(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書は、本発明を具体的に指摘し、明確に請求する「特許請求の範囲」をもって結論とするが、本発明は、以下の記載からよりよく理解されるものと考えられる。
【0014】
本明細書において、「含む」とは、最終結果に影響しない他の工程及び他の成分も加えられる可能性があることを意味する。この用語には、「〜からなる」及び「〜から本質的になる」という用語が含まれる。
【0015】
すべての百分率、部、及び比率は、特に指定されない限り、本発明の組成物の総重量を基準とする。すべてのこのような重量は、提示された成分に関する場合、活性成分の濃度に基づき、したがって市販材料に含まれる場合のあるキャリア又は副生成物を包含しない。
【0016】
本明細書において、「混合物」は、複数種の材料の単純な組み合わせと、結果としてそのような組み合わせから生じる場合があるあらゆる化合物と、を包含するように意図されている。
【0017】
ヘアコンディショニング組成物
本発明のヘアコンディショニング組成物は、カチオン性界面活性剤と、高融点脂肪化合物と、ポリオールなどの高屈折率を有する材料と、水性キャリアとを含む。カチオン性界面活性剤、高融点脂肪化合物、ポリオールなどの高屈折率を有する材料、及び水性キャリアは、エマルションの形態である。
【0018】
この組成物において、カチオン性界面活性剤と高融点脂肪族化合物の合計量は、コンディショニング効果と半透明の製品外観との間のバランスを提供する観点から、好ましくは約1.5%〜約10%、より好ましくは約2.0%〜約8.0%、更により好ましくは約2.5%〜約6.0%である。
【0019】
透過率
本発明の組成物は、半透明の製品外観を有する。この組成物は、25℃で少なくとも約0.5%、好ましくは少なくとも約1.0%、より好ましくは少なくとも約1.5%、及び、好ましくは約40%以下、より好ましくは約30%以下、更により好ましくは約20%以下の透過率を有する。この透過率は組成物、すなわち最終製品処方についてのものであり、これは例えばシリコーン、香料及び/又は防腐剤などの追加成分を含み得る。
【0020】
そのような追加成分を含める前の組成物ベースの透過率は、より高い場合がある。組成物ベースは、よって、カチオン性界面活性剤、高融点脂肪族化合物、ポリオールなどの高屈折率を有する材料、及び水性キャリアのみからなる。組成物ベースは、25℃で好ましくは少なくとも約5%、より好ましくは少なくとも約7%、更により好ましくは少なくとも約10%、及び、好ましくは約40%以下、より好ましくは約30%以下、更により好ましくは約25%以下の透過率を有する。
【0021】
本発明における透過率は、拡散透過率と正透過率の和である総透過率であり、これは、HunterLabから入手可能なUV・可視光分光光度計であるデュアルビーム分光光度計UltraScan Visを用いて、600nmで測定される。
【0022】
剪断応力
好ましくは、展延性の観点から、組成物は、少なくとも約100Pa、より好ましくは少なくとも約120Pa、更により好ましくは少なくとも約140Pa、及び、好ましくは約1000Pa以下、より好ましくは約800Pa以下、更により好ましくは約600Pa以下、更にはより好ましくは約400Pa以下の剪断応力を有する。剪断応力が低すぎると、組成物は流れやすすぎて毛髪上に展延させることができず、毛髪及び/又は手から流れ落ちてしまう。剪断応力が高すぎると、組成物は硬すぎて、毛髪上に展延させることができない。この剪断応力は組成物、すなわち最終製品処方についてのものであり、これは例えばシリコーン、香料及び/又は防腐剤などの追加成分を含み得る。
【0023】
そのような追加成分を含める前の組成物ベースの剪断応力は、より高い場合がある。組成物ベースは、よって、カチオン性界面活性剤、高融点脂肪族化合物、ポリオールなどの高屈折率を有する材料、及び水性キャリアのみからなる。組成物ベースは、好ましくは少なくとも約200Pa、より好ましくは少なくとも約250Pa、更により好ましくは少なくとも約300Pa、なおより好ましくは少なくとも約350Pa、及び、好ましくは約1000Pa以下、より好ましくは約800Pa以下、更により好ましくは約600Pa以下、なおより好ましくは約400Pa以下の剪断応力を有する。
【0024】
剪断応力は、TA InstrumentsからARG2のモデル名(mode name)で入手可能なレオメーターを用いて、剪断速度掃引条件で測定される。形状は、直径40mm、円錐角度2℃、隙間49μm(μιη)を有する。剪断速度は、1分間で0から1200/sへと対数的に増加させ、温度は26.7℃に維持される。950/sの高剪断速度での剪断応力が測定され、上述のように定義される。
【0025】
低融点脂肪族化合物を実質的に含まない
好ましくは、本発明の組成物は、相分離の危険性を低減するなどの組成物の安定性の観点、好ましい剪断応力を有することによる展延性の観点、及び/又は半透明の製品外観の観点から、低融点脂肪族化合物を実質的に含まない。
【0026】
本発明において、低融点脂肪族化合物を「実質的に含まない」組成物とは、低融点脂肪族化合物を含まないか、又は、組成物が低融点脂肪族化合物を含む場合、そのような低融点脂肪族化合物の濃度は非常に低いことを意味する。本発明において、そのような低融点脂肪族化合物が含まれる場合、その濃度は、0.1%以下、好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.01%以下、最も好ましくは0%である。
【0027】
本明細書において低融点脂肪族化合物は、25℃未満(25℃を含まない)、好ましくは40℃未満(40℃を含まない)、より好ましくは45℃(45℃を含まない)の融点を有する。
【0028】
本明細書においてそのような低融点脂肪族化合物には、例えば、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、イソプロピルイソステアレート、イソステアリルアルコール、2−ヘキシル−1−デカノール、カプリルアルコール、デシルアルコールが挙げられる。
【0029】
非シリコーン系増粘ポリマーを実質的に含まない
好ましくは、本発明の組成物は、湿潤コンディショニングの観点から、非シリコーン系増粘ポリマーを実質的に含まない。本明細書において非シリコーン系増粘ポリマーとは、シリコーンポリマー以外のポリマー化合物であり、非シリコーン系非イオン性増粘ポリマー、非シリコーン系カチオン性増粘ポリマー、非シリコーン系アニオン性架橋増粘ポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される。本明細書における非シリコーン系増粘ポリマーの分子量は、少なくとも約1,000である。
【0030】
本発明において、非シリコーン系増粘ポリマーを「実質的に含まない」組成物とは、非シリコーン系増粘ポリマーを含まないか、又は、組成物が非シリコーン系増粘ポリマーを含む場合、そのような非シリコーン系増粘ポリマーの濃度は非常に低いことを意味する。本発明において、そのような非シリコーン系増粘ポリマーが含まれる場合、その濃度は、0.1%以下、好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.01%以下、最も好ましくは0%である。
【0031】
非シリコーン系非イオン性増粘ポリマーには、例えば、多糖類ポリマー(例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、粘度調整剤/レオロジービルダーとしてしばしば使用されるグアーが挙げられる。非シリコーン系カチオン性増粘ポリマーには、例えば、カチオン性セルロース(例えばポリクオタニウム−4、ポリクオタニウム−10など)、カチオン性グアー、及び他の非多糖類カチオン性ポリマーが挙げられる。非シリコーン系アニオン性架橋増粘ポリマーには、例えば、カルボマー、及びアクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマーが挙げられる。
【0032】
カチオン性界面活性剤
本発明の組成物は、カチオン性界面活性剤を含む。カチオン性界面活性剤は、半透明の製品外観を提供することとコンディショニング効果を提供することとの間のバランスの観点から、組成物の約0.3重量%、より好ましくは約0.5重量%、更により好ましくは約0.7重量%から、好ましくは約5重量%、より好ましくは約3重量%、更により好ましくは約2重量%までの濃度で、組成物中に含めることができる。
【0033】
本明細書で有用なカチオン性界面活性剤は、半透明の製品外観とコンディショニング効果を提供するという観点から、モノ長鎖アルキルアミンと酸との塩が好ましく、特に、モノ長鎖アルキルアミドアミンと酸との塩が好ましい。
【0034】
モノ長鎖アルキルアミン
本明細書で有用なモノ長鎖アルキルアミンは、好ましくは12〜30個の炭素原子、より好ましくは16〜24個の炭素原子、更により好ましくは18〜22個のアルキル基の、1つの長いアルキル鎖を有するものである。本明細書で有用なモノ長鎖アルキルアミンはまた、モノ長鎖アルキルアミドアミンを含む。第一級、第二級、及び第三級脂肪族アミンが有用である。
【0035】
約12〜約22個の炭素を有するアルキル基を有する第三級アミドアミンが特に有用である。例示的な第三級アミドアミンとしては、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドエチルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジエチルアミン、パルミタミドエチルジエチルアミン、パルミタミドエチルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジメチルアミン、アラキダミドプロピルジメチルアミン、アラキダミドプロピルジエチルアミン、アラキダミドエチルジエチルアミン、アラキダミドエチルジメチルアミン、ジエチルアミノエチルステアラミドが挙げられる。本発明において有用なアミンは、米国特許第4,275,055号(Nachtigalら)に開示されている。
【0036】
これらのアミンは、L−グルタミン酸、乳酸、塩酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、L−グルタミン酸塩酸塩、マレイン酸、及びこれらの混合物、より好ましくは、L−グルタミン酸、乳酸、クエン酸などの酸と、約1:0.3〜約1:2、より好ましくは約1:0.4〜約1:1のアミン対酸のモル比で組み合わせて使用される。
【0037】
その他のカチオン性界面活性剤
上述のモノ長鎖アルキルアミン塩は、モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩及びジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩などの他のカチオン性界面活性剤を伴って又は伴わずに使用することができる。
【0038】
モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩
本明細書で有用なモノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、12〜30個の炭素原子、好ましくは16〜24個の炭素原子、より好ましくはC18〜22アルキル基を有する1つの長いアルキル鎖を有するものである。窒素に結合している残りの基は、1〜約4個の炭素原子のアルキル基、又は約4個以下の炭素原子を有する、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から独立して選択される。
【0039】
本明細書で有用なモノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、式(I)を有するものであり、
【0040】
【化1】
(式中、R
75、R
76、R
77、及びR
78のうち1つは、12〜30個の炭素原子のアルキル基、又は、最大約30個の炭素原子を有する芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択され、R
75、R
76、R
77、及びR
78の残りは、独立して、1〜約4個の炭素原子のアルキル基、又は、最大約4個の炭素原子を有するアルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択され、X
-は、塩形成アニオン、例えば、ハロゲン(例えば、塩化物、臭化物)ラジカル、酢酸ラジカル、クエン酸ラジカル、乳酸ラジカル、グリコール酸ラジカル、リン酸ラジカル、硝酸ラジカル、スルホン酸ラジカル、硫酸ラジカル、アルキル硫酸ラジカル、及びアルキルスルホン酸ラジカルから選択されるものである)。アルキル基は、炭素原子及び水素原子の他に、エーテル及び/又はエステル結合、並びにアミノ基などのその他の基を含有し得る。より長鎖のアルキル基、例えば、炭素数が約12個以上のものは、飽和又は不飽和であってもよい。好ましくは、R
75、R
76、R
77、及びR
78のうち1つは、12〜30個の炭素原子、より好ましくは16〜24個の炭素原子、更により好ましくは18〜2個の炭素原子、なおより好ましくは2個の炭素原子のアルキル基から選択され、R
75、R
76、R
77、及びR
78の残りは、独立して、CH
3、C
2H
5、C
2H
4OH、及びこれらの混合物から選択され、Xは、Cl、Br、CH
3OSO
3、C
2H
5OSO
3、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0041】
こうしたモノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩カチオン性界面活性剤の非限定的な例としては、ベヘニルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、及び水素添加タローアルキルトリメチルアンモニウム塩が挙げられる。
【0042】
ジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩
ジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、使用されるとき、レオロジー効果及びコンディショニング効果の安定性という観点から、好ましくは、1:1〜1:5、より好ましくは1:1.2〜1:5、更により好ましくは1:1.5〜1:4の重量比で、モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩又はモノ長鎖アルキルアミン塩と組み合わされる。
【0043】
本明細書で有用なジ長鎖アルキル第四級化アンモニウム塩は、12〜30個の炭素原子、より好ましくは16〜24個の炭素原子、更により好ましくは18〜22個の炭素原子の2つの長いアルキル鎖を有するものである。本明細書で有用なそのようなジ長鎖アルキル第四級化アンモニウム塩は、式(I)を有するものであり、
【0044】
【化2】
式中、R
71、R
72、R
73及びR
74のうちの2つは、12〜30個の炭素原子、好ましくは16〜24個の炭素原子、より好ましくは18〜22個の炭素原子の脂肪族基、又は最大約30個の炭素原子を有する、芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択され、R
71、R
72、R
73、及びR
74の残りは、独立して、1〜約8個の炭素原子の脂肪族基、好ましくは1〜3個の炭素原子の脂肪族基、又は、最大約8個の炭素原子を有する芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択され、X
-は、ハロゲン化物(例えば、塩化物及び臭化物)、C1〜C4アルキルサルフェート(例えば、メトサルフェート及びエトサルフェート)、及びこれらの混合物からなる群から選択される塩形成アニオンである。脂肪族基は、炭素原子及び水素原子に加えて、エーテル結合、及びアミノ基などのその他の基を含有してよい。より長鎖の脂肪族基、例えば、炭素数が約16個以上のものは、飽和であっても不飽和であってもよい。好ましくは、R
71、R
72、R
73、及びR
74のうちの2つは、12〜30個の炭素原子、好ましくは16〜24個の炭素原子、より好ましくは18〜22個の炭素原子のアルキル基から選択され、R
71、R
72、R
73、及びR
74の残りは、CH
3、C
2H
5、C
2H
4OH、CH
2C
6H
5、及びこれらの混合物からなる群から独立して選択される。
【0045】
このような好ましいジ長鎖アルキルカチオン性界面活性剤としては、例えば、ジアルキル(14〜18)ジメチルアンモニウムクロリド、ジタローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジヒドロ添加タローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、及びジセチルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0046】
高融点脂肪族化合物
本発明の組成物は、高融点脂肪族化合物を含む。高融点脂肪族化合物の使用によって、本発明の組成物は、高融点脂肪族化合物を含まない組成物に比べて、及び/又は高融点脂肪族化合物の代わりに低融点脂肪族化合物を含む組成物に比べて、例えば、コンディショナー適用時の摩擦の低減、展延の容易さ、及び/又はもつれほぐしの容易さなどの、改善されたコンディショニング効果を提供する。高融点脂肪族化合物の使用によって、本発明の組成物は、高融点脂肪族化合物を含まない組成物に比べて、及び/又は高融点脂肪族化合物の代わりに低融点脂肪族化合物を含む組成物に比べて、相分離の危険性の低減などの、改善された組成物安定性を提供し得る。
【0047】
高融点脂肪族化合物は、コンディショニング効果を提供するという観点から、好ましくは組成物の約1.0重量%、より好ましくは約1.5重量%、更により好ましくは約2.0重量%、なおより好ましくは約2.5重量%から、半透明の製品外観をもたらすという観点から、好ましくは約10重量%、より好ましくは約8.0重量%、更により好ましくは約5.0重量%、なおより好ましくは約4.5重量%までの濃度で、組成物中に含めることができる。
【0048】
本明細書で有用な高融点脂肪族化合物は、エマルション、特にゲルマトリックスの安定性という観点から、25℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上、更により好ましくは50℃以上の融点を有する。好ましくは、このような融点は、より容易な製造及びより容易な乳化という観点から、約90℃以下、より好ましくは約80℃以下、更により好ましくは約70℃以下、なおより好ましくは約65℃以下である。本発明では、高融点脂肪族化合物は、単一化合物として、又は少なくとも2種の高融点脂肪族化合物のブレンド若しくは混合物として、使用することができる。このようなブレンド又は混合物として使用されるとき、上記融点は、ブレンド又は混合物の融点を意味する。
【0049】
本明細書で有用な高融点脂肪族化合物は、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族アルコール誘導体、脂肪酸誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択される。当業者は、本明細書のこの項に開示されている化合物が、場合によっては2つ以上の分類に属し得る(例えば、いくつかの脂肪族アルコール誘導体は、脂肪酸誘導体としても分類され得る)ということを理解している。しかしながら、所定の分類は、その特定の化合物を限定することを意図するものではなく、分類及び命名法の便宜上そのようになされている。更に、当業者は、二重結合の数及び位置、並びに分枝鎖の長さ及び位置に応じて、ある必要な炭素原子を有する特定の化合物が上記の本発明において好ましい融点未満の融点を有する可能性があることを理解している。このような低融点の化合物は、この項に含まれないと意図される。高融点化合物の非限定的な例は、International Cosmetic Ingredient Dictionary,Fifth Edition,1993、及びCTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,1992に記載されている。
【0050】
様々な高融点脂肪族化合物のうち、脂肪族アルコールが好ましくは本発明の組成物において使用される。本明細書で有用な脂肪族アルコールは、約14〜約30個の炭素原子、好ましくは約16〜約22個の炭素原子を有するものである。これらの脂肪族アルコールは飽和しており、直鎖アルコールであっても分枝鎖アルコールであってもよい。
【0051】
例えば、好ましい脂肪族アルコールとしては、(約56℃の融点を有する)セチルアルコール、(約58〜59℃の融点を有する)ステアリルアルコール、(約71℃の融点を有する)ベヘニルアルコール、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの化合物は、上記の融点を有することが知られている。しかしながら、これらは多くの場合、供給されるときにより低い融点を有するが、それはこのような供給される製品は多くの場合、主アルキル鎖がセチル、ステアリル、又はベヘニル基であるアルキル鎖長分布を有する脂肪族アルコールの混合物であるからである。
【0052】
本発明では、より好ましい脂肪族アルコールは、セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物である。
【0053】
一般的には、混合物において、セチルアルコール対ステアリルアルコールの重量比は、好ましくは約1:9〜9:1、より好ましくは約1:4〜約4:1、更により好ましくは約1:2.3〜約1.5:1である。
【0054】
高屈折率を有する材料
本組成物は、λ=589nm、25℃で約1.30〜約1.70、好ましくは約1.35〜約1.65、より好ましくは約1.40〜約1.55の、高屈折率を有する材料を含む。そのような材料は、水性キャリアに可溶性の溶媒又は固体であり得る。
【0055】
そのような高屈折率を有する好ましい材料はポリオールであり、これについては下記に詳しく述べられる。
【0056】
ポリオール
本組成物は好ましくはポリオールを含み、これは半透明の製品外観の提供に寄与する。
【0057】
好ましい実施形態において、半透明の外観を提供しかつ好ましい剪断応力を有するという観点から、ポリオールは、組成物の約30重量%超(30重量%を含まない)、より好ましくは約40重量%、更により好ましくは約45重量%から、好ましくは約80重量%、より好ましくは約70重量%、より好ましくは約65重量%までの濃度で組成物中に含めることができる。また、半透明の外観を提供するという観点から、ポリオールと、カチオン性界面活性剤及び高融点脂肪族化合物の合計重量との間で特定の重量比を有することが好ましい。ポリオールと、カチオン性界面活性剤及び高融点脂肪族化合物の組み合わせとの重量比は、好ましくは約6:1〜約18:1、より好ましくは約8:1〜約15:1、更により好ましくは約9:1〜約13:1である。
【0058】
本明細書で有用なポリオールは、好ましくは約60〜約500、より好ましくは約60〜約350、更により好ましくは約60〜約200、なおより好ましくは約60〜約150の分子量を有するものである。
【0059】
好ましくは、本明細書で有用なポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシル基、より好ましくは少なくとも3つのヒドロキシル基を有し、好ましくは12個以下のヒドロキシル基、より好ましくは10個以下のヒドロキシル基、更により好ましくは6つ以下のヒドロキシル基、なおより好ましくは4つ以下のヒドロキシル基を有する。
【0060】
本明細書で有用なポリオールは、好ましくは水溶性である。本明細書において水溶性のポリオールは、30℃で使用される濃度で水溶性であるものを意味する。非水溶性のポリオールは、例えばステアリン酸グリセリルであり、これは可溶性となるためにより高い温度を必要とする。好ましくは、本明細書におけるポリオールは、エステル結合及びエーテル結合を含まない。
【0061】
本明細書で有用なポリオールには、例えば、ペンタエリスリトール、プロピレングリコール、ブチレングリコールグリセリン、ソルビトール、キシリトール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジオール(例えば1,2−ジオール、1,3−ジオール、並びに、1〜20個、好ましくは1〜6個の炭素を有する炭素鎖を有するその他のジオール)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリペンチレングリコール、並びにポリヘキシレングリコールが挙げられる。これらの中で、より好ましいのは、半透明の外観及び好ましい剪断応力を提供するという観点から、好ましくはグリセリン、ソルビトール、キシリトールである。より好ましいのは、半透明の外観及び好ましい剪断応力の観点から、グリセリンである。
【0062】
水性キャリア
本発明の組成物は、好ましくは水性キャリアを含む。キャリアの濃度及び種類は、他の構成成分との相溶性及び製品の他の所望の特性に従って選択される。
【0063】
本発明において有用なキャリアとしては、水、及び低級アルキルアルコールの水溶液が挙げられる。本明細書で有用な低級アルキルアルコールは、1〜6個の炭素を有する一価アルコールであり、より好ましくは、エタノール及びイソプロパノールである。
【0064】
好ましくは、水性キャリアは、実質的に水である。脱イオン水が使用されるのが好ましい。ミネラルカチオンを含む天然供給源からの水もまた、製品の所望の特性に応じて使用することができる。一般的に、本発明の組成物は、組成物の約20重量%〜約80重量%、好ましくは約20重量%〜約70重量%、より好ましくは約30重量%〜約60重量%、より好ましくは約35重量%〜約55重量%の水を含む。
【0065】
ゲルマトリックス
好ましくは、本発明において、カチオン性界面活性剤系と、高融点脂肪族化合物と、ポリオールなどの高屈折率を有する材料と、水性キャリアとが、ゲルマトリックスを形成する。ゲルマトリックスは、濡れている毛髪への塗布中の指すべりの良い感触、並びに乾いた毛髪の柔らかさ及びしっとり感などの各種コンディショニング効果をもたらすのに好適である。
【0066】
好ましくは、ゲルマトリックスを形成するとき、カチオン性界面活性剤及び高融点脂肪族化合物は、コンディショニング効果及び半透明の製品外観を提供するという観点から、カチオン性界面活性剤と高融点脂肪族化合物との重量比が、好ましくは約1:1〜約1:7、より好ましくは約1:1.15〜約1:5、更により好ましくは約1:2〜約1:4の範囲となるような濃度で含有される。この重量比において、カチオン性界面活性剤は対イオン又は酸を含まない構成成分であり、例えば、カチオン性界面活性剤がモノ長鎖アルキルアミンと酸の組み合わせである場合、酸の重量を含まないモノ長鎖アルキルアミンの重量が、この重量比において用いられる。
【0067】
好ましくは、ゲルマトリックスが形成されるとき、本発明の組成物は、ゲルマトリックスの安定性という観点から、アニオン性界面活性剤を実質的に含まない。
【0068】
本発明では、「アニオン性界面活性剤を実質的に含まない組成物」とは、組成物がアニオン性界面活性剤を含まない、又は、組成物がアニオン性界面活性剤を含む場合、こうしたアニオン性界面活性剤の濃度が非常に低いことを意味する。本発明において、このようなアニオン性界面活性剤の合計濃度は、含まれる場合には、好ましくは組成物の0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、更により好ましくは0.01重量%以下である。最も好ましくは、このようなアニオン性界面活性剤の合計濃度は、組成物の0重量%である。
【0069】
シリコーン化合物
本発明の組成物は、シリコーン化合物を含み得る。シリコーン化合物は、組成物の約0.05重量%〜約15重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約8重量%の濃度で含まれる。
【0070】
好ましくは、シリコーン化合物は、組成物中にて、約1マイクロメートル〜約50マイクロメートルの平均粒径を有する。
【0071】
単一化合物として、少なくとも2つのシリコーン化合物のブレンド若しくは混合物として、又は少なくとも1つのシリコーン化合物及び少なくとも1つの溶媒のブレンド若しくは混合物として、本明細書で有用なシリコーン化合物は、25℃にて、好ましくは約1,000〜約2,000,000mPa・sの粘度を有する。
【0072】
粘度は、Dow Corning Corporateの試験方法CTM0004(1970年7月20日)に記載されているガラスキャピラリー粘度計により測定することができる。好適なシリコーン流体には、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマー、アミノ置換シリコーン、四級化シリコーン、及びこれらの混合物が挙げられる。コンディショニング特性を有する他の不揮発性シリコーン化合物も使用することができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、アミノ置換シリコーンを用いるのが好ましい。好ましいアミノシリコーンとしては、例えば、一般式(I):
(R
1)
aG
3-a−Si−(−OSiG
2)
n−(−OSiG
b(R
1)
2-b)
m−O−SiG
3-a(R
1)
a
に従うものが挙げられ、式中、Gは、水素、フェニル、ヒドロキシ、又はC
1〜C
8アルキル、好ましくはメチルであり、aは、0、又は1〜3の値を有する整数、好ましくは1であり、bは、0、1、又は2、好ましくは1であり、nは、0〜1,999の数であり、mは、0〜1,999の整数であり、nとmとの合計は、1〜2,000の数であり、a及びmはいずれも0ではなく、R
1は、一般式CqH
2qLに従う一価ラジカルであり、式中、qは、2〜8の値を有する整数であり、Lは、−N(R
2)CH
2−CH
2−N(R
2)
2、−N(R
2)
2、−N(R
2)
3A
-;−N(R
2)CH
2−CH
2−NR
2H
2A
-、の基から選択され、ここで、R
2は、水素、フェニル、ベンジル、又は飽和炭化水素ラジカル、好ましくは約C
1〜約C
20のアルキルラジカルであり、A
~は、ハロゲン化物イオンである。
【0074】
極めて好ましいアミノシリコーンは、式(I)(式中、m=0、a=1、q=3、G=メチルであり、nは、好ましくは約1500〜約1700、より好ましくは約1600であり、Lは、−N(CH
3)
2又は−NH
2、より好ましくは−NH
2である)に対応するものである。別の極めて好ましいアミノシリコーンは、式(I)(式中、m=0、a=1、q=3、G=メチルであり、nは、好ましくは約400〜約600、より好ましくは約500であり、Lは、−N(CH
3)
2又は−NH
2、より好ましくは−NH
2である)に対応するものである。シリコーン鎖の一端又は両端が、窒素含有基によって末端処理されているため、このような極めて好ましいアミノシリコーンを、末端アミノシリコーンと呼ぶことができる。
【0075】
上述のアミノシリコーンを組成物中に組み込む場合、より低い粘度を有する溶媒と混合することができる。そのような溶媒としては、例えば、極性又は非極性の揮発性又は不揮発性油が挙げられる。そのような油としては、例えば、シリコーン油、炭化水素、及びエステルが挙げられる。このような各種溶媒のうち、好ましいものは、非極性、揮発性炭化水素、揮発性環状シリコーン、不揮発性直鎖シリコーン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものである。本明細書で有用な不揮発性直鎖シリコーンは、25℃で、約1mm
2/s〜約20,000mm
2/s(約1〜約20,000センチストークス)、好ましくは約20mm
2/s〜約10,000mm
2/s(約20〜約10,000センチストークス)の粘度を有するものである。好ましい溶媒の中で、非常に好ましいのは、アミノシリコーンの粘度を低下させ、かつ、乾いた毛髪上における摩擦の低減などの改善されたヘアコンディショニング効果を提供するという観点から、非極性の揮発性炭化水素であり、特に非極性の揮発性イソパラフィンである。かかる混合物の粘度は、好ましくは約1,000mPa・s〜約100,000mPa・s、より好ましくは約5,000mPa・s〜約50,000mPa・sである。
【0076】
他の好適なアルキルアミノ置換シリコーン化合物としては、シリコーン主鎖のペンダント基としてアルキルアミノ置換を有するものが挙げられる。極めて好ましいものは、「アモジメチコン」として知られているものである。本明細書で有用な市販のアモジメチコンとしては、例えば、Dow Corningから入手可能なBY16−872が挙げられる。
【0077】
追加成分
本発明の組成物は、他の追加成分を含んでもよく、それは最終製品の所望の特性によって当業者により選択されてもよく、また組成物をより美容的又は審美的に許容可能なものにしたり、付加的な使用による効果を組成物にもたらしたりするのに好適なものである。こうしたその他の追加成分は、一般に、組成物の約0.001重量%〜約10重量%、好ましくは約5重量%以下の濃度で個々に用いられる。
【0078】
多種多様なその他の追加成分を本発明の組成物に配合することができる。これには、他のコンディショニング剤(例えば、Hormelから入手可能な商標名「Peptein 2000」の加水分解コラーゲン、Eisaiから入手可能な商標名「Emix−d」のビタミンE、Rocheから入手可能なパンテノール、Rocheから入手可能なパントテニルエチルエーテル、加水分解ケラチン、タンパク質、植物抽出物、及び栄養素など)、防腐剤(例えば、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、及びイミダゾリジニル尿素など)、pH調節剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、リン酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなど)、着色剤(FD&C又はD&C顔料の任意のものなど)、香料、紫外線・赤外線遮断吸収剤(例えばベンゾフェノンなど)、及び抗ふけ剤(例えばジンクピリチオンなど)が挙げられる。
【0079】
製品形態
本発明の組成物は、リンスオフ製品又はリーブオン製品の形態であってもよく、これらに制限されないが、クリーム、ゲル、エマルション、ムース、及びスプレーなどの多種多様な製品形態で配合されることができる。本発明の組成物は、ヘアコンディショナー、特にリンスオフタイプのヘアコンディショナーに特に好適である。
【0080】
リンスオフタイプのコンディショナーとして使用する場合、この組成物は好ましくは:
(i)毛髪をシャンプーした後、毛髪をコンディショニングするための有効量のコンディショニング組成物を毛髪に塗布する工程、及び
(ii)その後、毛髪をすすぐ工程、により使用される。
【0081】
本明細書での有効量は、例えば、毛髪10gあたり約0.1mL〜約2mL、好ましくは、毛髪10gあたり約0.2mL〜約1.5mLである。
【実施例】
【0082】
以下の実施例は更に、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明及び実証する。これらの実施例は、例示目的のためにのみ提供され、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくそれらの多くの変更が可能であることから、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。適用可能な場合には、成分を、化学名又はCTFA名で特定し、そうでない場合は、以下で定義する。
【0083】
【表1】
【0084】
調製方法
上記で示した「実施例1」〜「実施例4」、「比較例i」、及び「比較例iii」の毛髪ケア組成物は、当該技術分野において周知の任意の従来法によって調製することができる。
【0085】
特性及びコンディショニング効果
上記組成物のいくつかに関しては、以下の方法で特性及びコンディショニング効果を評価する。評価結果はまた、上に示される。
【0086】
開示され、「実施例1」〜「実施例4」で表わされる実施形態は、リンスオフ用途に特に有用である本発明のヘアコンディショニング組成物である。かかる実施形態は多くの利点を有する。例えばこれらは、半透明の製品外観、コンディショニング効果、特に湿潤時のコンディショニング効果、及び更に、相分離の危険性の低減など、改善された組成物安定性を提供する。本発明のそのような利点は、これらの実施例と、比較例である「比較例i」及び「比較例iii」との間で比較することにより、理解することができる。
【0087】
%T及び剪断応力などの特性
%T及び剪断応力は、上述の方法により測定される。
【0088】
相分離
これらの組成物は、直接的な目視観測により、相分離が起こったか否かが判定される。
○:相分離が観察されない
×:相分離が観察される
【0089】
官能試験員によるコンディショニング効果の試験
展延性及び湿潤時のもつれほぐしなどのコンディショニング効果が、官能試験員による試験で評価される。8人の官能試験員が、毛髪1gあたり、上述の組成物0.1mLを適用することにより調製されたサンプルを評価した。官能試験員は各サンプルにつき、展延性ともつれほぐしのそれぞれについて、0〜100の尺度で評価した。官能試験員のデータが集められ、平均され、スコア付けされ、比較された。
【0090】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0091】
あらゆる相互参照又は関連特許若しくは関連出願を含む、本明細書に引用されるすべての文献は、明確に除外ないしは別の形で限定されない限り、参照によりその全容を本明細書に援用するものとする。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような発明すべてを教示、示唆、又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と競合する場合に、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0092】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのようなすべての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。