特許第6578002号(P6578002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6578002セラミックハニカム体を製造する装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6578002
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】セラミックハニカム体を製造する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 11/00 20060101AFI20190909BHJP
   C04B 37/00 20060101ALI20190909BHJP
   B01D 39/20 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   B28B11/00
   C04B37/00 Z
   B01D39/20 D
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-527733(P2017-527733)
(86)(22)【出願日】2015年11月20日
(65)【公表番号】特表2018-501980(P2018-501980A)
(43)【公表日】2018年1月25日
(86)【国際出願番号】US2015061726
(87)【国際公開番号】WO2016085779
(87)【国際公開日】20160602
【審査請求日】2017年11月21日
(31)【優先権主張番号】62/084,321
(32)【優先日】2014年11月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】バブ,キース ノーマン
(72)【発明者】
【氏名】ウォルシュ,コナー ジェイムズ
【審査官】 末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−536052(JP,A)
【文献】 特開2002−219317(JP,A)
【文献】 特開平11−000909(JP,A)
【文献】 特開2007−268529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 11/00−11/24
B01D 39/20
C04B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端面から第2の端面まで延在する軸方向チャネルを備えるセラミックセグメント化ハニカム体を製造する方法であって、
複数のセラミックハニカムセグメントを、接着剤塗布デバイスを通して通過させるステップと、
前記ステップにおいて前記セラミックハニカムセグメントを通過させると同時に前記セグメントのうちの少なくとも1つの一部分に接着剤を前記接着剤塗布デバイスにより塗布しながら、互いに向けて引き合わせるステップ
を含む、方法。
【請求項2】
第1の端面から第2の端面まで延在する軸方向チャネルを備える多孔性セラミックセグメント化ハニカム体を製造する方法であって、
前記方法は:
少なくとも2つの多孔性セラミックハニカムセグメントを、接着剤塗布デバイスを通して通過させるステップ;
前記少なくとも2つのハニカムセグメントの少なくとも1つの周縁軸方向表面に接着剤を塗布するステップであって、前記少なくとも1つの周縁軸方向表面は、前記少なくとも2つのハニカムセグメントの間に配置された表面を含む、ステップ;及び
前記少なくとも2つのハニカムセグメントを一体に押圧するステップ
を含み、
前記押圧するステップは、前記少なくとも2つのハニカムセグメントの前記少なくとも1つの周縁軸方向表面前記接着剤塗布デバイスにより前記接着剤を塗布しながら、同時に前記少なくとも2つのハニカムセグメントを一体に押圧するステップを含む、方法。
【請求項3】
第1の端面から第2の端面まで延在する軸方向チャネルを備える多孔性セラミックセグメント化ハニカム体を製造する方法であって、
前記方法は:
第1の複数の多孔性セラミックハニカムセグメントを、接着剤塗布デバイスの各アパーチャを通して軸方向に移動させるステップ;
前記第1の複数の多孔性セラミックハニカムセグメントの少なくとも1つの周縁軸方向表面上に、前記接着剤塗布デバイスの開口を通して、接着剤を塗布するステップであって、前記少なくとも1つの周縁軸方向表面は、前記第1の複数の多孔性セラミックハニカムセグメントのうちの2つの間に配置された表面を含む、ステップ;
前記第1の複数の多孔性セラミックハニカムセグメントを、先細チャンバの第1の端部の開口内へ、かつ前記先細チャンバの第2の端部の開口の外へ、移動させるステップであって、前記第2の端部は、前記第1の端部より狭い開口を有し、これにより、前記複数の多孔性セラミックハニカムセグメントを一体に押圧して、第1の多孔性セラミックセグメント化ハニカム体を形成する、ステップ
を含み、
前記少なくとも1つの周縁軸方向表面上の前記接着剤は、前記押圧するステップによって分散される、方法。
【請求項4】
複数のハニカムセグメントを周縁軸方向表面同士を結合して、第1の端面から第2の端面まで延在する軸方向チャネルを備える多孔性セラミックセグメント化ハニカム体を製造するための装置であって、
前記装置は:
接着剤塗布デバイスであって:
接着剤を前記接着剤塗布デバイスの内部に供給するよう構成された接着剤入口;
それぞれ1つの多孔性セラミックハニカムセグメントを受承するよう構成された複数のアパーチャ;及び
前記内部から、前記装置内の少なくとも1つの多孔性セラミックハニカムセグメントの少なくとも1つの周縁軸方向表面に接着剤を分注するよう構成された開口
を備える、接着剤塗布デバイス;並びに
前記少なくとも1つの周縁軸方向表面上に配置された接着剤を備えた前記多孔性セラミックハニカムセグメントを第1の端部の開口内に受承し、前記多孔性セラミックハニカムセグメントを、前記第1の端部より小さな開口を有する第2の端部の開口から排出することによって、前記複数の多孔性セラミックハニカムセグメントを一体に押圧することにより、前記少なくとも1つの周縁軸方向表面上の接着剤を前記押圧によって分散させて前記多孔性セラミックハニカムセグメントを結合させ、前記多孔性セラミックセグメント化ハニカム体を形成する、先細チャンバ
を備える、装置。
【請求項5】
軸方向チャネル及び周縁軸方向表面を備える複数の請求項1から4記載の方法または装置に使用されるハニカムセグメントを形成するための装置であって、
前記装置は:
周縁供給孔及び中央供給孔を備える流入面と、ピンを形成する、相互接続された排出スロットを備える流出面とを有する、ダイ;並びに
前記ダイから下流に、かつ前記流出面に隣接して位置決めされた、セグメント形成用マスク
を備え、
前記セグメント形成用マスクは、軸方向チャネルを備える前記ハニカムセグメントを通過するよう構成された開放領域と、各前記ハニカムセグメントを分離して各前記ハニカムセグメント上に外皮を形成するよう構成された、前記流出面にキャビティを形成するブロック領域とを備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、2014年11月25日出願の米国仮特許出願第62/084321号に対する優先権の利益を主張するものであり、上記仮特許出願の内容は信頼できるものであり、参照によりその全体が本出願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示の例示的実施形態は、セラミックセグメント化ハニカム体を製造する方法に関し、より詳細には、ハニカムセグメントを軸方向に結合してセラミックセグメント化ハニカム体を製造することに関する。
【背景技術】
【0003】
内燃機関からの排気ガスの後処理は、高表面積基材上に支持された触媒と、ディーゼル機関及びいくつかのガソリン直接噴射機関の場合は炭素すす粒子の除去のための触媒フィルタとを用いる場合がある。これらの用途におけるフィルタ及び触媒支持体は、耐火性であり、耐熱衝撃性であり、ある範囲のpO条件下で安定であり、触媒系と非反応性であり、また排気ガス流に対して与える抵抗が小さいものであってよい。多孔性セラミックフロースルー(flow‐through)ハニカム基材、及び一般にハニカム体と呼ばれる壁面流ハニカムフィルタを、これらの用途において使用してよい。
【0004】
上記「背景技術」節に開示された上記情報は、本開示の背景の理解を高めるためだけのものであり、従って上記情報は、従来技術が当業者に示唆し得る従来技術のいずれの部分も形成しない情報を内包する場合がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示の例示的実施形態は、セラミックセグメント化ハニカム体を製造する方法を提供する。
【0006】
本開示の例示的実施形態はまた、ハニカムセグメントを軸方向に一体に結合してセラミックセグメント化ハニカム体を製造するための装置も提供する。
【0007】
本開示の更なる特徴は、以下の「発明を実施するための形態」に記載され、また部分的には「発明を実施するための形態」から明らかとなり、又は本開示の実施によって学習できる。
【0008】
ある例示的実施形態は、第1の端面から第2の端面まで延在する軸方向チャネルを備える、セラミックセグメント化ハニカム体を製造する方法を開示する。本方法は、複数のセラミックハニカムセグメントを、上記セグメントのうちの少なくとも1つの一部分に接着剤を塗布しながら、同時に互いに向けて引き合わせるステップを含む。
【0009】
ある例示的実施形態はまた、第1の端面から第2の端面まで延在する軸方向チャネルを備える多孔性セラミックセグメント化ハニカム体を製造する方法も開示する。本方法は:少なくとも2つの多孔性セラミックハニカムセグメントを、アプリケータに軸方向に通すステップ;上記少なくとも2つのハニカムセグメントの少なくとも1つの周縁軸方向表面に接着剤を塗布するステップであって、上記少なくとも1つの周縁軸方向表面は、上記少なくとも2つのハニカムセグメントの間に配置された表面を含む、ステップ;及び上記少なくとも2つのハニカムセグメントを一体に押圧するステップを含む。上記押圧するステップは、上記少なくとも2つのハニカムセグメントの第2の部分に上記接着剤を塗布しながら、同時に上記少なくとも2つのハニカムセグメントの第1の部分を一体に押圧するステップを含む。
【0010】
ある例示的実施形態はまた、第1の端面から第2の端面まで延在する軸方向チャネルを備える多孔性セラミックセグメント化ハニカム体を製造する方法も開示する。本方法は、第1の複数の多孔性セラミックハニカムセグメントを、接着剤塗布デバイスの各アパーチャを通して軸方向に移動させるステップを含む。上記方法は、上記第1の複数の多孔性セラミックハニカムセグメントの少なくとも1つの周縁軸方向表面上に、上記接着剤塗布デバイスの開口を通して、接着剤を塗布するステップであって、上記少なくとも1つの周縁軸方向表面は、上記第1の複数の多孔性セラミックハニカムセグメントのうちの2つの間に配置された表面を含む、ステップを含む。上記方法は、上記第1の複数の多孔性セラミックハニカムセグメントを、先細チャンバの第1の端部の開口内へ、かつ上記先細チャンバの第2の端部の開口の外へ、移動させるステップであって、上記第2の端部は、上記第1の端部より狭い開口を有し、これにより、上記複数の多孔性セラミックハニカムセグメントを一体に押圧して、第1の多孔性セラミックセグメント化ハニカム体を形成する、ステップを含む。上記方法では、上記少なくとも1つの周縁軸方向表面上の上記接着剤は、上記押圧するステップによって分散される。
【0011】
ある例示的実施形態はまた、ハニカムセグメントを軸方向に結合して、第1の端面から第2の端面まで延在する軸方向チャネルを備えるセラミックセグメント化ハニカム体を製造するための装置を開示する。上記装置は、接着剤塗布デバイス及び先細チャンバを含む。上記接着剤塗布デバイスは:接着剤を上記接着剤塗布デバイスの内部に供給するよう構成された接着剤入口;それぞれ1つのハニカムセグメントを受承するよう構成された複数のアパーチャ;及び上記内部から、上記装置内の少なくとも1つのハニカムセグメントの少なくとも1つの周縁軸方向表面に接着剤を分注するよう構成された開口を含む。上記先細チャンバは、上記少なくとも1つの周縁軸方向表面上に配置された接着剤を備えた上記ハニカムセグメントを第1の端部の開口内に受承し、上記ハニカムセグメントを、上記第1の端部より小さな開口を有する第2の端部の開口から排出するよう構成され、これにより、上記複数の多孔性セラミックハニカムセグメントを一体に押圧することによって、上記少なくとも1つの周縁軸方向表面上の接着剤を上記押圧によって分散させて上記ハニカムセグメントを結合させ、上記多孔性セラミックセグメント化ハニカム体を形成する。
【0012】
ある例示的実施形態はまた、軸方向チャネル及び周縁軸方向表面を備える複数のハニカムセグメント体を形成するための装置を開示する。上記装置は:周縁供給孔及び中央供給孔を備える流入面と、ピンを形成する、相互接続された排出スロットを備える流出面とを有する、ダイ;並びに上記ダイから下流に、かつ上記流出面に隣接して位置決めされた、セグメント形成用マスクを備える。上記セグメント形成用マスクは、軸方向チャネルを備える上記ハニカムセグメント体を通過するよう構成された開放領域と、各上記ハニカムセグメント体を分離して各上記ハニカムセグメント体上に外皮を形成するよう構成された、上記流出面にキャビティを形成するブロック領域とを備える。
【0013】
以上の「発明の概要」及び以下の「発明を実施するための形態」はいずれも例示的及び説明的なものであり、本開示の更なる説明を提供することを意図したものであることを理解されたい。
【0014】
添付の図面は、本開示の更なる理解を提供するために含まれており、また本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成するものであるが、これらは、本開示の原理を説明するために役立つ説明と共に、本開示の例示的実施形態を図示している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】本開示の例示的実施形態による接着剤塗布デバイスの上面概略図
図1B】本開示の例示的実施形態による接着剤塗布デバイスの上面概略図
図2】チャネルを形成する軸方向に配設された交差する壁と、第1の端面から第2の端面まで延在する周縁表面とを含む、ハニカムセグメントの図
図3】本開示の例示的実施形態による、デバイスアパーチャ内に、接着剤が外側周縁表面上に均一に配置されたハニカムセグメントを有する、図1Aの接着剤塗布デバイスの上面概略図
図4】先細チャンバを示す、図3の接着剤塗布デバイスの、線4‐4に沿った概略側方断面図であり、外側周縁表面上に均一に配置された接着剤を有するハニカムセグメントは、押圧され、本開示の例示的実施形態による結合済みセグメント化ハニカム体へと軸方向に結合される
図5】本開示の例示的実施形態による、連続軸方向セグメント化プロセスにおいて後続のハニカムセグメントから分離された結合済みセグメント化ハニカム体の概略断面図
図6】本開示の例示的実施形態によるセグメント化接着装置の、軸方向接着剤塗布デバイス、接着剤マニホルド及び先細チャンバの概略等角図
図7】本開示の例示的実施形態による、外側周縁表面上に接着剤層を有する、図5に示すような結合済みセグメント化ハニカム体
図8】本開示の例示的実施形態による、外側周縁表面上ではなく隣接するハニカムセグメント間に接着剤層を有する、結合済みセグメント化ハニカム体
図9】外側周縁ハニカムセグメントを、湾曲した外壁を有するように輪郭加工又は押出成形してよく、また先細チャンバが最終的な結合済みセグメント化ハニカム体の形状を有してよい、本開示の別の例示的実施形態による、外側周縁表面上に接着剤が均一に配置された、デバイスアパーチャ内のハニカムセグメントを有する、接着剤塗布デバイスの上面概略図
図10図9の接着剤塗布デバイスによって軸方向に接着剤を塗布することにより、セグメント化ハニカム体を、図10に示すように製造できる。図10に示すセグメント化ハニカム体はまた、本開示の他の例示的実施形態によると、図1A又は図1Bの接着剤塗布デバイスによって軸方向に接着剤を塗布した後に、結合済みセグメント化ハニカム体を輪郭加工又は剥皮することによって製造してもよい。
図11】押出成形機前端のダイの概略図であり、これは、上記ダイの後ろに配置されたマスクを有し、これにより、上記マスクを通して押出成形物を押出成形することによって、本開示の例示的実施形態によるハニカムセグメントが形成される
【発明を実施するための形態】
【0016】
基材及びフィルタは、ハニカムモノリス、又はセラミックセメントを用いる等によって一体に固定された複数のハニカムセグメントによって形成されたハニカム体等の、マルチセル構造を有することができる。本明細書において使用される場合、単一の押出成形されたセクションによって製造されたもの等の、一体形成されたハニカム体を、「ハニカムモノリス(honeycomb monolith)」と呼ぶ。一方、一体に結合された複数のハニカムセグメントによって形成されたハニカム体を、「セグメント化ハニカム体(segmented honeycomb body)」と呼ぶ。大型前面面積(large frontal area:LFA)ハニカムモノリスの押出成形及び焼成は、例えば別個に製造されたより小型の複数のセグメントで構成されるLFAセグメント化ハニカム体を用いれば直面することがない場合もある複雑さを有する。一体に集成又はセメント接合されたより小型の複数の小片(セグメント)を用いた大型前面面積(LFA)基材又はフィルタは、上記LFAセグメント化ハニカム体を形成するための、上記より小型の複数の小片の後処理を含む。
【0017】
一般に、LFAハニカムモノリスを乾燥、輪郭加工、焼成及び剥皮することによって、ハニカム体を製造できる。一般に、ハニカムセグメントを、輪郭加工及び剥皮前に乾燥、焼成及び一体結合することによって、LFA多孔性セラミックセグメント化ハニカム体を製造できる。本明細書において使用される場合、輪郭加工及び剥皮前には、セグメント化ハニカム体は「結合済みセグメント化ハニカム体(bonded segmented honeycomb body)」と呼ばれる。ハニカムセグメントは、冷間硬化接着剤を用いて、又は接着剤を硬化させるために焼結等の後続の熱処理を必要とする接着剤を用いて、一体として結合できる。接着剤は、湿潤時、乾燥時、冷間硬化時、及び焼結時に、ある結合強度を有することができる。更に、未焼成の(本明細書では「素地(green)」と呼ぶ)ハニカムセグメントを一体として結合した後焼成(例えば焼結)できる。
【0018】
上記ハニカム体がモノリスであるかセグメント化されているかにかかわらず、上記ハニカム体の各チャネルを、入口面又は出口面において塞ぐことにより、フィルタを製造できる。いくつかのチャネルを塞がないままとする場合、部分フィルタを製造できる。上記ハニカム体がモノリスであるかセグメント化されているかにかかわらず、上記ハニカム体を触媒して基材を製造できる。更に、フィルタ及び部分フィルタを触媒して多機能性を生成できる。
【0019】
本開示の目的のために、「X、Y及びZのうちの少なくとも1つ(at least one of X, Y, and Z)」は、Xのみ、Yのみ、Zのみ、又は2つ以上の項目X、Y及びZのいずれの組み合わせ(例えばXYZ、XYY、YZ、ZZ)として解釈できることを理解されたい。
【0020】
本開示の例示的実施形態は、ハニカムセグメントを軸方向に接続してセグメント化ハニカム体を製造する自動プロセスを提供する。
【0021】
図1Aは、本開示の例示的実施形態による接着剤塗布デバイス100の上面概略図を示す。接着剤塗布デバイス100は、図1Aに示すようなグリッドパターンを有してよい。接着剤塗布デバイス100は、更に後で説明するように、ページに対して垂直な軸方向にハニカムセグメントを受承するためのデバイスアパーチャ110を有する。接着剤塗布デバイス100は、接着剤118を配管122へと供給するための少なくとも1つの入口114と、接着剤118をデバイスアパーチャ110内へと分注するための少なくとも1つの出口126とを有する。複数のハニカムセグメントが各デバイスアパーチャ110を通過するため、デバイスアパーチャ110へと分注された接着剤118は、ハニカムセグメント外側表面上に配置される。出口126は、デバイスアパーチャ110において、横方向配管134に沿って横方向配管134の交点130に存在できる。任意に、接着剤出口126は、外側周縁配管138には位置しない。出口126は、孔、スロット、スリット、ノズル等の開口とすることができ、又は出口126は、配管入口114とデバイスアパーチャ110との間の追加のマニホルド(図示せず)を有することができる。接着剤塗布デバイス100は、デバイスアパーチャ110を通してハニカムセグメントを案内するための、配管122の上方及び下方に延在するデバイス壁140を有することができる。接着剤118は、配管122全体を通して上記接着剤を流すための圧力下で、入口114において導入される。ハニカムセグメント外側表面上に接着剤118の均一な層を製造するために、出口126は、入口114に近いデバイスアパーチャ110よりも、入口114から遠いデバイスアパーチャ110において個数を多くすることができる。
【0022】
図1Bは、本開示の例示的実施形態による接着剤塗布デバイス101の上面概略図を示す。図1Bに示すように、デバイスアパーチャ110は、少なくとも1つの側部において開放されていてよい。更に、いくつかの実施形態では、デバイスアパーチャ110は、上記軸方向に対して垂直な1つの平面内にあってよく(共面)、他の例示的実施形態では、デバイスアパーチャ110は高さが異なっていてよい(非共面)。
【0023】
図2は、周縁表面208と、第1の端面220から第2の端面224まで延在するチャネル216を形成する、軸方向「A」に配設された交差壁212とを含む、ハニカムセグメント204を示す。チャネル216は、長方形(正方形)、六角形、他の多角形、円形、楕円形、他の湾曲形状等の様々な形状、及びこれらの組み合わせといった、水力直径が均一な又は変化する断面を有することができる。デバイスアパーチャ110は、軸方向「A」に対する断面において見た場合の、ハニカムセグメント204の外側周縁部形状となることができる。図2は、ハニカムセグメント204の長方形(正方形)外側周縁部形状と、デバイスアパーチャ110とを示す。しかしながら、ハニカムセグメント204の外側周縁部は、正方形、長方形、三角形、円形、楕円形、他の多角形等、及びこれらの組み合わせといった、対称又は非対称の様々な断面形状を有することができる。例えばハニカムセグメント204の外側周縁部断面形状は、共通の頂点で出会う2つの直交する側部を有することができ、これら側部の他方の端部は、湾曲した第3の側部によって接合できる。接着剤塗布デバイス100内のデバイスアパーチャ110の断面形状は、ハニカムセグメント204の外側周縁部断面形状と一致できるが、より大きなサイズであり、これにより接着剤118を外側周縁表面208に供給できる。
【0024】
図3は、デバイスアパーチャ110内に、接着剤118が外側表面208上において間隙226内に均一に配置されたハニカムセグメント204を有する、図1Aの接着剤塗布デバイス100の上面概略図を示す。間隙226は、デバイスアパーチャ110の内側表面からハニカムセグメント204の外側周縁表面208まで延在する空間である。間隙226は、接着剤出口126によって、接着剤118で充填される。接着剤出口126の前方では、間隙226は空であってよい。例えばセグメント204が接着剤塗布デバイス100を通って下方へと移動する場合、間隙226は、接着剤出口126の上方には接着剤118を有しなくてよく、一方、セグメント204が接着剤塗布デバイス100を通って上方へと移動する場合、間隙226は、接着剤出口126の下方には接着剤118を有しなくてよい。同様に、セグメント204が接着剤塗布デバイス100を通って水平に、例えば左から右へと移動する場合、間隙226は、接着剤出口126の左側には接着剤118を有しなくてよい。
【0025】
図4は、図3の接着剤塗布デバイス100の、先細チャンバ314の上方において図示された、線4‐4に沿った概略側方断面図であり、外側周縁表面208上に均一に配置された接着剤118を有するハニカムセグメント204は、押圧され、本開示の例示的実施形態による結合済みセグメント化ハニカム体340へと軸方向に結合される。接着剤塗布デバイス100は先細チャンバ314と一体として形成でき、又は接着剤塗布デバイス100及び先細チャンバ314は別個とすることができる。
【0026】
例示的実施形態では、図4を参照して説明されるこれらの実施形態では、図1Bの接着剤塗布デバイス101を、接着剤塗布デバイス100に置換してよい。
【0027】
上述のように、デバイス壁140は、ハニカムセグメント204をデバイスアパーチャ110内へと案内できる。デバイス壁140は、接着剤出口126の前及び後ろにあってよく、これによりデバイス壁140は同様に、周縁表面208上に接着剤118が配置されたハニカムセグメント204をデバイスアパーチャ110から外へと案内することもできる。図示されている実施形態は、接着剤塗布デバイス100を通って、矢印「AA」が示すように上から下への軸方向(下向き)に移動するハニカムセグメント204を示しているが、本開示は、ハニカムセグメント204を下から上への軸方向(上向き)に、又は更に水平軸方向(横向き)に移動させることも含む。
【0028】
デバイス壁140の内側表面又はデバイスアパーチャ110の内側表面は、出口126から間隙226内へと分注された接着剤118をハニカムセグメント204の外側表面208上に押圧する。デバイス壁140の内側表面又はデバイスアパーチャ110の内側表面は、外側表面208上に接着剤118を配置しながら、同時にハニカムセグメント204を一体に押圧できる。
【0029】
先細チャンバ314は、先細チャンバ314の幅広開口318において、周縁表面208上に接着剤118が配置されたハニカムセグメント204を、接着剤塗布デバイス100から受承し、また幅狭開口322からハニカムセグメント204を排出する。先細チャンバ314の内壁326は、外側表面208上に接着剤204を有するハニカムセグメント204を一体に押圧することにより、結合済みセグメント化ハニカム体340を形成する。先細チャンバ314の内壁326は、外側表面208上に接着剤118を配置しながら、同時にハニカムセグメント204を一体に押圧できる。推進力344は、ハニカムセグメント204を、接着剤塗布デバイス100を通して軸方向「AA」に押圧し、支持体348は、結合済みセグメント化ハニカム体340を、推進力344による方向「AA」への移動の間、支持する。
【0030】
真空チャック等の推進力344によってハニカムセグメント204が接着剤塗布デバイス100の一方の端部に入るに従って、結合済みセグメント化ハニカム体340が連続的なプロセスにおいて先細チャンバ314から支持体348上へと排出される。任意に、ハニカムセグメント204は接着剤塗布デバイス100の一方の端部に入り、結合済みセグメント化ハニカム体340は、非連続的なプロセスにおいて、又は目盛り付きのプロセスにおいて、先細チャンバ314から支持体348上へと排出される。
【0031】
全ての態様において必要であるわけではないが、ハニカムセグメント204のチャネル216が接着剤118を受承するのを防止するために、又は軸方向に位置合わせされたハニカムセグメント204の間の力を緩衝するために、マスク352を設けてよい。マスク352は、ポリマーパッド、自己接着性プラスチックフィルム等であってよい。
【0032】
内壁326は、ハニカムセグメント204を一体に押圧して結合済みセグメント化ハニカム体340を形成しながら、外側表面208上に接着剤118を有するハニカムセグメント204の軸方向運動を支援するための、ローラを含んでよい。最外部のハニカムセグメント204の周縁表面208と先細チャンバの内壁326との間に接着剤118を有するものとして図示されているが、本開示は、最外部のハニカムセグメント204の周縁表面208と先細チャンバの内壁326との間に接着剤118が存在しない例示的実施形態を含む。同様に、隣接するハニカムセグメント204の間の、両方のハニカムセグメント204の周縁表面208が、接着剤118を受承するものとして図示されているが、本開示は、隣接するハニカムセグメント204の間の、一方のみのハニカムセグメント204の周縁表面208が、接着剤118を受承する例示的実施形態も包含する。
【0033】
外側表面208間の接着剤118を用いて一体に押圧されたハニカムセグメント204が先細チャンバ314から出るにつれて、内壁326は、幅狭開口322において、結合済みセグメント化ハニカム体340の最終形状を提供できる。結合済みセグメント化ハニカム体340は、図5に示すように、次の結合済みセグメント化ハニカム体340から軸方向に分離できる。
【0034】
先細チャンバ314から排出された結合済みセグメント化ハニカム体340は、乾燥、焼成、輪郭加工、プラッギング、又は他の結合済みセグメント化ハニカム体340との更なる接合といった、後続加工に供することができる。即ち、更に詳細を繰り返すことなく本開示から理解できるように、接着剤塗布デバイス100に入る各ハニカムセグメント204を、より大型の接着剤塗布デバイス100内で結合済みセグメント化ハニカム体340として、より大型の結合済みセグメント化ハニカム体340へと形成できる。
【0035】
接着剤118は、ハニカムセグメント204と同一の組成を有するセラミックを含有するスラリーを含むことができる。例えば上記スラリーは、ハニカムセグメント204の構成と共通のセラミック粉体に、セラミック繊維等の無機繊維、有機又は無機バインダ、及び水等の分散剤を添加して作製できる。Siソル等のソル物質も含むことができる。接着剤118は、焼結によって硬化させることができ、又は冷間硬化セメントとすることができる。例えば上記接着剤は、ポンプ送達及び拡散が容易な、硬化時にハニカムセグメントの特性と同様の特性、例えば多孔性、強度及び熱膨張係数を呈する、低粘度のセメント組成物を含むことができる。
【0036】
図6は、本開示の例示的実施形態によるセグメント化接着装置600の、軸方向接着剤塗布デバイス100、接着マニホルド610及び先細チャンバ314の概略等角図である。上述の要素及び態様に加えて、セグメント化接着剤装置600は更に、接着剤塗布デバイス100に送達される接着剤118の圧力を調節するための、接着剤送達マニホルド610を含んでよい。
【0037】
図7は、本開示の例示的実施形態による、隣接するハニカムセグメント204間の接着剤層118、及び最外部のハニカムセグメント204の外側周縁表面上の接着剤層118を有する、図5に示すような結合済みセグメント化ハニカム体340を示す。図8は、本開示の例示的実施形態による、最外部のハニカムセグメント204の外側周縁表面上ではなく隣接するハニカムセグメント204間に接着剤層118を有する、結合済みセグメント化ハニカム体340’を示す。
【0038】
図9は、外側周縁ハニカムセグメントを、湾曲した外壁を有するように輪郭加工又は押出成形してよく、また先細チャンバが最終的な結合済みセグメント化ハニカム体の形状を有してよい、本開示の別の例示的実施形態による、外側周縁表面上に接着剤が均一に配置された、デバイスアパーチャ内のハニカムセグメントを有する、接着剤塗布デバイスの上面概略図を示す。接着剤塗布デバイス900は、ページに対して垂直な軸方向にハニカムセグメント204を受承するためのデバイスアパーチャ910を有する。接着剤塗布デバイス900は、接着剤918を接着剤供給口916から配管922へと供給するための少なくとも1つの入口914と、接着剤918をデバイスアパーチャ910内へと分注するための少なくとも1つの出口926とを有する。マニホルド928は、少なくとも1つの入口914から接着剤を受承し、また接着剤918を配管922へと分注して、接着剤塗布デバイス900に送達される接着剤918の圧力を調節する。複数のハニカムセグメント204が各デバイスアパーチャ910を通過するにつれて、デバイスアパーチャ910へと分注された接着剤918は、ハニカムセグメント外側表面208上に配置される。出口926は、デバイスアパーチャ910において、横方向配管934に沿って横方向配管934の交点930に存在できる。任意に、接着剤出口926は、外側周縁配管938には位置しない。接着剤塗布デバイス900の詳細は、図1A、1B、3、4及び6を参照して上述した接着剤塗布デバイス100及び101と同様である。更に、図9に示す接着剤塗布デバイス900は、湾曲した最外部内壁944を有する最外部のアパーチャ940を有する。デバイスアパーチャ940は、軸方向に対する断面において見た場合に、デバイスアパーチャ940の外側周縁部形状を有する、ハニカムセグメント204を受承できる。例えば、最外部のハニカムセグメント204の外側周縁部形状は、図9において、直角に出会う2つ又は3つの直線状の側部を有し、かつ他の側部が湾曲しているものとして示されている。接着剤塗布デバイス900におけるデバイスアパーチャ940の断面形状は、ハニカムセグメント204の外側周縁部断面形状と一致できるが、より大きなサイズであり、これにより接着剤918を外側周縁表面208に供給できる。
【0039】
図10は、図9に示すような接着剤塗布デバイスの先細チャンバから排出された結合済みセグメント化ハニカム体1000を示す。隣接するハニカムセグメント204間に接着剤層918を有する結合済みセグメント化ハニカム体1000は、乾燥、焼成、輪郭加工及びプラッギングといった、後続加工に供することができる。隣接するハニカムセグメント204間に接着剤層918を有する結合済みセグメント化ハニカム体1000が、図10に示すように、最外部のハニカムセグメント204の外側周縁表面上に接着剤層918を有する場合、結合済みセグメント化ハニカム体1000は、セグメント化ハニカム体1000となり得る。即ちセグメント化ハニカム体1000は、輪郭加工及び剥皮という更なる加工作業を必要としないものとなり得る。
【0040】
図11は、押出成形機前端のダイ1112の概略図であり、これは、ダイ1112の後ろに配置されたマスク1114を有し、これにより、マスク1114を通して押出成形物を押出成形することによって、本開示の例示的実施形態によるハニカムセグメントが形成される。上記押出成形物は、間にチャネルを有する、軸方向に延在する交差壁を形成するために、ダイを通して軸方向「A」に押し出される、可塑化バッチとすることができる。上記チャネルは、長方形(正方形)、六角形、他の多角形、円形、楕円形、他の湾曲形状等の様々な形状、及びこれらの組み合わせといった、水力直径が均一な又は変化する断面を有することができる。押出成形は、スクリュ押出成形機、2軸スクリュ押出成形機等の連続プロセスによるものとすることができ、又はラム押出成形機等の不連続プロセスによるものとすることができる。押出成形機内では、押出成形ダイを、押出成形機のバレルの排出ポートに対して、例えば上記バレルの端部において連結できる。上記バッチが上記押出成形ダイに到達する前に、安定したプラグタイプの流れ前端部を形成することを容易にするために、上記押出成形ダイの前に、概ね開放されたキャビティ、スクリーン/ホモジナイザといった他の構造体を配置できる。
【0041】
上記押出成形物は一般に、上記軸方向に延在する、共押出成形されて一体形成された外側周縁表面(外皮)を有する。上記押出成形物の外側周縁部は、円形、楕円形、多角形等、及びこれらの組み合わせといった、対称又は非対称の様々な断面形状を有することができる。上記可塑化バッチは、無機粉体、無機バインダ、有機バインダ、細孔形成剤、溶媒、非溶媒等を含むことができる。上記バッチの組成は、焼結後に炭化ケイ素、コーディエライト、チタン酸アルミニウム等の多孔性セラミックハニカムを形成するために、セラミック及び/又はセラミック前駆体を含有する。上記ダイを通して上記可塑化バッチを押出成形して上記押出成形物を形成した後、上記押出成形物を切断、乾燥及び焼成して、多孔性セラミックハニカム体又は多孔性セラミックハニカム体セグメントを形成できる。
【0042】
図11では、マスク1114は、押出成形物を通過させてハニカムセグメント204を形成するための開口1116と、ハニカムセグメント204を分離させるためのブロック用壁1118とを有する。ブロック用壁1118はまた、押出成形物を、ハニカムセグメント204の周縁表面208へと形成する役割も果たす。個々のハニカムセグメント押出成形物を支持及び輸送するために、空気軸受1120をマスク1114の後ろに配置できる。例えば空気軸受1120は、マスク1114の各開口1116に対応する支持体1122を有することができる。更に、上記個々のハニカムセグメント押出成形物を支持して、カッタ及びドライヤへと輸送するために、支持体トレー(図示せず)を支持体1122上に配置してよい。マスク1114を有するダイ1112によって形成された押出成形物を乾燥及び焼成して、多孔性セラミックハニカムセグメント204を形成してよい。これらの多孔性セラミックハニカムセグメント204を、図9の接着剤塗布デバイス910内で軸方向に結合することにより、図10のセグメント化ハニカム体1000を形成できる。
【0043】
本開示の例示的実施形態によるセグメント化基材及びフィルタは、迅速に、自動的に、一貫して、そして連続的に作製できる。軸方向セグメント化プロセスを、軸方向剥皮と組み合わせることによって、セグメント化ハニカム体製造プロセスを更に能率化でき、製造コストを削減して製造効率を改善できる。薄型の均一なセグメントの結合により、圧力降下がより小さくなり、また開放前面領域がより大きいことにより濾過効率がより高くなる等、セグメント化ハニカム体の性能効率を上昇させることができる。
【0044】
上記例示的実施形態の更なる利点としては小型部品の製造が容易となり、押出成形ダイの製造が安価になることによる、迅速なプロトタイプ作製が挙げられ、これは、開発設備におけるプロトタイプの製造が可能となることを伴う。また、更なるセグメントの追加によってハニカム体のサイズ又は形状を変更できるため、ダイ及びハードウェアを標準化できることにより、簡略化された製造プロセスを実現できる。更に、上記例示的実施形態の利点により、大型の部品を製造するにあたって、最新の押出成形及び焼成設備の必要が低減される。また、本開示によって簡略化されたプロセスに従って、プロセスが簡略化されることにより、壁厚さ、多孔率、平方インチ当たりのセル数、直径及び長さといった様々なジオメトリの製品の製造可能性の上昇を実現できる。例示的実施形態の実践により、あるセグメント化ハニカム体内の複数の異なるセグメントの特性が異なる、幅広いハニカム体属性が達成される。また、上記例示的実施形態の利点は、各セグメントを、結合済みセグメント化ハニカム体へと軸方向に結合する前にプラッギングできることにより、プラッギングプロセスの選択肢を拡張する。
【0045】
本開示の精神又は範囲から逸脱することなく、本開示において様々な修正及び変更を実施できることは、当業者には明らかであろう。従って、添付の請求項は、添付の請求項及びその等価物の範囲内である限りにおいて、本開示の修正例及び変形例を包含することを意図している。
【0046】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0047】
実施形態1
第1の端面から第2の端面まで延在する軸方向チャネルを備えるセラミックセグメント化ハニカム体を製造する方法であって、
複数のセラミックハニカムセグメントを、上記セグメントのうちの少なくとも1つの一部分に接着剤を塗布しながら、同時に互いに向けて引き合わせるステップ
を含む、方法。
【0048】
実施形態2
上記セグメントのうちの少なくとも2つはそれぞれ、軸方向チャネルを備える、実施形態1に記載の方法。
【0049】
実施形態3
上記塗布は、上記セグメントのうちの少なくとも2つに上記接着剤を同時に塗布するステップを含む、実施形態1又は2に記載の方法。
【0050】
実施形態4
上記引き合わせるステップは、上記セグメントを軸方向に前進させるステップを含む、実施形態1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【0051】
実施形態5
上記引き合わせるステップは、上記セグメントを軸方向に前進させて、上記セグメントのうちの少なくとも2つを同時に側方に近接させるステップを含む、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【0052】
実施形態6
上記セグメントのうちの少なくとも2つは、互いに対して軸方向に位置合わせされていない、実施形態1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【0053】
実施形態7
上記塗布は:
少なくとも2つの上記ハニカムセグメントの少なくとも1つの周縁軸方向表面に接着剤を塗布するステップであって、上記少なくとも1つの周縁軸方向表面は、上記少なくとも2つのハニカムセグメントの間に配置された表面を含む、ステップ;及び
上記少なくとも2つのハニカムセグメントを一体に押圧するステップ
を含み、
上記押圧するステップは、同時に上記少なくとも2つのハニカムセグメントの第1の部分を一体に押圧するステップと、上記少なくとも2つのハニカムセグメントの第2の部分に上記接着剤を塗布するステップとを含む、実施形態1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【0054】
実施形態8
第1の端面から第2の端面まで延在する軸方向チャネルを備える多孔性セラミックセグメント化ハニカム体を製造する方法であって、
上記方法は:
少なくとも2つの多孔性セラミックハニカムセグメントを、アプリケータに軸方向に通すステップ;
上記少なくとも2つのハニカムセグメントの少なくとも1つの周縁軸方向表面に接着剤を塗布するステップであって、上記少なくとも1つの周縁軸方向表面は、上記少なくとも2つのハニカムセグメントの間に配置された表面を含む、ステップ;及び
上記少なくとも2つのハニカムセグメントを一体に押圧するステップ
を含み、
上記押圧するステップは、上記少なくとも2つのハニカムセグメントの第2の部分に上記接着剤を塗布しながら、同時に上記少なくとも2つのハニカムセグメントの第1の部分を一体に押圧するステップを含む、方法。
【0055】
実施形態9
第1の端面から第2の端面まで延在する軸方向チャネルを備える多孔性セラミックセグメント化ハニカム体を製造する方法であって、
上記方法は:
第1の複数の多孔性セラミックハニカムセグメントを、接着剤塗布デバイスの各アパーチャを通して軸方向に移動させるステップ;
上記第1の複数の多孔性セラミックハニカムセグメントの少なくとも1つの周縁軸方向表面上に、上記接着剤塗布デバイスの開口を通して、接着剤を塗布するステップであって、上記少なくとも1つの周縁軸方向表面は、上記第1の複数の多孔性セラミックハニカムセグメントのうちの2つの間に配置された表面を含む、ステップ;
上記第1の複数の多孔性セラミックハニカムセグメントを、先細チャンバの第1の端部の開口内へ、かつ上記先細チャンバの第2の端部の開口の外へ、移動させるステップであって、上記第2の端部は、上記第1の端部より狭い開口を有し、これにより、上記複数の多孔性セラミックハニカムセグメントを一体に押圧して、第1の多孔性セラミックセグメント化ハニカム体を形成する、ステップ
を含み、
上記少なくとも1つの周縁軸方向表面上の上記接着剤は、上記押圧するステップによって分散される、方法。
【0056】
実施形態10
上記接着剤塗布デバイスの各アパーチャに、第2の複数の多孔性セラミックハニカムセグメントを導入するステップ;及び
第2の多孔性セラミックハニカムセグメント化ハニカム体を、上記第1の多孔性セラミックハニカムセグメントに対して軸方向に、上記先細チャンバの第2の端部の開口の外へと移動させるステップ
を更に含む、実施形態9に記載の方法。
【0057】
実施形態11
上記塗布するステップは、隣接する上記多孔性セラミックハニカムセグメントの隣接する周縁軸方向表面に対面する、各上記多孔性セラミックハニカムセグメントの上記周縁軸方向表面上に、上記接着剤を塗布するステップを含む、実施形態9又は10に記載の方法。
【0058】
実施形態12
上記塗布するステップは、2つの隣接する上記多孔性セラミックハニカムセグメントの、2つの隣接して対面する上記周縁軸方向表面のうちの一方の上記周縁軸方向表面上に、上記接着剤を塗布するステップを含む、実施形態9〜11のいずれか1つに記載の方法。
【0059】
実施形態13
上記先細チャンバは、上記第1の端部の開口から延在して上記第2の端部の開口に向かって細くなる、内壁表面を備え、
上記内壁表面は、上記第1の複数の多孔性セラミックハニカムセグメントを上記第2の端部の開口へと移動させる上記ステップによって、上記ハニカムセグメントを一体に押圧する、実施形態9〜12のいずれか1つに記載の方法。
【0060】
実施形態14
上記第1の複数の多孔性セラミックハニカムセグメントの最外部の上記ハニカムセグメントは、湾曲した最外部の上記周縁軸方向表面を備える、実施形態9〜13のいずれか1つに記載の方法。
【0061】
実施形態15
上記第1の複数の多孔性セラミックハニカムセグメントの各上記多孔性セラミックハニカムセグメントは、多孔性セラミックセグメント化ハニカム体を構成する、実施形態9〜14のいずれか1つに記載の方法。
【0062】
実施形態16
上記第1の複数の多孔性セラミックハニカムセグメントは、16個の上記多孔性セラミックハニカムセグメントを4×4のアレイとして備え、
上記接着剤塗布デバイスの各上記アパーチャは、4×4のアレイを備える、実施形態9〜15のいずれか1つに記載の方法。
【0063】
実施形態17
上記接着剤を塗布する上記ステップは、上記接着剤を、各上記アパーチャの内壁と、各上記多孔性セラミックハニカムセグメントの上記周縁軸方向表面との間の間隙に分注するステップを含む、実施形態9〜16のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
実施形態18
各上記アパーチャの上記内壁を用いて、上記接着剤を、各上記多孔性セラミックハニカムセグメントの上記周縁軸方向表面に押圧するステップを更に含む、実施形態9〜17のいずれか1つに記載の方法。
【0065】
実施形態19
ハニカムセグメントを軸方向に結合して、第1の端面から第2の端面まで延在する軸方向チャネルを備えるセラミックセグメント化ハニカム体を製造するための装置であって、
上記装置は:
接着剤塗布デバイスであって:
接着剤を上記接着剤塗布デバイスの内部に供給するよう構成された接着剤入口;
それぞれ1つのハニカムセグメントを受承するよう構成された複数のアパーチャ;及び
上記内部から、上記装置内の少なくとも1つのハニカムセグメントの少なくとも1つの周縁軸方向表面に接着剤を分注するよう構成された開口
を備える、接着剤塗布デバイス;並びに
上記少なくとも1つの周縁軸方向表面上に配置された接着剤を備えた上記ハニカムセグメントを第1の端部の開口内に受承し、上記ハニカムセグメントを、上記第1の端部より小さな開口を有する第2の端部の開口から排出することによって、上記複数の多孔性セラミックハニカムセグメントを一体に押圧することにより、上記少なくとも1つの周縁軸方向表面上の接着剤を上記押圧によって分散させて上記ハニカムセグメントを結合させ、上記多孔性セラミックセグメント化ハニカム体を形成する、先細チャンバ
を備える、装置。
【0066】
実施形態20
上記接着剤入口から上記接着剤を受承して、上記接着剤を上記開口へと分散させるための、マニホルドを更に備え、
上記接着剤は、上記開口から均一な圧力で分注される、実施形態19に記載の装置。
【0067】
実施形態21
上記複数のアパーチャはそれぞれ、内壁と、各上記ハニカムセグメントの上記少なくとも1つの周縁軸方向表面との間に、間隙を備えるように構成され、
上記間隙は、上記開口から上記接着剤を受承する、実施形態19又は20に記載の装置。
【0068】
実施形態22
上記アパーチャは、軸方向に延在する壁を更に備え、
上記軸方向に延在する壁は、上記ハニカムセグメントを各上記アパーチャ内へと案内して、上記ハニカムセグメントが上記アパーチャを離れるにつれて、上記少なくとも1つのハニカムセグメントの上記少なくとも1つの周縁軸方向表面上に配置された上記接着剤を押圧するよう構成される、実施形態19〜21のいずれか1つに記載の装置。
【0069】
実施形態23
上記アパーチャは、上記接着剤を上記開口へと送達するための配管を備える、実施形態19〜22のいずれか1つに記載の装置。
【0070】
実施形態24
上記先細チャンバは、上記複数の多孔性セラミックハニカムセグメントを一体に押圧するよう構成された、先細チャンバ壁を備え、
これによって、各上記多孔性セラミックハニカムセグメント間に配置された上記少なくとも1つの周縁軸方向表面上の上記接着剤は、上記押圧によって分散されて、上記ハニカムセグメントを結合し、上記多孔性セラミックセグメント化ハニカム体を形成する、実施形態19〜23のいずれか1つに記載の装置。
【0071】
実施形態25
上記先細チャンバ壁は、内側表面上に、上記複数の多孔性セラミックハニカムセグメントを一体に押圧するよう構成されたローラを備える、実施形態19〜24のいずれか1つに記載の装置。
【0072】
実施形態26
入口支持体及び出口支持体を更に備え、
上記接着剤塗布デバイスは、上記複数のアパーチャ内に上記ハニカムセグメントを受承するよう構成され、上記先細チャンバは、上記第2の端部の開口から上記多孔性セラミックセグメント化ハニカム体を排出するよう構成され、
上記入口支持体は、第1の推進力を提供することによって、上記ハニカムセグメントを、上記接着剤塗布デバイス内へと導入するよう構成され、上記出口支持体は、第2の推進力を提供することによって、上記排出された多孔性セラミックセグメント化ハニカム体を、上記第2の端部の開口から引き出すよう構成され、
上記第1の推進力及び上記第2の推進力は、上記受承及び上記排出中に所定の時間に亘って対応するよう構成される、実施形態19〜25のいずれか1つに記載の装置。
【0073】
実施形態27
最外部の上記アパーチャは、湾曲した最外部の軸方向周縁壁を有する上記ハニカムセグメントを受承するよう構成された、湾曲した最外部の周縁壁を有する、実施形態19〜26のいずれか1つに記載の装置。
【0074】
実施形態28
軸方向チャネル及び周縁軸方向表面を備える複数のハニカムセグメント体を形成するための装置であって、
上記装置は:
周縁供給孔及び中央供給孔を備える流入面と、ピンを形成する、相互接続された排出スロットを備える流出面とを有する、ダイ;並びに
上記ダイから下流に、かつ上記流出面に隣接して位置決めされた、セグメント形成用マスク
を備え、
上記セグメント形成用マスクは、軸方向チャネルを備える上記ハニカムセグメント体を通過するよう構成された開放領域と、各上記ハニカムセグメント体を分離して各上記ハニカムセグメント体上に外皮を形成するよう構成された、上記流出面にキャビティを形成するブロック領域とを備える、装置。
【符号の説明】
【0075】
100 接着剤塗布デバイス
101 接着剤塗布デバイス
110 デバイスアパーチャ
114 入口
118 接着剤
122 配管
126 出口
130 交点
134 横方向配管
138 外側周縁配管
140 デバイス壁
204 ハニカムセグメント
208 外側周縁表面
212 交差壁
216 チャネル
220 第1の端面
224 第2の端面
226 間隙
314 先細チャンバ
318 幅広開口
322 幅狭開口
326 内壁
340 結合済みセグメント化ハニカム体
340’ 結合済みセグメント化ハニカム体
344 推進力
348 支持体
352 マスク
600 セグメント化接着装置
610 接着剤送達マニホルド
900 接着剤塗布デバイス
910 デバイスアパーチャ
914 入口
916 接着剤供給口
918 接着剤
922 配管
926 出口
928 マニホルド
930 交点
934 横方向配管
938 外側周縁配管
940 アパーチャ、デバイスアパーチャ、アパーチャ開口
944 内壁
1000 セグメント化ハニカム体
1112 ダイ
1114 マスク
1116 開口
1118 ブロック用壁
1120 空気軸受
1122 支持体
A 軸方向
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11