(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、入力装置として、タッチパネル式の入力装置が開発されてきている。タッチパネル式の入力装置は、主に携帯機器用途で普及しており、操作体が携帯機器の操作面にタッチするか、又は操作面に近接したときの静電容量の変化によって操作入力を検知するものである。
【0003】
このようなタッチパネル式の入力装置として、特許文献1に記載された入力装置900が知られている。以下、
図12及び
図13を用いて、入力装置900について説明する。
【0004】
入力装置900は、
図12に示すように、下部基板922の下部透明基材932上において入力領域911を備え、入力領域911の周囲は額縁状の加飾領域912となっている。ここで「加飾領域」とは、
図12に示す下部基板922の領域がタッチパネルの操作面側から見えないようにする領域のことを指し、加飾領域912に設けられた加飾層934によって加飾された(黒く塗装された)領域である。また、加飾領域912は実質的に操作面として使用される領域ではないため「非入力領域」として構成されている。
【0005】
入力装置900は、
図12及び
図13に示すように、透明電極914と、透明電極914に電気的に接続された配線部915(915a〜915j)と、を備え、配線部915は、第1配線層916と第2配線層925(925f〜925h)とを有する積層構造となっている。第1配線層916は、透明基材の表面に形成された透明電極914と一体で形成された透明導電層であり、第2配線層925は、金属層で形成されている。透明電極914は入力領域911に設けられ、第2配線層925は、入力領域911の外側に位置する加飾領域912内に設けられている。また、第1配線層916は、入力領域911と加飾領域912とに跨って設けられている。
【0006】
入力装置900は、透明配線部である第1配線層916上に金属配線部である第2配線層925を形成することにより、配線部の電気抵抗を低く抑えることができる、という効果を奏する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、入力装置900では、タッチパネルの操作面側を透明基板に対して垂直方向から見たときは、金属配線部が加飾領域に設けられた加飾層によって見えないが、透明基板に対して斜め方向から見ると金属配線部が見えてしまい、外観が悪くなってしまうという問題が発生する。この問題は、特に、タッチパネルが車両のセンターコンソールに搭載されたときに顕著となる。車両のセンターコンソールにタッチパネルが搭載された場合、主な操作者である運転者および助手席の乗車者は常に操作面側を透明基板に対して斜め方向から見るため、加飾領域に形成されている金属配線部が操作者に見えてしまう。
【0009】
本発明はこのような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、金属配線部が操作面側から見え難い入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明の入力装置は、表示領域及び加飾領域を有する透明基材と、操作面の反対側における前記表示領域に設けられた透明電極と、前記加飾領域に設けられた加飾層と、前記加飾層に対して前記透明基材とは反対側に設けられた配線部と、を備えた入力装置であって、前記配線部は、前記加飾領域において、金属配線部と、前記透明電極と一体で形成された透明な導電層である透明配線部と、の積層構造を有し、前記表示領域から前記加飾領域に跨って前記透明配線部は、前記透明電極と前記金属配線部とを電気的に接続する透明接続配線部を有し、前記加飾領域には、前記金属配線部よりも前記表示領域側に複数の段差部が設けられ、複数の前記段差部は、平面視にて前記金属配線部の延在方向に隙間を設けるように配置されており、前記透明接続配線部が前記隙間を通って前記表示領域から前記加飾領域に延出している、という特徴を有する。
【0011】
このように構成された入力装置は、金属配線部より表示領域側に段差部を設けたため、入力装置の操作面側を透明基板に対して斜め方向から見ても、金属配線部に向かう入射光が段差部によって屈折され、金属配線部に入射する光の量を抑制することが可能となる。そのため、金属配線部を操作面側から見え難くすることができる。
【0012】
また、上記の構成において、前記段差部が操作面の反対側に設けられた凸部である、という特徴を有する。
【0013】
このように構成された入力装置は、前記操作面の反対側に設けられた凸部が金属配線部に向かう入射光を屈折させる。そのため、光を金属配線部に当たりづらくすることができる。
【0014】
また、上記の構成において、複数の前記透明接続配線部が、共通の前記隙間を通って前記表示領域から前記加飾領域へ延出している、という特徴を有する。
【0015】
このように構成された入力装置は、1つの隙間を複数の透明接続配線部が共用することによって、隙間の数を配線部の数よりも少なくすることができる。そのため、操作面側から金属配線部をより見え難くすることができる。
【0016】
また、上記の構成において、前記加飾領域における前記透明接続配線部と前記金属配線部との接続箇所が、前記段差部と対向する位置に設けられている、という特徴を有する。
【0017】
このように構成された入力装置は、透明接続配線部と金属配線部との接続箇所が隙間を避けた位置に設けられているため、光を屈折させる段差部の作用をより強くすることができる。
【0018】
また、上記の構成において、前記段差部の前記表示領域側の側面に、遮光層が設けられている、という特徴を有する。
【0019】
このように構成された入力装置は、遮光層によって金属配線部に向かって進む光を反射させることができるため、金属配線部に当たる光の量を減衰させることができる。
【0020】
また、上記の構成において、前記段差部が透明基材内に設けられた凹部である、という特徴を有する。
【0021】
このように構成された入力装置は、透明基材内に設けられた凹部が透明基材の中を通って金属配線部に向かって進む光を屈折させる。そのため、金属配線部に当たる光の量を減衰させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の入力装置は、金属配線部より表示領域側に段差部を設けたため、金属配線部に向かって進む光を段差部によって屈折させ、金属配線部に当たりづらくすることが可能となる。そのため、金属配線部を操作面側から見え難くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の入力装置について図面を参照しながら説明する。本発明の入力装置は、車両内のセンターコンソール等に設置された、例えばカーナビゲーション装置や空調装置、運転操作に関係する装置等の操作を行うための入力装置であり、静電容量式のタッチパネルを用いた入力装置である。本発明の入力装置の用途については、これらに限定されるものではなく適宜変更が可能である。尚、本明細書では、特に断りの無い限り、各図面のX1側を右側、X2側を左側、Y1側を奥側、Y2側を手前側、Z1側を上側、Z2側を下側として説明する。
【0025】
[第1実施形態]
最初に、
図1乃至
図3を参照して、本発明の第1実施形態に係る入力装置100の構造について説明する。
図1は、第1実施形態の入力装置100を示す平面図であり、
図2は、第1実施形態の入力装置100の断面図である。
図2のうち、
図2(a)は、
図1に示すA−A線から右方向に向けて見た断面図であり、
図2(b)は、
図1に示すB−B線から奥方向に向けて見た断面図である。
図3は、第1実施形態の入力装置100を、
図1に示すB−B線から奥方向に向けて部分的に見た拡大断面図である。尚、
図1(平面図)における金属配線部12と透明配線部13の透明接続配線部13aとの区別を明確にするため、金属配線部12にハッチングを施している。今後説明する
図4乃至
図7及び
図9についても同様である。また、各図において、透明基材30上の表面部材33及び操作面25を2点鎖線で表示している。
【0026】
入力装置100は、
図1に示すように、表面に表示領域20及び加飾領域10を有する透明基材30と、表示領域20に設けられた透明電極21と、加飾領域10に設けられた配線部11と、を備えた入力装置である。
【0027】
透明基材30は、透光性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)等のフィルム状の透明な基材やガラス基材等で略矩形状に形成される。
【0028】
表示領域20は、入力装置100における入力領域であり、表示領域20の表面には複数の透明電極21が形成されている。透明電極21は、透明基材30の表面に直接ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料が蒸着され、当該透明導電材料がエッチングされることにより形成される電極パターンである。従って、表示領域20は上下方向(厚み方向)に対して透光性となる。尚、透明電極21は、透明基材30の表面に直接形成せずに、ITO等の透明導電材料が既に蒸着されて、電極が形成されているフィルム状の基材を、透明な接着剤によって透明基材30の表面に貼り付けるようにして設けても良い。表示領域20の上側には、入力装置100を操作するための操作面25が設けられている。
【0029】
加飾領域10は、透明基材30上の表示領域20の周囲を額縁状に囲む領域であり、加飾領域10内には配線部11が形成されている。加飾領域10は、車両内のセンターコンソール等に設置されたタッチパネルの操作面25側から、加飾領域10に設けられた配線部11を見えないようにする領域のことであり、実質的に使用される領域ではなく、非入力領域として構成されている。
【0030】
加飾領域10に形成されている配線部11は、上述した表示領域20上の透明電極21と一体で、透明電極21から延伸して形成された透明な導電層である複数の透明配線部13と、この透明配線部13に対応した複数の金属配線部12と、を有している。
【0031】
透明配線部13は、
図1に示すように、表示領域20にある透明電極21と金属配線部12とを電気的に接続する透明接続配線部13aを有すると共に、金属配線部12の下側に設けられた透明下側配線部13bとを有している。即ち、透明配線部13では、矩形状に形成された透明基材30の右側及び左側の辺に沿って位置する透明下側配線部13bの上側に、
図3に示すように、金属配線部12が積層されている。
【0032】
透明配線部13は、透明電極21から延伸して形成されているため、透明電極21と同様に、ITO等の透明導電材料で形成されている。一方、金属配線部12は、透明配線部13に使用される透明導電材料よりも電気抵抗値が小さい金属材料、例えば、Cu、Cu合金、CuNi合金、Ni、Ag等の金属材料で形成される。透明下側配線部13bの上側に上述の金属配線部12を形成することにより、配線部11における電気抵抗を低く抑えることができる。
【0033】
透明電極21及び配線部11の上面には、
図2(a)、
図2(b)及び
図3に示すように、中央に操作面25を有する表面部材33が、両面粘着テープ等の粘着層(図示せず)によって接合される。表面部材33は、特に材質を限定するものではないが、ガラスや透明なプラスチック等で形成される。また、粘着層も透明な材質の基材によって形成されている。
【0034】
入力装置100のような静電容量式の入力装置では、
図2(b)に示す表示領域20内に設けられた透明電極21の上方の操作面25に指を接触又は近接させると、透明電極21とグランド間との間の静電容量に当該指と透明電極21との間の静電容量が付加され、全体の静電容量が変化する。そして、この容量変化に基づいて指の接触位置を算出することが可能となり、入力が行なわれたことが判定される。
【0035】
透明基材30の加飾領域10には、
図1に示すように、加飾領域10の形状に合わせて額縁状に加飾層35が設けられている。加飾層35は、
図2(a)、
図2(b)及び
図3に示すように、加飾領域10側の表面部材33と配線部11との間に形成されている。加飾層35は、表面部材33の下側表面を黒く塗装して形成される。加飾層35を表面部材33の下側表面に形成することによって、タッチパネルの操作面25側から見たとき、加飾領域10を黒く表示し、実質的に加飾領域10上の配線部11を見えなくすることが可能となる。即ち、加飾領域10は、上下方向(厚み方向)に対して非透光性となっている。尚、加飾層35は、表面部材33の下側面ではなく、透明基材30の下側面で配線部11の下側に設けられていても良い。
【0036】
加飾領域10には、
図1に示すように、金属配線部12よりも表示領域20側に複数の段差部15が設けられている。
【0037】
段差部15は、
図1に示すように、手前側から奥側の方向(Y1−Y2方向)に形成されていると共に、1つの段差部15と隣接する他の段差部15との間に、隙間17が設けられている。そのため、段差部15は、複数に分断されて設けられている。即ち、複数の段差部15は、平面視にて金属配線部12の延在方向に隙間17を設けるように配置されている。そして、前述した透明接続配線部13aがこの隙間17を通って表示領域20から加飾領域10に延出している。
【0038】
本発明の第1実施形態の入力装置100において、加飾領域10に設けられている段差部15は、
図2(a)、
図2(b)及び
図3に示すように、透明基材30上に設けられた凸部15aである。凸部15aは、透明基材30と一括に成型されるので、透明基材30と同様に、透光性を有するポリエチレンテレフタレート等のフィルム状の透明な基材やガラス基材等で形成される。凸部15aの高さは、
図3に示すように、透明配線部13に積層された状態の金属配線部12の高さより高く設定される。
【0039】
加飾領域10の金属配線部12よりも表示領域20側に段差部15を設けることにより、金属配線部12が入力装置100の操作面25側から見え難くすることができる。加飾領域10に段差部15を設けることにより金属配線部12が入力装置100の操作面25側から見え難くすることができる理由について次に説明する。
【0040】
図3に示すように、操作面25側から金属配線部12に向かって進む光L1は、金属配線部12に当たる前に、透明な基材によって形成されている段差部15である凸部15aの表示領域20側の側面に当たる。そうすると、光L1が凸部15aに侵入する際に、光L1は、透明な基材やガラス基材等で形成されている凸部15aの屈折率が空気の屈折率よりも大きいことによって、屈折する。従って、光L1は、金属配線部12に向かわないため、金属配線部12に当たりづらくなる。その結果、金属配線部12が入力装置100の操作面25側から見え難くなる。
【0041】
次に、第1実施形態の第1変形例の入力装置110、第2変形例の入力装置120、及び第3変形例の入力装置130について、
図4乃至
図6を用いて説明する。
図4は、第1変形例の入力装置110を示す平面図であり、
図5は、第2変形例の入力装置120を示す拡大平面図であり、
図6は、第3変形例の入力装置130を示す拡大平面図である。
【0042】
第1実施形態の入力装置100と第1変形例の入力装置110との相違点は、透明接続配線部13aの配置の仕方、及びそれに伴う段差部15の長さと隙間17の幅及びそれぞれの数量の違いである。また、入力装置100と第2変形例の入力装置120との相違点は、透明接続配線部13aの形状の違いだけである。そして、第3変形例の入力装置130は、第1変形例の入力装置110と第2変形例の入力装置120とを組み合わせて構成させたものである。
【0043】
上述した第1変形例の入力装置110乃至第3変形例の入力装置130の構造は、上述した第1実施形態の入力装置100との相違点以外、第1実施形態の入力装置100と同一である。そのため、この同一の部分に対する説明を省略する。また、各部に付与した符号は、第1実施形態の入力装置100と同一とする。尚、入力装置110及び入力装置130においては、入力装置100の場合とは幅の異なる隙間17を、幅広隙間17aとする。また、入力装置120及び入力装置130においては、金属配線部12と透明接続配線部13aとを接続した箇所の符号を、新たに接続箇所14として付与している。
【0044】
<第1変形例>
第1変形例の入力装置110においては、
図4に示すように、左側の奥側に位置する段差部15の数量を2つにし、その長さを長くした。そして、これら2つの段差部15の間に位置する隙間17の幅を大きくし、幅広隙間17aとした。更に、この幅広隙間17aに、加飾領域10に形成された2本の透明接続配線部13aを通すようにした。
【0045】
即ち、複数の透明接続配線部13aが、共通の隙間17、即ち幅広隙間17aを通って表示領域20から加飾領域10へ延出するように、透明配線部13を配置した。入力装置110では、このような透明配線部13の配置を、左側の奥側及び右側の手前側にそれぞれ一箇所ずつ設けたが、透明配線部13の数量によっては、入力装置110の左側及び右側にそれぞれ複数個所設けても良い。
【0046】
<第2変形例>
第2変形例の入力装置120においては、
図5に示すように、表示領域20から加飾領域10に延出している透明接続配線部13aを、透明接続配線部13aが隙間17を通過した後、段差部15側(Y1方向)へ延伸するように折り曲げて形成する。更に、金属配線部12と透明接続配線部13aとの接続部である接続箇所14を、段差部15の近傍に設けるようにした。
【0047】
即ち、加飾領域10における透明接続配線部13aと金属配線部12との接続箇所14を、段差部15と対向する位置に設けた。
図5では、接続箇所14を、入力装置120の左側の奥側に二箇所設けたが、入力装置120の右側等その他の位置に設けても良い。
【0048】
<第3変形例>
第3変形例の入力装置130においては、
図6に示すように、左側の奥側の2つの段差部15の間に位置する隙間17の幅を大きくして幅広隙間17aとし、この幅広隙間17aに、加飾領域10に形成された2本の透明接続配線部13aを通すようにした。また、表示領域20から加飾領域10に延出している透明接続配線部13aを、透明接続配線部13aが隙間17を通過した後、手前側の段差部15の方向(Y2方向)へ延伸するように折り曲げて形成し、更に、金属配線部12と透明接続配線部13aとの接続部である接続箇所14を、段差部15の近傍に設けるようにした。
【0049】
言い換えれば、複数の透明接続配線部13aが、共通の隙間17、即ち幅広隙間17aを通って表示領域20から加飾領域10へ延出するように、透明配線部13を配置すると共に、加飾領域10における透明接続配線部13aと金属配線部12との接続箇所14を、段差部15と対向する位置に設けた。
【0050】
次に、本実施形態の第1実施形態の第4変形例の入力装置140、及び第5変形例の入力装置150について、
図7及び
図8を用いて説明する。
図7は、第4変形例の入力装置140を示す平面図であり、
図8は、第5変形例の入力装置150の拡大断面図である。
【0051】
第1実施形態の入力装置100と第4変形例の入力装置140との相違点は、複数の段差部15の配置を変更しただけである。また、第1実施形態の入力装置100と第5変形例の入力装置150との相違点は、段差部15の構成だけである。そのため、これらに関する説明以外の説明は省略する。また、各部に付与した符号は、第1実施形態の入力装置100と同一とする。
【0052】
<第4変形例>
第1実施形態の第4変形例の入力装置140においては、
図7に示すように、左側及び右側の奥側に位置している複数の段差部15の位置を、表示領域20より、略矩形状をした透明基材30の左側の辺又は右側の辺の方向に移動させた。このことにより、複数の段差部15の位置を、Y1−Y2方向に沿って配置させないことになる。即ち、入力装置100においては、複数の段差部15の位置は、Y1−Y2方向に沿って配置されていなくても良い。
【0053】
<第5変形例>
第1実施形態の第5変形例の入力装置150においては、
図8に示すように、加飾領域10に設けられている段差部15である凸部15aの右側の側面、即ち表示領域20側の側面に遮光層15cを設けるようにした。遮光層15cは、透明な基材である凸部15aの右側の側面を黒く塗装することによって形成される。尚、遮光層15cは、凸部15aの右側の側面黒く塗装せずに、凸部15aの側面を梨字状に荒らして形成しても良い。
【0054】
加飾領域10に設けた段差部15に遮光層15cが設けられている場合、
図8に示す金属配線部12に向かって進む光L1は、最初に凸部15aの表示領域20側の側面の遮光層15cに当たる。そうすると、光L1は、遮光層15cによって表示領域20側へ反射する。従って、金属配線部12に向かって進む光L1は、金属配線部12に当たりづらくなる。その結果、金属配線部12が入力装置150の操作面25側から見え難くなる。尚、凸部15aの側面を梨字状に荒らして形成した場合は、光L1は、遮光層15cによって乱反射する。この場合も光L1は、金属配線部12に当たりづらくなる。
【0055】
次に、
図9乃至
図11を参照して、本発明の第2実施形態に係る入力装置200の構造について説明する。
図9は、入力装置200を示す平面図であり、
図10は、入力装置200の断面図である。
図10のうち、
図10(a)は、
図9に示すC−C線から右方向に向けて見た断面図であり、
図10(b)は、
図9に示すD−D線から奥方向に向けて見た断面図である。また、
図11は、入力装置200を、
図9に示すD−D線から奥方向に向けて部分的に見た拡大断面図である。
【0056】
第1実施形態の入力装置100と第2実施形態の入力装置200との相違点は、段差部15の構成だけである。そのため、段差部15に関する説明以外の説明を省略する。また、各部に付与した符号は、第1実施形態の入力装置100と同一とする。
【0057】
入力装置200は、
図9に示すように、入力装置100と同様、表面に表示領域20及び加飾領域10を有する透明基材30と、表示領域20に設けられた透明電極21と、加飾領域10に設けられた配線部11と、を備えた入力装置である。
【0058】
加飾領域10には、
図9に示すように、金属配線部12よりも表示領域20側に複数の段差部15が設けられている。
【0059】
段差部15は、
図9に示すように、手前側から奥側の方向(Y1−Y2方向)に形成されていると共に、1つの段差部15と隣接する他の段差部15との間に、隙間17が設けられている。そのため、段差部15は、複数に分断されて設けられている。即ち、複数の段差部15は、平面視にて金属配線部12の延在方向に隙間17を設けるように配置されている。そして、前述した透明接続配線部13aがこの隙間17を通って表示領域20から加飾領域10に延出している。
【0060】
本発明の第2実施形態の入力装置200において、加飾領域10に設けられている段差部15は、
図10(a)、
図10(b)及び
図11に示すように、透明基材30の内部に設けられた凹部15bである。従って、段差部15は、透明基材30と一括に形成される、基材の存在しない空間である。
【0061】
入力装置200では、加飾領域10の金属配線部12よりも表示領域20側の透明基材30の内部に段差部15である凹部15bを設けることにより、金属配線部12が入力装置200の操作面25側から見え難くすることができる。
【0062】
金属配線部12に向かって進む光には、透明基材30の上方の空間を通って行く光以外にも、
図11に示すように、透光性を有するポリエチレンテレフタレート等のフィルム状の透明な基材やガラス基材等で形成される透明基材30の内部を通って進む光L2も含まれる。
【0063】
図11に示す透明基材30の内部を通って金属配線部12に向かって進む光L2は、金属配線部12に向かう途中に、透明基材30内の凹部15bとの境界となっている一方の側面壁30aに到達し、その後、凹部15b内の空間に侵入する。すると、光L2は、凹部15b内の空気の屈折率が、透明基材30の屈折率よりも小さいことによって、凹部15bに侵入する際に屈折する。また、光L2が、凹部15bから他方の側面壁30aに当たる際にも、透明基材30の屈折率が凹部15b内の空気の屈折率よりも大きいことによって屈折する。従って、光L2は、金属配線部12に当たりづらくなる。その結果、金属配線部12が入力装置100の操作面25側から見え難くなる。
【0064】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0065】
入力装置100は、金属配線部12より表示領域20側に段差部15を設けたため、金属配線部12に向かって進む光L1を段差部15によって屈折させ、金属配線部12に当たりづらくすることが可能となる。そのため、金属配線部12を操作面25側から見え難くすることができる。
【0066】
また、透明基材30上に設けられた凸部15aが透明基材30の上方を金属配線部12に向かって進む光L1を屈折させる。そのため、光L1を金属配線部12に当たりづらくすることができる。
【0067】
また、1つの隙間17を複数の透明接続配線部13aが共用することによって、隙間17の数を少なくすることができる。そのため、操作面25側から金属配線部12をより見え難くすることができる。
【0068】
また、透明接続配線部13aと金属配線部12との接続箇所14が隙間17を避けた位置に設けられているため、光L1を屈折させる段差部15の作用をより強くすることができる。
【0069】
また、遮光層15cによって金属配線部12に向かって進む光L1を反射させることができるため、金属配線部12に当たる光L1の量を減衰させることができる。
【0070】
また、入力装置200は、透明基材30内に設けられた凹部15bが透明基材30の中を通って金属配線部12に向かって進む光L2を屈折させる。そのため、金属配線部12に当たる光L2の量を減衰させることができる。
【0071】
以上説明したように、本発明の入力装置は、金属配線部より表示領域側に段差部を設けたため、金属配線部に向かって進む光を段差部によって屈折させ、金属配線部に当たりづらくすることが可能となる。そのため、金属配線部を操作面側から見え難くすることができる。
【0072】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば、入力装置110乃至入力装置150を、第1実施形態の入力装置100の変形例として説明したが、これらを、それぞれ、第2実施形態の入力装置200の変形例として適用しても良い。