特許第6577690号(P6577690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6577690
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】レンズ光学特性測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 11/02 20060101AFI20190909BHJP
   G01M 11/00 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   G01M11/02 B
   G01M11/00 L
【請求項の数】12
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-91642(P2019-91642)
(22)【出願日】2019年5月14日
【審査請求日】2019年5月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515021068
【氏名又は名称】株式会社アサヒビジョン
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100129137
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 ゆみ
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】小出 珠貴
【審査官】 横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−211617(JP,A)
【文献】 特開平10−132707(JP,A)
【文献】 特開2003−106938(JP,A)
【文献】 特開2006−189386(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0340672(US,A1)
【文献】 特開2019−027945(JP,A)
【文献】 特開2008−299140(JP,A)
【文献】 特開2009−192411(JP,A)
【文献】 特開平09−257644(JP,A)
【文献】 特開2002−022598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00−11/08
G02C 7/00
G02C 13/00
G01N 21/896
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ保持部、操作入力部、測定制御部、測定演算部、光照射部、受光部、及び、出力部を備え、
前記レンズ保持部は、レンズを保持し、
前記操作入力部は、測定内容を含む操作情報を測定制御部に入力し、
前記測定制御部は、入力された操作情報に基づき測定制御情報を生成し、
前記光照射部は、前記測定制御情報に基づいて光を前記レンズに照射し、
前記受光部は、前記光を照射されたレンズから出射される測定光を受光して測定情報を生成し、
前記測定演算部は、前記測定情報に基づきレンズの光学特性情報を生成し、
前記出力部は、前記光学特性情報を出力し、
前記光照射部は、光源部を含み、
前記光源部は、波長が異なる複数のLED発光素子、基板、及び、拡散板を含み、
前記LED発光素子は前記基板上に搭載され、
前記拡散板は、前記LED発光素子の光出射方向に配置され、
前記光照射部は、前記測定制御情報に基づき指定された波長のLED発光素子からの光を前記拡散板を介して前記レンズに照射
前記複数のLED発光素子は、可視光の屈折率測定スペクトル線の少なくとも3波長の前記スペクトル線のLED発光素子を含み、
少なくとも3波長の前記スペクトル線のLED発光素子のうち、一つのLED発光素子が、前記基板の中心に配置され、他の複数のLED発光素子が、前記基板の中心から等距離かつ互いに等間隔の位置に配置されており、
前記操作入力部は、アッベ数測定指示情報を含む操作情報を測定制御部に入力し、
前記測定制御部は、前記アッベ数測定指示情報に基づきアッベ数測定制御情報を生成し、
前記光照射部は、前記アッベ数測定制御情報に基づき、少なくとも3波長の前記スペクトル線の各LED発光素子の光を前記レンズに照射し、
前記受光部は、各LED発光素子の波長毎に前記レンズから出射される測定光を受光して前記波長毎の屈折率情報を生成し、
前記測定演算部は、前記屈折率情報に基づきレンズのアッベ数情報を生成し、
前記出力部は、前記アッベ数情報を出力する、
レンズ光学特性測定装置。
【請求項2】
レンズ保持部、操作入力部、測定制御部、測定演算部、光照射部、受光部、及び、出力部を備え、
前記レンズ保持部は、レンズを保持し、
前記操作入力部は、測定内容を含む操作情報を測定制御部に入力し、
前記測定制御部は、入力された操作情報に基づき測定制御情報を生成し、
前記光照射部は、前記測定制御情報に基づいて光を前記レンズに照射し、
前記受光部は、前記光を照射されたレンズから出射される測定光を受光して測定情報を生成し、
前記測定演算部は、前記測定情報に基づきレンズの光学特性情報を生成し、
前記出力部は、前記光学特性情報を出力し、
前記光照射部は、光源部を含み、
前記光源部は、波長が異なる複数のLED発光素子、基板、及び、拡散板を含み、
前記LED発光素子は前記基板上に搭載され、
前記拡散板は、前記LED発光素子の光出射方向に配置され、
前記光照射部は、前記測定制御情報に基づき指定された波長のLED発光素子からの光を前記拡散板を介して前記レンズに照射し、
さらに、レンズ位置移動部を含み、
前記レンズ位置移動部は、前記レンズ保持部に連結し、
前記レンズ位置移動部は、前記測定制御情報に基づき、前記レンズ保持部に保持されたレンズを、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、Xθ方向、及び、Yθ方向の5方向に移動可能であり、
X軸方向及びY軸方向は、鉛直方向又は光軸方向と垂直な面で互いに直交する方向であり、
Z軸方向は、鉛直方向又は光軸方向であり、
Xθ方向は、Y軸方向及びZ軸方向が形成する面において、任意の位置のX軸を回転中心軸とする仮想円の円周方向であり、
Yθ方向は、X軸方向及びZ軸方向が形成する面において、任意の位置のY軸を回転中心軸とする仮想円の円周方向である、
レンズ光学特性測定装置。
【請求項3】
前記レンズ位置移動部は、前記測定制御情報に基づき、前記レンズ保持部に保持されたレンズを、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、Xθ方向、Yθ方向、及び、Zθ方向の6方向に移動可能であり、
Zθ方向は、X軸方向及びY軸方向が形成する面において、任意の位置のZ軸を回転中心軸とする仮想円の円周方向である、
請求項2記載のレンズ光学特性測定装置。
【請求項4】
前記測定制御部は、レンズ同期移動情報を生成可能であり、
前記レンズ位置移動部は、前記レンズ同期移動情報に基づき、前記レンズ保持部に保持されたレンズを同期して少なくとも二方向に移動する、
請求項2又は3記載のレンズ光学特性測定装置。
【請求項5】
前記基板上に搭載された複数のLED発光素子の全部又は一部が、互いに等間隔で配置されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載のレンズ光学特性測定装置。
【請求項6】
前記光源部が、さらに、視標シートを含み、
前記拡散板の光出射面の上方に前記視標シートが配置されている
請求項1からのいずれか一項に記載のレンズ光学特性測定装置。
【請求項7】
前記視標シートにおいて、周期的な視標パターンに対し、前記視標パターンの色と同色の濃淡の周期パターンが重畳されている、
請求項記載のレンズ光学特性測定装置。
【請求項8】
前記測定演算部において、前記測定情報に基づくレンズの光学特性情報の生成は、前記測定情報に基づき前記レンズの射出瞳面における光学特性分布情報を生成することを含む、
請求項1からのいずれか一項に記載のレンズ光学特性測定装置。
【請求項9】
前記操作入力部は、レンズ内座標設定情報を含む操作情報を入力可能であり、
前記レンズ内座標情報は、LX軸方向、及び、LY軸方向からなる二次元座標情報であり、
前記二次元座標は、前記レンズにおいて、前記レンズの光軸と垂直に交わる平面上の二次元座標であり、
前記LX軸方向は、前記レンズ内の二つのアライメントマークが重なる軸方向であり、
前記LY軸方向は、前記LX軸方向と直交する軸方向であり、
前記操作入力部により入力された操作情報に前記レンズ内座標設定情報が含まれる場合、前記測定制御部は、前記レンズ内座標設定情報を含む測定制御情報を生成し、
前記測定演算部は、前記レンズ内座標設定情報に基づき、前記測定情報から二つのアライメントマーク位置情報を抽出し、前記二つのアライメントマーク位置情報から、前記レンズ内の前記LX軸方向、及び、前記LY軸方向からなるレンズ内座標情報を生成し、
前記出力部は、前記レンズ内座標情報を含む前記光学特性情報を出力する、
請求項1からのいずれか一項に記載のレンズ光学特性測定装置。
【請求項10】
前記測定演算部は、前記レンズ内座標で規定されたレンズの各位置の光学特性情報を生成し、
前記出力部は、前記レンズ各位置の光学特性情報を出力する、
請求項記載のレンズ光学特性測定装置。
【請求項11】
前記操作入力部は、分割測定指示情報を含む操作情報を入力可能であり、
前記分割測定指示情報は、前記レンズを各部に分割して光学特性を測定し、分割して測定されたレンズ各部の光学特性の全部又は一部を統合して前記レンズの全体又は一部の光学特性とするものであり、
前記操作入力部により入力された操作情報に分割測定指示情報が含まれる場合、前記測定制御部は、前記分割測定指示情報を含む測定制御情報を生成し、
前記レンズ位置移動部は、前記分割測定指示情報に基づき、前記レンズの分割された各部に、前記光照射部が光を照射できるように前記レンズを移動させ、
前記光照射部は、前記分割測定指示情報に基づき、前記レンズの分割された各部に光を照射し、
前記受光部は、前記分割測定指示情報に基づき、前記レンズの分割された各部から出射される測定光を受光して前記レンズの各部の分割測定情報を生成し、
前記測定演算部は、前記分割測定情報に基づき、前記レンズの分割光学特性情報を生成し、かつ、前記各分割光学特性情報の全部又は一部を統合して前記レンズ全体又は一部分の光学特性情報を生成する、
請求項1から10のいずれか一項に記載のレンズ光学特性測定装置。
【請求項12】
さらに、カップ装着部を含み、
前記カップ装着部は、カップを保持するカップ保持部、及び、前記カップ保持部と連結し前記カップ保持部を移動させる移動部を含み、
前記移動部は、光学特性測定の際には、前記カップ保持部を前記光学特性測定の支障がない位置にカップ保持部を配置し、カップを前記レンズに配置する際には、前記カップ保持部を前記レンズの上方に配置し、
前記レンズ位置移動部は、前記レンズ上方に配置されたカップ保持部のカップに対し、前記レンズにおいて任意点を想定し、前記任意点を通る面に直交する軸(法線)が、前記カップの中心軸と合うように前記レンズの位置と向きを調整し、
前記レンズ位置移動部及び前記カップ装着部の移動部の少なくとも一方が、前記レンズ及び前記カップの少なくとも一方を移動させることにより、前記カップに前記レンズを当接して前記レンズにカップを装着させる、
請求項1から11のいずれか一項に記載のレンズ光学特性測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ光学特性測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の眼鏡レンズの光学特性測定装置としては、例えば、屈折率及び紫外線透過率等の光学特性を測定できる装置がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−58247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近、LED発光素子を使用した光源が普及しており、波長の異なる複数のLED発光素子を使用すれば、複数の光学特性の測定が可能となる。この場合、レンズ光学特性測定装置の光源としてLED発光素子を複数個使用する場合、ムラを抑えた均一な出射光とする必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、光源としてLED発光素子を複数個使用した場合であってもムラを抑制した均一な出射光とすることができるレンズ光学特性測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明のレンズ光学特性測定装置は、
レンズ保持部、操作入力部、測定制御部、測定演算部、光照射部、受光部、及び、出力部を備え、
前記レンズ保持部は、レンズを保持し、
前記操作入力部は、測定内容を含む操作情報を測定制御部に入力し、
前記測定制御部は、入力された操作情報に基づき測定制御情報を生成し、
前記光照射部は、前記測定制御情報に基づいて光を前記レンズに照射し、
前記受光部は、前記光を照射されたレンズから出射される測定光を受光して測定情報を生成し、
前記測定演算部は、前記測定情報に基づきレンズの光学特性情報を生成し、
前記出力部は、前記光学特性情報を出力し、
前記光照射部は、光源部を含み、
前記光源部は、波長が異なる複数のLED発光素子、基板、及び、拡散板を含み、
前記LED発光素子は前記基板上に搭載され、
前記拡散板は、前記LED発光素子の光出射方向に配置され、
前記光照射部は、前記測定制御情報に基づき指定された波長のLED発光素子からの光を前記拡散板を介して前記レンズに照射する、装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、LED発光素子を複数個使用した光源であっても、ムラを抑えた均一な出射光とすることができ、複数の波長の異なるLED発光素子を使用することにより、複数の項目の光学特性を測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の装置の構成の一例を示す図である。
図2図2は、本発明の装置の構成の一例を示す図である。
図3図3は、本発明の装置の構成の一例を示す図である。
図4図4は、本発明の装置の構成の一例を示す図である。
図5図5は、本発明の装置の構成の一例を示す図である。
図6図6は、本発明の装置の構成の一例を示す図である。
図7図7は、本発明の装置の構成の一例を示す図である。
図8図8は、本発明の装置の構成の一例を示す図である。
図9図9は、視標シートの一例を示す図である。
図10図10は、本発明の装置の構成の一例を示す図である。
図11図11は、本発明の装置の構成の一例を示す図である。
図12図12は、本発明の装置の構成の一例を示す図である。
図13図13は、本発明の装置の構成の一例を示す図である。
図14図14は、本発明の装置の構成の一例を示す図である。
図15図15は、本発明の装置の構成の一例を示す図である。
図16図16は、本発明の装置の構成の一例を示す図である。
図17図17は、本発明の装置の構成の一例を示す図である。
図18図18は、本発明の装置の構成の一例を示す図である。
図19図19は、本発明におけるレンズ内座標の一例の説明図である。
図20図20は、本発明の分割測定の一例の説明図である。
図21図21は、本発明の分割測定の一例の説明図である。
図22図22は、本発明のレンズの同期移動測定の一例の説明図である。
図23図23は、本発明のレンズへのカップ装着の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
つぎに、本発明について、例を挙げて説明する。ただし、本発明は、以下の説明により、なんら限定されない。
【0010】
本発明において、LEDは、light emitting diode(発光ダイオード)を意味する。
【0011】
本発明において、レンズの光学特性は特に制限されず、例えば、相対屈折率、絶対屈折率、アッベ数、プリズム屈折力、球面度数(S)、乱視度数(C)、乱視軸角度(A)、光透過率、紫外線透過率、ブルーライト透過率、等がある。
【0012】
本発明において、LED発光素子の波長は、特に制限されず、例えば、屈折率測定スペクトル線の波長が挙げられる。屈折率測定スペクトル線は、例えば、t線、s線、r線、c線、c´線、d線、e線、F線、F´線、g線、h線、i線がある。
【0013】
本発明において、後述の6方向の少なくとも3方向は、特に制限されず、例えば、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の三方向、Xθ方向、Y軸方向及びZ軸方向の三方向、Yθ方向、X軸方向及びZ軸方向の三方向、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、Xθ方向及びYθ方向の五方向等がある。本発明において、レンズの光学特性の測定は、レンズの位置及び方向を連続的に変えながら測定してもよいし、レンズの位置及び方向を段階的に変えながら各位置及び各方向で測定してもよい。本発明において、前記レンズの各位置での測定は、レンズの各部の測定を含む。本発明において、前記レンズの位置は、レンズの傾き、レンズの向きを含む。
【0014】
本発明の装置において、前記基板上に搭載された複数のLED発光素子の全部又は一部が、互いに等間隔で配置されている、という態様であってもよい。本態様によれば、さらに、照射する光のムラを抑制でき、均一性に優れるようになる。
【0015】
本発明の装置において、前記複数のLED発光素子は、可視光の屈折率測定スペクトル線の少なくとも3波長の前記スペクトル線のLED発光素子を含み、少なくとも3波長の前記スペクトル線のLED発光素子のうち、一つのLED発光素子が、前記基板の中心に配置され、他の複数のLED発光素子が、前記基板の中心から等距離かつ互いに等間隔の位置に配置されている、という態様であってもよい。本態様の場合、前記操作入力部は、アッベ数測定指示情報を含む操作情報を測定制御部に入力し、前記測定制御部は、前記アッベ数測定指示情報に基づきアッベ数測定制御情報を生成し、前記光照射部は、前記アッベ数測定制御情報に基づき、少なくとも3波長の前記スペクトル線の各LED発光素子の光を前記レンズに照射し、前記受光部は、各LED発光素子の波長毎に前記レンズから出射される測定光を受光して前記波長毎の屈折率情報を生成し、前記測定演算部は、前記屈折率情報に基づきレンズのアッベ数情報を生成し、前記出力部は、前記アッベ数情報を出力する、という態様であってよい。本態様によれば、前記レンズへの光全面照射のLED発光素子と、アッベ数測定のLED発光素子を同一基板上に配置することができ、大型化することなく、一台の装置で多項目測定が可能となる。
【0016】
本発明の装置において、前記光源部が、さらに、視標シートを含み、前記拡散板の光出射面の上方に前記視標シートが配置されている、という態様であってもよい。なお、視標シートを使用する場合、視標シートには周期的な視標が記載されており、その周期よりも大きなムラが周期的に起こると、測定精度が悪くなる恐れがある。これを防止するために、視標に濃淡を重畳し、ムラの影響を受け難くすることが好ましい。例えば、前記視標シートにおいて、周期的な視標パターンに対し、前記視標パターンの色と同色の濃淡の周期パターンが重畳されている、ことが好ましい。
【0017】
本発明の装置において、さらに、レンズ位置移動部を含み、前記レンズ位置移動部は、前記レンズ保持部に連結し、前記レンズ位置移動部は、前記測定制御情報に基づき、前記レンズ保持部に保持されたレンズを、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、Xθ方向、Yθ方向及びZθ方向の6方向の少なくとも3方向に移動可能であり、X軸方向及びY軸方向は、鉛直方向又は光軸方向と垂直な面で互いに直交する方向であり、Z軸方向は、鉛直方向又は光軸方向であり、Xθ方向は、Y軸方向及びZ軸方向が形成する面において、任意の位置のX軸を回転中心軸とする仮想円の円周方向であり、Yθ方向は、X軸方向及びZ軸方向が形成する面において、任意の位置のY軸を回転中心軸とする仮想円の円周方向であり、Zθ方向は、X軸方向及びY軸方向が形成する面において、任意の位置のZ軸を回転中心軸とする仮想円の円周方向である、という態様であってもよい。本態様によれば、様々な位置及び方向のレンズの光学特性を測定することが可能となる。
【0018】
本発明の装置において、前記測定制御部は、レンズ同期移動情報を生成可能であり、前記レンズ位置移動部は、前記レンズ同期移動情報に基づき、前記レンズ保持部に保持されたレンズを同期して少なくとも二方向に移動する、という態様であってもよい。例えば、後述するように、Xθ方向、Y軸方向及びZ軸方向に同期させて移動することにより、レンズの光学中心点でレンズをXθ方向に回転させることが可能である。本態様によれば、レンズの移動(回転を含む)スペースを広くとる必要が無く(スペース的に有利)、また、レンズの位置及び方向を変化させる時間を短縮することが可能である。
【0019】
本発明の装置の前記測定演算部において、前記測定情報に基づくレンズの光学特性情報の生成は、前記測定情報に基づき前記レンズの射出瞳面における光学特性分布情報を生成することを含む、という態様であってもよい。前記レンズの射出瞳面における光学特性分布情報を生成することにより、任意の視線方向に対する光学特性が算出できる。
【0020】
本発明の装置において、前記操作入力部は、レンズ内座標設定情報を含む操作情報を入力可能であり、前記レンズ内座標設定情報は、LX軸方向、及び、LY軸方向からなる二次元座標情報であり、前記二次元座標は、前記レンズにおいて、前記レンズの光軸と垂直に交わる平面上の二次元座標であり、前記LX軸方向は、前記レンズ内の二つのアライメントマークが重なる軸方向であり、前記LY軸方向は、前記LX軸方向と直交する軸方向であり、前記操作入力部により入力された操作情報に前記レンズ内座標設定情報が含まれる場合、前記測定制御部は、前記レンズ内座標設定情報を含む測定制御情報を生成し、前記測定演算部は、前記レンズ内座標設定情報に基づき、前記測定情報から二つのアライメントマーク位置情報を抽出し、前記二つのアライメントマーク位置情報から、前記レンズ内の前記LX軸方向、及び、前記LY軸方向からなるレンズ内座標情報を生成し、前記出力部は、前記レンズ内座標情報を含む前記光学特性情報を出力する、という態様であってもよい。本態様の場合、前記測定演算部は、前記レンズ内座標で規定されたレンズの各位置の光学特性情報を生成し、前記出力部は、前記レンズ各位置の光学特性情報を出力する、ことが好ましい。本態様によれば、レンズ内に座標を設定することができ、その結果、レンズ各部の光学特性を正確に規定できる。
【0021】
二次元座標は、任意方向から見た、射出瞳面上の二次元座標、又は、射出瞳面にオフセットした面上の二次元座標であってもよい。すなわち、任意方向から見て、射出瞳面を求め、アライメントマークでX軸及びY軸を規定してもよい。
【0022】
本発明の装置において、前記操作入力部は、分割測定指示情報を含む操作情報を入力可能であり、前記分割測定指示情報は、前記レンズを各部に分割して光学特性を測定し、分割して測定されたレンズ各部の光学特性の全部又は一部を統合して前記レンズの全体又は一部の光学特性とするものであり、前記操作入力部により入力された操作情報に分割測定指示情報が含まれる場合、前記測定制御部は、前記分割測定指示情報を含む測定制御情報を生成し、前記レンズ位置移動部は、前記分割測定指示情報に基づき、前記レンズの分割された各部に、前記光照射部が光を照射できるように前記レンズを移動させ、前記光照射部は、前記分割測定指示情報に基づき、前記レンズの分割された各部に光を照射し、前記受光部は、前記分割測定指示情報に基づき、前記レンズの分割された各部から出射される測定光を受光して前記レンズの各部の分割測定情報を生成し、前記測定演算部は、前記分割測定情報に基づき、前記レンズの分割光学特性情報を生成し、かつ、前記各分割光学特性情報の全部又は一部を統合して前記レンズ全体又は一部分の光学特性情報を生成する、という態様であってもよい。本態様によれば、照射される光の光路内に、測定が必要な範囲が入らない大型レンズであっても、光学特性の測定が可能となる。
【0023】
本発明において、例えば、レンズの二次元座標に基づき分割測定することができ、又は、レンズの射出瞳面での二次元座標の基づき分割測定することができる。
【0024】
本発明の装置において、さらに、カップ装着部を含み、前記カップ装着部は、カップを保持するカップ保持部、及び、前記カップ保持部と連結し前記カップ保持部を移動させる移動部を含み、前記移動部は、光学特性測定の際には、前記カップ保持部を前記光学特性測定の支障がない位置にカップ保持部を配置し、カップを前記レンズに配置する際には、前記カップ保持部を前記レンズの上方に配置し、前記レンズ位置移動部は、前記レンズ上方に配置されたカップ保持部のカップに対し、前記レンズにおいて任意点を想定し、前記任意点を通る面に直交する軸が、前記カップの中心軸と合うように前記レンズの位置と向きを調整し、前記レンズ位置移動部及び前記カップ装着部の移動部の少なくとも一方が、前記レンズ及び前記カップの少なくとも一方を移動させることにより、前記カップに前記レンズを当接して前記レンズにカップを装着させる、という態様であってもよい。通常、眼鏡の場合、玉レンズの光学特性を測定した後、眼鏡フレームに合わせて加工する際に、レンズを保持するため、レンズ頂点にカップ(サンクションカップともいう)を装着する。本態様によれば、前記レンズ位置移動部によって、正確にレンズにカップを装着できる。前記任意点は、例えば、レンズの光学中心点、レンズのアイポイント等がある。
【0025】
本発明は、レンズの光学特性測定方法であってもよい。本発明のレンズの光学特性測定方法は、光をレンズに照射し、レンズから出射される測定光を受光して前記レンズの光学特性を測定するレンズの光学特性測定方法であって、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、Xθ方向、Yθ方向、及び、Zθ方向の6つの方向において、X軸方向及びY軸方向は、鉛直方向又は光軸方向と垂直な面で互いに直交する方向であり、Z軸方向は、鉛直方向又は光軸方向であり、Xθ方向は、Y軸方向及びZ軸方向が形成する面において、任意の位置のX軸を回転中心軸とする仮想円の円周方向であり、Yθ方向は、X軸方向及びZ軸方向が形成する面において、任意の位置のY軸を回転中心軸とする仮想円の円周方向であり、Zθ方向は、X軸方向及びY軸方向が形成する面において、任意の位置のZ軸を回転中心軸とする仮想円の円周方向であり、前記6つの方向で規定される位置に移動されたレンズに対し光を照射して、前記レンズの光学特性を測定する方法である。
【0026】
本発明の方法において、さらに、光学特性分布測定工程を含み、前記光学特性分布測定工程は、前記レンズの射出瞳面における光学特性分布を測定する、という態様であってもよい。
【0027】
本発明の方法において、さらに、レンズ内座標規定工程を含み、前記レンズ内座標は、LX軸方向、及び、LY軸方向からなる二次元座標であり、前記二次元座標は、前記レンズにおいて、前記レンズの光軸と垂直に交わる平面上の二次元座標であり、前記LX軸方向は、前記レンズ内の二つのアライメントマークが重なる軸方向であり、前記LY軸方向は、前記LX軸方向と直交する軸方向であり、前記レンズ内座標規定工程は、前記レンズに光を照射し、出射する測定光から二つのアライメントマーク位置を検出し、前記二つのアライメントマーク位置から、前記レンズ内の前記LX軸方向、及び、前記LY軸方向からなるレンズ内座標を規定する、という態様であってもよい。本態様の場合、さらに、光学特性分布情報生成工程を含み、前記光学特性分布情報生成工程は、前記レンズ内座標規定工程で規定された前記レンズの各位置に、各位置の光学特性を紐づける、ことが好ましい。本態様によれば、レンズ内に座標を設定することができ、その結果、レンズ各部の光学特性を正確に規定できる。
【0028】
本発明の方法において、さらに、分割測定工程を含み、前記分割測定は、前記レンズを各部に分割して光学特性を測定し、分割して測定されたレンズ各部の光学特性の全部又は一部を統合して前記レンズの全体又は一部の光学特性とするものであり、前記分割測定工程は、前記レンズの分割された各部に光を照射できるように、前記レンズを前記6方向の少なくとも3方向に移動させ、前記レンズの分割された各部に光を照射し、前記レンズの分割された各部から出射される測定光を受光して前記レンズの各部の分割測定情報を生成し、前記分割測定情報に基づき、前記レンズの分割光学特性情報を生成し、かつ、前記各分割光学特性情報の全部又は一部を統合して前記レンズ全体又は一部分の光学特性情報を生成する、という態様であってもよい。本態様によれば、照射される光の光路内に、測定に必要な範囲が入らない大型レンズであっても、光学特性の測定が可能となる。
【0029】
本発明のプログラムは、本発明の方法をコンピュータ上で実行可能なプログラムである。
【0030】
本発明の記録媒体は、本発明のプログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0031】
次に、本発明の実施形態について図を用いて説明する。本発明は、以下の実施形態には限定されない。以下の各図において、同一部分には、同一符号を付している。また、各実施形態の説明は、特に言及がない限り、互いの説明を援用でき、各実施形態の構成は、特に言及がない限り、組合せ可能である。
【0032】
[実施形態1]
図1に、本実施形態のレンズ光学特性測定装置1の各部の構成を示す。図示のように、本装置1は、操作入力部11、測定制御部12、測定演算部13、記憶部14、出力部15、レンズ位置移動部16、光照射部17、レンズ保持部18、及び、受光部19、を備える。操作入力部11、測定制御部12、測定演算部13、記憶部14、及び、出力部15は、例えば、CPU又はGPU等の中央演算処理装置内で構成されている。レンズ保持部18は、測定対象のレンズを保持する。操作入力部11は、タッチパネル、マウス又はキーボード等の入力装置(図示せず)と接続されており、測定内容を含む操作情報を測定制御部12に入力する。測定制御部12は、入力された操作情報に基づき測定制御情報を生成し、光照射部17は、測定制御情報に基づいて光(図1において上側の矢印)を、レンズ保持部18に保持されているレンズ(図示せず)に照射する。受光部19は、前記光を照射されたレンズから出射される測定光(図1において下側の矢印)を受光して測定情報を生成し、測定演算部13は、測定情報に基づきレンズの光学特性情報を生成する。レンズの光学特性は、記憶部14に記憶され、また、出力部15により、前光学特性情報を出力する。出力部は、ディスプレー及びプリンター等の出力装置(図示せず)に接続され、光学特性情報は、ディスプレーに表示されたり、プリンターによって印刷されたりする。
【0033】
記憶部14は、例えば、メモリである。メモリは、例えば、メインメモリ(主記憶装置)が挙げられる。メインメモリは、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)である。また、メモリは、例えば、ROM(読み出し専用メモリ)であってもよい。記憶装置は、例えば、記憶媒体と、記憶媒体に読み書きするドライブとの組合せであってもよい。記憶媒体は、特に制限されず、例えば、内蔵型でも外付け型でもよく、HD(ハードディスク)、CD−ROM、CD−R、CD−RW、MO、DVD、フラッシュメモリー、メモリーカード等が挙げられる。記憶装置は、例えば、記憶媒体とドライブとが一体化されたハードディスクドライブ(HDD)であってもよい。なお、本発明において、記憶部14は、任意の構成要素であり、必須ではない。
【0034】
本装置1において、さらに通信デバイス(図示せず)を含み、通信デバイスにより、外部の通信回線網(ネットワーク)を介して、外部装置と通信してもよい。通信回線網としては、例えば、インターネット回線、WWW(World Wide Web)、電話回線、LAN(Local Area Network)、DTN(Delay Tolerant Networking)等がある。通信デバイスによる通信は、有線でも無線でもよい。無線通信としては、WiFi(Wireless Fidelity)、Bluetooth(登録商標)、等が挙げられる。無線通信としては、各装置が直接通信する形態(Ad Hoc通信)、アクセスポイントを介した間接通信のいずれであってもよい。外部装置としては、例えば、サーバ、データベース、端末(パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン、携帯電話等)、プリンター、ディスプレー等がある。
【0035】
レンズ位置移動部16は、レンズ保持部18に連結し、レンズ位置移動部16により、レンズ保持部18に保持されているレンズを、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、Xθ方向、Yθ方向、及び、Zθ方向の6方向に移動可能である。
【0036】
X軸方向及びY軸方向は、鉛直方向又は光軸方向と垂直な面で互いに直交する方向であり、Z軸方向は、鉛直方向又は光軸方向であり、Xθ方向は、Y軸方向及びZ軸方向が形成する面において、任意の位置のX軸を回転中心軸とする仮想円の円周方向であり、Yθ方向は、X軸方向及びZ軸方向が形成する面において、任意の位置のY軸を回転中心軸とする仮想円の円周方向であり、Zθ方向は、X軸方向及びY軸方向が形成する面において、任意の位置のZ軸を回転中心軸とする仮想円の円周方向である。
【0037】
本発明では、6方向のレンズの移動を組み合わせることにより、レンズの位置及びレンズの向きを変えることができ、その結果、様々な位置及び方向のレンズの光学特性を測定することが可能である。
【0038】
[実施形態2]
次に、図2から図18に基づき、本発明のレンズ光学特性測定装置の構成の一例を説明する。
【0039】
図2に、本実施形態のレンズ光学特性測定装置の斜視図を示す。図示のように、本装置は、ディスプレー兼タッチパネル2、スタートスイッチ4、ケース本体5、プリンター6、レンズ保持部18、X軸スライダー16x1、アームカバー16xθ1を備える。3は、レンズ保持部18に保持された眼鏡である。レンズ保持部18は、鼻当て18aを含み、眼鏡3が保持されると眼鏡3の鼻当て部が、レンズ保持部18の鼻当て18aに当接して眼鏡3の鼻当て部が固定される。図示していないが、本装置は、さらに、操作入力部11、測定制御部12、測定演算部13、記憶部14、出力部15、レンズ位置移動部16、光照射部17、及び、受光部19を含む。図3は、本装置の側面の断面図であり、光照射部17が示されている。操作入力部11及び出力部15は、ディスプレー兼タッチパネル2に接続されている。また、出力部15は、プリンター6とも接続している。アームカバー16xθ1は、レンズ位置移動部16の一部を構成するXθ方向移動のためのアーム等(後述)が格納されている。X軸スライダー16x1は、レンズ位置移動部16の一部を構成し、レンズ保持部18をX軸方向に移動させる。スタートスイッチ4により、本装置の電源のオンオフができる。ケース本体5内には、本装置を構成する各種機構等が配置されている。
【0040】
本装置において、X軸方向は、装置正面(ディスプレー兼タッチパネル2が位置する面)において、左右方向であり、Y軸方向は、装置の前後方向であり、Z軸方向は、装置の高さ方向である。また、本装置において、Xθ方向は、装置側面において、レンズ下方に中心点を有する仮想円の円周方向(装置正面の前後方向に回転する方向、X軸を回転中心軸とする円周方向)であり、Yθ方向は、装置正面において、レンズ下方に中心点を有する仮想円の円周方向(装置正面の左右方向に回転する方向、Y軸を回転中心軸とする円周方向)であり、Zθ方向は、装置平面において、レンズの装置後方の外側に中心点を有する仮想円の円周方向(装置平面の円周方向、Z軸を回転中心軸とする円周方向)である。
【0041】
図4に、本装置の光学系の構成を示す。本装置の光学系は、両側テレセントリック光学系であり、光照射部17及び受光部19から構成される。本装置において、光照射部17は、レンズ保持部18の下方に配置され、受光部19は、レンズ保持部18の上方に配置されている。光照射部17は、複数のLED(発光ダイオード)を搭載したLED基板17a、拡散板17b、及び、視標シート17cから構成されており、LED基板17aの上方に拡散板17bが配置され、拡散板17bの上面に視標シート17cが配置されている。受光部19は、コリメートレンズ19a、光学ミラー19b、結像レンズ19d、及び、COMS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)19cから構成されている。図4において、一点鎖線は、光の経路を示す。図4に示すように、LED基板17aのLEDから出射された光(直線光)は、拡散板17bにより拡散光となってレンズLeに照射され、レンズLeの光学特性に応じた測定光が出射される。レンズLeから出射した測定光は、コリメートレンズ19aを通り、光学ミラー19bで反射されて、結像レンズ19dで平行光にされて、CMOS19cに入光し、CMOS19cで測定光の光信号が電気信号に変換される。視標シート17cは、例えば、周期的な市松模様と色の濃淡を重畳(例えば、SINカーブ)したものであり、レンズ有無のCMOS19c上の視標位置ずれにより、レンズの光学特性を測定するためのものである。
【0042】
図5に、本装置の別の光学系の構成を示す。図5に示す光学系では、レーザー照射部7が、レンズ保持部18の斜め上方に配置されている他は、図4の光学系と同じである。図5に示す光学系では、レーザー照射部7から、レンズ上面に斜め方向からレーザー光が照射され、レンズ上面で反射されたレーザー光が、コリメートレンズ19a、及び、光学ミラー19bを介し、結像レンズ19dで平行光にされて、CMOS19cに入光する。図5に示すように、レンズはレンズ保持部18に連結したレンズ位置移動部16によりZ軸方向(高さ方向)に移動することができ、レーザー照射部7からのレーザー照射によるレンズの反射光を測定することで、レンズ上面の各部分の位置を検出することができる。一方、レンズの下面の各部分の位置を磁気センサー等で検出することもできる。レンズ上面の各部分の位置とレンズ下面の各部分の位置から、レンズの面方向の厚み分布を測定することができる。
【0043】
本発明において、図4及び図5の光学系は例示であり、本発明を制限又は限定しない。本発明において、受光部19の受光素子は、CMOSに限定されず、他の受光素子であってよい。
【0044】
図6に、LED発光素子の基板17fへの搭載の一例を示す。図6に示すように、基板17f上には、c線のLED発光素子17c、ブルーライト(Blue)のLED発光素子17B、e線のLED発光素子17e、d線のLED発光素子17d、紫外線(UV)のLED発光素子17UVが搭載されている。ブルーライト(Blue)のLED発光素子17Bは、レンズのブルーライト透過率を測定するためのものであり、紫外線(UV)のLED発光素子は、レンズの紫外線透過率を測定するためのものである。c線、d線、e線の各LED発光素子は、屈折率測定スペクトル線であり、可視光の3波長のLED発光素子である。可視光の3波長を用い、1波長毎に屈折率を測定することにより、アッベ数の算出が可能である。アッベ数を用いれば、任意の波長に対する屈折率の算出が可能である。
【0045】
図7の分解斜視図に、光照射部(光源部)17の構成の一例を示す。図7に示すように、モジュールケース17gの底部に、波長が異なる複数のLED発光素子が搭載された基板17fが配置され、基板17fの上方にクリアプレート17hが配置され、クリアプレート17hの上方に拡散板17bが配置され、拡散板17bの上方に光学スクリーン17iが配置されている。基板17f上のLED発光素子から出射される光は、クリアプレート17h、拡散板17b、及び、光学スクリーン17iを通り、拡散光としてレンズに照射される。クリアプレート17hは、紫外線透過率を測定する場合は、紫外線透過率が高く、経時劣化し難いものが好ましい。クリアプレート17hとしては、例えば、ガラスプレート、樹脂プレート(例えば、商品名ゼオネックスE48R、日本ゼオン社製)が使用できる。なお、拡散板の平面度が確保されるのであれば、クリアプレート17hは無くてもよい。光学スクリーン17iは、光照射部(光源部)17の内部保護ためのものであり、例えば、ガラスプレートが使用される。
【0046】
図8は、モジュールケース17gの底部に基板17fが配置された状態を示す。図8に示すように、モジュールケース17g底部の中心部において、ひし形に配置された13個のLED発光素子(LED発光素子17B、17c、17d、17e、17UVを含む)は、密な状態(互いに近い距離)で等間隔に配置され、中心部の周りに配置されたLED発光素子は、疎の状態(互いに遠い距離)で等間隔に配置されている。具体的には、LED発光素子17d、17c、17B、17UVが、中央のLED発光素子e線と等距離かつ等間隔にある。また、度数を測定するe線のLED発光素子17eは、光照射部17の光軸中心を含んで等間隔に配置することが好ましい。光透過率、紫外線透過率、ブルーライト透過率等のLED発光素子、及び、アッベ数測定の発光素子は、光照射部の光軸中心の周辺に等間隔で配置されていることが好ましい。
【0047】
図9に、視標シートの一例を示す。図9に示すように、視標シートは、周期的な市松模様と色の濃淡を重畳(例えば、SINカーブ)したものである。例えば、市松模様は、白黒の市松模様であり、その正方形の一辺は0.5mmであり、45度に傾いてひし形形状となっている。濃淡の重畳は、5.71mm周期で2方向にSINカーブで重畳している。
【0048】
図10に、レンズ位置移動部16のX軸スライダー16x1を示す。X軸スライダー16x1は、レンズ保持部18をX軸方向に移動させる機構であり、X軸ギヤ16x2、X軸モータ16x3、及び、X軸ラック16x4を備える。X軸ラック16x4は、レンズ保持部18と連結しており、かつ、ギヤ部が形成され、このギヤ部がX軸ギヤ16x2とかみ合っている。X軸ギヤ16x2は、X軸モータ16x3のギヤともかみ合っている。X軸モータ16x3が回転することにより、X軸ギヤ16x2を介して、X軸ラック16x4に回転駆動力が伝達し、この回転駆動力により、X軸ラック16x4が、X軸方向に移動し、その結果、X軸ラック16x4に連結したレンズ保持部18がX軸方向に移動することになる。X軸モータ16x3は、測定制御部12の測定制御情報に基づき制御され、回転方向によりX軸の移動方向が制御でき、回転数により、X軸方向の移動距離が制御できる。また、X軸モータ16x3がステッピングモータの場合、ステップ数を制御することで、X軸方向の移動距離が制御できる。
【0049】
なお、図10に示すように、レンズ保持部18には、二本のワイヤー18bが、眼鏡3の左右の各レンズを支えるように張り渡されている。
【0050】
図11に、レンズ位置移動部16のY軸スライダーを示す。Y軸スライダーは、レンズ保持部18をY軸方向に移動させる機構であり、Y軸モータ16y1、及び、Y軸ラック16y2を備える。Y軸ラック16y2は、レンズ保持部18と連結しており、かつ、ギヤ部が形成され、このギヤ部がY軸モータ16y1のギヤと直接かみ合っている。Y軸モータ16y1が回転することにより、Y軸ラック16y2に回転駆動力が伝達し、この回転駆動力により、Y軸ラック16y2が、Y軸方向に移動し、その結果、Y軸ラック16y2に連結したレンズ保持部18がY軸方向に移動することになる。Y軸モータ16y1は、測定制御部12の測定制御情報に基づき制御され、回転方向によりY軸の移動方向が制御でき、回転数により、Y軸方向の移動距離が制御できる。また、Y軸モータ16y1がステッピングモータの場合、ステップ数を制御することで、Y軸方向の移動距離が制御できる。
【0051】
図12に、レンズ位置移動部16のZ軸スライダーを示す。Z軸スライダーは、レンズ保持部18をZ軸方向に移動させる機構であり、Z軸モータ16z1、Z軸ガイドピン16z2、及び、Z軸スクリュー16z3を備える。Z軸スクリュー16z3は、レンズ保持部18と連結している。Z軸スクリュー16z3は、凹凸のねじ溝構造を持つ。Z軸モータ16z1の回転軸は、Z軸スクリュー16z3と連結しており、Z軸モータ16z1が回転するとZ軸スクリュー16z3も回転し、ねじ溝構造により、Z軸方向に移動し、その結果、レンズ保持部18もZ軸方向に移動する。Z軸ガイドピン16z2は、レンズ保持部18のZ軸方向の移動がぶれないようにガイドするためのものである。Z軸モータ16z1は、測定制御部12の測定制御情報に基づき制御され、回転方向によりZ軸の移動方向が制御でき、回転数により、Z軸方向の移動距離が制御できる。また、Z軸モータ16z1がステッピングモータの場合、ステップ数を制御することで、Z軸方向の移動距離が制御できる。
【0052】
図13に、レンズ位置移動部16のXθ方向移動機構を示す。Xθ方向移動機構は、一対のアーム16xθ2、アーム16xθ2の上部に形成されたXθラック(ギヤ部)16xθ4、2つのXθギヤ16xθ3、及び、Xθモータ(図示せず)から構成されている。アーム16xθ2は、上方に張り出した円弧形状であり、レンズ保持部18に連結している。Xθラック(ギヤ部)16xθ4は、一方のXθギヤ16xθ3(図13において上側のギヤ)とかみ合っており、一方のXθギヤ16xθ3は他方のXθギヤ16xθ3とかみ合っており、他方のXθギヤ16xθ3は、Xθモータの回転軸に装着されたギヤ(図示せず)とかみ合っている。Xθモータが回転することにより、2つのXθギヤ16xθ3及びXθラック16xθ4を介して、一対のアーム16xθ2に回転駆動力が伝達し、この回転駆動力により、一対のアーム16xθ2が、Xθ方向に移動し、その結果、一対のアーム16xθ2に連結したレンズ保持部18がXθ方向に移動することになる。Xθモータは、測定制御部12の測定制御情報に基づき制御され、回転方向によりXθ方向の移動方向が制御でき、回転数により、Xθ方向の移動距離が制御できる。また、Xθモータがステッピングモータの場合、ステップ数を制御することで、Xθ方向の移動距離が制御できる。
【0053】
図14に、レンズ位置移動部16のYθ方向移動機構を示す。Yθ方向移動機構は、Yθアーム16yθ1、Yθギヤ16yθ2、Yθモータ16yθ3、及び、Yθラック16yθ4から構成されている。Yθアーム16yθ1の一端(図14において下方端)及びYθラック16yθ4の一端(図14において下方端)は連結し、両者は回転中心を同一として装置に回動自在に装着されている。Yθアーム16yθ1の他端(図14において上方端)は、レンズ保持部18と連結している。Yθラック16yθ4のギヤ部は、Yθギヤ16yθ2とかみ合っており、Yθギヤ16yθ2は、Yθモータ16yθ3の回転軸に装着されたギヤとかみ合っている。Yθモータ16yθ3が回転することにより、Yθギヤ16yθ2及びYθラック16yθ4を介して、Yθアーム16yθ1に回転駆動力が伝達し、この回転駆動力により、Yθアーム16yθ1が、Yθ方向に移動し、その結果、Yθアーム16yθ1に連結したレンズ保持部18がYθ方向に移動することになる。Yθモータ16yθ3は、測定制御部12の測定制御情報に基づき制御され、回転方向によりYθ方向の移動方向が制御でき、回転数により、Yθ方向の移動距離が制御できる。また、Yθモータ16yθ3がステッピングモータの場合、ステップ数を制御することで、Xθ方向の移動距離が制御できる。
【0054】
本装置のX軸方向等の6方向の移動機構において、例えば、センサー(例えば、フォトインタラプタ―)により原点位置を検出し、ステッピングモータの累積ステップ数をリセットすることで、移動の際の繰り返しの位置精度を確保することができる。また、レンズ保持部18のXY軸方向の位置精度が低い場合、例えば、レンズのアライメントマークを検出してXY軸方向を補正し、レンズの光学特性の測定結果は、補正後の座標を用いて出力(マッピング等)してもよい。
【0055】
図15及び図16に、レンズ保持部18の構成の一例を示す。図15は、レンズ保持部18の斜視図であり、図16(A)は、レンズ保持部18の平面図であり、同図(B)は、E−E方向断面図である。図15及び図16に示すように、レンズ保持部18は、略矩形の型枠18h、4本のアーム18f、4つのスライダー18e、4つのバネ18g、カバー18c、レンズ押え18d、2つの同期シャフト18i、鼻当て18a、2本のワイヤー18bから構成されている。図15において、二つの矢印は、左右方向、及び、前後方向を示す。型枠18hは、左右方向及び前後方向を有し、型枠18h内において、4本のアーム18fが、型枠18h内の中心点を基準点として左右対称かつ前後対称の状態で配置されている。4本のアーム18fのうち2本の一対のアーム18fの各一端が型枠18hの左側端部に回動自在に配置され、4本のアーム18fのうち他の2本の一対のアーム18fの各一端が型枠18hの右側端部に回動自在に配置されている。型枠18hの各左右端部に配置された一対のアーム18fの一端には、それぞれギヤ部が形成されて、相互にかみ合っている。4本のアーム18fの各他端には、スライダー18eが左右方向移動(スライド)可能な状態で連結している。スライダー18eの型枠中心方向の端部にはレンズと当接するレンズ当接部が形成されている。また、スライダー18eの型枠18h左右方向の端部には、円筒状の摺動部18kが形成され、一対のアーム18fが同期するための同期シャフト18iの両端が摺動部18kに摺動可能なように挿入されている。また、型枠18hの4角のそれぞれにバネ18gが配置されて4つの各摺動部18kに付勢を付けた状態で当接している。スライダー18eのレンズ当接部の上方には、カバー18cが配置されている。型枠18hの前後方向において二本のワイヤー18bが張り渡されており、丸レンズLeを下方から支えている。型枠18hの左右方向中央部には、それぞれ二つのレンズ押え18dが配置されており、丸レンズLeを上方向から押さえている。また、図16(B)に示すように、型枠18hの下部には、レンズ押え18dに対向する状態でレンズ受け18jが形成されている。なお、図15及び図16では、レンズ保持部18は丸レンズを保持しているため、鼻当て18aは起立状態になっている。
【0056】
図15及び図16のレンズ保持部18において、4本のアーム18fと4つのスライダー18eは、一対のアーム18f毎に形成されたギヤ部、及び、同期シャフト18iにより、左右対称かつ前後対称に同期して動き、4つのバネ18gにより、4つの各スライダー18eが付勢されているため、4つの各スライダーのレンズ当接部は、型枠18hの中心点に向かって圧力がかかるようになっている。このため、丸レンズLeは、自動的に型枠18hの中心点と丸レンズLeの中心点が同軸となる状態で(センタリング)、レンズ保持部18に保持される。
【0057】
図17及び図18には、図15及び図16に示したレンズ保持部18と同じレンズ保持部18が示されている。図17は、レンズ保持部18の斜視図であり、図18(A)は、レンズ保持部18の平面図であり、同図(B)は、D−D方向断面図である。図17及び図18のレンズ保持部18は、丸レンズに代えて眼鏡3が保持されている。図17及び図18において、鼻当て18aは前方向に倒された状態で眼鏡3の鼻当て部と当接している。
【0058】
[実施形態3]
図19に基づき、レンズ内座標の規定について説明する。図19に示すように、レンズLeには、JIS規格(JIS T 7315(ISO 8980−2:2004))に基づき、中心点から17mm離れた点に二つのアライメントマークがレーザーにより刻印されており、かつ、レンズ表面に印刷されている。レンズ内座標は、LX軸方向、及び、LY軸方向からなる二次元座標であり、LX軸方向は、前記レンズ内の二つのアライメントマークが重なる軸方向である。LY軸方向は、前記レンズの射出瞳面上でLX軸方向と直交する軸方向である。眼鏡レンズの加工において、印刷されたアライメントマークを指標にLX軸を規定するが、レンズが曲面形状であるため、印刷の際にずれた位置にアライメントマークが印刷されることが多い。このため、従来では、正確なレンズ内座標の規定は困難であった。これに対し、本発明の装置では、レンズに光を照射し、出射する測定光から、レーザーで刻印された正確な二つのアライメントマーク位置を検出し、正確な二つのアライメントマーク位置から、レンズ内のLX軸方向、及び、LY軸方向からなるレンズ内座標を規定する。このため、本発明では、正確なレンズ内座標を規定することが可能である。そして、正確なレンズ内座標に基づき、レンズの各部の位置を特定して光学特性を紐づければ、レンズ各部の光学特性を正確に規定できる。また、前述のように、レンズ内の二次元座標は、レンズの射出瞳面での二次元座標であってもよい。
【0059】
[実施形態4]
図20及び図21に基づき、分割測定の一例を説明する。まず、図20(A)に示すように、測定エリア1から3は、光照射部17の光の測定エリアの大きさ(面積)を示すが、測定対象のレンズLeの大きさは、測定エリア1から3よりも大きい。この場合、図20(A)に示すように、レンズLeをXθ方向に移動させながら、測定エリア1、測定エリア2、及び、測定エリア3と三回に分けて測定する。そして、図20(B)に示すように、測定エリア1から3の測定結果を統合(合成)して、合成測定エリアESを生成する。なお、図20(B)の斜線部分は、Xθ方向の分割測定では測定できなかった部分である。次に、図21(A)示すように、レンズLeをYθ方向に移動させながら、測定エリア1、測定エリア2、及び、測定エリア3と三回に分けて測定する。そして、図21(B)に示すように、測定エリア1から3の測定結果を統合(合成)して、合成測定エリアESを生成する。なお、図21(B)の斜線部分は、Yθ方向の分割測定では測定できなかった部分である。そして、図20(B)に示すXθ方向の合成測定エリアES、及び、図21(B)に示すYθ方向の合成測定エリアESの両者を統合(合成)することで、レンズLe全体の光学特性を測定することができる。このように、光照射部17の光照射エリアよりも大きいサイズのレンズであっても、本発明の分割測定によりレンズ全体の光学特性の測定が可能である。このため、本発明によれば、装置を小型化しても大型レンズの測定が可能である。なお、図20及び図21の例は、Xθ方向及びYθ方向での分割測定であるが、本発明はこれに限定されず、例えば、X軸方向及びY軸方向の分割測定も可能であり、その他、6方向の少なくとも一つの方向の分割測定も可能である。また、分割測定では、レンズ各部の光学特性をレンズ各部に正確に紐づける必要があり、その際に、本発明のレンズ内部の二次元座標の規定を用いれば、正確な分割測定を実施できる。前述のように、本発明において、分割測定に用いる二次元座標は、レンズ射出瞳面での二次元座標であることが好ましい。
【0060】
[実施形態5]
図22は、本発明において、二つ以上の方向にレンズを同時に移動させる同期移動の例である。図22では、3方向の同期移動を示し、同図に示すように、レンズを、Xθ方向の移動(X軸を回転中心軸としたXθ回転)、Y軸方向の移動(Y軸スライド)、及び、Z軸方向の移動(Z軸スライド)の3つの移動を同時に行うことにより、レンズの光学中心点を回転中心としてレンズをXθ方向に回転させることが可能である。同様に、レンズを、Yθ方向の移動(Yθ回転)、X軸方向の移動(X軸スライド)、及び、Z軸方向の移動(Z軸スライド)の3つの移動を同時に行うことにより、レンズの光学中心点を回転中心としてレンズをYθ方向に回転させることも可能である。
【0061】
[実施形態6]
図23に、レンズへのカップの装着の一例を示す。図23に示すように、カップ装着部20は、カップCを保持するカップ保持部20a、及び、カップ保持部20aと連結しカップ保持部20aを移動させる移動部20bから構成されている。また、レンズLeは、レンズ保持部18に保持されている。レンズLeは、レンズ支持台21b上に配置されたレンズ支持ピン21aにより、下方から支持されている。レンズ支持ピン21aは、二つの補強リブ21cにより、補強されている。移動部20bは、光学特性測定の際には、カップ保持部20aを光学特性測定の支障がない位置に配置し、カップCをレンズLeに装着する際には、図23に示すように、カップ保持部20aをレンズLeの上方に配置する。レンズ位置移動部(図23には図示せず)は、レンズLe上方に配置されたカップ保持部20aのカップCに対し、レンズLeの光学中心点を通る面に直交する光軸(図23において、一点鎖線)が、カップCの中心軸と合うようにレンズLeの位置と向きを調整する。そして、移動部20bにより、矢印で示すように、カップ保持部20aを降下させて、カップCをレンズLeに当接してレンズLeにカップCを装着する。カップCが装着されたレンズLeは、レンズ保持部18から取り外され、レンズ加工機によって加工される。なお、本例では、カップCを降下させてレンズLeに装着したが、これとは逆に、レンズ保持部18を上昇させてカップCをレンズLeに装着させてもよい。なお、レンズ保持部18は、カップC装着時にレンズLeにかかる圧力を吸収するために、バネ等の付勢部材を用いたクッション機構を備えることが好ましい。同様に、カップ保持部20a及びレンズ支持ピン21aにも、バネ等の付勢部材を用いたクッション機構を備えることが好ましい。例えば、カップ保持部20a及びレンズ支持ピン21aの内部にストーローク吸収機構を設ければ良い。また、レンズ支持ピン21aにより、レンズLeの三次元的な傾動及びトレースが可能になる。
【0062】
[実施形態7]
本実施形態のプログラムは、本発明の方法を、コンピュータ上で実行可能なプログラムである。また、本実施形態のプログラムは、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。前記記録媒体としては、特に限定されず、例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードディスク(HD)、光ディスク等が挙げられる。
【0063】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上、説明したとおり、本発明によれば、レンズの光学特性測定装置において、波長が異なる複数のLED発光素子を用いた場合であっても、光のムラを抑制して均一な光をレンズに照射できる。本発明は、眼鏡レンズの他、顕微鏡、望遠鏡、カメラ、レーザー加工機等、レンズを使用する分野において有用である。
【符号の説明】
【0065】
1 レンズ光学特性測定装置
11 操作入力部
12 測定制御部
13 測定演算部
14 記憶部
15 出力部
16 レンズ位置移動部
17 光照射部(光源部)
18 レンズ保持部
19 受光部
17a 基板
17b 拡散板
17c 視標シート
【要約】
【課題】光のムラを抑制して均一な光をレンズに照射可能なレンズ光学特性測定装置を提供する。
【解決手段】本発明のレンズ光学特性測定装置は、レンズ保持部、操作入力部、測定制御部、測定演算部、光照射部17、受光部19、及び、出力部を備え、光照射部17は、光源部を含み、前記光源部は、波長が異なる複数のLED発光素子、基板17a、及び、拡散板17bを含み、LED発光素子は基板17a上に搭載され、拡散板17bは、LED発光素子の光出射方向に配置され、光照射部17は、測定制御情報に基づき指定された波長のLED発光素子からの光を、拡散板17bを介してレンズLeに照射する、装置である。拡散板17bの上方には、視標シート17cを配置してもよい。
【選択図】 図4
図1
図2
図3
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図5
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図21
図22
図23