(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576957
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】安全な携帯ゲノムブラウジングデバイスおよびその方法
(51)【国際特許分類】
G16B 20/00 20190101AFI20190909BHJP
【FI】
G16B20/00
【請求項の数】63
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-572357(P2016-572357)
(86)(22)【出願日】2015年2月26日
(65)【公表番号】特表2017-513156(P2017-513156A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】US2015017797
(87)【国際公開番号】WO2015130954
(87)【国際公開日】20150903
【審査請求日】2018年2月1日
(31)【優先権主張番号】61/944,946
(32)【優先日】2014年2月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/022,103
(32)【優先日】2014年7月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/062,057
(32)【優先日】2014年10月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516001591
【氏名又は名称】ナントミクス,エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】516257659
【氏名又は名称】スーンション,パトリック
【氏名又は名称原語表記】SOON−SHIONG,Patrick
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100163991
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 慎司
(74)【代理人】
【識別番号】100153947
【弁理士】
【氏名又は名称】家成 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】ベンズ,スティーブン チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】キヨトラ,ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】サンボーン,ジョン ザチャリー
【審査官】
塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/086355(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0185096(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0041243(US,A1)
【文献】
国際公開第2014/008434(WO,A2)
【文献】
Ganiraju Manyam,Relax with CouchDB - Into the non-relational DBMS era of bioinformatics,Genomics Volume 100 Issue 1,2012年 7月,Pages 1-7,ISSN: 0888-7543,URL,https://www.sciencedirect.com/journal/genomics/vol/100/issue/1
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16B 5/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサー、
ディスプレイ、
ゲノムブラウジング制約を記憶し、および個人のゲノムデータを記憶するように構成されている第一の安全なワークスペースを備えるメモリー、
前記ゲノムブラウジング制約の関数としてゲノムウェブサーバーを有する、ネットワーク上に少なくとも一つの安全な経路を確立するように構成される通信インターフェースであって、前記第一の安全なワークスペースが前記少なくとも一つの安全な経路の端点を示している通信インターフェース、ならびに
プロセッサー上で実行可能であり、前記第一の安全なワークスペースと連結されているゲノムブラウザーモジュールであって、前記ゲノムブラウザーモジュールが、
前記安全な経路を介して前記ゲノムウェブサーバーに少なくとも一つのゲノム配列に関連付けられるゲノムデータに関するクエリを投入し、
前記クエリに応答して、前記安全な経路を介して、前記少なくとも一つのゲノム配列に関連する薬物相互作用情報を含むゲノムデータを受け取り、前記ゲノムデータは前記ゲノムウェブサーバーの予期されたブラウザーインターフェースフォーマットで受け取られ、
前記第一の安全なワークスペースにゲノムデータを記憶し、
予期されたブラウザーインターフェースフォーマットから基準化された、および前記ゲノムブラウジング制約に従ったゲノムブラウザーインターフェース定義を構築し、
前記ゲノムデータから関連するゲノムデータを、少なくとも一つのゲノム配列および薬物相互作用情報の関数として識別し、および
前記ゲノムブラウザーインターフェース定義にしたがって、前記ディスプレイ上に、ゲノムブラウザーインターフェース中の前記関連するゲノムデータおよび関連付けられた前記薬物相互作用情報を表示する
ように構成されている携帯型の安全なゲノムブラウジングデバイス。
【請求項2】
前記少なくとも一つの安全なワークスペースが、暗号化されたメモリーを含む請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも一つの安全なワークスペースが、バーチャルマシンメモリーである請求項1記載のデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも一つの安全なワークスペースが、FIPS 140を順守するように構成されている請求項1記載のデバイス。
【請求項5】
前記メモリーが第2の安全なワークスペースを備える請求項1記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1の安全なワークスペースが、前記第2の安全なワークスペースから分離されている請求項5記載のデバイス。
【請求項7】
前記安全な経路が匿名化プロトコルを含む請求項1記載のデバイス。
【請求項8】
前記安全な経路がVPNを含む請求項1記載のデバイス。
【請求項9】
前記安全な経路が安全なプロトコルを含む請求項1記載のデバイス。
【請求項10】
前記安全な経路が、前記ゲノムウェブサーバーにより提供されるウェブサービスと連結している請求項1記載のデバイス。
【請求項11】
前記ゲノムデータが、前記ゲノムウェブサーバーにより提供されるプレゼンテーションフォーマットを順守している請求項1記載のデバイス。
【請求項12】
前記プレゼンテーションフォーマットが、以下の
HMTL5、Javascript、QML、AJAX、Flash、Silverlightおよびスクリプト言語
のうちの少なくとも一つにしたがって定義されている請求項11記載のデバイス。
【請求項13】
表示される前記関連するゲノムデータが、以下の
突然変異解析および細胞遺伝学的解析
のうちの少なくとも一つを含む請求項1記載のデバイス。
【請求項14】
表示される前記関連するゲノムデータが、ゲノムの少なくとも一部のゲノム分析のグラフィック表示を含む請求項1記載のデバイス。
【請求項15】
前記関連するゲノムデータが、以下
置換、欠失、挿入、遺伝子、がん遺伝子、ミスセンス、交互変化、変異、逸脱、配列位置、対立遺伝子フラクション、SNPデータ、STRデータ、全ゲノム、染色体、および前記緒ゲノムの少なくとも一部分の視覚的提示
のうちの少なくとも一つを含む請求項1記載のデバイス。
【請求項16】
前記関連するゲノムデータが、以下
正常組織サンプル、腫瘍組織サンプル、および参照組織
のうちの少なくとも一つと関連付けられる組織データを含む請求項1記載のデバイス。
【請求項17】
前記関連するゲノムデータが、薬物相互作用情報に関連付けられる体細胞突然変異を含む請求項1記載のデバイス。
【請求項18】
前記関連するゲノムデータが、薬物相互作用情報に関連付けられるコピーナンバーにおける逸脱を含む請求項1記載のデバイス。
【請求項19】
前記関連するゲノムデータが、薬物相互作用情報に関連付けられる新薬の開発につながるような遺伝子を含む請求項1記載のデバイス。
【請求項20】
前記関連するゲノムデータが、前記新薬の開発につながるような遺伝子における交互変化を含む請求項19記載のデバイス。
【請求項21】
前記薬物相互作用情報が、前記関連するゲノムデータ内の配列と既知の薬物相互作用を有する複数の薬剤を示す請求項1記載のデバイス。
【請求項22】
前記薬物相互作用情報が、以下の項目の情報
相互作用の種類、名称、価格、供給源およびディストリビューター
のうちの少なくとも一つを含む請求項1記載のデバイス。
【請求項23】
前記関連するゲノムデータが、推奨されるゲノムデータ協力者を含む請求項1記載のデバイス。
【請求項24】
前記関連するゲノムデータが、少なくとも一人のデータ協力者の第2の異なるゲノムブラウジングデバイス上で示される同期されたゲノムデータを含む請求項23記載のデバイス。
【請求項25】
前記ゲノムブラウザーインターフェースに表示された前記同期されたゲノムデータが、ゲノムブラウジング制約中のユーザー制約に基づいて、前記第2の異なるゲノムブラウジングデバイス上に表示されているものとは異なるフォーマットにしたがって表示されている請求項24記載のデバイス。
【請求項26】
前記ユーザー制約が、以下の種類のデータ協力者
患者、後見人、薬剤師、研究者、保険業者、技術者、医師、看護師
のうちの少なくとも一人を反映する請求項25記載のデバイス。
【請求項27】
前記通信インターフェースが無線インターフェースを含む請求項1記載のデバイス。
【請求項28】
前記無線インターフェースが、少なくとも一つの以下
Bluetoothインターフェース、802.11インターフェース、セルラーインターフェース、無線USBインターフェース、WiGIGインターフェース、およびWiMAXインターフェース
を含む請求項27記載のデバイス。
【請求項29】
前記ゲノムブラウザーインターフェース定義が、インターフェーススクリプトファイルを含む請求項1記載のデバイス。
【請求項30】
前記インターフェーススクリプトファイルが、少なくとも一つの以下
JavascriptおよびQML
にしたがって定義される請求項29記載のデバイス。
【請求項31】
前記ゲノムウェブサーバーが、少なくとも一つの以下
BAMBAMサーバーおよびPARADIGMサーバー
を含む請求項1記載のデバイス。
【請求項32】
前記ゲノムブラウザー制約が、ブラウジングデバイス制約を含む請求項1記載のデバイス。
【請求項33】
前記ブラウジングデバイス制約が、少なくとも一つの以下
メモリー制約、計算の制約、ネットワーク制約およびディスプレイ制約
を含む請求項32記載のデバイス。
【請求項34】
前記ゲノムブラウザー制約がセキュリティー制約を含む請求項1記載のデバイス。
【請求項35】
前記セキュリティー制約が、少なくとも一つの以下
アクセスレベル制約、プライバシー制約、セキュリティー強度制約および匿名化制約
を含む請求項34記載のデバイス。
【請求項36】
前記メモリーと連結されており、ならびに、保護プロトコルに従ってゲノムデータを取得し、オミックス分析ルールセットをゲノムデータに適用することにより推奨を作成し、および前記推奨に従って前記ゲノムブラウザーインターフェースを介してアクションを開始するように構成されるオミックス分析エンジンをさらに備える請求項1記載のデバイス。
【請求項37】
前記ゲノムデータが、全ゲノム配列徐放、エクソーム配列情報、トランスクリプト−ム配列情報およびプロテオーム情報を含む請求項36記載のデバイス。
【請求項38】
前記ゲノムデータが少なくとも一つの以下のフォーマット
BAM、SAM、VCFおよびMAF
である請求項36記載のデバイス。
【請求項39】
前記オミックス分析ルールセットが薬物治療ガイダンスルールを含んでいる請求項36記載のデバイス。
【請求項40】
前記オミックス分析ルールセットがシミュレーションルールセットを含んでいる請求項36記載のデバイス。
【請求項41】
オミックスデータセットの少なくとも一部を示すオミックスオブジェクトを記憶するオミックスデータストアとして機能するように構成される安全なコンピューター可読メモリー、ならびに
前記安全なコンピューター可読メモリーと連結されるオミックス分析エンジンであって、
保護プロトコルにしたがって少なくとも一つのオミックスオブジェクトを取得し、
少なくとも一つのオミックスオブジェクトにオミックス分析ルールセットを適用することにより推奨を作成し、および
推奨にしたがいインターフェースを介してアクションを開始するように構成されるオミックス分析エンジン
を備える携帯型デバイス。
【請求項42】
オミックスオブジェクトが、少なくとも一つの以下の種類のオミックスデータ
ゲノミクス、プロテオミクス、リピドミクス、トランスクリプトミクス、エピゲノミクスおよびキノミクス
を含む請求項41記載のデバイス。
【請求項43】
ネットワークインターフェースをさらに含む請求項41記載のデバイス。
【請求項44】
前記ネットワークインターフェースが、少なくとも一つの以下の種類のネットワーク
イントラネット、インターネット、プライベートネットワーク、LAN、WAN、VPN、内部計算バス、分散ネットワーク、P2Pネットワーク、メッシュネットワーク、アドホックネットワーク、パーソナル・エリア・ネットワーク、有線ネットワークおよび無線ネットワーク
と連結されるように構成されている請求項43記載のデバイス。
【請求項45】
前記オミックスオブジェクトが暗号化されている請求項41記載のデバイス。
【請求項46】
前記コンピューター可読メモリーが安全なメモリー基準を順守している請求項41記載のデバイス。
【請求項47】
前記オミックスオブジェクトが、少なくとも一つの以下のフォーマット
BAM、SAM、VCFおよびMAF
にしたがって記憶されている請求項41記載のデバイス。
【請求項48】
前記オミックスオブジェクトが、非可逆的フォーマットにしたがって記憶されている請求項41記載のデバイス。
【請求項49】
前記オミックスオブジェクトが、オミックスデータセットのフラクタル表示を提示している請求項41記載のデバイス。
【請求項50】
前記オミックス分析ルールセットが薬物治療ガイダンスルールを含んでいる請求項41記載のデバイス。
【請求項51】
前記オミックス分析ルールセットが試料供給源試験ルールを含んでいる請求項41記載のデバイス。
【請求項52】
前記オミックス分析ルールセットが疾患テストルールを含んでいる請求項41記載のデバイス。
【請求項53】
前記オミックス分析ルールセットが、少なくとも一つの以下のルール
リアルタイム分析ルール、処置ルール、予後診断ルール、ワクチン開発ルール、配列検出ルール、配列追跡ルール、感染追跡ルール、循環する腫瘍細胞検知ルールおよび通知ルールを含んでいる請求項41記載のデバイス。
【請求項54】
前記オミックス分析ルールセットがシミュレーションルールセットを含んでいる請求項41記載のデバイス。
【請求項55】
オミックス分析ルールセットが携帯型のオミックスデータブラウザーを含んでいる請求項41記載のデバイス。
【請求項56】
前記携帯型のオミックスデータブラウザーが腫瘍ブラウザーを含んでいる請求項55記載のデバイス。
【請求項57】
オミックスデータインターフェースをさらに含む請求項41記載のデバイス。
【請求項58】
前記オミックスデータインターフェースが、少なくとも一つのオミックスオブジェクトとして以下の種類のシーケンスデータ:
ナノポアシーケンシングインターフェース、光子配列インターフェースおよび電子シーケンシングインターフェース
のうちの一つを取得するように構成されている少なくとも一つのインターフェースを含んでいる請求項57記載のデバイス。
【請求項59】
前記アクションが、レポートを掲示することを含む請求項41記載のデバイス。
【請求項60】
前記アクションが、警告を作製することを含む請求項41記載のデバイス。
【請求項61】
前記アクションが、通知を送付することを含む請求項41記載のデバイス。
【請求項62】
前記アクションが、処理を開始することを含む請求項41記載のデバイス。
【請求項63】
前記アクションが、電子診療記録にデータを投入することを含む請求項41記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年2月26日に出願された出願番号第61/944946の米国仮出願、2014年7月14日に出願された出願番号62/022103の米国仮出願、および2014年10月9日に出願された出願番号62/062057の米国仮出願の利益を主張する。
【0002】
発明の技術分野
本発明の技術分野は、オミックスデータの携帯機器における保存、アクセスおよび使用であり、特に携帯機器に起因する制約下でのオミックスデータの表示および相互作用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景技術の記載は本発明を理解するために有益であるかもしれない情報を含む。本明細書中で提供される情報は、本発明に対する先行技術であるもしくは本発明に関連するということを認めるものではなく、また、明示的もしくは暗示的に参照された刊行物は、先行技術であるということを認めるものではない。
【0004】
本明細書中の全ての刊行物は、それぞれ個々の刊行物または特許出願が参照により具体的におよび個別に組み入れられた場合と同程度に、参照により組み入れられる。組み入れられた参考資料における用語の定義または使用が本明細書中において提供されるその用語の定義と一致しないまたはそれに反する場合、本明細書中で提供されるその用語の定義が適用され、参考資料中のその用語の定義は適用されない。
【0005】
個人のゲノムデータの分析は、個別化医療において有望である。一人の人間の全ゲノム配列は30億以上の塩基対を含み得、これは、単純に、生のゲノムデータおよび一度の読取のみを保存すると仮定して、約3GBで保存され得る。生の配列読取が保存され、かつゲノムが例えば30〜50度などの読み深度まで読まれる場合、全ゲノムは、さらに多くのメモリーをも消費し得る。その結果、大型のコンピューターシステムがしばしばゲノム情報を分析するために用いられる。残念ながら、ゲノムに関連した利用可能な情報のその規模およびスケールは、とりわけ手持ちの携帯機器が一般的であるポイント・オブ・ケアにおいて、アクセスのし易さを不可能にしている。例えば、2002年8月6日に出願されたSzetoの米国特許第7,251,642号明細書、“Analysis Engine and Work Space Manager for Use with Expression Data”(「発現データとともに使用するための分析エンジンおよび作業スペース・マネージャー」)は、作業スペース中のメモリマップトファイルを介して遺伝子発現データを分析することを可能にするランタイムエンジンについて記載している。ワークステーションにおいては有用かもしれないが、そのようなアプローチは携帯機器については不適切である。
【0006】
それでも、提示のために大容量のデータセットを縮小する方向へいくらかの進歩がなされてきた。例えば、2009年11月6日に出願されたSinghらの米国特許出願公開第2010/0161607号明細書、“System and Method for Analyzing Genome Data”(「ゲノムデータを分析するためのシステムおよび方法」)は、ワイドエリアネットワークを通じてクライアントのデバイスへ縮小または要約されたゲノムデータを提供することのできるゲノム分析データサーバーについて記載する。いくらか同様の趣旨において、2013年1月28日に出願されたPlattnerらの欧州特許出願公開第2 759 963号明細書、“System and Method for Genomic Data Processing with an In-Memory Database System and Real-Time Analysis”(「インメモリー・データベース・システムおよびリアルタイム分析を用いたゲノムデータ処理のためのシステムおよび方法」)は、医師および研究者がある種の腫瘍の遺伝的な根源を同定することを支援するクラウドアプリケ―ションを提供するシステムについて記載している。このシステムはさらに、携帯機器上で遺伝子を閲覧することを支援する。しかし、単にゲノムデータを提示することは、ポイント・オブ・ケア事象においてでさえも不十分である。むしろ、特にスマートフォンまたはその他の組み込み機器の制約付きの環境において緊急のデータリクエストに応答性でありつつ、セキュリティーまたは個人のプライバシーを維持することが依然として必要であろう。
【0007】
あるレベルにおいては、インタラクティビティに向かうさらなる進歩が、2009年11月6日に出願されたTebbsらの米国特許出願公開第2010/0286994号明細書、“Interactive Genome Browser”(「インタラクティブ・ゲノム・ブラウザー」)によってなされている。Tebbsは、ゲノムサーバーからゲノムデータをインタラクティブにリクエストできるインタラクティブ・ゲノム・ブラウザーを記載しているが、携帯機器のゲノムブラウジングにおける制約については説明できていない。
【0008】
興味深いことに、上記の技術はゲノムデータを提供すること向かっては進歩を遂げているが、ポイント・オブ・ケア事象において存在し得る要求に応えることができていない。例えば、事象、携帯機器の型および位置による制約(例えば緊急性、デバイスによる制約、帯域幅など)は、システムの応答性、または、取り入れられ得るもしくは表示され得るデータの量における厳しい制約を課し得る。さらに、従来技術は、ポイント・オブ・ケアにおける個人のゲノム情報に関連する有益な医薬品情報の必要性に対処することができない。
【0009】
したがって、オミックスデータを提示するため、およびユーザーにそれらデータとの相互作用を可能にするための数多くの方法、システムおよび装置が公知ではあるが、このような装置は一般的に携帯型/ベッドサイドでの使用には適していない。したがって、安全で、ハードウエアおよび/または使用場所によって強いられる装置的制約内でオミックスデータの表示および相互作用を可能にする安全な携帯型ゲノムブラウジング装置の高い必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0010】
本発明の主題は、限られた性能を備える携帯型装置が、とりわけポイント・オブ・ケア事象において、要求または問い合わせに応答してユーザーに迅速にデータを提示すると同時に安全な様式でゲノム情報を提示するように構成され得る様々な装置、システム、および方法に関する。
【0011】
本発明の主題のある態様は、少なくとも一つのプロセッサー、ディスプレイ、通信インターフェースおよびメモリーを含む、安全なゲノムブラウジング装置を含む。メモリー(例えばフラッシュ、RAM、SSDなど)は、装置の限界を示す一またはそれ以上のゲノムブラウジング制約条件を保管するように構成される。さらに、メモリーは、一またはそれ以上の、メモリーの他の部分または無許可のプロセッサースレッドから分離され得る、および個人のゲノムデータを保管する一またはそれ以上の安全なワークスペースに分割される。通信インターフェースは、ネットワーク(例えば、インターネット、LAN、セル方式など)を経由した遠隔ゲノムウェブサーバーへの一またはそれ以上の安全な通信経路を設定するように構成され、ここで安全なワークスペースは安全な経路の一端点を示している。例えば、安全な経路は、VPNコネクション、SSLセッション、または他の様式の安全な通信チャンネルを備えていてもよい。
【0012】
ゲノムブラウジング装置は、装置の制約を考慮しつつゲノムデータをディスプレイ上に表示するという責任を有するプロセッサー上で実行可能なゲノムブラウザーモジュールを備える。ゲノムブラウザーモジュールは、遠隔ゲノムウェブサーバーへ、安全な経路を介して、ゲノムの一またはそれ以上の配列(例えば標的個体のゲノム、配列、遺伝子、変異、突然変異、挿入、欠失など)と関連するゲノムデータに関して問い合わせを行うように構成される。これに呼応して、ゲノムブラウザーモジュールは、ゲノム配列に関連する薬物相互作用情報などのゲノムデータを受け取る。受け取られるゲノムデータは、ゲノムウェブサーバーによって予期される、予期されたブラウザーインターフェースフォーマット(例えば、webapp、HTML5など)で受け取られる。ゲノムブラウザーモジュールは、ゲノムデータを安全なワークスペース内に保管させる。ゲノムブラウザーモジュールは、また、期待されるブラウザーインターフェースフォーマットから基準化されるゲノムブラウザーインターフェースの定義を構築し、これは、HTML5コードまたはwebappを一またはそれ以上のスクリプト(例えば、QML、Javascriptなど)に変換することを可能にする。ゲノムブラウザーインターフェースの定義は、装置のブラウジング限界を尊重して構築される一方、ネイティブデバイスの制御も提示している。ゲノムブラウザーモジュールはまた、問い合わせの主題および薬物相互作用情報に基づいて、ゲノムデータから関連するゲノムデータを識別する。最後に、ゲノムブラウザーモジュールは、ゲノムブラウザーインターフェース定義にしたがって、ゲノムブラウザーインターフェース中の関連するゲノムデータおよび関連付けられる薬物相互作用情報をディスプレイ上に表示し、これによりセキュリティー制約を尊重し、かつ装置の制約に準拠する。
【0013】
本発明の主題の様々な目的、特徴、態様、および利点は、添付の図面とともに、以下の好ましい実施例の詳細な説明からより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、安全なゲノムブラウジングデバイスの一例の図式的概観である。
【
図2】
図2は、薬物相互作用データを表示している安全なゲノムブラウジングデバイスの例示的なスクリーンショットを示す。
【
図3】
図3は、ゲノムブラウザーインターフェース中のゲノム情報を示すサマリーインターフェースの例示的なスクリーンショットを示す。
【
図4A】
図4Aは、ゲノムブラウザーインターフェース上に表示された全ゲノム配列の例示的なスクリーンショットを示す。
【
図4B】
図4Bは、
図4Aの全ゲノム配列の情報と関連して作用することができるネイティブデバイスコントロールの例示的なスクリーンショットを示す。
【
図4C】
図4Cは、
図4Aの全ゲノム配列の情報と関連して作用することができるネイティブデバイスコントロールの代替的セットの例示的なスクリーンショットを示す。
【
図5A】
図5Aは、協力者インターフェースおよび分析ドリルダウンインターフェースを示すゲノムブラウザーインターフェースの例示的なスクリーンショットを示す。
【
図5B】
図5Bは、
図5Aから得られる情報と相互作用するためのコントロールを示す例示的なスクリーンショットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明者らは、ポイント・オブ・ケアにおけるユーザーが、限られた性能を備える携帯機器を介して、既知のブラウジング装置の制約に基づいて基準化および装置またはディスプレイへの情報のデリバリーを最適化する安全な様式でオミックス情報と相互作用することを可能にするために装置、システムおよび方法が実施され得ることを発見した。考慮された携帯機器は、理想的には安全な環境において、視覚的または聴覚的フィードバックを提供しおよびネットワークにアクセスすることのできる、携帯型または装着式のゲノムブラウジング装置として典型的には構成されるであろう。考慮された携帯機器はまた、コンピューターで読み取り可能な安全なメモリーと連結されており、かつ、(1)保護プロトコルにしたがって少なくとも一つのオミックスオブジェクト(例えば、ゲノムデータ、RNomicデータ、プロテオミクスデータ、エキソミックデータなど)を取得する、(2)少なくとも一つのオミックスオブジェクトにオミックス分析ルールセットを適用することにより少なくとも一つの推奨を作成する、および(3)推奨に従い、インターフェースを介してアクションを開始する、ように構成されているオミックス分析エンジンを備えていてもよい。
【0016】
例えば、適切な機器としては、携帯電話、タブレットまたはファブレット、スマートフォン、スマートグラス、スマートウォッチ、前腕表示(forearm display)デバイス、パーソナル・エリア・ネットワークデバイス、機器を備えた衣類、ゲーム機、医療用装置もしくは機器、ラップトップ、または他の種類の携帯用機器などが挙げられる。考慮される携帯機器は、一またはそれ以上のユーザーインターフェースを通じて、何らかの形式のユーザーフィードバックを提供する。携帯機器上のインターフェースの例としては、デバイスのスクリーン、現実環境オーバーレイ(例えば、拡張現実、投影型複合現実感など)、テキスト読み上げ、録音音声、仮想網膜ディスプレイ、触覚インターフェース(例えば、振動、点字、3Dプリンターなど)、自動音声認識インターフェース、タッチスクリーン、または他の種類のインターフェースなどが挙げられ得る。その結果、装置の制約は、そのような装置に本質的または固有な一またはそれ以上の特徴によって少なくとも部分的には規定されるであろう。例えば、典型的なゲノムブラウジングデバイスの制約は、限られたRAMスペース(例えば、4GB以下など)、限られたデータ記憶容量(例えば、64GB以下など)、限られたプロセッサー能力(例えば、シングル・コア・プロセッサーなど)、限られたデータ転送速度(例えば、ブルートゥースまたはWiFiを使用しているなど)、限られた表示面積および/または解像度などであろう。ゲノムブラウジングデバイスの制約は、より大きなコンピューターシステム(例えばデスクトップ、ワークステーション、ウェブサーバーなど)と比べた場合の装置の物理的なサイズに起因して課されるであろうことが理解されるべきである。
【0017】
コンピューターに向けられた用語は、サーバー、インターフェース、システム、データベース、エージェント、ピア、エンジン、コントローラーなどを含むコンピューティングデバイスの任意の適切な組み合わせ、または、個々にもしくは共に作用する他の種類のコンピューティングデバイスを含むと読まれるべきであることに留意すべきである。コンピューティングデバイスは、実体的な固定のコンピューター可読記憶媒体(例えばハードドライブ、ソリッドステートドライブ、RAM、フラッシュ、ROMなど)上に記憶されているソフトウェア命令を実行するように構成されているプロセッサーを含むことが理解されるべきである。ソフトウェア命令は、コンピューティングデバイスが、開示される機器に関して以下で記載される役割、責任、または他の機能を提供するように構成される。さらに、記載される技術は、コンピューターによるアルゴリズム、プロセス、方法、または他の命令の実行と関連付けられる記載の工程をプロセッサーに実行させるソフトウェア命令を記憶している固定のコンピューター可読媒体を含むコンピュータープログラム製品として具現化され得る。特に興味深い実施態様において、様々なサーバー、システム、データベース、またはインターフェースは、標準化されたプロトコルまたはアルゴリズムを用いて、例えばHTTP、HTTPS、AFS、公開−秘密鍵交換、ウェブサービスAPI、既知の金融取引プロトコル、または他の電子情報交換方法に基づいて、データを交換する。デバイス間のデータ交換は、パケット交換ネットワーク、インターネット、LAN、WAN、VPN、もしくは他の種類のパケット交換ネットワーク;回線交換ネットワーク;セル交換ネットワーク;または、他の種類のネットワークを通して行われる。
【0018】
図1は、ポイント・オブ・ケアにおけるステークホルダー(例えば患者、医師、腫瘍学者など)による使用のためにゲノムデータを提供できる例示的な安全なゲノムブラウジングデバイス120の概要を示す。示されている例において、安全なゲノムブラウジングデバイス120としては、110Nを通じてゲノムウェブサーバー110A(合わせてゲノムウェブサーバー110と称される)からゲノムデータをネットワーク115を介して要求するスマートフォン(例えばBlackBerry(登録商標)、iPhone(登録商標)、Android(登録商標)など)を含む。
図1に示されたエコシステムは、それを通じて個人のゲノムデータおよび薬物相互作用が交換、保管、分析、表示、あるいは管理され得る安全な環境を概説していることが理解されるべきである。説明を目的として、本発明の内容は、ポイント・オブ・ケアにおける腫瘍医が持つBlackBerryデバイス(例えばZ30、Z10、Q10、P’9982、PlayBookなど)の観点から提示されるであろう。
【0019】
提示されるエコシステムにおいて、デバイスおよびサービスは、レジストリサーバー112を通じて管理され得る。例えば、レジストリサーバー112は、BlackBerry Enterprise Server(商標)(BES)を備えていてもよく、これは、登録されているエンタープライズレベルのアプリケーションと携帯機器との間の通信を連携する。安全なゲノムブラウジングデバイス120、例えばBlackBerry PlayBookは、それ自身を一またはそれ以上のデジタルウェブサービスのコンシューマーとして識別させるためにレジストリサーバー112に登録する。提示されるケースにおいて、サービスは、それらのサービスをレジストリサーバー112に登録したゲノムウェブサーバー110によって提供されるウェブサービスを含んでいてもよい。したがって、レジストリサーバー112は、エコシステム内の種々のデバイスおよびサービスを認証し、それぞれの構成要素が他の構成要素とデータを交換することまたは登録されたサービスを利用することが認証されていることを保証することができる。例えば、臨床医が救急室で勤務を開始するというシナリオが考慮される。彼ら臨床医が救急室に入室する際、彼らのデバイスは、コンテキスト位置情報に基づいてレジストリサーバー112に登録され得、ゲノムウェブサーバー110上の患者のゲノムデータにアクセスすることへの認可を求め得る。ゲノムウェブサーバー110を介して患者のゲノム情報にアクセスすることは、どの薬剤が患者のゲノムと有益または有害な薬物相互作用(例えば経路発現、RNAメッセージイングなど)を有し得るかを決定することを臨床医に可能にする。
【0020】
ゲノムウェブサーバー110は、一またはそれ以上のデジタルプロトコル(例えばHTTP、HTTPS、SSL、SSH、FTP、SFTP、TCP/IP、UDP/IP、SMTP、SMS、MMSなど)を介して、ネットワーク115を通じてデジタルゲノムデータを提供するように構成されているウェブサーバーを備えている。一般的に、ゲノムウェブサーバー110は、ゲノムデータを予期されるブラウザーインターフェースフォーマットで、例えばHTML5、レンダリング言語、または他のwebappフォーマット(例えばJavascript、CSS、AJAXなど)で、ネットワーク115を通じて伝達することによって、ネットワークベースの要求に応答するように構成されている。サーバーの例としては、ゲノムウェブサーバー110Aによって示されるようなBAMフォーマット、SAMフォーマット、GARフォーマット、またはBAMBAMフォーマットに基づくゲノムデータを提供するウェブサーバーなどが挙げられる。BAMBAMサーバーは、共にSanbornらによる“BAMBAM: Parallel Comparative Analysis of High-Throughput Sequencing Data”との表題である米国特許出願公開第2012/0059670号明細書(2011年5月25日に出願された)および米国特許出願公開第2012/0066001号明細書(2011年11月18日に出願された)に記載されている技術の適切な設定を通じて構築され得る。ゲノムウェブサーバーとしての使用に適合し得るゲノムデータ分析技術の別の例としては、ゲノムウェブサーバー110Nによって示されているような、共にVaskeらによる “Pathway Recognition Algorithm Using Data Integration of Genomic Models (PARADIGM)”との表題である国際公開第2011/139345号(2011年4月29日に出願された)および国際公開第2013/062505号(2011年10月31日に出願された)である国際特許出願に記載されているものが挙げられる。ゲノムデータサービスを提供するために適用され得るかもしれないさらに別のゲノムデータ管理技術の例としては、2009年11月6日に出願されたSinghらのSystem and Method for Analyzing Genome Data” との表題である米国特許出願公開第2010/0161607号明細書に記載されているものが挙げられる。
【0021】
ネットワーク115は、それを通じてエコシステムのデバイスがデジタルデータを交換するデジタル通信インフラストラクチャーを備える。いくつかの実施態様において、ネットワーク115は、デバイスが相補的通信インターフェース140(例えばBluetooth、802.11、WiMAX、WiGIG、セルラー、無線USBなど)を介した一またはそれ以上の無線プロトコルを介して通信する無線ネットワークを備え得る。BlackBerry PlayBookデバイスを安全なゲノムブラウジングデバイス120として操作している臨床医が、病院内に配置されているゲノムウェブサーバー110に対してローカルである病院環境の例が考慮される。BlackBerryデバイスは、802.11プロトコル(例えば802.11n、802.11a、802.11b、802.11g、802.11acなど)を介してネットワーク115と通信できる。臨床医が病院か遠く離れ、ローカル接続の域外にいるような他の状況において、BlackBerryデバイスは、セルラーネットワーク(例えばLTE、GSM、EDGEなど)を通じてデータを交換するように構成され得る。ケーブルの物理的な限界に起因して理想的ではないが、ネットワーク115はまた、移動性が必要条件ではない状況下においては、有線ネットワーク(例えばEthernet、USBなど)を備えて得る。
【0022】
安全なゲノムブラウジングデバイス120は、以下に記載される役割または責任を果たすために共に協同する複数の構成要素をを備えるコンピューティングデバイスを備える。安全なゲノムブラウジングデバイス120は、プロセッサー(例えばARM(登録商標)、Snapdragon(登録商標)、Adreno(登録商標)、Marvellなど)、ディスプレイ160、メモリー130、通信インターフェース140、および、メモリー130に記憶されているソフトウェア命令にしたがってプロセッサー上で実行可能なゲノムブラウザーモジュール150をを備える。記載のブラウザーデバイスとして作用するように適切に構成され得るデバイスの例としては、携帯電話、スマートフォン、ロボットアシスタント、タブレット、ファブレット、医療機器、または他のデバイスなどが挙げられる。メモリー130は、デジタルデータの永続的な保管のへの対応を備えており、および、例えばRAM、FLASH、ソリッドステートドライブ、SDカード、HDD、または他の種類の記憶デバイスなどを含む。示されていないが、安全なゲノムブラウジングデバイス120は、潜在的なデバイスインフラストラクチャー(例えばスレッド、ファイルアクセス、デバイスドライバーなど)を扱うためのオペレーティングシステムを備えていると見なされる。例えば、BlackBerryデバイスは、QNX(登録商標)カーネルで構成され得る。オペレーティングシステムの他の例としては、例えば、VxWorks(登録商標)、Linux、Android、または、携帯機器に作用するように構成されているオペレーティングシステムなどが挙げられる。
【0023】
メモリー130は、ゲノムブラウジング制約170を記憶させ、および、安全なワークスペース133内に個人のゲノムデータを記憶させるように構成またはプログラムされる。メモリー130は、ゲノムデータ135の部分を表示しているデータに対して、個人のゲノムデータの秘密性が保たれていることを保証しながら、ゲノムブラウザーモジュール150が機能する一または複数の安全なワークスペース133へと分轄あるいは区分化される。いくつかの実施態様において、メモリー130は、複数の安全なワークスペース133を含み得、ここでそれぞれの安全なワークスペース133は、他の安全なワークスペース133から分離されている。例えば、腫瘍学者は、複数の患者に関して個人のゲノムデータへのアクセスを要求するかもしれないが、ここで、各患者のゲノムデータ135は割り当てられた安全なワークスペース133内に他のデータから離間して保存されている。したがって、各患者のデータは、他の患者のデータがら隔離および分離されたままであり得、これゆえ腫瘍学者による不注意な行為を通じた予期せぬ開示を防ぐであろう。
【0024】
安全なワークスペース133は、一またはそれ以上の技術を通じて確立され得る。いくつかの実施態様において、デバイスのオペレーティングシステムは、メモリーの連続セクションを割り当てること、および安全なワークスペース133内に記憶されたデータを暗号化することによって安全なワークスペース133を確立し得る。代替的には、安全なワークスペース133は、暗号化されず、むしろ暗号化されたフォーマットにしたがって、例えばゲノムウェブサーバー110との鍵交換に基づいて、ゲノムデータ135を記憶する。例えば、ゲノムブラウザーモジュール150は、データを操作するためにゲノムブラウザーモジュール150が安全なワークスペース133またはゲノムデータ135を復号化することを可能にする患者鍵またはトークンを備え得る。他の実施態様において、安全なワークスペース133は、ゲノムブラウジングデバイス120上で作動する、インスタンスを生成するバーチャルマシン専用のメモリーのパーティションを備えていてもよい。さらには、安全なゲノムブラウジングデバイス120が患者のデータの気密性を保持することに努めるという観点から、安全なワークスペース133は、一またはそれ以上のセキュリティー基準、例えばFIPS140−2などを順守するように構成またはプログラムされ得る。BlackBerryの例に戻って、QNXオペレーティングシステム(例えば、QNXカーネルなど)は、マルチコアプロセッサによる使用のための一またはそれ以上の安全なパーティションを設定し得る。さらには、安全なパーティションは、例えばVeraCrypt(URL veracrypt.codeplex.comを参照)またはCipherShed(URL www.ciphershed.orgを参照)などの、暗号化されたパーティションをオンザフライで作製するためのオープンソースユーティリティであるツールに基づく使用のためにインスタンスを発生し得る。このような場合、ゲノムブラウザーモジュール150の実行は、一またはそれ以上の患者のデータに関してロックされ得る。安全なパーティションは、様々なアクセスレベルを尊重するようにネストされ得る。例えば、安全なパーティションは技術者、腫瘍学者および患者によるアクセスを可能にするように構成されている暗号化の基礎的水準を有していてもよい。パーティションは、アクセスを医師または患者のみに限定するように構成されている第2の鍵またはアルゴリズムの種類に基づいて暗号化される追加の安全なコンテナを備えていてもよい。さらには、安全なコンテナはまた、患者によってのみアクセス可能であるさらなる別の安全なコンテナを備えていてもよい。それぞれの連続的なコンテナ中に記憶されるデータはおそらくより気密性が高いとみなされるであろう。
【0025】
代替的にまたは追加で、安全なワークスペース133はまた、オミックスデータセットの少なくとも一部を示すオミックスオブジェクト(例えばプロテオミクスデータ、全ゲノム配列データ、RNomicデータ、エクソーム発現など)を記憶するオミックスデータストアとして機能するように構成されてもよく、ここで、オミックスオブジェクトは、実際の配列もしくはその部分、または腫瘍の核酸配列と正常な核酸配列との間で異なるオブジェクト、または参照の核酸と腫瘍および/または正常な核酸との間で異なるオブジェクトなどであり得る。考慮されるさらなる装置において、オミックス分析エンジン(図示せず)は、安全なコンピューター可読メモリーと連結されており、および、(a)保護プロトコルにしたがって少なくとも一つのオミックスオブジェクト(例えば、全ゲノム配列情報、エクソーム配列情報、トランスクリプトーム配列情報および/またはプロテオーム情報の代表例など)を取得する、(b)少なくとも一つのオミックスオブジェクトにオミックス分析ルールセットを適用することにより一つの推奨を作成する、および(c)推奨にしたがいインターフェースを介して(典型的にはゲノムブラウザーインターフェースを介して)アクションを開始する、ように構成される。
【0026】
メモリー130はまた、ゲノムブラウジング制約170を記憶するように構成またはプログラムされる。ゲノムブラウジング制約170は、安全なブラウジングデバイス120と関連付けられる制約を示すデータエレメントを含む。安全なブラウジングデバイス120が完全なデスクトップコンピューター、ワークステーションまたはサーバーと比較して制限された機能を有している点から、安全なブラウジングデバイス120のゲノムデータを閲覧する能力もまた極めて制限され得る。ゲノムブラウザー制約170は、ブラウジングエクスペリエンスに影響を及ぼし得る広域な制約を含み得る。ゲノムウェブサーバー110は、必ずしもゲノムブラウジング制約170へのアクセスを要求しなくてもよいことが留意されるべきである。むしろ、より興味深い実施態様において、安全なゲノムブラウジングデバイス120は、ゲノムデータ135をウェブサーバー110にとって透明であると考えられ得る様式で閲覧するあいだに、ステークホルダーの受入れ可能なエクスペリエンスを作製するためにゲノムブラウジング制約170を活用し得る。このアプローチは、それぞれの安全なゲノムブラウジングデバイス120がゲノムウェブサーバー110へのまたはウェブサーバー110が通常のブラウザーに提供するwebapp情報への修正を必要とすることなしにそれら自身の制約にそれぞれ対処することを可能にするため有利であると考えられる。このアプローチは、当該技術分野において新しいデバイス(例えば新しい電話、スマートウォッチなど)がより普及してきているために特に重要である。
【0027】
ゲノムブラウジング制約170は、装置の物理的限界を反映するブラウジングデバイス制約を含み得る。物理的限界の一例としては、ゲノムデータ135のメモリーが使用可能なメモリ容量、例えば安全なパーティションのサイズなどの限界を示すメモリー制約が挙げられる。メモリー制約は、物理的メモリーの総容量、バーチャル容量、現在の割当容量、アクセス待ち時間、保護レベル(例えばFIPS 140−2レベルの1から4など)、安全なパーティションまたはコンテナの容量、最大割当可能容量、または他のメモリー制約などを含む。装置の制約の別の例としては、計算の制約が挙げられる。計算の制約としては、プロセッサー内のコアの数、使用することの可能な処理能力の量(例えばMIPS、パーセンテージ、タイムスライス、レイテンシ配分量など)、暗号サポートの存在または欠如(例えばハードウエアサポート、ソフトウエアサポートなど)、計算コスト(例えば消費電力など)、GPUまたはグラフィカル表現帯域幅、使用可能なスレッドの数、または他の計算上の制約などが挙げられ得る。装置の制約のさらなる別の種類としては、ゲノムデータ135にアクセスするステークホルダーのエクスペリエンスに影響を及ぼし得るかもしれないネットワーク制約が挙げられ得るかもしれない。使用可能なネットワーク帯域幅が、アクセスされ得る、または、閲覧要求における待ち時間に影響を与え得るかもしれないゲノムデータ135の量を制限するかもしれない。ネットワーク制約の例としては例えば、待ち時間、データプランコスト、帯域幅、pingタイム、プロトコルサポート、または他のネットワーク関連制約が挙げられ得る。さらには、装置の制約はまた、ディスプレイ160に関連する可能性のある特定の問題を示すディスプレイの制約を含み得る。例えば、ディスプレイの制約としては、ディスプレイのサイズ、アスペクト比、リフレッシュレート、入力制限(例えばタッチ感度など)、ピクセル密度、次元サポート(例えば2D、3Dなど)、サポートされているレンダリングフォーマット(例えばビデオコード、オーディオコードなど)または他の種類のディスプレイ制約が挙げられ得る。ゲノムブラウジングデバイスのゲノムブラウジング制約は、自動化された方式(例えば運用能力および/または構成要素の存在を認定するソフトウェアを利用するなど)などを含む様々な方法で、または、ゲノムブラウジングデバイスの構成および能力のアプリオリな知識に基づいて認識され得る。
【0028】
デバイスに関連する制約のほかに、ゲノムブラウジング制約170としては、デバイスに関連しない制約、例えばセキュリティー制約が挙げられ得る。セキュリティー制約は、おそらくは暗号サポート表示を含む計算の制約といくらかオーバーラップし得るかもしれない。例えば、セキュリティー制約は、暗号チップ(例えばFreescale(登録商標) C29x)の存在、または、オペレーティングシステムにおける暗号サポートルーティーンの存在の表示をを含み得るかもしれない。したがって、セキュリティー制約は、公開鍵アルゴリズム(例えばRSA、Diffie−Hellman、ECCなど)、AES、3DES、HMAC、SHA、FIPS 140−2または他の機能に対するローカルサポートが存在することを示すかもしれない。セキュリティー制約はまた、アクセスレベル制約、プライバシー制約、セキュリティー強度制約、または匿名化制約でさえ含み得るかもしれない。追加のデバイスに関連しない制約は、ユーザ制約、例えばステークホルダーまたは協力者(患者、後見人、薬剤師、研究者、保険業者、技術者、医師、看護師、または目的の個人に関わりのある別の個人)の態様を反映するユーザー制約などを含み得る。追加のゲノムブラウジング制約170は、コンテキスト、場所、時間、ジオフェンス境界、ユーザーの嗜好または他の種類の制約を含み得るかもしれない。
【0029】
ゲノムデータ135は、個人のゲノムの一または複数の態様を示すデジタルデータを含み得るかもしれない。ゲノムデータ135は、様々な種類のゲノム情報または関連する情報を含む可能性がある。いくつかのシナリオにおいて、ゲノムデータ135は、個人の全ゲノム配列を含み得るかもしれない。このような場合、圧縮されていない生のデータファイルであると仮定して、全配列はほぼ3GBのデータを消費し得る。ゲノムデータ135を記憶するために使用されるデータフォーマットに依存して、ゲノムデータ135によって消費されるメモリー130の量は実質的に変わり得るであろう。例えば、50度の読み深度を有するBAMファイルフォーマットは、約150GB(すなわち、3GB×50)を必要とし得る。安全なゲノムブラウジングデバイス120は、大容量のハードドライブへのアクセスを有するデスクトップまたはワークステーション装置と比較して、メモリー制約などを含む多くの制約をもっていることに注意すべきである。さらに、安全なゲノムブラウジングデバイス120は、複数の患者のために同時に複数の別々のゲノムデータセットを閲覧するように構成またはプログラムされていることに注意すべきである。したがって、ゲノムデータ135は、圧縮されたフォーマットで記憶され得る。しかしながら、圧縮されたフォーマットはスペースを節約して使用するが、それはデータにアクセスするためにデータを解凍するための演算資源を必要とし、これは、解凍のあいだに生じる待ち時間よってユーザーエクスペリエンスに影響を与え得る。代替的に、ゲノムデータ135は、個人のゲノムのサブセットであってもよい。例えば、全ゲノム配列のサブセットを含むゲノムデータ135は、参照ゲノムに対する一またはそれ以上の違い、置換、欠失、挿入、遺伝子、がん遺伝子、ミスセンス、交互変化、変異、逸脱、配列位置、対立遺伝子フラクション、一またはそれ以上のSNPs、染色体、または全ゲノムのサブセットに関する他の情報を含んでいてもよい。ゲノムデータのさらなる例としては、RNA配列情報(mRNAおよびmiRNA)、タンパク質レベル(定量的および予想されたものの両方)、CHIP−Seq、メチル化情報(二硫化物または他の方法)、および、染色体またはタンパク質の空間的立体配置に関する情報などが挙げられるかもしれない。
【0030】
さらに考慮される態様において、本明細書中における使用のためのゲノムデータは、参照ゲノムモデルに基づいていてもよく、またはそれから再構成されてもよい。そのようなシステムにおいて、参照ゲノムモデルからの患者に特有な逸脱は、異なるオブジェクトとして(例えばBAMBAMフォーマットにおいて)または異なるオブジェクトの一群として表されてもよい。そのようなモデルシステムは、より高いズームレベルでゲノムの変化/変異のシンボリックフォームでの簡便なグラフィック表示を有利に可能にし得、一方、ズームインは、実際の配列情報中に配列要素のグラフィッカルな表示を表現し得る。発明の主題を制限することなく、そのようなズーム機能は、SAMまたはBAMファイルからの位置情報に基づいていてもよく、および、実際の配列情報は、配列データベースから、位置に関する実際の配列データを要求するブラウザーによって、ゲノムブラウザーに提供されてもよい。
【0031】
通信インターフェース140は、安全なゲノムブラウジングデバイス120とネットワーク115との間のデジタル通信連結性を提供するように構成またはプログラムされており、ここで通信インターフェース140は、ネットワーク115によってサポートされるプロトコルによって作用する相補的な物理的インターフェースを備える。したがって、通信インターフェース140は、一またはそれ以上の有線インターフェース(例えばEthernet、USB、Firewire(登録商標)など)または無線インターフェース(例えばBluetoothインターフェース、802.11インターフェース、セルラーインターフェース、無線USBインターフェース、WiGIGインターフェース、WiMAXインターフェースなど)を備えていてもよい。通信インターフェース140は、少なくとも一つのゲノムウェブサーバー110とネットワーク115上で安全な経路145を確立するように構成されている通信スタック(例えばTCP/IPスタック、USBスタックなど)をさらに備える。安全な経路145は、安全なゲノムブラウジングデバイス120とゲノムウェブサーバー110との間の通信チャンネルの所望の構造に依存して異なる性質をもち得る。腫瘍学者が、プライベートLAN上でゲノムウェブサーバー110をローカルにホストしているクリニック内で、安全なゲノムブラウジングデバイス120としてBlackBerry PlayBookを活用する場合が想定される。このようなシナリオにおいては、通信インターフェース140は、安全な経路145として安全なプロトコル接続を確立し得る。例えば、安全なトンネル145は、SSL、HTTPSまたはさらにはSSHで保証されるプロトコル上に構築される通信チャンネルを備えていてもよいであろう。腫瘍学者または他のユーザーが、ゲノムウェブサーバー110がホストされているプライベートネットワークに対して離れて位置しているような場合においては、安全な経路145は、通信インターフェース140がゲノムウェブサーバー110の観点から実質的に安全なローカルデバイスとして現れるように、VPN接続を備え得る。さらには、ゲノムウェブサーバー110が、クラウドベースサービス(例えばPaaS、IaaS、SaaSなど)として作用するような場合においては、安全な経路145は、ゲノムウェブサーバー110によって提供されるウェブサービスと例えばHTTPS接続を介して連結され得るであろう。安全な経路145のさらに別の例としては、権限も尊重しながらゲノムデータ135にアクセスする個人のプライバシーをさらに保証し得る匿名化プロトコル(例えばTORなど)を通じて構築されるチャンネルなどが挙げら得るであろう。
【0032】
図1に示されている例は、一つの安全な経路145を確立している通信インターフェース140を示しており、ここで、安全なワークスペース133は、安全な経路145の一端点を示している。例えば、安全な経路145の端点は、安全なワークスペース133をそのローカルメモリーとして使用する、インスタンス化されたバーチャルマシン(例えばVMWare(登録商標)、Xenなど)を備えていてもよい。データは安全な経路145を介してゲノムウェブサーバー110と交換されるため、バーチャルマシンは、ゲノムデータ135を安全なワークスペース133内に記憶することができ、安全なワークスペース133を通信バッファーとして使用することができ、あるいはブラウジングのあいだ安全なワークスペース133を管理することができる。二以上の安全な経路145、例えば複数の個人または患者のうちの1人ずつなどに専用である安全なワークスペース133のそれぞれに対して一つなど、が確立され得るであろうことがさらに理解されるべきである。このアプローチは、装置上に存在するかもしれない他の情報から各個人のゲノム情報を分離することを安全なゲノムブラウジングデバイス120に可能とするため有利であると考えられる。より具体的には、各安全な経路145は、単にそれぞれのゲノムデータ135を別々の分離された安全なワークスペース133に記憶できるだけでなく、ゲノムデータの「漏えい(leaking)」、または、1つの通信チャンネルから別のチャンネルへの共有されているバッファーを介したバッファーのオーバーフローの危険性がないように、コミニュケーションバッファーの別個のまたは異なるセットを使用することが可能である。各バーチャルマシンは、とりわけ各バーチャルチャンネルが特定の患者に専用であるような場合、他のバーチャルマシンから独立しておりかつ分離されているそれら自身の通信スタックをホストすることさえ可能であろうことが理解されるべきである。
【0033】
追加で、または代替的に、ゲノムデータは、アクティブ分析または保管目的のためにローカルまたはリモートのデータセンターから直接的にストリーミングされ得る。ストリーミングまたは保管のために活用され得る技術は、国際公開第2013/086355号“Distributed System Providing Dynamic Indexing and Visualization of Genomic Data”において記載されている。ゲノム交換は、認証後にデバイス間で中間サーバーの必要性なしに(ピアツーピア交換)安全に起こり得る。ゲノム情報を移動させるための他の適切な技術は、米国特許出願公開第14/541068号明細書“Systems And Methods For Transmission And Pre-Processing Of Sequence Data”に記載されているかもしれない。
【0034】
安全なゲノムブラウジングデバイス120は、プロセッサー、複数のプロセッサーまたは安全なゲノムブラウジングデバイス120のコア上で実行するように構成またはプログラムされているゲノムブラウザーモジュール150をさらに備える。いくつかの実施態様において、ゲノムブラウザーモジュール150に関連付けられるソフトウェア命令は、ゲノムデータ135を閲覧することに関してさらなる分離または安全性を提供するために、安全なワークスペース133内に記憶されて得るであろう。本明細書中に記載されている特徴を組み入れるために適切に適用され得るゲノムブラウザーの一例としては、UCSCゲノムブラウザー(URL genome.ucsc.edu/index.htmlを参照のこと)が挙げられる。ゲノムブラウザーモジュール150に寄与し得る追加の技術としては、Five3 Genomics(URL five3genomics.comを参照のこと)またはNantomics(URL nantomics.comを参照のこと)によって提供されるものが挙げられる。
【0035】
ゲノムブラウザーモジュール150は、安全なゲノムブラウジングデバイス120のユーザーが、デバイスの制約内で安全かつ機密を保つ方法でゲノムデータ135にアクセスするまたはゲノムデータ135を閲覧することを可能にすることに関する様々な役割または責任を有する。ゲノムブラウザーモジュール150は、安全な経路145を介して一またはそれ以上のゲノムウェブサーバー110に、一またはそれ以上の標的ゲノム配列に関連付けられるゲノムデータ135に対するクエリ153を投入するように構成またはプログラムされる。クエリ153は、標的ゲノムの態様に関連する情報を備える。基礎的レベルにおいて、クエリ153は、全ゲノム配列が望ましいことを示す個別の患者識別子(例えば患者名、SSNなど)を含むのみであるかもしれない。しかし、クエリ153は、標的ゲノムに関連するより複雑な情報を含み得る。いくつかの実施態様において、クエリ153は、要求の属性と共にゲノムデータに対する要求をカプセル化するシリアライズされたデータ構造(例えばXML、JSON、YAMLなど)を含み得るかもしれない。例えば、要求は、患者識別子、ユーザー識別子、ゲノムブラウジング制約170、遺伝子名、配列位置、配列長、特定の配列ストリング、タンパク質、DNA配列、RNA配列、経路情報、医薬品情報、または、結果セットを作製するために一またはそれ以上のゲノムウェブサーバー110によって実行され得る他の特性を備えていてもよい。クエリ153は、ユーザー入力(例えば発話を介して、タッチスクリーンを介してなど)、患者の顔認識に基づいて、またはコンテキストデータ(例えば位置、時間、周囲から収集されたデータ、ペルソナなど)に基づいた自動作製を通じて、作製され得る。
【0036】
ゲノムブラウザーモジュール150は、安全な経路145を介してゲノムデータ135を受け取るようにさらに構成またはプログラムされる。ゲノムデータ135は応答するゲノムウェブサーバー110の、予期されるブラウザーインターフェースフォーマット(例えば作成されたwebappなど)で受信される。明確に言えば、ウェブサーバー110は、受信デバイスはゲノムデータ135を取り入れる能力を十分に有しているという仮定の下で応答する。例えば、クエリ153がゲノムウェブサーバー110Aをターゲットとする場合、ゲノムデータ135は、BAMフォーマットの、例えばwebapp言語内にカプセル化されている、ゲノム配列情報を含んでいてもよい。ゲノムデータ135は、同じフォーマットで記憶されてもよく、または、ディスプレイ160上にローカルに表示されるための準備においてフォーマットが取り除かれ得るかもしれない。ゲノムウェブサーバー110は、ゲノムデータ135のフォーマットを調整するために必ずしも必要とされているわけではないことが理解されるべきである。むしろ、ブラウジングデバイス上のゲノムブラウザーモジュール150は、ゲノムウェブサーバー110からの複数のwebappフォーマットを受け入れるように構成され得、受け入れ後、それは提示のために変換され、および一体化され得る。したがって、ゲノムデータ135は、ゲノムウェブサーバー110によって提供される提示フォーマットに忠実であり得る。提示フォーマットの例としては、例えば、HTML5、Javascript、QML、AJAX、Flash、Silverlight、スクリプト言語またはブラウザー環境内で実行可能であるかもしれない他のフォーマットなどが挙げられる。さらに、ゲノムウェブサーバー110によって提供される提示フォーマットは、必ずしもゲノムブラウザーモジュール150によって使用されるレンダリングフォーマットを示していなくともよい。
【0037】
より興味深い実施態様において、ゲノムデータ135はまた、問い合わせ配列に関連する薬物相互作用情報137の一またはそれ以上の部分を含む。例えば、薬物相互作用情報137は、ゲノムデータ135の新薬の開発につながるような遺伝子と相互作用を有する薬剤のリストを含んでいてもよい。薬物相互作用情報137は、薬剤に関連する莫大な量の情報を含み得る。薬剤情報の例としては、複数の薬剤、相互作用の種類、名称、価格、供給源、ディストリビューター、問い合わせ配列に無関係な他の相互作用、既知の薬剤研究、現在の薬剤研究、薬剤応答研究、関連する長期的な研究または他の薬剤情報などが挙げられ得る。
【0038】
安全なゲノムブラウジングデバイス120の制限されている機能という観点から、ゲノムブラウザーモジュール150は、ゲノムデータ135を完全にゲノムウェブサーバー110によって予期されているwebappフォーマットで表示することはできない。したがって、ゲノムブラウザーモジュール150は、予期されるブラウザーインターフェースフォーマットから一またはそれ以上のゲノムブラウザー制約170に基づいて基準化されるゲノムブラウザーインターフェース定義155を構築する、あるいはインスタンス化するようにさらに構成またはプログラムされる。例えば、ゲノムデータ135は、CSS定義にしたがって表示されたBAMフォーマットを含んでいてもよく、および、これはディスプレイ160上に表示されることが可能ではないかもしれない多量の読み取りデータを含む。これに呼応して、ゲノムブラウザーモジュール150は、ディスプレイ160上でのQtフレームワークを介した提示のために、提示をQMLコマンドのセットに縮小し得、ここで、QMLコマンドは、ゲノムブラウジング制約170中のディスプレイ制約を守るようにプレゼンテーション情報を変換または基準化する。ゲノムブラウザーインターフェース定義155はまた、安全性制約に基づいてゲノムデータ135をフィルターすることに、さらなるクエリ153を優先させることに、閲覧コマンドをアクティブ化もしくは非アクティブ化することに、または、他のアクティビティーに関連するルールを含み得る。したがって、ゲノムブラウザーモジュール150は、ゲノムデータ135の提示を、ゲノムウェブサーバー110のwebappフォーマットからネイティブなデバイス規制内の標的ゲノムブラウザーインターフェース定義155へ基準化していると考えることができる。ゲノムブラウザーインターフェース定義155は、リアルタイムで、例えばインターフェーススクリプトファイル(例えばLua、Python、Perl、Rubyなど)、QML、Javascriptまたは他のインターフェース定義言語を使用して、インスタンス化され得るかもしれない。ゲノムブラウザーインターフェース定義155は、リアルタイムで、例えばゲノムデータ135の受け取り前には存在していなかった状況で、および、ブラウザーインターフェース定義155がデバイスの安全性もしくは物理的制約に基づいて定義される基準の下に作用する一連のルールまたは手順に基づいて作製されている状況で、構築またはインスタンス化されるデノボインターフェースを備え得るかもしれないことが理解されるべきである。
【0039】
ゲノムブラウザーモジュール150はまた、ゲノムデータ135からの関連するゲノムデータ139を、クエリ153および薬物相互作用情報137に関連付けられるゲノム配列の関数として識別または認識するように構成またはプログラムされる。関連するゲノムデータ139は、ゲノムブラウジング制約170により制限され、かつ、クエリ153を満たすように試みつつ、ゲノムブラウザーインターフェース定義155にしたがって表示されることの可能なターゲット情報を示している。関連するゲノムデータ139はまた、ユーザーの明らかな要求に焦点を合わせているフィルターされたデータのセットまたは基準化されたデータのセットが想定される一方、多くの種々の形態をとることが可能である。ゲノム情報そのものに関連する、関連するゲノムデータ139の例としては、置換、欠失、挿入、遺伝子、がん遺伝子、ミスセンス、交互変化、変異、逸脱、配列位置、対立遺伝子フラクション、SNPデータ、STRデータ、全ゲノム、染色体、ゲノムの少なくとも一部分の視覚的提示または興味の対象であるゲノムに直接関連する他のデータなどが挙げられる。追加で、関連するゲノムデータ139は、ゲノムデータの性質に関する追加の情報またはメタデータを含んでいてもよい。例えば、関連するゲノムデータ139は、組織サンプル情報(例えば正常な組織サンプル、腫瘍組織サンプル、参照組織サンプルなど)、薬物相互作用情報137に関連付けられる体細胞突然変異、薬物相互作用情報137に関連付けられるコピーナンバーにおける逸脱、薬物相互作用情報137に関連付けられる新薬の開発につながるような遺伝子(例えば遺伝子、配列、変化など)または他の関連するメタデータを含み得る。さらには、関連するゲノムデータ139はまた、ゲノムデータ135に関連付けられる調査またはアクティブな研究に関連付けられる情報を含んでいてもよい。例えば、関連するゲノムデータ139は、遺伝子または突然変異に関連付けられる研究への、現在進行中の研究への、候補者もしくは参加者を受け入れている研究への、薬剤の臨床試験への、または他の種類の研究への、リンクを含んでいてもよい。このような情報は、腫瘍医が、最先端のリサーチまたは研究の利益を患者が受け得るかもしれない命に係わるような状況に遭遇かもしれない場合に有利であると考えられる。さらに、患者は、そのような研究の候補者であるかもしれない。
【0040】
さらに、関連するゲノムデータ139および/またはゲノムデータ135は、VCF(Variant Call Format)またはMAF(Mutation Annotation Format)のようなフォーマットでの変異コール(参照ゲノムまたは複数の参照ゲノムからの差異)のレベルから、一またはそれ以上の様々なフォーマットで記憶されるかもしれないことが理解されるべきである。また、ゲノムデータは、複数のローカルまたは遠隔デバイスにわたって配置され得ること、および、携帯型装置にローカルに、例えばファイルシステムにしたがって、少なくとも部分的に記憶され得ることが理解されるべきである。これらのファイルは、参照ゲノムのローカルコピーによって拡張され得、要求に応じて全ゲノムの再構成を可能にするであろう。このような実施態様において、メモリーが十分であればローカルコピーは終了し得るか、または、メモリーの必要条件を低くするためにデータのフラクタル表示を提示し得るであろう。したがって、データストアは、完全なゲノムデータセットの少なくとも一部分を記憶することができる。デバイスのネットワーク帯域幅に依存して、興味の対象である領域または全ゲノムが、追加の忠実性のために読み取りレベルで記憶されてもよい。これらの領域は、SAMまたはBAMファイルフォーマットで記憶され得、および追加で、参照配列を用いた圧縮スキームを用いて、または、読み取りクオリティスコアのビニングによるもしくは品質測定を使用したプレフィルタリングによる非可逆圧縮スキームを用いて、圧縮され得る。データは、例えば公開/秘密鍵暗号または準同型暗号などの技術を使用して暗号化され得るかもしれない。
【0041】
ゲノムブラウザーモジュール150は、ゲノムブラウザーインターフェース定義155にしたがって、ゲノムブラウザーインターフェース中の関連するゲノムデータ139および関連付けられる薬物相互作用情報137をディスプレイ160上に表示するようにさらに構成またはプログラムされている。例えば、関連するゲノムデータ139は、一またはそれ以上のがん遺伝子(例えばTRIO、CASP8、BMPR2など)に関連する情報であって、染色体座位を含む情報を含み得るかもしれない。情報は要約され、かつ、関連するゲノムデータ139を表示することおよびゲノムブラウジング制約170を尊重することに適応するように作製されるQMLスクリプトに基づいて表示されるインターフェースに基づいてディスプレイ160上に表示され得る。さらに、ディスプレイは、複数の患者のためのブラウザーインターフェースを提示することに備えて、フレーム、ウインドウまたは他のパーティションに分割され得る。表示された関連するゲノムデータは、例えば突然変異解析または細胞遺伝学的解析に基づいて、縮小されたまたは分析されたデータを含んでいてもよい。表示されたデータはまた、少なくとも一部分のゲノムのゲノム分析の、一またはそれ以上のグラフィック表示を含んでいてもよい。
【0042】
ディスプレイ160上に表示されたゲノム情報はまた、推奨されるゲノムデータ協力者を含み得ることが理解されるべきである。このアプローチは、腫瘍学者または臨床医が、許可または認証があるならば、類似の安全なゲノムブラウザーデバイス120を持つ他者と協力し合う、または、関連するゲノムデータ139を共有することを可能にする。このような場合、両方のステークホルダーが同じ状態で同時にデータを見ることができるように、協力者のデバイスは、ゲノムブラウザーデバイス120と同期され得る。1人の協力者が関連するゲノムデータ139を操作しているとき、他の協力者(または複数の協力者)は、彼ら自身のディスプレイ上でその結果を見るであろう。デバイスは、レジストリサーバー112を介して同期されていてもよく、または、デバイスの1つ(例えば共有デバイスなど)がマスターとして作用し、一方、他はクライアントとして作用する。このような通信は、所望の場合、ピアツーピア様式で実行され得る。協力者の特徴に依存して、同じ情報がユーザー制約に基づいて異なって表示されてもよい。例えば、腫瘍学者は、腫瘍学者の観点から(例えばがん遺伝子、薬剤の同定など)示されている、関連するゲノムデータ139を見る一方、遺伝学者は、関連するゲノムデータ139をより詳細に(例えば配列、遺伝子、変種など)見るかもしれず、ここで、関連するゲノムデータ139はそれぞれのユーザーの技術的プロファイルに従って表示される。
【0043】
図2は、対応するゲノムデータの抽出物および薬物相互作用情報を例示するBlackBerryデバイス上のゲノムブラウザーインターフェースのスクリーンショットを示す。示されている例において、ゲノムブラウザーは、個人のゲノム中の逸脱を同定する。追加で、ゲノムブラウザーは、一またはそれ以上の体細胞突然変異または組織サンプル中のコピーナンバーにおける逸脱と相互作用を有する薬剤(例えば87個の薬剤)を含む薬物相互作用情報を取得する。ゲノムブラウザーはさらに、それらに関連付けられる情報と共に薬剤をリストしている表を提示する。例えば、表には、薬物名、相互作用の種類、適用可能な交互変化または他のデータが含まれる。このインターフェースは、一またはそれ以上のゲノムウェブサーバーによりそれら自身のwebappフォーマットにしたがって提供されるゲノムデータに基づいて、Qtのフレームワーク内にQMLを使用して作成されるということが理解されるべきである。このインターフェースは、ゲノムウェブサーバーによって提供されるwebappプレゼンテーションフォーマットに基づいて通常作成されるであろうインターフェースから縮小されている。このアプローチは、ユーザーのためのネイティブなデバイスエクスペリエンスを達成しつつも、ゲノムウェブサーバーまたはwebapp定義上で動く既存のアプリケーションの改変を必要としないことが特に理解されるべきである。
【0044】
以下の図は、BlackBerryデバイスから得られた追加のスクリーンショットを提供し、および、追加のゲノムブラウザーインターフェースを例示している。これらの図は、Javascriptインターフェースを介して、ゲノムウェブサーバーによって供されるwebappフォーマットを目的のBlackBerryデバイスのためのネイティブコントロールおよびメニューへ変換することを示している。
【0045】
図3は、がん遺伝子に関連するゲノムデータの表示を例示ており、および、22個の常染色体にまたがる相対的カバレッジを示している。
図4Aは、全ゲノムの概要を示すスクリーンショットを示す。
図4Bは、
図4Aからの情報と対話するためのネイティブコントロールのセットの例を示す。
図4Cは、
図4Aからの情報と対話するためのネイティブコントロールのセットの代替的な例を示す。
図5Aは、解析レポートおよび共有能力を示すスクリーンショットを例示する。
図5Bは、
図5Aからの情報と対話するためのネイティブコントロールのセットの例を示す。
【0046】
開示されるアプローチは、興味の対象であるゲノムをブラウジングする機能を向上させる。ゲノムブラウザーモジュールは、ブラウザーがゲノムウェブサーバーからの追加のリクエストを行うことを必要とするのではなく、ユーザーがブラウザーリクエスト(例えばズームイン、ズームアウト、スクロールフォワード、スクロールバック、タイムシフトなど)を行うとリアルタイムでローカルに保管されているゲノムデータと相互作用を行うことができる。したがって、携帯型の安全なゲノムブラウザーは、非常にインタラクティブであり得、かつ本当の意味において、ゲノムウェブサーバーに対するそれ自身のプロキシとして作用し得るかもしれない。
【0047】
追加で、ゲノムブラウジングデバイスの適用は、推奨される投薬量、適切な治療法、副作用、毒性の薬物治療ガイダンス(薬理ゲノミクス)、または他の医薬品関連アクティビティーを支援すること含むことに留意されるべきである。別な例としては、複数のゲノムが同じ個人から得られたか否かを決定するためのサンプル供給源試験、または個人間の関係の決定するための試験(父子/母子鑑定)が挙げられる。さらに別の適用例としては、病気の細胞もしくは組織(がん)中の変化、または、現在の白血球の形状を決定するための疾患テストが挙げられる。ゲノムデータは、処置および予後情報またはワクチン開発のためにリアルタイムで使用され得るかもしれない。さらには、病原体の外来性配列検出がリアルタイムで感染を追跡するために行われ得る。血液試験から新たに得られたゲノム情報が、循環する腫瘍細胞を検知するために、または、個人の健康を確証するために赤血球および白血球からのRNA/DNA情報を使用するために、使用され得る。このゲノム情報は、携帯型デバイス上に部分的または全体的に常駐され得る。したがって、考慮されるデバイスおよびシステムは、中枢的に記憶されるパターンおよび装置に分配されているモデルに基づく疾患の早期発見を支援することができる。
【0048】
例示的な使用の一つが、Eviti(登録商標)(Eviti, Inc., 1800 JFK Boulevard, Philadelphia, PA 19103)エコシステムであり、生存率を通じたエビデンスベースのがんケア情報システムを提供している。このような設定において、記載される携帯型デバイスは、医療供給者がゲノムに基づく証拠に、リアルタイムで、患者との接触のそれぞれの段階で、アクセスすることを可能にする。携帯型デバイスは、ゲノム情報をエビデンスベースの基準と結びつけ得る。さらに、携帯型デバイス上のゲノム情報は、薬剤の有効性と、臨床試験と、および最終的なプロトコルに、関連付けられ得る。したがって、リアルタイムのゲノムに基づく相関関係が、実際の処置またはシミュレーション試験のあいだに、膨大な数の患者群にわたって獲得され得る。このようなスナップショットは、警告または他の通知の基礎または引き金となり得る。通知はその後、相関するゲノム情報に基づいて適切なステークホルダーに送られ得る。実際の場合、携帯型デバイスは、それを通じてゲノム情報がエビデンスベースの処置を増強させるために流れる通り道である。
【0049】
記載される携帯型デバイスを活用し得る別のエコシステムとしては、OncoPlexDx(登録商標)(OncoPlex Diagnostics, 9620 Medical Center Drive, Rockville, MD 20850)アッセイおよび試験に基づくものが挙げられる。このようなエコシステムにおいて、解析の各ステージからの情報が、世界中の携帯型デバイスのオミックスデータセットに投入され得、このため、医療供給者または他のステークホルダーは、地球上における彼らの位置に関わらず組織解析を追跡することができる。例えば、組織の調製(例えば、ホルマリン固定、パラフィン包埋(FFPE)など)のあいだ、結果として得られるゲノム情報は、遠隔の携帯型デバイスが完全な解析またはレビューのあいだ中データの供給源を決定することを可能にする様式で、サンプルまたは患者の情報と連結され得る。患者から研究者まで、ステークホルダーそれぞれが、彼らの携帯型デバイスを介して世界のどこでも、細胞の入手、検体調製サンプル分析(例えば、SRM定量、MRM定量など)、ゲノムプロフィリングまたはデータ解析などの分析スペクトルへのきめの細かいアクセスを有することが理解されるべきである。上記で言及されたように、ゲノムデータはステージ情報でタグ付け(例えばメタデータなど)されていてもよく、これはゲノムデータと連結される、例えば別個のデータ構築物としてのリアルタイム解析ストリームを生じる。
【0050】
特に興味深いこととして、開示される携帯型デバイスは、例えばNantHealth(登録商標)(NantHealth, 9920 Jefferson Blvd, Culver City, CA 90232)インテリジェントクリニカルオペレーティングシステムが提供するものに基づいて、クリニカルオペレーティングシステム(cOS(商標))中のインテリジェントエージェントと機能し得る。ゲノムデータセットの部分にアクセスするまたはそれを記憶することのできる携帯型デバイスは、cOSエコシステム内での入力デバイスまたは出力デバイスとして機能し得る。例えば、携帯型デバイスは、一またはそれ以上の「オミックス」オブジェクトを取得し、およびその後、それらを保管、プロセッシング、または、世界中の他のステークホルダー実体へのルーティングのために、cOSに戻し得る。このような実施態様において、携帯型デバイスは、cOSのためのゲノムデータを獲得するためにシーケンシング装置と連結し得る。代替的に、携帯型デバイスは、ゲノムデータを直接的に獲得するように構成されている、シーケンシングデバイスまたは他の種類の「オミックス」センサーを備え得る。ゲノムデータを取得または入力することに加えて、携帯型デバイスは、cOSのインフラストラクチャーから所望のゲノムデータにアクセスすることによって、cOSのための出力デバイスとして機能し得る。携帯型デバイスは、cOSのためのディスプレイ、レポートジェネレータ、オーディオ出力または他の種類の出力として機能することを含む一またはそれ以上の技術を介してゲノムデータを提示するように構成され得る。
【0051】
cOS内の携帯型デバイスは、一またはそれ以上の技術に基づいて、cOSエコシステム中の他のデバイスと対話することができる。いくつかの実施態様において、cOS中のそれぞれのデバイスは、独自のアドレスを有し得、このため全てのデバイスがネットワーク上で互いに通信することができる。アドレスの例としては、URLs、URIs、IPアドレス(例えばIPv4、IPv6など)、MACアドレスまたは他のアドレスなどが挙げられる。他の実施態様において、携帯型デバイス内のエージェントまたはモジュールは、それら独自のネットワークアドレスを有し得、このためそれらは個別にアドレス指定され得る。例えば、臨床医の携帯型デバイス、例えばタブレットは、cOSエコシステム内にゲノムブラウザーモジュールを備え得、このためたとえ携帯型デバイスが異なるアドレスを有している場合であっても、特定の患者のためのブラウザーは独自のIPv6アドレスを有する。このような実施態様において、携帯型デバイスは、デバイスのスクリーン上の全ゲノムから単一の塩基対までのゲノムデータであり得る、クラウド(例えばIaaS、PaaS、SaaSなど)に由来するがんゲノムブラウザーとして機能し得る。
【0052】
いくつかの実施態様において、携帯型デバイス、またはゲノムデータ自身でさえも、ゲノムデータの内容に基づいてcOS内にアドレス付けされ得る。したがって、cOSは、デバイスの位置または対応する携帯型デバイスのIPアドレスにおける変化に関わらず、ゲノムデータを分配またはそれにアクセスし得る。アドレスを指定するための可能なアプローチの一つとしては、ハッシュ値を作製するためのインプットとしてゲノム配列情報またはメタデータ(例えば患者ID、公開鍵など)を使用することが挙げられる。ハッシュ値は、ハッシュ空間内のアドレスとみなされ得る。cOSが対応するデータにアクセスを望む場合、cOSは、標的のハッシュアドレスに最も近いハッシュ値を有するデータをもつ連結されている携帯型デバイスからのデータを要求し得る。連結されたデバイスがデータをもっていない場合は、データが見つかるまで、要求が他の連結されているデバイスに転送され得る。このアプローチは、携帯型デバイスが信頼性に欠ける連結性を有しているかもしれないピアツーピア環境における、データのベストエフォート要求を示している。他の実施態様において、携帯型デバイスまたはcOS内の他のデバイスは、携帯型デバイスがHadoop独自の分散ファイルシステム内のノードとなり得るであろうApache Hadoop大規模データ処理およびデータ保管アーキテクチャー上で機能し得る。
【0053】
cOSは、記載される携帯型デバイスに加えて数多くの種類の基礎的デバイスを備える。考慮されるcOSはまた、ネットワーキングデバイス(例えば、スイッチ、ルーター、ゲートウエイなど)、高性能計算装置または他のデバイス上で作用するエージェントまたはモジュールを備え得る。cOS中の各デバイスは、記載されている携帯型デバイスと同じアドレス空間内にアドレスをもち得、このため全てのデバイス、モジュールまたは他の種類のエージェントはシームレスにデータを交換することができる。例えば、Infinera ATN(商標)トランスポートネットワークデバイスは、携帯型デバイスからの指示の下であってもcOS上で作用することが可能なデータプレーンを備え得る。ここで、分析者の携帯型デバイスが、例えば1テラバイトより大きいデータなどの、大量のゲノムデータにアクセスする必要がある場合が考慮される。携帯型デバイスは、その層を、データストアへの高帯域幅接続を提供するためのトランスポート層(例えば、Infinera ATNのデータ面)、、例えば標的のゲノムデータセットを記憶するためのスイッチのセットまたはNational Lambda Rail上のHPC設備などとして構成することが可能である。携帯型デバイスはその後、デバイスの位置に関係なく、および低い秘密性で、標的ゲノムデータセットにアクセスおよびそれを提示し得る。
【0054】
記載される携帯型デバイスがまた、がん予防対策のための基礎として機能することが理解されるべきである。患者の組織データが患者の生涯にわたって、または処置の一部として、採取されるので、組織のゲノム情報は、対応する患者のゲノムデータセットの他の態様と共に統合され得る。このような実施態様において、初期の細胞異形成が、経年的に、多くの組織サンプルから、例えば肺喀痰または分泌物から、長期的に捕えられ得る。このようなゲノム情報は、人口統計学的の観点からまたは世代の流れにわたって集められ得る。これらゲノム情報の全ては、記載される携帯型モジュール上に表示され得、これはさらに、そのようながんが発生するはるか前にがんリスクのインディーケータを導くかもしれない、もしくは、がんリスクを示すかもしれない大きな外れ値または低い確率の相関性を同定することをもたらす。
【0055】
ゲノムブラウジングデバイスに移動する必要があるかもしれないデータ量はかなり大きいものであるかもしれない。いくつかの実施態様において、ゲノムブラウザーモジュールは、ゲノムデータのプレキャッシングを誘発するためのコンテキスト情報(例えば、位置、時間など)を利用し得る。例えば、腫瘍医がその日の勤務を開始するためクリニックに入るとき、彼らの携帯型デバイスに、彼らがその日に診察するであろう患者全員のゲノムデータが供給され得る。データを提供するための引き金は、クリニックに対するデバイスの位置、および腫瘍医の予約スケジュールに基づき得る。データは腫瘍医のデバイス上に存在しているかもしれないが、追加のコンテキスト基準が満たされるまでロックされたままであるかもしれない。この例にさらに従えば、特定の患者のゲノムデータは、腫瘍医のデバイスが患者の携帯電話に隣接しているとき、腫瘍医が患者のイメージを捉えるとき、または、患者の受診に関係づけられる特定な時間内に、ロック解除されるかもしれない。
【0056】
当該技術分野における当業者にとって、すでに記載されたもの以外のはるかにより多くの変更が本明細書中の発明の概念から逸脱することなく可能であることは明らかであるろう。したがって、発明の主題は、添付のクレームの範囲にのみ限定されるものではない。さらに、明細書およびクレームの両方の解釈において、全ての事項は文脈と合致する限り考えられる最大の様式で解釈されるべきである。とりわけ、「を含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」という文言は、構成要素、構成成分、またはステップを非排他的な形式で言及しているものと解釈されるべきであり、言及された構成要素、構成成分、またはステップは、明示的に言及されていない他の構成要素、構成成分、またはステップと共に存在し、または利用され、または一体化されていてもよいことを示している。明細書のクレームが、A、B、C…およびNからなる群より選択される少なくとも一つのものを参照している場合、その文章は、AプラスN,またはBプラスNなどではなく、群からのただ一つの構成要素のみを必要としていると解釈されるべきである。さらに、本明細書中に記載されたすべての方法は、本明細書中で特に断りのない限り、あるいは文脈から明らかに否定されない限り、任意の適切な順番で実施され得る。本明細書中の特定の実施態様に関連して提供された任意のおよび全ての例、または例示的な文言(例えば、「例えば(such as)」など)は、単に本発明をより良好に明らかにすることを意図しており、および、主張されていない限り本発明の範囲を制限するためのものではない。明細書中のいかなる文言も、本発明の実施に不可欠なクレームしていない構成要素を示していると理解されるべきではない。本明細書中に記載された発明の代替的な構成要素または実施態様のグループ分けは制限であると理解されるべきではない。グループの各構成メンバーは、個々に、または、本明細書中に見いだされるグループの他のメンバーもしくは他の構成要素との任意の組み合わせで、言及およびクレームされ得る。ある群の一またはそれ以上のメンバーが、便宜上の理由および/または特許性の理由のために群に包含され、または、群から除外され得る。任意のこのような包含または除外が起こった場合、明細書は、改変された群を含むと考えられ、したがって、添付のクレームにおいて使用されるマーカッシュ群の全ての記載された記述を満たしている。