特許第6577021号(P6577021)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許65770212つの側方環および銜身を有する水勒馬銜
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6577021
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】2つの側方環および銜身を有する水勒馬銜
(51)【国際特許分類】
   B68B 1/06 20060101AFI20190909BHJP
【FI】
   B68B1/06
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-508749(P2017-508749)
(86)(22)【出願日】2015年4月1日
(65)【公表番号】特表2017-514647(P2017-514647A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】EP2015057202
(87)【国際公開番号】WO2015165686
(87)【国際公開日】20151105
【審査請求日】2018年3月13日
(31)【優先権主張番号】102014208262.5
(32)【優先日】2014年4月30日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102014209361.9
(32)【優先日】2014年5月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516325257
【氏名又は名称】ハーム. スプリンガー ゲーエムベーハー ウント コムパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】HERM. SPRENGER GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100163991
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 慎司
(74)【代理人】
【識別番号】100153947
【弁理士】
【氏名又は名称】家成 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】フォルメッカ,ヴァレンティン
(72)【発明者】
【氏名】バウマン,ハインツ
【審査官】 後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0250760(US,A1)
【文献】 実開昭50−024686(JP,U)
【文献】 米国特許第04375147(US,A)
【文献】 特表2002−532170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B68B 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの側方環(20、22)および2つの側方環(20、22)の間に配置される銜身(24)を有する水勒馬銜であって、
銜身(24)は、
a)2つのジョイント部(26、28)および中央部(30)、または1つのジョイント部(26)を有し、ならびに
b)2つの側方部(29、31)を有し、
それぞれのジョイント部(26、28)は、前記側方部(29、31)または前記中央部(30)の末端部のクリアランスと連動するアイレット(44、84)として形成され、
それぞれの側方部(29、31)は、少なくとも1つのジョイント部(26、28)から離間した端部を有し、
1つの環状の穴(32)が、それぞれ、側方部(29、31)のこの離間した端部で、環(20、22)の1つをその中で自由に移動可能に受承するために形成され、
銜身(24)が延伸され、2つの環(20、22)が前記銜の幅を画定するときに、前記環状の穴(32)の2つの軸(42)が、基準面(50)に存在し、
それぞれの環状の穴(32)から始まり、前記少なくとも1つのジョイント部(26、28)に向かう方向において、それぞれの側方部(29、31)が、示される順で、以下の領域:
前記環状の穴(32)に直接隣接し、略円形の断面を有しているリップ領域(60)、
移行領域(62)、
略非円形断面と、前方を向いており、前記銜の幅の6%から30%の長さを有する制御端部(66)とを形成する突出領域(64)、
を有し、
前記移行領域(62)が、略円形のリップ領域(60)から非円形の突出領域(64)まで、連続し、円滑な移行を提供し、
基準面(50)に対して交差する方向で測定されたときに、前記突出領域(64)の断面の寸法が、リップ領域(60)の対応する断面の寸法より、少なくとも5%、特に少なくとも10%大きいことを特徴とする水勒馬銜。
【請求項2】
前記リップ領域(60)の略円形の断面が、最小直径から、最大で15%、特に最大で5%の、最大直径の偏差を有していることを特徴とする請求項1に記載の水勒馬銜。
【請求項3】
1つのわずかに湾曲した接触面が、前記制御端部(66)の両側、すなわち下側接触面(78)および上側接触面(80)に設けられることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の水勒馬銜。
【請求項4】
前記制御端部(66)が、前記側方部(29、31)の前記アイレット(44)のアイレット軸(46)に可能な限り接近し、その距離が、最大で前記銜の幅の15%、特に最大で前記銜の幅の10%であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の水勒馬銜。
【請求項5】
前記突出領域(64)が、さらに、前記制御端部(66)とは反対の先端を有する逆突出部(82)を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の水勒馬銜。
【請求項6】
前記基準面(50)で測定されたときに、前記突出領域(64)の断面の寸法が、リップ領域(60)の対応する断面の寸法より、少なくとも5%、特に少なくとも10%小さいことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の水勒馬銜。
【請求項7】
前記2つの側方部(29、31)の少なくとも1つが、ハンプ部(88)および/または凹曲面(86)を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の水勒馬銜。
【請求項8】
中央部(30)によって特徴付けられ、前記2つの側方部(29、31)が、中央面(54)に対して鏡面対称で、構造上同一であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の水勒馬銜。
【請求項9】
前記側方部(29、31)の前記アイレット(44)の軸線が、前記基準面(50)に対して45°±20°の角度(70)で延伸する、望ましくは、前記基準面(50)に対して45°±10°の角度(70)で延伸することを特徴とする請求項に記載の水勒馬銜。
【請求項10】
前記中央部(30)が、前記2つのジョイント部(26、28)を形成するための、互いに平行な2つのジョイント穴を有し、望ましくは、前記ジョイント穴の中心線が、互いから、2.5cm未満の距離、特に2cm未満の距離を有することを特徴とする請求項または10に記載の水勒馬銜。
【請求項11】
前記中央部(30)が、略オリーブ形状に形成され、中央面(54)の領域に円形の断面を有することを特徴とする請求項11のいずれか1項に記載の水勒馬銜。
【請求項12】
シングルジョイント形であり、一方の前記側方部(31)が凹曲面(86)を有し、他方の前記側方部(29)が凸状線(90)を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の水勒馬銜。
【請求項13】
前記制御端部(66)が、前方向(56)に対して±45°、特に±25°、特に±15°および特に望ましくは略−5°の角度(70)である突出方向(68)に突出していることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の水勒馬銜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1の前文に係る水勒馬銜に関する。
【背景技術】
【0002】
シングルジョイント形およびダブルジョイント形の水勒馬銜は、特許文献1から知られている。側方部の断面は、環状の穴の周囲の領域から始まって、少なくとも1つのジョイント部に向かって次第に内向きに先細りになっている。それぞれのジョイント部は、側方部または中央部の末端部分でクリアランスと連動するアイレットとして形成される。
【0003】
請求項1の前文に係るシングルジョイント形およびダブルジョイント形の水勒馬銜は、特許文献2によって知られている。それによって、側方部の断面は、末端部分から少なくとも1つのジョイント部に向かって、途切れることなくかつ確実に先細りになっている。環状の穴とアイレットとの間で、側方部は略円形の断面を有している。2つの側方部のアイレットのアイレット軸は、基準面に対して45°±20°の角度で位置している。ダブルジョイント形の水勒馬銜の中央部は、可能な限り短く、オリーブ形状になるように形成される。
【0004】
非円形断面形状の側方部を有する水勒馬銜は、特許文献3により知られている。側方部は、縁を形成する突起を有している。後者は、側方部の環状の穴のすぐ近くから始まり、この側方部のアイレットのすぐ前で終わる。馬の口の中で実際に使用する間、この縁は後方を向いている。側方部の断面は、末端部分から始まり、少なくとも1つのジョイント部に向かって、明確に先細りになっている。環状の穴近傍の断面の表面積は、アイレットのすぐ近くの断面のサイズの2倍を超える。アイレットは、側方部の隣接した領域のおよそ2倍の外部寸法を有する。銜は、馬の口の中に、2つの異なった向きに挿入されることが意図されている。この目的のため、側方部は、相応に「柔らかい」および「鋭い」の印が付いている。
【0005】
手綱を引くと、銜身は馬の口の中で方向を変えることが分かっている。銜身の元来の最上点は前方へ移動する。さらに、少なくとも1つの手綱が引かれるとき、馬の口の中で銜身の後方への変位が起こる。
【0006】
「前へ」は、馬の口の先端に向かうことを意味し、「後ろへ」は、馬の首の方へ向かうことを意味し、上の方向に舌の上端から離れることを意味し、「下に」は、舌の上端から下方向に向かうことを意味する。左および右という用語は、乗り手の位置と相対して使用される。中央という用語は、銜の中心、または銜身の中心に関する。
【0007】
先行技術において慣習的であるように、銜の幅は以下のように定められる。水勒馬銜は、環の1つで支持されて、下方向に固定されずにつるされ、銜身は、実質的に垂直方向であり、もう一方の環は、下に位置する。環状の穴のクリアランスおよびジョイント部のクリアランスは使い果たされる。次に、2つの環の間の最短距離が測定される。この距離は、環状の穴の2つの軸の距離よりわずかに大きい。
【0008】
剛性のある銜身と対照的に、シングルジョイント形の水勒馬銜は、手綱が一方の側に引かれたときに、それぞれに操作される側方部が、ジョイント部のクリアランスが使い果たされ、もう一方の側方部もそれに沿って移動されるまで、最初に一定の範囲まで移動、特に回転することができるという点で有利である。クリアランスは、20°を超える。それは、実際には30°を超える場合があり、特に45°を超える場合もある。ダブルジョイント形の水勒馬銜の場合、2倍のクリアランス、すなわち2つのジョイント部のクリアランスを超えなければならない。シングルジョイント型、および特にダブルジョイント形の銜は、このようにして正確な側方情報を馬に提供する機会を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第017959号明細書
【特許文献2】欧州特許第1140693号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102011114147号明細書
【発明の概要】
【0010】
意図することは、舌の上に作用することによって、可能なだけ、そして可能な限り馬を誘導することである。知られているように、後者は敏感である。馬は、大幅に増幅された方法で、舌に作用する触感を知覚する。舌を介した馬の誘導は、穏やかな誘導である。特に、乗馬中に銜身が左へまたは右へと移動することができることは避けられるべきである。馬の口のその他のすべての部分に及ぼす影響は可能な限り小さくして、それによって起こり得る怪我を回避するべきである。このことは、舌は、手綱の補助によって明快かつ明確な刺激が与えられるべきであることを意味する。舌の触感は、手綱が一方に引かれる場合、馬の舌の一方に認められるべきである。このようにして、馬は、一方の手綱の補助を他方および両方の手綱の補助から区別すると考えられる。
【0011】
これに基づき、馬が、左側、右側および左右両側の手綱の補助を、その舌によって互いに明確に区別することができるように、および、舌が、少なくとも1つの移動する側方部によって、明確な誘導情報を対応して受け取るように、上記の種類の水勒馬銜を開発することが本発明の目的である。一連の行為の中で、中央部は、可能な限り受動的であるべきで、手綱の補助がある場合、可能ならば馬にどんな触感も与えないべきである。中央部が、手綱の補助がある場合に移動することがある場合でも、馬がこの移動を可能な限りほとんど感じないような方法で行なうべきである。中央部は、可能な限り円滑に回転するべきである。このようにして、馬は、少なくとも1つの側方部の移動に注意を払うことができ、中央部を無視することができるものと考えられる。
【0012】
目標は、右左が明確に区別でき、誘導情報が舌に作用する状態で、明快かつ明確な誘導情報を馬に提供する、可能な限り柔軟な銜身である。
【0013】
この目的は、請求項1の特徴を有する水勒馬銜によって達成される。
【0014】
この水勒馬銜では、側方部は、移行領域および突出領域において、意図的に非円形の断面で構成されている。それらは、明らかな非円形の断面を有している。
【0015】
突出方向での突出領域の断面の寸法は、リップ領域の対応する寸法より、少なくとも10%、特に、少なくとも20%大きいことが望ましい。突出方向での突出領域の断面の寸法は、突出方向に対して垂直な方向、すなわち突出方向に対して横断する方向におけるより、少なくとも10%、特に少なくとも20%大きいことが望ましい。突出方向に対して横断する、突出領域の断面の寸法は、リップ領域の対応する寸法より、少なくとも10%、特に、少なくとも20%小さいことが望ましい。上面視において、すなわち基準面上への視野方向において、側方部は、外側から内側に向かって厚くなってきていないことが望ましく、特に、少なくとも5%薄くなってきている。側面視において、すなわち基準面に対して平行の視野方向において、側方部は、外側から内側に向かって少なくとも5%厚くなってきていることが望ましい。
【0016】
リップ領域では、断面は略円形である。銜身が馬の口の中で向きを変えられる場合、唇には何の影響も及ぼさない。唇は、穏やかに取り扱われる。理想円からの偏差は、10%未満であり、特に5%未満であり、望ましくはさらに3%未満である。手綱補助の動作は、両唇の間に位置し、突出領域の位置にある舌の上で効力を有するのみである。その場合、中央部、またはシングルジョイント形の銜のジョイント部は、可能であれば、舌の中央に位置するはずである。そこでは、可能な限り受動的に静止するはずなので、それぞれの側方部の動作は、左側面および右側面の舌の上で明確に知覚可能であり、馬は、左側面と右側面とを明確に区別することができる。
【0017】
突出方向は、前に向けられる。これは、馬の口の中では、制御端部が、前方に向いている基準面の側方に位置することを意味する。「前方へ」の方向に基づいて、制御端部は、下方15°から上方45°までの角度の範囲の中にあることが望ましい。
【0018】
制御端部は、手綱が引かれると、すなわち銜身が方向を変えると、その端部が、舌の表面に対して次第に傾けられるように、方向付けられる。手綱の引きが強くなるにしたがって、馬は、舌の上で制御端部のより強い触感を知覚する。最初に、すなわち手綱補助を伴わないで、下側接触面は、馬の舌の上に静止している。制御端部は、実質的に前方を向いている。手綱が引かれるとき、制御端部は、舌の中に次第に移動する。その過程で、下側接触面は、次第に斜め方向に移動し、後方では、舌から次第に持ち上げられる。望ましくは、制御端部は、基準面に対して前に向かって、およそ85°±30°、特に±15°、望ましくは±5°の角度の範囲に方向付けられる。
【0019】
側方部の末端部分から始まって内部に向かって変化する断面のために、銜は、舌の上に静止するための比較的大きな表面を有する。それらは、強く線形の接触を生成することなく、馬にプラスの効果を有する。本発明による銜は、かなり大きな表面領域にわたって、舌の表面に静止する。
【0020】
本発明は、側方部において効力を有する。特許文献2と比較して、環、および特に任意に設けられる中央部は、変化しないままでいる。リップ領域では、本発明による銜は、特許文献2によるものと同じように構成されている。本発明による銜は、特許文献2による銜に基づいて、突出領域と移行領域を形成するために追加材料が加えられ、そこでは、本発明による銜が、特許文献2による銜の同じ場所よりも、それぞれ、大きな断面の寸法と大きな外周を有するように説明することができる。突出領域で、本発明による銜は、明らかな非円形であるが、特許文献2による銜は、対応する位置で略円形である。各々のケースで、円形および非円形は、断面の表面積に関連する。突出領域で、本発明による銜は、略卵形状の断面を有し、先端が誘導端を形成している。
【0021】
側方部に関して、リップ領域は、銜の幅の2〜15%の長さを有していることが望ましい。基準面に対して平行に測定される、突出領域の断面の寸法は、リップ領域の対応する断面の寸法より、少なくとも5%小さいことが望ましい。前に向いている制御端部は、銜の幅の8〜17%の長さ、特に10〜15%の長さを有することが望ましい。アイレットの外部寸法は、隣接した突出領域の断面の最大寸法より、最大で10%、特に最大で5%大きいことが望ましい。これによって、アイレットは、側方部の隣接領域の中に、より連続的に移行する。アイレットの外部寸法は、同じ方向で計測された直近隣接領域の断面の寸法より、最大で25%、特に最大で15%大きい。一方、特許文献3による銜では、アイレットの外部寸法は、同じ方向で計測された直近隣接領域の断面の寸法の2倍よりも大きい。したがって、アイレットは、かなりの範囲まで突出し、スプーンのような別の部分のように見える。基準面を横断して測定される、突出領域の断面の寸法は、リップ領域の対応する断面の寸法より、少なくとも5%大きいことが望ましい。略円形であるリップ領域の断面は、最小直径からの最大直径の偏差が最大で20%、特に最大で10%であることが望ましい。1つのわずかに湾曲した接触面が、制御端部の2つの側、すなわち下側接触面および上側接触面のそれぞれに設けられることが望ましい。少なくとも下側接触面は、断面領域で見たとき、30mmより大きい曲率半径を有する。下側接触面は、馬の舌に接触し、その上に静止するものであるが、特許文献2による銜または円形の断面形状の対応する領域より、断面領域で見たとき、少なくとも10%大きい、望ましくは少なくとも20%大きい長さにわたって、馬の舌に接触することが望ましい。下側接触面の曲率半径は、特許文献2による銜におけるものの寸法の少なくとも2倍である。制御端部は、側方部のアイレットのアイレット軸にできるだけ近づき、最大でも、銜の幅の15%の距離、特に最大でも、銜の幅の10%の距離であることが望ましい。突出領域は、アイレットにできるだけ近づくべきであるが、ジョイント接続の自由な動きを妨げるべきではない。
【0022】
特許文献2による銜とは対照的に、特にダブルジョイント形の銜の場合、重要な左側へまたは右側への誘導情報を馬の舌に伝えるのは、それぞれ引かれるアイレットであるが、本発明による銜の場合、周方向でそれらに対して隣接する下側接触面によって任意に支持される制御端部である。アイレットは、その上に実質的に突出しないように、かつ特許文献2による銜より、誘導機能についてその重要性が大幅に小さくなるように、側方部に一体化される。
【0023】
本発明による銜では、2つの側方部の制御端部が、基準面に対して同じ角度で位置することが望ましい。
【0024】
本発明による銜は、シングルジョイント形またはダブルジョイント形のどちらかである。シングルジョイント形の構成は、ダブルジョイント形の構成とは異なる。ダブルジョイント形の構成では、側方部は、中央面に対して鏡面対称の、構造的に同一であることが望ましい。その場合、中央面は、中央部の幾何学的中心を通過し、基準面および銜身の縦軸に対して垂直である。しかし、シングルジョイント形の構成では、2つの側方部は、かなり異なっている。制御端部は、関連するアイレットのアイレット軸に略平行な方向に、またはいずれにせよ同じ平面に延伸する方向に、一方の側方部から突出することが望ましい。一方、他方の側方部では、アイレット軸は、実質的に、制御端部が突出する方向に交差して延伸する。
【0025】
アイレットの接続では、一方のアイレットの軸は、それと係合している他方のアイレットの軸に対して、常に垂直である。
【0026】
ダブルジョイント形の銜では、側方部のアイレットの軸線が基準面に対して45°±20°の角度で延伸すること、特にこの基準面に対して45°±10°の角度で延伸することが有利であることが証明された。一方、シングルジョイント形の銜では、一方の側方部のアイレットの軸が、基準面に対して平行に延伸し、他方の側方部のアイレットの軸が、基準面に対して垂直に延伸する平面にあり、銜身の縦方向に方向づけられる場合、有利であることが証明された。
【0027】
突出領域がまた、逆突出部を有する場合、有利であることが証明された。後者は、制御端部を形成している突出部に対して直径の方向に配置される。このような逆突出部は、シングルジョイント形の銜に設けられることが望ましい。
【0028】
望ましくは、各ジョイント部の最大クリアランスは、銜身の縦方向およびそれに対して横断する方向に最大2mmである。最大3mmになる場合もある。
【0029】
本発明による銜は、舌の上に、銜のより大きい接触面を有する。これは、手綱が引かれていない場合である。手綱補助が増大するにつれて、接触面はより小さくなるが、制御端部の圧力はより高くなる。銜の厚さは、銜の幅の10〜20%が望ましく、特に13〜17%、15%が望ましい。
【0030】
側方部は、先行技術によっても知られるように、弓状に湾曲していることが望ましい。基準面に対して垂直な平面で、銜身の縦方向における曲率半径は、8〜20cmの寸法、望ましくは10〜16cmの寸法である。
【0031】
環は、水勒環とも呼ばれる。それらは、先行技術に従って形成される。それらは、任意の形状を有していてもよく、任意の種類の追加領域を有していてもよい。
【0032】
縦軸の方向で見たとき、制御端部は、1〜5mmの半径を有していることが望ましく、特に2〜4mm、3mmの半径であることが望ましい。
【0033】
望ましくは、側面視において、アイレット軸が基準面に対して30°より大きい角度である側方部は、イルカまたはベルーガの頭部の形を有している。これは、側面視において、すなわち基準面の視野方向において、それらは、側方部の輪郭の外側に中心を有する円の弧に類似した少なくとも1本の線で区切られていることを意味する。言い換えると、側方部の輪郭は、凹形状部、および/または側面視で少なくとも1つの変曲点を有している。変曲点は、ハンプ部の周辺に位置付けられ、このハンプ部は、側方部の中央の端の領域に位置する。
【0034】
本発明のその他の利点および特徴は、その他の請求項だけでなく、制限されないものと理解されるべきものであり、図面に関して以下に説明される例示的な実施形態の以下の説明から明らかになる。ここに図示している図は以下のものを示す。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】ダブルジョイント形の銜の上面図であり、紙面が基準面を形成し、前向きが上向きである。
図2図1の視野方向IIにおける図1による銜の図であり、銜は、完全には延伸されておらず、わずかに垂れ下がっている。
図3図1のIII−III線断面図である。
図4図1のIV−IV線断面図である。
図5図1のように、ダブルジョイント形の銜の上面図であり、紙面が、ここでも基準面である。
図6図5の視野方向IIにおける銜の側面図であり、延伸された位置ではなく、紙面領域が馬の舌の表面と実質的に一致する向きである。
図7図5に対応した銜の2つの対称的な構造上同一の側方部の1つの斜視図である。
図8図5のVIII−VIII線断面図である。
図9図5のIX−IX線断面図である。
図10】別の視野方向での図6による側方部の斜視図である。
図11図2と同様の視野でのシングルジョイント形の銜の第2の例示的な実施形態の図である。
図12図11のXII−XII線断面図である。
図13図11のXIII−XIII線断面図である。
図14図11のXIV−XIV線断面図である。
図15図6と同様の側面視でのダブルジョイント形の銜の第2の例示的な実施形態の図である。
図16図15によるXVI−XVI視野方向において、垂下する中央部を有し、第2の側方部を有さない図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
個々の例示的な実施形態については、同一の技術的項目は、同じ参照番号が指定されている。これは、寸法、平面、方向などにも適用される。すべての参照番号ならびにすべての寸法、方向および平面が、個々の図に描かれているわけではないが、これは、これらの表示が存在しないことを意味するものではない。むしろ、他の図が参照されるべきである。
【0037】
すべての例示的な実施形態による水勒馬銜は、2つの側方環20、22を有している。銜身24は、それらの間に配置される。いずれにせよ、銜身24は、2つの側方部29、31を有している。シングルジョイント形の銜の場合、図1〜4による第1の例示的な実施形態の場合のように、例えば、それ以上の部分は追加されない。ダブルジョイント形の銜では、たとえば図5〜10による第2の例示的な実施形態を参照すると、中央部30が、2つの側方部29、31の間に位置する。シングルジョイント形の銜は、ジョイント部26を有し、ダブルジョイント形の銜は、2つのジョイント部26、28を有する。そのジョイント部は、それぞれ、側方部29、31または中央部30の末端部分でクリアランスと連動するアイレット44として形成される。各アイレット44は、アイレット軸46を有する。
【0038】
各側方部29、31は、銜身の中心から離れた端部を有する。それぞれ、環20または22の1つをその中で自由に動かせるように受承するための1つの環状の穴32が、側方部29、31のその離れた端部に設けられている。環状の穴32は、それぞれ1つの軸42を有する。銜身24が延伸された場合、環状の穴の2つの軸42は、基準面50の中に位置する。延伸された状態は、銜身24が縦方向52に引かれることによって、例えば、重力の影響下で自由に吊るされ、下方に垂下することによって達成される。銜は、中央面54を有している。これは、特に、ダブルジョイント形の銜を説明するために好都合である。それは、縦方向52に対して交差して延伸し、銜身24の幾何学的中心を通して延伸する。ダブルジョイント形の銜では、これは中央部30の幾何学的中心である。中央面54は、基準面50に垂直である。
【0039】
上面図において、例えば図1では、基準面50は紙面に対して平行である。上面図および側面図において、例えば図2では、中央面54は、各々のケースで紙面に対して垂直である。図2、6および11において、紙面は、馬の舌の表面(図示せず)に一致する。これらの図は、紙面によって表わされる、その下に位置する馬の舌の上に配置されるように、空間内の銜の位置をほぼ表示している。矢印56は、前に向かう方向を示している。馬の口の中で実際に使用する間、銜身24は、図2に示された範囲まで延伸されない。どちらかと言えばそれは、図6に示されるように、わずかに角度が付けられる。図6と対照的に、銜が馬の口に挿入される場合、環は、過度に側方部29、31に向かって配置される。銜が馬の口に挿入される場合、環は、互いに対してほぼ平行になり、生体構造に従ってわずかに斜めになるのみである。
【0040】
ダブルジョイント形の鐙は、鏡面である中央面54に対して鏡対称である。
【0041】
個々の側方部29、31は、外側から中心に向けて示された順序で、以下のような3つの領域:環状の穴32に直接隣接しており、略円形の断面を有するリップ領域60、移行領域62、および突出領域64を有している。後者は、馬の口の中で概して正面に向かっている制御端部66を形成する。それは、銜の幅の6%から30%の長さであり、10%〜25%の長さが望ましい。突出領域64は、略非円形の断面を有している。断面は、卵形または楕円形であることが望ましい。移行領域62は、略円形のリップ領域60と非円形の突出領域64とを接続している。移行領域62では、略円形の断面の形状が、中心に向かって、突出領域64の非円形の断面の形状に移行する。移行は、可能な限り円滑でありかつ同化されたものである。
【0042】
原則として、馬銜の銜身24は、柔軟な構造を有している。鋭いへりまたは角は、提供されるべきではない。馬は、あらゆる領域ですり傷を負うことがあってはならない。
【0043】
リップ領域60では、断面形状は、理想円の形から可能な限りわずかな逸脱を有している。図4、8および12は、断面を示す。断面は、理想円の形から10%未満、望ましくは5%未満、特には3%未満で逸脱していることが望ましい。これは、最大直径が、最小直径から対応する範囲までしか逸脱することができないことを意味する。
【0044】
突出領域64は方向付けられる。その制御端部66は、定められた方向に位置し、それは、突出方向68と呼ばれる。それは、前方の方向56および上方向から開始して測定された角度70に位置している。図3、9および14を参照。角度70は、下方向、すなわちマイナス35°から、すなわち図3の前方の方向56から右へ、プラス35°の値まで、特にマイナス25°からプラス15°の値までの範囲に存在することが可能である。
【0045】
上面視で見たときに、側方部29、31は、中心に向かって厚くなるというよりは、基本的に先細っていることが、図1、3、5、9および14から明らかである。望ましくは、それらは、少なくとも5%先細りになっている。先細りになっていることは、図4から3、および図8から9、そして最後に図12から14までの移行の中で確認できる。この場合、図13は、移行領域62に含まれる断面を示している。リップ領域60に含まれる図12による断面と比較して、基準面50の方向の断面の寸法がより小さくなっていることが確認できる。これは、突出領域64に含まれる図14による断面で継続される。これら3つの図は、突出部72の形成を徐々に示している。それは、図12による円形断面から、図14による非円形断面に向かって、突出方向68に徐々に形成される。これは、その他の2つの例でも実証することができる。先行技術では、図13および14の断面は、それぞれ略円形である。それらは、図13および14のハッチング部分の外側に配置された円の中に所在することになる。最初の円形断面に対して突出方向68に追加された素材が認識できる。
【0046】
上述の図が示すように、横方向92で見たときの、すなわち突出方向68で測定したときの断面の寸法は、図12よりも図14の方が明らかに大きい。これは、また、基準面50に対して平行な視野方向についても当てはまる。この方向で見られるように、高さ寸法76は、図13による断面の対応する寸法より大きい。したがって、側面視では、側方部29、31は、中心に向かって次第に厚さが増すことが望ましく、特に少なくとも10%まで、次第に厚さが増すことが望ましい。横方向92は、突出方向68に対して垂直に延伸し、両方とも縦方向52に対して垂直に延伸する。
【0047】
周方向で見ると、制御端部66は、下側接触面78に一方の側で隣接しており、上側接触面80に他方の側で隣接している。下側接触面78は、馬の舌と接触するように意図されている。断面では、それは、比較的大きな曲率半径を有する。曲率半径は、リップ領域60のものより少なくとも50%大きいことが望ましい。曲率半径は、リップ領域60の直径より大きいことが望ましい。縦方向52では、下側接触面73は、事実上湾曲部分を有さない。それは、略直線で延伸する。概して、これは大きな表面積を生成する。それは、馬の舌の上に作用する円形断面の表面積より、少なくとも50%大きい。断面平面で見たときの、下側接触面78についての典型的な曲率半径は、18±5mmの範囲である。制御端部66についての典型的な曲率半径は、3±2mmの範囲である。
【0048】
シングルジョイント形の銜では、逆突出部82も、突出領域64に設けられることが望ましい。それは、突出部72に対して反対方向に突出する。この逆突出部82の先端が位置している角度70は、突出方向68から、±15%だけ逸脱してもよい。突出部72は、突出領域64の最小断面寸法の直径を有する円形断面から、突出方向68に、少なくとも2mm、特に少なくとも3mm突出することが望ましい。逆突出部82は、より小さく、またはほとんど目立つことなく形成されることが望ましく、突出部72の寸法の、例えば50%の突出である。逆突出部82は、その制御端部66の領域の突出部72よりも丸く構成される。曲率半径は、制御端部66の曲率半径の2倍を超えていることが望ましい。
【0049】
中央部30は、先行技術に従って形成される。それは、中央部アイレット84と呼ばれるアイレットを有している。中央面54で見ると、中央部30は、可能な限り円形の断面の表面積を有する。断面の最小直径を再び最大直径と比較して、最大20%、特に最大10%の、理想円からの逸脱があると考えられる。
【0050】
ダブルジョイント形の銜の2つの実施形態では、アイレット44のアイレット軸46は、基準面50に対して、45°±20°、特に45°±10°の角度70にある。
【0051】
概して、側方部29、31は、凸曲面によって区切られる。しかし、アイレット44の領域で、制御端部66に向かう方向では、凹曲面86があることが望ましい。そのような凹曲面86は、アイレット44の反対の後側に設けられることも可能である。図2を参照。図1〜4および図11〜14によるシングルジョイント形の銜において、少なくとも1つの凹曲面86があるのは一方の側方部29のみである。他方の側方部31では、アイレットの穴46は、突出方向68に対して横切って延伸し、アイレット34は、凸状線90上で突出部72に移行する。アイレットの端部は、突出部72と同じ方向に向けられ、それによってアイレット44の境界線が、凸面状に湾曲して、制御端部66に移行する。これは、特に図1、2および11から明らかである。
【0052】
アイレット軸46が実質的に突出方向68に一致する側方部では、輪郭で見られるハンプ部88が生成される。そこでは、輪郭線は変曲点を有する。変曲点は、凹曲面86から生じる。
【0053】
次に、移行領域62も、すでに一種の制御端部66を形成する。後者は、中心に向かって次第に増大する。したがって、それは、突出領域64の接触面78、80に対応し、それらにさらに近付く、次第に明確に目立ってくる接触面を有する。その点で、移行領域62もまた、馬を制御することに貢献する。
【0054】
アイレット軸46および中央部アイレット84の軸は、それぞれ、その周りでそれぞれのアイレットジョイントが移動できるジョイント軸を形成する。特に図10が示しているように、シングルジョイント形の銜で、凸状線90が、他方の側方部29の凹曲面86に対向して位置している。一方、2つの凹曲面86は、ダブルジョイント形の銜の縦方向52で、互いに対向して位置している。例えば図15を参照。アイレット軸46の45°の向きは、図16から明らかである。
【0055】
水勒馬銜は、2つの側方環20、22、およびその間に配置された銜身24を有し、それは、2つのジョイント部26、28および中央部30、または1つのジョイント部26のどちらかを有する。銜身24は、2つの側方部を有している。それぞれの側方部29、31は、環20、22の1つをそれぞれ自由に移動可能に受承するための環状の穴32を有する端部を有し、その端部は、少なくとも1つのジョイント部26、28から離間している。それぞれの側方部29、31は、示される順に、以下の領域:環状の穴32に直接隣接し、略円形断面を有しているリップ領域60、移行領域62、および、略非円形断面を形成し、前方を向いており、銜の幅の30%の長さ、または側方部29、31の全長の10%から60%の長さを有する制御端部66を形成する突出領域64、を有する。
【0056】
略円形のリップ領域60から非円形の突出領域64への連続した円滑な移行は、移行領域62の中に位置している。
【0057】
制御端部66の長さは、以下のように決定されることが望ましい。側方部29、31の中心線が決定される。そのプロセスでは、すべての断面が円形であると仮定する(特許文献2による先行技術の場合のように)。言い換えると、先行技術と比較してさらに追加された題材は、考慮されない。中心線は、個々の円形断面の中心を通って延伸する。それは、概して弓状で連続している。それは、実質的に上述の弓状の曲率によって決定される。制御端部66は、それらに対して略一定の距離で延伸する。制御端部66の終末点は、この距離が20%を超えて、特に10%を超えて、望ましくは5%を超えて小さくなる場所に位置する。制御端部66は、側方部29、31の表面のすべての他の点より、この中心線からの距離が大きいことが望ましい。
図1
図2
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図10
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図16