特許第6576930号(P6576930)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6576930-結晶性抗白癬菌薬およびその製造方法 図000019
  • 特許6576930-結晶性抗白癬菌薬およびその製造方法 図000020
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576930
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】結晶性抗白癬菌薬およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 231/12 20060101AFI20190909BHJP
   C07F 5/02 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   C07D231/12 D
   C07F5/02CSP
【請求項の数】2
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-542595(P2016-542595)
(86)(22)【出願日】2015年8月12日
(86)【国際出願番号】JP2015072817
(87)【国際公開番号】WO2016024602
(87)【国際公開日】20160218
【審査請求日】2018年5月31日
(31)【優先権主張番号】特願2014-165038(P2014-165038)
(32)【優先日】2014年8月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006091
【氏名又は名称】Meiji Seikaファルマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 鋭郎
(72)【発明者】
【氏名】今井 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】森 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】大山 真
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 尚志
【審査官】 伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/102404(WO,A1)
【文献】 BYRN, S. et al.,Pharmaceutical Solids: A Strategic Approach to Regulatory Considerations,Pharmaceutical Research,1995年,12(7),pp.945-954
【文献】 BAVIN, M.,Polymorphism in Process Development,Chemistry & Industry,1989年,(16),pp.527-529
【文献】 塩路雄作,固形製剤の製造技術,株式会社 シーエムシー出版,2003年 1月27日,第12頁
【文献】 浅原照三 他,溶剤ハンドブック,株式会社 講談社,1985年 9月 1日,第47−51頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C07F
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(5):
【化17】

で表される化合物を、アルキルリチウム試薬およびホウ酸エステルと反応させて、式(6):
【化18】

で表される化合物を得る工程;及び
得られた式(6)で表される化合物をさらに酸化する工程
を含む、式(1):
【化19】

で表される化合物の製造方法。
【請求項2】
下記式(6)で表される化合物。
【化20】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗白癬菌剤として有用な、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの新規製造方法およびその結晶に関する。
【背景技術】
【0002】
2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールは抗白癬菌剤として有用であることが報告されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1では、式(1)で示される2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造方法として、以下の二つの方法が開示されている。
【0004】
【化1】
【0005】
【化2】
【0006】
上記の製造方法ではアニリン誘導体が出発物として使用され、中間体としてヒドラジン誘導体が得られている。しかし、特許文献1には、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの結晶は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2012/102404号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
医薬品原薬は、その固体形態の違いに応じて、実質的に異なる物理的特性を有し得る。このような物理的特性の違いは、例えば医薬活性成分の取扱容易性、加工容易性、貯蔵安定性等に影響を与え得る。従って、安定に保存でき、取り扱いが容易な結晶性原薬の工業的製造法の確立が望まれている。また、工業化に際しては有害成分の暴露量の低減、より安全性の高い製造法が望まれている。
特許文献1では、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールは、オイル状で得られるが、ジオキサンを溶媒に用いて凍結乾燥をすることで固体としても得られる。しかしながら、特許文献1の製造方法では当該化合物を結晶として得ることはできなかった。
また、当該化合物は医薬として使用されるものであるから、その製造方法には、アニリン誘導体やヒドラジン誘導体を用いないで済む、より安全性の高い出発物質および中間体を用いた方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは前記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、従来よりさらに安全性の高い2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造方法、および、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの結晶を見出した。
すなわち、本発明は、
[1]下記式(1):
【化3】

で表される化合物の結晶;
[2]粉末X線回折パターンにおいて、回折角(2θ±0.2):9.3°、16.6°、19.2°、21.6°、21.9°に特徴的なピークを示す、[1]に記載の結晶;
[3]粉末X線回折パターンにおいて、回折角(2θ±0.2):9.3°、12.7°、16.6°、17.3°、17.9°、19.2°、21.3°、21.6°、21.9°、25.7°に特徴的なピークを示す、[1]に記載の結晶;
[4]粉末X線回折パターンにおいて、回折角(2θ±0.2):9.3°、12.7°、16.6°、17.3°、17.9°、19.2°、21.3°、21.6°、21.9°、24.0°、25.7°に特徴的なピークを示す、[1]に記載の結晶;
[5]下記式(2):
【化4】

[式中、R、Rは、それぞれ互いに独立して、水素またはC1−6アルキルであるか、あるいはR、Rは、一緒になって直鎖または分岐したC2−6アルキレンを形成し、Pは、水素原子または水酸基の保護基を表す]で表される化合物と、
下記式(3):
【化5】

で表される化合物とを、塩基の存在下または非存在下で、反応させる工程を含み、Pが水酸基の保護基を表す場合には、保護基Pを除去する工程を含む、
下記式(1):
【化6】

で表される化合物の製造方法、
[6]式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物との反応が、触媒として銅試薬を用いて行われる、[5]に記載の製造方法、
[7]式(2)で表される化合物のR、Rが一緒になって2,3−ジメチルブタン−2,3−ジイル基を形成する、[5]または[6]に記載の製造方法、
[8]式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物との反応が、塩基の非存在下で行われる、[5]から[7]のいずれか一項に記載の製造方法、
[9]式(5):
【化7】

で表される化合物を、アルキルリチウム試薬およびホウ酸エステルと反応させて、式(6):
【化8】

で表される化合物を得る工程;及び
得られた式(6)で表される化合物をさらに酸化する工程
を含む、式(1):
【化9】

で表される化合物の製造方法、
[10]下記式(6)で表される化合物、
【化10】

[11][1]から[4]のいずれか一項に記載の結晶を含有する、医薬組成物、
[12][1]から[4]のいずれか一項に記載の結晶を含有する、抗白癬菌剤、
である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アニリン誘導体およびヒドラジン誘導体の使用を回避し、抗白癬菌薬として有用な2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの安全性の高い製造方法を提供できる。さらに予想外にも医薬品原薬として有用な2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの結晶を得ることができる。
本発明により得られた結晶は非常に高い安定性を有することから、特別な保管条件を設定することなく、保存や取扱いが簡便であり、製剤化、流通などの点で工業的製造に大変有利な結晶を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】式(1)のForm Aの粉末X線回折パターンを示す図である。
図2】式(1)の化合物が、同じ結晶形であってもロットあるいはサンプリングの違いにより、強度の異なるパターンを有することを示す、式(1)のForm Aの粉末X線回折パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の内容について詳細に説明する。
ここで、本明細書中で用いられる用語「C1−6アルキル」は、炭素数1から6の、直鎖状、分岐状、環状でもよい1価の炭化水素基を表す。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等のほか、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のC3−6シクロアルキル基が挙げられる。好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、より好ましくはイソプロピルが挙げられる。
また、「C2−6アルキレン」は、炭素数2から6の、直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を表す。例えば、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、sec−ブチレン、tert−ブチレン、2,3−ジメチルブタン−2,3−ジイル、ペンチレン、ヘキシレン等が挙げられる。好ましくは2,3−ジメチルブタン−2,3−ジイルが挙げられる。
【0013】
本発明の一つの実施態様では、以下のスキームの方法によって式(1)の化合物を効率よく製造でき、さらに式(1)の化合物が結晶として得られる。
【化11】

[スキーム中、R、Rはそれぞれ互いに独立して水素またはC1−6アルキルであるか、あるいはR、Rは一緒になって直鎖または分岐したC2−6アルキレンを形成し、Pは水素原子または水酸基の保護基を表す。]
【0014】
式(2)で表される化合物は特表2002−522545に記載の方法を参考にして得ることができる。
【0015】
、Rはそれぞれ互いに独立して水素またはC1−6アルキルであるか、あるいはR、Rは一緒になって直鎖または分岐したC2−6アルキレンを形成する。好ましくは、R、Rは一緒になって直鎖または分岐したC2−6アルキレンを形成し、さらに好ましくは、R、Rは一緒になって2,3−ジメチルブタン−2,3−ジイル基を形成する。
【0016】
また、R、Rが水素である場合は、反応系中で式(2)の化合物をC1−6アルコールまたはエチレングリコール、プロパンジオール、ピナコールなどのジオール類と反応させた後、そのまま式(3)の化合物との反応に用いても良い。
【0017】
式(2)のPは、水素原子または当業者に周知の水酸基の保護基が使用可能であるが、好ましくは水素原子、メトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基である。
【0018】
式(2)の化合物と式(3)の化合物の反応には触媒を使用してもよい。触媒としては酢酸銅(II)、酢酸銅(II)水和物、アセチルアセトン銅(II)、酸化銅(I)などの銅試薬が使用可能である。好ましくは、酢酸銅(II)である。また、これらの触媒を用いる場合、酸素あるいは空気存在下で反応させることで好結果を与える場合がある。
式(2)の化合物に対する触媒の使用量は、反応が進行する量であれば特に制限されない。触媒の種類によっても変動するが、十分な反応速度を確保する点から、好ましくは0.01〜5当量であり、より好ましくは0.5〜2当量である。
【0019】
式(3)の化合物の式(2)の化合物に対する使用量は、反応が進行する量であれば特に制限されないが、好ましくは0.2〜100当量であり、より好ましくは1〜5当量である。
【0020】
前記スキーム3の反応で使用される反応溶媒は、当該反応が進行するものであれば特に制限されず、単一溶媒でも数種類の溶媒を混合しても良い。用いられる溶媒の混合比は、任意の割合を採ることができる。N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、クロロホルム、塩化メチレン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ジメチルスルフォキシドなどが使用可能であり、好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミドと酢酸エチルの混合溶媒である。
【0021】
前記スキーム3の反応中、ピリジン、ビピリジン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセンなどの有機塩基、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどの無機塩基を添加することが好ましいが、有機塩基または無機塩基を添加しなくても良い。塩基を添加する場合、その添加量は、式(2)の化合物に対して0.2〜100当量の範囲が好ましく、1〜10当量の範囲がさらに好ましい。
【0022】
前記スキーム3の反応温度は、使用される溶媒の沸点以下であって、反応が進行する温度であれば特に制限されないが、好ましくは20〜150℃であり、より好ましくは20〜100℃である。
【0023】
式(2)のPが水酸基の保護基である場合は、式(2)の化合物と式(3)の化合物の反応終了後に、Pの種類に合わせた方法によりこれを除去し、式(1)の化合物とすることができる。また、式(3)の化合物との反応前に、式(2)の化合物からPを除去した後、式(3)の化合物と反応させ、式(1)の化合物としても良い。保護基Pを除去する方法は、Pの種類に応じて当業者に公知である。
【0024】
さらに好ましい態様としては、式(2)の化合物のR、R、Pが水素である化合物にピナコールを反応させ、反応系内において、式(2)の化合物のR、Rが一緒になって2,3−ジメチルブタン−2,3−ジイル基を形成した化合物を発生させたのち、式(3)の化合物(5当量)、および、無水酢酸銅(II)とN,N−ジメチルホルムアミドを加え、周囲温度から65℃で撹拌することにより式(1)の化合物を得るものである。
【0025】
また、本発明の一つの実施態様では、式(1)の化合物は以下のスキームの方法によっても好ましく製造でき、式(1)の化合物は結晶として得られる。
【化12】
【0026】
式(5)の化合物は、Justus Liebigs Annalen der Chemie, 1962, vol.656, p.119-126、Helvetica Chimica Acta, 2010, vol.93, p.974-979に記載の方法により得ることができる。式(1)の化合物は、式(5)の化合物に、アルキルリチウム試薬を反応させた後、ホウ酸エステルと反応させることにより、式(6)の化合物を得、これに酸化剤を作用させることにより得られる。
【0027】
式(5)から式(6)の反応で使用される溶媒は反応が進行すれば特に制限されないが、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどのエーテル類、ならびにn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンおよびシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類およびこれらからなる任意の混合溶媒などが使用可能である。好ましい溶媒は、テトラヒドロフランである。
【0028】
アルキルリチウム試薬は、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなどが使用可能である。好ましくはn−ブチルリチウムである。アルキルリチウム試薬の使用量は反応が進行する量であれば特に制限されない。好ましくは1.1〜1.5当量である。アルキルリチウム試薬を反応させる際の温度は反応が進行する温度であれば特に制限されないが、好ましくは−5〜0℃である。
【0029】
ホウ酸エステルとしては、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリ−tert−ブチル、メトキシボロン酸ピナコール、イソプロポキシボロン酸ピナコールなどが使用可能である。好ましくは、ホウ酸トリイソプロピルである。ホウ酸エステルの使用量は反応が進行する量であれば特に制限されないが、好ましくは1.5〜3.0当量である。ホウ酸エステルを反応させる際の温度は反応が進行する温度であれば特に制限されないが、好ましくは0〜10℃である。
【0030】
式(6)から式(1)の反応で使用される酸化剤は、ペルオキシ一硫酸カリウム、例えば、OXONE(登録商標)、ならびに過酸化水素水、過酢酸、m−クロロ過安息香酸、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過ホウ酸ナトリウム、及びヒドロキシルアミン等が使用可能である。好ましくはペルオキシ一硫酸カリウム、特に、OXONE(登録商標)である。使用される溶媒は、用いる酸化剤の種類によって変わり、ペルオキシ一硫酸カリウムの場合は、水とアセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの有機溶媒を混合して使用できるが、好ましくは水とアセトンの混合溶媒である。酸化剤の使用量は反応が進行する量であれば特に制限されないが、好ましくは1.0〜1.2当量である。酸化剤を反応させる際の温度は反応が進行する温度であれば特に制限されないが、好ましくは0〜25℃である。
【0031】
前記スキーム3およびスキーム4の反応終了後、当業者に周知の反応処理、例えば、分液、濃縮、溶媒置換等を行い、式(1)の化合物の粗生成物を2−プロパノール溶液とした。この溶液に水を加えて撹拌したところ、固体が析出した。ここで得られた固体の粉末X線回折測定を行った結果、回折ピークが認められた(図1)。以上の結果から、得られた固体は結晶であると考えられた。
【0032】
以下に、式(1)の化合物の結晶の特徴について説明する。ここで言う結晶とは、原子や分子が周期的に配列した固体を指し、そのような周期的な配列を持たない固体(非晶質)とは区別される。本発明の結晶とは、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの結晶、または、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの非晶質であって2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの結晶が含まれるものでも良い。
【0033】
1.粉末X線回折パターン
式(1)の化合物の結晶(Form A)は、透過型回折装置による粉末X線回折パターンにおいて以下の回折角のうち、少なくとも5個、好ましくは少なくとも10個、さらに好ましくは11個、その特徴的なピークを示す。
回折角(2θ±0.2):9.3°、12.7°、16.6°、17.3°、17.9°、19.2°、21.3°、21.6°、21.9°、24.2°、25.7°
【0034】
図1に、式(1)の化合物の結晶(Form A)の透過型回折装置による粉末X線回折パターンを示した。式(1)の化合物の結晶であって、その粉末X線回折パターンが本質的にこれらの回折パターンと同じであるものはいかなるものも式(1)の化合物の結晶(Form A)と同定される。例えば、測定サンプルのロットの違い、あるいは同一ロットにおいてもサンプリング条件の差により、強度の異なるパターン(図2)を示すことがある。しかし図2は本質的に上記の回折パターンと同じであることから、結晶形はForm Aであることがわかる。
【0035】
本発明による式(1)の化合物の結晶は、薬学的に許容される担体と混合して、抗白癬菌用の医薬組成物とすることができる。薬学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が挙げられ、例えば固体製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等が挙げられる。また、必要に応じて、慣用の防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、吸着材、湿潤剤等の添加物を用いることもできる。
【0036】
本発明による式(1)の化合物の結晶を含んでなる医薬組成物は、経口または非経口(例えば経皮投与)のいずれかの投与経路で、ヒトおよびヒト以外の動物に投与することができる。
【0037】
本発明による式(1)の化合物の結晶を含んでなる医薬組成物は、投与経路に応じて適切な剤形とすることができる。具体的にはカプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤、細粒剤等の経口剤、あるいは貼付剤、液剤などの外用剤の製剤形態に調製することができる。
【実施例】
【0038】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明は下記実施例に限定されない。
粉末X線回折(透過型):
式(1)の化合物の結晶のX線回折データの測定は、株式会社リガク製高速イメージングプレート型X線回折装置(R−AXISVII)を使用し、−180℃下、CuKα線(50kV、90mA、λ=1.5418Å)を用いて実施した。サンプルは内径0.7mmのガラス製キャピラリーに充填し、回折像は、カメラ長300mm、振動角40°間隔、露光時間45分の条件で収集した。
回折像の周回積分処理は、株式会社リガク製 R−AXIS display softwareにより実施した(積分範囲:45〜135°)。得られた積分強度の最大値を100として、各積分強度の相対強度を算出し、回折角2θに対しプロットすることで、回折パターンを作成した。
【0039】
2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール(式(1))の製造と結晶の調製
実施例1:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
1)3,5−ジメチル−1−(4−メチルフェニル)−1H−ピラゾール25.6gに脱水テトラヒドロフラン390mLを加え、窒素雰囲気下、−5〜0℃まで冷却した。2.65Mのn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液78mL(1.5当量)を滴下し、−5〜0℃で1時間撹拌した。ホウ酸トリイソプロピル64mL(2.0当量)を加え、0〜10℃で30分撹拌した。10%塩化アンモニウム溶液390mLを加え、6Mの塩酸でpH=4.5に調整した後、酢酸エチル390mLで抽出し水層を除去した。有機層を15%食塩水240mLで洗浄後、有機層を120mLまで減圧下にて濃縮した。アセトン240mLを加え減圧下にて120mLまで濃縮し、2−{(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェニル}ボロン酸(式(6))のアセトン溶液を得た。
2−{(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェニル}ボロン酸(6)
Mass;m/z231(M+H)
【0040】
2)1)で得た2−{(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェニル}ボロン酸のアセトン溶液にアセトン330mLを加え、0〜5℃まで冷却した。0.3MのOXONE(登録商標)水溶液550mL(1.2当量)を加え、0〜25℃で20分撹拌した。10℃以下まで冷却した後、25%亜硫酸ナトリウム溶液240mLを加え、トルエン450mLを加えた。懸濁液をろ過後、6Mの塩酸でpH=5に調整し、水層を除去した。有機層を300mLまで減圧下にて濃縮し、1Mの水酸化ナトリウム溶液300mLを加え、有機層を除去した。水層をトルエン60mLで洗浄後、6Mの塩酸でpH=5に調整した。酢酸エチル300mLで抽出後、水層を除去した。有機層を水150mLで洗浄した。活性炭3gを加え15分撹拌した後、ろ過し、減圧下にて60mLまで濃縮した。2−プロパノール240mLを加え、60mLまで減圧濃縮した。2−プロパノール60mL、水60mLを加え10℃以下まで冷却し結晶を析出させた後、水180mLを加えて撹拌した。結晶をろ過し、2−プロパノールと水の混液で洗浄後、乾燥し、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの固体21.3gを得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm);9.62(1H,s)、7.07(1H,d,J=8.0Hz)、6.91(1H,s)、6.71(1H,d,J=8.0Hz)、6.01(1H,s)、2.37(3H,s)、2.33(3H,s)、2.29(3H,s)
Mass(ESI);m/z203(M+H)
粉末X線回折を測定した結果、回折ピークが観測された。この回折パターンを示す結晶形をForm Aとした。
【0041】
以下、実施例の生成物は、実施例1のH−NMRの分析結果と照合し、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールであることを確認した。
【0042】
実施例2:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
3,5−ジメチル−1−(4−メチルフェニル)−1H−ピラゾール278.8mgに脱水テトラヒドロフラン7mLを加え、窒素雰囲気下、0℃まで冷却した。1.64Mのn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液1mL(1.1当量)を滴下し、0℃で30分撹拌した。ホウ酸トリイソプロピル0.5mL(1.5当量)を加え、0℃で1時間撹拌した。水7mL、トルエン20mLを加え、1Mの塩酸でpH=1.0に調整した後、室温で30分撹拌した。1Mの水酸化ナトリウム溶液でpH=4に調整し水層を除去した。有機層を15%食塩水10mLで洗浄後、有機層を減圧下にて濃縮し2−{(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェニル}ボロン酸318mgを得た。
この2−{(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェニル}ボロン酸にアセトン5mLを加え、0〜5℃まで冷却した。0.3MのOXONE(登録商標)の水溶液5mL(1.0当量)を加え、15〜25℃で35分撹拌した。10℃以下まで冷却した後、飽和亜硫酸ナトリウム溶液10mL、酢酸エチル20mLを加え、水層を除去した。有機層に飽和亜硫酸ナトリウム溶液10mL加え、水層を除去した。有機層に15%食塩水10mLを加え、水層を除去した。有機層を減圧下にて濃縮し、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの粗生成物243mgを得た。
この2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの粗生成物207mgに2−プロパノール0.8mL、水0.4mLを加えて10℃以下まで冷却し、固体を析出させた後、水1.3mLを加えて撹拌した。固体をろ過し、2−プロパノールと水の混液で洗浄後、乾燥し、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの結晶性固体160mgを得た。
【0043】
実施例3:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
3,5−ジメチル−1−(4−メチルフェニル)−1H−ピラゾール2.65gに脱水テトラヒドロフラン40mLを加え、窒素雰囲気下、0℃まで冷却した。1.64Mのn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液13.0mL(1.5当量)を滴下し、0℃で30分撹拌した。ホウ酸トリイソプロピル6.6mL(2.0当量)を加え、0℃で1時間撹拌した。10%塩化アンモニウム溶液40mLを加え、2Mの塩酸でpH=4に調整した後、酢酸エチル53mLで抽出し水層を除去した。有機層を15%食塩水27mLで洗浄後、有機層を減圧下にて濃縮し2−{(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェニル}ボロン酸3.45gを得た。
この2−{(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェニル}ボロン酸にアセトン48mLを加え、0〜5℃まで冷却した。0.3MのOXONE(登録商標)の水溶液48mL(1.0当量)を加え、15〜25℃で30分撹拌した。10℃以下まで冷却した後、15%亜硫酸ナトリウム溶液40mL、トルエン40mLを加えた。懸濁液をろ過後、水層を除去した。有機層に15%食塩水27mLを加え、水層を除去した。
有機層を27mLまで減圧下にて濃縮し、1Mの水酸化ナトリウム溶液27mLを加え、有機層を除去した。水層を2Mの塩酸でpH=5に調整した。酢酸エチル27mLで抽出後、水層を除去した。有機層を水13mLで洗浄した。活性炭0.27gを加え10分撹拌した後、ろ過し、減圧下にて5mLまで濃縮した。
2−プロパノール21mLを加え、5mLまで減圧濃縮した。2−プロパノール5mL、水5mLを加え10℃以下まで冷却し固体を析出させた後、水16mLを加え撹拌した。固体をろ過して、2−プロパノールと水の混液で洗浄後、乾燥し、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの結晶性固体2.54gを得た。
【0044】
実施例4:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
1)m−クレゾール20.070gをヘプタン200mLに溶解し、室温下でジヒドロピラン25.4mLとピリジニウムパラトルエンスルホネート446mgを加え、終夜撹拌した。この溶液に1Mナトリウムメトキシド3.8mLを加え、室温下で30分間撹拌した。この溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液100mLを加えた後、有機層を分け取り、得られた有機層を20%食塩水で洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾去した後、溶媒を減圧下で留去することで、2−(m−トリルオキシ)テトラヒドロ−2H−ピランの粗生成物33.497gを得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm);7.16(1H,dd,J=7.8,7.8Hz)、6.85−6.87(2H,m)、6.80(1H,d,J=7.3Hz)、5.41(1H,dd,J=3.2,3.2Hz)、3.89−3.95(1H,m)、3.57−3.62(1H,m)、2.33(3H,s)、1.96−2.03(1H,m)、1.83−1.87(2H,m)、1.58−1.72(3H,m)
【0045】
2)1)で得た2−(m−トリルオキシ)テトラヒドロ−2H−ピランの粗生成物全量をテトラヒドロフラン670mLに溶解し、0℃にて1.6Mのn−ブチルリチウム158mLを滴下し、その温度で30分間撹拌した。この溶液にホウ酸トリイソプロピル56.3mLを0℃にて加え、さらにその温度で1時間撹拌した。この溶液に2M塩酸水150mLを加え、さらに室温下で終夜撹拌した。この溶液にイソプロピルエーテル300mLを加え、有機層を分け取った後、さらに得られた有機層を2M塩酸水150mLで洗浄した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、乾燥剤を濾別した後、溶媒を減圧下で留去した。残渣にヘキサン500mLを加え、生じた固体をろ過、乾燥することで、(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸の粗生成物15.197gを得た。
【0046】
3)(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸の粗生成物20.045gとピナコール31.178gを酢酸エチル200mLに溶解し、室温下で撹拌した。溶媒を減圧下で留去し、得られた残渣を酢酸エチル100mLに溶解した。この溶液を65℃の1,3−ジメチルピラゾール63.402gと無水酢酸銅(II)23.959gをN,N−ジメチルホルムアミド400mLに溶解した溶液に滴下し、その後、室温〜65℃で撹拌した。この溶液に酢酸エチル400mLと20%食塩水400mLを加え、有機層を分け取った。得られた有機層を20%食塩水400mLで2度洗浄し、さらに15%ロッシェル塩水溶液400mLで2度洗浄した。得られた有機層に硫酸マグネシウム100g、活性炭4gを加え撹拌した後、濾過した。得られた濾液を減圧下でトルエンに溶媒置換、濃縮し、得られたトルエン溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液400mLを加えた。水層を分け取った後、トルエン400mLで洗浄し、得られた水層に酢酸エチル400mLを加え、6M塩酸でpHを5.9に調整した。得られた有機層を減圧下で2−プロパノールに溶媒置換、濃縮した後、水を加えて固体を析出させた。得られた固体をろ過、乾燥し2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの結晶性固体18.249gを得た。
粉末X線回折を測定した結果、Form Aであることを確認した。
【0047】
実施例5:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
1)m−クレゾール10.040gを塩化メチレン100mLに溶解し、ホルムアルデヒドジメチルアセタール37mLとp−トルエンスルホン酸88mgを加え、24時間加熱還流した。この溶液に1Mナトリウムメトキシド1mLを加えた後、溶媒を減圧下で留去し、得られた残渣をヘプタン200mLで希釈し、1M水酸化ナトリウム水溶液200mLを加えた。有機層を分け取り、得られた有機層を20%食塩水200mLで洗浄し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾去した後、減圧下で溶媒を留去することで、1−(メトキシメトキシ)−3−メチルベンゼンの粗生成物5.602gを得た。
【0048】
2)1−(メトキシメトキシ)−3−メチルベンゼンの粗生成物506mgをテトラヒドロフラン5mLに溶解し、0℃にて1.6Mのn−ブチルリチウム2.22mLを滴下し、その温度で50分間撹拌した。この溶液にホウ酸トリイソプロピル0.848mLをテトラヒドロフラン5mLに溶解した溶液を0℃にて加え、さらにその温度で2時間撹拌した。この溶液にピナコール864mgをテトラヒドロフラン5mLに溶解した溶液を0℃にて加え、室温まで昇温して撹拌した。得られた溶液を酢酸エチル30mLで希釈し、20%塩化アンモニウム水溶液30mLを加えた。有機層を分け取った後、水層を酢酸エチルで再抽出した。得られた有機層を合わせ、20%食塩水30mLで洗浄した後、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾去した後、溶媒を減圧下で留去することで、2−(2−(メトキシメトキシ)−4−メチルフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランの粗生成物1.095gを得た。
【0049】
3)2−(2−(メトキシメトキシ)−4−メチルフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランの粗生成物744mgと1,3−ジメチルピラゾール1.029g、無水酢酸銅(II)12mgを2−プロパノール12mLに溶解し、室温下で撹拌した。不溶物を濾別し、さらに不溶物を酢酸エチルで洗浄した後、溶媒を減圧下で留去した。残渣に酢酸エチルと15%ロッシェル塩水溶液を加え、有機層を分け取り、さらに得られた有機層を15%ロッシェル塩水溶液で洗浄した。溶媒を減圧下で留去し、1−(2−(メトキシメトキシ)−4−メチルフェニル)−3,5−ジメチル−1H−ピラゾールの粗生成物を得た。これを2−プロパノール4mLに溶解し、6M塩酸水を2mL加え、室温下で撹拌した。これを水で希釈し、1M水酸化ナトリウム水溶液でpHを1.3に調整した。有機層を分け取った後、さらに水層を酢酸エチルで3回抽出し、得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール144mgを得た。
【0050】
実施例6:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
m−クレゾール505mgから合成した2−(m−トリルオキシ)テトラヒドロ−2H−ピランの粗生成物をテトラヒドロフラン8.5mLに溶解した。0℃にて1.6Mのn−ブチルリチウム3.23mLを加え、室温下で終夜撹拌した。この溶液に0℃にてホウ酸トリイソプロピル1.41mLを加え、さらに室温まで昇温した。この溶液にピナコール1.103gのテトラヒドロフラン0.5mL溶液を加えた。この溶液に1,3−ジメチルピラゾール4.489gと無水酢酸銅(II)848mgを加えた。この懸濁液にさらにテトラヒドロフラン10mLと無水酢酸銅(II)848mgを加え室温下で終夜撹拌した。この懸濁液に2M塩酸水12mLと6M塩酸水6mLを加え、室温下で3時間撹拌した。不溶物を濾別し、さらに不溶物を酢酸エチルで洗浄した後、15%ロッシェル塩水溶液を加え、有機層を分け取った。さらに水層を酢酸エチルで3回抽出し、得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール212mgを得た。
【0051】
実施例7:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸の粗生成物504mgと1,3−ジメチルピラゾール1.594gをエタノール10mLに溶解し、酢酸銅(II)二水和物1.324gを加え、さらにエタノール5mLと、トリエチルアミン2.3mLをエタノール5mLに溶解したものとを加え室温下で撹拌した。酢酸エチルで希釈し、0.1MのEDTA水溶液130mLを加えた後、析出物を濾去した。有機層を分け取った後、水層を酢酸エチルで3回抽出し、得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール208mgを得た。
【0052】
実施例8:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸の粗生成物37mgと1,3−ジメチルピラゾール117mgを2−プロパノール1mLに懸濁し、ここに酢酸銅(II)二水和物97mgを加え、この懸濁液にさらに2−プロパノール1mLとトリエチルアミン0.17mLを加え室温下で撹拌した。得られた溶液を酢酸エチルで希釈し、15%ロッシェル塩水溶液を加えた。有機層を分け取った後、有機層を15%ロッシェル塩水溶液で洗浄し、得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール208mgを得た。
【0053】
実施例9:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸の粗生成物27mgと1,3−ジメチルピラゾール85mgをテトラヒドロフラン1mLに溶解し、ここに酢酸銅(II)二水和物71mgを加え、さらにテトラヒドロフラン1mLとトリエチルアミン0.12mLを加え室温下で撹拌した。酢酸エチルで希釈し、15%ロッシェル塩水溶液を加えた。不溶物を濾去し、有機層を分け取った後、水層を酢酸エチルで3回抽出し、得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール15mgを得た。
【0054】
実施例10:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸の粗生成物26mgと1,3−ジメチルピラゾール82mg、酢酸銅(II)二水和物68mgを2−プロパノール2mLに懸濁し、ジイソプロピルエチルアミン0.15mLを加え室温下で撹拌した。不溶物を濾去し、得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール14mgを得た。
【0055】
実施例11:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸の粗生成物28mgと1,3−ジメチルピラゾール177mgを2−プロパノール1mLに懸濁し、ここに酢酸銅(II)二水和物74mgと2−プロパノール1mLとジイソプロピルエチルアミン0.16mLを加え室温下で終夜撹拌した。不溶物を濾去し、得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール19mgを得た。
【0056】
実施例12:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸の粗生成物98mgと1,3−ジメチルピラゾール645mg、無水酢酸銅(II)234mgを脱水2−プロパノール4mLに懸濁し、ジイソプロピルエチルアミン0.56mLを加え、65℃で終夜撹拌した。得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール54mgを得た。
【0057】
実施例13:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸の粗生成物26mgと1,3−ジメチルピラゾール82mg、酢酸銅(II)二水和物68mgを2−プロパノール2mLに懸濁し、ジアザビシクロウンデセン0.13mLを加え室温下で撹拌した。不溶物を濾去し、得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール7mgを得た。
【0058】
実施例14:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸の粗生成物23mgと1,3−ジメチルピラゾール73mgをエタノール1mLに溶解し、ここに酢酸銅(II)二水和物60mgとエタノール1mLを加えた。ここにジイソプロピルエチルアミン0.13mLを加え室温下で終夜撹拌した。不溶物を濾去し、得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール10mgを得た。
【0059】
実施例15:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸の粗生成物23mgと1,3−ジメチルピラゾール73mgをアセトニトリル1mLに溶解し、ここに酢酸銅(II)二水和物60mgとアセトニトリル1mLを加えた。ここにジイソプロピルエチルアミン0.13mLを加え室温下で終夜撹拌した。不溶物を濾去し、得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール12mgを得た。
【0060】
実施例16:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸の粗生成物23mgと1,3−ジメチルピラゾール85mgをメチレンクロリド1mLに溶解し、ここに酢酸銅(II)二水和物71mgとメチレンクロリド1mLを加えた。ここにジイソプロピルエチルアミン0.13mLを加え室温下で終夜撹拌した。不溶物を濾去し、得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール11mgを得た。
【0061】
実施例17:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
モレキューラーシーブス4Aと(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸の粗生成物35mg、1,3−ジメチルピラゾール111mgをメチレンクロリド1.5mLに懸濁し、ここに酢酸銅(II)二水和物92mgとメチレンクロリド0.5mLを加えた。ここにジイソプロピルエチルアミン0.2mLを加え室温下で終夜撹拌した。不溶物を濾去し、得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール7mgを得た。
【0062】
実施例18:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸の粗生成物27mgと1,3−ジメチルピラゾール171mg、酢酸銅(II)二水和物71mgにテトラヒドロフラン2mLを加え、室温下で撹拌した。不溶物を濾去し、得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール7mgを得た。
【0063】
実施例19:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸の粗生成物29mgと1,3−ジメチルピラゾール184mg、酢酸銅(II)二水和物76mgにメチレンクロリド2mLを加え、室温下で終夜撹拌した。不溶物を濾去し、得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール6mgを得た。
【0064】
実施例20:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸の粗生成物27mgと1,3−ジメチルピラゾール171mg、酢酸銅(II)二水和物71mgに2−プロパノール2mLを加え、室温下で撹拌した。不溶物を濾去し、得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール13mgを得た。
【0065】
実施例21:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸の粗生成物26mgと1,3−ジメチルピラゾール164mg、酢酸銅(II)二水和物68mg、炭酸セシウム279mgに2−プロパノール2mLを加え、室温下で撹拌した。不溶物を濾去し、得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール2mgを得た。
【0066】
実施例22:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸の粗生成物27mgと1,3−ジメチルピラゾール171mg、酢酸銅(II)二水和物71mgにジメチルスルホキシド2mLを加え、室温下で撹拌した。得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール5mgを得た。
【0067】
実施例23:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
1)2−アミノクレゾール5.047gをエタノール10mLに溶解し、ここに濃塩酸3.55mLとエタノール5mLを加えた。これを0℃に冷却し、さらに亜硝酸イソアミル5.62mLを滴下した。この溶液を−7.5℃に冷却したヨウ化カリウム68.035gの水70mL溶液に滴下し、室温まで昇温した。この溶液にエタノール15mLを加え、さらに室温下で撹拌した。得られた溶液を酢酸エチルで希釈し、さらにアミレンを加え、有機層を分け取った。さらに水層から酢酸エチルで抽出した後、得られた有機層を20%食塩水で洗浄した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、乾燥剤を濾去した後、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより2−ヨード−5−メチルフェノール4.601gを得た。
【0068】
2)2−ヨード−5−メチルフェノール1.016gを1,4−ジオキサン10mLに溶解し、さらにビスピナコールジボラン2.756gの1,4−ジオキサン10mL溶液を加え、さらに酢酸カリウム2.130gの1,4−ジオキサン10mL溶液を加えた。窒素で置換した後、塩化パラジウムジフェニルホスフィノフェロセン錯体([1,1’-Bis(diphenylphosphino)ferrocene]dichloropalladium(II))355mgを加え、95℃で撹拌した。室温付近まで冷却した後、不溶物を濾去し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより5−メチル−2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−2−イル)フェノール405mgを得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm);7.75(1H,s)、7.49(1H,d,J=8.2Hz)、6.70−6.72(2H,m)、2.32(3H,s)、1.36(12H,s)、6.01(1H,s)、2.37(3H,s)、2.33(3H,s)、2.29(3H,s)
【0069】
3)5−メチル−2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−2−イル)フェノール20mgと1,3−ジメチルピラゾール82mg、酢酸銅(II)二水和物34mgに2−プロパノール3mLを加え、さらにジイソプロピルエチルアミン0.074mLを加え室温下で撹拌した。得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール11mgを得た。
【0070】
実施例24:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
モレキューラーシーブス3Aと5−メチル−2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−2−イル)フェノール20mgと1,3−ジメチルピラゾール82mg、酢酸銅(II)二水和物34mgに2−プロパノール3mLを加え、さらにジイソプロピルエチルアミン0.074mLを加え室温下で撹拌した。得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール14mgを得た。
【0071】
実施例25:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
5−メチル−2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−2−イル)フェノール19mgと1,3−ジメチルピラゾール78mg、酢酸銅(II)二水和物32mgに2−プロパノール3mLを加え、室温下で撹拌した。得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール12mgを得た。
【0072】
実施例26:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
5−メチル−2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)−2−イル)フェノール19mgと1,3−ジメチルピラゾール78mg、無水酢酸銅(II)31mgに脱水2−プロパノール3mLを加え、室温下で撹拌した。得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール13mgを得た。
【0073】
実施例27:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸の粗生成物21mgとピナコール33mgに脱水2−プロパノール2mLを加え、撹拌した。この溶液に1,3−ジメチルピラゾール133mgと無水酢酸銅(II)50mgと脱水2−プロパノール1mLを加え、室温下で終夜撹拌した。不溶物を濾去し、得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール17mgを得た。
【0074】
実施例28:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸の粗生成物49mgとピナコール38mgにテトラヒドロフラン2mLを加え、撹拌した。ここにピナコール38mgを加え、さらに終夜撹拌した。この溶液に1,3−ジメチルピラゾール310mgのテトラヒドロフラン3.5mL溶液と、無水酢酸銅(II)117mgとテトラヒドロフラン2mLを加え、室温下で終夜撹拌した。不溶物を濾去し、得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール42mgを得た。
【0075】
実施例29:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸の粗生成物106mgとピナコール165mgにテトラヒドロフラン5mLを加え、撹拌した。この溶液に1,3−ジメチルピラゾール671mgとテトラヒドロフラン5mLと、無水酢酸銅(II)117mgとテトラヒドロフラン10mLを加え、65℃で終夜撹拌した。得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール111mgを得た。
【0076】
実施例30:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸の粗生成物501mgとピナコール779mgに酢酸エチル10mLを加え、撹拌した。この溶液を2−プロパノールに溶媒置換し、濃縮した。この溶液に2−プロパノール20mLと1,3−ジメチルピラゾール3.169gと無水酢酸銅(II)1.198gを加え、65℃で終夜撹拌した。不溶物を濾去し、得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール440mgを得た。
【0077】
実施例31:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸の粗生成物101mgと1,3−ジメチルピラゾール71mg、無水酢酸銅(II)12mgとビピリジン10mgを脱水2−プロパノール4mLに懸濁し、ジイソプロピルエチルアミン0.56mLを加え65℃で撹拌した。得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール6mgを得た。
【0078】
実施例32:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
1,3−ジメチルピラゾール319mg、無水酢酸銅(II)121mgをジメチルホルムアミド2mLに懸濁し、65℃で撹拌した。ここに(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸の粗生成物101mgのジメチルホルムアミド1mL溶液を加えた。さらに3時間撹拌し、得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール35mgを得た。
【0079】
実施例33:2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの製造
(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ボロン酸101mgとピナコール151mgに酢酸エチル2mLを加え、終夜撹拌した。酢酸エチルを減圧下で留去し、これを1,3−ジメチルピラゾール319mg、無水酢酸銅(II)121mgをジメチルホルムアミド2mLに懸濁し、65℃で終夜撹拌したものに添加した。さらに3時間撹拌し、得られた有機層を定量したところ、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノール98mgを得た。
【0080】
試験例 結晶形安定性試験
式(1)の化合物の結晶について下記の温湿度条件で保存した後、粉末X線回折を測定した。その結果、いずれの測定時においても、結晶形の変化は認められなかった。これにより、式(1)の化合物のForm A結晶は加速条件でさえ6箇月以上の長期にわたって非常に安定で、高純度であることがわかった。
試験1
期間 :12箇月
保存条件 :25 ± 2℃ / 60 ± 5%RH*
包装形態 :ポリエチレン2重袋/ファイバードラム
試験2
期間 :6箇月
保存条件 :40 ± 2℃ / 75 ± 5%RH*
包装形態 :ポリエチレン2重袋/ファイバードラム
*:RH:相対湿度
【0081】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の方法によれば、有害な原料又は中間体を経ることなく、抗白癬菌剤として有用な2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールを結晶性の固体として製造することができる。本発明の方法により得られた2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−メチルフェノールの結晶は非常に高い安定性を有することから、特別な保管条件を設定することなく、保存や取扱いが簡便であり、製剤化、流通などの点で工業的製造の分野において大変有用である。
図1
図2