(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カートリッジ(6001、7001)内の試験試料に対して核酸分離及び増幅処理を実行するため、一連のカートリッジを取り扱い、始動させ、及び/又は相互作用するよう構成された機器(3002)であって、
該機器は、
少なくとも一つのシャーシ及び/又はフレーム(3300)と、
前記カートリッジ(6001、7001)を収容するマガジン(3350)と、
第1のアクチュエータ組立部(3400)と、
試料移送組立部(3500)と、
第2のアクチュエータ組立部(3600)と、
ヒータ組立部(3700)と、
光学組立部(3800)と
を有し、
前記シャーシ及び/又はフレーム(3300)は、前記機器(3002)の構成要素及び/又は組立部のそれぞれを収める、収容する、及び/又はこれらの取り付けを提供するよう構成され、
前記第1のアクチュエータ組立部(3400)は、1つ又は複数の試薬及び/又は物質を前記カートリッジ(6001)の分離モジュール(6100)内の溶解チャンバの中に運ぶために該分離モジュール(6100)のアクチュエータ又は移送機構(6166)を始動させるように構成され、
前記試料移送組立部(3500)は、分離モジュール(7100)内の種々のチャンバ及び/又は体積の間で試料の一部を移送するため移送組立部(6140a)を始動させるように構成され、
前記第2のアクチュエータ組立部(3600)は、1つ又は複数の試薬及び/又は物質を分離モジュール(6100)及び/又はPCRモジュール(6200)内のチャンバの中に運ぶ及び/又はこの中で混合するために該分離モジュール(6100)及び/又はPCRモジュール(6200)の混合機構(6130a)及び/又は洗浄バッファモジュール(7130a)を始動させるよう構成され、
前記ヒータ組立部(3700)は、前記カートリッジ(6001、7001)内のプロセスを促進する及び/又は容易にするためにカートリッジ(7001)の1つ又は複数の部分を加熱するように構成されるとともに、第1管腔(3711)と第2管腔(3712)を有し、
前記光学組立部(3800)は、前記カートリッジで起こる反応を監視するように構成され、さらに、
前記光学組立部(3800)は、励起モジュール(3860)と、検出モジュール(3850)と、前記第1管腔(3711)を介して励起モジュール(3860)から前記カートリッジの反応領域に光ビーム及び/又は光信号を伝送するよう構成された第1光学部材と、前記第2管腔(3712)を介して前記反応領域から検出モジュール(3850)に光ビーム及び/又は光信号を伝送するよう構成された第2光学部材とを備え、前記カートリッジの中のテスト試料内の1つ又は複数の異なる分析物及び/又は標的を検出するように構成されている、
ことを特徴とする機器。
前記第1のアクチュエータ組立部は、フレーム組立部(3410)によって支持される、係合バー(3445)、第1のモータ(3440)及び第2のモータ(3441)を含み、
前記係合バー(3445)は、一連の突起(3346a、3346b、3346c、3346d、3346e、及び3346f)を含み、該突起のそれぞれは、機器(3002)内に配置された分離モジュール(6100)の1つ又は複数の試薬アクチュエータ(6166a〜6166d)と係合する、及び/又はこれを始動させるように構成される、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の機器。
前記ヒータ組立部(3700)により加熱されるカートリッジ(6001、7001)は、PCRバイアル(7260)及び/又は基体(7220)及び/又は溶解チャンバ(6114)に隣接するハウジング(7110)の領域である、
ことを特徴とする請求項8に記載の機器。
前記ヒータ組立部(3700)は、前記各カートリッジに1つずつ対応する一連の受入ブロック(3710)、位置決め組立部(3770)、第1の加熱モジュール(3730)、第2の加熱モジュール(3750)、及び第3の加熱モジュール(3780)を含み、
前記受入ブロック(3710)は、カートリッジ(6001)の反応チャンバの少なくとも一部を受け入れるように構成され、さらに、
前記受入ブロック(3710)は、取り付け面(3714)を含み、反応体積(3713)を画定するものであり、該反応体積(3713)は、カートリッジ(6001)のPCRバイアル(6260)のサイズ及び/又は形状に実質的に対応するサイズ及び/又は形状を有する、
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の機器。
前記受入ブロック(3710)は、熱電デバイス(3731)が取り付け面(3714)と接触するようにクランプ・ブロック(3733)によって取り付けブロック(3734)に連結され、試料(S)の熱により誘発される反応をもたらすために、反応体積(3713)とその中に収容された試料をサイクルで加熱することができる、
ことを特徴とする請求項10に記載の機器。
【発明を実施するための形態】
【0014】
試料の分離及び反応を行うためのカートリッジ及び機器が本明細書で説明される。幾つ
かの実施形態では、装置は、例えば核酸試料又は分析物試料を分離するのに用いることが
できる分離モジュールと、例えば核酸試料を増幅させる又は他の化合物への分析物の連結
を試験するのに用いることができる反応モジュールとを含む。分離モジュールは、第1の
ハウジング及び第2のハウジングを含む。第1のハウジングは、第1のチャンバ及び第2
のチャンバを画定する。少なくとも第1のチャンバは、例えば核酸を含有する試料のよう
な試料を収容するように構成される。第2のハウジングは、第1の物質を収容するように
構成された第1の体積を集合的に画定する側壁及び穿刺可能部材を含む。第1の物質は、
例えば、試薬、洗浄バッファ溶液、鉱油、及び/又は試料に添加されるべきいかなる他の
物質ともすることができる。第2のハウジングの少なくとも一部は、穿刺可能部材の一部
が穿刺されるときに第1の体積が第1のチャンバと流体連通するように、第1のハウジン
グ内に配置されるように構成される。反応モジュールは、反応チャンバ及び第2の物質を
収容するように構成された第2の体積を画定する。反応モジュールは、反応チャンバ及び
第2の体積のそれぞれが第1のハウジングの第2のチャンバと流体連通するように、分離
モジュールに連結されるように構成される。
【0015】
幾つかの実施形態では、装置は、第1のモジュール、第2のモジュール、及び第3のモ
ジュールを含む。第1のモジュールは、第1のチャンバ及び第2のチャンバを画定する。
少なくとも第1のチャンバは、試料を収容するように構成される。第2のモジュールは、
第1の物質を収容するように構成された第1の体積を画定する。第1の物質は、例えば、
試薬、洗浄バッファ溶液、鉱油、及び/又は試料に添加されるべきいかなる他の物質とも
することができる。第2のモジュールの一部は、第1の体積を第1のチャンバと選択的に
流体連通する状態におかれるように構成するために、第2のモジュールが第1のモジュー
ルに連結されるときに第1のモジュールの第1のチャンバ内に配置されるように構成され
る。第3のモジュールは、反応チャンバ及び第2の体積を画定する。第2の体積は、第2
の物質を収容するように構成される。第3のモジュールの一部は、第3のモジュールが第
1のモジュールに連結されるときに反応チャンバ及び第2の体積のそれぞれが第1のモジ
ュールの第2のチャンバと流体連通するように、第1のモジュールの第2のチャンバ内に
配置される。
【0016】
幾つかの実施形態では、装置は、第1のモジュール、第2のモジュール、及び第3のモ
ジュールを含む。第1のモジュールは、第1のチャンバ及び第2のチャンバを画定する。
第1のモジュールは、第1のチャンバと第2のチャンバとの間の流体分離を維持しながら
第1のチャンバと第2のチャンバとの間で試料を移送するように構成された第1の移送機
構を含む。第2のモジュールは、例えば試薬などのような物質を収容するように構成され
た体積を画定する。第2のモジュールの一部は、体積を第1のチャンバと選択的に流体連
通する状態におかれるように構成するために、第2のモジュールが第1のモジュールに連
結されるときに第1のモジュールの第1のチャンバ内に配置されるように構成される。第
3のモジュールは、反応チャンバを画定する。第3のモジュールは、反応チャンバが第2
のチャンバと流体連通するように、第1のモジュールに連結されるように構成される。第
3のモジュールは、第2のチャンバと反応チャンバとの間で試料の一部を移送するように
構成された第2の移送機構を含む。
【0017】
幾つかの実施形態では、装置は、第1のモジュール及び第2のモジュールを含む。第1
のモジュールは、反応バイアル、基体、及び第1の移送機構を含む。反応バイアルは、反
応チャンバを画定し、例えばPCRバイアルとすることができる。第1の移送機構は、ハ
ウジングとプランジャが第1の物質を収容する第1の体積を画定するようにハウジング内
に移動可能に配置されるプランジャを含む。プランジャは、第1の位置と第2の位置との
間で動くことができる。第1の物質は、例えば、試薬、鉱油などとすることができる。基
体は、第1の流路及び第2の流路の少なくとも一部を画定する。第1の流路は、反応チャ
ンバ、第1の体積、及び分離モジュールの分離チャンバと流体連通するように構成される
。第2の流路は、分離チャンバと流体連通するように構成される。プランジャが第1の位
置にあるときに、第1の体積が反応チャンバから流体的に分離されるようにプランジャの
一部が第1の流れ経路内に配置される。プランジャの一部は、プランジャが第2の位置に
あるときに、第1の体積が反応チャンバと流体連通するように第1の流れ経路から離間し
て配置される。プランジャは、プランジャが第1の位置から第2の位置に動かされるとき
に試料を分離チャンバから反応チャンバに移送するように反応チャンバ内に真空を生じる
ように構成される。第2のモジュールは、第2の移送機構を含み、且つ第2の物質を収容
するように構成された第2の体積を画定する。第2のモジュールは、第2の体積を第2の
流路を介して分離チャンバと選択的に流体連通する状態におくことができるように、第1
のモジュールに連結されるように構成される。第2の移送機構は、第2の移送機構が始動
されるときに第2の体積から分離チャンバに第2の物質を移送するように構成される。
【0018】
幾つかの実施形態では、試料を収容するカートリッジを取り扱う及び/又は始動させる
ための機器は、ブロック、第1の光学部材、第2の光学部材、及び光学組立部を含むこと
ができる。ブロックは、反応容器の少なくとも一部を受け入れるように構成された反応体
積を画定する。ブロックは、試料に関連した反応を容易にする、もたらす、支援する、及
び/又は促進するための機構を含むことができ、及び/又は該機構に取り付けることがで
きる。幾つかの実施形態では、例えば、ブロックは、試料に熱サイクルを行うように構成
された加熱要素に連結することができる。第1の光学部材は、第1の光学部材が反応体積
と光学的に連通するように少なくとも部分的にブロック内に配置される。第2の光学部材
は、第2の光学部材が反応体積と光学的に連通するように少なくとも部分的にブロック内
に配置される。光学組立部は、複数の励起光ビームを生じるように構成された励起モジュ
ールと、複数の放出光ビームを受光するように構成された検出モジュールとを含む。光学
組立部は、複数の励起光ビームのそれぞれを反応体積の中に伝えることができ且つ反応体
積から複数の放出光ビームのそれぞれを受光することができるように第1の光学部材及び
第2の光学部材に連結される。
【0019】
幾つかの実施形態では、カートリッジを取り扱う及び/又は始動させるための機器は、
シャーシ、音響変換器、及び始動機構を含む。シャーシは、体積を画定するハウジングを
有するカートリッジを収容するように構成される。体積は、例えば核酸を含有する試料の
ような試料の一部を受け入れることができる。音響変換器は、音響エネルギーを生じるよ
うに構成される。始動機構は、音響変換器の少なくとも一部をカートリッジの一部と接触
する状態に動かすように構成される。始動機構はさらに、音響変換器の一部によってカー
トリッジの一部に対して及ぼされる力を調節するように構成される。
【0020】
「光ビーム」という用語は、本明細書では、可視スペクトル内であるか否かにかかわら
ず、電磁エネルギーのいかなる投射をも説明するために用いられる。例えば、光ビームは
、レーザ、発光ダイオード(LED)、フラッシュランプなどによって生じる可視スペク
トル内の電磁放射線の平行投射を含むことができる。光ビームは、所望の時間周期内で連
続する光ビーム又は所望の時間周期内で不連続な(例えば、パルス状の又は間欠的な)光
ビームのいずれかとすることができる。或る状況では、光ビームは、試料中に存在する分
析物の量のような情報(すなわち、光ビームは光信号とすることができる)を含むことが
でき、及び/又はこれと関連付けることができる。
【0021】
「平行」という用語は、本明細書では、2つの幾何学的構成(例えば、2つの線、2つ
の平面、線と平面など)が実質的に無限に延びる際にそれらが実質的に交差しない、2つ
の幾何学的構成の間の関係を説明するために用いられる。例えば、本明細書で用いられる
場合に、第1の線と第2の線が無限に延びる際にそれらが交差しないときに、第1の線は
第2の線と平行であると言われる。同様に、平面(すなわち、二次元の表面)が線と平行
であると言われるとき、線に沿ったすべての点は、表面の最も近い部分から実質的に等し
い距離だけ離間される。2つの幾何学的構成は、本明細書では、例えばそれらが互いに許
容誤差内で平行であるときのような、それらが名目上互いに平行であるときに、互いに「
平行」又は「実質的に平行」であるものとして説明される。こうした許容誤差は、例えば
、製造許容誤差、測定許容誤差などを含むことができる。
【0022】
「垂直」という用語は、本明細書では、2つの幾何学的構成(例えば、2つの線、2つ
の平面、線と平面など)が少なくとも1つの平面内でおよそ90度の角度をなして交差す
る2つの幾何学的構成の間の関係を説明するために用いられる。例えば、本明細書で用い
られる場合に、第1の線は、線と平面が平面内でおよそ90度の角度をなして交差すると
きに平面に垂直であると言われる。2つの幾何学的構成は、本明細書では、例えばそれら
が許容誤差内で互いに垂直であるときのような、それらが名目上互いに垂直であるときに
、互いに「垂直」又は「実質的に垂直」であるものとして説明される。こうした許容誤差
は、例えば、製造許容誤差、測定許容誤差などを含むことができる。
【0023】
図1及び
図2は、分離モジュール1100及び反応モジュール1200を含む、それぞ
れ第1の構成及び第2の構成にある一実施形態に係るカートリッジ1001の略図である
。分離モジュール1100と反応モジュール1200は、分離モジュール1100と反応
モジュール1200を互いに流体連通する状態におくことができるように互いに連結され
る。本明細書で説明されるように、分離モジュール1100と反応モジュール1200は
、任意の適切な方法で互いに連結することができる。幾つかの実施形態では、例えば、分
離モジュール1100と反応モジュール1200は、別々に構築し、及びカートリッジ1
001を形成するために共に連結することができる。分離モジュール1100と反応モジ
ュール1200との間のこの配置は、分離モジュール1100の種々の異なる構成が反応
モジュール1200の種々の異なる構成と共に用いられることを可能にする。分離モジュ
ール1100及び/又は反応モジュール1200の異なる構成は、分離モジュール110
0及び/又は反応モジュール1200内の異なる試薬及び/又は異なる構造体を含むこと
ができる。
【0024】
カートリッジ1001は、本明細書で説明される機器のいずれかによって取り扱う及び
/又は始動させることができる。幾つかの実施形態では、カートリッジ1001は、試料
調製、核酸分離、及び/又は試料に対するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行うために
用いることができる。こうした実施形態では、分離モジュール1110は、その中に収容
された試料から標的核酸を分離することができる。次いで、さらに後述するように、分離
した核酸を反応モジュール1200の中で(例えばPCRを用いて)増幅させることがで
きる。カートリッジ1001のモジュール化された配置は、それぞれが例えば異なる試薬
を収容する及び/又はそれぞれが異なるタイプの試料を増幅させるように構成された任意
の数の異なる反応モジュール1200が分離モジュール1100と共に用いられることを
可能にし、逆もまた同様である。
【0025】
分離モジュール1100は、第1のハウジング1110及び第2のハウジング1160
を含む。本明細書でより詳細に説明されるように、第2のハウジング1160は、第2の
ハウジング1160を第1のハウジング1110と流体連通する状態におくことができる
ように第1のハウジング1110に連結される。幾つかの実施形態では、第1のハウジン
グ1110と第2のハウジング1160は、異なる構成の第1のハウジング1110と第
2のハウジング1160を一緒に用いることができるようにモジュール式に配置される。
異なる構成の第1のハウジング1110及び第2のハウジング1160は、例えば、異な
る化学物質、試薬、試料、及び/又は異なる内部構造を含むことができる。
【0026】
第1のハウジング1110は、第1のチャンバ1114及び第2のチャンバ1190を
画定する。第1のチャンバ1114又は第2のチャンバ1190のうちの少なくとも一方
は、試料Sを収容することができる。試料Sは、任意の生体試料、例えば、尿、血液、組
織試料を含有する他の物質などのような1つ又は複数の標的核酸を含有する生体試料とす
ることもできる。試料Sは、例えば、第1のハウジング1110の開口部又は穿刺可能部
材(図示せず)を介して第1のチャンバ1114及び/又は第2のチャンバ1190の中
に試料Sをピペッティングする又は注入することを含む任意の適切な機構を介して第1の
チャンバ1114又は第2のチャンバ1190の中に導入することができる。第1のチャ
ンバ1114は第2のチャンバ1190と流体連通するものとして示されるが、他の実施
形態では、第1のチャンバ1114は第2のチャンバ1190と選択的に流体連通する状
態におくことができる。別の言い方をすれば、幾つかの実施形態では、第1のハウジング
1110は、第1のチャンバ1114を第2のチャンバ1190と選択的に流体連通する
状態におくことができる弁(
図1及び
図2には図示せず)のような任意の適切な機構を含
むことができる。さらに、他の実施形態では、第1のハウジング1110は、第1のチャ
ンバ1114と第2のチャンバ1190との間の物質の移送を容易にする及び/又は移送
を制御するために、例えば、弁、毛細管流動制御装置、ポンプなどを含む任意の適切な流
量制御機構及び/又は移送機構(
図1及び
図2には図示せず)を有することができる。さ
らに他の実施形態では、第1のチャンバ1114は、第2のチャンバ1190から流体的
に分離することができる。
【0027】
第2のハウジング1160は、側壁1147及び穿刺可能部材1170を含む。側壁1
147と穿刺可能部材1170は第1の体積1163を画定する。第1の体積1163に
物質R1を十分に又は部分的に充填することができる。物質R1は、例えば、鉱油、洗浄
バッファ、蛍光色素、試薬などのようなあらゆる生体物質又は化学物質とすることができ
る。
図1及び
図2に示すように、第2のハウジング1160の一部は、穿刺可能部材11
70が穿刺される、破壊される、切断される、及び/又は破断されるときに第1の体積1
163が
図2に示すように第1のチャンバ1114と流体連通するように第1のハウジン
グ1110内に配置される。同様に述べると、穿刺可能部材1170が穿刺されるときに
、分離モジュール1110を第1の構成(
図1)から第2の構成(
図2)に動かすことが
できる。第1の体積1163が
図2に示すように第1のチャンバ1114と流体連通する
ときに(すなわち、分離モジュールが第2の構成にあるときに)、物質R1を、第1の体
積1163から第1のチャンバ1114の中に移送することができる。物質R1は、任意
の適切な機構によって、例えば、第1の体積1163に作用する重力、毛管力によって、
又は或る始動機構(
図1及び
図2には図示せず)によって、第1の体積1163から第1
のチャンバ1114の中に移送することができる。
【0028】
穿刺可能部材1170は、物質R1に対して実質的に不透過性の及び/又は実質的に化
学的に不活性の材料から構築することができる。このようにして、本明細書で説明される
実施形態のいずれかのようなあらゆる所望の用途で第2のハウジング1160を用いる能
力を損なうことなく長期間にわたって第1の体積1163内に物質R1を保存することが
できる。さらに、幾つかの実施形態では、穿刺可能部材1170は、穿刺可能部材117
0の所望の特性及び完全性が或る温度範囲にわたって維持されるように、或る温度特徴を
有する材料から構築することができる。例えば、幾つかの実施形態では、物質R1を収容
する第2のハウジング1160を冷蔵された状態で保存することが望ましい場合があり、
又は穿刺可能部材1170を熱でラミネートすることによって第2のハウジング1160
を製造することが望ましい場合がある。こうした実施形態では、冷蔵状態及び/又は熱ラ
ミネート状態が、穿刺可能部材1170の、意図された用途のための所望の特性及び完全
性を実質的に劣化させないように穿刺可能部材1170を選択することができる。幾つか
の実施形態では、穿刺可能部材1170は、任意の形態のポリプロピレンのようなポリマ
ーフィルムから構築することができる。幾つかの実施形態では、穿刺可能部材1170は
、二軸配向ポリプロピレン(BOP)から構築することができる。
【0029】
図1〜
図2は、第2のハウジングの少なくとも一部1160を第1のハウジング111
0内に配置されているものとして示すが、他の実施形態では、第1のハウジング1110
の少なくとも一部を第2のハウジング1160内に配置された状態にすることによって又
は第1のハウジング1110と第2のハウジング1160を互いの内部に配置することな
く介在具(interface)又は取付具を通じて互いに連結された状態にすることに
よって、第1のハウジング1110と第2のハウジング1160を互いに連結することが
できる。第2のハウジング1160は、例えば、接着接合、溶接接合、スナップ嵌め(例
えば、第1のハウジング上に配置された嵌合する突起部が第2のハウジングによって画定
される対応する開口部内に受け入れられる及び/又はこれによって保持される配置又はこ
の逆の配置)、2つの部品が互いに押された後で摩擦によって締結される締まり嵌め(例
えば、Luer−Slip(登録商標)など)、Luer−Lok(登録商標)のような
取り外し可能な連結を含むねじ連結、又はフランジ接続のような任意の適切な機構によっ
て第1のハウジング1110に連結することができる。第1のハウジング1110と第2
のハウジング1160との間の連結は、穿刺可能部材1170が
図2に示すように破壊さ
れている又は破断されているときに第1の体積1163と第1のチャンバ1114との間
の流体移送が漏れる及び/又は汚染されることにならないように流体密封性にすることが
できる。第1のハウジング1110と第2のハウジング1160との間の流体密封性連結
は、嵌合する構成要素のテーパはめあい、Oリング、ガスケットなどの使用を通じて達成
することができる。
【0030】
反応モジュール1200は、反応チャンバ1262及び第2の体積1213を画定する
。第2の体積1213は物質R2を収容する。物質R2は、反応チャンバ1262及び/
又はカートリッジ1001のあらゆる他の部分内の反応に関与する又は他の方法で反応を
支持する鉱油、洗浄バッファ、試薬などのようなあらゆる生体物質又は化学物質とするこ
とができる。反応モジュール1200は、反応チャンバ1262及び第2の体積1213
のそれぞれを分離モジュール1100の第2のチャンバ1190と流体連通する状態にお
くことができるように分離モジュール1100に連結される。反応モジュール1200は
、例えば、接着接合、溶接接合、スナップ嵌め(例えば、第1のハウジング上に配置され
た嵌合する突起部が第2のハウジングによって画定される対応する開口部内に受け入れら
れる及び/又はこれによって保持される配置又はこの逆の配置)、2つの部品が互いに押
された後で摩擦によって締結される締まり嵌め(例えば、Luer−Slip(登録商標
)など)、Luer−Lok(登録商標)のような取り外し可能な連結を含むねじ連結、
又はフランジ接続のような任意の適切な機構によって、分離モジュール1100に連結す
ることができる。第1のハウジング1110と反応モジュール1200との間の連結は、
分離モジュール1100と反応モジュール1200との間の流体移送が漏れる及び/又は
汚染されることにならないように流体密封性にすることができる。反応モジュール120
0と分離モジュール1100との間の流体密封性連結は、嵌合する構成要素のテーパはめ
あい、Oリング、ガスケットなどを用いて達成することができる。幾つかの実施形態では
、分離モジュール1100と反応モジュール1200との間の連結部は取り外し可能であ
る。
【0031】
この配置は、物質が反応チャンバ1262及び/又は第2の体積1213から第2のチ
ャンバ1190に移送されること、又はその逆を可能にする。例えば、使用時に、試料S
、物質R1、又は物質R2のうちの1つ又は複数のような試料、試薬、及び/又は他の支
持材料を、所望の反応に関連して反応チャンバ1262の中に又は外に移送することがで
きる。第2のチャンバ1190、反応チャンバ1262、及び/又は第2の体積1213
の間の流体移送は、重力、毛管力、油圧などを通じてもたらすことができる。幾つかの実
施形態では、油圧は、ピストンポンプ、バッフルポンプ、又は他の任意の適切な移送機構
を通じて適用される。幾つかの実施形態では、こうした流体移送機構は、カートリッジ1
001の外部又はカートリッジ1001の内部(例えば、少なくとも部分的に分離モジュ
ール1100及び/又は反応モジュール1200の内部に配置される)のいずれかとする
ことができる。
【0032】
幾つかの実施形態では、物質R1と試料S又はその一部は、逆転写酵素を用いることに
よってリボ核酸(RNA)鋳型から一本鎖の相補的デオキシリボ核酸(cDNA)を生じ
る逆転写プロセスに関連して、第1の体積1163及び第1のチャンバ1114から第2
のチャンバ1190を通じて反応チャンバ1262に移送することができる。逆転写プロ
セスの完了後に、新たに合成されたcDNA又は試料S中に存在するDNAに対してPC
Rプロセスを行うために、物質R2を、第2の体積1213から第2のチャンバ1190
を通じて反応チャンバ1262に移送することができる。こうした実施形態では、物質R
2は、Taqポリメラーゼを含む1つ又は複数のPCR試薬を含むことができる。幾つか
の実施形態では、物質R1及び/又は物質R2は、DNA結合色素(例えば、DNAプロ
ーブの5’末端に結合された副溝結合剤(MGB)、MGB、及びフルオロフォア、この
場合、DNAプローブは標的配列と特異的にハイブリッド形成する)を含むことができ、
そのため、本明細書で説明される機器及び/又は方法のいずれかを用いて反応チャンバ1
262の中の蛍光レポーター分子からの蛍光を検出することによって、PCRプロセスの
進行をリアルタイムで監視することができる。
【0033】
幾つかの実施形態では、カートリッジ1001(
図1及び
図2)は、核酸試料の分離と
増幅との両方のために用いられる。例えば、分離は、第1のチャンバ1114又は第2の
チャンバ1190の中で起こってもよい。物質R1は、一実施形態では、核酸分離用の試
薬を含む。DNA、RNA、及びこれらの組合せは、本明細書で提供されるカートリッジ
によって分離することができる。例えば、物質R1は、一実施形態では、DNA又はRN
Aのいずれかを分離するために試薬で誘導体化した磁性ビーズを含む。
【0034】
個々の核酸と全核酸との両方を、本明細書で提供されるカートリッジの中で分離するこ
とができる。例えば、物質R1は、一実施形態では、試料中に存在するメッセンジャーR
NAの全プールを分離するように設計される、ポリA配列で誘導体化したビーズを含む。
別の実施形態では、物質R1は、試料中の核酸の一部のみを分離するように設計される、
特異的核酸配列で誘導体化したビーズを含む。
【0035】
核酸が分離されると、これを増幅させることができる。一実施形態では、増幅はPCR
によって行われる。この発明の目的上、核酸試料に対する「PCR」への言及は、逆転写
PCR(reverse transcription−PCR)(RT−PCR)を含
む。具体的には、核酸試料が1つ又は複数の標的RNA又はRNA群(例えば、全mRN
A)であるときに、標的RNAに対してRT−PCRが行われることになる。本明細書で
提供されるPCRマスターミックスは、したがって、逆転写用の試薬を含むことができる
。逆転写ステップは、PCRと同じチャンバ又はモジュール、若しくは異なるチャンバ又
はモジュールで行うことができる。一実施形態では、逆転写とPCRは、RT−PCRマ
スターミックスを提供することによって同じチャンバで行われる。当該技術分野の当業者
は、初めに分離される核酸試料に基づいて、RT−PCR又はPCRのどちらが必要であ
るかがすぐに分かるであろう。本明細書で提供されるカートリッジのいずれも、DNA及
び/又はRNAを分離するため、及びRT−PCR及び/又はPCRを行うために用いる
ことができる。
【0036】
例えば、一実施形態では、RNAが最初に分離される場合には、例えば第2のチャンバ
1190又は反応チャンバ1262の中で、分離された試料に対して逆転写酵素反応が行
われる。DNAが分離される場合には、これは、例えば反応チャンバ1262の中でPC
Rによって増幅させることができる。同様に、RNAが最初に試料Sから分離される場合
には、これは例えば反応チャンバ1262の中で逆転写反応を受け、この反応の産物が、
下流のPCR反応で、例えば反応チャンバ1262の中で用いられる。幾つかの実施形態
では、複数の標的核酸がPCRで増幅され、PCR反応がリアルタイムで監視される。複
数の標的の増幅は、一実施形態では、各標的に対して特異的な個々のDNAハイブリダイ
ゼーションプローブを採用することによって監視され、この場合、各プローブは、異なる
波長の光を放出する又は独自の波長で励起することができるフルオロフォアを含む。DN
Aハイブリダイゼーションプローブは、一実施形態では、物質R2(又はこの一部)とし
て第2の体積1213の中に提供される。
【0037】
PCRを監視するために用いられるプローブは、一実施形態では、関心あるDNA標的
と特異的にハイブリッド形成するDNAオリゴヌクレオチドであり、3’末端に非蛍光性
クエンチャー及び5’末端にフルオロフォアを含む。加えて、この実施形態では、DNA
オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドと直接結合されるか又はフルオロフォアと結
合される5’末端にMGBを含む(Lukhtanov他、(2007)、Nuclei
c Acids Research 35、pp.e30参照)。DNAオリゴヌクレオチ
ドプローブは、標的と結合されたときに蛍光を発するが、溶液中では蛍光を発しない。し
たがって、PCRでの産物の合成時に、より多くのハイブリダイゼーションが起こること
になり、より多くの蛍光が発せられる。したがって、蛍光の量は発生した標的の量に比例
する。
【0038】
PCR反応のリアルタイム監視は、
図1及び
図2に示されたカートリッジに限定されな
い。むしろ、本明細書で提供されるカートリッジのいずれも、例えば上で説明されるDN
Aハイブリダイゼーションプローブを伴うリアルタイムPCRを採用することができる。
【0039】
幾つかの実施形態では、カートリッジ1001は、反応チャンバ1262内のPCRプ
ロセスの発生を容易にするために本明細書で説明される機器及び/又は方法のうちのいず
れによっても取り扱うことができる。こうした実施形態では、反応モジュール1200は
、反応チャンバ1262の内容物がPCRプロセスに関連して熱サイクルを受けることを
可能にするために、熱伝達装置に連結する及び/又はこれと接触した状態におくことがで
きる。こうした実施形態では、反応モジュール1200はさらに、PCRプロセスのリア
ルタイム監視を可能にするために光学装置に作動的に連結することができる。他の実施形
態では、反応モジュール1200及び/又は分離モジュール1100は、その中で起こる
反応及び/又は分離プロセスを容易にするために、光エネルギー、超音波エネルギー、磁
気エネルギー、油圧エネルギーなどのような他のエネルギー源に作動的に連結することが
できる。
【0040】
図1〜
図2は、それぞれ第2のチャンバ1190と流体連通する反応チャンバ1262
及び第2の体積1213を示すが、他の実施形態では、反応チャンバ1262、第2の体
積1213、及び/又は分離モジュールの第2のチャンバ1190の間の流体連通は、選
択的なものとすることができる。別の言い方をすれば、幾つかの実施形態では、反応モジ
ュール1200及び/又は分離モジュール1100は、第2のチャンバ1190を第2の
体積1213及び/又は反応チャンバ1262と選択的に流体連通する状態におくことが
できる弁又は穿刺可能膜のような機構を含むことができる。分離モジュール1100は、
1つの第1の体積1163を画定するものとして示されるが、幾つかの実施形態では、分
離モジュール1100は、任意の数の体積を画定することができ、及び/又は任意の数の
異なる物質を収容することができる。同様に、反応モジュール1200は、1つの第2の
体積1213を画定するものとして示されるが、幾つかの実施形態では、反応モジュール
1200は、任意の数の体積を画定することができ、且つ任意の数の異なる物質を収容す
ることができる。
【0041】
図3は、第1のモジュール2110、第2のモジュール2160、及び第3のモジュー
ル2200を含む、一実施形態に係るカートリッジ2001の略図である。第1のモジュ
ール2110は、第1のチャンバ2114及び第2のチャンバ2190を画定する。第1
のチャンバ2114及び/又は第2のチャンバ2190は、例えば、尿、血液、組織試料
を含有する他の物質などのような標的核酸を含有する、いかなる生体試料をも収容するこ
とができる。第1のチャンバ2114は第2のチャンバ2190と流体連通するものとし
て示されるが、他の実施形態では、第1のチャンバ2114は、第2のチャンバ2190
と選択的に流体連通する状態におくことができる。別の言い方をすれば、幾つかの実施形
態では、第1のモジュール2110は、第1のチャンバ2114を第2のチャンバ219
0と選択的に流体連通する状態におくことができる弁(
図3には図示せず)のような任意
の適切な機構を含むことができる。さらに、他の実施形態では、第1のモジュール211
0は、第1のチャンバ2114と第2のチャンバ2190との間の物質の移送及び/又は
移送の制御を容易にするために、例えば、弁、毛細管流動制御装置、ポンプなどを含む任
意の適切な流量制御機構及び/又は移送機構(
図3には図示せず)を有することができる
。
【0042】
第2のモジュール2160は、いかなる生体物質又は化学物質をも十分に又は部分的に
収容することができる第1の体積2163を画定する。物質は、例えば、第1のチャンバ
2114及び/又はカートリッジ2001のあらゆる他の部分内の反応に関与する又は他
の方法で反応を支持することができる鉱油、洗浄バッファ、試薬などとすることができる
。一実施形態では、第1のチャンバ2114の中の反応は、分離反応、例えば核酸又はペ
プチド分離である。第2のモジュール2160は、本明細書で説明されるように任意の適
切な方法で第1のモジュール2110に連結することができる。幾つかの実施形態では、
例えば、第1のモジュール2110と第2のモジュール2160は、第1のモジュール2
110と第2のモジュール2160がモジュール式に配置されるように別々に構築し及び
共に連結することができる。このようなモジュール配置では、種々の異なる構成の第1の
モジュール2110と第2のモジュール2160を一緒に用いることができる。異なる構
成の第1のモジュール2110及び/又は第2のモジュール2160は、第1のモジュー
ル2110及び/又は第2のモジュール2160内に異なる試薬及び/又は異なる構造体
を含むことができる。
図3に示すように、第2のモジュール2160の一部は、第1の体
積2163を第1のチャンバ2114と流体連通する状態におくことができるように第1
のモジュール2110の第1のチャンバ2114内に配置される。他の実施形態では、第
1の体積2163は、第1のチャンバ2114と選択的に流体連通する状態におくことが
できる。幾つかの実施形態では、例えば、第1のモジュール2110及び/又は第2のモ
ジュール2160は、第2のモジュール2160が第1のモジュール2110に連結され
るときに第1の体積2163を第1のチャンバ2114と選択的に流体連通する状態にお
くことができる、本明細書で説明されるように弁及び/又は任意の適切な流体制御機構及
び/又は移送機構のような任意の適切な機構を含むことができる。幾つかの実施形態では
、物質及び/又は試料は、本明細書で説明されるように任意の適切な流体移送機構を用い
て第1の体積2163と第1のチャンバ2114との間で移送することができる。例えば
、使用時に、試料、分離された試料(例えば、分離されたDNA、分離されたRNA、分
離されたペプチド、分離されたタンパク質)、試薬(例えば、分離試薬)、及び/又は他
の支持物質を、所望の反応に関連して第1のチャンバ2114の中に及び/又はそこから
外に移送することができる。さらに他の実施形態では、第1の体積2163は、例えば、
本明細書で説明されるような(
図3には図示されない)弁、穿刺可能部材、又は選択的移
送機構によって第1のチャンバ2114から流体的に分離することができる。
【0043】
第3のモジュール2200は、反応チャンバ2262及び第2の体積2213を画定す
る。反応チャンバ2262及び/又は第2の体積2213は、反応チャンバ2262及び
/又はカートリッジ2001のいずれかの他の部分内の反応に関与する又は他の方法で反
応を支持する鉱油、洗浄バッファ、1つ又は複数のPCR試薬、試薬などのような1つ又
は複数の生体物質又は化学物質を十分に又は部分的に収容することができる。第3のモジ
ュール2200は、本明細書で説明されるように任意の適切な方法で第1のモジュール2
110に連結することができる。幾つかの実施形態では、第1のモジュール2110は、
例えば、生体試料から1つ又は複数の標的核酸を分離するための分離モジュール2110
である。幾つかの実施形態では、第1のモジュール2110は、RNA分離及び第一鎖c
DNA合成のために用いられる。この実施形態では、第1の体積2163は分離試薬及び
逆転写(RT)反応用試薬を含む。幾つかの実施形態では、例えば、第1のモジュール2
110と第3のモジュール2200は、第1のモジュール2110と第3のモジュール2
200がモジュール式に配置されるように別々に構築し及び共に連結することができる。
このようなモジュール配置では、異なる構成の第1のモジュール2110と第3のモジュ
ール2200を一緒に用いることができる。異なる構成の第1のモジュール2110及び
/又は第3のモジュール2200は、第1のモジュール2110及び/又は第3のモジュ
ール2200内に異なる試薬及び/又は異なる構造体を含むことができる。
図3に示すよ
うに、第3のモジュール2200の一部は、反応チャンバ2262と第2の体積2213
のそれぞれが第2のチャンバ2190と流体連通するように、第1のモジュール2110
の第2のチャンバ2190内に配置される。他の実施形態では、反応チャンバ2262及
び/又は第2の体積2213は、第2のチャンバ2190と選択的に流体連通する状態に
おくことができる。別の言い方をすれば、幾つかの実施形態では、第1のモジュール21
10及び/又は第3のモジュール2200は、反応チャンバ2262及び/又は第2の体
積2213を第2のチャンバ2190と選択的に流体連通する状態におくことができる、
本明細書で説明されるような弁及び/又は任意の適切な流体制御機構及び/又は移送機構
のような任意の適切な機構を含むことができる。幾つかの実施形態では、物質及び/又は
試料は、本明細書で説明されるような適切な流体移送機構を用いて、第2のチャンバ21
90、反応チャンバ2262、及び/又は第2の体積2213の間で移送することができ
る。例えば、使用時に、試料、試薬、及び/又は他の支持材料を、所望の反応に関連して
反応チャンバ2262の中に又はそこから外に移送することができる。さらに他の実施形
態では、反応チャンバ2262及び/又は第2の体積2213は、例えば、本明細書で説
明されるように(図示されない)穿刺可能部材又は選択的移送機構によって第2のチャン
バ2190から流体的に分離することができる。
【0044】
幾つかの実施形態では、カートリッジ2001は、試料調製、核酸分離、及び/又は試
料に対するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行うために用いることができる。こうした
実施形態では、第1のモジュール2110内で試料から標的核酸を分離することができる
。分離された核酸は、RNA、DNA、又はこれらの組合せとすることができる。前述の
ように、PCRの前にRNAが分離される場合には、カートリッジ2001の中で、例え
ば第1のチャンバ2114又は第2のチャンバ2190の中で逆転写反応が行われる。分
離された核酸(又はRNAが分離された場合に新たに合成されたcDNA)を、本明細書
で説明されるように第3のモジュール2200の中で(例えば、PCRを用いて)、例え
ば、5’末端にフルオロフォア及びMGB、並びに3’末端に非蛍光性クエンチャーを備
えるDNAオリゴヌクレオチドプローブを伴うリアルタイムPCRで、増幅させることが
できる。カートリッジ2001のモジュール配置は、それぞれが例えば異なる試薬を収容
する及び/又はそれぞれが異なるタイプの試料を増幅させるように構成される任意の数の
異なる第3のモジュール2200が第1のモジュール2110と共に用いられることを可
能にし、逆もまた同様である。幾つかの実施形態では、カートリッジ2001は、反応チ
ャンバ2262内のPCRプロセスの発生を容易にするために、本明細書で説明される機
器及び/又は方法のうちのいずれかによって取り扱うことができる。こうした実施形態で
は、第3のモジュール2200は、反応チャンバ2262の内容物がPCRプロセスに関
連して熱サイクルを受けることを可能にするために熱伝達装置に連結する及び/又はこれ
と接触した状態におくことができる。こうした実施形態では、第3のモジュール2200
はさらに、PCRプロセスを監視するために光学装置に作動的に連結することができる。
他の実施形態では、第3のモジュール2200及び/又は第1のモジュール2110は、
その中で起こる反応及び/又は分離プロセスを容易にするために、光エネルギー源、超音
波エネルギー源、磁気エネルギー源、油圧エネルギー源などのような他のエネルギー源に
作動的に連結することができる。
【0045】
図3は、1つの第1の体積2163と1つの第2の体積2213とを画定するものとし
て一体化されたカートリッジ2001を示すが、幾つかの実施形態では、一体化されたカ
ートリッジ2001は、任意の数の異なる物質を収容する及び/又は付加的な機能を果た
すように任意の数の第1の体積2163及び/又は第2の体積2213を画定することが
できる。例えば、第1の体積2163及び/又は第2の体積2213は、別個の洗浄バッ
ファ、溶離バッファ、逆転写反応用試薬、PCR試薬、溶解バッファを収容することがで
きる。
【0046】
前述のように、幾つかの実施形態では、本明細書で説明されるカートリッジのいずれも
、カートリッジ内に画定された種々のチャンバの間で試料を移送するように構成された1
つ又は複数の移送機構を含むことができる。例えば、
図4は、第1のモジュール3110
、第2のモジュール3160、及び第3のモジュール3200を含む、一実施形態に係る
カートリッジ3001の略図である。第1のモジュール3110は、第1のチャンバ31
14及び第2のチャンバ3190を画定する。幾つかの実施形態では、第1のモジュール
3110は、例えば、生体試料からの1つ又は複数の標的核酸、核酸群(例えば、全RN
A、全DNA、mRNA)、若しくは標的ペプチド又はタンパク質を分離するための分離
モジュールとして働く。第1のチャンバ3114及び/又は第2のチャンバ3190は、
いかなる生体試料、例えば、尿、血液、組織試料を含有する他の物質などのような標的核
酸を含有する生体試料もを収容することができる。第1の移送機構3140は、第1のチ
ャンバ3114と第2のチャンバ3190との間に配置される。
【0047】
幾つかの実施形態では、第1の移送機構3140は、第1のチャンバ3114と第2の
チャンバ3190との間で試料及び/又は物質を選択的に移送するために選択的移送機構
とすることができる。こうした実施形態では、例えば、第1の移送機構3140は、第1
のチャンバ3114及び/又は第2のチャンバ3190の間での異なる特性を有する試料
及び/又は物質の移送を制限及び/又は防止しながら、第1のチャンバ3114と第2の
チャンバ3190との間で特定の特性をもつ試料及び/又は物質を移送することができる
。幾つかの実施形態では、第1の移送機構3140は、試料及び/又は物質の磁気特性に
基づいて試料及び/又は物質を移送するために磁性構成要素を用いる装置とすることがで
きる。他の実施形態では、第1の移送機構3140は、例えば、電気泳動の使用などによ
る試料及び/又は物質の表面電荷に基づいて試料及び/又は物質を移送することができる
。さらに他の実施形態では、第1の移送機構3140は、試料及び/又は物質内の分子又
はイオンのサイズに基づいて試料及び/又は物質を移送することができる。こうした実施
形態では、第1の移送機構3140は、試料及び/又は物質を選択的に移送するための逆
浸透機構を含むことができる。別の言い方をすれば、幾つかの実施形態では、第1の移送
機構3140は、その中の標的にされた試料及び/又は物質及び/又は分子及び/又はイ
オンに対して作用するために、例えば、磁気力、静電気力、圧力などを含む力に頼る及び
/又はもたらすことができる。第1の移送機構3140はまた、(例えば、付加的な物理
的動きを付与するために及び/又は付加的な選択性を提供するために)任意の適切な構造
体を含むことができ、及び/又は複数の選択的な移送機構を組み合わせることができる。
幾つかの実施形態では、第1の移送機構3140は、第1のチャンバ3114と第2のチ
ャンバ3190との間の実質的な流体分離を維持しながら、第1のチャンバ3114と第
2のチャンバ3190との間で或る分子又はイオンを選択的に移送することができる。幾
つかの実施形態では、第1の移送機構3140は、参照によりその全体が本明細書に組み
込まれる2006年10月17日に出願された「CASSETTE FOR SAMPLE
PREPARATION」と題する米国特許第7,727,473号で開示されるよう
な電磁弁とすることができる。さらに他の実施形態では、第1の移送機構3140は、第
1のチャンバ3114と第2のチャンバ3190との間で物質及び/又は試料を非選択的
に移送することができる。
【0048】
第2のモジュール3160は、第1のチャンバ3114及び/又はカートリッジ300
1のあらゆる他の部分内の反応に関与する又は他の方法で反応を支持することができる、
例えば、鉱油、核酸分離、試薬、逆転写試薬、溶離バッファ、溶解バッファ、洗浄バッフ
ァ、試薬などのような任意の生体物質又は化学物質を十分に又は部分的に収容することが
できる第1の体積3163を画定する。第2のモジュール3160は、本明細書で説明さ
れるような任意の適切な方法で第1のモジュール3110に連結することができる。幾つ
かの実施形態では、例えば、第1のモジュール3110と第2のモジュール3160は、
第1のモジュール3110と第2のモジュール3160がモジュール式に配置されるよう
に別々に構築し及び共に連結することができる。このようなモジュール配置では、異なる
構成の第1のモジュール3110と第2のモジュール3160を一緒に用いることができ
る。異なる構成の第1のモジュール3110及び/又は第2のモジュール3160は、モ
ジュール内の異なる試薬及び/又は異なる構造体を含むことができる。
図4に示すように
、第2のモジュール3160の一部は、第1の体積3163が第1のチャンバ3114と
流体連通するように第1のモジュール3110の第1のチャンバ3114内に配置される
。他の実施形態では、第1の体積3163は、第1のチャンバ3114と選択的に流体連
通する状態におくことができる。別の言い方をすれば、幾つかの実施形態では、第1のモ
ジュール3110及び/又は第2のモジュール3160は、第1の体積3163を第1の
チャンバ3114と選択的に流体連通する状態におくことができる、本明細書で説明され
るような弁及び/又は任意の適切な流体制御機構及び/又は移送機構のような任意の適切
な機構を含むことができる。幾つかの実施形態では、物質及び/又は試料は、本明細書で
説明されるような任意の適切な流体移送機構を用いて第1の体積3163と第1のチャン
バ3114との間で移送することができる。例えば、使用時に、試料、試薬、及び/又は
他の支持材料を、所望の反応に関連して第1のチャンバ3114の中に又はそこから外に
移送することができる。さらに他の実施形態では、第1の体積3163は、例えば、本明
細書で説明されるような(図示されない)穿刺可能部材又は選択的移送機構によって第1
のチャンバ3114から流体的に分離することができる。
【0049】
第3のモジュール3200は反応チャンバ3262を画定する。反応チャンバ3262
は、反応チャンバ3262及び/又はカートリッジ3001の任意の他の部分内の反応に
関与する又は他の方法で反応を支持する鉱油、逆転写試薬、溶離バッファ、溶解バッファ
、PCR試薬(例えば、Taqポリメラーゼ、プライマ、反応を監視するためのDNAオ
リゴヌクレオチドプローブ、Mg2+)、洗浄バッファ、試薬などのような任意の生体物
質又は化学物質を十分に又は部分的に収容することができる。第3のモジュール3200
は、本明細書で説明されるような任意の適切な方法で第1のモジュール3110に連結す
ることができる。幾つかの実施形態では、例えば、第1のモジュール3110と第3のモ
ジュール3200は、第1のモジュール3110と第3のモジュール3200がモジュー
ル式に配置されるように別々に構築し及び共に連結することができる。このようなモジュ
ール配置では、異なる構成の第1のモジュール3110と第3のモジュール3200を一
緒に用いることができる。異なる構成の第1のモジュール3110及び/又は第3のモジ
ュール3200は、モジュール内に異なる試薬及び/又は異なる構造体を含むことができ
る。
図4に示すように、第3のモジュール3200の一部は、反応チャンバ3262のそ
れぞれが第2の移送機構3240の制御を受ける第2のチャンバ3190と流体連通する
ことができるように第1のモジュール3110の第2のチャンバ3190内に配置される
。
【0050】
第2の移送機構3240は、物質及び/又は試薬を第2のチャンバ3190から反応チ
ャンバ3262に又はこの逆に移送することができる。幾つかの実施形態では、例えば、
第2の移送機構は、所定の体積の物質及び/又は試薬を第2のチャンバ3190と反応チ
ャンバ3262との間で移送することができる。同様に述べると、幾つかの実施形態では
、第2の移送機構3240は、物質及び/又は試薬を第2のチャンバ3190と反応チャ
ンバ3262との間で所定の体積流量で移送することができる。幾つかの実施形態では、
例えば、第2の移送機構3240は、第2のチャンバ3190及び/又は反応チャンバ3
262に対して正圧又は真空を適用するように構成されたポンプとすることができる。こ
うした実施形態では、第2の移送機構3240は、本明細書で説明される機器及び/又は
方法のいずれかを用いてプランジャによって始動されるポンプとすることができる。幾つ
かの実施形態では、第2の移送機構3240は、反応チャンバ3262の中に収容された
物質及び/又は試料を第2のチャンバ3190の中に又はこの逆に移送するために、第2
の移送機構3240が穿刺可能部材を穿刺する、破壊する、切断する、及び/又は破断す
ることができるように、本明細書で説明されるように穿刺可能部材を有することができる
。他の実施形態では、例えば、第2の移送機構3240は毛細管流動制御装置とすること
ができる。さらに他の実施形態では、第2の移送機構3240は、本明細書で説明される
ような任意の他の選択的又は選択的でない移送機構とすることができる。
【0051】
幾つかの実施形態では、カートリッジ3001は、試料調製、核酸分離、逆転写(RN
Aが最初に分離される場合)、及び/又は試料に対するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
を行うために用いることができる。こうした実施形態では、第1のモジュール3110内
で試料から標的核酸を分離することができる。次いで、さらに後述するように、分離した
核酸を第3のモジュール3200の中で(例えばPCRを用いて)増幅させることができ
る。本明細書で説明されるように、本発明のカートリッジ、例えばカートリッジ3001
により、複数の標的に対するPCRをリアルタイムで監視することができる。一実施形態
では、複数の標的の増幅は、Lukhtanov他(Nucleic Acids Res
earch 35、pp.e30、2007)によって開示されたDNAオリゴヌクレオ
チドプローブを伴って行われる。カートリッジ3001のモジュール配置は、それぞれが
例えば異なる試薬を収容する及び/又はそれぞれが異なるタイプの試料を増幅させるよう
に構成される任意の数の異なる第3のモジュール3200が第1のモジュール3110と
共に用いられることを可能にし、逆もまた同様である。幾つかの実施形態では、カートリ
ッジ3001は、反応チャンバ3262内のPCRプロセスの発生を容易にするために本
明細書で説明される機器及び/又は方法のうちのいずれかによって取り扱うことができる
。こうした実施形態では、第3のモジュール3200は、反応チャンバ3262の内容物
がPCRプロセスに関連して熱サイクルを受けることを可能にするために熱伝達装置に連
結する及び/又はこれと接触した状態におくことができる。こうした実施形態では、第3
のモジュール3200はさらに、PCRプロセスを監視するために光学装置に作動的に連
結することができる。他の実施形態では、第3のモジュール3200及び/又は第1のモ
ジュール3110は、その中で起こる反応及び/又は分離プロセスを容易にするために、
光エネルギー、超音波エネルギー、磁気エネルギー、油圧エネルギーなどのような他のエ
ネルギー源に作動的に連結することができる。
【0052】
一実施形態では、
図4に関連して示され説明されたカートリッジ3001は、第1のモ
ジュール、第2のモジュール、及び第3のモジュールを含むが、他の実施形態では、カー
トリッジは、互いに連結された2つのモジュールを含むことができる。例えば、
図5は、
第1のモジュール4200及び第2のモジュール4160を含む、一実施形態に係るカー
トリッジ4001の一部の略図である。カートリッジ4001の一部は、
図5に示すよう
に分離モジュール4110に連結することができる。第1のモジュール4200は、反応
バイアル4260、基体4220、及び第1の移送機構4140を含む。反応バイアル4
260は、反応チャンバ4262及び/又はカートリッジ4001のあらゆる他の部分内
の反応に関与する又は他の方法で反応を支持する、例えば、尿、血液、組織試料を含有す
る他の物質などのような標的核酸を含有するあらゆる生体試料又は化学試料、及び/又は
鉱油、洗浄バッファ、溶解バッファ、逆転写試薬、PCR試薬、試薬などのような物質を
十分に又は部分的に収容することができる反応チャンバ4262を画定する。
【0053】
反応バイアル4260は、試料、例えば、分離された又は他の方法で試料に関連した反
応が起こることを可能にする状態で核酸試料を収容するための任意の適切な容器とするこ
とができる。或る実施形態では、反応バイアル4260は、加熱要素及び/又はブロック
(例えば後述のブロック1710参照)内に受け入れられる及び/又はこれに接触して配
置されるように構成された薄い壁を有することができる。反応バイアル4260は、所望
の反応及び/又はプロセスと適合するように或る特性をもつ任意の適切な材料から構築す
ることができる。幾つかの実施形態では、反応バイアル4260は、反応バイアル426
0内の物質及び/又は試料の熱サイクルを可能にするために実質的に熱伝導性材料から構
築することができる。幾つかの実施形態では、反応バイアル4260は、反応バイアル4
260内の体積に対して正圧又は真空が作用するときに反応バイアル4260の側壁がそ
の形状及び/又はサイズを実質的に保つように実質的に機械的に堅牢な材料から構築する
ことができる。幾つかの実施形態では、反応バイアル4260は、反応バイアル4260
を形成する材料が反応バイアル4260を汚染する又は他の方法でこの中の反応に影響を
及ぼすことにならないように、反応バイアル4260内の反応に対して実質的に化学的に
不活性な材料から構築することができる。
【0054】
反応バイアル4260はまた、こうした反応の監視(例えば、反応から結果的に生じる
又は反応と関連付けられる試料内の分析物の検出)を可能にする状態で試料を収容するた
めの任意の適切な容器とすることができる。幾つかの実施形態では、例えば、反応バイア
ル4260は、PCRバイアル、試験管、マイクロ遠沈管などとすることができる。さら
に、幾つかの実施形態では、反応バイアル4260の少なくとも一部は、その中で起こる
反応の光学監視を可能にするために実質的に透明とすることができる。
【0055】
幾つかの実施形態では、反応バイアル4260は、基体4220と一体に構築すること
ができる。他の実施形態では、反応バイアル4260は、本明細書で説明されるような任
意の適切な機構によって基体4220に連結することができる。
【0056】
基体4220は、第1の流路4221及び第2の流路4222の少なくとも一部を画定
する。第1の流路4221は、反応チャンバ4262及び分離モジュール4110の分離
チャンバ4114と流体連通するように構成される。第1の移送機構4140は、第1の
移送機構4140が始動されるときに試料S(又はこの一部)を分離チャンバ4114か
ら反応チャンバ4262に(矢印AAで示すように)移送するように構成される。基体4
220は、任意の適切な構造体、材料、及び/又は製造プロセスを用いて第1の流路42
21及び第2の流路4222の一部を画定することができる。幾つかの実施形態では、基
体4220は単一の層とすることができる。他の実施形態では、基体4220は、構造体
及び流路を画定するために製作され及び互いに連結される複数の別個の材料の層から構築
することができる。幾つかの実施形態では、基体4220は、例えば、化学エッチング、
機械的及び/又はイオンミリング、エンボス加工、ラミネーション、及び/又はシリコン
接合を含むプロセスを用いて構築することができる。幾つかの実施形態では、基体422
0の少なくとも一部は、使用時に第1の流路及び/又は第2の流路を画定する基体の一部
を加熱することができるように、加熱要素の上に共に配置される、加熱要素内に配置され
る、及び/又は加熱要素と接触するように構成することができる。例えば、幾つかの実施
形態では、基体4220は、本明細書で開示される機器のいずれの内にも配置することが
でき、且つ、その中に収容された物質(例えば、分離チャンバ4114と反応チャンバ4
262との間で移送される試料の一部)をおよそ50℃よりも高い温度に加熱する及び/
又はこの温度に維持することができるように第1の流路4221及び第2の流路4222
を加熱することができる。本明細書でより詳細に説明されるように、この配置は、PCR
プロセスに関連する物質及び又は試薬の「ホットスタート」移送を容易にする。
【0057】
第1の移送機構4140は、第1のモジュール4200内に少なくとも部分的に収容さ
れ、分離チャンバ4114から反応チャンバへの試料Sの移送を容易にするように構成さ
れる。幾つかの実施形態では、第1の移送機構4140は、第1の流路4221と第1の
モジュール4200の外部の領域との間の流体分離を維持しながら試料Sの移送を容易に
することができる。例えば、幾つかの実施形態では、第1の移送機構4140は、第1の
モジュール4200の外部の領域からの物質の添加なしに(例えば、圧縮ガスなどの添加
なしに)力を生じる及び/又は試料Sの移送を容易にする任意の機構とすることができる
。この配置は、汚染の可能性を低減させ、プロセスの自動化を改善し、及び/又は試料S
の移送の速度及び/又は正確さを他の方法で改善する。例えば、試料Sの移送は、異なる
時間ステップで進むようにプログラムすることができ、各時間ステップで異なる量の試料
Sを移送する。試料Sの移送の正確さの改善はまた、PCR分析の質を改善することがで
きる。第1の移送機構は、本明細書で説明されるように任意の適切な機構とすることがで
きる。例えば、幾つかの実施形態では、第1の移送機構4140は、試料Sを分離チャン
バ4114と反応チャンバ4262との間で選択的に移送するために選択的移送機構とす
ることができる。幾つかの実施形態では、第1の移送機構4140は、試料Sの移送をも
たらすために磁気の力、静電気の力及び/又は圧力の力を適用することができる。
【0058】
第1のモジュール4200は、第1のモジュール4200と分離モジュール4110と
の間の流体連通を可能にするために本明細書で説明されるような任意の適切な方法で分離
モジュール4110に連結することができる。幾つかの実施形態では、例えば、第1のモ
ジュール4200と分離モジュール4110は、第1のモジュール4200と分離モジュ
ール4110がモジュール式に配置されるように別々に構築し及び共に連結することがで
きる。このようなモジュール配置では、異なる構成の第1のモジュール4200と分離モ
ジュール4110を一緒に用いることができる。異なる構成の第1のモジュール4200
及び/又は分離モジュール4110は、モジュール内に異なる試薬及び/又は異なる構造
体を含むことができる。
【0059】
第2のモジュール4160は、第2の移送機構4240を含み、且つ物質R1を収容す
るように構成された体積4163を画定する。本明細書で用いられる場合の物質R1及び
物質R2は、1つ又は複数の試薬を指すことができる。物質R1は、例えば、鉱油、洗浄
バッファ、蛍光色素、溶解バッファ、洗浄バッファ、溶離バッファ、逆転写試薬、PCR
試薬(例えば、Taqポリメラーゼ、プライマ、Lukhtanov他、(2007)、
Nucleic Acids Research 35、pp.e30によって説明される
プローブのようなDNAハイブリダイゼーションプローブのうちの1つ又は複数)、試薬
などのような、いかなる生体物質又は化学物質ともすることができる。
図5は、1つの体
積4163を含む第2のモジュール4160を示すが、他の実施形態では、第2のモジュ
ール4160は、その中に種々の物質(物質R1及び/又は異なる物質を含む)を保存す
ることができる任意の数の体積4163及び/又は容器を含むことができる。第2のモジ
ュール4160は、体積4163を第2の流路4222を介して反応チャンバ4262と
選択的に流体連通する状態におくことができるように、第1のモジュール4200と連結
されるように構成される。第2の移送機構4240は、第2の移送機構4240が始動さ
れるときに物質R1の少なくとも一部を体積4163から反応チャンバ4262に(矢印
BBで示すように)移送するように構成される。
【0060】
第2の移送機構4240は、物質R1を第2の体積4163から反応チャンバ4262
に又はこの逆に移送することができる。幾つかの実施形態では、例えば、第2の移送機構
は、所定の体積の物質R1を第2の体積4163と反応チャンバ4262との間で移送す
ることができる。幾つかの実施形態では、例えば、第2の移送機構は、物質R1を第2の
体積4163と反応チャンバ4262との間で所定の体積流量で移送することができる。
幾つかの実施形態では、例えば、第2の移送機構4240は、第2の体積4163及び/
又は反応チャンバ4262に対して正圧又は真空を適用するように構成されたポンプとす
ることができる。こうした実施形態では、第2の移送機構4240は、本明細書で説明さ
れる機器及び/又は方法のいずれかを用いてプランジャによって始動されるポンプとする
ことができる。幾つかの実施形態では、第2の移送機構4240は、使用時に、第2の移
送機構4240が穿刺可能部材を穿刺し、破壊し、切断し、及び/又は破断し、且つ反応
チャンバ4262の中に収容された物質及び/又は試料を第2の体積4163の中に又は
この逆に移送することができるように、本明細書で説明されるように穿刺可能部材を有す
ることができる。幾つかの他の実施形態では、例えば、第2の移送機構4240は毛細管
流動制御装置とすることができる。さらに他の実施形態では、第2の移送機構4240は
、本明細書で説明されるようなあらゆる他の移送機構とすることができる。
【0061】
幾つかの実施形態では、カートリッジ4001は、試料調製、核酸分離、及び/又は試
料又はその分離された部分(例えば、分離された核酸試料)に対するポリメラーゼ連鎖反
応(PCR)を行うために用いることができる。こうした実施形態では、分離モジュール
4110は、その中に収容された試料から標的核酸を分離することができる。次いで、さ
らに後述するように、分離した核酸を反応チャンバ4262の中で(例えばPCRを用い
て)増幅させることができる。代替的に又は加えて、RNAが分離される場合、反応チャ
ンバ4262の中で逆転写反応を行うことができる。別の実施形態では、RNAが分離さ
れる場合、反応チャンバのうちの1つ、例えば反応チャンバ4262の中で、一体化され
た逆転写−PCR反応が行われる。カートリッジ4001のモジュール配置は、それぞれ
が例えば異なる試薬を収容する及び/又はそれぞれが異なるタイプの試料を増幅させる又
は異なるタイプの試料を分離するように構成される任意の数の異なる第2のモジュール4
160が第1のモジュール4200と共に用いられることを可能にし、逆もまた同様であ
る。幾つかの実施形態では、カートリッジ4001は、反応チャンバ4262内での増幅
プロセス、例えば、PCRプロセスの発生を容易にするために、本明細書で説明される機
器及び/又は方法のいずれかによって取り扱うことができる。こうした実施形態では、反
応バイアル4260は、反応チャンバ4262の内容物がPCRプロセスに関連して熱サ
イクルを受けることを可能にするために熱伝達装置に連結する及び/又はこれと接触した
状態におくことができる。こうした実施形態では、反応バイアル4260はさらに、PC
Rプロセスを監視するために光学装置に作動的に連結することができる。他の実施形態で
は、反応バイアル4260及び/又は分離モジュール4110は、その中で起こる反応及
び/又は分離プロセスを容易にするために、光エネルギー、超音波エネルギー、磁気エネ
ルギー、油圧エネルギーなどのような他のエネルギー源に作動的に連結することができる
。
【0062】
図6及び
図7は、それぞれ第1の構成及び第2の構成にある一実施形態に係るカートリ
ッジ5001の一部の略図である。カートリッジ5001の一部は第1のモジュール52
00及び第2のモジュール5100を含む。第1のモジュール5200は、反応バイアル
5260、基体5220、及び第1の移送機構5235を含む。反応バイアル5260は
、試料Sに関連した反応が起こることを可能にする状態で試料を収容することができる反
応チャンバ5262を画定する。反応バイアル5260は、任意の適切な形状及び/又は
サイズを有することができ、本明細書で説明されるように任意の適切な材料を用いて構築
することができる。幾つかの実施形態では、例えば、反応バイアル5260は、PCRバ
イアル、試験管などとすることができる。
【0063】
第1の移送機構5235は、ハウジング5230とプランジャ5235が第1の体積5
213を画定するようにハウジング5230内に移動可能に配置されるプランジャ524
0を含む。第1の体積5213は第1の物質R1を収容する。第1の物質R1は、例えば
、試薬(例えば、Taqポリメラーゼ、プライマ、上記で説明されたプローブのようなD
NAハイブリダイゼーションプローブ、又はこれらの組合せのようなPCR試薬)、逆転
写試薬、鉱油などとすることができる。プランジャ5240は、例えば、本明細書で説明
される機器のいずれかのような任意の適切な機構によって始動させることができる。
【0064】
基体5220は、第1の流路5221及び第2の流路5222の少なくとも一部を画定
する。第1の流路5221は、反応チャンバ5262、第1の体積5213、及び分離モ
ジュール5110の分離チャンバ5114(
図6に点線形式で示される)と流体連通する
ように構成される。第2の流路5222は、分離チャンバ5114と流体連通するように
構成される。分離チャンバ5114は、本明細書で示され説明されるタイプの任意の適切
な分離チャンバ及び/又は分離モジュールとすることができる。さらに、分離チャンバ5
114は、本明細書で説明されるように任意の適切な方法で第1のモジュール5200に
連結することができる。幾つかの実施形態では、分離チャンバ5114は、本明細書で説
明されるように第1のモジュール5200に連結し、及びモジュール式に配置することが
できる。分離チャンバ5114と第1のモジュール5200との間の取り外し可能な連結
は、本明細書で説明されるような任意の適切な機構を用いて流体密封性にすることができ
る。
【0065】
第2のモジュール5100は、第2の移送機構5150を含み、且つ第2の物質R2を
収容するように構成された第2の体積5163を画定する。第2のモジュール5100は
、第2の体積5163を第2の流路5222を介して分離チャンバ5114と選択的に流
体連通する状態におくことができるように、第1のモジュール5200と連結されるよう
に構成される。第2のモジュール5100は、第2の体積5163を分離チャンバ511
4及び/又は第2の流路5222と選択的に流体連通する状態におくように構成された任
意の機構及び/又はデバイスを含むことができる。例えば、幾つかの実施形態では、第2
のモジュール5100は、第2の体積5163の境界の一部を画定し且つ第2の体積51
63を分離チャンバ5114及び/又は第2の流路5222から流体的に分離する穿刺可
能部材を含むことができる。他の実施形態では、第2のモジュール5100は、第2の体
積5163を分離チャンバ5114及び/又は第2の流路5222と選択的に流体連通す
る状態におくように構成された弁を含むことができる。
【0066】
第2の移送機構5150は、第2の移送機構5150が始動されるときに第2の物質R
2の少なくとも一部を第2の体積5163から分離チャンバ5114の中に移送するよう
に構成される。第2の移送機構5150は、本明細書で説明されるような任意の適切な移
送機構とすることができる。例えば、幾つかの実施形態では、第2の移送機構5150は
、第2の体積5163から分離チャンバ5114への物質R2の移送をもたらすために、
磁気の力、静電気の力、及び/又は圧力の力を適用することができる。幾つかの実施形態
では、例えば、第2の移送機構5250は、本明細書で説明される機器及び/又は方法の
いずれかを用いてプランジャによって始動されるポンプとすることができる。幾つかの他
の実施形態では、例えば、第2の移送機構5250は毛細管流動制御装置とすることがで
きる。
【0067】
カートリッジ5001は、分離チャンバ5114の中に最初に配置される試料Sに関係
する反応及び/又はアッセイを容易にするために、少なくとも第1の構成(
図6)と第2
の構成(
図7)との間で動かすことができる。カートリッジ5001が第1の構成にある
ときに、プランジャ5240は、プランジャ5240の一部5246が第1の流路522
1内に配置されるようにハウジング5230内の第1の位置にある。したがって、カート
リッジ5001が第1の構成にあるときに、第1の体積5213が反応チャンバ5262
から流体的に分離される。このようにして、カートリッジ5001が第1の構成にあると
きに、第1の物質R1は、第1の体積5213内に維持され、反応チャンバ5262の中
に運ばれること(例えば、漏れ、重力送り、毛管作用などによる)が防がれる。さらに、
カートリッジ5001が第1の構成にあるときに、第2の体積5163は、第2の流路5
222及び分離チャンバ5114から流体的に分離される。このようにして、カートリッ
ジ5001が第1の構成にあるとき、第2の物質R2は、第2の体積5163内に維持さ
れ、分離チャンバ5114の中に運ばれること(例えば、漏れ、重力送り、毛管作用など
による)が防がれる。
【0068】
カートリッジ5001は、第2の体積5163を、第2の流路5222を介して分離チ
ャンバ5114と流体連通する状態におき、第2の物質R2の少なくとも一部を分離チャ
ンバ5114の中に(
図7の矢印CCで示すように)運ぶために第2の移送機構5150
を始動させ、第1の移送機構5235を始動させることによって、第2の構成(
図7)に
動かされる。より詳細には、第2の体積5163は、任意の適切な機構によって、例えば
、穿刺可能部材を穿刺すること、弁を始動させることなどによって、第2の流路5222
を介して分離チャンバ5114と流体連通する状態におくことができる。幾つかの実施形
態では、第2の体積5163は、第2の移送機構5150を始動させることによって分離
チャンバ5114と流体連通する状態におくことができる。このようにして、第2の体積
5163は、分離チャンバ5114と流体連通する状態におくことができ、第2の物質R
2の一部を1つの動作で及び/又は単一の始動イベントに応答して分離チャンバ5114
に運ぶことができる。
【0069】
第1の移送機構5235は、
図7の矢印DDで示すようにハウジング5230内でプラ
ンジャ5240を動かすことによって始動される。同様に述べると、第1の移送機構52
35が始動されるときに、プランジャ5240は、ハウジング5230内で第1の位置(
図6に示すように)から第2の位置(
図7に示すように)に動かされる。したがって、第
1の移送機構5235が始動されるときに、プランジャ5240の一部5246が、第1
の流路5221から少なくとも部分的に取り出され、これにより、第1の体積5213を
、第1の流路5221を介して反応チャンバ5262と流体連通する状態におく。このよ
うにして、第1の物質R1の一部を、
図7の矢印EEで示すように第1の体積5213か
ら反応チャンバ5262の中に運ぶことができる。
【0070】
さらに、プランジャ5240が第1の位置から第2の位置に動かされるときに、反応チ
ャンバ5262内に真空が生じる。カートリッジ5001内の(すなわち、反応チャンバ
5262と分離チャンバ5114との間の)この圧力差の結果として、分離チャンバ51
14の内容物の少なくとも一部(すなわち、試料S及び/又は第2の物質R2)が
図7の
矢印FF及びGGで示すように第1の流路5221を介して反応チャンバ5262の中に
運ばれる。このようにして、第1の移送機構5235及び/又は第2の移送機構5150
を始動させることによって物質及び/又は試料を分離チャンバ5114と反応チャンバ5
262との間で加える、混合する、及び/又は運ぶことができる。試料Sと物質R2を別
個に反応チャンバ5262の中に移送する代わりに分離チャンバ5114内で試料Sと物
質R2との混合を行うことによって、付加的な移送ステップをなくすことができる。さら
に、この配置及び/又は方法は、試料Sと物質R2との混合を改善することができ、これ
により、反応チャンバ5262の中での反応の正確さ及び効率を改善する。
【0071】
カートリッジ5001を第1の構成から第2の構成に動かすことに関連する動作は、特
定の順序で行われるように説明されるが、他の実施形態では任意の順序で行うことができ
る。さらに、他の実施形態では、カートリッジ5001は、動作の任意の所望の組合せを
含む任意の数の異なる構成で配置することができる。
【0072】
幾つかの実施形態では、カートリッジ5001は、試料S(例えば、1つ又は複数の分
離された標的核酸とすることができる)の少なくとも一部に対するポリメラーゼ連鎖反応
(PCR)を行うために用いることができる。こうした実施形態では、分離された核酸を
、本明細書で説明されるように反応チャンバ5262の中で(例えば、PCRを用いて)
増幅させることができる。幾つかの実施形態では、カートリッジ5001は、反応チャン
バ5262内のPCRプロセスの発生を容易にするために本明細書で説明される機器及び
/又は方法のうちのいずれかによって取り扱うことができる。こうした実施形態では、反
応チャンバ5262の内容物がPCRプロセスに関連して熱サイクルを受けることを可能
にするために、反応バイアル5260を熱伝達装置に連結する及び/又はこれと接触した
状態におくことができる。こうした実施形態では、反応バイアル5260はさらに、PC
Rプロセスのリアルタイム監視を可能にするために光学装置に作動的に連結することがで
きる。他の実施形態では、反応バイアル5260及び/又は第2のモジュール5100は
、その中で起こる反応及び/又は分離プロセスを容易にするために、光エネルギー、超音
波エネルギー、磁気エネルギー、油圧エネルギーなどのような他のエネルギー源に作動的
に連結することができる。
【0073】
幾つかの実施形態では、第1の物質R1は、第1の物質R1が反応チャンバ5262の
中に移送された後で、第1の物質R1が反応チャンバ5262の中の流体混合物(すなわ
ち、試料Sと第2の物質R1)の表面上に層を形成することができるように、鉱油、ワッ
クスなどを含むことができる。第1の物質R1の表面層は、反応プロセス中の(例えば、
熱サイクル中の)反応チャンバ5262の中の流体混合物の蒸発を減らすことができ、こ
れにより、その中の反応の効率、正確さ、及び/又は制御を改善する。より詳細には、反
応チャンバ5262の中の流体混合物の蒸発を減らすことによって、反応混合物中の異な
る成分の相対的濃度又は割合をより正確に制御することができる。加えて、反応チャンバ
5262の中の流体混合物の蒸発を減らすことはまた、反応バイアル5260の壁上の凝
縮を最小限にすることができ、これにより、反応の光学監視又は分析の正確さを改善する
。
【0074】
鉱油は、例えば密度及び/又は表面張力を含む例えば所望の物理特性のような適切な特
性を有するあらゆる鉱油とすることができる。鉱油又はこれに類似のものはまた、反応チ
ャンバ5262内の条件に曝されたときに化学的に不活性であり且つ物理的に安定である
ように選択することができる。
【0075】
図8〜
図24は、一実施形態に係るカートリッジ6001の種々の図である。例えば図
8及び
図9のような或る図では、カートリッジ6001の一部は、カートリッジ6001
内の構成要素及び/又は機能部がより明瞭に示されるように半透明として示される。カー
トリッジ6001は、互いに連結されて一体化されたカートリッジ6001を形成する、
試料調製(又は分離)モジュール6100及び増幅(又はPCR)モジュール6200を
含む。カートリッジ6001内に収容されたテスト試料に対して核酸分離、転写、及び/
又は増幅を行うためにカートリッジ6001を取り扱う、始動させる、及び/又はこれと
相互作用するように構成される本明細書で開示されたタイプの任意の適切な機器(例えば
後述の機器3002参照)内に1つ又は複数のカートリッジ6001を配置することがで
きる。カートリッジ6001は、分離、転写、及び/又はPCR増幅プロセス中の、及び
プロセスと他のプロセスの間の試料を取り扱う量を制限することによって、試料の効率的
且つ正確な診断テストを可能にする。さらに、分離モジュール6100及び増幅(又はP
CR)モジュール6200のモジュール配置は、それぞれが異なる試薬を収容する及び/
又は異なるタイプの核酸を増幅するように構成された任意の数の異なるPCRモジュール
6200が、それぞれが異なる試薬を収容する及び/又は異なるタイプの核酸を分離する
ように構成された任意の数の異なる分離モジュール6100と共に用いられることを可能
にし、逆もまた同様である。この配置はまた、分離モジュール6100と増幅モジュール
6200が別個に保存されることを可能にする。例えば、分離モジュール6100内に含
まれた試薬が増幅モジュール6200内に含まれた試薬とは異なる保存要件(例えば、使
用期限、凍結乾燥要件、保存温度限界など)を有する場合に、別個の保存が有用であり得
る。
【0076】
図11に示すように、分離モジュール6100は、第1の(又は分離)ハウジング61
10と、第1のハウジング6110に連結される及び/又は少なくとも部分的にこの内部
にある第2の(又は試薬)ハウジング6160を含む。第2のハウジング6160は、明
快にするために
図10及び
図22には図示されない。
図11〜
図14は、第2のハウジン
グ6160とその中に収容された或る構成要素を示し、
図15〜
図18は、種々の異なる
始動段階にある第2のハウジング6160を示す。第2のハウジング6160は、第1の
端部6161及び第2の端部6162を含み、分離プロセスで用いられる試薬及び/又は
他の物質を収容する一連の保持チャンバ6163a、6163b、6163c、及び61
63dを画定する。本明細書でより詳細に説明されるように、保持チャンバは、プロテア
ーゼ(例えば、プロテイナーゼK)、バルク材料を溶解する溶解溶液、溶解チャンバ61
14内に存在する核酸試料に磁荷を与える結合溶液、並びに分離モジュール6100及び
/又は第1のハウジング6110内の核酸の輸送を支援するために磁荷を有する核酸と結
合する磁性ビーズの溶液を収容することができる。
【0077】
保持チャンバ6163a、6163b、6163c、及び6163dのそれぞれは、そ
の中に移動可能に配置されるアクチュエータ6166(例えば
図14参照)を含む。より
詳細には、
図18に示すように、アクチュエータ6166aは保持チャンバ6163a内
に配置され、アクチュエータ6166bは保持チャンバ6163b内に配置され、アクチ
ュエータ6166cは保持チャンバ6163c内に配置され、アクチュエータ6166d
は保持チャンバ6163d内に配置される。
図15に示すように、穿刺可能部材6170
は、第2のハウジング6160の内側部分と穿刺可能部材6170とアクチュエータ61
66a、6166b、6166c、及び6166dが保持チャンバ6163a、6163
b、6163c、及び6163dを集合的に取り囲む及び/又は画定するように、第2の
ハウジング6160の第2の端部6162の付近に配置される。同様に述べると、第2の
ハウジング6160の内側部分と穿刺可能部材6170とアクチュエータ6166a、6
166b、6166c、及び6166dは、その中に試薬及び/又は物質を保存すること
ができる流体的に分離されたチャンバ6163a、6163b、6163c、及び616
3dを集合的に画定する。穿刺可能部材6170は、任意の形態のポリプロピレンのよう
な本明細書で説明されるタイプの任意の適切な材料から構築することができる。幾つかの
実施形態では、穿刺可能部材6170は、二軸配向ポリプロピレン(BOP)から構築す
ることができる。
【0078】
図14に示すように、アクチュエータ6166のそれぞれは、プランジャ部6167、
穿刺部6168、及び1つ又は複数のアクチュエータ開口部6169を含む。アクチュエ
ータ開口部6169は、本明細書で説明されるように、チャンバ(例えば、チャンバ61
63a)内のアクチュエータ6166の移動を容易にするためにアクチュエータ組立部の
一部を受け入れるように構成される。特に、アクチュエータ開口部6169は、
図37〜
図40に関して後述されるようにアクチュエータ組立部3400の突起3446aのよう
な突起を受け入れることができる。この配置は、プランジャ6166が第2のハウジング
6160の第1の端部6161から始動されることを可能にする。幾つかの実施形態では
、アクチュエータ6166は、アクチュエータ組立部によるアクチュエータ6166の往
復運動を容易にするためにアクチュエータ組立部(例えば、アクチュエータ組立部340
0)の突起を保持するように構成された保持機構(例えば、突起、スナップリングなど)
を含むことができる。
【0079】
アクチュエータ6166のプランジャ部6167は、プランジャ部6167と第2のハ
ウジング6160の一部が実質的に流体密封及び/又はハーメチックシールを形成するよ
うな状態で、その中にアクチュエータ6166が配置されるチャンバ(例えば、チャンバ
6163a)を画定する第2のハウジング6160の一部と係合するように構成される。
したがって、アクチュエータ6166がチャンバ(例えば、チャンバ6163a)内に配
置されるときに、チャンバ内に収容された物質の漏れ及び/又は輸送が最小限にされる及
び/又はなくされる。このようにして、プランジャ部6167の端面は、チャンバ(例え
ば、チャンバ6163a)の境界の一部を画定する。プランジャ部6167はまた、(例
えば、以下で示され説明されるアクチュエータ組立部3400によって)アクチュエータ
6166に対して力が及ぼされるときに、アクチュエータ6166が、後述するようにチ
ャンバ内に収容された物質を溶解チャンバ6114の中に運ぶようにチャンバ(例えば、
チャンバ6163a)内で動くことになるように構成される。このようにして、アクチュ
エータ6166は、チャンバ(例えば、チャンバ6163a)から分離モジュール610
0の別の部分の中に物質を運ぶための移送機構として機能することができる。
【0080】
アクチュエータ6166の穿刺部6168は、アクチュエータ6166がチャンバ(例
えば、チャンバ6163a)内で動かされるときに、チャンバをチャンバの外部の領域と
流体連通する状態におくように、穿刺可能部材6170の一部を穿刺する、破壊する、切
断する及び/又は破断するように構成される。このようにして、アクチュエータ6166
a、6166b、6166c、及び6166dのそれぞれが後述するように始動されたと
きのチャンバ6163a、6163b、6163c、及び6163dのそれぞれの中に収
容された物質の移送を可能にするために、チャンバ6163a、6163b、6163c
、及び6163dのそれぞれを分離モジュール6100(例えば、溶解チャンバ6114
)の別の部分と選択的に流体連通する状態におくことができる。
【0081】
第2のハウジング6160は、分離モジュール6100の一部(例えば、溶解チャンバ
6114)に収容された試料、試薬、及び/又は他の物質を撹拌する、混合する、及び/
又はこれに乱流運動をもたらすために(例えば、機器3002のアクチュエータ組立部3
400によって)始動させることができる混合ポンプ6181を含む。
図12に示すよう
に、ポンプ6181は、その中での混合を強化するために流れを導く、流れの圧力を増加
させる、及び/又は分離モジュール6100の一部の中の乱流を増加させることができる
ノズル6186を含む。混合ポンプ6181はベローズ形ポンプとして示されるが、他の
実施形態では、混合ポンプ6181は、溶解チャンバ6114内の溶液の中にエネルギー
を伝達するための任意の適切な機構とすることができる。こうした機構は、例えば、ピス
トンポンプ、回転要素などを含むことができる。幾つかの実施形態では、第2のハウジン
グ6160は、その中に収容された試料の細胞溶解及び/又はその中に含有された核酸の
分離を促進するために分離チャンバ6114内で物質を混合するための任意の適切な他の
機構を含むことができる。幾つかの実施形態では、第2のハウジング6160は、超音波
混合機構、熱混合機構などを含むことができる。
【0082】
図11に示すように、第1のハウジング6110の第1の端部6111によって画定さ
れる開口部6115内に第2のハウジング6160が配置される。したがって、第1のハ
ウジング6110内に第2のハウジング6160が配置されるときに、第2のハウジング
6160の一部が溶解チャンバ6114の境界の少なくとも一部を画定する。より詳細に
は、第1のハウジング6110内に第2のハウジング6160が配置されるときに、穿刺
可能部材6170は、溶解チャンバ6114の境界の一部を画定する。この配置は、穿刺
可能部材6170の一部が穿孔される、穿刺される、切断される、及び/又は破壊される
ときに第2のハウジング6160内に収容された物質が溶解チャンバ6114の中に運ば
れることを可能にする(例えば
図15参照)。第2のハウジング6160の少なくとも一
部は、第1のハウジング6110及び/又は溶解チャンバ6114内に配置されるものと
して示されるが、他の実施形態では、第2のハウジング6160は、第2のハウジングの
如何なる部分が第1のハウジング内に配置されることもなく第1のハウジング6110に
連結することができる。さらに他の実施形態では、第1のハウジングと第2のハウジング
が互いに連結されるときに第1のハウジングの一部を第2のハウジング内に配置すること
ができる。
【0083】
図12及び
図13に示すように、第2のハウジング6160は、第2のハウジング61
60が第1のハウジング6110に連結されるときにシール6172と第1のハウジング
6110の側壁の一部が第1のハウジング6110と第2のハウジング6160との間に
実質的に流体密封及び/又はハーメチックシールを集合的に形成するように、第2の端部
6162の周りに配置されたシール6172を含む。別の言い方をすれば、シール617
2は、溶解チャンバ6114をカートリッジ6001の外部の領域から流体的に分離する
。幾つかの実施形態では、シール6172はまた、第2のハウジング6160を第1のハ
ウジング6110から音響的に分離することができる。
【0084】
第2のハウジング6160の第1の端部6161は、第1のハウジング6110によっ
て画定される対応する開口部6119(例えば
図10参照)内に受け入れられるように構
成された突起6171を含む。したがって、第1のハウジング6110内に第2のハウジ
ング6160が配置されるときに、突起6171と開口部6119が集合的に、第2のハ
ウジング6160を第1のハウジング6110内に保持する。同様に述べると、突起61
71と開口部6119が集合的に、第1のハウジング6110に対する第2のハウジング
6160の移動を制限する。
【0085】
第1のハウジング6110及び第2のハウジング6160のモジュール配置は、核酸分
離を促進するためにそれぞれが異なる試薬及び/又は物質を収容する任意の数の第2のハ
ウジング6160(すなわち試薬ハウジング)が、分離モジュール6100を形成するた
めに第1のハウジング6110と共に用いられることを可能にする。この配置はまた、第
1のハウジング6110と第2のハウジング6160が別個に保存されることを可能にす
る。例えば、第2のハウジング6160内に含まれた試薬が第1のハウジング6110内
に収容された物質とは異なる保存要件(例えば、使用期限、凍結乾燥要件、保存温度限界
など)を有する場合に、別個の保存が有用であり得る。
【0086】
使用時に、分離プロセスを容易にするために第2のハウジング6160内に収容された
物質を第1のハウジング6110の中に運ぶことができる。
図15〜
図18は、種々の始
動段階にある分離モジュール6100の一部の断面図を示す。例えば、プロテイナーゼK
は、チャンバ6163dに保存することができ、
図15に示すように溶解チャンバ611
4に移送される。より詳細には、アクチュエータ6166dは、例えば、本明細書で説明
される機器3002の始動組立部3400によって適用される力のような任意の適切な外
力によって始動されたときに、矢印HHで示すようにチャンバ6163d内で動くことが
できる。アクチュエータ6166dが溶解チャンバ6114の方に動くときに、穿刺部6
168dが穿刺可能部材6170の一部に接触し及びこれを穿刺する。幾つかの実施形態
では、穿刺可能部材6170は、穿刺可能部材6170が穿刺可能部材6170の所望の
部分を容易に穿刺することを保証するために、穿孔、応力集中部、又は他の構造的不連続
部を含むことができる。このようにして、アクチュエータ6166dの移動は、チャンバ
6163dを溶解チャンバ6114と流体連通する状態におく。アクチュエータ6166
dの継続的な移動が、チャンバ6163dの内容物(例えば、プロテイナーゼK)を溶解
チャンバ6114の中に移送する。このようにして、アクチュエータ6166dは、弁と
移送機構との両方として機能する。
【0087】
別の実施形態では、チャンバ6163dの内容物は、プロテイナーゼK(例えば、10
mg/mL、15mg/mL、又は20mg/mL)、マンニトール、水、及びウシ血清
アルブミンを含むことができる。さらなる実施形態では、ビーズが、プロテイナーゼKで
被覆され又は誘導体化される。別の実施形態では、チャンバ6163dの内容物は、プロ
テイナーゼK、マンニトール、水、及びゼラチンを含むことができる。さらなる実施形態
では、ビーズが、プロテイナーゼKで被覆され又は誘導体化される。別の実施形態では、
チャンバ6163dの内容物は、例えば50μLペレットとして凍結乾燥される。
【0088】
別の実施形態では、チャンバ6163dはまた、正の対照試薬を提供する。正の対照試
薬は、一実施形態では、内部対照の核酸配列で誘導体化(derivatived)され
た複数のビーズである。さらなる実施形態では、ビーズは、マンニトールとBSAと水の
溶液中に提供される。さらなる実施形態では、ビーズと溶液は、凍結乾燥したペレット、
例えば50μLペレットとして提供される。
【0089】
チャンバ6163dに関して具体的に説明したが、プロテイナーゼK、プロテイナーゼ
Kを含む溶液、及び/又は正の対照試薬は、他の実施形態では物質R1又はR2として存
在する。
【0090】
同様の様態で、溶解溶液を、チャンバ6163cの中に保存し、
図16に示すように溶
解チャンバ6114の中に移送することができる。より詳細には、アクチュエータ616
6cは、例えば、本明細書で説明される機器3002の始動組立部3400によって適用
される力のような任意の適切な外力によって始動されたときに、矢印IIで示すようにチ
ャンバ6163c内で動くことができる。アクチュエータ6166cが溶解チャンバ61
14の方に動くときに、穿刺部6168cが穿刺可能部材6170の一部に接触し及びこ
れを穿刺する。このようにして、アクチュエータ6166cの移動は、チャンバ6163
cを溶解チャンバ6114と流体連通する状態におく。アクチュエータ6166cの継続
的な移動が、チャンバ6163cの内容物(例えば、溶解溶液)を溶解チャンバ6114
の中に移送する。このようにして、アクチュエータ6166cは、弁と移送機構との両方
として機能する。一実施形態では、チャンバ6163c又は別のチャンバの中に保存され
た溶解溶液は、グアニジンHCl(例えば、3M、4M、5M、6M、7M、又は8M)
、トリスHCl(例えば、5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、又は30
mM)、トリトン−X−100(例えば、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、
4%、4.5%、又は5%)、NP−40(例えば、1.5%、2%、2.5%、3%、
3.5%、4%、4.5%、又は5%)、Tween−20(例えば、5%、10%、1
5%、又は20%)、CaCl2(例えば、1mM、1.5mM、2mM、2.5mM、
3mM、3.5mM、4mM、4.5mM、又は5mM)、分子グレードの水のフィルタ
処理された溶液を含む。チャンバ6163cに関して具体的に説明したが、溶解溶液は、
他の実施形態では物質R1又はR2として存在する。
【0091】
同様の様態で、結合溶液を、チャンバ6163bの中に保存し、
図17に示すように溶
解チャンバ6114の中に移送することができる。より詳細には、アクチュエータ616
6bは、例えば、本明細書で説明される機器3002の始動組立部3400によって適用
される力のような任意の適切な外力によって始動されたときに、矢印JJで示すようにチ
ャンバ6163b内で動くことができる。アクチュエータ6166bが溶解チャンバ61
14の方に動くときに、穿刺部6168bが穿刺可能部材6170の一部に接触し及びこ
れを穿刺する。このようにして、アクチュエータ6166bの移動は、チャンバ6163
bを溶解チャンバ6114と流体連通する状態におく。アクチュエータ6166bの継続
的な移動が、チャンバ6163bの内容物(例えば、結合溶液)を溶解チャンバ6114
の中に移送する。このようにして、アクチュエータ6166bは、弁と移送機構との両方
として機能する。一実施形態では、結合溶液は、イソプロパノール、例えば、約50μL
、約100μL、約125μL、約150μL、約175μL、又は約200μLの体積
の100%イソプロパノール、90%イソプロパノール、80%イソプロパノール、70
%イソプロパノールを含む。結合溶液は、チャンバ6163bに関して具体的に説明した
が、他の実施形態では物質R1又はR2として存在する。
【0092】
同様の様態で、一組の磁性ビーズを、チャンバ6163aの中に保存し、
図18に示す
ように溶解チャンバ6114の中に移送することができる。より詳細には、アクチュエー
タ6166aは、例えば、本明細書で説明される機器3002の始動組立部3400によ
って適用される力のような任意の適切な外力によって始動されたときに、矢印KKで示す
ようにチャンバ6163a内で動くことができる。アクチュエータ6166aが溶解チャ
ンバ6114の方に動くときに、穿刺部6168aが穿刺可能部材6170の一部に接触
し及びこれを穿刺する。このようにして、アクチュエータ6166aの移動は、チャンバ
6163aを溶解チャンバ6114と流体連通する状態におく。アクチュエータ6166
aの継続的な移動が、チャンバ6163aの内容物(例えば、磁性ビーズ)を溶解チャン
バ6114の中に移送する。このようにして、アクチュエータ6166aは、弁と移送機
構との両方として機能する。ビーズは、一実施形態では常磁性である。一実施形態では、
ビーズは、磁性シリカビーズであり、1.0mg/mL、又は1.5mg/mL、2.0
mg/mL、2.5mg/mL、3.0mg/mL、又は3.5mg/mLの濃度で提供
される。さらなる実施形態では、磁性シリカビーズは、イソプロパノール、例えば、約5
0%イソプロパノール、約55%イソプロパノール、約60%イソプロパノール、約61
%イソプロパノール、約62%イソプロパノール、約63%イソプロパノール、約64%
イソプロパノール、約65%イソプロパノール、約66%イソプロパノール、約67%イ
ソプロパノール、約68%イソプロパノール、約69%イソプロパノール、約70%イソ
プロパノール、約75%イソプロパノール、約80%イソプロパノール、又は約85%イ
ソプロパノール中に保存される。一実施形態では、ビーズは、約50μL、約100μL
、約125μL、約150μL、約175μL、又は約200μLの体積として提供され
る。ビーズは、チャンバ6163aに関して具体的に説明したが、他の実施形態では物質
R1又はR2として存在する。
【0093】
図10に示すように、第1のハウジング6110は、第1の端部6111及び第2の端
部6112を含み、溶解チャンバ6114、2つの洗浄チャンバ6121及び6122、
3つの移送組立部管腔6123、6124、及び6125、並びに溶出チャンバ6190
を画定する。第1のハウジング6110はまた、分離チャンバ6114に隣接する開口部
6115を画定する。
図11に示すように及び前述のように、第2のハウジング6160
は、第2のハウジング6160の一部(例えば、穿刺可能部材6170)が分離チャンバ
6114の境界の少なくとも一部を画定するように開口部6115内に配置される。
【0094】
第1の端部6111はまた、それを通して溶解チャンバ6114を分離モジュール61
00の外部の領域と流体連通する状態におくことができる充填開口部6116を画定する
。
図8〜
図10に示すように、分離モジュール6100は、充填開口部6116の付近に
取り外し可能に連結されるキャップ6118を含む。使用時に、例えば、尿、血液、及び
/又は組織試料を含有する他の材料のような標的核酸を含有する試料を、充填開口部61
16を介して溶解チャンバ6114の中に運ぶことができる。試料は、例えば、充填開口
部6116を介して試料を第1のチャンバ6114の中にピペッティングすること又は注
入することを含む任意の適切な機構を介して溶解チャンバ6114の中に導入することが
できる。幾つかの実施形態では、充填開口部6116及び/又は充填キャップ6118内
に試料フィルタを配置することができる。フィルタは、例えば、疎水性のフィルタとする
ことができる。
【0095】
試料が溶解チャンバ6114の中に配置された後で、前述のように、細胞溶解を容易に
する試薬及び/又は物質を溶解チャンバ6114に加えることができる。さらに、溶解プ
ロセスを容易にするために前述のようにポンプ6181を介して試料を撹拌する及び/又
は混合することができる。幾つかの実施形態では、溶解チャンバ6144の内容物を(例
えば、機器3002を参照して以下で示され説明されるように、第3の加熱モジュール3
780によって)加熱することができる。
【0096】
分離モジュール6100は、
図15〜
図19に移送組立部6140a、移送組立部61
40b、及び移送組立部6140cとして示される一連の移送組立部(移送機構とも呼ば
れる)を含む。本明細書で説明されるように、移送組立部は、物質(例えば、磁荷を有す
る粒子とそれに付着した分離された核酸を含む試料の一部)を、溶解チャンバ6114、
洗浄チャンバ6121、洗浄チャンバ6122、及び溶出チャンバ6190の間で移送す
るように構成される。より詳細には、移送組立部6140は、分離チャンバ6114、洗
浄チャンバ6121、洗浄チャンバ6122、及び溶出チャンバ6190を第1のハウジ
ング6110によって画定される他のチャンバ(例えば、隣接する洗浄チャンバ)から実
質的に流体的に分離された状態に維持しながら、物質を、溶解チャンバ6114、洗浄チ
ャンバ6121、洗浄チャンバ6122、及び溶出チャンバ6190の間で移送するよう
に構成される。
【0097】
移送組立部6140aは、移送組立部6140aが溶解チャンバ6114と洗浄チャン
バ6121との間にあるように移送組立部の管腔6123内に配置される。したがって、
移送組立部6140aは、溶解チャンバ6114と洗浄チャンバ6121との間で物質を
移送するように構成される。
【0098】
移送組立部6140bは、移送組立部6140bが洗浄チャンバ6121と洗浄チャン
バ6122との間にあるように移送組立部の管腔6124内に配置される。したがって、
移送組立部6140bは、洗浄チャンバ6121と洗浄チャンバ6122との間で物質を
移送するように構成される。
【0099】
移送組立部6140cは、移送組立部6140cが洗浄チャンバ6122と溶出チャン
バ6190との間にあるように移送組立部の管腔6125内に配置される。したがって、
移送組立部6140cは、洗浄チャンバ6122と溶出チャンバ6190との間で物質を
移送するように構成される。
【0100】
移送組立部のそれぞれは、代表的な移送組立部6140を示す
図20及び
図21を参照
して説明される。移送組立部6140は、ハウジング6141と、ハウジング6141内
に回転可能に配置される可動部材6146を含む。ハウジング6141は、第1の開口部
6142及び第2の開口部6143を画定する。移送組立部6140が移送組立部の管腔
(例えば、移送組立部の管腔6123)内に配置されるときに、ハウジング6141は、
第1の開口部6142が第1のチャンバ(例えば、溶解チャンバ6114)と位置合わせ
され及び/又は流体連通し、且つ第2の開口部6143が第2のチャンバ(例えば、洗浄
チャンバ6121)と位置合わせされ及び/又は流体連通するように位置合わせされる。
ハウジング6141は、例えば、機械式締結具又は保持具、化学連結又は接着剤、締まり
嵌め、溶接接合などのような任意の適切な機構によって移送組立部の管腔(例えば、移送
組立部の管腔6123)内に固定することができる。さらに、ハウジング6141は、第
1のチャンバ(例えば、溶解チャンバ6114)と第2のチャンバ(例えば、洗浄チャン
バ6121)が互いから流体分離する状態に維持されるように、1つ又は複数のシール(
図20及び
図21には図示せず)を含むことができる。同様に述べると、ハウジング61
41と第1のハウジング6110は、第1のチャンバ(例えば、溶解チャンバ6114)
と第2のチャンバ(例えば、洗浄チャンバ6121)との間の物質の漏れをなくす及び/
又は減らすように、実質的に流体密封及び/又はハーメチックシールを集合的に形成する
ことができる。
【0101】
可動部材6146は、凹部又はキャビティ6148を画定する外面6147を含む。可
動部材6146は、可動部材6146が
図20及び
図21の矢印MMで示すように回転す
ることができるようにハウジング6141内に配置される。可動部材6146の外面61
47は、明快にする目的で
図20のハウジング6141の内面6145から離間されて示
されている。外面6147は、外面6147と内面6145が実質的に流体密封及び/又
はハーメチックシールをもたらすように、ハウジング6141の内面6145と摺動する
状態で接触する。このようにして、ハウジング6141と可動部材6146との間の境界
面を介した第1のチャンバ(例えば、溶解チャンバ6114)と第2のチャンバ(例えば
、洗浄チャンバ6121)との間の物質の漏れがなくされる及び/又は減らされる。
【0102】
可動部材6146は、アクチュエータ510の一部を受け入れるように構成された管腔
6149をさらに画定する。アクチュエータ510は、
図41〜
図46を参照して以下で
示され説明される機器3002の移送アクチュエータ組立部3500のシャフト3510
のような任意の適切なアクチュエータとすることができる。
図20に示すように、アクチ
ュエータ510の形状は、アクチュエータ510の回転が結果的に可動部材6146の回
転をもたらすように、可動部材6146によって画定される管腔6149の形状と対応す
ることができる。同様に述べると、アクチュエータ510は、アクチュエータ510と可
動部材6146との間の相対回転運動が制限されるように管腔6149内に嵌合して配置
することができる。幾つかの実施形態では、アクチュエータ510及び管腔6149は、
実質的に類似した六角形及び/又は八角形の形状を有することができる。
【0103】
使用時に、可動部材6146は、矢印MMで示すように可動部材6146を回転させる
ことによって第1の位置(図示せず)と第2の位置(
図20)との間で動かすことができ
る。可動部材6146が第1の位置にあるときに、凹部又はキャビティ6148が第1の
チャンバ(例えば、溶解チャンバ6114)と位置合わせされる及び/又は流体連通する
。可動部材6146が第2の位置にあるときに、凹部又はキャビティ6148が第2のチ
ャンバ(例えば、洗浄チャンバ6121)と位置合わせされる及び/又は流体連通する。
したがって、可動部材6146が第1の位置にあるときに、キャビティ6148内に物質
の一部を取り込み又は配置し、可動部材6146を第2の位置に回転させ、キャビティ6
148から物質を除去することによって、第1のチャンバ(例えば、溶解チャンバ611
4)の中に収容された1つ又は複数の物質を第2のチャンバ(例えば、洗浄チャンバ61
21)に移送することができる。
【0104】
幾つかの実施形態では、物質を、磁気力によってキャビティ6148内に取り込む、配
置する、及び/又は維持することができる。例えば、幾つかの実施形態では、アクチュエ
ータ510は磁性部を含むことができる。使用時に、アクチュエータ510は、所望の移
送組立部6140と位置合わせされ、
図19の矢印LLで示すように管腔6149の中に
動かされる。アクチュエータ510の形状は、前述のように管腔6149の形状に対応す
ることができるので、位置合わせ動作は、幾つかの実施形態ではアクチュエータ510が
管腔6149内にはめ込まれることを保証するために行われてもよい。アクチュエータ5
10の磁性部が管腔6149内にあり、且つ可動部材6146が第1の位置にあるときに
、試料の磁性部(例えば、磁性ビーズとこれに付着した核酸)が第1のチャンバ(例えば
、溶解チャンバ6114)からキャビティ6148の中に動かされる。アクチュエータ5
10は、次いで、
図20及び
図21の矢印MMで示すように回転される。可動部材614
6が第2の位置にあるときに、アクチュエータ510を管腔6149から除去することが
でき、これによりキャビティ6148内の試料の磁性部を保持する磁気力が除去される。
したがって、試料の一部を、次いで、キャビティ6148から第2のチャンバ(例えば、
洗浄チャンバ6121)の中に動かすことができる。試料の一部は、例えば、重力、流体
の動きなどのような任意の適切な機構によってキャビティ6148から第2のチャンバ(
例えば、洗浄チャンバ6121)の中に動かすことができる。例えば、後述するように、
幾つかの実施形態では、混合機構6130aは、キャビティ6148の中に及び/又は隣
に圧力ジェットを向けて試料の一部をキャビティ6148から第2のチャンバ(例えば、
洗浄チャンバ6121)の中に動かすために、ノズル(例えば、ノズル6131a)を含
むことができる。
【0105】
本明細書で説明されるような移送機構6140の使用は、廃棄物を運ぶための第1のハ
ウジング6110及び/又は流路内の別個の廃棄物チャンバの必要性をなくすことができ
る。むしろ、前述のように、試料の標的部は、試料の他の部分が前のチャンバ(例えば、
洗浄チャンバ6122)の中に維持されている状態で、種々のチャンバの間で(例えば、
洗浄チャンバ6121から洗浄チャンバ6122に)動かされる。さらに、移送機構61
40は、2つのチャンバ(例えば、洗浄チャンバ6121と洗浄チャンバ6122)の間
で流体的分離を維持するので、廃棄物溶液が試料の標的部とともにチャンバ(例えば、洗
浄チャンバ6122)に入ることが防がれる。したがって、この配置はまた、第1のハウ
ジング6110内の、ここで説明されたチャンバの間の、及び/又は分離モジュール61
00によって画定される流路内のフィルタ機構の必要性をなくす。
【0106】
本明細書で説明されるような移送機構6140の使用はまた、分離モジュール内の圧力
を周囲圧力に又は近周囲圧力に維持しながら分離モジュール6100内に試料の標的部が
運ばれることを可能にする。同様に述べると、本明細書で説明されるような移送機構61
40は、分離モジュール6100内に相当な圧力差をもたらすことなく試料の標的部を移
送する。したがって、この配置は、分離モジュールからの試料の漏れを減らすことができ
る。
【0107】
分離モジュール6100は、2つの混合機構6130a及び6130b(洗浄ポンプと
も呼ばれる)を含む。本明細書で説明されるように、混合機構6130a及び6130b
は、その中に収容された試料の一部の洗浄及び又は混合を促進するためにそれぞれ洗浄チ
ャンバ6121及び洗浄チャンバ6122内に流体の流れを生じるように構成される。同
様に述べると、混合機構6130a及び6130bは、それぞれ洗浄チャンバ6121及
び洗浄チャンバ6122の中にエネルギーを伝達するように構成される。
【0108】
混合機構6130aは、アクチュエータ6132a及びノズル6131aを含む。混合
機構6130aは、ノズル6131aの少なくとも一部が洗浄チャンバ6121内に配置
されるように第1のハウジング6110に連結される。特に、混合機構6130aは、第
1のハウジング6110の対応する連結部6134aに連結されるように構成される、連
結部6133aを含む。連結部6133a及び6134aはねじ連結を画定するものとし
て示されるが、他の実施形態では、混合機構6130aは、例えば、機械式締結具又は保
持具、化学結合又は接着剤、締まり嵌め、溶接接合などのような任意の適切な方法によっ
て第1のハウジング6110に連結することができる。
【0109】
同様に、混合機構6130bは、アクチュエータ6132b及びノズル6131bを含
む。混合機構6130bは、ノズル6131bの少なくとも一部が洗浄チャンバ6122
内に配置されるように第1のハウジング6110に連結される。特に、混合機構6130
bは、第1のハウジング6110の対応する連結部6134bに連結されるように構成さ
れる、連結部6133bを含む。連結部6133b及び6134bはねじ連結を画定する
ものとして示されるが、他の実施形態では、混合機構6130bは、例えば、機械式締結
具又は保持具、化学結合又は接着剤、締まり嵌め、溶接接合などのような任意の適切な方
法によって第1のハウジング6110に連結することができる。
【0110】
アクチュエータ6132a及び6132bのそれぞれは、例えば、本明細書で説明され
る機器3002の始動組立部3600のような機器の始動組立部によって接触され及び/
又は始動されるように構成される上面6136a及び6136bをそれぞれ含む。使用時
に、始動組立部は、各混合機構6130a及び6130b内に圧力をもたらすために各ア
クチュエータ6132a及び6132bの上面6136a及び6136bを押し下げる及
び/又は動かすことができる。圧力は、その中に配置された試料の間の及びこれとの洗浄
、混合、及び/又は他の相互作用を促進するために洗浄チャンバ6121及び6122の
中に移送される。前述のように、幾つかの実施形態では、ノズルのうちの少なくとも1つ
(例えば、ノズル6131a)は、アクチュエータ(例えば、アクチュエータ6132a
)によって生じた圧力エネルギー及び/又は流れを洗浄チャンバ(例えば、洗浄チャンバ
6121)内の特定の領域の方に向けるために、角度をつけられた、曲げられた、及び/
又は他の方法で形状設定された先端部を含むことができる。例えば、幾つかの実施形態で
は、ノズル6131aは、アクチュエータ6132aによって生じた圧力エネルギー及び
/又は流れを移送機構6140のキャビティ6148の方に向けるように形状設定するこ
とができる。
【0111】
アクチュエータ6132a及び6132bのそれぞれはベローズ形ポンプとして示され
るが、他の実施形態では、混合機構6130a及び/又は混合機構6130bは、洗浄チ
ャンバ6121及び6122の中にエネルギーをもたらす及び/又は移送するための任意
の適切な機構を含むことができる。こうした機構は、例えば、ピストンポンプ、回転要素
などを含むことができる。幾つかの実施形態では、混合機構は、超音波エネルギー源、熱
エネルギー源などを含むことができる。
【0112】
混合機構6130a及び6130bは、それぞれ洗浄チャンバ6121及び6122の
中にエネルギーをもたらす及び/又は移送するように示され説明されるが、他の実施形態
では、混合機構はまた、洗浄チャンバから流体的に分離した状態でその中に物質(例えば
、洗浄バッファ溶液)を保存することができる体積を画定することができる。したがって
、混合機構が始動されたときに、物質を洗浄チャンバの中に移送することができる。この
ようにして、幾つかの実施形態では、混合機構はまた移送機構として機能することができ
る。
【0113】
増幅(又はPCR)モジュールは、ハウジング6210(第1の端部6211及び第2
の端部6212を有する)、PCRバイアル6260、及び移送管6250を含む。PC
Rバイアル6260は、ハウジング6210の第1の端部6211に連結され、試料に関
連した反応を容易にするために、中に試料を配置することができる体積6262を画定す
る。PCRバイアル6260は、試料に関連した反応が起こることを可能にする状態で試
料を収容するための任意の適切な容器とすることができる。PCRバイアル6260はま
た、こうした反応の監視(例えば、反応から結果的に生じる又は反応と関連付けられる試
料内の分析物の検出)を可能にする状態で試料を収容するための任意の適切な容器とする
ことができる。幾つかの実施形態では、PCRバイアル6260の少なくとも一部は、光
学系(例えば、本明細書で説明される機器3002の光学組立部3800)によるその中
で起こる反応の光学監視を可能にするために実質的に透明とすることができる。
【0114】
図8、
図9、
図10及び
図22に示すように、増幅モジュール6200は、移送管62
50の少なくとも一部が分離モジュール6100の溶出チャンバ6190内に配置される
ように分離モジュール6100の第1のハウジング6110の第2の端部6112に連結
される。このようにして、本明細書で説明されるように、溶出チャンバ6190内に配置
された分離された核酸、あらゆる物質、及び/又はいかなるPCR試薬も、移送管625
0を介して溶出チャンバ6190からPCRバイアル6260に運ぶことができる。
【0115】
ハウジング6210は、一連の試薬チャンバ6213a、6213b、6213c(例
えば
図22参照)及びポンプキャビティ6241を画定する。試薬チャンバ6213a、
6213b、6213cは、PCRバイアル6260の中で起こる反応及び/又はプロセ
スに関連した任意の適切な物質を収容することができる。試薬チャンバ6213a、62
13b、6213cは、PCRプロセスを容易にするために、例えば、溶離流体、マスタ
ーミックス、プローブ、及び/又はプライマを含むことができる。
図24に示すように、
ハウジング6210は、試薬チャンバ6213a、6213b、6213cのそれぞれを
分離モジュール6100の溶出チャンバ6190と流体連通する状態におくように構成さ
れた一連の通路6221a、6221b、6221cを画定する。
図22には図示されな
いが、幾つかの実施形態では、それぞれの試薬チャンバを溶出チャンバ6190から流体
的に分離するために、試薬チャンバ6213a、6213b、6213cのうちのいずれ
か1つの中に及び/又は通路6221a、6221b、6221cのうちのいずれか1つ
の中に穿刺可能部材を配置することができる。穿刺可能部材6170を参照して上記で説
明された方法と類似した方法で、こうした実施形態では、試薬チャンバを溶出チャンバと
選択的に流体連通する状態におくために、穿刺可能部材を試薬プランジャで穿孔すること
ができる。
【0116】
試薬プランジャ6214aが試薬チャンバ6213a内に移動可能に配置され、試薬プ
ランジャ6214bが試薬チャンバ6213b内に移動可能に配置され、試薬プランジャ
6214cが試薬チャンバ6213c内に移動可能に配置される。このようにして、試薬
プランジャ(例えば、試薬プランジャ6214a)が
図22の矢印NNで示すように動か
されるときに、試薬プランジャは、試薬チャンバ(例えば、試薬チャンバ6213a)の
内容物を、関連する通路(例えば、通路6221a)を介して溶出チャンバ6190の中
に移送する。このようにして、試薬プランジャは移送機構として機能する。
【0117】
試薬プランジャ6214a、6214b、6214cは、例えば、本明細書で説明され
る機器3002の始動組立部3600のような機器の始動組立部によって接触し及び/又
は始動させることができる。幾つかの実施形態では、試薬プランジャ6214a、621
4b、6214cは、アクチュエータ組立部による試薬プランジャ6214a、6214
b、6214cの往復運動を容易にするためにアクチュエータ組立部(例えば、アクチュ
エータ組立部3400)の一部を保持するように構成された保持機構(例えば、突起、ス
ナップリングなど)を含むことができる。
【0118】
PCRモジュールは、分離モジュール6100の溶出チャンバ6190及びPCRモジ
ュール6200のPCRバイアル6260から及び/又はこれらの間で物質を移送するよ
うに構成された移送機構6235を含む。移送機構6235は、ポンプキャビティ624
1内に配置された移送ピストン6240を含む。移送ピストン6240が
図22の矢印O
Oで示すようにポンプキャビティ6241内で動かされるときに、PCR体積6262内
に真空及び/又は正圧が生じる。PCR体積6262と溶出チャンバ6190との間のこ
の圧力差の結果として、溶出チャンバ6190の内容物の少なくとも一部が移送管625
0及び通路6222を介してPCR体積6262の中に(又はから)移送される(例えば
図24参照)。このようにして、移送機構6235を始動させることによって溶出チャン
バ6190とPCR体積6262との間で物質及び/又は試料を加える、混合する、及び
/又は運ぶことができる。移送機構6235は、例えば、本明細書で説明される機器30
02の始動組立部3600のような任意の適切な機構によって始動させることができる。
【0119】
移送ピストン6240及びポンプキャビティ6241は、PCRモジュール6200内
の任意の適切な場所に存在することができる。例えば、移送ピストン6240は、実質的
にPCRバイアル6260の上に配置されるものとして示されるが、他の実施形態では、
移送ピストン6240は、実質的に溶出チャンバ6190の上に配置することができる。
【0120】
幾つかの実施形態では、ハウジング6210は、溶出チャンバ6190及び/又はPC
Rバイアル6260を大気に流体的に連結するために1つ又は複数のベント通路を画定す
る。幾つかの実施形態では、こうしたベントのいずれも、溶出チャンバ6190及び/又
はPCRバイアル6260からの試料及び/又は試薬の損失を最小にする及び/又は防ぐ
ためにフリットを含むことができる。
【0121】
使用時に、核酸が分離モジュール6100内で分離され処理された後で、前述のように
、これは移送組立部6140cを介して溶出チャンバ6190の中に移送される。次いで
、磁性ビーズが溶離バッファによって核酸から除去され(又は「洗浄され」)、且つ溶出
チャンバ6190から除去される。したがって、溶出チャンバ6190は分離された及び
/又は精製された核酸を収容する。幾つかの実施形態では、溶離バッファは溶出チャンバ
6190内に収容される。他の実施形態では、溶離バッファは、PCRモジュール620
0の試薬チャンバ(例えば、試薬チャンバ6213c)のうちの1つに収容され、前述の
ように溶出チャンバ6190の中に移送される。一実施形態では、溶離バッファは、分子
グレードの水、トリスHCl(例えば、約10mM、約15mM、約20mM、約25m
M、約30mM、約35mM、又は約40mM)、塩化マグネシウム(例えば、約1mM
、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM
、約10mM、又は約20mM)、グリセロール(例えば、約2%、約3%、約4%、約
5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約12%、約14%、約16%、約
18%、約20%、又は約25%)のフィルタ処理された溶液を含む。一実施形態では、
溶離バッファのpHは、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8.0
、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8
、約8.9、又は約9.0である)。別の実施形態では、溶離バッファは殺菌剤を含み、
例えば、上記で提供された溶離バッファは殺菌剤をさらに含む。一実施形態では、溶離バ
ッファはまた洗浄バッファとして働く。上述の溶離バッファは溶出チャンバ6190に関
して具体的に説明したが、他の実施形態では物質R1又はR2として存在する。
【0122】
幾つかの実施形態では、PCR試薬は、次いで、PCRモジュール6200から溶出チ
ャンバ6190の中に運ばれる。より詳細には、通路6221a、6221b、6221
cを介して試薬を溶出チャンバ6190の中に導入するために(例えば、機器3002に
よって)試薬プランジャ6214a、6214b及び/又は6214cが始動される。P
CR試料は、次いで、移送管6250及び通路6222を介して溶出チャンバ6190か
らPCRバイアル6260の中に運ばれる。特に、前述のようにPCRモジュール620
0内に圧力差をもたらしてPCR試料を溶出チャンバ6190からPCRバイアル626
0の中に運ぶために移送ピストン6240を始動させることができる。このようにして、
PCR試料(分離された核酸及びPCR試薬)が溶出チャンバ6190の中で調製される
。(分離された核酸をPCRバイアル6260の中に運び、その中で混合を行うのではな
く)溶出チャンバ642内で試薬と核酸試料との混合を行うことによって、核酸のさらな
る移送が回避される。この配置は、幾つかの状況において分析を性質上半定量的とするこ
とができるように、結果としてPCR後の分析の改善された正確さをもたらすことができ
る。
【0123】
他の実施形態では、しかしながら、PCR試料(分離された核酸及びPCR試薬)は、
PCRバイアル6260の中で調製することができる。こうした実施形態では、例えば、
PCR試薬は、例えば、凍結乾燥した形態でPCRバイアル6260に保存することがで
きる。分離された核酸をPCRバイアル6260の中に運び、凍結乾燥したPCR試薬と
混合して、PCRバイアル6260内で試薬を再構成することができる。
【0124】
PCR試料をPCRバイアル6260の中に入れた後で、PCR試料は、所望の増幅を
行うために(例えば、機器3002の加熱組立部3700を介して)熱サイクルを受ける
ことができる。熱サイクルの完了時及び/又は熱サイクル中に、試料を分析するために(
例えば、機器3002の光学組立部3800を介して)PCR試料を光学的に分析するこ
とができる。機器3002の説明が以下で提供される。
【0125】
図25〜
図33は、一実施形態に係るカートリッジ7001の種々の図である。カート
リッジ7001の或る機能部は、カートリッジ6001の対応する機能部と類似しており
、したがって以下では説明されない。適用可能な場合、カートリッジ6001に関して上
記で提示された説明は、カートリッジ7001の説明に組み込まれる。例えば、第2のハ
ウジング7160内のアクチュエータ(例えば、アクチュエータ7163a)は、第2の
ハウジング6160内のアクチュエータ(例えば、アクチュエータ6163a)のサイズ
及び/又は形状とは異なるサイズ及び/又は形状を有するが、第2のハウジング6160
内のアクチュエータの構造及び機能の多くの態様は、ハウジング7160内のアクチュエ
ータに対するものと類似している。したがって、アクチュエータ(例えば、アクチュエー
タ6160a)に関して上記で提示された説明は、後述のアクチュエータ(例えば、アク
チュエータ7160a)に適用可能である。
【0126】
カートリッジ7001は、互いに連結されて一体化されたカートリッジ7001を形成
する試料調製(又は分離)モジュール7100及び増幅(又はPCR)モジュール720
0を含む。分離モジュール7100の一部及びPCRモジュール7200の付近にカバー
7005が配置される。カートリッジ7001内に収容されたテスト試料に対して核酸分
離、転写、及び/又は増幅を行うためにカートリッジ7001を取り扱う、始動させる、
及び/又はこれと相互作用するように構成される1つ又は複数のカートリッジ7001を
、本明細書で開示されたタイプの任意の適切な機器(例えば後述の機器3002参照)内
に配置することができる。
【0127】
図26〜
図28に示すように、分離モジュール7100は、第1の(又は分離)ハウジ
ング7110と、第1のハウジング7110に連結される及び/又はこの中に少なくとも
部分的にある第2の(又は試薬)ハウジング7160を含む。第2のハウジング7160
は、分離プロセスで用いられる試薬及び/又は他の物質を収容する一連の保持チャンバ7
163a、7163b、7163c、及び7163dを画定する。本明細書で説明される
ように、保持チャンバは、プロテアーゼ(例えば、プロテイナーゼK)、バルク材料を可
溶性にする溶解溶液、溶解チャンバ7114内に存在する核酸に磁荷を与える連結溶液、
並びに分離モジュール7100及び/又は第1のハウジング7110内の核酸の輸送を支
援するために磁荷を有する核酸と連結する磁性ビーズの溶液を収容することができる。一
実施形態では、上記で提供された上述の溶液は、
図26〜
図28で提供されるカートリッ
ジで用いられる。
【0128】
保持チャンバ7163a、7163b、7163c、及び7163dのそれぞれは、そ
の中に移動可能に配置されるアクチュエータを含む。より詳細には、
図27及び
図28に
示すように、アクチュエータ7166aは保持チャンバ7163a内に配置され、アクチ
ュエータ7166bは保持チャンバ7163b内に配置され、アクチュエータ7166c
は保持チャンバ7163c内に配置され、アクチュエータ7166dは保持チャンバ71
63d内に配置される。アクチュエータ7166a、7166b、7166c、及び71
66dのそれぞれは、上記で示され説明されたアクチュエータ6166と類似している(
例えば
図14参照)。特に、アクチュエータ7166a、7166b、7166c、及び
7166dのそれぞれは、
図28の矢印PPで示される方向に動かされるときに物質をチ
ャンバ(例えば、チャンバ7163a)から分離モジュール7100の別の部分の中に運
ぶために移送機構として機能することができる。
【0129】
図27に示すように、穿刺可能部材7170が、第2のハウジング7160の内側部分
と穿刺可能部材7170とアクチュエータ7166a、7166b、7166c、及び7
166dが保持チャンバ7163a、7163b、7163c、及び7163dを集合的
に取り囲む及び/又は画定するように、第2のハウジング7160の一部の付近に配置さ
れる。同様に述べると、第2のハウジング7160の内側部分と穿刺可能部材7170と
アクチュエータ7166a、7166b、7166c、及び7166dが集合的に、その
中に試薬及び/又は物質を保存することができる流体的に分離されるチャンバ7163a
、7163b、7163c、及び7163dを画定する。穿刺可能部材7170は、任意
の形態のポリプロピレンのような本明細書で説明されるタイプの任意の適切な材料から構
築することができる。幾つかの実施形態では、穿刺可能部材7170は、二軸配向ポリプ
ロピレン(BOP)から構築することができる。
【0130】
第2のハウジング7160は、分離モジュール7100の一部(例えば、溶解チャンバ
7114)に収容された試料、試薬、及び/又は他の物質を撹拌する、混合する、及び/
又はこれに乱流運動をもたらすために(例えば、機器3002のアクチュエータ組立部3
400によって)始動させることができる混合ポンプ7181を含む。
【0131】
図26〜
図28に示すように、第2のハウジング7160は、第1のハウジング711
0によって画定された開口部内に配置される。したがって、第1のハウジング7110内
に第2のハウジング7160が配置されるときに、第2のハウジング7160の一部が溶
解チャンバ7114の境界の少なくとも一部を画定する。より詳細には、第1のハウジン
グ7110内に第2のハウジング7160が配置されるときに、穿刺可能部材7170が
溶解チャンバ7114の境界の一部を画定する。この配置は、穿刺可能部材7170の一
部が穿孔される、穿刺される、切断される、及び/又は破壊されるときに第2のハウジン
グ7160内に収容された物質が溶解チャンバ7114の中に運ばれることを可能にする
。分離モジュール6100を参照して上で説明されたのと同様の様態で、アクチュエータ
7166a、7166b、7166c、及び7166dが始動されるときに第2のハウジ
ング7160内に収容された物質を第1のハウジング7110の中に運ぶことができる。
【0132】
図27及び
図28に示すように、第1のハウジング7110は、第1の(又は上側)部
分7112及び第2の(又は下側)部分7111を含む。幾つかの実施形態では、上側部
分7112は、下側部分7111とは別々に構築することができ、次いで、第1のハウジ
ング7110を形成するために下側部分7111に連結することができる。第1のハウジ
ングは、溶解チャンバ7114、2つの洗浄チャンバ7121及び7122、3つの移送
組立部管腔(
図27及び
図28には図示せず)、及び溶出チャンバ7190を画定する。
第1のハウジング7110はまた、分離チャンバ7114に隣接する開口部を画定し、そ
の中に第2のハウジング7160の一部が配置される。
【0133】
図26〜
図28に示すように、分離モジュール7100は、ハウジング7110に取り
外し可能に連結されるキャップ7118を含む。使用時に、例えば尿、血液、及び/又は
組織試料を含有する他の材料のような標的核酸を含有する試料を、キャップ7118の除
去後に充填開口部7116を介して溶解チャンバ7114の中に運ぶことができる。試料
は、例えば、充填開口部7116を介して試料を第1のチャンバ7114の中にピペッテ
ィングすること又は注入することを含む任意の適切な機構を介して溶解チャンバ7114
の中に導入することができる。
【0134】
試料が溶解チャンバ7114の中に配置された後で、前述のように細胞溶解を容易にす
るために試薬及び/又は物質を溶解チャンバ7114に加えることができる。さらに、前
述のように溶解プロセスを容易にするためにポンプ7181を介して試料を撹拌する及び
/又は混合することができる。幾つかの実施形態では、(例えば、機器3002を参照し
て以下で示され説明されるように第3の加熱モジュール3780によって)溶解チャンバ
7144の内容物を加熱することができる。さらに、第1のハウジング7110の第2の
部分7111は音響連結部7182を含む。したがって、幾つかの実施形態では、音響変
換器(図示せず)の少なくとも一部を音響連結部7182と接触する状態で配置すること
ができる。このようにして、変換器によって生じた音響及び/又は超音波エネルギーを、
音響連結部7182及び第1のハウジング7110の側壁を通して溶解チャンバ7114
内の溶液の中に運ぶことができる。
【0135】
分離モジュール7100は、
図26〜
図28に移送組立部7140a、移送組立部71
40b、及び移送組立部7140cとして示された一連の移送組立部(移送機構とも呼ば
れる)を含む。本明細書で説明されるように、移送組立部は、物質(例えば、磁荷を有す
る粒子とそれに付着した分離された核酸を含む試料の一部)を、溶解チャンバ7114、
洗浄チャンバ7121、洗浄チャンバ7122、及び溶出チャンバ7190の間で移送す
るように構成される。より詳細には、移送組立部7140は、分離チャンバ7114、洗
浄チャンバ7121、洗浄チャンバ7122、及び溶出チャンバ7190を第1のハウジ
ング7110によって画定される他のチャンバ(例えば、隣接する洗浄チャンバ)から実
質的に流体的に分離された状態に維持しながら、物質を、溶解チャンバ7114、洗浄チ
ャンバ7121、洗浄チャンバ7122、及び溶出チャンバ7190の間で移送するよう
に構成される。移送組立部7140a、7140b、及び7140cは、分離モジュール
6100に関して上記で示され説明された移送組立部6140と構造及び機能が類似して
おり、したがって以下では詳細に説明されない。
【0136】
分離モジュール7100は、第1のハウジング7110の上側部分7112にそれぞれ
連結される2つの洗浄バッファモジュール7130a及び7130bを含む。本明細書で
説明されるように、各洗浄バッファモジュール7130a及び7130bは、物質(例え
ば、試料に添加されるべき試薬、洗浄バッファ溶液、鉱油、及び/又はあらゆる他の物質
)を収容し、始動されたときにそれぞれ洗浄チャンバ7121及び洗浄チャンバ7122
の中に物質を移送するように構成される。さらに、各洗浄バッファモジュール7130a
及び7130bは、その中に収容された試料の一部の洗浄及び又は混合を促進するために
それぞれ洗浄チャンバ7121及び洗浄チャンバ7122内に流体の流れを生じるように
構成される。同様に述べると、各洗浄バッファモジュール7130a及び7130bは、
それぞれ洗浄チャンバ7121及び洗浄チャンバ7122の中にエネルギーを伝達するよ
うに構成される。一実施形態では、洗浄バッファモジュール7130a及び/又は713
0bは、分子グレードの水、トリスHCl(例えば、約10mM、約15mM、約20m
M、約25mM、約30mM、約35mM、又は約40mM)、塩化マグネシウム(例え
ば、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8m
M、約9mM、約10mM、又は約20mM)、グリセロール(例えば、約2%、約3%
、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約12%、約14%、
約16%、約18%、約20%、又は約25%)のフィルタ処理された溶液を含む洗浄バ
ッファを含む。一実施形態では、洗浄バッファのpHは、約7.5、約7.6、約7.7
、約7.8、約7.9、約8.0、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、約8.5
、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9、又は約9.0である)。別の実施形態では
、洗浄バッファは殺菌剤を含み、例えば、上記で提供された洗浄バッファは殺菌剤をさら
に含む。
【0137】
すぐ上で説明された洗浄バッファはチャンバ7130a及び/又は7130bに関して
具体的に説明したが、他の実施形態では物質R1及び/又はR2として存在する。
【0138】
別の実施形態では、洗浄バッファモジュール7130a及び/又は7130bは、分子
グレードの水、グアニジンHCl(例えば、約0.7mM、約0.8mM、約0.81m
M、約0.82mM、約0.83mM、約0.84mM、約0.85mM、約0.9mM
、約1.0mM)、トリスHCl(例えば、約10mM、約15mM、約20mM、約2
5mM、約30mM、約35mM、又は約40mMであり、約7.5、約8、又は約8.
5のpHを有することができる)、トリトン−X−100(例えば、約0.25%、約0
.5%、約0.75%、約1%)、Tween−20(例えば、約0.25%、約0.5
%、約0.75%、約1%)、EDTA(例えば、約0.1mM、約0.2mM、約0.
3mM、約0.5mM、約0.75mM、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約
5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、又は約20mM)、イ
ソプロパノール(例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60
%)のフィルタ処理された溶液を含む洗浄バッファを含む。一実施形態では、溶離バッフ
ァのpHは、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8.0、約8.1
、約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9
、又は約9.0である)。すぐ上で説明された洗浄バッファはチャンバ7130a及び/
又は7130bに関して具体的に説明したが、他の実施形態では物質R1及び/又はR2
として存在する。
【0139】
洗浄バッファモジュール7130aは、ハウジング7137a内に移動可能に配置され
るアクチュエータ7150aを含む。ハウジング7137aは、洗浄バッファモジュール
7130aが洗浄チャンバ7121と実質的に位置合わせされるように第1のハウジング
7110の上側部分7112に連結される。特に、ハウジング7137aは、第1のハウ
ジング7110の上側部分7112の連結部7134aによって画定される対応する開口
部内に配置されるように構成される一対の突起7133aを含む。洗浄バッファモジュー
ル7130aは「スナップ嵌め」によって第1のハウジング7110に連結されるものと
して示されるが、他の実施形態では、洗浄バッファモジュール7130aは、例えば、ね
じ連結、機械式締結具又は保持具、化学結合又は接着剤、締まり嵌め、溶接接合などのよ
うな任意の適切な方法によって第1のハウジング7110に連結することができる。
【0140】
アクチュエータ7150aは、プランジャ部7151a、穿刺部7152a、及び係合
部7153aを含む。係合部7153aは、本明細書で説明されるようにハウジング71
37a内のアクチュエータ7150aの移動を容易にするためにアクチュエータ組立部の
一部と係合する、これに取り外し可能に連結される、及び/又はこれの中に受け入れられ
るように構成される。アクチュエータ7150aは、
図47〜
図51に関して後述される
アクチュエータ組立部3600のような任意の適切な機器によって取り扱う及び/又は始
動させることができる。
【0141】
アクチュエータ7150aのプランジャ部7151aはハウジング7137a内に配置
される。穿刺可能部材7135aは、プランジャ部7151aの端面とハウジング713
7aと穿刺可能部材7135aが集合的に、その中に物質が配置される体積を画定するよ
うに、ハウジング7137aの端部の付近に配置される。プランジャ部7151aとハウ
ジング7137aの内面は、実質的に流体密封及び/又はハーメチックシールを形成する
ように構成される。幾つかの実施形態では、プランジャ部7151aは、封止部材、Oリ
ングなどを含むことができる。
【0142】
アクチュエータ7150aの穿刺部7152aは、アクチュエータ7150aが
図28
の矢印QQで示される方向にハウジング7137a内で動かされるときに穿刺可能部材7
135aの一部を穿刺する、破壊する、切断する及び/又は破断するように構成される。
このようにして、アクチュエータ7150の移動は、チャンバを洗浄チャンバ7121と
流体連通する状態におく。同様に述べると、洗浄バッファモジュール7130aは、アク
チュエータ7150aが始動されるときに洗浄チャンバ7121と選択的に流体連通する
状態におくことができる。洗浄バッファモジュール7130a内の物質が洗浄チャンバ7
121の中に運ばれた後で、アクチュエータ7150aは、洗浄チャンバ7121の中に
移送される圧力をもたらして、その中に配置された試料との間の及びこれとの洗浄、混合
、及び/又は他の相互作用を促進するために、ハウジング7137a内で往復運動するこ
とができる。第1のハウジング7110の上部7112は、アクチュエータ7150aに
よって生じた圧力エネルギー及び/又は流れを洗浄チャンバ7121内の特定の領域の方
に向けるように構成されたノズル7131aを含む。
【0143】
洗浄バッファモジュール7130bは、ハウジング7137b内に移動可能に配置され
るアクチュエータ7150bを含む。ハウジング7137bは、洗浄バッファモジュール
7130bが洗浄チャンバ7122と実質的に位置合わせされるように第1のハウジング
7110の上側部分7112に連結される。特に、ハウジング7137bは、第1のハウ
ジング7110の上側部分7112の連結部7134bによって画定される対応する開口
部内に配置されるように構成される一対の突起7133bを含む。洗浄バッファモジュー
ル7130bは「スナップ嵌め」によって第1のハウジング7110に連結されるものと
して示されるが、他の実施形態では、洗浄バッファモジュール7130bは、例えば、ね
じ連結、機械式締結具又は保持具、化学結合又は接着剤、締まり嵌め、溶接接合などのよ
うな任意の適切な方法によって第1のハウジング7110に連結することができる。
【0144】
アクチュエータ7150bは、プランジャ部7151b、穿刺部7152b、及び係合
部7153bを含む。係合部7153bは、本明細書で説明されるようにハウジング71
37b内のアクチュエータ7150bの移動を容易にするためにアクチュエータ組立部の
一部と係合する、これに取り外し可能に連結される、及び/又はこれの中に受け入れられ
るように構成される。アクチュエータ7150bは、
図47〜
図51に関して後述される
アクチュエータ組立部3600のような任意の適切な機器によって取り扱う及び/又は始
動させることができる。
【0145】
アクチュエータ7150bのプランジャ部7151bはハウジング7137b内に配置
される。穿刺可能部材7135bは、プランジャ部7151bの端面とハウジング713
7bと穿刺可能部材7135bが集合的に、その中に物質が配置される体積を画定するよ
うに、ハウジング7137bの端部の付近に配置される。プランジャ部7151bとハウ
ジング7137bの内面は、実質的に流体密封及び/又はハーメチックシールを形成する
ように構成される。幾つかの実施形態では、プランジャ部7151bは、封止部材、Oリ
ングなどを含むことができる。
【0146】
アクチュエータ7150bの穿刺部7152bは、アクチュエータ7150bが
図28
の矢印QQで示される方向にハウジング7137b内で動かされるときに穿刺可能部材7
135bの一部を穿刺する、破壊する、切断する及び/又は破断するように構成される。
このようにして、アクチュエータ7150bの移動は、チャンバを洗浄チャンバ7122
と流体連通する状態におく。同様に述べると、アクチュエータ7150bが始動されると
きに洗浄バッファモジュール7130bを洗浄チャンバ7122と選択的に流体連通する
状態におくことができる。洗浄バッファモジュール7130b内の物質が洗浄チャンバ7
122の中に運ばれた後で、アクチュエータ7150bは、洗浄チャンバ7122の中に
移送される圧力をもたらして、その中に配置された試料との間の及びこれとの洗浄、混合
、及び/又は他の相互作用を促進するために、ハウジング7137b内で往復運動するこ
とができる。第1のハウジング7110の上部7112は、アクチュエータ7150bに
よって生じた圧力エネルギー及び/又は流れを洗浄チャンバ7122内の特定の領域の方
に向けるように構成されたノズル7131bを含む。
【0147】
図29〜
図31に示すように、増幅(又はPCR)モジュール7200は、第1の(又
は上側)層7227及び第2の(又は下側)層7228から構築される基体7220を含
む。PCRモジュール7200は、第2の層7228に連結されたPCRバイアル726
0、移送機構7235、第1の試薬モジュール7270a、及び第2の試薬モジュール7
270bを含む。PCRバイアル7260は、ハウジング7210の第1の端部7211
に連結され、試料に関連した反応を容易にするためにその中に試料を配置することができ
る体積7262を画定する。PCRバイアル7260は、試料に関連した反応が起こるこ
とを可能にする状態で試料を収容するための任意の適切な容器とすることができる。PC
Rバイアル7260はまた、こうした反応の監視(例えば、反応から結果的に生じる又は
反応と関連付けられる試料内の分析物の検出)を可能にする状態で試料を収容するための
任意の適切な容器とすることができる。幾つかの実施形態では、PCRバイアル7260
の少なくとも一部は、光学系(例えば、本明細書で説明される機器3002の光学組立部
3800)によるその中で起こる反応の光学監視を可能にするために実質的に透明とする
ことができる。
【0148】
図32及び
図33に示すように、増幅モジュール7200は、移送管7250の少なく
とも一部が分離モジュール7100の溶出チャンバ7190内に配置されるように分離モ
ジュール7100の第1のハウジング7110に連結される。このようにして、本明細書
で説明されるように、溶出チャンバ7190内に配置された分離された核酸、あらゆる物
質、及び/又はあらゆるPCR試薬を、移送管7250を介して溶出チャンバ7190か
らPCRバイアル7260に運ぶことができる。より詳細には、基体7220は、PCR
モジュール7200が分離モジュール7100に連結されるときにPCRバイアル726
0を溶出チャンバ7190と流体連通する状態におく流れ通路(flow passag
eway)7222を画定する。
図30及び
図31に示すように、流れ通路7222の一
部は、移送管7250と基体7220の第2の層7228の移送ポート7229の中に画
定される。流れ通路7222は、主として基体7220の第2の層7228によって画定
されるものとして示されるが、他の実施形態では、流れ通路7222は、第1の層722
7によって又は第1の層7227と第2の層7228との両方の一部の中に画定すること
ができる。
【0149】
基体7220はまた、流れ通路7223、流れ通路7221a、及び流れ通路7221
bをも画定する。本明細書でより詳細に説明されるように、流れ通路7223は、移送機
構7235内に画定された体積7237を、移送ポート7229を介してPCRバイアル
7260と流体連通する状態におくように構成される。流れ通路7221aは、試薬モジ
ュール7270aによって画定される体積を、移送管7250を介して溶出チャンバ71
90と流体連通する状態におくように構成される。流れ通路7221bは、試薬モジュー
ル7270bによって画定される体積を、移送ポート7229及び/又は通路7222の
一部を介してPCRバイアル7260と流体連通する状態におくように構成される。流れ
通路7223、流れ通路7221a、及び/又は流れ通路7221bのいずれも、第1の
層7227、第2の層7228によって、又は第1の層7227と第2の層7228との
両方の一部の中に画定することができる。
【0150】
PCRモジュール7200は、基体7220の上側層7227にそれぞれ連結される2
つの試薬モジュール7270a及び7270bを含む。本明細書で説明されるように、各
試薬モジュール7270a及び7270bはそれぞれ物質R1及びR2を収容する。試薬
モジュール7270aは、本明細書で説明されるように物質R1を流れ通路7221aを
介して溶出チャンバ7190の中に運ぶように構成される。試薬モジュール7270bは
、本明細書で説明されるように物質R2を流れ通路7221bを介してPCRバイアル7
260の中に運ぶように構成される。このようにして、各試薬モジュール7270a及び
7270bは、試薬保存装置及び移送機構として機能する。
【0151】
物質R1及びR2は、例えば、本明細書で説明されるように試料に添加されるべき試薬
、溶離バッファ溶液、洗浄バッファ溶液、鉱油、及び/又はあらゆる他の物質とすること
ができる。幾つかの実施形態では、物質R1は、溶離バッファ及び鉱油を含むことができ
る。幾つかの実施形態では、物質R2は、PCRバイアル7260内のPCRプロセスを
容易にする反応試薬を含むことができる。幾つかの実施形態では、PCRプロセスを容易
にするために物質R2及び/又は物質R1と標的試料との混合物を添加することで凍結乾
燥したマスターミックスが再構成されるように、凍結乾燥した状態のPCRマスターミッ
クスをPCRバイアル7260内に配置することができる。
【0152】
例えば、HSVがPCRを介して増幅される一実施形態では、マスターミックスは、H
SV1配列及び/又はHSV2配列に対して特異的なHSV1プライマ及びHSV2プラ
イマ、検出プローブ(例えば、5’末端にフルオロフォア及びMGB並びに3’末端に非
蛍光性クエンチャーを備えるハイブリッド形成オリゴヌクレオチドプローブ)、並びに内
部コントロールプライマ及びプローブ、KCl(例えば、約40mM、約50mM、約6
0mM、約70mM)、マンニトール(manniol)(例えば、約70mM、約80
mM、約90mM、約100mM、約110mM、約120mM)、BSA(例えば、約
0.1mg/mL、約0.5mg/mL、約1mg/mL)、dNTPs(例えば、約0
.2mM、約0.3mM、約0.4mM、約0.5mM、約1mM)、Taqポリメラー
ゼ(例えば、約0.1U/μL、約0.2U/μL、約0.3U/μL)を含む凍結乾燥
したペレットである。
【0153】
別の実施形態では、マスターミックスは、3つの標的に対してマルチプレックスPCR
を行うために凍結乾燥した試薬と内部対照を含む。さらなる実施形態では、標的核酸は、
インフルエンザAに対して特異的な核酸、インフルエンザBに対して特異的な核酸、及び
RSVに対して特異的な核酸である。さらなる実施形態では、例えば、各標的配列に対し
て特異的な、各プローブが5’末端にフルオロフォア及びMGB並びに3’末端に非蛍光
性クエンチャーを備える、ハイブリッド形成オリゴヌクレオチドプローブを提供すること
によって、マルチプレックス反応がリアルタイムで監視される。
【0154】
別の実施形態では、凍結乾燥したマスターミックスは、PCRと逆転写酵素反応との両
方のための試薬を含む。例えば、一実施形態では、凍結乾燥したマスターミックスは、第
一鎖cDNA合成及びPCRを行うために、逆転写酵素とTaqポリメラーゼ酵素との両
方、dNTPs、RNase阻害剤、KCl、BSA、及びプライマを含む。
【0155】
マスターミックスは、増幅されるべき標的に応じて異なるプライマ及びプローブを含む
。各標的は、特異的プライマ及びプローブの組と関連付けられることになり、プライマ及
びプローブの組は、凍結乾燥したマスターミックスを形成するために上述の他のPCR試
薬と共に凍結乾燥することができる。成分の濃度はまた、複数の標的が増幅される場合に
、増幅される特定の標的に応じて変化することになる。
【0156】
試薬モジュール7270aは、ハウジング7277a内に移動可能に配置されるアクチ
ュエータ7280aを含む。ハウジング7277aは、試薬モジュール7270aが通路
7221a、移送管7250、及び/又は溶出チャンバ7190と実質的に位置合わせさ
れるように基体7220の上側層7227に連結される。
図29に示すように、ハウジン
グ7277aは、基体7220の上側層7227の連結部7234aによって画定される
対応する開口部内に配置されるように構成される一対の突起7273aを含む。試薬モジ
ュール7270aは「スナップ嵌め」によって基体7220に連結されるものとして示さ
れるが、他の実施形態では、試薬モジュール7270aは、例えば、ねじ連結、機械式締
結具又は保持具、化学結合又は接着剤、締まり嵌め、溶接接合などのような任意の適切な
方法によって基体7220に連結することができる。
【0157】
アクチュエータ7280aは、プランジャ部7281a、穿刺部7282a、及び係合
部7283aを含む。係合部7283aは、本明細書で説明されるようにハウジング72
77a内のアクチュエータ7280aの移動を容易にするためにアクチュエータ組立部の
一部と係合する、これに取り外し可能に連結される、及び/又はこれの中に受け入れられ
るように構成される。アクチュエータ7280aは、
図47〜
図51に関して後述される
アクチュエータ組立部3600のような任意の適切な機器によって取り扱う及び/又は始
動させることができる。
【0158】
アクチュエータ7280aのプランジャ部7281aはハウジング7277a内に配置
される。穿刺可能部材7275aは、プランジャ部7281aの端面とハウジング727
7aと穿刺可能部材7275aが集合的に、その中に物質R1が配置される体積を画定す
るように、ハウジング7277aの端部の付近に配置される。プランジャ部7281aと
ハウジング7277aの内面は、実質的に流体密封及び/又はハーメチックシールを形成
するように構成される。幾つかの実施形態では、プランジャ部7281aは、封止部材、
Oリングなどを含むことができる。
【0159】
アクチュエータ7280aの穿刺部7282aは、アクチュエータ7280aが
図31
の矢印SSで示される方向にハウジング7277a内で動かされるときに穿刺可能部材7
275aの一部を穿刺する、破壊する、切断する及び/又は破断するように構成される。
このようにして、アクチュエータ7280aの移動は、その中の体積を、通路7221a
、したがって溶出チャンバ7190と流体連通する状態におく。同様に述べると、アクチ
ュエータ7280aが始動されるときに試薬モジュール7270aを溶出チャンバ719
0と選択的に流体連通する状態におくことができる。
【0160】
試薬モジュール7270bは、ハウジング7277b内に移動可能に配置されるアクチ
ュエータ7280bを含む。ハウジング7277bは、試薬モジュール7270bが通路
7221bと実質的に位置合わせされるように基体7220の上側層7227に連結され
る。
図29に示すように、ハウジング7277bは、基体7220の上側層7227の連
結部7234bによって画定される対応する開口部内に配置されるように構成される一対
の突起7273bを含む。試薬モジュール7270bは「スナップ嵌め」によって基体7
220に連結されるものとして示されるが、他の実施形態では、試薬モジュール7270
bは、例えば、ねじ連結、機械式締結具又は保持具、化学結合又は接着剤、締まり嵌め、
溶接接合などのような任意の適切な方法によって基体7220に連結することができる。
【0161】
アクチュエータ7280bは、プランジャ部7281b、穿刺部7282b、及び係合
部7283bを含む。係合部7283bは、本明細書で説明されるようにハウジング72
77b内のアクチュエータ7280bの移動を容易にするためにアクチュエータ組立部の
一部と係合する、これに取り外し可能に連結される、及び/又はこれの中に受け入れられ
るように構成される。アクチュエータ7280bは、
図47〜
図51に関して後述される
アクチュエータ組立部3600のような任意の適切な機器によって取り扱う及び/又は始
動させることができる。
【0162】
アクチュエータ7280bのプランジャ部7281bは、ハウジング7277b内に配
置される。穿刺可能部材7275bは、プランジャ部7281bの端面とハウジング72
77bと穿刺可能部材7275bが集合的に、その中に物質R2が配置される体積を画定
するように、ハウジング7277bの端部の付近に配置される。プランジャ部7281b
とハウジング7277bの内面は、実質的に流体密封及び/又はハーメチックシールを形
成するように構成される。幾つかの実施形態では、プランジャ部7281aは、封止部材
、Oリングなどを含むことができる。
【0163】
アクチュエータ7280bの穿刺部7282bは、アクチュエータ7280bが
図31
の矢印SSで示される方向にハウジング7277b内で動かされるときに穿刺可能部材7
275bの一部を穿刺する、破壊する、切断する及び/又は破断するように構成される。
このようにして、アクチュエータ7280bの移動は、その中の体積を、通路7221b
、したがってPCRチャンバ7260と流体連通する状態におく。
【0164】
PCRモジュール7200は、分離モジュール7100の溶出チャンバ7190及びP
CRモジュール7200のPCRバイアル7260から及び/又はこれらの間で物質を移
送するように構成された移送機構7235を含む。本明細書で説明されるように、移送機
構7235はまた、その中に物質を収容することができる体積7237を画定するように
も構成され、体積7237をPCRバイアル7260と選択的に流体連通する状態におく
ことができる。このようにして、移送機構7235はまた流量制御機構として作用する。
【0165】
移送機構7235は、ハウジング7236内に配置されるアクチュエータ7240を含
む。ハウジング7236は、基体7220の上側層7227に連結される及び/又はこの
一部である。ハウジング7236は、その中に例えば鉱油のような物質を保存することが
できる体積7237を画定する。穿刺可能部材を含むものとして図示されないが、他の実
施形態では、体積7237の一部を、本明細書で説明されるように穿刺可能部材によって
取り囲む及び/又は流体的に分離することができる。
【0166】
アクチュエータ7240は、プランジャ部7241、弁部分7242、及び係合部72
43を含む。係合部7243は、本明細書で説明されるようにハウジング7236内のア
クチュエータ7240の移動を容易にするためにアクチュエータ組立部の一部と係合する
、これに取り外し可能に連結される、及び/又はこれの中に受け入れられるように構成さ
れる。アクチュエータ7240は、
図47〜
図51に関して後述されるアクチュエータ組
立部3600のような任意の適切な機器によって取り扱う及び/又は始動させることがで
きる。
【0167】
アクチュエータ7240のプランジャ部7241は、ハウジング7236内に配置され
る。プランジャ部7241とハウジング7236の内面は、実質的に流体密封及び/又は
ハーメチックシールを形成するように構成される。幾つかの実施形態では、プランジャ部
7241は、封止部材、Oリングなどを含むことができる。加えて、ハウジング7236
の上部にシール7244が配置される。
【0168】
アクチュエータ7240は、ハウジング7236内の第1の位置(
図30)と第2の位
置(
図31)との間で動かされるように構成される。アクチュエータ7240が第1の位
置にあるときに、アクチュエータ7240の弁部分7242は、体積7237が流れ通路
7223及び/又はPCRバイアル7260から実質的に流体的に分離されるように流れ
通路7223内に少なくとも部分的に配置される。同様に述べると、アクチュエータ72
40が第1の位置にあるときに、弁部分7242の一部は、実質的に流体密封及び/又は
ハーメチックシールをもたらすために上側層7227と接触する。アクチュエータ725
0が
図31の矢印RRで示される方向にハウジング7236内で動かされるときに、弁部
分7242が、上側層7227から離間され、及び/又は流れ通路7223から除去され
、これにより体積7237を、通路7223、したがってPCRチャンバ7260と流体
連通する状態におく。このようにして、アクチュエータ7240が動かされるときに、体
積7237内の物質をPCR体積7262によって画定されるPCRバイアル7260の
中に運ぶことができる。
【0169】
さらに、アクチュエータ7240が
図31の矢印RRで示すようにハウジング7236
内で動かされるときに、PCRバイアル7260のPCR体積7262内に真空が生じる
。PCR体積7262と溶出チャンバ7190との間のこの圧力差の結果として、溶出チ
ャンバ7190の内容物の少なくとも一部が移送管7250及び通路7222を介してP
CR体積7262の中に運ばれる(例えば
図24参照)。このようにして、移送機構72
35を始動させることによって物質及び/又は試料を溶出チャンバ7190とPCR体積
7262との間で加える、混合する、及び/又は運ぶことができる。移送機構7235は
、例えば、本明細書で説明される機器3002の始動組立部3600のような任意の適切
な機構によって始動させることができる。
【0170】
使用時に、1つ又は複数の標的核酸又は核酸群が分離モジュール7100内で分離され
処理された後で、前述のように、これは、移送組立部7140cを介して溶出チャンバ7
190の中に移送される。次いで、物質R1を溶出チャンバ7190の中に運ぶために試
薬モジュール7270aを始動させることができる。例えば、幾つかの実施形態では、試
薬モジュール7270aは、溶離バッファ及び鉱油を含有する溶液を溶出チャンバ719
0の中に運ぶために始動させることができる。次いで、磁性ビーズが、溶離バッファによ
って核酸から除去され(又は「洗浄され」)、(例えば、移送組立部7140cによって
)溶出チャンバ7190から除去される。したがって、溶出チャンバ7190は、分離さ
れた及び/又は精製された核酸を収容する。
【0171】
物質R2をPCR体積7262の中に運ぶために試薬モジュール7270bを始動させ
ることができる。例えば、幾つかの実施形態では、種々の反応試薬を含有する溶液をPC
Rバイアル7260の中に運ぶために試薬モジュール7270bを始動させることができ
る。幾つかの実施形態では、PCRバイアル7260は、例えば、凍結乾燥した状態のP
CRマスターミックスのような付加的な試薬及び/又は物質を収容することができる。し
たがって、物質R2がPCRバイアル7260の中に運ばれるときに、凍結乾燥した内容
物を反応の準備に際して再構成することができる。
【0172】
標的試料Sは、(上記で説明された試薬モジュール7270bの始動前又は始動後に)
移送管7250及び通路7222を介して溶出チャンバ7190からPCRバイアル72
60の中に運ぶことができる。特に、PCRモジュール7200内に圧力差をもたらして
上記で説明したように通路7222を介してPCR試料を溶出チャンバ7190からPC
Rバイアル7260の中に運ぶために移送機構7235のアクチュエータ7240を始動
させることができる。このようにして、PCR試料(分離された核酸及びPCR試薬)を
溶出チャンバ7190の中で部分的に調製することができる。さらに、移送機構7235
が始動されるときに、その中に画定された体積7237が前述のように通路7223を介
してPCR体積7262と流体連通する状態におかれる。したがって、幾つかの実施形態
では、付加的な物質(例えば、鉱油)を、試料移送動作と同じ動作を介してPCRバイア
ルに加えることができる。
【0173】
PCR試料をPCRバイアル7260に入れた後で、PCR試料Sの少なくとも一部は
、所望の増幅を行うために(例えば、機器3002の加熱組立部3700を介して)熱サ
イクルを受けることができる。熱サイクルの完了時及び/又は熱サイクル中に、試料を分
析するために(例えば、機器3002の光学組立部3800を介して)PCR試料を光学
的に分析することができる。代替的に、全体を通して説明されるように、PCR試料は、
例えば、それぞれがMGB及びフルオロフォアと複合体化されるDNAハイブリダイゼー
ションプローブを伴うPCR中に、光学的に分析することができる。カートリッジを取り
扱うための機器3002及び他の適切な機器の説明が以下で提供される。
【0174】
本明細書で説明されるカートリッジのいずれも、カートリッジ内に収容された試料に対
して分離プロセス及び/又は反応を行うために任意の適切な機器で取り扱う及び/又は始
動させることができる。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書で説明されるカートリ
ッジのいずれかは、カートリッジ内のテスト試料に対してリアルタイムの核酸分離及び増
幅を行うために機器で取り扱う及び/又は始動させることができる。このようにして、シ
ステム(例えば、カートリッジ又は一連のカートリッジ及び機器)は、例えば、鼻咽頭検
体からのインフルエンザ(Flu)A、Flu B、及び呼吸器合胞体ウィルス(RSV
)の迅速な検出のような多くの異なるアッセイのために用いることができる。
【0175】
幾つかの実施形態では、機器は、本明細書で示され説明されるタイプのカートリッジに
よって画定される反応チャンバの中に収容された試料の反応を容易にする、もたらす、支
持する、及び/又は促進するように構成することができる。こうした機器はまた、反応前
に、反応中に、及び/又は反応後に試料内の1つ又は複数の異なる物質及び/又は分析物
を検出するために光学組立部を含むことができる。例えば、
図34は、一実施形態に係る
機器1002の略図である。機器1002は、ブロック1710、第1の光学部材183
1、第2の光学部材1832、及び光学組立部1800を含む。ブロック1710は、試
料Sを収容する反応容器260の少なくとも一部261を受け入れるように構成された反
応体積1713を画定する。反応容器260は、試料Sに関連した反応が起こることを可
能にする状態で試料Sを収容するための任意の適切な容器とすることができる。反応容器
260はまた、こうした反応の監視(例えば、反応から結果的に生じる又は反応と関連付
けられる試料S内の分析物の検出)を可能にする状態で試料Sを収容するための任意の適
切な容器とすることができる。幾つかの実施形態では、例えば、反応容器260は、PC
Rバイアル、試験管などとすることができる。さらに、幾つかの実施形態では、反応容器
260の少なくとも一部261は、その中で起こる反応の光学監視を可能にするために実
質的に透明とすることができる。
【0176】
ブロック1710は、反応容器260の中の試料Sに関連した反応を容易にする、もた
らす、支持する、及び/又は促進するための、任意の適切な構造体とすることができ、及
び/又は任意の適切な機構に連結することができる。例えば、幾つかの実施形態では、ブ
ロック1710は、反応容器260の中の試料Sをサイクルで加熱するための機構に連結
することができ、及び/又はこれを含むことができる。このようにして、ブロック171
0は、例えばPCRプロセスのような試料Sの熱により誘発される反応をもたらすことが
できる。他の実施形態では、ブロック1710は、試料Sに関連した化学反応をもたらす
ために反応容器260の中に1つ又は複数の物質を導入するための機構に連結することが
でき、及び/又はこれを含むことができる。
【0177】
反応体積1713は、反応チャンバ260の一部261を収容するための任意の適切な
サイズ及び/又は形状を有することができる。幾つかの実施形態では、例えば、反応体積
1713の形状は、(例えば、
図34に示すように)反応チャンバ260の一部261の
形状に実質的に対応することができる。他の実施形態では、しかしながら、反応体積17
13の形状は、反応チャンバ260の一部261の形状と類似していない形状とすること
ができる。反応チャンバ260の一部261は、反応体積1713を画定するブロック1
710の側壁から離間されるものとして
図34に示されるが、他の実施形態では、反応チ
ャンバ260の一部261は、ブロック1710の一部と接触することができる。さらに
他の実施形態では、反応体積1713は、反応チャンバ260の一部261とブロック1
710の一部(例えば、側壁)との間に配置される物質(例えば、塩水溶液、熱伝導性ゲ
ルなど)を収容することができる。
【0178】
ブロック1710は、反応体積1713内に反応チャンバ260の一部261のみを収
容するものとして
図34に示されるが、他の実施形態では、ブロック1710は、反応チ
ャンバ260の全体が反応体積1713内に受け入れられるように構成することができる
。幾つかの実施形態では、例えば、ブロック1710は、反応体積1713内に反応チャ
ンバ260の全体を実質的に保持するカバー又は他の機構(
図34には図示せず)を含む
ことができる。さらに、幾つかの実施形態では、ブロック1710は、反応チャンバ26
0の全体を実質的に包囲することができる。他の実施形態では、ブロック1710は、反
応体積1713内に配置された反応チャンバ260の一部261を実質的に包囲すること
ができる。
【0179】
図34に示すように、第1の光学部材1831は、第1の光学部材1831が反応体積
1713と光学的に連通するようにブロック1710内に少なくとも部分的に配置される
。このようにして、光ビーム(及び/又は光信号)を、第1の光学部材1831を介して
反応体積1713とブロック1710の外部の領域との間で伝えることができる。第1の
光学部材1831は、それを通して又はそれから光ビームを伝えることができる任意の適
切な構造体、デバイス、及び/又は機構とすることができる。幾つかの実施形態では、第
1の光学部材1831は、例えば、マルチモードファイバ又は単一モードファイバのよう
な光ビームを伝える任意の適切な光ファイバとすることができる。他の実施形態では、第
1の光学部材1831は、例えば、光増幅器、光信号変換器、レンズ、光フィルタなどの
ような光ビームを修正する及び/又は変形するように構成された機構を含むことができる
。さらに他の実施形態では、第2の光学部材1832は、光ビームを生じるように構成さ
れた発光ダイオード(LED)、レーザ、又は他のデバイスを含むことができる。
【0180】
第2の光学部材1832は、第2の光学部材1832が反応体積1713と光学的に連
通するようにブロック1710内に少なくとも部分的に配置される。このようにして、光
ビーム(及び/又は光信号)を、第2の光学部材1832を介して反応体積1713とブ
ロック1710の外部の領域との間で伝えることができる。第2の光学部材1832は、
それを通して又はそれから光ビームを伝えることができる任意の適切な構造体、デバイス
、及び/又は機構とすることができる。幾つかの実施形態では、第2の光学部材1832
は、例えば、マルチモードファイバ又は単一モードファイバのような光ビームを伝える任
意の適切な光ファイバとすることができる。他の実施形態では、第2の光学部材1832
は、例えば、光増幅器、光信号変換器、レンズ、光フィルタなどのような光ビームを修正
する及び/又は変形するように構成された機構を含むことができる。さらに他の実施形態
では、第2の光学部材1832は、光ビームを受光する及び/又は検出するように構成さ
れたフォトダイオード又は他のデバイスを含むことができる。
【0181】
光学組立部1800は、励起モジュール1860及び検出モジュール1850を含む。
励起モジュール1860は、一連の励起光ビーム(及び/又は光信号、
図34には図示せ
ず)を生じるように構成される。したがって、励起モジュール1860は、例えば、レー
ザ、1つ又は複数の発光ダイオード(LEDs)、フラッシュランプなどのような一連の
励起光ビームを生じるための任意の適切なデバイス及び/又は機構を含むことができる。
幾つかの実施形態では、励起モジュール1860によって生じた各光ビームは、励起モジ
ュール1860によって生じた他の光ビームのそれぞれと実質的に同じ特徴(例えば、波
長、振幅、及び/又はエネルギー)を有することができる。他の実施形態では、しかしな
がら、励起モジュール1860によって生じた第1の光ビームは、励起モジュール186
0によって生じた他の光ビームのうちの1つとは異なる特徴(例えば、波長、振幅、及び
/又はエネルギー)を有することができる。幾つかの実施形態では、例えば、励起モジュ
ール1860は、それぞれ他のLEDsによって生じた光ビームとは異なる波長を有する
光ビームを生じるように構成された一連のLEDs
を含むことができる。
【0182】
検出モジュール1850は、一連の放出光ビーム(及び/又は光信号、
図34には図示
せず)を受光するように構成される。したがって、検出モジュール1850は、例えば、
光学検出器、フォトレジスタ、光起電力セル、フォトダイオード、光電管、CCDカメラ
などのような任意の適切な光検出器を含むことができる。放出光ビームは、例えば、試料
Sの構成成分の励起のような任意の適切な発生源によって生み出すことができる。幾つか
の実施形態では、検出モジュール1850は、各光ビームが他の放出光ビームのそれぞれ
と同じ特徴(例えば、波長、振幅、及び/又はエネルギー)を有するかどうかに関係なく
各放出光ビームを選択的に受光するように構成することができる。他の実施形態では、し
かしながら、検出モジュール1850は、光ビームの特定の特徴(例えば、波長、振幅、
及び/又はエネルギー)に基づいて各放出光ビームを選択的に受光するように構成するこ
とができる。幾つかの実施形態では、例えば、検出モジュール1850は、他の光検出器
によって受光される光ビームとは異なる波長を有する光ビームを受光するようにそれぞれ
構成された一連の光検出器を含むことができる。
【0183】
図34に示すように、第1の光学部材1831及び第2の光学部材1832は光学組立
部1800に連結される。このようにして、一連の励起光ビームのそれぞれを反応体積1
713及び/又は反応容器260の一部261の中に伝えることができ、且つ反応体積1
713及び/又は反応容器260の一部261から一連の放出光ビームのそれぞれを受光
することができる。より詳細には、第1の光学部材1831は、励起モジュール1860
によって生じた一連の励起光ビームを反応体積1713及び/又は反応容器260の一部
261の中に伝えることができるように励起モジュール1860に連結される。同様に、
第2の光学部材1832は、反応体積1713及び/又は反応容器260の一部261か
ら複数の放出光ビームのそれぞれを受光することができるように検出モジュール1850
に連結される。
【0184】
励起モジュール1860によって生じた一連の光ビームは、第1の光学部材1831に
よって第1の光路1806に沿って反応体積1713及び/又は反応容器260の一部2
61の中に伝えられる。したがって、励起モジュール1860によって生じた一連の光ビ
ームのそれぞれは、反応体積1713及び/又は反応容器260の一部261の中の実質
的に一定の場所に伝えられる。同様に、検出モジュール1850によって受光される一連
の光ビームは、反応体積1713及び/又は反応容器260の一部261から第2の光学
部材1832によって第2の光路1807に沿って受光される。したがって、検出モジュ
ール1850によって受光される一連の光ビームのそれぞれは、反応体積1713及び/
又は反応容器260の一部261から実質的に一定の場所で受光される。励起光ビーム及
び放出光ビームをそれぞれ反応体積1713内の一定の場所に伝える及び一定の場所で受
光することによって、複数の異なる場所から励起光ビームを伝えること及び/又は複数の
異なる場所から放出光ビームを受光することに関連したマルチチャネル分析での検出変動
性を低減させることができる。
【0185】
さらに、ブロック1710内に第1の光学部材1831及び第2の光学部材1832を
含むことによって、反応体積1713に対する第1の光学部材1831(及び第1の光路
1806)の位置及び/又は第2の光学部材1832(及び第2の光路1807)の位置
が一定となる。この配置はまた、第1の光学部材1831、第2の光学部材1832、及
び/又は反応体積1713の間の相対移動を最小にする及び/又はなくすことによって、
光路及び/又は光学部材に関連したテスト間の検出変動性を低減させることができる。
【0186】
幾つかの実施形態では、一連の励起光ビームを反応体積1713の中に順次に伝え、且
つ反応体積1713から一連の放出光ビームを順次に受光することができる。例えば、幾
つかの実施形態では、励起モジュール1860は、それぞれが順次の(又は段階的な(t
ime−phased))様態で異なる波長を有する一連の光ビームを生じることができ
る。各光ビームが反応体積1713の中に伝えられ、そこで光ビームは、例えば、反応容
器260内に収容された試料Sを励起させることができる。同様に、こうした実施形態で
は、放出光ビームは、(試料S内の或る分析物及び/又は標的の励起の結果として)順次
の(又は段階的な)様態で生じる。したがって、検出モジュール1850は、それぞれが
順次の(又は段階的な)様態で異なる波長を有する一連の光ビームを受光することができ
る。このようにして、機器1802を、試料S内の複数の異なる分析物及び/又は標的を
検出するのに用いることができる。
【0187】
ブロック1710内に配置された第1の光学部材1831の一部とブロック1710内
に配置された第2の光学部材1832の一部は、実質的に平行である及び/又は同一平面
内にあるものとして
図34に示されるが、他の実施形態では、ブロックは、第2の光学部
材に対して任意の位置にある及び/又は任意の配向の第1の光学部材を含むことができる
。同様に述べると、第1の光路1806は、第2の光路1807と実質的に平行である及
び/又は同一平面内にあるものとして
図34に示されるが、他の実施形態では、機器は、
第2の光路に対して任意の位置にある及び/又は任意の配向の第1の光路をもたらすよう
に構成することができる。
【0188】
例えば、
図35は、一実施形態に係る機器2002の一部の部分断面略図を示す。機器
2002は、ブロック2710、第1の光学部材2831、第2の光学部材2832、及
び光学組立部(
図35には図示せず)を含む。ブロック2710は、試料Sを収容する反
応容器260の少なくとも一部261を受け入れるように構成された反応体積2713を
画定する。反応容器260は、本明細書で説明されるように試料Sに関連した反応が起こ
ることを可能にし、且つこうした反応の監視を可能にする状態で試料Sを収容するための
任意の適切な容器とすることができる。幾つかの実施形態では、例えば、反応容器260
は、PCRバイアル、試験管などとすることができる。さらに、幾つかの実施形態では、
少なくとも反応容器260の一部261は、その中で起こる反応の光学監視を可能にする
ために実質的に透明とすることができる。
【0189】
ブロック2710は、反応容器260の中の試料Sに関連した反応を容易にする、もた
らす、支持する、及び/又は促進するための、任意の適切な構造体とすることができ、及
び/又は任意の適切な機構に連結することができる。例えば、幾つかの実施形態では、ブ
ロック2710は、反応容器260の中の試料Sをサイクルで加熱するための機構に連結
することができ、及び/又はこれを含むことができる。このようにして、ブロック271
0は、例えばPCRプロセスのような試料Sの熱により誘発される反応をもたらすことが
できる。他の実施形態では、ブロック2710は、試料Sに関連した化学反応をもたらす
ために反応容器260の中に1つ又は複数の物質を導入するための機構に連結することが
でき、及び/又はこれを含むことができる。
【0190】
反応体積2713は、反応チャンバ260の一部261を収容するための任意の適切な
サイズ及び/又は形状を有することができる。
図35に示すように、反応体積2713は
、縦軸LAを画定し、反応チャンバ260の一部261が反応体積2713内に配置され
たときに一部261を実質的に包囲する。このようにして、ブロック2710又はこれに
取り付けられるあらゆる機構によって試料Sに提供されるあらゆる刺激(例えば、加熱又
は冷却)を実質的に空間的に一様な様態で提供することができる。
【0191】
図35に示すように、第1の光学部材2831は、第1の光学部材2831が第1の光
路2806を画定し且つ反応体積2713と光学的に連通するようにブロック2710内
に少なくとも部分的に配置される。このようにして、光ビーム(及び/又は光信号)を、
第1の光学部材2831を介して反応体積2713とブロック2710の外部の領域との
間で伝えることができる。第1の光学部材2831は、それを通して又はそれから光ビー
ムを伝えることができる本明細書で示され説明されるタイプの任意の適切な構造体、デバ
イス、及び/又は機構とすることができる。幾つかの実施形態では、第1の光学部材28
31は、例えば、マルチモードファイバ又は単一モードファイバのような光ビームを伝え
る任意の適切な光ファイバとすることができる。
【0192】
第2の光学部材2832は、第2の光学部材2832が第2の光路2807を画定し且
つ反応体積2713と光学的に連通するようにブロック2710内に少なくとも部分的に
配置される。このようにして、光ビーム(及び/又は光信号)を、第2の光学部材283
2を介して反応体積2713とブロック2710の外部の領域との間で伝えることができ
る。第2の光学部材2832は、それを通して又はそれから光ビームを伝えることができ
る本明細書で示され説明されるタイプの任意の適切な構造体、デバイス、及び/又は機構
とすることができる。幾つかの実施形態では、第2の光学部材2832は、例えば、マル
チモードファイバ又は単一モードファイバのような光ビームを伝える任意の適切な光ファ
イバとすることができる。
【0193】
前述のように、第1の光学部材2831と第2の光学部材2832は光学組立部(
図3
5には図示せず)に連結される。光学組立部は、1つ又は複数の励起光ビームを生じるこ
とができ、且つ1つ又は複数の放出光ビームを検出することができる。したがって、1つ
又は複数の励起光ビームを反応体積2713及び/又は反応容器260の中に伝えること
ができ、且つ反応体積2713及び/又は反応容器260の一部261から1つ又は複数
の放出光ビームを受光することができる。より詳細には、第1の光学部材2831は、反
応容器260内に収容された試料Sの一部を励起させるために、励起光ビームを光学組立
部から反応体積2713の中に伝えることができる。同様に、第2の光学部材2832は
、試料S内の分析物又は他の標的によって生じた放出光ビームを反応体積2713から光
学組立部に伝えることができる。このようにして、光学組立部は、反応容器260内で起
こる反応を監視することができる。
【0194】
図35に示すように、第1の光学部材2831の一部及び第1の光路2806は実質的
に第1の平面ΡXY内に配置される。第1の平面ΡXYは、反応体積2713の縦軸LA
に実質的に平行である及び/又はこれを含む。他の実施形態では、しかしながら、第1の
平面ΡXYは、反応体積2713の縦軸LAに実質的に平行である及び/又はこれを含む
必要はない。第2の光学部材2832の一部及び第2の光路2807は実質的に第2の平
面PYZ内に配置される。第2の平面PYZは、反応体積2713の縦軸LAに実質的に
平行である及び/又はこれを含む。他の実施形態では、しかしながら、第2の平面PYZ
は、反応体積2713の縦軸LAに実質的に平行である及び/又はこれを含む必要はない
。さらに、
図35に示すように、第1の光路2806と第2の光路2807は、およそ7
5度よりも大きいオフセット角Θを画定する。より詳細には、第1の光路2806と第2
の光路2807は、反応体積2713の縦軸LAに実質的に平行な方向(すなわち、第1
の平面ΡXY及び第2の平面PYZに実質的に垂直な平面内である)で見たときにおよそ
75度よりも大きいオフセット角Θを画定する。同様の様態で、第1の光学部材2831
と第2の光学部材2832は、およそ75度よりも大きいオフセット角Θを画定する。こ
の配置は、第2の光学部材2832(すなわち、「検出」光学部材)によって受光される
励起光ビームの量を最小にし、これにより光検出及び/又は監視の正確さ及び/又は感度
を改善する。
【0195】
幾つかの実施形態では、機器2002の一部は、オフセット角Θがおよそ75度からお
よそ105度までの間であるように反応体積2713内に第1の光路2806及び第2の
光路2807をもたらすことができる。幾つかの実施形態では、機器2002の一部は、
オフセット角Θがおよそ90度であるように反応体積2713内に第1の光路2806及
び第2の光路2807をもたらすことができる。
【0196】
機器2002の一部は、実質的に平行であり且つ反応体積2713の中の点PTで交差
する第1の光路2806及び第2の光路2807をもたらすものとして示されるが、他の
実施形態では、ブロック2713、第1の光学部材2831、及び/又は第2の光学部材
2832は、第1の光路2806が第2の光路2807と平行ではなく、及び/又は交差
しないように構成することができる。例えば、幾つかの実施形態では、第1の光路280
6及び/又は第1の光学部材2831は、第2の光路2807及び/又は第2の光学部材
2831と平行にする及びこれからオフセットされる(すなわち、斜めにする)ことがで
きる。同様に述べると、幾つかの実施形態では、第1の光学部材2831と第2の光学部
材1832は、ブロック2710によって画定される基準面からそれぞれ距離Y1及びY
2だけ離間することができ、この場合Y1はY2とは異なる。したがって、第1の光学部
材2831及び/又は第1の光路2806が反応体積2713と交差する縦軸LAに沿っ
た位置は、第2の光学部材2832及び/又は第2の光路2807が反応体積2713と
交差する縦軸LAに沿った位置とは異なる。このようにして、第1の光路2806及び/
又は第1の光学部材2831は、第2の光路2807及び/又は第2の光学部材2831
から斜めにすることができる。
【0197】
他の実施形態では、縦軸LAと第1の光路2806及び/又は第1の光学部材2831
によって画定される角度γ1は、縦軸LAと第2の光路2807及び/又は第2の光学部
材2832によって画定される角度γ2とは異なる角度とすることができる(すなわち、
第1の光路2806は、第2の光路2807と平行ではないものとすることができる)。
さらに他の実施形態では、ブロック2713、第1の光学部材2831、及び/又は第2
の光学部材2832は、第1の光路2806が反応体積2713の外部の場所で第2の光
路2807と交差するように構成することができる。
【0198】
距離Y1及び距離Y2は、第1の光学部材2831及び第2の光学部材1832が反応
容器260の所望の部分にそれぞれ第1の光路2806及び第2の光路2807をもたら
す及び/又は画定するように構成されるように、任意の適切な距離とすることができる。
例えば、幾つかの実施形態では、距離Y1は、反応容器260がブロック2710内に配
置されるときに第1の光学部材2831及び/又は第1の光路2806が試料Sの充填線
FLの場所よりも下の場所で反応体積2713に入る及び/又はこれと交差するような距
離とすることができる。このようにして、第1の光学部材2831によって伝えられる励
起光ビームは、充填線よりも下で試料Sに入るであろう。この配置は、反応容器のヘッド
スペース(すなわち、試料Sを実質的に除いた充填線LFよりも上の反応容器260の部
分)を通した励起光ビームの伝送によって起こる可能性がある励起光ビームの減衰を低減
させることによって、試料内の分析物の光学検出を改善することができる。他の実施形態
では、しかしながら、距離Y1は、反応容器260がブロック2710内に配置されると
きに第1の光学部材2831及び/又は第1の光路2806が試料Sの充填線FLの場所
よりも上の場所で反応体積2713に入るような距離とすることができる。
【0199】
同様に、幾つかの実施形態では、距離Y2は、反応容器260がブロック2710内に
配置されるときに第2の光学部材2832及び/又は第2の光路2807が試料Sの充填
線FLの場所よりも下の場所で反応体積2713に入る及び/又はこれと交差するような
距離とすることができる。このようにして、第2の光学部材2832によって受光される
放出光ビームは、充填線よりも下で試料Sを出るであろう。この配置は、反応容器のヘッ
ドスペースを通した放出光ビームの受光によって起こる可能性がある放出光ビームの減衰
を低減させることによって、試料内の分析物の光学検出を改善することができる。他の実
施形態では、しかしながら、距離Y2は、反応容器260がブロック2710内に配置さ
れるときに第2の光学部材2832及び/又は第2の光路2807が試料Sの充填線FL
の場所よりも上の場所で反応体積2713に入る及び/又はこれと交差するような距離と
することができる。
【0200】
図36〜
図70は、カートリッジ内のテスト試料に対して核酸分離及び増幅プロセスを
行うために一連のカートリッジを取り扱う、始動させる、及び/又はこれと相互作用する
ように構成された機器3002及び/又は機器の一部の種々の図を示す。カートリッジは
、例えば、カートリッジ6001のような本明細書で示され説明されるカートリッジのい
ずれかを含むことができる。このシステムは、例えば、鼻咽頭検体からのインフルエンザ
(Flu)A、Flu B、及び呼吸器合胞体ウィルス(RSV)の迅速な検出のような
多くの異なるアッセイのために用いることができる。機器3002は、その中の構成要素
をより明瞭に示すためにケーシング3002及び/又は機器3002の或る部分を除いて
示される。例えば、
図47は、光学組立部3800を除いた機器3002を示す。
【0201】
図36に示すように、機器3002は、シャーシ及び/又はフレーム3300、第1の
アクチュエータ組立部3400、試料移送組立部3500、第2のアクチュエータ組立部
3600、ヒータ組立部3700、及び光学組立部3800を含む。フレーム3300は
、本明細書で説明されるように機器3002の構成要素及び/又は組立部のそれぞれを収
める、収容する、及び/又はこれらの取り付けを提供するように構成される。第1のアク
チュエータ組立部3400は、1つ又は複数の試薬及び/又は物質を分離モジュール内の
溶解チャンバの中に運ぶためにカートリッジの分離モジュール(例えば、分離モジュール
6100)のアクチュエータ又は移送機構(例えば、アクチュエータ又は移送機構616
6)を始動させるように構成される。移送アクチュエータ組立部3500は、分離モジュ
ール(例えば、分離モジュール7100)内の種々のチャンバ及び/又は体積の間で試料
の一部を移送するために移送組立部(例えば移送組立部6140a)を始動させるように
構成される。第2のアクチュエータ組立部3600は、1つ又は複数の試薬及び/又は物
質を分離モジュール及び/又はPCRモジュール内のチャンバの中に運ぶ及び/又はこの
中で混合するために分離モジュール(例えば、分離モジュール6100)及び/又はPC
Rモジュール(例えばPCRモジュール6200)の混合機構(例えば、混合機構613
0a)及び/又は洗浄バッファモジュール(例えば、洗浄バッファモジュール7130a
)を始動させるように構成される。カートリッジ内のプロセスを促進する及び/又は容易
にするために(例えば、「ホットスタート」プロセス、加熱溶解プロセス、及び/又はP
CRプロセスを促進する、容易にする、及び/又はもたらすために)、ヒータ組立部37
00は、カートリッジの1つ又は複数の部分(例えば、PCRバイアル7260、基体7
220、及び/又は溶解チャンバ7114に隣接するハウジング7110の領域)を加熱
するように構成される。光学組立部3800は、カートリッジ内で起こる反応を監視する
ように構成される。より詳細には、光学組立部3800は、カートリッジの中のテスト試
料内の1つ又は複数の異なる分析物及び/又は標的を検出するように構成される。組立部
のそれぞれは、以下で別個に説明され、その後機器3002によって行うことができる種
々の方法の説明が続く。
【0202】
図36に示すように、フレーム3300は、ベースフレーム3310、前部部材331
2、2つの側部部材3314、及び後部部材3320を含む。ベース部材3310は、本
明細書で説明される機能性組立部を支持し、6つの取り付け又は支持脚部を含む。幾つか
の実施形態では、支持脚部は、実験台上に取り付けられ、及び/又は設置される際に機器
3302の水平をとることができるように調節可能とすることができる。後部部材332
0は、ベース部材3310に連結され、電源組立部3361を支持する、及び又は保持す
るように構成される。後部部材3320はまた、例えば、プロセッサ、制御要素(例えば
、モータコントローラ、加熱システムコントローラなど)、通信インターフェース、冷却
システムなどのような機器3302の作動に関係するあらゆる他の構成要素の取り付け支
持を提供することができる。
図71〜
図73は、機器3002の制御及びコンピュータシ
ステムのブロック図である。
【0203】
側部部材3314のそれぞれは、上側部分3316及び下側部分3315を含む。前部
部材3312は、各側部部材3314に連結され、処理のために複数のアッセイカートリ
ッジを収容するマガジン3350をその中に配置することができる開口部を画定する。幾
つかの実施形態では、マガジン3350は、本明細書で示され説明される(例えば、カー
トリッジ6001として
図36に示された)タイプの6つのカートリッジを収容するよう
に構成することができる。使用時に、複数のカートリッジを収容するマガジン3350が
機器3002内に配置され、分離及び/又は増幅プロセス中はシャーシ3300に対して
固定位置に維持される。したがって、試料を収容するカートリッジは、分析を行うために
種々のステーションの間で動かされない。むしろ、本明細書で説明されるように、試料、
試薬、及び/又は他の物質は、本明細書で説明されるように機器3002によってカート
リッジの種々の部分内に運ばれ、処理され、及び/又は取り扱われる。機器3002は、
6つのカートリッジを収容する1つのマガジン3350を受け入れるように構成されるも
のとして示されるが、他の実施形態では、機器は、任意の数のカートリッジを収容する任
意の数のマガジン3350を受け入れるように構成することができる。
【0204】
図37〜
図40は、機器3002の第1のアクチュエータ組立部3400の種々の図を
示す。第1のアクチュエータ組立部3400は、1つ又は複数の試薬及び/又は物質を分
離モジュール内の溶解チャンバの中に運ぶためにカートリッジの分離モジュール(例えば
、分離モジュール6100)の移送機構及び/又は試薬アクチュエータ(例えば、試薬ア
クチュエータ6166a、6166b、6166c、及び6166d)を始動させる及び
/又は取り扱うように構成される。特に、第1のアクチュエータ組立部3400は、マガ
ジン3350内に配置されたカートリッジのそれぞれから試薬アクチュエータのうちの最
初の1つ(例えば、試薬アクチュエータ6166d)を始動させ、次いで、異なる時点で
、カートリッジのそれぞれから試薬アクチュエータのうちの次の1つ(例えば、試薬アク
チュエータ6166c)を始動させることができる。
【0205】
第1のアクチュエータ組立部は、フレーム組立部3410によって支持される係合バー
3445、第1の(又はx軸)モータ3440、及び第2の(又はy軸)モータ3441
を含む。
図38及び
図40に示すように、係合バー3445は、一連の突起3346a、
3346b、3346c、3346d、3346e、及び3346fを含む。突起のそれ
ぞれは、機器3002内に配置された分離モジュール(例えば、分離モジュール6100
)の1つ又は複数の試薬アクチュエータ(例えば、試薬アクチュエータ6166a)と係
合する、この中に配置される、及び/又はこれを始動させるように構成される。幾つかの
実施形態では、係合バー3445及び/又は突起(例えば、突起3346a)は、分離モ
ジュール内の試薬アクチュエータの往復運動を容易にするためにアクチュエータ(例えば
、試薬アクチュエータ6166a)の突起及び/又は開口部を保持するように構成された
保持機構(例えば、突起、スナップリングなど)を含むことができる。
【0206】
フレーム組立部3410は、第2の軸(又はy軸)取り付けフレーム3430に可動に
連結される第1の軸(又はx軸)取り付けフレーム3420を含む。特に、第1の軸取り
付けフレーム3420は、
図37の矢印AAAで示すようにy軸に沿って第2の軸取り付
けフレーム3430に対して動かすことができる。同様に述べると、第1の軸取り付けフ
レーム3420は、係合バー3445及び/又は突起(例えば、突起3346a)と所望
の一連のアクチュエータ及び/又は移送機構との位置合わせを容易にするために「位置合
わせ方向」に(すなわち、y軸に沿って)第2の軸取り付けフレーム3430に対して動
かすことができる。
【0207】
第1の軸取り付けフレーム3420は、係合バー3445及び/又は突起(例えば、突
起3346a)を
図37の矢印BBBで示すようにx軸に沿って動かすように構成される
第1の(又はx軸)モータ3440に対する支持を提供する。同様に述べると、第1の軸
モータ3440は、第1の軸取り付けフレーム3420に連結され、所望の一連のアクチ
ュエータ及び/又は移送機構を始動させるために係合バー3445及び/又は突起(例え
ば、突起3346a)を「始動方向」に(すなわち、x軸に沿って)動かすように構成さ
れる。係合バー3445の移動は2つのx軸ガイドシャフト3421によって案内され、
その各々は、対応するベアリング3422内に移動可能に配置される。ベアリング342
2は、ベアリング取り付け部材3423によって第1の軸取り付けフレーム3420及び
/又は第1のモータ3440に対して位置決めされる。
【0208】
第2の軸取り付けフレーム3430は、フレーム組立部3300の2つの側部フレーム
部材3314に及びこれらの間に連結される。第2の軸取り付けフレーム3430は、第
2の(又はy軸)モータ3441及び第1の軸取り付けフレーム3420に対する支持を
提供する。第2のモータ3441は、第1の軸取り付けフレーム3420、したがって係
合バー3445を
図37の矢印BBBで示すようにy軸に沿って(又は位置合わせ方向に
)動かすように構成される。このようにして、係合バー3445及び/又は突起(例えば
、突起3346a)は、アクチュエータ及び/又は移送機構の始動の前に所望の一連のア
クチュエータ及び/又は移送機構と位置合わせすることができる。第1の軸取り付けフレ
ーム3420は、y軸ガイドシャフト3431の対応する対を中心としてスライド可能に
配置される一対のベアリング・ブロック3432によって第2の軸取り付けフレーム34
30に連結される。
【0209】
使用時に、第1のアクチュエータ組立部3400は、機器3001内に配置された一組
のカートリッジ(例えば、カートリッジ6001)の一連の移送機構及び/又は試薬アク
チュエータ(例えば、アクチュエータ6166a、6166b、6166c、及び616
6d)を順次に始動させることができる。最初に、係合バー3445は、第1のフレーム
部材3420を位置合わせ方向に(すなわち、y軸に沿って)動かすことによって所望の
移送機構及び/又は試薬アクチュエータ(例えば、アクチュエータ6166d)と位置合
わせすることができる。係合バー3445は、次いで、各カートリッジから所望の移送機
構及び/又は試薬アクチュエータ(例えば、アクチュエータ6166d)を始動させるた
めに、始動方向に(すなわち、x軸に沿って)動かすことができる。このようにして、第
1のアクチュエータ組立部3400は、機器3002内に配置されたカートリッジのそれ
ぞれから試薬アクチュエータを並行した(又は同時の)様態で始動させる及び/又は取り
扱うことができる。他の実施形態では、しかしながら、アクチュエータ組立部3400及
び/又は係合バー3445は、機器3002内に配置されたカートリッジのそれぞれの対
応する試薬アクチュエータを順次の(又は連続する)様態で順次に始動させるように構成
することができる。
【0210】
第1のアクチュエータ組立部3400は、係合バー3445を第1の方向にx軸に沿っ
て動かすことによって所望の移送機構及び/又は試薬アクチュエータを始動させることが
できる。他の実施形態では、しかしながら、第1のアクチュエータ組立部3400は、係
合バー3445をx軸に沿って往復運動させること(すなわち、係合バー3445を第1
の方向及び第2の方向に交互に動かすこと)によって所望の移送機構及び/又は試薬アク
チュエータを始動させることができる。所望の移送機構及び/又は試薬アクチュエータが
始動されると、第1のアクチュエータ組立部3400は、上で説明されたのと同様の様態
で別の移送機構及び/又は試薬アクチュエータ(例えば、アクチュエータ6166c)を
始動させることができる。
【0211】
第1のアクチュエータ組立部3400は移送機構及び/又は試薬アクチュエータを始動
させるものとして示され説明されるが、他の実施形態では、第1のアクチュエータ組立部
3400は本明細書で説明される、いかなるカートリッジの任意の適切な部分をも始動さ
せることができる。例えば、幾つかの実施形態では、第1のアクチュエータ組立部340
0は、超音波溶解を容易にするために、超音波変換器を始動させる、取り扱う、及び又は
動かすことができる。
【0212】
図41〜
図46は、機器3002の移送アクチュエータ組立部3500の種々の図を示
す。移送アクチュエータ組立部3500は、例えば、
図20及び
図21を参照して上記で
示され説明された移送組立部6140のような移送組立部又は機構を始動させる及び/又
は取り扱うように構成される。特に、移送アクチュエータ組立部3500は、マガジン3
350内に配置されたカートリッジのそれぞれから移送組立部のうちの最初の1つ(例え
ば、移送組立部6140a)を始動させ、次いで、異なる時点で、カートリッジのそれぞ
れから移送組立部のうちの次の1つ(例えば、移送組立部6140b)を始動させること
ができる。
【0213】
移送アクチュエータ組立部3500は一連のアクチュエータ・シャフト3510を含む
。移送アクチュエータ組立部3500は6つのアクチュエータ・シャフトを含むが、1つ
だけが
図41〜
図46で特定される。アクチュエータ・シャフト3510のそれぞれは、
機器3002内に配置された分離モジュール(例えば、分離モジュール6100)の1つ
又は複数の移送組立部(例えば、移送組立部6140a)と係合する、この中に配置され
る、及び/又はこれを始動させるように構成される。
図44に示すように、各アクチュエ
ータ・シャフト3510は第1の端部3511及び第2の端部3512を有する。第1の
端部3511は、駆動歯車3513(
図41〜
図42参照)に連結され、駆動歯車は次に
、ウォーム駆動シャフト3541によって駆動される。
図41及び
図42に示すように、
回転位置インジケータ3542が、アクチュエータ・シャフト3510のうちの1つの第
1の端部3511に連結される。回転位置インジケータ3542は、スロット及び/又は
開口部3543を画定し、(例えば、光学式感知機構を介して)この回転位置を感知して
アクチュエータ・シャフト3510の回転位置に関するフィードバックを提供することが
できる。
【0214】
各シャフト3510の第2の端部3512は、機器3002内に配置されたカートリッ
ジ(例えば、カートリッジ6001)の移送組立部(例えば、移送組立部6140a)内
に受け入れられる及び/又は係合するように構成された係合部3514を含む。このよう
にして、係合部3514は、前述のようにカートリッジ内の試料の一部の移送を容易にす
るために移送組立部を取り扱う及び/又は始動させることができる。係合部3514は、
アクチュエータ・シャフト3510の回転が結果として移送組立部の一部の回転をもたら
すように、移送組立部の一部(例えば、可動部材6146によって画定される管腔614
9)の形状に対応する形状を有する。特に、
図44に示すように、係合部は八角形の形状
を有する。幾つかの実施形態では、係合部3514は、分離モジュール内の移送組立部の
一部の往復運動を容易にするために移送組立部の突起及び/又は開口部を保持するように
構成された保持機構(例えば、突起、スナップリングなど)を含むことができる。
【0215】
係合部3514は、その中に磁石(図示せず)を配置することができる管腔3515を
画定する。このようにして、アクチュエータ・シャフト3510は、前述のように移送組
立部を介した試料の一部の移送を容易にするためにカートリッジ(例えば、カートリッジ
6001)内に配置された内容物の一部(すなわち磁性ビーズ)に対して力(すなわち、
磁気力)を生じる及び/又は及ぼすことができる。
【0216】
アクチュエータ・シャフト3510は、第1の(又はx軸)モータ3580、第2の(
又はy軸)モータ3560、及び第3の(又は回転)モータ3540によって動かされる
。より詳細に後述するように、x軸モータ3580は支持フレーム3571によって支持
され、y軸モータ3560は係合フレーム組立部3550によって支持され、回転モータ
3540は回転フレーム組立部3530によって支持される。
【0217】
回転フレーム組立部3530は、回転モータ3540に対する支持を提供し、回転モー
タは、
図41の矢印CCCで示すようにy軸を中心としてアクチュエータ・シャフト35
10を回転させるように構成される。同様に述べると、回転モータ3540は、回転フレ
ーム組立部3530に連結され、所望の一連の移送組立部を始動させるためにアクチュエ
ータ・シャフト3510を「始動方向」に(すなわち、y軸を中心として)回転させるよ
うに構成される。回転フレーム組立部3530は、回転板3531、一対のウォーム駆動
ベアリング・ブロック3533、及びウォーム駆動シャフト3541を含む。ウォーム駆
動シャフト3541は、滑車組立部によって回転モータ3540に連結され、2つのウォ
ーム駆動ベアリング・ブロック3533によって支持される。ウォーム駆動シャフト35
41は、各アクチュエータ・シャフト3510の駆動歯車3513と係合する。したがっ
て、ウォーム駆動シャフト3541が第1の方向に(すなわち、z軸を中心として)回転
するときに、各アクチュエータ・シャフト3510は第2の方向に(すなわち、
図41の
矢印CCCで示すようにy軸を中心として)回転する。
【0218】
回転フレーム組立部3530はまた、係合フレーム組立部3550上の一対の対応する
スライド部材3553内にスライド可能に配置することができるy軸位置インジケータ3
534をも含む。このようにして、回転フレーム組立部3530が
図41の矢印DDDで
示すようにy軸に沿って(例えば、「係合方向」)に平行移動するとき、y軸位置インジ
ケータ3534及び対応するスライド部材3553は回転フレーム組立部3530の直線
的な動きを案内する及び/又は位置に関するフィードバックを提供することができる。
【0219】
係合フレーム組立部3550は、回転フレーム組立部3530、したがってアクチュエ
ータ・シャフト3510を
図41の矢印DDDで示すようにy軸に沿って動かすように構
成されるy軸モータ3560に対する支持を提供する。同様に述べると、y軸モータ35
60は、係合フレーム組立部3550に連結され、所望の一連の移送機構を始動させるた
めに始動シャフト3510を「係合方向」に(すなわち、y軸に沿って)動かすように構
成される。係合フレーム組立部3550は、駆動連結部(drive linkage)
3561(y軸モータの回転運動を回転フレーム組立部3530の直線運動に変換する)
に対する支持を提供する支持フレーム3551を含む。回転フレーム組立部3530の移
動は、その各々が対応するベアリング3554内に移動可能に配置される2つのy軸ガイ
ドシャフト3552によって案内される。ベアリング3554は、
図43に示すように回
転板3531に連結される。
【0220】
支持フレーム3571は、フレーム組立部3300の2つの側部フレーム部材3314
の下端部3315に及びこの間に連結される。支持フレーム3571は、x軸モータ35
80及び係合フレーム組立部3550に対する支持を提供する。x軸モータ3580は、
係合フレーム組立部3550、したがって始動シャフト3510を
図41の矢印EEEで
示すようにx軸に沿って(又は位置合わせ方向に)動かすように構成される。このように
して、アクチュエータ・シャフト3510は、移送機構の始動の前に所望の一連の移送機
構と位置合わせすることができる。支持フレーム3571は、x軸ガイドシャフト357
2の対応する対を中心としてスライド可能に配置される一対のベアリング・ブロック35
73によって係合フレーム組立部3550に連結される。
【0221】
使用時に、移送アクチュエータ組立部3500は、機器3001内に配置された一組の
カートリッジ(例えば、カートリッジ6001)の一連の移送機構(例えば、移送組立部
6140a、6140b、及び6166c)を順次に始動させることができる。最初に、
係合フレーム組立部3550を位置合わせ方向に(すなわち、x軸に沿って)動かすこと
によって、アクチュエータ・シャフト3510を所望の移送機構と位置合わせすることが
できる。アクチュエータ・シャフト3510は、次いで、各カートリッジから所望の移送
機構(例えば、移送組立部6140a)に係合させるために係合方向に(すなわち、y軸
に沿って)動かすことができる。アクチュエータ・シャフト3510は、次いで、各カー
トリッジから所望の移送機構(例えば、移送組立部6140a)を始動させるために始動
(すなわち、y軸を中心とした回転)方向に動かすことができる。このようにして、移送
アクチュエータ組立部3500は、機器3002内に配置されたカートリッジのそれぞれ
から移送機構を並行した(又は同時の)様態で始動させる及び/又は取り扱うことができ
る。他の実施形態では、しかしながら、移送アクチュエータ組立部3500及び/又は始
動シャフト3510は、機器3002内に配置されたカートリッジのそれぞれの対応する
移送機構を順次の(又は連続する)様態で順次に始動させるように構成することができる
。
【0222】
図47〜
図51は、機器3002の第2のアクチュエータ組立部3600の種々の図を
示す。第2のアクチュエータ組立部3600は、本明細書で示される又は説明されるカー
トリッジのいずれの移送機構(例えば、移送機構7235)、洗浄バッファモジュール(
例えば、洗浄バッファモジュール7130a)、混合機構(例えば、混合機構6130a
)、及び/又は試薬モジュール(例えば、試薬モジュール7270a)をも始動させる及
び/又は取り扱うように構成される。特に、第2のアクチュエータ組立部3600は、マ
ガジン3350内に配置されたカートリッジのそれぞれから移送機構、混合機構などのう
ちの最初の1つ(例えば混合機構6130a)を始動させ、次いで、異なる時点で、カー
トリッジのそれぞれから移送機構、混合機構などのうちの次の1つ(例えば混合機構61
30b)を始動させることができる。
【0223】
第2のアクチュエータ組立部3600は、フレーム組立部3610によって支持される
係合バー3645、第1の(又はx軸)モータ3640、及び第2の(又はy軸)モータ
3641を含む。
図48に示すように、係合バー3645は一連の突起3346を含む。
係合バー3645は6つの突起(マガジン3350内の各カートリッジに1つずつ対応す
る)を含むが、1つの突起3346だけに符号が付されている。突起のそれぞれは、機器
3002内に配置されたカートリッジの1つ又は複数の移送機構(例えば、移送機構72
35)、洗浄バッファモジュール(例えば、洗浄バッファモジュール7130a)、混合
機構(例えば、混合機構6130a)、及び/又は試薬モジュール(例えば、試薬モジュ
ール7270a)と係合する、この中に配置される、及び/又はこれを始動させるように
構成される。幾つかの実施形態では、係合バー3645及び/又は突起3346は、カー
トリッジの一部内のアクチュエータの往復運動を容易にするためにアクチュエータの一部
(例えば、
図27及び
図28を参照して上記で示され説明されたアクチュエータ7150
aの係合部7153a)を保持するように構成された保持機構(例えば、突起、スナップ
リングなど)を含むことができる。
【0224】
フレーム組立部3610は、第1の軸(又はx軸)取り付けフレーム3620に可動に
連結される第2の軸(又はy軸)取り付けフレーム3630を含む。特に、第2の軸取り
付けフレーム3630は、
図47の矢印GGGで示すようにx軸に沿って第1の軸取り付
けフレーム3620に対して動かすことができる。同様に述べると、係合バー3645及
び/又は突起3346と所望の一連の移送機構、混合機構、試薬モジュールなどとの位置
合わせを容易にするために、第2の軸取り付けフレーム3630を「位置合わせ方向」に
(すなわち、x軸に沿って)第1の軸取り付けフレーム3620に対して動かすことがで
きる。
【0225】
第2の軸取り付けフレーム3620は、係合バー3645及び/又は突起3346を図
47の矢印FFFで示すようにy軸に沿って動かすように構成される第2の(又はy軸)
モータ3641に対する支持を提供する。同様に述べると、第2の軸モータ3641は、
第2の軸取り付けフレーム3620に連結され、所望の一連の移送機構、混合機構、試薬
モジュールなどを始動させるために係合バー3645及び/又は突起3346を「始動方
向」に(すなわち、y軸に沿って)動かすように構成される。係合バー3645の移動は
2つのy軸ガイドシャフト3631によって案内され、この各々は、第2の軸取り付けフ
レーム3620に連結された対応するベアリング内に移動可能に配置される。
【0226】
第1の軸取り付けフレーム3630は、フレーム組立部3300の2つの側部フレーム
部材3314の上側部分3316に及びこれらの間に連結される。第1の軸取り付けフレ
ーム3630は、第1の(又はx軸)モータ3640及び第2の軸取り付けフレーム36
20に対する支持を提供する。第1のモータ3640は、第2の軸取り付けフレーム36
20、したがって係合バー3645を
図47の矢印GGGで示すようにx軸に沿って(又
は位置合わせ方向に)動かすように構成される。このようにして、係合バー3645及び
/又は突起3346aは、こうした機構の始動の前に所望の一連の移送機構、混合機構、
試薬モジュールなどと位置合わせすることができる。第2の軸取り付けフレーム3620
は、x軸ガイドシャフト3631の対応する対を中心としてスライド可能に配置される一
対のベアリング・ブロック3622によって第1の軸取り付けフレーム3630に連結さ
れる。第1の(又はx軸)モータ3640は、取り付け部材3624(例えば
図51参照
)を介して第2の軸取り付けフレーム3620に連結される。
【0227】
使用時に、第2のアクチュエータ組立部3600は、機器3001内に配置された一組
のカートリッジ(例えば、カートリッジ6001)の一連の移送機構(例えば、移送機構
7235)、洗浄バッファモジュール(例えば、洗浄バッファモジュール7130a)、
混合機構(例えば、混合機構6130a)、及び/又は試薬モジュール(例えば、試薬モ
ジュール7270a)を順次に始動させることができる。最初に、係合バー3645は、
第2のフレーム部材3630を位置合わせ方向に(すなわち、x軸に沿って)動かすこと
によって所望の機構(例えば、混合機構6130a)と位置合わせすることができる。係
合バー3645は、次いで、各カートリッジから所望の機構(例えば、混合機構6130
a)を始動させるために、始動方向に(すなわち、y軸に沿って)動かすことができる。
このようにして、第2のアクチュエータ組立部3600は、機器3002内に配置された
カートリッジのそれぞれから移送機構、洗浄バッファモジュール、混合機構及び/又は試
薬モジュールを並行した(又は同時の)様態で始動させる及び/又は取り扱うことができ
る。他の実施形態では、しかしながら、第2のアクチュエータ組立部3600及び/又は
係合バー3645は、機器3002内に配置されたカートリッジのそれぞれの対応する機
構を順次の(又は連続する)様態で順次に始動させるように構成することができる。
【0228】
第2のアクチュエータ組立部3600は、係合バー3645を第1の方向にy軸に沿っ
て動かすことによって所望の機構を始動させることができる。他の実施形態では、しかし
ながら、第2のアクチュエータ組立部3600は、係合バー3645をy軸に沿って往復
運動させること(すなわち、係合バー3645を第1の方向及び第2の方向に交互に動か
すこと)によって所望の移送機構及び/又は試薬アクチュエータを始動させることができ
る。所望の機構が始動される、第2のアクチュエータ組立部3600は、上記で説明され
たのと同様の様態で別の機構及び/又はアクチュエータ(例えば、混合機構6130b)
を始動させることができる。
【0229】
第2のアクチュエータ組立部3600は移送機構及び/又は試薬アクチュエータを始動
させるものとして示され説明されるが、他の実施形態では、第2のアクチュエータ組立部
3600は本明細書で説明されるカートリッジのいずれの任意の適切な部分をも始動させ
ることができる。例えば、幾つかの実施形態では、第2のアクチュエータ組立部3600
は、カートリッジの一部の中への音響エネルギーの伝達を容易にするために、超音波変換
器を始動させる、取り扱う、及び又は動かすことができる。
【0230】
図52〜63は、機器3002のヒータ組立部3700の種々の図を示す。ヒータ組立
部3700は、カートリッジ内のプロセスを促進する及び/又は容易にするために(例え
ば、「ホットスタート」プロセス、加熱溶解プロセス、及び/又はPCRの熱サイクルプ
ロセスを促進する、容易にする、及び/又はもたらすために)カートリッジの1つ又は複
数の部分(例えば、PCRバイアル7260、基体7220及び/又は溶解チャンバ71
14に隣接するハウジング7110の領域)を加熱するように構成される。特に、ヒータ
組立部3700は、マガジン3350内に配置されたカートリッジのそれぞれの第1の部
分(例えばPCRバイアル6260)を始動させ及び/又は加熱し、次いで、異なる時点
で、カートリッジのそれぞれから第2の部分(例えば溶解チャンバ6114に隣接する分
離モジュール6100の一部)を始動させる及び/又は加熱することができる。
【0231】
ヒータ組立部3700は、一連の受入ブロック3710(マガジン3350内の各カー
トリッジに1つずつ対応する)、位置決め組立部3770、第1の加熱モジュール373
0、第2の加熱モジュール3750、及び第3の加熱モジュール3780を含む。受入ブ
ロック3710は、カートリッジ6001のPCRバイアル6260のようなカートリッ
ジの反応チャンバの少なくとも一部を受け入れるように構成される。
図53〜
図56に示
すように、受入ブロック3710は、取り付け面3714を含み、反応体積3713を画
定する。反応体積3713は、カートリッジ6001のPCRバイアル6260のサイズ
及び/又は形状に実質的に対応するサイズ及び/又は形状を有する。
図54及び
図56に
示すように、反応体積3713は、縦軸LAを画定し、PCRバイアル6260が反応体
積3713内に配置されるときにPCRバイアル6260の一部を実質的に包囲する。こ
のようにして、ヒータ組立部3700によってPCRバイアル6260内の試料に提供さ
れるあらゆる刺激(例えば、加熱又は冷却)を、実質的に空間的に一様な様態で提供する
ことができる。さらに、
図56に示すように、反応体積3713を画定する受入ブロック
3710の一部の側壁は、実質的に一様な壁厚を有する。この配置は、反応体積3713
とヒータ組立部3700の残りの部分との間の熱伝達が実質的に空間的に一様な様態で起
こることを可能にする。
【0232】
受入ブロック3710は、熱電デバイス3731が取り付け面3714と接触するよう
にクランプ・ブロック3733(例えば
図57参照)によって取り付けブロック3734
(例えば
図58参照)に連結される。このようにして、例えばPCRプロセスのような試
料Sの熱により誘発される反応をもたらすために、反応体積3713とその中に収容され
た試料をサイクルで加熱することができる。
【0233】
各受入ブロック3710は、第1の(又は励起)管腔3711、第2の(又は放出)管
腔3712、及び第3の(又は温度監視)管腔3715を画定する。熱電対又は他の適切
な温度測定デバイスを、第3の管腔3715を介してPCRバイアルに隣接して配置する
ことができる。
図52に示すように、励起ファイバ3831が、励起ファイバ3831及
び/又は第1の管腔3711が第1の光路3806を画定し且つ反応体積3713と光学
的に連通するように第1の管腔3711内に少なくとも部分的に配置される。このように
して、光ビーム(及び/又は光信号)を、励起ファイバ3831及び/又は第1の管腔3
711を介して反応体積3713とブロック3710の外部の領域との間で伝えることが
できる。励起ファイバ3831は、それを通して又はそれから光ビームを伝えることがで
きる本明細書で示され説明されるタイプの任意の適切な構造体、デバイス、及び/又は機
構とすることができる。幾つかの実施形態では、励起ファイバ3831は、例えば、マル
チモードファイバ又は単一モードファイバのような光ビームを伝える任意の適切な光ファ
イバとすることができる。
【0234】
検出ファイバ3832は、検出ファイバ3832及び/又は第2の管腔3712が第2
の光路3807を画定し且つ反応体積3713と光学的に連通するように第2の管腔37
12内に少なくとも部分的に配置される。このようにして、光ビーム(及び/又は光信号
)を、検出ファイバ3832及び/又は第2の管腔3712を介して反応体積3713と
ブロック3710の外部の領域との間で伝えることができる。検出ファイバ3832は、
それを通して又はそれから光ビームを伝えることができる本明細書で示され説明されるタ
イプの任意の適切な構造体、デバイス、及び/又は機構とすることができる。幾つかの実
施形態では、検出ファイバ3832は、例えば、マルチモードファイバ又は単一モードフ
ァイバのような光ビームを伝える任意の適切な光ファイバとすることができる。
【0235】
後述するように、励起ファイバ3831と検出ファイバ3832は光学組立部3800
に連結される。光学組立部3800は、1つ又は複数の励起光ビームを生じることができ
、且つ1つ又は複数の放出光ビームを検出することができる。したがって、励起ファイバ
3831は、PCRバイアル6260内に収容された試料Sの一部を励起させるために励
起光ビームを光学組立部から反応体積3713の中に伝えることができる。同様に、検出
ファイバ3832は、試料S内の分析物又は他の標的によって生じた放出光ビームをPC
Rバイアル6260から光学組立部3800に伝えることができる。
【0236】
図55に示すように、第1の管腔3711と第2の管腔3712は、およそ90度であ
るオフセット角Θを画定する。同様に述べると、第1の光路3806と第2の光路380
7は、およそ90度であるオフセット角Θを画定する。より詳細には、第1の光路380
6と第2の光路3807は、反応体積3713の縦軸LAに実質的に平行な方向で見たと
きにおよそ90度であるオフセット角Θを画定する。同様の様態で、第1の管腔3711
及び第2の管腔3712内に配置される励起ファイバ3831及び検出ファイバ3832
は、それぞれおよそ90度であるオフセット角Θを画定する。この配置は、検出ファイバ
3832によって受光される励起光ビームの量を最小にし、これにより光検出及び/又は
監視の正確さ及び/又は感度を改善する。
【0237】
幾つかの実施形態では、第1の管腔3711と第2の管腔3712は、オフセット角Θ
がおよそ75度よりも大きくなるように位置決めすることができる。他の実施形態では、
第1の管腔3711と第2の管腔3712は、オフセット角Θがおよそ75度からおよそ
105度までの間となるように位置決めすることができる。
【0238】
図54に示すように、第1の管腔3711の中心線は、第2の管腔3712の中心線と
実質的に平行である及びこれからオフセットされる(すなわち、斜めにされる)。同様に
述べると、励起ファイバ3831(したがって第1の光路3806)は、検出ファイバ3
832(したがって第2の光路3807)から斜めにされる。別の言い方をすれば、第1
の管腔3711(及び/又は励起ファイバ3831)及び第2の管腔3712(及び/又
は検出ファイバ3832)は、受入ブロック3710によって画定される基準面からそれ
ぞれ距離Y1及びY2だけ離間され、この場合Y1はY2とは異なる。したがって、励起
ファイバ3831及び/又は第1の光路3806が反応体積3713と交差する縦軸LA
に沿った位置は、検出ファイバ3832及び/又は第2の光路3807が反応体積371
3と交差する縦軸LAに沿った位置とは異なる。このようにして、第1の光路3806及
び/又は励起ファイバ3831は、第2の光路3807及び/又は第2の光学部材383
1から斜めにすることができる。
【0239】
距離Y1及び距離Y2は、励起ファイバ3831及び検出ファイバ3832がPCRバ
イアル6260の所望の部分においてそれぞれ第1の光路3806及び第2の光路380
7をもたらす及び/又は画定するように構成されるように、任意の適切な距離とすること
ができる。例えば、幾つかの実施形態では、距離Y1は、第1の管腔3711、励起ファ
イバ3831、及び/又は第1の光路3806が受入ブロック3710内に配置されたP
CRバイアル6260内の試料の充填線の場所よりも下の場所で反応体積3713に入る
及び/又はこれと交差するような距離とすることができる。このようにして、励起ファイ
バ3831によって伝えられる励起光ビームは、充填線よりも下で試料に入るであろう。
他の実施形態では、しかしながら、距離Y1は、第1の管腔3711、励起ファイバ38
31、及び/又は第1の光路3806がPCRバイアル6260内の試料の充填線の場所
よりも上の場所で反応体積3713に入るような距離とすることができる。
【0240】
同様に、幾つかの実施形態では、距離Y2は、第2の管腔3712、検出ファイバ38
32、及び/又は第2の光路3807が受入ブロック3710内に配置されたPCRバイ
アル6260内の試料の充填線の場所よりも下の場所で反応体積3713に入る及び/又
はこれと交差するような距離とすることができる。他の実施形態では、しかしながら、距
離Y2は、第2の管腔3712、検出ファイバ3832、及び/又は第2の光路3807
がPCRバイアル6260内の試料の充填線の場所よりも上の場所で反応体積3713に
入る及び/又はこれと交差するような距離とすることができる。
【0241】
第1の加熱モジュール3730は、一連の熱電デバイス3731(各カートリッジ及び
/又は各受入ブロック3710に1つずつ対応する)、取り付けブロック3734、一連
のクランプ・ブロック3733、及びヒートシンク3732を含む。
図58に示すように
、取り付けブロック3734は第1の部分3735及び第2の部分3737を含む。第1
の部分3735は、それに各熱電デバイス3731が連結される角度をつけられた表面3
736を含む。このようにして、各受入ブロック3710は、熱電デバイス3731が受
入ブロック3710の取り付け面3714と接触するように、対応するクランプ・ブロッ
ク3733によって取り付けブロック3734に連結される。
【0242】
取り付けブロック3734の第2の部分3737はヒートシンク3732に連結される
。ヒートシンク(例えば
図59参照)は、受入ブロック3710と機器3002の外部の
領域との間の熱伝達を容易にするための任意の適切なデバイスとすることができる。幾つ
かの実施形態では、ヒートシンク3732は、取り付けブロック3734を能動的に冷却
する(すなわちそこからの熱を除去する)デバイス及び/又は機構を含むことができる。
【0243】
位置決め組立部3770は、ヒートシンク3732及びフレーム組立部3300の一部
に連結され、ヒータ組立部3700をy軸に沿った方向に直線的に動かすように構成され
る。したがって、始動されたときに、位置決め組立部3770は、前述のようにPCRバ
イアル(例えばPCRバイアル6260)が受入ブロック3710内に配置されるように
ヒータ組立部3700をマガジン3350及び/又はその中のカートリッジに対して動か
すことができる。位置決め組立部3770は、モータ3771と、モータ3771の回転
運動を直線運動に変えるように構成された連結組立部3772を含む。ヒータ組立部37
00の移動はy軸ガイドシャフト3773によって案内される。
【0244】
使用時に、第1の加熱モジュール3730は、PCRプロセス及び/又はその中に収容
された内容物の混合を促進するために機器3001内に配置されたカートリッジのそれぞ
れのPCRバイアルをサイクルで加熱することができる。さらに、カートリッジのそれぞ
れは別個の受入ブロック3710を介して別個の熱電デバイス3731によって加熱され
るので、幾つかの実施形態では、第1のカートリッジの熱サイクルを第2のカートリッジ
の熱サイクルとは異なる時点で行うことができる。さらに、各カートリッジは機器内の他
のカートリッジから独立して熱サイクルを受けることができるので、幾つかの実施形態で
は、第1のカートリッジに対する熱サイクルプロトコル(例えば、熱サイクルイベントの
時間及び温度)は、第2のカートリッジに対する熱サイクルプロトコルとは異なるものと
することができる。幾つかの実施形態では、第1の加熱モジュール3730は、熱サイク
ルのために用いられず、代わりに、一定の温度、例えばRNA試料に対する逆転写を行う
温度に保たれる。
【0245】
第2の加熱モジュール3750は、一連の抵抗ヒータ3751(各カートリッジ及び/
又は各受入ブロック3710に1つずつ対応する)、取り付け板3754、第1の断熱部
材3752、及び第2の断熱部材3753を含む。
図60に示すように、取り付け板37
54は第1の部分3755及び第2の部分3760を含む。第1の部分3755は、抵抗
ヒータ3751のそれぞれに対する設置支持を提供する。同様に述べると、抵抗ヒータ3
731のそれぞれは取り付け板3754に連結される。
【0246】
取り付け板3754は、第1の断熱部材3752が取り付けブロック3734と取り付
け板3754の第1の部分3755との間に配置され且つ第2の断熱部材3753が取り
付けブロック3734と取り付け板3754の第2の部分3760との間に配置されるよ
うに、第1の加熱モジュール3730の取り付けブロック3734に連結される。このよ
うにして、第2の加熱モジュール3750は、第1の加熱モジュール3730から実質的
に独立して機能することができる。同様に述べると、この配置は、取り付け板3754と
取り付けブロック3734との間の熱伝達を減少させる及び/又は制限する。
【0247】
取り付け板3754の第1の部分3755は、上面3758を含み、凹部3756と一
連の管腔3757(マガジン3350内の各カートリッジに1つずつ対応する)を画定す
る。使用時に、ヒータ組立部3700が機器3002内のカートリッジのそれぞれの付近
の位置に動かされるときに、各PCRバイアルは、対応する管腔3757を通して、対応
する受入ブロック3710によって画定される反応体積3713の中に配置される。した
がって、幾つかの実施形態では、ヒータ組立部3700がカートリッジのそれぞれの付近
に位置決めされるときに、管腔3757を画定する取り付け板3754の側壁は、各PC
Rバイアル6260の付近に位置決めされる及び/又は実質的にこの一部を包囲する。他
の実施形態では、しかしながら、PCRバイアル6260は、管腔3757から離間する
ことができ、及び/又はこの中に存在しないようにすることができる。例えば、幾つかの
実施形態では、ヒータ組立部3700がカートリッジのそれぞれの付近に位置決めされる
ときに、移送ポート(例えば、
図30及び
図31を参照して上記で示され説明されたPC
Rモジュール7200の移送ポート7229)のみを取り付け板3754の管腔3737
内に配置することができる。
【0248】
図60に示すように、取り付け板3754の第2の部分3760は、一連の凹部及び/
又はキャビティ3761を画定する(マガジン3350内の各カートリッジに1つずつ対
応する)。使用時に、ヒータ組立部3700が機器3002内のカートリッジのそれぞれ
の付近の位置に動かされたときに、カートリッジの一部は、取り付け板3754の対応す
る凹部3761内に配置される。より詳細には、
図52に示すように、溶出チャンバ61
90(
図52では識別されない)に対応する分離モジュール(例えば、分離モジュール6
100)の一部は、対応する凹部3761内に配置される。したがって、ヒータ組立部3
700がカートリッジのそれぞれの付近に位置決めされたときに、凹部3761を画定す
る取り付け板3754の第2の部分3760の側壁は、溶出チャンバ6190の付近に位
置決めされる及び/又はその一部を実質的に取り囲む。このようにして、第2の加熱モジ
ュール3750は、各カートリッジの溶出チャンバ6190内に収容された試料の一部を
加熱する及び/又は熱サイクルを行うことができる。
【0249】
使用時に、第2の加熱モジュール3750は、カートリッジ内で起こる反応プロセスを
促進する、改善する、及び/又は容易にするために機器3001内に配置されたカートリ
ッジのそれぞれの一部を加熱することができる。例えば、幾つかの実施形態では、第2の
加熱モジュール3750は、PCRモジュールの基体(例えば、
図29〜
図31を参照し
て上記で示され説明されたPCRモジュール7200の基体7220)の一部を加熱する
ことができる。第2の加熱モジュール3750による加熱は、一実施形態では、逆転写反
応を容易にする、又は「ホットスタート」PCRのためになされる。
【0250】
より詳細には、幾つかの実施形態では、第2の加熱モジュール3750は、PCRプロ
セスに関連した「ホットスタート」法を容易にすることができる。ホットスタート法は、
増幅反応における核酸の非特異的プライミングを低減させるために「ホットスタート酵素
」(ポリメラーゼ)の使用を含む。より詳細には、酵素が周囲温度(例えば、およそ50
℃以下)に維持されるときに、非特異的ハイブリダイゼーションが起こる可能性があり、
これは、ポリメラーゼの存在下で非特異的プライミングを招くことがある。したがって、
ホットスタート酵素は、周囲温度で不活性な酵素であり、所定の温度に加熱されるまで活
性化しない。こうした所定の温度は、およそ40℃、50℃、70℃、又は95℃を上回
る温度とすることができる。「ホットスタート」法を容易にするために、第2の加熱モジ
ュール3750は、マスターミックスをPCRバイアル(例えばPCRバイアル7260
)内の増幅反応に添加する前に、溶出した核酸試料を高い温度(例えば、およそ40℃、
50℃、70℃、又は95℃を上回る温度)に維持するのに溶出チャンバ(例えば、溶出
チャンバ7190)を加熱することができる。幾つかの実施形態では、例えば、第2の加
熱モジュール3750は、溶出チャンバ7190内の試料の温度をおよそ50℃からおよ
そ95℃までの間の温度に維持することができる。溶出した核酸をこのように加熱するこ
とによって、ポリメラーゼの存在下での非特異的ハイブリダイゼーション及び/又は偽プ
ライミングをなくす及び/又は低減させることができる。
【0251】
反応試薬(例えば、上記の
図30及び
図31に示される試薬モジュール7270b内に
収容された物質R2)を、次いで、PCRバイアル(例えば、PCRバイアル7260)
の、その中に収容された凍結乾燥したマスターミックスに加えることができる。溶出チャ
ンバ(例えば、溶出チャンバ7190)からの加熱された核酸試料を、次いで、前述のよ
うにPCRバイアルの中に移送することができる。さらに、第2の加熱モジュール725
0はまた、その中の内容物(例えば、溶出チャンバからPCRバイアルに移送される溶出
した核酸試料)を高い温度(例えば、およそ40℃、50℃、70℃、又は95℃を上回
る温度)に維持することができるように、溶出チャンバとPCRバイアルとの間の流路(
例えば、通路7222)を加熱することができる。幾つかの実施形態では、例えば、第2
の加熱モジュール3750は、流れ通路内の試料の温度をおよそ50℃からおよそ95℃
までの間の温度に維持することができる。加熱された溶離試料がPCRバイアルの中に運
ばれた後で、溶液は温度サイクル(第1の加熱モジュール3730によってもたらされる
)を通じて混合され、次いで、PCR反応が開始される。
【0252】
第3の加熱モジュール3780は、少なくとも1つのヒータ(図示せず)とヒータ・ブ
ロック3784を含む。
図63に示すように、ヒータ・ブロック3784は、その各々が
マガジン3350内のカートリッジのそれぞれに対応する一連の凹部及び/又はキャビテ
ィ3786a、3786b、3786c、3786d、3786e、3786fを画定す
る)。使用時に、ヒータ組立部3700が機器3002内のカートリッジのそれぞれの付
近の位置に動かされたときに、カートリッジの一部は、ヒータ・ブロック3784の対応
する凹部(例えば、凹部3786a)内に配置される。より詳細には、
図52に示すよう
に、溶解チャンバ6114(
図52では識別されない)に対応する分離モジュール(例え
ば、分離モジュール6100)の一部は、対応する凹部内に配置される。したがって、ヒ
ータ組立部3700がカートリッジのそれぞれの付近に位置決めされたときに、凹部37
86を画定するヒータ・ブロック3784の側壁は、溶解チャンバ6114の付近に位置
決めされる及び/又はその一部を実質的に取り囲む。このようにして、第3の加熱モジュ
ール3780は、各カートリッジの溶解チャンバ6114内に収容された試料の一部を加
熱する及び/又は熱サイクルを行うことができる。一実施形態では、第3の加熱モジュー
ル3780による加熱は、逆転写及び/又はPCR反応中に起こる。
【0253】
図64〜
図70は、機器3002の光学組立部3800の種々の図を示す。光学組立部
3800は、機器3002内に配置されたカートリッジで起こる反応を監視するように構
成される。より詳細には、光学組立部3800は、カートリッジのPCRバイアル(例え
ばPCRバイアル6260)内で起こるPCR反応の前に、PCR反応中に、及び/又は
PCR反応後にテスト試料内の1つ又は複数の異なる分析物及び/又は標的を検出するよ
うに構成される。本明細書で説明されるように、光学組立部3800は、試料を順次の及
び/又は段階的な様態及び/又はリアルタイムで分析することができる。光学組立部38
00は、励起モジュール3860、検出モジュール3850、スライド組立部3870、
及び光ファイバ組立部3830を含む。
【0254】
例えば、一実施形態では、光学組立部は、核酸増幅反応をリアルタイムで監視するのに
用いられる。さらなる実施形態では、増幅反応はPCRである。別の実施形態では、光学
組立部は、連結アッセイ、例えば、酵素と基体又は配位子とレセプタとの間の連結からの
結果を測定するのに用いられる。
【0255】
光ファイバ組立部3830は、一連の励起光ファイバ(
図64の励起ファイバ3831
a、3831b、3831c、3831d、3831e、3831f、3831gとして
識別される)を含む。励起ファイバ3831a、3831b、3831c、3831d、
3831e、及び3831fのそれぞれは、励起モジュール3860から対応する受入ブ
ロック3710に光ビーム及び/又は光信号を伝えるように構成される。したがって、各
励起ファイバ3831a、3831b、3831c、3831d、3831e、及び38
31fの第1の端部は、前述のように受入ブロック3710の管腔3711内に配置され
る。励起ファイバ3831gは、較正ファイバであり、励起モジュール3860から光較
正モジュール(図示せず)に光ビーム及び/又は光信号を伝えるように構成される。励起
光ファイバ3831は、例えば、マルチモードファイバ又は単一モードファイバのような
光ビームを伝える任意の適切な光ファイバとすることができる。
【0256】
光ファイバ組立部3830は、一連の検出光ファイバ(
図64の検出ファイバ3832
a、3832b、3832c、3832d、3832e、3832f、3832gとして
識別される)を含む。検出ファイバ3832a、3832b、3832c、3832d、
3832e、及び3832fのそれぞれは、受入ブロック3710から検出モジュール3
850に光ビーム及び/又は光信号を伝えるように構成される。したがって、各検出ファ
イバ3832a、3832b、3832c、3832d、3832e、及び3832fの
第1の端部は、前述のように受入ブロック3710の管腔3712内に配置される。検出
ファイバ3832gは、較正ファイバであり、光較正モジュール(図示せず)から光ビー
ム及び/又は光信号を受光するように構成される。検出光ファイバ3832は、例えば、
マルチモードファイバ又は単一モードファイバのような光ビームを伝える任意の適切な光
ファイバとすることができる。
【0257】
光ファイバ組立部3830はまた、ファイバ取り付けブロック3820を含む。
図70
に示すように、ファイバ取り付けブロック3820は、一連の管腔3825a〜3825
g及び一連の管腔3824a〜3824gを画定する。管腔3824のそれぞれは、対応
する励起光ファイバ(例えば、
図65で識別される場合の励起ファイバ3831a)の第
2の端部を受け入れるように構成される。同様に、管腔3825のそれぞれは、対応する
検出光ファイバ(例えば、
図65で識別される場合の検出ファイバ3832a)の第2の
端部を受け入れるように構成される。ファイバ取り付けブロック3820は、より詳細に
後述するように励起ファイバ3831を励起モジュール3860に光学的に連結する及び
検出ファイバ3832を検出モジュール3850に光学的に連結するために、スライド組
立部3870のスライドレール3890に連結される。
【0258】
図65に示すように、光ファイバ組立部3830は、本明細書で説明される光学的接続
を容易にするために、及び/又は光ファイバ組立部3830によって伝えられる光ビーム
を修正する、調整する、及び/又は変形するために、一連のスペーサ、レンズ、及び封止
部材を含む。より詳細には、光ファイバ組立部3830は、ファイバ取り付けブロック3
820及び/又はスライドプレート3890内に配置されるように構成された一連の励起
スペーサ3833及び検出スペーサ3834を含む。光ファイバ組立部3830はまた、
ファイバ取り付けブロック3820及び/又はスライドプレート3890内に配置される
ように構成された一連の励起レンズ3835及び検出レンズ3836をも含む。光ファイ
バ組立部3830はまた、ファイバ取り付けブロック3820及び/又はスライドプレー
ト3890内に配置されるように構成された一連の励起封止部材3837及び検出封止部
材3838をも含む。励起封止部材3837及び検出封止部材3838は、光学組立部3
800によって画定される光路をシールする及び/又は汚染物質が入るのを防ぐように構
成される。
【0259】
図64〜
図66に示すように、光学組立部3800は、一連の励起光ビーム(及び/又
は光信号、図示せず)を生じるように構成された励起モジュール3860を含む。励起モ
ジュール3860は、その上に一連の励起光源3862が設置される励起回路基板386
1を含む。光源3862は、例えば、レーザ、発光ダイオード(LED)、フラッシュラ
ンプなどのような一連の励起光ビームを生じるための任意の適切なデバイス及び/又は機
構とすることができる。幾つかの実施形態では、光源3862のそれぞれによって生じた
光ビームは、他の光源3862によって生じた光ビームと実質的に同じ特徴(例えば、波
長、振幅、及び/又はエネルギー)を有することができる。他の実施形態では、しかしな
がら、第1の光源3862は、第1の特徴の組(例えば、赤色光ビームに関連した波長)
を有する光ビームを生じることができ、第2の光源3862は、第2の異なる特徴の組(
例えば、緑色光ビームに関連した波長)を有する光ビームを生じることができる。この配
置は、異なる光ビーム(すなわち、異なる特徴を有するビーム)のそれぞれが受入ブロッ
ク3710のそれぞれに本明細書でより詳細に説明されるように順次の様態で運ばれるこ
とを可能にする。
図65に示すように、励起モジュール3860は、本明細書で説明され
る光学的接続を容易にするために、及び/又は励起モジュール3860によって生じる及
び励起ファイバ3831によって伝えられる光ビームを修正する、調整する、及び/又は
変形するために、一連のスペーサ3863、フィルタ3864、及びレンズ3865を含
む。
【0260】
図64〜
図66に示すように、光学組立部3800は、一連の放出光ビーム(及び/又
は光信号、図示せず)を受光する及び/又は検出するように構成された検出モジュール3
850を含む。検出モジュール3850は、その上に一連の放出光検出器3852が取り
付けられる検出回路基板3851を含む。放出光検出器3852は、一連の放出光ビーム
を検出するための、例えば、光学検出器、フォトレジスタ、光起電力セル、フォトダイオ
ード、光電管、CCDカメラなどのような任意の適切なデバイス及び/又は機構とするこ
とができる。幾つかの実施形態では、各検出器3852は、放出光ビームの特徴(例えば
、波長、振幅、及び/又はエネルギー)に関係なく放出光ビームを選択的に受光するよう
に構成することができる。他の実施形態では、しかしながら、検出器3852は、特定の
特徴の組(例えば、赤色光ビームに関連した波長)を有する放出光ビームに対応するよう
に構成する(又は「調整する」)ことができる。幾つかの実施形態では、例えば、検出器
3852のそれぞれは、励起モジュール3860の対応する光源3862によって励起さ
れるときに試料の一部の励起によって生じた放出光を受光するように構成することができ
る。この配置は、異なる放出光ビーム(すなわち、異なる特徴を有するビーム)のそれぞ
れが受入ブロック3710のそれぞれから本明細書でより詳細に説明されるように順次の
様態で受光されることを可能にする。
図65に示すように、検出モジュール3850は、
本明細書で説明される光学的接続を容易にするために、及び/又は検出モジュール385
0によって受光される放出光ビームを修正する、調整する、及び/又は変形するために、
一連のスペーサ3853、フィルタ3854、及びレンズ3855を含む。
【0261】
スライド組立部3870は、取り付け部材3840、スライド・ブロック3880、及
びスライドレール3890を含む。スライド・ブロック3880は、取り付け部材384
0に連結され、スライドレール3890にスライド可能に取り付けられる。より詳細に後
述するように、使用時に、ステッパモータ3873によって回転される打込みねじ387
2は、スライド・ブロック3880(したがって取り付け部材3840)を
図64及び図
66の矢印HHHで示すようにスライドレール3890に対して動かすためにスライド・
ブロック3880の一部と共に回転することができる。このようにして、取り付け部材3
840は、励起光源3862及び放出光検出器3852のそれぞれを各励起ファイバ38
31及び放出ファイバ3832の第2の端部とそれぞれ光学的に連通するように順次に動
かすために、スライドレール3890に対して動かすことができる。スライド組立部38
70と光学モジュール3800の作動のさらなる詳細が以下で提供される。
【0262】
図67に示すように、取り付け部材3840は、一連の励起管腔3844a〜3844
f及び一連の放出管腔3845a〜3845fを画定する。
図65に示すように、各励起
光源3862は、対応する励起管腔3844内に配置され、各放出光検出器3852は、
対応する放出管腔3845内に配置される。取り付け部材3840は、スライド・ブロッ
ク3880の移動が取り付け部材3840(したがって励起光源3862及び放出光検出
器3852)の移動を引き起こすようにスライド・ブロック3880に連結される。
【0263】
図68に示すように、スライド・ブロック3880は、第1の部分3881及び第2の
部分3882を含む。第1の部分3881は、ガイド突起3886を含み、一連の励起管
腔3884a〜3884f及び一連の放出管腔3855a〜3855fを画定する。スラ
イド・ブロック3880が取り付け部材3840に連結されるときに、スライド・ブロッ
ク3880の励起管腔3884のそれぞれが、取り付け部材3840の対応する励起管腔
3844と位置合わせされる。同様に、スライド・ブロック3880の放出管腔3885
のそれぞれが、取り付け部材3840の対応する放出管腔3845と位置合わせされる。
ガイド突起は、スライドレール3890上の対応する溝3896内にスライド可能に配置
されるように構成される。
【0264】
スライド・ブロック3880の第2の部分3882は、一対のガイド管腔3887及び
親ねじ管腔3888を画定する。使用時に、スライド・ブロック3880をスライドレー
ル3890に対して動かすために、打込みねじ3872が親ねじ管腔3888内で回転さ
れる。スライド・ブロック3880の動きは、対応するガイド管腔3887内にスライド
可能に配置されるガイドレール3871によって案内される。
【0265】
図69に示すように、スライドレール3890は、7つの励起開口部3894a、38
94b、3894c、3894d、3894e、3894f、及び3894gと、7つの
検出開口部3895a、3895b、3895c、3895d、3895e、3895f
、及び3895gを画定する。ファイバ取り付けブロック3820は、励起ファイバ38
31が対応する各励起開口部と光学的に連通し且つ検出ファイバ3832が対応する各励
起開口部と光学的に連通するようにスライドレール3890に連結される。このようにし
て、スライド・ブロック3880と取り付け部材3840がスライドレール3890に対
して集合的に動かされるときに、スライド・ブロック3880及び取り付け部材3840
の励起開口部及び検出開口部のそれぞれが、スライドレール3890の各励起開口部38
94及び検出開口部3895のそれぞれと順次に位置合わせされる。
【0266】
使用時に、増幅プロセス中に、又は増幅プロセス後に、スライド組立部3870は、各
光源3862及び光学検出器3852の対が励起ファイバ3831及び検出ファイバ38
32の各対を順次に通過するようにスライド・ブロック3880を制御可能に動かすこと
ができる。このようにして、光学組立部3800は、段階的な方法及び/又はマルチプレ
ックス化された方法で6つのPCRバイアル(例えばPCRバイアル6260)のそれぞ
れの中の試料を分析することができる。
【0267】
図71〜
図73は、機器3002の電子制御及びコンピュータシステムの略ブロック図
である。
【0268】
光学組立部3800は、励起モジュール3860に隣接する検出モジュール3850を
含むものとして示されるが、他の実施形態では、機器の光学組立部は、励起モジュールに
対して或る位置におかれる検出モジュールを含むことができる。例えば、
図74〜
図76
は、光学組立部3800を参照して前述したように一連の試料の段階的な光学検出を行う
ように構成された光学組立部4800の略図である。光学組立部4800は、6つの反応
バイアル260を収容するように構成される機器(例えば、本明細書で示され説明される
機器のいずれかのような)の一部である。光学組立部4800は、励起モジュール486
0、検出モジュール4850、及びファイバ組立部4830を含む。励起モジュール48
60は、4つの励起光源4862a、4862b、4862c、及び4862dを含む。
励起光源のそれぞれは、異なる波長を有する励起光ビームを生じるように構成される。例
えば、光源4862aは、色#1(例えば、赤色)を有する光ビームを生じるように構成
され、光源4862bは、色#2(例えば、緑色)を有する光ビームを生じるように構成
され、光源4862cは、色#3(例えば、青色)を有する光ビームを生じるように構成
され、光源4862dは、色#4(例えば、黄色)を有する光ビームを生じるように構成
される。
【0269】
検出モジュール4850は、4つの検出器4852a、4852b、4852c、及び
4865dを含む。検出器のそれぞれは、異なる波長を有する放出光ビームを受光するよ
うに構成される。例えば、検出器4852aは、励起色#1をもつ分析物の励起から結果
的に生じる光ビームを受光するように構成され、検出器4852bは、励起色#2をもつ
分析物の励起から結果的に生じる光ビームを受光するように構成され、検出器4852c
は、励起色#3をもつ分析物の励起から結果的に生じる光ビームを受光するように構成さ
れ、検出器4852dは、励起色#4をもつ分析物の励起から結果的に生じる光ビームを
受光するように構成される。
【0270】
ファイバ組立部4830は、一連の励起ファイバ4831及び一連の検出ファイバ48
32を含む。特に、各反応バイアル260を励起モジュール4860に光学的に連結する
のに1つの励起ファイバが用いられ、各反応バイアル260を検出モジュール4850に
光学的に連結するのに1つの検出ファイバ4832が用いられる。励起モジュール486
0及び検出モジュール4850は、ファイバ組立部4830に対して動くように構成され
る。このようにして、光源及びその対応する検出器(例えば、光源4862a及び検出器
4852a)のそれぞれを特定の反応バイアル260の励起及び検出(detecgti
on)ファイバと順次に位置合わせすることができる。
【0271】
使用時に、光学組立部4800が第1の構成にあるときに、
図74に示すように、光源
4862a及び検出器4852aは第1の反応バイアル260と光学的に連通する。した
がって、第1の反応バイアル内に収容された試料を色#1を有する励起光で分析すること
ができる。励起モジュール4860及び検出モジュール4850は、次いで、光学組立部
を第2の構成におくために
図75の矢印IIIで示されるように動かされる。光学組立部
4800が第2の構成にあるときに、
図75に示すように、光源4862a及び検出器4
852aは第2の反応バイアル260と光学的に連通し、光源4862b及び検出器48
52bは第1の反応バイアル260と光学的に連通する。したがって、第1の反応バイア
ル内に収容された試料を色#2を有する励起光で分析することができ、第2の反応バイア
ル内に収容された試料を色#1を有する励起光で分析することができる。励起モジュール
4860及び検出モジュール4850は、次いで、光学組立部を第3の構成におくために
図76の矢印JJJで示されるように動かされる。光学組立部4800が第3の構成にあ
るときに、
図76に示すように、光源4862a及び検出器4852aは第3の反応バイ
アル260と光学的に連通し、光源4862b及び検出器4852bは第2の反応バイア
ル260と光学的に連通し、光源4862c及び検出器4852cは第1の反応バイアル
260と光学的に連通する。したがって、第1の反応バイアル内に収容された試料を色#
3を有する励起光で分析することができ、第2の反応バイアル内に収容された試料を色#
2を有する励起光で分析することができ第3の反応バイアル内に収容された試料を色#1
を有する励起光で分析することができる。
【0272】
図75は、一実施形態に係る生体試料中の核酸を検出する方法100の流れ図である。
特に、例証された方法は、本明細書で示され説明されるカートリッジのいずれか、及び本
明細書で示され説明される機器のいずれかを用いて行うことができる「一段階標的検出」
法である。より詳細には、後述の方法100の動作は、カートリッジを開くこと及び/又
は他の方法で試料、試薬、及び/又はPCR混合物を外部条件に露出することなくカート
リッジの中で行うことができる。同様に述べると、後述の方法100の動作は、試料及び
/又は試薬を移送するためにヒトの介入を必要とすることなくカートリッジの中で行うこ
とができる。説明する目的で、方法100は、
図25〜
図33を参照して上記で示され説
明されたカートリッジ7001の分離モジュール7100及びPCRモジュール7200
で行われるものとして説明される。
【0273】
方法は、溶出チャンバ内の磁性捕捉ビーズ(magnetic capture bea
ds)からの核酸の溶出102を含む。このプロセスは、例えば、分離モジュール710
0の溶出チャンバ7190内で行うことができる。より詳細には、
図29〜
図31を参照
すると、溶離バッファは、試薬モジュール7270a内に保存することができ、且つ溶離
動作を完了させるために前述のように溶出チャンバ7190の中に移送することができる
。溶離バッファは、本明細書で説明される及び/又は核酸増幅(例えば、PCR及び逆転
写を介する)と適合する任意の適切な溶離バッファとすることができる。
【0274】
溶出した核酸は、次いで、溶出チャンバからPCRチャンバに移送される104。PC
Rチャンバは、例えば、
図29〜
図31に示されたPCRバイアル7260とすることが
できる。溶出チャンバ7190及びPCRバイアル7260は、異なるモジュール及び/
又はハウジングにあるものとして上で示されるが、他の実施形態では、溶出チャンバ及び
PCRチャンバは、一体的に構築されたハウジング又は構造体内に配置することができる
。前述のように、幾つかの実施形態では、PCRチャンバは、核酸が移送されると試薬が
再構成されるように、凍結乾燥した増幅試薬を含むことができる。溶出した核酸は、次い
で、前述のように移送機構7235又は他の任意の適切な機構を用いてPCRバイアル7
260の中に移送される。
【0275】
PCR混合物は、次いで、PCRチャンバ内で熱サイクルを受ける及び/又は加熱され
る106。PCR混合物は、上記に示すように機器3002を用いて任意の適切な温度範
囲の間でサイクルを受けることができる。幾つかの実施形態では、PCR混合物は、増幅
用の酵素を活性化させるために一定の温度に昇温させることができる。
【0276】
増幅反応はリアルタイムで監視される108。幾つかの実施形態では、産物(すなわち
、アンプリコン)に結合される蛍光タグ及び/又はあらゆる他の親和性ベースのハイブリ
ダイゼーション相互作用)を伴う副溝結合剤(MGB)によって増幅反応を監視すること
ができる。上記で示され説明された機器3002の光学組立部3800を用いて監視を行
うことができる。
【0277】
増幅が完了すると、検出プローブ(例えば、MGB)を標的アンプリコンに結合するこ
と110ができる。これは、終点の検出を提供する。
【0278】
幾つかの実施形態では、方法は、溶融分析及び/又はアニール分析を行うこと112を
含む。この動作は、特異的配列又は不一致配列の分子標的を識別する又は確認するために
行うことができる。
【0279】
図76は、一実施形態に係る生体試料中の核酸を検出する方法200の流れ図である。
特に、例証された方法は、本明細書で示され説明されるカートリッジのいずれか、及び本
明細書で示され説明される機器のいずれかを用いて行うことができる「2段階標的検出」
法である。より詳細には、後述の方法200の動作は、カートリッジを開くこと及び/又
は他の方法で試料、試薬、及び/又はPCR混合物を外部条件に露出することなくカート
リッジの中で行うことができる。同様に述べると、後述の方法200の動作は、試料及び
/又は試薬を移送するためにヒトの介入を必要とすることなくカートリッジの中で行うこ
とができる。説明する目的で、方法200は、
図8〜
図24を参照して上記で示され説明
された分離モジュール6100及びPCRモジュール6200で行われるものとして説明
される。
【0280】
方法は、溶出チャンバ内の磁性捕捉ビーズからの核酸の溶出202を含む。このプロセ
スは、例えば、分離モジュール6100の溶出チャンバ6190内で行うことができる。
より詳細には、
図8〜
図10を参照すると、溶離バッファは、試薬チャンバ6213c内
に保存することができ、且つ溶離動作を完了させるために前述のように溶出チャンバの中
に移送することができる。溶離バッファは、本明細書で説明される及び/又は核酸増幅(
例えば、PCR及び逆転写を介する)と適合する任意の適切な溶離バッファとすることが
できる。
【0281】
溶出した核酸は、次いで、溶出チャンバからPCRチャンバに移送される204。PC
Rチャンバは、例えば、
図8に示されたPCRバイアル6260とすることができる。前
述のように、幾つかの実施形態では、PCRチャンバは、核酸が移送されると試薬が再構
成されるように、凍結乾燥した増幅試薬を含むことができる。溶出した核酸は、次いで、
前述のように移送機構6235、又は他の任意の適切な機構を用いて移送される。
【0282】
PCR混合物は、次いで、PCRチャンバ内で熱サイクルを受ける及び/又は加熱され
る206。PCR混合物は、上記に示すように機器3002を用いて任意の適切な温度範
囲の間でサイクルを受けることができる。幾つかの実施形態では、PCR混合物は、増幅
用の酵素を活性化させるために一定の温度に昇温させることができる。
【0283】
増幅反応はリアルタイムで監視される208。幾つかの実施形態では、産物(すなわち
、アンプリコン)に結合される蛍光タグ及び/又はあらゆる他の親和性ベースのハイブリ
ダイゼーション相互作用)を伴う副溝結合連結剤(MGB)によって増幅反応を監視する
ことができる。上記で示され説明された機器3002の光学組立部3800を用いて監視
を行うことができる。
【0284】
増幅が完了すると、検出プローブ(例えば、MGB)を標的アンプリコンに結合するこ
と210ができる。これは、終点の検出を提供する。方法は、溶融分析及び/又はアニー
ル分析を行うこと212を含む。この動作は、特異的配列又は不一致配列の分子標的を識
別する又は確認するために行うことができる。本明細書で用いられるようなMGBは、そ
れ自体をプローブとして用いることができ、又は別の分子と複合体化させてプローブとし
て用いることができる。例えば、MGBは、一実施形態では、蛍光色素と共に特異的DN
Aオリゴヌクレオチドプローブの5’末端へ複合体化される。プローブは、この実施形態
では、3’末端に非蛍光性クエンチャーを備える。5’蛍光色素の蛍光は、プローブが溶
液中にあるとき消光される。しかしながら、プローブがその補体に結合されるとき、蛍光
は、もはや消光されない。したがって、プローブによって発生する蛍光の量は、発生した
標的の量に正比例する。これらのプローブは、各プローブに異なる蛍光色素を接合するこ
とによって(すなわち、各蛍光色素は、励起したときに異なる波長の光を放出することに
なり、又は独自の波長で励起することができる)、反応において「マルチプレックス化」
させることができる。
【0285】
プローブの第2の組は、次いで、PCRチャンバに送達される214。幾つかの実施形
態では、プローブの第2の組は、摂氏およそ70度を上回る温度(親和性相互作用を破る
ための解離エネルギー)で溶融する特異的又は不一致標的配列に結合するように作製され
たMGBプローブの第2の組又は他の汎用(general)プローブを含むことができ
る。幾つかの実施形態では、MGBプローブの第2の組は、摂氏およそ75度を上回る温
度で溶融する特異的又は不一致標的配列に結合するように作製される。他の実施形態では
、MGBプローブの第2の組は、摂氏およそ80度を上回る温度で溶融する特異的又は不
一致標的配列に結合するように作製される。さらに他の実施形態では、MGBプローブの
第2の組は、摂氏およそ85度を上回る温度で溶融する特異的又は不一致標的配列に結合
するように作製される。
【0286】
幾つかの実施形態では、プローブの第2の組は、試薬チャンバ6213b内に保存する
ことができ、PCRバイアル6260の中に直接又は前述のように溶出チャンバ6190
を介して移送することができる。このようにして、プローブの第2の組を、カートリッジ
又はPCRバイアルを開くこと若しくは他の方法でPCR混合物を汚染物質に露出するこ
となくPCR混合物に加えることができる。
【0287】
方法は、次いで、第2の溶融分析及び/又はアニール分析を行うこと216を含む。こ
の動作は、特異的配列又は不一致配列の分子標的を識別する又は確認するために行うこと
ができる。
【0288】
図77は、一実施形態に係る生体試料中の核酸を検出する方法300の流れ図である。
特に、例証された方法は、本明細書で示され説明されるカートリッジのいずれか、及び本
明細書で示され説明される機器のいずれかを用いて行うことができる「1段階標的検出を
伴う2ステップ逆転写PCR(RT−PCR)」法である。より詳細には、後述の方法3
00の動作は、カートリッジを開くこと及び/又は他の方法で試料、試薬、及び/又はP
CR混合物を外部条件に露出することなくカートリッジの中で行うことができる。同様に
述べると、後述の方法300の動作は、試料及び/又は試薬を移送するためにヒトの介入
を必要とすることなくカートリッジの中で行うことができる。説明する目的で、方法20
0は、
図8〜
図24を参照して上記で示され説明された分離モジュール6100及びPC
Rモジュール6200で行われるものとして説明される。
【0289】
方法は、溶出チャンバ内の磁性捕捉ビーズからの核酸の溶出302を含む。このプロセ
スは、例えば、分離モジュール600の溶出チャンバ6190内で行うことができる。よ
り詳細には、
図8〜
図10を参照すると、溶離バッファは、試薬チャンバ6213c内に
保存することができ、且つ溶離動作を完了させるために前述のように溶出チャンバの中に
移送することができる。溶離バッファは、本明細書で説明される及び/又は核酸増幅(例
えば、PCR及び逆転写を介する)と適合する任意の適切な溶離バッファとすることがで
きる。
【0290】
溶出した核酸は、次いで、溶出チャンバからPCRチャンバに移送される304。PC
Rチャンバは、例えば、
図8に示されたPCRバイアル6260とすることができる。前
述のように、幾つかの実施形態では、PCRチャンバは、核酸が移送されると試薬が再構
成されるように、凍結乾燥した増幅試薬を含むことができる。溶出した核酸は、次いで、
前述のようにシリンジポンプ又は他の任意の適切な機構を用いて移送される。
【0291】
混合物は、次いで、PCRチャンバ内で実質的に一定の温度に加熱される306。この
ようにして、逆転写のための酵素を活性化することができる。
【0292】
逆転写が完了すると、PCR試薬はPCRチャンバに送達される308。PCR試薬は
、試薬チャンバ6213b及び/又は6213a内に保存することができ、PCRバイア
ル6260の中に直接に又は前述のように溶出チャンバ6190を介して移送することが
できる。このようにして、PCR試薬を、カートリッジ又はPCRバイアルを開くこと若
しくは他の方法でPCR混合物を汚染物質に露出することなく逆転写の完了後にPCR混
合物に加えることができる。
【0293】
増幅反応はリアルタイムで監視される310。幾つかの実施形態では、産物(すなわち
、アンプリコン)に結合される蛍光タグ及び/又はあらゆる他の親和性ベースのハイブリ
ダイゼーション相互作用)を伴う副溝結合剤(MGB)によって増幅反応を監視すること
ができる。しかしながら、PCR反応のリアルタイム監視のために任意のDNA結合剤を
用いることができる。上で示され説明された機器3002の光学組立部3800を用いて
監視を行うことができる。
【0294】
本明細書で用いられる場合の「DNA結合剤」は、例えば、二本鎖又は一本鎖DNAを
結合することができる蛍光によって検出可能ないかなるる検出可能な分子をも指す。一実
施形態では、DNA結合剤は、二本鎖又は一本鎖DNAに結合したときにシグナルを直接
又は間接的に生じることができる蛍光色素又は他の発色団、酵素、又は薬剤である。薬剤
は間接的に結合してもよい、すなわち、DNA結合剤は、DNAを直接結合する別の薬剤
に付着されてもよい。薬剤は、同薬剤が溶液中にあるときに生じたシグナルから区別でき
る、二本鎖核酸又は一本鎖DNAに結合したときに検出可能なシグナルを生じることがで
きることだけが必要とされる。
【0295】
一実施形態では、DNA結合剤は挿入剤である。臭化エチジウム及びSYBRグリーン
のような挿入剤は、二本鎖DNAに挿入されたときに、一本鎖DNA、RNAに結合され
たとき又は溶液中にあるときよりも強く蛍光を発する。他の挿入剤は、二本鎖DNAに結
合されたときに蛍光スペクトルの変化を呈する。例えば、アクチノマイシンDは、一本鎖
核酸に結合されたときに赤色の蛍光を発し、二本鎖の鋳型に結合されたときに緑色の蛍光
を発する。検出可能なシグナルが増加する、減少する、又はシフトするかどうかにかかわ
らず、アクチノマイシンDの場合と同様に、薬剤が二本鎖DNAに結合される又は結合解
除されるときに区別できる検出可能なシグナルを提供するあらゆる挿入剤が、開示された
発明を実施するのに適している。
【0296】
別の実施形態では、DNA結合剤は、蛍光共鳴エネルギー移動を採用するエキソヌクレ
アーゼプローブである。例えば、DNA結合剤は、一実施形態では、5’及び3’末端上
にそれぞれレポーター及びクエンチャー色素を伴うオリゴヌクレオチドプローブであり、
標的核酸分子に特異的に結合する。溶液中で、そのままの状態であるとき、レポーター色
素の蛍光は消光される。しかしながら、或るTaqポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活
性は、PCR中にプローブを切断するように働き、レポーターは、もはや消光されない。
したがって、蛍光放出は、発生した標的の量に正比例する。
【0297】
別の実施形態では、DNA結合剤は、オリゴヌクレオチドプローブの5’末端へ複合体
化されるMGBを採用する。5’末端のMGBに加えて、レポーター色素もまた、プロー
ブの5’末端へ複合体化され、クエンチャー色素が3’末端に配置される。例えば、一実
施形態では、Lukhtanovによって説明されたDNAプローブが採用される(Lu
khtavon(2007)、Nucleic Acids Research 35、p
p.e30)。MGBは、一実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブへ直接に複合体
化される。別の実施形態では、MGBはレポーター色素へ複合体化される。5’蛍光色素
の蛍光はプローブが溶液中にあるとき消光される。しかしながら、プローブがその補体に
結合されるとき、蛍光は、もはや消光されない。したがって、プローブによって発生する
蛍光の量は、発生した標的の量に正比例する。これらのプローブは、各プローブに異なる
蛍光色素を接合することによって(すなわち、各蛍光色素は、励起したときに異なる波長
の光を放出することになり、又は独自の波長で励起することができる)、反応において「
マルチプレックス化」させることができる。
【0298】
さらに別の実施形態では、PCR反応をリアルタイムで監視するために副溝結合剤が用
いられる。例えば、Hoechst 33258(Searle&Embrey、199
0、Nuc.Acids Res.18(13)、pp.3753〜3762)は、標的
の量の増加に伴って変化した蛍光を呈する。本発明と共に用いられる他のMGBは、ジス
タマイシン及びネトロプシンを含む。
【0299】
本明細書で説明される実施形態によれば、DNA結合剤は、検出可能なシグナルを直接
又は間接的に生じる。シグナルは、蛍光又は吸光度などによって直接、若しくは置換され
たラベル分子又はDNA結合剤に付着した結合配位子を介して間接的に検出可能である。
【0300】
本明細書で説明される実施形態によれば、DNA結合剤は、検出可能なシグナルを直接
又は間接的に生じる。シグナルは、蛍光又は吸光度などによって直接、若しくは置換され
たラベル分子又はDNA結合剤に付着した結合配位子を介して間接的に検出可能である。
例えば、一実施形態では、蛍光レポーター色素に接合したDNAプローブが採用される。
DNAプローブは、レポーター色素とは反対側の端にクエンチャー色素を有し、その相補
的配列に結合されたときにのみ蛍光を発するであろう。さらなる実施形態では、DNAプ
ローブは、5’末端にMGBと蛍光色素との両方を有する。
【0301】
本発明と共に用いられる他の限定ではないDNA結合剤は、Molecular Be
acon、Scorpion、及びFRETプローブを含むがこれらに限定されない。
【0302】
増幅が完了すると、検出プローブ(例えば、MGB)を標的アンプリコンに結合するこ
と312ができる。これは、終点の検出を提供する。方法は、溶融分析及び/又はアニー
ル分析を行うこと314を含む。この動作は、特異的配列又は不一致配列の分子標的を識
別する又は確認するために行うことができる。
【0303】
図78は、一実施形態に係る生体試料中の核酸を検出する方法400の流れ図である。
特に、例証された方法は、上記で示され説明された方法100に対して代替的な「1段階
標的検出」法である。方法400は、本明細書で示され説明されるカートリッジのいずれ
か、及び本明細書で示され説明される機器のいずれをも用いて行うことができる。より詳
細には、後述の方法400の動作は、カートリッジを開くこと及び/又は他の方法で試料
、試薬、及び/又はPCR混合物を外部条件に露出することなくカートリッジの中で行う
ことができる。同様に述べると、後述の方法400の動作は、試料及び/又は試薬を移送
するためにヒトの介入を必要とすることなくカートリッジの中で行うことができる。説明
する目的で、方法400は、
図85〜
図87を参照して本明細書で示され説明される分離
モジュール10100及びPCRモジュール10200で行われるものとして説明される
。
【0304】
方法400は、方法100に関して説明されるように溶離バッファが試薬チャンバ62
13cの中ではなく、ハウジングの溶出チャンバ内に保存されるという点で方法100と
は異なる。したがって、方法は、溶出チャンバ内の磁性捕捉ビーズからの核酸の溶出40
2を含む。このプロセスは、分離モジュール10100の溶出チャンバ内で起こる。溶離
バッファは、核酸増幅(例えば、PCR及び逆転写を介する)と適合する任意の適切な溶
離バッファとすることができる。
【0305】
溶出した核酸は、次いで、溶出チャンバからPCRチャンバに移送される404。PC
Rチャンバは、例えば、
図85〜
図87に示されたPCRバイアル10260とすること
ができる。溶出チャンバ10190とPCRバイアル10260は異なるモジュール及び
/又はハウジングの中にあるものとして示されるが、他の実施形態では、溶出チャンバ及
びPCRチャンバは、一体的に構築されたハウジング又は構造体内に位置付けることがで
きる。前述のように、幾つかの実施形態では、PCRチャンバは、核酸が移送されると試
薬が再構成されるように、凍結乾燥した増幅試薬を含むことができる。溶出した核酸は、
次いで、前述のようにシリンジポンプ又は他の任意の適切な機構を用いて移送される。
【0306】
PCR混合物は、次いで、PCRチャンバ内で熱サイクルを受ける及び/又は加熱され
る406。PCR混合物は、上記に示すように機器3002を用いて任意の適切な温度範
囲の間でサイクルを受けることができる。幾つかの実施形態では、PCR混合物は、増幅
用の酵素を活性化させるために一定の温度に昇温させることができる。
【0307】
増幅反応はリアルタイムで監視される408。幾つかの実施形態では、産物(すなわち
、アンプリコン)に結合される蛍光タグ及び/又はいずれかの他の親和性ベースのハイブ
リダイゼーション相互作用)を伴う副溝結合剤(MGB)によって増幅反応を監視するこ
とができる。上記で示され説明された機器3002の光学組立部3800を用いて監視を
行うことができる。
【0308】
増幅が完了すると、検出プローブ(例えば、MGB)を標的アンプリコンと結合するこ
と410ができる。これは、終点の検出を提供する。幾つかの実施形態では、方法は、溶
融分析及び/又はアニール分析を行うこと412を含む。この動作は、特異的配列又は不
一致配列の分子標的を識別する又は確認するために行うことができる。
【0309】
本明細書で説明されるシステム及び方法を用いて生成されたデータは、任意の数の異な
る方法を用いて解析することができる。例えば、アフィニティプローブを用いる溶融分析
又はアニール分析を介した増幅された核酸の配列識別のためにデータを解析することがで
きる。独自の「アフィニティプローブ」又は分子タグ(標的核酸−アフィニティ定数−K
dへのアフィニティ指向の結合を伴う修飾塩基及びMGB−fluorからなる)を伴う
溶融/アニールプロファイリング−分子プロファイリングは、特異的遺伝的状態(単数又
は複数)のスペクトルを示す/生成する。例えば、
図81は、生体試料由来の増幅された
核酸に連結する一組のプローブから生成された分子署名(molecular sign
ature)を示すスペクトルのプロットである。分子署名は、生体試料に帰する病気の
状態(又は独自の核酸配列の存在)を表す。分子署名又はプロフィールは、カートリッジ
の内部の分子タグと共にのみ生成することができる標的核酸への分子タグの特異的相互作
用に依存する。言い換えれば、スペクトルは、フィンガープリント・トレース(すなわち
、病気の状態(単数又は複数)(腫瘍、感染症)又は遺伝的状態)を示すピーク又は「ス
ペクトル応答」の独自の配列)である。
【0310】
スペクトル内の多重化−1つよりも多い病気の状態−(多重マーカ)−独自の「プロー
ブ」又はマルチプローブ(独自の分子エンティティ−分子反応物、インジケータ、タグ)
を伴う、温度及び時間(特異的波長内)に伴う多重化。
【0311】
マルチチャネル手法:1つよりも多いフィンガープリント・トレース(フィンガープリ
ントの組)を識別プロセスで用いることができる。マルチパネルフィンガープリント−フ
ィンガープリントのスペクトルアレイを、結果を判定するのに用いることができる。マル
チチャネル又はアレイデータを生成するための変数は、用いられる蛍光の波長差(Wav
elength difference fluorescence)、アニーリング又は
解離(溶融)の温度範囲、及びデータ収集速度(時間依存領域)である。
【0312】
病気を識別するのに望まれるフィンガープリントをもたらすために、アフィニティプロ
ーブ及び増幅された標的の加熱及び冷却の制御を用いることができる。データ生成(アニ
ーリング及び溶融)のための温度範囲は、摂氏70〜100度の範囲内とすることができ
る。
【0313】
上記の分離モジュール6001は、溶解プロセスを容易にするための混合ポンプ618
1を伴う分離モジュール6100を含むものとして示されるが、他の実施形態では、細胞
溶解を促進する及び/又は強化するために溶液の中にエネルギーを伝達するための任意の
適切な機構を用いることができる。例えば、幾つかの実施形態では、音響エネルギーを用
いることができる。
【0314】
例えば、
図82は、細胞溶解及び/又はその中に含有された核酸の分離を促進するため
に分離モジュール(例えば、分離モジュール6100、分離モジュール7100など)の
分離チャンバ(図示せず)内に収容された試料の中に超音波エネルギーを伝達するように
構成された、一実施形態に係る分離モジュールの第2のハウジング8160を示す。第2
のハウジング8160は、
図11を参照して上で説明された方法と同様の方法で対応する
第1のハウジング(
図82には図示せず)に連結する及び/又はこの中に配置することが
できる。より詳細には、第2のハウジング8160は、第2のハウジング8160を第1
のハウジングから実質的に音響的に分離する、上記で示され説明されたシール6172と
類似したシール(図示せず)を含む。
【0315】
第2のハウジング8160は、分離プロセスで用いられる試薬及び/又は他の物質を収
容する一連の保持チャンバ8163a、8163b、8163c、及び8163dを画定
する。特に、保持チャンバは、プロテアーゼ(例えば、プロテイナーゼK)、バルク材料
を可溶性にする溶解溶液、核酸を磁気により帯電させる連結溶液、及び分離モジュール及
び/又は第1のハウジング内の核酸の輸送を支援するために、磁荷を有する核酸と連結す
る磁性ビーズの溶液を収容することができる。
【0316】
第2のハウジング8160はまた、超音波変換器8195の一部をその中に配置するこ
とができる開口部8185を画定する。音響連結部材8182は、開口部8185内の第
2のハウジング8160の側壁の一部に連結される。したがって、使用時に、音響変換器
8195の少なくとも一部を、音響連結部材8182と接触する状態で開口部8185内
に配置することができる。このようにして、変換器8195によって生じた音響及び/又
は超音波エネルギーを、音響連結部材8182及び第2のハウジング8160の側壁を通
して分離チャンバ内の溶液の中に伝えることができる。音響変換器8195は、任意の適
切な音響変換器とすることができ、20kHzから300kHzまでの間で共鳴するよう
に構成することができる。
【0317】
超音波変換器8195は、本明細書で説明される機器3002のような機器のアクチュ
エータによって開口部8185の中に動かすことができる。こうしたアクチュエータは、
例えば、超音波変換器8195を音響連結部材8182と接触するように所定の距離だけ
動かすように構成されたステッパモータを含むことができる。幾つかの実施形態では、例
えば、機器は、
図37〜
図40を参照して上で示され説明された第1のアクチュエータ組
立部3400と類似したアクチュエータ組立部を含むことができる。こうした実施形態で
は、第1のアクチュエータ組立部は、係合バー3445と類似した係合バーを介して開口
部の中に動かされる一連の超音波変換器を含むことができる。
【0318】
幾つかの実施形態では、アクチュエータは、超音波変換器8195によって音響連結部
材8182上に及ぼされる力を変化させるように構成することができる。これは、例えば
、超音波変換器が始動されている間に超音波変換器8195を連結部材8182に対して
動かすことによって達成することができる。この配置は、音響連結部材8182を通した
超音波エネルギーの伝達及び/又は音響連結部材8182を通した超音波エネルギーの伝
達によって生じる加熱が動的に調節されることを可能にする。
【0319】
幾つかの実施形態では、音響連結部材8182は、断熱性材料から構成される。このよ
うにして、音響連結部材8182から隣接する第2のハウジング8160の側壁への熱の
伝達を最小にすることができる。この配置は、音響変換器8195が始動され、側壁と接
触するときに、第2のハウジング8160の側壁の変形及び/又は溶融を最小にする及び
/又は防ぐことができる。加えて、幾つかの実施形態では、音響連結部材8182は、音
響連結部材8182を通した分離チャンバの中への超音波エネルギーの伝達を促進するた
めに音響インピーダンスを有するように構成し及び/又は構築することができる。
【0320】
図83は、細胞溶解及び/又はその中に含有された核酸の分離を促進するために分離モ
ジュールの分離チャンバ(図示せず)内に収容された試料に超音波エネルギーを伝達する
ように構成された一実施形態に係る分離モジュールの第2のハウジング9160を示す。
第2のハウジング9160は、上記で説明されたのと同様の様態で対応する第1のハウジ
ング(
図83には図示せず)に連結する及び/又はその中に配置することができる。より
詳細には、第2のハウジング9160は、第2のハウジング9160を第1のハウジング
から実質的に音響的に分離する上記で示され説明されたシール6172と類似したシール
(図示せず)を含む。
【0321】
第2のハウジング9160は、分離プロセスで用いられる試薬及び/又は他の物質を収
容する一連の保持チャンバ9163a、9163b、9163c、及び9163dを画定
する。第2のハウジング9160はまた、超音波変換器9195の一部をその中に配置す
ることができる開口部9185を画定する。上で説明された開口部8185とは対照的に
、開口部9185は、第2のハウジング9160の側壁の開口部を介して分離チャンバと
流体連通することができる。
【0322】
音響連結部材9183は、開口部9185内に配置され、且つ第2のハウジング916
0の側壁の一部を通る。より詳細には、音響連結部材9183は、音響連結部材9183
の第1の部分9186が開口部9185内にあり且つ音響連結部材9183の第2の部分
9187が分離チャンバ内にあるように側壁に連結される。第2のハウジングから分離チ
ャンバを実質的に流体的に分離する及び/又は音響連結部材9183を実質的に音響的に
分離するために、第2のハウジング9160の側壁と音響連結部材9183との間にシー
ル9184が配置される。
【0323】
使用時に、音響変換器8195の少なくとも一部を、音響連結部材9183の第1の部
分9186と接触する状態で開口部9185内に配置することができる。このようにして
、変換器9195によって生じた音響及び/又は超音波エネルギーを、音響連結部材91
83を通して分離チャンバ内の溶液の中に運ぶことができる。
【0324】
超音波変換器8195は、本明細書で説明される機器3002のような機器のアクチュ
エータによって開口部9185の中に動かすことができる。こうしたアクチュエータは、
例えば、超音波変換器9195を音響連結部材9183と接触するように所定の距離だけ
動かすように構成されたステッパモータを含むことができる。幾つかの実施形態では、例
えば、機器は、
図37〜
図40を参照して上記で示され説明された第1のアクチュエータ
組立部3400と類似したアクチュエータ組立部を含むことができる。こうした実施形態
では、第1のアクチュエータ組立部は、係合バー3445と類似した係合バーを介して開
口部の中に動かされる一連の超音波変換器を含むことができる。
【0325】
幾つかの実施形態では、アクチュエータは、超音波変換器5195によって音響連結部
材5183上に及ぼされる力を変化させるように構成することができる。これは、例えば
、超音波変換器が始動されている間に超音波変換器8195を連結部材9183に対して
動かすことによって達成することができる。この配置は、音響連結部材9183を通した
超音波エネルギーの伝達及び/又は音響連結部材9183を通した超音波エネルギーの伝
達によって生じる加熱が動的に調節されることを可能にする。
【0326】
前述のように、幾つかの実施形態では、音響連結部材5183は、音響連結部材918
3を通した分離チャンバの中への超音波エネルギーの伝達を促進するために、音響インピ
ーダンスを有するように構成することができる。
【0327】
図82及び
図83は、分離モジュール内に収容された試料に超音波エネルギーを伝達す
るように構成された分離モジュールの第2のハウジングを示すが、他の実施形態では、カ
ートリッジのいかなる部分も、試料に超音波エネルギーを伝達するように構成することが
できる。例えば、
図84は、分離モジュール7100(例えば
図26〜
図28参照)及び
超音波変換器7195を示す。特に、前述のように、ハウジング7110は音響連結部7
182を含む。使用時に、音響変換器7195の少なくとも一部を、音響連結部7182
と接触する状態で配置することができる。このようにして、変換器によって生じた音響及
び/又は超音波エネルギーを、音響連結部7182及び第1のハウジング7110の側壁
を通して溶解チャンバ7114内の溶液の中に伝えることができる。
【0328】
超音波変換器7195は、本明細書で説明される機器3002のような機器のアクチュ
エータによって音響連結部7182と接触するように動かすことができる。こうしたアク
チュエータは、例えば、超音波変換器7195を音響連結部7182と接触するように所
定の距離だけ動かすように構成されたステッパモータを含むことができる。幾つかの実施
形態では、例えば、機器は、
図37〜
図40を参照して上記で示され説明された第1のア
クチュエータ組立部3400と類似したアクチュエータ組立部を含むことができる。こう
した実施形態では、第1のアクチュエータ組立部は、係合バー3445と類似した係合バ
ーを介して開口部の中に動かされる一連の超音波変換器を含むことができる。
【0329】
幾つかの実施形態では、アクチュエータは、超音波変換器7195によって音響連結部
7182上に及ぼされる力を変化させるように構成することができる。これは、例えば、
超音波変換器が始動されている間に超音波変換器7195を音響連結部7182に対して
動かすことによって達成することができる。この配置は、音響連結部7182を通した超
音波エネルギーの伝達及び/又は音響連結部7182を通した超音波エネルギーの伝達に
よって生じる加熱が動的に調節されることを可能にする。
図83に示すように、超音波変
換器7195は、超音波変換器を機器のアクチュエータ組立部に対して維持する及び/又
は付勢するように構成されたばね7196又は他の付勢部材を含むことができる。
【0330】
PCRモジュール6200は、PCR試薬、溶離バッファなどを保存することができる
3つの試薬チャンバ6213a、6213b、及び1213cを含むものとして上記で示
され説明されるが、他の実施形態では、PCRモジュールは、任意の数の試薬チャンバを
含むことができる。幾つかの実施形態では、PCRモジュールは、如何なる試薬チャンバ
もないものとすることができる。例えば、
図85〜
図87は、一実施形態に係るカートリ
ッジ10001を示す。カートリッジ10001は、互いに連結されて一体化されたカー
トリッジ10001を形成する核酸分離モジュール10100及び増幅(又はPCR)モ
ジュール10200を含む。一体化されたカートリッジ10001は、上記で示され説明
されたカートリッジ6001及び/又はカートリッジ7001と多くの点で類似しており
、したがって、ここでは詳細に説明されない。カバー10005のないカートリッジを示
す
図86に示すように、PCRモジュール10200は、ハウジング10210、PCR
バイアル10260、及び移送管10250を含む。増幅モジュール10200は、移送
管の少なくとも一部が分離モジュール10100の溶出チャンバ内に配置されるように分
離モジュール10100に連結される。
【0331】
ハウジング10210は移送ポート10270を含む。移送ポート10270は、それ
を通して分離された核酸及び/又は他の物質又は試薬をPCRバイアル10260の中に
運ぶことができる1つ又は複数の管腔及び/又は通路を画定する。ハウジング10210
及び/又は移送ポート10270は、溶出チャンバ及び/又はPCRバイアル10260
を大気に流体的に連結するために1つ又は複数のベント通路を画定することができる。幾
つかの実施形態では、こうしたベントのいずれも、溶出チャンバ及び/又はPCRバイア
ル10260からの試料及び/又は試薬の損失を最小にする及び/又は防ぐためにフリッ
ト、弁及び/又は他の適切な機構を含むことができる。
【0332】
移送ポート10270の第1の端部10271はPCRバイアル10260の外部に配
置され、移送ポート10270の第2の端部10272は、PCRバイアルの内部に配置
される。より詳細には、第2の端部10272は、その中に試料を配置することができる
PCRバイアル10260の体積Vが所定の大きさよりも大きくないようにPCRバイア
ル10260の内部に配置される。このようにして、PCRバイアル10260内の試料
の上に限られた「ヘッドスペース」が存在するので、熱サイクル中にPCRバイアル10
260の壁上に形成される可能性がある凝縮を最小にする及び/又はなくすことができる
。
【0333】
PCRモジュール10200は、前述のように溶出チャンバ内の試料及び/又は試薬の
少なくとも一部をPCRバイアル10260に移送するために、溶出チャンバ及び/又は
PCRバイアル10260内に圧力及び/又は真空を生じるように構成された移送ピスト
ン10240を含む。
【0334】
カートリッジ10001と共に用いられる溶離バッファは、分離モジュール10100
の溶出チャンバ(
図85〜
図87には図示せず)の中に保存される。PCR試薬は、前述
のように凍結乾燥した形態でPCRバイアル10260の中に保存される。使用時に、分
離された核酸は、溶出チャンバの中の捕捉ビーズから溶出される。溶出した核酸は、次い
で、前述のようにPCRバイアル10260の中に移送され、PCRバイアル10260
内のPCR試薬と混合される。
【0335】
PCRモジュール6200は、ハウジング6210の第1の端部6211に隣接して配
置される3つの試薬チャンバ6213a、6213b、及び6213cを含むものとして
示され説明されるが(例えば
図8参照)、他の実施形態では、PCRモジュールは、あら
ゆる位置及び/又は配向に配置される任意の数の試薬チャンバ又はモジュールを含むこと
ができる。さらに、幾つかの実施形態では、本明細書で説明される試薬プランジャ(例え
ば、プランジャ6214a)及び/又は移送機構のいずれをも付勢することができる。例
えば、
図88は、分離モジュール6100’に連結されたPCRモジュール11200の
断面図である。PCRモジュール11200は、本明細書で説明されたタイプの物質及び
/又は試薬をその中に保存することができる3つの試薬チャンバ11213を画定するハ
ウジング11210を含む。プランジャ11214及びばね11215(
図88に1つだ
け示され符号が付される)は、試薬チャンバ11213のそれぞれの中に配置される。こ
のようにして、プランジャ(又は移送機構)は非始動位置に付勢される。他の実施形態で
は、しかしながら、プランジャを始動位置に付勢することができ、且つ係止タブなどによ
って定位置に保持することができる。このようにして、プランジャの始動を、ばねの力に
よって支援することができる。
【0336】
PCRモジュールはまた、ノズル11131を介して溶出チャンバ6190’と流体連
通する混合機構(又は移送機構)11130を含む。ピペットチューブ11250は、溶
出チャンバ6190をPCRバイアル11260と流体連通する状態におく。
【0337】
幾つかの実施形態では、PCRモジュールは、分離モジュールの溶出チャンバに隣接し
て配置されるPCRバイアル又は反応チャンバを含むことができる。例えば、
図89は、
PCRモジュール12200に連結された分離モジュール6100’を有するカートリッ
ジ12001を示す。PCRモジュール12200は、溶出チャンバ6190’に隣接す
るPCRチャンバ12260を含む。同様に述べると、PCRモジュール12200が分
離モジュール6100’に連結されるときに、PCRバイアル12260は、PCR試薬
チャンバ12231と分離モジュール6100’との間に配置される。
【0338】
本明細書で示され説明されるカートリッジは、使用時に、分離された試料の一部がPC
Rバイアル(例えば、PCRバイアル7260)の中に移送されるように、PCRモジュ
ールに連結された溶出チャンバ(例えば、溶出チャンバ7190)を含む分離モジュール
を含むが、他の実施形態では、PCRモジュールはPCRバイアルを含む必要はない。例
えば、幾つかの実施形態では、カートリッジは、PCRを行うことができる反応体積とな
るようにも構成される溶出チャンバを含むことができる。例えば、
図90は、分離モジュ
ール6100’及びPCRモジュール13200を含む、一実施形態に係るカートリッジ
13001を示す。PCRモジュール13200は、基体13220及び一連の試薬モジ
ュール13270を含む。使用時に、試薬モジュール13270は、本明細書で示され説
明されるタイプの1つ又は複数の試薬及び/又は物質を、フローチューブ13229を介
して分離モジュール6100’の溶出チャンバ6190’の中に移送するように構成され
る。このようにして、溶出チャンバ6190’の中でPCRを行うことができる。こうし
た実施形態では、機器3002と類似した機器は、PCRを容易にするために溶出チャン
バ6190’に熱サイクルを行うように構成することができる。さらに、機器は、溶出チ
ャンバ6190’内の反応を光学的に監視するように構成された光学組立部を含むことが
できる。幾つかの実施形態では、ハウジング6110’は、溶出チャンバ6190’に隣
接する位置でその中に配置された励起光学部材(図示せず)及び/又は検出光学部材(図
示せず)を含むことができる。
【0339】
本明細書で示され説明されるカートリッジは、分離モジュールと直列に連結されるPC
Rモジュールを概して含むが、他の実施形態では、カートリッジは、分離モジュールに任
意の向き、位置、及び/又は場所で連結されたPCRモジュールを含むことができる。同
様に述べると、カートリッジは、分離モジュールの端部に連結されるPCRモジュールを
含むものとして本明細書で示され説明されるが、他の実施形態では、PCRモジュールは
、分離モジュールと任意の様態で一体化させる及び/又は連結することができる。例えば
、
図91は、分離モジュール14100及びPCRモジュール14200を含むカートリ
ッジ14001を示す。分離モジュール14100は、上記で説明されたものと類似した
一連の洗浄機構14130を含む。PCRモジュールは一連の試薬モジュール14270
を含む。試薬モジュール14270は、洗浄機構14130に隣接して及び/又はその間
に配置される。
【0340】
使用時に、試薬モジュール14270は、本明細書で示され説明されるタイプの1つ又
は複数の試薬及び/又は物質を、14229を介して分離モジュール14100の溶出チ
ャンバ14190の中に移送するように構成される。このようにして、溶出チャンバ14
190の中でPCRを行うことができる。
【0341】
図92及び
図93は、PCRモジュール15200の試薬モジュール15270が分離
モジュール15100の洗浄機構15130に隣接して及び/又はこの間に配置される別
の実施形態を示す。カートリッジ15001は、試薬モジュール15270内に収容され
た物質が一連の内部流路15228を介してPCRバイアル15260の中に移送される
という点でカートリッジ14001とは異なる。PCRモジュールは、溶出チャンバ15
190から分離された試料の一部をPCRバイアル15260の中に移送するために移送
機構15235を含む。
【0342】
本明細書で示され説明されるPCRモジュールは単一のPCRバイアルを含むが、他の
実施形態では、PCRモジュールは、任意の数のPCRバイアルを含むことができる。一
例が、4つのPCRバイアル16260を有するPCRモジュール16200を示す
図9
4に示される。
【0343】
種々の実施形態が上記で説明されているが、それらは単なる例として提示されており、
限定するものではないことを理解されたい。上で説明された方法及び/又は方式は、或る
順序で起こる或るイベント及び/又はフローパターンを示すが、或るイベント及び/又は
フローパターンの順序は修正されてもよい。加えて、或るイベントは、可能であるときに
は平行したプロセスで同時に行われてもよく、並びに順次に行われてもよい。実施形態が
特定的に示され説明されているが、形態及び詳細に種々の変化が加えられてもよいことが
理解されるであろう。
【0344】
例えば、チャンバ6163a、洗浄バッファモジュール7130a、及び試薬モジュー
ル7270aのような本明細書で説明されるチャンバの多くは、穿刺可能部材(例えば、
穿刺可能部材6170、穿刺可能部材7135a、及び穿刺可能部材7275)によって
流体分離した状態に維持される物質、試料、及び/又は試薬を収容するものとして説明さ
れるが、幾つかの実施形態では、本明細書のチャンバのいずれも、所望の物質、試料、及
び/又は試薬を部分的にのみ充填することができる。より詳細には、本明細書で説明され
るチャンバのいずれも、第1の体積の所望の物質(一般に液体状態にある)と、第2の体
積の空気、酸素、窒素などのようなガスを含むことができる。この配置は、穿刺可能部材
を破断する前にチャンバ内で移送機構又は穿刺部材(例えば、アクチュエータ6166の
穿刺部6168)を動かすための力を減らす。より詳細には、チャンバの体積の一部をガ
スとして含むことによって、移送機構がチャンバ内で動くときにガスが圧縮されてチャン
バの体積が減り、これにより穿刺部材が穿刺可能部材に接触することが可能となる。幾つ
かの実施形態では、本明細書で説明されるチャンバのいずれかは、その中の体積のおよそ
10パーセントをガスとして含むことができる。
【0345】
分離モジュール6100は、溶解チャンバ6114を洗浄チャンバ6121から実質的
に流体的に分離された状態に維持しながら溶解チャンバ6114と洗浄チャンバ6121
との間で物質を移送するように構成された移送組立部6140aを含むものとして上で示
され説明されるが、他の実施形態では、本明細書で説明されるモジュールのうちいずれも
、これらのチャンバ間の流体連通を可能にしながら物質をチャンバ間で移送する移送機構
を含むことができる。例えば、幾つかの実施形態では、モジュールは、第1のチャンバと
第2のチャンバとの間の物質の流れを選択的に制御するように構成される移送機構を含む
ことができる。こうした移送機構は、例えば弁を含むことができる。
【0346】
カートリッジは、カートリッジを取り扱う機器内に配置する前に互いに連結された複数
のモジュール(例えば、分離モジュール及び反応モジュール)を含むものとして本明細書
で示され説明されるが、他の実施形態では、カートリッジは、そのうちの少なくとも1つ
が機器内の別のモジュールに及び/又は機器によって連結されるように構成される複数の
モジュールを含むことができる。同様に、幾つかの実施形態では、機器は、カートリッジ
の処理の一部として1つのモジュール(例えば、試薬モジュール)を別のモジュール(例
えば、反応モジュール、分離モジュールなど)に連結するように構成することができる。
【0347】
移送組立部6140のような移送機構は、カートリッジ内の試料の標的部の移動を容易
にするために磁気力を用いるものとして本明細書で示され説明されるが、他の実施形態で
は、本明細書で示され説明される移送機構のうちのいずれもカートリッジ内の試料の標的
部の移動を容易にするため、任意の適切なタイプの力を採用することができる。例えば、
幾つかの実施形態では、移送機構は、ポンプを含むことができる。他の実施形態では、移
送機構は、試料の標的部の蠕動運動を生じることができる。
【0348】
カートリッジ及び/又はその一部は、主として核酸分離及び増幅反応に用いる、及び本
明細書で説明される特定の機器と共に用いることに関して説明されているが、カートリッ
ジはそれに限定されない。機器及び/又はその一部は、主として核酸分離及び増幅反応に
用いる、及び本明細書で説明される特定のカートリッジと共に用いることに関して説明さ
れているが、機器はそれに限定されない。
【0349】
例えば、本明細書で提供されるカートリッジ、機器、及び/又はその一部は、次世代シ
ークエンス(next generation sequencing)(NGS)プラッ
トフォームで用いることができる。NGS技術は、サンガー法よりも3〜4桁大きい配列
を生成することが報告されており、且つまた、実施するのにより低価格である(Hari
smendy他、(2009)、Genome Biology 10、pp.R32.1
〜R32.13)。NGS用途は、ゲノムショットガンシークエンス、細菌人工染色体(
BAC)エンドシークエンス、1塩基多型発見及び再シークエンス、他の突然変異発見、
クロマチン免疫沈降(ChIP)、マイクロRNA発見、大規模発現配列タグシークエン
ス、プライマーウォーキング、又は遺伝子発現のシリアル分析(SAGE)を含むがこれ
に限定されない。
【0350】
一実施形態では、モジュールは、核酸配列分析のために本発明のカートリッジをNGS
プラットフォーム機器にはめ込むのに用いられる。代替的に、試料移送モジュール(例え
ば、自動液体処理機器)は、核酸増幅産物をNGS機器のフローセルに移送することがで
きる。
【0351】
一実施形態では、本発明のカートリッジが以下のNGSプラットフォーム、すなわち、
Roche 454 GS−FLXプラットフォーム、Illumina Sequenc
ingプラットフォーム(例えば、HiSeq 2000、HiSeq 1000、MiS
eq、Genome Analyzer IIx)、Illumina Solexa IG
Genome Analyzer、Applied Biosystems 3730xl
プラットフォーム、ABI SOLiD(商標)(例えば、5500xl又は5500 S
OLiD(商標)システム)のうちの1つと共に用いることに適用できるようにモジュー
ルが提供される。モジュールは、上述のデバイスのうちの1つにはめ込むことができ、又
は核酸増幅反応の産物をNGS機器に移動させる試料移送モジュールとすることができる
。
【0352】
一実施形態では、本発明のカートリッジは、ゲノムショットガンシークエンス、細菌人
工染色体(BAC)エンドシークエンス、1塩基多型発見及び再シークエンス、他の突然
変異発見、クロマチン免疫沈降(ChIP)、マイクロRNA発見、大規模発現配列タグ
シークエンス、プライマーウォーキング、又は遺伝子発現のシリアル分析(SAGE)の
ために用いられる。
【0353】
一実施形態では、核酸分離及び/又は増幅(例えばPCR)は、本明細書で説明される
ように、本発明のカートリッジ及び機器の中で行われる。さらなる実施形態では、増幅反
応が完了すると、試料移送モジュールは、ライブラリ調製及び後続シークエンスのために
それぞれのNGS機器のフローセルに増幅産物を移送する。
【0354】
別の実施形態では、核酸分離及び/又は増幅(例えばPCR)は、本明細書で説明され
るように、本発明のカートリッジ及び/又は機器の中で行われる。さらなる実施形態では
、増幅反応が完了すると、カートリッジは、上記で提供されたNGS機器のうちの1つと
共に用いることに適用できるようにモジュールに移送される。核酸増幅産物は、次いで、
ライブラリ調製及び後続シークエンスのためにそれぞれのNGS機器のフローセルに移送
される。
【0355】
幾つかの実施形態では、装置は、第1のモジュール、第2のモジュール、及び第3のモ
ジュールを含む。第1のモジュールは、第1のチャンバ及び第2のチャンバを画定し、少
なくとも第1のチャンバは試料を収容するように構成される。第2のモジュールは、第1
の物質を収容するように構成された第1の体積を画定する。第2のモジュールの一部は、
第1の体積を第1のチャンバと選択的に流体連通する状態におかれるように構成するため
に、第2のモジュールが第1のモジュールに連結されるときに第1のモジュールの第1の
チャンバ内に配置されるように構成される。第3のモジュールは、反応チャンバ及び第2
の物質を収容するように構成された第2の体積を画定する。第3のモジュールの一部は、
第3のモジュールが第1のモジュールに連結されるときに反応チャンバ及び第2の体積の
それぞれが第1のモジュールの第2のチャンバと流体連通するように第1のモジュールの
第2のチャンバ内に配置される。
【0356】
幾つかの実施形態では、本明細書で説明されるモジュールのうちのいずれも、モジュー
ルによって画定されるチャンバの中に音響エネルギーを伝えるように構成された音響連結
部材を含むことができる。
【0357】
幾つかの実施形態では、本明細書で説明されるモジュールのうちのいずれも、モジュー
ル内の第1のチャンバとモジュール内の第2のチャンバとの間で試料を移送するように構
成された移送機構を含むことができる。こうした移送機構は、溶液の流れ、磁気力などを
含む物質を移送するための任意の適切な機構を用いることができる。
【0358】
幾つかの実施形態では、本明細書で説明されるモジュールのうちのいずれも、モジュー
ル内の第1のチャンバとモジュール内の第2のチャンバとの間で試料を移送するように構
成された弁を含むことができる。幾つかの実施形態では、こうした弁は、第1のチャンバ
と第2のチャンバとの間の流体分離を維持するように構成することができる。
【0359】
幾つかの実施形態では、装置は、第1のモジュール、第2のモジュール、及び第3のモ
ジュールを含む。第1のモジュールは、第1のチャンバ及び第2のチャンバを画定する。
第1のモジュールは、第1のチャンバと第2のチャンバとの間の流体分離を維持しながら
第1のチャンバと第2のチャンバとの間で試料を移送するように構成された第1の移送機
構を含む。第2のモジュールは、物質を収容するように構成された体積を画定する。第2
のモジュールの一部は、体積を第1のチャンバと選択的に流体連通する状態におかれるよ
うに構成するために、第2のモジュールが第1のモジュールに連結されるときに第1のモ
ジュールの第1のチャンバ内に配置されるように構成される。第3のモジュールは、反応
チャンバを画定し、第3のモジュールは、反応チャンバが第2のチャンバと流体連通する
ように第1のモジュールと連結されるように構成される。第3のモジュールは、第2のチ
ャンバと反応チャンバとの間で試料の一部を移送するように構成された第2の移送機構を
含む。
【0360】
幾つかの実施形態では、装置は第1のモジュール及び第2のモジュールを含む。第1の
モジュールは、反応バイアル、基体、及び第1の移送機構を含む。反応バイアルは、反応
チャンバを画定する。第1の移送機構は、ハウジングとプランジャが第1の体積を画定す
るようにハウジング内に移動可能に配置されるプランジャを含み、第1の体積は第1の物
質を収容する。基体は、第1の流路及び第2の流路の少なくとも一部を画定する。第1の
流路は、反応チャンバ、第1の体積、及び分離モジュールの分離チャンバと流体連通する
ように構成される。第2の流路は、分離チャンバと流体連通するように構成される。プラ
ンジャがハウジング内の第1の位置にあるときに、第1の体積が反応チャンバから流体的
に分離されるようにプランジャの一部が第1の流れ経路(flow pathway)内
に配置される。プランジャがハウジング内の第2の位置にあるときに、第1の体積が反応
チャンバと流体連通するようにプランジャの一部が第1の流れ経路から離間して配置され
る。プランジャは、プランジャが第1の位置から第2の位置に動かされるときに試料を分
離チャンバから反応チャンバに移送するために反応チャンバ内に真空を生じるように構成
される。第2のモジュールは、第2の移送機構を含み、且つ第2の物質を収容するように
構成された第2の体積を画定する。第2のモジュールは、第2の体積を第2の流路を介し
て分離チャンバと選択的に流体連通する状態におくことができるように第1のモジュール
に連結されるように構成される。第2の移送機構は、第2の移送機構が始動されるときに
第2の体積から分離チャンバに第2の物質を移送するように構成される。
【0361】
幾つかの実施形態では、機器は、ブロック、第1の光学部材、第2の光学部材、及び光
学組立部を含む。ブロックは、反応容器の少なくとも一部を受け入れるように構成された
反応体積を画定する。第1の光学部材は、第1の光学部材が第1の光路を画定し且つ反応
体積と光学的に連通するように少なくとも部分的にブロック内に配置される。第2の光学
部材は、第2の光学部材が第2の光路を画定し且つ反応体積と光学的に連通するように少
なくとも部分的にブロック内に配置される。第1の光路を含む第1の平面と第2の光路を
含む第2の平面は約75度よりも大きい角度を画定する。光学組立部は、励起光ビームを
反応体積の中に運ぶことができ且つ反応体積から放出光ビームを受光することができるよ
うに、第1の光学部材及び第2の光学部材に連結される。
【0362】
種々の実施形態が特定の機能部及び/又は構成要素の組合せを有するものとして説明さ
れているが、上述の実施形態のいずれからの任意の機能部及び/又は構成要素の組合せを
も有する他の実施形態が可能である。