(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
<1.第1実施形態>
まず、第1実施形態に係るモータ駆動装置10Aについて、
図1および
図2を参照しつつ説明する。
図1は、モータ駆動装置10Aの構成を示すブロック図である。
図2は、モータ駆動装置10Aにおける各信号の波形の例を示す図である。
【0011】
図2中において、(p)は位置検出素子93Aへの通電波形、(q)は通電が連続して行われたと仮定した場合における位置検出素子93Aからの出力信号波形、(r)は位置検出素子93Aからの位置検出信号S93Aの波形を示している。
【0012】
このモータ駆動装置10Aは、位置検出素子93Aを用いてモータ9Aの回転子の位置を検知し、モータ9Aを駆動させる。
図1に示すように、モータ駆動装置10Aは、駆動制御部11Aと、位置検出用電源12Aと、間欠駆動部13Aとを有する。
【0013】
駆動制御部11Aは、モータ9Aの駆動制御を行う。駆動制御部11Aは、駆動信号生成部20Aと、インバータ部30Aと、位置検出部40Aとを有する。
【0014】
駆動信号生成部20Aは、外部から入力される速度指令信号と、後述する回転位置信号S42Aとに基づいて、スイッチング信号S20Aを生成する。インバータ部30Aは、スイッチング信号S20Aに応じて、モータ9Aの各相に対してモータ駆動電流S10Aを供給する。位置検出部40Aには、位置検出素子93Aから位置検出信号S93Aが入力される。位置検出部40Aは、位置検出信号S93Aに基づいて回転子の位置を示す回転位置信号S42Aを出力する。
【0015】
位置検出用電源12Aは、位置検出素子93Aに駆動電力S12Aを供給する。
【0016】
間欠駆動部13Aは、位置検出用電源12Aから位置検出素子93Aへの通電ライン上に設けられる。間欠駆動部13Aは、位置検出素子93Aへの通電をON−OFFする。間欠駆動部13Aは、駆動制御部11Aから入力されるモータ駆動情報S11Aに基づいて、位置検出素子93Aへの通電のON−OFFのタイミングを決定する。
【0017】
モータの駆動状況を考慮せず、単に位置検出素子への駆動電力の供給を間欠的に行うと、モータの駆動状況によっては、モータ特性が低下する虞がある。しかしながら、このモータ駆動装置10Aのように、モータ駆動情報S11Aに基づいて位置検出素子93Aへの通電のON−OFFのタイミングを決定することにより、モータ9Aの駆動状況に合わせて位置検出信号S93Aを取得できる。これにより、位置検出用の電力を抑制しつつ、モータ特性の低下を抑制できる。
【0018】
本実施形態では、間欠駆動部13Aは、回転子の磁極の切り替わり時点を含む期間に、位置検出素子93Aへの通電をONとする。したがって、
図2に示すように、本実施形態の位置検出素子93Aは、回転子の磁極の切り替わりに従って正負が切り替わる電圧信号である位置検出信号S93Aを出力する。そして、
図2(p)に示す位置検出素子93Aへの通電がONとなる通電ON期間が、
図2(q)に示す波形の正負の切り替わり時点と重なるように設定されている。これにより、
図2(r)に示すように、位置検出素子93Aが出力する位置検出信号S93Aは、波形の正負の切り替わり時点を含む。
【0019】
このように、回転子の磁極の切替時点付近で位置検出素子93Aへの通電をONとすることにより、モータ9Aの回転状況を遅延なく検出できる。したがって、モータ特性の低下をより抑制できる。
【0020】
<2.第2実施形態>
<2−1.モータユニットの構成>
続いて、第2実施形態に係るモータユニット1の構成について、
図3を参照しつつ、説明する。
図3は、モータユニット1の構成を示すブロック図である。
図4は、モータ駆動装置10における各信号の波形の一例を示す図である。
図4中において、(a)は三角波S21、(b)は速度指令電圧Vsp、(c)はPWM信号S23を示している。
【0021】
図3に示すように、本実施形態のモータユニット1は、モータ9と、モータ駆動装置10とを有する。このモータ9は、後述するモータ駆動電流S10の供給に従って駆動する。本実施形態のモータ9は、3相ブラシレスDCモータである。
【0022】
モータ9は、電機子91と、回転子92と、位置検出素子93とを有する。電機子91は、駆動電力の供給に従って磁界を発生させる。回転子92は、電機子91から生じる磁界により回転する。位置検出素子93は、回転子92の位置を検出し、位置検出信号S93を出力する。本実施形態の位置検出素子93は、ホール素子であるが、ホールIC等の他の素子を用いてもよい。また、本実施形態では、モータ9が位置検出素子93を有するが、モータ駆動装置10が位置検出素子93を有していてもよいし、位置検出素子93がモータ9およびモータ駆動装置10のいずれにも属していなくてもよい。
【0023】
モータ駆動装置10は、モータ9にモータ駆動電流S10を供給することにより、モータ9の駆動制御を行う装置である。
図1に示すように、モータ駆動装置10は、駆動制御部11と、位置検出用電源12と、間欠駆動部13とを有する。
【0024】
このモータ駆動装置10は、パッケージICにより構成される。すなわち、駆動制御部11と、位置検出用電源12と、間欠駆動部13とは、1つのパッケージIC内に備えられる。このパッケージICには、パッケージIC内の各部を駆動させるための制御電圧Vccが入力される。
【0025】
駆動制御部11は、駆動信号生成部20と、インバータ部30と、位置検出部40と、駆動調節部50とを有する。駆動信号生成部20は、外部から入力される速度指令信号に基づく速度指令電圧Vspに基づいて、スイッチング信号S20を生成する。インバータ部30は、スイッチング信号S20に応じて、モータ9の電機子91の各相に対してモータ駆動電流S10を供給する。位置検出部40には、位置検出素子93から位置検出信号S93が入力される。位置検出部40は、位置検出信号S93に基づいて回転子92の位置を示す回転位置信号S42を出力する。
【0026】
駆動信号生成部20は、キャリア波発振回路21と、コンパレータ22と、PWM信号生成部23と、タイミング制御部24と、スイッチング信号生成部25とを有する。本実施形態の駆動信号生成部20は、速度指令電圧Vspと位置検出部40から入力される回転位置信号S42とに基づいて、回転子92の磁極の切り替わり時点を考慮してスイッチング信号S20を生成する。
【0027】
キャリア波発振回路21は、
図4の(a)に示すような一定の周波数でキャリア波である三角波S21を出力する発振回路である。すなわち、キャリア波発振回路21は、一定の周波数でキャリア波を出力するキャリア波発振回路である。なお、キャリア波発振回路21に代えて、鋸波等の他のキャリア波を出力するキャリア波発振回路を用いてもよい。
【0028】
コンパレータ22は、各相の速度指令電圧Vspと三角波S21とを比較し、比較信号S22を出力する比較器である。
図4の(b)には、速度指令電圧Vspが実線で、三角波S21が破線で示されている。本実施形態のコンパレータ22の出力する比較信号S22は、速度指令電圧Vspが三角波S21の電圧値を超える場合に、ON信号となり、その他の場合にOFF信号となる。
【0029】
PWM信号生成部23は、比較信号S22に基づいてPWM信号S23を生成する。各相に対応するPWM信号S23は、
図4(c)に示すように、比較信号S22がON信号となる期間、すなわち、速度指令電圧Vspが三角波S21の電圧値を超える期間にONとなり、速度指令電圧Vspが三角波S21の電圧値以下となる期間にOFFとなる2値信号である。PWM信号S23は、速度指令電圧Vspが大きいほどそのデューティが大きくなり、速度指令信号Vspが小さいほどそのデューティが小さくなる。
【0030】
タイミング制御部24は、PWM信号S23に基づいて、モータの各相に対する相指令電圧S24を算出する。相指令電圧S24は、モータ9に供給する駆動電流S10の振幅および周期を示す電圧信号である。なお、本実施形態ではタイミング制御部24は、A/D変換部42から入力される回転位置信号S42と、PWM信号S23とに基づいて、相指令電圧S24を算出する。
【0031】
スイッチング信号生成部25は、相指令電圧S24に基づいて、スイッチング信号S20を生成する。スイッチング信号S20は、ON信号とOFF信号からなる2値信号である。
【0032】
インバータ部30は、
図3に示すように、6個のスイッチング素子31を有する。このインバータ部30は、いわゆる3相電圧型インバータである。6個のスイッチング素子31は、3相各相に対応する3対のスイッチング素子31からなる。スイッチング素子31は、それぞれ、トランジスタおよびダイオードにより構成されている。スイッチング素子31には、例えば、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)が用いられる。なお、スイッチング素子31には、MOSFET(電界効果トランジスタ)などの他の種類のスイッチング素子が用いられてもよい。
【0033】
モータ9の駆動時には、3対のスイッチング素子31に対し、それぞれ3相に対応する3対のスイッチング信号S20が入力される。これにより、各スイッチング素子31の駆動タイミングが切り替わり、3相に対応するモータ駆動電流S10がモータ9の各相へと出力される。
【0034】
位置検出部40は、信号保持部41およびA/D変換部42を有する。信号保持部41には、位置検出素子93から位置検出信号S93が入力される。本実施形態の位置検出素子93は、アナログのホール素子である。このため、回転子92が一定速度で回転している場合、位置検出信号S93は正弦波状の電圧信号となる。
【0035】
また、位置検出部40は、駆動調節部50に位置検出信号S93に基づく回転位置信号S42を出力する。本実施形態では、位置検出部40の出力する位置検出信号S93は、回転子92の磁極の切り替わりに従って正負が切り替わる電圧信号である。また、本実施形態では、回転位置信号S42が、位置検出部40から駆動調節部50に出力される回転情報S40となる。
【0036】
なお、位置検出部40が回転位置信号S42に基づいて回転子92の回転数を算出する回転数算出部をさらに有していてもよい。その場合、位置検出部40は、回転情報S40として、当該回転数を駆動調節部50へと出力してもよい。すなわち、回転情報S40には、回転位置信号S42および回転子92の回転数の少なくとも一方が含まれていればよい。位置検出部40の各部の動作については、後述する。
【0037】
駆動調節部50は、位置検出部40から入力された回転情報S40に基づいて、間欠駆動部13に切替指令信号S50を出力する。本実施形態では、モータ駆動情報S11は、この切替指令信号S50を含む。
【0038】
位置検出用電源12は、位置検出素子93に駆動電力S12を供給するための電源である。本実施形態の位置検出用電源12は、パッケージICに入力された制御電圧Vccを降圧させるDC/DCコンバータである。
【0039】
間欠駆動部13は、位置検出用電源12から位置検出素子93への通電ライン上に設けられ、位置検出素子93への通電をON−OFFする。間欠駆動部13は、駆動制御部11から入力されるモータ駆動情報S11に基づいて、位置検出素子93への通電のON−OFFのタイミングを決定する。間欠駆動部13における当該タイミングの決定方法については、後述する。
【0040】
モータ9側の状態を考慮せずに、単に位置検出素子93への通電をON−OFFすると、位置検出素子93による回転子92の磁極の切り替わりの検出が遅延し、モータ特性が低下する虞がある。本実施形態では、このように、モータ駆動情報S11に基づいてON−OFFのタイミングを決定することにより、モータ9の駆動状況に合わせて位置検出信号S93を取得できる。したがって、位置検出用の電力を抑制しつつ、モータ特性の低下を抑制できる。
【0041】
この間欠駆動部13には、キャリア波発振回路21から三角波S21が入力される。
図4の(e)には、後述する間欠ON−OFF期間において基準となる基本間欠通電波形の一例が示されている。
図4(e)に示すように、間欠駆動部13は、間欠ON−OFF期間において、三角波S21の周波数を基本周波数として、位置検出素子93への通電をON−OFFする。このように、間欠駆動部13が間欠駆動を行うタイミングをとるために駆動制御部11の有するキャリア波発振回路21を用いることにより、別途クロック回路を設けなくてよい。
【0042】
<2−2.位置検出素子への通電について>
続いて、モータ駆動装置10の位置検出素子93への通電動作について
図5および
図6を参照しつつ説明する。
図5および
図6は、モータ駆動装置10における各信号の波形の一例を示す図である。
【0043】
図5および
図6中において、
(d)は間欠ON−OFF期間における基本間欠通電波形、
(e)は位置検出素子93への通電波形、
(f)は通電が連続して行われたと仮定した場合における位置検出素子93からの出力信号波形、
(g)は位置検出素子93からの位置検出信号S93の波形、
(h)は後述する補正位置検出信号S41の波形を示している。
【0044】
なお、
図5と
図6では、モータ9の回転子92の回転速度および回転数が異なる。そのため、
(f)〜(h)に示す、回転子92の動作を示す信号の波形の周期が異なる。以下では、
図5を用いて位置検出素子93への通電に関連する動作ついて説明する。
【0045】
本実施形態の間欠駆動部13は、モータ駆動情報S11に基づいて、連続ON期間P1と、間欠ON−OFF期間P2との切り替えを行う。本実施形態において、モータ駆動情報S11は、キャリア波発振回路21から出力される三角波S21と、駆動調節部50から出力される切替指令信号S50を含む。
図5(e)に示すように、連続ON期間P1においては、間欠駆動部13は、連続して位置検出素子93への通電をONとする。一方、間欠ON−OFF期間P2においては、所定の周波数で位置検出素子93への通電をON−OFFする。
【0046】
上記の通り、間欠駆動部13には、キャリア波発振回路21から三角波S21が入力される。ここでは、間欠駆動部13は、三角波S21に基づいて、間欠ON−OFF期間P2において、
図5(d)に示すタイミングで位置検出用電源12から位置検出素子93への通電をON−OFFするものとして説明する。
【0047】
図5(d),(e)に示すように、連続ON期間P1は、通電ON期間Ponのみから構成される。一方、間欠ON−OFF期間P2においては、通電ON期間Ponと通電OFF期間Poffとが所定の周期で交互に現れる。
【0048】
図5(g)に示すように、位置検出素子93から出力される位置検出信号S93は、回転子92の磁極の切り替わりに従って正負が切り替わる電圧信号である。位置検出素子93への通電が
図5(e)に示すように行われると、位置検出素子93から出力される位置検出信号S93は、
図5(g)に示すような波形となる。すなわち、位置検出信号S93は、通電ON期間Ponにおいては、回転子92の極性を示す波形となり、通電OFF期間Poffにおいては、無検出となる。
【0049】
位置検出部40の信号保持部41は、この位置検出信号S93に対し、信号値保持処理を行い、補正位置検出信号S41として出力する。信号値保持処理において、信号保持部41は、通電ON期間Ponにおいては、位置検出信号S93の値をそのまま出力する。一方、信号値保持処理において、信号保持部41は、通電OFF期間Poffにおいては、直前の通電ON期間Ponにおける位置検出信号S93の最新の値を保持して出力する。
【0050】
これにより、補正位置検出信号S41は、
図5(h)に示す様な波形となる。
図5(h)に示すように、信号値保持処理により、補正位置検出信号S41は、通電OFF期間Poffにおいて、
図5(g)に示す連続通電時の位置検出信号S93と近似した波形となる。
【0051】
そして、A/D変換部42は、補正位置検出信号S41をアナログ/デジタル変換したものを、回転位置信号S42として駆動信号生成部20および駆動調節部50へと出力する。A/D変換部42は、補正位置検出信号S41が正の電圧値である場合にHigh信号となり、負の電圧値である場合にLow信号となる2値信号である。
【0052】
駆動信号生成部20では、回転位置信号S42の正負の切り替わり時点を回転子92の磁極の切り替わり時点として検出する。このため、位置検出信号S93を単にアナログ/デジタル変換した信号では、回転子92の位置を連続的に把握できない。そこで、本実施形態発明では、位置検出部40が信号保持部41を有することにより、回転位置信号S42が通電OFF期間Poffにおいて検出不能となる細切れの信号でなく、連続して認識可能な信号となる。
【0053】
駆動調節部50は、回転情報S40である回転位置信号S42に基づいて、連続ON期間P1と間欠ON−OFF期間P2との切替タイミングを決定し、間欠駆動部13に切替指令信号S50を出力する。具体的には、駆動調節部50は、回転位置信号S42に基づいて、回転子92の回転数を算出する。そして、駆動調節部50は、回転子92の回転数に応じた間欠ON−OFF期間P2の長さが記されたデータテーブル(図示省略)を参照しつつ、間欠ON−OFF期間P2の長さを決定する。
【0054】
図6には、
図5と比べて回転子92の回転数が小さい、すなわち、回転周期が長い場合の各信号が示されている。
図5および
図6に示すように、回転子92の回転数が大きいほど、すなわち、回転周期が短いほど、間欠ON−OFF期間P2の期間が短い。また、回転子92の回転数が小さいほど、すなわち、回転周期が長いほど、間欠ON−OFF期間P2の期間が長い。
【0055】
駆動調節部50は、回転位置信号S42の正負が切り替わった、すなわち回転子92の磁極が切り替わったと判断すると、間欠駆動部13に対して連続ON期間P1から間欠ON−OFF期間P2へ切り替える切替指令信号S50を出力する。すなわち、連続ON期間P1の終了時点を、回転位置信号S42の正負の切り替わりを基準に決定する。これにより、回転位置信号S42の正負の切り替わり後まもなく、データテーブルに基づいて決定した期間、間欠ON−OFF期間P2となる。
【0056】
当該期間の終了後、駆動調節部50は、間欠駆動部13に対して間欠ON−OFF期間P2から連続ON期間P1へ切り替える切替指令信号S50を出力する。
【0057】
このように、駆動調節部50は、回転子92の磁極の周期の長さに応じた間欠ON−OFF期間P2の長さを設定している。これにより、回転位置信号S42の次の正負の切り替わりが生じる時点を予測し、次の切り替わりの時点よりも前に連続ON期間P1を開始できる。すなわち、間欠駆動部13は、位置検出信号S92の正負の切り替わり時点が連続ON期間P1に含まれるように、連続ON期間P1と間欠ON−OFF期間P2との切替を行う。
【0058】
このため、間欠駆動部13は、回転子92の磁極の切り替わり時点を含む期間に、位置検出素子93への通電をONとできる。したがって、回転子92の磁極の切り替わりを遅延なく検出できる。その結果、モータ9の回転状況を遅延なく把握でき、モータ特性の低下を抑制できる。
【0059】
続いて、インバータ部30のスイッチング素子31の切替タイミングと、位置検出素子93への通電タイミングとの関係について説明する。
図7は、モータ駆動装置10における信号の波形の一例を示す図である。
図7中において、(i)はスイッチング信号S20、(j)は通電が連続して行われたと仮定した場合における位置検出素子93からの出力信号波形、(k)は間欠ON−OFF期間における基本間欠通電は系を示している。
【0060】
図4(d)に示すように、スイッチング信号S20のON/OFFの切替時、すなわち、スイッチング素子31の切替時には、位置検出素子93から出力される位置検出信号S93には、スイッチングノイズが生じる。このため、通電ON期間Ponを、スイッチングノイズが付加されない期間に設けることが好ましい。
【0061】
図4の例では、通電ON期間Ponの長さは、ON−OFFの周期の約5分の1の長さである。また、通電ON期間Ponをスイッチング信号S20のパルスの中心と重なるように設定している。これにより、スイッチング信号S20のON期間が通電ON期間Ponよりも長い場合、通電ON期間Ponとスイッチングノイズが生じるタイミングとが重なりにくい。
【0062】
このように、
図7の例では、間欠駆動部13は、スイッチング素子31の切替時に、位置検出素子93への通電をOFFとするように、間欠ON−OFF期間P2における通電ON期間Ponを設定している。これにより、取得される回転位置信号S42が、スイッチングノイズの影響を受けにくい。その結果、回転子92の位置情報をより正確に把握し、モータ特性の低下をより抑制できる。
【0063】
なお、
図7の例であっても、スイッチング信号S20のON期間が通電ON期間Ponと略同一、または、通電ON期間Ponよりも短い場合、通電ON期間Ponとスイッチングノイズが生じるタイミングとが重なってしまう。当該問題を解決するために、スイッチング信号生成部25が、スイッチング信号S20のONタイミングをずらしたり、間欠駆動部13が通電ON期間Ponのタイミングをずらしたりしてもよい。このようにすれば、回転位置信号S42が、スイッチングノイズの影響をさらに受けにくい。したがって、回転子92の位置情報をさらに正確に把握し、モータ特性の低下をさらに抑制できる。
【0064】
<3.変形例>
以上、本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0065】
上記の実施形態では、間欠駆動部13は、PWM信号の生成のために用いるキャリア波である三角波S21の周波数を基本周波数として、位置検出素子93への通電をON−OFFしたが、本発明はこの限りではない。間欠駆動部は、駆動信号生成部の有する他の用途のキャリア波発振回路から出力されるキャリア波の周波数を基本周波数として、位置検出素子への通電をON−OFFするものであってもよい。
【0066】
例えば、スイッチング信号生成部が、キャリア波発振回路から出力されるキャリア波と、速度指令信号Vspに基づいて生成される相指令電圧等の電圧信号とを比較器により比較することにより、スイッチング信号を生成するものであってもよい。この場合に、間欠駆動部スイッチング信号の生成に用いられるキャリア波の周波数を基本周波数として、位置検出素子への通電をON−OFFしてもよい。
【0067】
モータ駆動装置の各部を実現するための具体的な構成については、上記の実施形態に示された構成と、相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。