは、基準焦面を決定するために使用された画像のタイプ(例えば、グレースケール画像、特定のフィルタ帯域、特定のカラーチャネル)の指示も記憶することができる。表2に記憶されたデータは、人によって容易に解釈されるフォーマットで示されるが、データが任意の様式で、または、データ構造で記憶可能であることを、当業者は認識するであろう。
【0032】
図5は、いくつかの実施形態に従って、自動焦点モデルに基づくスライドの画像をキャプチャするための、図2の走査構成要素230の処理を示すフロー図である。ブロック505では、該走査構成要素230はモデルに基づいてスライド位置を決定する。例として表1のモデルを使用して、該走査構成要素230は、3×3のグリッドに対応する9つの部分にスライドを分けることによって、3×3のグリッドにおけるそれぞれの位置に対応するスライドの部分を識別することができる。いくつかの実施形態では、モデルは、それぞれの部分の場所について、例えば、その部分が同じサイズでない場合、そのさらなる情報を含むことができ、その情報は、走査構成要素がスライド位置を決定するのに使用可能である。ブロック510〜550では、該走査構成要素230は決定されたスライド位置のそれぞれを通してループしてそれぞれのスライド位置に対して1つまたは複数の画像をキャプチャする。ブロック515では、自動焦点技法を使用して、現在のスライドに対して焦点が合った焦点の「基準」面を識別する。基準面は、モデルにおける基準面を識別するために使用される画像が生成されたのと同じように生成された画像を分析することによって識別される。例えば、モデルにおける基準面がグレースケール画像を分析することによって識別されたとしたら、走査構成要素は、現在のスライドに対して基準面を決定するために、現在のスライドのグレースケール画像を分析する。ブロック520〜545では、該走査構成要素230は、カラーチャネル(またはフィルタ帯域)のそれぞれを通してループして、それぞれに対して対応する画像をキャプチャする。ブロック525では、モデルによって記憶された現在のカラーチャネル(またはフィルタ帯域)に対するオフセットが決定される。ブロック530では、該走査構成要素230は、ブロック515において決定された「基準」面、および、オフセットに基づいて焦面を調節する。例えば、決定された「基準」面が3.2μmであり、オフセットが−1.1μmである場合、該走査構成要素230は、焦面を2.1μmに調節することになる。ブロック535では、該走査構成要素230は、調節された焦面および現在のカラーチャネル(またはフィルタ帯域)を使用してスライドの画像をキャプチャする。ブロック540では、キャプチャされた画像が記憶される。ブロック545では、もしあれば、次のカラーチャネル(またはフィルタ帯域)が選択され、その後、該走査構成要素230は、戻るようにループして、次のカラーチャネル(またはフィルタ帯域)を処理する。ブロック550では、該走査構成要素230は、もしあれば、次のスライド位置を選択し、その後、戻るようにループして次のスライド位置を処理する。該走査構成要素230は、次いで、さらなる処理および分析のためにキャプチャされた画像データを戻す。
【0033】
図6は、Z較正によって生成された自動焦点モデルといった、先に生成された自動焦点モデルに基づいてスライドに対して画像を生成するためのZ走査構成要素240の処理を示すフロー図である。ブロック605では、該Z走査構成要素240は現在のスライドに対してZスライスを生成する。ブロック610では、スライド位置はモデルに基づいて決定される。例として表2のモデルを使用して、該Z走査構成要素240は、3×3のグリッドに対応する9つの部分にスライドを分けることによって、3×3のグリッドにおけるそれぞれの位置に対応するスライドの部分を識別することができる。いくつかの実施形態では、モデルは、それぞれの部分の場所について、例えば、その部分が同じサイズでない場合、そのさらなる情報を含むことができ、その情報は、Z走査構成要素がスライド位置を決定するのに使用可能である。ブロック615〜675では、該Z走査構成要素240は決定されたスライド位置のそれぞれを通してループしてそれぞれのスライド位置に対して1つまたは複数の画像をキャプチャする。ブロック620では、生成されたZスライスは、最も鮮鋭な画像を有するZスライスを識別するために分析される。基準Zスライスは、モデルにおける基準Zスライスを識別するために使用される画像が生成されたのと同じように生成された画像を分析することによって識別される。例えば、モデルにおける基準Zスライスがグレースケール画像を分析することによって識別されたとしたら、Z走査構成要素は、現在のスライドに対して基準Zスライスを決定するために、現在のスライドのグレースケール画像を分析する。別の例として、モデルにおける基準Zスライスが赤のチャネル画像を分析することによって識別されたとしたら、Z走査構成要素は、現在のスライドに対して基準Zスライスを決定するために、現在のスライドの赤のチャネル画像を分析する。ブロック625〜670では、該Z走査構成要素240は、カラーチャネル(またはフィルタ帯域)のそれぞれを通してループして、それぞれに対して対応する画像をキャプチャする。ブロック630では、該Z走査構成要素240は、モデルによって記憶された現在のカラーチャネル(またはフィルタ帯域)に対するオフセットを決定する。ブロック635では、該Z走査構成要素240は、ブロック620で決定された基準Zスライス、および、決定されたオフセットに基づいて、オフセットZスライスを決定する。例えば、決定された「基準」Zスライスが7の指数を有し、かつ、オフセットが−2の場合、該Z走査構成要素240は、5の指数に対応するZスライスを識別することになる。ブロック640では、該Z走査構成要素240は、画像とシフトされた(例えば、1方向に数画素シフトされた)同じ画像との間の絶対差の合計、画像と、平滑化動作によって撮像をフィルタリングした結果との間の絶対差の合計、異なるフィルタスケールにおける多数の平滑化動作による画像のフィルタリング後に抽出された焦点鮮鋭度測定値、または、それらの任意の組み合わせといった、焦点鮮鋭度測定値を使用して、基準Zスライスの鮮鋭度を判断する。ブロック645では、該Z走査構成要素240は、オフセットZスライスの鮮鋭度を判断する。決定ブロック650では、基準Zスライスの鮮鋭度がオフセットZスライスの鮮鋭度より大きい場合、該Z走査構成要素240はブロック655に進み、さもなければ、該Z走査構成要素240はブロック665に進む。ブロック655では、基準Zスライスは、現在のスライド位置およびカラーチャネル(またはフィルタ帯域)に対する画像データとして選択される。このように、オフセットZスライスの鮮鋭度が基準Zスライスの鮮鋭度より小さい場合、より鮮鋭なZスライスが選択されることになる。ブロック660では、該Z走査構成要素240は、モデルを随意に更新して、現在のスライド位置およびカラーチャネル(またはフィルタ帯域)に対してオフセットを調節する。例えば、特定のモデルがスライドを分析するために使用される度に、該Z走査構成要素240は、それぞれのスライド位置およびカラーチャネル(またはフィルタ帯域)の対に対して選択されるZスライスの指数を記録し、かつ、この情報を使用してモデルを更新する時に平均値を計算することができる。例えば、先の5、10、15、または、100のZスライス指数の平均値(例えば、加重平均)を使用してモデルを更新することができる。ブロック665では、該Z走査構成要素240は、現在のスライド位置およびカラーチャネル(またはフィルタ帯域)に対する画像データとしてオフセットZスライスを選択する。ブロック670では、もしあれば、次のカラーチャネル(またはフィルタ帯域)が選択され、その後、該Z走査構成要素240は、戻るようにループして、次のカラーチャネル(またはフィルタ帯域)を処理する。ブロック675では、もしあれば、次のスライド位置が選択され、該Z走査構成要素240は、その後、戻るようにループして次のスライド位置を処理する。該Z走査構成要素240はその後、さらなる処理および分析のために選択された画像データを戻す。
【0034】
図7は、いくつかの実施形態に従って、先に生成されたモデルを更新させる必要があるかどうかを判断し、更新させる必要がある場合、該モデルを更新するためのテスト構成要素250の処理を示すブロック図である。ブロック705では、該テスト構成要素250は、Z較正構成要素を呼び出して、受けたスライドに基づいて新しいモデルを生成する。ブロック710では、該テスト構成要素250は新しいモデルを記憶する。ブロック715では、スライド位置は該テスト構成要素250によって判断される。ブロック720〜740では、該テスト構成要素250は、それぞれのスライド位置を通してループして、新しいモデルと先に生成されたモデルとの間のオフセット差を決定する。ブロック725〜735では、該テスト構成要素250はそれぞれのカラーチャネル(またはフィルタ帯域)を通してループする。ブロック730では、新しいモデルにおける現在の位置およびカラーチャネル(またはフィルタ帯域)のオフセット間の相違が判断され、該テスト構成要素250は先に生成されたモデルにおける現在の位置およびカラーチャネル(またはフィルタ帯域)についてのオフセットを決定する。ブロック735では、該テスト構成要素250は、もしあれば、次のカラーチャネル(またはフィルタ帯域)を選択し、その後、戻るようにループして、次のカラーチャネル(またはフィルタ帯域)を処理する。ブロック740では、もしあれば、次のスライド位置が選択され、該テスト構成要素250は、その後、戻るようにループして次のスライド位置を処理する。ブロック745では、該テスト構成要素250は、2つのモデル間の距離に対応するモデル差分値を計算する。例えば、差分値は、ブロック730において決定されたオフセット差の平均値を計算することによって決定される。別の例として、それぞれのモデルはオフセットのベクトルである可能性があり、オフセット差の二乗の合計の平方根に基づいたその2つの間の距離を計算することができる(例えば、以下の式)。
【0035】
【数1】
【0036】
式中、Nは、スライド位置およびカラーチャネル(またはフィルタ帯域)の対の数を表し、offset difference(オフセット差)は、特定のスライド位置およびカラーチャネル(またはフィルタ帯域)の対に対してブロック730において計算された、決定されたオフセットを表す。決定ブロック750では、決定されたモデル差分値が所定の閾値より大きい場合、該テスト構成要素250はブロック755に進み、さもなければ、該テスト構成要素250は終了する。ブロック755では、モデルは、例えば、先に生成されたモデルを新しいモデルと置き換えること、および、モデルに対応する日にちに対して先に計算されたオフセットの平均値(例えば、加重平均)を取ることなどによって更新される。
【0037】
図8A〜8Eは、いくつかの実施形態において、特定のスライドに対して生成されたさまざまなZスライスまたは焦面における画像である。この例における標本は、二色ISH(原位置ハイブリッド形成)方法によって染色され、その目的は、核内の特異遺伝子の発色マーキングによって、腫瘍細胞内の特異遺伝子発現の指標であるドットを検出かつ分類することである。ISHにおいて、標識された相補的DNAまたはRNA鎖を使用して、DNA/RNA塩基配列を局所化し、次いでこれらは染色体構造の指標として働く。ドットの鮮鋭度を考慮する焦点計量を使用することが望ましい場合があり、標本、および、ドット検出が画像分析の該当部である染色方法に適応される。この画像データにとって、画像における該当構造では、青のブロブが大きくなり、黒および赤のドットが小さい。いくつかの実施形態では、顕微鏡スライド上の標本に特化した焦点鮮鋭度測定値を用いることができ、染色方法が撮像前に標本に応用された。この画像データに対して、焦点を選定して、青のブロブ、赤のドット、および、黒ドットの最も鮮鋭な表現を見出すことができ、各焦点鮮鋭度測定値を応用することができる。画像(複数可)におけるいくらか円形の特徴(例えば、ドットのような、または、円盤のような形状)から焦点鮮鋭度計量への寄与を向上させるための方法は、計量の算出の根拠を、放射形対称演算子または方向性勾配濃度フィルタを使用する際に画像処理文献の中で言及される方法の応答に置くことである。既知の標的サイズ範囲の円形ドットを検出するための方法例は、Computer Vision and Pattern Recognition、第1巻、(2004年)の会議録における、Q.YangおよびB.Parvinによる「Perceptual organization of radial symmetries(放射形対称の知覚組織化)」、パターン解析および機械知能のIEEEトランザクション、第25巻、第8号、959〜973頁(2003年)における、G.LoyおよびA.Zelinskyによる「Fast radial symmetry for detecting points of interest(関心点を検出するための高速放射形対称)」、および、Pattern Recognition、第41巻、1905〜1923頁(2008年)における、O.SchmittおよびM.Hasseによる「Radial symmetries based decomposition of cell clusters in binary and gray level images(バイナリおよびグレーレベル画像における細胞集合の放射形対称ベース分解)」に開示されている。ドットが識別されると、焦点鮮鋭度測定値は、個々に識別されたドット全ての鮮鋭度から算出可能である。ドット境界を超える画像勾配は、1ドットの鮮鋭度を示すことができる。画像におけるドットを検出するための方法は、典型的には、最小半径および最大半径といったパラメータの選定を必要とし、顕微鏡スライド上の標本の種々の組織タイプ、および、染色方法に適応可能である。焦点鮮鋭度計量は、フィルタを一度応用する、または、種々のパラメータによって何度も応用する、および、その結果を組み合わせる際の応答に基づくことができる。図8A〜8Eは、種々の焦面でキャプチャされたスライドまたは画像の種々のZスライスが、画像全体を通して、および、特異的領域において鮮鋭度をどのように変化させるのが可能であるかを示す。例えば、ブロブ810は、図8Aから図8Bへ、その後、図8Cへとより鮮鋭になるが、図8Dで鮮鋭さを失い、図8Eで再び取り戻す。別の例として、ブロブ820は、図8Aから、図8B図8Cおよび図8Dへとより鮮鋭になるが、図8Eで鮮鋭さを失う。本明細書に開示された技法を使用して、図8Cの焦点が合されたカラー画像を作り出すことができる。
【0038】
本明細書に開示された撮像技法を使用して、種々のタイプの試料の高度に焦点が合わせられた画像を作り出すことができる。試料を、針生検、乳腺腫瘤摘出術、または、乳房切除術中に得られるような乳房組織とすることができる。試料を、獣医学的研究対象などの人間および人間以外の哺乳類を含む部類である、多細胞脊椎動物生体から得ることもできる。開示された技法は、中央処理装置、メモリ、入力デバイス(例えば、キーボードおよびポインティングデバイス)、出力デバイス(例えば、表示デバイス)、ならびに、メモリおよび/または記憶デバイス(例えば、ディスクドライブ)を含むがこれらに限定されない種々のタイプの撮像システムに実装可能である。例えば、図1の撮像装置110は、1つまたは複数の処理ユニット、メモリなどを含むことができる。メモリおよび記憶デバイスを、例えば、命令を含有するコンピュータ可読媒体といった技術を実装するコンピュータ実行可能命令によって符号化可能であるコンピュータ可読媒体とすることができる。該命令を記憶かつ実行して、較正プロセス、走査プロセス、再較正プロセスを行うことができる。較正プロセスでは、命令を実行して、チャネルのそれぞれにおいて最良の焦点面を提供するチャネルにとって最良の焦点面からのZオフセットを決定することができる。その決定をメモリに記憶することができる。走査プロセスでは、命令を実行して、図1のデジタル撮像素子111の視野にとって最良の焦点面を決定することができる。最良の焦点面情報を図1のメモリ112に記憶することができる。命令を実行して、較正プロセスにおいて決定されたZオフセットに従ってチャネルのそれぞれにおいて画像データをその視野で得るように、図1の撮像素子111に指令することができる。さらに、命令、較正情報、データ構造、および、メッセージ構造は、通信リンク上の信号といったデータ伝送媒体を介して伝送可能であり、かつ、暗号化可能である。従って、コンピュータ可読媒体は、データが記憶可能であるコンピュータ可読記憶媒体112、および、データが送信可能であるコンピュータ可読伝送媒体を含む。データは、自動焦点ルーチンまたは技法、較正スライドデータ(または他のタイプの参照データ)、参照画像、走査技法、または、較正技法などを含むことができるがこれらに限定されない。
【0039】
本明細書に記載される技術の多くの実施形態は、プログラム可能なコンピュータによって実行されるルーチンを含むコンピュータ実行可能命令の形式を取ってよい。例えば、図1の分析システム100は、図3および図4の較正プロセスを行うコンピュータ実行可能命令を有することができる。図1のメモリ112は実行可能命令を記憶することができる。本明細書に示されかつ記載されるもの以外のコンピュータシステム上で、本技術の態様を実践することができることを、当業者は理解するであろう。本技術の実施形態は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドまたはラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースシステム、プログラム可能大衆電子機器、デジタルカメラ、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、および、上記システムまたはデバイスのいずれかを含むコンピューティング環境などを含む種々の動作環境で実装かつ使用可能である。また、本技術は、本明細書に記載されるコンピュータ実行可能命令の1つまたは複数を行うように、具体的にプログラム、構成または構築される専用コンピュータまたはデータプロセッサにおいて具体化可能である。従って、本明細書において全体的に使用される「コンピュータ」または「システム」という用語は、任意のデータプロセッサに言及し、(パームトップコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、セルラーまたはモバイルフォン、マルチプロセッサシステム、プロセッサベースまたはプログラム可能大衆電子機器、ネットワークコンピュータ、および、ミニコンピュータなどを含む)インターネット家電およびハンドヘルドデバイスを含むことができる。これらのコンピュータによって取り扱われる情報を、CRT表示装置またはLCDを含む任意の適した表示媒体で提示することができる。ユーザは、このような表示装置上の画像およびスコアを閲覧することができる。
【0040】
前述から、本技術の特定の実施形態が例示の目的で記載されており、本開示から逸脱することなくさまざまな修正をなすことができることは理解されるであろう。設備は、さらなる構成要素もしくは特徴、および/または、本明細書に記載される構成要素もしくは特徴の種々の組み合わせを含むことができる。また、上述した技法は概して、スライド分析の文脈で記載されるが、これらの技法を、種々のタイプのスキャナ、撮像素子、カメラなどにおいて自動焦点技法を向上させるために用いることができる。さらに、新しい技術のある実施形態に関連付けられた利点はそれら実施形態の文脈で記載されているが、他の実施形態もこのような利点を呈することができ、必ずしも全ての実施形態が、本技術の範囲内にあるような利点を呈する必要はない。従って、本開示および関連の技術は、本明細書に明示的に示されないまたは記載されない他の実施形態を包含することができる。続く例は、本明細書に開示された技術のさらなる実施形態を描写する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E