(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
遠隔操作部を更に具備すると共に、前記測定装置本体は、前記上下モータと、前記左右モータの駆動を制御する演算処理部と、通信部とを具備し、前記遠隔操作部からの遠隔操作信号を前記通信部を介して受信し、前記演算処理部は、前記遠隔操作信号に基づき前記上下モータ及び前記左右モータを制御し、前記測距光の光軸を測定対象に向ける様構成された請求項1に記載の測定装置。
固定アタッチメントを更に具備し、該固定アタッチメントを介して前記測定装置本体及び前記設置台ユニットが所要の設置箇所に設置され、前記遠隔操作部からの遠隔操作で測定対象の測定を行う請求項2に記載の測定装置。
前記測定ユニットの光軸と平行な撮像光軸を有する撮像部と、該撮像部で撮像した画像を表示する表示部とを具備し、前記撮像部は測定対象を含む画像を取得し、該表示部には前記画像が表示される請求項1に記載の測定装置。
前記測定装置本体は、前記上下モータと、前記左右モータの駆動を制御する演算処理部と、追尾部とを具備し、前記設置台ユニットは前記測定装置本体の上下角を検出する上下角検出器を具備し、前記追尾部は、追尾光を射出する追尾投光部と、測定対象から反射された反射追尾光を受光する追尾受光部と、該追尾受光部の受光結果に基づき追尾信号を発する追尾演算部とを有し、前記演算処理部は前記追尾信号に基づき、更に前記左右角検出器及び前記上下角検出器からのフィードバック信号に基づき前記上下モータ及び前記左右モータを制御し、前記測距光の光軸を測定対象に向ける様制御する請求項1に記載の測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0018】
図1は、第1の実施例に係る測定装置を示している。
【0019】
該測定装置は、測定装置本体1及び該測定装置本体1を支持する設置台ユニット75を具備している。又、前記測定装置には、該測定装置本体1を所定の位置に設置する為の着脱用の固定アタッチメント80が設けられてもよい。更に、該固定アタッチメント80は、前記測定装置本体1に対して着脱可能としてもよい。
【0020】
前記測定装置本体1は、主に筐体2、測距光射出部3、受光部4、測距部5、撮像部6、姿勢検出装置7、射出方向検出部8、演算処理部9、操作部10、表示部11、通信部31、遠隔操作部32から構成されている。尚、該表示部11はタッチパネルとし、前記操作部10と兼用させてもよい。
【0021】
前記受光部4、前記測距部5、前記撮像部6、前記姿勢検出装置7、前記射出方向検出部8、前記演算処理部9、前記操作部10、前記表示部11は、前記筐体2に収納され、一体化されている。該筐体2は、携帯可能又は可搬可能となっている。
【0022】
前記測距光射出部3、前記受光部4、前記測距部5は、測定ユニット12を構成する。
【0023】
前記測距光射出部3は射出光軸14を有し、該射出光軸14上に発光素子15、例えばレーザダイオード(LD)が設けられ、更に、前記射出光軸14上に投光レンズ16が設けられ、更に、前記射出光軸14は光軸偏向部材17,18によって受光光軸19(後述)と合致する様に偏向される。
【0024】
前記受光部4には、測定対象からの反射測距光が入射する。前記受光部4は、前記受光光軸19を有し、該受光光軸19には前記光軸偏向部材17,18によって偏向された前記射出光軸14が合致する。
【0025】
前記受光光軸19上に受光素子21、例えばフォトダイオード(PD)が設けられ、受光信号を発生する。前記受光光軸19の対象物側には、受光レンズ22が配設され、該受光レンズ22は入射光を前記受光素子21に集光する。
【0026】
前記測距部5は、前記発光素子15を制御し、該発光素子15に測距光としてレーザ光線を発光させ、測定対象に向って測距光を射出する。測定対象から反射された反射測距光は前記受光レンズ22に入射し、該受光レンズ22により前記受光素子21に集光され、該受光素子21によって受光される。尚、測距光は不可視光であってもよく、或は可視光であってもよい。
【0027】
該受光素子21は受光信号を前記測距部5に送出し、該測距部5は、前記受光素子21からの受光信号に基づき測定点(測距光が照射された点)の測距を行う。
【0028】
前記撮像部6は、測定対象を含む画像データを取得する。該撮像部6は、前記筐体2が水平姿勢で水平方向に延出する撮像光軸24を有し、該撮像光軸24と前記射出光軸14とは平行となる様に設定されている。又、前記撮像光軸24と前記射出光軸14との距離も既知の値となっている。
【0029】
前記撮像部6の撮像素子23は、画素の集合体であるCCD、CMOSセンサであり、各画素は画像素子上での位置が特定できる様になっている。例えば、各画素は、前記撮像光軸24を原点とした座標系で位置が特定される。
【0030】
前記姿勢検出装置7は、水平を検出する水平検出ユニット25(後述)及び相対傾斜角検出部(後述)を具備している。該相対傾斜角検出部は、前記水平検出ユニット25が検出する水平と前記測定ユニット12(或は、前記筐体2)との間の相対的な傾斜角、傾斜方向(以下、相対傾斜角)を検出する。
【0031】
前記姿勢検出装置7が設けられている前記筐体2が傾斜し、前記水平検出ユニット25が水平を検出することで、前記筐体2と前記水平検出ユニット25との間に相対傾斜角が生じる。この相対傾斜角を検出することで、前記測定ユニット12(即ち前記撮像光軸24)の水平に対する傾斜角及び傾斜方向が検出される。検出された相対傾斜角は、前記演算処理部9に入力される。
【0032】
前記射出方向検出部8は、前記姿勢検出装置7の検出結果に基づき前記射出光軸14の前記筐体2に対する相対的な射出方向を検出する。又、前記射出方向検出部8は、測定装置が固定的に設置された場合に、前記射出光軸14の左右角、上下角を検出する。ここで、左右角は
図1に示されている状態で光軸14が紙面に対して垂直方向に傾斜した場合の傾斜角をいい、上下角は
図1に示されている状態で光軸14が紙面に対して上下方向に傾斜した場合の傾斜角をいう。
【0033】
前記演算処理部9は、入出力制御部、演算器(CPU)、記憶部等から構成され、該記憶部には測距作動を制御する測距プログラム、前記表示部11に画像データ、測距データ等を表示させる為の画像表示プログラム、前記遠隔操作部32との間でデータ通信を行う通信プログラム等のプログラムが格納され、更に前記記憶部には測距データ、画像データ等の測定結果が格納される。
【0034】
前記測定ユニット12の相対傾斜角は、前記姿勢検出装置7によって常に検出されている。従って、測定装置を整準することなく、測定対象迄の測距が行えると共に、測定点の上下角が測定できる。又、該上下角に基づき測距結果が補正でき、正確な水平距離が測定できる。
【0035】
更に、測定対象は前記撮像部6で撮像され、撮像画像は前記表示部11に表示される。測定者は、該表示部11に表示された画像に基づき測定対象、測定位置を確認しつつ、測定を実行できる。従って、作業者は、該表示部11の画像から測定対象を捉え、前記撮像光軸24(例えば、画像の中心)を測定点に合致させ、測定することで測定点の測距が行われる。
【0036】
又、整準が必要ないので、作業者は、測定装置を設置した後、直ちに測定を実施できる。
【0037】
尚、測定点を確認する場合は、前記発光素子15から発せられる測距光を可視光にすれば、測定点を測距光の照射によって確認することができる。
【0038】
前記遠隔操作部32は、通信部、表示部、操作部を具備し、前記筐体2とは分離した構造であり、携帯可能であると共に片手で保持可能であり、片手で保持した状態で、操作できる様に構成されている。尚、前記遠隔操作部32は、前記筐体2に装着可能としてもよい。
【0039】
前記遠隔操作部32の表示部には、前記表示部11に表示される内容、或は遠隔操作に必要な情報が表示され、前記遠隔操作部32の操作部からは、前記操作部10と同様な操作が実行できる。
【0040】
更に、前記遠隔操作部32を前記筐体2に装着可能とした場合、前記操作部10、前記表示部11を、前記遠隔操作部32の操作部、表示部に兼用させ、前記操作部10、前記表示部11を省略してもよい。
【0041】
次に、
図2〜
図4を参照して、前記姿勢検出装置7について説明する。
【0042】
図2は、前記姿勢検出装置7が水平に設置されている状態での正面図、
図3は該姿勢検出装置7の平面図を示している。
図2中、該姿勢検出装置7が前記筐体2の水平を検出する時に、前記射出光軸14が水平になる様に、前記測距光射出部3と前記姿勢検出装置7とが関連付けられている。又、
図2、
図3中、
図1中で示したものと同等のものには同符号を付してある。
【0043】
前記姿勢検出装置7は、水平を検出する前記水平検出ユニット25を具備し、該水平検出ユニット25は、以下に説明される様に、ジンバル機構を介して水平に支持される構造となっている。
【0044】
矩形枠形状の外フレーム51の内部に矩形枠形状の内フレーム53が設けられ、該内フレーム53の内部に前記水平検出ユニット25が設けられる。前記外フレーム51は、前記筐体2に固定されるか、或は該筐体2と兼用となっている。
【0045】
前記内フレーム53の上面、下面(
図3参照)から第1水平軸54,54が突設され、該第1水平軸54,54は前記外フレーム51に設けられた軸受52,52と回転自在に嵌合する。前記第1水平軸54,54は水平方向に延出する第1水平軸心を有し、前記内フレーム53は前記第1水平軸54,54を中心に鉛直方向に360゜回転自在となっている。
【0046】
前記水平検出ユニット25は第2水平軸55に支持され、該第2水平軸55の両端部は、前記内フレーム53に設けられた軸受57,57に回転自在に嵌合する。前記第2水平軸55は前記第1水平軸心と直交し、水平方向に延出する第2水平軸心を有し、前記水平検出ユニット25は前記第2水平軸55を中心に鉛直方向に360゜回転自在となっている。
【0047】
而して、前記水平検出ユニット25は前記外フレーム51に対して2軸方向に回転自在に支持されており、前記内フレーム53を回転自在に支持する機構、前記水平検出ユニット25を回転自在に支持する機構はジンバル機構を構成する。而して、前記水平検出ユニット25は前記外フレーム51に対してジンバル機構を介して支持され、更に前記内フレーム53の回転を制約する機構は存在していないので、前記水平検出ユニット25は前記外フレーム51に対して全方向に自在に回転し得る様になっている。
【0048】
前記第1水平軸54,54の一方、例えば
図3中、下側の該第1水平軸54には第1被動ギア58が嵌着され、該第1被動ギア58には第1駆動ギア59が噛合している。又、前記外フレーム51の下面には第1モータ61が設けられ、前記第1駆動ギア59は前記第1モータ61の出力軸に嵌着されている。
【0049】
前記第1水平軸54,54の他方には第1エンコーダ62が設けられ、該第1エンコーダ62は前記内フレーム53の前記外フレーム51に対する第1の回転角(第1の傾斜角)を検出する様に構成されている。
【0050】
前記第2水平軸55の一端部には、第2被動ギア63が嵌着され、該第2被動ギア63には第2駆動ギア64が噛合している。又、前記内フレーム53の側面(図示では左側面)には第2モータ65が設けられ、前記第2駆動ギア64は前記第2モータ65の出力軸に嵌着されている。
【0051】
前記第2水平軸55の他端部には第2エンコーダ66が設けられ、該第2エンコーダ66は前記内フレーム53に対する前記水平検出ユニット25の第2の回転角(第2の傾斜角)を検出する様に構成されている。
【0052】
前記第1エンコーダ62、前記第2エンコーダ66は、傾斜角演算部68に電気的に接続されている。
【0053】
前記水平検出ユニット25は、第1傾斜センサ71、第2傾斜センサ72を有しており、前記第1傾斜センサ71、前記第2傾斜センサ72は、前記傾斜角演算部68に電気的に接続されている。
【0054】
前記姿勢検出装置7について、
図4により更に説明する。
【0055】
前記姿勢検出装置7は、前記第1エンコーダ62、前記第2エンコーダ66、前記第1傾斜センサ71、前記第2傾斜センサ72、前記傾斜角演算部68、前記第1モータ61、前記第2モータ65の他に、更に記憶部73、入出力制御部74を具備している。
【0056】
前記記憶部73には、姿勢検出の為の演算プログラム等のプログラム、及び演算データ等のデータ類を格納している。
【0057】
前記入出力制御部74は、前記傾斜角演算部68から出力される制御指令に基づき前記第1モータ61、前記第2モータ65を駆動し、又前記傾斜角演算部68で演算した傾斜検出結果を出力する。
【0058】
前記第1傾斜センサ71は水平を高精度に検出するものであり、例えば水平液面に検出光を入射させ反射光の反射角度の変化で水平を検出する傾斜検出器、或は封入した気泡の位置変化で傾斜を検出する気泡管である。又、前記第2傾斜センサ72は傾斜変化を高応答性で検出するものであり、例えば加速度センサである。
【0059】
尚、前記第1傾斜センサ71、前記第2傾斜センサ72のいずれも、前記第1エンコーダ62が検出する回転方向(傾斜方向)、前記第2エンコーダ66が検出する回転方向(傾斜方向)の2軸方向の傾斜を個別に検出可能となっている。
【0060】
前記傾斜角演算部68は、前記第1傾斜センサ71、前記第2傾斜センサ72からの検出結果に基づき、傾斜角、傾斜方向を演算し、更に該傾斜角、傾斜方向に相当する前記第1エンコーダ62の回転角、前記第2エンコーダ66の回転角を演算する。
【0061】
前記第1エンコーダ62、前記第2エンコーダ66によって検出される回転角は、前記相対傾斜角に対応しており、前記第1モータ61、前記第2モータ65、前記第1エンコーダ62、前記第2エンコーダ66、前記傾斜角演算部68は、前記相対角傾斜検出部を構成する。
【0062】
尚、前記姿勢検出装置7は、前記外フレーム51が水平に設置された場合に(前記測定装置本体1が水平に設置された場合に)、前記第1傾斜センサ71が水平を検出する様に設定され、更に前記第1エンコーダ62の出力、前記第2エンコーダ66の出力が共に基準位置(回転角0゜)を示す様に設定される。
【0063】
又、前記第1水平軸54,54の軸心、又は前記第2水平軸55の軸心、いずれか一方(図示では前記第1水平軸54の軸心)と前記射出光軸14とが平行であることが好ましい。又、上下回転軸77(後述)の軸心が、前記第1水平軸54の軸心と前記第2水平軸55の軸心との交点を通過する様に、設定されることが好ましい。
【0064】
前記第1水平軸54の軸心、又は前記第2水平軸55の軸心、前記上下回転軸77の軸心と前記測定装置本体1とを関連付けることで、前記姿勢検出装置7が検出する傾斜角に基づき前記測定装置本体1の傾斜角を演算することが容易になる。
【0065】
以下、前記姿勢検出装置7の作用について説明する。
【0066】
先ず、高精度に傾斜を検出する場合について説明する。
【0067】
高精度に傾斜を検出する場合としては、例えば前記姿勢検出装置7が、設置して使用される測量装置に設けられた場合である。測定装置の設置状態が安定している場合、急激な姿勢変化はなく、前記第1傾斜センサ71からの信号によって傾斜が検出される。
【0068】
前記姿勢検出装置7が傾斜すると、前記第1傾斜センサ71が傾斜に応じた信号を出力する。
【0069】
前記傾斜角演算部68は、前記第1傾斜センサ71からの信号に基づき、傾斜角、傾斜方向を演算し、更に演算結果に基づき傾斜角、傾斜方向を0にする為の、前記第1モータ61、前記第2モータ65の回転量を演算し、前記入出力制御部74を介して前記第1モータ61、前記第2モータ65を前記回転量駆動する駆動指令を発する。
【0070】
前記第1モータ61、前記第2モータ65の駆動により、演算された傾斜角、傾斜方向の逆に傾斜する様、前記第1モータ61、前記第2モータ65が駆動され、前記第1モータ61、前記第2モータ65の駆動量(回転角)は前記第1エンコーダ62、前記第2エンコーダ66によって検出され、回転角が前記演算結果となったところで前記第1モータ61、前記第2モータ65の駆動が停止される。
【0071】
更に、前記第1傾斜センサ71が水平を検出する様、前記第1モータ61、前記第2モータ65の回転が微調整される。
【0072】
この状態では、前記外フレーム51が傾斜した状態で、前記水平検出ユニット25が水平に制御される。
【0073】
従って、該水平検出ユニット25を水平とする為に、前記第1モータ61、前記第2モータ65により、前記内フレーム53、前記水平検出ユニット25を傾斜させた傾斜角、傾斜方向は、前記第1エンコーダ62、前記第2エンコーダ66で検出した回転角に基づき求められる。
【0074】
前記傾斜角演算部68は、前記第1傾斜センサ71が水平を検出した時の、前記第1エンコーダ62、前記第2エンコーダ66の検出結果に基づき前記姿勢検出装置7の傾斜角、傾斜方向を演算する。この演算結果が、前記姿勢検出装置7の傾斜後の姿勢を示す。
【0075】
前記傾斜角演算部68は、演算された傾斜角、傾斜方向を前記姿勢検出装置7の検出信号として外部、即ち前記演算処理部9に出力する。
【0076】
前記姿勢検出装置7が検出した傾斜角、傾斜方向は、前記受光光軸19及び前記撮像光軸24の水平に対する傾斜角、傾斜方向に他ならない。前記測距部5は、前記姿勢検出装置7の検出結果に基づき測距結果を補正する。従って、測定装置がどの様な姿勢であっても、正確な測定が実行できる。
【0077】
図2、
図3に示される構造の通り、前記水平検出ユニット25、前記内フレーム53の回転を制約するものが無く、前記水平検出ユニット25、前記内フレーム53は共に360゜以上の回転が可能である。即ち、前記姿勢検出装置7がどの様な姿勢となろうとも(例えば、前記姿勢検出装置7の天地が逆になった場合でも)、全方向での姿勢検出が可能である。
【0078】
従って、傾斜測定範囲の制限が無く、広範囲、全姿勢での姿勢検出が可能である。
【0079】
前記測定装置本体1が高速で回転され、高応答性が要求される場合は、前記第2傾斜センサ72の検出結果に基づき姿勢検出が行われるが、前記第2傾斜センサ72は前記第1傾斜センサ71に比べ検出精度が悪いのが一般的である。
【0080】
本実施例では、高精度の前記第1傾斜センサ71と高応答性の前記第2傾斜センサ72を具備することで、該第2傾斜センサ72のみの検出結果に基づき高精度の姿勢検出が可能となる。
【0081】
該第2傾斜センサ72が検出した傾斜角に基づき、該傾斜角が0になる様に前記第1モータ61、前記第2モータ65を駆動し、更に前記第1傾斜センサ71が水平を検出する迄前記第1モータ61、前記第2モータ65の駆動を継続する。前記第1傾斜センサ71が水平を検出した時の前記第1エンコーダ62、前記第2エンコーダ66の値、即ち実際の傾斜角と前記第2傾斜センサ72が検出した傾斜角との間で偏差を生じれば、該偏差に基づき前記第2傾斜センサ72の傾斜角を較正することができる。
【0082】
従って、予め、該第2傾斜センサ72の検出傾斜角と、前記第1傾斜センサ71による水平検出と前記第1エンコーダ62、前記第2エンコーダ66の検出結果に基づき求めた傾斜角との関係を取得しておけば、前記第2傾斜センサ72に検出された傾斜角の較正(キャリブレーション)をすることができる。このキャリブレーションにより、前記第2傾斜センサ72による高応答性の姿勢検出に於いて、精度を向上させることができる。
【0083】
前記水平検出ユニット25を、高精度の前記第1傾斜センサ71と高応答性の前記第2傾斜センサ72との組合わせとすることで、前記測定装置を自動車等の移動体に搭載し、移動しつつ、高精度の測定を行うことができる。
【0084】
尚、前記測定装置が安定した状態に支持される場合、動きの少ない状態で支持される場合で、高精度の前記第1傾斜センサ71が追従可能な状況では、高応答性の前記第2傾斜センサ72は省略することができる。
【0085】
一方、追従性が要求されるが、高精度が要求されない場合は、前記第1傾斜センサ71を省略し、前記第2傾斜センサ72のみとすることもできる。
【0086】
前記設置台ユニット75について説明する。
【0087】
前記測定装置本体1は、前記設置台ユニット75によって上下方向、左右方向にそれぞれ回転可能に支持されている。
【0088】
該設置台ユニット75は、托架部76、台座78を有している。前記托架部76の下面からは、左右回転軸79が突設され、該左右回転軸79は軸受(図示せず)を介して前記台座78に回転自在に嵌合している。前記托架部76は前記左右回転軸79を中心に左右方向に回転自在となっている。
【0089】
又、該左右回転軸79と前記台座78との間には左右角(前記左右回転軸79を中心とした回転方向の角度)を検出する左右角検出器81(例えば、エンコーダ)が設けられ、該左右角検出器81によって前記托架部76の前記台座78に対する左右方向の相対回転角が検出される様になっている。
【0090】
前記左右回転軸79には左右回転ギア82が嵌合固定され、該左右回転ギア82には左右ピニオンギア83が噛合している。前記托架部76には、左右モータ84が設けられ、前記左右ピニオンギア83は前記左右モータ84の出力軸に固着されている。
【0091】
前記左右モータ84の駆動により、前記左右ピニオンギア83、前記左右回転ギア82を介して前記左右回転軸79が回転され、更に前記托架部76と前記測定装置本体1とが一体に回転する。而して、前記左右モータ84によって前記測定装置本体1が左右方向に回転される。
【0092】
前記托架部76は凹部を有する凹字形状であり、凹部に前記測定装置本体1が収納され、該測定装置本体1は前記上下回転軸77を介して前記托架部76に支持され、前記上下回転軸77を中心に上下方向に回転自在となっている。
【0093】
前記上下回転軸77の一端には、上下回転ギア86が嵌合、固着され該上下回転ギア86には上下ピニオンギア87が噛合している。該上下ピニオンギア87は前記托架部76に設けられた上下モータ88の出力軸に固着されており、該上下モータ88が駆動されることで前記上下ピニオンギア87が回転され、更に、前記上下回転ギア86、前記上下回転軸77を介して前記測定装置本体1が回転される。而して、前記上下モータ88によって前記測定装置本体1が上下方向に回転される。
【0094】
前記左右モータ84、前記上下モータ88は、前記演算処理部9によって所要のタイミングで所要の回転量となる様に制御される。
【0095】
前記左右モータ84の回転量(即ち、前記托架部76の左右回転角)は、前記左右角検出器81によって検出される。前記上下モータ88の回転量(即ち、前記測定装置本体1の上下回転角)は、前記姿勢検出装置7によって検出される。
【0096】
而して、前記測定装置本体1の左右角、上下角はそれぞれ、前記左右角検出器81、前記姿勢検出装置7によって検出され、検出結果はそれぞれ前記演算処理部9に入力される。
【0097】
以下、測定装置を遠隔操作して、測定する作動について説明する。
【0098】
前記設置台ユニット75が所要の設置面に設置されると、前記姿勢検出装置7により水平が検出され、設置面の水平に対する傾斜角(以下、設置傾斜角)が検出される。この設置傾斜角は、測定結果を補正する補正情報として使用される。又、設置後整準する必要がないので、直ちに測定を開始できる。
【0099】
前記遠隔操作部32により前記測定装置本体1を測定点に向ける。
【0100】
前記遠隔操作部32からの指令は、前記通信部31を介して入力され、前記演算処理部9は、前記左右モータ84、前記上下モータ88を駆動して、前記射出光軸14を測定点に向ける。該射出光軸14が測定点に合致したかどうかは、前記遠隔操作部32の表示部(図示せず)の表示から判断される。或は、測距光が可視光の場合は、目視で確認することができる。
【0101】
前記射出光軸14の方向が設定されると、前記測距部5によって測定点迄の距離が測定される。更に、測定点の鉛直角が前記姿勢検出装置7からの検出信号に基づき測定され、又測定点の水平角が前記左右角検出器81からの検出信号に基づき測定される。
【0102】
前記姿勢検出装置7によって検出される鉛直角は、設置面の設置傾斜角を含んでいるので、前記射出光軸14の水平に対する角度(鉛直角)は、前記鉛直角を設置傾斜角で補正したものとなる。尚、前記姿勢検出装置7及び前記左右角検出器81は、前記射出光軸14の射出方向を検出するので、前記射出方向検出部8として機能する(
図1参照)。
【0103】
而して、測定点の3次元座標が測定される。
【0104】
尚、作業者が、測定装置を直接操作する場合は、前記操作部10より測定に必要な指令を入力することで、前記遠隔操作部32から操作したと同様に、測定を実行できる。
【0105】
本実施例によれば、前記測定装置本体1を設置する際の整準作業を行うことなく、正確な測定を実行することができる。
【0106】
次に、前記固定アタッチメント80を用いた場合を説明する。
【0107】
該固定アタッチメント80としては、前記測定装置を設置する為の器具、手段であり、例えば、測量3脚、カメラ3脚、1脚、マグネットホルダ、吸盤ホルダ等、種々の器具、手段が用いられる。
【0108】
尚、1脚は、測定装置が取付けられるポールであり、下端を設置し、作業者が保持するものであり、又マグネットホルダは磁力を利用して固定するものであり、吸盤ホルダは真空吸着で固定するものである。
【0109】
従って、設置場所に適合した前記固定アタッチメント80を用いることで、前記測定装置を垂直な壁面、或は天井面等に設置することが可能となり、従来測定できなかった場所の測定が可能になり、又従来測定できなかった位置からの測定が可能になり、測定装置による測定範囲の拡大が図れると共に測定装置の設置上の制約が大幅に軽減される。
【0110】
図5、
図6に於いて第2の実施例を説明する。
【0111】
第2の実施例に係る測定装置は、追尾機能を有する。
【0112】
尚、
図5、
図6に於いて、
図1〜
図3中で示したものと同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。又、
図5中、35は追尾投光部、36は追尾受光部を示す。追尾機能を有する測定装置では、測定対象としてコーナキューブ等の再帰反射部材(図示せず)が用いられる。
【0113】
前記追尾投光部35は、追尾光を発する追尾発光素子37、追尾光を平行光束とする集光レンズ38、追尾光を射出光軸14上に導く光軸偏向部材17,18を有する。前記追尾発光素子37が発する追尾光は、測距光とは波長が異なっており、不可視光又は可視光が使用される。
【0114】
前記光軸偏向部材17,18は、測距光射出部3の光学系と共用しており、前記光軸偏向部材17は、追尾光を透過し、測距光を反射する光学特性を有している。又前記光軸偏向部材18は、測距光、追尾光を反射する光学特性を有している。
【0115】
受光光軸19の光軸上で、前記光軸偏向部材18より対象物側に孔明きミラー39が設けられ、該孔明きミラー39の孔を前記測距光、前記追尾光が通過して射出される。又、前記孔明きミラー39は、測距光を透過し、追尾光を反射する光学特性を有している。
【0116】
前記追尾受光部36は、前記孔明きミラー39、ミラー40、集光レンズ41、追尾受光センサ42、追尾演算部43を具備している。
【0117】
前記孔明きミラー39で反射された追尾光(以下、反射追尾光)は、前記ミラー40によって偏向され、前記集光レンズ41に入射する。該集光レンズ41は、反射追尾光を前記追尾受光センサ42に集光する。
【0118】
該追尾受光センサ42は、画素の集合体であるCCD、CMOSセンサであり、各画素は前記追尾受光センサ42上での位置が特定できる様になっている。例えば、各画素は、追尾受光光軸44を原点とした座標系で位置が特定される。
【0119】
前記追尾受光センサ42の受光信号は、前記追尾演算部43に入力される。該追尾演算部43は受光信号から、前記追尾受光センサ42での受光位置を演算し、受光位置と前記原点間の偏差を演算し、該偏差に基づき演算処理部9に追尾信号を入力する。
【0120】
該演算処理部9は、追尾信号に基づき偏差を0にする様な制御信号を発し、前記射出光軸14が前記測定対象を捉える様に測定ユニット12を駆動制御する。
【0121】
図6は、追尾を可能とする追尾機構部を示している。
【0122】
追尾機構部は、托架部76を左右回転させる左右回転ギア82、左右ピニオンギア83、左右モータ84及び左右回転角を検出する左右角検出器81から構成される左右駆動部、更に測定装置本体1を上下回転させる上下回転ギア86、上下ピニオンギア87、上下モータ88、上下角検出器89から構成される上下駆動部を有している。
【0123】
前記追尾演算部43からの追尾指令信号に基づき、前記左右モータ84、前記上下モータ88が駆動制御され、前記托架部76が左右回転され、前記測定装置本体1が上下回転される。左右回転、上下回転はそれぞれ前記左右角検出器81、前記上下角検出器89によって検出され、検出結果はフィードバック信号として前記演算処理部9に入力され、前記追尾受光センサ42に於ける追尾光の受光位置と前記原点間の偏差が0となる様に、前記射出光軸14の方向が制御される。
【0124】
測定対象を追尾している状態では、前記測定装置本体1の姿勢は動的に変動するが、前記姿勢検出装置7を高応答性の第2傾斜センサ72及び高精度の第1傾斜センサ71の組合わせとすることで、高応答性で而も高精度に鉛直角、水平角を検出することができ、追尾状態でも、測定対象を高精度で測定することができる。