(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6577065
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】表示パネルアセンブリ及びこれを含む電子機器
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20190909BHJP
H04M 1/02 20060101ALI20190909BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20190909BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
G09F9/00 313
G09F9/00 350Z
H04M1/02 C
H01L27/32
H05B33/14 A
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-2658(P2018-2658)
(22)【出願日】2018年1月11日
(62)【分割の表示】特願2012-261383(P2012-261383)の分割
【原出願日】2012年11月29日
(65)【公開番号】特開2018-92175(P2018-92175A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2018年1月11日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0101800
(32)【優先日】2012年9月13日
(33)【優先権主張国】KR
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成24年5月29日、イギリス、フランス、UAE、サウジアラビア等、ヨーロッパおよび中東の計28か国 平成24年6月21日、アメリカ合衆国およびメキシコ 平成24年6月25日、韓国
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】特許業務法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】李 賢 熙
【審査官】
小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−173090(JP,A)
【文献】
特開2011−013546(JP,A)
【文献】
特開2008−083423(JP,A)
【文献】
特開2008−083263(JP,A)
【文献】
特開2008−083262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00−46
G02F 1/13−1/1335
1/13363−1/141
H01L 27/32
51/50
H04M 1/02−1/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域及び非表示領域を含むウィンドウカバーと、
前記ウィンドウカバーの背面で、前記表示領域に対応するように位置する表示パネルと、前記ウィンドウカバーの背面で、前記非表示領域にのみ対応するように位置し、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層して形成され、前記ウィンドウカバーを通じて入射した光を選択的に反射させる積層構造と、
前記積層構造にのみ対応するように位置し、前記積層構造を通過した光を吸収する光吸収層と、
を備え、
前記光吸収層は、黒色層であって、前記積層構造上に接して設けられ、前記非表示領域にのみ対応するように位置し、
前記積層構造は不規則な凹凸面を有する樹脂層上に接して設けられ、
前記樹脂層は前記非表示領域にのみ対応するように位置し、
前記光は前記高屈折率層と前記低屈折率層の境界面で乱反射することを特徴とする、
表示パネルアセンブリ。
【請求項2】
前記積層構造は、
前記ウィンドウカバーの背面上に位置する第1誘電体層と、
前記第1誘電体層上に位置する第2誘電体層と、
前記第2誘電体層上に位置する第3誘電体層と、を含み、
前記第1誘電体層及び前記第3誘電体層の屈折率は、前記第2誘電体層の屈折率より小さいことを特徴とする請求項1に記載の表示パネルアセンブリ。
【請求項3】
前記積層構造は、
前記ウィンドウカバーの背面上に位置する第1誘電体層と、
前記第1誘電体層上に位置する第2誘電体層と、
前記第2誘電体層上に位置する第3誘電体層と、を含み、
前記第1誘電体層及び前記第3誘電体層の屈折率は、前記第2誘電体層の屈折率より大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の表示パネルアセンブリ。
【請求項4】
前記高屈折率層は二酸化チタン(TiO2)を含み、前記低屈折率層は二酸化ケイ素(SiO2)を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の表示パネルアセンブリ。
【請求項5】
少なくとも一面が開放されたハウジングと、
前記開放されたハウジングの一面を覆うように配される表示パネルアセンブリと、を備え、
前記表示パネルアセンブリは、
表示領域及び前記表示領域の外周縁に形成される非表示領域を含むウィンドウカバーと、前記ウィンドウカバーの背面で、前記表示領域に対応するように位置する有機発光表示パネルと、
前記ウィンドウカバーの背面で、前記非表示領域にのみ対応するように位置し、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層して形成され、前記ウィンドウカバーを通じて入射した光を選択的に反射させる積層構造と、
前記積層構造にのみ対応するように位置し、前記積層構造を通過した光を吸収する光吸収層と、を備え、
前記光吸収層は、黒色層であって、前記積層構造上に接して形成され、前記非表示領域にのみ対応するように位置し、
前記積層構造は不規則な凹凸面を有する樹脂層上に接して形成され、
前記樹脂層は前記非表示領域にのみ対応するように位置し、
前記光は前記高屈折率層と前記低屈折率層の境界面で乱反射することを特徴とする、
電子機器。
【請求項6】
前記樹脂層はウレタンアクリレート系の樹脂を含むことを特徴とする、請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記積層構造は、
前記ウィンドウカバーの背面上に位置する第1誘電体層と、
前記第1誘電体層上に位置する第2誘電体層と、
前記第2誘電体層上に位置する第3誘電体層と、を含み、
前記第1誘電体層及び前記第3誘電体層の屈折率は、前記第2誘電体層の屈折率より小さいことを特徴とする請求項5または6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記積層構造は、
前記ウィンドウカバーの背面上に位置する第1誘電体層と、
前記第1誘電体層上に位置する第2誘電体層と、
前記第2誘電体層上に位置する第3誘電体層と、を含み、
前記第1誘電体層及び前記第3誘電体層の屈折率は、前記第2誘電体層の屈折率より大きいことを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記高屈折率層は二酸化チタン(TiO2)を含み、前記低屈折率層は二酸化ケイ素(SiO2)を含むことを特徴とする請求項5〜8のいずれか一項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルアセンブリ及びこれを含む電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、タブレットコンピュータなどの電子機器の需要が増大するにつれて、多様な外形及び色相を有する電子機器への要求が増大している。
【0003】
外形へのユーザの要求は、曲線及び直線を複合的に使って電子機器をデザインすることによって満足させ、色相へのユーザの要求は、電子機器の製作に使われる塗料の種類を多様化することによって満足させることができるが、色相だけではなく、質感まで提供する塗料の開発には限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、メタリックな色感を提供できる表示パネルアセンブリ及びこれを含む電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を達成するために、本発明の一側面によれば、表示領域及び非表示領域を含むウィンドウカバーと、前記ウィンドウカバーの背面で、前記表示領域に対応するように位置する表示パネルと、前記ウィンドウカバーの背面で、前記非表示領域に対応するように位置し、前記ウィンドウカバーを通じて入射した光を選択的に反射させてユーザにメタリックな色感を提供する誘電体ミラー層と、前記誘電体ミラー層を通過した光を吸収する光吸収層と、を備える表示パネルアセンブリを提供する。
【0006】
本発明の一特徴によれば、前記誘電体ミラー層は、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層して形成される。
【0007】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記誘電体ミラー層は、前記ウィンドウカバーの背面上に位置する第1誘電体層と、前記第1誘電体層上に位置する第2誘電体層と、前記第2誘電体層上に位置する第3誘電体層と、を備える。
【0008】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1誘電体層、前記第2誘電体層及び前記第3誘電体層の厚さは、異なる。
【0009】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1誘電体層及び前記第3誘電体層の屈折率は、前記第2誘電体層の屈折率より小さい。
【0010】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1誘電体層及び前記第3誘電体層の屈折率は、前記第2誘電体層の屈折率より大きい。
【0011】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記光吸収層は、黒色の印刷層である。
【0012】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記誘電体ミラー層は、二酸化チタン(TiO
2)
を含む誘電体層と、二酸化ケイ素(SiO
2)を含む誘電体層と、を備える。
【0013】
発明のさらに他の特徴によれば、誘電体ミラー層は、凹凸面を備える。
【0014】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記ウィンドウカバーの背面と前記誘電体ミラー層との間に位置するモールディング層をさらに備え、前記誘電体ミラー層に対向する前記モールディング層の表面は、凹凸面である。
【0015】
本発明のさらに他の側面によれば、表示領域及び前記表示領域の外周縁に形成される非表示領域を含むウィンドウカバーと、前記ウィンドウカバーの背面で、前記表示領域に対応するように位置する有機発光表示パネルと、前記ウィンドウカバーの背面で、前記非表示領域に対応するように位置し、複数の誘電体層を備え、前記ウィンドウカバーを通じて入射した光のうち補強干渉条件を満足する波長に対応する光を選択的に反射させる誘電体ミラー層と、前記誘電体ミラー層上に位置し、前記誘電体ミラー層を通過した光を吸収する光吸収層と、を備える表示パネルアセンブリを提供する。
【0016】
本発明の一特徴によれば、前記誘電体ミラー層は、第1誘電体層及び第2誘電体層を備え、前記第1誘電体層及び前記第2誘電体層のうちいずれか一方は、相対的に高屈折率層であり、他方は、低屈折率層である。
【0017】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記誘電体ミラー層は、二酸化チタン(TiO
2)を含む誘電体層と、二酸化ケイ素(SiO
2)を含む誘電体層と、を備える。
【0018】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記ウィンドウカバーの背面と前記誘電体ミラー層との間に位置するモールディング層をさらに備え、前記誘電体ミラー層に対向する前記モールディング層の表面は、凹凸面である。
【0019】
本発明のさらに他の側面によれば、少なくとも一面が開放されたハウジングと、前記開放されたハウジングの一面を覆うように配される表示パネルアセンブリと、を備え、前記表示パネルアセンブリは、表示領域及び前記表示領域の外周縁に形成される非表示領域を含むウィンドウカバーと、前記ウィンドウカバーの背面で、前記表示領域に対応するように位置する有機発光表示パネルと、前記ウィンドウカバーの背面で、前記非表示領域に対応するように位置し、前記ウィンドウカバーを通じて入射した光を選択的に反射させてユーザにメタリックな色感を提供する誘電体ミラー層と、前記誘電体ミラー層を通過した光を吸収する光吸収層と、を備える電子機器を提供する。
【0020】
本発明の一特徴によれば、前記誘電体ミラー層は、高屈折率の誘電体層と低屈折率の誘電体層とが交互に積層される。
【0021】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記誘電体ミラー層は、前記ウィンドウカバーの背面上に位置する第1誘電体層と、前記第1誘電体層上に位置する第2誘電体層と、前記第2誘電体層上に位置する第3誘電体層と、を備え、前記第1誘電体層及び前記第3誘電体層の屈折率は、前記第2誘電体層の屈折率より小さいか、または大きい。
【0022】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記光吸収層は、黒色の印刷層である。
【0023】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記ウィンドウカバーの背面と前記誘電体ミラー層との間には、接着物質によって前記ウィンドウカバーの背面に付着されたフィルムと、前記フィルムの背面に形成されたモールディング層と、をさらに備える。
【0024】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記モールディング層のうち、前記誘電体ミラー層に対向する前記モールディング層の面は、凹凸面であり、前記誘電体ミラー層は、前記モールディング層の凹凸面に対応して形成された凹凸面を含む。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ウィンドウカバーを通じて入射した光を選択的に反射させて、ユーザにメタリックな色感を提供できる表示パネルアセンブリ及び電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態による表示パネルアセンブリが装着された電子機器を概略的に示す斜視図である。
【
図2】表示パネルアセンブリを概略的に示す分解斜視図である。
【
図3】
図2のIII−III線による断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による表示パネルアセンブリの表示領域の一部分を示す拡大断面図である。
【
図5】
図3のVを拡大して示したものであって、本発明の一実施形態による不透明層を拡大して示す断面図である。
【
図6】不透明層に入射する光路を概略的に示す概念図である。
【
図7】本発明のさらに他の実施形態による不透明層を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、添付した図面と共に詳細に後述される実施形態を参照して明確にされる。しかし、本発明は、後述示する実施形態に限定されず、異なる多様な形態に具現されうる。
本実施形態は、本発明の開示を完全にさせ、当業者に発明の範疇を完全に知らせるために提供され、本発明は、請求項の範疇によって定義される。一方、本明細書で使われる用語は、実施形態を説明するためのものであり、本発明を制限するものではない。本明細書で、単数型は、文言で特に述べない限り複数型も含む。明細書で使われる“含む(Comprises)”及び/または“含むところの(Comprising)”は、述べられた構成要素、ステップ、動作及び/または素子は、一つ以上の他の構成要素、ステップ、動作及び/または素子の存在または追加を排除しない。第1、第2などの用語は、多様な構
成要素の説明に使われるが、構成要素は、用語によって限定されるものではない。用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で使われる。
【0028】
図面では、複数の層、領域、膜を明確に表現するために、厚さを拡大して示した。層、膜の構成が他の構成“上に”あるというのは、他の構成の“すぐ上に”ある場合だけではなく、その中間に他の構成が備えられた場合も含む。一方、ある構成が他の構成の“すぐ上に”あるとは、その中間に他の構成が備えられない場合を表す。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態による表示パネルアセンブリ20が装着された電子機器1を概略的に示した斜視図であり、
図2は、表示パネルアセンブリ20を概略的に示した分解斜視図であり、
図3は、
図2のIII-−III線による断面図である。
【0030】
図1を参照すれば、電子機器1は、少なくとも一面が開放されたハウジング10、及び表示パネルアセンブリ20を備える。電子機器1は、携帯電話、タブレットコンピュータのように携帯用電子機器でもあるが、これに限定されない。
【0031】
ハウジング10は、少なくとも一面が開放された形状であり、ハウジング10の開放された面は、表示パネルアセンブリ20によって覆われる。ハウジング10の内部には、電子機器1の駆動に必要な部品、例えば、バッテリー、外部基地局と通信するための端末装置が実装される。
【0032】
図1ないし
図3を参照すれば、表示パネルアセンブリ20は、ウィンドウカバー110、それぞれのウィンドウカバー110の背面に配される表示パネル120及び不透明層130を備える。表示パネル120の背面には、表示パネル120を保護するためのカバー(またはベゼル)(図示せず)がさらに備えられる。
【0033】
ウィンドウカバー110は、表示領域DAと、表示領域DAの外周縁に形成された非表示領域NDAとを含む。表示領域DAに対応する位置には、表示パネル120が備えられ、不透明層130は、非表示領域NDAに対応する位置に備えられる。
【0034】
また、ウィンドウカバー110は、透明な素材を含む。例えば、ウィンドウカバー110は、ガラス基板またはポリマー基板を含む。ポリマー基板としてはポリイミドを使うが、これに限定されない。
【0035】
表示パネル120は、ウィンドウカバー110の表示領域DAに対応する位置に配され、接着物質によってウィンドウカバー110の背面に付着される。表示パネル120は、例えば有機発光表示パネルである。
【0036】
不透明層130は、ウィンドウカバー110の非表示領域NDAに対応する位置に配され、ウィンドウカバー110を通じて入射した光を選択的に反射させてユーザにメタリックな色感を提供できる。この機能のために、不透明層130は、誘電体ミラー層134(
図5)を備える。不透明層130の具体的な構成は、
図5ないし
図7を参照して、当該部分で詳細に説明する。
【0037】
図4は、本発明の一実施形態による表示パネルアセンブリ20の表示領域DAの一部分を抜粋して示した拡大断面図である。
【0038】
図4を参照すれば、表示パネルアセンブリ20の表示領域DAは、ウィンドウカバー110の背面に配される表示パネル120を備え、表示パネル120は、接着物質105によってウィンドウカバー110の背面に付着される。表示パネル120は、第1基板210、第1基板210上に配された表示素子220、表示素子220上に形成された第2基板250、第2基板250上に形成された光学フィルム260を備える。
【0039】
表示素子220は、第1基板210上に配された画素電極241、画素電極241上に配された対向電極243、画素電極241と対向電極243との間に介在される有機発光層242を備える有機発光素子240を備える。有機発光素子240は、電流の流れによって赤、緑、青色の光を発光して所定の画像情報を表示するものであって、素子/配線層230上に配される。
【0040】
第1基板210は、耐熱性及び耐久性に優れた高分子を含む基板か、またはガラス基板である。第1基板210上に形成された素子/配線層230は、有機発光素子240を駆動させる駆動薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)、スイチング薄膜トランジスタ(図示せず)、保存キャパシタC1、薄膜トランジスタや保存キャパシタC1と連結される配線(図示せず)を含む。駆動薄膜トランジスタTFTは、活性層231と、ゲート電極233と、ソース電極及びドレイン電極235a,235bと、を含む。
【0041】
バリヤ膜213は、第1基板210と素子/配線層230との間に介在され、水気や酸素のような外部の異物が第1基板210を透過して有機発光素子240に浸透することを防止できる。
【0042】
素子/配線層230上には、有機発光素子240が配される。有機発光素子240は、画素電極241と、画素電極241上に配された有機発光層242と、有機発光層242上に形成された対向電極243とを含む。
【0043】
本実施形態では、画素電極241はアノード(anode)であり、対向電極243はカソード(cathode)で構成されるが、本発明は、これに限定されず、有機発光表示装置の駆動方法によって、画素電極241がカソードであり、対向電極243がアノードでもある。画素電極241及び対向電極243からそれぞれ正孔及び電子が有機発光層242の内部に注入される。注入された正孔及び電子が結合したエキシトン(exiton)が励起状態から基底状態に落ちる際に光が放出される。画素電極241は、素子/配線層230に形成された駆動薄膜トランジスタTFTと電気的に連結される。
【0044】
なお、本実施形態では、有機発光素子240が駆動薄膜トランジスタTFTの配された素子/配線層230上に配された構造について記述しているが、本発明は、これに限定されず、有機発光素子240の画素電極241が、薄膜トランジスタTFTの活性層231と同一層に形成された構造、または画素電極241が薄膜トランジスタTFTのゲート電極233と同一層に形成された構造、または画素電極241がソース電極及びドレイン電極235a,235bと同一層に形成された構造など、多様な形態に変形可能である。また、本実施形態において、駆動薄膜トランジスタTFTは、ゲート電極233が活性層231上に配されるが、本発明はこれに制限されず、ゲート電極233が活性層231の下部に配されることもある。
【0045】
また、本実施形態の有機発光素子240に備えられた画素電極241は、反射電極でもあり、画素電極241に対向するように配された対向電極243は、透明または半透明電極でもある。したがって、対向電極243は、有機発光層242から放出された光を透過させることができる。
【0046】
有機発光層242は、画素電極241と対向電極243との間に配され、低分子有機物または高分子有機物である。画素電極241と対向電極243との間には、有機発光層242以外に、ホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、ホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)及び電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)のような中問層が選択的に配される。
【0047】
第2基板250は、表示素子220をカバーする。第2基板250は、単一基板で形成されるか、または有機膜と無機膜とを交互に積層して形成されうる。
【0048】
光学フィルム260は、第2基板250上に形成される。光学フィルム260は、位相遅延板及び偏光板のうち少なくともいずれか一つとして使われる。光学フィルム260は、外光反射を抑制して、表示パネル120の視認性及びコントラストを向上させることができる。
【0049】
図5は、
図3のVの部分を拡大して示した図面であって、本発明の一実施形態による不透明層130を拡大して示した断面図である。
【0050】
図5を参照すれば、不透明層130は、ウィンドウカバー110を通じて入射した光を選択的に反射させ、ユーザにメタリックな色感を提供する誘電体ミラー層134、及び誘電体ミラー層134上に形成された光吸収層135を備える。
【0051】
一実施形態として、不透明層130は、フィルム132の背面上に誘電体ミラー層134及び光吸収層135を順次に形成することによって製作される。このように製作された不透明層130は、接着層131によってウィンドウカバー110の背面に付着される。
【0052】
フィルム132は、ウィンドウカバー110を通じて入射する光が誘電体ミラー層134に入射するように、透明な素材を含む。例えば、フィルム132は、ポリエチレンエーテルフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン及びポリイミドで構成される。
【0053】
なお、フィルム132は、ウィンドウカバー110の背面において、誘電体ミラー層134及び光吸収層135を配するための媒介体であって、工程によって省略されることもある。例えば、ウィンドウカバー110の背面上に、直接誘電体ミラー層134を形成し、誘電体ミラー層134上に、光吸収層135を形成すすることにより、フィルム132は省略されうる。
【0054】
誘電体ミラー層134は、屈折率の異なる複数の誘電体層341,342,343(
図6)を備える。例えば、誘電体ミラー層134は、ウィンドウカバー110の背面上に形成された第1誘電体層341、第1誘電体層341上に形成された第2誘電体層342、及び第2誘電体層342上に形成された第3誘電体層343を備える。
【0055】
一実施形態として、第1誘電体層341及び第3誘電体層343の屈折率は、第2誘電体層342の屈折率より大きく形成される。すなわち、誘電体ミラー層134は、高屈折率の第1誘電体層341、低屈折率の第2誘電体層342、及び高屈折率の第3誘電体層343を備える。例えば、第1誘電体層341及び第3誘電体層343は、二酸化チタン(TiO
2)を含み、第2誘電体層342は、二酸化ケイ素(SiO
2)を含む。
【0056】
他の実施形態においては、第1誘電体層341及び第3誘電体層343の屈折率が、第2誘電体層342の屈折率より小さく形成される。すなわち、誘電体ミラー層134は、低屈折率の第1誘電体層341、高屈折率の第2誘電体層342、及び低屈折率の第3誘電体層343を備える。例えば、第1誘電体層341及び第3誘電体層343は、二酸化ケイ素(SiO
2)を含み、第2誘電体層342は、二酸化チタン(TiO
2)を含む。
なお、これら第1誘電体層341及び第3誘電体層343の屈折率は、相対的に大小差があればよく、特定の値に限定されるものではない。
【0057】
前述したように、高屈折率層と低屈折率層とが交互に形成された誘電体ミラー層134を通じて、ユーザにメタリックな多様な色感を提供することができる。これは、複数の誘電体層341,342,343を含む誘電体ミラー層134が、それぞれの誘電体層341,342,343の境界面で反射される光の干渉に基づいて、メタリックな多様な色感を提供できるからである。
【0058】
すなわち、ウィンドウカバー110を通じて入射した光の一部は、誘電体ミラー層134によって反射され、ユーザにメタリックな色感を提供し、誘電体ミラー層134で反射されない残りの光は、光吸収層135に吸収される。このために、光吸収層135は、例えば黒色の印刷層であり、スプレイ、スクリーンプリンティングのような方法を利用して、誘電体ミラー層134上に黒色の塗料を塗布することによって形成される。
【0059】
図6は、不透明層130に入射する光路を概略的に示した概念図である。
【0060】
図6を参照すれば、ウィンドウカバー110を通じて入射した光は、白色光であって、誘電体ミラー層134に入射する。具体的に、第1誘電体層341に向かって入射した光の一部は反射され、残りは屈折されて第2誘電体層342に入射する。第2誘電体層342に向かって入射した光の一部は反射され、残りは屈折されて第3誘電体層343に入射する。第3誘電体層343に入射した光の一部は反射され、残りは屈折されて光吸収層135に入射する。
【0061】
光の反射は、各層の境界面で発生し、それぞれの境界面で反射された光は、誘電体ミラー層134の補強干渉条件を満足する波長に対応する光であり、反射された光は、ユーザにメタリックな色感を提供する。補強干渉条件を満足する波長は、相互に補強する可視光線帯域の波長であって、ユーザは、誘電体ミラー層134により補強された光の色感を認知する。一方、誘電体ミラー層134のそれぞれの境界面で反射されずに、誘電体ミラー層134を通過した光は、黒色の印刷層である光吸収層135に吸収される。
【0062】
誘電体ミラー層134は、誘電体層の数及び厚さを変更することによって、メタリックな多様な色感をユーザに提供することができる。例えば、誘電体ミラー層134が、約50Å厚のTiO
2を含む第1誘電体層341、約300Å厚のSiO
2を含む第2誘電体層342、約350Å厚のTiO
2を含む第3誘電体層343を含む場合、ユーザは、メタリックなブルー色を視認することができる。
【0063】
他の実施形態として、誘電体ミラー層134が、約100Å厚のTiO
2を含む第1誘電体層341、約300Å厚のSiO
2を含む第2誘電体層342、約1000Å厚のTiO
2を含む第3誘電体層343を含む場合、ユーザは、メタリックなブラウン色を視認することができる。
【0064】
さらに他の実施形態として、誘電体ミラー層134が、約200Å厚のTiO
2を含む第1誘電体層341、約400Å厚のSiO
2を含む第2誘電体層342、約100Å厚のTiO
2を含む第3誘電体層343を含む場合、ユーザは、メタリックなシルバーを視認することができる。
【0065】
図7は、本発明のさらに他の実施形態による不透明層130’を拡大して示した断面図である。
【0066】
図7を参照すれば、不透明層130’は、モールディング層133をさらに備える。モールディング層133は、透過率の高いウレタンアクリレート系の樹脂で形成され、モールディング層133の背面には、凹凸が形成される。モールディング層133は、フィルム132の背面上に塗布された後、紫外線(UV)によって硬化されることによって製造される。
【0067】
ウィンドウカバー110と誘電体ミラー層134との間に、凹凸面を有するモールディング層133をさらに備えることによって、モールディング層133のすぐ上に形成される誘電体ミラー層134’も、凹凸面を有する。誘電体ミラー層134’の凹凸面は、誘電体層341’,342’,343’の境界面で反射される光を乱反射させる機能を行える。
【0068】
図6を参照して説明したように、誘電体ミラー層134’に入射した光は、誘電体ミラー層134’を構成する複数の誘電体層341’,342’,343’の境界面で反射されることによって、ユーザにメタリックな色感を提供する。この時、複数の誘電体層341’,342’,343’の境界面が凹凸面を含むので、反射される光が複数の方向に乱反射される。凹凸面を通じた乱反射によって、ユーザにさらに強いメタル感を提供できる。
【0069】
前述したように、誘電体ミラー層134,134’を構成する誘電体層が3層で形成された場合を説明したが、これに限定されない。例えば、誘電体ミラー層134,134’は、2層の誘電体層で構成されるか、または4層以上の誘電体層で構成されうる。
【0070】
本発明は、図面に示された一実施形態を参照して説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるということが分かるであろう。したがって、本発明の真の保護範囲は、特許請求の範囲によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、表示装置関連の技術分野に好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 電子機器、
10 ハウジング、
20 表示パネルアセンブリ、
110 ウィンドウカバー、
120 表示パネル、
130,130’ 不透明層、
131 接着層、
132 フィルム、
133 モールディング層、
134,134’ 誘電体ミラー層、
135 光吸収層、
210 第1基板、
220 表示素子、
230 素子/配線層、
240 有機発光素子、
250 第2基板、
260 光学フィルム、
341,341’ 第1誘電体層、
342,342’ 第2誘電体層、
343,343’ 第3誘電体層。