特許第6576935号(P6576935)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6576935化学薬剤送達のための指向性内膜下アクセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576935
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】化学薬剤送達のための指向性内膜下アクセス
(51)【国際特許分類】
   A61M 31/00 20060101AFI20190909BHJP
   A61M 37/00 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   A61M31/00
   A61M37/00 550
   A61M37/00 590
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-547905(P2016-547905)
(86)(22)【出願日】2015年1月9日
(65)【公表番号】特表2017-503601(P2017-503601A)
(43)【公表日】2017年2月2日
(86)【国際出願番号】US2015010804
(87)【国際公開番号】WO2015112351
(87)【国際公開日】20150730
【審査請求日】2017年11月7日
(31)【優先権主張番号】14/162,945
(32)【優先日】2014年1月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】マクピーク, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ウィーロン, ウィリアム
【審査官】 今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0196903(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0165924(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0296917(US,A1)
【文献】 米国特許第5017381(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
A61M 31/00
A61M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学薬剤を組織に送達する際に使用される送達部材であって、前記送達部材は、複数の区分を含む本体を備え、前記複数の区分は、第1の区分と第2の区分とを含み、
前記第1の区分は、
第1の筐体であって、前記第1の筐体は、その中に形成された第1の開口部を有し、かつ、第1の内部空洞を画定する、第1の筐体と、
前記第1の筐体から延在する第1の延在部材と
を含み、
前記第2の区分は、
第2の筐体であって、前記第2の筐体は、その中に形成された第2の開口部を有し、かつ、第2の内部空洞を画定する、第2の筐体と、
前記第2の筐体から延在する第2の延在部材と
を含み、
前記第1の延在部材は、前記第2の開口部を通って、前記第2の内部空洞内に延在し、
前記第2の開口部の横断面寸法は、前記第2の内部空洞の横断面寸法よりも小さく、
前記第2の延在部材は、前記組織の少なくとも1つの層を通過するように構成された鋭利な先端を含む、送達部材。
【請求項2】
各区分は、構成が同一である、請求項1に記載の送達部材。
【請求項3】
各筐体は、対向する第1の端部および第2の端部を含み、前記第1の端部は、その中に形成された開口部を含み、各延在部材は、前記第2の端部から延在する、請求項1に記載の送達部材。
【請求項4】
前記第2の筐体内の前記第2の開口部は、前記第1の延在部材によって画定される最大の横断面寸法より小さい横断面寸法を画定する、請求項1に記載の送達部材。
【請求項5】
前記第1の区分および前記第2の区分は、弾性材料から形成されている、請求項に記載の送達部材。
【請求項6】
血管を処置する際に使用されるシステムであって、前記システムは、
前記血管の管腔に挿入可能なガイドカテーテルであって、前記ガイドカテーテルは、内部通路を画定する、ガイドカテーテルと、
前記ガイドカテーテルの前記内部通路に挿入可能な送達部材と
を含み、
前記送達部材は、複数の区分を含み、前記複数の区分は、第1の区分と第2の区分とを含み、
前記第1の区分は、
第1の筐体であって、前記第1の筐体は、その中に形成された第1の開口部を有し、かつ、第1の内部空洞を画定する、第1の筐体と、
前記第1の筐体から延在する第1の延在部材と
を含み、
前記第2の区分は、
第2の筐体であって、前記第2の筐体は、その中に形成された第2の開口部を有し、かつ、第2の内部空洞を画定する、第2の筐体と、
前記第2の筐体から延在する第2の延在部材と
を含み、
前記第1の延在部材は、前記第2の開口部を通って、前記第2の内部空洞内に延在し、
前記第2の開口部の横断面寸法は、前記第2の内部空洞の横断面寸法よりも小さく、
前記第2の延在部材は、組織の少なくとも1つの層を通過するように構成された鋭利な先端を含み、
各区分は、抗再狭窄剤を含む、システム。
【請求項7】
各区分は、構成が同一である、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2の筐体内の前記第2の開口部は、前記第1の延在部材によって画定される最大の横断面寸法より小さい横断面寸法を画定する、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の区分および前記第2の区分は、弾性材料から形成されている、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本開示は、概して、管状器官内の閉塞の処置および予防に関し、より具体的には、再狭窄を阻止するための血管組織への化学薬剤(単数または複数)の送達に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
血管の再狭窄または再狭小化は、初期の血管閉塞の処置に続いて発生することが珍しくなく、血管内の制約された血流につながり得る。血管閉塞の形成を阻止するための公知の技法は、抗再狭窄剤の送達を含み、典型的には、そうするための血管の管腔内の移植デバイスの留置を伴う。例えば、ステントまたは他のそのような構造は、抗再狭窄剤でコーティングされ、抗再狭窄剤が、経時的に血管の壁を含む組織の中へ溶出されるように、血管の管腔内に埋め込まれてもよい。しかしながら、そのような技法および構造物は、典型的には、血管壁の周辺全体に沿って、抗再狭窄剤を血管壁の内膜層に送達し、内膜層を含む組織の性質に起因して、それらの有効性が限定される。
【0003】
その結果として、より効果的に抗再狭窄剤の指向性標的送達を促進する、デバイス、システム、および方法の必要性が残っている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(要旨)
本開示の一側面では、化学薬剤を組織に送達する際に使用するための送達部材が、開示される。この送達部材は、構成が同一であり得る、複数の離散的な分離可能区分を含む、本体を含む。本体の各区分は、内部空洞を画定する筐体と、筐体から延在する貫通部材とを含む。
【0005】
筐体は、対向する第1の端部および第2の端部を含む。筐体の第1の端部は、開口部を含み、貫通部材は、第2の端部から延在する。貫通部材は、組織を通した送達部材の通過を促進するように構成され、構成が鋭利であり得る。
【0006】
複数の区分は、印加された張力が隣接区分を分離するような構成および寸法にされる。送達部材のいくつかの実施形態では、複数の区分は、その中に形成された開口部を有する第1の筐体と、第1の筐体から延在する第1の貫通部材とを伴う、第1の区分と、その中に形成された開口部を有する第2の筐体と、第2の筐体から延在する第2の貫通部材とを伴う、第2の区分とを含む。そのような実施形態では、第1の貫通部材は、第2の筐体内に位置付けられ、第2の筐体内の開口部は、第1の貫通部材によって画定される最大の横断面寸法より小さい横断面寸法を画定する。第1の区分および第2の区分は、送達部材に印加される張力が、第1の貫通部材および/または第2の筐体内の開口部を変形させるように、弾性材料から形成され、それによって、第1の区分および第2の区分を分離するように、第1の貫通部材が第2の筐体から抜去されることを可能にしてもよい。
【0007】
送達部材のいくつかの実施形態では、複数の区分はさらに、その中に形成された開口部を有する第3の筐体と、第3の筐体から延在する第3の貫通部材とを伴う、第3の区分と、その中に形成された開口部を有する第4の筐体と、第4の筐体から延在する第4の貫通部材とを伴う、第4の区分とを含む。そのような実施形態では、第3の貫通部材は、第4の筐体内に位置付けられ、第4の筐体内の開口部は、第3の貫通部材によって画定される最大の横断面寸法より小さい横断面寸法を画定する。第3の区分および第4の区分は、送達部材に印加される張力が、第3の貫通部材および/または第4の筐体内の開口部を変形させるように、弾性材料から形成され、それによって、第3の区分および第4の区分を分離するように、第3の貫通部材が第4の筐体から抜去されることを可能にしてもよい。体内の処置される場所に応じて、付加的区分が、適切な長さの送達部材を形成するように含まれてもよい。
【0008】
本開示の別の側面では、血管の管腔に挿入可能なガイドカテーテルと、送達部材とを含む、血管を処置する際に使用するためのシステムが、開示される。
【0009】
ガイドカテーテルは、内部通路を画定し、送達部材は、ガイドカテーテルの内部通路に挿入可能である。送達部材は、それぞれが抗再狭窄剤を含み、構成が同一であり得る、複数の離散的な分離可能区分を含む。
【0010】
各区分は、内部空洞を画定する筐体、ならびに、組織、例えば、血管の壁を通した送達部材の通過を促進するように構成される、筐体から延在する貫通部材を含む。
【0011】
複数の区分は、送達部材に印加される張力が隣接区分を分離するようにな構成および寸法にされる。
【0012】
システムのいくつかの実施形態では、送達部材の複数の区分は、その中に形成された開口部を有する第1の筐体と、第1の筐体から延在する第1の貫通部材とを伴う、第1の区分と、その中に形成された開口部を有する第2の筐体と、第2の筐体から延在する第2の貫通部材とを伴う、第2の区分とを含む。そのような実施形態では、第1の貫通部材は、第2の筐体内に位置付けられ、第2の筐体内の開口部は、第1の貫通部材によって画定される最大の横断面寸法より小さい横断面寸法を画定する。第1の区分および第2の区分は、送達部材に印加される張力が、第1の貫通部材および/または第2の筐体内の開口部を変形させるように、弾性材料から形成され、それによって、第1の区分および第2の区分を分離するように、第1の貫通部材が第2の筐体から抜去されることを可能にしてもよい。
【0013】
システムの付加的実施形態では、送達部材の複数の区分はさらに、その中に形成された開口部を有する第3の筐体と、第3の筐体から延在する第3の貫通部材とを伴う、第3の区分と、その中に形成された開口部を有する第4の筐体と、第4の筐体から延在する第4の貫通部材とを伴う、第4の区分とを含む。そのような実施形態では、第3の貫通部材は、第4の筐体内に位置付けられ、第4の筐体内の開口部は、第3の貫通部材によって画定される最大の横断面寸法より小さい横断面寸法を画定する。第3の区分および第4の区分は、送達部材に印加される張力が、第3の貫通部材および/または第4の筐体内の開口部を変形させるように、弾性材料から形成され、それによって、第3の区分および第4の区分を分離するように、第3の貫通部材が第4の筐体から抜去されることを可能にしてもよい。
【0014】
本開示の別の側面では、ガイドカテーテルを血管の管腔に挿入するステップと、ガイドカテーテルを通して送達部材を前進させるステップと、送達部材が血管の壁を形成する隣接組織層の間に位置付けられるように、ガイドカテーテルから送達部材を展開するステップと、血管の壁を形成する隣接組織層の間に化学薬剤を送達するステップとを含む、血管内手技を行うための方法が、開示される。
【0015】
方法のいくつかの実施形態では、化学薬剤を送達するステップは、例えば、送達部材の第2の区分から送達部材の第1の区分を分離することによって、隣接組織層の間に送達部材の一部を置くステップと、血管から送達部材の残りの部分を抜去するステップとを含む。そのような実施形態では、血管の壁を形成する隣接組織層の間に置かれる送達部材の一部は、経時的に分解し、それによって、化学薬剤が、血管の組織の中へ放出される。
【0016】
方法のいくつかの実施形態では、化学薬剤を送達するステップは、送達部材を通って延在する内部チャネルの中へ、内部チャネルと連通している送達部材に形成された複数の半径方向開口部を通して、化学薬剤を連通させるステップを含む。加えて、または代替として、化学薬剤は、送達部材の開放遠位端を通して送達されてもよい。
【0017】
方法のいくつかの実施形態では、化学薬剤を送達するステップは、送達部材を通って延在する内部チャネルの中へ第1の化合物および第2の化合物を送達するステップを含み、第1の化合物および第2の化合物のうちの少なくとも1つは、化学薬剤を含む。相互と接触させられたとき、第1の化合物および第2の化合物は、血管の壁を形成する隣接組織層の間に位置付けられる中実の生分解性フィラメントを形成するように組み合わされる。
【0018】
現在開示される主題の他の側面、特徴、および利点は、明細書、図面、および請求項から明白である。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
化学薬剤を組織に送達する際に使用するための送達部材であって、前記送達部材は、複数の離散的な分離可能区分を含む本体を備え、各区分は、内部空洞を画定する筐体と、前記筐体から延在する貫通部材とを含む、送達部材。
(項目2)
前記貫通部材は、前記組織を通した前記送達部材の通過を促進するように構成される、項目1に記載の送達部材。
(項目3)
前記貫通部材は、構成が鋭利である、項目2に記載の送達部材。
(項目4)
各区分は、構成が同一である、項目1に記載の送達部材。
(項目5)
前記筐体は、対向する第1の端部および第2の端部を含み、前記第1の端部は、その中に形成された開口部を含み、前記貫通部材は、前記第2の端部から延在する、項目1に記載の送達部材。
(項目6)
前記複数の区分は、印加された張力が隣接する区分を分離するような構成および寸法にされる、項目1に記載の送達部材。
(項目7)
前記複数の区分は、
その中に形成された開口部を有する第1の筐体と、前記第1の筐体から延在する第1の貫通部材とを伴う、第1の区分と、
その中に形成された開口部を有する第2の筐体と、前記第2の筐体から延在する第2の貫通部材とを伴う、第2の区分と、を含む、項目6に記載の送達部材。
(項目8)
前記第1の貫通部材は、前記第2の筐体内に位置付けられる、項目7に記載の送達部材。
(項目9)
前記第2の筐体内の前記開口部は、前記第1の貫通部材によって画定される最大の横断面寸法より小さい横断面寸法を画定する、項目8に記載の送達部材。
(項目10)
前記第1の区分および第2の区分は、前記送達部材に印加される張力が、前記第1の貫通部材および/または前記第2の筐体内の前記開口部を変形させるように、弾性材料から形成され、それによって、前記第1の区分および第2の区分を分離するように、前記第1の貫通部材が前記第2の筐体から抜去されることを可能にする、項目9に記載の送達部材。
(項目11)
前記複数の区分はさらに、
その中に形成された開口部を有する第3の筐体と、前記第3の筐体から延在する第3の貫通部材とを伴う、第3の区分と、
その中に形成された開口部を有する第4の筐体と、前記第4の筐体から延在する第4の貫通部材とを伴う、第4の区分と、を含む、項目10に記載の送達部材。
(項目12)
前記第3の貫通部材は、前記第4の筐体内に位置付けられる、項目11に記載の送達部材。
(項目13)
前記第4の筐体内の前記開口部は、前記第3の貫通部材によって画定される最大の横断面寸法より小さい横断面寸法を画定する、項目12に記載の送達部材。
(項目14)
前記第3の区分および第4の区分は、前記送達部材に印加される張力が、前記第3の貫通部材および/または前記第4の筐体内の前記開口部を変形させるように、弾性材料から形成され、それによって、前記第3の区分および第4の区分を分離するように、前記第3の貫通部材が前記第4の筐体から抜去されることを可能にする、項目13に記載の送達部材。
(項目15)
血管を処置する際に使用するためのシステムであって、
前記血管の管腔に挿入可能なガイドカテーテルであって、内部通路を画定する、ガイドカテーテルと、
前記ガイドカテーテルの前記内部通路に挿入可能な送達部材であって、各区分が抗再狭窄剤を含む、複数の離散的な分離可能区分を含む、送達部材と、を備える、システム。
(項目16)
各区分は、構成が同一である、項目15に記載のシステム。
(項目17)
各区分は、内部空洞を画定する筐体と、前記血管を含む組織を通した前記送達部材の通過を促進するように構成される、前記筐体から延在する貫通部材とを含む、項目15に記載のシステム。
(項目18)
前記複数の区分は、前記送達部材に印加される張力が隣接区分を分離するような構成および寸法にされる、項目17に記載のシステム。
(項目19)
前記複数の区分は、
その中に形成された開口部を有する第1の筐体と、前記第1の筐体から延在する第1の貫通部材とを伴う、第1の区分と、その中に形成された開口部を有する第2の筐体と、前記第2の筐体から延在する第2の貫通部材とを伴う、第2の区分と、を含む、項目18に記載のシステム。
(項目20)
前記第1の貫通部材は、前記第2の筐体内に位置付けられる、項目19に記載のシステム。
(項目21)
前記第2の筐体内の前記開口部は、前記第1の貫通部材によって画定される最大の横断面寸法より小さい横断面寸法を画定する、項目20に記載のシステム。
(項目22)
前記第1の区分および第2の区分は、前記送達部材に印加される張力が、前記第1の貫通部材および/または前記第2の筐体内の前記開口部を変形させるように、弾性材料から形成され、それによって、前記第1の区分および第2の区分を分離するように、前記第1の貫通部材が前記第2の筐体から抜去されることを可能にする、項目21に記載のシステム。
(項目23)
前記複数の区分はさらに、
その中に形成された開口部を有する第3の筐体と、前記第3の筐体から延在する第3の貫通部材とを伴う、第3の区分と、
その中に形成された開口部を有する第4の筐体と、前記第4の筐体から延在する第4の貫通部材とを伴う、第4の区分と、を含む、項目22に記載のシステム。
(項目24)
前記第3の貫通部材は、前記第4の筐体内に位置付けられる、項目23に記載のシステム。
(項目25)
前記第4の筐体内の前記開口部は、前記第3の貫通部材によって画定される最大横断面寸法より小さい横断面寸法を画定する、項目24に記載のシステム。
(項目26)
前記第3および第4の区分は、前記送達部材に印加される張力が、前記第3の貫通部材および/または前記第4の筐体内の前記開口部を変形させるように、弾性材料から形成され、それによって、前記第3の区分および第4の区分を分離するように、前記第3の貫通部材が前記第4の筐体から抜去されることを可能にする、項目25に記載のシステム。
(項目27)
ガイドカテーテルを血管の管腔に挿入するステップと、
前記ガイドカテーテルを通して送達部材を前進させるステップと、
前記送達部材が前記血管の壁を形成する隣接組織層の間に位置付けられるように、前記ガイドカテーテルから前記送達部材を展開するステップと、
前記血管の前記壁を形成する前記隣接組織層の間に化学薬剤を送達するステップと、
を含む、血管内手技を行うための方法。
(項目28)
前記化学薬剤を送達するステップは、前記隣接組織層の間に前記送達部材の一部を置くステップと、前記血管から前記送達部材の残りの部分を抜去するステップとを含み、前記隣接組織層の間に置かれる前記送達部材の前記一部は、経時的に分解し、それによって、前記化学薬剤が、前記血管の前記組織の中へ放出される、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記送達部材の前記一部を置くステップは、前記送達部材の第2の区分から前記送達部材の第1の区分を分離するステップを含む、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記化学薬剤を送達するステップは、前記送達部材を通って延在する内部チャネルの中へ前記化学薬剤を連通させるステップと、前記内部チャネルと連通している前記送達部材に形成された複数の半径方向開口部を通して、前記血管の前記壁の中へ前記化学薬剤を放出するステップとを含む、項目27に記載の方法。
(項目31)
前記化学薬剤を送達するステップは、前記送達部材を通って延在する内部チャネルの中へ前記化学薬剤を連通させるステップと、前記送達部材の開放遠位端を通して前記化学薬剤を放出するステップとを含む、項目27に記載の方法。
(項目32)
前記化学薬剤を送達するステップは、前記送達部材を通って延在する前記内部チャネルの中へ第1の化合物および第2の化合物を送達するステップであって、前記第1の化合物および第2の化合物のうちの少なくとも1つは、前記化学薬剤を含む、ステップと、前記血管の前記壁を含む前記隣接組織層の間に位置付けられる中実の生分解性フィラメントを形成するように、前記第1の化合物および第2の化合物を組み合わせるステップとを含む、項目31に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、例示的血管の部分断面図である。
図2図2は、ガイドカテーテルと、ガイドカテーテルに挿入可能である複数の離散的な分離可能区分を含む、送達部材とを含む、血管を処置する際に使用するためのシステムを図示する。
図3図3は、外科的手技の経過中に、血管内に位置付けられたガイドカテーテルと、ガイドカテーテル内に位置付けられた送達部材とを図示する、長手方向部分断面図である。
図4図4は、送達部材を備える区分のうちの1つの長手方向断面図である。
図5図5は、図2で識別される領域の詳細の拡大である。
図6図6は、ガイドカテーテルを抜去した後に血管の組織内に置かれた送達部材の一部を図示する、長手方向部分断面図である。
図7図7は、本開示の代替実施形態による、送達部材の区分を図示する、後ろからの斜視図である。
図8図8は、本開示の代替実施形態による、送達部材の区分を図示する、後ろからの斜視図である。
図9図9は、ステントと併せて送達部材を使用する代替方法を図示する、長手方向部分断面図である。
図10図10は、化学薬剤を含む供給源と連通して示される送達部材の代替実施形態を図示する。
図11図11は、図10の送達部材と、化学薬剤供給源の代替実施形態とを図示する。
図12図12は、生分解性フィラメントが形成されて血管の組織内に置かれる、外科的手技の経過中の図10および11の送達部材を図示する、長手方向部分断面図である。
図13図13は、本開示の送達部材の代替実施形態を図示する。
図14図14は、外科的手技の経過中に血管の組織内に位置付けられた図13の送達部材を図示する、長手方向部分断面図である。
図15図15は、送達部材の送達中のガイドカテーテルの代替実施形態を図示する、長手方向部分断面図である。
図16図16は、図15で見られるガイドカテーテルの代替実施形態を図示する、側面図である。
図17図17は、ガイドカテーテルの別の実施形態を図示する、側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(詳細な説明)
ここで、同様の参照数字が類似または同一の要素を識別する図面を参照して、本開示の実施形態を詳細に説明する。本明細書で使用されるように「患者」という用語は、ヒトまたは動物患者を指し、「臨床医」という用語は、医師、看護師、支援要員、または他の介護提供者を指す。加えて、本明細書の「閉塞」という用語の使用は、中空の解剖学的構造、例えば、血管等の管状器官の任意の部分的または完全な封鎖を指す。本明細書に説明されるデバイス、システム、および方法は、血管手技との関連で議論されるが、本開示の原理は、中空の解剖学的構造の処置に関する他の外科的手技に等しく適用可能である。そのような手技の例は、心臓手技、腹部手技、尿路手技、および腸手技を含むが、それらに限定されない。
【0021】
図1は、閉塞Oによって閉塞されている血管Vの断面図を提供する。血管Vは、内膜層I、中膜層M、および外膜層Aから成る血管壁Wによって画定される、管腔Lを含む。
【0022】
図2および3は、化学薬剤が血管Vの血管壁W(図1、3)を形成する組織に送達される、例示的医療手技で使用するためのシステム1000(図2)を図示する。システム1000は、ガイドカテーテル100と、ガイドカテーテル100に挿入可能であり、それを通して移動可能である、送達部材200とを含む。
【0023】
システム1000の使用中に、ガイドカテーテル100は、血管Vの管腔Lに挿入され、ガイドカテーテル100が閉塞Oに近接して位置付けられるまで、管腔Lを通して前進させられる。次いで、送達部材200は、化学薬剤の送達を促進するように、ガイドカテーテル100を通して、血管壁Wを含む組織の中へ前進させられる。好適な化学薬剤は、例えば、パクリタキセル、シロリムス、および/またはコレステロール分解酵素等の抗再狭窄剤を含む。具体的には、送達部材200の展開中に、送達部材200は、ガイドカテーテル100から前進させられ、内膜下空間、すなわち、内膜層Iの下の組織の中へ、血管壁Wの内膜層Iを通過させられる。より具体的には、送達部材200は、中膜層Mを含む組織に挿入される。
【0024】
中膜層Mを含む平滑筋細胞に化学薬剤を直接送達することによって、化学薬剤の有効性は、他の送達場所、例えば、内膜層Iにおいて達成される有効性と比較して、増加させられることができる。化学薬剤および全体として手技の有効性は、血管壁Wの円周全体よりもむしろ、血管壁Wの特定領域または区分、例えば、閉塞Oに直接隣接する血管壁Wの区分が、処置されることを可能にする、ガイドカテーテル100によって促進される指向性送達によって、さらに増加させられる。
【0025】
ここで図1−5を参照して、ガイドカテーテル100および送達部材200を詳細に説明する。
【0026】
ガイドカテーテル100は、送達部材200の前進および留置を促進するために、血管Vの管腔L(図1)に挿入するための構成および寸法にされる。好適なガイドカテーテル100の一実施例は、Covidienによって市販されているECHELONTMマイクロカテーテルである。
【0027】
ガイドカテーテル100は、それを通した送達部材200の挿入および移動に適応するような構成および寸法にされる、内部通路106を画定する管状壁104を伴う本体102(図2)を含む。ポート108が、本体102に形成され、送達部材200の指向性展開を促進するために、送達部材200がそれを通る通路106から退出することを可能にするような寸法にされる。具体的には、ガイドカテーテル100の軸方向および回転操作を介して、ポート108の配向、したがって、送達部材200の展開は、送達部材が正確な場所で血管壁W(図1、3)を含む組織に進入することを可能にするために、臨床医によって調整されることができる。ポート108が、図2および3で壁104を通って半径方向に延在するものとして図示されているが、ポート108は、本開示の範囲から逸脱することなく、ガイドカテーテル100の遠位端110に形成され、そこから閉塞Oに向かって外向きに延在してもよい。加えて、単一のポート108のみを含むものとして図示されているが、ガイドカテーテル100の代替構成は、1つまたはそれを上回る付加的ポート108を含んでもよい。
【0028】
送達部材200(図2、3)は、ガイドカテーテル100の内部通路106の中への挿入およびそれを通した移動のための構成および寸法にされる、本体202を含む。本体202は、以下で議論される様式で相互から分離可能である、複数の個々の区分204を含む。図2および3では、区分204は、送達部材200の本体202の全体を形成するものとして図示されている。しかしながら、送達部材200の代替構成では、区分204は、送達部材200の本体202の一部のみ、例えば、本体202の端部分を形成してもよい。
【0029】
区分204(図4)は、例えば、シリコーンおよび/または繊維材料、もしくは合成樹脂、例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド、それらの組み合わせ、および同等物等の少なくとも部分的に弾性である材料から、またはポリエステル、例えば、ポリアルキルテレフタレート、ポリアミド、例えば、ナイロン、ポリウレタン、ポリカーボネート、フッ素重合体、ポリオレフィン、ビニルポリマー、それらの組み合わせ、および同等物等の非生分解性材料から形成される。区分204は、射出成形またはレーザ機械加工を含むが、それらに限定されない、任意の好適な製造の方法を通して形成され得る。
【0030】
各区分204は、対向する端部208、210を有する筐体206(図4、5)と、端部210において端壁214から延在する貫通部分212とを含む。製造費用および複雑性を削減するために、区分204のそれぞれは、同一の構造として形成されてもよい。
【0031】
筐体206は、横断面構成「T」(図4)を画定する、端部分208に形成された開口部218を伴う外壁216を含む。各筐体206の外壁216は、図5で見られるように、隣接区分204の貫通部分212に適応するような構成および寸法にされる内部空洞220を画定する。
【0032】
貫通部分212は、開口部218によって画定される横断面構成「T」より大きい最大横断面構成「T」(図4)を画定し、組織、例えば、血管Vの血管壁W(図1)を含む組織を通した貫通部分212の通過を促進するような構成および寸法にされる遠位先端222を含む。この目的で、貫通部分212の遠位先端222は、例えば、図4で図示されるように、鋭利な構成を含んでもよい。しかしながら、送達部材200の代替構成では、遠位先端222は、より丸みを帯びた鈍的構成を含んでもよい。
【0033】
区分204のそれぞれは、圧縮荷重、例えば、図5の矢印1の方向に印加される力を支持して持続し、そして引張荷重、例えば、図5の矢印2の方向に印加される力に降伏するような構成および寸法にされる。図5を参照すると、例えば、送達部材200への圧縮荷重の印加時に、1つの区分204の筐体206の端部210は、送達部材2000が圧縮荷重の方向に前進させられるように、隣接区分204の筐体206の端部208と強制的に接触させられる。加えて、または代替として、印加された圧縮荷重は、1つの区分204の貫通部分212を隣接区分204の内部空洞220の内面224と強制的に接触させてもよい。
【0034】
送達部材200への引張荷重の印加時に、隣接区分204は、相互から分離される。印加された引張荷重は、貫通部分212および/または開口部218の弾性変形を介して、1つの区分204の貫通部分212を隣接区分204の内部空洞220から抜去させる。
【0035】
ここで図1−6を参照すると、送達部材200を使用する例示的方法は、図3で図示されるように、血管V内の閉塞Oに隣接してガイドカテーテル100を位置付けるステップと、ポート108が血管壁Wの中への所望の進入点に向かって指向されるように、ガイドカテーテル100を配向するステップとを含む。システム1000(図2)が使用される外科的手技の特定の要件および/または閉塞Oの性質に応じて、順行性アプローチまたは逆行性アプローチのいずれか一方が、ガイドカテーテル100を位置付ける際に採用されてもよい。
【0036】
ガイドカテーテル100の留置に続いて、送達部材200は、ポート108(図2、3)を通して展開され、送達部材200が中膜層Mの中へ内膜層Iを通過させられるように、血管Vの自然解剖面を辿る。送達部材200の展開中に、ガイドカテーテル100は、送達部材200の安定化を支援するように定位置にとどまる。
【0037】
中膜層Mの中への進入に続いて、送達部材200は、送達部材200の本体202を備える区分204のうちの少なくとも1つが、閉塞O(図3)の各端部EO1、EO2に近接して位置付けられるように、送達部材200が閉塞Oに跨架するまで操作される。次いで、引張荷重が、本体202の隣接区分204を分離するために送達部材200に印加される。具体的には、血管Vの壁Wを含む組織によって送達部材200に印加される牽引力が、ガイドカテーテル100によって印加される力よりはるかに大きいため、送達部材200は、ポート108、すなわち、牽引力が遷移する点に隣接して分離し、それによって、臨床医が血管壁Wを含む組織内に正しく置かれる区分204の数を制御することを可能にする傾向となり得る。
【0038】
血管Vの壁Wを含む組織によって送達部材200に印加される牽引力を増加させるために、送達部材200の区分204のうちの1つまたはそれを上回るものは、1つまたはそれを上回る表面不規則性を含んでもよい。例えば、図7で図示される一実施形態では、それぞれ尖った頂点205’を有する、1つまたはそれを上回る返し205’を含む、区分204’が開示されている。代替として、図8で図示される別の実施形態では、それぞれ丸みを帯びた端部分205”を有する、1つまたはそれを上回る薄片205”を含む、区分204”が開示されている。表面不規則性、例えば、返し205’(図7)および/または薄片205”(図8)は、図7および8で図示されるように、区分204’、204”の外面を横断して一様に分配されるか、または区分204’、204”の外面を横断して無作為に分配されるかのいずれかであってもよい。
【0039】
区分204の分離をさらに促進するために、ガイドカテーテル100は、ポート108に隣接して切断または加熱要素(図示せず)を含んでもよい。
【0040】
ガイドカテーテル100の適切な配向および/または送達部材200の展開を促進するために、ガイドカテーテル100および/または送達部材200は、蛍光透視法下で視覚化され得る、マーカ226(図2)等の放射線不透過性材料または放射線不透過性部分を含んでもよい。
【0041】
送達部材200の展開および中膜層M内の区分204の設置に続いて、前述の化学薬剤が送達される。例えば、送達部材200、例えば、個々の区分204は、ポリエステル、例えば、ポリアルキルテレフタレート、ポリアミド、例えば、ナイロン、ポリウレタン、ポリカーボネート、フッ素重合体、ポリオレフィン、ビニルポリマー、それらの組み合わせ、および同等物等の非生分解性材料から形成され、化学薬剤でコーティングされてもよく、それによって、区分204との接触時に、中膜層Mを含む組織による化学薬剤の吸収を可能にする。そのような送達中に、送達部材200が最初にガイドカテーテル100内で隠されるため、化学薬剤の洗い流しが、組織による希釈と同様に阻止される。代替として、送達部材200、例えば、個々の区分204は、化学薬剤が組み込まれ得る、生分解性基礎材料から形成されてもよい。例えば、区分204は、グリコリド、ラクチド、p−ジオキサノン、ε−カプロラクトン、炭酸トリメチレン、オルトエステル、ホスホエステル、多糖類、加工澱粉、セルロース、酸化セルロース、ポリ−ラクチド−コ−グリコリド(PLGA)コポリマー等のグリコリドおよびラクチド系ポリマー、ならびに前述の種々の組み合わせを保有する、ホモポリマー、コポリマー、および/または混合物を含む、基礎材料から形成されてもよく、そして化学薬剤は、製造中に基礎材料に混入されてもよい。
【0042】
区分204の展開成功および化学薬剤の送達に続いて、ガイドカテーテル100ならびに送達部材200の残りの部分が、後退させられ、患者から抜去されることができる。
【0043】
前述の手技は、例えば、ステントS(図9)の留置を促進するために、血栓除去術用カテーテルが閉塞O(図1、9)に開口部を作成するように採用される手技等の別の外科的手技と併せて使用されてもよい。そのような用途では、送達部材200は、閉塞Oを含む組織に直接挿入され、その内側に置かれてもよい。加えて、または代替として、上記で議論される方法の採用を通して、送達部材200の区分204は、ステントSに跨架するよう、すなわち、送達部材200の本体202を備える、少なくとも1つの区分204が、ステントSの各端部ES1、ES2に近接して位置付けられるように、中膜層Mに挿入されてもよい。
【0044】
図10は、基準カテーテル300によって識別される、本開示される送達部材の付加的実施形態を図示する。送達部材300は、ガイドカテーテル100の内部通路106(図2)の中への挿入およびそれを通した移動のための構成および寸法にされる、本体302を含む。本体302は、開放遠位端304を含み、内部チャネル306を画定する。
【0045】
送達部材300を使用する1つの方法では、例えば、図3で図示される様式における、血管V内のガイドカテーテル100の留置に続いて、送達部材300は、ガイドカテーテル100から展開され、上記で議論される様式で中膜層Mの中へ内膜層Iを通過させられる。その後、化学薬剤は、ポンプ、シリンジ、または同等物等の供給源400(図10)から送達部材300の本体302を通して延在する内部チャネル306の中へ連通させられる。化学薬剤は、本体302の開放遠位端304を通して放出され、中膜層Mに直接送達される。
【0046】
送達部材300を使用する代替方法では、中膜層Mの中への展開に続いて、一方または両方が中膜層Mの中への送達のために意図された化学薬剤を含む、第1の化合物および第2の化合物が、供給源400’(図11、12)から本体302を通って延在する内部チャネル306の中へ送達される。例えば、第1の作用物質および第2の作用物質は、ポリマー、機能性ポリマー、巨大分子、小分子、または架橋分子のネットワークを形成する反応に関与し得る架橋剤、例えば、ヒドロゲル等の第1および第2のヒドロゲル前駆物質を含んでもよい。図11では二重筒シリンジ500として図示されているが、供給源400’は、第1の化合物および第2の化合物を送達し、送達まで第1の化合物および第2の化合物の分離を維持するという意図された目的のために好適な任意のデバイスであってもよい。
【0047】
供給源400’からの放出に続いて、第1の化合物および第2の化合物は、原位置で、すなわち、血管壁W内で、より具体的には、中膜層M内で、化学薬剤を含有する生分解性フィラメント600(図12)を形成するように、組み合わされて凝固する。したがって、フィラメント600は、送達部材300から中膜層Mの中へ押出されることができ、または代替として、フィラメント600は、送達部材300の本体302を通って延在する内部チャネル306内で形成されることができ、送達部材300は、フィラメント600上を抜去されることができる。所望の様式で、例えば、フィラメント600が閉塞Oに跨架するように、フィラメント600の送達を達成するために、送達部材300は、中膜層M内で操作され、例えば、前進、後退、および/または回転させられることができる。
【0048】
いずれかの使用方法においても、化学薬剤の送達成功後、ガイドカテーテル100および送達部材300は、後退させられ、患者から抜去されることができる。
【0049】
図13および14は、基準カテーテル700によって識別される、送達部材の別の実施形態を図示する。送達部材700は、送達部材300(図11、12)と同一であるが、差異については、以下で議論される。
【0050】
送達部材700は、閉鎖遠位端704を有し、内部チャネル706を画定する、本体702を含む。組織、例えば、血管壁W(図14)を含む組織を通した送達部材700の前進を促進するために、本体702の閉鎖遠位端704は、図13および14で図示されるように、先細構成を含んでもよい。本体702は、送達部材700の外部で内部チャネル706から、前述の化学薬剤(単数または複数)等の流体の連通を可能にする、内部チャネル706と連通している、1つまたはそれを上回る半径方向開口部708、例えば、穿孔を含む。
【0051】
送達部材700の使用中に、上記で議論される様式におけるガイドカテーテル100の留置に続いて、送達部材700は、ガイドカテーテル100から展開され、中膜層M(図14)の中へ内膜層Iを通過させられる。その後、化学薬剤は、例えば、供給源400から、送達部材700の本体702を通って延在する内部チャネル706の中へ連通させられる。内部チャネル706の中への連通時に、化学薬剤は、半径方向開口部(単数または複数)708を通して送達部材700から放出され、中膜層Mに直接送達される。送達部材700は、中膜層Mの任意の所望の部分への化学薬剤の送達を達成するように、中膜層M内で操作され、例えば、前進、後退、および/または回転させられることができる。
【0052】
化学薬剤の送達成功後、ガイドカテーテル100および送達部材700は、後退させられ、患者から抜去されることができる。
【0053】
図15で図示される本開示の付加的実施形態では、ガイドカテーテル800が、送達部材、例えば、送達部材200(図2)の送達のために説明される。ガイドカテーテル800は、屈曲806の組み込みを介して、その開放遠位端804を通した送達部材200の指向送達を促進する、本体802を含む。
【0054】
ガイドカテーテル800は、特定の手技によって必要とされる任意のオフセットを達成するような構成および定寸され得ることが、想定される。例えば、屈曲806は、図15で図示されるように約45°のオフセット、図16で図示されるように75°のオフセット、またはガイドカテーテル800が採用される特定の手技によって必要とされる任意の他の鋭角もしくは鈍角、例えば、約90°のオフセットを達成してもよい。
【0055】
ガイドカテーテル800の使用中に、ガイドカテーテル800は、本体802が血管の壁Wと接触して位置付けられ、屈曲808が中膜層Mの中への所望の進入点のほぼ反対に位置付けられるように、血管V内に位置付けられる。その後、送達部材、例えば、送達部材200(図2、15)は、ガイドカテーテル800に挿入され、送達部材200は、上記で議論されるように、ガイドカテーテル800の遠位端804を通して、内膜層Iを通して、かつ閉塞Oの近位の中膜層Mの中へ前進させられる。
【0056】
図17は、基準カテーテル900によって識別される、カテーテルの別の実施形態を図示する。ガイドカテーテル800が、単一の屈曲、すなわち、屈曲806を含むものとして、図15および16で図示されている一方で、ガイドカテーテル900は、複数の屈曲を含む。例えば、図17で図示される実施形態では、ガイドカテーテル900は、第1の方向に延在する第1の屈曲908と、第2の反対方向に延在する第2の屈曲910とを含み、それによって、約90°のオフセットを集合的に達成する。
【0057】
ガイドカテーテル900が採用される手技の特定の要件に応じて、屈曲908、910の湾曲は、任意の必要程度のオフセットを達成するように、例えば、方向および/または大きさにおいて変動させられてもよい。
【0058】
加えて、または代替として、ガイドカテーテル900は、ガイドカテーテル900のオフセットをさらに調節するように、より多くの数の屈曲、例えば、3つまたは4つの屈曲を含み得ることが想定される。
【0059】
当業者は、本明細書に具体的に説明され、添付図面に示されるデバイス、システム、および方法が、本開示の非限定的な例示的実施形態を構成し、一例示的実施形態に関連して図示または説明される、要素および特徴が、本開示の範囲から逸脱することなく、別の実施形態のものと組み合わせられ得ることを理解し得る。
【0060】
同様に、当業者は、上記の実施形態および請求項に基づいて、本開示される主題のさらなる特徴および利点を理解し得る。したがって、本開示は、具体的に示され、説明されているものによっては制限されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17