特許第6577047号(P6577047)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6577047参照エネルギープロファイルを決定する方法および電池を形成するための装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6577047
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】参照エネルギープロファイルを決定する方法および電池を形成するための装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/44 20060101AFI20190909BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   H01M10/44 P
   H01M10/48 P
【請求項の数】52
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2017-549642(P2017-549642)
(86)(22)【出願日】2016年3月23日
(65)【公表番号】特表2018-511149(P2018-511149A)
(43)【公表日】2018年4月19日
(86)【国際出願番号】EP2016056470
(87)【国際公開番号】WO2016151058
(87)【国際公開日】20160929
【審査請求日】2017年11月17日
(31)【優先権主張番号】102015205228.1
(32)【優先日】2015年3月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500341779
【氏名又は名称】フラウンホーファー−ゲゼルシャフト・ツール・フェルデルング・デル・アンゲヴァンテン・フォルシュング・アインゲトラーゲネル・フェライン
(74)【代理人】
【識別番号】100205981
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】マキシミリアン・ブルッフ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ルクス
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・フェター
【審査官】 下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0060290(US,A1)
【文献】 特開2002−208440(JP,A)
【文献】 特表2014−512661(JP,A)
【文献】 特開2011−222358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42 − 10/48
H01M 10/05 − 10/0587
H01M 10/36 − 10/39
G01R 31/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
参照エネルギープロファイルを決定するための方法(100)であって、
複数の時間間隔(18a−18d)について、第1充電サイクルの間の第1電池の電気量の吸収を記述する第1コース(12)と、前記第1充電サイクルの後に続く第2充電サイクルの間の第1または第2電池の電気量の吸収を記述する第2コース(14)を比較するステップ(110)と、
前記複数の時間間隔(18a−18d)の各々について、前記第1コース(12)と前記第2コース(14)とのずれ(16a−16d)を決定するステップ(120)と、
前記時間間隔(18a−18d)の各々について、前記ずれ(16a−16d)に基づいて前記電気量の量を決定するステップ(130)であって、前記電気量の量は、前記時間間隔(18a−18d)の各々について、形成されるべき電池(24)の形成プロセスの間に形成されるべき前記電池(24)へ供給されるべき前記電気量の量の参照エネルギープロファイルの予め設定されたデフォルト値を記述するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記電気量の量を決定するステップ(120)は、少なくとも1つの関数引数を有する変換関数に基づいて行われ、前記関数引数は,決定される前記ずれ(16a−16d)であり、前記電気量は、電流強度または電荷量を記述する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変換関数は、前記形成プロセスにわたって可変である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
参照エネルギープロファイルを決定するための方法(200)であって、
複数の時間間隔(18a−18d)について、第1充電サイクルの間の第1電池の電気量の吸収を記述する第1コース(12)と、前記第1充電サイクルの後に続く第2充電サイクルの間の第1または第2電池の電気量の吸収を記述する第2コース(14)と比較するステップ(210)と、
前記複数の時間間隔(18a−18d)の各々について、前記第1コース(12)と前記第2コース(14)とのずれ(16a−16d)を決定するステップ(220)と、
前記電気量により引き起こされる形成の度合いが、前記電気量により引き起こされ得る形成の40%以上であることを前記比較が示す場合、前記比較に基づいて、ある時間間隔(18a−18d)において別の電池(24)へその形成の間に供給される前記電気量の量を減らすことを決定するステップ(230)と、を含み、
前記複数の時間間隔(18a−18d)にわたる前記電気量の量のコースは、前記参照エネルギープロファイルを少なくとも部分的に記述する、方法。
【請求項5】
前記電気量により引き起こされ得る前記形成と比較した場合に、前記供給される電気量により引き起こされる前記形成の度合いを、前記ずれを用いて、かつ基準電池または対応する電池タイプのシミュレーションにおける測定値を用いて決定することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1コース(12)と前記第2コース(14)を比較するステップ(110、210)は、さらに、
前記複数の時間間隔(18a−18d)の各々について、前記第1または第2電池により吸収または放出される電荷量を決定するステップ(310)、
前記複数の時間間隔(18a−18d)の各々について、吸収される前記電荷量と、前記第1電池の電池極へ印加される電圧の変化を記述する電圧変化との比(dU/dQ)を確立するステップ(320)、または、
前記複数の時間間隔(18a−18d)の各々について、吸収される前記電荷量と、前記第2電池の電池極へ印加される電圧の変化を記述する電圧変化との比(dU/dQ)を確立するステップ(320)を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ずれを決定するステップ(120、220)は、前記第1コース(12)の値と前記第2コース(14)の値の商を計算すること、またはこれらの差を計算することを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1充電サイクルは、その間に前記第1電池が充電される時間的に最初の充電サイクルであり、前記第1電池の放電は、前記第1充電サイクルの後に続き、かつ前記第2充電サイクルは、前記放電の後に続く、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1コース(12)および/または前記第2コース(14)は、複数の電池について確立される充電サイクルの複数のコースの平均値を記述する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の時間間隔(18a−18d)は、前記第1または第2充電サイクルの持続時間に関連し、かつ1時間当たり少なくとも3つの時間間隔(18a−18d)を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の時間間隔(18a−18d)のうちの少なくとも1つの持続時間は、前記第1または第2電池へ印加される電圧が少なくとも0.1%および最大30%の許容範囲内で不変であるタイムスパンと相関する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1または第2コースは、前記第1または第2電池の前記充電または放電プロセスのコンピュータシミュレーションによって得られる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、少なくとも1回の繰返しで繰り返し実行され、個々の繰返しの前記第1コース(12)および前記第2コース(14)は、形成されるべき前記電池(24)の充電または放電サイクルに関連づけられ、繰返しの前記第1コース(12)および前記第2コース(14)は、前記方法の先行する実行の前記第1コース(12)および前記第2コース(14)とそれぞれ比較すると変化しており、かつ、繰り返される前記電池の充電または放電に関して、個々の参照電流プロファイルが確立される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記時間間隔のうちの少なくとも1つにおける前記第1または第2電池の補助量を決定し、決定される前記補助量を前記参照エネルギープロファイルに記憶するステップをさらに含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
電池(24)を形成するための方法(500)であって、
前記電池(24)を形成するための参照エネルギープロファイルを取得するステップ(510)であって、
複数の時間間隔(18a−18d)について、第1充電サイクルの間の第1電池の電気量の吸収を記述する第1コース(12)と、第1充電サイクルの後に続く第2充電サイクルの間の第1または第2電池の電気量の吸収を記述する第2コース(14)を比較すること(110)と、
前記複数の時間間隔(18a−18d)の各々について、前記第1コース(12)と前記第2コース(14)とのずれ(16a−16d)を決定すること(120)と、
前記時間間隔(18a−18d)の各々について、前記ずれ(16a〜d)に基づいて前記電気量の量を決定すること(130)であって、前記電気量の量は、前記時間間隔(18a−18d)の各々について、形成されるべき電池(24)の形成プロセスの間に形成されるべき前記電池(24)へ供給されるべき前記電気量の量の参照エネルギープロファイルの予め設定されたデフォルト値を記述すること、を含むステップ(510)と、
前記電池(24)に、ある電気量の量を充電するステップ(520)であって、前記電気量の量の時間的コースは、前記参照エネルギープロファイルに基づくステップ(520)と、を含む方法。
【請求項16】
前記電気量の量を決定すること(120)は、少なくとも1つの関数引数を有する変換関数に基づいて行われ、前記関数引数は,決定される前記ずれ(16a−16d)であり、前記電気量は、電流強度または電荷量を記述する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記変換関数は、前記形成プロセスにわたって可変である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
電池(24)を形成するための方法(500)であって、
前記電池(24)を形成するための参照エネルギープロファイルを取得するステップ(510)であって、
複数の時間間隔(18a−18d)について、第1充電サイクルの間の第1電池の電気量の吸収を記述する第1コース(12)と、第1充電サイクルの後に続く第2充電サイクルの間の第1または第2電池の電気量の吸収を記述する第2コース(14)を比較すること(210)と、
前記複数の時間間隔(18a−18d)の各々について、前記第1コース(12)と前記第2コース(14)とのずれ(16a−16d)を決定すること(220)と、
前記電気量により引き起こされる形成の度合いが、前記電気量により引き起こされ得る形成の40%以上であることを前記比較が示す場合、前記比較に基づいて、ある時間間隔(18a−18d)において別の電池(24)へその形成の間に供給される前記電気量の量を減らすことを決定すること(230)、を含み、
前記複数の時間間隔(18a−18d)にわたる前記電気量の量のコースは、前記参照エネルギープロファイルを少なくとも部分的に記述する、ステップ(510)と、
前記電池(24)に、ある電気量の量を充電するステップ(520)であって、前記電気量の量の時間的コースは、前記参照エネルギープロファイルに基づくステップ(520)と、を含む方法。
【請求項19】
前記電気量により引き起こされ得る形成と比較した場合に、前記供給される電気量により引き起こされる前記形成の度合いを、前記ずれを用いて、かつ基準電池または対応する電池タイプのシミュレーションにおける測定値を用いて決定することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1コース(12)と前記第2コース(14)を比較すること(110、210)は、さらに、
前記複数の時間間隔(18a−18d)の各々について、前記第1または第2電池により吸収または放出される電荷量を決定するステップ(310)、
前記複数の時間間隔(18a−18d)の各々について、吸収される前記電荷量と、前記第1電池の電池極へ印加される電圧の変化を記述する電圧変化との比(dU/dQ)を確立するステップ(320)、または、
前記複数の時間間隔(18a−18d)の各々について、吸収される前記電荷量と、前記第2電池の電池極へ印加される電圧の変化を記述する電圧変化との比(dU/dQ)を確立するステップ(320)を含む、請求項15〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記ずれを決定すること(120、220)は、前記第1コース(12)の値と前記第2コース(14)の値の商を計算すること、またはこれらの差を計算することを含む、請求項15〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記第1充電サイクルは、その間に前記第1電池が充電される時間的に最初の充電サイクルであり、前記第1電池の放電は、前記第1充電サイクルの後に続き、かつ前記第2充電サイクルは、前記放電の後に続く、請求項15〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記第1コース(12)および/または前記第2コース(14)は、複数の電池について確立される充電サイクルの複数のコースの平均値を記述する、請求項15〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記複数の時間間隔(18a−18d)は、前記第1または第2充電サイクルの持続時間に関連し、かつ1時間当たり少なくとも3つの時間間隔(18a−18d)を含む、請求項15〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記複数の時間間隔(18a−18d)のうちの少なくとも1つの持続時間は、前記第1または第2電池へ印加される電圧が少なくとも0.1%および最大30%の許容範囲内で不変であるタイムスパンと相関する、請求項15〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1または第2コースは、前記第1または第2電池の前記充電または放電プロセスのコンピュータシミュレーションによって得られる、請求項15〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記方法は、少なくとも1回の繰返しで繰り返し実行され、個々の繰返しの前記第1コース(12)および前記第2コース(14)は、形成されるべき前記電池(24)の充電または放電サイクルに関連づけられ、繰返しの前記第1コース(12)および前記第2コース(14)は、前記方法の先行する実行の前記第1コース(12)および前記第2コース(14)とそれぞれ比較すると変化しており、かつ、繰り返される前記電池の充電または放電に関して、個々の参照電流プロファイルが確立される、請求項15〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記時間間隔のうちの少なくとも1つにおける前記第1または第2電池の補助量を決定し、決定される前記補助量を前記参照エネルギープロファイルに記憶するステップをさらに含む、請求項15〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記時間的コースは、前記第1または第2電池へ印加される電圧が少なくとも0.1%および最大30%の許容範囲内で不変であるタイムスパンと相関する複数の時間間隔(18a−18d)を含む、請求項15〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
第1時点(t)における前記電池(24)の第1物理量を決定するステップと、
前記第1時点(t)の後に続く第2の時点(t)において、前記電池(24)の充電を中断して、前記電池(24)の前記第1物理量を決定するステップと、
前記第1時点における前記第1物理量と前記第2時点における前記第1物理量とのずれを決定するステップと、
決定される前記ずれに基づいて、前記参照エネルギープロファイルを補正するステップと、
充電または放電を再開するステップと、をさらに含む、請求項15〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記電気量の量は、前記電池(24)の電池極へ印加される電圧(U)に依存して前記電池(24)へ供給されるべき電気量に関連し、前記第1物理的状態は、前記電池の電池極へ印加される前記電圧(U)であり、かつ前記参照エネルギープロファイルは、決定される前記ずれに基づいて補正される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記電気量の量は、前記電池(24)の電池極へ印加される電圧(U)に依存して前記電池(24)へ供給されるべき電気量の値を指し、前記参照エネルギープロファイルは、さらに、前記電池極へ印加される前記電圧に依存する基準電池の補助量に関する情報を含み、かつ前記方法は、さらに、
前記ずれに基づいて、また前記中断前に第1の値で前記電池(24)へ供給される前記電気量に基づいて、前記電池(24)の補助量を決定するステップと、
前記補助量に基づいて、また再開後に印加される、前記電池(24)へ供給される前記電気量の第2の値に基づいて、前記参照エネルギープロファイルの補正値を決定するステップと、
決定される前記補正値に基づいて、前記参照エネルギープロファイルを補正するステップとを含む、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
前記第2時点(t)における前記電池(24)の前記第1物理量は、前記電池(24)の開路電圧(U)である、請求項30〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記参照エネルギープロファイルは、形成されるべき電池(24)を形成するために制御可能なエネルギー源により供給されるべき電気エネルギーに関する情報を含み、前記制御可能なエネルギー源により供給されるべき電気エネルギーに関する前記情報は、形成されるべき前記電池の充電または放電をもたらすエネルギー自体、電流強度、電荷量、または電圧に関する情報である、請求項1〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記電気量の量は、形成されるべき前記電池の充電または放電をもたらす電流強度、および/または電荷量、および/または電圧である、請求項1〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
プログラムがコンピュータ上で実行されると、請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム。
【請求項37】
参照エネルギープロファイルに基づいて、形成されるべき電池(24)へ前記電気量を印加するための、請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法(100、200)を用いて確立されている参照エネルギープロファイルの使用法。
【請求項38】
電池(24)を形成するための装置(70、80)であって、
前記電池(24)を形成するために、制御可能なエネルギー源(28)に結合される電池(24)へ電気量を供給するように構成される制御可能なエネルギー源(28)と、
前記複数の時間間隔(18a−18d)の間に前記電池(24)を形成するために、前記制御可能なエネルギー源(28)を複数の時間間隔(18a−18d)において制御するように構成される制御手段(34、34’)と、
前記時間間隔(18a−18d)の各々における前記電池(24)の物理的状態を決定するように構成される検出手段(36)と、を備え、
前記制御手段(34、34’)は、後続の時間間隔(18a−18d)の間に前記電池(24)へ供給される前記電気量の量を増加または低減するように、検出された前記物理的状態に基づいて、前記制御可能なエネルギー源(28)を制御するように構成される、装置。
【請求項39】
前記物理的状態は、前記電池(24)の電池極へ印加される電圧(U)、前記電池(24)へ誘導される電流強度、前記電池(24)により吸収される電荷量(Q)、前記電池(24)により電気量が吸収される持続時間、および、前記電池(24)に適用される温度または前記電池(24)における温度、のうちの少なくとも1つに関連する、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記制御手段(34’)は、検出される前記物理的状態の値をエネルギー量に関連づけ、かつ前記制御可能なエネルギー源(28)を制御して、前記制御可能なエネルギー源(28)に、前記決定されるエネルギー量を後続の時間間隔(18a−18d)内に前記電池(24)へ供給させるように構成される、請求項38または39に記載の装置。
【請求項41】
前記装置(80)は、前記電気量を前記電池(24)へ供給する充電サイクルの前記複数の時間間隔(18a−18d)の各々について予め設定されたデフォルト値と前記物理的状態を含む参照エネルギープロファイルを記憶するように構成されるメモリ(38)を備え、
前記制御手段(34’)は、前記制御可能なエネルギー源(28)を制御して、前記制御可能なエネルギー源(28)が、電気量の前記予め設定されたデフォルト値に基づいて、前記電池(24)を充電するように構成され、
前記制御手段(34’)は、前記複数の時間間隔(18a−18d)の各々について、決定される前記電池(24)の物理的状態と前記物理的状態の前記予め設定されたデフォルト値とのずれ(16a−16d)を決定するように構成され、
前記制御手段(34’)は、前記物理的状態の前記予め設定されたデフォルト値と検出される前記物理的状態との前記ずれ(16a−16d)が少なくとも1%を超えれば、前記電池(24)がより少ない、またはより多い測度の前記電気量を充電されるように、前記制御可能なエネルギー源(28)を前記電気量の前記予め設定されたデフォルト値から逸脱する方法で制御するように構成される、請求項25〜27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項42】
前記物理的状態は、少なくとも部分的に、前記電池(24)により吸収される電荷量(dQ)に対する、前記電池(24)の電池極へ印加される電圧の変化(dU)に関連する、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
電池(24)を形成するための方法(900)であって、
前記電池(24)を形成するために、制御可能なエネルギー源(28)により、前記制御可能なエネルギー源(28)に結合される電池へ電気量を供給するステップ(910)と、
複数の時間間隔(18a−18d)の間に前記電池(24)を形成するために、前記制御可能なエネルギー源(28)を、複数の時間間隔において制御するステップ(920)と、
前記時間間隔の各々において、前記電池(24)の物理的状態を決定するステップ(930)と、を含み、
前記制御可能なエネルギー源(28)は、決定される前記物理的状態に基づいて、後続の時間間隔の間に前記電池(24)へ供給される前記電気量の量が増加または低減するように制御される、方法。
【請求項44】
第1時点(t1)における前記電池(24)の第1物理量を決定するステップと、
前記第1時点(t1)の後に続く第2時点(t2)において、前記電池(24)への前記電気量の供給を中断して、前記電池(24)の前記第1物理量を決定するステップと、
前記第1時点における前記第1物理量と前記第2時点における前記第1物理量とのずれを決定するステップと、
決定される前記ずれに基づいて、前記電池へ供給されるべき前記電気量の量を補正するステップと、
補正される前記電気量の量に基づいて、充電または放電を再開するステップと、をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項45】
供給されるべき前記電気量の量は、前記電池(24)の電池極へ印加される電圧(U)に依存して、前記電池(24)へ供給されるべき電気量に関連づけられ、前記第1物理的状態は、前記電池の電池極へ印加される前記電圧(U)である、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
供給されるべき前記電気量の量は、前記電池(24)の電池極へ印加される電圧(U)に依存して前記電池(24)へ供給されるべき電気量の値に関連し、かつ前記方法は、さらに、
前記ずれに基づいて、また前記中断前に第1の値で前記電池(24)へ供給される前記電気量に基づいて、前記電池(24)の補助量を決定するステップと、
前記補助量に基づいて、また再開後に印加される、前記電池(24)へ供給される前記電気量の第2の値に基づいて、前記電気量の量の補正値を決定するステップと、
決定される前記補正値に基づいて、前記電気量の量を補正するステップとを含む、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
形成されるべき電池(24)を形成するために制御可能なエネルギー源により供給されるべき電流に関する情報を含む参照電流プロファイルを決定するための方法(100)であって、
コース(12、14)の複数の時間間隔(18a−d)について、第1充電サイクルの間の第1電池の充電に伴う電圧変化を記述する第1コース(12)と、前記第1充電サイクルの後に続く第2充電サイクルの間の第1または第2電池の充電に伴う前記電圧変化を記述する第2コース(14)を比較するステップ(110)と、
前記複数の時間間隔(18a−18d)の各々について、前記第1コース(12)と前記第2コース(14)とのずれ(16a−16d)を決定するステップ(120)と、
前記時間間隔(18a−18d)の各々について、前記ずれ(16a−16d)に基づいて電流を決定するステップ(130)であって、前記電流は、前記時間間隔(18a−d)の各々について、形成されるべき前記電池(24)の形成プロセスの間に前記制御可能なエネルギー源により形成されるべき前記電池(24)へ供給されるべき電流の量の前記参照エネルギープロファイルの予め設定されたデフォルト値を記述するステップと、を含む方法。
【請求項48】
前記第1コース(12)と第2コース(14)を比較するステップ(110)は、さらに、
前記複数の時間間隔(18a−18d)の各々について、前記第1または第2電池により吸収または放出される電荷量を決定するステップ(310)であって、前記電気量の正の量は、前記第1または第2電池の充電をもたらし、かつ前記電気量の負の量は、前記第1または第2電池の放電をもたらすステップと、
前記複数の時間間隔(18a−d)の各々について、吸収される前記電荷量と、前記第1電池の電池極へ印加される電圧の変化を記述する電圧変化との比(dU/dQ)、または、吸収される前記電荷量と、前記第2電池の電池極へ印加される電圧の変化を記述する電圧変化との比(dU/dQ)、を確立するステップ(320)とを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
参照エネルギープロファイルを補正するための方法であって、
電池(24)へ供給されるべき電気量の値に関する情報を含む前記参照エネルギープロファイルによって、形成されるべき電池(24)を充電または放電するステップと、
第1時点(t)における前記電池(24)の第1物理量を決定するステップと、
前記第1時点(t)の後に続く第2時点(t)において、前記電池(24)の充電または放電を中断して、前記電池(24)の前記第1物理量を決定するステップと、
前記第1時点における前記第1物理量と前記第2時点における前記第1物理量とのずれを決定するステップと、
決定される前記ずれに基づいて、前記参照エネルギープロファイルを補正するステップと、
充電または放電を再開するステップと、を含む方法。
【請求項50】
前記参照エネルギープロファイルは、前記電池(24)の電池極へ印加される電圧(U)に依存して前記電池(24)へ供給されるべき前記電気量の値に関する情報を含み、前記第1物理的状態は、前記電池の電池極へ印加される前記電圧(U)であり、かつ前記参照エネルギープロファイルは、決定される前記ずれに基づいて補正される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記ずれに基づいて、また前記中断前に第1の値で前記電池(24)へ供給される前記電気量に基づいて、前記電池(24)の補助量を決定するステップと、
前記補助量に基づいて、また再開後に印加される、前記電池(24)へ供給される前記電気量の第2の値に基づいて、前記参照エネルギープロファイルの補正値を決定するステップと、
決定される前記補正値に基づいて、前記参照エネルギープロファイルを補正するステップとをさらに含む、請求項49または50に記載の方法。
【請求項52】
前記第2時点(t)における前記電池(24)の前記第1物理量は、前記電池(24)の開路電圧(U)である、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、参照エネルギープロファイルを決定する方法、電池を形成するための装置、電池を形成する方法、参照エネルギープロファイルの使用法、および、コンピュータプログラムに関する。さらに、本発明は、固体電解質界面(SEI)を形成するガルバニ電池または電池セルの改良された形成方法、および、形成電流を誘導するための最適化された方法に関する。
【0002】
形成は、ガルバニ電池または電池セルを製造する際の一製造工程である。形成とは、所謂SEIが形成される最初の充放電プロセスを指す。このプロセスは、電池セルの電気化学プロセスおよび/または特性を活性化するために必要とされる。SEIの形成は、内部抵抗やサイクル安定性など重要なセル特性にとって決定的な役割を果たす。この場合、安定した均一な層が有利である。現在まで、形成(即ち、充電および放電)は、超低電流を用いて実現されてきた。そうすると、時間がかかり、結果として費用のかかる製造工程になり、生産チェーンの処理量を制限する場合がある。
【0003】
今日知られている方法は、ゆっくりとした均一なSEI形成を可能にする一定の低電流に依存している。それぞれ最終電圧までの電流は、充電および放電プロセス毎に設定される。文献[1]および文献[2]では、予め規定された電圧しきい値を起点として電流を増加させることが提案されており、定電流は、1ステップから3ステップまでの間に印加される。まず、可能な限り最小の電流強度(ほとんどが1/20C、1/15Cまたは1/10C)が、経験値に基づいて設定される。さらに開発された方法では、電圧しきい値を起点に電流が増加するか、あるいは、電圧しきい値で既に形成が終了する。これは、より少量のSEI形成後、形成終了がサイクル安定性に許容範囲の悪影響を及ぼすことが実験によって示されているからである。このような手順は、例えば[3]に記載されている。この場合、前記方法は、SEIの均質性またはSEIの厚さの僅かな劣化を許容することによって部分的に加速される。
【0004】
図11は、従来技術による、電池セル92を形成するための概念90を示す概略図である。電池セル92は、接点94aおよび94bを介して直流電源96へ電気的に接続されている。この場合、形成は、定電流Iを用いて行われる。[1]および[2]に記載されているように、電流Iは、予め決められた数ステップで増加するようにコントローラ98によって制御されることができ、定電流値は、これらのステップ間に設定される。
【0005】
米国特許出願公開第2015/0060290号明細書は、予め規定された一点まで小さい電流強度を使用し、その後は、より高い第2の電流強度に切り換える、という概念を記載している。
【0006】
独国特許出願公開第3736069号明細書は、鉛酸蓄電池を形成するために調整電流を印加することを記載している。しかしながら、ここでは、ガルバニ電池を形成することではなく、異なる電気化学的ターゲットを目的としている。鉛酸蓄電池を形成する場合、活性層が設定される。SEIの設定には、活性粒子(電極)と電解質との間に電気絶縁層を形成することが含まれる。電気化学プロセスは、本発明の比較対象ではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】[1] He, Effects of Temperature on the Formation of Graphite-LiCo02 Batteries 2008
【非特許文献2】[2] He, Effects of current densities on the formation of LiCoO2graphite LIB, 2011
【非特許文献3】[3] Lee, A fast formation process for lithium batteries, 2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、既知の方法と比較して、改善された電池の形成を短時間で実行し、および/または、高い均質性のSEIを得ることを可能にする、電池形成の概念が望まれる。
【0009】
つまり、本発明の目的は、短時間で、および/または、高いSEI均質性で、電池を形成することができる概念を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。
【0011】
本発明の中心的考案は、形成プロセスの間に電池へ供給されるエネルギーの量は、形成プロセスの時間的経過にともなって、実際のSEI形成を観察することにより動的に決定され得る、という事実によって上記目的を達成できるという認識にある。このようにして決定されるエネルギー量は、時間的経過にともなって形成電流強度をSEI形成へ高度に適応させること、および/または、SEIが均質に形成されるようにエネルギー量を設定することを可能にする。
【0012】
本発明では、SEI形成が、形成されるべき電池へエネルギーを供給しながら不均一に起こり得ることを発見している。この不均一性は、可変するSEI形成速度および/または不均一な層均質性をもたらす場合がある。形成されるべき電池の実際の状態にエネルギー量を適応させることで、形成プロセスを少なくともその時々に加速することができ、および/または、高い均質性のSEIを少なくともその時々に形成することができるので、高い層均質性のSEIを迅速に得ることができる。
【0013】
形成中に供給されるべきエネルギー量は、電池の第1充電サイクルと第2充電サイクルにおけるエネルギー吸収の比較に基づいて決定することができる。ある時間間隔における第1および第2コース間のエネルギー吸収のずれは、この時間間隔の間に形成されるSEIの度合いについての結論を、電池へ供給されるべきエネルギー量を動的に適応させることができるように引き出すことを可能にする。
【0014】
分かり易く表現すると、前述の目的は、適応された動的な、または変化する充電および/または放電電流によって達成することができる。
【0015】
ある実施形態によれば、参照エネルギープロファイルを決定する方法は、第1充電サイクルの間の第1電池のエネルギー吸収を記述する第1コースと、第1充電サイクルの後に続く第2充電サイクルの間の第1または第2電池のエネルギー吸収を記述する第2コースを比較することを含む。この比較は、複数の時間間隔について実行される。さらに、本方法は、複数の時間間隔の各々について、第1および第2コース間のずれを決定することを含む。さらに、本方法は、時間間隔毎のずれに基づいて電気エネルギーの量を決定することを含み、前記電気エネルギーは、時間間隔毎の、形成されるべき電池の形成プロセスの間に、形成されるべき電池へ供給されるエネルギー量の参照エネルギープロファイルの予め設定されたデフォルト値を記述する。等しい、または類似の電池について、参照エネルギープロファイルを決定するための先行計算値を形成することにより、少なくとも1つの時間間隔、幾つかの時間間隔または全ての時間間隔における高度なSEI形成を可能にする参照エネルギープロファイルを得ることができ、よって、形成が終了するまでの持続時間を短縮し、結果的に、形成の時間効率を高めることができる。代替的または追加的に、均一なSEI形成は、供給されるエネルギー量を高品質のSEIが得られるように適応させることで、実現することができる。
【0016】
別の実施形態によれば、参照エネルギープロファイルを決定する方法は、第1充電サイクルの間の第1電池のエネルギー吸収を記述する第1コースと、第1充電サイクルの後に続く第2充電サイクルの間の第1または第2電池のエネルギー消費を記述する第2コースを比較することを含む。この比較は、複数の時間間隔について実行される。さらに、本方法は、複数の時間間隔の各々について、第1および第2コース間のずれを決定することを含む。さらに、本方法は、前記比較に基づいて、電気エネルギーにより引き起こされる形成の度合いが、電気エネルギーにより引き起こり得る形成の80%以下であることを前記比較が示す場合に、後続の時間間隔において、その形成の間に別の電池へ供給される電気エネルギーの量を減らすように決定することを含む。複数の時間間隔にわたる電気エネルギー量のコースは、少なくとも部分的に、参照エネルギープロファイルを記述する。コース間のずれは、電気エネルギーの20%を超える部分が電池の充電に使用され、よって結果的に、SEIの形成には使用されないという事実を示唆し得る。形成されるべき電池へ供給される電気エネルギー量の低減に基づいて、前記部分は、高速SEIおよび/または高品質のSEIが形成されるように、低減されてもよい。
【0017】
別の実施形態によれば、前述の実施形態による参照エネルギープロファイルは、参照エネルギープロファイルに従って形成される電池へ電気エネルギーを印加するために使用される。
【0018】
別の実施形態によれば、電池を形成するための装置は、制御可能なエネルギー源を備え、これは、制御可能なエネルギー源に結合される電池へ電気エネルギーを供給するように構成される。本装置は、複数の時間間隔において制御可能なエネルギー源を制御するように構成される制御手段を備える。さらに、本装置は、各時間間隔において電池の物理的状態を決定するように構成される検出手段を備える。制御手段は、後続の時間間隔の間に電池へ供給される電気エネルギーの量が増加または低減されるように、検出される物理的状態に基づいて電気エネルギー源を制御するように構成される。この実施形態の優位点は、個々の電池毎に高速および/または高品質の形成プロセスを実行できるように、電池のその時点での物理的状態に基づいて電気エネルギー源を制御することで、個々の電池間の多様さを考慮できることにある。
【0019】
さらなる実施形態は、コンピュータプログラム、および、電池を形成するための方法に関する。
【0020】
さらに有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0021】
続いて、以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】ある実施形態において、参照エネルギープロファイルを決定するための方法を示す概略フローチャートである。
図2】ある実施形態において、参照エネルギープロファイルを決定するための別の方法を示す概略フローチャートである。
図3】ある実施形態において、電気エネルギーの量を決定するための方法を示す概略フローチャートである。
図4】ある実施形態において、充電サイクルの第1コースの一部と第2コースの一部を表わす概略図である。
図5】ある実施形態において、電池を形成するための方法を示す概略フローチャートである。
図6】ある実施形態において、参照エネルギープロファイルを用いるための装置を示す概略ブロック回路図である。
図7】ある実施形態において、電池を形成するための装置を示す概略ブロック回路図である。
図8】ある実施形態において、図7の装置とは対照的に、参照エネルギープロファイルを記憶するメモリを備える装置を示す概略ブロック回路図である。
図9】本明細書に記述する実施形態の一態様に従って実現することができる、形成プロセスの間の電池電圧のコースを示す概略図である。
図10】ある実施形態において、電池を形成するための方法を示す概略フローチャートである。
図11】従来技術に従って、電池セルを形成するための概念を示す概略図である。
図12a】本明細書に記述する実施形態において、参照エネルギープロファイルを使用することにより電池を形成するための方法を示す概略図である。
図12b】本明細書に記述する実施形態において、参照エネルギープロファイルを使用することにより電池を形成するための方法を示す概略図である。
図12c】本明細書に記述する実施形態において、標準プロファイルを適応させることにより電池を形成するための方法を示す概略図である。
図12d】本明細書に記述する実施形態による、標準プロファイルを適応させることにより電池を形成するための方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照して本発明の実施形態を以下のように詳述する前に、同一の要素、オブジェクトおよび/または構造、または、等しい機能または等しい効果を持つこれらのものは、異なる図面において同じ参照番号で示され、よって、異なる実施形態におけるこれらの要素の説明は、入れ替えられても、互いに適用されてもよいことを指摘しておく。
【0024】
以下で説明する実施形態は、部分的には、形成のために電池へ供給される電気エネルギーを決定することに関する。実施形態は、電池の特性または物理的状態のコースを決定すること、および/または、電池の充電プロセスのための電気エネルギー量を決定することに関するものであるが、以下の論考は、関連する制約なしに、電池の放電プロセスにもあてはまる。電池形成の間、予め決められた電流強度が、例えば、電池へ印加されてもよい。正の電流強度は、電池を充電し得るのに対して、負の電流強度は、電池を放電および/またはマイナス充電し得る。SEI形成は、充電および放電中に生じ得る。分かり易く表現すると、以下で充電として記述するプロセスは、電池の充電を記述するものでも、放電を記述するものでもあり得るが、以下で放電として記述するプロセスは、補完的な唯一のプロセス、即ち、単に放電プロセスまたは充電プロセスであると理解することができる。後述するような電池へ供給されるエネルギー量は、例えば、負の電流強度に基づいて負である場合もある。これは、ある量のエネルギーを供給する際に、電荷キャリアが電池から放出されるという事実をもたらし得る。
【0025】
以下の実施形態は、部分的に、制御可能なエネルギー源によって供給される電流に関する情報を含む参照電流プロファイルの決定および/または使用に関するが、他の実施形態は、形成される電池へ供給される電気エネルギーに関する情報を含む参照エネルギープロファイルの決定および/または使用に関する。これは、例えば、供給されるべき電荷の量、および/または制御可能なエネルギー源により供給される電圧であってもよい。例えば、装置の(シャント)抵抗が既知である場合、これは、形成されるべき電池へ供給される電流に変換されてもよい。したがって、参照エネルギープロファイルは、供給される電気エネルギーに関する情報を含んでもよい。この電気エネルギーは、電流、電圧、電荷、および/または、電荷キャリアの量に関連してもよい。
【0026】
図1は、ある実施形態において、参照エネルギープロファイル(参照電流プロファイル)を決定するための方法100を示す概略フローチャートである。本方法は、第1コースが第2コースと比較されるステップ110を含む。第1コースは、第1充電サイクルの間の第1電池の(電荷キャリアの増加、電荷キャリアの減少、および/または、これらから導き出される値のような)エネルギー吸収を記述する。第2コースは、第2充電サイクルの間のその電池、または別の電池のエネルギー吸収を記述する。第2充電サイクルは、第1充電サイクルの後に続く。第1充電サイクルは、例えば、電池の形成が少なくとも部分的に実行される実際の第1の(初回の)充電サイクルであってもよい。第2充電サイクルは、電池が再び充電される後続の充電サイクルであってもよい。これは、第2充電サイクルにおいて電池を再び充電できるように、第1および第2充電サイクルの間に少なくとも1つの補完的な放電サイクルが生じ得ることを意味する。
【0027】
第2充電サイクルは、事実上第1放電サイクルに続く第2充電サイクルであっても、第1充電サイクルに匹敵する別の(例えば、第3、第4、第5またはそれ以降の)充電サイクルであってもよい。第2充電サイクルの使用は、この場合の充電サイクル間の比較が放電サイクルによってのみ離間されるという理由で効果的である。この比較は、複数の時間間隔について実行される。この場合の複数の時間間隔は、その間に形成、即ち電池内のSEI形成、が行われるタイムスパンを指してもよい。分かり易く表現すると、第2コースは、少なくとも部分的に、または完全に形成された電池に関連づけることができ、第1コースは、少なくとも少しは形成された、または全く形成されていない電池に関連づけることができる。
【0028】
時間間隔は、充電サイクルの時間部分の間に経過する時間(スパン)であってもよい。代替的または追加的に、時間間隔は、第1または第2電池が所定の物理的状態または許容範囲内で変化しない物理的状態を含む持続時間であってもよい。物理的状態は、例えば、電池の極間に印加される(タップ可能な)電圧であってもよい。代替的または追加的に、物理的状態は、電池により吸収される、または電池により放出される電流強度であってもよい。さらに、物理的状態は、形成プロセスの間に電池が到達する温度、または電池自体が有する温度であってもよい。代替的または追加的に、物理的状態は、そこから導出される1つまたは幾つかの量であることも考えられる。例えば、これは、吸収される電荷量に関連する電池極間の電圧変化であってもよい。これは、時間間隔が、例えば、電池が個々の物理的状態を不変で、または許容範囲内で含む持続時間または時点をも意味し得ることを意味する。許容範囲は、例えば、第1または第2コースの値の最大20%、最大10%、または最大5%のずれの範囲内であってもよい。
【0029】
方法100は、複数の時間間隔の各々について、第1および第2コース間のずれを決定するステップ120を含む。このずれは、例えば、差の計算や商の計算など数学的演算に基づいてもよい。例えば、ある時間間隔における第1コースのエネルギー吸収と、同等な時間間隔における第2コースのエネルギー吸収との差が確立されてもよい。
【0030】
エネルギー吸収は、例えば、電池極において吸収される電荷量dQに依存して得られる電圧dUの変化に関連してもよい。コースは、例えば、図4に関連して後述するように、単調増加する電池電圧を用いて表されてもよい。
【0031】
さらに、本方法130は、このずれに基づいて、時間間隔の各々について電気エネルギーの量を決定することを含む。電気エネルギーは、時間間隔の各々について、形成されるべき電池の形成プロセスの間に形成されるべき電池へ供給されるエネルギー量の参照電流プロファイルの予め設定されたデフォルト値を記述する。
【0032】
例えば、ずれは、コース間の電荷量に従って生じる電圧の変化に関連し得る。大きなずれは、少なくとも部分的に形成される電池に関連するコースと、さほど形成されていない電池に関連するコースとの間にずれが生じる時間間隔の間に、供給されるエネルギーのかなりの部分がSEIの形成に使用される、という事実に関する情報を提供し得る。小さいずれは、供給または放出されるエネルギー(電荷キャリア)の量では、ほとんどSEIを形成しない、という事実に関する情報を提供し得る。
【0033】
高度なSEI形成に関する情報が存在する時間間隔において、参照電流プロファイルは、この時間間隔の間に均質的なSEI形成を高品質で実現できるように、形成されるべき電池へ供給されるエネルギー量を低くする(例えば、小さい電流強度にする)命令を含んでもよい。ずれが(小さいずれ値のような)低いSEI形成速度を示唆するような別の時間間隔において、参照電流プロファイルは、形成されるべき電池へ高電流を供給するという命令を含んでもよい。これにより、この時間間隔が迅速に経過し得る。分かり易く表現すると、ずれは、SEIがほとんど形成されない電池の物理的状態が迅速に過ぎるのに対して、高度なSEIが形成される物理的状態はゆっくりと過ぎるものと解釈することができる。
【0034】
この実施形態点の優位点は、こうして得られる参照電流プロファイルが、形成されるべき電池の現在の状態を考慮できること、そして、供給されるべきエネルギー量を各時間間隔について再び決定できること、にある。具体的には、エネルギー量は、時間間隔毎に増減してもよい。エネルギー量は、例えば、形成されるべき電池へ供給される電流強度に関連してもよい。あるいは、これは、例えば、エネルギー源により出力される電圧であってもよく、電気抵抗器を介して電流として電池へ供給されてもよい。
【0035】
電気エネルギー量は、変換関数に基づいて決定してもよい。変換関数は、関数値上にマッピングされる少なくとも1つの関数引数を含んでもよい。関数引数は、例えば、決定されるずれであってもよい。関数値は、電気エネルギーであっても、電気エネルギーと相関する値であってもよい。相関値は、制御可能なエネルギー源を、価値指標、電流または電圧の相対量、またはその絶対値など対応する電気エネルギーの測度を提供するように制御する基礎となる任意の値であってもよい。変換関数の関数値は、電流強度または電荷量を記述してもよい。例示的な変換関数については、図4を参照して後述する。
【0036】
第1電池は、例えば、基準電池であっても、製造バッチからの電池であってもよい。第1の事例において、第1コースは、第1電池を充電すること(第1充電サイクル)であってもよい。続いて、第1電池は、第2コースを実現するために、少なくとも部分的に放電され、続いて再び充電されることが可能である(第2充電サイクル)。あるいは、第1充電サイクルと第2充電サイクルとの間に、少なくとも1つのさらなる充電サイクルおよび/または少なくとも1つのさらなる放電サイクルがあってもよい。
【0037】
あるいは、第2コースは、第2電池の充電プロセスに基づいて決定されてもよい。第2電池は、例えば、少なくとも1つの第1電池と等しいか同等の特性を備えてもよい。特性は、例えば、(電池セル、電極、電解質が配置される容積などの)形状、少なくとも1つの電気的特性(セルサイズ、充電電圧、形状寸法など)を含んでもよい。具体的には、第2電池は、例えば、第1電池と同じ製造バッチでも製造され得る同一構造の電池であってもよい。
【0038】
代替的または追加的に、第1コースおよび/または第2コースが、各々、対応するコースが決定される複数(2つ、3つ、4つ、またはそれ以上)の電池にわたる平均値を記述することも考えられる。平均値は、幾何学量、二乗、またはメジアン平均値であってもよい。平均値を計算することにより、複数の電池にわたる参照電流プロファイルの高いコースマッチングが可能になる。代替的または追加的に、コースは、印加される電流強度に基づいてSEIの形成を再現(モデリングまたはシミュレーション)すること等により、モデルおよび/またはコンピュータシミュレーションに基づいて形成されてもよい。
【0039】
第1コース、第2コース、および/または、参照電流プロファイルは、重なり合った関数形式のような連続するコースであってもよい。あるいは、第1コース、第2コース、および/または、参照電流プロファイルは、さらなる値の補間または外挿を許容する複数の離散値であってもよい。
【0040】
図2は、ある実施形態において、参照電流プロファイルを決定するための方法を示す概略フローチャートである。方法200は、ステップ210を含む。ステップ210では、第1充電サイクルの間の第1電池のエネルギー吸収を記述する第1コースが、第2コースと比較される。第2コースは、第1充電サイクルに続く第2充電サイクルの間の第1または第2電池のエネルギー吸収を記述する。この比較は、複数の時間間隔について実行されてもよい。ステップ210は、ステップ110であってもよい。
【0041】
ステップ220では、ステップ120に関して説明したように、複数の時間間隔の各々について、第1および第2コース間のずれを決定する。
【0042】
方法200のステップ230では、形成されるべき別の電池へ、その形成の間に供給される電気エネルギー量を、後続の時間間隔において減らすという決定がなされる。これは、比較に基づいて行われてもよい。この比較は、例えば、供給される電気エネルギーによって引き起こされる形成の度合いが、電気エネルギーによって引き起こされ得る形成の40%以上、60%以上、または80%以上であることを示してもよい。一部は、例えば、(おそらくは異なる時間間隔における)基準電池に対して測定を実行すること、または、対応する電池タイプについてのシミュレーションを実行することによって、結論づけられてもよい。ずれ値は、変換関数によってその部分と相関されてもよい。複数の時間間隔にわたってこのように決定される電気エネルギー量のコースは、少なくとも部分的に、参照電流プロファイルを記述することが可能である。分かり易く表現すると、参照電流プロファイルは、複数の時間間隔にわたって決定される電気エネルギー量を観察することによって得られてもよい。
【0043】
既知の方法では、SEI形成がいつ、どの形態で起こるかを十分に考慮することができない。電流強度が予め規定された基準に基づいて一定に設定される、または段階的に増加するように設定される既知の方法と比較して、方法200は、例えば、その時点でのSEI形成の度合いが低い場合、本方法を加速させるため、などというような必要に応じて、供給されるエネルギー量を増加することを可能にする。さらに、本方法は、必要に応じてエネルギーの量を減らすことも可能にする。これは、例えば、高測度の電気エネルギー、即ち、供給される電気エネルギーの少なくとも40%、少なくとも60%、または少なくとも80%がSEI形成へと移行される場合に起こり得る。電池を完全に充電する場合、SEIは、より高度に形成されてもよく、より均質な状態で形成され、および/または、形成プロセス(充電サイクル)は、より短時間で行われる。
【0044】
第1および第2充電サイクルは、例えば、電池へ印加される電流強度に基づいて、一定値または既定値(おそらくは、可変値)で行われてもよい。定電流強度は、例えば、1/50C、1/30C、1/10C、またはこれらの間の値といった任意の値を含んでもよい。したがって、値1Cは、例えば、単位mAで示される電池の電流を記述する。電池の容量が、例えば2000mAhである場合、1Cは、電流強度2000mAに相当する。
【0045】
方法100および/または方法200は、第1または第2コースが所定の充電または放電プロセスに関連づけられるように実行されてもよい。さらに、方法100および/または方法200は、繰り返し実行されてもよい。繰返しは、例えば、第1の繰返し(第2の実行)において、第1コースが基本的または完全に、先行する実行の第2コースに一致するように実行されてもよい。形成は、例えば、2つ、3つ、4つ、または5つの充電および/または放電サイクルを含んでもよい。分かり易く表現すると、参照電流プロファイルは、各々、繰り返される充電および放電サイクルのために形成され、および/または、使用されてもよい。電池を形成するための方法は、少なくとも1回の繰返しで繰り返し実行されてもよい。個々の実行(この方法の第1の実行またはさらなる実行)の第1コースおよび第2コースは、形成されるべき電池の充電または放電サイクルに関連づけられてもよい。繰返しの第1コースまたは第2コースは、この方法の先行する実行の第1または第2コースに比べて変化してもよい。例えば、電池の充電または放電は、電池が十分に形成されるまで、充電サイクルを、例えば、2回、3回、4回、5回、またはそれ以上の回数で繰り返してもよい。
【0046】
図3は、ある実施形態における方法300を示す概略フローチャートである。方法300は、例えば、ステップ110およびステップ210について説明したように、第1および第2コースを比較するために使用されてもよい。
【0047】
方法300は、ステップ310を含む。ステップ310では、第1または第2電池により吸収される電荷量が決定される。電荷量は、複数の時間間隔の各々について決定される。
【0048】
方法300は、ステップ320を含む。ステップ320では、吸収される電荷量と、第1または第2電池の電池極へ印加される電圧の変化を記述する電圧変化との割合が確立される。この割合は、複数の時間間隔の各々について確立される。
【0049】
図4は、第1コース(形成サイクル)12の一部および第2コース(形成サイクル)14の一部を示す概略図である。コース12およびコース14は、各々、例示的に充電サイクルを記述しているが、この論考は、放電サイクルにも当てはまる。図の横座標には、単調増加する電圧が単位ボルトでプロットされている。電圧は、電池のプラス極とマイナス極との間に印加される、またはタップ可能な物理的電圧であってもよい。代替的または追加的に、電圧は、物理的電圧のシミュレーション結果(例えば、数学的値など)であってもよい。電圧勾配dU/dQは、図の縦座標にプロットされ、個々の電池から得られる電荷量dQに対する横座標上の印加電圧の変化dUを記述する。電圧勾配は、第1または第2電池により吸収される決定された電荷量に基づいて、複数の時間間隔の各々について決定することができる。縦座標は、単位V/mAhを示す。本図は、例えば、おそらくは電流強度の低い電流を電池へ印加することによって達成されてもよい。これにより、電圧(横座標)が増加する場合があり、勾配(変化または変化速度)が縦座標に示される。横座標および縦座標に示される値は、単なる例示および略示であり、限定的な効果を意図するものではない。
【0050】
コース12およびコース14は、電池の例示的な動作範囲において示されている。動作範囲は、例示的に、下限を約3ボルト、上限を約4.2ボルトとする。異なるコースは、異なる下限および/または上限を含んでもよい。異なるコースは、異なる下限(約0ボルト、1ボルト、または別の値など)および/または異なる上限(2ボルト、3ボルト、5ボルト、または別の値など)を含む、少なくとも1つの領域内で決定されてもよい。例えば、コース12またはコース14の少なくとも一方は、一部が例えば、動作範囲外(かなり消耗した電池のシミュレーションまたは参照測定に基づくなど)および一部が動作範囲内(充電プロセスの間の測定によるなど)といったように、部分毎に決定されてもよい。
【0051】
本図は、例示的に、4つの時間間隔18a−18dにおいて、第1コース12と第2コース14との間に4つのずれ16a−16dを含む。すでに説明したように、コース12および/またはコース14は、複数の時間間隔に細分されてもよい。集約すると、時間間隔は、充電または放電サイクルの少なくとも20%、少なくとも50%、または少なくとも80%となる一部を含んでもよく、またはこれを完全に含んでもよい。図を単純化(または簡略化)するために、4つの時間間隔18a−18dのみを示しているが、複数の(2つを超える、5つを超える、または10を超えるなど)時間間隔が複数のコースにわたって互いに、おそらくは途切れずに、つながっていてもよい。
【0052】
第1のずれ16aは、約3.1Vの電圧において生じ、第2のずれ16bは、約3.17Vの電圧において生じ、第3のずれ16cは、約3.3Vの電圧において生じ、かつ第4のずれ16dは、約4.15Vの電圧に生じる。低電圧(ずれ16aおよびずれ16b)の場合、第1充電サイクル(コース12)の充電固有の電圧増加は、比較的小さい。
【0053】
本図は、高いdU/dQ値を示しているように見えるが、この領域では、電池の化学的性質に起因して電圧がより大きく増加してもよい。即ち、この領域における正常な電圧増加は、より大きいものである。したがって、基準(即ち、次のコース)またはさらなる形成状態を示す電池は、標準として使用され、(変化する2曲線を有する)SEI形成を推定するために現行または先行サイクルと比較されてもよい。
【0054】
これは、大きな差(ずれ16a)が存在することを意味する。これにより、強力なSEI形成が存在すると結論づけることができる。これによって、次に、低い電流強度値を有する(ステップ130におけるような)参照電流プロファイルの電気エネルギー量を決定することができる。
【0055】
ずれ16a−16cのずれ値は、例示的には、ずれ16aを起点にずれ16bを経てずれ16cへと減少する。これは、SEI形成の減少を示唆する。これによって、次に、参照電流プロファイルが、時間間隔18a−18cにおいて、形成されるべき電池に対して、次第に増加するエネルギー量が供給されるべきであるという事実に関する情報を含むように、電気エネルギー量を決定することができる。
【0056】
dU/dQ曲線(コース12およびコース14)が少なくとも略等しい(許容範囲内で略等しい)領域では、ずれが小さくなり得る。この場合、参照電流プロファイルが、これらの時間間隔において、高い、または最大の電流が電池へ供給されるべきであるという情報を含むように、電気エネルギー量を決定してもよい。
【0057】
時間間隔18a−18dの長さは、所望に応じて小さく形成されてもよい。例えば、参照電流プロファイルの時間間隔の時間的長さは、第1コース12または第2コース14が最大0.01V、最大0.05V、または最大0.21Vで変化するタイムスパンを記述してもよい。代替的または追加的に、時間間隔18a−18dの持続時間は、電池が、およそ0.1%であるなど、少なくとも0.01%で最大30%、少なくとも0.05%で最大10%、または少なくとも0.09%で最大1%の許容範囲内で変化しない電圧を含むタイムスパンに関連してもよく、これと相関してもよい。あるいは、時間間隔18a−18dの長さは、例えば、10秒から3時間までの範囲、1分から1時間までの範囲、または5分から30分までの範囲内といった持続時間に基づいて得られてもよい。具体的には、1時間当たりの電気エネルギー量を形成プロセスの間に少なくとも3回適合させることが効果的であり得る。
【0058】
第1充電プロセスの終わりに向けて(例えば、4.1Vより大きい電圧)、第1コース12のdU/dQ値は、第2充電プロセスに比べて再び減少する(ずれ16d)。この領域において、参照電流プロファイルは、低減された電流強度を提供する命令を含んでもよい。各時間間隔18a−18dについて、電圧に依存する差(ずれ)は、2つのコース12および14から計算されてもよい。あるいは、例えば、第1コース12の値および第2コース14の値を含む商を用いて、ずれが決定されてもよい。このずれは、例えば、Di(U)と称されてもよい。これは、例えばIi(U)=f(Di(U))で表され得る固定変換関数(f)を用いて、電流プロファイルまたは参照電流プロファイルIi(U)へ変換されても、マッピングされてもよい。変換関数fは、例えば、最初の電流強度(IStart)が、およそ1/20Cである1/50Cから1/5Cまでの間、1/30Cから1/10Cまでの間(即ち、Inen/50からInen/10までの間)の値に一致するように決定されてもよい。この電流強度は、例えば、1C(Inen)など既定の最大値に等しくなるまで、直線的に、指数関数的に、または異なる関連づけによって増加してもよい。変換関数は、例えば、Ii(U)=Inen・(1−(Di(U)/(D1/(1−IStart))))で表わされてもよく、ここで、D1は、少なくとも1つのずれの値に対応し得る。値D1は、最も大きいずれ値であってもよい。あるいは、これは、時間間隔の個々のずれ値(例えば、ずれ16)であっても、少なくとも1つのずれ値から導出される値であってもよい。電圧とは別に、本図または完全な参照方法は、時間軸(Ii(t))、または絶対電荷(Ii(Q))または電気エネルギー(Ii(E))の軸を用いて表わされてもよいし、および/または、対応的に計算される値を含んでもよい。
【0059】
充電または放電サイクル、または形成プロセスの間、可変変換関数が適用されてもよい。電池の第1電圧領域(例えば、動作範囲外)では、例えば、第1変換関数または一定値の定電流が電池へ印加されてもよい。第2電圧領域(例えば、動作範囲内)では、異なる変換関数が所定の電流値に影響を及ぼしてもよい。分かり易く表現すると、変換関数は、充電または放電プロセスにわたって可変であってもよい。
【0060】
電池の極で得られ、かつ、充電または放電サイクルの間に変化し得る電圧、電圧の変化(おそらくは、電池へ供給される電荷量に依存する)、および/または電池へ供給される電荷量は、相互関係を示し、かつ少なくとも十分な精度で転送可能であってもよい。したがって、異なるコース、ずれ、および/または参照エネルギープロファイルは、電圧、電圧変化、および/または電荷量に関連してもよい。
【0061】
分かり易く表現すると、電気エネルギー量は、時間間隔の各々について、ずれに基づいて決定されてもよい。電気エネルギー量は、形成プロセスの間に、形成されるべき電池へ供給されるエネルギー量に関する参照電流プロファイルの予め設定されたデフォルト値を記述することができる。電気エネルギー量の決定は、少なくとも1つの関数引数(ずれ)を有する変換関数に基づいて行われてもよい。
【0062】
差として記述されるずれ16a−16dの代替として、ずれの決定は、第1コース12と第2コース14の値の商を計算することも含んでもよい。
【0063】
参照電流プロファイルは、例えば、ある時間間隔の定電流強度を示してもよい。時間間隔は、電流強度において略類似する、動的な変化が得られるように短くてもよい。
【0064】
第1コース12および第2コース14は、曲線として表されているが、第1コース12および/または第2コース14は、個々のコースが内挿または外挿されるような複数の値であってもよい。参照電流プロファイルは、コースとして表現されてもよく、関数または複数の値として表現されてもよい。
【0065】
言い換えれば、dU/dQ線図は、導入または放出される電荷に対して、電圧が、短い時間間隔dtでどれだけ大きく変化しているかを示している。したがって、電圧の変化に対してより大きな電荷が必要とされる場所を示すことができる。例えば、第1形成サイクル(コース12)と次の第2サイクル(コース14)を比較すると、第1充電または第1充電プロセスが、どの領域において電圧変化に対してより高い電荷を必要とするかを決定することができる。この追加的電荷は、少なくとも部分的に副反応、ここではとりわけSEI形成において失われる。したがって、2つの曲線コースの差(ずれ)は、少なくとも部分的に、SEI形成の大きさの程度を表す。したがって、一方では、前述したように、最適な形成電流プロファイルを確立することができる。参照形成は、低い定電流でも実行することができる。おそらくは連続的な充電および/または放電プロセスである2つのdU/dQ曲線の差は、電流プロファイルを形成するように公式(変換関数)を用いて変換することができる。
【0066】
図5は、ある実施形態において、電池を形成するための方法500を示す概略フローチャートである。方法500のステップ510では、方法100または方法200に従って、参照電流プロファイルが取得される。この取得は、例えば、取得された参照電流プロファイルを記憶し、および/または、これを伝達することによって行われてもよい。
【0067】
方法500のステップ520では、電池がある量のエネルギーによって充電される。エネルギー量の時間的コースは、参照電流プロファイルに基づく。分かり易く表現すると、制御可能なエネルギー源は、電池に対して、参照電流プロファイルで始まる、またはこれに従った量のエネルギーを提供するように制御されることが可能である。
【0068】
図6は、ある実施形態において、参照電流プロファイル22を用いるための装置60を示す概略ブロック回路図である。参照電流プロファイル22は、例えば、方法100または方法200を用いて確立される。接点26aおよび接点26bで電池24へ結合される制御可能なエネルギー源28は、参照電流プロファイルに従って電池24へ電気エネルギーを供給するように構成される。例えば、参照電流プロファイル22は、制御装置32のメモリに記憶することができる。あるいは、適応された個々の参照電流プロファイルを用いて形成を繰り返し実行できるように、メモリ22には、幾つかの参照電流プロファイルが記憶されてもよい。参照電流プロファイルは、時間tにわたる電流Iのコースで表される。前述したように、時間tは、電池24が所定の物理的状態、または図4に関連して述べたように、例えば、電池の極間または接点26aおよび26b間の電圧のような許容範囲内で不変の物理的状態を含む間の幾つかの間隔である、または参照電流プロファイルに記述されているもの、として理解されてもよい。
【0069】
電池24が、例えば、その1つまたは複数のコースが参照電流プロファイルを決定するために使用されている電池と等しい、または同等な特性を有する場合、参照電流プロファイルの使用は、効率的な、即ち高速および/または高品質のSEI形成を可能にする。
【0070】
制御可能なエネルギー源は、例えば、制御可能な電流源であっても、制御可能な電圧源であってもよい。具体的には、これは、制御可能な直流源であってもよい。参照電流プロファイルは、例えば、電流強度、電圧強度または既に供給された電荷またはエネルギーの量に依存して確立されてもよい。
【0071】
図7は、ある実施形態において、電池24を形成するための装置70を示す概略ブロック回路図である。装置70は、制御可能なエネルギー源28と、制御手段34とを備える。制御手段34は、制御可能なエネルギー源28を複数の時間間隔において制御するように構成される。制御手段34は、制御可能なエネルギー源28を制御して、電流強度、1つまたは幾つかの電流パルスの周波数などを動的に変えられるように構成されてもよい。装置70は、少なくとも1つ、幾つか、または各々の時間間隔における電池24の物理的状態を決定するように構成される検出手段36を備える。制御手段34は、検出された物理的状態に基づいて制御可能なエネルギー源28を制御し、残りの現行または後続の時間間隔の間に電池24へ供給される電気エネルギー量を増加または低減させるように構成される。
【0072】
物理的状態は、例示的には、電池の電池極へ印加される電圧、電池24へ供給される電流強度、電池により吸収される電荷量、電気エネルギーが電池に吸収される持続時間、電池へ適用される温度、または電池内の温度、および/またはこれらから導出される値に関連してもよい。具体的には、物理的状態は、図4に関連して述べた電圧勾配に関連してもよい。代替的または追加的に、物理的状態は、電池により吸収される電荷量に対する、電池の電池極へ印加される電圧(dU/dQ)の電圧変化に関連してもよい。
【0073】
分かり易く表現すると、参照電流プロファイルは、少なくとも部分的に、電池24の形成の間に、検出される物理的状態に基づいて、および/または検出されるコースに基づいて、決定することができる。時間間隔の各々について、制御手段34は、制御可能なエネルギー源28を、供給される電気エネルギーの測定値が変わらない、増加される、または減少されるように制御することができる。例えば、電荷量は、過熱を回避するために、電池24の決定された加熱に基づいて低減されてもよい。
【0074】
代替的または追加的に、制御手段34は、物理的状態の測定値、例えば検出手段36により提供される値またはこれから導出される値、をエネルギー量へ関連づけるように構成されてもよい。制御手段34は、さらに、制御可能なエネルギー源28を制御して、制御可能なエネルギー源に電池の決定されたエネルギー量を後続の時間間隔内で、即ち決定後に続く持続時間内に提供させるように構成されてもよい。具体的には、時間間隔は、電気エネルギー量の適応が、基本的には動的直流法に相当するほど短くてもよい(例えば、おおよそ1分)。
【0075】
例えば、エネルギー量は、電池24の所定の温度、電池24の所定の電圧またはコース間の所定のずれに関連づけられてもよい。例えば、制御手段34は、エネルギー量(関数値)を取得するために変換関数を物理的状態(関数引数)へ適用するように構成されてもよい。
【0076】
換言すれば、dU/dQ値の計算は、電流プロファイルを先に決定する代わりに、個々のセルを形成する際に直接行われてもよい。これは、参照形成からのコース14のような第2サイクルと比較され、その差が新たな形成電流に変換されてもよい。これにより、セルの実際の状態をより深く考慮することが可能になる。dU/dQ基準は、モデルおよび/またはシミュレーションによって確立されてもよい。
【0077】
図8は、装置70と比較して、参照電流プロファイルおよび/またはコース(コース12または14のような)または物理的状態の予め設定されたデフォルト値を記憶するように構成されるメモリ38をさらに備える装置80を示す概略ブロック回路図である。参照電流プロファイルは、電池へ供給される電気エネルギー、および/または充電サイクルの複数の時間間隔の少なくとも1つに関する物理的状態の予め設定されたデフォルト値を含んでもよい。制御手段34’は、例えば、制御可能なエネルギー源28を、メモリ38に記憶される参照電流プロファイルに基づいて制御するように構成される。
【0078】
制御手段34’は、例えば、参照電流プロファイル38に記憶される物理的状態の基準値と、検出手段36による決定される物理的状態とのずれに基づいて、時間間隔の少なくとも1つ、幾つかまたは各々について、物理的状態と物理的状態の予め設定されたデフォルト値とのずれを決定するように構成される。代替的または追加的に、予め決定されるコース14は、例えば、メモリ38に記憶されてもよい。電池24の電圧の検出、および電池24へ供給される電荷量の考察は、参照電流プロファイルの値の決定および/または予め設定される提供エネルギー量のデフォルト値の決定が動作の間に起こり得るように、コース12を動作の間に(オンラインで)取得することを可能にする。これは、コース12またはコース14の少なくとも一方がまさに展開しようとしている状態であり得ることを意味する。これは、決定に際して電池24の現行状態を考察できるという理由で、エネルギー量の高精度な決定を可能にする。
【0079】
制御手段34’は、さらに、物理的状態の予め設定されたデフォルト値と検出された物理的状態とのずれが例えば、3%より大きい、5%より大きい、または10%より大きい場合に、電池24がより低い、またはより高い測度の電気エネルギーで充電または放電されるように、制御可能なエネルギー源28を参照電流プロファイルの予め設定されたデフォルト値から逸脱して制御するように構成される。
【0080】
あるいは、適応された個々の参照電流プロファイルによって形成を繰り返し実行できるように、メモリ38には、幾つかの参照電流プロファイルが記憶されてもよい。
【0081】
本明細書に記述する実施形態の一態様は、形成されるべき電池の形成を、定電流強度を用いる形成のコース12またはコース14と比較して、少なくとも1つの時間間隔の間の電気エネルギー量(電流強度)を増やすことによって加速する方法である。図4に示すコース12およびコース14では、より低い電流強度に基づいて、開路電圧と電池における実際の電圧との間の誤差がより低いか、無視できるものであり得るが、電流強度を増加させると、電池によっては、形成の間に電池極へ印加される電圧が開路電圧から逸脱する結果となり得る。これに関連して、開路電圧は、無負荷状態における電池電圧を意味し、よって、無負荷電圧であると理解されてもよい。この場合、オーミック効果の省略とは別に、キャパシタ効果および/または拡散効果の低下が待たれてもよく、後者は、オプションである。参照エネルギープロファイルまたは図4に一致する定電流強度と比較して電流強度または電流増加が高まれば、ずれは、ますます強くなり得る。したがって、形成されるべき電池の充電が増大すると、印加される電圧は、開路電圧より高くなり、または、形成されるべき電池の放電が増大すると、開路電圧より低くなり得る。ここでの開路電圧は、電池極に負荷またはエネルギー源が接続されていない電池状態であると理解されたい。
【0082】
ある実施形態によれば、図6から図8に記載されている装置の制御手段32、34および/または34’は、図9を参照して記載するように、参照エネルギープロファイルの補正を実行するように構成される。図9は、例示的に、充電プロセスの間の補正を示すものであるが、制限なしに放電プロセスに移行されてもよい。
【0083】
図9は、本明細書に記述する実施形態の一態様に従って達成することができる、形成プロセスの間の電池電圧のコースを示す概略図である。
【0084】
制御装置は、時間tにおいて電池への充電または放電電流の供給を中断するように構成されてもよい。制御装置は、例えば、電池極Ubattにおける潜在的な誤った電圧のような物理量を検出するように構成される。この場合、制御装置は、物理量(電圧)を時間tで、または時間tの直前で検出するように構成されてもよい。例えば、電圧は、値Uを含む。好ましくは、制御装置は、電圧Ubattを、中断の少し前、即ち、せいぜい数秒または数分前に、または中断時に検出する。あるいは、例えば、電荷キャリアの量、電流強度などの異なる物理量が、対応する変換量を介して検出されてもよい。
【0085】
続いて、制御装置は、エネルギー供給またはエネルギー排出の中断を時間間隔Δtにわたって保つように構成され、時間間隔Δtにより、電圧Ubattは、値Uから値Uへ変えられる。Uは、開路電圧と称されてもよく、間隔Δtの長さは、Uの値に影響し得るが、これについては後述する。
【0086】
制御装置は、制御装置が開路電圧の値を把握するように、時間tの後に続く時間tで値Uを有する電圧Ubattを再び検出するように構成されてもよい。制御装置は、開路電圧Uを参照エネルギープロファイルと比較して、印加される電流強度を決定するために使用され得る電圧測定値Uと実際の開路電圧UとのずれΔUを決定するように構成されてもよい。
【0087】
制御装置は、放電プロセスまたは充電プロセスが継続されるように、時間tにおいてエネルギー源を再び電池へ接続するように構成されてもよい。制御装置は、決定されるずれΔUによって参照エネルギープロファイルを補正するように構成されてもよい。これは、印加されるべき電流強度を決定する際に、電池電圧Ubattの物理的状態がずれΔUによって補正され、かつ印加されるべき電流強度が、補正された物理的状態(Ubatt−ΔU)に基づいて選択されるように行われてもよい。図9から明らかであるように、時間tの後に続く時間tにおいて、電池電圧Ubattは、エネルギーの供給または排出により再び乱され得るが、これは、少なくとも部分的に補正により補償される場合があり、よって、待ち時間Δtにも関わらず、形成プロセスの効率および精度が高まる。
【0088】
待ち時間Δtは、如何なる時間間隔であってもよい。好ましくは、この時間間隔の持続時間値は、0.1秒から600秒までの範囲内である。持続時間は、電池における考慮されるべき少なくとも1つの物理的効果に依存して選択されてもよい。したがって、例えば、主として電池におけるオーミック効果を、少なくとも0.1秒から最大1秒までの範囲内の持続時間Δtで考慮することができる。より長い、1秒を超える最大600秒の持続時間Δtは、さらに、電池におけるキャパシタ効果および/または拡散効果を考慮することができる。
【0089】
効果的なさらなる展開によれば、制御装置は、例えば、電池24の内部抵抗のような補助量に基づいて補正を実行するように構成される。この場合、制御装置は、電池の補助量を、オームの法則を用いながら、電圧値U、Uと、中断前に電池へ供給されたエネルギー量と、に基づいて計算するように構成されてもよい。以下の説明は、補助量を電池の内部抵抗として計算することに関連する。しかしながら、例えば、導電値または他の数学量のような、物理学では一般的でない電圧値U、Uとエネルギー量との組合せを含む他の任意の量も使用され得ることを指摘しておく。
【0090】
制御装置は、決定されるずれΔUを用いて内部抵抗を決定し、および/または内部抵抗を基準内部抵抗と比較するように構成されてもよい。内部抵抗の決定は、オームの法則を用いて実行されてもよい。内部抵抗は、電池におけるSEI形成の増加と共に変化する。図4に関連して論じたように、電池における電圧が充電または放電プロセスによって比較的大きく変化し、同時にSEIがほとんど形成されない、即ち、供給されるエネルギーのほんの一部がSEI形成に転送され、大部分は電池の充電に転送される時間間隔が存在してもよい。したがって、これらの部分では、開路電圧が大きく変化するのに対して、内部抵抗は僅かしか変化しない。内部抵抗を補正目的で用いることで、電池の実際の状態に関する結論を引き出せるため、プロセスのさらなる精度向上が可能になる。
【0091】
決定される内部抵抗は、中断後に電池へ供給される電流を考慮しながら参照エネルギープロファイルを補正する電圧値に変換されてもよい。電流が中断前の値と比較して変わらない場合、結果は、ΔUであり得る。しかしながら、変化する電流が印加される場合、変化した電圧差ΔU’が補正値として得られてもよい。決定される電圧値は、参照エネルギープロファイルを補正するオフセット値を形成してもよく、これは、図4、即ち印加されるべき電流と電池極における電圧との関係に類似して、図のx軸上の参照エネルギープロファイルのオフセット値によるシフトであると理解されてもよい。
【0092】
次に、補助量の優位点を、理論的な見解を利用して説明する。中断後に、エネルギー供給の中断前よりも高い、または低い電流が電池へ印加されるとすれば、電圧差ΔUを純粋に補正のために使用することより、先に説明した補正値の決定に際して考慮されない追加的な誤差が既に存在することになる。しかしながら、補助量が使用されれば、変更された新しい電流が補助量と組み合わされてもよく、その結果、前とは異なる電圧差が得られる。この異なる電圧差は、補正値またはオフセット値として使用されてもよく、かつ同時に、供給されるエネルギー量の変化を考慮している。
【0093】
基準内部抵抗は、例えば、第1コース12および/または第2コース14の間に制御装置のために検出されかつ記憶されてもよい。制御装置は、決定される内部抵抗またはその基準内部抵抗との比較に基づいて、参照エネルギープロファイルを補正するように構成されてもよい。
【0094】
開路電圧を利用する補正は、特に電流をさらに適応しない限り、十分な精度を提供し得る。しかしながら、さらに適応するのであれば、決定される電圧UとUとのずれは、電流の適応もまた実際の電圧Uと開路電圧Uとのずれを引き起こし得るため、電池の実際の状態とは異なり得る。これは、電流を再び増加させると、その時点ではまだ決定されていない追加的な誤差が生じ得ることを意味するが、これは、決定されるΔUが正しくない場合があることを意味する。これは、電流が適応されるあらゆる時点で誤差または補正を決定することにより、回復されてもよい。あるいは、内部抵抗は、電流の適応によって影響されない、または僅かしか影響されないことから、効果的には、内部抵抗が使用されてもよい。したがって、決定される内部抵抗は、内部抵抗を決定するための中断数、ひいては補正による時間の損失が少なくなるように、将来の適応にも使用される場合がある。
【0095】
記述している補正は、図8に関連して述べたように、オンライン方法で適用されてもよい。この場合、電気エネルギーの量は、動作の間に確立されてもよい。よって、この電気量は、補正方法を、既に補正された値が適用されるように用いることによって補正されてもよい。
【0096】
開路電圧の測定および/または内部抵抗の決定は、所望される頻度で行われてもよく、例えば、ずれ16a−16aが決定される頻度に一致してもよい。あるいは、開路電圧の測定および/または内部抵抗の決定は、幾つかの時間間隔についてのみ行われてもよく、時間間隔に関わりなく行われてもよい。
【0097】
第1または第2コースの、実際の開路電圧Uと仮定された擬似開路電圧との間で決定されるずれは、制御装置のメモリにオフセット値として記憶され、新しい測定まで補正目的で考慮されてもよい。代替的または追加的に、第1または第2コースの、実際の内部抵抗と仮定された擬似内部抵抗との間で決定されるずれは、制御装置のメモリにオフセット値として記憶され、新しい測定まで補正目的で考慮されてもよい。
【0098】
要約すると、参照エネルギープロファイルを補正するための方法は、次のようなステップ、即ち、形成されるべき電池の、例えば、電流のような電池へ供給される電気量に関する情報を含む参照エネルギープロファイルに従った充電または放電が実行され得るステップを含んでもよい。さらに、第1の時点tにおける電池の第1の物理量の決定が行われてもよい。電池の充電または放電が中断されてもよく、かつ第1時点tの後に続く第2時点tにおける電池の第1物理量が決定されてもよい。本方法は、第1時点における第1物理量と第2時点における第2物理量とのずれを決定することと、決定されるずれに基づいて参照エネルギープロファイルを補正することと、充電または放電を再開することを含んでもよい。
【0099】
本方法の効果的なさらなる展開によると、参照エネルギープロファイルが、電池の電池極へ印加される電圧に依存して電池へ供給される電気量に関する情報を含み、第1物理的状態が、電池の電池極へ印加される電圧であり、かつ参照エネルギープロファイルの補正が、決定されるずれに基づいて行われてもよい。
【0100】
本方法のさらなる効果的な展開によると、電池の補助量が、ずれに基づいて、かつ中断前の第1の値で電池へ供給される電気量(電流)に基づいて決定されてもよい。参照エネルギープロファイルの補正値は、補助量に基づいて、かつ再開後に印加される、電池へ供給される第2の値の電気量に基づいて決定されてもよい。この補正値は、第1の値とは異なる場合も、等しい場合もある。参照エネルギープロファイルは、決定される補正値に基づいて補正されてもよい。この補正は、本明細書に記述されている実施形態の装置により、他の方法とは独立して、または他の方法と組み合わせて実行されてもよい。
【0101】
代替的または追加的に、これらの効果的な展開は、第2時点tにおける電池24の第1物理量が、電池24の開路電圧Uであるように実行されてもよい。
【0102】
分かり易く表現すると、第1または第2コースと比較して加速された充電または放電は、第1または第2コースの開路電圧と比較すると電池極へ印加される電圧にずれを生じさせることがあり、よって、形成の間、電池極における電圧と開路電圧とが同等と見なされる場合に不正確さが生じる。この不正確さは、実際の開路電圧を利用することによって低減されることがあり、かつ補正パラメータとして内部抵抗を用いる場合には、さらに低減され得る。
【0103】
換言すれば、制御手段32、34および/または34’は、さらに、接続されるセルの電流内部抵抗を確立しかつ相応して参照電流プロファイルまたは参照エネルギープロファイルを適応できるように、構成されてもよい。この場合、制御手段は、エネルギー供給またはエネルギー排出(あるいは、電流供給/電流排出、あるいは、充電プロセス/放電プロセス)を短時間(0.1〜600秒間)中断する。その結果、測定可能な電圧応答(dU)が生じる(dU=U中断前のまま−U中断からt秒後)。この電圧応答を用いて、次には、既知の計算規則(R=dU/I中断の少し前)により内部抵抗が計算されてもよい。内部抵抗を用いて、参照電流プロファイルは、例示的に、x軸上を、その時点の電流およびオームの法則の適用により測定される内部抵抗から計算される量(図4参照)だけシフトするように変更されてもよく、これは、参照プロファイルが内部抵抗を変える効果に関して補正されることを意味する。
【0104】
図10は、電池を形成するための方法900を示す概略フローチャートである。方法900は、制御可能なエネルギー源によって、制御可能なエネルギー源へ結合される電池へ電気エネルギーが供給されるステップ910を含む。ステップ920では、制御可能なエネルギー源が複数の時間間隔において制御される。ステップ930では、各時間間隔において電池の物理的状態が決定され、電気エネルギー源は、決定された物理的状態に基づいて、後続の時間間隔の間に電池へ供給される電気エネルギー量が増加または低減されるように記憶される。
【0105】
後述する図12a−図12dは、先に述べた参照エネルギープロファイルを確立するための実施形態の適用可能性および/またはそのアプリケーションを概略的に説明している。具体的には、本明細書に記述されている実施形態がどのように機能するかについて説明するが、それは、規則的または正常に形成された電池や電池セルと、SEIがまだ形成されていない、または十分に形成されていない未形成の電池や形成されるべき電池との比較に基づいている。正常に形成された電池は、以下の諸図においてX2で参照され、かつそのSEIが形成されている、または十分に形成されている、形成された電池または電池セルであると理解されてもよい。X1およびX3は、未だ形成されていない、または十分に形成されていない電池を指す。後述するような参照プロファイルの導出は、例えば、図4に関連して述べた測定値間の比較のような、2つのセル間の比較であると理解されてもよい。この場合、dU/dQのコース、即ち電圧変化を指す測定値の差は、異なる充電および/または放電プロセス間の電荷キャリアの吸収量に関連する。Y2により参照されるコースは、未形成のセルX1またはX3のコースY1と比較される、正常に形成されたセルX2の標準プロファイルに関連してもよい。あるいは、例えば、電流プロファイルのような参照エネルギープロファイルまたは参照プロファイルは、電池X3を形成するために計算され、または、初期測定値ではなくY3と称されるシミュレーションによって取得されることが可能である。
【0106】
図12aは、方法1100を示す概略フローチャートであり、ステップ1110では、未形成の電池試験セル、即ち電池X1を用いて参考試験が実行される。ステップ1120では、例えば、ステップ1110で得た測定値と標準プロファイルY2を比較することなどによって、参照プロファイルY1が導出される。ステップ1130では、少なくとも1つの電池セルX3が、参照プロファイルによって形成されてもよい。ステップ1110は、例えば、ステップ110および/またはステップ210を含んでもよい。ステップ1120は、例えば、ステップ120、130および/または220を含んでもよい。ステップ1130は、方法900を含んでもよい。
【0107】
図12bは、方法1100と比較して修正された方法1100’を示す概略フローチャートである。ステップ110の代替として、方法1100’は、ステップ1110の代わりに、またはステップ1110に加えて実行され得るステップ1110’を含む。 ステップ1110’では、未形成の、または部分的にしか形成されていない電池セルX1のシミュレーション(Y3)が、形成された電池試験セルX2を用いて行われる。先に述べた実施形態に関連して論じたように、電池セルの試験の代わりに、相応のシミュレーションが実行されてもよい。
【0108】
図12cは、既に形成された電池試験セルX2を分析するステップ1152を含む方法1150を示す概略フローチャートである。ステップ1154では、既に知られているように、これから標準プロファイルY2が導出されてもよい。ステップ1156では、ステップ1154で得た標準プロファイルおよび測定値から参照プロファイルY1が得られてもよく、これは、一種の調整回路において行われてもよい。ここで、ステップ1158では、例えば、標準プロファイルにより予め決められているような、例えば標準値を用いて、形成を開始してもよい。図7に関連して説明したように、形成中に検出された測定値に基づいて、ステップ1162では、ステップ1158により得られた形成、および電池セルX3またはX1の値の測定が例示される。これらの測定値は、ステップ1156において標準プロファイルY2と比較される。標準プロファイルY2は、この比較に基づいて、参照プロファイルY1を得るように適応される。これは、形成特性値が、形成の間および動作の間に適応され得ることを意味する。
【0109】
図12dは、電池を形成するための方法1150’を示す概略フローチャートである。方法1150’は、方法1150に比較すると、方法1150のステップ1152に代えて、またはこれに加えて実行され得るステップ1152’を含む。ステップ1152’では、形成された電池試験セルX2のシミュレーションY3が行われるが、これは、形成された電池のシミュレーションが、ステップ1152における試験および/または測定の代わりに行われ得ることを意味する。
【0110】
換言すれば、電流強度は、SEI形成において決定的な役割を果たしてもよい。電流強度は、異なる形成段階の間に、様々に強い影響を与えてもよい。加えて、電池セルの電気化学的挙動は、セルの化学的性質、幾何学形状など多くの要因に依存してもよい。先に述べた実施形態によれば、電流(エネルギー量)は、最適なプロセス速度および製品品質を達成するようにセルの電流特性に適応されてもよい。この場合、形成電子装置(制御手段)は、電流を、セルに関して先に規定されたプロファイル(参照電流プロファイル)に一致するように調整してもよい。代替的または追加的に、電流は、個々のセルの異なる測定値(物理的状態)によって適応されてもよい。これは、各時間区間について、こうして導出されるエネルギー量のデータ処理および新しい計算を可能にする。具体的には、参照電流プロファイルの適用と、測定値の使用とを組み合わせることができる。
【0111】
先に述べた実施形態は、第1充電および放電プロセスの間に負極および/または正極界面にSEIを形成する全ての電池セルに適用されてもよい。ここでは、具体的には、黒鉛/炭素またはシリコン負極を有するリチウムイオン電池を指す。
【0112】
この場合、電流または電気エネルギー量の動的適応により、電流強度は、各時点においてセルの最適値を表すようになり得る。
【0113】
先に述べた実施形態は、接触により(直流)電流源へ電気接続される、充電されるべき電池セルに関する。形成は、動的電流によって行われてもよい。電流の強さは、あらゆる観察時点で動的に増加または低減してもよい。電流強度は、予め規定されるプロファイルによって規定されてもよい。このプロファイルは、参照測定または参照形成によって、またはモデルを用いるシミュレーションによって先に確立されてもよい。参照電流プロファイルは、所定の時間または電池の所定の電圧について電流強度を確立してもよく、さらに、サイクル数および電流の方向も役割を果たしてもよい。代替的または追加的に、参照電流プロファイルは、電池を固定された電流強度で放電することに関連してもよい。分かり易く表現すると、放電プロセスは、電流方向の逆転であると述べられてもよく、よって、上述のメカニズムがそのまま関連する制約なしに有効である。
【0114】
あるいは、電流は、1つまたは幾つかのセンサ(検出手段)によって測定される信号または値を用いて計算されてもよい。ここで重要なのは、電圧、時間、電流強度、温度、および/またはこれらから導出される、例えば、電荷量のような量であってもよい。さらに、例えば、装置80のような、両方の方法で作製されるシステムが実現されてもよい。プロファイルは、例えば、予め設定され、測定される値に基づいて改訂され、および/または、補正される。
【0115】
上述の実施形態は、電池セルのサイクル安定性が等しい、または向上すらしている、形成プロセスの著しい加速を可能にする。プロセスを短縮することにより、時間的かつ結果として経済的な優位点が生じる。さらに、先に述べた実施形態により、形成されるSEIの高品質(品質向上)が達成されてもよい。
【0116】
先に述べた実施形態は、形成を著しく短縮してもよく、これにより、形成装置または装置の生産スループットが高まる結果となってもよい。
【0117】
先に述べた実施形態は、電池セル、具体的にはリチウムイオン電池を製造する場合に適用されてもよいが、SEI形成を含む異なるセルの化学的性質を備える他の電池セルにも適用されてもよい。例えば、これらは、負極材料として、黒鉛材料ではなくシリコンを有するセルであってもよい。具体的には、先に述べた実施形態は、電池セルを製造する間に形成のために使用されてもよい。
【0118】
幾つかの態様を装置に関して説明してきたが、これらの態様が対応する方法の説明をも表していることは明らかであって、装置のブロックまたは要素は、個々の方法ステップまたは方法ステップの特徴にも対応している。同様に、方法ステップのコンテキストで、または方法ステップとして説明されている態様は、対応する装置の対応するブロックまたはアイテムまたは特徴の説明をも表す。
【0119】
特定の実施要件によって、本発明の実施形態は、ハードウェアまたはソフトウェアに実装することができる。実装は、デジタル記憶媒体、例えばフロッピーディスク、DVD、ブルーレイディスク、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROMまたはフラッシュメモリ、ハードドライブ、または、個々の方法が実行されるようにプログラム可能コンピュータシステムと協働する、または協働することができる、電子読取り可能制御信号を記憶している別の磁気的または光学的メモリを用いて実行することができる。したがって、デジタル記憶媒体は、コンピュータ読取り可能であってもよい。本発明による幾つかの実施形態は、本明細書に記述されている方法のうちの1つが実行されるようにプログラム可能コンピュータシステムと協働できる電子読取り可能制御信号を含むデータキャリアを含む。
【0120】
概して、本発明の実施形態は、プログラムコードを有するコンピュータ・プログラム・プロダクトとして実装することができ、プログラムコードは、コンピュータ・プログラム・プロダクトがコンピュータ上で実行されると方法のうちの1つを実行するように動作する。プログラムコードは、例えば、機械読取り可能キャリアに記憶されてもよい。
【0121】
他の実施形態は、本明細書に記述されている方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを含み、コンピュータプログラムは、機械読取り可能キャリアに記憶される。
【0122】
したがって、換言すれば、本発明の方法の一実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されると本明細書に記述されている方法のうちの1つを実行するためのプログラムコードを備えるコンピュータプログラムである。したがって、本発明の方法のさらなる実施形態は、本明細書に記述されている方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを記録して含むデータキャリア(または、デジタル記憶媒体、またはコンピュータ読取り可能媒体)である。
【0123】
したがって、本発明の方法のさらなる実施形態は、本明細書に記述されている方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは信号シーケンスである。データストリームまたは信号シーケンスは、例えば、インターネットなどのデータ通信接続を介して、転送されるように構成されてもよい。
【0124】
さらなる実施形態は、本明細書に記述されている方法のうちの1つを実行するように構成または適応される処理手段、例えばコンピュータまたはプログラマブル論理装置を備える。
【0125】
さらなる実施形態は、本明細書に記述されている方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムをインストールしているコンピュータを備える。
【0126】
実施形態によっては、プログラマブル論理装置(例えば、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、FPGA)を用いて、本明細書に記述されている方法の機能の一部または全てを実行してもよい。実施形態によっては、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイは、本明細書に記述されている方法のうちの1つを実行するためにマイクロプロセッサと協働してもよい。概して、これらの方法は、好ましくは、任意のハードウェア装置によって実行される。これは、コンピュータプロセッサ(CPU)などの汎用ハードウェアであっても、ASICなどの本方法固有のハードウェアであってもよい。
【0127】
制御可能なエネルギー源は、確立されたエネルギー量が、形成されるべき電池へ電流パルスまたは波状の電流によって伝導されるように制御または実装されてもよい。次には、実施形態で記述したように、エネルギー量の適応が、周波数または電流インパルスの強度または振幅量を変えることによって行われてもよい。
【0128】
上述の実施形態は、本発明の原理を単に例示したものである。本明細書に記述されている配置および詳細の変更および変形が他の当業者に明らかとなるだろう。したがって、本発明は、本明細書における実施形態の記述および説明として提示された特定の詳細ではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図12c
図12d