特許第6577030号(P6577030)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6577030スイッチング増幅器およびこれを動作させるための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6577030
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】スイッチング増幅器およびこれを動作させるための方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20190909BHJP
   H02M 7/483 20070101ALI20190909BHJP
【FI】
   A61B5/055 340
   H02M7/483
【請求項の数】20
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-522599(P2017-522599)
(86)(22)【出願日】2015年10月27日
(65)【公表番号】特表2017-536162(P2017-536162A)
(43)【公表日】2017年12月7日
(86)【国際出願番号】US2015057509
(87)【国際公開番号】WO2016069555
(87)【国際公開日】20160506
【審査請求日】2018年10月12日
(31)【優先権主張番号】201410587975.9
(32)【優先日】2014年10月28日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100115462
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ルイ
(72)【発明者】
【氏名】サバテ,ジュアン
(72)【発明者】
【氏名】チ,ソン
(72)【発明者】
【氏名】メイ,イン
【審査官】 伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−000645(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0275404(US,A1)
【文献】 特開2013−183565(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0229843(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
H02M 7/483
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング増幅器(100)であって、
負荷(200)の2つの端子間で直列に結合された複数nのカスケード要素(KE1〜KEn)であって、該カスケード要素(KE1〜KEn)のそれぞれが実質的に同一であり、前記カスケード要素(KE1〜KEn)のそれぞれが、2つのレッグ回路であって、それぞれがスイッチ(S1、S2)から構成されている2つのレッグ回路を含む複数nのカスケード要素(KE1〜KEn)、および
前記カスケード要素(KE1〜KEn)のそれぞれの前記レッグ回路のそれぞれの前記スイッチ(S1、S2)のそれぞれに結合された制御装置(10)であって、前記スイッチング増幅器(100)によって生じるコモンモード(CM)電圧(Ucm)の変化が所定の範囲内となるように、空間ベクトル変調(SVM)を使用して前記スイッチ(S1、S2)のすべてを制御するように構成された制御装置(10)
を備えるスイッチング増幅器(100)。
【請求項2】
前記スイッチ(S1、S2)のすべてが、前記CM電圧(Ucm)の前記変化がゼロに等しくなるように、前記SVMを使用することによって制御される、請求項1に記載のスイッチング増幅器(100)。
【請求項3】
前記カスケード要素(KE1〜KEn)のそれぞれに含まれる前記2つのレッグ回路が、電源(4)に結合されており、前記スイッチ(S1、S2)のすべてが、前記負荷(200)における電圧(Uout)が−nVdc〜nVdcの範囲内となるように、前記SVMを使用することによって制御され、前記Vdcが、前記電源(4)の電圧である、請求項1に記載のスイッチング増幅器(100)。
【請求項4】
前記レッグ回路のそれぞれが、電源(4)の2つの電極間で直列に接続された2つのスイッチ(S1、S2)を備える、請求項1に記載のスイッチング増幅器(100)。
【請求項5】
前記スイッチング増幅器(300)が、2つの前記カスケード要素(KE1、KE2)を備え、前記スイッチング増幅器(300)の8つの前記スイッチ(S1、S2)が、前記CM電圧(Ucm)の前記変化がゼロに等しくなるように、8つのベクトルのうちの1つを使用することによって制御される、請求項4に記載のスイッチング増幅器(300)。
【請求項6】
前記スイッチング増幅器(300)が、2つの前記カスケード要素(KE1、KE2)を備え、前記スイッチング増幅器(300)の8つの前記スイッチ(S1、S2)が、前記CM電圧(Ucm)の前記変化がゼロに等しくなるように、前記電源(4)の電圧に対する負荷出力基準電圧の比率に応じて所望のモードまたは第1のモードおよび第2のモードの一方または第1のモード、第2のモード、第3のモード、および第4のモードのうちの1つで制御される、請求項4に記載のスイッチング増幅器(300)。
【請求項7】
前記スイッチング増幅器(300)が、2つの前記カスケード要素(KE1、KE2)を備え、スイッチング期間(Ts)内の第1のスイッチング間隔(T1)、第2のスイッチング間隔(T2)、第3のスイッチング間隔(T3)、第4のスイッチング間隔(T4)、第5のスイッチング間隔(T5)、および第6のスイッチング間隔(T6)の間、前記スイッチング増幅器(300)の8つの前記スイッチ(S1、S2)が、それぞれ第9ベクトル、第10ベクトル、第2ベクトル、第5ベクトル、第7ベクトル、および第8ベクトルを使用することによって制御される、請求項4に記載のスイッチング増幅器(300)。
【請求項8】
前記スイッチング増幅器(400)が、3つの前記カスケード要素(KE1、KE2、KE3)を備え、前記スイッチング増幅器(400)の12の前記スイッチ(S1、S2)が、前記CM電圧(Ucm)の前記変化がゼロに等しくなるように、20のベクトルのうちの1つを使用することによって制御される、請求項4に記載のスイッチング増幅器(400)。
【請求項9】
前記スイッチング増幅器(400)が、3つの前記カスケード要素(KE1、KE2、KE3)を備え、スイッチング期間(Ts)内の第1のスイッチング間隔(T1)、第2のスイッチング間隔(T2)、第3のスイッチング間隔(T3)、第4のスイッチング間隔(T4)、第5のスイッチング間隔(T5)、および第6のスイッチング間隔(T6)の間、前記スイッチング増幅器(400)の12の前記スイッチ(S1、S2)が、それぞれ第1ベクトル、第6ベクトル、第2ベクトル、第8ベクトル、第2ベクトル、および第6ベクトルを使用することによって制御される、請求項4に記載のスイッチング増幅器(400)。
【請求項10】
複数nのカスケード要素(KE1〜KEn)を備えるスイッチング増幅器(100)を動作させるための方法であって、
負荷(200)の2つの端子間で前記カスケード要素(KE1〜KEn)を直列に結合するステップと、
前記カスケード要素(KE1〜KEn)のそれぞれに2つのレッグ回路を設けるステップであって、前記2つのレッグ回路のそれぞれが、スイッチ(S1、S2)から構成されるステップと、
前記スイッチング増幅器(100)によって生じるコモンモード(CM)電圧(Ucm)の変化が所定の範囲となるように、空間ベクトル変調(SVM)を使用して、前記スイッチング増幅器(100)に含まれる前記スイッチ(S1、S2)のすべてを制御するステップと
を含む方法。
【請求項11】
前記CM電圧(Ucm)の前記変化がゼロに等しくなるように、前記SVMを使用して前記スイッチ(S1、S2)のすべてを制御するステップ
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記カスケード要素(KE1〜KEn)のそれぞれの前記2つのレッグ回路を電源(4)に結合するステップ、および
前記負荷(200)における電圧(Uout)が−nVdc〜nVdcの範囲内となるように、前記SVMを使用して前記スイッチ(S1、S2)のすべてを制御するステップであって、前記Vdcが、前記電源(4)の電圧であるステップ
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記レッグ回路のそれぞれに2つの前記スイッチ(S1、S2)を設けるステップであって、前記2つのスイッチ(S1、S2)が、電源(4)の2つの電極間で直列に結合されるステップ
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記スイッチング増幅器(300)が、2つの前記カスケード要素(KE1、KE2)を備え、前記スイッチ(S1、S2)のすべてを制御する前記ステップが、
前記CM電圧(Ucm)の前記変化がゼロに等しくなるように、8つのベクトルのうちの1つを使用して前記スイッチング増幅器(300)の8つの前記スイッチ(S1、S2)を制御するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記スイッチング増幅器(300)が、2つの前記カスケード要素(KE1、KE2)を備え、前記スイッチ(S1、S2)のすべてを制御する前記ステップが、
前記CM電圧(Ucm)の前記変化がゼロに等しくなるように、前記電源(4)の電圧に対する負荷出力基準電圧の比率に応じて第1のモード、第2のモード、第3のモード、および第4のモードのうちの1つまたは第1のモードおよび第2のモードの一方または所望のモードで前記スイッチング増幅器(300)の8つの前記スイッチ(S1、S2)を制御するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記スイッチング増幅器(300)が、2つの前記カスケード要素(KE1、KE2)を備え、前記スイッチ(S1、S2)のすべてを制御する前記ステップが、
スイッチング期間(Ts)内の第1のスイッチング間隔(T1)、第2のスイッチング間隔(T2)、第3のスイッチング間隔(T3)、第4のスイッチング間隔(T4)、第5のスイッチング間隔(T5)、および第6のスイッチング間隔(T6)の間、それぞれ第9ベクトル、第10ベクトル、第2ベクトル、第5ベクトル、第7ベクトル、および第8ベクトルを使用することによって前記スイッチング増幅器(300)の8つの前記スイッチ(S1、S2)を制御するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記スイッチング増幅器(400)が、3つの前記カスケード要素(KE1、KE2、KE3)を備え、前記スイッチ(S1、S2)のすべてを制御する前記ステップが、
前記CM電圧(Ucm)の前記変化がゼロに等しくなるように、20のベクトルのうちの1つを使用して前記スイッチング増幅器(400)の12の前記スイッチ(S1、S2)を制御するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記スイッチング増幅器(400)が、3つの前記カスケード要素(KE1、KE2、KE3)を備え、前記スイッチ(S1、S2)のすべてを制御する前記ステップが、
スイッチング期間(Ts)内の第1のスイッチング間隔(T1)、第2のスイッチング間隔(T2)、第3のスイッチング間隔(T3)、第4のスイッチング間隔(T4)、第5のスイッチング間隔(T5)、および第6のスイッチング間隔(T6)の間、それぞれ第1ベクトル、第6ベクトル、第2ベクトル、第8ベクトル、第2ベクトル、および第6ベクトルを使用することによって前記スイッチング増幅器(400)の12の前記スイッチ(S1、S2)を制御するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
傾斜磁場増幅器であって、
傾斜磁場コイルの2つの端子間で直列に結合された複数nのカスケード要素(KE1〜KEn)であって、該カスケード要素(KE1〜KEn)のそれぞれが実質的に同一であり、前記カスケード要素(KE1〜KEn)のそれぞれが、2つのレッグ回路であって、それぞれがスイッチ(S1、S2)から構成されている2つのレッグ回路を含む複数nのカスケード要素(KE1〜KEn)、および
前記カスケード要素(KE1〜KEn)のそれぞれの前記レッグ回路のそれぞれの前記スイッチ(S1、S2)のそれぞれに結合された制御装置(10)であって、前記傾斜磁場増幅器によって生じるコモンモード(CM)電圧(Ucm)の変化が所定の範囲内となるように、空間ベクトル変調(SVM)を使用して前記スイッチ(S1、S2)のすべてを制御するように構成された制御装置(10)
を備える傾斜磁場増幅器。
【請求項20】
前記スイッチ(S1、S2)のすべてが、前記CM電圧(Ucm)の前記変化がゼロに等しくなるように、前記SVMを使用することによって制御される、請求項19に記載の傾斜磁場増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般にスイッチング増幅器に、より詳細には、磁気共鳴撮像(MRI:magnetic resonance imaging)システムに適合する傾斜磁場ドライバ(gradient driver)に関する。
【背景技術】
【0002】
MRIシステムにおいて、傾斜磁場ドライバは、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向に沿って磁場勾配を発生させるために、対象(例えば、患者)の周囲に配置された傾斜磁場コイル(gradient coil)を励磁するように構成される。一般的に、傾斜磁場ドライバは、パワー半導体素子(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、パワー金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)など)から構成されるスイッチング電源である。傾斜磁場ドライバによって伝送され得る電力を制御するために、パワー半導体素子は、通常はパルス幅変調(PWM:pulse width modulation)方法で動作される。
【0003】
しかしながら、PWM方法は、たくさんの高調波成分を発生させ得る高速過渡電圧(dv/dt)または電流(di/dt)をもたらす。上で言及したように、高調波成分は、RFコイルによって検知される高周波(RF:radio frequency)信号を汚し、MR画像の品質の大幅な劣化をもたらし得る。高調波成分は、差動モード(DM:differential mode)電磁ノイズおよびコモンモード(CM:common mode)電磁ノイズとして規定され得る。通常、CM電磁ノイズの大きさは、DM電磁ノイズの大きさよりも大きい。
【0004】
したがって、傾斜磁場ドライバによって生じるCM電磁ノイズを低減することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7932777号明細書
【発明の概要】
【0006】
本明細書に開示されている1つ以上の実施形態によれば、スイッチング増幅器が提供される。スイッチング増幅器は、制御装置および負荷の2つの端子間で直列に結合される複数nのカスケード要素を含む。カスケード要素のそれぞれは、実質的に同一であり、また、2つのレッグ回路であって、それぞれがスイッチから構成される2つのレッグ回路を含む。制御装置は、カスケード要素のそれぞれのレッグ回路のそれぞれのスイッチのそれぞれに結合され、制御装置は、スイッチング増幅器によって生じるコモンモード(CM)電圧が一定の値に等しくなるように、空間ベクトル変調(SVM:space vector modulation)を使用してスイッチのすべてを制御するよう構成される。
【0007】
本開示のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明が添付図面を参照しながら読まれるときにより良く理解されるようになる。なお、添付図面では、同じ符号が、図面を通して同じ部分を示している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に係るスイッチング増幅器の回路図である。
図2】2つのカスケード要素を有するスイッチング増幅器に関する、図1の簡略図である。
図3図2のスイッチング増幅器に関する第1の電圧曲線を示している。
図4図2のスイッチング増幅器に関する第2の電圧曲線を示している。
図5図2のスイッチング増幅器に関する第3の電圧曲線を示している。
図6図2のスイッチング増幅器に関する第4の電圧曲線を示している。
図7】3つのカスケード要素を有するスイッチング増幅器に関する、図1の簡略図である。
図8図7のスイッチング増幅器に関する第1の電圧曲線を示している。
図9図7のスイッチング増幅器に関する第2の電圧曲線を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
これらの実施形態の簡潔な説明を提供するために、1つ以上の特定の実施形態において、実際の実施態様の特徴のすべてについて説明しない。このような実際の実施態様の開発(工学または設計プロジェクトにおけるような)において、実施態様ごとに異なり得る、開発者の特定の目標(システム関連およびビジネス関連の制約の遵守など)を達成するために、実施態様に特有の多数の決定がなされなければならないことが認識されるべきである。
【0010】
別段の規定がない限り、本明細書で使用されている技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。用語「第1の」および「第2の」などは、本明細書で使用される場合、順序、量、または重要度を示さず、要素を互いに区別するために使用される。また、単数形を表す語「1つの(a、an)」は、量の限定を意味せず、言及された物品の少なくとも1つの存在を意味する。用語「または(or)」は、包含的であり、列挙された物品のいずれか、いくつか、またはすべてを意味することを意図されている。「を含む(including)」、「を備える(comprising)」、または「を有する(having)」およびこれらの変化形の使用は、本明細書において、これらの後に列挙された物品およびこれらの同等物ならびにさらなる物品を包含することを意図されている。用語「接続される」および「結合される」は、直接的または間接的を問わず、物理的または機械的な接続または結合に限定されず、電気的な接続または結合を含み得る。用語「回路」、「回路構成(circuitry)」、および「コントローラ」は、単一の構成要素または複数の構成要素を含んでもよく、これらは、能動的および/または受動的な構成要素であり、随意に、説明されている機能を実現するために一緒に接続または結合されてもよい。
【0011】
例示的な実施形態として、図1は、カスケード形態で構成されたスイッチング増幅器100である。スイッチング増幅器100は、負荷200に電力を供給するように構成されている。非限定的な例として、スイッチング増幅器100は、磁気共鳴撮像(MRI)システムの傾斜磁場増幅器(gradient amplifier)であり、負荷200は、MRIシステムの傾斜磁場コイルである。
【0012】
スイッチング増幅器100は、制御装置10および同じ種類の複数nのカスケード要素KE1、KE2、…KEnを含む。他の実施形態において、制御装置10は、スイッチング増幅器100に含まれない。詳細には、カスケード要素KE1、KE2、…KEnは、負荷200の2つの端子間で直列に接続されている。カスケード要素電圧U1、U2、…Unが、それぞれのカスケード要素KE1、KE2、…KEnに割り当てられており、それらの合計が、負荷200における、スイッチング増幅器100の出力電圧Uoutを与える。したがって、Uout=U1+U2+…Unである。
【0013】
カスケード要素KE1、KE2、…KEnのそれぞれは、周知の態様の2つのレッグ回路を含み、これらには、電源4が接続されている。各レッグ回路は、電源4の2つの電極間で直列に接続された2つのスイッチS1およびS2ならびに2つのスイッチS1およびS2間の接続点として規定されたレッグ端子を含む。非限定的な例として、2つのスイッチS1およびS2は、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)またはパワーMOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)またはBJT(バイポーラ接合トランジスタ)または他の制御可能な半導体素子などであってもよい。非限定的な例として、カスケード要素電圧U1、U2、…Unのそれぞれは、2つの対応するレッグ回路の2つのレッグ端子間の電圧として規定されている。さらに、キャパシタンスC+およびC−が、導体から接地への配線またはスイッチング増幅器100のキャパシタンスの結合に関して、図1に例示的に示されている。
【0014】
カスケード要素の構造および機能は、カスケード要素KE1、KE2、およびKEnに関して例として説明される。他のカスケード要素KE3〜KEn−1は、カスケード要素KE1、KE2、およびKEnのうちの1つと同様に構成される。カスケード要素KE1、KE2、およびKEnを例として取り上げた場合、カスケード要素KE1の一方のレッグ回路のレッグ端子には、L1という符号が付与されており、カスケード要素KE1の他方のレッグ回路のレッグ端子には、R1という符号が付与されている。カスケード要素電圧U1は、式:U1=VL1−VR1(ただし、VL1およびVR1は、レッグ端子L1およびR1のそれぞれの電位である)によって計算される。
【0015】
カスケード要素KE2の一方のレッグ回路のレッグ端子には、L2という符号が付与されており、カスケード要素KE2の他方のレッグ回路のレッグ端子には、R2という符号が付与されている。カスケード要素電圧U2は、式:U2=VL2−VR2(ただし、VL2およびVR2は、レッグ端子L2およびR2のそれぞれの電位である)によって計算される。
【0016】
カスケード要素KEnの一方のレッグ回路のレッグ端子には、Lnという符号が付与されており、カスケード要素KEnの他方のレッグ回路のレッグ端子には、Rnという符号が付与されている。カスケード要素電圧Unは、式:Un=VLn−VRn(ただし、VLnおよびVRnは、レッグ端子LnおよびRnのそれぞれの電位である)によって計算される。
【0017】
それぞれのドライバ5が、スイッチS1およびS2に割り当てられている。スイッチング増幅器100によって生じるコモンモード(CM)電圧の変化が所定の範囲内となり、負荷200における電圧が−nVdc〜nVdc(ただし、Vdcは電源4の電圧である)の範囲内となるように、ドライバ5は、すべてのカスケード要素KE1〜KEnによって共用される制御装置10によって駆動され、すべてのスイッチは、空間ベクトル変調(SVM)に従ってそれぞれのドライバ5によって制御される。CM電圧Ucmは、負荷200に接続された2つのレッグ端子L1およびRnの電位に関連する。詳細には、所定の範囲およびSVM方法は、図2図9に関して説明される。
【0018】
CM電圧の変化が所定の範囲内であることから、CM電圧によって生じる電磁干渉(EMI:electromagnetic interference)が低減される。特定の例として、CM電圧の変化はゼロに等しく、したがって、CM電圧によって生じるEMIはさらに低減される。
【0019】
制御装置10は、多数のモジュールであって、各モジュールがそれぞれのカスケード要素に割り当てられた多数のモジュールから形成されているものとして描かれている。他の実施形態において、制御装置10は、統合されたサブアセンブリとして構成される。
【0020】
さらに図2を参照すると、図1に係る2つのカスケード要素を有するスイッチング増幅器300が描かれている。非限定的な例として、スイッチング増幅器300は、2つのカスケード要素KE1、KE2を含む。実施形態において、カスケード要素KE1およびKE2のそれぞれのレッグ回路は、電源4の2つの電極間で直列に接続された2つのスイッチを含む。
【0021】
カスケード要素KE1は、2つのレッグ回路AおよびBを含む。レッグ回路Aの2つのスイッチには、それぞれS1aおよびS2aという符号が付与されており、レッグ回路Bの2つのスイッチには、それぞれS1bおよびS2bという符号が付与されている。
【0022】
カスケード要素KE2は、2つのレッグ回路CおよびDを含む。レッグ回路Cの2つのスイッチには、それぞれS1cおよびS2cという符号が付与されており、レッグ回路Dの2つのスイッチには、それぞれS1dおよびS2dという符号が付与されている。
【0023】
8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dは、スイッチング増幅器300によって生じるCM電圧の変化が所定の範囲内となり、負荷200における電圧が−2Vdc〜2Vdcの範囲内となるように、以下に示される表1に記載されている10のベクトルのうちの1つを使用することによって制御される。
【0024】
以下の表1は、どのスイッチが、空間ベクトル変調を行うために開位置にあり、閉位置にあるのかを説明している。
【0025】
【表1】
【0026】
用語「オン」は、スイッチが閉じられるまたは導通状態にあることを意味する。用語「オフ」は、スイッチが開かれるまたは非導通状態にあることを意味する。
【0027】
ベクトルの一覧
上で表1に示されているように、第1ベクトル1は、8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dがそれぞれオフ、オン、オフ、オン、オフ、オン、オン、オフであるスイッチング状態として規定される。8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dは、第1ベクトル1を使用することによって、CM電圧がV0+0.5Vdcに等しくなり、負荷200における電圧Uoutが−Vdcに等しくなるように制御される。
【0028】
第2ベクトル2は、8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dがそれぞれオフ、オン、オフ、オン、オン、オフ、オン、オフであるスイッチング状態として規定される。8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dは、第2ベクトル2を使用することによって、CM電圧がV0+0.5Vdcに等しくなり、負荷200における電圧Uoutがゼロボルトに等しくなるように制御される。
【0029】
第3ベクトル3は、8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dがそれぞれオフ、オン、オン、オフ、オフ、オン、オン、オフであるスイッチング状態として規定される。8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dは、第3ベクトル3を使用することによって、CM電圧がV0+0.5Vdcに等しくなり、負荷200における電圧Uoutが−2Vdcに等しくなるように制御される。
【0030】
第4ベクトル4は、8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dがそれぞれオフ、オン、オン、オフ、オン、オフ、オン、オフであるスイッチング状態として規定される。8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dは、第4ベクトル4を使用することによって、CM電圧がV0+0.5Vdcに等しくなり、負荷200における電圧Uoutが−Vdcに等しくなるように制御される。
【0031】
第5ベクトル5は、8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dがそれぞれオン、オフ、オフ、オン、オフ、オン、オフ、オンであるスイッチング状態として規定される。8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dは、第5ベクトル5を使用することによって、CM電圧がV0+0.5Vdcに等しくなり、負荷200における電圧UoutがVdcに等しくなるように制御される。
【0032】
第6ベクトル6は、8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dがそれぞれオン、オフ、オフ、オン、オン、オフ、オフ、オンであるスイッチング状態として規定される。8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dは、第6ベクトル6を使用することによって、CM電圧がV0+0.5Vdcに等しくなり、負荷200における電圧Uoutが2Vdcに等しくなるように制御される。
【0033】
第7ベクトル7は、8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dがそれぞれオン、オフ、オン、オフ、オフ、オン、オフ、オンであるスイッチング状態として規定される。8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dは、第7ベクトル7を使用することによって、CM電圧がV0+0.5Vdcに等しくなり、負荷200における電圧Uoutがゼロボルトに等しくなるように制御される。
【0034】
第8ベクトル8は、8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dがそれぞれオン、オフ、オン、オフ、オン、オフ、オフ、オンであるスイッチング状態として規定される。8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dは、第8ベクトル8を使用することによって、CM電圧がV0+0.5Vdcに等しくなり、負荷200における電圧UoutがVdcに等しくなるように制御される。
【0035】
第9ベクトル9は、8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dがそれぞれオフ、オン、オン、オフ、オン、オフ、オフ、オンであるスイッチング状態として規定される。8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dは、第9ベクトル9を使用することによって、CM電圧がV0に等しくなり、負荷200における電圧Uoutがゼロに等しくなるように制御される。
【0036】
第10ベクトル10は、8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dがそれぞれオフ、オン、オフ、オン、オン、オフ、オフ、オンであるスイッチング状態として規定される。8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dは、第10ベクトル10を使用することによって、CM電圧がV0に等しくなり、負荷200における電圧UoutがVdcに等しくなるように制御される。
【0037】
実施形態において、CM電圧は、SaberまたはPLECSによって計算される。
【0038】
特定の例として、8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dは、第1ベクトル1、第2ベクトル2、第3ベクトル3、第4ベクトル4、第5ベクトル5、第6ベクトル6、第7ベクトル7、および第8ベクトル8のうちの1つを使用することによって、CM電圧の変化がゼロに等しくなり、したがってCM電圧によって生じるEMIが大幅に低減されるように制御される。
【0039】
非限定的な実施形態において、スイッチング期間Ts内の第1のスイッチング間隔T1の間、制御装置10は、第9ベクトル9を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図3に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、ゼロボルトに等しく、CM電圧Ucmは、V0に等しい。
【0040】
スイッチング期間Ts内の第2のスイッチング間隔T2の間、制御装置10は、第10ベクトル10を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図3に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0に等しい。
【0041】
スイッチング期間Ts内の第3のスイッチング間隔T3の間、制御装置10は、第2ベクトル2を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図3に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、ゼロに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0042】
スイッチング期間Ts内の第4のスイッチング間隔T4の間、制御装置10は、第5ベクトル5を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図3に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0043】
スイッチング期間Ts内の第5のスイッチング間隔T5の間、制御装置10は、第7ベクトル7を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図3に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、ゼロに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0044】
スイッチング期間Ts内の第6のスイッチング間隔T6の間、制御装置10は、第8ベクトル8を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図3に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。CM電圧Ucmの変化が、スイッチング期間Tsにわたって−0.5Vdc〜0.5Vdcの所定の範囲内であることから、CM電圧によって生じるEMIが低減される。
【0045】
第1のモード、第2のモード、第3のモード、および第4のモードのうちの1つで制御される8つのスイッチ
第1の実施形態において、制御装置10は、CM電圧の変化がゼロに等しくなるように、電源4の電圧に対する負荷出力基準電圧の比率に応じて第1のモード、第2のモード、第3のモード、および第4のモードのうちの1つで8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御するように構成される。非限定的な例として、m=Vref/2Vdcであり、ただし、mは、比率であり、Vrefは、負荷出力基準電圧である。
【0046】
第1のモード
0≦m<0.5の場合、制御装置10は、8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを第1のモードにすることを決定する。第1のモードのスイッチング期間内の第1のスイッチング間隔T1の間、制御装置10は、第2ベクトル2を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図4に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、ゼロボルトに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。非限定的な一例として、V0は、ゼロボルトに等しくなり、Ucm=V0+0.5Vdc=0.5Vdcとなる。非限定的な別の例として、V0は、−0.5Vdcに等しくなり、Ucm=−0.5VdC+0.5Vdc=0ボルトとなる。
【0047】
第1のモードのスイッチング期間内の第2のスイッチング間隔T2の間、制御装置10は、第5ベクトル5を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図4に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0048】
第1のモードのスイッチング期間内の第3のスイッチング間隔T3の間、制御装置10は、第7ベクトル7を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図4に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、ゼロボルトに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0049】
第1のモードのスイッチング期間内の第4のスイッチング間隔T4の間、制御装置10は、第8ベクトル8を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図4に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。CM電圧Ucmの変化が、第1のモードの間にわたってゼロに等しいことから、CM電圧によって生じるEMIが大幅に低減される。
【0050】
第2のモード
0.5≦m≦1.0の場合、制御装置10は、8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを第2のモードにすることを決定する。第2のモードのスイッチング期間内の第1のスイッチング間隔T1の間、制御装置10は、第5ベクトル5を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図4に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0051】
第2のモードのスイッチング期間内の第2のスイッチング間隔T2の間、制御装置10は、第6ベクトル6を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図4に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、2Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0052】
第2のモードのスイッチング期間内の第3のスイッチング間隔T3の間、制御装置10は、第8ベクトル8を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図4に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0053】
第2のモードのスイッチング期間内の第4のスイッチング間隔T4の間、制御装置10は、第6ベクトル6を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図4に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、2Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。CM電圧Ucmの変化が、第2のモードの間にわたってゼロに等しいことから、CM電圧によって生じるEMIが大幅に低減される。
【0054】
第3のモード
−0.5<m≦0の場合、制御装置10は、8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを第3のモードにすることを決定する。第3のモードのスイッチング期間内の第1のスイッチング間隔T1の間、制御装置10は、第7ベクトル7を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図4に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、ゼロボルトに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0055】
第3のモードのスイッチング期間内の第2のスイッチング間隔T2の間、制御装置10は、第1ベクトル1を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図4に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、−Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0056】
第3のモードのスイッチング期間内の第3のスイッチング間隔T3の間、制御装置10は、第2ベクトル2を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図4に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、ゼロボルトに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0057】
第3のモードのスイッチング期間内の第4のスイッチング間隔T4の間、制御装置10は、第4ベクトル4を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図4に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、−Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。CM電圧Ucmの変化が、第3のモードの間にわたってゼロに等しいことから、CM電圧によって生じるEMIが大幅に低減される。
【0058】
第4のモード
−1.0≦m≦−0.5の場合、制御装置10は、8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを第4のモードにすることを決定する。第4のモードのスイッチング期間内の第1のスイッチング間隔T1の間、制御装置10は、第4ベクトル4を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図4に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、−Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0059】
第4のモードのスイッチング期間内の第2のスイッチング間隔T2の間、制御装置10は、第3ベクトル3を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図4に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、−2Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0060】
第4のモードのスイッチング期間内の第3のスイッチング間隔T3の間、制御装置10は、第1ベクトル1を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図4に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、−Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0061】
第4のモードのスイッチング期間内の第4のスイッチング間隔T4の間、制御装置10は、第3ベクトル3を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図4に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、−2Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。CM電圧Ucmの変化が、第4のモードの間にわたってゼロに等しいことから、CM電圧によって生じるEMIが大幅に低減される。
【0062】
第1のモードおよび第2のモードの一方で制御される8つのスイッチ
第2の実施形態において、8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dは、CM電圧の変化がゼロに等しくなるように、電源4の電圧に対する負荷出力基準電圧の比率に応じて第1のモードおよび第2のモードの一方で制御される。非限定的な例として、m=Vref/2Vdcであり、ただし、mは、比率であり、Vrefは、負荷出力基準電圧であり、Vdcは、電源4の電圧である。
【0063】
−1<m≦0の場合、制御装置10は、8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを第1のモードにすることを決定する。第1のモードのスイッチング期間内の第1のスイッチング間隔T1の間、制御装置10は、第1ベクトル1を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図5に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、−Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0064】
第1のモードのスイッチング期間内の第2のスイッチング間隔T2の間、制御装置10は、第7ベクトル7を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図5に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、ゼロボルトに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0065】
第1のモードのスイッチング期間内の第3のスイッチング間隔T3の間、制御装置10は、第4ベクトル4を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図5に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、−Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0066】
第1のモードのスイッチング期間内の第4のスイッチング間隔T4の間、制御装置10は、第3ベクトル3を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図5に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、−2Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。CM電圧Ucmの変化が、第1のモードの間にわたってゼロに等しいことから、CM電圧によって生じるEMIが大幅に低減される。
【0067】
0≦m<1.0の場合、制御装置10は、8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを第2のモードにすることを決定する。第2のモードのスイッチング期間内の第1のスイッチング間隔T1の間、制御装置10は、第5ベクトル5を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図5に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0068】
第2のモードのスイッチング期間内の第2のスイッチング間隔T2の間、制御装置10は、第2ベクトル2を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図5に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、ゼロボルトに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0069】
第2のモードのスイッチング期間内の第3のスイッチング間隔T3の間、制御装置10は、第8ベクトル8を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図5に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0070】
第2のモードのスイッチング期間内の第4のスイッチング間隔T4の間、制御装置10は、第6ベクトル6を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図5に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、2Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。CM電圧Ucmの変化が、第2のモードの間にわたってゼロに等しいことから、CM電圧によって生じるEMIが大幅に低減される。
【0071】
所望のモードで制御される8つのスイッチ
第3の実施形態において、8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dは、CM電圧の変化がゼロに等しくなるように、電源4の電圧に対する負荷出力基準電圧の比率に応じて所望のモードで制御される。所望のモードで利用される負荷出力基準電圧は、第1のモード、第2のモード、第3のモード、および第4のモードのうちの1つで利用される負荷出力基準電圧とは異なる。非限定的な例として、m=Vref/2Vdcであり、ただし、mは、比率であり、Vrefは、所望のモードで利用される負荷出力基準電圧であり、Vdcは、電源4の電圧である。
【0072】
所望のモード
−1<m<1の場合、制御装置10は、8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを所望のモードにすることを決定する。所望のモードのスイッチング期間内の第1のスイッチング間隔T1の間、制御装置10は、第1ベクトル1を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図6に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、−Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0073】
所望のモードのスイッチング期間内の第2のスイッチング間隔T2の間、制御装置10は、第3ベクトル3を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図6に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、−2Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0074】
所望のモードのスイッチング期間内の第3のスイッチング間隔T3の間、制御装置10は、第4ベクトル4を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図6に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、−Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0075】
所望のモードのスイッチング期間内の第4のスイッチング間隔T4の間、制御装置10は、第8ベクトル8を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図6に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0076】
所望のモードのスイッチング期間内の第5のスイッチング間隔T5の間、制御装置10は、第6ベクトル6を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図6に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、2Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。
【0077】
所望のモードのスイッチング期間内の第6のスイッチング間隔T6の間、制御装置10は、第5ベクトル5を使用して8つのスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2dを制御する。図6に示されているように、スイッチング増幅器300の出力電圧Uoutは、Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、V0+0.5Vdcに等しい。CM電圧Ucmの変化が、所望のモードの間にわたってゼロに等しいことから、CM電圧によって生じるEMIが大幅に低減される。
【0078】
図7を参照すると、図1に係る3つのカスケード要素を有するスイッチング増幅器400が描かれている。非限定的な例として、スイッチング増幅器400は、3つのカスケード要素KE1、KE2、KE3を含む。
【0079】
図7のスイッチング増幅器400と図2のスイッチング増幅器300との違いは、スイッチング増幅器400がカスケード要素KE3をさらに含むことである。カスケード要素KE3は、2つのレッグ回路E、Fを含む。
【0080】
レッグ回路Eの2つのスイッチには、それぞれS1eおよびS2eという符号が付与されており、レッグ回路Fの2つのスイッチには、それぞれS1fおよびS2fという符号が付与されている。
【0081】
図2と同様に、12のスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2e、S1f、およびS2fは、スイッチング増幅器400によって生じるCM電圧の変化が所定の範囲内となり、負荷200における電圧が−3Vdc〜3Vdcの範囲内となるように、以下に示される表2に記載されている20のベクトルのうちの1つを使用することによって制御される。
【0082】
以下の表2は、どのスイッチが、空間ベクトル変調を行うために開位置にあり、閉位置にあるのかを説明している。
【0083】
【表2】
【0084】
ベクトルの一覧
表1と同様に、上で表2に示したように、12のスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2e、S1f、およびS2fは、第1ベクトル1および第3ベクトル3の一方を使用することによって、CM電圧が2Vdc/3+V0に等しくなり、負荷200における電圧Uoutがゼロに等しくなるように制御される。
【0085】
12のスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2e、S1f、およびS2fは、第2ベクトル2および第4ベクトル4の一方を使用することによって、CM電圧がVdc/3+V0に等しくなり、負荷200における電圧Uoutがゼロに等しくなるように制御される。
【0086】
12のスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2e、S1f、およびS2fは、第5ベクトル5、第6ベクトル6、第7ベクトル7、第8ベクトル8、および第9ベクトル9のうちの1つを使用することによって、CM電圧がVdc/2+V0に等しくなり、負荷200における電圧UoutがVdcに等しくなるように制御される。
【0087】
12のスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2e、S1f、およびS2fは、第10ベクトル10を使用することによって、CM電圧がVdc/3+V0に等しくなり、負荷200における電圧Uoutが2Vdcに等しくなるように制御される。
【0088】
12のスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2e、S1f、およびS2fは、第11ベクトル11を使用することによって、CM電圧が2Vdc/3+V0に等しくなり、負荷200における電圧Uoutが2Vdcに等しくなるように制御される。
【0089】
12のスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2e、S1f、およびS2fは、第12ベクトル12を使用することによって、CM電圧がVdc/2+V0に等しくなり、負荷200における電圧Uoutが3Vdcに等しくなるように制御される。
【0090】
12のスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2e、S1f、およびS2fは、第13ベクトル13、第14ベクトル14、第15ベクトル15、第16ベクトル16、および第17ベクトル17のうちの1つを使用することによって、CM電圧がVdc/2+V0に等しくなり、負荷200における電圧Uoutが−Vdcに等しくなるように制御される。
【0091】
12のスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2e、S1f、およびS2fは、第18ベクトル18を使用することによって、CM電圧がVdc/3+V0に等しくなり、負荷200における電圧Uoutが−2Vdcに等しくなるように制御される。
【0092】
12のスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2e、S1f、およびS2fは、第19ベクトル19を使用することによって、CM電圧が2Vdc/3+V0に等しくなり、負荷200における電圧Uoutが−2Vdcに等しくなるように制御される。
【0093】
12のスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2e、S1f、およびS2fは、第20ベクトル20を使用することによって、CM電圧がVdc/2+V0に等しくなり、負荷200における電圧Uoutが−3Vdcに等しくなるように制御される。
【0094】
実施形態において、CM電圧は、SaberまたはPLECSによって計算される。
【0095】
特定の例として、12のスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2e、S1f、およびS2fは、第5ベクトル5、第6ベクトル6、第7ベクトル7、第8ベクトル8、第9ベクトル9、第12ベクトル12、第13ベクトル13、第14ベクトル14、第15ベクトル15、第16ベクトル16、第17ベクトル17、および第20ベクトル20のうちの1つを使用することによって、スイッチング増幅器400によって生じるCM電圧の変化がゼロに等しくなり、したがってCM電圧によって生じるEMIが大幅に低減されるように制御される。
【0096】
一実施形態において、スイッチング期間Ts内の第1のスイッチング間隔T1の間、制御装置10は、第1ベクトル1を使用して12のスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2e、S1f、S2fを制御する。図8に示されているように、スイッチング増幅器400の出力電圧Uoutは、ゼロに等しく、CM電圧Ucmは、2Vdc/3+V0に等しい。
【0097】
スイッチング期間Ts内の第2のスイッチング間隔T2の間、制御装置10は、第6ベクトル6を使用して12のスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2e、S1f、S2fを制御する。図8に示されているように、スイッチング増幅器400の出力電圧Uoutは、Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、Vdc/2+V0に等しい。
【0098】
スイッチング期間Ts内の第3のスイッチング間隔T3の間、制御装置10は、第2ベクトル2を使用して12のスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2e、S1f、S2fを制御する。図8に示されているように、スイッチング増幅器400の出力電圧Uoutは、ゼロに等しく、CM電圧Ucmは、Vdc/3+V0に等しい。
【0099】
スイッチング期間Ts内の第4のスイッチング間隔T4の間、制御装置10は、第8ベクトル8を使用して12のスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2e、S1f、S2fを制御する。図8に示されているように、スイッチング増幅器400の出力電圧Uoutは、Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、Vdc/2+V0に等しい。
【0100】
スイッチング期間Ts内の第5のスイッチング間隔T5の間、制御装置10は、第2ベクトル2を使用して12のスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2e、S1f、S2fを制御する。図8に示されているように、スイッチング増幅器400の出力電圧Uoutは、ゼロに等しく、CM電圧Ucmは、Vdc/3+V0に等しい。
【0101】
スイッチング期間Ts内の第6のスイッチング間隔T6の間、制御装置10は、第6ベクトル6を使用して12のスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2e、S1f、S2fを制御する。図8に示されているように、スイッチング増幅器400の出力電圧Uoutは、Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、Vdc/2+V0に等しい。CM電圧Ucmの変化が、スイッチング期間Tsにわたって−Vdc/6〜Vdc/6の所定の範囲内であることから、CM電圧によって生じるEMIが低減される。
【0102】
別の実施形態において、スイッチング期間Ts内の第1のスイッチング間隔T1の間、制御装置10は、第20ベクトル20を使用して12のスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2e、S1f、S2fを制御する。図9に示されているように、スイッチング増幅器400の出力電圧Uoutは、−3Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、Vdc/2+V0に等しい。
【0103】
スイッチング期間Ts内の第2のスイッチング間隔T2の間、制御装置10は、第15ベクトル15を使用して12のスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2e、S1f、S2fを制御する。図9に示されているように、スイッチング増幅器400の出力電圧Uoutは、−Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、Vdc/2+V0に等しい。
【0104】
スイッチング期間Ts内の第3のスイッチング間隔T3の間、制御装置10は、第9ベクトル9を使用して12のスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2e、S1f、S2fを制御する。図9に示されているように、スイッチング増幅器400の出力電圧Uoutは、Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、Vdc/2+V0に等しい。
【0105】
スイッチング期間Ts内の第4のスイッチング間隔T4の間、制御装置10は、第12ベクトル12を使用して12のスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2e、S1f、S2fを制御する。図9に示されているように、スイッチング増幅器400の出力電圧Uoutは、3Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、Vdc/2+V0に等しい。
【0106】
スイッチング期間Ts内の第5のスイッチング間隔T5の間、制御装置10は、第7ベクトル7を使用して12のスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2e、S1f、S2fを制御する。図9に示されているように、スイッチング増幅器400の出力電圧Uoutは、Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、Vdc/2+V0に等しい。
【0107】
スイッチング期間Ts内の第6のスイッチング間隔T6の間、制御装置10は、第13ベクトル13を使用して12のスイッチS1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2e、S1f、S2fを制御する。図9に示されているように、スイッチング増幅器400の出力電圧Uoutは、−Vdcに等しく、CM電圧Ucmは、Vdc/2+V0に等しい。CM電圧Ucmの変化が、スイッチング期間Tsにわたってゼロに等しいことから、CM電圧によって生じるEMIが大幅に低減される。
【0108】
本開示について、例示的な実施形態を参照しながら説明してきたが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われてもよく、また、同等物が、本開示の要素の代わりを果たしてもよいことが、当業者によって理解されるであろう。さらに、多くの修正が、本開示の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために行われてもよい。したがって、本開示が、本開示を実施するために考えられた最良の態様として開示されている特定の実施形態に限定されず、本開示は、添付の特許請求の範囲に含まれるあらゆる実施形態を含むことが意図されている。
【符号の説明】
【0109】
4 電源
5 ドライバ
10 制御装置
100、300、400 スイッチング増幅器
200 負荷
A、B、C、D、E、F レッグ回路
C+、C− キャパシタンス
KE1〜KEn カスケード要素
Ln、Rn レッグ端子
S1、S2 スイッチ
Ucm CM電圧
U1〜Un カスケード要素電圧
Uout 出力電圧
Ts スイッチング期間
T1〜T6 スイッチング間隔
VLn、VRn レッグ端子の電位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9