(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
キャップ(7)は、カートリッジホルダ(2)に対してキャップ(7)が遠位方向(D)もしくは近位方向(P)に動いたとき、またはそれが相対的に回転運動したときセプタム(4)を穿孔するように、セプタムに対して針(6)を動かすように適合される、請求項1に記載の注射デバイス(1)。
カートリッジホルダ(2)は、該カートリッジホルダ(2)内に配置される針(6)までの間を往復するカートリッジ(3)の、カートリッジホルダ(2)内における軸方向運動を可能にするように適合される、請求項1または2に記載の注射デバイス(1)。
対応する第2のねじ山(2.8、7.5)は、カートリッジホルダ(2)とキャップ(7)との間に配置され、第2のねじ山(2.8、7.5)は、第1のねじ山(2.7、6.5)の向きと反対の向きを有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の注射デバイス(1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、改善された注射デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1による注射デバイスによって達成される。
【0008】
本発明の例示的な実施形態は、従属請求項において与えられる。
【0009】
例示的な一実施形態では、本発明による注射デバイスは、薬物カートリッジを受けるように
適合されたカートリッジホルダと、カートリッジと針との間に流体連通を確立するようにカートリッジのセプタムを穿孔するように
適合された近位先端を有する中空注射針と、針を覆うようにカートリッジホルダの上に配置可能なキャップとを含む。初期状態において、カートリッジは、セプタムが針の近位先端から軸方向に離隔されて、カートリッジホルダ内に配置される。キャップは、カートリッジホルダに対してキャップが動いたときセプタムを穿孔するように、セプタムに対して針を動かすように
適合される。
【0010】
例示的な一実施形態では、キャップは、カートリッジホルダに対してキャップが遠位方向Dもしくは近位方向Pに動いたとき、またはそれが相対的に回転運動したときセプタムを穿孔するように、セプタムに対して針を動かすように
適合される。カートリッジホルダは、カートリッジホルダ内に配置される針までの間を往復するカートリッジの、カートリッジホルダ内における軸方向運動を可能にするように
適合される。
【0011】
例示的な一実施形態では、1つまたはそれ以上の側方アパーチャは、カートリッジホルダ内に配置される。キャップは、カートリッジホルダ内において薬物カートリッジを軸方向位置に摩擦的にクランプし(clamp)固定するように、側方アパーチャを通って突出するように
適合される1つまたはそれ以上の内側長手方向リブを含む。遠位方向のキャップの動きは、カートリッジがカートリッジホルダ内の止め具に衝突するまでカートリッジを伴う。遠位方向のキャップの継続した動きは、内側長手方向リブとカートリッジとの
間の摩擦に打ち勝ち、それによってカートリッジホルダからキャップが完全に取り除かれるようになる。
【0012】
例示的な一実施形態では、注射針は、カートリッジが中で保持され軸方向に固定されるカートリッジホルダに対して動かされるように
適合されたニードルハブ内に配置される。カートリッジホルダの遠位端には、ニードルハブに嵌め込み式にされるように
適合されたアダプタが設けられる。ニードルハブおよびアダプタは、ニードルハブをアダプタに軸方向に連結するための、対応するスナップ機能を含む。スナップ機能は、係合のときに可聴および/または触覚フィードバックを生み出すように
適合される。キャップは、相対的な軸方向運動および/または相対的な回転に対してニードルハブを保持し、ポジティブ(positively)および/または非ポジティブ(non−positively)に固定する、ニードルシート(needle seat)を含む。ばねは、カートリッジホルダに対して遠位方向にキャップを付勢するように配置される。ニードルハブおよびアダプタは、ニードルハブをアダプタの上に螺着するための、対応する第1のねじ山を含む。キャップ内でのニードルハブの遠位方向の動きを制限する遠位止め具は、キャップ内に設けられる。
【0013】
例示的な一実施形態では、対応する第2のねじ山は、カートリッジホルダとキャップとの間に配置される。第2のねじ山は、第1のねじ山の向き(handedness)と反対の向きを有する。
【0014】
恒久的に取り付けられた針を有する充填済みシリンジとは対照的に、本発明による注射デバイスは、使用前、カートリッジとは別に針を収納する。これは、薬物と針の相互作用を回避しなければならない場合に有利である。注射デバイスの操作は使用者にとって非常に簡単であり、キャップを有する他の注射デバイスと比べて追加の工程を必要としない。
【0015】
本発明のさらなる適用範囲は、以下に示す詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、当業者にはこの詳細な説明から、本発明の趣旨および範囲の中で様々な変更および修正が明らかになるため、本発明の例示的な実施形態を示しながら詳細な説明および具体例は、例示のために与えられているにすぎないことを理解されたい。
【0016】
本明細書において以下に示す詳細な説明および添付図面は、例示のためにのみ示され、したがって、本発明を限定するものではないが、それらから本発明がさらに十分に理解されるようになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0018】
すべての図において、対応する部分には同じ参照符号が印付けられている。
【0019】
図1は、使用前の注射デバイス1の第1の例示的な実施形態の概略縦断面図である。注射デバイス1は、薬物カートリッジ3を受けるように
適合されたカートリッジホルダ2を含む。薬物カートリッジ3は、薬物を受けるためのキャビティ3.2を画成する本体3.1を含む。本体3.1の遠位端には、本体3.1に対して直径が縮小された出口部分3.3が配置される。出口部分3.3は、セプタム4によって封止される。例示的な一実施形態において、セプタム4は、クランプ5によって出口部分3.3に固定される。キャビティ3.2を近位に封止するストッパ8は、カートリッジ3の本体3.1内に配置される。ストッパ8は、カートリッジ3から薬物を変位させるように、本体3.1内に軸方向に動くことができる。
【0020】
遠位先端6.1と近位先端6.2とを有する中空注射針6は、カートリッジホルダ2の遠位端壁2.1内に配置される。遠位先端6.1は、注射部位に挿入されるように
適合される。近位先端6.2は、カートリッジ3のキャビティ3.2と針6との間に流体連通を確立するように、セプタム4を穿孔するように
適合される。カートリッジホルダ2には、1つまたはそれ以上の側方アパーチャ2.2が配置される。カートリッジホルダ2は、針6までの間を往復するカートリッジ3の、カートリッジホルダ2内における軸方向運動を可能にするように
適合される。
【0021】
さらに、注射デバイス1は、針6を覆うようにカートリッジホルダ2の上に配置可能なキャップ7を含む。キャップ7は、例えばカートリッジホルダ2の側方アパーチャ2.2の数に対応する、1つまたはそれ以上の内側長手方向リブ7.1を含む。内側長手方向リブ7.1は、薬物カートリッジ3をカートリッジホルダ2内において軸方向位置に摩擦的にクランプし固定するように、側方アパーチャ2.2を通って突出するように
適合される。
【0022】
図1に示されるような初期状態では、カートリッジ3は、セプタム4が針6の近位先端6.2から軸方向に離隔されて、カートリッジホルダ2内に配置される。キャップ7は、長手方向リブ7.1がカートリッジホルダ2の側方アパーチャ2.2から突出しカートリッジホルダ2内において薬物カートリッジ3をその軸方向位置にクランプし固定する状態で、カートリッジホルダ2の上に配置される。
【0023】
図2は、使用に向けて準備されている注射デバイス1の概略縦断面図である。キャップ7をカートリッジホルダ2から取り除くために、キャップ7を把持し、カートリッジホルダ2に対して遠位方向Dに引っ張る。カートリッジ3は、カートリッジホルダ2の側方アパーチャ2.2から突出する内側長手方向リブ7.1によってキャップ7にクランプされているので、カートリッジ3は、カートリッジホルダ2および針6に対して遠位方向Dにキャップ7と共に動かされる。この動きの間、針6の近位先端6.2は、セプタム4を穿孔し、それによってキャビティ3.2と針6との間に流体連通が確立される。キャップ7がカートリッジ3を伴ってさらに引っ張られると、カートリッジ3は、カートリッジホルダ2内の、例えば遠位端壁2.1または別のストップ機能2.3である止め具に衝突する。引き続き遠位方向Dにキャップ7を動かすと、内側長手方向リブ7.1とカートリッジ3との間の摩擦に打ち勝ち、それによってキャップ7がカートリッジホルダ2から完全に取り除かれる。これで注射デバイス1の使用準備が整う。
【0024】
図3は、使用前の注射デバイス1の第2の例示的な実施形態の概略縦断面図である。注射デバイス1は、薬物カートリッジ3を受けるように
適合されたカートリッジホルダ2を含む。薬物カートリッジ3は、薬物を受けるためのキャビティ3.2を画成する本体3.1を含む。本体3.1の遠位端には、本体3.1に対して直径が縮小された出口部分3.3が配置される。出口部分3.3は、セプタム4によって封止される。例示的な一実施形態において、セプタム4は、クランプ5によって出口部分3.3に固定される。キャビティ3.2を近位に封止するためにストッパ8は、カートリッジ3の本体3.1内に配置される。ストッパ8は、カートリッジ3から薬物を変位させるように、本体3.1内に軸方向に動くことができる。
【0025】
遠位先端6.1と近位先端6.2とを有する中空注射針6は、ニードルハブ6.3内に配置される。遠位先端6.1は、注射部位に挿入されるように
適合される。近位先端6.2は、カートリッジ3のキャビティ3.2と針6との間に流体連通を確立するように、セプタム4を穿孔するように
適合される。
【0026】
カートリッジホルダ2は、その中にカートリッジ3を保持し軸方向に固定するように
適合される。カートリッジホルダ2の遠位端には、直径が縮小されたアダプタ2.3が設けられる。アダプタ2.3は、針6の近位先端6.2がカートリッジホルダ2内へと突出し、セプタム4を穿孔することができるようにするための遠位開口部2.4を含む。ニードルハブ6.3およびアダプタ2.3は、ニードルハブ6.3をアダプタ2.3に軸方向に連結するための、対応するスナップ機能6.4、2.5を含む。
【0027】
さらに、注射デバイス1は、針6を覆うようにカートリッジホルダ2の上に配置可能なキャップ7を含む。キャップ7は、相対的な軸方向運動に対してニードルハブ6.3を保持し摩擦的に固定するニードルシート7.2を含む。キャップ7内には、キャップ7内でのニードルハブ6.3の遠位方向Dの動きを制限する遠位止め具7.4を設けることができる。例示的な一実施形態では、キャップ7の近位面7.3とカートリッジホルダ2上のリブ2.6との間に、それらを離すように付勢することができるばね9が配置される。
【0028】
図3に示されるような初期状態では、ニードルハブ6.3は、キャップ7内のニードルシート7.2内に保持される。キャップ7は、カートリッジ3が中に保持されるカートリッジホルダ2の上に配置される。カートリッジホルダ2、したがって、セプタム4が付いたカートリッジ3は、針6の近位先端6.2から軸方向に離隔される。
【0029】
図4は、使用に向けて準備されている注射デバイス1の概略縦断面図である。キャップ7を把持し、カートリッジホルダ2に対して近位方向Pに押すと、針6がカートリッジ3の方に動かされ、それによって針6の近位先端6.2がセプタム4を穿孔し、それによってキャビティ3.2と針6との間に流体連通が確立される。この動きの間、ニードルハブ6.3は、スナップ機能2.5、6.4が互いに係合して可聴および/または触覚フィードバックを生み出すことができるまで、アダプタ2.3の上に嵌め込み式にされる。したがって、針6は、カートリッジホルダ2に軸方向に連結される。さらに、カートリッジホルダ2に対するキャップ7の近位方向Pの動きの間、ばね9は圧縮される。スナップ機能2.5、6.4からの可聴および/または触覚フィードバックの後、キャップ7遠位方向Dに動かされる。この動きは、圧縮されたばね9によって支援される。針6は、スナップ機能2.5、6.4によってカートリッジホルダ2に固定されるので、針はカートリッジホルダ2に係合したままの状態にあり、その一方で、遠位方向Dのキャップ7の動きが、ニードルシート7.2とニードルハブ6.3との間の摩擦に打ち勝つことによって、キャップ7のカートリッジホルダ2からの完全な取り除きが可能になる。これで、
図5に示されるように、注射デバイス1の使用準備が整う。
【0030】
例示的な一実施形態では、相対的な回転を防ぐために、キャップ7とカートリッジホルダ2との間に、スロットとピンの係合または別のスプライン機能を配置することができる。
【0031】
図6は、使用前の注射デバイス1の第3の例示的な実施形態の概略縦断面図である。注射デバイス1は、薬物カートリッジ3を受けるように
適合されたカートリッジホルダ2を含む。薬物カートリッジ3は、薬物を受けるためのキャビティ3.2を画成する本体3.1を含む。本体3.1の遠位端には、本体3.1に対して直径が縮小された出口部分3.3が配置される。出口部分3.3は、セプタム4によって封止される。例示的な一実施形態において、セプタム4は、クランプ5によって出口部分3.3に固定される。キャビティ3.2を近位に封止するためにストッパ8は、カートリッジ3の本体3.1内に配置される。ストッパ8は、カートリッジ3から薬物を変位させるように、本体3.1内に軸方向に動くことができる。
【0032】
遠位先端6.1と近位先端6.2とを有する中空注射針6は、ニードルハブ6.3内に配置される。遠位先端6.1は、注射部位に挿入されるように
適合される。近位先端6.2は、カートリッジ3のキャビティ3.2と針6との間に流体連通を確立するように、セプタム4を穿孔するように
適合される。
【0033】
カートリッジホルダ2は、その中にカートリッジ3を保持し軸方向に固定するように適用される。カートリッジホルダ2の遠位端には、直径が縮小されたアダプタ2.3が設けられる。アダプタ2.3は、針6の近位先端6.2がカートリッジホルダ2内へと突出し、セプタム4を穿孔することができるようにするための遠位開口部2.4を含む。ニードルハブ6.3およびアダプタ2.3は、ニードルハブ6.3をアダプタ2.3の上に螺着するための、対応する第1のねじ山6.5、2.7を含む。
【0034】
さらに、注射デバイス1は、針6を覆うようカートリッジホルダ2の上に配置可能なキャップ7を含む。キャップ7は、相対的な回転に対してニードルハブ6.3を保持しポジティブまたは非ポジティブに固定するニードルシート7.2を含む。キャップ7内には、キャップ7内でのニードルハブ6.3の遠位方向Dの動きを制限する遠位止め具7.4が設けられる。対応する第2のねじ山2.8、7.5は、カートリッジホルダ2とキャップ7との間に配置される。第2のねじ山2.8、7.5は、第1のねじ山2.7、6.5の向きと反対の向きを有する。例えば、第1のねじ山2.7、6.5が右回りであり、その一方で第2のねじ山2.8、7.5が左回りであってよく、その逆もまた同様である。
【0035】
図6に示されるような初期状態では、ニードルハブ6.3は、キャップ7内のニードルシート7.2内に保持される。キャップ7は、カートリッジ3が中に保持されるカートリッジホルダ2の上に配置される。第2のねじ山2.8、7.5は、互いに少なくともほぼ完全に係合される。第1のねじ山2.7、6.5は、互いに係合されないまたはほんのわずかだけ係合され、それによって、針6の近位方向Pの軸方向運動が制限される。したがって、カートリッジホルダ2、したがってセプタム4が付いたカートリッジ3は、針6の近位先端6.2から軸方向に離隔される。
【0036】
図7は、使用に向けて準備されている注射デバイス1の概略縦断面図である。キャップ7を把持し、カートリッジホルダ2に対して一回転方向に回転させると、ねじが緩み、キャップ7がカートリッジホルダ2から軸方向に取れる。針6はキャップ7内に回転的に固定されているので、この回転によって、ニードルハブ6.3がカートリッジホルダ2のアダプタ2.3の上に螺着され、それによって、針6がカートリッジ3の方に向かって動かされ、その結果針6の近位先端6.2がセプタム4を穿孔し、それによってキャビティ3.2と針6との間に流体連通が確立される。したがって、針6は、カートリッジホルダ2に軸方向に連結され、キャップ7が取り外される。これで、注射デバイス1の使用準備が整う。
【0037】
恒久的に取り付けられた針を有する充填済みシリンジとは対照的に、
図1から
図7に示される注射デバイスは、使用前、カートリッジ3とは別に針6を収納する。これは、薬物と針6の相互作用を回避しなければならない場合に有利である。注射デバイス1の操作は使用者にとって非常に簡単であり、キャップを有する他の注射デバイスと比べて追加の工程を必要としない。
【0038】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0039】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0040】
インスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0041】
エキセンジン−4は、例えば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0042】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0043】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0044】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0045】
多糖類としては、例えば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、例えば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0046】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0047】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(例えば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0048】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0049】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C
H)と可変領域(V
H)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0050】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0051】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0052】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0053】
薬学的に許容される塩は、例えば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、例えば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、例えば、アルカリまたはアルカリ土類、例えば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0054】
薬学的に許容される溶媒和物は、例えば、水和物である。
【0055】
本発明の完全な範囲および趣旨から逸脱することなく、本明細書に記載の装置、方法、および/またはシステムの様々な構成要素、ならびに実施形態の修正(追加および/または削除)を加えることができ、本発明は、そのような修正およびそのあらゆる均等物を包含することが、当業者には理解されよう。