(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上下方向よりも左右方向に長い第1の像と、左右方向よりも上下方向に長い第2の像との少なくともいずれか一方を含む表示像を投影する表示装置における表示像投影方法であって、
制御部が、前記表示像と、前記表示像に対してずれ方向にずれて視認されるゴースト像との、ずれ量に応じて、前記第1の像と、前記第2の像との少なくともいずれか一方の幅を変化させた前記表示像を生成する表示像生成ステップと、
画像表示部が、前記制御部が生成した前記表示像を投影するための表示光を出射する表示光出射ステップと、
を有し、
前記表示像生成ステップにおいて、前記制御部は、変化後の前記第1の像の幅と前記第1の像の幅方向の前記ずれ量とを合算した幅と、変化後の前記第2の像の幅と前記第2の像の幅方向の前記ずれ量とを合算した幅と、を同じ幅にする、表示像投影方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
<ヘッドアップディスプレイ>
図1は、実施の形態1におけるヘッドアップディスプレイの構成例の概要を示す図である。以下、運転者から見ての上下方向を表示像1204の上下方向として説明し、運転者から見ての左右方向を表示像1204の左右方向として説明する。
【0017】
図1に示されるように、表示光11,12が投影される透過部材であるフロントガラス120は、外側ガラス1200と、内側ガラス1202と、外側ガラス1200と内側ガラス1202とにより挟まれる中間膜1201とが互いに接合されることで構成される。フロントガラス120は、例えば、車両を運転する運転者の前方に位置する。
【0018】
ヘッドアップディスプレイが、例えばナビゲーション装置に組み込まれる場合、その動作は、以下の通りである。例えばナビゲーション装置における交通情報などからなる画像は、表示像1204としてフロントガラス120に投影される。フロントガラス120に投影された表示光12は、フロントガラス120で反射され、運転者の瞳1205に入射する。そして、運転者は、例えばナビゲーション装置における交通情報などからなる表示像1204を、車両の前方の風景と重ねて視認できる。
【0019】
表示装置10と偏光装置20とは、例えば、ダッシュボードの内部に格納される。表示装置10は、例えば、液晶素子や光源を有する。そして、表示装置10は、ナビゲーション装置における交通情報や速度や各種警告表示などからなる表示像1204を車両のフロントガラス120に投影されるための表示光11,12を生成し、生成した表示光11,12をミラーなどで構成される偏光装置20へと射出する。
【0020】
表示装置10が射出した表示光11,12は、偏光装置20へ照射される。その後、偏光装置20へ照射された表示光11,12はフロントガラス120に向けて反射される。そして、偏光装置20により反射される表示光11,12は、内側ガラス1202へと入射する。
【0021】
内側ガラス1202へ入射した表示光11,12のうち、表示光12は、内側ガラス1202の表面により反射されることで瞳1205に入射する。これによって、運転者は、表示像1204を視認する。一方、内側ガラス1202へ入射した表示光11,12のうち、表示光11は、外側ガラス1200の裏面により反射されることで瞳1205に入射する。これによって、運転者は、ゴースト像1203を視認する。このように、瞳1205に到達する光路が2つあり、運転者は表示像1204とゴースト像1203とを上下に二重に重ねて視認してしまう。
【0022】
<表示装置>
図2は、実施の形態1における表示装置10の構成例の概要を示す図である。
図2に示されるように、表示装置10は、画像表示部100と、制御部200とを有する。
【0023】
また、表示装置10には、所定のハードウェアおよびソフトウェアが実装される。例えば、表示装置10は、プロセッサやメモリなどを有し、プロセッサによるメモリ上のプログラムの実行により、表示装置10のコンピュータを機能させる。
【0024】
制御部200は、瞳位置検出部210と、フォント処理部220と、二重像ずれ量算出部230とを有する。
【0025】
制御部200は、表示像と、表示像に対してずれ方向にずれて視認されるゴースト像との、ずれ量mに応じて、左右方向に伸びる(上下方向よりも左右方向に長い)第1の像と、上下方向に伸びる(左右方向よりも上下方向に長い)第2の像との少なくともいずれか一方の幅を変化(短手方向に変化)させた表示像を生成する。なお、表示像に含まれる第1の像(横線)は、水平方向(左右方向)に伸びる直線や曲線や交通情報の内容を表す図形(例えば、矢印)である。また、表示像に含まれる伸びる第2の像(縦線)は、垂直方向(上下方向)に伸びる直線や曲線や交通情報の内容を表す(例えば、矢印)である。
【0026】
制御部200の瞳位置検出部210は、例えば、撮像部(撮像部は、車両のバックミラーやメーターパネルなどに、撮像素子が運転者の方向に向けられた状態で取り付けられる)から入力された運転者の瞳を含む画像の画像データを解析することで瞳の位置を検出する。また、瞳位置検出部210は、検出した瞳の位置を特定するための瞳位置座標を算出する。そして、瞳位置検出部210は、算出した瞳位置座標を二重像ずれ量算出部230に入力する。なお、瞳位置検出部210は、車両のミラー(バックミラー)の取付位置(ミラーが取り付けられる位置を特定するための三次元座標により特定される)と、水平面を基準とするミラーの上下方向の角度と、ミラーと直交する垂直面を基準とするミラーの左右方向の角度と基づいて瞳位置座標を算出しても良い。
【0027】
制御部200の二重像ずれ量算出部230は、瞳位置検出部210から入力された瞳位置座標と、偏光装置の位置と傾き(水平面に対する傾き)と、フロントガラスの傾き(水平面に対する傾き)と、フロントガラスの厚さとに基づき、表示像とゴースト像とのずれ量mを算出する。二重像ずれ量算出部230は、算出したずれ量mをフォント処理部220に入力する
図3(a)〜(c)はフォント処理の例を説明する図である。以下では、ずれ量mが、縦線1210の幅と横線1211の幅であるtの半分の値以下である場合のフォント処理について説明する。
図3(a)〜(c)に示されるように、表示像1204は、左右方向に伸びる第1の像である横線1211と、上下方向に伸びる第2の像である縦線1210とを含む。なお、表示像1204は、必ずしも、左右方向に伸びる第1の像と、上下方向に伸びる第2の像とを含んでいるとは限らず、少なくともいずれか一方を含む。
【0028】
図3(a)は、フォント処理前の表示例を示す図である。
図3(a)に示される例では、表示像1204に対してゴースト像1203が、ずれ方向に、ずれ量mだけ上方にずれて視認される。ずれ量mは、例えば、表示像1204の各部(右上角1301や左下角1302など)からゴースト像1203の対応する各部(右上角1401や左下角など)までの距離である。より詳細には、例えば、表示像の右上角1301からゴースト像の右上角1401までの距離が、ずれ量mとなる。
【0029】
図3(a)に示される例では、制御部200のフォント処理部220に入力されるずれ量mは、表示像1204の縦線1210の幅と横線1211の幅であるtの半分の値(tに0.5を乗算した値)以下である。そして、表示像1204を構成する縦線1210と横線1211との上方には、ずれ量mのゴースト像1203が視認される。
【0030】
また、縦線1210の幅がtで視認されるのに対し、横線1211は、上方のゴースト像1203と一体で、幅tとずれ量mとを合算した幅Tで視認される。そのため、
図3(a)に示される例では、縦線1210の幅よりも、ゴースト像1203と一体で表示される横線1211の幅の方が太く視認されるようになり、縦線1210と横線1211との幅が異なるため、運転者に違和感を与えてしまう。
【0031】
図3(b)は、第1のフォント処理後の表示例を示す図である。ずれ量mがtの半分の値以下である場合、制御部200のフォント処理部220は、入力されたずれ量mに応じて、横線(第1の像)1211の幅を変更した表示像1204を生成する第1のフォント処理を行う。詳細には、フォント処理部220は、横線1211の幅をずれ量mだけ細くした表示像1204を生成する。なお、フォント処理部220は、横線1211の幅を上方向に細くしても良いし、下方向に細くしても良い。
【0032】
これによって、幅t−mの横線1211は、上方の幅mのゴースト像1203と一体で幅tで視認される。そして、ゴースト像1203と一体で表示される横線1211の幅は、縦線1210の幅と同じ幅で視認されるようになり、運転者に与える違和感を少なくできる。
【0033】
なお、
図3(c)に示されるように、ずれ量mがtの半分の値以下である場合、フォント処理部220は、入力されたずれ量mに応じて、縦線(第2の像)1211の幅を変更した表示像1204を生成する第2のフォント処理を行うようにしても良い。詳細には、フォント処理部220は、縦線1210の幅をずれ量mだけ太くした表示像1204を生成する。
【0034】
これによって、幅tの横線1211は、上方の幅mのゴースト像1203と一体で幅t+mで視認される。そして、ゴースト像1203と一体で表示される横線1211の幅は、縦線1210の幅と同じ幅で視認されるようになり、運転者に与える違和感を少なくできる。なお、フォント処理部220は、縦線1210の幅を左方向に太くしても良いし、右方向に太くしても良い。
【0035】
次に、ずれ量mが、縦線1210の幅と横線1211の幅であるtの半分の値以上であって、t未満である場合のフォント処理について
図4(a)〜(c)を用いて説明する。
【0036】
図4(a)は、フォント処理前の表示例を示す図である。
図4(a)に示される例では、表示像1204に対してゴースト像1203が、ずれ量mだけ上方にずれて視認される。
図4(a)に示される例にて、ずれ量mは、表示像1204の縦線1210の幅と横線1211の幅であるtの半分の値(tに0.5を乗算した値)を超え、かつ、t以下である。
【0037】
図4(b)は、第1のフォント処理後の表示例を示す図である。また、
図4(c)は、第2のフォント処理後の表示例を示す図である。ずれ量mがtの半分の値を超え、かつ、t以下である場合、制御部200のフォント処理部220は、入力されたずれ量mに応じて、まず、
図4(b)にて説明される第1のフォント処理を行い、その後、
図4(c)にて説明される第2のフォント処理を行う。詳細には、フォント処理部220は、ずれ量mがtの半分の値を超え、かつ、t以下である場合に、横線の幅を2t−Tだけ細くし、縦線1210の幅を2m−tだけ太くした表示像1204を生成する。
【0038】
第1のフォント処理により、横線(第1の像)1211の幅は、T−t(すなわち、ずれ量m)となる。また、横線1211は、上方のゴースト像1203と一体で2mの幅(ずれ量mを2倍した幅)で視認される。また、第2のフォント処理により、縦線(第2の像)1210の幅が、2m−tだけ太くされる。そして、縦線1210の幅は、2mとなる。これによって、縦線1210は、ゴースト像1203と一体で表示される横線1211の幅と同じ幅で視認されるようになり、運転者に与える違和感を少なくできる。
【0039】
次に、ずれ量mが、縦線1210の幅と横線1211の幅であるtの値を超える場合のフォント処理について
図5(a)、
図5(b)、
図6(a)、
図6(b)を用いて説明する。なお、文字の形状が複雑な場合(例えば、文字が漢字やひらがなである場合)に、
図5(a)、
図5(b)、
図6(a)、
図6(b)に示されるフォント処理を行うようにしても良い。
【0040】
図5(a)は、フォント処理前の表示例を示す図である。
図5(a)に示される例では、表示像1204に対してゴースト像1203が、ずれ量mだけ上方にずれて視認される。
図5(a)に示される例では、ずれ量mは、表示像1204の縦線1210の幅と横線1211の幅であるtの値を超え、表示像1204の横線1211とゴースト像1203との間に、高さがsの隙間が視認される。
【0041】
ずれ量mがtの値を超える場合、制御部200のフォント処理部220は、入力されたずれ量mに応じて、まず、
図5(b)にて説明される第1フォント処理を行い、その後、
図6(a)にて説明される第2のフォント処理を行い、最後に、
図6(b)にて説明される第3のフォント処理を行う。
【0042】
図5(b)は、第1のフォント処理後の表示例を示す図である。また、
図6(a)は、第2のフォント処理後の表示例を示す図である。
【0043】
フォント処理部220は、横線(第1の像)1211の幅をs(隙間の高さであって、T−2tと等しい)だけ太くする第1のフォント処理(
図5(b))を行い、その後、縦線(第2の像)1210の幅を、s+m(隙間の高さと、ずれ量mとを加算した値)だけ太くした第2のフォント処理(
図6(a))を行い、最後に、縦線1210長さが、第3のフォント処理前の長さと比較して、(t+s+m)/t倍の長さへと長くされ、横線1211の長さが、第3のフォント処理前の長さと比較して、(t+s+m)/t倍の長さへと長くされる第3のフォント処理(
図6(b))を行う。
【0044】
図5(b)、に示されるように、第1のフォント処理が行われることで、表示像1204の横線1211とゴースト像1203との間の隙間がなくなる。また、横線1211は、上方のゴースト像1203と一体でT+sの幅で視認されるようになる。
【0045】
また、
図6(a)に示されるように、縦線1210の幅は、T+sとなる。これによって、縦線1210は、ゴースト像1203と一体で表示される横線1211の幅と同じ幅で視認されるようになる。
【0046】
ここで、縦線1210と、ゴースト像1203と一体で表示される横線1211の幅が、いずれもT+sである場合、縦線1210および横線1211が太くなりすぎてしまい、文字の判読性が低下する可能性がある。そこで、第1のフォント処理と第2のフォント処理とが行われた後に、アスペクト比を調整する第3のフォント処理を行なう。
【0047】
図6(b)に示されるように、第3のフォント処理により、縦線1210長さが、第3のフォント処理前の長さと比較して、(t+s+m)/t倍の長さへと長くされる。また、横線1211の長さが、第3のフォント処理前の長さと比較して、(t+s+m)/t倍の長さへと長くされる。すなわち、制御部200は、表示像1204とゴースト像1203とのずれ量mが横線の幅を超える場合に、横線の幅と縦線の幅とを太くし、横線の長さと縦線の長さとを長くした表示像1204を生成する。これによって、縦線1210は、ゴースト像1203と一体で表示される横線1211の幅と同じ幅で視認され、さらに、第1のフォント処理と第2のフォント処理を行う前の文字の形を維持することができ文字の判読性を維持できる。
【0048】
次に、ずれ量mが、縦線1210の幅と横線1211の幅であるtの半分の値以下である場合の他のフォント処理について
図7(a)、(b)を用いて説明する。
【0049】
図7(a)は、フォント処理前の表示例を示す図である。
図7(a)に示される例では、表示像1204に対してゴースト像1203が、ずれ量mだけずれ方向(
図7(a)の場合は、上方)にずれて視認される。そして、表示像1204を構成する縦線1210と横線1211との上方には、ずれ量mのゴースト像1203が視認される。
【0050】
図7(b)は、第4のフォント処理後の表示例を示す図である。
図7(b)に示されるように、フォント処理部220による第4のフォント処理により、ゴースト像1203が視認される領域にグラデーション処理されたゴースト像1700が表示される。すなわち、フォント処理部220が、表示像1204に、表示像1204の色から段階的に輝度を下げるグラデーション処理を行うことで、グラデーション処理されたゴースト像1700が表示される。グラデーション処理された表示像1204とグラデーション処理されたゴースト像1700を合わせた視認像は、全体としてグラデーション処理された1つの像として視認でき、運転者に与える違和感を少なくできる。
【0051】
以下、
図8(a)と、
図8(b)とを用いて、第4のフォント処理について、より詳細に説明する。
図8(a)は、ずれが発生している領域を抽出する処理、
図8(b)は、グラデーション適用領域にグラデーションをかける処理を説明する図である。
【0052】
図8(a)に示されるように、まず、制御部200のフォント処理部220は、表示像1204をずれが発生している方向に、所定間隔ごとに短冊状に分割する。
図8(a)に示される例では、ずれは、上下方向に発生している。そのため、フォント処理部220は、表示像1204を上下方向に、所定間隔ごとに短冊状に分割する。なお、フォント処理部220は、ずれが左右方向に発生している場合には、表示像1204を左右方向に所定間隔ごとに短冊状に分割する。また、フォント処理部220は、ずれが斜め方向に発生している場合は、表示像1204を斜め方向に所定間隔ごとに短冊状に分割する。
【0053】
次に、
図8(b)に示されるように、フォント処理部220は、短冊状に分割した分割後表示像801から、グラデーション適用領域802と、グラデーション非適用領域803とを抽出する。なお、フォント処理部220は、分割後表示像801のうち、ズレ方向側のズレ幅tの領域を802として抽出し、それ以外の領域をグラデーション非適用領域803として抽出する。そして、フォント処理部220は、表示像1204から抽出したグラデーション適用領域802を表示像の色から段階的に輝度を下げるグラデーション表示像を生成する。
【0054】
画像表示部100は、制御部200のフォント処理部220が上述した
図3〜
図8のいずれかに示される処理により生成した表示像1204を投影するための表示光を出射する。
【0055】
<全体処理>
図9は、実施の形態1における表示装置10の全体処理の概要を示す図である。
【0056】
まず、S901にて、撮像部30が、運転者の瞳1205を撮像する。
【0057】
次に、S902にて、撮像部30は、S901にて撮像した運転者の瞳1205を含む画像の画像データを制御部200に入力する。
【0058】
次に、S903にて、制御部200の瞳位置検出部210は、撮像部30から入力された画像データを解析することで瞳の位置を検出する。また、瞳位置検出部210は、検出した瞳の位置を特定するための瞳位置座標を算出する。そして、瞳位置検出部210は、算出した瞳位置座標を二重像ずれ量算出部230に入力する。
【0059】
次に、S904にて、制御部200の二重像ずれ量算出部230は、S903にて入力された瞳位置座標と、偏光装置20の位置と傾き(水平面に対する傾き)と、フロントガラス120の傾き(水平面に対する傾き)と、フロントガラス120の厚さとに基づき、表示像1204とゴースト像1203とのずれ量mを算出する。二重像ずれ量算出部230は、算出したずれ量mをフォント処理部220に入力する。
【0060】
次に、S905にて、制御部200のフォント処理部220は、S904にて入力されたずれ量mが、文字の幅(t)を超えるか否かを判定する。制御部200のフォント処理部220が、ずれ量mが文字の幅(t)を超えないと判定する場合(S905−No)、S907へ進む。一方、制御部200のフォント処理部220が、ずれ量mが文字の幅(t)を超えると判定する場合(S905−Yes)、S906へ進む。
【0061】
次に、S906にて、制御部200のフォント処理部220は、横線1211の幅をs(隙間の高さであって、T−2tと等しい)だけ太くした第1のフォント処理(前述、
図5(b))を行う。また、フォント処理部220は、縦線1210の幅を、s+m(隙間の高さと、ずれ量mとを加算した値)だけ太くした第2のフォント処理(前述、
図6(a))を行う。また、フォント処理部220は、縦線1210長さが、第3のフォント処理前の長さと比較して、(t+s+m)/t倍の長さへと長くされ、横線1211の長さが、第3のフォント処理前の長さと比較して、(t+s+m)/t倍の長さへと長くされる第3のフォント処理(前述、
図6(b))を行う。
【0062】
S905にてNoだった場合、S907にて、制御部200のフォント処理部220は、S904にて入力されたずれ量mが、文字の幅(t)を0.5倍した値を超え、かつ、文字の幅(t)以下か否かを判定する。制御部200のフォント処理部220が、ずれ量mが文字の幅(t)の0.5倍を超え、かつ、文字の幅(t)以下でないと判定する場合(S907−No)、S909へ進む。一方、制御部200のフォント処理部220が、ずれ量mが文字の幅(t)の0.5倍を超え、かつ、文字の幅(t)以下であると判定する場合(S907−Yes)、S908へ進む。
【0063】
次に、S908にて、フォント処理部220は、第1のフォント処理(前述、
図4(b))を行い、その後、第2のフォント処理(前述、
図4(c))を行う。詳細には、フォント処理部220は、横線の幅を2t−Tだけ細くし、縦線1210の幅を2m−tだけ太くした表示像1204を生成する。
【0064】
S907にてNoだった場合、S909にて、制御部200のフォント処理部220は、S904にて入力されたずれ量mが、0ではなく文字の幅(t)を0.5倍した値以下か否かを判定する。制御部200のフォント処理部220が、ずれ量mが0、すなわちずれがないと判定する場合(S909−No)、フォント処理部220での処理を実施せず、S911へ進む。一方、制御部200のフォント処理部220が、ずれ量mが0ではなく文字の幅(t)を0.5倍した値以下であると判定する場合(S909−Yes)、S910へ進む。
【0065】
次に、S910にて、フォント処理部220は、横線の幅をずれ量mだけ細くした表示像1204を生成する。または、フォント処理部220は、縦線の幅をずれ量mだけ太くした表示像1204を生成する。
【0066】
最後に、S911にて、画像表示部100は、制御部200のフォント処理部220が上述したS906、S908、S910のいずれかの処理により生成した表示像1204を投影するための表示光を出射する。
【0067】
<実施の形態1の効果>
以上説明した実施の形態1における表示装置10によれば、制御部200が、表示像1204とゴースト像1203とのずれ量に応じて、表示像1204に含まれる横線1211および縦線1210の少なくともいずれか一方の幅を変化させた表示像1204を生成することで、ヘッドアップディスプレイの表示エリアが大画面化した場合でも、二重像を目立ちにくくさせることができ、表示装置10により投影される表示像1204の視認性を向上できる。
【0068】
また、制御部200が、表示像1204とゴースト像1203とのずれ量が横線1211の幅を超えない場合に、縦線1210の幅をずれ量だけ太くした表示像1204を生成することで、ゴースト像1203と一体で表示される横線1211の幅が、縦線1210の幅と同じ幅で視認されるようになり、運転者に与える違和感を少なくできる。
【0069】
また、制御部200が、表示像1204とゴースト像1203とのずれ量が横線1211の幅を超えない場合に、横線1211の幅をずれ量だけ細くした表示像1204を生成することで、ゴースト像1203と一体で視認される表示像1204の外観を、フォント処理前の表示像1204の外観から変化させることなく、運転者に与える違和感を少なくできる。
【0070】
また、制御部200が、表示像1204とゴースト像1203とのずれ量が横線1211の幅を超える場合に、横線1211の幅と縦線1210の幅とを太くし、横線1211の長さと縦線1210の長さとを長くすることで、運転者に与える違和感を少なくしつつ、文字の判読性が向上する。
【0071】
また、制御部200が、表示像1204の色からずれ方向に段階的にまたは連続的に輝度が下がるように変化させた、グラデーション処理した表示像1204を生成することで、二重像を目立ちにくくさせることができる。
(実施の形態2)
実施の形態2のヘッドアップディスプレイは、上下方向に移動可能な光学素子40をさらに有する点で実施の形態1のヘッドアップディスプレイと異なる。以下、実施の形態2を実施の形態1と異なる点を主に
図10〜
図14を用いて説明する。
【0072】
図10は、二重像が発生する従来のヘッドアップディスプレイの構成例の概要を示す図である。
図10に示されるように、表示装置1は、生成した表示光11,12をミラーなどで構成される偏光装置20へと射出する。
【0073】
表示装置10が射出した表示光11,12は、偏光装置20へ入射する。その後、偏光装置20へ入射した表示光11,12はフロントガラスに向けて反射される。そして、偏光装置20により反射される表示光11,12は、内側ガラス1202へと入射する。
【0074】
ここで、
図10に示される例では、表示光12がフロントガラス120の内側ガラス1202へ入射する入射角はθであり、表示光11が内側ガラス1202に入射する入射角はθ1である。そして、
図10に示される例では、θとθ1とが異なるため、Δθ(θ−θ1)の値が「0」ではない。そのため、瞳1205に到達する光路が2つあり、運転者は表示像1204とゴースト像1203とを上下に二重に重ねて視認してしまう。
【0075】
図11〜
図13は、実施の形態2におけるヘッドアップディスプレイの構成例の概要を示す図である。
図11〜
図13に示されるように、実施の形態2におけるヘッドアップディスプレイは、表示装置10と、偏光装置20と、上下方向に移動可能な光学素子40とを有する。
【0076】
表示装置10が射出した表示光11,12は、偏光装置20へ入射する。その後、偏光装置20へ入射した表示光11,12は光学素子40に向けて反射される。光学素子40を透過する表示光11,12は、方向を変化させられて光学素子40から出射される。光学素子40から出射された表示光11,12は、内側ガラス1202へと入射する。
【0077】
光学素子40は、入射する表示光11,12を異なる角度で方向を変化させて出射する。光学素子40は、例えば上下方向に移動可能な保持部材(不図示)により保持される。そして、光学素子40は、保持部材がモータの回転動力により上下方向に移動させられることで、上下方向に平行移動可能となっている。
【0078】
図11に示される状態から
図12に示される状態へと、光学素子40が、下方に平行移動させられた場合、光学素子40と偏光装置20との間の距離が短くなる。すると、
図11に示される下方に平行移動させられる前との状態と比較して、
図12に示される状態では、表示光11、12は、運転者の瞳1205方向の光学素子40の面から出射される。そのため、
図11に示される下方に平行移動させられる前の状態と比較して、
図12に示される状態では、表示光11,12は、フロントガラス120の上方で反射する。すなわち、下方に平行移動させられる前と比較して、表示光12は、内側ガラス1202のより上方で反射される。また、下方に平行移動させられる前と比較して、表示光11は、外側ガラス1200のより上方で反射される。
【0079】
一方、
図12に示される状態から
図13に示される状態へと、光学素子40が、上方に平行移動させられた場合、光学素子40と偏光装置20との間の距離が長くなる。すると、
図12に示される上方に平行移動させられる前の状態と比較して、
図13に示される状態では、表示光11、12は、運転者の瞳1205とは逆方向の光学素子40の面から出射される。そのため、
図12に示される上方に平行移動させられる前の状態と比較して、
図13に示される状態では、表示光11,12は、フロントガラス120の下方で反射される。一方、上方に平行移動させられる前と比較して、表示光11は、外側ガラス1200のより下方で反射される。これによって、運転者の瞳1205の高さを変えることができ、視点の高さが異なるユーザに対して、同等の位置に文字や記号などの表示像を表示することが可能になる。
【0080】
ここで、
図11に示されるように、表示光12の内側ガラス1202での反射光と、表示光11の外側ガラス1200での反射光が重なり運転者の瞳1205に入射されるように光学素子40を挿入することで二重像の発生を防止できる。
【0081】
図14は、実施の形態2におけるヘッドアップディスプレイの構成例の概要を示す図である。
図14に示されるように、ヘッドアップディスプレイは、表示装置10と、撮像部30と、光学素子40とを有する。
【0082】
表示装置10は、画像表示部100と、制御部200と、記憶部300とを有する。また、制御部200は、瞳位置検出部210と、二重像ずれ量算出部230と、光学素子制御部240とを有する。
【0083】
表示装置10の記憶部300には、瞳1205の位置を特定するための三次元座標である瞳位置座標と、二重像が発生しない光学素子40の高さ(光学素子40の高さとは、例えば、自動車が走行している路面から光学素子40までの高さである)とが対応付けて記憶されている。すなわち、表示装置10には、瞳位置座標と、θとθ1とが等しくなる光学素子の高さとが対応付けて記憶されている。
【0084】
撮像部30は、撮像した運転者の瞳1205を含む画像の画像データを制御部200に入力する。撮像部30が制御部200に入力した画像データは、制御部200の瞳位置検出部210に入力される。
【0085】
制御部200の瞳位置検出部210は、撮像部30から入力された運転者の瞳を含む画像の画像データを解析することで瞳の位置を検出する。また、瞳位置検出部210は、検出した瞳の位置を特定するための瞳位置座標を算出する。そして、瞳位置検出部210は、算出した瞳位置座標(瞳の位置を特定するための三次元座標)を光学素子制御部240に入力する。なお、画像データを解析することで瞳の位置を検出ことに替えて、瞳位置検出部210は、車両のミラー(バックミラー)の取付位置(ミラーが取り付けられる位置を特定するための三次元座標)と、水平面を基準とするミラーの上下方向の角度と、ミラーと直交する垂直面を基準とするミラーの左右方向の角度と基づいて瞳位置座標を算出しても良い。
【0086】
制御部200の光学素子制御部240は、瞳位置検出部210から入力された瞳位置座標と対応する、二重像が発生しない光学素子40の高さを記憶部300から取得する。
【0087】
光学素子制御部240は、記憶部300から取得した光学素子40になるように、光学素子40を移動させる。これによって、光学素子40は、二重像が発生しない高さまで移動される。
【0088】
なお、制御部200は必ずしも表示装置10が有している必要がなく、表示装置10とは別個にヘッドアップディスプレイが有するようにしても良い。
【0089】
また、瞳1205の位置を特定するための三次元座標と、ミラーが取り付けられる位置を特定するための三次元座標とは、例えば、フロントガラス120の中心やハンドルの中心などを原点とする。
【0090】
<実施の形態2の効果>
以上説明した実施の形態2におけるヘッドアップディスプレイによれば、制御部200が、瞳位置情報に基づき、光学素子40の高さを二重像が発生しない位置まで移動させることで、二重像が発生しなくなり、表示装置10により投影される表示像1204の視認性が向上する。
【0091】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0092】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。