特許第6577904号(P6577904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6577904光塩基発生剤及びそれを含むフォトレジスト組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6577904
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】光塩基発生剤及びそれを含むフォトレジスト組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20190909BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20190909BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20190909BHJP
   G03F 7/039 20060101ALN20190909BHJP
   G03F 7/038 20060101ALN20190909BHJP
【FI】
   G03F7/004 503B
   C09K3/00 K
   G03F7/20 521
   G03F7/20 502
   !G03F7/039 601
   !G03F7/038 601
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2016-88986(P2016-88986)
(22)【出願日】2016年4月27日
(65)【公開番号】特開2016-218438(P2016-218438A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2016年6月6日
(31)【優先権主張番号】62/162,584
(32)【優先日】2015年5月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミン・キュン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】イ−ヒュン・リュ
(72)【発明者】
【氏名】チャン−ヨン・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ミュン・ヨル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ジュン・リー
(72)【発明者】
【氏名】ドン−ジェ・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ドン−ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】へ−ジン・リム
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ユン・アン
(72)【発明者】
【氏名】オク−ミン・チョン
【審査官】 高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−073606(JP,A)
【文献】 特開2012−180310(JP,A)
【文献】 特開2006−257248(JP,A)
【文献】 特開平11−269138(JP,A)
【文献】 特開2012−002917(JP,A)
【文献】 特開2012−181510(JP,A)
【文献】 特表2011−508246(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/129250(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/038828(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0266899(US,A1)
【文献】 特開2014−163999(JP,A)
【文献】 特開2014−235432(JP,A)
【文献】 特開2014−023542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004−7/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)に対応する光塩基発生剤であって、
−R−O−C(=O)N(R)R (I)
式中、
が、任意選択で置換されたナフチルまたはアントラセニル基であり、
が、リンカーであり、
及びRが、同じもしくは異なる任意選択で置換された直鎖、分岐、もしくは環状脂肪族基、または任意選択で置換された芳香族基であり、
及びRのうちの少なくとも1つが、4個以上の炭素原子を有する岐アルキル基であ前記4個以上の炭素原子を有する分岐アルキル基が、場合によって置換されていてもよい、前記光塩基発生剤。
【請求項2】
が、任意選択で置換されたアントラセニルである、請求項1に記載の光塩基発生剤。
【請求項3】
及びRが各々独立して、4個以上の炭素原子を有する岐アルキルであ前記4個以上の炭素原子を有する分岐アルキル基が、場合によって置換されていてもよい、請求項1または2に記載の光塩基発生剤。
【請求項4】
以下の式(I)に対応する光塩基発生剤であって、
−R−O−C(=O)N(R)R (I)
式中、
が、任意選択で置換された芳香族基であり、
が、リンカーであり、
及びRが、同じもしくは異なる任意選択で置換された直鎖、分岐、もしくは環状脂肪族基、または任意選択で置換された芳香族基であり、
及びRのうちの少なくとも1つが、4個以上の炭素原子を有する岐アルキル基であり、前記4個以上の炭素原子を有する分岐アルキル基が、場合によって置換されていてもよく、
及び/またはRが、4個以上の炭素原子を有するフッ素化分岐アルキルである、前記光塩基発生剤。
【請求項5】
以下のものの中から選択される光塩基発生剤。
【化1-1】
【化1-2】
【化1-3】
【化1-4】
【化1-5】
【請求項6】
(a)樹脂と、
(b)1つ以上の酸発生剤と、
(c)請求項1〜5のいずれか一項に記載の光塩基発生剤と、を含む、フォトレジスト組成物。
【請求項7】
(a)リソグラフィ処理時に極性部分を遊離させることができる酸不安定基を含む樹脂と、
(b)1つ以上の酸発生剤と、
(c)以下の式(IA)に対応する光塩基発生剤であって、
−(CYZ)−O−C(=O)N(R)R (IA)
式中、
は、任意選択で置換された芳香族基であり、
各Y及びZは、独立して、水素または非水素置換基であり、
nは正の整数であり、
及びRは、同じもしくは異なる任意選択で置換された直鎖、分岐、もしくは環状脂肪族基、または任意選択で置換された芳香族基であり、ただし、R及びRの置換された脂肪族基または芳香族基上の置換基は、(C−C30)アルキル、(C−C30)アルコキシ、スルホニル、スルホン酸、スルホネートエステル、シアノ、ハロ、ケト、炭素環式アリール、ヘテロ芳香族、炭素脂環式、及びヘテロ脂環式からなる群から選択され
及びRのうちの少なくとも1つは、4個以上の炭素原子を有する岐アルキル基であり、前記4個以上の炭素原子を有する分岐アルキル基が、場合によって置換されていてもよい、光塩基発生剤と、を含む、フォトレジスト組成物。
【請求項8】
リソグラフィ処理中に生成される前記光塩基発生剤のアミン開裂生成物が、前記フォトレジスト組成物の被覆層の上方部分へ移動することができる、請求項6または7に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項9】
フォトリソグラフィックパターンを形成するための方法であって、
(a)請求項6〜8のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物の層を基板上に適用することと、
(b)前記フォトレジスト組成物層を活性化放射線にパターン露光することと、
(c)前記露光されたフォトレジスト組成物層を現像して、フォトレジストレリーフ像を提供することと、を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、フォトレジスト組成物中に使用するための光塩基発生剤に関する。本光塩基発生剤は、向上した表面活性を提供することができる1つ以上の分岐アルキル基を含む。
【0002】
フォトレジストは、基板への画像の転写のために使用される感光性フィルムである。フォトレジストの被覆層は、基板上に形成され、次いでそのフォトレジスト層は、フォトマスクを介して活性化放射線源に露光される。露光後、このフォトレジストが現像されて、基板の選択的処理を可能にするレリーフ像を提供する。
【0003】
液浸リソグラフィを含むポジティブトーンレジスト現像の実用解像能力を拡大するために、かなりの努力がなされている。かかる例の1つは、不溶性の露光領域によって作られるパターンを残す、特定の現像剤、典型的にはケトン、エステル、またはエーテルなどの有機現像剤を使用した、伝統的にポジティブ型の化学的に増幅されたフォトレジストのネガティブトーン現像(NTD)を含む。例えば、米国第6790579号を参照されたい。
【0004】
しかしながら、NTDプロセスの使用により、ある特定の問題が生じ得る。例えば、レジスト被覆層を介した相対UV照度は、上方層領域から下方層領域へ、かつ孤立(iso)コンタントホール(C/H)から密集(dense)コンタクトホール(C/H)へ、減少する。次いで、光発生酸の濃度もレジスト層を通して様々であり(酸は、下方レジスト層領域においては減少した量で存在する)、孤立C/Hから密C/Hまで様々である。結果として、パターンプロファイルは、望ましくないT−top形状を示し、パターン崩壊及びコンタクトホールの欠如が発生し得、孤立−密集バイアス及び焦点深度のマージンは、許容し難いレベルであり得る。
【0005】
レジスト解像度を改善しようとする試みのために、ある特定の塩基性添加剤が採用されている。日本特許第11337722A号、米国特許第2007190451号、欧州特許第1702962B1号、米国特許第20060172149号、米国特許第20130177853号、米国特許第20130344436号、及び米国特許第20140038102号を参照されたい。
【0006】
電子装置製造業者は、パターン化フォトレジスト像の解像度の向上を絶えず求めている。向上した撮像能力を提供することができる新たなフォトレジスト組成物を有することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0007】
我々はここで、ネガティブトーン現像プロセスで使用されるレジストを含むフォトレジスト成分として有用な新たな光塩基発生剤を提供する。好ましい光塩基発生剤は、少なくとも1つのカルバメート部分を含む。
【0008】
より具体的には、好ましい光塩基発生剤は、以下の式(I)に対応し、
−R−O−C(=O)N(R)R (I)
式中、
は、任意選択で置換された芳香族基であり、
は、リンカーであり、
及びRは、同じもしくは異なる任意選択で置換された直鎖、分岐、もしくは環状脂肪族基、または任意選択で置換された芳香族基であり、
及びRのうちの少なくとも1つは、4個以上の炭素原子を有する任意選択で置換された分岐アルキル基である。
【0009】
本光塩基発生剤は、193nmの放射線などの活性化放射線に露光されると反応し得る。フォトレジスト組成物中に組み込まれると、本光塩基発生剤は、フォトレジスト組成物の被覆層のリソグラフィ処理中に反応し得る。
【0010】
具体的には、好ましいシステムでは、本光塩基発生剤は、例えば、光塩基発生剤のアミン開裂生成物がフォトレジスト層中に生成される場合、光塩基発生剤を含有するフォトレジスト組成物の被覆層をパターン化するための放射線での処理時に開裂反応を受け得る。ある特定の好ましいシステムでは、二級アミン開裂生成物は、露光放射線、例えば193nmの放射線でのフォトレジスト層の処理時に生成されるであろう。
【0011】
本光塩基発生剤は、種々の芳香族部分を含み得る。ある特定のシステムでは、アントラセニル基またはニトロフェニルなどの拡張共役を含む芳香族部分が好ましくあり得る。好ましい光塩基発生剤は、上の式(I)のものを含み、式中、Rは、任意選択で置換された−CH−であり、その結果、X−R−は、例えば任意選択で置換されたニトロベンジル、アントラセニルメチレンである。好ましい光塩基発生剤は、上の式(I)のものを含み、式中、Rは、任意選択で置換されたビニル、すなわち−CH=CH−CH−であり、その結果、X−R−は、任意選択で置換されたスチリル及び任意選択で置換されたアントラセニルビニルである。
【0012】
式(I)のR及びR(ならびに以下の式(IA)及び(IB)のR及びR)は各々好適には、4、5、6、7、8、9、10、11、12個以上の炭素原子を含み得る。ある特定の好ましい態様では、R及び/またはRは、4、5、6、7、8、9、10、11、12個以上の炭素原子を含有するフッ素化アルキルであり得る。R及び/またはRは、アルキル鎖に沿って1つ以上の炭素分岐部を有し、すなわち、アルキル鎖中の炭素は、1個または2個の追加の炭素原子でさらに置換される。好ましくは、R及び/またはRの分岐炭素(すなわち、少なくとも3つの他の炭素で置換された炭素)は、式(I)の描写された窒素(または以下の式(IA)または(IB)の描写された窒素)に隣接し、例えば、分岐炭素は、0、1、2、または3つの他の非分岐炭素によって描写された窒素から分離される。
【0013】
本明細書に開示される光塩基発生剤を含むフォトレジスト組成物も提供される 一般に、フォトレジスト組成物は、好適には、(a)樹脂と、(b)1つ以上の酸発生剤と、(c)本明細書に開示される光塩基発生剤と、を含む。
【0014】
本発明のフォトレジストは、ポジ型またはネガ型のいずれか、好ましくはポジ型であり得る。
【0015】
好ましい態様では、193nmならびにEUVまたはe−ビーム撮像などの短波長撮像用途のために使用される本発明のフォトレジスト。
【0016】
本発明の特に好ましいフォトレジストは、液浸リソグラフィ用途で使用され得る。
【0017】
本発明のフォトレジスト組成物のレリーフ像(サブ50nmまたはサブ20nm寸法を有するパターン化線を含む)を形成するための方法も提供される。本発明のフォトレジスト組成物を上に被覆したマイクロ電子ウエハなどの基板も提供される。
【0018】
我々は、フォトレジスト組成物中での本光塩基発生剤化合物の使用が、レジストのレリーフ像(例えば、細線)の解像度を著しく向上させることができることを見出した。具体的には、我々は、本明細書に開示される光塩基発生剤化合物が、異なる塩基性添加剤を代わりに含有するフォトレジストと他の点では同一の同等のフォトレジストに対するリソグラフィ結果を含む、著しく向上したリソグラフィ結果を与えることを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0019】
光塩基発生剤化合物
好ましい光塩基発生剤は、比較的減少した表面張力を有することができる。いかなる理論にも束縛されるものではないが、かかる有利な表面活性は、ネガティブトーン現像プロセス中のより良好なフォトレジストトッププロファイルを含む顕著な性能利点を提供することができる。
【0020】
上に述べた通り、光塩基発生剤は、以下の式(I)のうちの1つに対応し、
−R−O−C(=O)N(R)R (I)
式中、
は、任意選択で置換された芳香族基であり、
は、リンカーであり、
及びRは、同じもしくは異なる任意選択で置換された直鎖、分岐、もしくは環状脂肪族基、または任意選択で置換された芳香族基であり、
及びRのうちの少なくとも1つは、4個以上の炭素原子を有する任意選択で置換された分岐アルキル基である。
【0021】
上の式(I)(ならびに以下の式(IA)及び(IB))では、Xは、好適には、任意選択で置換された炭素環式アリール、例えば、任意選択で置換されたフェニル、ナフチル、もしくはアントラセニル、または任意選択で置換されたヘテロ芳香族(N、O、またはSである芳香族環の1つ以上の環員)である。
【0022】
上の式(I)(ならびに以下の式(IA)及び(IB))では、好適なR及びR部分は、独立して、任意選択で置換された(C−C30)アルキル、任意選択で置換された(C−C30)ヘテロアルキル、例えば(C−C30)アルコキシ、(C−C30)アルキルスルフィド、(C−C30)アルキルスルフィニル、または(C−C30)アルキルスルホニル)から選択されるものを含む。
【0023】
上の式(I)では、Rが、化学結合であり得るリンカーであるか、またはより好ましくは、−(CYZ)−などの任意選択で置換されたアルキレンであり得、式中、各Y及びZが各々独立して、例えばフルオロを含むハロゲン、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシなどの水素または非水素置換基であり、nが、好ましくは1〜12、1または2、特に1がとりわけ好ましい正の整数である。
【0024】
が、不飽和基、特に、−(CY’=CZ’)−(CY’Z’)n’−などの1、2、3個以上の炭素−炭素二重結合を有するアルケニレンである場合も好ましく、式中、各Y’及び各Z’が、独立して、例えば、フルオロを含むハロゲン、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシなどの水素または非水素置換基であり、n及びn’が各々、好ましくは、1〜12の同じまたは異なる正の整数である。n及びn’の各々の特に好ましい値は、1または2、特に1である。
【0025】
したがって、好ましい光塩基発生剤は、以下の式(IA)及び(IB)のものを含み、
−(CYZ)−O−C(=O)N(R)R (IA)
−(CY’=CZ’)−(CY’Z’)n’−O−C(=O)N(R)R (IB)
式中、式(IA)及び(IB)の各々では、
は、任意選択で置換された芳香族基であり、
各Y、Z、Y’、及びZ’は、独立して、水素または非水素置換基、例えば、フルオロを含むハロゲン、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシなどであり、
n及びn’は各々、好適には1〜12、好ましくは1または2、特に1の正の整数であり、
及びRは、同じもしくは異なる任意選択で置換された直鎖、分岐、もしくは環状脂肪族基、または任意選択で置換された芳香族基であり、
及びRのうちの少なくとも1つは、4個以上の炭素原子を有する任意選択で置換された分岐アルキル基である。
【0026】
述べた通り、式(I)、(IA)、及び(IB)の部分は、任意選択で置換される。置換部分は、例えば、カルボキシル(−COH)、カルボキシ(C−C30)アルキル、(C−C30)アルキル、(C−C30)アルコキシ、スルホニル、スルホン酸、スルホネートエステル、シアノ、ハロ、ケト、炭素環式アリール、例えばフェニル、ナフチル、またはアントラセニル、ヘテロ芳香族、例えば1〜3個のN、O、またはS環原子を含有するC5−30ヘテロ芳香族、炭素脂環式(炭素である非芳香族環の全ての環員)、及び任意選択で置換されたヘテロ脂環式(N、O、またはSである非芳香族環のうちの1つ以上の環員)によって、1つ以上の利用可能な位置で好適に置換される。好ましい置換基は、カルボキシル、カルボキシ(C−C10)アルキル、(C−C10)アルコキシ、スルホニル、スルホン酸、スルホネートエステル、シアノ、ハロ、及びケト、より好ましくはカルボキシル、カルボキシ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、スルホニル、スルホン酸、スルホネートエステル、シアノ、ハロ、及びケトである。好ましいエステル基(カルボキシアルキル)は、カルボキシ(C−C)アルキルである。好ましいアルコキシ基は、(C−C)アルコキシ、より好ましくは(C−C)アルコキシである。「置換された」とは、例えば、光塩基発生剤化合物の炭素原子上の1つ以上の水素が、上の置換基のうちの1つ以上に置き換えられることを意味する。かかる置換基の混合物が使用され得る。かかる置換基の存在は、光塩基発生剤化合物に所望の溶解性を与え得るか、または光塩基発生剤化合物の消光能力を調整するのに使用され得る。
【0027】
本発明に有用な光塩基発生剤化合物は、容易に合成され得る。例えば、トリホスゲン、ホスゲンなどのビス−カルボニル化試薬などの好適な試薬の存在下で結合された置換アミン及びヒドロキシル−芳香族化合物。
【0028】
より具体的な、以下のスキームAに例示される、二級アミン及び置換アントラセンメタノールは、穏やかな条件下でトリホスゲン、ホスゲンなどのビス−カルボニル化試薬と結合され得る。
【0029】
【化1】
【0030】
同様に、以下のスキームBに示されるように、二級アミン及び置換ベンジルアルコールは、穏やかな条件下でトリホスゲン、ホスゲンなどのビス−カルボニル化試薬との存在下で結合され得る。
【0031】
【化2】
【0032】
特に好ましい本発明の光塩基発生剤化合物は、以下のものを含む。
【0033】
【化3-1】
【0034】
【化3-2】
【0035】
【化3-3】
【0036】
【化3-4】
【0037】
【化3-5】
【0038】
フォトレジスト組成物
本発明のフォトレジストは、典型的には、ポリマー、1つ以上の酸発生剤、及び本明細書に開示される1つ以上の光塩基発生剤化合物を含む。好ましくは、レジストポリマーは、アルカリ性水溶解性をレジスト組成物に与える官能基を有する。例えば、ヒドロキシルもしくはカルボキシレートなどの極性官能基、またはリソグラフィ処理時にかかる極性部分を遊離させることができる酸に不安定な基を含むポリマーが好ましい。好ましくは、ポリマーは、アルカリ性水溶液で現像可能なレジストを与えるのに十分な量で、レジスト組成物中で使用される。
【0039】
酸発生剤はまた、芳香族基、例えばフェノールを含む任意選択で置換されたフェニル、任意選択で置換されたナフチル、及び任意選択で置換されたアントラセンを含有する繰り返し単位を含むポリマーと共に好適に使用される。任意選択で置換されたフェニル(フェノールを含む)を含有するポリマーは、EUV及びe−ビーム放射線で撮像されたものを含む多くのレジストシステムに特に好適である。ポジ型レジストでは、ポリマーはまた、好ましくは、酸に不安定な基を含む1つ以上の繰り返し単位を含有する。例えば、任意選択で置換されたフェニルまたは他の芳香族基を含有するポリマーの場合、ポリマーは、酸に不安定なエステルを用いたアクリレートまたはメタクリレート化合物のモノマーの重合によって形成されたポリマー(例えばt−ブチルアクリレートまたはt−ブチルメタクリレート)などの1つ以上の酸に不安定な部分を含有する繰り返し単位を含み得る。かかるモノマーは、任意選択でフェニルなどの芳香族基(複数可)を含む1つ以上の他のモノマー、例えばスチレンまたはビニルフェノールモノマーと共重合され得る。
【0040】
かかるポリマーの形成に使用するのに好ましいモノマーとしては、以下の式(V)を有する酸に不安定なモノマー、以下の式(VI)のラクトン含有モノマー、アルカリ性現像剤における溶解率を調整するための以下の式(VII)の塩基溶解性モノマー、及び以下の式(VIII)の酸発生モノマー、または前述のモノマーのうちの少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。
【0041】
【化4】
【0042】
式中、各Rは、独立して、H、F、−CN、C1−10アルキル、またはC1−10フルオロアルキルである。式(V)の酸−脱保護可能なモノマーでは、Rは、独立して、C1−20アルキル、C3−20シクロアルキル、C6−20アリール、またはC7−20アラルキルであり、各Rは分離しているか、または少なくとも1つのRは、隣接するRに結合して、環状構造を形成する。式(VI)のラクトン含有モノマーでは、Lは、単環式、多環式、または縮合多環式C4−20ラクトン含有基である。式(VII)の塩基溶解性モノマーでは、Wは、12以下のpKaを有するハロゲン化または非ハロゲン化、芳香族または非芳香族C2−50ヒドロキシル含有有機基である。式(VIII)の酸発生モノマーでは、Qは、エステル含有または非エステル含有及びフッ素化または非フッ素化であり、かつC1−20アルキル、C3−20シクロアルキル、C6−20アリール、またはC7−20アラルキル基であり、Aは、エステル含有または非エステル含有及びフッ素化または非フッ素化であり、かつC1−20アルキル、C3−20シクロアルキル、C6−20アリール、またはC7−20アラルキルであり、Zは、カルボキシレート、スルホネート、スルホンアミドのアニオン、またはスルホンイミドのアニオンを含むアニオン部分であり、Gは、スルホニウムまたはヨードニウムカチオンである。
【0043】
例示的な酸−脱保護可能なモノマーは、
【0044】
【化5】
【0045】
または前述のもののうちの少なくとも1つを含む組み合わせを含むが、これらに限定されず、式中、Rは、H、F、−CN、C1−6アルキル、またはC1−6フルオロアルキルである。
【0046】
好適なラクトンモノマーは、以下の式(IX)のものであり得、
【0047】
【化6】
【0048】
式中、Rは、H、F、−CN、C1−6アルキル、またはC1−6フルオロアルキルであり、Rは、C1−10アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、wは、0〜5の整数である。式(IX)では、Rは、ラクトン環に直接結合するか、またはラクトン環及び/または1つ以上のR基に通常結合し、エステル部分は、ラクトン環に直接、またはRを通して間接的に結合する。
【0049】
例示的なラクトン含有モノマーは、
【0050】
【化7】
【0051】
または前述のモノマーのうちの少なくとも1つを含む組み合わせを含み、式中、Rは、H、F、−CN、C1−10アルキル、またはC1−10フルオロアルキルである。
【0052】
好適な塩基溶解性モノマーは、以下の式(X)のものであり得、
【0053】
【化8】
【0054】
式中、各Rは、独立して、H、F、−CN、C1−10アルキル、またはC1−10フルオロアルキルであり、Aは、ヒドロキシル含有または非ヒドロキシル含有、エステル含有または非エステル含有、フッ素化または非フッ素化C1−20アルキレン、C3−20シクロアルキレン、C6−20アリーレン、またはC7−20アラルキレンであり、xは、0〜4の整数であり、xが0である場合、Aは、ヒドロキシル含有C6−20アリーレンである。
【0055】
例示的な塩基溶解性モノマーは、以下の構造、
【0056】
【化9】
【0057】
または前述のもののうちの少なくとも1つを含む組み合わせを有するものを含み、式中、Rは、H、F、−CN、C1−6アルキル、またはC1−6フルオロアルキルである。
【0058】
好ましい酸発生モノマーは、式(XI)または(XII)のものを含み、
【0059】
【化10】
【0060】
式中、各Rは、独立して、H、F、−CN、C1−6アルキル、またはC1−6フルオロアルキルであり、Aは、フッ素置換C1−30アルキレン基、フッ素置換C3−30シクロアルキレン基、フッ素置換C6−30アリーレン基、またはフッ素置換C7−30アルキレン−アリーレン基であり、Gは、スルホニウムまたはヨードニウムカチオンである。
【0061】
好ましくは、式(XI)及び(XII)では、Aは、−[(C(RC(=O)O]−C((R(CF−基、またはo−、m−、もしくはp−置換−C−基であり、各R及びR各々独立して、H、F、−CN、C1−6フルオロアルキル、もしくはC1−6アルキルである場合、bは、0もしくは1であり、xは、1〜10の整数であり、y及びzは、独立して、0〜10の整数であり、y+zの合計は、少なくとも1である。
【0062】
例示的な好ましい酸発生モノマーは、
【0063】
【化11】
【0064】
前述のもののうちの少なくとも1つを含む組み合わせを含み、式中、各Rは、独立して、H、F、−CN、C1−6アルキル、またはC1−6フルオロアルキルであり、kは、好適には0〜5の整数であり、Gは、スルホニウムまたはヨードニウムカチオンである。様々な式全体を通して本明細書に言及された通りのGは、本明細書で開示される酸発生剤であり得、オキソ−ジオキソラン部分及び/またはオキソ−ジオキサン部分を含む。
【0065】
好ましい酸発生モノマーは、スルホニウムまたはヨードニウムカチオンを含み得る。好ましくは、式(IV)では、Gは、式(XIII)のものであり、
【0066】
【数1】
【0067】
式中、Xは、SまたはIであり、各Rは、ハロゲン化もしくは非ハロゲン化され、かつ独立して、C1−30アルキル基、多環式もしくは単環式C3−30シクロアルキル基、多環式もしくは単環式C4−30アリール基、または前述のもののうちの少なくとも1つを含む組み合わせであり、式中、XがSである場合、R基のうちの1つは、単一結合によって1つの隣接するR基に任意選択で結合し、aは、2または3であり、式中、XがIである場合、aは2であるか、またはXがSである場合、aは3である。
【0068】
例示的な酸発生モノマーは以下の式を有するものを含む。
【0069】
【化12】
【0070】
本発明のポジ型の化学的に増幅されたフォトレジストにおける使用のための酸に不安定なデブロッキング基を有する特に好適なポリマーは、欧州特許出願第0829766A2号(アセタール及びケタールポリマーを含むポリマー)及び欧州特許出願第EP0783136A2号(ターポリマー及び1)スチレン、2)ヒドロキシスチレン、及び3)酸に不安定な基、特にアルキルアクリレート酸に不安定な基の単位を含む他のコポリマー)に開示されている。
【0071】
193nmなどのサブ200nmで撮像されるフォトレジストにおける使用のための追加の好ましい樹脂は、以下の一般式(I)、(II)、及び(III)の単位を含み、
193nmなどのサブ200nmで撮像されるフォトレジストにおける使用に好ましい樹脂は、以下の一般式(I)、(II)、及び(III)の単位を含み、
【0072】
【化13】
【0073】
式中、Rは、(C−C)アルキル基であり、Rは、(C−C)アルキレン基であり、Lは、ラクトン基であり、nは、1または2である。
【0074】
本発明のフォトレジストにおける使用のためのポリマーの分子量及び多分散性は、好適には、大きく異なり得る。好適なポリマーは、約3以下の分子量分布、より典型的には約2以下の分子量分布を有する約1,000〜約50,000、より典型的には約2,000〜約30,000のMを有するものを含む。
【0075】
好ましい本発明のネガ型組成物は、酸への曝露時に加硫、架橋、または硬化するであろう材料の混合物、及び本明細書に開示される2つ以上の酸発生剤を含む。好ましいネガ型組成物は、ポリマー結合剤、例えばフェノール系または芳香族ポリマー、架橋剤成分、及び本発明の光活性成分を含む。かかる組成物及びその使用は、欧州特許出願第0164248号及びThackerayらに対する米国特許第5,128,232号で開示されている。ポリマー結合剤成分として使用するための好ましいフェノール系ポリマーは、ノボラック及び上で考察されたものなどのポリ(ビニルフェノール)を含む。好ましい架橋剤は、メラミン、グリコールウリルを含むアミン系材料、ベンゾグアナミン系材料、及び尿素系材料を含む。メラミン−ホルムアルデヒドポリマーは、多くの場合、特に好適である。かかる架橋剤は、市販の、例えばメラミンポリマー、グリコールウリルポリマー、尿素系ポリマー、及びベンゾグアナミンポリマー、例えば商標名Cymel301、303、1170、1171、1172、1123、及び1125、ならびにBeetle60、65、及び80でCytecによって販売されるものである。
【0076】
本発明の特に好ましいフォトレジストは、液浸リソグラフィ用途で使用され得る。例えば、好ましい液浸リソグラフィフォトレジスト及び方法の考察についてはRohm and Haas Electronic Materialsに対する米国第7968268号を参照されたい。液浸用途における使用に好ましいフォトレジストは、光酸に不安定な基を有する一次樹脂とは分離され(共有結合していない)、明確に異なる樹脂(フッ素化され得、かつ/または酸に不安定な基を有する)を含み得る。したがって、本発明は、好ましい態様では、1)酸に不安定な基を有する第1の樹脂、2)1つ以上の酸発生剤化合物、3)第1の樹脂とは分離され、明確に異なる第2の樹脂(第2の樹脂は、フッ素化され得、かつ/または酸に不安定な基を有する)、4)本明細書に開示される1つ以上の光塩基発生剤化合物を含むフォトレジストを含む。
【0077】
本発明のフォトレジストはまた、単一の酸発生剤、または明確に異なる酸発生剤の混合物、典型的には、2つもしくは3つの異なる酸発生剤の混合物、より典型的には、合計2つの明確に異なる酸発生剤から成る混合物を含み得る。本フォトレジスト組成物は、活性化放射線への露光時に組成物の被覆層内で潜像を生成するのに十分な量で用いられる酸発生剤を含む。例えば、酸発生剤は、好適には、フォトレジスト組成物の全固形物に基づいて1〜20重量%の量で存在する。典型的には、より少ない量の酸発生剤は、非化学的に増幅された材料と比較して、化学的に増幅されたレジストに好適である。
【0078】
好適な酸発生剤は、化学的に増幅されたフォトレジストの分野において既知であり、例えば、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、ニトロベンジル派生物、例えば、2−ニトロベンジルp−トルエンスルホネート、2,6−ジニトロベンジル−p−トルエンスルホネート、及び2,4−ジニトロベンジル−p−トルエンスルホネート、スルホン酸エステル、例えば、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、及び1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン、ジアゾメタン派生物、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、グリオキシム派生物、例えば、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、及びビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル派生物、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、ならびにハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンを含む。
【0079】
本明細書で言及された通り、酸発生剤は、EUV放射線、e−ビーム放射線、193nm波長放射線、または他の放射線源などの活性化放射線に露光されたとき、酸を生成し得る。本明細書で言及された通りの酸発生剤化合物はまた、光酸発生剤化合物と称され得る。
【0080】
本発明のフォトレジストは、好適には、酸発生剤の重量に基づいて、0.005〜15重量%、好ましくは0.01〜15重量%、さらにより好ましくは0.01〜10重量%などの広い量範囲で、本明細書で開示される1つ以上の光塩基発生剤化合物を含み得る。添加された光塩基発生剤成分は、好適には、酸発生剤に対して、0.01、0.05、0.1、0.02、0.3、0.4、0.5、または1〜10または15重量%の量、より典型的には、0.01、0.05、0.1、0.02、0.3、0.4、0.5、または1〜5、6、7、8、9、または10重量%の量で使用される。
【0081】
本発明のフォトレジストは、他の材料も含有し得る。例えば、他の任意選択の添加剤は、化学線及びコントラスト染料、抗ストリエーション剤、可塑剤、速度向上剤、及び感光薬を含む。かかる任意選択の添加剤は、フォトレジスト組成物中に微量濃度で存在する。
【0082】
あるいは、またはさらに、他の添加剤は、例えば、水酸化物、カルボキシレート、アミン、イミン、及びアミドに基づくものなどの非光破壊可能な塩基である消光剤を含み得る。好ましくは、かかる消光剤は、C1−30有機アミン、イミン、アミド、を含むか、または強塩基(例えば、水酸化物もしくはアルコキシド)もしくは弱塩基(例えば、カルボキシレート)のC1−30四級アンモニウム塩であり得る。例示的な消光剤は、アミン、例えば、トリプロピルアミン、ドデシルアミン、トリス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、オルテトラキス(oltetrakis)(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、アリールアミン、例えば、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、アミノフェノール、及び2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、トレーガー塩基、ヒンダードアミン、例えば、ジアザビシクロウンデセン(DBU)もしくはジアザビシクロノネン(DBN)、または水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)もしくは乳酸テトラブチルアンモニウムなどの四級アルキルアンモニウム塩を含むイオン性消光剤を含む。
【0083】
界面活性剤は、フッ素化及び非フッ素化界面活性剤を含み、好ましくは、非イオン性である。例示的なフッ素化非イオン性界面活性剤は、3M Corporationから入手可能なFC−4430及びFC−4432界面活性剤などのペルフルオロC界面活性剤、ならびにOmnovaからのPOLYFOX PF−636、PF−6320、PF−656、及びPF−6520フルオロ界面活性剤などのフルオロジオールを含む。
【0084】
フォトレジストは、フォトレジスト中に使用される成分を溶解、分注、及び被覆するのに一般に好適な溶媒をさらに含む。例示的な溶媒は、アニソール、乳酸エチル、1−メトキシ−2−プロパノール、及び1−エトキシ−2プロパノールを含むアルコール、n−ブチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、メトキシエトキシプロピオネート、エトキシプロピオネートを含むエステル、シクロヘキサノン及び2−ヘプタノンを含むケトン、ならびに前述の溶媒のうちの少なくとも1つを含む組み合わせを含む。
【0085】
かかるフォトレジストは、固形物の総重量に基づいて、50〜99重量%、具体的には55〜95重量%、より具体的には60〜90重量%、さらにより具体的には65〜90の量でポリマーを含み得る。光破壊可能な塩基は、固形物の総重量に基づいて、0.01〜5重量%、具体的には0.1〜4重量%、さらにより具体的には0.2〜3重量%の量でフォトレジスト中に存在し得る。界面活性剤は、固形物の総重量に基づいて、0.01〜5重量%、具体的には0.1〜4重量%、さらにより具体的には0.2〜3重量%の量で含まれ得る。消光剤は、固形物の総重量に基づいて、例えば、0.03〜5重量%の相対的に少ない量で含まれ得る。他の添加剤は、固形物の総重量に基づいて、50重量%以下、具体的には35重量%以下、より具体的には25重量%以下の量で含まれ得る。フォトレジスト組成物に対する全固形物含有量は、固形物及び溶媒の総重量に基づいて、0.5〜50重量%、具体的には1〜45重量%、より具体的には2〜40重量%、さらにより具体的には5〜30重量%であり得る。酸発生剤は、レジストの被覆層内で潜像を生成するのに十分な量で存在するべきである。より具体的には、2つ以上の酸発生剤は、好適には、レジストの全固形物の約1〜50重量パーセントの量で存在する。固形物は、ポリマー、消光剤、界面活性剤、及び任意の任意選択の添加剤を含み、溶媒は含まないことを理解されたい。
【0086】
被覆基板は、レジスト及び酸発生剤の被覆層内で潜像を生成することができるのに十分な量で存在すべき酸発生剤を含有するフォトレジストから形成され得る。かかる被覆基板は、(a)その表面上にパターン化される1つ以上の層を有する基板、(b)パターン化される1つ以上の層の上に酸発生剤を含むフォトレジスト組成物の層を含む。EUVまたはe−ビーム撮像では、フォトレジストは、好適には、例えば、1つ以上の酸発生剤が、5〜10〜約65重量パーセントの全固形物のレジストを含む場合、相対的に高い含有量の酸発生剤化合物を有し得る。典型的には、化学的に増幅されたレジストには、より少ない量の光活性成分が好適である。
【0087】
本発明のフォトレジストは、一般に、かかるフォトレジストの配合において使用される先行光活性化合物の代わりに本発明の1つ以上の酸発生剤化合物が用いられることを除いて、既知の手順に従って調製される。本発明のフォトレジストは、既知の手順に従って使用され得る。
【0088】
基板は、任意の寸法及び形状であり得、好ましくは、フォトリソグラフィで有用なもの、例えばシリコン、二酸化シリコン、シリコンオンインシュレーター(SOI)、歪みシリコン、ガリウムヒ素、窒化シリコン、オキシ窒化シリコン、窒化チタン、窒化タンタル、酸化ハフニウムなどの極薄ゲート酸化物で被覆されたものを含む被覆基板、チタン、タンタル、銅、アルミニウム、タングステン、それらの合金、及びそれらの組み合わせで被覆されたものを含む金属または金属被覆基板である。好ましくは、本明細書における基板の表面は、例えば、1つ以上のゲートレベル層を含むパターン化される限界寸法層または半導体製造のための基板上の他の限界寸法層を含む。かかる基板は、好ましくは、シリコン、SOI、歪みシリコン、及び直径で、例えば、20cm、30cm以上などの寸法、またはウエハ加工製造に有用な他の寸法を有する円形ウエハとして形成される他のかかる基板材料を含み得る。
【0089】
さらに、電子装置を形成する方法は、(a)基板の表面上を含むフォトレジスト組成物の層を適用することと、(b)フォトレジスト組成物層を活性化放射線にパターン露光することと、(c)露光されたフォトレジスト組成物層を現像して、レジストレリーフ像を提供することと、を含む。
【0090】
適用は、スピン被覆、吹付け被覆、浸漬被覆、ドクターブレードなどを含む任意の好適な方法によって達成され得る。フォトレジストの層を適用することは、好ましくは、フォトレジストがスピンしているウエハ上に分注される被覆トラックを使用して溶媒中のフォトレジストをスピン被覆することによって達成される。分注の間、ウエハは、最大4,000rpm、好ましくは約500〜3,000rpm、より好ましくは1,000〜2,500rpmの速度でスピンされ得る。被覆ウエハは、スピンされて溶媒を除去し、ホットプレート上でベークされてフィルムから残留溶媒及び自由体積を除去してそれを均一の密度にする。
【0091】
次いで、パターン露光は、フィルムがパターンマスクを通して照射され、それによってパターンが露光されるステッパなどの露光ツールを使用して実行される。本方法は、好ましくは、極端紫外線(EUV)またはe−ビーム放射線を含む高解像度を可能にする波長で活性化放射線を生成する進化した露光ツールを使用する。活性化放射線を使用する露光が、露光領域の酸発生剤を分解し、酸及び分解副生成物を生成し、次いで、その酸がポリマーの化学変化を生じさせる(酸感受性基をデブロックして、塩基溶解性基を生成するか、あるいは、露光領域の架橋反応を触媒する)ことを理解されたい。かかる露光ツールの解像度は30nm以下であり得る。
【0092】
次いで、露光フォトレジスト層を現像することは、露光層を、フィルムの露光部分を選択的に除去することができるか(フォトレジストがポジティブトーンである場合)、またはフィルムの非露光部分を除去することができる(フォトレジストが露光領域において架橋できる、すなわちネガティブトーンである場合)好適な現像剤で処理することによって達成される。好ましくは、フォトレジストは、酸感受性(脱保護可能な)基を有するポリマーに基づくポジティブトーンであり、現像剤は、好ましくは、例えば、水性0.26 N水酸化テトラメチルアンモニウムなどの金属イオンを含まない水酸化テトラアルキルアンモニウム溶液である。パターンは現像によって形成される。
【0093】
さらに、ポジティブレジストでは、非露光領域は、ネガティブトーン現像のため好適な非極性溶媒で処理することによって、選択的に除去され得る。ポジティブフォトレジストのネガティブトーン現像に好適な手順については、米国第2011/0294069号を参照されたい。ネガティブトーン現像のための典型的な非極性溶媒は、ケトン、エステル、炭化水素、及びそれらの混合物から選択された溶媒、例えばアセトン、2−ヘキサノン、メチルアセテート、ブチルアセテート、及びテトラヒドロフランなどの有機現像剤である。
【0094】
フォトレジストは、1つ以上のかかるパターン形成プロセスで使用されるとき、記憶装置、プロセッサチップ(CPUの)、グラフィックスチップ、及び他のかかる装置などの電子及び光電子装置を製造するのに使用され得る。
【0095】
以下の非限定的な実施例は、本発明の例示である。
【0096】
実施例1:NB−DiOC(C)の合成
【0097】
【化14】
【0098】
スキーム1.
上のスキーム1に概ね描写されるように、1,1’−カルボニルジイミダゾール(5.3g、1.0当量)を、窒素雰囲気下で無水DMF(60mL)中に懸濁させた。溶液を0℃に冷却し、無水DMF(40mL)中の(2−ニトロフェニル)メタノール(5.0g、1.0当量)を緩徐に添加した。室温で3時間撹拌した後、ジオクチルアミン(7.88g、1.0当量)を添加した。混合物を70℃で20時間撹拌した。反応混合物をEAで希釈し、水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。標記化合物の粗化合物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン)によって精製した。
【0099】
実施例2:NB−DEHC(E)の合成
【化15】
【0100】
スキーム2
上のスキーム2に概ね描写されるように、トリホスゲン(1.16g、0.3当量)を、窒素雰囲気下で無水DCM(30mL)中に懸濁させた。溶液を0℃に冷却した。次いで、無水DCM(30mL)中の(2−ニトロフェニル)メタノール(2.0g、1.0当量)及びN,N−ジイソプロピルエチレンアミン(3.38g、2.0当量)を添加した。室温で3時間撹拌した後、ビス(2−エチルヘキシル)アミン(3.15g、1.0当量)を緩徐に添加し、4時間撹拌した。反応混合物を水で洗浄し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗標記化合物を、フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン)によって精製した。
【0101】
実施例3:ANT−DEHCの合成
【0102】
【化16】
【0103】
スキーム3
上のスキーム3に概ね描写されるように、トリホスゲン(2.137g、0.5当量)を、窒素雰囲気下で無水DCM(30mL)中に懸濁させた。溶液を0℃に冷却した。次いで、無水DCM(100mL)中の、9−(ヒドロキシメチル)アントラセン(3.0g、1.0当量)及びN,N−ジイソプロピルエチレンアミン(3.723g、2.0当量)を添加した。室温で3時間撹拌した後、ビス(2−エチルヘキシル)アミン(3.478g、1.0当量)を緩徐に添加し、4時間撹拌した。反応混合物を水で洗浄し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗標記化合物を、フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン)によって精製した。
【0104】
実施例4:フォトレジスト組成物の調製
本発明のフォトレジスト組成物を、以下の成分、PGMEA中の13.34gのポリマー−A溶液(20%)、メチル−2−ヒドロキシイソ酪酸中の15.22gのPAG−A溶液(1%)、メチル−2−ヒドロキシイソ酪酸中の5.34gのPAG−B溶液(2%)、メチル−2−ヒドロキシイソ酪酸中の3.53gのWPAG溶液(2%)、PGMEA中の3.57gの消光剤−A溶液(1%)、メチル−2−ヒドロキシイソ酪酸中の0.43gのPBG A溶液(1%)、PGMEA中の1.24gのEBL(5%)、33.07gのPGMEA、9.69gのγ−ブチロラクトン、及び14.57gのメチル−2−ヒドロキシイソ酪酸を混合することによって調製し、次いで、この混合物を0.2ミクロンのナイロンフィルターで濾過した。このフォトレジスト組成物のポリマー−A、PAG−A、PAG−B、WAG、消光剤−A、EBL、及びPBG Aは以下の構造を有する。
【0105】
【化17】
【0106】
実施例5:フォトレジスト組成物の調製
本発明のフォトレジスト組成物は、以下の成分、PGMEA中の13.27gのポリマー−A溶液(20%)、メチル−2−ヒドロキシイソ酪酸中の15.98gのPAG−A溶液(1%)、メチル−2−ヒドロキシイソ酪酸中の5.60gのPAG−B溶液(2%)、メチル−2−ヒドロキシイソ酪酸中の3.53gのWPAG溶液(2%)、PGMEA中の3.92gの消光剤−A溶液(1%)、メチル−2−ヒドロキシイソ酪酸中の0.31gのPBG B溶液(1%)、PGMEA中の1.24gのEBL(5%)、32.78gのPGMEA、9.69gのγ−ブチロラクトン、及び13.67gのメチル−2−ヒドロキシイソ酪酸を混合することによって調製し、次いで、この混合物を0.2ミクロンのナイロンフィルターで濾過した。このフォトレジスト組成物のポリマー−A、PAG−A、PAG−B、WAG、消光剤−A、EBL、及びPBG Bは以下の構造を有する。
【0107】
【化18】
【0108】
実施例6:リソグラフィ
HMDSで下塗りされたシリコンウエハ300mmを、AR(商標)26N(Rohm and Haas Electronic Materials)でスピン被覆し、TEL CLEAN TRAC LITHIUS i+上に第1の底部反射防止膜(BARC)を形成し、その後に205℃で60秒間のベークプロセスが続く。
【0109】
実施例4のフォトレジスト組成物をBARC層の上にスピン被覆する。このように適用されたフォトレジスト層を、次いでソフトベークし、液浸リソグラフィシステム内で193nmの波長を有するパターン化放射線で撮像する。露光されたウエハを、90℃で60秒間露光後ベークし、次いで、およそ30秒間、n−ブチルアセテート現像剤を使用して現像し、フォトレジストのネガティブトーンパターンを得る。
【0110】
実施例7:リソグラフィ
HMDSで下塗りされたシリコンウエハ300mmを、AR(商標)26N(Rohm and Haas Electronic Materials)でスピン被覆し、TEL CLEAN TRAC LITHIUS i+上に第1の底部反射防止膜(BARC)を形成し、その後に205℃で60秒間のベークプロセスが続く。
【0111】
実施例5のフォトレジスト組成物をBARC層の上にスピン被覆する。次いで、このようにして適用されたフォトレジスト層をソフトベークし、液浸リソグラフィシステム内で193nmの波長を有するパターン化放射線で撮像する。露光されたウエハを、90℃で60秒間露光後ベークし、次いで、n−ブチルアセテート現像剤を使用しておよそ30秒間現像して、フォトレジストのネガティブトーンパターンを得る。