特許第6577025号(P6577025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6577025
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】自動車用盗難防止装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/021 20130101AFI20190909BHJP
   E05B 83/00 20140101ALI20190909BHJP
【FI】
   B60R25/021
   E05B83/00 A
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-514551(P2017-514551)
(86)(22)【出願日】2015年9月11日
(65)【公表番号】特表2017-534507(P2017-534507A)
(43)【公表日】2017年11月24日
(86)【国際出願番号】EP2015070887
(87)【国際公開番号】WO2016041879
(87)【国際公開日】20160324
【審査請求日】2018年9月10日
(31)【優先権主張番号】1458787
(32)【優先日】2014年9月17日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516364120
【氏名又は名称】ユーシン、フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン ルノー
(72)【発明者】
【氏名】ペラン クリストフ
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−111294(JP,A)
【文献】 特開2010−012989(JP,A)
【文献】 特開平09−254844(JP,A)
【文献】 特開2001−073822(JP,A)
【文献】 米国特許第06327882(US,B1)
【文献】 特表2008−517835(JP,A)
【文献】 特開2001−260819(JP,A)
【文献】 特開平11−099973(JP,A)
【文献】 米国特許第05732580(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/021
E05B 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用盗難防止装置(100)であって、
キーの挿入により回転するよう構成されたシリンダ(104)と、
自動車のステアリングコラムをロックするロック位置と、ロックを解除するロック解除位置とをとるよう構成された差し錠(116)と、
前記シリンダ(104)と前記差し錠(116)との間の第1の運動連鎖機構(302)であって、前記シリンダ(104)の回転によって、前記差し錠(116)を前記ロック位置から前記ロック解除位置に動かす第1の運動連鎖機構(302)と、
前記シリンダ(104)と、前記シリンダ(104)の角度位置を検知する装置(118)との間の第2の運動連鎖機構(304)とを備え、
前記第1の運動連鎖機構(302)には、前記シリンダ(104)と前記差し錠(116)との間にフォロワ(112)が設けられており、
前記第1及び第2の運動連鎖機構(302,304)に共有されるとともに、前記第1の運動連鎖機構(302)の連接部のうちで最も低い破断閾値を有する破断連接部(L104/108)を有し、これにより、前記差し錠(116)が前記ロック位置から移動できなくなった場合に、前記破断連接部(L104/108)が第1の運動連鎖機構(302)内で前記フォロワ(112)よりも先に破断する
ことを特徴とする自動車用盗難防止装置(100)。
【請求項2】
請求項1の自動車用盗難防止装置(100)において、
前記破断連接部(L104/108)は、前記シリンダ(104)に4.5Nmよりも大きいトルクがかかったときに破断するよう構成されている
ことを特徴とする自動車用盗難防止装置(100)。
【請求項3】
請求項1又は2の自動車用盗難防止装置(100)において、
カム(108)をさらに備え、
前記破断連接部(L104/108)が前記シリンダ(104)を前記カム(108)に連接する
ことを特徴とする自動車用盗難防止装置(100)。
【請求項4】
請求項3の自動車用盗難防止装置(100)において、
前記カム(108)は回転カムであり、
前記シリンダ(104)と前記回転カム(108)とは、同一の回転軸(AA’)を中心に回転可能に取り付けられている
ことを特徴とする自動車用盗難防止装置(100)。
【請求項5】
請求項4の自動車用盗難防止装置(100)において、
前記破断連接部(L104/108)が、前記シリンダ(104)と前記回転カム(108)とを、前記回転軸(AA’)を中心に連動回転させる
ことを特徴とする自動車用盗難防止装置(100)。
【請求項6】
請求項4又は5の自動車用盗難防止装置(100)において、
前記シリンダ(104)の表面には、前記回転カム(108)にトルクを伝達する少なくとも1つの伝動突起(202,204)が形成され、これにより、前記シリンダ(104)の回転によって前記回転カム(108)が回転し、
前記少なくとも1つの伝動突起が破断するように構成されている
ことを特徴とする自動車用盗難防止装置(100)。
【請求項7】
請求項6の自動車用盗難防止装置(100)において、
前記少なくとも1つの伝動突起(202,204)は、前記シリンダ(104)と前記回転カム(108)との間のトルクが4.5Nmよりも大きい場合に、破断するよう構成されている
ことを特徴とする自動車用盗難防止装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用盗難防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
正規のキーを使用せずに自動車が始動されて盗まれる、自動車盗難を回避するために、次のような種類の自動車用盗難防止装置を使用することが知られている。すなわち、
キーの挿入により回転するよう構成されたシリンダと、
自動車のステアリングコラムをロックするロック位置と、ロックを解除するロック解除位置とをとるよう構成された差し錠と、
シリンダと差し錠の間の第1の運動連鎖機構であって、シリンダの回転によって、上記差し錠をロック位置からロック解除位置に動かす第1の運動連鎖機構と、
シリンダと、シリンダの角度位置を検知するための装置との間の第2の運動連鎖機構と、を備える自動車用盗難防止装置である。
【0003】
第1の運動連鎖機構は、概して、シリンダによって駆動される回転カムと、この回転カムにより押されるフォロワと、このフォロワにより駆動されるとともに差し錠をロック解除位置に動かすように構成されたスライド板とを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の差し錠は、ステアリングコラムに引っかかって、ロック位置から移動できなくなることがある。その場合、運転者は、キーにかなりのトルクをかけることによって、上記シリンダを強制的に回転させようとしがちである。このトルクは、キーによりシリンダに再伝達される。しかし、フォロワは、概して、簡易で丈夫さに欠ける部品であるため、シリンダにかかるトルクが大きいと(具体的には8Nmを超えると)、破損する虞がある。フォロワが破損すると、ユーザは自由に自動車を始動させることができるが、一方で、ステアリングコラムは差し錠によってロックされたままとなる。この状況は、運転者にとって非常に重大な安全上の問題を引き起こす。
【0005】
本発明は、この安全上の問題の少なくとも一部を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために、上記のような種類の盗難防止装置が提案される。この盗難防止装置は、第1及び第2の運動連鎖機構に共有されるとともに、第1の運動連鎖機構の連接部のうちで最も低い破断閾値を有する破断連接部を備え、これにより、差し錠がロック位置から移動できなくなった場合に、破断連接部が第1の運動連鎖機構内で最初に破断することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、破断連接部が2つの運動連鎖機構に共有されているので、破断連接部の破断の後には、検知装置がシリンダの回転を検知することがなくなる。したがって、シリンダは「から回り」し、自動車の始動を制御することができない。
【0008】
必要に応じ、上記破断連接部は、フォロワが破損するトルクよりも小さい規定のトルク、具体的には4.5Nmよりも大きいトルク、特に5Nmのトルクがシリンダにかけられたときに、破断するよう構成されてもよい。
【0009】
また、必要に応じ、盗難防止装置はカムをさらに備え、破断連接部はシリンダをこのカムに連接してもよい。
【0010】
また、必要に応じ、上記カムは回転カムであり、シリンダと回転カムとは、同一の回転軸を中心に回転可能に取り付けられてもよい。
【0011】
また、必要に応じ、破断連接部が、シリンダと回転カムとを、前記回転軸を中心に連動回転させてもよい。
【0012】
また、必要に応じ、シリンダが、回転カムの少なくとも1つの伝動突起を有し、これにより、シリンダの回転によって回転カムが回転するよう構成してもよい。また、少なくとも1つの伝動突起が破断するように構成してもよい。
【0013】
また、必要に応じ、少なくとも1つの伝動突起は、シリンダと回転カムとの間のトルクが、フォロワが破損するトルクよりも小さい場合、特に4.5Nmよりも大きく、さらには、5Nmよりも大きい場合に、破損するよう構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明に係る自動車用盗難防止装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1の自動車用盗難防止装置のシリンダの前端部を示す斜視図である。
図3図3は、図1の自動車用盗難防止装置の部品間の連接部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の実施形態は、例示のみを目的とするものである。
【0016】
図1図3を参照して、本発明に係る自動車用盗難防止装置100を説明する。この盗難防止装置100は、自動車のステアリングコラムのロックと、この自動車のエンジンの始動とを制御するように構成されている。
【0017】
図1に示すように、盗難防止装置100は、まず、フレーム102を備える。
【0018】
盗難防止装置100は、さらに、シリンダ104を備える。このシリンダ104は、「後−前」として示す前後方向に平行な回転軸AA’を中心に、フレーム102に対して回転可能に取り付けられている。シリンダ104は、フレーム102の後部に囲まれているが、明確さを考慮して、図面ではこの後部を省略している。シリンダ104の後部には、キー(図示省略)の導入スロットが設けられている。
【0019】
シリンダ104は、キーを検知するタンブラ(図示省略)を収容している。したがって、キーがシリンダ104に合う場合には、タンブラとフレーム102の後部との係合が解除され、シリンダ104が軸AA’を中心に回転可能となる。反対に、キーがシリンダ104に合わない場合又はキーがない場合は、タンブラはフレーム102の後部と係合されたままとなり、フレーム102に対するシリンダ104の回転が阻止されるように構成されている。
【0020】
シリンダ104は、キーを回すことによって、第1の位置であるSTOP位置から第2の位置であるON位置へ、さらに、第3の位置であるSTART位置へと回転するよう構成されている。
【0021】
盗難防止装置100は、さらに、回転カム108を備える。この回転カム108は、シリンダ104の前方部に位置し、回転軸AA’を中心に、フレーム102に対して回転可能に取り付けられている。回転カム108は、カム形状を画定する傾斜部110を有する。
【0022】
盗難防止装置100は、さらに、フォロワ112を備える。このフォロワ112は、回転カム108の傾斜部110と協働して前後方向に可動に構成されている。
【0023】
盗難防止装置100は、さらに、スライド板114を備える。このスライド板114は、フォロワ112に連接されており、フォロワ112によって前後方向に動くように構成されている。
【0024】
盗難防止装置100は、さらに、差し錠116を備える。この差し錠116は、スライド板114の前端部に連接されており、スライド板114によって、ステアリングコラム(図示省略)をロックするロック位置と、ロックを解除するロック解除位置との間で動くように構成されている。
【0025】
盗難防止装置100は、さらに、シリンダ104の角度位置を検知する検知装置118を有する電力供給システム(図示省略)を備える。電力供給システムは、検知装置118により検知されたシリンダ104の位置に応じて、自動車の電装部材への電力供給を行ったり停止したりするよう構成されている。より正確には、シリンダ104がSTOP位置にあるときは、電力供給システムは、電装部材への電力供給を行わない。シリンダ104が第2の位置であるON位置にあるときは、電力供給システムは、電装部材に電力を供給する。シリンダ104がSTART位置にあるときは、電力供給システムは、自動車の起動装置に電力を供給する。
【0026】
図2に示すように、シリンダ104には、回転カム108の少なくとも1つの伝動突起202,204が設けられている。よって、ここで説明する例では、シリンダ104と回転カム108とは、互いに連動して回転する。各伝動突起202,204は、シリンダ104の前方表面から軸方向に突出しており、シリンダ104と回転カム108との間でトルクを伝達するよう構成されている。
【0027】
図3からは、盗難防止装置100が、2つの運動連鎖機構302,304を備えることが理解されるであろう。
【0028】
第1の運動連鎖機構302は、シリンダ104と差し錠116との間に延び、以下の連接部を含む。
・シリンダ104/回転カム108間の連接部(符号L104/108で示す)
・回転カム108/フォロワ112間の連接部(符号L108/112で示す)
・フォロワ112/スライド板114間の連接部(符号L112/114で示す)
・スライド板114/差し錠116間の連接部(符号L114/116で示す)
【0029】
第1の運動連鎖機構302によって、シリンダ104がSTOP位置からON位置に回転すると、差し錠116がロック位置からロック解除位置に動く。また、シリンダ104がON位置からSTOP位置に回転すると、差し錠116がロック解除位置からロック位置に動く。
【0030】
第2の運動連鎖機構304は、シリンダ104とシリンダ104の角度位置を検知する装置118との間に延び、以下の連接部を含む。
・シリンダ104/回転カム108間の連接部(符号L104/108で示す)
・回転カム108/検知装置118間の連接部(符号L108/118示す)
【0031】
第2の運動連鎖機構304によって、シリンダ104の角度位置が、検知装置118により検知される。
【0032】
シリンダ104と回転カム108との間の連接部L104/108は、第1及び第2の運動連鎖機構302,304に共有されていることが理解されるであろう。この連接部L104/108は、第1の運動連鎖機構302の連接部のうちで最も低い破断閾値を有している。したがって、差し錠116がロック位置から移動できなくなったときには、連接部L104/108が第1の運動連鎖機構302内で最初に破断する。
【0033】
ここで説明する例では、連接部L104/108は、フォロワが破損するトルクよりも小さい規定のトルク、具体的には4.5Nmよりも大きく、さらには、5Nmであるトルクがシリンダ104にかかったときに、破断するように構成されている。このとき、特に差し錠116が移動不可となった後に、回転カム108の回転が停止する。
【0034】
このことは、1つ又は複数の伝動突起202,204を、破断しやすくするように設計することで実現される。ここで説明する例では、伝動突起202,204は、シリンダ104と回転カム108との間のトルクが、フォロワが破損するトルクよりも小さいとき、具体的には、4.5Nmよりも大きく、さらには、5Nmであるときに破断するように設計されている。
【0035】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、反対に、以下の特許請求の範囲により定義される。当業者には、各種の変更が可能であることが理解されるであろう。
【0036】
特に、上記検知装置は、回転カムを介さずに、シリンダに直接連接され得る。この構成は、回転カムとシリンダとが常に連動回転するわけではないときに有用である。この場合は、シリンダと検知装置との間の連接部を破断連接部とする。
【0037】
さらに、特許請求の範囲に使用される用語が、上記の実施形態の要素に限定されると理解されるべきではない。反対に、当業者が一般的知識から導出できるすべての等価な要素を包含するものと理解されるべきである。
図1
図2
図3