特許第6576955号(P6576955)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576955
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】共役ポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/12 20060101AFI20190909BHJP
【FI】
   C08G61/12
【請求項の数】15
【全頁数】125
(21)【出願番号】特願2016-570169(P2016-570169)
(86)(22)【出願日】2015年2月10日
(65)【公表番号】特表2017-509779(P2017-509779A)
(43)【公表日】2017年4月6日
(86)【国際出願番号】EP2015000276
(87)【国際公開番号】WO2015124272
(87)【国際公開日】20150827
【審査請求日】2018年1月16日
(31)【優先権主張番号】14000593.5
(32)【優先日】2014年2月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516250591
【氏名又は名称】イノベーションラブ、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング
【氏名又は名称原語表記】INNOVATIONLAB GMBH
(73)【特許権者】
【識別番号】511268557
【氏名又は名称】カールスルーエ インスティトゥート フュア テクノロギー
(73)【特許権者】
【識別番号】516250605
【氏名又は名称】テヒニシュ、ウニベルズィテート、ブラウンシュワイク
【氏名又は名称原語表記】TECHNISCHE UNIVERSITAET BRAUNSCHWEIG
(73)【特許権者】
【識別番号】516250616
【氏名又は名称】マックス−プランク−ゲゼルシャフト、ツール、フェーデルング、デア、ビッセンシャフテン、エー.ファオ.
【氏名又は名称原語表記】MAX−PLANCK−GESELLSCHAFT ZUR FOERDERUNG DER WISSENSCHAFTEN E.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(72)【発明者】
【氏名】マリウス、クーン
(72)【発明者】
【氏名】トルベン、アダーマン
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル、ハンブルガー
(72)【発明者】
【氏名】クラウス、ミューレン
(72)【発明者】
【氏名】ヤヌシュ、シンケ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー、コルスマン
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン、ヘーフル
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ、レンマー
【審査官】 渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/094456(WO,A1)
【文献】 特開2003−231702(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0045628(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーまたは該ポリマーを含んでなる層を150〜200℃の温度に加熱することにより、該ポリマー中のカーボネートまたはカルバメート基を部分的または完全に脱離させる方法であって、前記ポリマーが、1つ以上の、同一であるかまたは異なる、式Iで表される繰返し単位を含むものである方法
【化1】
(式中、個々の基は以下の意味を有する:
Arは、1以上の位置で付加的に置換されていてもよい、単環式もしくは多環式の、アリールもしくはヘテロアリールであり、
Spは、〜20個の炭素原子を有するアルキレンであり、これは、非置換であるか、またはF、Cl、Br、IもしくはCNでモノ−もしくは多置換されており、且つその中で1つ以上の非隣接のCH基が各々独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CR=CR00−もしくは−C≡C−で、酸素および/または硫黄原子が互いに直接結合しないように置き換えられていてもよい、
は、NRまたはOであり、
ここで、Sp−X−C(O)−OR基がAr基中の窒素原子に結合している場合、Sp−X基は単結合であってもよく、
およびR00は、各々独立に、Hまたは1〜12個の炭素原子を有するアルキルであり、そして
は、1〜40個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、
但し、式Iで表される繰り返し単位であって、その中でArが−NH−C(O)−ORでモノ−もしくは多置換されたフェニレンであり、且つポリマー骨格において、必要に応じて置換されたベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリン−1,3,6,8−テトラオン−4,9−ジイル単位に直接隣接するもの、および式Iで表される繰り返し単位であって、その中でArがピロロ[3,4−c]−ピロール−1,4−ジオン−3,6−ジイル(その中で両窒素原子は−C(O)−ORで置換されている)であるものを除く。)
【請求項2】
式Iで表される繰り返し単位が以下の式から選択されることを特徴とする、請求項に記載の方法
【化2-1】
【化2-2】
【化2-3】
(式中、RおよびRは、出現毎に同一であるかまたは異なり、各々独立に、Sp−X−C(O)−OR基であり、Sp、XおよびRは、請求項に定義した意味を有する。)
【請求項3】
Sp基が1〜20個の炭素原子を有するアルキレンであることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
基が直鎖状、分枝状もしくは環状の、1〜25の炭素原子を有するアルキルであり、これは非置換であるか、またはF、Cl、Br、IもしくはCNで、モノ−もしくは多置換されており、且つその中で1つ以上の非隣接のCH基が各々独立に、−O−、−S−、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−O−C(O)−、−NR−、−SiR00−、−CF−、−CHR=CR00−、−CY=CY−もしくは−C≡C−で、酸素および/または硫黄原子が互いに直接結合しないように置き換えられていてもよく、ここでRおよびR00は請求項で定義した意味を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法
【請求項5】
基がOまたはNHであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法
【請求項6】
−Sp−X−C(O)−O−R基が以下の式から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法
【化3】
(式中、Xは、請求項で定義した意味を有し、R1a、R1bおよびR1cは、各々独立にH、または1〜25個の炭素原子を有する、直鎖状、分枝状もしくは環状のアルキル基、または各々2〜25個の炭素原子を有する、直鎖状、分枝状もしくは環状のアルケニル基もしくはアルキニル基であり、ここで、R1a、R1bおよびR1cのうちの2つが一緒になって、各々5〜12個の炭素原子を有する環状の、アルキル基、アルケニル基もしくはアルキニル基を形成していてもよく、mは0または1〜12の整数、好ましくは2、3、4、5もしくは6であり、そして記号*は、Ar基への接続を意味する。)
【請求項7】
−Sp−X−C(O)−O−R基が以下の式から選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法
【化4-1】
【化4-2】
【化4-3】
(式中、Rは、出現毎に同一であるかまたは異なり、Hまたは直鎖状もしくは分枝状の、1〜25個の炭素原子を有するアルキル基であり、mは1〜12の整数であり、そして記号*は、Ar基への接続を意味する。)
【請求項8】
前記ポリマーが、式IIaまたはIIbで表される繰り返し単位を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法
【化6】
(式中、各々の基は以下の意味を有する:
Uは、請求項1〜7のいずれか一項で記載される式IまたはI1〜I14で表される単位であり、
Ar、Ar、Arは、各々独立に、出現毎に同一であるかまたは異なり、好ましくは5〜30個の環原子を有し、且つ必要に応じて(好ましくは1つ以上のR基で)置換された、Uとは異なる、アリールもしくはヘテロアリールであり、
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、F、Br、Cl、−CN、−NC、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(O)NR00、−C(O)X、−C(O)R、−NH、−NR00、−SH、−SR、−SOH、−SO、−OH、−NO、−CF、−SF、必要に応じて置換されているシリル基、または1〜40個の炭素原子を有し、必要に応じて置換されており、且つ必要に応じて1つ以上のヘテロ原子を含有するヒドロカルビルであり、
およびR00は、請求項で定義された通りであり、
は、ハロゲン、好ましくはF、ClまたはBrであり、
a、bおよびcは、出現毎に同一であるかまたは異なり、各々独立に、0、1または2であり、
dは、出現毎に同一であるかまたは異なり、0または1〜10の整数であり、
ここで、前記共役ポリマーは、式IIaまたはIIb(式中、bはが少なくとも1である)で表される繰り返し単位を少なくとも1つ含む。)
【請求項9】
必要に応じて置換された、単環式もしくは多環式の、アリールもしくはヘテロアリール単位を1つ以上、追加的に含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法
【請求項10】
追加の、必要に応じて置換された、単環式もしくは多環式の、アリールもしくはヘテロアリール基が、式IIIaまたはIIIbから選択されることを特徴とする、請求項に記載の方法
【化7】
(式中、Ar、Ar、Ar、a、b、cおよびdは、請求項に定義された通りであり、そしてArは、UおよびAr1〜3とは異なり、好ましくは5〜30個の環原子を有し、且つ必要に応じて(好ましくは1つ以上のR基で)置換された、アリールもしくはヘテロアリール基であり、ここで、前記共役ポリマーは、式IIIaまたはIIIb(式中、bは少なくとも1である)で表される繰り返し単位を少なくとも1つ含む。)
【請求項11】
前記ポリマーが、式IVから選択されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法
【化8】
(式中、個々の基は以下の意味を有する:
A、B、Cは、各々独立に、請求項1〜9項のいずれか一項に定義された、式I、I1〜I9、IIa、IIb、IIIaまたはIIIbで表される異なる単位であり、
Xは、>0且つ≦1であり、
Yは、≧0且つ<1であり、
Zは、≧0且つ<1であり、
x + y + zは、1であり、そして
nは、>1の整数である。)
【請求項12】
前記ポリマーが、以下の下位式から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の方法
【化9】
(式中、U、Ar、Ar、Ar、a、b、cおよびdは、出現毎に同一であるかまたは異なり、請求項で定義された意味の1つを有し、Arは、出現毎に同一であるかまたは異なり、請求項10で定義された1つの意味を有し、そしてx、y、zおよびnは、請求項11で定義された通りであり、ここで、これらのポリマーは、交互もしくはランダムコポリマーであってもよく、またここで、式IVdおよびIVeで、繰り返し単位[(Ar−(U)−(Ar−(Ar]の少なくとも1つおよび繰り返し単位[(Ar−(Ar−(Ar−(Ar]の少なくとも1つにおいて、bは少なくとも1であり、そして式IVhおよびIViで、繰り返し単位[(U)−(Ar−(U)−(Ar]の少なくとも1つおよび繰り返し単位[(U)−(Ar−(U)−(Ar]の少なくとも1つにおいて、bは1である。)
【請求項13】
Ar、Ar、ArおよびArは、出現毎に同一であるかまたは異なり、各々独立に、1,4−フェニレン、チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェン−2,5−ジイル、チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、チエノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[3,2−b]セレノフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[2,3−b]セレノフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイル、ベンゾ[1,2−b:4,5−b′] ジチオフェン−2,6−ジイル、2,2−ジチオフェン、2,2−ジセレノフェン、ジチエノ[3,2−b:2′,3′−d]シロール−5,5−ジイル、4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b′] ジチオフェン−2,6−ジイル、カルバゾール−2,7−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、インダセノ [1,2−b:5,6−b′]ジチオフェン−2,7−ジイル、ベンゾ[1″,2″:4,5;4″,5″:4′,5′]ビス(シロロ [3,2−b:3′,2′−b′ ]チオフェン)−2,7−ジイル、フェナントロ[1,10,9,8−c,d,e,f,g]カルバゾール−2,7−ジイル、ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール−4,7−ジイル、ベンゾ[2,1,3]セレナジアゾール−4,7−ジイル、ベンゾ[2,1,3]オキサジアゾール−4,7−ジイル、2H−ベンゾトリアゾール−4,7−ジイル、3,4− ジフルオロチオフェン−2,5−ジイル、チエノ[3,4−b]ピラジン−2,5−ジイル、キノキサリン−5,8−ジイル、チエノ[3,4−b]チオフェン−4,6−ジイル、チエノ[3,4−b]チオフェン−6,4−ジイル、3,6−ジチエン−2−イルピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン、もしくは[1,3]チアゾロ[5,4−d][1,3]チアゾール−2,5−ジイルからなる群から選択され、ここで上記の基は各々、非置換であってもよく、または、好ましくは請求項で定義されたRにより、モノ−もしくは多置換されていてもよいことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法
【請求項14】
前記ポリマーが、以下の式から選択されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法
【化10-1】
【化10-2】
(式中、R、およびRは、請求項で定義された意味を有し、そして、nは、請求項11で定義された意味を有する。)
【請求項15】
以下の式から選択されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
−chain−R
(式中、“chain”は、請求項11、12および14で定義された、式IV、IVa〜IVkおよびIV1〜IV7から選択されるポリマー鎖であり、RおよびRは、各々独立に、請求項でRに対して定義された意味の1つを有するか、またはH、F、Br、Cl、I、−CHCl、−CHO、−CR′=CR″、−SiR′R″R′″、−SiR′X′X″、−SiR′R″X′、−SnR′R″R′″、−BR′R″、−B(OR′)(OR″)、−B(OH)、−O−SO−R′、−C≡CH、−C≡C−SiR′もしくは−ZnX′ であり、ここでX′およびX″は、ハロゲンであり、R′、R″およびR′″は、各々独立に、請求項でRに対して定義された意味の1つを有し、そして、R′、R″およびR′″基のうちの2つは、それらが結合しているそれぞれのヘテロ原子と一緒になって、2〜20個の炭素原子を有する、シクロシリル、シクロスタニル、シクロボランもしくはシクロボロネートを形成していてもよい。)
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、熱的に脱離可能な側鎖基を含む新規の共役ポリマーに、その製造のためのモノマーおよび製法に、有機電子(OE)素子における、特に有機光起電(OPV)素子、有機光検出器(OPD)、有機発光ダイオード(OLED)、有機電界効果トランジスタ(OFET)における半導体としてのそれらの使用に、並びにこれらのポリマーを含んでなる、OE、OPV、OPD、OLEDおよびOFET素子に関する。
【0002】
近年、有機半導体材料は、より汎用性であり、且つより安価なOE素子を製造するために開発されてきている。 そのような材料は、多くの素子もしくは装置、例えばOFET、OLED、OPDもしくは OPV素子、センサ、メモリ素子および論理回路での用途が見い出されている。OE素子における有機半導体材料は典型的には、例えば1マイクロメートル未満の厚さの、薄層の形をしている。
【0003】
一つの特に重要な分野は、有機太陽電池などのOPV素子の分野である。スピンコーティング、ディップコーティングもしくはインクジェット印刷のような、溶液からの加工技術により光活性層を簡単に製造することができるので、共役ポリマーは、有機太陽電池における有機半導体としての用途が見い出されている。無機半導体層の製造に使用されているような蒸着技術に比べ、溶液からの加工がより安いコストで、且つより大きな規模で行なうことができる。ポリマー半導体を有する有機太陽電池に対しては、7%より高い効率が報告されている。
【0004】
もう一つの重要な分野は、OFETの分野である。その性能は、半導体材料の電荷キャリア移動度および電流のオン/オフ比に主に基づく。従って、理想的な半導体は、高い電荷キャリア移動度(>1×10−3cm−1−1 )と組み合わせたオフ状態において低い導電性を有することが必要である。酸化が素子の性能の低下につながるため、半導体材料は比較的耐酸化性、すなわち高イオン化ポテンシャルを有することも重要である。半導体材料に対する更なる要件は、良好な加工性であり、特に薄膜および所望のパターンの工業的規模での生産、並びに、膜の高い安定性、均一性および有機半導体層の完全性のためである。
【0005】
しかし、容易に合成され、且つ大量生産に特に適しており、優れた構造組織と膜形成特性を有しており、そして良好な電子特性、特に、高い電荷キャリア移動度、良好な加工性、特に有機溶媒への高い溶解性、および空気中での高い安定性を示す、有機半導体材料に対する必要性が依然として存在する。OPV要素での使用には、特に、光活性層によって改善された光の利用を可能にし、要素のより高い効率化を可能にする、小さなエネルギーギャップを有する半導体材料に対する必要性が存在する。OFETでの使用には、特に、高い電荷キャリア移動度と高い耐酸化性を有する半導体材料に対する必要性が存在する。
【0006】
有機半導体の有機溶媒での溶解性を改善するために、従来技術において使用された半導体は、通常、例えばアルキル基などの、一般に非共役である、溶解性を促進させる側鎖を有する、共役ポリマーである。しかし、これらの側鎖は、機能層における共役ポリマー骨格の組織および特にポリマーの結晶を崩壊させることができ、そのためポリマー分子間の電荷輸送を妨害する。また、以前に使用されていた溶解性を促進させる側鎖は、求められる溶解性の増大を往々にして示さない。また、このような溶解性を促進させる側鎖は、当該ポリマーが、機能層にさらなる層を適用するために使用される溶媒中にも同様に可溶であるという効果を有することができる。この結果、さらなる層の適用は、先に適用された機能性高分子層に損傷を与えることになる。これに対して、望ましいのは、半導体層の適用のために使用される溶剤に対しては高い溶解性を有するが、更なる層の適用のために使用される溶媒に対しては、溶解性を有しないかもしくはほんのわずかな溶解性を有する、すなわち高い直交性を有する、有機半導体材料である。
【0007】
従来技術の材料が有する上記の欠点を持たず、特に大量生産に適した方法により容易に合成することができ、且つ、特に良好な加工性、高い安定性、有機溶媒中での良好な溶解性、素子中での隣接する層に対する高い直交性、高い電荷キャリア移動度および低いエネルギーギャップを有する、有機半導体材料として使用される化合物を提供することが本発明の目的であった。更なる目的は、当業者が利用できる有機半導体材料のスペクトルの拡張であった。本発明の更なる目的は、以下の開示により当業者に明らかであろう。
【0008】
これらの目的は、以下に説明する本発明に従う共役半導体ポリマーを提供することによって達成することができることが見い出された。これらのポリマーは、溶解性を改善する、カーボネート側鎖またはカルバネート側鎖を持っており、それらの側鎖は熱的に脱離可能である。
【0009】
溶解性を改善する基を有する共役ポリマーは、従来技術において知られている。しかし、これらは脱離可能でなく、したがって、処理後の膜に残る、例えば、非常に長い、アルキルもしくはフルオロアルキル基のような基からなるか、または非常に高い温度(>300℃)でのみ脱離させることができる基からなる。
【0010】
例えば、US2011/0045628A1、J.Yu,S. Holdcroft,Macromolecules 2000,33,5073−5079、M. Helgesen,R. Sondergaard,F. C.Krebs,J.Mater.Chem.2010,20,36−60、P.D.Kazarinoff,P.J.Shamburger,F.S.Ohuchi,C.K.Luscombe,J.Mater.Chem.2010,20,3040−3045、E.Bundgaard,O.Hagemann,M. Bjerring,N.C.Nielsen,J.W.Andreasen,B.Andreasen,F.C.Krebs,Macromolecules 2012,45,3644−3646、F.C.Krebs,H. Spanggaard,Chem. Mater. 2005,17,5235−5237、J.Lee,A.−R.Han,J.Hong,J.H.Seo,J.H.Oh,C.Yang,Adv.Funct.Mater.2012,22,4128−4138、またはB.Sun,W.Hong,H.Aziz,Y.Li,J.Mater.Chem.2012,22,18950−18955は、側鎖における、熱的に脱離可能なカルボニル、カルボニルオキシ、もしくはTHPエーテル基を開示している。
【0011】
しかし、後記するスキーム中に例示されるように、このような基の脱離処理は、200℃を超え、最大310℃の非常に高い温度を必要とする。このような高い処理温度は、しかしながら、適用される半導体層または素子の他の構成要素に損傷を与えることになるので、不利である。
【化1】
【0012】
M.M.Durban,P.D.Kazarinoff,Y.Segawa,C.K.Luscombe,J.Macromolecules 2011,44,4721−4728は、1つまたは2つのカルバメート側鎖および隣接するベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリン−1,3,6,8−テトラオン−4,9−ジイル単位(当該文献中では、「ナフタリンビス(ジカルボキシイミド)」または「NDI」とも称されている)、ここでRは、2−オクチルドデシル基である、を有するフェニレン−2,5−ジイル単位を含む下記式(PNDI−1Boc、PNDI−2Boc)で表される前駆体ポリマーを開示している。
【化2】
式中、環化反応において、カルバメート側鎖基は、隣接するNDI単位と一緒になって、下記式(PNDI−1BocL、PNDI−2BocL)で表される、ポリマーまたはラダーポリマーを形成する。
【化3】
【0013】
しかしながら、カルバメート基の熱的脱離、または半導体層における更なる環化反応を必要としない、カルバメート置換された前駆体ポリマーの使用は、そこには開示されていない。
【0014】
そこに開示された方法のためには、カルボニル基(ここでは、NDIコモノマーのイミド基)のすぐ近くに、熱的に不安定なカルバメートを配置する必要がある。これは、この手法の変動幅を非常に厳しく制限する。
【0015】
US5,484,943は、ピロール環の窒素原子がまた(カルバメート基を形成する)カルボニル基で置換されていてもよい、低分子のピロロ[3,4−c]ピロール、およびプラスチックを着色するための蛍光顔料としてのそれの使用を開示している。そこにはまた、置換されたピロロ[3,4−c]ピロールが、カルボニル基の脱離についての熱的、光分解もしくは化学的処理によって、非置換の環N原子を有する、対応する化合物に変換することができ、この化合物は、より良好な色特性を有する顔料の新規な結晶形をもたらすことが述べられている。しかし、そこには、本発明に係る共役ポリマーまたはその使用は、開示も示唆もされていない。
【0016】
J.Lee 等,Adv.Funct.Mater.2012,22,4128−4138は、熱的に脱離可能なカルボニル基を有する3,6−ジチエニルジピロロピロール単位を有する、下記式で表される両極性ポリマーおよび両極性のOFET中でのそれの使用(ここでカルボニル基の脱離後、ポリマー中の遊離のNH基が水素結合を形成する)を開示している。
【化4】
しかし、共役ポリマーへのDPPの使用はほとんど、両極性電荷輸送をもたらす。純粋なn−チャネル材料として使用することができる、本発明に係る共役ポリマーは開示されていない。
【0017】
今や、驚くべきことに、溶解性を改善する、カーボネート側鎖もしくはカルバメート側鎖を有する本発明のポリマーは、200℃より低い温度であっても前記側鎖の部分的または完全な脱離を可能にする。さらに、本発明のポリマーは、従来技術から公知の材料と比較して、溶解性が改善されている。また、これらのポリマーは、側鎖の脱離、および必要に応じて熱的処理の後、より良好な結晶化およびより高次のポリマー鎖(これは、半導体層での改善された電荷輸送および有機太陽電池での使用の際のより高い効率をもたらす)を可能にすることが見い出されている。
【0018】
本発明による、ポリマー中の側鎖基の脱離可能性は、その溶解性の変動を可能にする。従って、溶液のポリマー半導体層への適用後、そのポリマーの溶解性を側鎖の脱離によって顕著に減少させることができる。これは、更なる有機層の適用のために用いられる溶媒に対する半導体層の安定性を明確に増加することができる。またさらに、有機半導体の適用に用いたのと同一もしくは類似の溶剤を、更なる有機層の適用に対して使用することができる。従って、次の層のための、直交溶剤もしくは対応する材料の使用はもはや必須ではない。これは、使用される、材料および操作の選択において大きな変動を可能にする。
【0019】
本発明のモノマーおよびポリマーは、大規模な工業的生産に特に適している。同時に、それらは、良好な加工性、有機溶剤への高い溶解度、高い電荷キャリア移動度、高い長期安定性、溶媒に対する、高い安定性および高い耐酸化性を有しており、そして有機電子OE素子、特にOPV素子に対する将来有望な材料とみなされている。
【0020】
従って、本発明は、1つ以上の、同一であるかまたは異なる繰り返し単位を含む共役ポリマーであって、少なくとも1つの繰り返し単位がカーボネート基またはカルバメート基で、好ましくはカーボネート基で、置換されており、但し、該ポリマーは、必要に応じて置換されたベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリン−1,3,6,8−テトラオン−4,9−ジイル単位に直接隣接する、1つ以上のカルバメート基で置換されたフェニレン単位を含まず、かつ該ポリマーは、ピロロ[3,4−c]−ピロール−1,4−ジオン−3,6−ジイル単位(その中の両窒素原子はカルボニル基で置換されている)を含まないことを特徴とする、共役ポリマーに関する。
【0021】
本発明はさらに、1つ以上の、同一であるかまたは異なる、式Iで表される繰返し単位を含むことを特徴とする共役ポリマーに関する。
【化5】
(式中、個々の基は以下の意味を有する:
Arは、1以上の位置で付加的に置換されていてもよい、単環式もしくは多環式の、アリールもしくはヘテロアリールであり、
Spは、単結合、または直鎖状、分枝状および/または環状の、1〜20個の炭素原子を有するアルキレンであり、これは、非置換であるか、またはF、Cl、Br、IもしくはCNでモノ−もしくは多置換されており、且つその中で1つ以上の非隣接のCH基が各々独立に、−O−、−S−、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−NR−、−SiR00−、−CF−、−CHR=CR00−、−CY=CY−もしくは−C≡C−で、酸素および/または硫黄原子が互いに直接結合しないように置き換えられていてもよい、
は、NRまたはO、好ましくはOであり、
ここで、Sp−X−C(O)−OR基がAr基中の窒素原子に結合している場合、Sp−X基は単結合であってもよく、
は、1〜40個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、
およびYは、各々独立に、H、F、ClまたはCNであり、
およびR00は、各々独立に、Hまたは1〜12個の炭素原子を有するアルキルであり、
但し、式Iで表される繰り返し単位であって、その中でArが−NH−C(O)−ORでモノ−もしくは多置換されたフェニレンであり、且つポリマー骨格において、必要に応じて置換されたベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリン−1,3,6,8−テトラオン−4,9−ジイル単位に直接隣接するもの、および式Iで表される繰り返し単位であって、その中でArがピロロ[3,4−c]−ピロール−1,4−ジオン−3,6−ジイル(その中で両窒素原子は−C(O)−ORで置換されている)であるものを除く。)
【0022】
本発明はさらに、カーボネート基またはカルバメート基で、好ましくは、カーボネート基で置換された1つ以上の繰り返し単位を含み、また、好ましくは、式Iで表される繰り返し単位から選択され、また、必要に応じて置換された、1つ以上の、単環式もしくは多環式の、アリールもしくはヘテロアリール単位を付加的に含有している共役ポリマーに関するものである。
【0023】
本発明はさらに、ポリマーもしくはポリマーを含んでなる層を、≦200℃の温度に加熱することにより、前記および後記するような、ポリマーのカーボネート基もしくはカルボネート基を部分的または完全に脱離させる方法に関し、また、この方法によって得られるポリマーに関する。
【0024】
本発明はさらに、前記および後記するような、ポリマーのカルバメートおよびカーボネート基を、好ましくは、熱的または化学的脱離によって、脱離させることにより得られるポリマーに関する。
【0025】
本発明はさらに、式Iで表される単位および前記および後記するような、ポリマーの製造に適した、1つ以上の反応性基を含むモノマーに関する。
【0026】
本発明はさらに、半導体として、例えば、電子供与体もしくはp型半導体として、または電子受容体もしくはn型半導体として、本発明に係るポリマーを使用することに関する。
【0027】
本発明はさらに、半導体材料としての、好ましくは、有機電子素子における電子供与体または有機電子素子の構成要素として本発明に係るポリマーを使用することに関する。
【0028】
本発明はさらに、有機電子素子における発光材料または有機電子素子の構成要素として本発明に係るポリマーを使用することに関する。
【0029】
本発明はさらに、電子供与性を有する本発明に係るポリマーと、電子受容性を有する、1つ以上の付加的な、化合物またはポリマーとを含んでなる、半導体および/または発光材料に、有機電子素子に、または有機電子素子の構成要素に関する。
【0030】
本発明はさらに、電子受容性を有する本発明に係るポリマーと、電子供与性を有する、1つ以上の付加的な、化合物またはポリマーとを含んでなる、半導体および/または発光材料に、有機電子素子に、または有機電子素子の構成要素に関する。
【0031】
本発明はさらに、電子供与性を有する本発明に係る、1つ以上のポリマーと、電子受容性を有する本発明に係る、1つ以上のポリマーとを含んでなる、半導体および/または発光材料に、有機電子素子に、または有機電子素子の構成要素に関する。
【0032】
本発明はさらに、本発明に係る、1つ以上のポリマーと、好ましくは、半導体、電荷輸送、正孔/電子輸送、正孔/電子遮断、導電、光導電もしくは発光の特性を有する、化合物およびポリマーから選択される、1つ以上の付加的な化合物またはポリマーとを含んでなる、混合物またはポリマーブレンドに関する。
【0033】
本発明はさらに、本発明に係る、電子供与性を有する1つ以上のポリマーと、電子供与体およびn型有機半導体から選ばれた、好ましくは、フラーレンおよび置換されたフラーレンからなる群から選択ばれた、1つ以上の付加的な化合物とを含んでなる、混合物またはポリマーブレンドに関する。
【0034】
本発明はさらに、本発明に係る、ポリマー、混合物もしくはポリマーブレンドの1つ以上と、好ましくは有機溶剤から選択される、溶剤の1つ以上とを含んでなる調合物に関する。
【0035】
本発明はさらに、本発明に係る、ポリマー、調合物、混合物およびポリマーブレンドの、電荷輸送材料、半導体材料、導電性材料、光導電性材料もしくは発光材料としての、好ましくは、光学、電気光学、電子、エレクトロルミネッセンスもしくはフォトルミネッセンス特性を有する素子における、そのような素子の構成要素における、またはそのような素子を具備してなる製品における、使用に関する。
【0036】
本発明はさらに、本発明に係る、ポリマー、調合物、混合物またはポリマーブレンドを含んでなる、電荷輸送材料、半導体材料、導電性材料、光導電性材料または発光材料に関する。
【0037】
本発明はさらに、本発明に係る、ポリマー、調合物、混合物またはポリマーブレンドを含んでなる、光学、電気光学、電子、エレクトロルミネッセンスもしくはフォトルミネッセンス素子、そのような素子の構成要素、またはそのような素子を具備してなる製品に関する。
【0038】
光学、電気光学、電子、エレクトロルミネッセンスおよびフォトルミネッセンス素子は、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機発光ダイオード(OLED)、有機発光トランジスタ(OLET)、有機光起電力素子(OPV)、有機光検出器(OPD)、有機太陽電池、ショットキーダイオード、レーザーダイオード、および有機光導電体を含む(但し、これらに限定されない)。
【0039】
特に好ましいのは、OFET、OPV素子、有機太陽電池およびOPDであり、特に光活性層中の有機半導体がバルクヘテロ接合または「BHJ」(BHJ−OPV)を形成している、OPV素子および有機太陽電池である。
【0040】
本発明の素子の構成要素は、電荷注入層、電荷輸送層、中間層、平坦化層、帯電防止フィルム、ポリマー電解質膜(PEM)、導電性基板、導電性パターンを含む(但し、これらに限定されない)。
【0041】
本発明の素子を具備してなる製品は、集積回路(IC),キャパシタ、RFIDタグ(RFID=電波識別)、またはこれらを具備してなる、セキュリティラベルもしくはセキュリティ装置、フラットディスプレースクリーン、ディスプレースクリーン用バックライト、電子写真装置、有機メモリー装置、センサー装置、バイオセンサーおよびバイオチップを含む(但し、これらに限定されない)。
【0042】
本発明はさらに、本発明に係る、ポリマー、調合物、混合物、もしくはポリマーブレンドの、電池における、またはDNA配列の検出および識別のための、構成要素もしくは装置における使用に関する。
【0043】
図1a−cは、実施例3.2における、熱処理前(1a)、熱処理後(1b)およびトルエンでのリンス後(1c)の、ポリマーの層のトポグラフィーを示す。
【0044】
図2は、実施例3.2に係るポリマーを含んでなるOLEDの、熱処理の前と後における、発光スペクトル(2a)および色軌跡(color locus)(2b)を示す。
【0045】
図3a〜dは、実施例3.2に従うポリマーをエミッタとして含んでなるOLEDの光電子特性を示す。
【0046】
図4は、熱処理の前(溶解性)と後(不溶性)における、6 Vの電圧での実施例3.3に従うポリマーのエレクトロルミネセンススペクトルの比較を示す。
【0047】
図5は、実施例3.3に従うポリマーをエミッタとして含んでなるOLEDの光電子特性を示す。
【0048】
図6は、供与体としての、実施例3.1に従うポリマーと、受容体としてのPC60BMとの混合物を含んでなる光活性層を有する有機太陽電池のUI特性を示す。
【0049】
図7は、実施例4.7〜4.9に従う、トップゲート/ボトムコンタクト型OFETの概略構成を、例として示す。
【0050】
図8a、8b、9a、9b、10aおよび10bは、実施例4.7〜4.9に従うOFETのTFT伝達特性を示す。
【0051】
本発明のモノマーおよびポリマーは、容易に合成され、例えば、低いエネルギーギャップ、高い電荷キャリア移動度、有機溶媒中での高い溶解性、素子の製造における良好な加工性、電子素子での、高い耐酸化性および長寿命のようないくつかの有利な特性を有する。
【0052】
カーボネートもしくはカルバメート側鎖は、通常の有機溶媒中でのポリマーの溶解度を増加させ、このことで材料を溶液から簡便に処理することを可能にする。
【0053】
カーボネートもしくはカルバメート側鎖は、溶液からのポリマーの加工後、例えば、薄層の態様で、熱的に脱離させることができる。これは、例えば、その後の追加層の適用のために用いられる溶剤に対するポリマー層の安定性を増加させる。さらに、ポリマーの結晶性が向上し、固体状態でのポリマー鎖の改善されたππスタッキングが可能とされ、これにより、より高い電荷キャリア移動度という形で、改善された電荷輸送特性がもたらされる。
【0054】
本発明のポリマーにおける、溶解性を改善する基は、従来の溶媒中で、アルキル基のような標準的な基と比較して、より良好な溶解性を示す。これは、ポリマーのM値に基づく、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって明らかにされた。これは、異なる溶媒(アセトンとクロロホルムとの間での比較)中で、本発明のポリマ−と共に、例えば、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)のような標準的なポリマーを分析することによって行われた。
【0055】
用語「ポリマー」は一般的に、その構造が本質的に、低い相対分子量の分子から、実際にまたは概念的に、誘導された単位の多くの繰り返しを含んでなる、高い相対分子量の分子をいう(PAC,1996,68,2291)。用語「オリゴマー」は一般的に、その構造が本質的に、低い相対分子量の分子から、実際にまたは概念的に、誘導された単位の少数を含んでなる、中間的な相対分子量の分子をいう(PAC,1996,68,2291)。本発明に従った好ましい定義では、ポリマーは、>1、好ましくは≧5の繰り返し単位を有する化合物であり、そして、オリゴマーは>1且つ<10、好ましくは<5の繰り返し単位を有する化合物である。
【0056】
特に断りのない限り、報告される分子量は、テトラヒドロフラン、トリクロロメタン(TCM、クロロホルム)、クロロベンゼンもしくは1,2,4−トリクロロベンゼン等の溶出溶媒中でポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される、数平均分子量M、または重量平均分子量Mである。特に断りのない限り、トリクロロメタンは溶媒として使用される。重合度(n)は、n=M/Mによって与えられる数平均重合度をいい、ここで、Mは、J.M.G.Cowie,Polymers:Chemistry & Physics of Modern Materials, Blackie,Glasgow,1991に記載されているような、個々の繰り返し単位の分子量である。
【0057】
上記および下記で、例えば式Iおよびその下位式のような、ポリマーまたは繰り返し単位を示す式において、アスタリスク(*)は、ポリマー鎖中の隣接する繰り返し単位への接続を示す。
【0058】
用語「繰り返し単位」および「モノマー単位」は、その繰り返しが、通常の高分子、通常のオリゴマ―分子、通常のブロックまたは通常の鎖を構成する、最小の構成単位である、構成繰り返し単位(CRU)をいう。用語「単位」は、それ自体が繰り返し単位であってもよく、または他の単位と一緒になって1つの繰り返し単位を形成していてもよい、構造単位をいう。
【0059】
用語「脱離基」は、特定の反応に関与することによって、分子の残余もしくは主要部分といわれる部分の原子から分離される、原子または基(荷電または非荷電)をいう(PAC,1994,66,1134も参照)。
【0060】
用語「共役した」は、ヘテロ原子で置き換えられていてもよい、SP混成(または場合によっては、また、SP混成)を有する炭素原子を主として含む化合物をいう。最も単純な場合、これは、例えばC−Cの、単およびは二重(もしくは三重)結合を交互に有する化合物であり、しかしまた、1,3−フェニレンなどの単位を有する化合物をも含む。この文脈における「主として」は、共役の中断をもたらしうる、自然に(自動的に)発生する欠陥を有する化合物を意味し、これは同様に共役化合物とみなされる。
【0061】
用語「供与体」および「受容体」は、それぞれ、電子供与体および受容体をいう。用語「電子供与体」は、別の化合物または基に、電子を放出する、化合物または基をいう。用語「電子受容体」は、別の化合物または基から、電子を受け取る、化合物または基をいう。(参照:米国環境保護庁、2009年、技術用語集)http://www.epa.gov/oust/cat/TUMGLOSS.HTM
【0062】
用語「n型」または「n型半導体」は、導電性電子の密度が、移動性正孔の密度よりも高い外因性半導体をいう。用語「p型」又は「p型半導体」は、導電性電子の密度が、移動性正孔の密度よりも低い外因性半導体をいう(参照:J.Thewlis,Concise Dictionary of Physics, Pergamon Press, Oxford, 1973)。
【0063】
用語「ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリン−1,3,6,8−テトラオン−4,9−ジイル」は、下記式(「NDI」)で表される基をいう。
【化6】
(式中、Rは置換基を表し、例えば、前記および後記するような、カルビルもしくはヒドロカルビル基、または水素原子である。)
【0064】
用語「ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン−3,6−ジイル]」は、下記式で表される基をいう。
【化7】
(式中、Rは置換基を表し、例えば、前記および後記するような、カルビルもしくはヒドロカルビル基、または水素原子である。)
【0065】
前記および後記で使用される用語「カルビル基」は、少なくとも1つの炭素原子を、全く非炭素原子を有することなく(例えば、−C≡C−)、あるいは少なくとも1つの、例えばN、O、S、P、Si、Se、As、TeもしくはGeのような非炭素原子と必要に応じて組み合わせて(例えば、カルボニル)、含んでいる、任意の一価もしくは多価の有機分子基を表す。用語「ヒドロカルビル基」は、1個以上の水素原子および必要に応じて1個以上のヘテロ原子、例えば、N、O、S、P、Si、Se、As、TeもしくはGeを付加的に含むカルビル基をいう。
【0066】
3個以上の炭素原子の鎖を有する、カルビルもしくはヒドロカルビル基はまた、直鎖状、分枝状および/または環状(スピロおよび/または縮合環を含む)であってもよい。
【0067】
好ましいカルビルおよびヒドロカルビル基は、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシおよびアルコキシカルボニルオキシ(これらの各々は、必要に応じて置換されており、且つ1〜40個、好ましくは1〜25個、非常に好ましくは1〜18個の炭素原子を有する);さらに、必要に応じて置換されており、6〜40個、好ましくは6〜25個の炭素原子を有する、アリールまたはアリールオキシ;さらに、アルキルアリールオキシ、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシおよびアリールオキシカルボニルオキシ(これらの各々は、必要に応じて置換されており、且つ6〜40個、好ましくは7〜40個の炭素原子を有する)であり、ここで、これらの基のすべては、好ましくは、N、O、S、P、Si、Se、As、TeおよびGeから選択された1個以上のヘテロ原子を必要に応じて含む。
【0068】
カルビルもしくはヒドロカルビル基は、飽和もしくは不飽和の非環式基、または飽和もしくは不飽和の環式基であってもよい。不飽和の、非環式もしくは環式基は、特にアリール、アルケニルおよびアルキニル基(特に、エチニル)が好ましい。非環式のC−C40の、カルビルもしくはヒドロカルビル基は、直鎖状もしくは分枝状であってもよい。C−C40の、カルビルもしくはヒドロカルビル基としては、例えば、C−C40のアルキル基、C−C40の、アルコキシもしくはオキサアルキル基、C−C40のアルケニル基、C−C40のアルキニル基、C−C40のアリル基、C−C40のアルキルジエニル基、C−C40のポリエニル基、C−C18のアリール基、C−C40のアルキルアリール基、C−C40のアリールアルキル基、C−C40のシクロアルキル基、C−C40のシクロアルケニル基などが挙げられる。前述の基の中で好ましいのは、C−C20のアルキル基、C−C20のアルケニル基、C−C20のアルキニル基、C−C20のアリル基、C−C20のアルキルジエニル基、C−C12のアリール基、またはC−C20のポリエニル基である。同様に挙げられるのが、炭素原子を有する基と、ヘテロ原子を有する基とを組み合わせたもの、例えば、シリル基で、好ましくはトリアルキルシリル基で、置換されたアルキニル基、好ましくはエチニルである。
【0069】
アリールおよびヘテロアリールは、好ましくは、4〜30の原子を有する、一価の、二環式もしくは三環式の、芳香族もしくはヘテロ芳香族基であり、これはまた、縮合環を含んでいてもよく、そして、必要に応じて、上記で定義した1個以上の基Lによって置換されている。
【0070】
特に好ましい置換基Lは、ハロゲン、特に好ましくはF、またはアルキル、アルコキシ、オキサアルキル、チオアルキル、1〜12個の炭素原子を有する、フルオロアルキルおよびフルオロアルコキシ、または2〜12個の炭素原子を有する、アルケニルもしくはアルキニルから選択される。
【0071】
特に好ましいアリールおよびヘテロアリール基は、フェニルであり、その中で、1つ以上のCH基は付加的に、N、ナフタリン、チオフェン、セレノフェン、チエノチオフェン、ジチエノチオフェン、フルオレンおよびオキサゾール(これらの各々は、非置換であるか、または上記で定義されているようなLにより、モノ−もしく多置換されていてもよい)で置き換えられてもよい。非常に好ましい環は、ピロール、好ましくはN−ピロール、ピリジン、好ましくは2−もしくは3−ピリジン、ピリミジン、チオフェン、好ましくは2−チオフェン、セレノフェン、好ましくは2−セレノフェン、チエノ[3,2−b]チオフェン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾールおよびオキサジアゾール、より好ましくはチオフェン−2−イル、5位が置換されたチオフェン−2−イル、またはピリジン−3−イル(これらの各々は、非置換であるか、または上記で定義されているようなLにより、モノ−もしく多置換されていてもよい)である。
【0072】
アルキルまたはアルコキシ(すなわち、ここではCH末端基が−O−で置き換えられている)基は、直鎖状または分枝状であってもよい。それは、好ましくは、直鎖状であって、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を有し、従って、好ましくはエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、またはオクトキシであり、また付加的に、メチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデコキシである。
【0073】
その中で1つ以上のCH基が−CH=CH−で置き換えられているアルケニル基は、直鎖状または分枝状であってもよい。それは、好ましくは直鎖状であって、2〜10個の炭素原子を有しており、従って、好ましくはビニル、1−もしくは2−プロペニル、1−、2−もしくは3−ブテニル、1−、2−、3−もしくは4−ペンテニル、1−、2−、3−、4−もしくは5−ヘキセニル、1−、2−、3−、4−、5−もしくは6−ヘプテニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−オクテニル、1−、2−、3−、4−、5−、6− 、7−もしくは8−ノネニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−もしくは9−デセニルである。
【0074】
特に好ましいアルケニル基は、C−Cの1E−アルケニル、C−Cの3E−アルケニル、C−Cの4−アルケニル、C−Cの5−アルケニル、およびCの6−アルケニル、特に、C−Cの1E−アルケニル、C−Cの3E−アルケニルおよびC−Cの4−アルケニルである。特に好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニルなどである。最大5までの炭素原子を有する基が一般的に好ましい。
【0075】
オキサアルキル基(すなわち、ここでは1つのCH基が−O−で置き換えられている)は、好ましくは、例えば直鎖状の2−オキサプロピル(=メトキシメチル)、2−(=エトキシメチル)もしくは3−オキサブチル(=2−メトキシエチル)、2−、 3−もしくは4−オキサペンチル、2−、3−、4−もしくは5− オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−もしくは6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、 6−もしくは7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−オキサノニル、または2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−もしくは9−オキサデシルである。オキサアルキル(すなわち、ここでは1つのCH基が−O−で置き換えられている)は、好ましくは、例えば直鎖状の、2−オキサプロピル(=メトキシメチル)、2−(=エトキシメチル)もしくは3−オキサブチル(= 2−メトキシエチル)、2−、 3−もしくは4−オキサペンチル、2−、3−、4−もしくは5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−もしくは6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、 6−もしくは7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−オキサノニル、または2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−もしくは9−オキサデシルである。
【0076】
その中で1つのCH基が−O−で、また1つが−CO−で置き換えられているアルキル基において、これらの基は、好ましくは隣接している。従って、これらの基は一緒になって、カルボニルオキシ基−CO−O−またはオキシカルボニル基−O−CO−を形成する。好ましくは、この基は、直鎖状であり、2〜6個の炭素原子を有する。従って、それは、好ましくは、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセチルオキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセチルオキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、3−アセチルオキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセチルオキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピル、4−(メトキシカルボニル)ブチルである。
【0077】
その中で2つ以上のCH基が−O−および/または−COO−で置き換えられているアルキル基は、直鎖状または分枝状であってもよい。それは、好ましくは、直鎖状であり、3〜12個の炭素原子を有する。それは、従って、好ましくはビスカルボキシメチル、2,2−ビスカルボキシエチル、3,3−ビスカルボキシプロピル、4,4−ビスカルボキシブチル、5,5−ビスカルボキシペンチル、6,6−ビスカルボキシヘキシル、7,7−ビスカルボキシヘプチル、8,8−ビスカルボキシオクチル、9,9−ビスカルボキシノニル、10,10−ビスカルボキシデシル、ビス(メトキシカルボニル)メチル、2,2−ビス(メトキシカルボニル)エチル、3,3−ビス(メトキシカルボニル)プロピル、4,4−ビス(メトキシカルボニル)ブチル、5,5−ビス(メトキシカルボニル)ペンチル、6,6−ビス(メトキシカルボニル)ヘキシル、7,7−ビス(メトキシカルボニル)ヘプチル、8,8−ビス(メトキシカルボニル)オクチル、ビス(エトキシカルボニル)メチル、2,2−ビス(エトキシカルボニル)エチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)プロピル、4,4−ビス(エトキシカルボニル)ブチル、5,5−ビス(エトキシカルボニル)ヘキシルである。
【0078】
チオアルキル基(すなわち、ここでは1つのCH基が−S−で置き換えられている)は好ましくは、直鎖状の、チオメチル(−SCH)、1−チオエチル(−SCHCH)、1−チオプロピル(=−SCHCHCH)、1−(チオブチル)、1−(チオペンチル)、1−(チオヘキシル)、1−(チオヘプチル)、1−(チオオクチル)、1−(チオノニル)、1−(チオデシル)、1−(チオウンデシル)または1−(チオドデシル)であり、ここで、好ましくは、SP混成ビニル炭素原子に隣接するCH基が置き換えられている。
【0079】
フルオロアルキル基は、好ましくは直鎖状のパーフルオロアルキルC2i+1(ここで、iは1〜15の整数である)であり、特に、CF、C、C、C、C11、C13、C15またはC17、非常に好ましくは、C13である。
【0080】
上記の、アルキル、アルコキシ、アルケニル、オキサアルキル、チオアルキル、カルボニルおよびカルボニルオキシ基は、アキラルもしくはキラル基であってもよい。特に好ましいキラル基は、例えば、2−ブチル(=1−メチルプロピル)、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、特に、2−メチルブチル、2−メチルブトキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−エチルヘキソキシ、1−メチルヘキソキシ、2−オクチルオキシ、2−オキサ−3−メチルブチル、3−オキサ−4−メチルペンチル、4−メチルヘキシル、2−ヘキシル、2−オクチル、2−ノニル、2−デシル、2−ドデシル、6−メトキシオクトキシ、6−メチルオクトキシ、6− メチルオクタノルオキシ、5−メチルヘプチルオキシカルボニル、2−メチルブチリルオキシ、3−メチルバレロイルオキシ、4−メチルヘキサノイルオキシ、2−クロロプロピオニルオキシ、2−クロロ−3− メチルブチリルオキシ、2−クロロ−4−メチルバレリルオキシ、2−クロロ−3−メチルバレリルオキシ、2−メチル−3−オキサペンチル、2−メチル−3−オキサヘキシル、1−メトキシプロピル−2−オキシ、1−エトキシプロピル−2−オキシ、 1−プロポキシプロピル−2−オキシ、1−ブトキシプロピル−2−オキシ、2−フルオロオクチルオキシ、2−フルオロデシルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル、2−フルオロメチルオクチルオキシである。次のものが非常に好適である:2−ヘキシル、2−オクチル、2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−ヘキシル、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルおよび1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシ。
【0081】
好ましいアキラル分枝状基は、イソプロピル、イソブチル(=メチルプロピル)、イソペンチル(=3−メチルブチル)、tert−ブチル、イソプロポキシ、2−メチルプロポキシおよび3−メチルブトキシである。
【0082】
本発明のさらに好ましい実施態様では、1〜30個の炭素原子を有する、一級、二級もしくは三級の、アルキルもしくはアルコキシ(ここで、1つ以上の水素原子は、必要に応じてFで置き換えられている)から選択されるアルキルおよびアルコキシ基、またはアリール、アリールオキシおよびヘテロアリールオキシ(これは、必要に応じてアルキル化もしくはアルコキシ化されており、そして4〜30個の環原子を有する)が示される。この種の非常に好ましい基は、下記式からなる群から選択される。
【化8】
(式中、「ALK」は、必要に応じてフッ素化されており、好ましくは、直鎖状の、1〜20個、好ましくは1〜12個の炭素原子を有する、そして三級基の場合、非常に好ましくは1〜9個の炭素原子を有する、アルキルもしくはアルコキシであり、並びに点線は、それによってこれらの基が環に接続している結合を示している。これらの基の中で特に好ましいのは、すべてのALK成分基が同一であるものである。
【0083】
−CY=CY−は、好ましくは−CH=CH−、−CF=CF−または−CH=C(CN)−である。
【0084】
ハロゲンはF、Cl、BrまたはIであり、好ましくはF、ClまたはBrである。
【0085】
本発明の共役ポリマーは、好ましくは、必要に応じて置換されたピロロ[3,4−c]ピロール−1、4−ジオン−3,6−ジイルから選択される繰り返し単位を含まない。
【0086】
本発明の共役ポリマーは、好ましくは、1つ以上のカルバメート基で置換されたフェニレン、さらに好ましくは、必要に応じて置換されたフェニレン単位、から選択される繰り返し単位を含まない。
【0087】
好ましい実施態様は、その中でカーボネート基もしくはカルバメート基で置換された繰り返し単位、または式Iで表される単位が、好ましくは電子供与性を有する、下記式からなる群から選択される、本発明の共役ポリマーを対象とする。
【化9-1】
【化9-2】
【化9-3】
【化9-4】
【化9-5】
【化9-6】
【化9-7】
【化9-8】
【化9-9】
【化9-10】
【化9-11】
(式中、X11およびX12基のうちの1つは、Sであり、他方はSeであり、並びにR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は、各々独立に、Hまたは式Iで定義されたRであり、そしてここで、1つ以上の、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18基は、式Iで定義された−Sp−X −C(O)−OR基である。)
【0088】
好ましい実施態様は、その中でカーボネート基もしくはカルバメート基で置換された繰り返し単位、または式Iで表される単位が、好ましくは電子受容性を有する、下記式からなる群から選択される、本発明の共役ポリマーを対象とする。
【化10-1】
【化10-2】
【化10-3】
【化10-4】
【化10-5】
【化10-6】
【化10-7】
(式中、X11およびX12基のうちの1つは、Sであり、他方はSeであり、並びにR11、R12、R13、R14およびR15は、各々独立に、Hまたは式Iで定義されたRであり、そしてここで、1つ以上の、R11、R12、R13、R14およびR15基は、式Iで定義された−Sp−X −C(O)−OR基である。)
【0089】
特に好ましい、式Iで表される繰り返し単位は、下記の下位式から選択される。
【化11-1】
【化11-2】
(式中、RおよびRは、出現毎に同一であるかまたは異なり、各々独立に、−Sp−X−C(O)−O−R基であり、Sp、XおよびRは、前記または後記で定義した意味を有する。)
【0090】
式Iおよびその下位式中の、X基は、好ましくはOまたはNHであり、より好ましくはOである。
【0091】
式Iおよびその下位式中の、Sp基は、好ましくは、1〜20個、より好ましくは1〜8個の炭素原子を有するアルキレンであり、最も好ましくはメチレン、エチレンまたはプロピレンである。
【0092】
式Iおよびその下位式中の、R基は、好ましくは、直鎖状、分枝状もしくは環状の、1〜25の炭素原子を有するアルキルであり、これは非置換であるか、またはF、Cl、Br、IもしくはCNで、モノ−もしくは多置換されており、且つその中で1つ以上の非隣接のCH基が各々独立に、−O−、−S−、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−O−C(O)−、−NR−、−SiR00−、−CF−、−CHR=CR00−、−CY=CY−もしくは−C≡C−で、酸素および/または硫黄原子が互いに直接結合しないように置き換えられていてもよく、ここでRおよびR00は式Iで定義した意味を有する。
【0093】
より好ましくは、Rは、直鎖状、分枝状および/または環状であってもよい、1〜25個、好ましくは1〜20個の炭素原子を有する、アルキルまたはアルケニルである。
【0094】
好ましい−Sp−X−C(O)−O−R基は、下記式Sから選択される。
【化12】
(式中、Xは、前記または後記で定義した意味を有し、R1b、R1bおよびR1cは、各々独立に、H、または直鎖状、分枝状もしくは環状の、1〜25個の炭素原子を有するアルキル基、または直鎖状、分枝状もしくは環状の、各々2〜25個の炭素原子を有する、アルケニル基もしくはアルキニル基であり、ここで、R1a、R1bおよびR1cのうちの2つが一緒になって、環状の、各々5〜12個の炭素原子を有する、アルキル基、アルケニル基もしくはアルキニル基を形成していてもよく、mは0または1〜12の整数、好ましくは2、3、4、5もしくは6であり、そして記号*は、Ar基への接続を意味する。)好ましくは、R1a、R1bおよびR1cのうちの、少なくとも2つ、より好ましくは3つが、Hとは異なる。
【0095】
特に好ましい−Sp−X−C(O)−O−R基は、下記の下位式から選択される。
【化13-1】
【化13-2】
(式中、Rは、出現毎に同一であるかまたは異なり、Hまたは直鎖状もしくは分枝状の、1〜25個の炭素原子を有するアルキル基であり、mは1〜12の整数、好ましくは2、3、4、5または6であり、そして記号*は、Ar基への接続を意味する。)好ましくは、Rは、Hとは異なる。
【0096】
本発明のさらなる好ましい実施態様は、Ar基が1つ以上の窒素原子を含み、側鎖のSp−X−C(O)−O−Rが該Ar基中のこれらの窒素原子の1つに結合している、式Iで表される繰り返し単位、例えば式I4、I10、またはI11で表される繰り返し単位を対象とする。特に好ましい実施態様では、これらの繰り返し単位において、Ar基中に存在し、そして側鎖に対する結合点として機能する窒素原子が、−C(O)−ORと一緒になってカルバメート基を形成するように、Sp−X基は単結合である。
【0097】
この好ましい実施態様の特に好ましい繰り返し単位は、下記式から選択されるものである。
【化14】
(式中、R4aは、直鎖状もしくは分枝状の、1〜25個の炭素原子を有するアルキル基である。)好ましいR4a基は、2−メチルヘキシルおよび9−メチルヘプタデシルである。
【0098】
本発明に従う好ましいポリマーは、式IIaまたはIIbで表される、1つ以上の繰り返し単位を含む。
【化15】
(式中、各々の基は以下の意味を有する:
Uは、出現毎に同一であるかまたは異なり、式Iまたはその下位式I1〜I14で表される単位であり、
Ar、Ar、Arは、各々独立に、出現毎に同一であるかまたは異なり、好ましくは5〜30個の環原子を有し、且つ必要に応じて(好ましくは1つ以上のR基で)置換された、Uとは異なる、アリールもしくはヘテロアリールであり、
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、F、Br、Cl、−CN、−NC、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(O)NR00、−C(O)X、−C(O)R、−NH、−NR00、−SH、−SR、−SOH、−SO、−OH、−NO、−CF、−SF、必要に応じて置換されているシリル基、または1〜40個の炭素原子を有し、必要に応じて置換されており、且つ必要に応じて1つ以上のヘテロ原子を含有するヒドロカルビルであり、
およびR00は、式Iで定義された通りであり、
は、ハロゲン、好ましくはF、ClまたはBrであり、
a、bおよびcは、出現毎に同一であるかまたは異なり、各々独立に、0、1または2であり、
dは、出現毎に同一であるかまたは異なり、0または1〜10の整数であり、
ここで、本発明のポリマーは、式IIaまたはIIb(式中、bは少なくとも1である)で表される繰り返し単位を少なくとも1つ含む。)
【0099】
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、好ましくは、H、直鎖状、分枝状もしくは環状の、1〜30個の炭素原子を有するアルキル基(ここで、1つ以上の非隣接のCH基が各々独立に、−O−、−S−、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−O−C(O)−、−NR−、−SiR00−、−CF−、−CHR=CR00−、−CY=CY−もしくは−C≡C−で、酸素および/または硫黄原子が互いに直接結合しないように置き換えられていてもよく、また、1つ以上の水素原子はF、Cl、Br、IまたはCNに置き換えられていてもよい)であるか、または4〜20個の環原子を有し、好ましくは、前記で定義された、ハロゲンもしくはアルキルもしくはシクロアルキルによって、必要に応じて置換された、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシである。
【0100】
本発明に係るさらに好ましいポリマーは、式I、IIaまたはIIbで表される単位に加えて、必要に応じて置換された、単環式もしくは多環式の、アリールもしくはヘテロアリール単位からなる群から選択された1つ以上の繰り返し単位を含む。
【0101】
これらの追加の繰り返し単位は、好ましくは、式IIIaおよびIIIbから選択される。
【化16】
(式中、Ar、Ar、Ar、a、b、cおよびdは、式IIに定義された通りであり、そしてArは、UおよびAr1〜3とは異なり、好ましくは5〜30個の環原子を有し、且つ必要に応じて(好ましくは1つ以上のR基で)置換された、アリールもしくはヘテロアリール基であり、ここで、本発明のポリマーは、式IIIaまたはIIIb(式中、bは少なくとも1である)で表される繰り返し単位を少なくとも1つ含む。)
【0102】
特に好ましいAr、Ar、ArおよびAr基は、前記の式D1〜D110からなる群から選択され、ここでX11およびX12基のうちの1つは、Sであり、他方はSeであり、並びにR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は、各々独立に、Hまたは式Iで定義されたRである。
【0103】
さらに好ましいAr、Ar、ArおよびAr基は、前記の式A1〜A66からなる群から選択され、ここでX11およびX12基のうちの1つは、Sであり、他方はSeであり、並びにR11、R12、R13、R14およびR15は、各々独立に、Hまたは式Iで定義されたRである。
【0104】
式I中のAr、または式IIaおよびIIb中のUが、式D1〜D110からなる群から選択される場合、式IIIaおよびIIIb中のArは、好ましくは、電子受容性を有する、アリールもしくはヘテロアリール基である。より好ましくは、Arはこの場合、式A1〜A66からなる群から選択され、ここでX11およびX12基のうちの1つは、Sであり、他方はSeであり、並びにR11、R12、R13、R14、およびR15は各々独立に、Hまたは式Iで定義されたRである。
【0105】
式I中のAr、または式IIaおよびIIb中のUが、式A1〜A66からなる群から選択される場合、式IIIaおよびIIIb中のArは、好ましくは、電子供与性を有する、アリールもしくはヘテロアリール基である。より好ましくは、Arはこの場合、式D1〜D110からなる群から選択され、ここでX11およびX12基のうちの1つは、Sであり、他方はSeであり、並びにR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は各々独立に、Hまたは式Iで定義されたRである。
【0106】
本発明の共役ポリマーは、好ましくは式IVから選択される。
【化17】
(式中、個々の基は以下の意味を有する:
A、B、Cは、各々独立に、式I、I1〜I9、IIa、IIb、IIIaまたはIIIbで表される異なる単位であり、
Xは、>0且つ≦1であり、
Yは、≧0且つ<1であり、
Zは、≧0且つ<1であり、
x + y + zは、1であり、そして
nは、>1の整数である。)
【0107】
式IVで表される好ましいポリマーは、下記の下位式から選択される。
【化18】
(式中、U、Ar、Ar、Ar、a、b、cおよびdは、出現毎に同一であるかまたは異なり、式IIaで定義された意味の1つを有し、Arは、出現毎に同一であるかまたは異なり、式IIIaで定義された1つの意味を有し、そしてx、y、zおよびnは、式IVで定義された通りであり、ここで、これらのポリマーは、交互もしくはランダムコポリマーであってもよく、またここで、式IVdおよびIVeで、繰り返し単位[(Ar−(U)−(Ar−(Ar]の少なくとも1つおよび繰り返し単位[(Ar−(Ar−(Ar−(Ar]の少なくとも1つにおいて、bは少なくとも1であり、そして式IVhおよびIViで、繰り返し単位[(U)−(Ar−(U)−(Ar]の少なくとも1つおよび繰り返し単位[(U)−(Ar−(U)−(Ar]の少なくとも1つにおいて、bは1である。)
【0108】
式IVおよびIVa〜IVkで表されるポリマーにおいて、すべての繰り返し単位中のbは、好ましくは少なくとも1である。
【0109】
式IVおよびIVa〜IVkで表されるポリマーにおいて、xは好ましくは0.1〜0.9、より好ましくは0.3〜0.7である。
【0110】
本発明の好ましい実施態様では、yおよびzは、0である。本発明の好ましい実施態様では、yおよびzは、>0である。 本発明のさらに好ましい実施態様では、添え字yおよびzのうちの1つは、0であり、他方は、>0である。yまたはzが>0である、式IVおよびIVa〜 IVkで表されるポリマーにおいて、それは、好ましくは0.1〜0.9、より好ましくは0.3〜0.7である。
【0111】
本発明に係るポリマーにおいて、繰り返し単位の合計数nは、好ましくは≧5、非常に好ましくは≧10、特に好ましくは≧50であり、そして好ましくは500まで、非常に好ましくは1,000まで、特に好ましくは2,000までであり、nに対する前記の上限および下限の任意の組み合わせを含む。
【0112】
本発明のポリマーは、ホモポリマー、並びにランダムコポリマー、交互コポリマーおよびブロックコポリマーなどのコポリマー、並びにそれらの組み合わせを含む。
【0113】
特に好ましいポリマーは、下記の群から選択される。
−繰り返し単位、Uまたは(Ar−U)または(Ar−U−Ar)または(Ar−U−Ar)または(U−Ar−Ar)または(Ar−U−Ar−Ar)からなる、すなわち、繰り返し単位のすべてが同一である、ホモポリマーからなる群A、
−同一の繰り返し単位(Ar−U−Ar)および同一の繰り返し単位(Ar)から形成される、ランダムまたは交互コポリマーからなる群B、
−同一の繰り返し単位(Ar−U−Ar)および同一の繰り返し単位(Ar)から形成される、ランダムまたは交互コポリマーからなる群C、
−同一の繰り返し単位(Ar−U−Ar)および同一の繰り返し単位(Ar−Ar−Ar)から形成される、ランダムまたは交互コポリマーからなる群D
ここで、全てのこれらの基U中の、D、Ar、ArおよびArは、前記および後記の通りであり、群A、BおよびC中の、Ar、ArおよびArは、単結合とは異なる、そして群D中のArおよびAr基の1つは、単結合であってもよい。
【0114】
式IVで表される、特に好ましいポリマーは、下記の下位式から選択される。
【化19-1】
【化19-2】
【化19-3】
(式中、R、RおよびR4aは、式I1〜I14で定義された意味を有し、そして、nは、式IVで定義された意味を有する。)
【0115】
式IV、IVa〜IVkおよびVI1〜IV9で表される、好ましいポリマーは、下記の式から選択される。
−chain−R
(式中、“chain”は、上記の式IV、IVa〜IVkおよびIV1〜IV9から選択されるポリマー鎖であり、RおよびRは、各々独立に、式IIaでRに対して定義された意味の1つを有するか、またはH、F、Br、Cl、I、−CHCl、−CHO、−CR′=CR″、−SiR′R″R′″、−SiR′X′X″、−SiR′R″X′、−SnR′R″R′″、−BR′R″、−B(OR′)(OR″)、−B(OH)、−O−SO−R′、−C≡CH、−C≡C−SiR′もしくは−ZnX′ であり、ここでX′およびX″は、ハロゲンであり、R′、R″およびR′″は、各々独立に、式IでRに対して定義された意味の1つを有し、そして、R′、R″およびR′″基のうちの2つは、それらが結合しているそれぞれのヘテロ原子と一緒になって、2〜20個の炭素原子を有する、シクロシリル、シクロスタニル、シクロボランもしくはシクロボロネート基を形成していてもよい。)
【0116】
およびRは、好ましくは、H、C−C20のアルキル、C−C20のアルコキシ、C−C20のアルケニル、C−C10のフルオロアルキル、または必要に応じて置換された、C−C12のアリールもしくはC−C10のヘテロアリールであり、さらに好ましくは、H、フェニル、またはC−Cのアルキル基(例えばメチル)でモノ−もしくは多置換されていてもよいトリフェニルアミンである。
【0117】
式IV、IVa〜IVk、IV1〜IV9およびVで表されるポリマーにおいて、x、yおよびzは、単位A、BおよびCのモル比をそれぞれ意味し、そしてnは重合度または単位A、BおよびCの合計数である。これらの式は、A、BおよびCの、ブロックコポリマー、ランダムコポリマーおよび交互コポリマーを含み、そして、x>0且つy=z=0の場合、Aのホモポリマーも含む。
【0118】
本発明は、さらに式VIaまたはVIbで表されるモノマーを提供する。
【化20】
(式中、U、Ar、Ar、aおよびbは、式IIaで定義された意味を有し、RおよびRは、各々独立に、Cl、Br、I、O−トシレート、O−トリフレート、O−メシレート、O−ノナフレート、−SiMeF、−SiMeF、−O−SO、 −B(OZ、−CZ=C(Z、−C≡CH、−C≡CSi(Z、−ZnXおよび−Sn(Z、からなる群から選択され、ここで、Xは、ハロゲン、好ましくはCl、BrもしくはIであり、Z1〜4は、 必要に応じて置換されていてもよい、アルキルおよびアリールからなる群から選択され、そして2つのZ基は、ホウ素および酸素原子と一緒になって、2〜20個の炭素原子を有するシクロボロネート基を形成していてもよく、但し、aおよびcが0であり、且つUがカルバメート基で置換されたフェニレン−2,5−ジイルである、式VIaで表されるモノマーを除く。)
【0119】
特に好ましいのは、下記の式から選択されるモノマーである。
【化21】
(式中、U、Ar、Ar、RおよびRは、式VIaに定義した通りである。)
【0120】
特に好ましいのは、式I、IIa、IIb、IIIa、IIIb、IVa、IVb、V、VIaおよびVIbで表される、並びに以下の好ましい実施態様およびその組み合わせに従う、それらの下位式で表される、繰返し単位、ポリマーおよびモノマーである。
【0121】
−yは、>0且つ<1であり、そしてzは、0である。
−yは、>0且つ<1であり、そしてzは、>0且つ<1である。
−nは、少なくとも5、好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも50であり、且つ最大2000まで、好ましくは500までである。
−Mは、少なくとも5000、好ましくは少なくとも8000、より好ましくは少なくとも10000であり、且つ好ましくは最大300000まで、より好ましくは100000までである。
【0122】
−Mは、少なくとも5000、好ましくは少なくとも8000、より好ましくは少なくとも10000であり、且つ最大300000まで、好ましくは100000までである。
−Xは、OまたはNHであり、より好ましくはOである。
−SPは、1〜20個、より好ましくは1〜8個の炭素原子を有するアルキレン、最も好ましくは、メチレン、エチレン、プロピレンまたはヘキシレンである。
【0123】
−ArおよびArは、出現毎に同一であるかまたは異なり、各々独立に、1,4−フェニレン、チオフェン−2,5−ジイル、チアゾール−2,5−ジイル、セレノフェン−2,5−ジイル、フラン−2,5−ジイル、チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、チエノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[3,2−b]セレノフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[2,3−b]セレノフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、またはセレノフェノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイルから選択され、ここでこれらの基のすべては、非置換であってもよく、または、好ましくは前記および後記で定義されたRにより、モノ−もしくは多置換されていてもよい。
【0124】
−ArおよびArは、出現毎に同一であるかまたは異なり、各々独立に、1,4−フェニレン、チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェン−2,5−ジイル、チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、チエノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[3,2−b]セレノフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[2,3−b]セレノフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイル、ベンゾ[1,2−b:4,5−b′]ジチオフェン−2,6−ジイル、2,2−ジチオフェン、2,2−ジセレノフェン、ジチエノ[3,2−b:2′,3′−d]シロール−5,5−ジイル、4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b′]ジチオフェン−2,6−ジイル、カルバゾール−2,7−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、インダセノ [1,2−b:5,6−b′]ジチオフェン−2,7−ジイル、ベンゾ[1″,2″:4,5;4″,5″:4′,5′]ビス(シロロ [3,2−b:3′,2′−b′]チオフェン)−2,7−ジイル、フェナントロ[1,10,9,8−c,d,e,f,g]カルバゾール−2,7−ジイル、ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール−4,7−ジイル、ベンゾ[2,1,3]セレナジアゾール−4,7−ジイル、ベンゾ[2,1,3]オキサジアゾール−4,7−ジイル、2H−ベンゾトリアゾール−4,7−ジイル、3,4− ジフルオロチオフェン−2,5−ジイル、チエノ[3,4−b]ピラジン−2,5−ジイル、キノキサリン−5,8−ジイル、チエノ[3,4−b]チオフェン−4,6−ジイル、チエノ[3,4−b]チオフェン−6,4−ジイル、3,6−ジチエン−2−イルピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン、もしくは[1,3]チアゾロ[5,4−d][1,3]チアゾール−2,5−ジイルから選択され、ここでこれらの基のすべては、非置換であってもよく、または、好ましくは前記および後記で定義されたRにより、モノ−もしくは多置換されていてもよい。
【0125】
−Arは、出現毎に同一であるかまたは異なり、1,4−フェニレン、チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェン−2,5−ジイル、チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、チエノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[3,2−b]セレノフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[2,3−b]セレノフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイル、ベンゾ[1,2−b:4,5−b′] ジチオフェン−2,6−ジイル、2,2−ジチオフェン、2,2−ジセレノフェン、ジチエノ[3,2−b:2′,3′−d]シロール−5,5−ジイル、4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b′]ジチオフェン−2,6−ジイル、カルバゾール−2,7−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、インダセノ[1,2−b:5,6−b′]ジチオフェン−2,7−ジイル、ベンゾ[1″,2″:4,5;4″,5″:4′,5′]ビス(シロロ [3,2−b:3′,2′−b′]チオフェン)−2,7−ジイル、フェナントロ[1,10,9,8−c,d,e,f,g]カルバゾール−2,7−ジイル、ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール−4,7−ジイル、ベンゾ[2,1,3]セレナジアゾール−4,7−ジイル、ベンゾ[2,1,3]オキサジアゾール−4,7−ジイル、2H−ベンゾトリアゾール−4,7−ジイル、3,4− ジフルオロチオフェン−2,5−ジイル、チエノ[3,4−b]ピラジン−2,5−ジイル、キノキサリン−5,8−ジイル、チエノ[3,4−b]チオフェン−4,6−ジイル、チエノ[3,4−b]チオフェン−6,4−ジイル、[1,3]チアゾロ[5,4−d][1,3]チアゾール−2,5−ジイル、もしくはベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリン−1,3,6,8−テトラオン−4,9−ジイルから選択され、ここでこれらの基のすべては、非置換であってもよく、または、好ましくは前記および後記で定義されたRにより、モノ−もしくは多置換されていてもよく、そしたすべての基は、前記および後記で定義されているように−Sp−X−C(O)−O−Rによって少なくともモノ置換されている。
【0126】
−ポリマーは、カルバメートもしくはカーボネート基によって置換された、フェニレン−1,4−ジイル単位に直接隣接し、必要に応じて置換されたベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリン−1,3,6,8−テトラオン−4,9−ジイル単位を含まない。
−ArおよびAr1−4は、必要に応じて置換されたピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン−3,6−ジイルとは異なる。
−ArおよびAr1−4は、必要に応じて置換されたフェニレン−1、4−ジイルとは異なる。
−Rは、Hとは異なる。
【0127】
−Rは、1〜20個の炭素原子を有する第一級アルキル、3〜30個の炭素原子を有する第二級アルキル、または4〜30個の炭素原子を有する第三級アルキル基であり、ここで、全てのこれらの基における1個以上の水素原子は、必要に応じてFで置き換えられている。
−Rは、直鎖状または分枝状の、2〜20個の炭素原子を有するアルケニル基であって、ここで、1個以上の水素原子は必要に応じてFで置き換えられている。
−Rは、3〜20個の炭素原子を有する、環状アルキル基であって、ここで、1個以上の水素原子は必要に応じてFで置き換えられている。
【0128】
−Rは、直鎖状および環状の、5〜20個の炭素原子を有するアルキル基を含む基であって、ここで1個以上の水素原子は必要に応じてFで置き換えられている。
−RおよびR00は、HおよびC−C20のアルキルから選択される。
−Rは、出現毎に同一であるか異なり、直鎖状、分枝状および/または環状の、1〜30個の炭素原子を有する、アルキル、アルコキシまたはスルホニルアルキルから選択され、ここで、1個以上の水素原子は必要に応じてFで置き換えられている。
【0129】
−Rは、出現毎に同一であるか異なり、F、アルキルまたはアルコキシで必要に応じて置き換えられていて4〜30個の環原子を有する、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリールおよびヘテロアリールオキシから選択される。
−Rは、出現毎に同一であるか異なり、直鎖状、分枝状および/または環状の、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルおよびアルキルカルボニルオキシから選択され、ここで1個以上の水素原子は必要に応じてFで置き換えられている。
【0130】
−Rは、出現毎に同一であるか異なり、F、Cl、Br、I、CN、R、−C(O)−R、−C(O)−O−R、−OC(O)−R、−SO−Rもしくは−SO−R(ここで、Rは、直鎖状、分枝状もしくは環状の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基であり、1つ以上の非隣接のCH基が各々独立に、−O−、−S−、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−O−C(O)−、−NR−、−SiR00−、−CF−、−CHR=CR00−、−CY=CY−もしくは−C≡C−で、酸素および/または硫黄原子が互いに直接結合しないように置き換えられていてもよく、また、1つ以上の水素原子はF、Cl、Br、IまたはCNに置き換えられていてもよい)であるか、または4〜20個の環原子を有し、好ましくは前記で定義された、ハロゲンもしくはアルキルもしくはシクロアルキルによって、必要に応じて置換された、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシである。
【0131】
−RおよびR00は、各々独立に、HまたはC−C10のアルキルである。
−RおよびRは、各々独立に、H、ハロゲン、−CHCl、−CHO、−CH=CH、−SiR′R″R′″、−SnR′R″R′″、−BR′R″、−B(OR′)(OR″)、−B(OH)、C−C20のアルキル、C−C20のアルコキシ、C−C20のアルケニル、C−C20のフルオロアルキル、および必要に応じて置換された、4〜10個の環原子を有する、アリールもしくはヘテロアリール、好ましくはフェニル、から選択される。
【0132】
−RおよびRは、出現毎に同一であるか異なり、各々独立に、Cl、Br、I、O−トシレート、O−トリフレート、O−メシレート、O−ノナフレート、−SiMeF、−SiMeF、−O−SO、−B(OZ、−CZ=C(Z、−C≡CH、−C≡CSi(Z、−ZnXおよび−Sn(Zからなる群から選択され、ここで、Xは、ハロゲン、好ましくはCl、BrもしくはIであり、Z1〜4は、 必要に応じて置換されていてもよい、アルキルおよびアリールからなる群から選択され、そして2つのZ基は、ホウ素および酸素原子と一緒になって、2〜20個の炭素原子を有するシクロボロネート基を形成していてもよい。
【0133】
本発明に係るポリマーおよびモノマーは、当業者に公知であり、また文献に記載されている方法、またはそれに類似する方法に従って合成される。その他の製造方法は、実施例から推量することができる。
【0134】
例えば、本発明のポリマーは、山本カップリング、鈴木カップリング、スティルカップリング、熊田カップリング、根岸カップリング、薗頭カップリング、ヘックカップリング、ブッフバルトカップリングなどのアリール−アリールカップリング反応、または横沢による合成による適切な方法で製造することができる。鈴木カップリング、山本カップリングおよびスティルカップリングが特に好ましい。
【0135】
ポリマーの繰り返し単位を形成するために重合されるモノマーは、当業者に公知の方法によって製造することができる。
【0136】
ポリマーは、好ましくは、式VIaもしくはVIb、またはそれらの、前記および後記するような好ましい下位式で表される、モノマーから製造される。
【0137】
本発明の更なる態様は、重合反応、好ましくはアリール−アリールカップリング反応において、同一であるか異なる、式Iで表される1つ以上のモノマー単位、または同一であるか異なる、式VIaもしくはVIbで表される1つ以上のモノマーを、互いに、および/または1つ以上のコモノマーにカップリングさせることにより、本発明のポリマーを製造する方法である。
【0138】
適切で好ましいコモノマーは、下記の式から選択される。
【化22】
(式中、Ar、Ar、Ar、Ar、aおよびcは、式IIaおよびIIIaで定義された意味を有し、そして、RおよびRは、式VIaで定義された意味を有する。)
【0139】
特に好ましいのは、同一であるか異なる、式VIaもしくはVIbで表される1つ以上のモノマーと、式VIIIで表される1つ以上のモノマーとの、および必要に応じて、式IXおよびXから選択される1つ以上のモノマーとの、アリール−アリールカップリング反応における反応(ここで、好ましくは、RおよびRは、Cl、Br、I、−B(OZおよび−Sn(Zから選択される)により、ポリマーを製造する方法である。
【0140】
特に好ましい方法は、下記の態様から選択される。
【0141】
a)式VI1で表されるモノマーと、式IXで表されるモノマーとのアリール−アリールカップリング反応によりポリマーを製造する方法。
−Ar−U−Ar−R VI1
−Ar−R IX
【0142】
b)式VI2で表されるモノマーと、式VIII1で表されるモノマーとのアリール−アリールカップリング反応によりポリマーを製造する方法。
−U−R VI2
−Ar−Ar−Ar−R VIII1
【0143】
c)式VI2で表されるモノマーと、式VIII2で表されるモノマーとのアリール−アリールカップリング反応によりポリマーを製造する方法。
−U−R VI2
−Ar−R VIII2
【0144】
d)式VI2で表されるモノマーと、式VIII2で表されるモノマーおよび式IXで表されるモノマーとのアリール−アリールカップリング反応によりポリマーを製造する方法。
−U−R VI2
−Ar−R VIII2
−Ar−R IX
【0145】
e)式VI1で表されるモノマーと、式IXで表されるモノマーとのアリール−アリールカップリング反応によりポリマーを製造する方法。
−U−Ar−U−R VI5
−Ar−R IX
【0146】
f)式VI2で表されるモノマーと、式IXで表されるモノマーおよび式Xで表されるモノマーとのアリール−アリールカップリング反応によりポリマーを製造する方法。
−U−R VI2
−Ar−R IX
−Ar−R
式中、R、R、UおよびAr1,2,3,4は、式IIa、IIIaおよびVIaで定義された通りであり、そして、RおよびRは好ましくは、式VIaで定義されているように、Cl、Br、I、−B(OZ、および−Sn(Zから選択される。
【0147】
好ましい、アリール−アリールカップリング反応法および重合法は、山本カップリング、熊田カップリング、根岸カップリング、鈴木カップリング、スティルカップリング、薗頭カップリング、ヘックカップリング、C−H活性化カップリング、ウルマンカップリングおよびブッフバルトカップリング、並びに横沢による合成である。特に好ましいのは、鈴木−、根岸−、スティル−および山本カップリング、並びに横沢による合成である。後者は、例えば、横沢(R. Miyakoshi, A. Yokoyama, T.Yokozawa,J.Am.Chem.Soc.2005,127,17542−17547)に記載されている。鈴木カップリングは、例えば、WO/00/53656A1またはM.Ranger,D.Rondeau,M.Leclerc,Macromolecules 1997,30,7686−7691に記載されている。根岸カップリングは、例えば、J. Chem.Soc.,Chem.Commun.,1977, 683−684に記載されている。山本カップリングは、例えば、T.Yamamoto等,Prog.Polym.Sci.,1993,17,1153−1205、WO2004/022626A1、またはN.Kobayashi,R.Koguchi,M.Kijima,Macromolecules 2006,39,9102−9111に記載されており、そして、スティルカップリングは、例えば、Z.Bao等,J.Am.Chem.Soc.,1995,117,12426−12435に記載されている。
【0148】
例えば、山本カップリングには、2つの反応性ハライド基を有する上記のようなモノマーを使用することが好ましい。鈴木カップリングには、2つの反応性、ボロン酸もしくはボロン酸エステル基を有する上記のようなモノマーと2つの反応性ハライド基を有するモノマー、または1つの反応性の、ボロン酸もしくはボロン酸エステル基と1つの反応性ハライド基とを有するモノマーを使用することが好ましい。スティルカップリングには、2つの反応性スタンニル基を有する上記のようなモノマーと2つの反応性ハライド基を有するモノマー、または1つの反応性スタンニル基と1つの反応性ハライド基とを有するモノマーを使用することが好ましい。根岸カップリングには、2つの反応性有機亜鉛基を有する上記のようなモノマーと2つの反応性ハライド基を有するモノマー、または1つの反応性有機亜鉛基と1つの反応性ハライド基とを有するモノマーを使用することが好ましい。
【0149】
特に、鈴木、根岸またはスティルカップリングのための好ましい触媒は、Pd(0)錯体およびPd(II)塩から選択される。好適なPd(0)錯体は、少なくとも1つのホスフィン配位子、例えばPd(PPhを持つものである。別の好ましいホスフィン配位子は、トリス(オルト−トリル)ホスフィン、すなわち、Pd(o−Tol)である。好適なPd(II)塩は、酢酸パラジウム、すなわちPd(OAc)を含む。Pd(0)錯体は、例えば、Pd(0)−ジベンジリデンアセトン錯体(例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)錯体、ビス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0))、またはPd(II)塩(例えば、酢酸パラジウム)を、ホスフィン配位子(例えば、トリフェニルホスフィン、トリス(オルト−トリル)ホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン)と混合することによっても製造することができる。鈴木重合は、塩基(例えば、炭酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化リチウム、もしくはリン酸カリウム)の存在下、または有機塩基(例えば、テトラエチルアンモニウムカーボネート、もしくはテトラエチルアンモニウムヒドロキシド)の存在下で行われる。山本重合では、Ni(0)錯体、例えばビス(1,5−シクロオクタジエニル)ニッケル(0)が使用される。
【0150】
鈴木重合は、ホモポリマーだけでなく、ランダムおよび交互コポリマー、並びにランダムに分布されたブロックコポリマーを製造するために使用することができる。ランダムまたはブロックコポリマーは、例えば、反応性基の1つがハロゲンであり、他の反応基がボロン酸またはボロン酸誘導体基である、上記モノマーから、製造することができる。ランダム、交互およびブロックコポリマーの合成は、例えば、WO03/048225A2またはWO2005/014688A2により詳細に記載されている。
【0151】
前述のように、ハロゲンの代替として式−O−SO(式中、Zは、上記された通りである)で表される脱離基を使用することができる。このような脱離基の具体例としては、トシレート、メシレートおよびトリフレートが挙げられる。
【0152】
式VIaおよびVIbで表されるモノマーは、例えば、スキーム1、またはそれに類似する方法に従って製造できる。
スキーム1
【化23】
【0153】
ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリン−1,3,6,8−テトラオン−4,9−ジイル単位IV6およびIV7に基づく、式VIaおよびVIbで表されるモノマーは、例えば、スキーム2、またはそれに類似する方法に従って製造できる。
スキーム2
【化24】
【0154】
ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリン−1,3,6,8−テトラオン−4,9−ジイル単位I10aおよびI11aに基づく、式IV9およびIV10で表されるモノマーは、例えば、スキーム3、またはそれに類似する方法に従って製造できる。
スキーム3
【化25】
【0155】
本発明は、さらに、前記および後記するような、モノマーおよびポリマーの新規な製造法を提供する。
【0156】
本発明のポリマーからのカーボネートまたはカルバメート側鎖の脱離は、例えば、ポリマーまたはポリマー含有材料が基板や電子部品上に半導体層として塗布された後に、単に加熱することにより簡単に行うことができる。
【0157】
脱離のための温度は、熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)を使用して測定することができる。文献から知られている側鎖の場合は、完全に脱官能基化されたポリマー骨格に到達するために、温度は典型的には210℃または310℃である。対照的に、本発明の熱的に脱離可能な基の場合は、この温度は、<200℃であり、そして、例えば、アルキル基を例えばアルケニルで置き換えることにより、さらに低くすることさえできる。本発明に記載の半導体ポリマーは、脱離後、典型的には、アルコール基、アミンもしくはイミド官能基を有する。これらは、溶解性をさらに低下させる水素結合を形成することができる。
【0158】
スキーム4に示される例は、式IV2で表される、本発明のポリマーに対する熱脱離反応である。
スキーム4
【化26】
【0159】
好ましくは、脱離反応は、本発明によるポリマーを<200℃の温度に加熱することによって行われる。
【0160】
本発明は、さらに、本発明のポリマーもしくはこれを含んでなる層、例えば半導体層を、≦200℃、好ましくは150℃〜200℃の温度に加熱することにより、本発明のポリマーのカーボネートもしくはカルバメート基を、部分的もしくは完全に脱離させるための方法を提供する。本発明は、さらに、この方法によって得られるポリマーまたは半導体層を提供する。
【0161】
本発明に係るポリマーは、混合物またはポリマーブレンド中で、例えば、モノマー化合物と一緒に、または電荷輸送特性、半導体特性、導電特性、光導電特性および/または発光半導体特性を有する、他のポリマーと一緒に、または、例えば、OLED素子中の中間層もしくは電荷遮断層として使用される、正孔遮断もしくは電子遮断特性を有する、ポリマーと一緒に、使用することもできる。本発明の別の態様は、従って、本発明に係る1つ以上のポリマーと、上記特性の1つ以上を有する、1つ以上の更なるポリマーとを含んでなるポリマーブレンドに関する。これらのブレンドは、先行技術に記載され、当業者に知られた従来の方法により製造することができる。典型的には、ポリマーを、互いに混合するか、または適当な溶媒に溶解し、そして、溶液を合わせる。
【0162】
本発明の更なる態様は、前記および後記されている、ポリマー、混合物もしくはポリマーブレンドの1つ以上と、有機溶剤の1つ以上とを含んでなる調合物に関する。
【0163】
好ましい溶媒は、脂肪族炭化水素、塩素化炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン、エーテル、およびこれらの混合物である。使用することのできるその他の溶媒としては、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、ペンチルベンゼン、メシチレン、クメン、シメン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン、デカリン、2,6−ルチジン、2−フルオロ−m−キシレン、3−フルオロ−o−キシレン、2−クロロベンゾトリフルオリド、ジメチルホルムアミド、2−クロロ−6−フルオロトルエン、2−フルオロアニソール、アニソール、2,3−ジメチルピラジン、4−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、3−トリフルオロメチルアニソール、2−メチルアニソール、フェネトール、4−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−フルオロ−3−メチルアニソール、2−フルオロベンゾニトリル、4− フルオロベラトロール、2,6−ジメチルアニソール、3−フルオロベンゾニトリル、2,5−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、ベンゾニトリル、3,5−ジメチルアニソール、Ν,Ν−ジメチルアニソール、安息香酸エチル、1−フルオロ−3,5−ジメトキシベンゼン、1−メチルナフタリン、N−メチルピロリジノン、3−フルオロベンゾトリフルオリド、ベンゾトリフルオリド、ベンゾトリフルオリド、1,4−ジオキサン、トリフルオロメトキシベンゼン、4−フルオロベンゾトリフルオリド、3−フルオロピリジン、トルエン、2−フルオロトルエン、2−フルオロベンゾトリフルオリド、3−フルオロトルエン、4−イソプロピルビフェニル、フェニルエーテル、ピリジン、4−フルオロトルエン、2,5−ジフルオロトルエン、1−クロロ−2,4−ジフルオロベンゼン、2−フルオロピリジン、3−クロロフルオロベンゼン、3−クロロフルオロベンゼン、1−クロロ−2,5−ジフルオロベンゼン、4−クロロフルオロベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、2−クロロフルオロベンゼン、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン、もしくは、o−、m−およびp−異性体の混合物が挙げられる。比較的極性の低い溶媒が一般的に好ましい。インクジェット印刷には、高沸点溶媒および溶媒混合物が好ましい。スピンコーティングには、例えばキシレンおよびトルエンなどのアルキル化ベンゼンが好ましい。
【0164】
特に好ましい溶媒の例としては、ジクロロメタン、トリクロロメタン、モノクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、アニソール、モルホリン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、1,4−ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラリン、デカリン、インダン、安息香酸メチル、安息香酸エチル、メシチレンおよび上記の溶媒の混合物が挙げられる。(但し、これらに限定されない。)
【0165】
溶液中のポリマーの濃度は、好ましくは0.1〜10重量%であり、より好ましくは0.5〜5重量%である。必要に応じて、溶液はまた、例えば、WO2005/055248A1に記載されるようなレオロジー特性を調整するために、1つ以上の結合剤を含んでいてもよい。
【0166】
適切な混合および熟成の後、溶液は次のいずれか1つのカテゴリに分類される:完全溶液、ボーダーライン溶液または不溶性。溶解性と不溶性を分ける、溶解性パラメータ−水素結合の限界を示すために、輪郭線が描かれる。溶解性領域内に入る「完全」溶媒は、「Crowley,J.D.,Teague,G.S.JrおよびLowe,J.W.Jr.,Jornal of Paint Technology,38,no.496,296(1966)」に刊行されたような文献値から選択することができる。溶媒混合物は、同様に使用することができ、そして、「Solvents,W.H.Ellis,Federation of Societies for Coatings Technology,p.9−10,1986」中に記載される通りに確認することができる。混合物中に少なくとも1つの真の溶媒が存在することが望ましいとしても、このような手順は、本発明の両ポリマーを溶解する「非−」溶媒の混合物へと導くことができる。
【0167】
本発明に係るポリマーは、前記および後記するように、素子中の組織化された半導体層に使用することができる。現代のマイクロエレクトロニクスにおける用途には、コスト(より多くの素子/単位の領域)とエネルギー消費を低減するために、小さな構造またはパターンを作製することが一般的に望ましい。本発明に係るポリマーを含む薄層の組織化は、例えば、フォトリソグラフィー、電子線リソグラフィーまたはレーザーパターニングによって行なうことができる。
【0168】
電子もしくは電子光学素子中の薄層としての使用において、本発明のポリマー、ポリマーブレンドもしくは調合物は、任意の適切な方法によって、堆積させることができる。素子の液体コーティングは、真空蒸着技術よりも望ましい。溶液からの堆積方法は、特に好ましい。本発明の調合物は、多くの液体コーティング技術の使用を可能にする。好ましい堆積技術としては、浸漬コーティング、スピンコーティング、インクジェット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、ナイフコーティング、輪転印刷、逆輪転印刷、オフセットリソグラフィー印刷、フレキソ印刷、ウェブ印刷、スプレーコーティング、刷毛コーティングまたはパッド印刷が挙げられるが、これらに限定されない。高解像度の層および素子の製造を可能にするので、インクジェット印刷が特に好ましい。
【0169】
選択された、本発明の調合剤は、インクジェット印刷またはマイクロディスペンシングによって、素子用の既製の基板上に適用することができる。好ましくは、基板への有機半導体層の適用には、アプリオン(Aprion)社、日立工機社、インクジェットテクノロジー(InkJet Technology)社、オンターゲットテクノロジー(On Target Technology)社、ピコジェット(Picojet)社、スペクトラ(Spectra)社、トライデント(Trident)社、ザール(Xaar)社によって供給される、工業的規模の圧電プリントヘッドを使用することができるが、これに限定されない。ブラザー社、エプソン社、コニカ社、セイコーインスツルメンツ社、東芝TEC社によって製造されている半工業的ヘッド、またはマイクロドロップ(Microdrop)社およびマイクロファブ(Microfab)社によって製造されている、単一ノズルのマイクロディスペンサーを使用することもできる。
【0170】
インクジェット印刷またはマイクロディスペンシングによる適用に対して、ポリマーは、最初に、適当な溶媒に溶解されなければならない。溶剤は、上記の要件を満たさなければならず、また、選択されたプリントヘッドに悪い影響を与えてはならない。さらに、プリントヘッド中で溶液が乾燥することにより生じる操作上の問題を避けるため、溶媒は、沸点が>100℃、好ましくは>140℃、そしてより好ましくは>150℃でなければならない。上記の溶媒の他に、適当な溶媒の例としては、置換および非置換のキシレン誘導体、ジーC1−2−アルキルホルムアミド、置換および非置換の、アニソールおよび他のフェニルエーテル誘導体、置換されたヘテロ環状体、例えば、置換された、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピロリジノン、置換および非置換の、N,N−ジ−C1−2−アルキルアニリンおよび他のフッ素化もしくは塩素化芳香族化合物が挙げられる。
【0171】
本発明に係るポリマーをインクジェット印刷によって堆積するための好ましい溶媒としては、1つのベンゼン環が1つ以上の置換基で置換され、その1つ以上の置換基中の炭素原子の総数が少なくとも3である、ベンゼン誘導体が挙げられる。例えば、そのベンゼン誘導体は、1つのプロピル基または3つのメチル基によって置換されていることができ、合計で少なくとも3個の炭素原子が両方の場合に存在する。このような溶媒は、噴霧中の、ノズルの目詰まりおよび成分の分離を、低減もしくは防止するポリマーと一緒に、溶媒を含むインクジェットインクの形成を可能にする。溶媒としては、次にリストされる例から選択されるものが挙げられる:ドデシルベンゼン、1−メチル−4−tert−ブチルベンゼン、テルピネオール、リモネン、イソズレン、テルピノレン、シメン、ジエチルベンゼン。溶媒は、溶媒混合物、すなわち、2つ以上の溶媒の組み合わせ(ここで、各々の溶媒は、好ましくは>100℃、より好ましくは>140℃の沸点を持つ)であってもよい。そのような溶媒は、また、堆積層の膜形成を改善し、また、層中の欠陥を低減させる。
【0172】
インクジェットインク(すなわち、溶媒、結合剤および半導体化合物の混合物)は、好ましくは、20℃で、1〜100mPa・s、より好ましくは1〜50mPa・s、特に好ましくは1〜30mPa・sの粘度を有する。
【0173】
本発明に係る、ポリマーまたは調合物は、例えば、界面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、撥水剤、接着剤、流動性向上剤、消泡剤、脱気剤、反応性もしくは非反応性であってもよい希釈剤、助剤、着色剤、染料もしくは顔料、増感剤、安定剤、ナノ粒子および阻害剤から選択される、1つ以上の更なる、成分もしくは添加剤を追加的に含んでいてもよい。
【0174】
本発明によるポリマーは、光学、電気光学、電子、エレクトロルミネッセンスもしくはフォトルミネッセンスの要素もしくは素子における、電荷輸送材料、半導体材料、導電材料、光導電材料もしくは発光材料として使用される。これらの素子では、本発明のポリマーは、典型的には、薄層またはフィルムとして適用される。
【0175】
従って、本発明は、さらに、本発明の、半導体ポリマーもしくはポリマーブレンドにおける、または本発明の、調合物もしくは層の、電子素子における使用を提供する。調合物は、様々な素子や電気器具における高移動度を持つ半導体材料として使用することができる。調合物は、例えば、半導体層または半導体フィルムの形態で、使用することができる。従って、本発明は、更なる態様において、電子素子に使用される半導体層であって、その層が本発明に係る、ポリマー、ポリマーブレンドまたは調合物を含んでなるものを提供する。層またはフィルムは、約30ミクロン未満とすることができる。様々な電子素子で使用するために、厚さは約1ミクロン未満とすることができる。層は、前述の溶液コーティングまたは印刷技術のいずれかによって、例えば、電子素子の一部の上に、堆積させることができる。
【0176】
本発明は、さらに、本発明に係る、ポリマー、ポリマーブレンド、調合物、または有機半導体層を具備してなる電子素子を提供する。特に好ましい素子は、OFET、TFT,IC、論理回路、キャパシタ、RFIDタグ、OLED、OLET、OPED、OPV、OPD、太陽電池、レーザーダイオード、光伝導体、光検出器、電子写真素子、電子写真記録素子、有機メモリ素子、センサー素子、電荷注入層、ショットキーダイオード、平坦化層、帯電防止フィルム、導電性基板および導電性パターンである。
【0177】
特に好ましい電子素子は、OFET、OLED、OPV素子およびOPD素子であり、特にバルクヘテロ接合(「BHJ」)を有するOPV素子である。OFETにおいては、例えば、活性半導体チャネルは、ドレインとソースの間に本発明の層を含んでいることができる。別の例として、OLED素子において、電荷(正孔または電子)注入または輸送層は、本発明の層を含んでなることができる。
【0178】
OPVもしくはOPD素子における使用のためには、本発明のポリマーは、好ましくは、
p型半導体(電子供与体)およびn型半導体(電子受容体)を含んでなるか、もしくは含む調合物中に、より好ましくは、本質的にそれらからなる調合物中に、そして非常に好ましくは排他的にそれらからなる調合物中に、使用される。p型半導体は、好ましくは、本発明のポリマーである。n型半導体は、例えば、無機材料(例えば、酸化亜鉛(ZnO)、亜鉛スズ酸化物(ZTO)、酸化チタン(TiO)、酸化モリブデン(MoO)、酸化ニッケル(NiO)、またはセレン化カドミウム(CdSe))、または有機材料(例えば、グラフェン、フラーレンもしくは置換されたフラーレンであり、ここで、置換されたフラーレンは、例えば、ICBAのようなインデン−C60−フラーレンの二付加物、または、「PCBM」もしくは「C60PCBM」としても知られ、例えば、G.Yu,J.Gao,J.C.Hummelen,F.Wudl,A.J.Heeger,Science 1995,vol.270,p.1789ffに記載され、そして、下記に示す構造を持つ、(6,6)−フェニル酪酸メチルエステルを誘導体化したメタノ−C60−フラーレン、または、例えば、C70−フラーレン基(C70PCBM)を有する、構造的に類似する化合物またはポリマー(参照:例えば、Coakley,K.M.およびMcGehee,M.D.Chem.Mater.2004,16,4533))である。受容体基(例えば、式I10またはI11で表される繰り返し単位)を含む本発明のポリマーは、n型半導体としても使用することができる。
【化27】
【0179】
本発明のOPVもしくはOPD素子における光活性層を形成するために、本発明のポリマーを、好ましくは、フラーレンもしくは置換されたフラーレン、例えば、PCBM−C60、PCBM−C70、ビスPCBM−C60、ビスPCBM−C70、ICBA(1′,1″,4′,4″−テトラヒドロジ[1,4]メタノナフタレノ[1,2:2′3′;56,60:2″,3″] [5,6]フラーレン−C60−Ih]と、またはグラフェンもしくはZnO、TiO、ZTO、MoO、NiOなどの金属酸化物と混合する。
【0180】
本発明のOPDもしくはOPV素子は、好ましくは、光活性層以外に、光活性層の一面上で、透明もしくは半透明の基板の上に、透明もしくは半透明の第1の電極を、そして、光活性層の他方の面上に、金属もしくは半透明の第2の電極を具備してなる。
【0181】
さらに好ましい実施態様において、本発明のOPDもしくはOPV素子は、光活性層と第1および/または第2の電極との間に、正孔輸送および/または電子遮断層として機能することのできる、1つ以上の中間層もしくはバッファ層(この層は、例えば、ZTO、MoO、NiOなどの金属酸化物;例えば、PEDOT:PSSなどの共役ポリマー電解質;例えば、ポリトリアリールアミン(PTAA)などの共役ポリマー;例えば、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(1−ナフチル)(1,1′−ビフェニル)−4,4′−ジアミン(NPB)、N,N′−ジフェニル−N,N′−(3−メチルフェニル)−1,1′−ビフェニル−4,4′−ジアミン(TPD)などの有機化合物のような材料を含んでなる)、または正孔遮断および/または電子輸送層として機能することのできる、1つ以上の中間層もしくはバッファ層(この層は、例えば、ZnO、TiOなどの金属酸化物;例えば、LiF、NaF、CsFなどの塩;例えば、ポリ[3−(6− トリメチルアンモニオヘキシル)チオフェン]、ポリ(9,9−ビス(2−エチルヘキシル)−フルオレン)−b−ポリ[3−(6− トリメチルアンモニオヘキシル)チオフェン]もしくはポリ[(9,9−ビス(3′−(N,N′−ジメチルアミノ)プロピル)−2,7−フルオレン)−alt−2,7−(9,9−ジオクチルフルオレン)]などの共役ポリマー電解質;または、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(Alq)もしくは4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンなどの有機化合物のような材料を含む)を具備してなる。
【0182】
本発明の、ポリマーもしくはポリマーブレンドと、フラーレンもしくは置換されたフラーレンとの混合物において、ポリマー:フラーレンの比は重量部で、好ましくは、5:1〜1:5、より好ましくは、1:1〜1:3、最も好ましくは1:1〜1:2である。ポリマー結合剤は、好ましくは5〜95重量%の濃度で添加することができる。適切で好ましい結合剤の例としては、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)およびポリメチルメタクリレート(PMMA)が挙げられる。
【0183】
BHJ−OPV素子における薄層の製造のために、本発明の、ポリマー、ポリマーブレンドもしくは調合物は、任意の適切な方法によって堆積することができる。 素子の液体コーティングは、真空蒸着法よりも望ましい。溶液からの堆積方法は、特に好ましい。本発明の調合物は、多くの液体コーティング技術の使用を可能にする。好ましい堆積技術としては、浸漬コーティング、スピンコーティング、インクジェット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、ナイフコーティング、輪転印刷、逆輪転印刷、オフセットリソグラフィー印刷、フレキソ印刷、ウェブ印刷、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、刷毛コーティングまたはパッド印刷が挙げられるが、これらに限定されない。高解像度の層および素子の製造を可能にするので、インクジェット印刷が特に好ましい。
【0184】
OPV素子およびOPVモジュールの製造のために、特に好ましいのは、フレキシブル基板に対応した面積(areal)印刷法、例えば、スロットダイコーティングまたはスプレーコーティングである。
【0185】
本発明のポリマーおよびフラーレンから、BHJ層を製造するための適切な溶媒を選択する場合には、両成分の完全な溶解を確実にする必要があり、また、選択した印刷法もしくはコーティング法に起因する界面条件(例えばレオロジー特性)に注意する必要がある。
【0186】
この目的のために、有機溶剤が使用される。典型的な溶媒は、例えば、芳香族および/または塩素化溶剤である。適切で好ましい溶媒の例としては、例えば、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、四塩化炭素、トルエン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アニソール、モルホリン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、1,4−ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、n−ブチル酢酸、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラリン、デカリン、インダン、安息香酸メチル、安息香酸エチル、メシチレンおよび上記の溶媒の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0187】
OPV素子は、例えば、文献から既知の任意のタイプであってもよい(参照:例えば、Waldauf等,Appl.Phys.Lett.89,233517(2006))。
【0188】
本発明の、第一の好ましいOPV素子は、(入射光に面した側から始まる順番に)以下のものを含む:
−必要に応じて、基板、
−陽極として、好ましくは、金属酸化物、例えばITOを含み、高い仕事関数を有する電極、
−必要に応じて、好ましくは有機ポリマーもしくはポリマーブレンド、または有機化合物(例えば、PEDOT:PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホナート))、TBD(N,N′−ジフェニル−N‐N′−ビス(3−メチルフェニル)−1,1′−ビフェニル−4,4′−ジアミン)もしくはNBD(N,N′−ジフェニル−N‐N′−ビス(1−ナフチルフェニル)−1,1′−ビフェニル−4,4′−ジアミン)を含んでなる、導電性ポリマー層または正孔輸送層、
−例えば、p型とn型の半導体の、2重層もしくは2つの分離層の形で存在するか、または、バルクヘテロ接合(BHJ)を形成する、p型とn型の半導体のブレンドとして存在する、p型の有機半導体およびn型の有機半導体を含んでなる層(「活性層」または「光活性層」とも呼ばれる)、
−必要に応じて、例えば、LiFを含んでなる電子輸送層、
−陰極として、金属、例えばアルミニウムを含有する低仕事関数の電極、
ここで、前記電極の少なくとも1つ、好ましくは陽極、が透明であり、且つ、前記p型の半導体および/またはn型の半導体は、本発明のポリマーである。
【0189】
本発明の、第二の好ましいOPV素子は、逆OPV素子であり、(入射光に面した側から始まる順番に)以下のものを含む:
−必要に応じて、基板、
−陰極として、好ましくは、金属酸化物、例えばITOを含み、高い仕事関数を有する電極、
−好ましくは金属酸化物、例えば、TiOまたはZnOを含んでなる、正孔遮断層、
−例えば、p型とn型の半導体の、2重層もしくは2つの分離層の形で存在するか、または、バルクヘテロ接合(BHJ)を形成する、p型とn型の半導体のブレンドとして存在する、p型の有機半導体およびn型の有機半導体を含んでなる層(「活性層」または「光活性層」とも呼ばれる)、
−必要に応じて、好ましくは有機ポリマーもしくはポリマーブレンド、または有機化合物(例えば、PEDOT:PSS、TBDもしくはNBD)を含んでなる、導電性ポリマー層または正孔輸送層、
−陽極として、銀などの高仕事関数の金属を含んでなる電極、
ここで、前記電極の少なくとも1つ、好ましくは陰極、が透明であり、且つ、前記p型の半導体および/またはn型の半導体は、本発明のポリマーである。
【0190】
本発明のOPV素子において、p型とn型の半導体材料は、好ましくは、ポリマー/フラーレン系のような、上述の材料から選択される。このようなポリマー/フラーレン系を含んでなる活性層を基板上に適用すると、ナノメートル領域の相分離を示すBHJが形成される(参照:例えば、Dennler等、Proceedings of the IEEE,2005,93(8)、1429、またはHoppe等,Adv.Func.Mater,2004,14(10),1005)。場合によっては、ブレンドのモルホロジーとOPV素子の性能を最適化するために、処理工程が求められてもよい。
【0191】
OPV素子の性能を最適化する別の方法は、相分離に影響を与え、所望の方向に導くことができる高沸点添加剤を含んでなる、OPV(BHJ)素子を製造するための調合物の作製である。 この目的に対して、高効率の太陽電池を製造するために、例えば、オクタン−1,8−ジチオール、1,8−ジヨードオクタン、ニトロベンゼン、クロロナフタリン、または他の添加剤を使用することができる。これらの例は、J.Peet等,Nat.Mater.,2007,6,497、またはFrechet等 J.Am.Chem.Soc.,2010,132,7595−7597に記載されている。
【0192】
本発明のポリマー、ポリマーブレンド、調合物および層はまた、半導体チャネルとしてOFETでの使用に適している。従って、本発明はまた、ゲート電極、絶縁(またはゲート絶縁体)層、ソース電極、ドレイン電極、およびソースとドレイン電極を接続している有機半導体チャネルを具備してなるOFETを提供する。ここで、有機半導体チャネルは、本発明に係る、ポリマー、ポリマーブレンド、調合物もしくは有機半導体層を含んでなる。OFETの他の特徴は、当該技術分野の当業者に知られており、そして、発明的技法を実施することなく追加することができる。
【0193】
有機半導体材料が、ゲート誘電体とドレイン電極とソース電極との間に、薄膜として堆積されているOFETは、周知の事実であり、例えば、US5892244、US5998804またはUS6723934に記載されている。本発明の化合物の溶解性を利用した低コストでの製造、ひいては大きな面積の加工性などの利点があるので、これらのFETの好ましい用途は、例えば、集積回路、TFTディスプレイおよびセキュリティー用途などである。
【0194】
OFET素子における、ゲート、ソースおよびドレイン電極並びに絶縁および半導体層は、任意の順序で配置されることができるが、但し、ソースおよびドレイン電極は絶縁層によってゲート電極から分離されており、ゲート電極と半導体層の両方は絶縁層と接触しており、そして、ソース電極とドレイン電極の両方は半導体層と接触している。
【0195】
本発明に係るOFET素子は、好ましくは次のものを具備してなる:
−ソース電極、
−ドレイン電極、
−ゲート電極、
−半導体層、
−1つ以上のゲート絶縁層、
−必要に応じて、基板。
ここで、半導体層は、好ましくは、本発明に係る、ポリマー、ポリマーブレンドまたは調合物を含んでなる。
【0196】
OFET素子は、トップゲート素子またはボトムゲート素子であってもよい。OFET素子の適切な構造および製造法は、当業者に公知であり、文献、例えば、US2007/0102696A1に記載されている。
【0197】
ゲート絶縁層は、好ましくは、フルオロポリマー、例えば、市販の、サイトップ809M(R)またはサイトップ107Μ(R)(旭硝子社製)を含んでいてもよい。ゲート絶縁膜を、好ましくは、例えば、スピンコーティング、ナイフコーティング、ワイヤーバーコーティング、スプレーコーティングもしくはディップコーティング、またはその他の公知の方法によって、絶縁体材料および1つ以上のフッ素原子を有する溶媒(フッ素系溶媒)、好ましくはパーフルオロ溶媒の、1つ以上を含んでなる調合物から堆積させる。好適なパーフルオロ溶媒は、例えば、FC75(R)(アクロス社製、カタログ番号12380)である。その他の好適な、フルオロポリマーとフッ素系溶媒は、従来技術から知られており、例えば、パーフルオロポリマー:テフロンAF(R)1600もしくは2400(デュポン社製)またはフルオロペル(R)(サイトニックス社製)またはパーフルオロ溶媒:FC43(R)(アクロス社製、番号12377)である。特に好ましいのは、例えば、US2007/0102696A1またはUS7095044に開示されているような、1.0〜5.0、非常に好ましくは1.8〜4.0の低い比誘電率(または誘電率)を有する有機誘電体材料(「low−k材料」)である。
【0198】
セキュリティ用途においては、本発明にかかる半導体材料を含んでなる、OFETおよびその他の素子(例えば、トランジスタやダイオード)を、価値のある書類(例えば、紙幣、クレジットカードもしくはIDカード、国籍証明書、クーポン、または金銭的価値を有する任意の製品(例えば、切手、入場および旅行チケット、宝くじ、株券、小切手等))を認証し、偽造を防止するために、RFIDタグもしくは安全マークに使用することができる。
【0199】
あるいは、本発明の材料は、例えば、フラットパネルディスプレイ用途での活性表示物質として、または例えば、液晶ディスプレイのフラットパネルのバックライトとして、OLEDにおいて使用することができる。標準的なOLEDは、多層構造を使用することにより具現化されている。一般に、1つ以上の電子輸送および/または正孔輸送層の間に発光層が配置されている。電圧の印加により、電荷キャリアとしての電子および正孔が発光層に向かって移動し、そこではそれらの再結合が励起をもたらし、さらにこれにより、発光層に存在する発光団単位のルミネッセンスをもたらす。本発明の、化合物、材料およびフィルムは、それらの電気的および/または光学的特性に応じて、1つ以上の電荷輸送層に、および/または発光層に、使用することができる。さらに、本発明の、化合物、材料およびフィルムがそれら自体で、エレクトロルミネッセンス特性を示すか、エレクトロルミネセント基もしくは化合物を含む場合は、発光層内でのそれらの使用が特に有利である。適切なモノマー、オリゴマーおよびポリマーである、化合物もしくは材料の、OLEDにおける使用のための選択、特性化および処理は、一般的に当業者に知られている。参照:例えば、Mueller等,Synth.Metals,2000,111−112,31−34,Alcala,J.Appl.Phys.,2000,88,7124−7128およびその中で引用された文献。
【0200】
その他の使用において、本発明に係る材料、特にフォトルミネセンス特性を示すものは、光源の材料、例えば、EP0889350A1またはC. Weder等,Science,1998,279,835−837に記載されているようなディスプレイ素子のための材料、として使用することができる。
【0201】
本発明の更なる態様は、本発明の化合物の酸化および還元された形態の両方に関する。電子の放出もしくは受容は、導電性の高い、非常に非局在化したイオン形態の形成をもたらす。これは、通例のドーパントの作用によって発生しうる。好適なドーパントおよび方法は、例えば、EP0528662、US5198153またはWO96/21659から当業者に知られている。
【0202】
ドーピング法は、典型的には、非局在化したイオンサイトが材料中に形成され、用いられたドーパントに由来する、対応の対イオンが発生するように、酸化還元反応における酸化剤もしくは還元剤による半導体材料の処理を含む。好適なドーピング方法としては、例えば、大気圧または減圧下でのドーピング蒸気との接触、ドーパントを含む溶液中での電気化学的ドーピング、熱拡散のためにドーパントを半導体材料と接触させること、および半導体材料へのドーパントのイオン注入が挙げられる。
【0203】
電子をキャリアとして用いる場合、好適なドーパントとしては、例えば、ハロゲン(例えば、I、Cl、Br、ICl、ICl、IBrおよびIF)、ルイス酸(例えば、PF5、AsF、SbF、BF、BCl、SbCl、BBrおよびSO)、プロトン酸、有機酸もしくはアミノ酸(例えば、HF、HCl、HNO、HSO、HClO、FSOHおよびClSOH)、遷移金属化合物(例えば、FeCl、FeOCl、Fe(ClO、Fe(4−CHSO、TiCl、ZrCl、HfCl、NbF、NbCl、TaCl、MoF、MoCl、WF、WCl、UFおよびLnCl(ここで、Lnはランタン系列の元素である))、アニオン(例えば、Cl、Br、I、I、HSO2−、SO2−、NO、ClO、BF、PF、AsF 、SbF、FeCl 、Fe(CN)3−)、およびアリール−SOのような種々のスルホン酸のアニオンが挙げられる。正孔をキャリアとして用いる場合、具体的なドーパントとしては、カチオン(例えば、H、Li、Na、K、RbおよびCs)、アルカリ金属(例えば、Li、Na、K、RbおよびCs)、アルカリ土類金属(例えば、Ca、SrおよびBa)、O、XeOF、(NO)(SbF)、(NO)(SbCl)、(NO)(BF)、AgClO、HIrCl、La(NO・6HO、FSOOOSOF、Eu、アセチルコリン、R(Rはアルキル基である)、R(Rはアルキル基である)、RAs(Rはアルキル基である)およびR(Rはアルキル基である)が挙げられる。
【0204】
本発明の化合物の導電性の形態は、OLED用途での電荷注入層およびITO平坦化層、フラットパネルディスプレイおよびタッチパネル用のフィルム、回路基板およびキャパシタのような電子用途での帯電防止フィルム、導電性プリント基板、パターンまたは導体トラックなどの用途(これらに限定されない)において有機「金属」として使用することができる。
【0205】
本発明に係る、化合物および調合物はまた、例えば、Koller等,Nat.Photonics,2008,2,684に記載されているような有機プラズマ発光ダイオード(OPED)に好適に使用することができる。
【0206】
別の用途では、本発明に係る材料は、例えば、US2003/0021913に記載のように、LCDまたはOLED素子における配向層中に、または該層として、単独または他の材料と共に、使用することができる。本発明に係る電荷輸送化合物の使用により、配向層の電気伝導度を高めることができる。LCDで使用される場合、この増加した電気伝導度は、切替可能なLCD要素における有害な残留直流電流効果の影響を低減し、そして、焼き付けを抑制するか、あるいは、例えば強誘電性LCDにおいて、強誘電性液晶の自発分極電荷を切り替えることにより生じる残留電荷を低減することができる。配向層上にマウントされた発光材料を有するOLED素子で使用される場合、この増加した電気伝導度は、発光材料のエレクトロルミネセンスを増大させることができる。メソゲンまたは液晶の特性を有する、本発明に係る、化合物または材料は、異方性フィルム上の液晶媒体中の配向性を誘発もしくは増大させるための配向層として特に好適な、前述したような配向した異方性フィルムを形成することができる。本発明に係る材料はまた、US2003/0021913に記載されるように、光配向層中に、または該層として、使用するための光異性化化合物および/または発色団と組み合わせることもできる。
【0207】
別の用途では、本発明に係る材料、特に水溶性誘導体(例えば、極性またはイオン性の側鎖基を有するもの)またはそれらのイオンドープされた形態は、化学センサーまたはDNA配列の検出および識別のための材料として使用することができる。これらの用途は、例えば、L. Chen, D. W. McBranch, H. Wang, R. Helgeson, F. Wudl および D. G. Whitten, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 1999, 96, 12287; D. Wang, X. Gong, P. S. Heeger, F. Rininsland, G. C. BazanおよびA. J. Heeger, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 2002, 99, 49; N. DiCesare, M. R. Pinot, K. S. SchanzeおよびJ. R. Lakowicz, Langmuir, 2002, 18, 7785; D. T. McQuade, A. E. Pullen, T. M. Swager, Chem. Rev., 2000, 100, 2537に記載されている。
【0208】
文脈から反対が明らかでない限り、本明細書で使用される用語の複数形は、単数形を含むものとみなされ、また、その逆も同様である。
【0209】
本明細書中の、詳細な説明と特許請求の範囲の全体において、用語「含んでなる」および「含む」並びにこれらの変形、例えば、「含んでいる」や「含む」、は「含んでいるが、これらに限定されない」の意味を有し、そして、それらは他の成分を除外していると理解してはならない。
【0210】
本発明の保護範囲内にまだ入る、本発明の上記態様の変形を行なうことができることは明らかであろう。この出願明細書に開示された各特徴は、特に断りのない限り、同様、同等もしくは類似の目的を果たす、代替的な特徴によって置き換えることができる。特に断りのない限り、開示された各特徴は、従って、一般的で一連の、同等もしくは類似の特徴の一例に過ぎない。
【0211】
この出願明細書に開示されたすべての特徴は、これらの特徴および/またはステップの少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除き、任意の組み合わせで互いに組み合わせることができる。特に、本発明の好ましい特徴は、本発明のすべての態様に適用可能であり、任意の所望の組み合わせで使用することができる。同様に、非本質的な組合せに記載された特徴を
互いに別々に(すなわち、互いに組合せることなく)使用することができる。
【0212】
特に断りのない限り、前記および後記のすべてパーセントは、重量パーセントであり、すべての温度値は摂氏である。比誘電率ε(誘電率)の値は、20℃、1000Hzで確認された値を意味する。
【0213】
以下の実施例により本発明をより詳細に記載するが、これは本発明を限定することなく例示することを意図するものである。
【0214】
実施例1 − 単位の合成
ポリチオフェン単位の合成:
1.1 2−(2−ブロモチオフェン−3−イル)エタノール:
【化28】
N−ブロモコハク酸イミド(13.9g、78.0ミリモル、1:00当量)を、テトラヒドロフラン(200mL)中の2−(チオフェン−3−イル)エタノール(10.0g、78.0ミリモル、1.00当量)の溶液に、分割して0℃で加えた。懸濁液を一晩攪拌しながら室温まで徐々に温めた。50mLの水を反応混合物に加え、相を分離させ、そして、クロロホルム(50mL)で水相を抽出した。合わせた有機相を、炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、溶離剤として石油エーテル/酢酸エチルエステル(2:1)を用いてシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した。14.5グラム(90%)の生成物を黄色の油状物として得た。−R= 0.39(石油エーテル/酢酸エチル2:1)。−H−NMR(300MHz, CDCl): δ=7.26 (d,J=5.6Hz,1H,Har)、6.90(d,J=5.6Hz,1H,Har)、3.86(t,J=6.6Hz,2H,CH−OH)、2.89(t,J=6.6Hz,2H,CarCH)、1.75(s,1H,OH)。−13C−NMR (75MHz,CDCl):δ=138.1(Car−CH)、128.7(Car)、 125.8(Car)、110.5(Car−Br)、62.2(CH−OH)、32.9(Car−CH)。−MS(EI), m/z (%): 208/206(52/51)[M]、177/175(100/91)[(CBrS)],97(38)。−HRMS(CBrOS):計算値205.9401、実測値205.9402。
【0215】
1.2 2−(2−ブロモ−5−ヨードチオフェン−3−イル)酢酸エチル:
【化29】
2−(2−ブロモチオフェン−3−イル)エタノール(9.11g、44.0ミリモル、1.00当量)を酢酸(50mL)に溶解した。N−ヨードコハク酸イミド(10.4g、46.2ミリモル、1.05当量)を加えた後、得られた懸濁液を100℃で4時間撹拌した。反応混合物を水(50mL)に加え、相を分離させ、ジクロロメタン(50mL)で水相を抽出した。合わせた有機相を、1Mの水酸化ナトリウム水溶液(50mL)、10%チオ硫酸ナトリウム溶液(50mL)、水(50mL)および飽和塩化ナトリウム溶液(50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、溶離剤として石油エーテル/酢酸エチル(3:1)を用いてシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した。15.4g(93%)の生成物をオレンジ色の油状物として得た。
=0.54 (石油エーテル/酢酸エチル3:1)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=7.01(s,1H,Har)、4.20(t,J=6.9Hz,2H,CH−O)、2.88 (t,J=6.9Hz,2H,Car−CH)、2.05(s,3H,CH)。 −13C−NMR (75MHz,CDCl):δ=171.0(C=0)、140.0(Car−CH)、138.1(Car)、113.7(Car−Br)、71.7(CarI)、63.2(CH−O)、28.8(Car−CH)、21.2(CH)。− FTIR:ν=2952、1735、1363、1228、1036cm−1。−MS(EI), m/z (%): 376/374 (15/15)[M]、316/314(100/100)[(CBrIS)]、190/188(8/9)[(CBrS)]。−HRMS(CBrIOS):計算値373.8473、実測値373.8463。
【0216】
1.3 2−(2−ブロモ−5−ヨードチオフェン−3−イル)エタノール:
【化30】
2−(2−ブロモ−5−ヨードチオフェン−3−イル)酢酸エチル(17.1g、45.7ミリモル、1.00当量)を、テトラヒドロフラン(300mL)および1Mの水酸化ナトリウム水溶液(200mL)の混合物に溶解し、そして、混合物を70℃で4時間撹拌した。反応混合物をトルエン(100mL)で希釈し、有機相を各々100mLの水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、溶離剤として石油エーテル/酢酸エチル(3:1)を用いてシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した。14.9g(98%)の生成物を淡い黄色の固体として得た。
【0217】
=0.23 (石油エーテル/酢酸エチル3:1)。H−NMR(300MHz,CDCl):δ=7.06(s,1H,Har)、3.82(t,J=6.4Hz,2H,CH−OH)、2.82(t,J=6.4Hz,2H,Car−CH)、1.44(s,1H,OH)。−13C−NMR(75MHz,CDCl):δ=140.5(Car−CH)、138.4(Car)、113.4(Car−Br)、71.8(Car−I)、62.0(CH−OH)、32.7(Car−CH)。−FTIR:ν=3257、2952、999cm−1。−MS(EI), m/z(%):334/332(91/94)[M]、303/301(100/99)[(CBrIS)]。−HRMS(CBrIOS):計算値331 .8367、実測値331.8363。
【0218】
フルオレン単位の合成:
1.4 2.7−ジブロモ−9−メチルフルオレン:
【化31】
ヘキサン中の、1.54 Mのn−ブチルリチウムの溶液(35mL、3.42g、53.4ミリモル、1.01当量)を、テトラヒドロフラン(300mL)中の2,7−ジブロモフルオレン(17.1g、52.9ミリモル、1.00当量)の溶液に−78℃でゆっくりと滴下して加えた。5分後、ヨードメタン(8.26g、58.2ミリモル、1.10当量)をゆっくりと滴下して加えた。反応混合物を4時間撹拌し、次いで、ジクロロメタン/水(2:1、100mL)に加えた。水相を更にジクロロメタンで抽出し、合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥、そして、溶媒を減圧下で除去した。残留物を石油エーテルから再結晶させた。11.8g(66%)の生成物を黄色の固体として得た。
【0219】
1.5 2,7−ジブロモ−9−(3−ヒドロキシプロピル)−9−メチルフルオレン
【化32】
2,7−ジブロモ−9−メチルフルオレン(9.03g、26.7ミリモル、1.00当量)をジメチルスルホキシド(150mL)に溶解した。これに、水酸化カリウム(1.65g、29.4ミリモル、1.10当量)、18−クラウン−6(141mg、534マイクロモル、0.02当量)、水(5mL)および3−ブロモプロパン−1−オール(3.90g、28.0ミリモル、1.05当量)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いでジクロロメタン(100mL)に注意深く加えた。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(50mL)および水(50mL)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物を、溶離剤としてジクロロメタンを用いてシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した。5.73g(54%)の生成物を黄色の固体として得た。−R=0.40(ジクロロメタン)。H−NMR(300MHz,CDCl):δ=7.53(d,J=8.1Hz,2H, 2xHar)、7.50(d,J=1.5Hz,2H,2xHar)、7.45(d,J=8.1Hz,J=1.5Hz,2H,2xHar)、3.34−3.41(m,2H,CH−OH)、1.98−2.05(m,2H,CH)、1.46(s,3H,CH)、0.83−0.94(m,2H,CH)。−13C−NMR(75MHz,CDCl):δ=153.3(2xCar)、138.2(2xCar)、130.5(2xCar)、126.3(2xCar)、121.7(2xCar−Br)、121.5(2xCarH)、 62.8(CH−OH)、51.0(CH)、36.6(CH)、27.6(CH)、26.6(CH)。−MS(EI),m/z(%):398/396/394(50/99/53)[M]、 339/337/335(56/100/51)[(C1419Br]、258/256(76/75)[(C1419Br)]、176(89)。−HRMS(C1716BrO):計算値393.9568、実測値393.9605。
【0220】
カルバゾール単位の合成:
1.6 4,4−ジブロモ−2−ニトロビフェニル:
【化33】
発煙硝酸(92mL)および水(8mL)の混合物を、酢酸(300mL)中の4,4−ジブロモビフェニル(20g、0.064モル、1.00当量)の溶液に100℃で徐々に加えた。反応混合物を100℃で30分間撹拌した。室温に冷却後、反応混合物を水(100mL)に加え、ジクロロメタン(100mL)で抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をエタノールから再結晶させた。18.1g(79%)の生成物を黄色の固体として得た。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=8.03(d,J=2.0Hz,1H,Har)、7.76(dd,J=8.3Hz,J=2.0Hz, 1H, Har)、7.56(d,J=8.6Hz,2H,2xHar)、7.29(q,J=8.3Hz,1H,Har)、7.16(d,J=8.6Hz,2H,2xHar)。−13C−NMR(75MHz,CDCl):δ=145.8(Car−NO)、135.7(CarH)、135.4(Car)、134.3(Car)、133.2(CarH)、132.2 (2xCarH)、129.6(2xCarH)、127.4(CarH)、123.2(Car−Br)、122.0(Car−Br)。−MS(EI),m/z(%):359/357/355(50/100/51 )[M]、232/230(50/47)[(C12Br)]、151(65)[(C12]。−HRMS(C12BrNO):計算値354.8844、実測値354.8846。
【0221】
1.7 2,7−ジブロモカルバゾール:
【化34】
4,4−ジブロモ−2−ニトロビフェニル(18.2g、51.0ミリモル、1.00当量)および亜リン酸トリエチル(100mL)の混合物を160℃で18時間撹拌した。室温に冷却した後、反応混合物を水(100mL)に加え、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、過剰の亜リン酸トリエチルを160℃で留去した。粗生成物を、溶離剤として石油エーテル/酢酸エチル(20:1)を用いてシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した。10.0g(60%)の生成物を黄色の固体として得た。−R=0.23(石油エーテル/酢酸エチル20:1)。−H−NMR(300MHz,アセトン−d):δ=10.60(bs,1H,NH)、8.06(d,J=8.5Hz,2H,2xHar)、7.73(d,J=1.7Hz,2H,2xHar)、7.35(dd,J=8.5Hz,J=1.7 Hz,2H,2xHar)。−13C−NMR (75MHz,アセトン−d):δ=141.9(2xCar−NH)、123.3(2xCarH)、122.6(2xCarH)、119.9(2xCar−Br)、114.9(2xCar)、114.8(2xCarH)。−MS(EI),m/z(%):327/325/323(50/100/51)[M]、246/244(14/15)[(C12BrN)]。−HRMS(C12BrN): 計算値322.8945、実測値322.8927。
【0222】
イミダゾールエステル用アルコールの合成:
1.8 1−ブチルシクロペンタノール:
【化35】
ヘキサン中の、1.6Mのn−ブチルリチウムの溶液(31.3mL、3.20g、50.0ミリモル、1.00当量)を、テトラヒドロフラン中の、シクロペンタノン(4.21g、50.0ミリモル、1.00当量)および0.6Mの塩化ランタンビス(塩化リチウム)錯体溶液(40.0mL、4.13g、12.5ミリモル、0.25当量)の溶液に−78℃でゆっくり滴下して加えた。溶液を一晩攪拌しながら徐々に室温まで加温した。飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)を反応混合物に加え、そして、相を分離し、ジエチルエーテルで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物を、石油エーテル/酢酸エチル(10:1)を溶離剤としてシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにより精製した。5.46g(70%)の生成物を黄色の油状物として得た。−R=0.2(石油エーテル/酢酸エチル10:1)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=1.74−1.86(m,3H,OH+CH)、1.52−1.66(m,8H,4xCH)、1 .26−1.43(m,4H,2xCH)、0.91(t,J=7.0Hz,3H,CH)。−13C−NMR(75MHz,CDCl):δ=82.7(C−OH)、41.4(CH)、39.8(2xCH)、27.1(CH)、24.0(2xCH)、23.5(CH)、14.3(CH)。−FTIR:ν=3376、2954、2871、1696、1634、988cm−1。−MS(EI),m/z(%):142(6)[M]、113(57)[(C13O)]、110(23)[(C13O)]、85(100)[(CO)]、85(100)[(CO)]、58(29)。−HRMS(C18O): 計算値142.1358、実測値142.1345。
【0223】
1.9 2−メチルオクト−3−イン−2−オール:
【化36】
ヘキサン中の、1.6Mのn―ブチルリチウムの溶液(34.4mL、3.52g、55.0ミリモル、1.10当量)を、テトラヒドロフラン(50mL)中の1−へキシン(4.1 1g、50.0ミリモル、1.00当量)の溶液に−78℃でゆっくりと滴下して加えた。1時間後、反応混合物を室温まで加温し、次いで−78℃に再度冷却した。次いで、アセトン(3.49g、60.0ミリモル、1.20当量)をゆっくりと滴下し加えた。溶液を一晩攪拌しながら徐々に室温に加温した。水(20mL)を反応混合物に加え、有機相を各々水20mLで3回洗浄した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物を、石油エーテル/酢酸エチル(10:1)を溶離剤として用いてシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した。5.47g(78%)の生成物を透明な油状物として得た。−R=0.32(石油エーテル/酢酸エチル10:1)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=2.17(t,J=6.9Hz,2H,CH)、1 .96(bs,1H,OH)、1.32−1.52(m,4H,2xCH)、1.48(s,6H,2xCH)、0.89(t,J=7.0Hz,3H,CH)。−13C−NMR(75MHz,CDCl):δ=85.2(C−C)、82.7(C−CH)、65.4(C−OH)、31 .9(2xCH)、30.9(CH)、22.0(CH)、18.03(CH)、13.7(CH)。−FTIR:ν=3354、2978、2934、2871、2235、1462、1362、1238、1163、944、554cm−1。−MS(EI),m/z(%):140(1)[M]、125(100)[(C13O)]、43(100)[(C]。−HRMS(C16O):計算値140.1201、実測値140.1 197。
【0224】
1.10 1−ヘキサ−1−イン−1−イル)シクロヘキサノール
【化37】
ヘキサン中の、1.6Mのn−ブチルリチウムの溶液(34.4mL、3.52g、55.0ミリモル、1.10当量)を、テトラヒドロフラン(50mL)中の1−ヘキシン(4.11g、50.0ミリモル、1.00当量)の溶液に−78℃でゆっくりと滴下して加えた。1時間後、反応混合物を室温まで加温し、次いで−78℃に再度冷却した。次いで、シクロヘキサノン(5.89g、60.0ミリモル、1.20当量)をゆっくりと滴下して加えた。一晩攪拌しながら溶液を徐々に室温まで加温した。水(20mL)を反応混合物に加え、有機相を各々水20mLで3回洗浄した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物を、石油エーテル/酢酸エチル(10:1)を溶離剤として用いてシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した。8.21g(91%)の生成物を黄色の油状物として得た。−R=0.23(石油エーテル/酢酸エチル10:1)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=2.21(t,J=6.9Hz,2H,CH)、1.80−1.91(m,2H,CH)、1.77(s,1H,OH)、1.60−1.72(m, 2H,CH)、1.23−1.58(m,10H,5xCH)、0.90(t,J=7.2Hz,3H,CH)。−13C−NMR(75MHz,CDCl):δ=84.8(C−C)、84.0(C−CH)、68.9(C−OH)、40.4(2xCH)、31.0 (CH)、25.4(CH)、23.6(2xCH)、22.0(CH)、18.5(CH)、13.7(CH)。−FTIR:ν=3362、2929、2859、1447、1061、963cm−1。−MS(EI),m/z(%):180(18)[M]、137(100)[(C13O)]。−HRMS(C1118O):計算値180.1514、実測値180.1521。
【0225】
1.11 9−メチルヘプタデカン−9−オール
【化38】
テトラヒドロフラン(100mL)中の1−ブロモオクタン(19.3g、100ミリモル、1.00当量)の溶液を、テトラヒドロフラン(10mL)中のマグネシウム研削屑(2.67g、110ミリモル、1.10当量)の懸濁液に滴下して加え、次いで、80℃で6時間撹拌した。その後、テトラヒドロフラン(80mL)中の酢酸エチル(2.20g、50ミリモル、0.50当量)の溶液を滴下して加え、そして、混合物を80℃で5 時間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液(100mL)に加え、ジエチルエーテル(30mL)で抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物を、石油エーテル/酢酸エチル(20:1)を溶離剤として用いてシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した。5.86g(44%)の生成物を黄色の油状物として得た。−R=0.23(石油エーテル/酢酸エチル20:1)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=1.40−1.46(m,4H,2xCH)、1.23−1.35(m, 25H,12xCH+OH)、1.14(s,3H,CH)、0.88(t,J=6.6Hz,6 H,2xCH)。−13C−NMR(75MHz,CDCl):δ=73.0(Car−OH)、42.0(2xCH)、32.1(2xCH)、30.4(2xCH)、29.8(2xCH)、29.5(2xCH)、27.1(CH)、24.1(2xCH)、22.8(2xCH)、14.3(2xCH)。−MS(EI),m/z(%):270(1)[M]、255(50)[(C1735O)]、157(100)[(C1021O)]。− HRMS(C1838O):計算値270.2923、実測値270.2894。
【0226】
イミダゾールエステルの合成:
イミダゾールエステルの製造のための一般的な手法(GP1):
トルエン(5.0mL/アルコールのミリモル)中の、対応するアルコール(1.00当量)、1,1−カルボニルジイミダゾール(1.10当量)および水酸化カリウム(0.01当量)の懸濁液を60℃で18時間攪拌した。減圧下で溶媒を除去し、残りの残渣をジクロロメタン(50mL)で再び収容した。有機相を各々50mLの水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物を、石油エーテル/酢酸エチルの混合物を溶離剤として用いてシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0227】
1.12 2−メチルヘキサン−2−イル 1H−イミダゾール−1−カルボン酸塩:
【化39】
2−メチルへキサン−2−オール(9.30g、80.0ミリモル、1.00当量)、1,1−カルボニルジイミダゾール(15.7g、88.0ミリモル、1.10当量)および水酸化カリウム(45.0mg、800マイクロモル、0.01当量)から出発してGP1に従って合成を行なった。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル5:1)により精製した後、11.7g(70%)のイミダゾールエステルを透明な液体として得た。−R=0.18(石油エーテル/酢酸エチル5:1)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=8.04(s,1H,Har)、7.34(s,1H, Har)、7.01(s,1H,Har)、1.83−1.89(m,2H,CH)、1.58(s,6H,2xCH)、1.30−1.38(m,4H,2xCH)、0.89−0.92(m,3H,CH)。−13C−NMR(75MHz,CDCl):δ=147.1(C=O)、137.2(CarH)、130.4(CarH)、117.2(CarH),88.1(O−C)、40.6(CH)、26.2(CH)、25.9(2xCH)、22.6(CH)、14.0(CH)。−FTIR:ν=1752cm−1。−MS(EI),m/z(%):210(10)[M]、153(18)[(C]、99(100)[(C15]、95(45)[(CO)]。−HRMS(C1118):計算値210.1368、実測値210.1355。
【0228】
1.13 1−ブチルシクロペンチル 1H−イミダゾール−1−カルボン酸塩:
【化40】
1−ブチルシクロペンタノール(2.13g、150ミリモル、1.00当量)、1,1−カルボニルジイミダゾール(3.80g、18.8ミリモル、1.10当量)および水酸化カリウム(8.00mg、150マイクロモル、0.01当量)から出発してGP1に従って合成を行なった。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル5:1)により精製した後、1.04g(29%)のイミダゾールエステルを透明な液体として得た。−R=0.19(石油エーテル/酢酸エチル5:1)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=8.07(s,1H,CarH)、7.37(s,1H,CarH)、7.04(s,1H,CarH)、2.23−2.34(m,2H,CH)、2.04−2.10(m,2H,CH)、1.66−1.84(m,6H,3xCH)、1.27−1.37(m,4H,2xCH)、0.89(t,J=7.1Hz,3H,CH)。−13C−NMR(75MHz,CDCl):δ=145.4(C=O)、137.2(CarH)、130.5(CarH)、117.2(CarH)、98.8(O−C)、37.6(2xCH)、36.8(CH)、 26.8(CH)、24.0(2xCH)、23.0(CH)、14.1(CH)。−FTIR:ν=2959、2872、1752、1469、1382、1286、1239、1171、999、772cm−1。−MS(EI),m/z(%):275[(M+K)]、259[(M+Na)]、236[M]。−HRMS(C1320Na):計算値259.1422、 実測値259.1419。−HRMS(C1320K): 計算値275.1162、 実測値275.1159。
【0229】
1.14 2−メチルオクト−3−イン−2−イル 1H−イミダゾール−1−カルボン酸塩:
【化41】
2−メチルオクト−3−イン−2−オール(1.01g、7.20ミリモル、1.00当量)、1,1−カルボニルジイミダゾール(1.41g、7.92ミリモル、1.10当量)および水酸化カリウム(4.00mg、72.0マイクロモル、0.01当量)から出発してGP1に従って合成を行なった。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル10:1)により精製した後、1.25g(74%)のイミダゾールエステルを透明な液体として得た。−R=0.14(石油エーテル/酢酸エチル10:1)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=8.08(s,1H,Har)、7.38(s,1H,Har)、7.03(s,1H,Har)、2.21(t,J=7.0Hz,2H,CH)、1.79(s,6H,2xCH)、1.32−1.53(m,4H,2xCH)、0.89(t,J=7.2Hz,3H,CH)。−13C−NMR(75MHz,CDCl):δ=146.7(C=O)、137.3(CarH)、130.5(CarH)、117.3(CarH)、87.3 (C−C)、79.8(C−CH)、77.7(O−C)、30.6(CH)、29.5(2 xCH)、22.0(CH)、18.5(CH)、13.7(CH)。−FTIR:ν=2989、2933、2689、2247、163、1468、1379、1291、1241、1125、1091、998、839、769、649cm−1。−MS(EI),m/z(%):234(4)[M]、123(100)[(C15]、81(71)[(C]。−HRMS(C1318):計算値234.1368、実測値234.1366。
【0230】
1.15 1−(ヘキシ−1−イン−1−イル)シクロヘキシル 1H−イミダゾール−1−カルボン酸塩
【化42】
1−(ヘキシ−1−イン−1−イル)シクロヘキサノール(4.06g、22.5ミリモル、1.00当量)、1,1−カルボニルジイミダゾール(4.41g、24.8ミリモル、1.10当量)および水酸化カリウム(13.0mg、225マイクロモル、0.01当量)から出発してGP1に従って合成を行なった。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル5:1)により精製した後、5.24g(85%)のイミダゾールエステルを無色の固体として得た。−R=0.16(石油エーテル/酢酸エチル5:1)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=8.10(s,1H,Har)、7.40(s,1H,Har)、7.04(s,1H,Har)、2.17−2.28(m,4H,2xCH)、1.94−2.04(m,2H,CH)、1.30−1.71(m,10H,5xCH)、0.90(t,J=7.2Hz,3H,CH)。−13C−NMR(75MHz,CDCl):δ=146.3(C=O)、137.2(CarH)、130.4(CarH)、117.2(CarH)、89.0(C−C)、81.2(C−C)、78.5(C)、37.5(2xCH)、30.6(CH)、25.0(CH)、22.9(2xCH)、22.0(CH)、18.5(CH)、13.6(CH)。−FTIR:ν=2934、2860、2240、 1763、1467、1378、1283、1234、1167、1092、996、893、 830、765、742、649cm−1。−MS(EI),m/z(%):313[(M+K)]、297[(M+Na)]。−HRMS(C1622Na):計算値297.1579、実測値297.1574。
【0231】
1.16 9−メチルヘプタデカン−9−イル 1 H―イミダゾール−1−カルボン酸塩
【化43】
9−メチルヘプタデカン−9−オール(5.82g、21.5ミリモル、1.00当量)、1,1−カルボニルジイミダゾール(5.45g、26.9ミリモル、1.10当量)および水酸化カリウム(12.0mg、215マイクロモル、0.01当量)から出発してGP1に従って合成を行なった。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル10:1)により精製した後、6.71g(86%)のイミダゾールエステルを透明な液体として得た。−R=0.09(石油エーテル/酢酸エチル10:1)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=8.05(s,1H,Har)、7.35(s,1H,Har)、7.03(s,1H,Har)、1.79−1.99(m,4H,2xCH)、1.56(s,3H,CH)、1.23−1.36(m,24H,12xCH)、0.87(t,J=6.7Hz,6H,2xCH)。−13C−NMR(75MHz,CDCl):δ=147.1(C=O)、137.2(CarH)、130.4(CarH)、117.2(CarH)、90.8(C38.3(2xCH)、31.9(2xCH)、30.0(2xCH)、29.6(2xCH)、29.3(2xCH)、23.8(2xCH)、23.7(CH)、22.8(2xCH)、14.2(2xCH)。−FTIR:ν= 2925、2854、1753、1466、1380、1317、1281、1237、1187、1091、999、835、771、742、649cm−1。−MS(ESI),m/z(%):730[(M−H―M)]、403[(M+K)]、387[(M+Na)]。−HRMS(C2240Na):計算値387.2987、実測値387.2987。
【0232】
ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリン−1,3,6,8−テトラオン−4,9−ジイル単位の合成:
1.17 2,7−ジブロモナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボン酸二無水物:
【化44】
ナフタリン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物(20ミリモル、1当量)を、濃硫酸(97%、250mL)中に溶解した。ジブロモイソシアヌル酸(40ミリモル、2当量)を加えた。装置をアルミホイルで覆い、室温で7日間撹拌した。反応溶液を注意深く氷1.5kgの上に注ぎ、室温で1時間撹拌した。懸濁液を1時間静置し、そして、沈殿物を遠心分離により分離し、各回水とメタノールで、3回洗浄し、減圧下で乾燥させた。得られた固体を新しい無水酢酸中に懸濁し、120℃で5時間、アルゴン下で撹拌した。この混合物を室温に冷却し、冷蔵庫中で一晩保管した。沈殿物を濾過し、メタノールで洗浄し、減圧下で乾燥させた。4.80g(56%)の黄色の固体を得た。誘導体化反応から、この粗生成物が50%程度の濃度を有することが明らかであった。
IR(単位cm−1のν):1778(s,O−C=0)、1747(vs,O−C=O)、1568(m)。−MS(EI),m/z:268.0[(C14]、345.9[(C1479BrO]、423.8[(C1479Br]、501.7[(C1479Br]。
【0233】
1.18 2.7−ジブロモナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド N,N−ビス(ヘキサン−6,1−ジイル)ジプロピオナート
【化45】
2.7−ジブロモナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボン酸二無水物(粗生成物2.13g、5ミリモル)および6−アミノヘキサノール(1.46g、12.5ミリモル)をプロピオン酸とo−キシレンの混合物(1: 1,v:v)25mLに懸濁し、還流下で一晩加熱した。反応混合物を室温まで非常に徐々に冷却した。沈殿物を濾過し、酢酸で洗浄した。得られた固体を、30mLのプロピオン酸:o−キシレン(1: 1,v:v)から再結晶させた。沈殿物を濾過し、酢酸およびメタノールで洗浄し、減圧下で乾燥させた。粗生成物を、クロロホルムおよびトルエンの混合物(1: 1,v:v)と3%THFを溶離剤として用いてシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製した。1.13g(100%純粋な出発材料に対する理論値として30%)の生成物を黄色の固体として得た。−R=0.32(クロロホルム:トルエン(1: 1)+3%THF)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=8.99(s,2H,2xCHar)、4.19(t,J=7.7Hz,4H,2xN−CH)、4.06(t,J=6.6Hz,4H,2xO−CH)、2.32(q,J=7.6Hz,4H,(C=O)CH)、1.70−1.80(m,4H,CH)、1.65(m,4H,CH)、1.40−1.50(m,8H,CH)、1.13(t,J=7.6Hz,6H,CH)。−13C−NMR(75MHz,CDCl):δ=174.6(2xO−C=O)、160.7(2xN−C=O)、160.6(2xN−C=O)、139.1(2xCarH)、128.3(2xCq−ar)、127.7(2xCq−ar)、125.3(2xCq−ar)、124.0(2xCq−ar)、64.2(CH−O)、41.4(CH−N)、28.5(CH)、27.8(CH)、27.6((C=O)−CH)、26.6(CH)、25.6(CH)、9.2(CH)。−HR−MS(DART,NH−付加体,[C3240Br):計算値752.1177、実測値752.1166。−IR:(単位cm−1のν):1732(s,O−C=O)、1701(s,N−C=O)、1649(vs,N−C=O)、1559(m)。
【0234】
1.19 2,7−ビス(2′−チオフェニル)ナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド [N,N]−ビス(ヘキサン−6,1−ジイル)ジプロピオナート
【化46】
2.7−ジブロモナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド [N,N]−ビス(ヘキサン−6,1−ジイル)ジプロピオナート(368mg、0.5ミリモル)および2−(トリブチルスタンニル)チオフェン(560mg、1.5ミリモル)を 2.5mLの乾燥したDMFに溶解し、3回の真空ガス抜きにより酸素を除去した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(29mg、0.05当量)をアルゴン向流中で添加し、反応溶液を100℃で14時間攪拌した。 反応溶液を室温まで冷却し、次いで35mLのメタノールで希釈し、2時間撹拌した。沈殿物を濾過し、メタノールで洗浄し、次いで減圧下で乾燥させた。粗生成物を、クロロホルムおよびトルエンの混合物(1: 1,v:v)と3%THFを溶離剤として用いてシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製した。330mg(理論値の90%)の生成物を赤色の固体として得た。−R=0.33(クロロホルム:トルエン(1:1)+3%THF)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=8.75(s,2H,2xCHar)、7.58(dd,J=5.1Hz,J=1.2Hz,2H,CHar)、7.29(dd,J=3.6Hz,J=1.2Hz,2H,CHar)、7.21(dd,J=5.1Hz,J=3.6Hz,2H,CHar)、4.11(t,J=7.7Hz,4H,2xN−CH)、4.04(t,J=6.6Hz,4H,2xO−CH)、2.32(q,J=7.6Hz,4H,(C=O)CH)、1.58−1 .73(m,8H,CH)、1.36−1.43(m,8H,CH)、1.12(t,J=7.6Hz,6H,CH)。−13C−NMR (75MHz, CDCl):δ=174.6(2xO−C=O)、162.1(2xN−C=O)、161.9(2xN−C=O)、140.6(2xC−S)、140.3(2xC)、136.7(2xCarH)、128.2(2xS−CHar)、128.0(2xCarH )、127.5(2xC)、127.4 (2xCarH)、125.3(2x(C=O)−Cq−ar)、123.4(2x(C=O)−Cq−ar)、64.2(CH−O)、40.9(CH−N)、28.5(CH)、27.8(CH)、27.6((C=O)−CH)、26.6(CH)、25.6(CH)、9.1(CH)。−HR−MS(DART,NH−付加体,[C4046):計算値760.2721、 実測値760.2723。
【0235】
1.20 2,7−ビス(4′−ヘキシル−2′−チオフェニル)ナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド [N,N]−ビス(ヘキサン−6,1−ジイル)ジプロピオナート
【化47】
2.7−ジブロモナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド[N,N]−ビス(ヘキサン−6,1−ジイル)ジプロピオナート(368mg、0.5ミリモル)および2−(トリブチルスタンニル)−4−ヘキシルチオフェン(1.2g、5ミリモル、濃度60%)を5mLの乾燥したDMFに溶解し、3回の真空ガス抜きにより酸素を除去した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(46mg、0.08当量)をアルゴン向流中で添加し、反応溶液を100℃で2時間攪拌した。 反応溶液を室温まで冷却し、次いで50mLのメタノールで希釈し、3時間強く撹拌し、その後冷蔵庫中で一晩保管した。沈殿物を濾過し、メタノールで洗浄し、次いで減圧下で乾燥させた。粗生成物を、クロロホルムおよびトルエンの混合物(1: 1,v:v)と3%THFを溶離剤として用いてシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製した。349mg(理論値の77%)の生成物を赤色の固体として得た。−R=0.35(クロロホルム:トルエン(1: 1)+3%THF)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=8.74(s,2H,2xCHar)、7.16(s,2H,CHar)、7.13(s, 2 H, CHar)、4.11(t,J=7.7Hz,4H,2xN−CH)、4.04(t,J=6.6Hz,4H,2xO−CH)、2.69(t,J=7.7Hz,4H,2xC−CH)、2.30(q,J=7.6Hz,4H,(C=O)CH)、1.66−1.72(m,8H,CH)、1 .59−1.64(m,6H,CH)、1.36−1.43(m,10H,CH)、1.30−1.36(m,8H,CH)、1.12(t,J=7.6Hz,6H,CH)、0.91(t,J=6.9Hz,6H,CH)。−13C−NMR(75MHz,CDCl):δ=174.6(2xO−C=O)、162.2(2xN−C=O)、162.0(2xN−C=O)、143.7(2xC)、140.6(2xC−S)、140.3(2xC)、136.7(2xCHar)、129.7(2xCHar)、127.3(2xC)、125.2(2x(C=O)−Cq−ar)、123.0(2x(C=O)−Cq−ar)、122.8(2xCHar)、64.2(CH−O)、40.9(CH−N)、31.7(C−CH)、30.5(CH)、30.3(CH)、29.0(CH)、28.5(CH)、27.8(CH)、27.6((C=O)−CH)、26.6(CH)、25.6(CH)、22.6(CH)、14.1(CH)、9.1(CH)。−HR−MS(ESI,Na−付加体,[C5266NaO):計算値933.4152、実測値933.4160。
【0236】
1.21 2,7−ビス(5′−ブロモ−2′−チオフェニル)ナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド[N,N]−ビス(ヘキサン−6,1−ジイル)ジプロピオナート
【化48】
最初に、2,7−ビス(2′−チオフェニル)ナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド[N,N]−ビス(ヘキサン−6,1−ジイル)ジプロピオナート(330mg、0.44ミリモル)を、乾燥させた50mLのシュレンク管に投入し、アルゴン雰囲気を生じさせた。22mLの乾燥させたN,N−ジメチルホルムアミドおよびN−ブロモコハク酸イミド(190mg、1.07ミリモル)を添加し、反応混合物を暗中、室温で5日間撹拌した。次いで、溶媒を減圧下で除去し、残渣を5mLのクロロホルムに溶解した。30mLのメタノールを添加し、混合物を3時間強く撹拌した。沈殿物を濾過し、メタノールで洗浄し、減圧下で乾燥させた。粗生成物を、クロロホルムおよびトルエンの混合物(1: 1,v:v)と2.5%THFを溶離剤として用いてシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製した。372mg(理論値の93%)の生成物を赤色の固体として得た。−R=0.30(クロロホルム:トルエン(1: 1)+3%THF)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=8.71(s,2H,2xCHar)、7.16(d,J=3.8Hz,2H,CHar)、7.07(d,J=3.8Hz,2H,CHar)、4.12(t,J=7.7Hz,4H,2xN−CH)、4.05(t,J=6.6Hz,4H,2xO−CH)、2.30(q,J=7.6Hz,4H,(C=O)CH)、1.58−1.73(m,8H,CH)、1.36−1.43(m,8H,CH)、1.12(t,J=7.6Hz,6H,CH)。−13C−NMR(75MHz,CDCl):δ=174.6(2xO−C=O)、161.9(2xN−C=O)、161.8(2xN−C=O)、141.9(2xC−S)、139.1(2xC)、136.5(2xCarH), 130.2(2xS−CHar), 128.8(2xCarH)、127.5(2xC)、125.6(2x(C=O)−Cq―ar)、123.2(2x(C=O)−Cq―ar)、115.4(Cq―arBr)、64.2(CH−O)、41.0(CH−N)、28.5(CH)、27.8(CH)、27.6((C=O)−CH)、26.6(CH)、25.6(CH)、9.1(CH)。−HR−MS(DART,Na−付加体,[C4044Br):計算値916.0931、実測値916.0915。
【0237】
1.22 2,7−ビス(5′−ブロモ−4′−ヘキシル−2′−チオフェニル)ナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド[N,N]−ビス(ヘキサン−6,1−ジイル)ジプロピオナート
【化49】
最初に、2,7−ビス(4′−ヘキシル−2′−チオフェニル)ナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド[N,N]−ビス(ヘキサン−6,1−ジイル)ジプロピオナート(328mg、0.36ミリモル)およびN−ブロモコハク酸イミド(225mg、1.44ミリモル)を、乾燥させた25mLのシュレンク管に投入し、アルゴン雰囲気を生じさせた。15mLの乾燥させたテトラヒドロフランを添加し、反応混合物を暗中、室温で4日間撹拌した。次いで、溶媒を減圧下で除去し、残渣を5mLのジクロロメタンに溶解し、ジクロロメタンで平衡化した短いシリカゲルカラムに適用し、純粋なジクロロメタンで注意深く洗浄した。生成物をジクロロメタンとテトラヒドロフランの溶媒混合物(100:2,v:v)で溶出させた。暗赤色の画分を合わせ、溶媒を除去した。このようにして得られた祖生成物をメタノールから2回再結晶した。375mg(理論値の97%)の生成物を紫色の固体として得た。−R=0.37(クロロホルム:トルエン(1:1)+3%THF)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=8.71(s,2H,2xCHar)、7.03(s,2H,CHar)、4.12(t,J=7.7Hz,4H,2N−CH)、4.05(t,J=6.6Hz,4H,2xO−CH)、2.64(t,J=7.7Hz,4H,2xC−CH)、2.30(q,J=7.6Hz,4H,(C=O)CH)、1.60−1.71(m,14H,CH)、1.41(s,10H,CH)、1 .34(m,8H,CH)、1.12(t,J=7.6Hz,6H,CH)、0.91(t,J=6.9Hz,6H,CH)。−13C−NMR(75MHz, CDCl):δ =174.6(2xO−C=O)、162.1(2xN−C=O)、162.0(2xN−C=O)、142.5(2xC)、140.0(2xC)、139.5(2xC), 136.4(2xCHar)、129.6(2xCHar)、127.4(2xC)、125.4(2x(C=O)−Cq−ar)、122.9(2x(C=O)−C)、112.5(2xCq−arBr)、64.2(CH−O)、41.0(CH−N)、31.6(C−CH)、29.7(CH)、29.0(CH)、28.5(CH)、27.8(CH)、27.6((C=O)−CH)、26.6(CH)、25.6(CH)、22.6(CH)、14.1(CH)、9.1(CH)。−HR−MS(ESI,Na−付加体,[C5264BrNaO):計算値1089.2363、実測値1089.2371。
【0238】
1.23 2,7−ビス(5′−ブロモ−2′−チオフェニル)−[N,N]−ビス(ヘキサン−1−イル−6−オール)ナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド
【化50】
2,7−ビス(5′−ブロモ−4′−ヘキシル−2′−チオフェニル)ナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド[N,N]−ビス(ヘキサン−6,1−ジイル)ジプロピオナート(360mg、0.4ミリモル)を、16mLのクロロホルムと4mLのメタノールの混合物に溶解し、100μLの濃塩酸を加えた。装置を脱気し、アルゴン下で還流させながら18時間加熱し、次いで徐々に室温まで冷却し、冷蔵庫に3時間保管した。沈殿物を分離し、クロロホルムとメタノールの冷混合物(1:1,v:v)および純粋なメタノールで連続的に洗浄した。減圧下で乾燥の後、276mgの紫色の固体を得たが、その不溶性のためにこれ以上には精製しなかった(理論値の88%)。−融点:226℃。−IR:(単位cm−1のν):3100−3300(vbs,OH)、1698(s,N−C = O)、1659(vs,N−C = O)、1571(m)。− HR−MS(MALDI,DCTBマトリックス,
[C3433Br):計算値787.01413、実測値787.01419。
【0239】
1.24 2,7−ビス(5′−ブロモ−4′−ヘキシル−2′−チオフェニル)−[N,N]−ビス(ヘキサン−1−イル−6−オール)ナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド
【化51】
2,7−ビス(5′−ブロモ−4′−ヘキシル−2′−チオフェニル)ナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド[N,N]−ビス(ヘキサン−6,1−ジイル)ジプロピオナート(374mg、0.35ミリモル)を、16mLのクロロホルムと4mLのメタノールの混合物に溶解し、100μLの濃塩酸を加えた。装置を脱気し、アルゴン下で還流させながら8時間加熱し、次いで徐々に室温まで冷却した。溶媒を減圧下で除去した。残渣を15mLのメタノールに懸濁させ、固体を濾過し、メタノールで洗浄した。紫色の固体をクロロホルムに部分的に再溶解し、そして溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、クロロホルムおよびトルエンの混合物(1: 1,v:v)と5%エタノールを溶離剤として用いてシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製した。330mg(理論値の99%)の生成物を紫色の固体として得た。−R=0.14(クロロホルム:トルエン(1: 1)+5%エタノール)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=8.70(s,2H,2xCHar)、7.03(s,2H, CHar)、4.12(t, J=7.7Hz,4H,2xN−CH)、3.63(t,J=6.6Hz,4H,2xO−CH)、2.64(t,J=7.7Hz,4H,2xC−CH)、1.60−1.73(m,8H,CH)、1.57(m,4H,CH)、1.37−1 .44(m,12H,CH)、1.32−1.37(m,10H,CH)、0.91(t,J=6.9Hz,6H,CH)。−13C−NMR(75MHz,CDCl):δ=162.1(2xN−C=O)、162.0(2xN−C=O)、142.5(2xC)、140.0(2xC)、139.5(2xC)、136.4(2xCHar)、129.6(2xCHar)、127.4(2xC)、125.4(2x(C=O)−Cq−ar)、122.9(2x(C=O)−C)、112.5(2xCq−arBr)、62.8(CH−O)、41.0(CH−N)、32.6(CH)、31.6(C−CH)、29.7(CH)、29.0(CH)、27.9(CH)、26.7(CH)、25.3(CH)、22.6(CH)、14.1(CH)。−HR−MS(ESI,H−付加体,[C4657Br): 計算値955.2019、実測値955.2025。
【0240】
1.25 ビス(2−メチルへキサン−2−イル)ジカルボナート
【化52】
乾燥したトルエンとテトラヒドロフランの比2:1(v:v)の混合物260mL中の2−メチル−2−ヘキサノール(15.1g、1.0当量、130ミリモル)の溶液に、3.14gの粉末状の水素化ナトリウム(1.05当量、136ミリモル)を、氷で冷やしながら、向流の保護ガスの中で、段階的に加えた。反応混合物を還流下で18時間加熱し、この過程で固体の大部分を溶解した。室温に冷却後、わずかに濁った溶液を−78℃に冷却し保護ガスの下、約−100℃で大過剰の固体二酸化炭素に徐々に移した。反応混合物を徐々に室温に加温した。さらに2時間、乾燥した二酸化炭素を粘稠な反応混合物に通した。その後、反応混合物を冷却して0℃に戻し、触媒量のDMF(51μL、0.005当量、0.6ミリモル)を添加し、さらに塩化オキサリル(5.6mL、0.5当量、65ミリモル)および触媒量の、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド(338mg、0.014当量、1.8ミリモル)とピリジン(315μL、0.03当量、3.9ミリモル)を添加した。ガス発生終了後、反応混合物を室温に加温し、2日間撹拌した。その後、35mLの1%硫酸水溶液を添加した。有機相を分離し、水で洗浄した。水相をジエチルエーテルで3回抽出した。合わせた有機抽出物を合わせ、飽和食塩水および硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。石油エーテルと酢酸エチルの20:1(v:v)の溶離剤混合物を用いて、粗生成物をシリカ上のカラムクロマトグラフィーにより精製した。7.01g(理論値の37%)の所望の生成物を無色油状物として得た。−Rf= 0.45(石油エーテル/酢酸エチル20:1)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=1.82−1.75(m,4H,C−CH)、1.50(s,12H,C−CH)、1.36−1.28(m,8H,CH)、0.91(t,6H,C−CH)。−13C−NMR(75MHz,CDCl):δ=146.7(O−(C=O)−O)、87.5(C)、40.0(C−CH)、25.6(CH)、25.2(CH)、22.8(CH)、13.9(CH)。−元素分析:理論値:C:63.55, H:10.00;実測値:C:63.80, H:9.98。
【0241】
1.26 テトラブチル−2.7−ビス(4′−ヘキシルチオフェン−2′−イル)ナフタリン−1,4,5,8−テトラカルボキシレート
【化53】
テトラブチル−2,7−ジブロモナフタリン−1,4,5,8−テトラカルボキシレート (1.506g、2.2ミリモル、1.00当量)および4−ヘキシル−2−(トリブチルスタンニル)チオフェン(3.02g、6.6ミリモル、3当量)を、12mLの乾燥したΝ,Ν−ジメチルホルムアミドに溶解し、凍結脱気法により3回脱気した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(114mg、0.1ミリモル、0.045当量)を加え、反応混合物を105℃で5時間、保護ガス下で撹拌した。混合物に、45mLの20%フッ化カリウム水溶液を加え、水相を各回45mLのメチル−tert−ブチルエーテルで3回抽出した。合わせた有機抽出物を、水で2回洗浄し、飽和食塩水および硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。石油エーテルとジクロロメタンの溶離剤混合物(混合比:9:1−>1:1−>1:5(v:v))を用いて、粗生成物をシリカ上のカラムクロマトグラフィーにより精製した。1.53g(理論値の72%)の目的物を粘性のある黄色の油状物として得た。−Rf= 0.34(石油エーテル/酢酸エチル15:1)。−H−NMR(300.51MHz,CDCl):δ[PPM]=7.95(s,2H,Har)、7.01 (d,J=1.1Hz,2H, Har)、6.89(d,J=1.3Hz,2H,Har)、4.29(t,J=6.8Hz,4H,CH)、4.02(t,J=6.8Hz,4H,CH)、2.59(t,J=7.8Hz,4H,CH)、1.77(p,J=7.8Hz,4H,CH)、1.61−1.67(m,4H,CH)、1.26−1.53(m,20H,CH)、1.16(m,4H,CH)、0.97(t,J=7.3Hz,6H,CH)、0.92(t,J=8.0Hz,6H,CH)、0.82(t,J=7.3Hz,6H,CH)。−APCI−MS:[M−BuO計算値 m/z=787.37、実測値:787.32。
【0242】
1.27 テトラブチル−2.7−ビス(5′−ブロモ−4′−ヘキシルチオフェン−2′−イル)ナフタリン−1,4,5,8−テトラカルボキシレート
【化54】
乾燥したテトラヒドロフラン95mL中のテトラブチル−2,7−ビス(4′−ヘキシルチオフェン−2′−イル)ナフタリン−1,4,5,8−テトラカルボキシレート(1.77ミリモル、1.00当量)の溶液1.52gに、1.26gのN−ブロモコハク酸イミド(7.08ミリモル、4.00当量)を保護ガス下で加えた。反応溶液を暗所で2日間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、石油エーテルとジクロロメタンの溶離剤混合物(混合比:9:1−>1:1−>1:5(v:v))を用いて、粗生成物をシリカ上のカラムクロマトグラフィーにより精製した。1.80g(理論値の99%)の目的物を黄色の固体として得た。−Rf=0.35(石油エーテル/酢酸エチル15:1)。−H−NMR(300.51MHz,CDCl):δ[PPM]=7.95(s,2H,Har)、7.01(d,J=1.1Hz,2H,Har)、6.89(d,J=1.3Hz,2H,Har)、4.29(t,J=6.8Hz,4H,CH)、4.02(t,J=6.8Hz,4H,CH)、2.59(t,J=7.8Hz,4H,CH)、1.77 (p, J = 7.8 Hz, 4H, CH)、1.61−1.67 (m, 4H, CH)、1.26−1.53(m,20H,CH)、1.16(m,4H,CH)、 0.97(t,J=7.3Hz,6H,CH)、0.92(t,J=8.0Hz,6H,CH)、0.82(t,J=7.3Hz,6H,CH)。−APCI−MS:[M−BuO、C4657Br、計算値:m/z=943.19:945.19:947.19(1:2:1)、実測値:943.12:945.08:947.03(1:2:1)。
【0243】
1.28 2.7−ビス(5′−ブロモ−4′−ヘキシルチオフェン−2′−イル)ナフタリン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物
【化55】
テトラブチル−2.7−ビス(5′−ブロモ−4′−ヘキシルチオフェン−2′−イル)ナフタリン−1,4,5,8−テトラカルボキシレート(1.80g、1.77ミリモル、1.00当量)を72mLのエタノールに懸濁させ、水4mL中の水酸化ナトリウム(15ミリモル、21.0当量)の溶液1.49gを加えた。反応装置を保護ガスでパージし、還流下で20時間加熱した。室温に冷却した後、混合物を0℃に冷却し、4.5mLの濃塩酸を添加し、混合物をさらに20分間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を石油エーテル中で懸濁させた。得られた固体を遠心分離により除去し、石油エーテルで2回以上洗浄し、最後に50mLのアセトン中に取り込んだ。残った無色の固体を濾過により除去し、さらに100mLのアセトンで洗浄し、ろ液を回収した。溶媒の除去後赤褐色の固体を得て、これを減圧下で乾燥させ、100mLのフラスコに移した。保護ガス雰囲気下、35mLの無水酢酸を添加し、懸濁液を110℃で5時間撹拌した。室温に冷却後、反応混合物を冷蔵庫に6℃で一晩保管した。固体を分離し、50mLの無水酢酸とmLのメチルtert−ブチルエーテルの各々で洗浄した。残留物を減圧下で乾燥させ、966mg(理論値の72%)の所望の生成物を深い紫色の固体として得た。−H−NMR(600.24 MHz,o−CCl):δ[ppm]=8.60(s,2 H,CHar)、7.28(s,2 H,CHar)、2.56(t,=7.7Hz,4H,CH)、1.57(m,4H,CH), 1 .37(m,4H,CH)、1.28−1.19(m,8H,CH)、0.86(t,6 H,CH)。−13C−NMR(150.9MHz,o−CCl):158.1(CO)、157.0(C=O)、143,9(C)、140.8(C)、137.9(C)、137.5 (CHar)、132.2 (CHar)、129.1(C)、122.9(C)、119.5(C)、115.2(C)、32.1(CH)、30.1(CH)、30.0(CH)、29.4(CH)、23.1(CH)、14.5(CH)。−HR−FAB−MS:[M+H]343179Br2、計算値: m/z=756.9923、実測値:m/z=756.9929。−FTIR:ν[cm−1]=2950(w,CH)、2920(m,CH)、2848(w,CH)、1767(s,O(C=O))、1729(s,O(C=0))、1567(m)。
【0244】
1.29 2.7−ビス(5′−ブロモ−4′−ヘキシルチオフェン−2′−イル)ナフタリン−1,4,5,8−テトラカルボキシイミド
【化56】
2.7−ビス(5′−ブロモ−4′−ヘキシルチオフェン−2′−イル)ナフタリン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物(0.933g、1.23ミリモル、1.0当量)および乾燥した酢酸アンモニウム(1.89g、24.6ミリモル、20当量)に、13mLの氷酢酸を加え、混合物を脱気し、還流下で2時間加熱した。冷却後、反応混合物を6℃で一晩冷蔵庫に保管した。粘稠な反応混合物を10mLの酢酸で希釈し、固体を遠心分離により分離した。このようにして得られた固体を、各35mLの酢酸、メチルtert−ブチルエーテルおよびジクロロメタンで各々2回洗浄した。乾燥させた後、865mg(理論値の93%)の所望の生成物を深い紫色の固体として得た。−HR−MALDI−MS:マトリックス:DCTB,[M+H] ,C343379Br、計算値:m/z=757.0223、実測値:m/z=757.0233。−FT−IR:ν[cm−1]=3171(m,N−H)、3061(m,N−H)、2951(w,CH)、2925(m,CH)、2852(w,CH)、1703(s,O(C=O))、1674(s,O(C=O))、1576(m)。
【0245】
実施例2 − モノマー:
2.1 4,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール
【化57】
1,4−ジオキサン(100mL)中の4,7−ジブロモベンゾ[C][1,2,5]チアジアゾール(6.17g、22.0ミリモル、1.00当量)、ビス(ピナコラト)ジボロン(11.7g、46.2ミリモル、2.20当量)および酢酸カリウム(12.4g、126ミリモル、6.00当量)の混合物に、[1,1−ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(307mg、420マイクロモル、0.02当量)を添加した。反応混合物を80℃で18時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応混合物を水(30mL)に加え、酢酸エチル(50mL)で抽出した。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。石油エーテル/酢酸エチル(1:1)を溶離剤として用いて、粗生成物をシリカ上のカラムクロマトグラフィーにより精製した。4.05g(理論値の50%)の生成物を黄色の固体として得た。−R=0.80(石油エーテル/酢酸エチル1:1)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=8.12(s,2H,Har)、1.44(s,24H,8xCH)。−13C−NMR(75MHz,CDCl ):δ=157.1(2xC―N)、137.9(2xCarH)、 84.5(4xC)、25.0 (8xCH)。−MS(EI),m/z(%):388(23)[M]、330(100)[(C1828]。−HRMS(C1418BrIOS):計算値388.1799、実測値388.1823。
【0246】
炭酸塩の製造のための一般的手順(GP2):
テトラヒドロフラン(アルコールの4.0mL/ミリモル)中の、相応のイミダゾールエステル(1.10当量)および水酸化カリウム(0.01当量)の溶液に、テトラヒドロフラン中の相応のアルコール(1.00当量)の溶液を、60℃でゆっくりと滴下して加え、混合物を60℃で18時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残った残留物をジクロロメタン(50mL)で再度取り込んだ。有機相を各回50mLの水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。石油エーテル/酢酸エチルの混合物を溶離剤として用いて、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0247】
2.2 2−(2−ブロモ−5−ヨードチオフェン−3−イル)エチル−2−メチルへキサン−2−イルカルボナート
【化58】
2−(2−ブロモ−5−ヨードチオフェン−3−イル)エタノール(1.00g、3.00ミリモル、1.00当量)、2−メチルへキサン−2−イル−1H―イミダゾール−1−カルボキシレート(694mg、3.30ミリモル、1.10当量)および水酸化カリウム(2.00mg、30.0マイクロモル、0.01当量)から出発してGP2に従って合成を行なった。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル10:1)による精製の後、1.23g(86%)のカルボナートを透明な油状物として得た。−R=0.55(石油エーテル/酢酸エチル5:1)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=7.02 (s,1H,Har)、4.20(t,J=6.9Hz,2H,CH−O)、2.91(t,J=6.9Hz,2H,CarCH)、1.73−1.78(m,2H,C−CH)、 1.45(s,6H,2xCH)、1.26−1.35(m,4H,2xCH)、0.91(t,J=6.7Hz,3H,CH)。−13C−NMR(75MHz,CDCl):δ=153.4(C=O)、139.3(Car−CH)、138.2(Car)、113.7(Car−Br)、84.7(O−C)、71 .7(Car−I)、65.3(CH−O)、40.4(C−CH)、28.9(Car−CH)、26.2(CH)、25.8(2xCH)、23.1(CH)、14.2(CH)。−FTIR:ν= 2955、1734、1250cm−1。−MS(EI),m/z(%):476/474(9/9)[M]、316/314(100/94)[(CBrIS)]。−HRMS(C1420BrIOS):計算値473.9361、実測値473.9370。−分解温度:Ton(開始温度)=190℃。
【0248】
2.3 2−(2−ブロモ−5−ヨードチオフェン−3−イル)エチル−1−ブチルシクロペンチルカルボナート
【化59】
2−(2−ブロモ−5−ヨードチオフェン−3−イル)エタノール(1.30g、3.90ミリモル、1.00当量)、1−ブチルシクロペンチル−1H−イミダゾール−1−カルボキシレート(1.01g、4.29ミリモル、1.10当量)および水酸化カリウム(2.00mg、39.0マイクロモル、0.01当量)から出発してGP2に従って合成を行なった。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル10:1)による精製の後、1.77g(91%)のカルボナートを黄色の油状物として得た。−R=0.73(石油エーテル/酢酸エチル10:1)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=7.02(s,1H,Har)、4.21(t,J=6.7Hz,2H,CH−0)、2.91(t,J=6.7Hz,2H,Car−CH)、2.07−2.18(m,2H,C−CH)、1.89−1.97(m,2H,CH)、1.57−1.79(m,6H,3xCH)、1.25−1.35(m,4H,2xCH)、0.90(t,J=6.9Hz,3H,CH)。− 13C―NMR(75MHz,CDCl):δ=153.5(C=O)、139.3(Car−CH)、138.2(CarH)、113.7(Car−Br)、95.5(O−C)、71.8(Car−I)、65.4(CH2−O)、37.5(2xCH)、36.7(CH)、29.0(CH)、27.1(CH)、24.1(2xCH)、23.1(CH)、14.2(CH)。−FTIR:ν=2959、2870、1735、1453、1388、1251、1172、1102、965、792cm−1。−MS(Fab),m/z(%):502/500[M]。−HRMS(C1622BrIOS):計算値499.9518、実測値499.9489。−分解温度:Ton=158℃。
【0249】
2.4 2−(2−ブロモ−5−ヨードチオフェン−3−イル)エチル−2−メチルオクト−3−イン−2−イルカルボナート
【化60】
2−(2−ブロモ−5−ヨードチオフェン−3−イル)エタノール(1.67g、5.00ミリモル、1.00当量)、2−メチルオクト−3−イン−2−イル−1H−イミダゾール−1−カルボキシレート(1.29g、5.50ミリモル、1.10当量)および水酸化カリウム(3.00mg、50.0マイクロモル、0.01当量)から出発してGP2に従って合成を行なった。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル10:1)による精製の後、1.77g(91%)のカルボナートを透明な油状物として得た。−R=0.69(石油エーテル/酢酸エチル10:1)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=7.03(s,1H,Har)、4.23(t,J=6.9Hz,2H,CH−O)、2.92(t,J=6.9Hz,2H,CarCH)、2.21(t,J=6.9 Hz,2H,C−CH)、1.67(s,6H,2xCH)、1.33−1.53(m,4H,2xCH)、0.90 (t,J=7.1Hz,3H,CH)。−13C−NMR(75MHz,CDCl):δ=152.9(C=O)、139.3(Car−CH)、138.2(CarH)、 113.7(Car−Br)、85.6(C−CH)、80.7(C−C)、75.3(O−C)、 71.7(Car−I)、65.7(CH−O)、30.7(CH)、29.3(2 xCH)、28.9(CH)、22.0(CH)、18.5(CH)、13.7(CH)。
−FTIR:ν=2958、2930、2867、2245、1748、1463、1384、1250、1194、1132、1100、790cm−1。−MS(EI),m/z(%): 500/498(12/12)[M]、316/314(100/95)[(CBrIS)]、236(25)[(CIS)]、123(61)[(C15]。−HRMS(C1620BrIOS):計算値497.9361、実測値497.9385。−分解温度:Ton= 186℃。
【0250】
2.5 2−(2−ブロモ−5−ヨードチオフェン−3−イル)エチル−1−(ヘキシ−1−イン−1−イル)シクロヘキシルカルボナート
【化61】
2−(2−ブロモ−5−ヨードチオフェン−3−イル)エタノール(1.67g、5.00ミリモル、1.00当量)、1−(ヘキサ−1−イン−1−イル)シクロヘキシル−1H−イミダゾール−1−カルボキシレート(1.51g、5.50ミリモル、1.10当量)および水酸化カリウム(3.00mg、50.0マイクロモル、0.01当量)から出発してGP2に従って合成を行なった。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル20:1、5%トリエチルアミン)による精製の後、2.17g(80%)のカルボナートを黄色の油状物として得た。−R=0.50(石油エーテル/酢酸エチル20:1、トリエチルアミン)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=7.03(s,1H,Har)、4.24(t,J=7.2Hz,2H, CH−O)、2.93(t,J=7.2Hz,2H,Car−CH)、2.25(t,J=7.2Hz,2H,C−CH)、2.09−2.17(m,2H,CH)、1.77−1.86(m,2H,CH)、1.60−1.68(m,4H,2xCH)、1.39−1.45(m,6H,3xCH)、0.91(t,J=7.2Hz,3H,CH)。−13C−NMR(75MHz,CDCl):δ=152.8(C=O)、139.3(Car−CH)、138.2(CarH)、113.7(Car−Br)、87.9(C−CH)、79.5(C−C)、79.0(O−C)、71.9(Car−I)、65.7(CH−O)、37.5(2xCH)、30.9(CH)、27.1(CH)、25.3(2xCH)、23.1(CH)、22.1(CH)、18.7(CH)、13.8(CH)。−FTIR:ν=2930、2857、2240、1745、1447、1267、1231、1182、1125、1014、917、782cm−1。−MS(FAB),m/z(%):541/539(67/100)[(M+H)]、540/538(50/47)[M]。−HRMS(C1924BrIOS):計算値537.9674、実測値537.9725。−分解温度:Ton= 185℃。
【0251】
2.6 3−(2,7−ジブロモ−9−メチルフルオレン−9−イル)プロピル−2−メチルヘキサン−2−イルカルボナート
【化62】
2,7−ジブロモ−9−(3−ヒドロキシプロピル)−9−メチルフルオレン(3.17g、8.00ミリモル、1.00当量)、2−メチルへキサン−2−イル−1H−イミダゾール−1−カルボキシレート(1.85g、8.80ミリモル、1.10当量)および水酸化カリウム(4.00mg、80.0マイクロモル、0.01当量)から出発してGP2に従って合成を行なった。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル20:1)による精製の後、3.70g(86%)のカルボナートを透明な油状物として得た。−R=0.40(石油エーテル/酢酸エチル20:1)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=7.53(d,J=8.0Hz,2H,2xHar)、7.49(d,J=1.8Hz,2H,2xHar)、7.46(d,J=8.0Hz,J=1.8Hz,2 H,2xHar)、3.82(t,J=6.7Hz,2H,CH−O)、1.99−2.06(m,2H,CH)、1.69−1.76(m,2H,CH−C)、1.47(s,3H,CH)、1.42(s,6H,2xCH)、1.25−1.32(m,4H,2xCH)、0.94−1.04(m,2H,CH)、0.86−0.92(m,3H,CH)。−13C−NMR(75MHz,CDCl):δ=153.5(C=O)、153.2(2xCar)、138.3(2xCar)、130.7(2xCarH)、126.3(2xCarH)、121.8(2xCar−Br)、121.5(2xCarH)、84.4(C)、66.9(CH−O)、51.0(CH)、40.3(CH−C)、36.6(CH)、26.5(CH)、26.2(CH)、25.8(2xCH)、23.9(CH)、23.1(CH)、14.1(CH)。−FTIR:ν=2959、2927、2858、1735、1449、1250cm−1。−MS(EI),m/z(%):540/538/536(47/92/48)[M]、442/440/438(34/63/33)[(C1816Br]、339/337/335(52/100/52)[(C14Br]、258/256(44/46)[(C14Br)]。−HRMS(C1716BrO):計算値536.0562、実測値536.0568。
【0252】
2.7 3−(2,7−ジブロモ−9−メチル−9H−フルオレン−9−イル)プロピル−1−(ヘキサ−1−イン−1−イル)シクロヒキシルカルボナート
【化63】
2,7−ジブロモ−9−(3−ヒドロキシプロピル)−9−メチルフルオレン(792mg、28.00ミリモル、1.00当量)、1−(ヘキサ−1−イン−1−イル)シクロヘキシル−1H−イミダゾール−1−カルボキシレート(604mg、2.20ミリモル、1.10当量)および水酸化カリウム(1.00mg、20.0マイクロモル、0.01当量)から出発してGP2に従って合成を行なった。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル10:1、5%トリエチルアミン)による精製の後、895mg(74%)のカルボナートを透明な油状物として得た。−R=0.63(石油エーテル/酢酸エチル10:1、トリエチルアミン)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=7.53(d,J=8.1Hz,2H,2xHar)、7.49(d,J=1.7Hz,2H,2xHar)、7.46(d,J=8.1Hz,J=1.7Hz,2H,2xHar)、3.88(t,J=6.6Hz,2H,CH−O)、2.22(J=6.9Hz,2H,C−CH)、2.01−2.14(m,4H,2xCH),1 .73−1.84(m,2H,CH−C)、1.55−1.67(m,4H,2xCH)、1.40−1.51(m,9H,3xCH+CH)、0.95−1.05(m,2H,CH)、0.89(t,J=7.1Hz,3H,CH)。−13C−NMR(75MHz,CDCl):δ=153.2(2xCar)、152.8(C=O)、138.3(2xCar)、130.7(2xCarH)、126.4(2xCarH)、121 .9(2xCar−Br)、121 .6(2xCarH)、87.6(C−CH)、79.5(C−C)、78.6(C)、67.2(CH−0)、51 .0(C−CH)、37.5(2xCH)、36.7(CH−C)、30.8(CH)、27.1(CH)、26.5(CH)、23.9(CH)、23.0(2xCH)、22.0(CH)、18.6(CH)、13.8(CH)。−FTIR:ν=2931、2857、1744、1447、1414、1268、1236、1181、1013、917、812cm−1。−MS(FAB),m/z(%):604/602/600(60/100/53)[M]。−HRMS(CoH34Br):計算値600.0875、実測値600.0858。
【0253】
2.8 2,7−ビス(5′−ブロモ−2′−チオフェニル)−[N,N]−ビス(ヘキサン−1−イル−6−(2−メチルヘキサン−2−イル)カルボキシレート)ナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド
【化64】
乾燥したシュレンク管で、2,7−ビス(5′−ブロモ−2′−チオフェニル)−[N,N]−ビス(ヘキサン−1−イル−6−オール)ナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド(213mg、270ミリモル)および2−メチルへキサン−2−イル−1−カルボニルイミダゾール(227mg、1.08ミリモル)を、6mLの乾燥したジメチルホルムアミドに溶解した。触媒量の水酸化カリウム(8mg、0.14ミリモル)を添加し、反応混合物を室温で撹拌した。2時間後、10mLの塩化アンモニウム水溶液を加えた。得られた懸濁液を1時間激しく撹拌した。水相を分離し、残留物をジクロロメタンに溶解し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。粗生成物を、クロロホルムおよびトルエンの混合物(1:1、v:v)および2%テトラヒドロフランを溶離剤として用いるシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで精製し、次いでメタノールで繰り返し再結晶させた。140mg(理論値の48%)の生成物を赤色の固体として得た。−R=0.32(クロロホルム:トルエン(1:1)+3%テトラヒドロフラン)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=8.71(s,2H,2xCHar)、7.15(d,J=3.8Hz,2H,CHar)、7.07(d,J=3.8Hz,2H,CHar)、4.1(t,J=7.7Hz,4H,2xN−CH)、4.03(t,J=6.6Hz,4H,2xO−CH)、1.62−1.77(m,12H,CH)、1.39−1.46(m,8H,CH)、1.44(s,12H,C−CH)、1.24−1.32(m,8H,CH)、1.12(t,J=7.6Hz,6H,CH)。−13C−NMR(75MHz,CDCl):−IR:(単位cm−1のν):1730(vs,O―(C=O)−O)、1705(s,N−C=O)、1662(vs,N−C=O)、1578(m)。 −MS(APCI),m/z:1070.3[(C506079Br10]、1072.3[(C506079Br81BrN10]、1074.3[(C506081Br10]。
【0254】
2.9 2,7−ビス(5′−ブロモ−4′−ヘキシル−2′−チオフェニル)−[N,N]−ビス(ヘキサン−1−イル−6−(2−メチルヘキサン−2−イル)カルボナート)ナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド
【化65】
アルゴンを充填したシュレンク管で、2,7−ビス(5′−ブロモ−4′−ヘキシル−2′−チオフェニル)−[N,N]−ビス(ヘキサン−1−イル−6−オール)ナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド(248mg、0.26ミリモル)および2−メチルへキサン−2−イル−1H−イミダゾール−1−カルボキシレート(219mg、1.04ミリモル)を5mLの乾燥したジメチルホルムアミドに溶解した。懸濁液を0℃に冷却し、触媒量の水酸化カリウム(7mg、0.13ミリモル)を添加し、混合物を0℃で3時間撹拌した。次いで、10mLの塩化アンモニウム水溶液を加え、混合物をさらに1時間撹拌した。沈殿物を濾過し、水で洗浄し、ジクロロメタンで再度抽出した。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。粗生成物を、クロロホルムおよびトルエンの混合物(1:1、v:v)および2%テトラヒドロフランを溶離剤として用いるシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで精製し、次いでメタノールで繰り返し再結晶させた。180mg(理論値の56%)の生成物を紫色の固体として得た。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=8.70(s, 2H, 2xCHar)、7.03(s, 2H, CHar)、4.12(t, J=7.7Hz, 4H, 2xN−CH)、4.03(t, J=6.6Hz, 4H, 2xO−CH)、2.64(t, J=7.7Hz, 4H, 2xC−CH)、1.73−1 .76(m, 4H, C−CH)、1 .60−1 .73(m, 12H, CH)、1.43(s, 12H, C−CH)、1 .37−1 .44(m, 12H, CH)、1 .32−1 .37(m, 8H, CH)、1.27−1 .32(m, 8H, CH)、0.91(t, J=6.9Hz, 6H, CH)、0.89(t, J=6.9Hz, 6H, CH)。−13C―NMR(75MHz,CDCl):δ=162.1(2xN−C=O)、162.0(2xN−C=O)、153.6(O−(C=O)−O)、142.5(2xC)、140.0(2xC)、139.5(2xC)、136.4(2xCHar)、129.6(2xCHar)、127.4(2xC)、125.4(2x(C=O)−Cq−ar)、122.9(2x(C=O)−C)、112.5(2xCq−arBr)、84.1(CH−C)、66.9(CH−O)、41 .0(CH−N)、40.2(CH)、31 .6(C−CH)、29.7(CH)、29.0(CH)、28.6(CH)、27.9(CH)、26.7(CH)、26.0(CH)、25.7(CH)、25.5(CH)、22.9(CH)、22.6(CH)、14.1(CH)、14.0(CH)。−HR−MS (ESI,Na−付加物,[C6284BrNaO10): 計算値1261.3826、実測値1261.3831。−IR:(単位cm−1のν):1737(vs,O−(C=O)−O)、1704(s,N−C=O)、1667(vs,N−C=O)、1574(m)。−TGA/DSC:融点:78.7℃, 熱分解開始:150℃、熱分解中間点:223℃。重量損失:22.4%(計算値22.9%)。
【0255】
2.10 2−メチルヘキサン−2−イル−2,7−ジブロモ−9H−カルバゾール−9−カルボキシレート
【化66】
アセトニトリル/テトラヒドロフラン(4:1、25mL)中の2,7−ジブロモカルバゾール(2.28g、7.00ミリモル、1.00当量)の溶液に、2−メチルへキサン−2−イル−1H−イミダゾール−1−カルボキシレート(1 .62g、7.70ミリモル、1.10当量)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(213mg、1.40ミリモル、0.20当量)を室温で添加した。反応混合物を室温で一晩、撹拌し、次いで、1Mの塩酸(5mL)と混合し、酢酸エチル(20mL)で抽出した。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル30:1)で精製した後、2.73g(理論値の84%)のカルボナートを黄色の固体として得た。−R=0.66(石油エーテル/酢酸エチル30:1)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=8.48(s,2H,2xHar)、7.77(d,J=8.3Hz,2H,2xHar)、7.47(d,J=8.3Hz,2H,2xHar)、2.05(t,J=7.2Hz,2H,CH)、1.74(s,6H,2xCH)、1.40−1.53(m,4H,2xCH)、0.96(t,J=6.9Hz,3H,CH)。−13C―NMR(75MHz,CDCl):δ=150.6(C=O)、139.4(2xCar−N)、126.7(2 xCarH)、124.1(2xCar)、121.2(2xCar−Br)、120.8(2xCarH)、119.9(2xCarH)、87.9(C)、41.1(CH)、26.4(CH)、26.3(2xCH)、23.3(CH)、14.3(CH)。−FTIR:ν=2955、2867、1729、1590、1439、1406、1347、1326、1277、1207、1150、797cm−1。−MS(DART),m/z(%):469/467/465(15/30/15)[M]。−HRMS(C2021BrNO):計算値 464.9939、実測値464.9922。−分解温度:Ton= 159℃。
【0256】
2.11 9−メチルヘプタデカン−9−イル−2,7−ジブロモ−9H−カルバゾール−9―カルボキシレート
【化67】
アセトニトリル/テトラヒドロフラン(4:1、25mL)中の2,7−ジブロモカルバゾール(1.95g、6.00ミリモル、1.00当量)の溶液に、9−メチルヘプタデカン−9−イル−1H−イミダゾール−1−カルボキシレート(2.41g、6.60ミリモル、1.10当量)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(183mg、1.20ミリモル、0.20当量)を室温で加えた。反応混合物を室温で一晩、撹拌し、次いで、1Mの塩酸(5mL)を混合し、酢酸エチル(20mL)で抽出した。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル40:1)で精製した後、3.07g(理論値の82%)のカルボナートを黄色の固体として得た。−R=0.81(石油エーテル/酢酸エチル40:1)。−H−NMR(300MHz,CDCl):δ=8.48 (s,2H,2xHar)、7.78(d,J=8.3Hz,2H,2xHar)、7.47 (d,J=8.3Hz,J=1.7Hz,2H,2xHar)、1 .95−2.18(m,4H,2xCH)、1.71(s,3H,CH)、1.23−1.49(m,24H,12xCH)、0.84−0.89(m,6H,2xCH)。−13C−NMR(75MHz,CDCl):δ=150.4(C=O)、139.4(2xCar−N)、126.6(2xCarH)、124.1(2xCar)、121.2(2xCar−Br)、120.7(2xCarH)、119.8(2xCarH)、90.6(C)、38.7(2xCH)、32.0(2xCH)、30.2(2xCH)、29.7(2xCH)、29.4(2xCH)、24.1(CH)、24.0(2xCH)、22.8(2xCH)、14.3(CH)。−FTIR:ν=2924、2852、1730、1588、1438、1348、1323、1278、1208、1123、973、799cm−1。−MS(DART),m/z(%):623/621/619(7/15/7)[M]。−HRMS(C3143BrNO):計算値619.1661、実測値619.1673。−分解温度:Ton= 151℃。
【0257】
2.12 ビス(2−メチルヘキサン−2−イル)2,7−ビス(5′−ブロモ−4′−ヘキシルチオフェン−2′−イル)ナフタリン−1,4:5,8−テトラカルボキシイミド−[N,N]−ジカルボキシレート)
【化68】
テトラヒドロフラン2.5mL中の2,7−ビス(5′−ブロモ−4′−ヘキシルチオフェン−2′−イル)ナフタリン−1,4:5,8−テトラカルボキシイミド(0.200g、0.334ミリモル、1.00当量)およびジメチルアミノピリジン(0.100g、0.835ミリモル、2.50当量)の懸濁液に、ビス(2−メチルへキサン−2−イル)ジカーボネート(0.404g、1.34ミリモル、4.00当量)を、保護ガス雰囲気下で加えた。反応混合物を室温で4.5時間撹拌し、次いで30mLのクロロホルムで希釈し、25mLの飽和塩化アンモニウム水溶液に加えた。有機相を分離し、水相を各35mLのクロロホルムで2回抽出した。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液および硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。得られた固体を、クロロホルム、石油エーテル、トルエンおよびトリエチルアミンの溶媒混合物(50:32:15:3、v:v)を用いて、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで精製し、ジクロロメタンおよびメタノールの混合物から5回再結晶させた。98mg(理論値の31%)の所望の生成物を得た。 −R=0.53(クロロホルム/石油エーテル/トルエン50:35:15+3%トリエチルアミン)。−H−NMR(500MHz,CDCl):δ[ppm]=8.75(s,1 H,Har)、7.12(s,2H,Har)、2.63(t,J=7.6Hz,4H,CH)、1.88(m,4H,CH)、1.64(tt,J=7.5Hz,4H,CH)、1 .63(s,12H,CH)、1.33−1.45(m,20H,CH)、0.91−0.92(m,12H,CH)。−13C−NMR(125MHz,CDCl):δ[ppm]=159.8(C)、159.7(C)、147.5(C)、142.7(C)、140.0(C)、136.7(CHar)、136.5(C)、130.9(CHar)、128.1(C)、125.4(C)、122.3(C−Br)、113.6(C)、90.3(C)、40.2(C−CH),31 .6(CH)、29.7(CH)、29.6(CH)、28.9(CH)、25.7(CH)、25.4(CH)、22.9(CH)、22.6(CH)、14.1(CH)、14.0 (CH)。−FT−IR:ν[cm−1]= 2953(w,CH)、2923(m,CH)、2856(w,CH)、1775(s,C=O)、1713(s,N(C=O))、1683(s,N(C=O))、1589(w)。−UV/Vis(CHCl): λmax(ε)=536nm(1.23・10 Imol−1cm−1)。−HR−ESI−MS(C5060KN79Br81Br):計算値1079.177 (実測値1079.179)、(C5060NaN79Br81Br): 計算値1063.203(実測値1063.205)。
【0258】
2.13 2,7−ビス(5′−ブロモ−2′−チオフェニル)−[N,N]−ビス(ヘキサン−1−イル―6−(9−メチルヘプタデカン−9−イル)カルボナート)ナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド
【化69】
乾燥したシュレンク管で、2,7−ビス(5′−ブロモ−2′−チオフェニル)−[N,N]−ビス(ヘキサン−1−イル―6−オール)ナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド(434mg、550ミリモル)および9−メチルヘプタデカン−9−イル−1H−イミダゾール−1−カルボキシレート(802mg、2.2ミリモル)を、11mLの乾燥したジメチルホルムアミドに溶解した。触媒量の水酸化カリウム(15mg、0.28ミリモル)を加え、反応混合物を室温で撹拌した。18時間後、200mLの塩化アンモニウム水溶液を加えた。得られた懸濁液を1時間激しく撹拌した。深赤色の有機沈殿物を分離し、次いでジクロロメタンに溶解し、水および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。粗生成物を、クロロホルム、トルエンおよび石油エーテルの混合物(3:4:3、v:v)および2%テトラヒドロフランを溶離剤として用いてシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製し、次いでメタノールおよびアセトニトリルから繰り返し再結晶させた。228 mg(理論値の30%)の生成物を赤色の固体として得た。−UPLC純度:98.6%。−R=0.32(クロロホルム:トルエン:石油エーテル(3:4:3、v:v)+2%テトラヒドロフラン)。−H−NMR(500MHz,CDCl):δ=8.71(s,2H,CHar)、7.15(d,J = 3.8 Hz,2H,CHar)、7.07(d,J=3.8Hz,2H,CHar)、4.11(t,J=7.7Hz,4H,N−CH)、4.03(t,J=6.6Hz,4H,O−CH)、1.62−1.82(m,16H,CH)、1.39−1.41(m,14H,CH)、1.21−1.31(m,48H,CH)、1.12(t,J=7.6Hz,12H,CH)。−13C−NMR(125MHz,CDCl):161.9(C)、161.8(C)、153.5(C)、141.9(C)、139.1(C)、136.5(CHar)、130.2(CHar)、128.8(C)、127.5(C)、125.6(C)、123.2(C−Br)、115.4(C)、86.6(CH)、66.9(CH)、41.0、38.0、31.8、29.9、29.5、29.2、28.6、27.8、26.7、25.5、23.6、23.5、22.6、14.1。−HR−ESI−MS:[M+NH,(C7210879Br10):計算値1396.584 (実測値1396.585)。
【0259】
実施例3 − ポリマーの合成
横沢による合成:
ポリチオフェンの製造のための一般的手順(GP3):
テトラヒドロフラン(5.0mL/カルボナートのミリモル)中の、相応のカルボナート(1.00当量)の溶液に、テトラヒドロフラン中の、2.0Mの塩化イソプロピルマグネシウム(1.00当量)の溶液を、0℃で加え、混合物をこの温度で1時間撹拌した。これに、テトラヒドロフラン(5mL)中の[1,3−ビス(ジフェニルホスフィン)プロパン]ニッケルクロライド(0.005当量)の懸濁液を加えた。反応混合物を室温で24時間撹拌した。5Mの塩酸(10mL)を添加した後、反応混合物をクロロホルムで抽出した。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして溶媒を減圧下で除去した。次いで、残渣をメタノール(250mL)に添加し、不溶性物質をメタノール、アセトンおよびクロロホルムを用いてソックスレー装置で分画した。
【0260】
3.1 ポリ(2−(チオフェン−3−イル)エチル(2−メチルヘキサン−2−イル)カルボナート)
【化70】
2−(2−ブロモ−5−ヨードチオフェン−3−イル)エチル(2−メチルへキサン−2−イル)カルボナート(4.66g、9.80ミリモル、1.00当量)、塩化イソプロピルマグネシウム溶液(4.9mL、9.80ミリモル、1.00当量)および[1,3−ビス(ジフェニルホスフィン)プロパン] 塩化ニッケル(27.0mg、49.0マイクロモル、0.005当量)から出発してGP3に従って合成を行なった。ソックスレー装置(メタノール、アセトン、クロロホルム)を用いた分画精製の後、暗赤色の固体として、ポリマーの、アセトン分画中に1.02g(39%)およびクロロホルム分画中に382mg(15%)を得た。
−アセトン:M=15.3kDa、M=24.6kDa、PDI=1.61;クロロホルム:M=41.0kDa、M=45.6kDa、PDI=1.11。−分解温度:Ton= 180℃。
【0261】
山本による合成:
ホモポリマー(ポリフルオレンおよびポリカルバゾール)の製造のための一般的手順(GP4):
N,N−ジメチルホルムアミド(5mL)中の、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(2.25当量)、シクロオクタジエン(2.25当量)および2,2−ビピリジン(2.25当量)の混合物を、50℃で30分間撹拌した。これに、テトラヒドロフラン(10mL/モノマーのミリモル)中の相応のモノマーの溶液(1.00当量)を添加した。反応混合物を70℃で2日間撹拌した。これに、エンドキャッパー(1.00当量)を添加し、さらに混合物を同じ温度でさらに12時間攪拌した。冷却した後、反応混合物をメタノール/塩酸(2:1、300mL)の混合物に加え、ソックスレー装置を用いてメタノール、アセトンおよびクロロホルムで、不溶性の物質を分画した。
【0262】
3.2 ポリ(2,7−(3−(9−メチルフルオレン−9−イル)プロピル(2−メチルへキサン−2−イル)カルボナート)
【化71】
3−(2,7−ジブロモ−9−メチルフルオレン−9−イル)プロピル(2−メチルへキサン−2−イル)カルボナート(807mg、1.50ミリモル、1.00当量)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(928mg、3.38ミリモル、2.25当量)、シクロオクタジエン(365mg、3.38ミリモル、2.25当量)、2,2−ビピリジン(527mg、3.38ミリモル、2.25当量)およびブロモベンゼン(236mg、1.50ミリモル、1.00当量)から出発してGP4に従って合成を行なった。ソックスレー装置(メタノール、アセトン、クロロホルム)を用いた分画精製の後、黄色の固体として、ポリマーのクロロホルム分画中に471mg(80%)を得た。
−クロロホルム:M=167kDa、M=577kDa、PDI=3.46。−分解温度:Ton= 200℃。
【0263】
3.3 ポリ−[5′,5′]−2,7−ビス(2′−チオフェニル)−[N,N]−ビス(ヘキサン−1−イル−6−(2−メチルヘキサン−2−イル)カルボナート)ナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド
【化72】
グローブボックス中で、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)(75 mg、0.27ミリモル)、1,5−シクロオクタジエン(29mg、0.27ミリモル)および2,2′−ビピリジン(42mg、0.27ミリモル)を、乾燥且つ脱気した、3mLのテトラヒドロフランと混合し、次いで混合物を30分間、70℃に加熱した。2,7−ビス(5′−ブロモ−2′−チオフェニル)−[N,N]−ビス(ヘキサン−1−イル−6−(2−メチルヘキサン−2−イル)カルボナート)ナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド(91mg、0.85ミリモル)を、乾燥且つ脱気した、7mLのテトラヒドロフランに溶解し、10℃に冷却しておいたニッケル溶液に加え、次いで10℃で120分間撹拌した。その後、100μLのブロモベンゼンを加え、混合物を60℃で4時間撹拌した。室温に冷却後、反応懸濁液を、100mLのメタノールと50mLの濃塩酸の、撹拌された混合物に加えた。混合物を1時間撹拌し、沈殿物を濾過し、メタノールで洗浄した。残渣を200mLのクロロホルムで抽出したところ、大部分が未溶解で残存した。抽出液を3mLに濃縮し、ゆっくりと50mLのメタノールに滴下して加えた。3時間の攪拌後、混合物を濾過し、残渣をメタノールで洗浄した。この操作を、最初は再びメタノールで、次いでn−へキサンで、合計2回繰り返した。得られた紫色の固体を減圧下で乾燥させ、10mLのベンゼンで2時間抽出し、固体を濾過し、次いで液体を凍結乾燥させた。23mg(理論値の30%)の、紫色のポリマー発泡体を得た。
−GPC:Mn:10kD、Mw:21kD、PDI:2.1。−IR:(単位cm−1のν):2927(m,CH)、2858(m,CH)、1735(s,O−C=O)−O)、1703(s,N−C=O)、1664(vs,N−C=O)、1570(m)。−分解温度:Ton= 155℃。
【0264】
3.4 ポリ−[5′,5′]−2,7−ビス(4′−ヘキシル−2′−チオフェニル)−[N,N]−ビス(ヘキサン−1−イル−6−(2−メチルヘキサン−2−イル)カルボナート)ナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド
【化73】
グローブボックス中で、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)(81mg、0.29ミリモル)、1,5−シクロオクタジエン(32mg、0.29ミリモル)および2,2′−ビピリジン(46mg、0.29ミリモル)を、乾燥且つ脱気した、3mLのテトラヒドロフラン中に懸濁させ、次いで混合物を30分間、70℃に加熱した。2,7−ビス(5′−ブロモ−4′−ヘキシル−2′−チオフェニル)−[N,N]−ビス(ヘキサン−1−イル−6−(2−メチルヘキサン−2−イル)カルボナート)ナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド(114mg、0.09ミリモル)を、乾燥且つ脱気した、9mLのテトラヒドロフラン中に、溶解し、室温(25℃)に冷却しておいたニッケル溶液に加え、室温で4時間撹拌した。反応物に100μLのブロモベンゼン(0.64ミリモル)を加え、次いで混合物をさらに3時間、65℃に加熱し、室温に冷却した後、100mLのメタノールと50mLの濃塩酸の、撹拌された混合物に加えた。懸濁液を1時間撹拌し、沈殿物を濾過し、メタノールで洗浄した。残留物をクロロホルムで抽出し、3mLに濃縮し、ゆっくりと100mLのメタノールに滴下して加えた。1時間の撹拌後、混合物を濾過し、残渣をメタノールで洗浄した。この操作を、最初は再びメタノールで、次いでメタノールとアセトンの混合物(2:1、v:v)で、最後にn−へキサンで、合計3回繰り返した。得られた紫色の固体を減圧下で乾燥させ、ベンゼンで凍結乾燥させた。58mg(理論値の58%)の、紫色のポリマー発泡体を得た。
−GPC:Mn:30kD、Mw:130kD、PDI:4.1。−IR:(単位cm−1のν): 1735(vs,O−C=O)−O)、1705(s,N−C=O)、1663(vs,N−C=O)、1572(m)。分解温度:Ton= 157℃。
【0265】
鈴木による合成:
コポリマーの製造のための一般的手順(GP5):
トルエン(5mL/モノマーのミリモル)中の、相応するモノマー(各々、1.00当量)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.05当量)、炭酸カリウム(2.50当量)、アリクワット 336(0.01当量)および水(5mL)の混合物を、3日間120℃で撹拌した。これに、エンドキャッパー(各々、1.00当量)を添加し、次いで、各々の場合において、混合物をさらに12時間、同じ温度で撹拌した。冷却した後、反応混合物をメタノール/塩酸(2:1、300mL)の混合物に加え、不溶性の物質をソックスレー装置でメタノール、アセトンおよびクロロホルムを用いて分画した。
【0266】
3.5 ポリ[2.7−(3−(9−メチルフルオレン−9−イル)プロピル(2−メチルへキサン−2−イル)カルボナート)−4,7−(ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール)]
【化74】
3−(2,7−ジブロモ−9−メチルフルオレン−9−イル)プロピル(2−メチルヘキサン−2−イル)カルボナート(1.35g、2.50ミリモル、1.00当量)、4,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール(970mg、2.50ミリモル、1.00当量)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(144mg、125マイクロモル、0.05当量)、炭酸カリウム(864mg、6.25ミリモル、2.50当量)、アリクワット336(10.0mg、25.0ミリモル、2.50当量)、フェニルボロン酸(305mg、2.50ミリモル、1.00当量)およびブロモベンゼン(393mg、2.50ミリモル、1.00当量)から出発してGP4に従って合成を行なった。ソックスレー装置(メタノール、アセトン、クロロホルム)を用いた分画精製の後、黄色の固体として、ポリマーのクロロホルム分画中に1.07g(83%)を得た。
−クロロホルム:M=25.8kDa、M=55.8kDa、PDI=2.28。−分解温度:Ton= 204℃。
【0267】
山本による合成:
3.6 ポリ(9− メチルヘプタデカン−9−イル 2.7−ジブロモ−9H−カルバゾール−9−カルボキシレート)
【化75】
9−メチルヘプタデカン−9−イル 2,7−ジブロモ−9H−カルバゾール−9−カルボキシレート(932mg、1.50ミリモル、1.00当量)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(928mg、 3.38ミリモル、2.25当量)、シクロオクタジエン(365mg、3.38ミリモル、2.25当量)、2,2−ビピリジン(527mg、3.38ミリモル、2.25当量)および4−ブロモ−N,N―ジ−p−トリルアニリン(5.00mg、15.0マイクロモル、0.01当量)から出発してGP4に従って合成を行なった。ソックスレー装置(メタノール、アセトン、クロロホルム)を用いた分画精製の後、灰色の固体として、ポリマーのクロロホルム分画中に661mg(95%)を得た。
−クロロホルム:M=95.9kDa、M=370kDa、PDI=3.86。−分解温度:Ton=160℃。
【0268】
3.7 ポリ−[5′,5′]−2,7−ビス(4′−ヘキシルチオフェン)−[N,N]−ビス(2−メチルヘキサン−2−イル)ナフタリン−1,4,5,8−テトラカルボン酸ジカルバメート
【化76】
グローブボックス中で、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)(81mg、0.29ミリモル)、1,5−シクロオクタジエン(32mg、0.29ミリモル)および2,2′
−ビピリジン(46mg、0.29ミリモル)を、乾燥且つ脱気した、3mLのテトラヒドロフランに混合し、次いで混合物を30分間、70℃に加熱した。ビス(2−メチルへキサン−2−イル)−2,7−ビス(5′―ブロモ−4′−ヘキシルチオフェン−2′―イル)ナフタリン−1,4,5,8−テトラカルボキシイミド−[N,N]−ジカルボキシレート(96mg、0.09ミリモル)を、乾燥且つ脱気した、9mLのテトラヒドロフランに溶解し、室温(25℃)に冷却しておいたニッケル溶液に加え、次いで室温で3.5時間撹拌した。反応物に100μLのブロモベンゼン(0.64ミリモル)を加え、混合物をさらに3時間、65℃に加熱し、室温まで冷却した後、100mLのメタノールと50mLの濃塩酸の、撹拌された混合物に加えた。混合物を1時間撹拌し、沈殿物を濾過し、メタノールで洗浄した。残留物をクロロホルムで抽出し、3mLに濃縮し、次いでゆっくりと100mLのメタノールに滴下して加えた。1時間、撹拌の後、混合物を濾過し、残渣をメタノールで洗浄した。この操作を、最初は再びメタノールで、次いでn−へキサンで2回の、合計3回繰り返した。得られた紫色の固体を減圧下で乾燥させ、ベンゼンで凍結乾燥させた。48mg(理論値の59%)の、紫色のポリマー発泡体を得た。
−GPC:Mn:12.7kD、Mw:26kD、PDI:2.1。−FT−IR:(単位cm−1のν):2926(m,CH)、2856(m,CH)、1783(vs,N−C=O)−O)、1712(s,N−C=O)、1684(vs,N−C=O)、1576(m)。分解温度:Ton= 103℃。
【0269】
3.8 ポリ−[5′,5′]−2,7−ビス(2′−チオフェニル)−[N,N]−ビス(ヘキサン−1−イル−6−(9−メチルヘプタデカン−9−イル)カルボナート)カルボナート)ナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド
【化77】
グローブボックス中で、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)(66mg、0.24ミリモル)、1,5−シクロオクタジエン(26mg、0.24ミリモル)および2,2′−ビピリジン(37mg、0.24ミリモル)を、乾燥且つ脱気した、3mLのテトラヒドロフランに混合し、混合物を30分間、70℃に加熱した。2,7−ビス(5′−ブロモ−2′−チオフェニル)−[N,N]−ビス(ヘキサン−1−イル−6−(9−メチルヘプタデカン−9−イル)カルボナート)ナフタリン−1,8:4,5−テトラカルボキシイミド(104mg、0.075ミリモル)を、乾燥且つ脱気した、6mLのテトラヒドロフランに溶解し、10℃に冷却しておいたニッケル溶液に加え、次いで10℃で110分間撹拌した。その後、200μLのブロモベンゼンを加え、混合物を60℃で3時間撹拌した。室温に冷却後、反応溶液を、100mLのメタノールと50mLの濃塩酸の、撹拌された混合物に加えた。混合物を1時間撹拌し、沈殿物を濾過し、メタノールで洗浄した。残留物をクロロホルムで取り込み、3mLに濃縮し、次いでゆっくりと150mLのメタノールに加えた。3時間、撹拌した後、混合物を濾過し、残渣をメタノールで洗浄した。この操作を1回繰り返した。得られた紫色の固体を減圧下で乾燥させ、ベンゼンから凍結乾燥した。次いで、このようにして得られたポリマー発泡体を、ソックスレー装置中でn−ペンタンを用いて、3時間洗浄した。この操作を1回繰り返した。66mg(理論値の72%)の紫色のポリマー発泡体を得た。
−GPC:Mn:12kD、Mw:39kD、PDI:3.1。−FT−IR:(単位cm−1のν):2922(m,CH)、2853(m,CH)、1735(s,O−(C=O)−O)、1704(s,N−C=O)、1664(vs,N−C=O)、1572(m)。分解温度:Ton= 175℃。
【0270】
実施例4 − 素子
4.1−4.4 ポリマー3.1およびPCBM−C60を具備してなる太陽電池
BHJ太陽電池を次のように作製した:
【0271】
すべて有機の太陽電池を、酸化インジウムスズでコーティングしたガラス(Ra〜13Ω/π)に適用した。後者は、予め塩酸により組織化した後、アセトン中およびイソプロパノール中で各々15分間洗浄し、最後の有機残基を酸素プラズマにより除去した。
【0272】
有機層を、保護ガス雰囲気下(N )でスピンコーティングにより堆積させた。
【0273】
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホナート)(PEDOT:PSS)からなる正孔注入層を、水で1:1の比率に希釈し、次いで4000rpmで堆積させた。水の最後の残留物を除去するために、試料を真空オーブン内で、120℃で10分間乾燥させた。
【0274】
ポリマー3.1とPC60BM(1:0.75)の混合系からなるアブソーバーを、40mg/mL(ジクロロベンゼン)の濃度に溶解した。その後、混合系を、800rpmで120秒間スピンさせ、次いで、溶解性付与基を熱的脱離させるために、200℃での焼成工程を10分間続けた。参考として、この焼成工程なしで同様にして太陽電池を構築した。これらの参考太陽電池を、溶媒残留物を蒸発させるために150℃にのみ加熱した。従って、側鎖基は脱離しなかった。
【0275】
電極として、熱的昇華により、20nmのカルシウムとこれに続けて20nmのアルミニウムを堆積した。
【0276】
電圧−電流密度(J−V)特性を、「ソースメジャーユニット」(ショート:SMU、ケースレー 238)により記録した。このように測定された電圧と電流の値に基づき、フィルファクターおよび効率を計算することができた。
【0277】
光活性層は、供与体としてのポリマー3.1と受容体としてのPC60BMとの混合物を含有する。
【0278】
図6におけるUJ特性曲線は、側鎖基の脱離後の光電流の増加および同時的な、太陽電池の直列抵抗の減少(高い順方向電圧への特性曲線の逆勾配)を示す。層を加熱することによる側鎖基の脱離は、体積収縮をもたらし、それによってポリマー鎖が再編成され、そしてポリマー鎖間の距離が減少する。この距離の減少は、電荷キャリアのより良い光発生およびより良い分子間電荷移動(「より良い伝導性」)をもたらす。
【0279】
OPV素子の特性値を表1に示す。
【表1】
この表において:
SC=短絡電流
OC=開回路電圧
FF=フィルファクター
η=電力変換効率(PCE)
=直列抵抗
【0280】
4.5−4.6 ポリマー3.2または3.3を含んでなるエミッタ層を有するOLED
OLEDを次のように作製した:
【0281】
すべてのOLEDを、酸化インジウムスズでコーティングしたガラス(Ra〜13Ω/π)に堆積させた。後者は、予め塩酸により組織化した後、アセトン中およびイソプロパノール中で各々15分間洗浄し、最後の有機残基を酸素プラズマにより除去した。
【0282】
有機層を、保護ガス雰囲気下(N)でスピンコーティングにより堆積させた。
【0283】
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホナート)(PEDOT:PSS)からなる正孔注入層を、水で1:1の比率に希釈し、次いで4000rpmで堆積させた。水の最後の残留物を除去するために、試料を真空オーブン内で、120℃で10分間乾燥させた。
【0284】
ポリマー3.2からなるエミッタを、トルエン中に8g/Lの濃度に溶解し、混合系を、1000rpmで堆積させ、次いで、溶解性付与基を熱的に脱離させるために、200℃での焼成工程を10分間続けた。参考として、この焼成工程なしで同様にしてOLEDを構築した。
【0285】
電極として、熱的昇華により、0.7nmのフッ化リチウムとこれに続けて20nmのアルミニウムを堆積した。
【0286】
電圧−電流密度(J−V)特性を、「ソースメジャーユニット」(ショート:SMU、ケースレー 238)により記録した。このように得られた電圧と電流の値およびスぺクトルから計算された輝度に基づき、究極的にパフォーマンスおよび電力効率を計算することができた。
【0287】
分光計を、ハロゲン標準(フィリップス社製、FEL−1000W)で較正しておいた。パフォーマンスおよび電力効率を、ランバート反射を仮定して計算した。
【0288】
ポリマー3.2は青色発光ポリマーである。溶解性基は、上記したように、10分間にわたって熱エネルギー(200℃)を供給することにより脱離することができる。脱離の前と後における溶解度試験は、〜80nmの当初の層の厚さから出発して、層の厚さの損失が約10nmであることを示している。この減少は、カルボキシルおよび1,1−ジメチルペンチル基の消失による質量の損失に相当する。
【0289】
表面の特徴付けのため、原子間力顕微鏡(AFM)の検討を行った。
【0290】
図1a−cは、a)未処理の、b)熱的処理(200℃、10分間)した、およびc)熱的処理し、トルエンでリンスした、ポリマー3.2層のトポグラフィーのAFM画像を示している。
【0291】
図1aは、熱的に処理されなかったポリマー3.2層のトポグラフィーを示している。AFM画像は、層中の穴を明らかに示している。これらの欠陥は、図1bにおいて明らかなように、熱的処理により「治癒」することができる。側鎖基を脱離するのに必要な温度は、従って、ポリマーフィルムの再編成を可能にし、且つ穴を閉じるために十分に高い(ポリマーのガラス転移温度より高い)。熱的に処理された層を、層の堆積に用いられたトルエンでリンスした後であっても、ポリマー3.2は、連続したフィルムを形成する(図1c)。
【0292】
エミッタに関する重要な結論は、一般に、発光スペクトルから求めることができる。図2a−bは、ポリマー3.2を含んでなるOLEDの、熱的な処理の前と後の、発光スペクトルおよび色軌跡を示している。200℃での熱的処理の前と後の、ポリマー3.2のエレクトロルミネセンススペクトルが違うことを示している(図2a)。この観察結果は、熱的処理したフィルム中の側鎖基の脱離についてのほぼ直接的証拠である。
【0293】
スペクトル発光の変化に応じて、熱的処理を伴うOLEDの色座標にもまた、変化がある(図2b)。白色点(CRI:〜65)付近から緑色の発光に向けて色座標が移動する。
【0294】
図3a−dは、ポリマー3.2のエミッタを有するOLEDの光電子特性を示している。閾値電圧を3.9Vから3.6Vに低下させ、効率のロールオフを明確に低減させることができた。
【0295】
ポリマー3.2のエミッタの光電子特性評価(図3)は、とりわけ、熱的処理の結果として閾値電圧が約3.9 Vから3.6Vに低下することを示している。追加的に焼成することで明確に効率のロールオフが高い輝度へと低減され、そして1000cd/mで〜0.9lm/Wおよび〜2.1cd/Aの効率が達成された。
【0296】
図4aは、ポリマー3.3に対する、熱的処理の前(溶解性)と後(不溶性)の、電圧6Vでのエレクトロルミネセンススペクトルの比較を示している。
【0297】
先に試験したポリマー3.2と比較すると、ポリマー3.3は チオベンゾジアゾール受容体単位を含んでいる。ポリマー3.3の発光スペクトル(図4a)は、ポリマー3.2とは対照的に、スペクトルシフトをもはや示さない。ポリマー中に追加された受容体単位は、その受容体強度を全体的に増大させるので、カルボキシル側鎖基との相互作用は全く違いうる。ここにおいても、カルボキシル側鎖基とポリマーのπ系との相互作用を一層詳しく調べるために、さらなる分光研究が行わなければならない。
【0298】
図4bは、ポリマー3.3のエミッタを有するOLEDの光電子特性を示している。閾値電圧は〜3.2Vである。5500cd/mまでの輝度が得られた。効率は、低いロールオフを持つにすぎない。
【0299】
ポリマー3.3−OLEDの光電子特性(図4b−d)は、3.2 Vの閾値電圧を示している。効率は、溶解性基の脱離後、最小限減少する。両構成要素は、効率において低いロールオフを持つにすぎない。効率は、約1.5cd/Aで1000cd/mおよび1.0lm/Wである。最大到達輝度は、300mA/cmの電流で〜5500cd /mである。
【0300】
ポリマーの溶解性の切り換え可能性は、エミッタ上に、例えば正孔遮断層などの更なる機能層を堆積させるために利用することができる。これは、電荷キャリアの平衡に非常にプラスの効果を与え、このため、構成要素の効率をさらに増大させる必要がある。
【0301】
4.7−4.9 ポリマー3.4、3.7または3.8を含んでなる活性半導体層を有するOFET
有機電界効果トランジスタ(OFET)を次のように作製した:
【0302】
すべてのOFETを、超音波浴中でアセトンとイソプロパノールで各々15分間、予め洗浄しておいたガラス基板上に作製した。50nmの高さを有し、金からなる、ソース電極およびドレイン電極を、高真空下でシャドーマスクを通しての熱蒸発によって組織化するやり方で適用した。個々のOFETの寸法は以下の通りであった:チャネルの長さ:50μm、チャネルの幅:1000μm、電極の高さ:50nm。
【0303】
図7は、ここで使用されたトップゲート/ボトムコンタクト型のOFETの構造を示している。担体材料としては、ガラス基板(1)を用いた。銀からなる、ソース(S)電極およびドレイン(D)電極(2)は、高真空下でシャドーマスクを通して適用され、約50nmの厚さを有している。活性層(3)を、保護ガス雰囲気下(N)でスピンコート法により堆積した。
【0304】
80〜130nmの層の厚さを有する活性半導体層(3)の堆積のために、クロロベンゼン中のポリマー3.4、3.7または3.8の、5〜10 mg/Lの溶液を、500rpm/sの加速度を伴う1000rpmで、合計持続時間60秒で堆積させた。溶媒残留物を除去するために、その後、試料を100℃で180秒間、加熱処理した。溶解性付与基の熱的な脱離のため、180℃〜220℃で3〜5分間、焼成した。参考として、この焼成工程なしで同様にしてOFETを構築した。
【0305】
半導体層への外的影響を最小化するため、「スペシャルティ・ コーティング・システムズ社製」のPDS2010装置を用いた気相成長法によって誘電体(4)として、300nmのパリレンCを基板全体に適用した。
【0306】
銀からなるゲート電極(5)を、高真空下でシャドーマスクを通しての真空蒸着により適用した。
【0307】
薄膜トランジスタ(TFT)伝達の測定を、「半導体パラメータ・アナライザ」(アジレント社製、4155C)を用いて、大気中、室温で行なった。このようにして得られたTFTの伝達特性によって、この構造体における半導体ポリマーの移動度を究極的に決定することができた。
【0308】
ポリマー3.4および3.8は、n−チャネル特性(電子伝導性)を有する半導体ポリマーである。溶解性付与基は、上記のように、熱エネルギー(200〜220℃)を5分間供給することにより脱離することができる。脱離の前と後の溶解度試験は、熱分解後の溶解性が顕著に減少することを示した。熱分解の間の、層の厚さの損失は、25〜40nmの当初の層の厚さから出発して、20〜35%である。この減少は、カルボキシルおよびアルキル基の消失による質量の損失並びに層の小さい圧縮度に相当する。
【0309】
ポリマー3.7もまた、n−チャネル特性(電子伝導性)を有する半導体ポリマーである。溶解性付与基は、熱エネルギー(180〜200℃)を5分間供給することにより脱離することができる。熱処理後、当該層は、非常に良好な耐溶剤性を示す。
【0310】
図8aは、220℃で5分間の熱処理後のポリマー3.4を半導体として有するOFET(ソース−ドレイン電圧30V)の、飽和領域におけるTFT伝達特性を示している。特性曲線から、観察された現象が電子伝導性であることが推察できる。最も高い移動度は、ソース−ゲート電圧35Vで測定され、μ=1.7・10−5/Vsである。トランジスタのオン/オフ比は、1 : 20と測定された。
【0311】
図8bは、熱処理していないポリマー3.4を半導体として有するOFET(ソース−ドレイン電圧30V)の、飽和領域におけるTFT伝達特性を示している。特性曲線から、ポリマー3.4は、溶解性付与性基を脱離することなく、すでに電子伝導性を有していることが推察できる。この場合に測定された最も高い移動度は、μ=3.3・10−6/Vsであり、また、オン/オフ比は1:4であると測定された。従って、これらの値は、同じポリマーの熱処理後に測定したものよりも大幅に下回っている。
【0312】
図9aは、180℃で5分間の熱処理後のポリマー3.7を半導体として有するOFET(ソース−ドレイン電圧10V)の、線形領域におけるTFT伝達特性を示している。特性曲線から、観察された現象が電子伝導性であることが推察できる。最も高い実効移動度は、ソース−ゲート電圧23Vで測定され、μ=4・10−5/Vsである。トランジスタのオン/オフ比は、10と測定された。
【0313】
図9bは、熱処理していないポリマー3.7を半導体として有するOFET(ソース−ドレイン電圧10V)の、線形領域におけるTFT伝達特性を示している。特性曲線から、ポリマー3.7は、溶解性付与性基を脱離する前であっても、すでに電子伝導性を有していることが推察できる。この場合に測定された最も高い実効移動度は、μ=3.5・10−6/Vsであり、また、オン/オフ比は10と測定された。従って、開裂していない材料の実効移動度は、開裂後のものより約1桁下であり、オン/オフ比は同等のままである。
【0314】
図10aは、200℃で3分間の熱処理後のポリマー3.8を半導体として有するOFET(ソース−ドレイン電圧40V)の、飽和領域におけるTFT伝達特性を示している。特性曲線から、観察された現象が電子伝導性であることが推察できる。最も高い実効移動度は、ソース−ゲート電圧40Vで測定され、μ=2.6・10−4/Vsである。トランジスタのオン/オフ比は、10と測定された。
【0315】
図10bは、熱処理していないポリマー3.8を半導体として有するOFET(ソース−ドレイン電圧40V)の、飽和領域におけるTFT伝達特性を示している。特性曲線から、ポリマー3.8は、溶解性付与性基を脱離する前であっても、すでに電子伝導性を有していることが推察できる。この場合に測定された最も高い実効移動度は、μ=5.3・10−5/Vsであり、また、オン/オフ比は10と測定された。従って、開裂していない材料の実効移動度は、開裂後のものより約1桁下であり、オン/オフ比は同等のままである。
【0316】
ポリマーの溶解性の切り替え可能性は、半導体層上に、例えば、溶液加工性の、誘電体および電極などの更なる機能層を堆積させるために利用することができる。溶剤を用いた堆積技術に基づく工程段階がより連続的であるほど、より効率的にOFET構成要素を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0317】
図1a図1a−cは、実施例3.2における、熱処理前(1a)、熱処理後(1b)およびトルエンでのリンス後(1c)の、ポリマーの層のトポグラフィーを示す。
【0318】
図1b図1a−cは、実施例3.2における、熱処理前(1a)、熱処理後(1b)およびトルエンでのリンス後(1c)の、ポリマーの層のトポグラフィーを示す。
【0319】
図1c図1a−cは、実施例3.2における、熱処理前(1a)、熱処理後(1b)およびトルエンでのリンス後(1c)の、ポリマーの層のトポグラフィーを示す。
【0320】
図2a図2は、実施例3.2に係るポリマーを含んでなるOLEDの、熱処理の前と後における、発光スペクトル(2a)および色軌跡(color locus)(2b)を示す。
【0321】
図2b図2は、実施例3.2に係るポリマーを含んでなるOLEDの、熱処理の前と後における、発光スペクトル(2a)および色軌跡(color locus)(2b)を示す。
【0322】
図3a図3a〜dは、実施例3.2に従うポリマーをエミッタとして含んでなるOLEDの光電子特性を示す。
【0323】
図3b図3a〜dは、実施例3.2に従うポリマーをエミッタとして含んでなるOLEDの光電子特性を示す。
【0324】
図3c図3a〜dは、実施例3.2に従うポリマーをエミッタとして含んでなるOLEDの光電子特性を示す。
【0325】
図3d図3a〜dは、実施例3.2に従うポリマーをエミッタとして含んでなるOLEDの光電子特性を示す。
【0326】
図4a図4は、熱処理の前(溶解性)と後(不溶性)における、6 Vの電圧での実施例3.3に従うポリマーのエレクトロルミネセンススペクトルの比較を示す。
図4b図4は、熱処理の前(溶解性)と後(不溶性)における、6 Vの電圧での実施例3.3に従うポリマーのエレクトロルミネセンススペクトルの比較を示す。
図4c図4は、熱処理の前(溶解性)と後(不溶性)における、6 Vの電圧での実施例3.3に従うポリマーのエレクトロルミネセンススペクトルの比較を示す。
【0327】
図5a図5は、実施例3.3に従うポリマーをエミッタとして含んでなるOLEDの光電子特性を示す。
【0328】
図5b図5は、実施例3.3に従うポリマーをエミッタとして含んでなるOLEDの光電子特性を示す。
【0329】
図6図6は、供与体としての、実施例3.1に従うポリマーと、受容体としてのPC60BMとの混合物を含んでなる光活性層を有する有機太陽電池のUI特性を示す。
【0330】
図7図7は、実施例4.7〜4.9に従う、トップゲート/ボトムコンタクト型OFETの概略構成を、例として示す。
【0331】
図8a図8a、8b、9a、9b、10aおよび10bは、実施例4.7〜4.9に従うOFETのTFT伝達特性を示す。
【0332】
図8b図8a、8b、9a、9b、10aおよび10bは、実施例4.7〜4.9に従うOFETのTFT伝達特性を示す。
【0333】
図9a図8a、8b、9a、9b、10aおよび10bは、実施例4.7〜4.9に従うOFETのTFT伝達特性を示す。
【0334】
図9b図8a、8b、9a、9b、10aおよび10bは、実施例4.7〜4.9に従うOFETのTFT伝達特性を示す。
【0335】
図10a図8a、8b、9a、9b、10aおよび10bは、実施例4.7〜4.9に従うOFETのTFT伝達特性を示す。
【0336】
図10b図8a、8b、9a、9b、10aおよび10bは、実施例4.7〜4.9に従うOFETのTFT伝達特性を示す。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図6
図7
図8a
図8b
図9a
図9b
図10a
図10b