(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記不飽和カルボン酸の前記金属塩、触媒、水及び/又はアルコール、一部のハロオルガノアルコキシシランと、存在する場合、共触媒、阻害剤、及び無極性溶媒とが、前記反応器に加えられ、加熱された後、前記ハロオルガノアルコキシシランの残りの量が前記反応器に加えられる、請求項1又は2に記載のプロセス。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のプロセスは、式[CR
22=CR
1COO
−]
aM
a+(I)を有するカルボン酸の金属塩を、50〜160℃の温度にて、触媒の存在下、及び水の存在下、炭素原子を1〜5個有するアルコールの存在下、又は水と、炭素原子を1〜5個有するアルコールと組み合わせの存在下で、式XR
3Si(OR
4)
nR
53−n(II)を有するハロオルガノアルコキシシランと反応させて、アクリロイルオキシシランと、式M
a+X
−a(III)を有する金属ハロゲン化物とを含む混合物を形成すること[式中、R
1は、H、R
7COO
−Ma
+、又はC
1−C
6ヒドロカルビルであり、各R
2は、独立して、R
1又は[COO
−]Ma
+であり、M
a+は、アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類金属カチオンであり、aは、1又は2であり、Xは、ハロであり、R
3は、C
1−C
6ヒドロカルビレンであり、各R
4は、独立して、C
1−C
10ヒドロカルビルであり、各R
5は、独立して、R
1であり、かつnは1〜3の整数である]を含む、アクリロイルオキシシランの調製プロセスを目的とする。
【0010】
不飽和カルボン酸の金属塩は、式[CR
22=CR
1COO
−]
aM
a+(I)を有する。M
a+により表されるアルカリ金属又はアルカリ土類金属カチオンの例としては、Li
+、Na
+、K
+、Mg
2+、及びCa
2+が挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態では、M
a+は、Na
+又はK
+である。
【0011】
R
1及びR
2によって表されるヒドロカルビル基は、典型的には1〜6個の炭素原子、あるいは1〜4個の炭素原子、あるいは1〜3個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を含有する非環式ヒドロカルビル基は、分枝鎖又は非分枝鎖構造を有し得る。ヒドロカルビル基の例としては、アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、ペンチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基など、シクロアルキル基、例えば、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基など、アリール基、例えば、フェニル基など、アルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、及びプロペニル基など、並びにアルキニル基、例えば、エチニル基及びプロピニル基が挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態では、1つのR
2基は水素であり、1つのR
2基はプロペニル(すなわち、CH
3CHCH−)である。
【0012】
不飽和カルボン酸の金属塩の例としては、これらに限定されるものではないが、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、エタクリル酸ナトリウム(すなわち2−メチレンブタン酸ナトリウム)、クロトン酸ナトリウム、イソクロトン酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、エタクリル酸カリウム(すなわち2−メチレンブタン酸カリウム)、クロトン酸カリウム、イソクロトン酸カリウム、ソルビン酸カリウム、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸マグネシウム、エタクリル酸マグネシウム、クロトン酸マグネシウム、イソクロトン酸マグネシウム、ソルビン酸マグネシウム、アクリル酸カルシウム、メタクリル酸カルシウム、エタクリル酸カルシウム、クロトン酸カルシウム、イソクロトン酸カルシウム、及びソルビン酸カルシウム、フマル酸一ナトリウム、フマル酸二ナトリウム、マレイン酸一ナトリウム、マレイン酸二ナトリウム、イタコン酸一ナトリウム、イタコン酸二ナトリウム、フマル酸一カリウム、フマル酸二カリウム、マレイン酸一カリウム、マレイン酸二カリウム、イタコン酸一カリウム、イタコン酸二カリウムが挙げられる。
【0013】
不飽和カルボン酸の金属塩の調製プロセスは当該技術分野では周知のものであり、これらの化合物の多くが市販されている。例えば、不飽和カルボン酸の金属塩は、温度を25℃以下に保ちつつ不飽和カルボン酸をNaOEtのエタノール溶液に滴下した後、1時間攪拌することによって調製することができる。
【0014】
ハロオルガノアルコキシシランは、式XR
3Si(OR
4)
nR
53−n(II)を有する[式中、Xはハロである]。Xによって表されるハロ原子の例としては、−F、−Cl、−Br、及び−Iが挙げられる。
【0015】
R
3によって表されるヒドロカルビレン基は、典型的には1〜6個の炭素原子、あるいは2〜4個の炭素原子、あるいは3個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を有するヒドロカルビレン基は、分枝又は非分枝構造を有し得る。ヒドロカルビレン基の例としては、これらに限定されるものではないが、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、1−メチルエチレン基、ブチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、1,1−ジメチルエチレン基、ペンチレン基、1−メチルブチレン基、1−エチルプロピレン基、2−メチルブチレン基、3−メチルブチレン基、1,2−ジメチルプロピレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、ヘキシレン基、又はこれらに類するヒドロカルビレン基が挙げられる。
【0016】
R
4で表わされるヒドロカルビル基は、典型的には、1〜10個の炭素原子、あるいは1〜6個の炭素原子、あるいは1〜4個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を含有する非環式ヒドロカルビル基は、分枝鎖又は非分枝鎖構造を有し得る。ヒドロカルビル基の例としては、例えば、R
1及びR
2について上記に所与のもの、及びアルキル、例えば、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシルなど、シクロアルキル、例えば、メチルシクロヘキシルなど、アリール、例えば、ナフチルなど、アルカリール、例えば、トリル及びキシリルなど、アラルキル、例えば、ベンジル及びフェニルエチルなど、並びにアラルケニル、例えば、スチリル及びシンナミルなどが挙げられる。
【0017】
R
5によって表されるヒドロカルビル基は、典型的には1〜6個の炭素原子、あるいは1〜4個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を有する非環式ヒドロカルビル基は、分枝鎖又は非分枝鎖構造を有し得る。ヒドロカルビル基の例としては、限定するものではないが、R
1及びR
2について所与の実施例が挙げられる。
【0018】
式(II)のハロオルガノアルコキシシランの例としては、これらに限定されるものではないが、クロロメチルジメチルメトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、3−クロロプロピルジメチルメトキシシラン、3−クロロプロピルジメチルエトキシシラン、3−クロロプロピルエチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルエチルジエトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリエトキシシラン、3−ヨードプロピルトリメトキシシラン、3−ヨードプロピルエトキシシランが挙げられる。一実施形態では、式(II)のハロオルガノアルコキシシランは、3−クロロプロピルトリメトキシシラン又は3−クロロプロピルトリエトキシシランである。
【0019】
ハロオルガノアルコキシシランの調製プロセスは当該技術分野で知られており、これらの化合物のうち多くのものは市販されている。
【0020】
反応は、水、1〜5個の炭素原子を含むアルコール、又は1〜5個の炭素原子を含むアルコールと水との混合物の存在下でのものである。水は、脱イオン水又は蒸留水であってよく、あるいはその他の反応物中に存在する水であってよい。
【0021】
一実施形態では、反応は、炭素原子を1〜5個含む、あるいは炭素原子を1〜3個含む、あるいは炭素原子を1個含むアルコールの存在下でのものである。一実施形態では、アルコールは、式R
7OHのものであり、式中、R
7は、炭素原子を1〜5個含むヒドロカルビル基である。少なくとも3個の炭素原子を含有する非環式ヒドロカルビル基R
7は、分枝鎖又は非分枝鎖構造を有し得る。
【0022】
R
7によって表されるヒドロカルビル基の例としては、アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、ペンチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0023】
1〜5個の炭素原子を有するアルコールは、可能であれば第一級、第二級、又は第三級アルコールであってよく、あるいは第一級又は第二級アルコールであってよく、あるいは第一級アルコールであってよい。1〜5個の炭素原子を有するアルコールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、ペンタノール、及びイソペンタノールが挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態では、アルコールはメタノールである。本発明に好適なアルコールは市販されている。
【0024】
触媒は、不飽和カルボン酸の金属塩とハロオルガノアルコキシシランとの間の反応において触媒として機能してアクリロイルオキシシランを形成することが知られる任意の触媒であり、あるいは、触媒は相間移動触媒であり、かかる相間移動触媒は、不飽和カルボン酸の金属塩とハロオルガノアルコキシシランとの間の求核置換反応において固液相間移動触媒として機能してアクリロイルオキシシランを形成することが知られる任意の相間移動触媒である。
【0025】
触媒の例としては、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、及び1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−ノナ−5−エンなどのアミン類、第四級アンモニウム化合物、例えば、トリブチルメチルアンモニウムクロリド、トリエチルセチルアンモニウムブロミド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、トリカプリルメチルアンモニウムクロリド、ALIQUAT(登録商標)336[トリス(n−C
8−及びC
10−アルキル)メチルアンモニウムクロリド]、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、又はブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラペンチルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムブロミド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、メチルトリブチルアンモニウムブロミド、及びメチルトリブチルアンモニウムクロリド;並びに第四級ホスホニウム化合物、例えば、テトラ−n−ブチルホスホニウム、テトラ−n−ブチルホスホニウムクロリド、メチルトリ−n−ブチルホスホニウムクロリド、メチルトリ−n−ブチルホスホニウム、n−ブチルトリフェニルホスホニウム、n−ブチルトリフェニルホスホニウム、n−ブチルトリフェニルホスホニウムクロリド、メチルトリフェニルホスホニウムクロリド、及びメチルトリフェニルホスホニウムなどである相間移動触媒が挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態では、相間移動触媒は、テトラブチルアンモニウムクロリド又はブロミド、メチルトリフェニルホスホニウムクロリド、n−ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、又はテトラ−n−ブチルホスホニウムブロミドである。一実施形態では、触媒の組み合わせが使用される。
【0026】
触媒、例えば、相間移動触媒などは、当該技術分野で既知のプロセスにより製造される。これらの化合物の多くは市販されている。
【0027】
本発明のプロセスは、共触媒を更に含んでよく、あるいは本発明のプロセスは、金属塩である、あるいはヨウ化物との金属塩である、あるいはヨウ化カリウムである共触媒を更に含んでよい。
【0028】
場合により、本発明のプロセスは、1以上のフリーラジカル阻害剤の存在下で行うことができる。本明細書において使用するところの「阻害剤」とは、フリーラジカル重合反応を阻害する化合物のことである。
【0029】
阻害剤の例としては、これらに限定されるものではないが、エチレンジアミン四酢酸などのアミン類、N,N’−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、及びフェノチアジンなどの芳香族アミン類、キノン類、ヒドロキノンモノメチルエーテルなどのヒドロキノン類、2,6−ジ−tertブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノ)メチルフェノール、及びブチル化ヒドロキシトルエンなどの立体障害フェノール、並びに安定フリーラジカルが挙げられる。
【0030】
阻害剤は、当該技術分野では周知のプロセスによって製造される。これらの阻害剤の多くは市販されている。
【0031】
反応は、任意選択的に、無極性溶媒の存在下で実施することもでき、あるいは反応は、無極性溶媒の存在下のものであってもよい。無極性溶媒は、10よりも低い、あるいは5よりも低い、あるいは1〜5の誘電率を有する。一実施形態では、無極性溶媒は、炭素原子を5〜20個、あるいは6〜16個、あるいは6〜13個有する炭化水素である。別の実施形態では、無極性溶媒は、混合物中の炭化水素のうち2つ以上が5〜20個、あるいは6〜16個、あるいは6〜13個の炭素原子を有する、炭化水素混合物である。
【0032】
一実施形態では、無極性溶媒は、芳香族、非芳香族、環式、非環式、分枝状、又は脂環式、あるいはパラフィン、イソパラフィン、又はパラフィンとイソパラフィンとの混合物、あるいは非環式非芳香族である炭化水素を含む。一実施形態では、無極性溶媒は、5〜20個の炭素原子、あるいは6〜16個の炭素原子、あるいは6〜14個の炭素原子を有するパラフィン系あるいはイソパラフィン系炭化水素を含む。一実施形態では、無極性溶媒は、反応中に存在する全ての炭化水素の重量を基準として、1%(w/w)未満、あるいは0.5%(w/w)未満、あるいは500ppm(重量基準)未満の芳香族炭化水素を含む。
【0033】
無極性溶媒は、50〜250℃、あるいは60〜240℃、あるいは65〜230℃の沸点を有する。あるいは無極性溶媒は、5〜20個の炭素原子、あるいは6〜18個の炭素原子、あるいは6〜13個の炭素原子、あるいは8〜14個の炭素原子を有するイソアルカンを含む炭化水素混合物である。
【0034】
プロセスの無極性溶媒は、25℃にて1.0グラム毎ミリリットル(g/mL)、あるいは0.6〜0.9グラム毎mL、あるいは0.65〜0.75g/mLの密度を有する。
【0035】
無極性溶媒の例としては、有機溶媒(ミネラルスピリット、トルエン、m−、o−及びp−キシレン並びにこれらの混合物など)、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロヘキサン、cis−シクロオクテン、tert−ブチルメチルエーテル及びジ−n−ブチルエーテル、イソアルカン、並びにこれらの混合物、例えば、ISOPAR(登録商標)で市販されているISOPAR G FLUID、などが挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態では、無極性溶媒は、6〜13個の炭素原子を含み、沸点が65〜230℃(商品名ISOPAR G FLUIDで市販)である炭化水素の混合物、あるいはヘプタン、あるいは6〜13個の炭素原子を含み、沸点が65〜230℃(商品名ISOPAR(登録商標)G FLUIDで市販)であるパラフィン系炭化水素とイソパラフィン系炭化水素との混合物であり、混合物は、反応のために存在させる無極性溶媒の全量を基準として50〜100%、あるいは80〜99%、あるいは90〜99%、あるいは90〜98%のn−ヘプタンを含む。
【0036】
本発明のプロセスにおいて反応を実施させるための反応器は、相間移動触媒の存在下で不飽和カルボン酸の金属塩をハロオルガノアルコキシシランと反応させるのに適した任意の好適な容器であってよい。例えば、ガラス製の丸底フラスコを使用することができる。
【0037】
一実施形態では、反応物は反応器に任意の順番で添加される。あるいは、不飽和カルボン酸の金属塩と、触媒と、一部のハロオルガノアルコキシシランと、存在させる場合、アルコール、水、共触媒、阻害剤、及び無極性溶媒とを反応器に加え、加熱した後、残りのハロオルガノアルコキシシランを反応器に加える。あるいは、不飽和カルボン酸の金属塩と、触媒と、存在させる場合アルコール、水、阻害剤、及び無極性溶媒と、をそれぞれ100%と、ハロオルガノアルコキシシランの一部を反応器に加え、加熱した後、残りのハロオルガノアルコキシシランを反応器に加える。本明細書で使用するとき、ハロオルガノアルコキシシランを指して使用される「一部の」は、プロセスに加えられるハロオルガノアルコキシシランの総モル量の最大で75%、あるいは50%、あるいは30%〜55%を意味する。本明細書で使用するとき、本発明のプロセスにおいて添加されるハロオルガノアルコキシシランを指して使用される「残りの」は、プロセスに加えるハロオルガノアルコキシシランの総モル量からハロオルガノアルコキシシランの一部を予め抜き出して反応器に加えた後、プロセスに加えるべく残されているハロオルガノアルコキシシランの量を意味し、あるいはプロセスに加えられるハロオルガノアルコキシシランの総モル量を基準として最大で75%、あるいは最大で45%、あるいは最大で25%のハロオルガノアルコキシシランを意味する。
【0038】
プロセスにおいて、各反応物質の添加速度は、制御され得る。望ましくない発熱を予防し、かつ加工性を改良するため、ハロオルガノアルコキシシランは、少しずつ反応器及び不飽和カルボン酸の金属塩に導入される。
【0039】
プロセスの反応は、典型的には、50〜160℃、あるいは80〜140℃、あるいは80〜130℃、あるいは80〜100℃、あるいは85〜95℃の温度、かつ0〜1000kPag、あるいは50〜200kPag、あるいは80〜150kPag、あるいは大気圧の圧力で実施される。各反応物質は、典型的に、周囲温度で上記に述べたように合わせてから、混合物を上記に述べた温度及び圧力とする。
【0040】
本発明のプロセスの反応は、典型的には、ハロオルガノアルコキシシランの少なくとも50%(w/w)が反応するまで、あるいはハロオルガノアルコキシシランの少なくとも80%が反応するまで、あるいはハロオルガノアルコキシシランの90〜100%が反応するまで行われる。ハロオルガノアルコキシシランの反応の進行状態は、例えばガスクロマトグラフィー(GC)などの当該技術分野では周知の標準的なプロセスによって測定することができる。
【0041】
典型的には、プロセスの反応の実施に必要とされる時間は、少なくとも30分間、あるいは60〜6000分間、あるいは120〜1000分間、あるいは600〜720分間である。
【0042】
ハロオルガノアルコキシシランに対する不飽和カルボン酸の金属塩のモル比は、典型的には0.5〜1.5:1、あるいは0.9〜1.1:1、あるいは1〜1.05:1である。
【0043】
相間移動触媒は、触媒有効量で使用され得る。本明細書において使用するところの「触媒有効量」とは、ハロオルガノアルコキシシランと不飽和カルボン酸の塩との間の求核置換反応を触媒してアクリロイルオキシシランを生成する量のことである。例えば、触媒有効量は、相間移動触媒と、ハロオルガノアルコキシシランと、不飽和カルボン酸の塩と、ミネラルスピリットとの合計重量を基準として少なくとも0.001%(w/w)、あるいは0.005〜0.5%、あるいは0.01〜0.05%(w/w)である。
【0044】
一実施形態では、反応は、水の存在下でのものであり、あるいは反応の全材料の重量を基準として少なくとも100ppmw、あるいは少なくとも2000ppw、あるいは100〜2400ppmw、あるいは3500〜5000ppmwの水の存在下でのものである。反応における水の量は、反応における全ての材料によりもたらされる水の量を考慮して、他の材料の量が所望されるよりも少ない場合には追加の水を加えることにより、あるいは水の量が所望されるよりも多い場合には当該技術分野で既知の方法で反応における1種以上の材料から水を除去することにより、所望のバランスで、当該施術分野で既知のプロセスによりもたらされる。
【0045】
一実施形態では、反応は、上記のアルコールの存在下で実施され、あるいはアルコール重量及び反応におけるその他の全ての材料の重量を基準としてあるいは少なくとも80ppmw、あるいは80〜6400ppmw、あるいは80〜4800ppmwの上記のアルコールの存在下で実施される。反応におけるアルコールの量は、反応における全ての材料によりもたらされるアルコールの量を考慮して、他の材料の量が所望されるよりも少ない場合には追加のアルコールを加えることにより、あるいはアルコールの量が所望されるよりも多い場合には当該技術分野で既知の方法で反応における1種以上の材料からアルコールを除去することにより、所望のバランスで、当該施術分野で既知のプロセスによりもたらされる。
【0046】
一実施形態では、反応は、水及び上記アルコールの存在下で実施され、あるいは100〜5000ppmwの水、及び80〜6400ppmwのアルコール、あるいは100〜1200ppmwの水、及び80〜4800ppmwのアルコール、あるいは1000ppmの水〜4800ppmwの水、及び80〜1000ppmwのアルコール、あるいは400〜800ppmwの水、及び4500〜5000ppmwのアルコール、あるいは2100〜3500ppmwの水、及び3100〜3500ppmwのメタノールの存在下で実施され、ここで、ppmwは、反応における全材料の重量を基準として計算される。存在する水及びアルコール量は、各材料について上記のものと同じ方法で達成される。
【0047】
添加される場合、阻害剤は、阻害剤と、ハロオルガノアルコキシシランと、不飽和カルボン酸の金属塩と、アルコールとの合計重量を基準として、典型的に1〜10,000ppmw、あるいは10〜2500ppmw、あるいは1800〜2400ppmwである。
【0048】
無極性溶媒は、本発明のプロセスの反応中に、無極性溶媒と、アクリロイルオキシシランと、金属ハロゲン化物との合計重量を基準として、10〜90%(w/w)、あるいは15〜80%(w/w)、あるいは25〜60%(w/w)存在し得る。
【0049】
共触媒は、触媒有効量で存在する。共触媒に関し本明細書で使用するとき、触媒有効量は、カルボン酸の金属塩と、ハロオルガノアルコキシシランとの反応において共触媒として作用させるのに十分な量であり、あるいは触媒有効量は、触媒に対する比が0.01〜10(触媒/共触媒)、あるいは0.1〜5、あるいは0.25〜2、あるいは0.4〜1.1になる量である。
【0050】
本発明のプロセスの反応は、典型的には不活性ガス雰囲気下で実施されるものの、大気中で実施されてもよい。不活性ガスとは、反応条件下で反応混合物中に存在する各成分との反応性を有さない気体である。不活性ガスの例としては、窒素及びアルゴンがある。
【0051】
この反応によって、アクリロイルオキシシランと、式M
a+X
−a(III)を有する金属ハロゲン化物[式中、X
−はハロゲン化物アニオンである]とを含む混合物が生成される。本明細書で使用するとき、「アクリロイルオキシシラン」は、必ずしも式をもとにアクリロイルオキシシランと呼称されなくてもよいものの、アクリロイルオキシ官能性を含む材料を含むことが意図される。例えば、アクリロイルオキシは、ソルビルオキシ(sorbyloxy)官能基を含み得ることが想到される。
【0052】
アクリロイルオキシシランは、式CR
62=CR
1COOR
3Si(OR
4)
nR
53−n(IV)を有する[式中、各R
1、R
3、R
4、R
5、及びnは、独立して、ハロオルガノアルコキシシランとカルボン酸の金属塩とについて上記される通りのものであり、各R
6は、独立して、H、C
1−C
6ヒドロカルビル、又はCOOR
3Si(OR
4)
nR
53−nである[式中、各R
3、R
4、R
5、及びnは、独立して、ハロオルガノアルコキシシランとカルボン酸の金属塩とについて上記される通りのものである]。
【0053】
アクリロイルオキシシランの例としては、ソルビルオキシメチルジメチルメトキシシラン、γ−ソルビルオキシプロピルメチジメトキシシラン(γ−sorbyloxypropylmethydimethoxysilane)、γ−ソルビルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ソルビルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−ソルビルオキシブチルジメトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルジメチルメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチジメトキシシラン(γ−methacryloyloxypropylmethydimethoxysilane)、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシブチルジメトキシシラン、δ−メタクリロイルオキシブチルトリメトキシシラン、δ−メタクリロイルオキシブチルメチルジメトキシシラン、アクリロイルオキシメチルジメチルメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルブチルジメトキシシラン、δ−アクリロイルオキシブチルトリメトキシシラン、δ−アクリロイルオキシブチルメチルジメトキシシラン、ビス(γ−トリメトキシシリルプロピル)フマラート、ビス(γ−トリエトキシシリルプロピル)フマラート、ビス(γ−トリメトキシシリルプロピル)マレエート、ビス(γ−トリエトキシシリルプロピル)マレエート、ビス(γ−トリメトキシシリルプロピル)イタコネート、ビス(γ−トリエトキシシリルプロピル)イタコネートが挙げられるがこれらに限定されない。
【0054】
金属ハロゲン化物は、式M
a+X
−a(III)[式中、M及びaは、不飽和カルボン酸の金属塩について上記に定義及び例示したものであり、X
−はハロゲン化物アニオンである]によるものである。ハロゲン化物アニオンの例としては、塩化物イオン、臭化物イオン、フッ化物イオン、及びヨウ化物イオンが挙げられる。金属ハロゲン化物の例としては、これらに限定されるものではないが、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、及びヨウ化カルシウムが挙げられる。
【0055】
本発明のプロセスは、混合物から金属ハロゲン化物の少なくとも一部を除去する工程を更に含み得る。本明細書において使用するところの「一部」とは、アクリロイルオキシシラン中の金属ハロゲン化物を下記に述べる範囲内にまで減少させるのに十分な量のことを意味する。例えば、一部とは、典型的には、混合物中の金属ハロゲン化物の最初の量の少なくとも50%、あるいは少なくとも90%、あるいは少なくとも99.99%である。
【0056】
金属ハロゲン化物は、有機物質から固体金属ハロゲン化物を除去するための当該技術分野では周知のプロセスによって混合物から除去することができる。金属ハロゲン化物は、例えば、濾過、デカンテーション、洗浄、又は濾過、デカンテーション及び洗浄の組み合わせによって除去することができる。一実施形態では、金属ハロゲン化物は、濾過又はデカンテーションによって除去される。別の実施形態では、金属ハロゲン化物は、金属ハロゲン化物からアクリロイルオキシシランをデカンテーションによって除去した後、下記に述べ、例示するように、本発明の第2のプロセスにおいて金属ハロゲン化物を食塩水で洗浄することによって除去する。
【0057】
混合物から金属ハロゲン化物の少なくとも一部を除去する工程の後、アクリロイルオキシシランは、アクリロイルオキシシランの重量に対して典型的には10,000重量百万分率(ppmw)未満、あるいは1〜1000ppmw、あるいは10〜100ppmwの金属ハロゲン化物を有する。
【0058】
本発明のプロセスは、アクリロイルオキシシランを回収する工程を更に含み得る。このアクリロイルオキシシランの回収工程は、例えば蒸留などの当該技術分野では周知のプロセスによって行うことができる。
【0059】
本発明のプロセスは、アクリロイルオキシシランを製造する。更に、本発明のプロセスは、濾過に要する時間が短い金属ハロゲン化物沈殿を生成する。理論に束縛されることを望むものではないが、濾過時間の短縮は、沈殿の有する粒子径が、本発明によらないプロセスにより形成される沈殿のものよりも大きいことに起因するものと考えられている。更にまた、本発明のプロセスは、速やかに沈降して明瞭な層を形成し、デカンテーション又は濾過によるアクリロイルオキシシランからの金属ハロゲン化物の効率的な分離を可能にする、金属ハロゲン化物沈殿物を形成する。
【0060】
本発明のアクリロイルオキシシランは、不飽和樹脂又はポリマーシステムのカップリング剤、有機/無機界面の接着促進剤、及び表面改質剤として使用され得る。
【実施例】
【0061】
下記の実施例は、本発明の方法をよりよく説明するために示されるものであり、添付の「特許請求の範囲」内において示される発明を制限するものと考えられるべきではない。別途の記載がない限り、実施例中に記載される全ての部及び比率(%)は重量に基づくものである。以下の表に、実施例で使用される略語を記載する。
【0062】
【表1】
【0063】
実施例1
ジャケットを装備し、機械攪拌機、温度計、及び凝縮器を取り付けた5Lのバッフル反応器に980gのIsopar Gと、1000gのソルビン酸カリウムと、1320gのCPTMSとを入れた。安定剤PTZ(2.4g)と、BHT(2.3g)と、EDTA−Na
4(2.3g)と、TBAB(36.5g)とを順に加えた。反応器の内容物を10分間混合した後、表1に示す通り実施例のいくつかに水を加えた。表1に示す通りの様々な量でメタノールも加えた。これは、CPTMを蒸留してメタノールを初期量から0.84%減少させることにより、あるいは追加のメタノールをCPTMSに加えることにより行った。表1に示す所望の最終メタノール濃度を達成するため、望ましいメタノール濃度でCPTMSを反応器に加えた。反応器を設定温度まで加熱した後、反応が完了するまで、大気圧下で5〜10時間温度を一定に維持した。反応を完了するのに必要とされる時間は、メタノール濃度及び水濃度に加え、温度に依存して様々である。次に、加圧フィルタを使用して反応の内容物を濾過し、塩化カリウムを除去した。表1に示す通り、同じ手順、及び濾過装置などの機器を使用して、メタノール濃度、水濃度、及び反応温度の変動以外に、表1の全ての試行を行った。
【0064】
【表1】