(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記トレンチ構造は、トレンチを含み、かつ、トレンチの底部および側壁に一種の絶縁材料、複数種の複合絶縁材料、または光線反射材料が被覆された後、トレンチが単結晶半導体材料または多結晶半導体材料によって充填されて構成されている、
請求項1に記載の同一面電極のフォトダイオードアレイ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の例示的な実施例を説明する。周知の機能や構成についての記述によって本発明の主題が不必要に冗長になると、それを省略する。そして、目的を明確に説明するために、図面において実際な部分が簡略化されたり、拡大されたりする場合がある。ここで、特徴的な層または領域の位置は、相対的な位置を示すが、実際は必ずしも模式図におけるスケールと同じであるとは限らない。
図1〜
図13を参照して、実施形態に係るフォトダイオードの構成の特徴を説明する。
【0023】
本発明の実施例のフォトダイオードアレイにおいて、画素に対応する光検出のチャネルは、第1導電型のエピタキシャルシリコンウェーハに形成される。このエピタキシャルシリコンウェーハは、低比抵抗の基材で、高比抵抗のエピタキシャル型のものである。エピタキシャルシリコンウェーハの表面に高濃度ドーピング領域が形成され、被検出光の入射によって生成された多数のキャリアを収集する領域を有する第1導電型のイオン注入領域と、エピタキシャルシリコンウェーハの表面に高濃度ドーピング領域が形成され、第1導電型のエピタキシャルシリコンウェーハとPN接合を形成し、且つ、光検出チャネルの形態でそれに対応する注入位置が設けられ、被検出光の入射によって生成された少量のキャリアを収集する領域を有し、該領域が光線収集活性領域を構成する第2導電型のイオン注入領域と、を含む。この2種類の導電型の高濃度ドーピング領域は、トンネル効果の発生を避けるために、隣接して設置してはいけないが、その間は半導体基板の高抵抗エピタキシャル材料で構成される。このフォトダイオードアレイのPN接合は、逆バイアスモードで動作可能であり、画素における光線収集活性領域の近傍に逆バイアスの状態で比較的に広い空間電荷領域を形成する。フォトダイオードアレイのPN接合は、ゼロバイアスモードで動作することも可能であり、画素における光線収集活性領域の近傍にゼロバイアスの状態で比較的に狭い内部空間の電荷領域を形成する。
【0024】
光線は、入射口からシリコン半導体に入射し、光線収集活性領域においてケイ素原子と衝突イオン化を起こして、電子正孔対を発生する。電子は、内部電界または印加されるバイアス電界の作用で、第1導電型高濃度ドーピング領域へ遷移または拡散し、最終的には収集される。正孔は、内部電界または印加されるバイアス電界の作用で、第2導電型高濃度ドーピング領域へ遷移または拡散し、最終的に収集されることにより、電気信号が読み出される。PN接合の容量効果を考慮すると、第1導電型と第2導電型のトーピング領域の間隔は大きくなる可能性があり、画素の活性領域のエッジ部位で励起されたキャリアがフォトダイオードアレイにおける隣接する画素によって容易に収集され、また、シリコン体におけるトラップまたは欠陥によって捕獲される可能性もある。
【0025】
例えば、同一面電極のフォトダイオードアレイは、複数の同一面電極のフォトダイオードを含み、それぞれが、第1導電型高濃度ドーピング半導体基材と、第1導電型高濃度ドーピング半導体基材に形成された第1導電型低濃度ドーピングの半導体層と、第1導電型低濃度ドーピングの半導体層の上部に形成され、前記第1導電型低濃度ドーピングの半導体層とPN接合ダイオードを形成する第2導電型高濃度ドーピングの半導体領域であって、光線入射側でそれから第2電極を引き出した第2導電型高濃度ドーピングの半導体領域と、前記第2導電型高濃度ドーピングの半導体領域を囲む第1導電型高濃度ドーピングの半導体領域であって、光線入射側でそれから第1電極を引き出した第1導電型高濃度ドーピングの半導体領域と、前記第2導電型高濃度ドーピングの半導体領域と前記第1導電型高濃度ドーピングの半導体領域との間に設置されたトレンチ構造と、を含む。
【0026】
図1Aと
図1Bは、フォトダイオードアレイの単一セルの構造を示すが、
図1Aは、平面図を示し、
図1Bは、
図1AのA−A’断面線に沿った断面図を示している。このフォトダイオードの構造は、N
+型半導体基材領域1とN
−型エピタキシャル半導体基材領域2とを含むN型エピタキシャルウェーハ上に形成される。ここで、N
+型半導体基材領域は、厚さの範囲が300〜575μm程度であり、比抵抗が0.002〜0.005Ω・cmであり、N
−型エピタキシャル半導体基材領域は、厚さの範囲が20〜100μm程度であり、比抵抗が1KΩ・cm程度である。本開示において、「不純物の高濃度(高濃度ドーピング)」とは、例えば、不純物濃度が1×10
17cm
−3程度以上であることを意味し、導電型に「+」を付加して示す。「不純物の低濃度(低濃度ドーピング)」とは、例えば、不純物濃度が1×10
17cm
−3程度以下であることを意味し、導電型に「−」を付加して示す。N型不純物として、リン(P)やヒ素(As)等があり、P型不純物として、ボロン(B)等がある。
【0027】
N
−型エピタキシャル半導体領域2の上側に、N
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4が形成される。このように、P
+型半導体領域4とN
−型エピタキシャル半導体領域2は、PN接合を形成している。N
+型半導体領域3の厚さの範囲は、0.5〜3μm程度であり、P
+型半導体領域4の厚さの範囲は、0.2〜1μm程度であり、N
+型半導体領域とP
+型半導体領域との間隔は10〜100μm程度である。N
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4の間に、エッチングと充填によって、トレンチ7が形成され、該トレンチの深さは4〜20μm程度である。フォトダイオードの表面に、外部から異物がシリコン半導体基板に侵入することを防ぐための単一絶縁層、多層の複合絶縁層または光線反射材料5が堆積され、その厚さの範囲は50〜200nm程度であり、金属電極絶縁物として用いられることも可能である。また、光学および絶縁物の特性に応じて、光線反射防止膜として設計することもできる。N
+型半導体領域3は、金属電極21によって引き出され、P
+型半導体領域4は、金属電極22によって引き出される。フォトダイオードがゼロバイアスまたは逆バイアスにあるとき、フォトダイオード内部の画素のPN接合の箇所は空間電荷領域6を形成する。P
+型半導体領域の不純物濃度がN
−型エピタキシャル半導体領域2よりもはるかに大きいため、空間電荷領域は、主にN
−型エピタキシャル半導体領域2へ広がり、その広がり幅は逆バイアス電圧が大きくなるほど大きくなる。
【0028】
図2は、第1実施形態によるフォトダイオードの構成図を示している。フォトダイオードアレイの光線収集活性領域は、P
+型半導体領域4の直下に形成された空間電荷領域6のみで構成される。そして、N
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4との間隔の領域は、電荷収集用の活性領域ではなく、電荷収集の過渡領域である。そして、N
+型半導体領域3上の金属電極21の引き出しも、光線の入射を遮断するため、電荷収集用の活性領域ではない。光線が光線収集活性領域であるP
+型半導体領域4に入射すると、N
−型エピタキシャル半導体領域2とP
+型半導体領域4においてたくさんの電子正孔対が励起されるが、光線の波長範囲が200〜600nmであるため、N
−型エピタキシャル半導体領域2における吸収の深さは比較的に浅い。電子キャリアは、内部電界または外部電界の作用で、N
+型半導体領域3の方向に遷移し、最終は金属電極21に収集される。正孔キャリアは、内部電界または外部電界の作用で、P
+型半導体領域4の方向に遷移し、最終は金属電極22に収集され、信号として出力される。しかし、N
−型エピタキシャル半導体領域2にはトラップが存在するため、正孔キャリアの寿命は短くて、一部の正孔キャリアはトラップに捕獲されてしまう。活性領域中心の近傍に生成された正孔キャリアは、P
+型半導体領域4によって収集されやすく、活性領域のエッジ近傍および非活性領域で生成された正孔キャリアは、隣接する画素または隣接する画素のトラップによって捕獲される可能性もある。
【0029】
第1実施例のフォトダイオードアレイにおいて、2種類の導電型高濃度ドーピング領域の間での高抵抗半導体エピタキシャル材料の上に、トレンチ構造が形成され、それは、酸化シリコン、窒化シリコン等のような一種の絶縁材料、複数種の複合絶縁材料、または光線反射材料によって充填される。光線が活性領域のエッジ部位に入射すると、励起される正孔キャリアの一部は、非活性領域へ拡散して移動し、収集する活性領域からの距離が大きくなって、シリコン体のトラップによって捕獲される確率が増加することになる。物理的隔離によると、非活性領域への正孔キャリアの拡散を効果的に阻止し、活性領域のエッジ部位での光反応および収集効率を向上させることができ、さらに画素活性領域の異なる位置での電荷収集の一致性をバランス化させることができる。
【0030】
例えば、N
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4の間に、エッチングと充填によってトレンチ7が形成され、それは、酸化シリコン、窒化シリコン等のような一種の絶縁材料、複数種の複合絶縁材料、または光線反射材料によって充填される。光線が活性領域エッジや非活性領域の部位に入射すると、励起される正孔キャリアの一部が非活性領域へ拡散して移動し、P
+型半導体領域4からの距離が大きくなり、シリコン体のトラップに捕獲される確率が増加してしまう。しかし、N
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4との間にトレンチ構造を形成することによって、正孔キャリアに対する範囲の制御を構成し、一部の正孔キャリア信号の損失を効果的に阻止し、正孔キャリアが活性領域に収集される確率を増大させ、活性領域エッジ部位の光反応および収集効率を向上させ、さらに、画素の活性領域の異なる位置での電荷収集の一致性をバランス化させることができる。
【0031】
第2実施例のフォトダイオードアレイにおいて、2種類の導電型高濃度ドーピング領域の間での高抵抗半導体エピタキシャル材料の上に、トレンチ構造を形成し、第1導電型高濃度ドーピングの単結晶半導体または多結晶半導体によって充填することができる。物理的隔離によると、非活性領域への正孔キャリアの拡散を効果的に阻止することができる。また、第1導電型高濃度ドーピング領域は、そこまで到達する正孔キャリアの逆方向(即ち、活性領域の方向)への拡散を促進することができ、活性領域のエッジ部位での光反応および収集効率を向上させることができる。
【0032】
図2に示すように、N
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4との間に、エッチングと充填によって、トレンチ7が形成され、N
+型単結晶半導体または多結晶半導体によってトレンチ7を充填することができる。ここで、トレンチに充填されたP
+型単結晶半導体または多結晶半導体は電極が引き出されておらず、構造からみると浮遊状態に相当し、正孔キャリアがP
+型半導体構造のエッジへ拡散または遷移すると、物理的隔離およびエネルギーバンドの作用によって、そこまで到達する正孔キャリアの逆方向(即ち、活性領域の方向)への拡散を促進して、活性領域エッジ部位での光反応および収集効率を向上させる。
【0033】
図3は、第3実施形態によるフォトダイオードの構成を説明するための模式図である。第3実施例のフォトダイオードアレイにおいて、その2種類の導電型高濃度ドーピング領域の間での高抵抗半導体エピタキシャル材料の上に、トレンチ構造が形成され、該トレンチ構造は、酸化シリコン、窒化シリコン等のような一種の絶縁材料、複数種の複合絶縁材料、または光線反射材料によって充填することができる。そして、トレンチの周りに、エピタキシャルウェーハと同じドーピングタイプの高濃度ドーピング領域が形成される。物理的隔離によると、正孔キャリアの非活性領域への拡散を効果的に阻止することができる。また、第1導電型高濃度ドーピング領域は、そこまで到達する正孔キャリアの逆方向(即ち、活性領域方向)への拡散を促進することができ、活性領域のエッジ部位での光反応および収集効率を向上させることができる。
【0034】
図3に示すように、N
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4の間に、エッチングと充填によって、トレンチ7が形成される。そして、N
+イオンの注入を行い、トレンチの底部および側壁にN
+型半導体領域31を形成する。このN
+型半導体領域31は、厚さが0.1〜1μmである。その後、酸化シリコン、窒化シリコン等のような一種の絶縁材料、複数種の複合絶縁材料、または光線反射材料によって充填する。正孔キャリアがN
+型半導体領域31のエッジへ拡散または遷移すると、トレンチの物理的隔離およびエネルギーバンドの作用で、そこまで到達する正孔キャリアの逆方向(即ち、活性領域方向)への拡散を促進し、活性領域エッジ部位での光反応および収集効率を向上させる。
【0035】
図4は、第4実施形態によるフォトダイオードの構成を説明するための模式図である。第4実施例のフォトダイオードアレイにおいて、2種類の導電型高濃度ドーピング領域の間での高抵抗半導体エピタキシャル材料の上に、空隙構造から構成可能なトレンチ構造が形成され、空隙の底部および側壁に単一絶縁層、多層の複合絶縁層または光線反射材料が被覆される。物理的隔離によると、正孔キャリアの非活性領域への拡散を効果的に阻止することができ、活性領域エッジ部位での光反応および収集効率を向上させることができる。
【0036】
図4に示すように、N
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4の間に、エッチングと充填によって、トレンチを形成する。その後、トレンチの底部および側壁に、酸化シリコン、窒化シリコン等のような一種の絶縁材料、複数種の複合絶縁材料、または光線反射材料5を成長させる。トレンチは、空隙構造8である。酸化シリコン、窒化シリコン等のような一種の絶縁材料、複数種の複合絶縁材料または光線反射材料5は、厚さの範囲が0.1〜1μm程度である。トレンチの空隙構造によって、正孔キャリアの半導体基板のエピタキシャル層における可動範囲をよく制限し、一部の正孔キャリア信号の損失を効果的に阻止し、正孔キャリアが活性領域に収集される確率を増大させ、活性領域のエッジ部位での光反応および収集効率を向上させることができ、さらに画素の活性領域の異なる位置での電荷収集の一致性をバランス化させることができる。
【0037】
図5は、第5実施形態によるフォトダイオードの構成を説明するための模式図である。第5実施例のフォトダイオードアレイにおいて、2種類の導電型高濃度ドーピング領域の間での高抵抗半導体エピタキシャル材料の上に、空隙構造から構成可能なトレンチ構造が形成され、空隙の底部および側壁に単一絶縁層、多層の複合絶縁層、または光線反射材料が被覆され、トレンチの周りにエピタキシャルウェーハと同じドーピングタイプの高濃度ドーピング領域が形成される。物理的隔離によると、正孔キャリアの非活性領域への拡散を効果的に阻止することができる。また、第2導電型高濃度ドーピング領域は、トレンチ領域の正孔のエネルギーバンドを向上させ、そこまで到達する正孔キャリアの逆方向(即ち、活性領域方向)への拡散を促進することができる。
【0038】
図5に示すように、N
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4の間に、エッチングと充填によって、トレンチを形成する。その後、N
+イオンの注入を行い、トレンチの底部および側壁にN
+型半導体領域32を形成する。このN
+型半導体領域32は、厚さが0.1〜1μmである。その後、トレンチの底部および側壁に、酸化シリコン、窒化シリコン等のような一種の絶縁材料、複数種の複合絶縁材料または光線反射材料32を成長させる。トレンチは、空隙構造8である。正孔キャリアがN
+型半導体構造32のエッジへ拡散または遷移すると、トレンチの空隙構造による物理的隔離およびエネルギーバンドの作用で、そこまで到達する正孔キャリアの逆方向(即ち、活性領域方向)への拡散を促進し、さらに活性領域エッジ部位での光反応および収集効率を向上させることができる。
【0039】
図6は、第6実施形態によるフォトダイオードの構成を説明するための模式図である。第6実施例のフォトダイオードアレイにおいて、2種類の導電型高濃度ドーピング領域の間での高抵抗半導体エピタキシャル材料の上に、トレンチ構造を形成し、トレンチの底部および側壁には単一絶縁層、多層の複合絶縁層、または光線反射材料を被覆し、その後、単結晶半導体材料または多結晶半導体材料によってトレンチを充填する。物理的隔離によると、正孔キャリアの非活性領域への拡散を効果的に阻止することができる。また、この単結晶半導体材料または多結晶半導体材料は、第2導電電極(光線収集に対応する高濃度ドーピング領域からの引き出し電極)に対して、ゼロ電位、浮遊状態または高電位に接続されることが可能であり、外部電界を印加することによって、そこまで到達する正孔キャリアの逆方向(即ち、活性領域方向)への拡散を促進し、活性領域エッジ部位での光反応および収集効率を向上させることができる。
【0040】
図6に示すように、N
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4の間に、エッチングと充填によって、トレンチを形成し、その後、トレンチの底部および側壁に酸化シリコン、窒化シリコン等のような一種の絶縁材料、複数種の複合絶縁材料、または光線反射材料34を成長させる。トレンチの空隙を、N
+またはP
+型単結晶半導体または多結晶半導体10によって充填することができる。また、このN
+またはP
+型単結晶または多結晶半導体10は、外部から印加する電位によって、ゼロバイアス、浮遊状態またはフォワードバイアスに制御することができる。N
+またはP
+型単結晶半導体または多結晶半導体10がフォワードバイアスになると、半導体の内部において、N
+またはP
+型単結晶半導体または多結晶半導体10からP
+型半導体領域4への方向に電界を発生する。これにより、正孔キャリアが酸化シリコン、窒化シリコン等のような一種の絶縁材料、複数種の複合絶縁材料、または光線反射材料34のエッジへ拡散または遷移すると、トレンチの空隙構造による物理的隔離および電界の作用で、そこまで到達する正孔キャリアの逆方向(即ち、活性領域方向)への拡散を促進し、さらに活性領域エッジ部位での光反応および収集効率を向上させることができる。
【0041】
図7と
図8は、トレンチありの構造(第1実施形態)とトレンチなしの構造によるフォトダイオードデバイスにおいて、光線が画像の活性領域エッジの異なる位置に入射する場合の光反応および光電収集効率を示している。比較の結果から分かるように、トレンチによる隔離構造は、画素の活性領域のエッジ部位での正孔キャリアの収集確率を改善しており、活性領域のエッジ部位での光反応および収集効率を向上させることができ、さらに画素の異なる位置での電荷収集の一致性をバランス化させることができる。
【0042】
図9は、第7実施形態によるフォトダイオードの構成を説明するための模式図である。第7実施例のフォトダイオードアレイにおいて、光線収集の活性領域の最上層に、比較的に薄い第1導電型高濃度ドーピング領域または第2導電型低濃度トーピング領域が形成される。プロセス加工の過程で、デバイスの表面には欠陥やイオン等の不純物が侵入されやすいが、これらの構成の欠点は捕獲の要因になり、電極の電荷に対する収集量を低減させることになる。第2導電型高濃度ドーピング領域の最上層に比較的に薄い第1導電型高濃度ドーピング領域が形成されると、画素がゼロバイアスまたは逆バイアスになる場合の内部空間の電荷領域の境界の上限が半導体の表面までに到達しないように制御し、正孔電荷が構成の欠点によって捕獲される確率を低減することができる。第2導電型高濃度ドーピング領域の最上層に比較的に薄い第2導電型低濃度トーピング領域が形成されると、正孔がデバイスの表面へ拡散または遷移することを抑制することで、正孔電荷が構成の欠点によって捕獲される確率を低減することができる。
【0043】
図9に示すように、P
+型半導体領域4の最上層に、イオン注入によって比較的に薄いN
+型半導体領域11を形成し、この領域はP
+型半導体領域4に囲まれている。このように、N
+型半導体11と、P
+型半導体領域4と、N
−型半導体基板エピタキシャル層2とで、N
+/P
+/N
−構造を構成し、画素の構造がゼロバイアスになるか逆バイアスになるかにかかわらず、P
+半導体領域4の内側に形成される空間電荷領域の上部境界が、デバイスの画素表面以下に制限され、正孔電荷がデバイスの表面に捕獲される確率を低減させることができる。また、イオン注入のエネルギを制御することによって、P
+型半導体領域4の最上層に比較的に薄いP
−型半導体領域11を形成することができるが、この領域はP
+型半導体領域4に囲まれる。このように、画素の構造がゼロバイアスになるか逆バイアスになるかにかかわらず、これらのP
−型半導体領域11と、P
+型半導体領域4と、N
−型半導体基板エピタキシャル層2とで、P
−/P
+/N
−構造を構成し、内部電界によって正孔がデバイスの表面へ拡散または遷移することを抑制し、正孔電荷が構成の欠点に捕獲される確率を低減することができる。
【0044】
図10は、第8実施形態によるフォトダイオードの構成を説明するための模式図である。第10実施例のフォトダイオードアレイにおいて、第2導電型高濃度ドーピング領域と第1導電型高濃度ドーピング領域の下方に第1導電型高濃度ドーピング領域が設けられ、または、第2導電型高濃度ドーピング領域の下方のみに第1導電型高濃度ドーピング領域が設けられる。この第1導電型高濃度ドーピング領域は、単結晶シリコン、多結晶シリコン又はゲルマニウム等の半導体であっても良い。このような構造は、電荷に敏感な領域を薄くし、正孔電荷が下方の第1導電型低濃度トーピング領域のトラップによって捕獲されることを低減することができる。等電位の第1導電型高濃度ドーピング領域は、正孔電荷が第2導電型高濃度ドーピング領域に向かって遷移するように促進し、電荷の収集時間を短縮させる。また、薄くなった第1導電型低濃度トーピング領域は、2つの電極間の有効抵抗を増大させ、暗電流をより低減させることができる。また、画素における第1導電型高濃度ドーピング領域は、トレンチ構造であってもよく、該当する層の第1導電型高濃度ドーピング領域まで延びて、画素間を完全に隔離し、画素間の電荷クロストークの効果をより抑制することができる。ここで、該当する層の第1導電型高濃度ドーピング領域は、シリカまたは窒化シリコン等の絶縁材料によって取り替えてもよい。
【0045】
図10に示すように、半導体基板の基材1は、N
+型領域でもよいし、N
−型領域でもよい。この実施形態において、画素のN
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4の下方の5〜20μmの位置に、単結晶シリコン、多結晶シリコン又はゲルマニウム等の半導体材料で構成可能なN
+型半導体領域12が設けられる。このように、画素におけるN
+型半導体領域3とN
+型半導体領域12の電位は同じである。画素がゼロバイアスまたは逆バイアスになると、N
−型半導体領域13内で光子によって励起される電子正孔対は、内部電界または外部電界の駆動で、それぞれN
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4へ遷移する。N
+型半導体領域12と、N
−型半導体領域13と、P
+型半導体領域4とで、N
+/N
−/P
+構造が構成され、N
+型半導体領域12は、正孔キャリアが上側のP
+型半導体領域4の方向(即ち、活性領域方向)へ拡散するように促進し、正孔電荷の収集時間をより低減させることができる。また、N
+型半導体領域12は、N
−型半導体領域内13で励起される電荷がN
−型半導体領域2へ拡散することを制限し、電荷がN
−型半導体領域2におけるトラップによって捕獲される確率を低減することができる。また、N
+型半導体領域12は、有効な電荷収集領域をN
−型半導体領域13までに薄くするが、電極のN
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4は横構造であるため、この構造は、N
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4との間の有効抵抗を大きくしたことに相当する。そのため、画素の暗電流をより低減させることができる。この実施形態において、N
+型半導体領域12は、全体が連続する構成であっても良く、P
+型半導体領域4の下方のみに設けられる構成であってもよい。そして、具体的なサイズは、必要に応じて設計し調整することができる。
【0046】
第8実施形態において、半導体基板の基材1は、N
+型領域であっても良く、N
−型領域であっても良い(即ち、符号1と2の領域が同一タイプの領域である高抵抗半導体ウエハ)。この実施形態では、画素のN
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4の下方の5〜15μmの位置に、シリカまたは窒化シリコン等の絶縁材料12が設けられる。これにより、半導体の全体は、SOI(Silicon on Insulator)ウエハになることができる。シリカまたは窒化シリコン等の絶縁材料12は、N
−型半導体領域13内に励起される電荷がN
−型半導体領域2へ拡散することを制限し、電荷がN
−型半導体領域2におけるトラップによって捕獲される確率を低減することができる。また、シリカまたは窒化シリコン等の絶縁材料12は、有効な電荷収集領域をN
−型半導体領域13までに薄くするが、電極のN
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4は横構造であるため、この構造は、N
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4との間の有効抵抗を大きくしたことに相当する。そのため、画素の暗電流をより低減させることができる。この実施形態において、酸化シリコンまたは窒化シリコン等の絶縁材料12は、全体が連続する構成であっても良く、P
+型半導体領域4の下方のみに設けられる構成であってもよい。そして、具体的なサイズは、必要に応じて設計し調整することができる。
【0047】
図11は、第9実施形態によるフォトダイオードの構成を説明するための模式図である。第10実施例のフォトダイオードアレイの上で、第2導電型高濃度ドーピング領域と第1導電型高濃度ドーピング領域の下方に絶縁層付きの伝導構造が設けられ、あるいは第2導電型高濃度ドーピング領域の下方のみに絶縁層付きの伝導構造が設けられる。この絶縁層付きの伝導構造は、シリカまたは窒化シリコン等の絶縁材料、高濃度ドーピングの単結晶シリコンや多結晶シリコン又はゲルマニウム等の半導体材料、およびシリカまたは窒化シリコン等の絶縁材料によって構成することができる。この絶縁層付きの伝導構造の電位は、単独で制御することができる。この絶縁層付きの伝導構造は、電荷に敏感な領域を薄くして、正孔電荷が下方の第1導電型低濃度トーピング領域におけるトラップによって捕獲されることを低減することができる。等電位の第1導電型高濃度ドーピング領域と伝導構造は、正孔電荷が第2導電型高濃度ドーピング領域に向かって遷移するように促進し、電荷の収集時間を短縮させることができる。また、薄くなった第1導電型低濃度トーピング領域は、2つの電極間の有効抵抗を増大させ、暗電流をより低減させる。また、画素における第1導電型高濃度ドーピング領域は、トレンチ構造であってもよいが、絶縁層付きの伝導構造における高濃度ドーピングの単結晶シリコンや多結晶シリコン又はゲルマニウム等の半導体材料まで延びて、画素間を完全に隔離し、画素間の電荷クロストーク効果を抑制することができる。
【0048】
図11に示すように、半導体基板の基材1は、N
+型領域であっても良い。この実施形態は、画素のN
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4の下方の5〜15μmの位置に、単結晶シリコン、多結晶シリコン又はゲルマニウム等の半導体材料で構成可能なN
+型半導体領域12が形成されている。そして、N
+型半導体領域3は、トレンチ構造であり、N
+型半導体領域12まで延びている。このように、画素におけるN
+型半導体領域3とN
+型半導体領域12の電位の分布が同じである。画素がゼロバイアスまたは逆バイアスになると、光子がN
−型半導体領域13内で励起される電子正孔対は、内部電界または外部電界の駆動で、それぞれN
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4へ遷移する。また、N
+型半導体領域12と、N
−型半導体領域13と、P
+型半導体領域4で、N
+/N
−/P
+構造が構成される。N
+型半導体領域12は、正孔キャリアが上側のP
+型半導体領域4の方向(即ち、活性領域方向)へ拡散するように促進し、正孔電荷の収集時間をより低減させる。そして、トレンチ構造であるN
+型半導体領域3とシリカや窒化シリコン等の絶縁材料12は、画素と画素の間を完全に隔離し、画素間の電荷クロストーク効果をさらに抑制することができる。また、N
+型半導体領域12は、N
−型半導体領域13内で励起される電荷がN
−型半導体領域へ拡散することを制限し、電荷がN
−型半導体領域2のトラップによって捕獲される確率が低減されることができる。また、N
+型半導体領域12は、有効な電荷収集領域をN
−型半導体領域13までに薄くするが、電極のN
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4は横構造であるため、この構造は、N
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4との間の有効抵抗を大きくしたことに相当する。これにより、画素の暗電流を低減させることができる。この実施形態において、N
+型半導体領域12は、全体が連続する構成であっても良く、P
+型半導体領域4の下方のみに設けられる構成であってもよい。そして、具体的なサイズは、必要に応じて設計し調整することができる。
【0049】
第9実施形態において、半導体基板の基材1は、N
+型領域であっても良く、N
−型領域であっても良い(即ち、符号1と2の領域は同一タイプの領域である高抵抗半導体ウエハ)。この実施形態で、画素のN
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4の下方の5〜15μmの位置に、シリカまたは窒化シリコン等の絶縁材料12が設けられており、半導体の全体がSOI(Silicon on Insulator)ウエハとなっている。そして、N
+型半導体3は、トレンチ構造であり、シリカまたは窒化シリコン等の絶縁材料12までに延びており、トレンチ構造のN
+型半導体領域3とシリカまたは窒化シリコン等の絶縁材料12によって、画素と画素の間を完全に隔離し、画素間の電荷クロストーク効果をさらに抑制することができる。シリカまたは窒化シリコン等の絶縁材料12は、N
−型半導体領域13内で励起される電荷がN
−型半導体領域へ拡散することを制限し、電荷がN
−型半導体領域2におけるトラップによって捕獲される確率を低減することができる。なお、シリカまたは窒化シリコンなどの絶縁材料12は、有効な電荷収集領域をN
−型半導体領域13までに薄くするが、電極のN
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4は、横構造であるため、この構造は、N
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4との間の有効抵抗を大きくしたことに相当する。そのため、画素の暗電流を低減させることができる。この実施形態において、酸化シリコンまたは窒化シリコン等の絶縁材料12は、全体が連続する構成であっても良く、P
+型半導体領域4の下方のみに設けられる構成であってもよい。そして、具体的なサイズは、必要に応じて設計し調整することができる。
【0050】
図12は、第10実施形態を示す。第10実施形態において、半導体基板の基材1は、N
+型領域であっても良く、N
−型領域であっても良い。この実施形態で、画素のN
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4の下方の5〜15μmの位置に、絶縁層付きの伝導構造が設けられているが、それぞれ、シリカまたは窒化シリコン等の絶縁材料14、高濃度ドーピングの単結晶シリコンや多結晶シリコン又はゲルマニウム等の半導体材料15、シリカまたは窒化シリコン等の絶縁材料16である。このように、全体はDSOI(double−layer Silicon on Insulator)ウエハ構造である。このように、高濃度ドーピングの単結晶シリコン、多結晶シリコン又はゲルマニウム等の半導体材料15は、その電位を単独で制御することができ、N
−型半導体領域13内での電界分布を変調することが可能である。画素がゼロバイアスまたは逆バイアスになると、光子によってN
−型半導体領域13内で励起される電子正孔対が、内部電界または外部電界の駆動で、それぞれN
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4へ遷移する。高濃度ドーピングの単結晶シリコン、多結晶シリコン又はゲルマニウム等の半導体材料15は、正孔キャリアが上側のP
+型半導体領域4の方向(即ち、活性領域方向)へ拡散するように促進することで、正孔電荷の収集時間をさらに低減させることができる。また、絶縁層付きの伝導構造は、N
−型半導体領域13内で励起される電荷がN
−型半導体領域2へ拡散することを制限することで、電荷がN
−型半導体領域2におけるトラップによって捕獲される確率を低減させることができる。また、絶縁層付きの伝導構造は、有効な電荷の収集領域をN
−型半導体領域13までに薄くするが、電極のN
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4が横構造であるため、この構造は、N
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4との間の有効抵抗を大きくしたことに相当する。そのため、画素の暗電流をより低減させることができる。この実施形態において、絶縁層付きの伝導構造14,15及び16は、全体が連続する構成であっても良く、P
+型半導体領域4の下方のみに設けられる構成であってもよい。そして、具体的なサイズは、必要に応じて設計し調整することができる。
【0051】
図13は、第11実施形態を示す。第11実施形態において、半導体基板の基材1は、N
+型領域であっても良く、N
−型領域であっても良い。この実施形態で、画素のN
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4の下方の5〜15μmの位置に、絶縁層付きの伝導構造が設けられているが、それぞれ、シリカまたは窒化シリコン絶縁層14、高濃度ドーピングの単結晶シリコンや多結晶シリコン又はゲルマニウム等の半導体材料15、およびシリカまたは窒化シリコン絶縁層16である。このように、全体は、DSOI(double−layer Silicon on Insulator)ウエハ構造である。そして、N
+型半導体領域3は、トレンチ構造であり、高濃度ドーピングの単結晶シリコン、多結晶シリコン又はゲルマニウム等の半導体材料15までに延びており、トレンチ構造であるN
+型半導体領域3と絶縁層付きの伝導構造は、画素と画素の間を完全に隔離することで、画素間の電荷クロストーク効果をより抑制することができる。このように、高濃度ドーピングの単結晶シリコン、多結晶シリコン又はゲルマニウム等の半導体材料15とN
+型半導体領域3の電位分布は同じであり、電位によってN
+型半導体領域3を制御することによって、N
−型半導体領域13内の電界分布を変調することができる。画素がゼロバイアスまたは逆バイアスになると、光子によってN
−型半導体領域13内で励起される電子正孔対が、内部電界または外部電界の駆動で、それぞれN
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4へ遷移する。高濃度ドーピングの単結晶シリコン、多結晶シリコン又はゲルマニウム等の半導体材料15は、正孔キャリアが上側のP
+型半導体領域4の方向(即ち、活性領域方向)へ拡散するように促進することで、正孔電荷の収集時間をより低減させる。また、絶縁層付きの伝導構造は、N
−型半導体領域13内で励起される電荷がN
−型半導体領域へ拡散することを制限し、電荷がN
−型半導体領域2におけるトラップによって捕獲される確率を低減することができる。また、絶縁層付きの伝導構造は、有効な電荷の収集領域をN
−型半導体領域13までに薄くするが、電極のN
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4は横構造であるため、この構造は、N
+型半導体領域3とP
+型半導体領域4との間の有効抵抗を大きくしたことに相当する。そのため、画素の暗電流をさらに低減させることができる。この実施形態において、絶縁層付きの伝導構造14,15及び16は、全体が連続する構成であっても良く、P
+型半導体領域4の下方のみに設けられる構成であってもよい。そして、具体的なサイズは、必要に応じて設計し調整することができる。
【0052】
本発明の上記した実施例のフォトダイオードアレイは、主に波長200〜600nmのX線検出器(CsIなどのシンチレータにて波長550nm程度の光を放射)に適用され、且つ主にエピタキシャルシリコンウェーハ表面から5μmの深さの以内で吸収を行うため、トレンチによる隔離構造である。そして、第1導電型高濃度ドーピング層、絶縁材料層と絶縁層付きの伝導構造は、その深さを5〜20μmの範囲で制御することが可能である。この場合、上記したように、トレンチ構造の作用と効果を確保することができる。
【0053】
また、本発明の実施例のフォトダイオードアレイは、波長200〜600nmの範囲で動作し、画素の活性領域の光線吸収はより良い一致性を有し、画素の暗電流を低減し、画素の電荷収集の速度を速めることができる。
【0054】
説明のために本発明の例示的な実施例を記載したが、添付の特許請求の範囲に開示された本発明の範囲および主旨から逸脱しない限り、いろんな修正、組み合わせ、追加および置換が可能であることは、勿論である。