【文献】
ショーボンド建設株式会社,SBクリアドレーン工法,日本,ショーボンド建設株式会社,2010年 1月,URL,http://www.sho-bond.co.jp/method/018.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明をトンネルの覆工壁の剥落防護に適用した図示の基本形態について説明すると、
図1乃至
図7において1は剥落防護対象である鉄道または道路トンネルで、地山2を掘削した掘削穴3にコンクリート、煉瓦等の防護壁である覆工壁4が構築され、その内空5の底部に鉄道または道路を施工可能なインバートコンクリート部6が敷設されている
【0024】
前記覆工壁4の天端部と両側壁上部に亘って、当該部の剥落と漏水を阻止可能な中空構造の複数の補強板7が取付けられている。
前記補強板7は、ポリプロピレンまたはポリカーボネート等の強靭で軽量な合成樹脂で構成され、その板厚は約5.2〜5.3mmの薄厚に構成され、これを例えば0.6m×2.0m、1m×3mの矩形に裁断して使用している。
【0025】
前記補強板7は、所定間隔に対向配置した前述の合成樹脂製の薄厚の一対のライナープレート8,9と、該ライナープレート8,9の間に配置された前述の合成樹脂製の薄厚のコアプレート10とで、三層状に構成されている。
前記ライナープレート8,9とコアプレート10とは同形の矩形に形成され、このうちコアプレート10の一側面は一方のライナープレート9に接着ないし溶着され、その他側面に中空の筒状または軸状の円錐台形の補強凸部11が複列千鳥状に配置され、その円錐台形状の先端部11aを他方のライナープレート8に接着ないし溶着している。
したがって、補強板7は多数の補強凸部11によってライナープレート8,9を支持し、かつ所定の弾性と剛性を形成して堅牢に構成され、その内部はライナープレート8とコアプレート10との間の補強凸部11の空隙によって、中空かつ連通可能に構成されている。
【0026】
前記補強板7の両側端部と中間位置に座金12が配置され、該座金12にアンカーボルト13を挿入し、これを覆工壁4に打ち込んで固定している。
前記ライナープレート8,9の一方、実施形態ではライナープレート8の適宜位置に複数の導水孔14が形成され、該導水孔14を補強板7の内部に連通可能にしていて、該導水孔14を覆工壁4の漏水位置に対応して適宜工具を介し施工現場で搾孔可能にされ、施工時は前記導水孔14ないしライナープレート8を覆工壁4の内面に向けて補強板7を配置し、アンカーボルト13によって固定可能にしている。
【0027】
前記補強板7の取付け状況は
図2および
図6のようで、覆工壁4の天端部に覆工壁4の壁面に沿って補強板7を円周方向に密着して配置し、該補強板7の両端部上に別の補強板7,7の上側端部を重合し、その重合部をアンカーボルト13を介して覆工壁4に固定している。
【0028】
そして、前記補強板7,7を覆工壁4の壁面に沿って円周方向に配置し、その下側端部を覆工壁4の内面に密着して配置し、かつ該補強板7,7と覆工壁4との間に下側に漸次幅狭の楔形の空隙部15を形成し、該空隙部15を漏水樋または漏水溜りとして機能可能にしている。
【0029】
前記密着した補強板7の下側端部上に次の補強板7,7の上側端部を重合し、その重合部をアンカーボルト13を介して覆工壁4に固定し、前記補強板7,7の下側端部を覆工壁4の壁面に沿って円周方向に配置し、補強板7,7と覆工壁4との間に下側に漸次幅狭の楔形の空隙部15を形成している。
【0030】
そして、前記補強板7,7の下側端部を覆工壁4の内面に沿って円周方向に配置し、その下側端部を覆工壁4の壁面に密着して配置し、前記補強板7,7と覆工壁4との間に下側に漸次幅狭の楔形の空隙部15を形成するとともに、前記密着した補強板7,7の下側端部をアンカーボルト13を介して覆工壁4に固定している。
【0031】
基本形態では覆工壁4の上部内面の施工域に5枚の補強板7を円周方向に配置し、その両端部をアンカーボルト13を介して覆工壁4に固定しているが、これを天端部から覆工壁4の側壁下部に亘る全域に施工しても良く、その場合は前述と同様に補強板7を繰り返し施工すれば良い。
この他、図中、16は座金12に形成したアンカーボルト13の挿通孔、17はトンネル1内を走行する自動車である。
【0032】
このように構成したトンネルの剥落防護構造の基本形態は補強板7の製作を要し、該補強板7はポリプロピレンまたはポリカ−ボネ−ト等の強靭で軽量な合成樹脂で構成し、量産化を図れるから、従来の量産化が困難なFRP製のものに比べて、安価に製作し得る。
また、前記補強板7の板厚は約5.2〜5.3mmの薄厚で、これを施工に際して例えば0.6m×2.0m、1m×3mの矩形に裁断して使用し、実施形態では覆工壁4の天端部から両側壁の上部に亘って5枚の補強板7を取付け、その裁断寸法を決定している。
【0033】
前記補強板7は、前述の合成樹脂製の薄厚の一対のライナープレート8,9と、該ライナープレート8,9の間に配置する前述の合成樹脂製の薄厚のコアプレート10とからなり、これらのライナープレート8,9とコアプレート10とを同形の矩形に形成し、ライナープレート9とコアプレート10を接着ないし溶着するとともに、ライナープレート8と補強凸部11の先端部11aを接着ないし溶着して、約5.2〜5.3mmの薄厚の三層状に構成する。
すなわち、前記コアプレート10の一側面を一方のライナープレート9に接着ないし溶着し、その他側面に
図4のように中空の円錐台形の多数の補強凸部11を複列千鳥状に配置し、その円錐台状の先端部11aを他方のライナープレート8に接着ないし溶着する。
【0034】
このようにすることによって、補強板7は多数の補強凸部11によって所定の弾性と剛性を備えて堅牢に構成し、その内部をライナープレート8とコアプレート10との間の補強凸部11の空隙によって、中空かつ連通可能に構成する。
しかも、補強板7は前記合成樹脂材と中空構造によって軽量であるから、その取扱や搬送に至便であり、また後述のように羊毛と同程度の熱伝導率を備え、断熱作用ないし保温性を奏するから、トンネル1内の低温化を抑制し、坑内の氷柱の形成や結露の氷結を防止し得る。
【0035】
こうして補強板7の原板を工場で製作後、該工場において施工現場のトンネル1内空5の形状寸法や作業条件に応じて適宜形状寸法に裁断し、その所定位置にアンカーボルト13の挿通孔16を形成する。
【0036】
前記製作した補強板7について、発明者は補強板7の製作後、補強板7の機械的強度や物理的特性を計測したところ、次の結果を得た。
先ず、補強板7の試験片(150mm×150mm)を作製し、この試験片についてMDおよびTD方向の衝撃強度をバンクチャ−試験機によって計測した。
その結果、MDおよびTD方向の衝撃強度は270kg・cmおよび200kg・cmで、特にMD方向の衝撃強度は段ボ−ルの4倍程度で、一定の弾性を備えていることが確認された。したがって、補強板7は一定の緩衝効果を奏し、自動車17等の接触時に自動車17や覆工壁4の損傷を軽減し得ることが確認された。
【0037】
また、補強板7の試験片(100mm×100mm)を作製し、この試験片についてJIS−K−7208に準拠して平面圧縮強度を計測した。
その結果、平面圧縮強度は11.1kg/cm
2で、高い平面圧縮強度が確認され、潰れ難いことが確認された。
【0038】
また、ホロメトリックス社製Rapid−Kにより、JIS−A−1412−2に準拠して熱伝導率(断熱性)を大気中で室温から150℃において計測したところ、熱伝導率が0.058W/mkであることが確認された。
これは羊毛の熱伝導率(断熱性)の0.05W/mkと同程度で、発泡スチロールが0.03W/mkであることを考慮すると、優れた断熱性ないし保温性があることが確認され、トンネル1内での結露防止および氷柱生成防止効果を奏することが確認された。
【0039】
次に、前記補強板7を使用して覆工壁4の壁面を補強する場合は、トンネル1の内空5の断面形状と作業条件に応じて、例えば製造工場で補強板7を適宜形状寸法に裁断し、これを施工現場へ搬送する。基本形態では、例えば0.6m×2.0m、1m×3mの矩形に裁断して使用する。
前記搬送後、施工現場において覆工壁4のクラック等による漏水位置と状況に応じて、前記裁断した補強板7の一方のライナープレート8,9、基本形態ではライナープレート8の所定位置に所要数の導水孔14を適宜工具によって孔明けする。
【0040】
そして、前記導水孔14を覆工壁4の壁面に向けて前記補強板7のライナープレート8を覆工壁4の天端部に位置付け、かつ覆工壁4の壁面に沿って円周方向に湾曲して密着し、補強板7の両側に配置した座金12の挿通孔16にアンカーボルト13を差し込み、これを覆工壁4に打ち込んで、補強板7を天端部に取付ける。この場合、補強板7は軽量で適度な可撓性を有するから、前記取付け作業を容易に行なえる。
【0041】
この場合、補強板7は多数の補強凸部11を複列千鳥状に配置され、補強凸部11同士が比較的粗に配置されて、それらの空隙が連通し、しかも補強凸部11の配置状態によって、補強板7の連通状態や湾曲方向に制約を伴なわないから、補強板7を覆工壁4の内面に円周方向に配置する他、トンネル1の坑内方向に配置しても良く、そのように構成することで補強板7の施工上の自由度を得られる。
【0042】
この後、前記補強板7の両端部上に次の補強板7,7の上側端部を重合し、その重合部にアンカーボルト13を挿通して覆工壁4に打ち込み、これらを固定する。
そして、前記補強板7,7を覆工壁4の壁面に沿って円周方向に配置し、その下側端部を覆工壁4の壁面に密着して配置し、かつ該補強板7,7と覆工壁4との間に下側に漸次幅狭の楔形の空隙部15を形成し、該空隙部15を漏水樋または漏水溜りとして機能させる。
【0043】
前記密着した補強板7,7の下側端部上に次の補強板7,7の上側端部を重合し、その重合部にアンカーボルト13を挿通して覆工壁4に打ち込み、これらを固定する。
そして、前記補強板7,7を覆工壁4の壁面に沿って円周方向に配置し、その下側端部を覆工壁4の内面に密着して配置し、該密着した補強板7,7の下側端部をアンカーボルト13を介して覆工壁4に固定し、補強板7,7と覆工壁4との間に下側に漸次幅狭の楔形の空隙部15を形成し、該空隙部15を漏水樋または漏水溜りとして機能させる。
【0044】
以降、前記作業をトンネル1の坑内方向に移動して補強板7を取付け、覆工壁4の漏水箇所に対応する所定域に補強板7を被覆し終えたところで、覆工壁4の補修ないし漏水防止作業を終了する。
その際、トンネル1の最外側に位置する補強板7の外側部は内部が表出し、当該部から漏水が漏洩する惧れがあるため、前記外側部に適当な遮蔽板を取付けて閉塞することが望ましい。
【0045】
なお、この基本形態では覆工壁4の上部周面の施工域に5枚の補強板7を円周方向に配置し、その両端部をアンカーボルト13を介して覆工壁4に固定しているが、これを天端部から覆工壁4の側壁下部に亘る全域に施工しても良く、その場合は前述と同様の要領で補強板7を順次取付ければ良い。
また、この基本形態はトンネル1の覆工壁4の補修ないし漏水対策に本発明を適用しているが、トンネル1に限らず橋梁の床版下面、ボックスカルバ−ト等の剥落防護にも適用可能である。
【0046】
こうして補強板7を取付け終えたトンネル1の状況は
図1および
図2のようで、覆工壁4の壁面上部に複数の補強板7が被覆され、該補強板7はライナープレート8,9と多数の補強凸部11を突設したコアプレート10との三層構造に構成され、所定の平面圧縮強度と弾性ないし衝撃強度を有するから、覆工壁4の支持強度を増強し、その剥落を防止するとともに、覆工壁4のクラックからの漏水を防止する。
【0047】
また、トンネル1内を走行する自動車17の接触や衝突に対し十分な緩衝効果を奏するから、自動車17や覆工壁4の損傷ないし破損を軽減する。
更に、補強板7は羊毛と同程度の熱伝導率を備え、断熱作用ないし保温性を有するから、トンネル1内の低温化を抑制し坑内の保温を促すから、氷柱の形成や結露の氷結を防止し得る。
【0048】
一方、覆工壁4の例えば劣化に伴いクラック(図示略)から漏れ出た漏水は、覆工壁4に面する補強板7の一方のライナープレート8上に流下し、該ライナープレート8と覆工壁4との間の空隙部15に滞留する。
そして、空隙部15に所定量の漏水が滞留すると、この漏水はライナープレート8に形成した導水孔14から補強板7の内部に流入し、該補強板7の内部を補強凸部11,11間の空隙に導かれて下方へ移動する。
【0049】
この場合、導水孔14は覆工壁4の漏水箇所に対応するライナープレート8の所定位置に、予め所定数形成されているから、空隙部15に滞留した漏水を合理的かつ速やかに補強板7の内部へ導入する。
そして、補強板7の内部を漏水が移動する際、下側のライナープレート9に導水孔14は形成されておらず、またライナープレート9上にコアプレート10が密着かつ接着されているから、漏水が外部へ漏れ出ることはない。
【0050】
また、補強板7の内部には多数の補強凸部11が連通可能に配置され、これらが漏水の直線的な移動を妨げ複雑に屈折する流路を強いるから、漏水は補強凸部11,11の間を複雑に屈折しながら長い流路を移動して補強板7の下端部に到達し、該下端部から直下の空隙部15へ流出する。
【0051】
前記空隙部15へ流れ出た漏水は該空隙部15に滞留し、所定量滞留したところで導水孔14から補強板7の内部に流入し、該補強板7の内部を補強凸部11,11によって複雑に屈折して補強板7の下端部に到達し、該下端部から直下の空隙部15へ流出する。
以降、漏水は空隙部15に流下して滞留し、導水孔14から補強板7の内部に流入して移動し、該補強板7の下端部から直下の空隙部15へ流出する。
【0052】
そして、漏水が補強板7の内部を移動する際、補強凸部11,11に接触して四方に分流し、流速ないし流量を抑制されて長い移動路を長い時間を掛けて移動し、直下の空隙部15へ流出する。
したがって、補強板7は漏水の流速ないし流量を制御し、その排水量を調整し得るから、漏水量が増える雪解け時期や雨期に有効に対応し得る。
こうして覆工壁4の円周方向の最下位置の補強板7から流下した漏水は、トンネル1内の排水溝(図示略)に導かれてトンネル1の外部へ排出される。
【0053】
図8乃至
図13は本発明の他の基本形態と別の基本形態を示し、前述の構成と対応する部分に同一の符号を用いている。
このうち、
図8乃至
図11は本発明の他の基本形態を示し、この基本形態は補強板7の合成樹脂製のコアプレート10に円錐台形の中空の補強凸部11を突設する代わりに、波形ないし鋸歯状断面の多数の補強凸部11をコアプレート10の長さ方向または長さ方向と直交方向に突出成形し、その平坦な先端部11aをライナープレート8の内面に接着ないし溶着するとともに、コアプレート10の一端部をライナープレート9上に接着ないし溶着している。
このようにすることで、補強凸部11の先端部11aとライナープレート8との固定面積を増大して結合力を強化し、堅牢な補強板7を得るようにしている。この状況は
図8乃至
図10のようである。
【0054】
前記補強板7を使用して覆工壁4の壁面を補強する場合は、トンネル1の内空5の断面形状と作業条件に応じて、例えば製造工場で補強板7を適宜形状寸法に裁断し、これを施工現場へ搬送し、施工現場で覆工壁4のクラック等による漏水位置と状況に応じて、前記裁断した補強板7の一方のライナープレート8および/または補強凸部11の先端部11aに所要数の導水孔14を適宜工具によって孔明けする。
【0055】
そして、前記導水孔14を覆工壁4の壁面に向けて前記補強板7のライナープレート8を覆工壁4の天端部に位置付け、かつ波形ないし鋸歯状の連通部を覆工壁4の壁面に沿って円周方向に湾曲して密着し、該補強板7の両側に配置した座金12の挿通孔16にアンカーボルト13を差し込み、これを覆工壁4に打ち込んで、補強板7を天端部に取付ける
この場合、補強板7は軽量で適度な可撓性を有するから、前記取付け作業を容易に行なえる。
【0056】
この後、前記補強板7の両端部上に、導水孔14を覆工壁4の壁面に向けて次の補強板7,7の上側端部を重合し、その重合部にアンカーボルト13を挿通して覆工壁4に打ち込み、これらを固定する。
そして、前記補強板7,7を覆工壁4の壁面に沿って円周方向に配置し、その下側端部を覆工壁4の壁面に密着して配置し、かつ該補強板7,7と覆工壁4との間に下側に漸次幅狭の楔形の空隙部15を形成し、該空隙部15を漏水樋または漏水溜りとして機能させる。
【0057】
前記密着した補強板7,7の下側端部上に次の補強板7,7の上側端部を重合し、その重合部にアンカーボルト13を挿通して覆工壁4に打ち込み、これらを固定する。
以降、前記作業をトンネル1の坑内方向に移動して補強板7を取付け、覆工壁4の漏水箇所に対応する所定域に補強板7を被覆し終えたところで、覆工壁4の補修ないし漏水防止作業を終了する。この状況は
図11のようである。
【0058】
補強板7の取付け後、覆工壁4の例えば劣化に伴いクラックから漏れ出た漏水は、覆工壁4に面する補強板7の一方のライナープレート8上に流下し、該ライナープレート8と覆工壁4との間の空隙部15に滞留する。
そして、空隙部15に所定量の漏水が滞留すると、この漏水はライナープレート8に形成した導水孔14から補強板7の補強凸部11内に流入し、該凸部11内を覆工壁4の円周方向に沿って下方へ移動する。
その際、補強凸部11内は一様な中空断面の流路を形成するから、漏水は一方向に円滑かつ速やかに移動し、その下端部から直下の空隙部15に流出する。
【0059】
図12乃至
図14は本発明の別の基本形態を示し、この基本形態は合成樹脂製のコアプレート10に互いに同形断面の波形ないし鋸歯状断面の多数の補強凸部17,18を間隔を置いて突出成形し、かつこれらの補強凸部17,18をコアプレート10の長さ方向または長さ方向と直交方向に突出成形するとともに、前記補強凸部17,18の波形ないし鋸歯状部の位相を互いにずらせて配置し、つまり複列千鳥状に配置して、補強板7の内部を中空かつ連通可能に構成している。
そして、前記補強凸部17,18の平坦な先端部17a,18aをライナープレート8の内面に接着ないし溶着し、補強凸部17,18の基部であるコアプレート10をライナープレート8の上面に接着ないし溶着している。
【0060】
前記補強板7を使用して覆工壁4の壁面を補強する場合は、トンネル1の内空5の断面形状と作業条件に応じて、例えば製造工場で補強板7を適宜形状寸法に裁断し、これを施工現場へ搬送し、施工現場で覆工壁4のクラック等による漏水位置と状況に応じて、前記裁断した補強板7の一方のライナープレート8および/または補強凸部17,18の先端部17a,18aに所要数の導水孔14を適宜工具によって孔明けする。
【0061】
そして、前記導水孔14を覆工壁4の壁面に向けて補強板7のライナープレート8を覆工壁4の天端部に位置付け、かつ覆工壁4の壁面に沿って円周方向に湾曲して密着し、該補強板7の両側に配置した座金12の挿通孔16にアンカーボルト13を差し込み、これを覆工壁4に打ち込んで、補強板7を天端部に取付ける。この場合、補強板7は軽量で適度な可撓性を有するから、前記取付け作業を容易に行なえる。
【0062】
この場合、補強板7は多数の補強凸部17,18を複列千鳥状に配置し、補強凸部17,18同士を比較的粗に配置して、それらの空隙を連通させており、しかも補強凸部17,18の配置状態によって、補強板7の連通状態や湾曲方向に制約を伴なわないから、補強板7を覆工壁4の壁面に円周方向に配置したり、トンネル1の坑内方向に配置しても良く、そのように構成することで補強板7の施工上の自由度を得られる。
【0063】
この後、前記補強板7の両端部上に、導水孔14を覆工壁4の壁面に向けて次の補強板7,7の上側端部を重合し、その重合部にアンカーボルト13を挿通して覆工壁4に打ち込み、これらを固定する。
そして、前記補強板7,7を覆工壁4の壁面に沿って円周方向に配置し、その下側端部を覆工壁4の壁面に密着して配置し、かつ該補強板7,7と覆工壁4との間に下側に漸次幅狭の楔形の空隙部15を形成し、該空隙部15を漏水樋または漏水溜りとして機能させる。
【0064】
前記密着した補強板7,7の下側端部上に次の補強板7,7の上側端部を重合し、その重合部にアンカーボルト13を挿通して覆工壁4に打ち込み、これらを固定する。
以降、前記作業をトンネル1の坑内方向に移動して補強板7を取付け、覆工壁4の漏水箇所に対応する所定域に補強板7を被覆し終えたところで、覆工壁4の補修ないし漏水防止作業を終了する。この状況は
図14のようである。
【0065】
補強板7の取付け後、覆工壁4の例えば劣化に伴いクラックから漏れ出た漏水は、覆工壁4に面する補強板7の一方のライナープレート8上に流下し、該ライナープレート8と覆工壁4との間の空隙部15に滞留する。
そして、空隙部15に所定量の漏水が滞留すると、この漏水はライナープレート8に形成した導水孔14から補強板7の補強凸部17,18内に流入し、この内部を移動後補強凸部17,18外に流出し、周辺の補強凸部17,18に流入して覆工壁4の円周方向に沿って下方へ移動する。
【0066】
このように漏水が補強板7の内部を移動する際、補強凸部17,18に接触して四方に分流し、流速ないし流量を抑制されて長い移動路を長い時間を掛けて移動し、直下の空隙部15へ流出する。
したがって、補強板7は前述の基本形態と同様に漏水の流速ないし流量を制御し、その排水量を調整し得るから、漏水量が増える雪解け時期や雨期に有効に対応し得る。
こうして覆工壁4の円周方向の最下位置の補強板7から流下した漏水は、トンネル1内の排水溝(図示略)に導かれてトンネル1の外部へ排出される。
【0067】
図15乃至
図21は本発明の実施形態を示し、この実施形態は第1および第2補強板7a,7bを有し、一対の第1補強板7a,7aを天端部に隣接して配置し、その下側端部に第2補強板7b,7bを配置している。
前記第1および第2補強板7a,7bは同形の補強板7,7を備え、それらの一側面、実施形態では覆工壁4側にゴム等の弾性材からなるシールパッキング19,20,21を接着剤または両面連結シートを介して取付けている。
【0068】
このうち、第1補強板7aは補強板7の一側面の長さ方向の片側に、合成樹脂製の矩形の連結シート22を接着し、その外側半部を補強板7の外側に突出し、この突出部22aの粘着面に剥離片23を貼り付けている。
前記連結シート22と補強板7の両側部に一対のシールパッキング19を接着剤を用いて平行に接着し、その一端を補強板7の外側に突出している。
そして、前記シールパッキング19,19の他端を補強板7の他端部の内側に配置し、該シールパッキング19,19の他端部にシールパッキング20を直交配置している。
【0069】
前記シールパッキング20はシールパッキング19と同幅に形成され、これを接着剤を用いて補強板7上に接着し、その内側面の両端部に前記シールパッキング19,19の他端部を接合していて、これらのシールパッキング19,19,20を補強板7上に逆コ字形状ないしU字形状に配置している。
【0070】
前記シールパッキング19,20の断面は横長矩形に形成され、その板厚は補強板7と略同厚に形成され、第1補強板7aを覆工壁4の壁面に設置時、覆工壁4の壁面と一対のシールパッキング19と、シールパッキング20と第1補強板7aとの間に導水スペース24を区画形成可能にし、該スペース24に所定の保温効果と通水スペースを確保し、覆工壁4から浸入する漏水25を収容かつ通水可能にし、また漏水25の凍結ないし氷柱の形成を防止するとともに、漏水25に含有するカルシウム成分の凝集ないし凝結による目詰まりを防止可能にしている。
【0071】
また、前記第2補強板7bは補強板7の一側面の長さ方向に、前記シールパッキング21,21を平行に配置し、その対向間隔はシールパッキング19,19の対向間隔と同一に形成され、該シールパッキング21,21の一端を補強板7の端部の内側に配置し、該補強板7の端部に前記突出部22aと同幅のブランク部26を形成し、該ブランク部26上に前記突出部22aを重合し、前記シールパッキング19,21の対向端部を係合可能にしている。
【0072】
前記シールパッキング21はシールパッキング19と同幅に形成され、その断面は横長矩形に形成されていて、これを接着剤を用いて補強板7上に接着し、その板厚を補強板7と略同厚に形成し、第2補強板7bを覆工壁4の壁面に設置時、覆工壁4の壁面と一対のシールパッキング21と、第2補強板7bとの間に導水スペース27を区画形成可能にし、該スペース27に所定の保温効果と通水スペ−スを確保し、覆工壁4から浸入する漏水25を収容かつ通水可能にし、また漏水25の凍結ないし氷柱の形成を防止するとともに、漏水25に含有するカルシウム成分の凝集ないし凝結による目詰まりを防止可能にしている。
したがって、この実施形態では導水スペース24,27によって、第1および第2補強板7bに前述のような導水孔14を要しない。
【0073】
このように構成した実施形態は、第1および第2補強板7a,7bの製作を要し、天端部に設置する第1補強板7aを製作する場合は、補強板7の一側面の片側端部に連結シート22を接着し、該シ−ト22の半部を補強板7の端部から外側に突出し、その突出部22aの粘着面に剥離片23を貼り付けて置く。
この後、補強板7の連結シート22側を除く周囲と連結シ−ト22上に接着剤を塗布してシールパッキング19,19,20を貼り付け、これらを逆コ字形状またはU字形状に配置する。
【0074】
また、覆工壁4の両側壁に設置する第2補強板7bを製作する場合は、補強板7の一側面の長さ方向に一対のシールパッキング21,21を平行に貼り付け、かつその対向間隔を前記シールパッキング19,19と同間隔に貼り付け、その片側端部に突出部22aと同幅のブランク部26を形成する。
【0075】
このように第1および第2補強板7a,7bの製作は補強板7の他に、連結シート22や剥離片23、シールパッキング19,20,21を要するが、これらは構成が簡単で容易に製作でき、またその作業は接着剤を塗布し、または連結シ−トを貼り付けて簡単に行なえるから、工場またはトンネル1の作業現場で容易かつ安価に製作できる。
【0076】
こうして製作した第1および第2補強板7a,7bは、予めそれらを組み付けて作業現場へ搬送することも可能であるが、それらを組み付けずに作業現場へ搬送し、実際の取付け時に適宜組み付ければ、第1および第2補強板7a,7bの取扱いが容易になり、搬送が容易になるとともに、トンネル1へ設置する際の作業性が向上する。
【0077】
こうして製作した第1および第2補強板7a,7bをトンネル1に設置する場合は、例えば一組の第1補強板7a,7aをトンネル1の円周方向に沿って天端部に設置し、その両側に第2補強板7b,7bを隣接して設置する。
【0078】
先ず、第1補強板7aを天端部に設置する場合は、シールパッキング19,19,20を上向き、つまり覆工壁4側に向けて第1補強板7aを保持し、前記パッキング19,19,20を覆工壁4の壁面に押し当て、かつ一方のシールパッキング20を天端部に位置付け後、シールパッキング20の両端部にアンカーボルト13を差し込み、これを覆工壁4に打ち込んで固定する。
このようにすると、シールパッキング20が若干押し縮められ、覆工壁4表面の凹凸部を許容して密着して取付けられ、覆工壁4とシールパッキング20との間の水密性が得られる。
【0079】
次に、第1補強板7aの剥離片23を引き剥がし、その粘着面を表出させた後、シールパッキング21,21を上向き、つまり覆工壁4側に向けて第2補強板7bを保持し、そのブランク部26を前記表出した粘着面に位置付けて重合し、前記ブランク部26を粘着面に押し当て、かつシールパッキング21,21の上側端部をシールパッキング19,19の下端部に押し当てて、それらを接合する。
【0080】
そして、第1補強板7aと第2補強板7bの接合部のシールパッキング19,21にアンカーボルト13,13を差し込み、これを覆工壁4に打ち込んで固定した後、第2補強板7bの下端部のシールパッキング21にアンカーボルト13を差し込み、これを覆工壁4に打ち込んで固定する。
このようにすると、シールパッキング19,21が若干押し縮められ、覆工壁4表面の凹凸部を許容して密着して取付けられ、補強板7を直接設置する場合に比べて作業性が向上するとともに、覆工壁4とシールパッキング19,21との間の水密性が得られる。
【0081】
こうして、覆工壁4の片側の円周方向に天端部から側壁に亘って第1および第2強板7a,7bを取付け後、覆工壁4の他側の円周方向に天端部から側壁に亘って、前述と同様の要領で第1および第2強板7a,7bを取付ける。
その際、第1補強板7a,7a同士は天端部に隣接して取付けられ、シールパッキング20,20同士が密着して取付けられ、補強板7を直接設置する場合に比べて作業性が向上するとともに、当該部の水密性が形成される。
【0082】
このように第1および第2補強板7a,7bの取付けは、それらを覆工壁4の円周方向に配置し、それらの接合部を接合または重合して接着し、その周辺にアンカーボルト13を打ち込んで固定する簡単な作業であるから、これを容易かつ速やかに行なえ工費の低減と工期の短縮化を図れる。
そして、第1および第2補強板7a,7bの取付け後、覆工壁4の劣化状況に応じて新たな第1および第2強板7a,7bを前記補強板7a,7bに隣接して取付ける。
【0083】
こうして、第1および第2補強板7a,7bの取付け後のトンネル1の補修状況は
図15,20,21のようで、覆工壁4の壁面はシールパッキング19,20,21を介して第1および第2補強板7a,7bで被覆されているから、覆工壁4の支持強度を増強し、その剥落を防止するとともに、覆工壁4のクラックからの漏水を防止する。
【0084】
また、覆工壁4の壁面に第1および第2補強板7a,7bのシールパッキング19,20,21が密着して取付けられ、それらの水密性を維持するとともに、シールパッキング19,20,21と補強板7と覆工壁4との間に中空の導水スペース24,27が連通して形成され、該導水スペース24,27は一端が天端部のシールパッキング20,20によって閉塞され、その他端が下端部に開口している。
したがって、導水スペース24,27は周囲をシールパッキング19,20,21によって囲繞され、かつ外部から空気が出入りするから、覆工壁4に補強板7を設置した場合に比べて保温性が向上する。
【0085】
このような状況において、例えば覆工壁4の劣化に伴いクラックから漏れ出た漏水25は、直下の導水スペース24,27を経て第1または第2補強板7a,7b上に流下し、該第1または第2補強板7a,7bに滞留することなく導水スペース24,27に沿って下方へ移動し、下端の第2補強板7b,7bの開口部から外部へ排出され、覆工壁4の下部側面に沿って流下する。
この場合、連結シート22は薄厚であるから、第1補強板7a上の突出によって導水スペース24の通水性を損なうことはない。
【0086】
したがって、漏水25は前述の保温効果と相俟って、第1または第2補強板7a,7b上で滞留して凍結したり、第1または第2補強板7a,7bから漏出して氷柱を形成することがなく、トンネル1坑内の障害物形成の不安を払拭し、坑内を移動する車両の交通の安全性を確保する。