特許第6576979号(P6576979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576979
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】端子接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/11 20060101AFI20190909BHJP
【FI】
   H01R13/11 301Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-140600(P2017-140600)
(22)【出願日】2017年7月20日
(65)【公開番号】特開2019-21559(P2019-21559A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2018年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 利和
(72)【発明者】
【氏名】田中 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】中野 暁斗
【審査官】 杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−165307(JP,A)
【文献】 特開2004−022170(JP,A)
【文献】 特開2015−011963(JP,A)
【文献】 特開2013−025988(JP,A)
【文献】 米国特許第04068917(US,A)
【文献】 米国特許第03406376(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/10−13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状又は円筒状の雄型接続体を有する雄端子金具と、
前記雄型接続体が軸線方向に挿入される円柱状の内部空間が設けられた雌型接続体、及び、電線の導電部が電気的に接続される電線接続体を有する雌端子金具と、
前記内部空間への収容完了後の前記雄型接続体と前記雌端子金具との間に介在し、前記雄型接続体と前記雌端子金具との間で保持力を発生させる保持構造体と、
を備え、
前記保持構造体は、前記雌型接続体の筒軸方向に沿って2つの領域に区画された前記内部空間の一方の領域で前記雄型接続体と前記雌型接続体との間に配置され、かつ、前記雄型接続体と前記雌型接続体との間での接点となる2つの第1保持体と、区画された前記内部空間の他方の領域で前記雄型接続体と前記雌型接続体との間に配置され、かつ、前記雄型接続体と前記雌型接続体との間での接点となる2つの第2保持体と、前記内部空間の前記一方の領域に配置され、前記雄型接続体と前記雌端子金具との間での接点となる弾性変形可能な第3保持体と、を備え、
それぞれの前記第1保持体とそれぞれの前記第2保持体と前記第3保持体は、前記筒軸方向で、それぞれの前記第1保持体、それぞれの前記第2保持体、前記第3保持体の順に配置し、
それぞれの前記第1保持体は、前記雌型接続体の挿入口となる一方の開口側で前記雌型接続体の内周面から突出させると共に、記一方の開口側で、かつ、前記内部空間の前記一方の領域を前記内部空間の軸周りに更に二分割したそれぞれの領域に各々配置し、
それぞれの前記第2保持体は、前記雌型接続体の他方の開口側で前記雌型接続体の内周面から突出させると共に、記他方の開口側で、かつ、前記内部空間の前記他方の領域を前記内部空間の軸周りに更に二分割したそれぞれの領域に各々配置し、
前記第3保持体は、前記第1保持体及び前記第2保持体よりも前記電線接続体側で前記雌端子金具から突出させると共に、前記筒軸方向に見て、前記内部空間の軸周りでそれぞれの前記第1保持体の間に位置させるように配置することを特徴とした端子接続構造。
【請求項2】
前記第1保持体と前記第2保持体は、接点となる凸曲面を有することを特徴とした請求項1に記載の端子接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、雌雄それぞれの端子金具を物理的且つ電気的に接続させる端子接続構造が知られている。ここで示す端子接続構造は、雄端子金具が雌端子金具に収容完了位置まで挿入された際の相互間の接続を担うものである。その端子接続構造については、例えば、下記の特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−108595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の端子接続構造には、雌雄それぞれの端子金具を物理的且つ電気的に接続させる機能と、接続された雌雄それぞれの端子金具の間での保持力を発生させる機能と、が求められる。しかしながら、従来の端子接続構造は、保持力を増加させれば、雌雄それぞれの端子金具の間での挿入力も増加してしまい、その挿入力を低減させれば、保持力が減少してしまう、という二律背反の関係にある。
【0005】
そこで、本発明は、挿入力を低く抑えつつ保持力を確保することが可能な端子接続構造を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為、本発明は、円柱状又は円筒状の雄型接続体を有する雄端子金具と、前記雄型接続体が軸線方向に挿入される円柱状の内部空間が設けられた雌型接続体、及び、電線の導電部が電気的に接続される電線接続体を有する雌端子金具と、前記内部空間への収容完了後の前記雄型接続体と前記雌端子金具との間に介在し、前記雄型接続体と前記雌端子金具との間で保持力を発生させる保持構造体と、を備え、前記保持構造体は、前記雌型接続体の筒軸方向に沿って2つの領域に区画された前記内部空間の一方の領域で前記雄型接続体と前記雌型接続体との間に配置され、かつ、前記雄型接続体と前記雌型接続体との間での接点となる2つの第1保持体と、区画された前記内部空間の他方の領域で前記雄型接続体と前記雌型接続体との間に配置され、かつ、前記雄型接続体と前記雌型接続体との間での接点となる2つの第2保持体と、前記内部空間の前記一方の領域に配置され、前記雄型接続体と前記雌端子金具との間での接点となる弾性変形可能な第3保持体と、を備え、それぞれの前記第1保持体とそれぞれの前記第2保持体と前記第3保持体は、前記筒軸方向で、それぞれの前記第1保持体、それぞれの前記第2保持体、前記第3保持体の順に配置し、それぞれの前記第1保持体は、前記雌型接続体の挿入口となる一方の開口側で前記雌型接続体の内周面から突出させると共に、記一方の開口側で、かつ、前記内部空間の前記一方の領域を前記内部空間の軸周りに更に二分割したそれぞれの領域に各々配置し、それぞれの前記第2保持体は、前記雌型接続体の他方の開口側で前記雌型接続体の内周面から突出させると共に、記他方の開口側で、かつ、前記内部空間の前記他方の領域を前記内部空間の軸周りに更に二分割したそれぞれの領域に各々配置し、前記第3保持体は、前記第1保持体及び前記第2保持体よりも前記電線接続体側で前記雌端子金具から突出させると共に、前記筒軸方向に見て、前記内部空間の軸周りでそれぞれの前記第1保持体の間に位置させるように配置することを特徴としている。
【0008】
ここで、前記第1保持体と前記第2保持体は、接点となる凸曲面を有することが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る端子接続構造は、2つの第1保持体と2つの第2保持体と第3保持体のそれぞれの配置によって、雄型接続体を雌型接続体に挿入する際の挿入力を低く抑えつつ、雄型接続体の雌型接続体への収容が完了しているときの雄型接続体と雌端子金具との間の保持力を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態の端子接続構造を示す斜視図であって、雄端子金具と雌端子金具の接続前の状態を表している。
図2図2は、実施形態の端子接続構造を示す斜視図であって、雄端子金具と雌端子金具の接続後の状態を表している。
図3図3は、雌端子金具の正面図である。
図4図4は、図3のX1−X1線断面図である。
図5図5は、図3のX2−X2線断面図である。
図6図6は、雄型接続体の雌型接続体への収容完了状態の一例を示す断面図である。
図7図7は、雄型接続体の雌型接続体への収容完了状態の一例を示す断面図である。
図8図8は、雄型接続体の雌型接続体への収容完了状態の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る端子接続構造の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
[実施形態]
本発明に係る端子接続構造の実施形態の1つを図1から図8に基づいて説明する。
【0013】
図1から図5の符号1は、本実施形態の端子接続構造を示す。この端子接続構造1は、下記の雄端子金具10と雌端子金具20との接続に関わるものである。この端子接続構造1は、その雄端子金具10と雌端子金具20との間で保持力を発生させる保持構造体30を備えている。
【0014】
雄端子金具10は、金属等の導電性材料で成形されている。例えば、この雄端子金具10は、導電性の金属板を母材とし、切断や折り曲げ等のプレス加工を施して成形される。雄端子金具10は、プレス加工の他に、切削加工等の別の方法で成形してもよい。この雄端子金具10は、雄型接続体11と電線接続体12と連結体13とを有する(図1及び図2)。
【0015】
雄型接続体11は、円柱状又は円筒状に形成されたものである。雄端子金具10においては、この雄型接続体11の軸線方向が雌端子金具20に対する挿抜方向となる。
【0016】
電線接続体12は、電線の導電部(図示略)が電気的に接続される部位である。その接続は、例えば、加締め等の圧着加工によるもの、溶接によるもの、半田付けによるものなど、如何様なものであってもよい。この例示では、板状の母材を折り曲げ加工してU字状の電線接続体12を形成している。その電線接続体12は、互いに対向している2つのバレル片部12aを有しており、それぞれのバレル片部12aを導電部としての電線の芯線に巻き付けて、その導電部に圧着させることで、この導電部に対して物理的且つ電気的に接続させる。
【0017】
連結体13は、雄型接続体11と電線接続体12との間に介在させた部位であり、これらを連結させる。
【0018】
雌端子金具20は、金属等の導電性材料で成形されている。例えば、この雌端子金具20は、導電性の金属板を母材とし、切断や折り曲げ等のプレス加工を施して成形される。雌端子金具20は、プレス加工の他に、切削加工等の別の方法で成形してもよい。この雌端子金具20は、雌型接続体21と電線接続体22と連結体23とを有する(図1及び図2)。
【0019】
雌型接続体21は、その外形については問わないが、円柱状又は円筒状に成形された雄型接続体11に合わせて、円筒状に成形されている。雌型接続体21は、その筒軸方向における両端を開口させている。一端の開口(以下、「第1開口」という。)21aは、雄型接続体11の挿入口(雄端子挿入口)として利用されると共に、雄型接続体11を抜き取る際の抜去口(雄端子抜去口)としても利用される。この例示では、第1開口21aから挿入された雄型接続体11を他端の開口(以下、「第2開口」という。)21bから突出させる。この雌型接続体21は、雄型接続体11が軸線方向に挿入され且つ収容される円柱状の内部空間21cを有する。
【0020】
電線接続体22は、電線の導電部(図示略)が電気的に接続される部位である。その接続は、例えば、加締め等の圧着加工によるもの、溶接によるもの、半田付けによるものなど、如何様なものであってもよい。この例示では、板状の母材を折り曲げ加工してU字状の電線接続体22を形成している。その電線接続体22は、互いに対向している2つのバレル片部22aを有しており、それぞれのバレル片部22aを導電部としての電線の芯線に巻き付けて、その導電部に圧着させることで、この導電部に対して物理的且つ電気的に接続させる。
【0021】
連結体23は、雌型接続体21と電線接続体22との間に介在させた部位であり、これらを連結させる。
【0022】
保持構造体30は、内部空間21cへの収容完了後の雄型接続体11と雌端子金具20との間に介在し、その雄型接続体11と雌端子金具20との間で保持力を発生させるように構成する。また、この保持構造体30は、雄型接続体11と雌端子金具20との間での電気的な接続を担うものでもある。
【0023】
この保持構造体30は、2つの第1保持体31と2つの第2保持体32と1つの第3保持体33とを備えている(図3から図5)。その第1保持体31と第2保持体32と第3保持体33は、雄型接続体11に設けてもよく、雌端子金具20に設けてもよい。ここでは、雌端子金具20に設けた場合について例示する。
【0024】
第1保持体31は、雌型接続体21の筒軸方向に沿って2つの領域A1,A2(図3)に区画された内部空間21cの一方の領域において、雄型接続体11と雌型接続体21との間に配置される。この第1保持体31は、雄型接続体11と雌型接続体21の相互間での保持状態を作り出すものであると共に、雄型接続体11と雌型接続体21との間での接点となるものでもある。ここでは、それぞれの第1保持体31を領域A1に配置している。具体的には、その領域A1を更に二分割したそれぞれの領域A1a,A1bに、それぞれの第1保持体31を各々配置している。また、それぞれの第1保持体31は、雌型接続体21の一方の開口側に配置する。ここでは、雄型接続体11の挿入口となる第1開口21a側に、それぞれの第1保持体31を配置している。
【0025】
この例示の第1保持体31は、領域A1における第1開口21a側で雌型接続体21の内周面21dから突出させている。この第1保持体31は、その内周面21dから膨出させた膨出体として形成されており、雄型接続体11に対する接点となる凸曲面を有している。ここでは、球面状の膨出体を第1保持体31として利用している。尚、第1保持体31の形状は、必ずしも凸曲面である必要はなく、自らの機能を発揮し得るものであれば、凸曲面以外の形状を成すものであってもよい。
【0026】
第2保持体32は、区画された内部空間21cの他方の領域において、雄型接続体11と雌型接続体21との間に配置される。この第2保持体32は、第1保持体31と同じように、雄型接続体11と雌型接続体21の相互間での保持状態を作り出すものであると共に、雄型接続体11と雌型接続体21との間での接点となるものでもある。ここでは、それぞれの第2保持体32を領域A2に配置している。具体的には、その領域A2を更に二分割したそれぞれの領域A2a,A2bに、それぞれの第2保持体32を各々配置している(図3)。また、それぞれの第2保持体32は、雌型接続体21の他方の開口側に配置する。ここでは、第2開口21b側に、それぞれの第2保持体32を配置している。
【0027】
この例示の第2保持体32は、領域A2における第2開口21b側で雌型接続体21の内周面21dから突出させている。この第2保持体32は、第1保持体31と同じように、その内周面21dから膨出させた膨出体として形成されており、雄型接続体11に対する接点となる凸曲面を有している。ここでは、球面状の膨出体を第2保持体32として利用している。
【0028】
第3保持体33は、第2保持体32に対して雌型接続体21の筒軸方向で第1保持体31とは逆側に配置する。この例示の第3保持体33は、第1保持体31及び第2保持体32よりも電線接続体22側に配置されている。更に、この第3保持体33は、雌型接続体21の筒軸方向に見て、それぞれの第1保持体31の間に位置させるように配置する。この第3保持体33は、雄型接続体11と雌端子金具20の相互間での保持状態を作り出すものであると共に、雄型接続体11と雌端子金具20との間での接点となるものでもある。
【0029】
この例示の第3保持体33は、第1保持体31及び第2保持体32よりも電線接続体22側において、雌端子金具20から突出させる。ここでは、雌型接続体21の内周面21dにおける第2開口21b側から連結体23に渡って第3保持体33が設けられている。この第3保持体33は、第1保持体31や第2保持体32と同じように、雄型接続体11に向けて膨出させた膨出体として形成してもよい。この場合には、雄型接続体11に対する接点となる凸曲面を第3保持体33が有しており、球面状の膨出体を第3保持体33として利用することができる。また、第3保持体33は、雌端子金具20のプレス成形に際して形成された片持ちの片体を根元側から折り曲げたものであってもよい。この例示では、その片体状の第3保持体33が設けられている。この片体状の第3保持体33は、その根元を起点とする弾性を有しており、雄型接続体11によって弾性変形させられた際に、その反力に伴う押圧力を雄型接続体11に作用させることができる。つまり、この片体状の第3保持体33は、雄型接続体11と雌端子金具20との間での保持力の向上に寄与するものとなる。
【0030】
この端子接続構造1においては、雄型接続体11の先端が第1開口21aから雌型接続体21の内部空間21cへと挿入し始めた際に、その雄型接続体11が2つの第1保持体31に接触すると共に支持される。この状態は、雄型接続体11が2つの第2保持体32に接触するまで続く。よって、雄型接続体11に作用する摩擦抵抗は、雄型接続体11が2つの第2保持体32に接触するまで、2つの第1保持体31との間で発生することになる。従って、この端子接続構造1においては、雄型接続体11が2つの第2保持体32に接触するまで、摩擦抵抗が小さいので、低い挿入力で雄型接続体11を雌型接続体21に挿入することができる。特に、この例示では、第1保持体31が凸曲面で雄型接続体11に接触しているので、摩擦抵抗の更なる減少が図れ、より低い挿入力で雄型接続体11を雌型接続体21に挿入することができる。
【0031】
この端子接続構造1においては、雄型接続体11の雌型接続体21への挿入工程の最終段階で、雄型接続体11が2つの第2保持体32に接触し、しかる後、雄型接続体11が第3保持体33に接触する(図6)。つまり、この端子接続構造1においては、雄型接続体11の雌型接続体21への挿入工程の最終段階で、雄型接続体11に作用する摩擦抵抗が大きくなる。従って、この端子接続構造1においては、低い挿入力での雄型接続体11の挿入作業が可能になっている。一方、この端子接続構造1においては、雄型接続体11の雌型接続体21への収容が完了すると、雄型接続体11が2つの第1保持体31と2つの第2保持体32と1つの第3保持体33とに接触すると共に支持される。よって、この端子接続構造1においては、雄型接続体11の雌型接続体21への収容が完了したときに、雄型接続体11と雌端子金具20との間の保持力が増加することになる。更に、この例示の端子接続構造1においては、弾性変形した第3保持体33から雄型接続体11に反力(押圧力)が作用しているので、より大きな保持力を発生させることができる。
【0032】
尚、雄型接続体11は、2つの第2保持体32に接触するまで、2つの第1保持体31で支持されつつ傾倒し、雌型接続体21の内周面21dに先端も接触したり、内部空間21cの周縁等に第1開口21a側も接触したりしてしまう可能性がある。しかしながら、この端子接続構造1においては、その雄型接続体11の接触箇所の増加に伴う摩擦抵抗の増加代は微々たるものであり、雄型接続体11が2つの第2保持体32に接触するまで、低い挿入力で雄型接続体11を雌型接続体21に挿入していくことが可能である。
【0033】
図7は、領域A1側の内周面21dに向けて先端が傾倒した場合の雄型接続体11の収容完了状態を表している。この場合には、例えば、内周面21dを摺動してきた雄型接続体11が第3保持体33を押動し、この第3保持体33を弾性変形させることによって、その第3保持体33から雄型接続体11に反力(押圧力)が作用している。故に、この場合には、図6の例示よりも雄型接続体11の挿入量が少ないが、2つの第1保持体31と2つの第2保持体32と1つの第3保持体33とで雄型接続体11が保持されている。
【0034】
また、図8は、領域A2側の内周面21dに向けて先端が傾倒した場合、又は、図6の収容完了位置から更に雄型接続体11が押し込まれた場合の雄型接続体11の収容完了状態を表している。これらの場合には、例えば、雄型接続体11が第3保持体33を押動して弾性変形させることによって、その第3保持体33から雄型接続体11に反力(押圧力)が作用している。故に、これらの場合には、図6の例示よりも雄型接続体11の挿入量が多いが、2つの第1保持体31と2つの第2保持体32と1つの第3保持体33とで雄型接続体11が保持されている。但し、これらの場合には、第3保持体33からの反力で雄型接続体11が傾倒状態になっている。
【0035】
以上示したように、本実施形態の端子接続構造1は、雄型接続体11を雌型接続体21に挿入する際の挿入力を低く抑えつつ、雄型接続体11の雌型接続体21への収容が完了しているときの雄型接続体11と雌端子金具20との間の保持力を確保することができる。
【0036】
ここで、保持構造体30を雄型接続体11に設ける場合には、雄型接続体11の先端側から順に、2つの第1保持体31と2つの第2保持体32と1つの第3保持体33とを配置すればよい。これらの配置に際しては、雌型接続体21と同じように雄型接続体11を軸線方向に沿って4つの領域に分割し、それぞれの領域に先の例示と同じように2つの第1保持体31と2つの第2保持体32と1つの第3保持体33とを振り分ければよい。端子接続構造1は、このように構成しても、先の例示と同様の効果を得ることができる。
【0037】
また、この端子接続構造1は、雄端子金具10と雌端子金具20の内の少なくとも一方に、雄型接続体11と雌型接続体21との間の接続作業方向に力を作用させる弾性部材(図示略)を設けてもよい。この端子接続構造1においては、その弾性部材からの力によって、雄型接続体11の挿入力の更なる低減が可能になると共に、雄型接続体11と雌端子金具20との間の保持力の更なる増加が可能になる。また、この端子接続構造1においては、雄端子金具10と雌端子金具20の電気的導通確保に必要な接触荷重を、第1保持体31と第2保持体32と第3保持体33に発生させることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 端子接続構造
10 雄端子金具
11 雄型接続体
20 雌端子金具
21 雌型接続体
22 電線接続体
21a 第1開口
21b 第2開口
21c 内部空間
21d 内周面
30 保持構造体
31 第1保持体
32 第2保持体
33 第3保持体
A1,A1a,A1b,A2,A2a,A2b 領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8