特許第6577040号(P6577040)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6577040
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】内燃機関用の噴射装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 19/12 20060101AFI20190909BHJP
   F02M 63/00 20060101ALI20190909BHJP
   F02M 67/14 20060101ALI20190909BHJP
   F02D 41/32 20060101ALI20190909BHJP
   F02D 19/08 20060101ALI20190909BHJP
   F02D 19/06 20060101ALI20190909BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20190909BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   F02D19/12 A
   F02M63/00 P
   F02M67/14
   F02D41/32 B
   F02D19/08 C
   F02D19/08 D
   F02D19/06 B
   F02D19/06 A
   F02M37/00 341C
   F02M37/00 341D
   F02M37/00 341H
   F02D45/00 301M
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-539619(P2017-539619)
(86)(22)【出願日】2016年1月19日
(65)【公表番号】特表2018-510284(P2018-510284A)
(43)【公表日】2018年4月12日
(86)【国際出願番号】EP2016051008
(87)【国際公開番号】WO2016128185
(87)【国際公開日】20160818
【審査請求日】2017年7月27日
(31)【優先権主張番号】102015202218.8
(32)【優先日】2015年2月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】パウアー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ポッセルト,アンドレアス
【審査官】 上尾 敬彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−220887(JP,A)
【文献】 特開平02−181060(JP,A)
【文献】 特開平10−115257(JP,A)
【文献】 特開2009−138661(JP,A)
【文献】 特開2012−057470(JP,A)
【文献】 特開2007−154881(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0186877(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0127931(US,A1)
【文献】 特開2012−225319(JP,A)
【文献】 特開2007−187112(JP,A)
【文献】 米国特許第05875743(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 13/00−28/00
F02M 37/00−37/22
F02M 39/00−71/04
F02D 41/00−41/40
F02B 43/00−45/10
F02M 21/00−21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関用の噴射装置(1)であって、
前記内燃機関が燃焼室と少なくとも1つの吸気管とを有しており、前記噴射装置(1)が、燃料を前記燃焼室内に直接噴射するための第1の噴射弁(20)と、水または別の燃料を選択的にまたは同時に前記吸気管内に噴射するための第2の噴射弁(30)と、第3の燃料を前記吸気管内または別の吸気管内に噴射するための第3の噴射弁(40)とを有しており、
前記燃料がガソリン燃料および/またはフレックス燃料である時、前記別の燃料がエタノール燃料および/またはメタノール燃料であり、前記第3の燃料がCNG燃料またはLPG燃料またはアルコール燃料、
または、
前記燃料がCNG燃料またはLPG燃料またはアルコール燃料である時、前記別の燃料がエタノール燃料および/またはメタノール燃料であり、前記第3の燃料がガソリン燃料および/またはフレックス燃料、とすることが可能であり、
前記内燃機関の部分負荷段階において、前記第2の噴射弁(30)が前記別の燃料を噴射し、
前記内燃機関の全負荷段階において、前記第1の噴射弁(20)が燃料を噴射すると共に前記第2の噴射弁(30)が水を噴射し、
前記内燃機関の冷間始動段階および/または暖気運転段階において、前記第2の噴射弁(30)が前記別の燃料を噴射する
ことを特徴とする噴射装置(1)。
【請求項2】
前記第1の噴射弁(20)がメイン噴射弁であって、
前記第2および前記第3の噴射弁(30,40)がサブ噴射弁であり、前記メイン噴射弁が、前記サブ噴射弁よりも多量の燃料を噴射し、かつ/またはより長い運転時間を有しているか、または、
前記第1および前記第2の噴射弁(20,30)がサブ噴射弁であって、前記第3の噴射弁(40)がメイン噴射弁であり、前記メイン噴射弁が、前記サブ噴射弁よりも多量の燃料を噴射し、かつ/またはより長い運転時間を有している
ことを特徴とする請求項1記載の噴射装置(1)。
【請求項3】
前記燃料がガソリン燃料および/またはフレックス燃料であって、
前記第1の噴射弁(20)が燃料を噴射するためのメイン噴射弁として構成されていて、前記第2の噴射弁(30)が選択的に燃料または水を噴射するためのサブ噴射弁として構成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の噴射装置(1)。
【請求項4】
燃料がガソリン燃料および/またはフレックス燃料であるか、
または燃料がCNG燃料またはLPG燃料であって、この場合、前記第1の噴射弁(20)が燃料を噴射するためのメイン噴射弁として構成されていて、前記第2の噴射弁(30)が水を噴射するためのサブ噴射弁として構成されていて、前記第3の噴射弁(40)が燃料を噴射するためのサブ噴射弁として構成されている
ことを特徴とする請求項1記載の噴射装置(1)。
【請求項5】
コントロールユニットが、
内燃機関の負荷および内燃機関の別の運転パラメータに依存して、前記第1の噴射弁(20)の噴射量、前記第2の噴射弁(30)の噴射量および/または前記第3の噴射弁(40)の噴射量を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の噴射装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載した内燃機関用の噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料を吸気管内に噴射するための、または燃料を燃焼室内に直接噴射するための、内燃機関用の噴射装置は一般的に公知である。内燃機関の全負荷時における燃料消費の削減を効率改善によって得るために、かつノッキングの減少を得るために、別の噴射弁を介して水が噴射される。内燃機関の燃費は、水を噴射するための別の噴射弁によって削減できるが、内燃機関の部分負荷時における微粒子排出物の削減は得られない。
【発明の概要】
【発明の効果】
【0003】
後述されている請求項に記載した、内燃機関用の本発明による噴射装置は、従来技術に対して、全負荷中の内燃機関の運転時における燃料消費の削減も、また部分負荷中の内燃機関の運転時における微粒子排出物の削減も得られる、という利点を有している。内燃機関の運転中の燃料消費の削減は、メインエンジンの効率改善によって得られ、つまり、内燃機関の全負荷時にノッキングを減少させるために吸気管内に水が噴射されることによって得られる。内燃機関は、燃料を噴射するための第1の噴射路と、水を噴射するための第2の噴射路と、燃料(つまり第1の噴射路内にも使用されるのと同じ燃料)を噴射するためのまたは別の燃料を噴射するための第3の噴射路とを有している。部分負荷中の内燃機関の運転時の微粒子排出物の削減は、燃料または別の燃料を噴射するための第3の噴射路が設けられていることによって可能である。本発明による噴射装置は、好適な形式で、最適化された全負荷による内燃機関の燃料消費の削減も、また内燃機関の部分負荷時の微粒子排出物の削減も可能である。燃料消費の削減も、また微粒子排出物の削減も、多くの地域で法律的に要求されているので、そこに大きな需要が存在する。内燃機関は好適な形式で、自動車、好適にはオートモービル用のガソリンエンジンとして構成されている。内燃機関は、好適な形式で1つ以上のシリンダを有しており、この場合、それぞれのシリンダは、少なくとも1つの第1および第2の噴射弁を備えた燃焼室を有している。本発明によれば、噴射装置は、燃焼室内に直接噴射するための第1の噴射弁を有していて、吸気管内に噴射するための少なくとも第2の噴射弁を有しており、この場合、第2の噴射弁は水を噴射するために設けられている。
【0004】
本発明の好適な実施態様および変化実施例は、従属請求項、並びに図面に関連した説明に記載されている。
【0005】
好適な変化実施例によれば、第2の噴射弁が、
水または燃料または別の燃料を選択的に噴射するために構成されているか、または
水も燃料または別の燃料も同時に噴射するために構成されている。
本発明による噴射装置は、3つの噴射路、つまり燃料を噴射するための第1の噴射路と、水を噴射するための第2の噴射路と、燃料またはこの燃料とは異なる別の燃料を噴射するための第3の噴射路とを有している。本発明の実施例によれば、3つの噴射路は、噴射装置が燃料を燃焼室内に直接噴射するための第1の噴射弁と、水または燃料(または別の燃料)を選択的に噴射するための第2の噴射弁とを有していることによって、実現される。この場合、第1の噴射路は第1の噴射弁によって実現され、第2の噴射路もまた第3の噴射路も第2の噴射弁によって(しかしながら異なる時点で)実現される、つまり選択的に、水が第2の噴射弁を介して噴射されるか(第1の時点で)、または燃料が第2の噴射弁を介して噴射される(第2の時点で)ことによって実現され、この場合、このような燃料として(第1の噴射弁で使用された)燃料または別の燃料が噴射される。
【0006】
本発明の選択的な実施例によれば、3つの噴射路は、第2の噴射弁が、一方では水も、また他方では燃料または別の燃料も同時に噴射するために構成されていることによって実現される、つまり第2の噴射路および第3の噴射路は、水・燃料混合物が第2の噴射弁によって噴射されることによって、少なくとも部分的に、同時に第2の噴射弁によって実現される。
【0007】
本発明の別の好適な実施例によれば、第2の噴射弁は特に個別インジェクタ(シングルインジェクタ)として構成されているか、またはダブルインジェクタ(ツインインジェクタ)として構成されている。
【0008】
別の好適な変化実施例によれば、噴射装置は、(第1の噴射弁内に使用された)燃料または別の燃料または第3の燃料を吸気管内または別の吸気管内に噴射するための第3の噴射弁を有している。この場合、第1の噴射路は第1の噴射弁によって実現され、第2の噴射路は第2の噴射弁によって実現され、第3の噴射路は第3の噴射弁によって実現される。特にこの場合、一実施例によれば、3つの噴射弁が設けられており、第1の噴射弁を介して燃料が燃焼室内に直接噴射され、第2の噴射弁を介して水(つまり水だけ、燃料は噴射されない)が噴射され、これに対して第3の噴射弁を介して(第1の噴射弁内に使用された)燃料または別の燃料が噴射される。
【0009】
特にこの場合、別の実施例によれば、3つの噴射弁が設けられており、第1の噴射弁を介して燃料が燃焼室内に直接噴射され、第3の噴射弁を介して第3の燃料が噴射され、これに対して第2の噴射弁を介して、選択的に水および別の燃料、または同時に水も別の燃料も噴射される。
【0010】
別の好適な変化実施例によれば、第1の噴射弁がメイン噴射弁であって、第2の噴射弁も第3の噴射弁もサブ噴射弁であるか、
または、
第1および第2の噴射弁がサブ噴射弁であり、第3の噴射弁がメイン噴射弁であって、この場合、メイン噴射弁が、サブ噴射弁よりも多量の燃料を噴射し、かつ/またはより長い運転時間を有している。
これによって、好適な形式で、燃料に追加して、別の燃料および第3の燃料を噴射することができ、この場合、メイン噴射弁が、サブ噴射弁よりも多量の燃料を噴射し、かつ/またはより長い運転時間を有している。これによって、好適な形式で、メイン噴射弁およびサブ噴射弁に同じ燃料を使用した場合、メイン噴射弁はより小さく寸法設計することができ、これによって燃料量を相応の負荷状況に、より良好に適合させることができる。メイン噴射弁をより小さく寸法設計することによって、前もって所定の負荷状況において、メイン噴射弁の寸法設計に基づいて、必要な量よりも多量の燃料が噴射され得るときに、微粒子排出物が低下され得る。何故ならば、噴射された燃料量は、相応の負荷状況において要求された燃料量により良好に適合され、インジェクタ固有の設計的な特徴も、改善された噴霧形成のために利用され得るからである。運転方式およびシステム設計、および燃料、別の燃料および/または水の供給、並びに第3の燃料の供給は、セグメント特有の若しくはマーケット特有の要求に合わせることができる。
【0011】
別の好適な実施例によれば、特に、燃料がガソリン燃料および/またはフレックス燃料であって、第1の噴射弁が燃料を噴射するためのメイン噴射弁として構成されていて、第2の噴射弁が選択的に燃料または水を噴射するためのサブ噴射弁として構成されている。この場合、第1の噴射路は第1の噴射弁によって実現され、第2の噴射路もまた第3の噴射路も、第2の噴射弁によって(しかしながら異なる時点で)実現され、つまり、選択的に水が第2の噴射弁を介して噴射されるか(特に内燃機関が全負荷運転段階または全負荷に近い運転段階にある第1の時点で、特にノッキング減少のために)、または燃料が第2の噴射弁を介して噴射される(特に、内燃機関が部分負荷運転段階にある時点で、特に微粒子削減のために)ことによって実現される。この場合、本発明によれば、好適には、第2の噴射弁の連動制御が遮断弁および水ポンプの制御を介して実現されることが可能である。この場合、第2の噴射弁の設計は、2つの媒体のために行われる必要がある。フレックス燃料として、本発明の枠内で、特に呼称E0−E85,E22−E100若しくはM15−M100による燃料が対象となる。第2の噴射弁は、この実施例によれば特に排出物低下のために冷間始動/暖気運転範囲で使用され得る。
【0012】
別の好適な実施例によれば、特に、燃料がガソリン燃料および/またはフレックス燃料であるか、
または燃料がCNG燃料またはLPG燃料であって、この場合、第1の噴射弁が燃料を噴射するために構成されていて、第2の噴射弁が水を噴射するために構成されていて、第3の噴射弁が燃料を噴射するために構成されている。この場合、本発明によれば好適には、第3の噴射弁の運転および第2の噴射弁の運転が、遮断された制御に従って自律的に実現され、特に第3の噴射弁および第2の噴射弁の固有の設計が可能である。運転方式として特に、第3の噴射弁が部分負荷運転中に微粒子削減のために、および場合によって全負荷運転段階中または全負荷に近い運転段階中に燃料の量を増やすために使用されるのに適しており、これに対して第2の噴射弁はノッキングを減少させるために内燃機関の全負荷運転段階中または全負荷に近い運転段階中に使用されるのに適している。第3の噴射弁は、この実施例によれば、特に冷間始動/暖気運転範囲内で排出物削減のために使用される。
【0013】
別の好適な実施例によれば特に、燃料がガソリン燃料および/またはフレックス燃料であって、別の燃料がCNG燃料(compressed natural gas:圧縮天然ガス)またはLPG燃料(liquefied natural gas:液化天然ガス)であるか、
または、燃料がCNG燃料またはLPG燃料であって、別の燃料がガソリン燃料および/またはフレックス燃料であり、この場合、第1の噴射弁が燃料を噴射するために構成されていて、第2の噴射弁が水を噴射するために構成されていて、第3の噴射弁が別の燃料を噴射するために構成されている。これによって、本発明によれば、二重燃料噴射システムと水噴射との組み合わせが可能である。
【0014】
別の好適な実施例によれば特に、
燃料がガソリン燃料および/またはフレックス燃料であって、別の燃料がエタノール燃料および/またはメタノール燃料であり、第3の燃料がCNG燃料またはLPG燃料またはアルコール燃料であるか、
または、
燃料がCNG燃料またはLPG燃料/またはアルコール燃料であって、別の燃料がエタノール燃料および/またはメタノール燃料であり、第3の燃料がガソリン燃料および/またはフレックス燃料であり、
この場合、第1の噴射弁が燃料を噴射するために構成されていて、第3の噴射弁が第3の燃料を噴射するために構成されていて、第2の噴射弁が、選択的に別の燃料または水を噴射するために構成されているか、または
水も前記別の燃料も同時に噴射するために構成されている。これによって、本発明によれば三重燃料/水噴射システムが可能となる。
【0015】
別の好適な変化実施例によれば、コントロールユニットが、内燃機関の負荷および内燃機関の別の運転パラメータに依存して、第1の噴射弁の噴射量、第2の噴射弁の噴射量および/または第3の噴射弁の噴射量を制御するようになっている。これによって、好適には、噴射された燃料の量および/または噴射された別の燃料の量および/または噴射された第3の燃料の量、および噴射された水の量を、内燃機関の負荷および別の運転パラメータに依存して適合させることができる。
【0016】
別の好適な変化実施例によれば、燃料、別の燃料および第3の燃料が以下の燃料である、つまり、
ガソリン、または
液化ガス(LPG)、または
天然ガス(CNG)、または
アルコール、好適にはメタノールおよび/またはエタノール、または
フレックス燃料、特にエタノールとガソリンとの混合物(例えばE0−E85、E22−E100)またはメタノールとガソリンとの混合物(M15−M100)、または
ガソリンおよびフレックス燃料、
である。
これによって好適には、内燃機関を、1つの燃料、2つの異なる燃料または3つの異なる燃料で運転することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の例示的な第1実施例による、内燃機関用の噴射装置の概略図である。
図2】本発明の例示的な第2実施例による、内燃機関用の噴射装置の概略図である。
図3】本発明の例示的な第3実施例による、内燃機関用の噴射装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
様々な図面において、同じ部分には、常に同じ符号が付けられていて、従って普通はそれぞれ一度だけ名前を挙げられるか若しくは言及される。
【0019】
図1乃至図3に示された噴射装置1はそれぞれ、内燃機関の各シリンダのために、第1の噴射弁20および第2の噴射弁30を有している。内燃機関は、本発明に従って複数の、例えば2個、3個、4個、5個、6個、8個、10個または12個のシリンダを有している。図1乃至図3には、内燃機関の例えばそれぞれ4つのシリンダ50が略示されているが、これらのシリンダにはそれぞれ個別に異なる符号を付けていない。シリンダ50のそれぞれは、少なくとも1つの所属の吸気管を備える燃焼室を有している。それぞれ4つのシリンダ50のそれぞれの吸気管若しくはインテークパイプは、図1乃至3では符号51,52,53若しくは54で示されており、これらの符号51乃至54は符号50′でまとめられる。それぞれ4つのシリンダ50のそれぞれ第1の噴射弁20は、図1乃至図3では符号21,22,23若しくは24で示されており、これらの符号21乃至24は符号20でまとめられる。それぞれ4つのシリンダ50のそれぞれ第2の噴射弁30は、図1乃至3では、符号31,32,33若しくは34で示されており、これらの符号31乃至34は符号30でまとめられる。それぞれ第1の噴射弁21,22,23,24に、本発明に従って特に第1の蓄圧器20′が対応配設されており、この第1の蓄圧器20′から、蓄えられた媒体(燃料)がそれぞれ第1の噴射弁21,22,23,24に供給される。相応に、それぞれ第2の噴射弁31,32,33,34に、本発明に従って特に第2の蓄圧器30′が対応配設されていて、この第2の蓄圧器30′から、蓄えられた媒体(水および/または燃料若しくは別の燃料)がそれぞれ第2の噴射弁31,32,33,34に供給される。
【0020】
図1には、本発明の例示的な第1実施例による、内燃機関用の噴射装置1が示されている。内燃機関若しくは噴射装置1は、第1実施例に従って、シリンダ毎に、第1および第2の噴射弁20,30の他に第3の噴射弁40を有している。図1に示されたそれぞれ4つのシリンダ50のそれぞれ第3の噴射弁40は、図1では符号41,42,43若しくは44で示されており、これらの符号41乃至44は符号40によってまとめられる。それぞれ第3の噴射弁41,42,43,44には、本発明に従って特に第3の蓄圧器40′が対応配設されており、この第3の蓄圧器40′から、蓄えられた媒体(燃料若しくは別の燃料)がそれぞれ第3の噴射弁41,42,43,44に供給される。
【0021】
図1に示された第1実施例によれば、内燃機関若しくは噴射装置1は、燃料(例えばガソリンおよび/またはフレックス燃料またはCNG燃料またはLPG燃料)を、第1の噴射弁20によって各シリンダ50の燃焼室に直接噴射するための第1の噴射路6を有している。さらに、内燃機関若しくは噴射装置1は、各シリンダ50のそれぞれの吸気管50′内に水を噴射するための第2の噴射路7、および燃料(例えばガソリンおよび/またはフレックス燃料またはCNG燃料またはLPG燃料)を呼気管に直接噴射するための第3の噴射路8を有している。第1の噴射路6および第3の噴射路8に、燃料ポンプ9によって燃料が供給される。第2の噴射路7に、水ポンプ10によって水が供給される。
【0022】
第1の噴射弁20は、本発明によれば特に、燃料(例えばガソリンおよび/またはフレックス燃料またはCNG燃料またはLPG燃料)をシリンダ50の燃焼室内に直接噴射するためのメイン噴射弁である。第2の噴射弁30は、本発明によれば特にシリンダ50の吸気管内に水を噴射するためのサブ噴射弁である。第3の噴射弁40は、本発明によれば特に、燃料(例えばガソリンおよび/またはフレックス燃料またはCNG燃料またはLPG燃料)をシリンダ50の吸気管内にまたはシリンダ50の別の吸気管(図示せず)内に噴射するためのサブ噴射弁である。好適な実施例によれば、シリンダ50は追加的に別の第2の噴射弁を有しており、この場合、この別の第2の噴射弁は、吸気管内にまたは別の吸気管内に水を噴射するための、特に第2の噴射弁を備えたツインインジェクタとしてのサブ噴射弁である。
【0023】
コントロールユニットは、内燃機関の負荷および内燃機関の別の運転パラメータに依存して、第1の噴射弁20の噴射量、第2の噴射弁30の噴射量および/または第3の噴射弁40の噴射量を制御する。これによって、遮断された制御に従って、水および燃料(例えばガソリンおよび/またはフレックス燃料)の噴射が自律的に運転され得る。内燃機関の部分負荷段階で、好適には第3の噴射弁40が作動接続される。これによって、微粒子排出物の低減が実現される。内燃機関の全負荷段階で、好適には第3の噴射弁40が作動接続される。これによって、燃料(例えばガソリンおよび/またはフレックス燃料またはCNG燃料またはLPG燃料)の噴射量の増大が得られる。さらに、内燃機関の全負荷段階で、好適には第2の噴射弁30が作動接続される。これによって燃焼室が冷却されるので、内燃機関の効率が適切な形式で好適に高められ、アンチノック性が増大する。内燃機関の冷間始動段階および/または暖気運転段階で、好適には第3の噴射弁40が作動接続される。これによって排出物削減が得られる。
【0024】
図1に示した実施例の変化例によれば(この場合、この変化例は図示されていない)、内燃機関若しくは噴射装置1は、第1、第2および第3の噴射路6,7,8も有してはいるが、図1に示した実施例とは異なり、第1および第3の噴射弁20,40を介して同じ燃料が噴射されるのではなく、異なる燃料が噴射される。第1の噴射路は燃料を第1の噴射弁20によってシリンダ50の燃焼室内に直接噴射するために設けられている。第2の噴射路7は、水をシリンダ50の吸気管50′内に噴射するために設けられている。第3の噴射路8は、(第1の燃料とは異なる)別の燃料を吸気管内または別の吸気管内に噴射するために設けられている。本発明によれば、この記載された変化例において特に、(第1の噴射弁20を介して噴射された)燃料がガソリン燃料および/またはフレックス燃料であって、(第2の噴射弁30を介して噴射された)別の燃料がCNG燃料またはLPG燃料であるように設計されている。選択的に、このためにこの記載された変化例において特に、(第1の噴射弁20を介して噴射された)燃料がCNG燃料またはLPG燃料であって、(第2の噴射弁30を介して噴射された)別の燃料がガソリン燃料および/またはフレックス燃料であるように設計されている。
【0025】
この記載された変化例によれば、内燃機関は第3の噴射弁40を有している。第1の噴射弁20は特に、燃料(例えばガソリンおよび/またはフレックス燃料)を燃焼室内に直接噴射するためのベース噴射弁である。第2の噴射弁30は、吸気管内に水を噴射するためのサブ噴射弁である。第3の噴射弁40は、別の燃料(例えば液化ガスまたは天然ガス)をシリンダ50の吸気管内または別の吸気管内に噴射するためのベース噴射弁である。さらに、シリンダ50は好適な形式で追加的に別の第2の噴射弁を有しており、この場合この別の第2の噴射弁は、水を吸気管内または別の吸気管内に噴射するための、特に第2の噴射弁を備えたツインインジェクタとしてのサブ噴射弁である。
【0026】
図2には、本発明の例示的な第2実施例による、内燃機関用の噴射装置1が示されている。内燃機関は、燃料(例えばガソリンおよび/またはフレックス燃料)を燃焼室内に直接噴射するための第1の噴射路6と、水を吸気管内に噴射するための第2の噴射路7と、燃料(例えばガソリンおよびフレックス燃料)を吸気管内に噴射するための第3の噴射路8とを有している。第1の噴射路6および第3の噴射路8に、燃料ポンプ9によって燃料(例えばガソリンおよびフレックス燃料)が供給される。第2の噴射路7に、水ポンプ10によって水が供給される。本発明によれば、第3の噴射路8が遮断弁11によって第1の噴射路6から分離されるように設計されている。第1の噴射弁2は特に、燃料(例えばガソリンおよびフレックス燃料)を燃焼室内に直接噴射するためのメイン噴射弁である。第2の噴射弁30は、水または燃料を吸気管内に噴射するためのサブ噴射弁である。
【0027】
コントロールユニットは、内燃機関の負荷および内燃機関のその他の運転パラメータに依存して、第1の噴射弁20の噴射量および第2の噴射弁30の噴射量を制御する。それによって、遮断弁11および水ポンプ10の制御を介して、第2の噴射路7および第3の噴射路8の連動制御が可能である。従って、サブ噴射弁(第2の噴射弁30)は、水または燃料を選択的に噴射するように設計されている。内燃機関の部分負荷段階において、好適な形式で第2の噴射弁30が作動接続され、この際に、燃料が第2の噴射弁30によって噴射される。これによって、微粒子排出物の低減が実現される。内燃機関の全負荷段階において、第1の噴射弁20の運転に追加して、好適な形式で第2の噴射弁30が作動接続され、この際に水が第2の噴射弁30によって噴射される。これによって燃焼室が冷却されるので、内燃機関の効率は適切な形式で好適に高められ、アンチノック性が増大する。内燃機関の冷間始動段階および/または暖気運転段階で、好適には第2の噴射弁30が燃料を噴射するために作動接続される。これによって排出物削減が得られる。
【0028】
図3には、本発明の例示的な第3実施例による、内燃機関用の噴射装置1が示されている。図1に示された実施例に対応して、内燃機関若しくは噴射装置1は、シリンダ毎に、第1および第2の噴射弁20,30の他に第3の噴射弁40を有しており、この場合、各シリンダ50のそれぞれの第3の噴射弁40は、図3ではやはり符号41,42,43若しくは44で示されていて、これらの符号41乃至44は符号40でまとめられる。同様に、それぞれの第3の噴射弁41,42,43,44には本発明に従って特に第3の蓄圧器40′が対応配設されており、この第3の蓄圧器40′から、蓄えられた媒体(第3の燃料)がそれぞれの第3の噴射弁41,42,43,44に供給される。同様に、内燃機関若しくは噴射装置1は、第1の噴射弁20によって燃料をシリンダ50の燃焼室内に直接噴射するための第1の噴射路6を有している。さらに、内燃機関若しくは噴射装置1は、水若しくは別の燃料をシリンダ50のそれぞれの吸気管50′内に(第2の噴射弁30によって)択一的に(選択的に)または組み合わせでも噴射するための第2の噴射路7、並びに第3の燃料をシリンダ50の吸気管内またはシリンダ50の別の吸気管内に(第3の噴射弁40によって)直接噴射するための第3の噴射路8を有している。図3に示された実施例によれば、(第1の噴射弁20を介して燃焼室内に直接噴射される)燃料としてガソリン燃料および/またはフレックス燃料またはCNG燃料またはLPG燃料またはアルコール燃料が設けられている。(第2の噴射弁30によって噴射される)別の燃料として、エタノール燃料および/またはメタノール燃料が設けられている。(第3の噴射弁40によって噴射される)第3の燃料として、CNG燃料またはLPG燃料またはアルコール燃料(特に燃料としてガソリン燃料および/またはフレックス燃料が使用される場合)、またはガソリン燃料および/またはフレックス燃料(特に燃料としてCNG燃料またはLPG燃料またはアルコール燃料が用いられる場合)が設けられている。第1の噴射路6に、燃料ポンプ9によって燃料が供給される。第2の噴射路7に、水ポンプ10によって水が供給されるかまたは別の燃料ポンプ12によって別の燃料が供給される。第3の噴射路8に、第3の燃料ポンプ13によって第3の燃料が供給される。
【0029】
特に第1の噴射弁20は、燃料を燃焼室内に直接噴射するためのメイン噴射弁である。第2の噴射弁30は特に、選択的に水または別の燃料を吸気管内に噴射するためのサブ噴射弁である。第3の噴射弁40は特に、第3の燃料を吸気管内または別の吸気管内に噴射するためのサブ噴射弁である。
【0030】
コントロールユニットは、内燃機関の負荷および内燃機関のその他の運転パラメータに依存して、第1の噴射弁20の噴射量、第2の噴射弁30の噴射量および第3の噴射弁40の噴射量を制御する。負荷および別の運転パラメータに依存して、第2の噴射弁30によって水または別の燃料の選択的な噴射が行われる。さらに、運転パラメータに依存して、第3の燃料が第3の噴射弁40を介して噴射される。
【0031】
別の実施例によれば、第1の噴射弁20は、燃料を燃焼室内に直接噴射するためのベース噴射弁である。第2の噴射弁30は、水を吸気管内に噴射するためのサブ噴射弁である。第3の噴射弁40は、燃料または別の燃料を吸気管内または別の吸気管内に噴射するためのベース噴射弁である。さらに、シリンダ50は好適な形式で追加的に別の第2の噴射弁および/または別の第3の噴射弁を有しており、この場合、別の第3の噴射弁は、燃料または別の燃料を吸気管または別の吸気管内に噴射するための、特に第3の噴射弁を備えたツインインジェクタとしてのベース噴射弁であって、この場合、別の第2の噴射弁は、水を吸気管内または別の吸気管内に噴射するための、特に第2の噴射弁を備えたツインインジェクタとしてのサブ噴射弁である。
【符号の説明】
【0032】
1 噴射装置
6 第1の噴射路
7 第2の噴射路
8 第3の噴射路
9 燃料ポンプ
10 水ポンプ
11 遮断弁
20,21,22,23 第1の噴射弁
20′ 第1の蓄圧器
30,31,32,33,34 第2の噴射弁
30′ 第2の蓄圧器
40,41,42,43,44 第3の噴射弁
50 シリンダ
50′ 吸気管
51,52,53,54 吸気管
図1
図2
図3