(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
幅>長さの関係を有し、且つ、コンデンサ本体の長さ方向一面に付着した第1部分と少なくとも高さ方向一面に付着した第2部分とが連続した態様の第1外部電極と、コンデンサ本体の長さ方向他面に付着した第1部分と高さ方向一面に付着した第2部分とが連続した態様の第2外部電極とを備えた積層セラミックコンデンサであって、
前記長さに沿う方向の寸法を長さ、前記幅に沿う方向の寸法を幅と表記したとき、
前記第1外部電極の前記第2部分と前記第2外部電極の前記第2部分のそれぞれは、(1)長さが最も大きく、且つ、外縁が幅方向に沿う直線によって構成された幅方向中央部と、(2)前記幅方向中央部の幅方向両側に位置し、且つ、長さが最も小さい幅方向端縁に向かって長さが小さくなる幅方向端部と、を連続して有しており、
前記第1外部電極の前記第2部分と前記第2外部電極の前記第2部分のそれぞれにおける前記幅方向中央部の幅は、前記積層セラミックコンデンサの前記幅の1/3以上11/12以下である、
積層セラミックコンデンサ。
前記第1外部電極の前記第2部分と前記第2外部電極の前記第2部分のそれぞれにおける前記幅方向中央部の長さ方向間隔は、前記第1外部電極の前記第2部分と前記第2外部電極の前記第2部分のそれぞれにおける前記幅方向中央部の長さよりも小さい、
請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
前記第1外部電極の前記第2部分と前記第2外部電極の前記第2部分のそれぞれにおける前記幅方向端縁の長さは、前記第1外部電極の前記第2部分と前記第2外部電極の前記第2部分のそれぞれにおける前記幅方向中央部の長さの2/3以下である、
請求項1又は2に記載の積層セラミックコンデンサ。
【背景技術】
【0002】
長さと幅と高さとによってサイズが定められている積層セラミックコンデンサは、一般に長さ>幅の関係を有しており、長さ方向両端部それぞれに外部電極を備えている。これに対し、積層セラミックコンデンサのESL(等価直列インダクタンス)を低減するために、幅>長さの関係を有するLW逆転タイプの積層セラミックコンデンサが知られている(例えば特許文献1を参照)。また、積層セラミックコンデンサの高さを小さくするために、コンデンサ本体の長さ方向一面及び他面のそれぞれに付着した第1部分と高さ方向一面に付着した第2部分とが連続した態様の外部電極も知られている(例えば特許文献2を参照)。
【0003】
ここで、
図1を用い、後記[発明を実施するための形態]の項目で説明する積層セラミックコンデンサ20の比較例として、幅>長さの関係を有し、且つ、コンデンサ本体の長さ方向一面及び他面のそれぞれに付着した第1部分と高さ方向一面に付着した第2部分とが連続した態様の外部電極を備えた積層セラミックコンデンサの構成について説明する。この説明では、積層セラミックコンデンサの長さ、幅、高さのそれぞれに沿う方向の寸法を長さ、幅、高さと表記する。
【0004】
図1に示した積層セラミックコンデンサ10は、長さL10と幅W10と高さH10とが幅W10>長さL10>高さH10の関係を有している。この積層セラミックコンデンサ10は、略直方体状のコンデンサ本体11と、コンデンサ本体11の長さ方向両端部それぞれに設けられた第1外部電極12と第2外部電極13とを備えている。コンデンサ本体11は、複数の内部電極層11aが誘電体層11bを介して積層された容量部と、容量部の幅方向両側と高さ方向両側を覆う誘電体マージン部とを有している。複数の内部電極層11aの端縁は、高さ方向において第1外部電極12と第2外部電極13に交互に接続されている。第1外部電極12は、コンデンサ本体11の長さ方向一面(
図1(C)の左面)に付着した第1部分12aと高さ方向一面(
図1(C)の下面)に付着した第2部分12bとが連続した態様を有している。第2外部電極13は、コンデンサ本体11の長さ方向他面(
図1(C)の右面)に付着した第1部分13aと高さ方向一面(
図1(C)の下面)に付着した第2部分13bとが連続した態様を有している。
【0005】
ところで、
図1に示した積層セラミックコンデンサ10は、幅W10>長さL10の関係を有し、しかも、長さ方向両端部それぞれに第1外部電極12と第2外部電極13を備えているため、長さ>幅の関係を有する積層セラミックコンデンサに比べて、回路基板に実装するときに立ち上がり現象(マンハッタン現象又はツームストーン現象とも言われている)を生じ易い。依って、この立ち上がり現象を抑制するために、第1外部電極12の第2部分12bと第2外部電極13の第2部分13bの長さ方向間隔CL10を、第2部分12b及び13bの長さL11よりも極力小さくしている。
【0006】
次に、
図2及び
図3を用いて、
図1に示した積層セラミックコンデンサ10を回路基板に実装するときの状態について説明する。
図2及び
図3中のCP1は第1外部電極12の第2部分12bに対応した略矩形状の第1導体パッド、CP2は第2外部電極13の第2部分13bに対応した略矩形状の第2導体パッドである。第1導体パッドCP1の長さ及び幅は第1外部電極12の第2部分12bの長さL11及び幅W10(
図1(B)を参照)に略一致し、第2導体パッドCP2の長さ及び幅は第2外部電極13の第2部分13bの長さL11及び幅W10(
図1(B)を参照)に略一致している。
【0007】
図1に示した積層セラミックコンデンサ10を回路基板に実装するときには、先ず、第1導体パッドCP1の表面と第2導体パッドCP2の表面にクリームハンダ等のクリーム状接合材を塗布する。続いて、積層セラミックコンデンサ10を、第1外部電極12の第2部分12bと第2外部電極13の第2部分13bのそれぞれが、塗布されたクリーム状接合材に接触するように、回路基板に搭載する。続いて、積層セラミックコンデンサ10が搭載された回路基板をリフロー炉に投入して、第1外部電極12の主として第2部分12bを第1導体パッドCP1に接合し、第2外部電極13の主として第2部分13bを第2導体パッドCP2に接合する。
【0008】
前記搭載時に、積層セラミックコンデンサ10が理想位置から長さ方向(
図2の+Dl及び−Dlを参照)や幅方向(
図2の+Dw及び−Dwを参照)に多少ずれた状態となっても、前記接合時のセルフアライメント効果により、積層セラミックコンデンサ10は
図2中央に示した矢印方向に適宜移動して、その位置が
図2に示した正常な位置に自動的に修正される。
【0009】
ところで、前記搭載時には、
図3に示したように、積層セラミックコンデンサ10が理想位置から回転方向(
図3の+θ及び−θを参照)にずれることもある。この回転ずれの原因としては、例えば積層セラミックコンデンサ10を搭載用吸着ノズルで吸着した後の搬送過程で積層セラミックコンデンサ10に加わる振動や、積層セラミックコンデンサ10を搭載用吸着ノズルで吸着した状態で吸着ノズルと積層セラミックコンデンサ10との間に生じる滑りや、搭載用吸着ノズルで積層セラミックコンデンサ10を吸着するときの積層セラミックコンデンサ10の被吸着箇所の表面凹凸等が挙げられる。
【0010】
図1に示した積層セラミックコンデンサ10は、回路基板に実装するときの立ち上がり現象を抑制するために、第1外部電極12の第2部分12bと第2外部電極13の第2部分13bの長さ方向間隔CL10を、第2部分12b及び13bの長さL11よりも極力小さくしている。そのため、
図3に示したように、前記搭載時おいて積層セラミックコンデンサ10に回転ずれ(
図3では約15度の回転ずれ)が生じると、積層セラミックコンデンサ10の第1外部電極12の第2部分12bが第2導体パッドCP2に接触して実装不良を生じてしまう。ちなみに、
図3に示したような回転ずれを積層セラミックコンデンサ10に生じてしまうと、この回転ずれを前記接合時のセルフアライメント効果によって修正することはできない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
先ず、
図4及び
図5を用いて、本発明を適用した積層セラミックコンデンサ20の構成について説明する。この説明では、積層セラミックコンデンサの長さ、幅、高さのそれぞれに沿う方向の寸法を長さ、幅、高さと表記する。
【0017】
図4及び
図5に示した積層セラミックコンデンサ20は、長さL20と幅W20と高さH20とが幅W20>長さL20>高さH20の関係を有している。この積層セラミックコンデンサ20は、略直方体状のコンデンサ本体21と、コンデンサ本体21の長さ方向両端部それぞれに設けられた第1外部電極22と第2外部電極23とを備えている。
【0018】
コンデンサ本体21は、複数の内部電極層21aが誘電体層21bを介して積層された容量部(符号省略)と、容量部の幅方向両側と高さ方向両側を覆う誘電体マージン部(符号省略)とを有している。複数の内部電極層21aは略同じ矩形状外形と略同じ厚さを有しており、これらの端縁は高さ方向において第1外部電極22の第1部分22aと第2外部電極23の第2部分23aに交互に接続されている。なお、
図5では、図示の便宜上、計8の内部電極層21aを描いているが、内部電極層21aの数に特段の制限はない。
【0019】
コンデンサ本体21の内部電極層21aを除く部分の主成分は、例えばチタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸バリウム、酸化チタン等の誘電体材料(誘電体セラミック材料)である。また、各内部電極層21aの主成分は、例えばニッケル、銅、パラジウム、白金、銀、金、これらの合金等の金属材料である。
【0020】
第1外部電極22は、コンデンサ本体21の長さ方向一面(
図5(A)の左面)に付着した第1部分22aと高さ方向一面(
図5(A)の下面)に付着した第2部分22bとが連続した態様を有している。第2外部電極23は、コンデンサ本体21の長さ方向他面(
図5(A)の右面)に付着した第1部分23aと高さ方向一面(
図5(A)の下面)に付着した第2部分23bとが連続した態様を有している。
図5(A)から分かるように、積層セラミックコンデンサ20の高さH20を小さくするため、第1外部電極22の第2部分22bの厚さは第1部分22aの厚さよりも薄く、第2外部電極23の第2部分23bの厚さは第1部分23aの厚さよりも薄くなっている。
【0021】
第1外部電極22と第2外部電極23の層構造を
図5(B)を用いて詳述すると、各外部電極22及び23は、コンデンサ本体21の長さ方向一面と他面のそれぞれに密着した第1下地膜f1と、コンデンサ本体21の高さ方向一面と第1下地膜f1に密着した第2下地膜f2と、第1下地膜f1と第2下地膜f2の外面に密着した表面膜f3とを有している。
【0022】
第1下地膜f1の主成分は、例えばニッケル、銅、パラジウム、白金、銀、金、これらの合金等の金属材料であり、好ましくは焼き付け膜である。第2下地膜f2の主成分は、例えば銅、ニッケル、白金、パラジウム、金、これらの合金等の金属材料であり、好ましくは焼き付け膜又は乾式メッキ膜である。表面膜f3の主成分は、例えば銅、ニッケル、スズ、パラジウム、金、亜鉛、これらの合金等であり、好ましくは湿式メッキ膜又は乾式メッキ膜である。なお、表面膜f3は3層構造又は2層構造としてもよく、3層構造の場合には、例えば両下地膜f1及びf2の外面に湿式メッキ法によって銅膜とニッケル膜とスズ膜を順に形成することが好ましい。また、2層構造の場合には、例えば両下地膜f1及びf2の外面に湿式メッキ法によってニッケル膜とスズ膜を順に形成することが好ましい。
【0023】
ここで、
図4(B)を用いて、各外部電極22及び23の第2部分22b及び23bの外形について詳述する。積層セラミックコンデンサ20を高さ方向一面側から見たときの第2部分22b及び23bそれぞれの外形は、略6角形である。第2部分22b及び23bのそれぞれは、長さL21が最も大きな幅方向中央部22b1及び23b1と、幅方向中央部22b1及び23b1の幅方向両側に位置し、且つ、長さL22が最も小さな幅方向端縁22b3及び23b3それぞれに向かって長さ(符号省略)が徐々に小さくなる2つの幅方向端部22b2及び23b2を連続して有している。幅方向中央部22b1及び23b1の外縁は、直線によって構成されている。この「直線」は、真っ直ぐな線や、多少の起伏があるものの全体として直線とみなせるもの等を含む。各幅方向端部22b2及び23b2の外縁は、積層セラミックコンデンサ20の長さ方向中央に向かって膨らんだ曲線によって構成されている。この「曲線」は、単一の曲率半径を有しない曲線や、単一の曲率半径を有する曲線や、曲がりが一様でないものの全体として曲線とみなせるもの等を含む。
【0024】
また、第2部分22b及び23bそれぞれにおける幅方向中央部22b1及び23b1の長さ方向間隔CL20は、幅方向中央部22b1及び23b1の長さL21よりも小さい。さらに、第2部分22b及び23bそれぞれにおける幅方向中央部22b1及び23b1の幅W21は、好ましくは積層セラミックコンデンサ20の幅W20の1/3以上、より好ましくは積層セラミックコンデンサ20の幅W20の1/3以上11/12以下である。さらに、第2部分22b及び23bそれぞれにおける幅方向端縁22b3及び23b3の長さL22は、好ましくは幅方向中央部22b1及び23b1の長さL21の2/3以下、より好ましくは幅方向中央部22b1及び23b1の長さL21の1/8以上2/3以下である。
【0025】
なお、
図4及び
図5に示した積層セラミックコンデンサ20は試作品の1つに基づいて描いているため、各外部電極22及び23の第2部分22b及び23bの外形の理解を促すことを目的として、同試作品における各寸法を以下に示す。
【0026】
試作品(積層セラミックコンデンサ)の長さL20は600μm、幅W20は1000μm、高さH20は125μmである。各外部電極22及び23の第2部分22b及び23bの外形に関する寸法は、幅方向中央部22b1及び23b1の長さL21が230μm、各幅方向端縁22b3及び23b3の長さL22が100μm、幅方向中央部22b1及び23b1の幅W21が640μm、各幅方向端部22の幅W22が180μmである。また、各外部電極22及び23の第2部分22b及び23bの長さ方向間隔CL20は140μmである。さらに、各外部電極22及び23の第1部分22a及び23aの厚さは40μm、第2部分22b及び23bの厚さは10μmである。
【0027】
次に、
図4及び
図5に示した積層セラミックコンデンサ20の製造方法例について説明する。ここで説明する製造方法はあくまでも一例であって、
図4及び
図5に示した積層セラミックコンデンサ20の製造方法を制限するものではない。
【0028】
コンデンサ本体21の内部電極層21aを除く部分の主成分がチタン酸バリウムで、内部電極層21aの主成分がニッケルで、各外部電極22及び23の第1下地膜f1の主成分がニッケル、第2下地膜f2の主成分がニッケル、表面膜f3の主成分がスズである場合には、先ず、チタン酸バリウム粉末と有機溶剤と有機バインダーと分散剤等を含有したセラミックスラリーと、ニッケル粉末と有機溶剤と有機バインダーと分散剤等を含有した内部電極ペーストと、ニッケル粉末とチタン酸バリウム粉末(共材)と有機溶剤と有機バインダーと分散剤等を含有した外部電極ペーストを、用意する。
【0029】
続いて、キャリアフィルムの表面にセラミックスラリーを塗工して乾燥することにより、第1シートを作製する。また、この第1シートの表面に内部電極ペーストを印刷して乾燥することにより、内部電極層パターン群が形成された第2シートを作製する。
【0030】
続いて、第1シートから取り出した単位シートを所定枚数に達するまで積み重ねて熱圧着する作業を繰り返すことにより、高さ方向一方の誘電体マージン部に対応した部位を形成する。続いて、第2シートから取り出した単位シート(内部電極層パターン群を含む)を所定枚数に達するまで積み重ねて熱圧着する作業を繰り返すことにより、容量部に対応した部位を形成する。続いて、第1シートから取り出した単位シートを所定枚数に達するまで積み重ねて熱圧着する作業を繰り返すことにより、高さ方向他方の誘電体マージン部に部位を形成する。最後に、積み重ねられた全体を本熱圧着することにより、未焼成積層シートを作製する。
【0031】
続いて、未焼成積層シートを格子状に切断することにより、コンデンサ本体21に対応した未焼成コンデンサ本体を作製する。続いて、ディップやローラ塗布等の手法によって、未焼成コンデンサ本体の長さ方向両端面それぞれに外部電極ペーストを塗布して乾燥することにより、未焼成第1下地膜を作製する。続いて、ローラ塗布や印刷等の手法によって、未焼成第1下地膜を有する未焼成コンデンサ本体の高さ方向一面の両端部それぞれに外部電極ペーストを塗布して乾燥することにより、未焼成第2下地膜を作製する。
【0032】
続いて、未焼成第1下地膜及び未焼成第2下地膜を有する未焼成コンデンサ本体を焼成炉に投入し、還元雰囲気下で、且つ、チタン酸バリウムとニッケルに応じた温度プロファイルにて多数個一括で焼成して(脱バインダ処理と焼成処理を含む)、各外部電極の第1下地膜(ニッケル、
図5(B)のf1を参照)と第2下地膜(ニッケル、
図5(B)のf2を参照)を有するコンデンサ本体を作製する。続いて、第1下地膜及び第2下地膜を有するコンデンサ本体における第1下地膜と第2下地膜の外面に、電解メッキによって、各外部電極の表面膜(スズ、
図5(B)のf3を参照)を作製する。
【0033】
なお、各外部電極の第1下地膜(
図5(B)のf1を参照)と第2下地膜(
図5(B)のf2を参照)は、未焼成コンデンサ本体に焼成処理を施して得たコンデンサ本体に外部電極ペーストを塗布して乾燥し、これに焼き付け処理を施して作製してもよい。ちなみに、コンデンサ本体21の内部電極層21aを除く部分の主成分がチタン酸バリウム以外の誘電体材料でもよいこと、内部電極層21aの主成分がニッケル以外の金属材料でもよいこと、各外部電極22及び23の第1下地膜f1の主成分がニッケル以外の金属材料でもよいこと、第2下地膜f2の主成分がニッケル以外の金属材料でもよいこと、表面膜f3の主成分がスズ以外の金属材料でもよいこと、表面膜f3を3層構造又は2層構造としてもよいことは先に述べたとおりである。
【0034】
次に、
図6及び
図7を用いて、
図4及び
図5に示した積層セラミックコンデンサ20を回路基板に実装するときの状態について説明する。
図6及び
図7中のCP1は第1外部電極22の第2部分22bに対応した略矩形状の第1導体パッド、CP2は第2外部電極23の第2部分23bに対応した略矩形状の第2導体パッドである。これら導体パッドCP1及びCP2は
図2及び
図3に記載したものと同じである。即ち、第1導体パッドCP1の長さ及び幅は第1外部電極22の第2部分22bの長さL21及び幅W20(
図4(B)を参照)に略一致し、第2導体パッドCP2の長さ及び幅は第2外部電極23の第2部分23bの長さL21及び幅W20(
図4(B)を参照)に略一致している。
【0035】
図4及び
図5に示した積層セラミックコンデンサ20を回路基板に実装するときには、先ず、第1導体パッドCP1の表面と第2導体パッドCP2の表面にクリームハンダ等のクリーム状接合材を塗布する。続いて、積層セラミックコンデンサ20を、第1外部電極22の第2部分22bと第2外部電極23の第2部分13bのそれぞれが、塗布されたクリーム状接合材に接触するように、回路基板に搭載する。続いて、積層セラミックコンデンサ20が搭載された回路基板をリフロー炉に投入して、第1外部電極22の主として第2部分22bを第1導体パッドCP1に接合し、第2外部電極23の主として第2部分23bを第2導体パッドCP2に接合する。
【0036】
前記搭載時に、積層セラミックコンデンサ20が理想位置から長さ方向(
図6の+Dl及び−Dlを参照)や幅方向(
図6の+Dw及び−Dwを参照)に多少ずれた状態となっても、前記接合時のセルフアライメント効果により、積層セラミックコンデンサ20は
図6中央に示した矢印方向に適宜移動して、その位置が
図6に示した正常な位置に自動的に修正される。
【0037】
ところで、前記搭載時には、
図7に示したような積層セラミックコンデンサ20が理想位置から回転方向(
図7の+θ及び−θを参照)にずれることもある。この回転ずれの原因としては、例えば積層セラミックコンデンサ20を搭載用吸着ノズルで吸着した後の搬送過程で積層セラミックコンデンサ20に加わる振動や、積層セラミックコンデンサ20を搭載用吸着ノズルで吸着した状態で吸着ノズルと積層セラミックコンデンサ20との間に生じる滑りや、搭載用吸着ノズルで積層セラミックコンデンサ20を吸着するときの積層セラミックコンデンサ20の被吸着箇所の表面凹凸等が挙げられる。
【0038】
しかしながら、
図4及び
図5に示した積層セラミックコンデンサ20は、第1外部電極22の第2部分22bと第2外部電極23の第2部分23bのそれぞれが、幅方向中央部22b1及び23b1の長さL21が最も大きく、且つ、幅方向端縁22b3及び23b3それぞれの長さL22が最も小さく、幅方向中央部22b1及び23b1から幅方向端縁22b3及び23b3それぞれに向かって徐々に長さが小さくなる外形を有している。そのため、
図7に示したように、前記搭載時おいて積層セラミックコンデンサ20に回転ずれ(
図7では約15度の回転ずれ、
図3に示した回転ずれと同じ)が生じても、積層セラミックコンデンサ20の第1外部電極22の第2部分22bが第2導体パッドCP2に接触することはない。
【0039】
つまり、前記搭載時において積層セラミックコンデンサ20が、
図3に示した積層セラミックコンデンサ10と同じ角度の回転ずれを生じても、実装不良を生じることはない。また、
図7に示したような回転ずれを積層セラミックコンデンサ20に生じても、この回転ずれは前記接合時のセルフアライメント効果によって修正することができる。
【0040】
次に、
図4及び
図5に示した積層セラミックコンデンサ20によって得られる効果について説明する。
【0041】
図4及び
図5に示した積層セラミックコンデンサ20は、第1外部電極22の第2部分22bと第2外部電極23の第2部分23bのそれぞれが、幅方向中央部22b1及び23b1の長さL21が最も大きく、且つ、幅方向端縁22b3及び23b3それぞれの長さL22が最も小さく、幅方向中央部22b1及び23b1から幅方向端縁22b3及び23b3それぞれに向かって徐々に長さが小さくなる外形を有している。つまり、積層セラミックコンデンサ20は、
図1に示した積層セラミックコンデンサ10に比べ、回路基板に搭載するときの回転ずれに対する許容能力が高いため、積層セラミックコンデンサ20を回路基板に実装するときに回転ずれに起因した実装不良を低減することができる。
【0042】
また、
図4及び
図5に示した積層セラミックコンデンサ20は、第1外部電極22の第2部分22bと第2外部電極23の第2部分23bのそれぞれにおける幅方向中央部22b1及び23b1の長さ方向間隔CL20が、幅方向中央部22b1及び23b1の長さL21よりも小さくなっている。つまり、積層セラミックコンデンサ20の高さH20が小さくなったり質量が低下したりしても、積層セラミックコンデンサ20を回路基板に実装するときに立ち上がり現象を生じ難くすることができる。
【0043】
さらに、
図4及び
図5に示した積層セラミックコンデンサ20は、第1外部電極22の第2部分22bと第2外部電極23の第2部分23bのそれぞれにおける幅方向中央部22b1及び23b1の幅W21が、積層セラミックコンデンサ20の幅W20の1/3以上となっている。つまり、第1外部電極22の第2部分22bと第2外部電極23の第2部分23bのそれぞれの面積減少を極力抑制して、積層セラミックコンデンサ20の実装時における接続の固着強度が低下することを極力回避することができる。ちなみに、各内部電極層21aの幅を幅方向中央部22b1及び23b1の幅W21よりも大きくすることにより、積層セラミックコンデンサ20の抗折強度が低下することを抑制することもできる。
【0044】
さらに、
図4及び
図5に示した積層セラミックコンデンサ20は、第1外部電極22の第2部分22bと第2外部電極23の第2部分23bのそれぞれにおける各幅方向端縁22b3及び23b3の長さL22が、第1外部電極22の第2部分22bと第2外部電極23の第2部分23bのそれぞれにおける幅方向中央部22b1及び23b1の長さL21の2/3以下となっている。つまり、回路基板に搭載するときの回転ずれに対する許容能力をより高めて、積層セラミックコンデンサ20を回路基板に実装するときに回転ずれに起因した実装不良をより低減することができる。
【0045】
次に、
図8〜
図14を用いて、
図4及び
図5に示した積層セラミックコンデンサ20の第1変形例〜第11変形例を順に説明する。これら第1変形例〜第11変形例を採用しても、前記同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0046】
〈第1変形例〉
図8(A)に示した第1変形例は、第1外部電極22の第2部分22bと第2外部電極23の第2部分23bのそれぞれにおける各幅方向端部22b2及び23b2の幅W22を、
図4(B)に示した幅W22よりも大きくしたものである。
【0047】
〈第2変形例〉
図8(B)に示した第2変形例は、第1外部電極22の第2部分22bと第2外部電極23の第2部分23bのそれぞれにおける各幅方向端部22b2及び23b2の幅W22を、
図4(B)に示した幅W22よりも小さくしたものである。
【0048】
〈第3変形例〉
図9(A)に示した第3変形例は、第1外部電極22の第2部分22bと第2外部電極23の第2部分23bのそれぞれにおける各幅方向端縁22b3及び23b3の長さL22を、
図4(B)に示した長さL22よりも小さくしたものである。
【0049】
〈第4変形例〉
図9(B)に示した第4変形例は、第1外部電極22の第2部分22bと第2外部電極23の第2部分23bのそれぞれにおける各幅方向端縁22b3及び23b3の長さL22を、
図4(B)に示した長さL22よりも大きくしたものである。
【0050】
〈第5変形例〉
図10に示した第5変形例は、
図4(B)に示した第1外部電極22の第2部分22bと第2外部電極23の第2部分23bのそれぞれにおける各幅方向端部22b2及び23b2の外縁を、直線によって構成したものである。この「直線」は、真っ直ぐな線や、多少の起伏があるものの全体として直線とみなせるもの等を含む。
【0051】
〈第6変形例〉
図11(A)に示した第6変形例は、第1外部電極22の第2部分22bと第2外部電極23の第2部分23bのそれぞれにおける各幅方向端部22b2及び23b2の幅W22を、
図10に示した幅W22よりも大きくしたものである。
【0052】
〈第7変形例〉
図11(B)に示した第7変形例は、第1外部電極22の第2部分22bと第2外部電極23の第2部分23bのそれぞれにおける各幅方向端部22b2及び23b2の幅W22を、
図10に示した幅W22よりも小さくしたものである。
【0053】
〈第8変形例〉
図12(A)に示した第8変形例は、第1外部電極22の第2部分22bと第2外部電極23の第2部分23bのそれぞれにおける各幅方向端縁22b3及び23b3の長さL22を、
図10に示した長さL22よりも小さくしたものである。
【0054】
〈第9変形例〉
図12(B)に示した第9変形例は、第1外部電極22の第2部分22bと第2外部電極23の第2部分23bのそれぞれにおける各幅方向端縁22b3及び23b3の長さL22を、
図10に示した長さL22よりも大きくしたものである。
【0055】
〈第10変形例〉
図13に示した第10変形例は、
図5(A)に示した第1外部電極22と第2外部電極23と比べ、第1外部電極22の第1部分22aと第2外部電極23の第1部分23aのそれぞれがコンデンサ本体21の高さ方向他面(
図13(A)の上面)よりも上側に突出している態様となっているものである。この場合の第1外部電極22と第2外部電極23の層構造は
図13(B)に示したとおりである。即ち、第1下地膜f1は、コンデンサ本体21の長さ方向一面と他面のそれぞれに密着にしているものの、その高さ方向両端部がコンデンサ本体21の高さ方向一面及び他面(
図13(A)の下面及び上面)よりも突出するように形成されている。第2下地膜f2は、コンデンサ本体21の高さ方向一面と第1下地膜f1に密着するように形成されている。表面膜f3は、第1下地膜f1と第2下地膜f2の外面に密着するように形成されている。なお、各外部電極22及び23の第1部分22a及び23aの上側に突出している部位は、コンデンサ本体21の高さ方向他面(
図13(A)の上面)に入り込むように長さ方向に延長されていてもよい。また、先に述べたように、各外部電極22及び23の表面膜f3は3層構造又は2層構造としてもよい。
【0056】
〈第11変形例〉
図14に示した第11変形例は、
図5(A)に示した第1外部電極22と第2外部電極23と比べ、第1外部電極22が、コンデンサ本体21の長さ方向一面(
図14(A)の左面)に付着した第1部分22aと、高さ方向一面(
図14(A)の下面)に付着した第2部分22bと、高さ方向他面(
図14(A)の上面)に付着した第2部分22bとが連続した態様となっており、これと同様に、第2外部電極23が、コンデンサ本体21の長さ方向他面(
図14(A)の右面)に付着した第1部分23aと、高さ方向一面(
図14(A)の下面)に付着した第2部分23bと、高さ方向他面(
図14(A)の上面)に付着した第2部分23bとが連続した態様となっている。つまり、第1外部電極22と第2外部電極23のそれぞれは、2つの第2部分22b及び23bを有している。
【0057】
この場合の第1外部電極22と第2外部電極23の層構造は
図14(B)又は
図14(C)に示したとおりである。即ち、
図14(B)では、第1下地膜f1がコンデンサ本体21の高さ方向一面及び他面(
図14(A)の下面及び上面)よりも突出するように形成されておらず、一方の第2下地膜f2がコンデンサ本体21の高さ方向一面と第1下地膜f1の高さ方向一面(
図14(B)の下面)に密着するように形成され、他方の第2下地膜f2がコンデンサ本体21の高さ方向他面と第1下地膜f1の高さ方向他面(
図14(B)の上面)に密着するように形成され、表面膜f3が第1下地膜f1と2つの第2下地膜f2の外面に密着するように形成されている。なお、各外部電極22及び23の第1部分22a及び23aの長さは、一方の長さよりも他方の長さが小さくなっていてもよい。また、先に述べたように、各外部電極22及び23の表面膜f3は3層構造又は2層構造としてもよい。
【0058】
また、
図14(C)では、第1下地膜f1がコンデンサ本体21の高さ方向一面及び他面(
図14(A)の下面及び上面)よりも突出するように形成され、一方の第2下地膜f2がコンデンサ本体21の高さ方向一面と第1下地膜f1に密着するように形成され、他方の第2下地膜f2がコンデンサ本体21の高さ方向他面と第1下地膜f1に密着するように形成され、表面膜f3が第1下地膜f1と2つの第2下地膜f2の外面に密着するように形成されている。なお、各外部電極22及び23の第1部分22a及び23aの長さは、一方の長さよりも他方の長さが小さくなっていてもよい。また、先に述べたように、各外部電極22及び23の表面膜f3は3層構造又は2層構造としてもよい。
【0059】
〈他の変形例〉
図4及び
図5には、長さL20が600μm、幅W20が1000μm、高さH20が125μmの試作品の1つに基づく積層セラミックコンデンサ20を描いているが、例えば積層セラミックコンデンサ20の長さL20を300μm、幅W20を600μm、高さH20を125μmとしてもよいし、積層セラミックコンデンサ20の長さL20を200μm、幅W20を400μm、高さH20を125μmとしてもよい。即ち、本発明に係る積層セラミックコンデンサは、各外部電極の第2部分の外形に特徴を有するものであるため、積層セラミックコンデンサの長さと幅と高さには特段の制限はない。