【発明の効果】
【0003】
後述されている請求項に記載した、内燃機関用の本発明による噴射装置は、従来技術に対して、全負荷中の内燃機関の運転時における燃料消費の削減も、また部分負荷中の内燃機関の運転時における微粒子排出物の削減も得られる、という利点を有している。内燃機関の運転中の燃料消費の削減は、メインエンジンの効率改善によって得られ、つまり、内燃機関の全負荷時にノッキングを減少させるために吸気管内に水が噴射されることによって得られる。内燃機関は、燃料を噴射するための第1の噴射路と、水を噴射するための第2の噴射路と、燃料(つまり第1の噴射路内にも使用されるのと同じ燃料)を噴射するためのまたは別の燃料を噴射するための第3の噴射路とを有している。部分負荷中の内燃機関の運転時の微粒子排出物の削減は、燃料または別の燃料を噴射するための第3の噴射路が設けられていることによって可能である。本発明による噴射装置は、好適な形式で、最適化された全負荷による内燃機関の燃料消費の削減も、また内燃機関の部分負荷時の微粒子排出物の削減も可能である。燃料消費の削減も、また微粒子排出物の削減も、多くの地域で法律的に要求されているので、そこに大きな需要が存在する。内燃機関は好適な形式で、自動車、好適にはオートモービル用のガソリンエンジンとして構成されている。内燃機関は、好適な形式で1つ以上のシリンダを有しており、この場合、それぞれのシリンダは、少なくとも1つの第1および第2の噴射弁を備えた燃焼室を有している。本発明によれば、噴射装置は、燃焼室内に直接噴射するための第1の噴射弁を有していて、吸気管内に噴射するための少なくとも第2の噴射弁を有しており、この場合、第2の噴射弁は水を噴射するために設けられている。
【0004】
本発明の好適な実施態様および変化実施例は、従属請求項、並びに図面に関連した説明に記載されている。
【0005】
好適な変化実施例によれば、第2の噴射弁が、
水または燃料または別の燃料を選択的に噴射するために構成されているか、または
水も燃料または別の燃料も同時に噴射するために構成されている。
本発明による噴射装置は、3つの噴射路、つまり燃料を噴射するための第1の噴射路と、水を噴射するための第2の噴射路と、燃料またはこの燃料とは異なる別の燃料を噴射するための第3の噴射路とを有している。本発明の実施例によれば、3つの噴射路は、噴射装置が燃料を燃焼室内に直接噴射するための第1の噴射弁と、水または燃料(または別の燃料)を選択的に噴射するための第2の噴射弁とを有していることによって、実現される。この場合、第1の噴射路は第1の噴射弁によって実現され、第2の噴射路もまた第3の噴射路も第2の噴射弁によって(しかしながら異なる時点で)実現される、つまり選択的に、水が第2の噴射弁を介して噴射されるか(第1の時点で)、または燃料が第2の噴射弁を介して噴射される(第2の時点で)ことによって実現され、この場合、このような燃料として(第1の噴射弁で使用された)燃料または別の燃料が噴射される。
【0006】
本発明の選択的な実施例によれば、3つの噴射路は、第2の噴射弁が、一方では水も、また他方では燃料または別の燃料も同時に噴射するために構成されていることによって実現される、つまり第2の噴射路および第3の噴射路は、水・燃料混合物が第2の噴射弁によって噴射されることによって、少なくとも部分的に、同時に第2の噴射弁によって実現される。
【0007】
本発明の別の好適な実施例によれば、第2の噴射弁は特に個別インジェクタ(シングルインジェクタ)として構成されているか、またはダブルインジェクタ(ツインインジェクタ)として構成されている。
【0008】
別の好適な変化実施例によれば、噴射装置は、(第1の噴射弁内に使用された)燃料または別の燃料または第3の燃料を吸気管内または別の吸気管内に噴射するための第3の噴射弁を有している。この場合、第1の噴射路は第1の噴射弁によって実現され、第2の噴射路は第2の噴射弁によって実現され、第3の噴射路は第3の噴射弁によって実現される。特にこの場合、一実施例によれば、3つの噴射弁が設けられており、第1の噴射弁を介して燃料が燃焼室内に直接噴射され、第2の噴射弁を介して水(つまり水だけ、燃料は噴射されない)が噴射され、これに対して第3の噴射弁を介して(第1の噴射弁内に使用された)燃料または別の燃料が噴射される。
【0009】
特にこの場合、別の実施例によれば、3つの噴射弁が設けられており、第1の噴射弁を介して燃料が燃焼室内に直接噴射され、第3の噴射弁を介して第3の燃料が噴射され、これに対して第2の噴射弁を介して、選択的に水および別の燃料、または同時に水も別の燃料も噴射される。
【0010】
別の好適な変化実施例によれば、第1の噴射弁がメイン噴射弁であって、第2の噴射弁も第3の噴射弁もサブ噴射弁であるか、
または、
第1および第2の噴射弁がサブ噴射弁であり、第3の噴射弁がメイン噴射弁であって、この場合、メイン噴射弁が、サブ噴射弁よりも多量の燃料を噴射し、かつ/またはより長い運転時間を有している。
これによって、好適な形式で、燃料に追加して、別の燃料および第3の燃料を噴射することができ、この場合、メイン噴射弁が、サブ噴射弁よりも多量の燃料を噴射し、かつ/またはより長い運転時間を有している。これによって、好適な形式で、メイン噴射弁およびサブ噴射弁に同じ燃料を使用した場合、メイン噴射弁はより小さく寸法設計することができ、これによって燃料量を相応の負荷状況に、より良好に適合させることができる。メイン噴射弁をより小さく寸法設計することによって、前もって所定の負荷状況において、メイン噴射弁の寸法設計に基づいて、必要な量よりも多量の燃料が噴射され得るときに、微粒子排出物が低下され得る。何故ならば、噴射された燃料量は、相応の負荷状況において要求された燃料量により良好に適合され、インジェクタ固有の設計的な特徴も、改善された噴霧形成のために利用され得るからである。運転方式およびシステム設計、および燃料、別の燃料および/または水の供給、並びに第3の燃料の供給は、セグメント特有の若しくはマーケット特有の要求に合わせることができる。
【0011】
別の好適な実施例によれば、特に、燃料がガソリン燃料および/またはフレックス燃料であって、第1の噴射弁が燃料を噴射するためのメイン噴射弁として構成されていて、第2の噴射弁が選択的に燃料または水を噴射するためのサブ噴射弁として構成されている。この場合、第1の噴射路は第1の噴射弁によって実現され、第2の噴射路もまた第3の噴射路も、第2の噴射弁によって(しかしながら異なる時点で)実現され、つまり、選択的に水が第2の噴射弁を介して噴射されるか(特に内燃機関が全負荷運転段階または全負荷に近い運転段階にある第1の時点で、特にノッキング減少のために)、または燃料が第2の噴射弁を介して噴射される(特に、内燃機関が部分負荷運転段階にある時点で、特に微粒子削減のために)ことによって実現される。この場合、本発明によれば、好適には、第2の噴射弁の連動制御が遮断弁および水ポンプの制御を介して実現されることが可能である。この場合、第2の噴射弁の設計は、2つの媒体のために行われる必要がある。フレックス燃料として、本発明の枠内で、特に呼称E0−E85,E22−E100若しくはM15−M100による燃料が対象となる。第2の噴射弁は、この実施例によれば特に排出物低下のために冷間始動/暖気運転範囲で使用され得る。
【0012】
別の好適な実施例によれば、特に、燃料がガソリン燃料および/またはフレックス燃料であるか、
または燃料がCNG燃料またはLPG燃料であって、この場合、第1の噴射弁が燃料を噴射するために構成されていて、第2の噴射弁が水を噴射するために構成されていて、第3の噴射弁が燃料を噴射するために構成されている。この場合、本発明によれば好適には、第3の噴射弁の運転および第2の噴射弁の運転が、遮断された制御に従って自律的に実現され、特に第3の噴射弁および第2の噴射弁の固有の設計が可能である。運転方式として特に、第3の噴射弁が部分負荷運転中に微粒子削減のために、および場合によって全負荷運転段階中または全負荷に近い運転段階中に燃料の量を増やすために使用されるのに適しており、これに対して第2の噴射弁はノッキングを減少させるために内燃機関の全負荷運転段階中または全負荷に近い運転段階中に使用されるのに適している。第3の噴射弁は、この実施例によれば、特に冷間始動/暖気運転範囲内で排出物削減のために使用される。
【0013】
別の好適な実施例によれば特に、燃料がガソリン燃料および/またはフレックス燃料であって、別の燃料がCNG燃料(compressed natural gas:圧縮天然ガス)またはLPG燃料(liquefied natural gas:液化天然ガス)であるか、
または、燃料がCNG燃料またはLPG燃料であって、別の燃料がガソリン燃料および/またはフレックス燃料であり、この場合、第1の噴射弁が燃料を噴射するために構成されていて、第2の噴射弁が水を噴射するために構成されていて、第3の噴射弁が別の燃料を噴射するために構成されている。これによって、本発明によれば、二重燃料噴射システムと水噴射との組み合わせが可能である。
【0014】
別の好適な実施例によれば特に、
燃料がガソリン燃料および/またはフレックス燃料であって、別の燃料がエタノール燃料および/またはメタノール燃料であり、第3の燃料がCNG燃料またはLPG燃料またはアルコール燃料であるか、
または、
燃料がCNG燃料またはLPG燃料/またはアルコール燃料であって、別の燃料がエタノール燃料および/またはメタノール燃料であり、第3の燃料がガソリン燃料および/またはフレックス燃料であり、
この場合、第1の噴射弁が燃料を噴射するために構成されていて、第3の噴射弁が第3の燃料を噴射するために構成されていて、第2の噴射弁が、選択的に別の燃料または水を噴射するために構成されているか、または
水も前記別の燃料も同時に噴射するために構成されている。これによって、本発明によれば三重燃料/水噴射システムが可能となる。
【0015】
別の好適な変化実施例によれば、コントロールユニットが、内燃機関の負荷および内燃機関の別の運転パラメータに依存して、第1の噴射弁の噴射量、第2の噴射弁の噴射量および/または第3の噴射弁の噴射量を制御するようになっている。これによって、好適には、噴射された燃料の量および/または噴射された別の燃料の量および/または噴射された第3の燃料の量、および噴射された水の量を、内燃機関の負荷および別の運転パラメータに依存して適合させることができる。
【0016】
別の好適な変化実施例によれば、燃料、別の燃料および第3の燃料が以下の燃料である、つまり、
ガソリン、または
液化ガス(LPG)、または
天然ガス(CNG)、または
アルコール、好適にはメタノールおよび/またはエタノール、または
フレックス燃料、特にエタノールとガソリンとの混合物(例えばE0−E85、E22−E100)またはメタノールとガソリンとの混合物(M15−M100)、または
ガソリンおよびフレックス燃料、
である。
これによって好適には、内燃機関を、1つの燃料、2つの異なる燃料または3つの異なる燃料で運転することが可能である。