(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記生理的反応は、前記車両のコントローラと無線通信状態にある装着型電子デバイスおよび前記車両内のセンサの少なくとも1つを用いて測定される、請求項1に記載の方法。
前記能動サスペンションシステムは、前記能動サスペンションシステムが前記周波数範囲内の運動をより大きな程度まで軽減するほど多くの平均電力を消費する、請求項14に記載の車両。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[0074] 自律車両および半自律車両の利用の増加が予想されることによって、本発明者らは、車両乗員における乗り物酔いの可能性を低減するためのシステムおよび方法を提供することが有利であり得ると認識している。上記観点から、本発明者らは、1または複数の周波数範囲に関して車両の1または複数の部分の運動を軽減あるいは低減することに関連する利益を認識している。また、いくつかの実施形態において、この車両の運動の低減は、車両乗員に関する乗り物酔いの機会の増加を示す1または複数の状況に応答して行われ得る。あるいは、本明細書で説明される方法およびシステムは、車両乗員の乗り物酔いを招き得る状況を予防的に低減および/または場合によっては防止するために実行され得る。したがって、本明細書で論述される実施形態のいくつかは、概して、車両乗員の車内体験を向上させるために様々な状況下で車両の1または複数の部分の運動を制御するために用いられるシステムおよび方法に関する。ただし、本明細書で説明される他の実施形態は、より愉快および/または効果的なヒューマンマシンインタフェースに関する。
【0029】
[0075] 特定の実施形態によると、車両の様々なシステムは、車両の特定の部分および/または車両乗員に伝達する運動を低減または除去するために動作してよい。制御され得るシステムは、たとえば車体、乗客室、および/または乗客室内に位置する構造、ならびに自律、半自律、および/または従来駆動型車両のスロットル、制動、および/または操舵制御など、車両の様々な部分に関連するサスペンションシステムを含むが、これに限定されない。したがって、これらのシステムの1または複数は、特定の、事前定義され、推測され、検出され、または車両乗員が確認した、たとえば以下で詳述するような乗り物酔いや疲労など乗客の不快感を誘発する運動または運転体制を回避するために動作してよい。
【0030】
[0076] 一般に、設計者は、人間、または中に乗員を有する車両が、約0.05Hz〜0.5Hzである低周波数の横外乱および/または縦振動に晒された場合に、吐き気やめまいを含む乗り物酔いの症状を経験する可能性がより高いということを認識している。しかし、本発明者らは、たとえば0.5Hz〜10Hzの範囲内などより高い周波数のヒーブ、ピッチ、および/またはロールなど様々な方向への運動に起因しても乗り物酔いが生じ得ることを見出した。また、この周波数範囲内の運動に対する人間の感度は、車両内で起こり得る当面の環境の動向を制御し、あるいは知覚することから少なくとも部分的に切り離された環境で、たとえば読書、ビデオの視聴、ビデオゲームのプレイ、または他の活動など特定の作業を行っている場合、増幅し得る。したがって、車両の1または複数の部分に関連する1または複数のサスペンションシステムまたは運動軽減デバイスは、1または複数の動作モードにおいて、車両内で通常行われるよりも大きな程度まで、これらの周波数範囲の一方または両方のいずれかにおいて車両乗員への運動を軽減するために動作してよい。
【0031】
[0077] いくつかの実施形態において、車両の1または複数のサスペンションシステムは、車体(たとえばシャシやフレーム)、乗客室、乗客室内の構造(たとえば座席およびワーク面)、および/または他の任意の適当な車両部分を含む車両内の1または複数の構造に関する、たとえばヒーブ、ピッチ、および/またはロールなどの運動を抑制するために用いられ得る。また、1または複数のサスペンションシステムは、たとえば乗り物酔いの可能性を低減することが望まれる場合など、少なくとも1つの動作モード中に乗り物酔いに関連する1または複数の所定の周波数範囲における運動を更に低減するように動作してよい。1つの実施形態において、乗り物酔いに関連し得る周波数は、約0.05Hz〜10Hzの周波数を含む。また、1または複数の能動サスペンションシステムは、この全体範囲を超えて動作するか、またはこの周波数範囲の1または複数の部分範囲で動作してもよく、本開示はその点で限定されない。たとえばサスペンションシステムは、乗り物酔いに関連する周波数を有する運動を低減することが望まれる場合、約0.05Hz、0.1Hz、0.2Hz、0.5Hz、1Hz、2Hz、または他の任意の適当な周波数以上の周波数における運動を軽減してよい。それに応じて、サスペンションシステムは、乗り物酔いに関連する周波数を有する運動を低減することが望まれる場合、約10Hz、9Hz、8Hz、7Hz、6Hz、5Hz、1Hz、または他の任意の適当な周波数以下の周波数における運動を軽減してよい。上記範囲の組み合わせは、たとえば、約0.05Hz〜10Hz、0.1Hz〜10Hz、0.5Hz〜10Hz、1Hz〜10Hz、2Hz〜6Hz、および/または他の任意の適当な組み合わせの範囲の周波数を含むものと考えられ、本開示はその点で限定されない。特定の周波数における運動を軽減することは、その特定の周波数を含む任意の周波数範囲において運動が軽減されることを意味する。また、特定の周波数範囲における運動を軽減することは必ずしも、その範囲全体で均一に、またはその範囲内の各周波数でさえ運動が軽減されることを示すわけではない。
【0032】
[0078] 上述した実施形態において、そのような周波数範囲内の運動は、車両が自律モードであるか従来駆動モードであるかに依存して、および/またはたとえばセンサおよび/または1または複数人の車両乗員からの指令または信号など1または複数のソースからの入力に依存して、特定の時間に、および/または様々な程度に抑制され得る。また、車両に関連する1または複数のサスペンションシステムは、受動サスペンションシステム、半能動サスペンションシステム、能動サスペンションシステム、および/または上記の組み合わせのいずれかであってよく、本開示はその点で限定されない。
【0033】
[0079] 本発明者らは、特定の状況において、たとえばエネルギー消費および車両性能の観点から見ると、特定の周波数範囲内の運動の軽減を強化することが常に望ましいわけではないことを認識している。その代り、車両は、車両乗員の乗り物酔いの可能性増加を示すイベント、一連のイベント、および/またはイベントのパターンが検出されるまで、第1の動作モードで動作してよい。車両はその後、乗員の乗り物酔いの可能性、深刻度、および/または持続時間の低減に役立つように、1または複数の周波数範囲内の運動の軽減が強化された第2のモードで動作してよい。そのような典型的な実施形態において、車両は、車体または車両の他の部分のいずれかへの運動の伝達を低減するために用いられる、たとえば能動サスペンションシステムなどのサスペンションシステムまたは他の適当な運動軽減デバイスを含んでよい。第1の動作モードにおいて、サスペンションシステムは、第1の周波数範囲における車両の一部への運動を第1の程度軽減するように動作する。乗り物酔いの症状が生じる可能性増加に関連するイベント、一連のイベント、および/またはイベントのパターンの検出後、サスペンションシステムは、第1の動作モード中よりも増加した、車両の一部への第1の周波数範囲内の運動の軽減をもたらすように、第2のモードで動作する。乗り物酔いの可能性増加に関連する状況が過ぎ去った後または所望の遅延後、車両は、いくつかの例においては第1のモードと同じであり得る第3の動作モードで動作してよい。その結果、いくつかの実施形態において、強化された乗り物酔いの解消が必要時に提供され、車両は他の期間中、低電力および/または効率的なモードおよび/または高い車両性能モードで運転され得る。
【0034】
[0080] 以下で詳述するように、車両乗員の乗り物酔いの可能性増加に関連するイベントまたは複数のイベントは、あらゆる方法で決定され得る。たとえば1つの実施形態において、イベントまたは複数のイベントは、たとえば、能動サスペンションシステムに関連する1または複数のセンサによって決定されるような車両に加わる力および/または加速度などの情報を用いて少なくとも部分的に決定され得る。また、いくつかの実施形態において、イベントまたは複数のイベントは、たとえば、乗員の頭部および/または胴体の運動に車両の運動を関連付ける所定の伝達関数および/または測定値に基づく、乗員の頭部および/または胴体に加わる力および/または加速度などの情報を用いて少なくとも部分的に決定され得る。
【0035】
[0081] あるいはいくつかの実施形態において、乗り物酔いの可能性を決定するために用いられる情報は、車両乗員からのフィードバックに少なくとも部分的に基づいてよい。たとえば車両乗員は、プッシュボタン、ダイアル、タッチパッド、スマートフォン、タブレット、または、能動サスペンションシステムのコントローラへ自身の不快レベルを通信するためのコンピュータアプリを備えた他のモバイルコンピューティングデバイスを用いてよい。そのような実施形態の1つにおいて、乗員は、たとえば0〜10などの目盛の下部と上部との間で乗り物酔いのレベルを報告してよく、スコア0は症状がないことを示し、スコア10は差し迫った嘔吐を示す。また他の実施形態において、乗り物酔いの可能性に関する情報は、車両内に位置するセンサによって収集されたデータに基づいてよい。これらは、たとえばステアリングホイール、座席の一部、または車両の他の適当な部分など乗員が接する車両の一部に組み込まれた、たとえばカメラまたは生体センサなど、車両に一体化されたセンサに対応してよい。また、センサは、たとえばリストバンドなど車両乗員が装着または携帯するデバイス内に一体化されてもよい。いずれの場合でも、生体センサは、たとえば体温、心拍数、車両乗員の発汗量、眼反射、および乗り物酔いに関連する他の適当なパラメータなどのパラメータを測定するために用いられ得る。
【0036】
[0082] 上述したように、本発明者らは、0.05Hz〜10Hzの周波数範囲にわたり、またはその範囲の部分範囲にわたり、たとえばヒーブ、ピッチ、および/またはロールなどの車両の運動を軽減することは、大半の人々の乗り物酔いを緩和し得ると認識している。この軽減は、たとえば受動減衰システム、半能動サスペンションシステム、および/または能動サスペンションシステムなど、車両のサスペンションシステムを用いることによって実現され得る。たとえば、能動サスペンションシステムの1または複数のアクチュエータは、車両の1または複数の部分に力を加えて運動を低減し、車体に加わる道路誘発力を相殺するために用いられ得る。また、いくつかの実施形態において、追加のサスペンションシステム、運動軽減デバイス、および/または受動減衰技術が、たとえば座席、乗客室、および/またはキャブなど車両の特定の部分に伝達する運動を更に低減するために用いられ得る。また、これらの様々なサスペンションシステムおよびデバイスは、これらの記載した周波数範囲内で全てが動作し、および/または、これらの周波数範囲の一部のみにわたって動作してよく、本開示はその点で限定されない。たとえば、以下で詳述するように、車両の一次サスペンションシステムは主に高い周波数における運動を軽減し、車両の副部に関連する二次サスペンションシステムは主に低い周波数における運動を軽減してよい。
【0037】
[0083] 運動を軽減することに加えて、本発明者らは、車両の特定の状況および/または予想される操縦のいずれかを示すキューを車両乗員に提供することに関連する利益を認識している。これらのキューは、車両乗員の状況認識の向上に役立ち、および/または乗り物酔いの軽減に役立ち得る。その結果、1つの実施形態において、車両の能動サスペンションシステムは、たとえば旋回、加速、減速、および/または他の任意の適当な車両操縦など予想される車両操縦をそれが生じる前に示すために、車両の1または複数の部分に運動を誘発するために用いられ得る。他の実施形態において、車両は、たとえば差し迫った衝突、路上の車線区分線を越えた車両の走行、偏った荷重分布、および/または過荷重状態などの状況を検出してよい。その後車両の能動サスペンションシステムは、その状況を車両乗員に警告するために車両の少なくとも一部に運動を誘発するために用いられ得る。当然、任意の数の様々な種類の運動が特定の状況または操作を示すためのキューとして用いられてよいことを理解すべきである。たとえば、1または複数のホイールのロール、ピッチ、ヒーブ、振動、上記の組み合わせ、および/または他の任意の適当な種類の車両運動が、特定の種類の状況および/または車両操作を示すために用いられてよく、本開示はその点で限定されない。
【0038】
[0084] 本明細書で説明される実施形態の多くは自律および半自律車両に関して詳述されるが、ここで開示される、乗り物酔いおよび/または車両の運動を軽減するためのシステムおよび方法は、自律および半自律車両での使用に限定されるものではないことを理解すべきである。むしろ、説明されるシステムおよび方法は、従来駆動型車両を含む任意の適当な車両において実装されてよく、本開示はその点で限定されない。また、本明細書で説明される方法およびシステムは、電気、ハイブリッド、および/または内燃発電装置によって動力供給される自律、半自律、および/または従来駆動型車両とともに用いられてよい。また、特定の実施形態によると、受動サスペンションシステム、半能動サスペンションシステム、能動サスペンションシステム、またはそれらの任意の組み合わせのいずれかが車両に搭載されてよく、本明細書で説明される方法およびシステムはこの形式に限定されない。
【0039】
[0085] 本開示の目的のために、自律車両および自動運転車両は、複合機能自動化(NHTSAレベル2)、限定的自動運転自動化(NHTSAレベル3)、および/または完全自動運転自動化(NHTSAレベル4)を実行する任意の車両を少なくとも含むものとして理解され得る。
【0040】
[0086] 図面を参照すると、本明細書に開示されるシステムおよび方法の構造、機能、製造、および使用の原理の全体的な理解を提供するために、特定の典型的な実施形態が以下で詳述される。ただし、添付図面に示され本明細書で説明されるシステム、方法、および例は、非限定的な典型的実施形態であり、本開示の範囲は、図示された実施形態のみに限定されるものではない。むしろ、様々な実施形態とともに示され説明される特徴は、個々および/または様々な組み合わせのいずれかで他の実施形態の特徴と組み合わされてもよい。そのような変更は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0041】
[0087]
図1は、本明細書で説明される様々な方法および車両システムとともに用いられ得る第1のサスペンションシステム4を含む車両2の実施形態を示す。この図において、サスペンションシステムの様々なダンパおよび/またはアクチュエータは、車両の関連するホイールまたはホイール組立体と車体との間に配置される。また、各ダンパおよび/またはアクチュエータは、車体12の少なくとも一部および関連するホイール6の相対運動を独立して制御することができる。また、いくつかの実施形態において、サスペンションシステムのアクチュエータおよび/またはダンパは、たとえばアクチュエータに対して並列または直列に車両の関連部分の間に配置されたコイルばねおよび/または空気ばねなど様々な種類のばねとともに用いられ得る。
【0042】
[0088] 特定のサスペンションシステムが図内に示されるが、任意の適当なサスペンションシステムが用いられてよい。たとえば、従来のサスペンションシステムは一般に、主に一定の動作および性能パラメータを用いてダンパの相反する圧縮および/または延伸に抵抗力を加える受動ダンパを用いる。また、いくつかのサスペンションシステムは、たとえば乗員の快適性と車両操縦との間のトレードオフを提供するために全体応答が調整され得るという点で半能動である。完全能動サスペンションシステムは、センサおよび他のデバイスからの入力に頼ることによって道路状況の変化に自動的に反応するためにアクチュエータを用いる。したがって、能動ダンパ、サスペンションシステム、アクチュエータ、または他の同様のデバイスは、圧縮および/または延伸行程中、圧縮および/または延伸方向に体裁よく力を加えるために用いられ得る。また、能動サスペンションシステムは、いくつかの動作モード中、反抗力を加えるためにも用いられ得る。したがっていくつかの実施形態において、能動サスペンションシステムまたはその副部は、力速度図の4つの四分円の少なくとも3つにおいて動作してよい。
【0043】
[0089] また
図1に示すように、いくつかの実施形態において、車両2は、車両14の第2の部分に関連する第2のサスペンションシステム16も含んでよい。図示された実施形態において、車両の第2の部分は、乗員が座ることができる座席に対応する。ただし、車両の第2の部分が、たとえば乗客室、キャブ、荷室、または車両の他の任意の適当な部分に対応する実施形態も考えられ、本開示はその点で限定されない。以下で詳しく説明されるように、第1のサスペンションシステムは、1または複数の周波数範囲内で車体運動を軽減するために用いられ得る。第2のサスペンションシステムは、同様に1または複数の周波数範囲内で車両の第2の部分に伝達される運動を軽減するために同時に用いられ得る。いずれのサスペンションシステムにも任意の適当な運動学的特性が用いられ得るが、いくつかの実施形態において、第1のサスペンションシステムは、少なくとも第1の周波数範囲において第2のサスペンションシステムよりも大きい程度まで運動を低減してよい。同様に、第2のサスペンションシステムは、少なくとも第2の範囲において第1のサスペンションよりも大きい程度まで運動を低減してよい。たとえば、第1の周波数範囲は第2の周波数範囲よりも高い周波数を含み、それによって、以下で詳述するように電力消費の低減という利点がもたらされ得る。
【0044】
[0090] 車両の異なる部分に関連する2つのサスペンションシステムを含む車両が上述されたが、様々な数のサスペンションシステムおよび/またはそれらのサスペンションシステムに関連する様々な数の車両部分が存在する実施形態も考えられる。たとえば1つの実施形態において、車両は、車体とホイールとの間に設置された一次サスペンションシステムのみを含んでよい。あるいはまた他の実施形態において、車両は、車両とホイールまたはホイール組立体との間に設置された一次サスペンションシステムとともに、車両の別の部分に関連する複数の二次サスペンションシステムを含んでよい。たとえば、第2のサスペンションシステムは乗客室に関連してよく、第3のサスペンションシステムは、乗員座席とそれが設けられた乗客室との間に設置され得る。
【0045】
[0091] 図に示され、本願を通して説明される能動サスペンションシステムは、任意の数の様々な種類のアクチュエータを含んでよいことを理解すべきである。そのようなアクチュエータの例は、電気油圧式、電磁式、および電気機械式アクチュエータを含んでよい。電気油圧式アクチュエータは一般に、電動モータによって駆動される油圧ポンプを用いて、アクチュエータピストンに所望の力を加える。能動サスペンションシステムのための電気油圧式アクチュエータおよびコントローラの例を開示する、2009年8月3日に出願された“Hydraulic Energy Transfer”と題された米国特許第8,839,920号、2013年3月11日に出願された“Integrated Energy Generating Damper”と題された米国特許第9,035,477号、2014年3月14日に出願された“Integrated Active Suspension Smart Valve”と題された米国特許出願第14/212,359号、および2015年1月22日に出願された“Active Vehicle Suspension System”と題された米国特許出願第14/602,463号は、その全体が参照によって本願に組み込まれるものとする。他の能動サスペンションシステムは、一般にリニア電動モータを含む電磁式能動サスペンションアクチュエータおよび/または一般にボールねじ機構を利用する電気機械式アクチュエータを含んでよい。
【0046】
[0092]
図1に示す車両は、様々なパラメータを検出するための1または複数のセンサも含んでよい。たとえばセンサは、たとえば車線区分線、接近する車両および物体、および/または障害物など車両の正面にある物体および標示を監視するために用いられる、たとえば視覚または赤外カメラまたは検出器などの前方監視センサであってよい。またセンサは、車内に存在する1または複数人の乗員の運動および/または身体的パラメータを監視するために車内に取り付けられてもよい。そのような実施形態の1つにおいて、車内にある1または複数のセンサは、カメラ、車両乗員の生理的パラメータを監視するように構成されたセンサ(たとえば心拍モニタ、電気皮膚反応センサ、および酸素化センサ、二酸化炭素センサなど)、1または複数の加速度計、慣性監視ユニット、ジャイロスコープ、および/または他の任意の適当なセンサを含んでよいが、これらに限定されない。
【0047】
[0093] 様々なセンサに加えて、車両は、たとえばボタン、ダイアル、タッチパッド、または他の適当な入力デバイスなど、1または複数の乗員入力装置10も含んでよい。入力装置は、車両のコントローラおよび/またはサスペンションシステムに情報を入力するために乗員によって用いられ得る。たとえば以下で詳述するように、乗員は、彼らがある程度の乗り物酔いを経験していることをコントローラに知らせるために表示器を用いてよい。
【0048】
[0094] また
図1に示すように、いくつかの実施形態において、能動サスペンション4は、車両ホイールと車体との間で、能動サスペンションシステムと直列または並列なエアサスペンション18と組み合わされ得る。いくつかの例において、能動サスペンションおよびエアサスペンションは、車両のばね上質量に伝達される道路からの低周波数コンテンツを軽減するために協調して作動してよい。たとえば、制御ループは車体上の加速度計の周囲で閉じられてよく、能動サスペンションがホイールを拡張するとエアサスペンションは膨張(車高を高く)し、またある時は、能動サスペンションがホイールを退避させるとエアサスペンションは収縮(車高を低くする)する。高さは、車高を維持するために動的に増減してよい。追加または代替として、本明細書で説明するように、他の乗り物酔い緩和制御方策が利用されてもよい。実施形態によると、エアサスペンションおよび能動サスペンションは、前車軸および後車軸において独立して、および/または各ホイールにおいて独立して動作してよい。いくつかの実施形態において、エアサスペンションは、本明細書で説明される能動サスペンションユニットと組み合わされ、またはその代わりに用いられ得る。
【0049】
[0095] 上述した車両に関連して説明されるシステムおよび特徴は、本明細書で説明される他のシステムおよび方法のいずれかとともに、独立してまたは組み合わせて用いられてよく、本開示はその点で限定されないことを理解すべきである。
【0050】
[0096] 運転中、路面と接する車両のホイールは、路面との相互作用によって車体運動を誘発し得る。
図2は、道路から車体(ばね上質量)への外乱伝達率の例を示すグラフである。曲線は、車両に伝達された外乱のマグニチュード対誘発運動の周波数を表し、伝達率は、ホイールから見た道路の上下加速度(
【数2】
)と車体の加速度(
【数3】
)との比である。曲線110は、非減衰サスペンションシステムに関する伝達率対周波数のプロットである。曲線111は、運転者を有する車両の能動サスペンションシステムの伝達率の例を表す。この場合、サスペンションシステムは、乗客の快適性と運転者の道路感覚との許容可能なバランスを提供するために調整される。自律車両の場合、いくつかの実施形態において、道路感覚は重要な考慮事項ではないことがある。したがって、そのような自律車両の能動サスペンションシステムは、たとえば乗り物酔いが生じ得る周波数の範囲内などの低周波数伝達率を、曲線111の従来駆動型車両よりも大きな程度まで低減するように調整され得る。ただし、いくつかの実施形態において、低周波数伝達率の抑制は、道路感覚の低下および能動サスペンションシステムによるエネルギー消費の増加とともに、特定のより高い周波数における伝達率の増加をもたらし得る。2つのそのような実施形態は、能動サスペンションシステムを搭載された自律車両の伝達率の例を示す曲線112および113によって示され、駆動型車両(曲線111)と比べて低い周波数の運動が軽減されている。したがって、実施形態によると、能動サスペンションシステムを含む自律車両は、乗り物酔いまたは他の状態に関連する周波数範囲において車両の少なくとも一部への運動の伝達を低減するように動作してよく、対象周波数範囲外の異なる周波数範囲において車両の一部への運動の伝達の増加を許容してよい。たとえば図示された実施形態において、自律車両に関連する曲線は、約0.1Hz〜12Hzの間で車体への運動の伝達の低減、および12Hzを上回る周波数の伝達の増加の領域を示す。勿論、これらは典型的な範囲にすぎず、図に示す範囲より大きいまたは小さい他の周波数範囲が用いられてもよい。
【0051】
[0097] サスペンションシステムは、様々な周波数範囲内の運動の所望の低減をもたらすための所望の運動学的特性を提供するために任意の適当な形式で動作してよいことを理解すべきである。たとえば、少なくとも1つの動作モード中、サスペンションシステムは、本開示のどこかで説明されるように、0.05Hz以上10Hz以下の周波数範囲またはその任意の部分範囲において、他の動作モードに比べて車両の一部へ伝達される運動を更に低減するように動作してよい。当然、サスペンションシステムは、上述したものよりも高いまたは低い周波数範囲において運動の伝達を更に低減するように動作してもよく、本開示はその点で限定されない。
【0052】
[0098] 上記実施形態は主に自律車両との使用に関して説明されたが、乗り物酔いに関連する周波数範囲内で車両の一部へ伝達される運動を低減するように動作するサスペンションシステムを従来駆動型車両が含む実施形態が実装されてもよく、本開示はその点で限定されない。
【0053】
[0099]
図3は、車体に伝達される振動のパワースペクトル密度(PSD)の分布を周波数の関数として示す。曲線120は、人間による運転のために調整された能動サスペンションシステムを有する車両に関するPSD分布の例を示す。曲線121は、自律車および/または乗り物酔いを緩和することが意図されたモードで運転される従来駆動型車両に関して車体に伝達される振動のPSD分布の例を示し、乗り物酔い帯域におけるPSDは能動サスペンションシステムによって抑制される。ただし、従来駆動型車両と比べると、乗り物酔いを低減するモードで運転される車両に関するPSD分布は、乗り物酔いを緩和するために所望の範囲外の高い周波数において伝達されるエネルギーの増加を含み得る。
【0054】
[0100] 上述したように、いくつかの実施形態において、車両および/またはサスペンションコントローラは、たとえば車両の加速度、速度、および1または複数の方向への変位、ならびに車両のヒーブ、ロール、およびピッチの1または複数など、1または複数の種類のデータを1または複数のセンサから受け取るように構成され得る。また、いくつかの例において、コントローラが運転中の車両乗員の運動および/または生理的パラメータを考慮に入れることが有益になり得る。したがって1つの実施形態において、コントローラは、たとえば1または複数人の乗員の頭部および/または胴体の運動ならびに様々な身体的パラメータに関するデータを受け取ってよい。またコントローラは、たとえばダイアル、ボタン、タッチパッド、または、車両のサスペンションシステムをどのように制御するかを決定する際に用いられ得る情報を乗員がコントローラへ直接入力することを可能にする同様の種類の入力装置などの入力デバイスによって、1または複数人の乗員から彼らの本人識別および/または快適性レベルを示す情報を受け取ってもよい。以下で詳述するように、コントローラは、車両の位置を決定するために、グローバルポジショニングシステム(GPS)または他の位置ベースデバイスから位置情報を受け取ってもよい。この情報は、乗り物酔いが生じる可能性が増加し得る場所を識別するために用いられ得る。この情報を用いて、車両は、これらの場所を避けてルート変更されてよく、および/または、コントローラは、車両がそれらのエリアにいる間、乗り物酔いを緩和することが意図されたモードでサスペンションシステムを動作させ得る。
【0055】
[0101] 上述した入力ソースの1または複数に少なくとも部分的に基づいて、車両および/またはサスペンションコントローラは、たとえば乗り物酔いなど乗員の不快感または苦痛を招き得る道路外乱および/または特性の状況および/またはパターンを識別してよい。コントローラは、それらの発生の記録を一定期間保存してよい。たとえばコントローラは、たとえば特定の周波数範囲における1または複数の方向への加速などの状況および/または車両外乱が車両乗員の乗り物酔いを誘発し得るかを決定するようにプログラムされ得る。乗り物酔いまたは他の疾患が差し迫った、または起こりそうな十分長い期間にわたって、そのようなイベントが発生していると決定した場合、コントローラは、疾患の可能性および/または深刻度を予防および/または低減するために様々な動作パラメータを変更してよい。
【0056】
[0102]
図4は、乗り物酔いの可能性増加に関連するイベントが存在するか否かを決定するために1または複数のセンサからの情報を受け取る車両コントローラの考えられる実施形態の1つを示す。そのような状況の1つにおいて、路面は、たとえば幹線道路や橋の伸縮継目またはコンクリートスラブの境目など規則的な高さ変化を含んでよく、これは、車両がこれらの走行面を走行する特定の距離期間、サスペンションの摂動をもたらし得る。この運動は、たとえば加速度計などのセンサを用いて検出され得る。たとえば図において、車両130は、距離L離れた133aおよび133bにピークを有する路面131に沿って移動している。車両30が時速40マイルで移動しており、距離Lが147フィートである場合、車両はピーク32aからピーク32bまで2.5秒で移動する。そのようなピークが路面に沿って一定間隔Lフィートで再び現れ、車両が時速40マイルを維持する場合、約0.4Hzの周波数で車両に上下加速が加えられる。この周波数は一般に、乗り物酔いを招き得る周波数帯域の範囲内であると認識される。
【0057】
[0103] 上記実施形態において、関連するピークに起因する検出された車両摂動が、たとえば1分、3分、5分、または10分などの閾値時間より長く継続した場合、車両および/またはサスペンションシステムのコントローラは、車両および/またはサスペンションシステムに、加わった運動を低減または変更するための措置を取るように命令してよい。たとえば、上記と同じ路面形態の場合、自律または半自律車両が時速65マイルまで速度を増加しようとすると、道路誘発励起は、一般に乗り物酔いを招き得る周波数帯域外であると認識される約0.65Hzの周波数で生じる。また、いくつかの実施形態において、コントローラは、移動方向と異なる方向への運動を車両に誘発するために、能動サスペンションまたは車両の一部に関連する他のアクチュエータを用いてよい。誘発された運動は、誘発された運動の前、後、または同時に生じる運動の影響を隠蔽するために用いられ得る。たとえばコントローラは、車両乗員が経験する全体的運動を変更するようにプログラムされ得る。これはたとえば、能動サスペンション誘発外乱を道路誘発外乱と重ねることによって実現され得る。時速40マイルで移動している
図3に示す車両の場合、車両乗員が経験する運動周波数は、車両がポイント32aおよび32bにおいて予想される道路外乱の間にある時に生じる1または複数の追加の変位ピークを誘発することによって増加され得る。連続的な道路変位の間でサスペンションシステムによって適用されるサスペンション誘発変位ピークの数によって、これは、車両乗員が経験する運動周波数に、係数2、3、4、5、10、または他の任意の適当な係数の増加をもたらし得る。その結果、以下で詳述するように、コントローラは、乗り物酔いに関連する第1の周波数範囲から乗り物酔いに関連しない第2の周波数範囲へ誘発運動を変化させるために車両の速度を変更し、車両内に運動を誘発して道路誘発外乱を隠蔽するために車両のサスペンションシステムを用い、検出された周波数範囲内の運動を低減するためにサスペンションシステムの運動学的特性を変更し、または上記の組み合わせのいずれかであってよい。
【0058】
[0104] 能動サスペンションを用いて車体に伝達される道路外乱を隠蔽することに関する上記実施形態を詳述する。そのような実施形態の1つにおいて、車両の能動サスペンションシステムは、乗り物酔いの可能性を低減するために車両運動の周波数および/または位相を変更するために用いられ得る。たとえば、能動サスペンションシステムは、車両乗員が経験する全体的運動の周波数を変えるために、車体に伝達される道路誘発運動に加えて車両内に運動を誘発してよい。能動サスペンションシステムによるこれらの誘発運動は、車体のピッチ、ロール、およびヒーブ運動を含んでよい。また、いくつかの実施形態において、結果的に生じる全体的車両運動は、乗り物酔いを招く可能性が低い高周波数であってよい。実施形態に依存して、サスペンションシステムによって車両内に誘発される運動の周波数および/または振幅は、主に乗員が知覚できないように選択され得る。他の実施形態において、能動サスペンションシステムは、制動プロセスによって誘発される外乱周波数を変更するために、たとえば進んでは止まる走行中、車両のピッチを意図的に変化させるために用いられ得る。当然、能動サスペンションシステムは、関連する路面から車体へ伝達される特定の種類の運動を隠蔽するために、上述したピッチ、ロール、および/またはヒーブ運動の1または複数を含む複数の種類の運動を車体に加えるために用いられ得ることを理解すべきである。
【0059】
[0105] 上記に加えて、車体に加わる全体的運動の周波数を変更することによって道路誘発外乱を隠蔽することは、位相オフセットサスペンション誘発外乱のマグニチュードが道路誘発外乱のマグニチュードと同等である場合、より効果的であってよい。当然、これが(エネルギー消費制限によって)望ましくない場合または(利用可能なアクチュエータ移動の不足によって)不可能である場合、能動サスペンションシステムによる車両に加えられる外乱の隠蔽は、道路誘発外乱よりも振幅が小さくてよい。
図5は、複数のサスペンション誘発外乱141と重ねられ、すなわちそれによって隠蔽された道路誘発外乱140の実施形態を示す。図に示すように、道路誘発外乱は、サスペンションシステムによって示される重ねられた高周波数外乱よりも低い周波数の外乱である。また、この特定の実施形態において、サスペンションシステムを用いて車体に加わる外乱は、道路誘発外乱よりも小さい振幅を有する。
【0060】
[0106] 上記実施形態は、対応する道路誘発外乱以下のマグニチュードを有するサスペンションシステム誘発外乱を用いることを説明するが、サスペンションシステム誘発外乱が、対応する道路誘発外乱よりも大きいマグニチュードを有する実施形態も考えられる。たとえば、上述した様々な動作パラメータに応じて、車体へのサスペンションシステム誘発外乱は、車体への道路誘発外乱の約10%、30%、50%、80%、100%、または他の任意の適当なパーセンテージのマグニチュード以上であるマグニチュードを有してよい。対応して、サスペンションシステム誘発外乱は、道路誘発外乱の約150%、120%、100%、80%、50%、または他の任意の適当なパーセンテージのマグニチュード以下であるマグニチュードを有してよい。たとえば、所定の周波数範囲内の車体への道路誘発外乱の約50%以上150%以下であるマグニチュードを有するサスペンション誘発外乱を含む、上記範囲の組み合わせも考えられる。
【0061】
[0107] 能動サスペンションシステムを用いて上述した外乱を誘発することによって消費されるエネルギー量を低減するために、いくつかの実施形態において、コントローラは、たとえば乗り物酔いなどの不所望の状況が、それに寄与する状況が閾値期間を超えて存在することにより起こりやすいことが決定された場合、そのような隠蔽方法を利用してよい。隠蔽方法は、車両乗員の少なくとも1人が、適当な入力を用いて、閾値不快レベル以上の不快レベルを示した時に開始されてもよい。コントローラは、以下で詳述するように、1または複数のセンサを用いて1または複数人の乗員の不快レベルを決定してもよい。
【0062】
[0108]
図6は、信号規制交通において走行中の車両150を示す。位置151aおよび151cにおいて、車両は前進し、位置151bおよび151dにおいて、車両は制動している。一般に、各制動イベントにおいて車両は、減速率によって決定される量だけ前方へ傾く。交通状況により、たとえば制動イベントが20フィートごとに発生し、車両が平均時速5マイルで走行している場合、制動イベントの発生の周波数は0.36Hzであり、これは一般に乗り物酔いを誘発すると見なされる周波数範囲内である。実施形態において、コントローラは、1または複数のセンサからのデータに基づいて、たとえば0.05Hz〜1Hz、0.05Hz〜0.5Hz、0.08Hz〜0.4Hzの範囲または他の任意の適当な周波数範囲内で生じる制動誘発外乱のパターンを認識するために用いられ得る。このパターンが閾値期間継続し、および/または1または複数人の人間が乗り物酔いに罹っていることを示す、車両の1または複数人の乗員からの情報が受け取られた場合、コントローラは是正措置を行ってよい。たとえばコントローラは、たとえば乗り物酔いなどの不快感を招き得る範囲を超えるように制動周波数を移行させるため、交通状況によって必要でなくともより頻繁に制動してよい。またコントローラは、車体および/または1または複数人の車両乗員に関連する車両部分の検出されたピッチ運動を低減または除去するように車両の能動サスペンションシステムを動作させてもよい。
【0063】
[0109] 上述した実施形態は、各制動イベントに関連するピッチを低減または除去することを説明するが、いくつかの実施形態において、省エネルギーのために、制動イベントの一部に関連するピッチを低減または除去するように車両の能動サスペンションシステムを作動する必要があり得る。たとえば、3回の制動イベントのうち2回におけるピッチが能動サスペンションシステムによって除去される場合、制動イベントの数が同じままでも、ピッチイベントの周波数は、乗り物酔い誘発周波数範囲外の周波数範囲に移行され得る。
【0064】
[0110] 多少類似した実施形態において、
図7に示すように、能動サスペンションシステムを有する車両160は、任意の数の様々な状況においてピッチ運動を経験し得る。ただし、車両のピッチ運動を生じさせる特定の状況にかかわらず、一般的な車両において、前列の乗員は、中央または後列座席にいる乗員よりもピッチ運動における回転の中心に近くなり得る。したがって、いくつかの実施形態において、車両および/または能動サスペンションコントローラは、車両が通常運転中にピッチする、および/またはピッチ運動が乗り物酔いに関連する周波数範囲内にあり車両が乗り物酔いを低減するモードで運転される場合、後部座席の乗員が経験する上下運動を低減または除去するように、アクチュエータ161aおよび161bを含む能動サスペンションシステムを動作させてよい。
【0065】
[0111] いくつかの実施形態において、車両の様々な部分に関連する複数のサスペンションシステムが車両に搭載され得る。たとえば、第1のサスペンションシステムは、車両のホイールと車両シャシまたは車台との間に設置され得る。第2のサスペンションシステムは、シャシまたは車台と乗客室との間に設置され得る。第3のサスペンションシステムは、たとえば車両乗員座席および/またはテーブルまたはデスクといったワーク面など乗客室内の1または複数の構造と乗客室との間に設置され得る。
【0066】
[0112] 車両内で複数のサスペンションシステムが用いられる場合、これらのサスペンションシステムの1または複数は、能動、半能動、受動、またはそれらの組み合わせであってよい。また、サスペンションシステムの各々は、独立して、あるいは他のシステムの1または複数と協調して作動してよい。サスペンションシステムの各々は、1または複数のセンサを共有してよく、または、同じまたは異なるソースからの情報を受け取ってよい。たとえばサスペンションシステムは、それらが電気通信状態にある中央コントローラによって制御されてよく、および/または、各サスペンションシステムに関連する個々のコントローラと電気通信状態にあってよい。また、サスペンションシステム内の各アクチュエータおよび/またはダンパは、そのサスペンションシステムの中央コントローラと電気通信状態にあり、および/または各アクチュエータと個々に関連する複数の分散型コントローラと電気通信状態にあってよいが、本開示はこの形式に限定されない。
【0067】
[0113] 1または複数の能動サスペンションシステムが車両内で用いられる実施形態において、1または複数の能動サスペンションシステムは、車両の1または複数の部分において、車両の他の部分および/または絶対座標系に対する所望の運動を誘発するため、または特定の不所望の運動を抑制するために用いられ得る。たとえば、車内の1または複数の座席は、乳幼児の睡眠を促し、および/または眠気を誘うように動かされ得る。この運動は、他の人間によって、および/またはコントローラによって自動的に選択された、所定の周波数および/または振幅であってよい。他の実施形態において、使用中の特定の座席は、使用されていない他の座席よりも大きな程度、特定の周波数範囲に関連する運動を低減するように制御され得る。あるいは、車内の1または複数の座席は、乗客室内の他の座席よりも大きな程度、特定の周波数を抑制するように制御され得る。そのような実施形態は、車内の1または複数人の乗員が、同じ車内に存在する他の乗員よりも乗り物酔いに対して敏感である場合、1または複数人の乗員が、乗り物酔いを誘発しやすい方向を向いている場合、または、乗員がたとえば背中の不具合など特定の病気を有する場合、有利であり得る。そのような人が座っている座席は、たとえば顔認識カメラなどのセンサを用いて、または車内の乗客がコントローラにデータを提供することを可能にするデバイスを用いて決定され得る。車内の様々な構造を個々に制御することに関する利点は、省エネルギー、全乗員の全体快適性の向上、およびアクチュエータの不必要な摩耗および損傷の防止を含み得る。
【0068】
[0114] 上述したように複数のサスペンションシステムが用いられる実施形態において、様々なサスペンションシステムが、独立して、および/または互いに関連して用いられ得る。たとえば、1または複数の座席サスペンションシステムは、独立して、または車体およびホイールに関連する車両能動サスペンションシステムと関連して用いられ得る。そのような実施形態の1つにおいて、様々なサスペンションシステムが、様々な周波数範囲内で伝達される運動を低減するために用いられ得る。上述したように、これらの様々なサスペンションシステムは、車両の異なる様々な部分に関連してよい。ただし、1つの実施形態において、座席サスペンションシステムは、座席上の乗員に伝達される第1の周波数範囲内の運動を低減するために用いられてよく、関連する車両能動サスペンションシステムは、異なる第2の周波数範囲内の運動を軽減するために用いられる。これらの異なる周波数範囲は、任意の適当な周波数範囲に対応してよく、本開示はその点で限定されない。ただし、車両の下側質量部が低い周波数においてより大きな程度まで減衰され、車体が高い周波数においてより大きく減衰される実施形態は、より少ないエネルギーしか必要とせず、すなわち、全体エネルギー消費を低減する。これは、低周波数運動の方が単位質量ごとの減衰により多くのエネルギーを要することに起因し得る。したがって、より重い車体を高い周波数で減衰し、より軽い座席を低い周波数で減衰することにより、エネルギー消費が低減され得る。そのような実施形態の1つにおいて、座席および/または乗客室サスペンションシステム、または車両の一部に関連する他のサスペンションシステムは主に、約0.05Hz〜0.5Hzまたは0.05Hz〜1.0Hzの低周波数振動を軽減するために用いられてよく、能動サスペンションシステムは主に、座席サスペンションシステムによって軽減される周波数より高い周波数を有する外乱から車両を隔絶するために用いられる。特定の周波数範囲が上述されたが、当然、車両の一部に関連する様々なサスペンションシステムは、上述した周波数範囲の上下両方の範囲を含む任意の数の様々な周波数範囲において動作してよい。
【0069】
[0115] 上述したように、車両の特定の部分は、車体の他の部分から独立して制御され得る。たとえば、座席は、たとえば0.05〜1Hzなど特定の範囲内の周波数を除去するように制御され、車体の他の部分は、1Hzを上回る周波数において制御され得る。しかし、特定の状況下で、これは車室内の様々な構造間に大振幅相対運動をもたらすことがあり、外乱および/または車両の構造と乗員との不所望の接触を招き得る。したがって、いくつかの実施形態において、乗客室または車両の他の部分における様々な構造の運動は様々な周波数範囲内で制御され、これらの構造間の相対運動は、相対運動閾値以下に限定され得る。これは、構造の運動および位置に関連する能動フィードバックによって制御されるか、またはいくつかの実施形態において、2つ以上の構造間の少なくとも1方向への相対運動を制限するために機械的拘束が用いられ得る。たとえば、乗員室が車両シャシとは別に制御される場合、2つの構造間の相対水平運動を制限するために機械的拘束が追加され得る。
【0070】
[0116] 座席能動サスペンションシステムは、たとえば自動車などの車両での使用に関して上述されたが、座席能動サスペンションシステムは、たとえばボートまたは他の船舶などを含む他の種類の乗り物において、乗り物酔いに関連する周波数範囲内の振動から乗客を隔絶するために用いられてもよい。したがって、以下で詳しく図示するように、いくつかの実施形態において、座席サスペンションシステムは、ボートまたは他の船舶において、船舶が乗り物酔いを招き得る特定のイベントパターンに晒される場合常に用いられてよい。他の実施形態において、座席能動サスペンションシステムは、1または複数人の乗客によって要求された時に動作してよい。座席能動サスペンションシステムは、1自由度(たとえば上下方向制御など)、または関連する座席におけるピッチ、ロール、および/またはヒーブ運動を生成するために複数自由度を有してよい。
図8〜
図9は、この概念の様々な実施形態を示す。
【0071】
[0117]
図8は、アクチュエータ171aおよび171bを含む能動サスペンションシステムを有する車両170を示す。また車両は、座席サスペンションシステム172も含む。いくつかの実施形態において、座席サスペンションシステムは、車体に伝達される低周波数振動または運動が車両乗員173に伝達されることを減衰するために用いられ得る。上述したように、この構成は、能動サスペンションシステムが車両全体の低周波数振動を制御するために用いられる場合よりも、長期間にわたり能動的に制御する必要のある質量が比較的小さいことから、省エネルギーをもたらし得る。ただし、ホイールおよび車体に関連する能動サスペンションシステムが同じ周波数範囲において運動を大幅に低減するように動作する実施形態も考えられ、本開示はその点で限定されない。
【0072】
[0118]
図9は、座席サスペンションシステム181が、関連する座席に座った乗員182に到達する振動または他の運動のマグニチュードを低減する船舶180を示す。いくつかの実施形態において、アクチュエータは、乗り物酔いに関連する周波数範囲内の振動および運動を主に軽減するために用いられ得る。特定の実施形態によると、座席サスペンションシステムは、車両乗員による要求時に、乗り物酔いに関連する周波数範囲内の運動を軽減するために用いられ得る。また、サスペンションシステムは、以下で詳述するように、乗り物酔いの可能性増加に関連するイベントパターンが車両および/またはサスペンションシステムコントローラによって認識された時、乗り物酔い周波数範囲内の運動を軽減するために用いられてもよい。
【0073】
[0119] 1つの実施形態において、自律車両および/または能動サスペンションシステムのコントローラは、車内の1または複数人の乗員の乗り物酔いに対する感受性および/または車両が走行し得る様々な経路の道路特性および走行特性に関する情報に基づいて経路選択をしてよい。たとえば自律車両のコントローラは、1つの道路の路面状態と可能な走行速度との組み合わせが乗り物酔いを招く可能性が低いという理由によって、他の道路ではなくその道路を選択してよい。また、以下で詳述するように、特定の場所が、車両の1または複数人の乗員が乗り物酔いを経験する可能性の増加に関連付けられ得る。その結果、車両がこれらのエリアに所在する時、車両および/または能動サスペンションシステムのコントローラは、車両乗員の乗り物酔いが生じる可能性を低減するために本明細書で説明される乗り物酔い軽減技術のいずれかを実行してよい。そのようなシステムおよび方法の特定の実施形態が以下で詳述される。
【0074】
[0120] 特定の状況下で、車両および/またはサスペンションコントローラによる是正措置の必要性は、特定の車両機能の実行時に不所望の外乱の発生を防止するために車両コントローラが用いられる場合、最小限になり得る。たとえば、信号規制交通において、一定の間隔で車両を停止するために繰り返しブレーキを利用するのではなく、他の車両との最適な距離が維持され、ブレーキの使用を最小限にすることができるように、車両を加速および減速するためにスロットル、トランスミッション、および測距システムが用いられ得る。また、旋回中、車両コントローラは、乗り物酔いの可能性増加に関連する周波数範囲における横外乱の発生を最小限にするために、利用可能な旋回半径と車両速度とを最適に合致させるようにステアリングおよびエンジンスロットルを動作させ得る。経路計画システムは、最適なGPS経路および/または車線を選択し、乗り物酔い周波数範囲における外乱を最小限にするために、前方監視カメラ、GPSシステム、および路面データベースを利用してよい。これは、たとえば特定の場所に関する情報をその場所を走行中の車両に送信するクラウドベースサーバなど、車両に送信される遠隔記憶データに少なくとも部分的に基づいてよい。車両の横方向運動を低減するための車両およびサスペンションシステムの動作が上述されたが、車両の速度、旋回半径、および1または複数のサスペンションシステムは、ピッチ、ロール、ヒーブ、横方向、および軸方向を含むがこれに限定されない任意の方向への所望の運動量の低減をもたらすように制御され得ることを理解すべきである。また、能動サスペンションシステムが用いられる例において、能動サスペンションシステムは、自律駆動モードで実行される様々な操縦に関する所望の車両姿勢をもたらすように制御され得る。
【0075】
[0121] 1つの実施形態において、計画された走行経路に沿って様々な状況に遭遇する前に車両および/またはサスペンションシステムコントローラが乗り物酔い軽減方策を決定することが望まれ得る。そのような実施形態において、たとえば前方監視センサによって収集されたデータおよび/または所望の経路に関連する過去に収集されたデータの1または複数に基づき、コントローラによって、予定経路に関して予想イベントパターンが予測され得る。任意の適当な種類の前方監視センサが、移動方向において車両の前方に位置する走行面から情報を感知するために用いられてよく、適当なセンサは、光学カメラ、赤外カメラ、レーザ距離計、レーダ、ライダ、または他の任意の適当なセンサを含むがこれらに限定されない。過去に収集された道路データを用いる場合、車両は、過去の移動時に同じ車両によって収集および記憶された情報を呼び戻し、他の車両から無線送信された情報を受信し、および/または、過去の移動中に他の車両によって感知された道路情報を記憶する、遠隔に位置するコンピューティングデバイスまたはサーバからの情報を受信してよい。たとえば、乗り物酔いに関連する周波数範囲内の運動を検出する車両は、中央サーバまたはコンピューティングデバイスへ経験したイベントおよび場所を送信してよく、これらはそこで、これらの場所を通る走行を計画中またはこれらの場所を走行中の車両へ今後送信するためにデータベースに記憶される。
【0076】
[0122] 前方監視センサからの情報および/または過去に記録された情報を用いて、車両コントローラは、予定経路に沿った、乗り物酔いの可能性増加をもたらし得る状況の場所を識別してよい。その後、識別された場所に車両が位置する時、乗員が乗り物酔いの可能性増加を招き得る外乱に晒されることを回避するために、是正措置が計画および実行される。また、前方監視センサを用いて、車両は、周辺環境を走査し、車両周辺環境および物体の地図を作成してよい。補正を必要とする道路状況を分類するために設定された高さおよび周波数閾値に基づいて、車両は、状況を経験する前に道路特性の予測的知識を有する。更新された3D地図を用いて、車両は、障害物が静止しているか移動しているかにかかわらず、それを通る適当な移動経路、および様々な操縦に必要なエネルギー量を決定してよい。
【0077】
[0123] サスペンションシステムの動作を変更することに加えて、車両の乗り物酔い回避アルゴリズムは、中央データベースからの入力または位置およびGPSベースの道路データに基づいた位置を用いて、従来駆動型車両に経路変更を提案するか、あるいは自律または半自律車両に関して予定走行経路を変更してよい。そのようなアルゴリズムは、乗り物酔い誘発状況を回避するために、目的地に到達するための選択経路を変更してよい。そのような状況は、既知の乗り物酔い誘発道路または道路区画、現在の交通状況、および/または乗り物酔いに寄与し得る他の任意の要因に基づいてよい。ただし、いくつかの実施形態において、経路計画の検討を含む乗り物酔い回避アルゴリズムは、乗員の要求および/または嗜好に基づいて中止されてもよい。
【0078】
[0124] 実施形態において、たとえば乗り物酔いなどの不快感を誘発し得る動作条件を示す1または複数のセンサから車両乗員へのデータは、今後の使用または呼び戻しのために記憶される。このデータは、車両においてローカルに、または遠隔に位置するサーバまたはデータベースにおいて遠隔に記憶され得る。後述するように、このデータは、たとえば乗り物酔いなど乗員の不快感を示す、またはその前兆となる特定のパターンの動作パラメータの今後の発生を識別するために用いられ得る。この記録データはその後、車両乗員の不快感を誘発しやすいイベントおよび/または位置を識別するために、たとえば特定の乗員、特定の道路区画、または特定の車両に関する予測ツールとして用いられ得る。またこのデータは、たとえば他の車両と共有されるか、あるいは車両が適当なインターネットポータルに接続すると無線または有線接続のいずれかを介して車両と通信するたとえばデータベースまたはサーバなどの中央リポジトリへアップロードされ得る。アプリケーションに応じて、このデータは、車両乗員に関するデモグラフィック情報を伴いまたは伴わずに送信され得る。その後データは、様々な道路または人口層に普遍的または固有であり得る乗り物酔いまたは他の車両関連症状を予測するために実際の動作条件と比較するためのテンプレートとして用いられ得る動作パラメータのパターンを識別するために中央で分析され得る。乗り物酔いを予測するためのテンプレートとして用いられ得る運動パターンの特定の非限定的な例を以下で詳述する。
【0079】
[0125] いくつかの実施形態において、車両センサおよび/または利用可能なデータが、最近経験された運動パターンに起因して、状況が不快感(たとえば乗り物酔い)を招く可能性が高いことを示す場合、車両および/またはサスペンションコントローラは、本明細書で説明される運動および/または乗り物酔い軽減方法およびシステムのいずれかを用いて状況を軽減するために防止策を施してよい。そのような情報はその後、たとえば無線接続またはインターネットを用いて、他の車両および/または遠隔に位置するサーバまたはデータベースと共有され得る。したがってデータベースは、今後生じるそのような状況の軽減に役立つように、車両がアクセスし得るそのような共有情報によって展開され得る。このデータベースは、状況情報、運転情報、および/または地理情報を含んでよい。たとえばいくつかの実施形態において、車両センサが、たとえば乗り物酔いなど乗客の不快感を招く傾向がある道路状況を検出した場合、そのような状況の表示が1または複数の他の車両および/または中央データベースまたはサーバへ送信され得る。それによって他の車両は、車両が感知する前に不快感を招く道路状況を回避または補償することができる。車両が、乗客の不快感を招き得る状況を検出すると、深刻度の表示も検出パターンに割り当てられ、他の車両または関係者へ送信され得る。深刻度のレベルに応じて、車両は、予定経路を変更するか、または、車両が道路摂動を経験すると、たとえば1または複数人の車両乗員にとって乗り物酔いを招きまたは不快になり得る特定の周波数範囲において、車体または車内構造をより積極的に隔絶すること、および/または速度を変更することによって、道路摂動を補償してよい。
【0080】
[0126] 特定のアプリケーションにおいて、様々な地理的条件および/または場所について車両が経験する状況に関する乗員入力を記録することが望ましい。たとえば、車両乗員は、特定の地理的条件および/または場所に関する情報を車両コントローラへ入力してよい。また、いくつかの例において、特定の場所および/または状況において車両がどのように挙動すべきかに関する情報を乗員がコントローラへ入力することが望ましい。たとえば、乗員は、そのエリアの走行中にたとえば運動軽減の強化など特定の方法で車両サスペンションに挙動させる意図で、特定の建設ルートが発生している場所を示すことができる。上記実施形態と同様に、乗員の不快感を招くと識別された地理的位置、経路、および/または状況は、その後、今後の使用および/または記憶のために他の車両および/または中央データベースへ送信され得る。そのような実施形態の1つにおいて、車両乗員フィードバックおよび道路状況検出に基づいて、地理的位置は、たとえば乗り物酔いなど車両乗員の不快感の高まりをもたらすと識別され得る。この情報はその後、その経路を走行する可能性がある1または複数の車両へ送信され得る。車両または乗員は、車両乗員の不快感の発生率を低減するために、そのように識別された経路を回避することを決定してよい。また、他の実施形態において、車上ローカルデータベース、遠隔データベースから得た、および/または他の車両から送信された情報に基づいて、車両のコントローラは、最も快適(すなわち平坦)な経路を推奨し、たとえば時間、料金、景観、乗員要求など特定の制約において可能な最良の乗車体験、電力消費の低減、ならびに車両を制御するための他の任意の所望のメトリックを有する経路を導くために経路指定アルゴリズムと結合された道路粗さデータを備えたネットワークアクセス可能データベースからの情報を用いてよい。たとえば自律車両は、データベースまたは過去の移動からの情報を用いて窪みまたは他の障害物の位置を決定し、これらの道路特徴を回避する移動経路を計画することができる。
【0081】
[0127] 車両運動中、車両センサは、道路摂動をカテゴリに分類してもよく、これは、道路のメンテナンスおよび維持の支援に役立ち得る。車両運動中に識別された道路プロファイルに関するデータは、中央データベースまたはサーバに送信されることができ、そこで、特定の場所に関連する道路状況の総合的マッピングを生成するために複数の車両からの情報と集約される。このデータベース内で識別された道路状況、および/または個々の車両から直接提供された情報は、その後、道路状況記録の更新を維持するために地方自治機関へ提供され得る。たとえば、窪みや道路陥落の場所および深刻度が識別され、道路メンテナンスおよび維持をより効率的に行うために地方自治機関へ報告され得る。様々な車両センサによって感知された道路状況は、たとえばアンチロックブレーキシステムの作動などの情報、カメラ、および/または他の任意の適当な種類のセンサまたはシステムを用いて識別され得るたとえば雪や凍結などの天候関連状況も含んでよいが、これに限定されない。この情報もまた、中央サーバまたはデータベースへ提供され、そこで分析および/または共有され得る。窪みおよび他の道路障害の場所のマッピングは、様々な関係者のためのサービスとして実行され得る。そのような実施形態の1つにおいて、たとえば窪みなどの特徴を含む路面における摂動を識別するために、特定の路面による公称外乱に対する車両のホイールおよび/または車体に入力された外乱のマグニチュードおよび方向が用いられ得る。また、所与の車両速度における特定の外乱のマグニチュードは、特定の特徴の深刻度、すなわちサイズを決定するために用いられ得る。この情報もまた、サスペンションシステムの動作および/または経路計画を少なくとも部分的に制御するために位置情報と結合され得る。また、この情報は、経路計画および運動軽減方策における今後の使用のために、中央データベースへアップロードされ、および/または他の車両へ送信され得る。
【0082】
[0128] 道路走行中の車両運動は一般に、6自由度で生じる。したがっていくつかの実施形態において、能動サスペンションシステムは、車両のヒーブ、ピッチ、および/またはロールを制御するために用いられ得る。ただし、たとえば完全自律または一部自律車両などいくつかの実施形態において、車両における推進システム、操舵システム、および/または他のシステムは、たとえば乗り物酔いを軽減するために、前後方向、ヨー方向、および横方向の運動を制御するために用いられ得る。また、車両の速度を変更することによって、たとえば間隔のあいた隆起や路面における変化に起因する縦外乱など、車体および/または乗員が晒される道路誘発外乱の周波数および/またはマグニチュードを変えることができる。
【0083】
[0129] いくつかの実施形態において、一部または完全自律制御下にある車両内の1または複数のコントローラは、たとえば能動サスペンション、人の不快感を招き得るイベントおよび/またはパターンに対する車両の動作を調整するために、推進システム(たとえばスロットル)、制動システム、および/または操舵システムを含む上述した車両システムの2つ以上を制御するために用いられ得る。また、これらの車両システムの動作は、車両および/または車内の乗員が晒される力および/または加速の周波数、方向、および/またはマグニチュードを変更するために用いられ得る。2つ以上のそのようなシステム間のこの調整は、たとえば乗り物酔いが生じやすいと決定された場合など長期間にわたり単一イベントのために確立されてよく、および/または車両運転中を通して用いられてもよく、本開示はこの形式において限定されない。また、車両および乗員の運動を制御するためのこれらのシステム間での調整が説明されたが、これらの車両システムがこれらの運動を軽減するために個々に制御される実施形態も考えられる。
【0084】
[0130] 典型的な実施形態の1つにおいて、一部または完全自律車両における1または複数のコントローラは、車両が、たとえば特定の閾値を下回るロール角、最大ロール角、および/または最大ロールレートなど所望の姿勢に維持され、たとえば関連する能動サスペンションシステムの動力、エネルギー、力、および/または周波数応答制限を越えないように、来るカーブを通行する際に車両が晒される求心加速度を低減するように車両の速度を調整するために用いられ得る。
【0085】
[0131] 他の実施形態において、車両内の1または複数のコントローラは、たとえばエネルギー閾値、力閾値など所望の閾値範囲内に能動サスペンションシステムの動作を維持しながら能動サスペンションシステムが所望の正、中立、または負のロール角に車両を維持することができるように、車両が道路内で旋回または他の操縦をナビゲートすべき適切な速度を決定するために用いられ得る。いくつかの実施形態において、たとえば能動サスペンション、推進、および制動システムなど2つ以上のシステム間での調整は、制動イベントの周波数、車両速度、加速度、減速度、および他の適当なパラメータを変更することによって制動中の車両ピッチを制御するためにも用いられ得る。また、1または複数人の乗客が乗り物酔いまたは他の不快感を被りやすいことが決定されると、本明細書で説明されるような、言及される車両システムの1または複数を用いる上記または他の軽減技術が開始されてよい。
【0086】
[0132]
図37は、上述したような自律、半自律、および従来駆動型車両のナビゲーションおよび動作を支援するために用いられ得る位置タグ付きデータベース(LTD)の実施形態を示す。道路に沿った位置と関連付けられ得るLTD内の情報は、たとえば地形データ901、道路軌跡データ902、道路状況データ903、ユーザモード嗜好情報904、運転者挙動データ905、乗り物酔い誘発要因906、およびユーザ選択高さ調整907を含んでよい。LTD内の情報は、路上を走行中の車両および/またはバッチおよび/またはアーカイブソースを含む様々なリアルタイムソースから収集され得る。
【0087】
[0133] LTDの特定の実施形態において、たとえばGPS受信機によって得られ得るような位置決めデータは、信頼性の高いナビゲーションを可能にするために十分ではない解像度を有することがある。したがって、LTD内のグローバルポジショニングデータは、たとえば樹木、電柱、橋、建物、道標、および/または、たとえば旋回の相対位置、海抜の変化、および路面粗さおよび/または奇形を含む走行中の道路に関する詳細などの特徴の相対位置に関する情報と関連付けられ、およびそれによって補強され得る。
【0088】
[0134] そのようなローカルデータセットは、より低レベルの粒度を有し得る大きな縮尺またはグローバル座標と関連して記憶され得るパターンを生成するために用いられ得る。これらのローカルパターンはその後、より粒度の低いグローバル位置決めデータによって可能なものよりも道路に対してより正確に自身の位置を決定するために、車両によって用いられ得る。
【0089】
[0135] このより高い粒度のローカルデータは、たとえば路上を走行する車両、グーグルストリートビューを含むがこれに限定されない第三者アプリケーション、測量業者、衛星撮像業者、市政機関など様々なソースから受け取った情報からコンパイルされ得る。
【0090】
[0136] いくつかの実施形態において、LTD内の情報は、交通情報業者、市政機関、および/または警察機関を含むがこられに限定されない様々なソースからリアルタイムで得られた、たとえば交通状況および雪や凍結を含んでよい。また、路上の瓦礫および/または短期間の妨害物や障害物に関するデータも収集され得る。いくつかの実施形態において、このデータには、路上妨害物または障害物が修復、変造、または除去されるような崩壊寿命および/または崩壊率が割り当てられてよく、LTDに記憶されたデータは、路上で車両が妨害物または障害物に遭遇したという報告の数に基づいて一定期間後に更新され得る。このデータはいずれも、たとえば自律車両および従来駆動型車両、および能動、半能動、および受動サスペンションシステムを有する車両など任意の車両種別に提供され得る。
【0091】
[0137]
図38は、リアルタイムデータソース(複数も可)910と、第三者アプリケーション911と、たとえば自律車両、従来型車両、非能動サスペンション車両、能動サスペンション車両のコントローラおよび/またはセンサ、および/または他の任意の適当な情報源など様々なソースから情報を取得し得る複数の車両912との間で情報を交換するLTD900を示す。データベースと車両との情報交換は、リアルタイム、および/または都合の良い時に転送され得るバッチ形式であってよい。たとえば、LTDと車両との間で、運転中を通して使用されると予想される場合は継続的に、および/または車両が適当なドッキングステーションまたは他の種類の接続に停車した時、情報を転送するために無線通信および/または物理インターネット接続が用いられ得る。特定の実施形態において、これらのソースの1または複数との情報転送は、一方向または双方向であってよい。
【0092】
[0138]
図39は、道路に関する情報を収集および/またはLTDへ提供し得る計測車920の実施形態を示す。情報は、たとえばGPS受信機921、人監視センサ922(たとえば加速度計、装着デバイス、温度センサなど)、道路イベントを報告するためのヒューマンマシンインタフェース923(たとえば情報を入力するためのボタンまたはタッチパッド端末)、光学センサ924、ライダ925、前輪加速度計926、後輪加速度計927、シャシ加速度計928aおよび928b、および/または、車両および/または車内の乗員に関連する任意の適当なセンサなどのセンサを用いて収集され得る。上述したように、情報は、車両と、たとえばLTDなど遠隔に位置するサーバおよび/またはデータベースとの間で、衛星通信、赤外線、無線、マイクロ波、Wi−Fi、およびモバイルネットワークを含むがこれらに限定されない無線通信および物理接続の両方を含む様々な種類の通信を用いて信号送信/受信デバイス929を用いて交換されてよく、本開示は、任意の特定の種類の通信方法に限定されない。
【0093】
[0139]
図40は、車両の1または複数の能動サスペンションアクチュエータのコントローラ930の実施形態のブロック図を示す。1つの実施形態において、低解像度GPSデータ931が収集され、車両が位置する道路区分に関連する近位情報932を識別するために用いられる。この近位情報は、ローカルデータベース(すなわち車両データベース)、遠隔LTD、および/またはそれらの組み合わせから取得され得る。センサ入力936は、たとえばIMUからの車体加速度を含んでよく、速度計読取値、ステアリングホイール位置、物体との距離、および車両が走行している道路に関する他の種類のセンサデータは、近位情報932に存在する1または複数の特徴パターンと比較され得る。この感知データは、道路フィルタ933によって、感知情報と近位情報との合致を識別するために記憶パターンと比較され得る。この感知情報と近位情報との相関性はその後、より正確に路上の車両の位置を示すために用いられ得る。この高精度の位置特定はその後、より効果的に道路特性を予期し、それに応答するために、サスペンションアルゴリズム934へ情報を提供するために用いられ得る。
【0094】
[0140]
図41は、車両940による情報の収集およびデータベース944との交換の1つの実施形態のブロック図である。図示された実施形態において、センサ941は情報を収集し、情報の少なくとも一部を能動または半能動システムの1または複数のサスペンションアクチュエータ942へ提供する。センサによって収集された情報の一部または全部はその後、最新センサキャッシュ943に記憶される。情報センサキャッシュの一部または全部は、たとえばLTDなど遠隔に位置するデータベース944へもリアルタイムでおよび/またはその後都合の良い機会に伝達される。別途、LTDからの情報は、車両の近位マップキャッシュ945において受信され、サスペンションアクチュエータを制御するためにリアルタイムセンサデータと組み合わせて用いられ得る。上述したように、データベースと車両との間でデータを送信するために任意の適当な通信技術が用いられ得る。
【0095】
[0141]
図42は、走行車線951の中央を走行する自律車両950を示す。図示された実施形態において、車両950の現在の走行ベクトルは、たとえば窪み、隆起、または他の特徴などであってよい障害物952と衝突する。対照的に、同じ障害物がある同じ道路を走行する車両953は、回避行動を取る、すなわち障害物との衝突進路から外れるように車両を操縦し得る。1つの実施形態において、車両は、走行経路において接近中の障害物を識別するためにたとえば上述した近位情報およびグローバル位置決め情報などの位置特定情報を用いて上記回避行動を取ることができる。この情報を用いて、車両が952へ接近すると、車両は、障害物に対する自身の位置を決定し、許容可能な走行パラメータの範囲内を維持しながら障害物を回避するように走行経路を決定する。走行経路は、1車線における移動、車線変更、または他の任意の適当な車両操縦を含んでよい。適当な走行経路が決定されると、車両コントローラは、障害物を回避するように進路を変更するように車両の操舵システムを動作させ得る。その結果、車両953は、障害物952を回避し得る。この障害物回避能力は、本明細書で論述される他の障害物回避技術とともに、またはその代替として用いられ得る。
【0096】
[0142]
図10は、能動車両サスペンションシステム192、能動座席サスペンションシステム193、および/または1または複数の車両サブシステム191(たとえばスロットル、制動システム、操舵システムなど)が搭載された自律車両のための制御システム190の1つの実施形態のブロック図を示す。ただし、本明細書で説明される様々な概念はいずれも、従来駆動型車両にも同様に実装され得ることを理解すべきである。図示された実施形態において、車両コントローラ194は、能動サスペンションコントローラ196、座席コントローラ195、および車両のこれらの機能(たとえばエンジンのスロットリング、制動、操舵など)を制御するための車両サブシステムコントローラ197を包含する単一の一体型ユニットであってよい。一方、サブコントローラの1または複数は、車両コントローラとは別に収容されてよい。車両コントローラは、センサインタフェース198を介して1または複数のセンサからセンサ情報を受け取り、またユーザインタフェース199を介して1または複数の乗員入力によって1または複数人の車両乗員と通信する。能動サスペンションシステム、座席および他の車両サブシステムを制御することによって、車両コントローラは、乗員200が感じる道路誘発外乱の周波数および位相を制御することができる。またコントローラは、車載データベース、他の車両、および/または中央データベースからの情報を取得するために通信インタフェース201と電気通信状態であってもよい。この情報もまた、所与の時間および/または場所における適当な運動軽減方策および/または経路計画を決定するためにコントローラによって用いられ得る。
【0097】
[0143] データは、たとえば加速度計、ジャイロスコープ、荷重センサ、レーザまたはレーダベースの距離計、光学カメラ、赤外カメラ、車両乗員入力によって受け取られたデータ、それらの任意の組み合わせ、および/または他の任意の適当なセンサを含む様々な車両センサおよび入力から、車両コントローラによって受信され得る。上述したように、ユーザ入力は、自律車両モードが望まれているという表示、乗員の不快感の表示、特定の運転モード(すなわち、スポーツモード対快適性向上モード)が望まれているという表示を含むがこれらに限定されない様々な形式であってよい。これらのセンサの1または複数からの情報は、車両コントローラ194に常駐するパターン検出アルゴリズムに入力され得る。このパターン検出は、たとえばロール、ピッチ、ヒーブ、路面凹凸、加速度、制動、それらの組み合わせ、ならびに他の任意の適当な種類の運動を含む車両運動に関連する任意の所望のイベントパターンを識別するために用いられ得る。識別されたパターンおよびそれらが発生する期間は、車両コントローラ、座席ダンパコントローラ、および/または能動サスペンションコントローラへ入力され得る。その後適当なコントローラが、たとえば車両速度を変更および/または所望の是正措置を実行するようにサスペンションシステムを動作させるなど、必要な任意の是正措置を取るように車両または車両の副部に命令してよい。また、是正措置はたとえば、特定の周波数帯域をより大きな程度まで抑制することおよび/または他の周波数範囲内のエネルギー(すなわち、車体に伝達される運動の増加)を導入するとともに車両の1または複数の部分に運動を誘発すること、および他の任意の数の方策を含んでよく、本開示はその点で限定されない。
【0098】
[0144] 特定の周波数範囲内の外乱のマグニチュードを監視することに加えて、パターン検出は、道路誘発外乱に関する1または複数の周波数範囲内の運動を軽減するために消費されるエネルギー量を監視することも含んでよい。そのような実施形態において、能動サスペンションシステムまたは他の車両システムによって用いられる特定の周波数範囲内の外乱を軽減するためのエネルギーが閾値エネルギーを超えると、能動サスペンションシステムは、この周波数範囲内の運動をより大きな程度まで軽減するように制御され得る。いくつかの実施形態において、言及される周波数範囲は、乗り物酔いに関連する周波数範囲である。
【0099】
[0145] 乗り物酔いおよび道路外乱軽減方法を実行し得るいくつかの典型的なシステムが説明されたが、
図11に、車両の制御方法の典型的な実施形態が示される。この図は、実行中の車両および/またはサスペンションシステム制御ループ220のフローチャートを示す。第1に、たとえば所望の方向に配置された加速度計、3軸加速度計、ジャイロスコープ、車両速度計、IMU、または他の任意の種類のセンサを含む任意の適当なセンサ構成を用いて、221において車両の1または複数の部分の運動が監視され得る。これらのセンサは、車両の所望の動作周波数範囲内の運動を感知し得る。以下で詳述するように、センサによって運動が検出されると、222において適当なイベントパターン認識アルゴリズムを用いて運動が乗り物酔いまたは他の状況に関連するイベントパターンに対応し得るかを決定するために、車両および/またはたとえばサスペンションシステムなどの運動軽減システムのコントローラへ信号が送信される。コントローラは、乗り物酔いを招き得るイベントパターンおよび/または場所の識別に役立てるために用いられ得る道路データ223も受信してよい。上述したように、コントローラへ提供される道路データは、たとえば交通状況などの位置関連情報、道路特徴および形態、前方監視センサデータ、速度制限範囲、および任意の適当なセンサまたはデータベースからの他の適当な種類の情報を含んでよいが、これらに限定されない。
【0100】
[0146] 226において、イベントパターン認識アルゴリズム222、乗客入力224の1または複数からの情報、および車両が通信しているデータベースまたは他の車両からの情報は、226を参照するように1または複数のイベントが、これらの運動および/または状況の車両乗員への影響を軽減するために是正措置を取るべきであるほど十分な閾値持続期間存在しているか、および/または十分な深刻度のマグニチュードを有するかを決定するために用いられ得る。是正措置が必要であるか否かを決定する際に乗員からの入力が考慮されるものとして図示されるが、当然、いくつかの実施形態において、乗り物酔い軽減手順は、車両乗客からの任意のフィードバックなしで用いられてもよい。たとえば、乗り物酔い軽減手順は、乗り物酔いの可能性が高まる速度または交通状況および/またはGPS座標によって決定されたような地理的位置において走行している時、実行され得る。また、そのような軽減手順は、たとえば特定の移動、移動の一部、車両が特定の時間帯に使用される場合、および/または特定の乗客に関して、継続的に用いられ得る。
【0101】
[0147] 適当な是正措置を実行すべきであることが決定されると、車両および/またはたとえばサスペンションシステムなど車両の副部のコントローラは、229において、本明細書で説明されるものを含む任意の適当な運動および/または乗り物酔い解消方策を実行してよい。イベントおよび/またはパターンの種類および深刻度に依存して、是正措置は、即時行われるか、または所定の閾値期間の経過後にそのイベントおよび/またはパターンが継続していれば行われてもよい。実行され得る様々な方策は、乗り物酔いに関連する1または複数の周波数範囲においてサスペンションシステムの性能特性を変更すること、特定の路上で車両速度を変更すること、または車両の運動に影響する外乱の周波数を変えること、ならびに本明細書で説明されるその他を含むが、これらに限定されない。用いられ得る他の方策は、車両の加速、減速、旋回速度、および/または旋回半径を制御し、車両の運動に影響するピッチ、ロール、ヒーブ、横方向、および/または前後の加速の周波数および/またはマグニチュードを変更することを含む。また、いくつかの実施形態において、複数人の車両乗員が不快感を被っている場合、車両制御応答は、最も強い不快感を経験している乗客の乗り物酔い問題に適切に対処するように調整すなわち選択され得る。
【0102】
[0148] 上述した乗客入力に関して、いくつかの実施形態において、車両乗員によってまたは車両によって自動的に選択され得る特定の高レベルモードが自律車両において利用可能であり得る。増加した安定性および快適性がもたらされるスタビリティプラス能動サスペンションモードが利用可能であり得る。たとえば乗員は、特に乗り物酔いに敏感である場合、スタビリティプラスを要求してよい。スタビリティプラスは、乗り物酔いが生じる可能性が非常に高い、たとえば75%を上回る状況が識別された場合、乗員が介入せずとも車両によって自動的に実行されてもよい。いくつかの実施形態において、道路状況に関するフィードバックの増加を伴う道路トラクションおよびスポーツ感覚の増加をもたらすために、乗員によってトラクションプラス能動サスペンションモードが選択されてもよい。トラクションプラスは、たとえば天候条件が特に悪い場合、またはたとえば石油漏出など車両が十分に知覚できない状況が存在する場合、車両によって自動的に実行されるか、乗員の表示によって要求され得る。乗員は、より刺激的でスリリングな乗車体験を経験するために、トラクションの増加を選択してもよい。また乗員は、エネルギーおよび/または電力制限を実行するためにエネルギープラス自律車両モードを選択してもよい。エネルギープラスは、たとえばシステムの1または複数の部分が効率的に機能していないことをシステムが決定した場合、および/または特定の移動行程を完了することができるようにエネルギーを節約する必要がある場合、車両によって自動的に実行されてもよい。また乗員は、たとえば環境に配慮した理由で省エネルギーのためにエネルギープラスモードを要求してもよい。
【0103】
[0149] 1または複数人の乗員について過去に入力または決定された個人的なサスペンション嗜好を示すために1または複数の固有プロファイルが作成され、ローカルおよび/または遠隔に位置するデータベースに保存され得る。たとえば、乗員は乗り物酔いに罹りやすく、速度ではなく快適性を重視した乗車体験を好み得る。各乗員が、車両にプロファイルを保存することができる。移動を開始する前に、各乗員が車両に自分の存在を示すことができ、それによって車両は、示された各乗員に関連する、ローカルおよび/または遠隔に位置するデータベースに記憶された情報に基づいて、決定を下す前にドライブ嗜好を考慮することができる。例において、個々の座席が独立した二次サスペンションシステムに関連する。個々の座席ごとに性能プロファイルが設定されてよく、それらは個人的嗜好に従って各乗員のために独自に機能する。
【0104】
[0150] 車上で是正措置を実行するか否かを決定することに加えて、イベントまたはパターンが、特定の場所における乗り物酔いに関連したと識別され、および/または、検出された運動および/またはイベントが乗り物酔いを引き起こしたことを車両乗員が示した場合、車両は、227および228においてこのパターンおよび/またはイベントを記憶してよい。具体的には、特定の実施形態によると、パターンおよび/またはイベントは、車上のパターンおよびイベントデータベースにローカルに格納されるとともに、上記で詳述したように他の車両における今後の使用のために乗り物酔いを招く既知のパターンおよび/または位置ベース情報を補足するために、中央サーバまたはデータベースにも送信され得る。
【0105】
[0151] 単純にパターンを記憶することに加えて、いくつかの実施形態において、乗員が事前設定された閾値を上回る不快感および/または乗り物酔いを経験していることを車両コントローラに示した場合、乗り物酔いを誘発し得る1または複数の車両の運転状況および/または乗客状況を表示する1または複数のセンサからのデータが記録され、監視される。たとえば、乗員の運動を追跡するたとえばカメラなどの車内に設置されたセンサを用いて、車両は、乗客の挙動と路上の出来事とを相関付けてよい。監視され得る他のセンサは、車体および/または乗客室を含む車両の1または複数の部分の運動を監視する1または複数のセンサを含む。適当な種類の運動センサは上に列挙された。使用される特定のセンサにかかわらず、示された乗り物酔い発生に関連する検出されたイベントおよび/またはパターンは、今後の利用のため、ローカルストレージと、遠隔に位置するサーバおよび/またはデータベースとの両方にアップロードされ得る。したがって、これらの新しく検出された相関性は、乗員の不快感または乗り物酔いを招き得る車両状況をより詳しく示すために用いられ得る。これらの状況が識別されると、車両はその後、そのような運動が今後再び発生することを防止するために是正措置を取ってよく、または少なくともそれらの影響を1度などまで軽減する。たとえば、カメラが乗員の頭部の運動を監視し、速度および乗員位置の特定の組み合わせにおいて路上の特定の場所で不所望の頭部運動が生じるという相関性が識別された場合、車両はそれを認識し、今後同じ場所に訪れた場合に頭部運動を低減するような調整を行う。これは特に、特定の地理的位置に関連する車上での不快感を低減するために役立ち得る。
【0106】
[0152] 乗り物酔いの可能性および/または深刻度を増加させ得るイベントおよび/またはパターンは、上述した制御ループおよび/または他の車両制御システムのいずれかにおいて実装される任意の数の様々な方法を用いて決定され得ることを理解すべきである。そのようなイベントおよび/またはパターンを検出して識別するための方法および/またはシステムの典型的な実施形態のいくつかが以下で詳述される。ただし、これらの様々な実施形態は個別に説明されるが、個々に、ともに、および/または他の任意の適当な検出方法およびシステムと組み合わせて実施されてよく、本開示はその点で限定されないことを理解すべきである。
【0107】
[0153] 上述したように、いくつかの実施形態において、乗り物酔いの可能性または深刻度を増加させると思われる車の動態および/または活動に影響するイベントパターンが決定され、車両のローカルデータベースに、および/または遠隔に位置するサーバ/データベースに遠隔に、車両コントローラによってアクセスおよび/または検索できる方法で先験的に記憶される。これらのイベントパターンは、予測的数学および/または経験モデルを用いて、乗り物酔いを招くと経験的に決定され、またはそのように見なされ得る。イベントパターンは、一定期間にわたって生じ、その期間中、あらゆる方法で乗員に影響を及ぼすように車両の動的状態に影響を及ぼす一連のイベントである。乗員への影響は、たとえば車両運動の詳細および車両乗員によって行われている活動など複数のパラメータの関数であってよい。これらのイベントパターンは、個々に、または複数のイベントパターンの複合として、今後の車両運転中、比較用テンプレートとして用いられ得る。これらのテンプレートは、上述したようないくつかの形態または形式で軽減すべきイベントおよび/またはパターンを識別するために、車両運転中リアルタイムで、発生したイベントパターンと比較され得る。
【0108】
[0154] 1つの実施形態において、事前設定された閾値期間わたり発生する特定のイベントパターンは、たとえば車両の動態または乗客の頭部および/または胴体の運動に基づいて乗り物酔いを招く可能性が高いと見なされ得る。このモデルは、経験的および/または数学的関係を含んでよい。たとえば実施形態において、0.5cm〜2cmのマグニチュードを伴う0.3〜0.4Hzの周波数での車体の上下運動の1サイクルが乗り物酔いを誘発し得るパターンとして識別され得る。このパターンが、たとえば5分間の期間にわたり事前設定された回数より多く繰り返されると、乗り物酔いが生じやすいという決定が下され得る。代替または追加として、2cm未満のマグニチュードを伴う0.4〜0.5Hzの周波数での乗客の頭部の左右運動をもたらす特定の車両運動が、乗り物酔いを誘発し得るパターンとして識別され得る。このパターンが、たとえば5分間の閾値期間にわたり事前設定された回数より多く繰り返されると、乗り物酔いが生じやすいという決定が下され得る。当然、上述した周波数よりも大きいまたは小さい様々な周波数における乗員の身体の運動との相関性も考えられることを理解すべきである。たとえば、制御システムは、上述したように約0.05Hz以上10Hz以下の周波数を含む乗り物酔いの可能性増加に関連する周波数を有する運動に乗員が晒されているかを決定するために、乗員の胴体および/または頭部を監視してよい。
【0109】
[0155] 上記実施形態において、検出された車両および/または乗員の運動と、過去に識別されたイベントおよび/またはパターンテンプレートとの比較は、一定期間にわたり発生する車体、座席、および/または乗客の身体の1または複数の部分(たとえば胴体、頭部など)の運動を特徴付ける瞬時データおよび/または平均データに基づいてよい。車両からのリアルタイムデータが、たとえば10分間など特定の期間にわたる過去に取得されたテンプレートデータと合致または類似する場合、それは、特定の経路において乗り物酔いが発生する可能性があることを示す表示として用いられ得る。テンプレートの展開時および運転中に取得されたデータは、たとえば車両および/または1または複数人の乗客の動態を捕捉するカメラおよび加速度計など1または複数のセンサを用いて収集され得る。乗り物酔いの可能性の決定は、パターンが繰り返されるレートおよび/またはその出来事の持続期間に基づいてよい。
【0110】
[0156] 運動を用いることに加えて、車両乗員に乗り物酔いが生じる可能性が増加したという決定は、生理的パラメータおよび/または乗員からの直接入力に少なくとも部分的に基づいてよい。そのような実施形態の1つにおいて、乗客を識別し、上述したように車内の1または複数人の乗客の頭部運動を測定するために、1または複数のカメラが、車内の1または複数人の乗客の顔認識のために用いられ得る。マイクロフォン(音声認識付き)および他の通信インタフェースは、乗客と通信するために車両コントローラによって、および乗客が車両と通信するために用いられ得る。たとえば、車両乗員は、乗り物酔いの深刻度および/または所望の動作モードをコントローラに示してよく、これはその後、車両運転中に実行される適当な運動および/または乗り物酔い解消技術を決定するために用いられ得る。たとえば人間の身体の様々な箇所における電気皮膚反応、体温、心拍数、血中酸素および二酸化炭素レベル、水和レベル、および/または他のメトリックを含む、1または複数人の乗客の生理状態も感知され得る。そのような生理学的感知は、車両によって、または適当なセンサが内蔵されたたとえば電子ブレスレットやスマートウォッチなどの装着型デバイスによって行われてよい。車両によって生理的症状が管理されるそのような1つの実施形態において、様々なセンサは、乗員が座っている座席に一体化されてよく、それによってセンサは、単に座席に乗員が座ることによって乗員と簡単に接触し、および/または、乗員の手が把持する電極など、乗員の所望の生理的パラメータを感知するためにタッチされ得る部分を座席が含んでもよい。
【0111】
[0157] いくつかの実施形態において、車両は、たとえばブルートゥースデバイス、Wi−Fi接続、プラグ、または、装着型デバイス(たとえばスマートウォッチなど)または個々の乗客が携帯する他の機器(たとえばスマートフォンやipadなど)と情報を交換することができる他の任意の適当なデバイスなどのセンサおよび/または通信デバイスを搭載してよい。そのような通信デバイスは、個々の乗客から自動的にデータを収集し得るセンサを含んでもよい。追加または代替として、良好な状態の乗客に関する情報が、座席内センサまたは他の車内および/または車上センサによって収集されてもよい。そのようなデバイスと交換される情報は、双方向であり、および/または他の乗客が気付かないように非公開に生じてよく、特定の承認された個人によって起動された指令を含み、または自動的に収集された体調、生理、健康状態、および/または快適性情報を含んでよい。収集された情報はたとえば、人が乗り物酔いの症状を感じているかを決定するために用いられ得る。情報はその後、車両乗員の体調、健康状態、および安全性を維持するため、および/または個々の乗客からの指令に応答するために、車両の運転を自動的に調整するために車両によって用いられ得る。また車両は、個々の乗客からの指令または情報にどのように応答するかに関する更なる指導を求めて遠隔位置と通信してもよい。緊迫した状況において、車両は、たとえば最も近い適当な病院または警察署へ方向転換してよく、病院または警察署は、到着前にその状況を通知され得る。
【0112】
[0158] 1または複数人の車両乗員からの入力を受け取る車両および/またはサスペンションシステムコントローラの実施形態に関して詳述すると、車両のコントローラは、1または複数人の車両乗員から、少なくとも1人の乗員が乗り物酔いを患っていることを示す情報を受け取ってよい。また、乗客の乗り物酔いのレベルが車両コントローラへ提供され得る。乗り物酔いの程度は、たとえばノブまたはタッチセンシティブ面を用いて伝達され得る。1つの実施形態において、乗り物酔いの程度は、たとえば手の平と手および腕の背面とにおける電気皮膚反応を比較(たとえば汗を測定)することなどによって、生理センサを用いて測定され得る。また、いくつかの例において、乗り物酔い状態は、急激な手の平の発汗反応と、その後の手および腕の背面の発汗反応とによって特徴付けられ得る。カメラおよび/または光学センサもまた、1または複数人の乗客の皮膚温度を決定するために赤外線情報を収集するために用いられ得る。
【0113】
[0159] 上述したように、いくつかの実施形態において、1または複数人の乗客が、たとえば乗り物酔いなどの不快感を報告した場合、車両は、最新のイベントパターンの記録を保持してよい。また、そのようなイベントパターンは、車両イベントパターンデータベースを更新または補足するために用いられ、および/または、他の車両および/または遠隔サーバまたはデータベースと共有され得る。そのような実施形態において、乗員が車両および/またはサスペンションコントローラへ乗り物酔いイベントが発生したことを伝達すると、その前に発生しているイベントパターンが記憶され、一般におよび/または特定の乗客に乗り物酔いを招くものとして識別され得るように、イベントパターンは連続的に記録され得る。特定の実施形態に依存して、イベントパターンは、1分〜10分、5分〜10分、10分〜20分、または、それらより長いまたは短い期間を含む他の任意の適当な時間を含むがこれらに限定されない任意の適当な時間、連続的に記録され得る。
【0114】
[0160] また他の実施形態において、1または複数人の車両乗員のビデオ監視もまた、乗り物酔いの可能性を決定するために用いられ得る。ただし、この実施形態において、たとえばコンピュータスクリーンまたは他のディスプレイなどの物体を眺めている人の目が監視され、その人の目とディスプレイとの相対運動が決定され得る。この情報に基づいて、ディスプレイを見ている時に乗員が経験する網膜滑り量が決定され得る。網膜滑りの量および/または周波数、およびそれが生じる持続期間は、それらの量に関する所定の閾値と比較され得る。この比較に基づいて、乗り物酔い軽減手順が開始され得る。
【0115】
[0161] 本発明者らは、車両の所望の部分へ、車両のその部分へ伝達される道路誘発力および外乱に対抗する力を加えるために、適当な補正において質量を移動することによって車両の1または複数の部分へ伝達される運動を軽減することが可能であることを理解している。また本発明者らは、電気および/またはハイブリッド車両の大きな質量のバッテリは、車両重量の大部分を占めることを認識している。たとえば、電気自動車(EV)および多くのハイブリッド電気自動車(HEV)は膨大な車載蓄電容量を必要とし、そのために用いられるバッテリは一般に非常に重い。具体的には、テスラモデルSにおいて、リチウムイオンバッテリパックは約1,200〜1,500ポンドの重量があり、これは車両の装備重量の約25%〜33%を示す。したがって、いくつかの実施形態において、車体または車体の副部の運動を制御し、車内の乗員および/または積荷の乗車品質を改善するために、車両の1または複数の部分に対するバッテリの運動を利用することができる。バッテリパックを車両の他の部分に対して動かし、車両のそれらの部分に伝達される運動を軽減することが上述されたが、当然、本開示は、バッテリを用いる場合のみに限定されないことを理解すべきである。たとえば、十分な質量を有する他の構成要素が、車両の特定の部分へ伝達される運動を軽減するために用いられる実施形態も考えられ、本開示はその点で限定されない。
【0116】
[0162] 上記実施形態において、車両の1または複数の部分に対して動かされる質量は、任意の適当な質量を有してよい。ただし、1つの実施形態において、この質量は車両重量の約20%、30%、40%、または他の任意の適当なパーセンテージ以上であってよい。対応して、この質量は、車両重量の約60%、50%、40%、または他の任意の適当なパーセンテージ以下であってよい。たとえば車両重量の約20%以上50%以下の質量を含む、上記範囲の組み合わせも考えられる。当然、上述した重量より小さいまたは大きい重量を有する質量も考えられ、本開示はこの形式に限定されない。
【0117】
[0163]
図12は、電気またはハイブリッド電気車両301の従来技術構成の略図を示し、ここで、車両受動または半能動サスペンション302は車両の1または複数のホイールと対応する車両シャシ(または車台)303との間に配置され、シャシまたは車台がサスペンションによって支持される。同様の形式において、シャシまたは車台303は一般に、車体内部のバッテリ304を支持し、それに固定的に取り付けられる。車両は、車両シャシによって支持される乗客室305も含む。
【0118】
[0164]
図13は、電気またはハイブリッド電気車両301の代替の従来技術構成を示す。ここでも、図示された実施形態において、サスペンションシステム302はシャシまたは車台303と1または複数のホイール306との間に配置され、サスペンションシステムが車体を支持する。ただし、この実施形態において、バッテリ304は、バッテリへのアクセスおよび/またはバッテリの交換が容易に可能になるように、シャシ(または車台)の下に設置され、それに固定的に取り付けられる。乗客室305は、シャシ(または車台)に固定的に取り付けられる。
【0119】
[0165] 実施形態において、各々がダンパおよびばねを含む2つのホイール組立体が示されるが、各ホイールに他の種類のサスペンションシステムが関連してよいことを理解すべきである。たとえば典型的な車両において、サスペンションシステムは、受動または半能動サスペンションシステムであってよい。また、電気車両およびハイブリッド電気車両は一般に3または4つのホイールを有するが、2つのホイール組立体しか有さないたとえば電気またはハイブリッド電気二輪車も考えられる。
【0120】
[0166] たとえばシャシ(または車台)など車体の1または複数の部分とともに、たとえばバッテリ322など他の関連部品または他の質量が一次サスペンションシステム323に取り付けられ、それによって支持される、車両320の実施形態を示す。図示された実施形態において、一次サスペンションシステムは、車体と1または複数のホイール328との間に配置される。一次サスペンションシステムは受動サスペンションシステムとして示されるが、本開示はその点で限定されないことを理解すべきである。たとえば、受動、半能動、または完全能動一次サスペンションシステムが用いられ得る。また、いくつかの実施形態において、能動サスペンションシステムは、電気油圧式または電磁式であってよい。上記車両と同様、この車両もまた、バッテリおよび/またはシャシアセンブリに対して固定された乗客室324を含む。また、たとえば乗客室324およびたとえば乗客室内にある座席および/またはワーク面(たとえばテーブルやデスク)といった乗客室に関連する1または複数の別構造326など、車両の少なくとも第2および第3の部分の間に配置された1または複数の二次サスペンションシステム325を含むことが望ましい。
【0121】
[0167] 図示された実施形態において、車両は、車両の内部および/または外部に設置され得る1または複数のセンサ327a、327b、および327cも含んでよい。また、これらのセンサは、たとえば車両シャシ(または車台)321、1または複数のホイール組立体327、乗客室324、および/または乗客室324に関連する1または複数の別構造326を含む車両の様々な部分の絶対値または相対加速度、速度、および位置の1または複数などの情報を収集するために用いられ得る。明確化するために別構造326は乗客室324の外側にあるように示されるが、1または複数の構造が乗客室324内に設置されてよく、いくつかの実施形態において乗客室324に包含されることを理解すべきである。
【0122】
[0168] たとえばサスペンションシステムコントローラ329aおよび329bなど1または複数のコントローラは、それぞれ一次および二次サスペンションシステム323および325との電気通信状態にあってよい。あるいは、中央車両およびサスペンションシステムコントローラは、車両の様々なサスペンションシステムとの電気通信状態にあってよい。また、各サスペンションシステムは、中央コントローラ、および/または、いくつかの実施形態において車両の中央制御システムとの電気通信状態にあってよい別個のコントローラに関連する別個のアクチュエータおよび/またはダンパを各々が有する複数のコントローラを含む、分散型制御システムによって制御され得る。いずれの場合も、コントローラは、構造、乗客室、および/または車体の運動を制御するために、一次および/または二次サスペンションシステムならびに車両の他の任意のサスペンションシステムを動作させ得る。また、実施形態によると、一次サスペンションシステム323によって減衰される振動または他の運動と、二次サスペンションシステム325によって減衰されるそれらとは、同じまたは異なる周波数範囲にわたってよい。たとえば、一次スペンションシステムは、二次サスペンションシステムの一次周波数範囲よりも大きい周波数範囲における運動を主に低減するために用いられ得る。そのような実施形態の1つにおいて、一次サスペンションシステムは、約2Hz以上20Hz以下の周波数範囲における運動を二次サスペンションシステムよりも大きな程度まで低減してよい。したがって、二次サスペンションシステムは、約0.5Hz以上2Hz以下の周波数範囲における運動を一次サスペンションシステムよりも大きな程度まで低減するために用いられ得る。当然、上述したように、一次および二次サスペンションシステムは、上述した周波数範囲より大きいまたは小さい周波数範囲を含む様々な周波数範囲において互いに対して動作してもよい。
【0123】
[0169]
図15は、シャシ(または車台)321が一次サスペンションシステム323によって支持される、車両320の他の実施形態を示す。各ホイール組立体328において、ばね323aおよび受動ダンパ323bは、ホイール組立体とシャシ(または車台)との間に設けられる。特定の実施形態に依存して、受動ダンパは、半能動ダンパおよび/または任意の適当な種類の完全能動アクチュエータによって代用されてもよい。一次サスペンションシステムに加えて、たとえば乗客室またはキャブ324など車両の別部分は、完全能動サスペンションシステムであってよい二次サスペンションシステムによって支持され得る。ただし、受動および/または半能動サスペンションシステムが用いられる実施形態も考えられる。
【0124】
[0170] 電気車両またはハイブリッド電気車両の場合、比較的大きな質量を有する車両バッテリ322が車体に関連する。したがって、関連するホイール組立体を通して車体に伝達される道路外乱は、乗客室またはキャブ324へ伝達される前に、大きなバッテリ質量によって少なくとも部分的に減衰され得る。したがって、二次能動サスペンションシステム325に求められ得る減衰または外乱軽減の量は、他の実施形態よりも少なくなり得る。その結果、より小さくパワーの少ない二次サスペンションシステムが用いられ得る。乗客室に伝達される運動の軽減に役立つように比較的大きなバッテリ質量を用いることが説明されたが、当然、車両キャブに伝達される運動の軽減に役立つように、たとえば車両積荷および/または車両部分など様々な種類の質量が用いられる実施形態も考えられる。
【0125】
[0171]
図16は、シャシ(または車台)321が一次サスペンションシステム323によって支持される車両320の実施形態を示す。各ホイール組立体328において、ばね323aおよび受動ダンパ323bは、ホイール組立体とシャシ(車台)との間に設けられる。ただし、受動ダンパは、半能動ダンパまたは任意の種類の完全能動アクチュエータによって代用され得ることを理解すべきである。乗客室またはキャブ324は、それとシャシ(または車台)321との間に設けられた二次サスペンションシステム325によって支持される。この実施形態において、二次サスペンションシステムは受動システムであるが、半能動および完全能動サスペンションシステムが用いられてもよい。
【0126】
[0172] 一次および二次サスペンションシステムに加えて、図示された実施形態において、この実施形態では電気車両またはハイブリッド電気車両のバッテリ322であってよい大質量が、その質量と乗客室との間に設置された第3のサスペンションシステム330を用いて乗客室またはキャブ324に吊るされ、または支持され得る。1つの実施形態において、第3のサスペンションシステムは、1または複数の能動アクチュエータ330bおよび1または複数のばね330aを含む。図示された実施形態において、アクチュエータは電磁式アクチュエータであるが、たとえば電気機械式および/または電気油圧式アクチュエータを含む他の能動アクチュエータが用いられてもよい。特定のアプリケーションによると、アクチュエータは、1または複数の周波数範囲内で乗客室に加わる運動を低減するように構成され、動作してよい。あるいはアクチュエータは、バッテリ質量がチューンドマスダンパとして動作するようにダンパによって代用され得るが、そのようなダンパは、能動アクチュエータを用いて可能な範囲より狭い周波数範囲にわたって効果的である。
【0127】
[0173]
図17は、シャシ(または車台)321が一次サスペンションシステム323によって支持される車両320の実施形態を示す。各ホイール組立体328において、サスペンションシステムのばね323aおよび受動ダンパ323bは、ホイール組立体とシャシ(または車台)との間に設けられる。当然、他の実施形態と同様、受動ダンパは、半能動ダンパまたは任意の種類の完全能動アクチュエータによって代用され得る。この特定の実施形態において、乗客室またはキャブ324は、サスペンションシステムが間に配置されることなくシャシ(または車台)に取り付けられる。ただし、乗客室とシャシとの間に二次サスペンションシステムが設置される実施形態も考えられる。
【0128】
[0174] この実施形態では大型バッテリである質量は、2つ以上の質量322aおおび322bに分割され、各々がシャシ(または車台)321に吊るされ、または支持される。各質量は、たとえばばね330bおよび332bを用いて、およびアクチュエータ330aおよび332aによって、質量と車体との間に設置されたサスペンションシステムを介してシャシ(または車台)に取り付けられる。したがって、シャシ(または車台)に加わる力は、総質量の一部とシャシとの間の相対運動(すなわち、1または複数の個々の質量またはバッテリを動かすこと)または質量全体とシャシとの間の相対運動(すなわち、全ての質量またはバッテリを動かすこと)のいずれかを誘発することによって少なくとも部分的に軽減され得る。このシャシに対する1または複数の質量の相対運動もまた、シャシまたはそれに関連する車両の他の部分に力を加え、これは、道路外乱によって車両に伝達される運動を少なくとも部分的に軽減するように制御され得る。
【0129】
[0175] 上記に加えて、図示された実施形態において、バッテリ質量は、2つの均等な質量に分割されるものとして示される。あるいは質量は全体のまま保持されてよく、または均等な質量または様々な質量のいずれかである複数の質量に分割されてもよく、本開示はその点で限定されない。たとえば、大型バッテリは、様々な総発電容量および質量、同じ容量および質量を有する様々なバッテリパックに分割され、および/または単一ユニットとして保持されてよい。
【0130】
[0176]
図18および
図19は、シャシ(または車台)321が一次サスペンションシステム323によって支持される車両320のまた他の実施形態を示す。各ホイール組立体328において、ばね323aおよび受動ダンパ323bがホイール組立体とシャシ(または車台)との間に設けられるが、半能動および/または能動サスペンションシステムが用いられる実施形態も考えられる。いくつかの実施形態において、車両シャシと車両の乗客室またはキャブ324との間に二次サスペンションシステムが設けられてもよい。様々なサスペンションシステムに加えて、車両の1または複数の部分の地面に対する横方向運動を低減または除去するために横方向安定化システムが用いられ得る。図示された実施形態における横方向安定化システムは、シャシに対して固定された支柱342a、342b、342c、および342dと、乗客室または車両の他の部分に対して固定された1または複数の支柱344との間に伸長し、それらに取り付けられ得る1または複数のケーブル340a、340b、340c、および340dを含む。
【0131】
[0177]
図19は、シャシ(または車台)に取り付けられた4つの支柱342a、342b、342c、および342d、および乗客室またはキャブに取り付けられた支柱344と、安定ケーブルとの関係を示す。図示された実施形態において、シャシに対して固定された4つの支柱は、車両シャシの各辺の中心に向かって設置されるが、同様に任意の適当な位置が用いられてもよい。対応して、乗客室に対して固定された支柱は、乗客室の中心に向かって設置されるが、これもまた他の適当な位置が用いられてもよい。1または複数のケーブル340a〜340dは、シャシに関連する支柱と乗客室に関連する1または複数の支柱との間に伸長する。この特定の実施形態において、乗客室に関連する中央支柱とシャシの各支柱との間に2本のケーブルが伸長する。
【0132】
[0178] ケーブルは、車両シャシに対する乗客室の横方向運動を低減または防止するために十分な硬度があってよい。これは、適当なケーブルの引張りおよびケーブルの構造特性に起因し、および/または所望の程度のケーブル硬度をもたらすために1または複数のばねおよび/またはアクチュエータがケーブルに沿って設置され得る。アクチュエータがケーブルに沿って設置される1つの実施形態において、硬度、およびそれに対応するシャシに対する乗客室の横方向安定化は、動的に変化し得る。たとえば、1または複数のケーブルを他のケーブルに対して引っ張ることは、所望の方向に乗客室を移動させるために用いられ得る。
【0133】
[0179] 上記実施形態は、1または複数のケーブルを取り付けるために、たとえばシャシおよび乗客室など車両の様々な部分に関連する支柱を用いる。ただし、クランプ、インターロック部品、通り穴、車両部分の一部とケーブル端との間の締め代、または車両部分にケーブルを取り付けることができる他の任意の適当な構成を含むがこれらに限定されない、車両の特定の部分に対する任意の適当な取付け点が用いられてよく、本開示はその点で限定されないことを理解すべきである。
【0134】
[0180]
図20および
図21は、シャシ(または車台)321が、一次サスペンションシステム323および対応する二次サスペンションシステム325によって少なくとも部分的に支持される乗客室324によって支持される、車両320の他の実施形態を示す。図示される実施形態は、横方向安定化システムも含んでよい。ただし、一連の支柱およびケーブルを含むのではなく、地面に対する縦z方向の運動を可能にしながら地面に対する横xおよびy方向における乗客室の運動を制限するために、車両シャシに関連する1または複数の支柱342a〜342cと乗客室に関連する1または複数の支柱344との間に伸長する1または複数のボールジョイントリンケージ346a〜346cが用いられ得る。特定の実施形態によると、ボールジョイントリンケージは、支柱に連結され、あるいはシャシおよび/または乗客室に取り付けられたボールジョイント間に伸長するロッドまたは他の剛性構造に対応してよい。また、実施形態によると、ボールジョイントは所望の応答をもたらすためにある程度の摩擦を含んでよいが、ボールジョイントは任意の所望の性能特性を提供するように設計されてよく、本開示は任意の特定のボールジョイント設計に限定されないことを理解すべきである。
【0135】
[0181]
図22は、車両シャシ321と1または複数のホイール328との間に設置された一次サスペンションシステム323を含む車両320のまた他の実施形態を示す。また、車両シャシと乗客室324との間に二次サスペンションシステム325が設置され得る。ただし、この特定の実施形態において、乗客室と車両シャシとの間に鋏型リンケージ348も設置され、取り付けられる。鋏型リンケージは、乗客の縦z方向への運動を可能にするが、地面に対する横xおよびy方向における運動を制限または除去する。この種のリンケージにおける運動を可能にするために、ゴムガスケットまたは同様の材料のガスケットが各接合部に用いられ得る。
【0136】
[0182] また、上記実施形態は主に、バッテリを含む車両および/または自律車両に関するが、他の大質量を含む非電気車両もまた上述した実施形態と同様の方法で制御され得ることを理解すべきである。また、本明細書で説明される様々な制御システムおよび方法は、自律、半自律、および/または従来駆動型車両のいずれかとともに用いられてよく、本開示はその点で限定されない。
【0137】
[0183] 特定の実施形態によって、本明細書で説明されるサスペンションシステムは、任意の数の構成に対応してよい。たとえばいくつかの実施形態において、サスペンションシステムは、プラットフォームまたは構造の角部および/または側部を支持する3つまたは4つのばね/ダンパまたはばね/アクチュエータのペアによって構成され得る。あるいは、たとえば6つのアクチュエータが6脚配置に構成され、6自由度を有するプラットフォームの運動を制御するために用いられ得る。様々なサスペンション構成が同じ車両内で用いられてもよい。たとえば、能動サスペンションアクチュエータ/ばねのペアが、車体とホイールとの間の相対運動を制御するために車体と各ホイール組立体との間に設けられ得る。同じ車両において、たとえば6つの能動アクチュエータが、車体に対する乗客室の運動を制御するために、6脚配置に構成され、車体と乗客室との間に設けられ得る。また、いくつかの実施形態において、6脚システムまたは他の適当なサスペンションシステムが、乗客室内の構造の運動を制御するために同様に用いられ得る。
【0138】
[0184]
図23は、車両のシャシ34と1または複数のホイール組立体435aおよび435bとの間に第1の一次サスペンションシステム431が配置された車両430の略図を示す。この特定の実施形態において、シャシを通して伝達される様々な運動から車両の様々な部分を隔絶するために、第2および第3の二次サスペンションシステム432よび433も用いられ得る。具体的には、第2のサスペンションシステム432はシャシと乗客室との間に設けられ、第3のサスペンションシステムは、たとえば乗客座席など乗客室内に設置された構造437を支持する。また、様々なサスペンションシステムは、能動、半能動、受動、および/またはそれらの適当な組み合わせであってよい。また、能動サスペンションシステムの場合、ダンパ/アクチュエータは、電気油圧式、電磁式、電気機械式、または他の任意の適当な種類の能動システムであってよい。また、様々なサスペンションシステムは、同一の周波数範囲、異なる周波数範囲、および/または部分的に重なった周波数範囲のいずれかで一致してまたは独立して動作してよく、本開示はその点で限定されない。
【0139】
[0185]
図24は、6つのアクチュエータ41a〜41fを有する6脚機構を示す。6脚は、それが支持する関連構造の運動を6自由度で制御するために用いられ得る。また、6脚機構は、たとえば乗客室、座席、デスク、または車両内に設置され、または車両の一部を形成する他の任意の適当な構造を支持するために用いられ得る。
【0140】
[0186]
図25は、専用サスペンションシステム453によって支持される座席451および/またはワーク面452を含む構造450の1つの実施形態を示す。
【0141】
[0187] 自律車両において、乗客は通常、車両がいつ特定の操縦を行おうとしているか、およびそれらの操縦がどのような性質であるかを知覚しない。たとえば、自律車両の乗客は、車両が旋回する時またはその方向、車両が減速または加速しようとする時、および車線変更しようとする時を知らない。また、自律車両の乗員は、進行方向を向いていない、または他の作業に関心を向けている可能性が高い。これらの状況によって、車両乗員は車両運動および運転判定から切り離された感覚を持ち、乗り物酔いの可能性増加が招かれ得る。したがって、車両乗員における乗り物酔いの発生率および/または深刻度を低減するために、来る車両操縦および/または道路状況に関する1または複数のキューを1または複数人の車両乗員へ提供することが望ましい。たとえば、いくつかの実施形態において、自律車両は、乗員の快適性を高めるために、来る操縦に関する様々なキューまたは情報を乗客に提供するように動作してよい。以下で詳述するように、任意の数の様々なキューが、車両のピッチ、ロール、および/またはヒーブを含むがこれに限定されない情報を車両乗員に伝達するために用いられ得る。いくつかの実施形態において、差し迫ったまたは現在の操縦に関する情報は、たとえば視覚、聴覚、触覚、および/または触知可能キューを提供することなど他の手段によって乗客に伝達されてもよい。このように、乗客は、前庭器官が車両操縦に反応する前または最中にそれを予期するために知覚し得る。
【0142】
[0188] 1つの実施形態において、上述した警報またはキューは、車両が自律運転中である時常に、またはたとえば車内の少なくとも1人の乗員に対し乗り物酔いを招き得る特定のイベントパターンが存在すると決定されるなど特定の状況下にある時に提供され得る。これらの視覚、聴覚、触覚、および/または触知可能キューは、車内ディスプレイ、光アレイ、音響システムスピーカ、能動サスペンションシステム、および/または他のデバイスおよびモダリティを用いて提供され得る。また、以下で詳述するように、いくつかの例において、乗員に情報を提示するために用いられるディスプレイは、車両および/または車両乗員の運動により良く対応するために、ディスプレイ上に提示された画像の位置をシフトするように制御され得る。この変形は、集中型慣性測定装置(IMU)からの加速度計データ、能動サスペンションシステムからのセンサ、および/または乗員の身体および/または目の運動を監視するセンサに基づいて生じてよい。
【0143】
[0189] 上記に加えて、特定の実施形態によると、乗客は、全ての車両イベントおよび/または操縦を警告されるか、または、たとえば所定の閾値レベルを上回るたとえば乗り物酔いなどの不快感を生じることが予想または予測され得るイベントおよび/または操縦のサブセットに関して通知されてよい。
【0144】
[0190] 運転中、自律および/または半自律車両が通る全体経路(たとえば道路選択)は、一般に、車両が経路に進行する前に決定される。この知識は、特定の操縦に関して車両乗員に事前警告するために車両コントローラによって用いられてよく、車両乗員における乗り物酔いの発生率を軽減または低減するために役立ち得る。そのような実施形態において、たとえば車両乗員は、たとえばコントローラが、旋回が開始する特定の距離だけ前の時点で車両を旋回の方へ徐々に「傾かせる」(すなわち旋回の中心に向かってロールさせる)ことによって、来る旋回の方向および/またはマグニチュードを通知され得る。ただし、旋回の中心から離れた方向である反対方向へのロールが利用されてもよい。この「傾き」は、車両が旋回しようとしていることおよび旋回の方向を乗客に伝達し得る。このキューが旋回に先行する間隔および車両がロールする程度は、乗員によって設定され、または、旋回の前に確立された規則に基づいて旋回のマグニチュードおよび/または車両速度に基づいてコントローラによって選択され得る。同様に、関連する実施形態において、能動サスペンションシステムは、加速または減速を予期すると前後いずれかの方向へ車両をピッチさせるために用いられ得る。たとえば、車両は、順方向加速を経験すると前方向へピッチされ、および/または制動イベントを予期すると後方向へピッチ、すなわち後ろへ傾かされ得る。そのような傾ける操縦は、たとえば、車両への制御入力中および/または前に行われてよく、経時的に維持または修正され、いくつかの実施形態において、車両内の制御入力以降も継続し得る。
【0145】
[0191] 上記実施形態において任意の適当な持続時間およびマグニチュードが用いられ得るが、1つの実施形態において、車両の事前ロールおよび/ピッチは約1度以上3度以下であってよく、これは予測される旋回の方向、すなわち正ロールであってよい。また、事前通知は、予想されるイベントの約1秒以上3秒以下前に与えられ得る。当然、上述したものより大きいまたは小さい角度および持続時間が適用されてもよく、本開示はその点で限定されない。
【0146】
[0192]
図26は、3つの異なる条件下での自律車両の実施形態の背面図を示す。3つ全ての場合において、車両は前方へ移動している。車両460aは、道路を真っ直ぐに走行中の能動サスペンションシステムを有する車両を示し、車両乗員にキューは出されていない。対照的に、車両460bは、右折が差し迫っていることを乗員に合図するために車両能動サスペンションシステムが車両を右へロールさせる場合を示し、車両460cは、左折が差し迫っていることを乗員に合図するために車両能動サスペンションシステムが車両を左へロールさせる場合を示す。いくつかの実施形態において、
図26に示す方向と反対方向へのキューを車両乗員が好み、および/または車両が提供してもよい。また、あらゆる様々な車両操縦を示すために他の運動、または他の種類のフィードバックが用いられてよく、本開示はこの点に関して限定されない。
【0147】
[0193] 上述したように、いくつかの実施形態において、触覚信号、すなわちタッチ感覚によって人が感知し得る信号が、車両の1または複数人の乗員が知覚できる振動および/またはバンプを発生するように車両の少なくとも一部における運動を誘発する1または複数の能動サスペンションアクチュエータによって少なくとも部分的に生成され得る。これらの触覚警報は、視覚および/または聴覚警報に加えて、またはその代わりに与えられ得る。また、これらの触覚信号は、周囲雑音が大きい場合、または運転者が聴覚障害あるいは注意散漫であるような状況で、より容易に知覚され得る。したがって、これらの触覚信号は、車両乗員および/または運転者に様々な種類の情報を伝達するために用いられ得る。たとえば、車線変更操縦中、1または複数の能動サスペンションアクチュエータは、進入しようとしている車線に接近中の車両があることを運転者に警告するために、所定の一定または可変周波数および/または振幅の振動を導入するために用いられ得る。接近中の車両は、カメラ、レーダ、ライダ、超音波、赤外距離検出器、または他の任意の適当なセンサを含むがこれらに限定されない任意の適当な種類のセンサを用いて検出され得る。また、これらの警報は、双方向であってよい。たとえば、運転者が走行車線の右の車線に進入しようとしており、車がその車線に接近している場合、車両の、接近中の車両の方向を向いた側(すなわち右側)にある1または複数のアクチュエータは、接近中の車両およびその方向の両方を運転者に警告するために所望の振動を導入するようにコントローラによって作動され得る。
【0148】
[0194] 車両の一部において誘発される運動の周波数および振幅は、関与する危険のレベルに基づいてコントローラによって選択され得る。たとえば、車線変更または旋回などの操縦が行われると事故が起こる可能性が高い場合、振動は、危険が深刻ではない場合よりも、たとえば高い振幅および/または周波数を有するなどより激しいものであってよい。たとえば、周波数および/または振幅は、たとえば車両速度、接近中の車両の相対速度、および/または接近中の車両との距離に依存して変化してもよい。また警報は、たとえば車両が後退中および/または停車中である場合など、障害物に衝突する危険がある他の状況下で出されてもよい。そのような実施形態において、振動および/またはバンプは、たとえば障害物に最も近いアクチュエータによって誘発され得る。振動および/またはバンプは、車両が障害物に接近するにつれ、および/または車両が障害物へ近づく速度が大きいほど増加する周波数および/またはマグニチュードを伴って適用され得る。触覚警報が出され得る他の状況は、たとえば車両が車道外へ後退する場合である。具体的には、左から接近する車がある場合、車両の左後方のアクチュエータが作動され、車両が右から接近する場合、右後方のアクチュエータが作動され得る。また他の実施形態において、能動サスペンションシステムは、車両の運転者に「眠気警戒警報」を伝達するために用いられ得る。この警戒警報は、ヒーブ、ロール、ピッチ、および/またはそれらの運動の組み合わせの形式で生じ得る。また、運転者の眠気は、一貫性のない操舵、加速、および/または制動入力、ならびに車両の車線ドリフトの1または複数を監視するセンサによって決定され得る。したがって、監視されたこれらの程度のうち1または複数が閾値レベルを超えると、1または複数の能動サスペンションシステムを用いて「眠気警戒警報」が車両に適用され得る。また他の実施形態において、車両の能動サスペンションシステムは、ホイールに関連する1または複数の荷重センサおよび/または能動サスペンションシステム自体に関連するセンサを用いて感知されるように、車両が過荷重または荷重が平衡を失っている場合、車両操作者に警告するために用いられ得る。
【0149】
[0195] いくつかの実施形態において、車両乗員は、たとえば能動サスペンションシステムによって生成された触覚信号または可聴信号によって通知または警告され得る。たとえば、特定の状況下で車両の少なくとも一部を所定の周波数で振動させることによって、物理ランブルストリップを模擬するために仮想ランブルストリップが用いられ得る。仮想ランブルストリップは、たとえば車両が走行車線からドリフトアウトしていることを運転者に警告するために用いられ得る。この誘発振動は、たとえば約0.1cm以上0.5cm以下のマグニチュードを伴う約30Hz以上80Hz以下のレートであってよいが、これらの範囲よりも大きいまたは小さい他の周波数範囲およびマグニチュードが用いられてもよい。いくつかの実施形態において、触覚信号は、車両速度に比例するパルス間長さおよび時間の律動であってよい。能動サスペンションシステムは、たとえば車両のホイールおよびシャシなど車両の関連部分に加わる力を急速に変化させることによってこれらの振動を誘発してよい。いくつかの実施形態において、車両が自律または半自律モードで運転している場合、たとえばセンサ障害データ、不良な位置感知、相反する情報、未定義の状況などの理由によって、車両が運転者に制御権を返上しなければならない場合があり得る。そのような状況において、能動サスペンションは、たとえば運転者の注意を前方の道路へ向けるために車両の正面方向に向けた運転者に警告するための運動(たとえば前方向ピッチ、前方アクチュエータの振動など)を生成するようにアクチュエータを作動してよい。
【0150】
[0196] 上記実施形態において、様々な情報を伝達するために様々な周波数が用いられ得る。また、振動は、車内の1または複数の構造または車両全体に誘発され得る。たとえば、車両が急停止、旋回、または他の操縦を実行する時またはその前に自律車両の乗員にキューを提供するために、たとえばステアリングホイールや乗員座席の1または複数の肘掛など車両の個々の部分が他のアクチュエータによって振動させられ得る。
【0151】
[0197] 1または複数人の車両乗員へ触覚キューを提供することに加えて、いくつかの実施形態において、車両の能動サスペンションシステムは、車外の人間によってジェスチャとして解釈され得る特定の運動を実行することによって人と通じ合ってよい。たとえば、人が携帯または装着している個人識別デバイスを読み取るために検出器が用いられ、および/または、車両の近傍にいる人間を識別するために顔認識デバイスが用いられ得る。車両の応答は、たとえば、跪くことまたは他の友好的な動きを表すジェスチャを含んでよい。このジェスチャを実行し、挨拶を伝達するために、能動サスペンションシステムは、人間に最も近い車両の正面角部が跪いた姿勢を模擬するように下げられた姿勢を採用するように用いられ得る。そのようなジェスチャは任意の車両とともに用いられ得るが、車両が自律車両である実施形態において、そのようなジェスチャは、乗客をピックアップする際に行われ得る。また、他のジェスチャは、たとえば高い周波数の振動が、挨拶、または車両が目的地に到着したことや燃料補給の必要性を示すメッセージとして用いられ得る。たとえばディスプレイ、着信またはメッセージを有する電話、および/または他の任意の適当な対象デバイスなど、追加情報のための他の通信デバイスへ1または複数の乗員の関心を向けるために、車体に運動が誘発されてもよい。また、車両ジェスチャは、たとえば駐車場などにある車両を人が見つける手助けとなるように車内で命令されてもよい。またジェスチャは、たとえば車両(たとえば電気車両など)の起動時に、ピックアップ地点において正しいライドシェア車両を識別し、取引を確認し、車両の燃料タンクが満タンであるか、またはバッテリが充電されているかを確認し、車両のタイヤに適切に空気が入っているか否かを確認し、および/または他の安全関連事項を表示する合図を送るために用いられてもよい。
【0152】
[0198] いくつかの実施形態において、自律車両には、エントリアシストが搭載され得る。ユーザプロファイルに基づいて、装着型テクノロジ、車両アクセステクノロジ、または他の個人識別テクノロジを介した通信に基づいて、あるいは車内または車外の人間からの指令を受信することによって、車両は、エントリアシストモードにされ得る。エントリアシスト動作モードは、エントリが容易になる特定の位置に車両を配置することを含んでよい。たとえば、車両に入ろうとしている人間が怪我や障害を負っている場合、車両は、人の出入りがより楽である高さに下げられ得る。
【0153】
[0199] いくつかの実施形態において、たとえば車内または車外に設置された光または赤外カメラなどの車両センサは、乗員および/または車外の人間のジェスチャを指令または信号として検出してよい。たとえば、乗員は、特定の事前決定および/または事前記録された手または身体ジェスチャを、ドアの施錠または開錠のために用いてよい。また、いくつかの実施形態において、認識された人間によるそのようなジェスチャは、車両における様々な設定を変更するためにも用いられる。人間は、顔認識、入力パスコード、車両によって検出されたパスコードジェスチャ、または任意の適当な種類の識別方法および/またはデバイスによって、これらの変更を行う権限を有する者として認識され得る。
【0154】
[0200] 挨拶または情報伝達のために車両ジェスチャを使用することに加えて、いくつかの実施形態において、車両の能動サスペンションシステムは、少なくとも部分的に雪に覆われた車両に運動を誘発し、車両から少なくとも一部の雪を除去するために用いられ得る。誘発運動は、約1Hz〜10Hzの範囲の1または複数の帯域における様々な周波数の揺動や振動であってよいが、それより大きいまたは小さい他の周波数帯域が用いられてもよく、本開示はその点で限定されない。この除雪プロセスは、たとえば、ブルートゥースまたは無線ネットワーク接続を介して車両と無線通信状態にある携帯電話アプリケーションまたはキーフォブによって車外から制御され得る。いくつかの実施形態において、除雪ルーチンまたはアルゴリズムは、能動サスペンションシステムの動作に加えて、作動時、たとえばデフロスタおよびHVACシステムなど他の車両デバイスを作動させ得る。実施形態によると、誘発される運動は、少なくとも1つの運動類型を含んでよい。たとえば、ルーチンまたはアルゴリズムは、まずデフロスタをオンにし、HVACを暖め、その後、第1の低周波数の大きな体動が誘発され、次に、高周波数の小振幅周波数が誘発され得る。
【0155】
[0201]
図27A〜
図27Dは、車両から雪を「振るい」落とすために能動サスペンションシステムがどのように用いられ得るかを示す。
図27Aは、振動開始前の車両を示す。
図27B〜
図27Dは、振動プロセス中、能動サスペンションシステムを用いた車両の振動および揺動によって様々な程度に除雪された車両を示す。
【0156】
[0202] 上述した様々な運動およびジェスチャは、所望のジェスチャまたは運動を生成するために能動サスペンションシステムの1または複数のアクチュエータを併せて、単一で、連続して、または他の任意の適当な方法で作動させることによって実現され得ることを理解すべきである。ジェスチャは、車両製造業者によって事前プログラムされるか、たとえばユーザインタフェースを用いて車両操作者によって選択または設計され得る。当然、情報を伝達するために1または複数の能動サスペンションシステムを用いることは、音源、光源、および/または触覚信号生成器を含む、車内または車外の人間に情報を伝達する他の手段への追加または代用であってよい。
【0157】
[0203] いくつかの実施形態において、1または複数のジェスチャは、車内の物理または電子ボタンを車両乗員および/または運転者が押すことによって作動され得る。そのようなボタンは、たとえばダッシュボード上、肘掛、コンソール、および/またはステアリングホイールなど車内の任意の便利な位置に設置され得る。
【0158】
[0204] いくつかの実施形態において、特定の状況下で、車両は、車両操作者または他の許可された人間からの信号または指令に応答して、または自動的に作動された姿勢を取ってよい。これらの状況は、たとえば車両が停車および/または施錠されている場合を含んでよい。この場合に取られる姿勢は、(車高調整アクチュエータを含み得る)サスペンションシステムが、たとえばスポーティな見た目になるように車両を地面に近づけて低くすることであってよい。他の実施形態において、車両は、車両操作者および/または所有者の嗜好に依存して高くされてもよい。
【0159】
[0205] いくつかの実施形態において、能動サスペンションシステムが、車両の停車中および/または車両の移動中に車両を動かすために用いられる場合、センサは、車両に対する人間、動物、またはたとえば壁や他の車などの静止物の接近度を決定するために用いられ得る。人間、動物、または物体が車両から特定の閾値距離内にある状況下で、能動サスペンションシステムによって誘発される運動は制限または不能にされ得る。
図28は、2台の車両560および561を示す。車両から特定の距離内にある無生物および人間または動物の存在を検出するために、様々な近接および赤外センサが用いられ得る。たとえば、車両561内のセンサは、人間562、犬563、および/または他の車両が閾値距離D
th内に存在するため、能動サスペンションシステムが運動を誘発する能力を制限または不能にするために用いられ得る。また、いくつかの実施形態において、能動サスペンションシステムは、1または複数の扉および/または1または複数の窓が開いている場合、車両に運動を誘発することを妨げられ得る。また、他の実施形態において、1または複数の扉および/または1または複数の窓が開いている場合、能動サスペンションシステムによって誘発される運動の振幅は所定の閾値に制限され得る。
【0160】
[0206] 上述したように、能動サスペンションシステムは、車両の1または複数の部分の運動および位置決めの両方を制御するために用いられ得る。また、いくつかの実施形態において、電気車両または他の種類の車両に、たとえば車両の車台に取り付けられた誘導再充電コイルが搭載され得る。無線充電プロセス中、このコイルは、路面または駐車スペースに設置された1次コイルから電気エネルギーを受け取る。適当な近傍の1次コイルの決定に応答して、車両の能動サスペンションシステムおよび/または車高調整システムは、より効率の良い充電プロセスのためにコイルに接近するために地面に近付くように第1の車高から第2の車高へ車両を低めるために用いられ得る。
図29は、誘導再充電コイルが搭載された電気車両570の1つの実施形態を示す。具体的には、コイル571は路面または駐車面に設置または埋め込まれ、二次コイル572は車両に取り付けられる。能動サスペンションシステムおよび/または車高調整システムは、充電中にコイル間のより効率的なエネルギー伝達をもたらすように車両を低めるために用いられ得る。その後充電が終わると、能動サスペンションシステムおよび/または車高調整システムは、車両を通常動作時の高さまで上昇させるために用いられ得る。この車高の選択的変化は、図内で双方向矢印Hによって示される。
【0161】
[0207] 1または複数の車両システムに結合されたセンサの使用によって、1または複数の車両システムの故障または異常動作が検出され、車両乗員に伝達され、および/または遠隔位置へ伝達され得る。長期構成部品挙動に関連するパターン認識の使用によって、1または複数の主要構成部品の性能が監視され得る。たとえば、能動サスペンションシステム内のポンプの熱挙動が長期間監視され、少なくとも閾値期間にわたり通常範囲外で動作していることが観察された場合、故障状態の可能性があるとしてフラグ付けされ得る。たとえばサスペンション構成部品を交換する必要がある場合、車内通知またはモバイルデバイスまたは電子メールへ送信された誤り報告によって、誤り報告が車両乗員に伝達され得る。他の実施形態において、車両のコントローラは、誤り報告を遠隔位置にあるサーバおよび/またはデータベースへ送信してよく、そこで誤り報告は記憶され、および/または起こり得る故障モードを識別するために他の車両からの報告および/または同じ車両からの過去の報告と比較され得る。
【0162】
[0208] いくつかの実施形態において、自律車両は、1または複数のサスペンションおよび/またはたとえばアクチュエータポンプなど他の構成部品の性能および応答特性の履歴記録を記憶するように構成され得る。このデータは、たとえば、様々な車両動作条件および環境条件の関数としてアクチュエータの電動モータによって生成されたトルクを含んでよい。収集されたデータは、たとえば油圧モータ速度、アクチュエータによって生成された(瞬間および平均)電力、アクチュエータによって消費された(瞬間および平均)電力、車体加速度、ダンパ内の圧力、作動油温度、ステアリングホイール位置、ダンパ位置、車体位置(ヨーなど)、ブレーキペダル位置、およびホイール(直線および角)速度も含んでよい。収集されたデータは、時間領域または周波数領域のいずれかにあってよい。たとえば、特定の時点において収集されたデータは、過去に収集されたデータ、修理または部品交換後に収集されたデータ、ルックアップテーブル内の工場記憶データ、および/または車両が新しい時に収集されたデータと比較され得る。1つのホイールにおいて収集されたデータは、車両の1または複数の他のホイールにおいて収集されたデータと比較されてもよい。たとえば、後輪において収集されたデータは、車両速度に依存する時間オフセット後、車両の同じ側の前輪において収集されたデータと比較され得る。たとえば、第1のホイールのイベントおよび性能メトリックが決定された後、第2のホイールが同じイベントに遭遇する対応期間を識別するために既知のホイール間距離が用いられ得る。第2のホイールの識別された期間に関連するデータは、第1のホイールからの対応データと比較され得る。その後、これらの比較に少なくとも部分的に基づいて、起こり得る不調または動作不良に関して乗員または修理業者に通知するために、様々なフラグが設定され、警報灯が点灯され、および/または他の警報デバイスが用いられてよい。たとえば、印加圧力の差、力、加わる力の持続時間、加わる力の変化率、および/または他の任意の適当なメトリックなど、記録された性能メトリック間の予想外の差異は、上記のホイール組立体に関連する能動サスペンションシステムの一部の1または両方の動作不良を示し得る。
【0163】
[0209] いくつかの実施形態において、システム内の特定の構成要素は、性能が不良な構成部品を補償するように構成されてもよい。たとえば、アクチュエータの油圧ポンプにおける漏洩の増加があると決定された場合、システムは、適当な表示灯および/またはユーザインタフェースを用いて車両乗員および/または操作者にその状況を出来る限り伝達することに加えて、漏洩を補償するために特定の動作条件下においてポンプを高速で動作させてよい。
【0164】
[0210] 1つの実施形態において、能動安全サスペンションシステムは、アクチュエータの1または複数の故障状態および/または異常動作を検出するように構成された複数の能動サスペンションアクチュエータを含んでよい。アクチュエータの異常動作は、たとえばアクチュエータコントローラへの部分または総電力の損失、アクチュエータ自体の劣化、システムの様々な要素間の通信断絶、および/またはセンサ不調によって生じ得る。この異常動作は、たとえばアンダステアリングまたはオーバステアリングなど不所望または危険な車両性能を招き得る。アクチュエータの異常動作を検出すると、能動安全サスペンションシステムは、性能低下ユニットを補償するために1または複数の他の能動サスペンションアクチュエータの動作特性を変更してよい。たとえば、1つのアクチュエータコントローラへの電力の損失の結果、そのアクチュエータは、半能動または受動緩衝装置として機能するようなモードで動作してよい。車両コントローラおよび/またはサスペンションシステムコントローラはその後、同様に半能動または受動動作モードで他のアクチュエータの1または複数を動作させ得る。
【0165】
[0211] 1つの特定の実施形態において、ホイール組立体における1または複数のセンサは、ホイールが平衡を失っている、または真円でない場合を検出するために用いられ得る。平衡を失ったホイールは、タイヤ、ホイール、ホイールハブ、およびブレーキロータを含むばね下質量における回転部品と、たとえばホイールをハブに連結する留め具、タイヤにおけるバルブステムおよび圧力センサ、ホイール速度センサ部品、および他の適当な構成部品など小さいが重要な構成部品との全てから成る組立体である。平衡を失ったホイール組立体は、質量中心からの径方向における質量分布がホイール組立体の回転軸に沿って一直線ではないことにより、ホイールの回転時に不均一な遠心力が生じるという理由から、平衡を失っていると考えられ得る。真円でないホイールは、ホイール組立体の回転軸からの径方向距離が、回転軸に対する角位置の関数として一定ではないタイヤおよびホイール組立体である。
【0166】
[0212] ホイール組立体が回転すると、その質量は回転軸に沿った略円形経路に動く。質量アンバランスが存在すると、対応する遠心力アンバランスがハブに現れる。遠心力は、回転軸の周囲をホイール組立体の角位置とともに回転するように見える優先方向を有する。この力の縦成分が測定された場合、それは、ホイール組立体の角位置と同調する強い正弦成分を有するように見え、それによって「1回転に1回」または一次調和パターンを有する周期的な力を生じる。
【0167】
[0213] 一般にハイエンド車両の場合、(タイヤを含む)ホイール組立体は、ホイール力釣合試験機を用いて較正される。これにはタイヤがホイールに取り付けられ、車両が路上を走行中にかかる荷重と同じように荷重をかけられた(たとえば、タイヤ接地面およびハブを通して車両の静的な力がかけられた)状態で、組立体を回転させる機械に挿入される必要がある。機械はその後、回転中にホイール組立体によってハブに加えられる力を測定し、アンバランスを補正するために必要な任意の釣合重りの量および位置を決定する。その後技術者が機械からホイール組立体を取り外し、機械によって示された位置に、示されたマグニチュードで釣合重りを取り付ける。いくつかの場合、ホイールに対するタイヤの最適な角度配向が決定されてもよく、タイヤはその後、技術者によってホイールから取り外され、力のアンバランスを最小限にするために様々な配向に付け替えられる。車両に力感知ハブアセンブリが搭載されている場合、車両の走行中に同じプロセスが実行され得る。
【0168】
[0214] いくつかの実施形態において、力のアンバランスの角位置およびマグニチュードは、ホイール組立体に関連する1または複数の加速度計および/または角位置センサを含んでよい1または複数のセンサを用いて決定され得る。釣合のとれたホイールを提供するための1または複数の重りの位置およびサイズが車両制御システムによって決定され、それによってアンバランスは、車両からホイールを取り外す必要なく補正され得る。車両に能動サスペンションシステムが搭載されている場合、ホイールアンバランスは、ホイールによって車体に加わる周期的な力とほぼ反対方向にホイールに力を加えることによって少なくとも部分的に補正されてもよい。その結果、アンバランスによって生じる周期的な力が相殺され、運転中に車体に入力される外乱を低減させ得る。アンバランスが効果的に低減されるまたは除去されるように、アンバランスを有するホイールのアクチュエータは、ホイールの回転ごとに対応する時間の部分においてアンバランスなホイールによって生じる力と反対方向に向けられた同様の力を加えてよい。その結果、加えられた力の周波数およびマグニチュードは車両速度が増加すると増加し、対応して車両速度が減少すると減少する。また、いくつかの実施形態において、ホイールアンバランスに起因する遠心力を低減または相殺するようにアクチュエータの力を加える時間を正確に合わせるために位相ロックループ(PLL)が用いられ得る。たとえばアンチロックブレーキセンサなどのホイール角位置センサ、およびばね上質量としてのホイール組立体のモデルを用いると、特定の一方向へのアンバランスな力の周期特性(たとえば縦方向に配置された動きセンサによって測定されるような縦方向、または力感知ハブアセンブリによって測定されるような任意の方向)が決定され得ることにより、根本的なアンバランス力ベクトルマグニチュードおよびその回転時の角位置が計算され得る。PLLを用いると、計算されたアンバランスな力の角位置(または「位相」)が決定され、平均化され得る。これらの各々は、道路によって誘発される運動に著しく影響されるが、平均して、アンバランスな力が、振幅を信号の通常ノイズフロアより上まで上昇させる程であるかを検出可能な値になる。いくつかの実施形態において、ホイール力のアンバランスは、タイヤ構造の欠陥によって生じることもある。
【0169】
[0215] 真円でないホイールは一般に、周期的な道路欠陥に近い様子の運動パターンを示すので、アンバランスなホイールとは異なる特性を有する。多くの場合、真円でないホイールは、一次調和のみよりも高次の調和性を有する周期的な力を生じ得る。これは、検出アルゴリズムがホイール組立体における力を監視し、真円ではない挙動を検出し、力のアンバランスとは異なる処理を行うことを可能にし得る。
【0170】
[0216] いくつかの実施形態において、能動サスペンションシステムは、車両からタイヤを取り外す必要なく各タイヤにおけるアンバランスまたは真円でない状態を診断し、アンバランスおよび/または真円でないホイールを少なくとも部分的および/または一時的に補償するための力を生み出すために用いられ得る。それによって、車両は、アンバランスなホイール組立体に伴う一般的な不快感および/またはタイヤ損傷を伴わずに少なくとも一時的に運転状態を保つことができるが、同時に、システムは、状態を診断し、次に都合の良い時に点検するように車両操作者に警告してよい。いくつかの実施形態において、ホイールアンバランスおよび/または真円でないホイールが検出されると、システムは、表示器、信号、または操作者が見ることができる他の任意の適当な出力を用いて車両操作者にその状態を表示してよい。また、システムは、特定のホイールに対して取るべき適当な修復措置を決定し、専門の修理業者に出力してよい。たとえば、データは接続中の診断システムへ出力され、および/または修理業者が見ることができるディスプレイに送信され得る。送信されたデータは、たとえばホイールアンバランスを修復するための釣合重りのマグニチュードおよび/または角位置を含む様々なパラメータを含んでよい。ホイールを取り外して調整する一般的なプロセスがこのように回避され、1または複数の車両ホイールを調整するプロセスは、より迅速かつ低費用で実現され得る。能動サスペンションの力を用いることによるアンバランスの相殺もまた、1または複数の釣合重りの位置およびマグニチュードを自動的に診断するという単純な事実にも留意すべきである。
【0171】
[0217] いくつかの実施形態において、能動サスペンションシステムが搭載された自律車両は、車両の1または複数の部分へ1または複数の所定の励起運動を誘発することによって、1または複数のアクチュエータの不調および/または異常動作を自己診断してよい。能動サスペンションシステムおよび/または1または複数のセンサは、その後、車両および/または1または複数のサブシステムにおける結果応答を監視してよい。この情報に基づいて、システムは故障判定を行ってよい。いくつかの実施形態において、そのような故障判定が下された場合、システムは、表示器、ディスプレイ、および/またはユーザインタフェースを用いて乗員および/または操作者に通知し、修理施設に修理の予定を組み、および/または車両の使用を中止してよい。
【0172】
[0218] 1つの実施形態において、能動サスペンションは、システムの通常動作の一部として誘発される運動以外のあらゆる追加の運動を誘発することなく、システムの応答転送機能を継続的に監視することができる。システムモデルは、システムパラメータを推定し、時間および環境要因によるそれらの変化を追跡するために、たとえばカルマンフィルタを用いて、アクチュエータおよびそのセンサ全ての挙動を追跡してよい。
【0173】
[0219] 他の実施形態において、能動サスペンションは、車内の乗員が気付くには小さすぎるがシステムの少なくとも1または複数のセンサによって検出するには十分大きい運動を誘発するために用いられ得る。その結果生じる運動は、その後、ターゲット運動と比較され得る。その時点で車両およびアクチュエータに存在する他の条件、すなわちアクチュエータ性能、車両荷重、荷重分布、温度、および他の適当なパラメータの全てを考慮に入れて、1または複数のセンサからのデータは、起こり得るシステム故障を診断および/または予測するために用いられ得る。たとえば、いくつかの実施形態において、能動サスペンションシステムは、特定のイベントが起こる度に、所定の時間間隔後、および/または要求が受信された後、たとえば40Hzなど比較的高周波の運動を生み出すために用いられ得る。たとえば、1つの実施形態において、車両が完全停止に至ると、能動サスペンションシステムを用いて車内に運動が励起され得る。これらの状況下で、システム動作パラメータを考慮に入れ、1または複数のセンサによって検出された運動は、ターゲットまたは予想運動と比較され得る。1または複数のセンサの予想出力と実際の出力との間の1または複数の不一致は、車両の少なくとも一部の許容差を超えた動作または故障表示器として用いられ得る。いくつかの実施形態において、この情報は、予知ツールとして用いられ得る。
【0174】
[0220] 代替または追加として、いくつかの実施形態において、能動サスペンションは、最大範囲の運動によってサスペンションを動かす診断モードで用いられ得る。これは、サスペンションの共振周波数を識別することによって、力性能が限られた能動サスペンションを用いても実現することができる。第1のステップにおいて、運動パターンが作成され得る。これはたとえば、車両の前部のみの運動、または車両の後部のみの運動、またはロール方向の運動、または他の任意の運動の組み合わせであってよい。次に第2のステップにおいて、この運動は、予想されるシステムの共振を下回る周波数かつ小さな振幅で誘発されてよく、その結果生じる運動はシステム内に存在する1または複数のセンサを用いて測定される。たとえば1または複数のサスペンション位置センサがこの目的のために用いられ得る。次に第3のステップにおいて、運動が最大になる周波数を決定するために周波数は徐々に大きくされ得る。この周波数は、その特定の運動パターンに関するシステムの共振周波数に近く、この運動に伴うシステム質量分布および迎合性によって完全に決定され得る。旅客車両において、これは、主要サスペンションばね、ロールバー、および車両の質量分布によって決定され得る。これは、質量分布が既知であれば(たとえば車両が無人であり、ガスタンク内の燃料量が既知である場合)、ばね挙動における任意の大幅な変化を決定し、その結果として構成部品を診断するために用いられ得る。システムはその後、最高出力運動を生じる周波数における所与のパターンで動かされ得る。励起の振幅はその後、出力が変化しなくなるまで徐々に増加され得る。これは、車両の運動の最大範囲を示し、任意の機械的干渉、およびセンサおよび/またはアクチュエータの不調の結果生じ得る運動パターンにおけるあらゆる不一致を検出するために用いられ得る。これはその後、機能的問題を干渉または不調のうち単一の原因に分離するために、複数のパターンについて繰り返され得る。
【0175】
[0221] いくつかの実施形態において、能動サスペンションは、車内の他のセンサを励起するように車両を作動するために用いられ得る。たとえば、多くの車両に存在する中央車両慣性測定ユニット(IMU)は、既知の運動状態(たとえば車両が停止している時の所定の運動など)を用い、その結果生じるセンサ信号を、それらの条件下でこの運動と関係がある他のセンサからの信号と比較することによって、較正および確認され得る。たとえば、車両が停止している(かつ、それゆえに道路または運転者からの入力がない)場合、サスペンション位置センサによって感知される運動は、車体で(IMU、または車体における他の任意の加速度センサまたは位置センサにおいて)感知された運動と密接に関連するはずである。またサスペンション位置センサおよび車体加速度センサによって検出された運動は、それらの車上での取付け位置および配向と一致するように互いに関連し得る。これによって、たとえば所与のセンサの配向の変化または取付けにおける任意の変化を検出することが可能である。
【0176】
[0222] いくつかの実施形態において、上記方法は、自律車両センサに適用され得る。1つの実施形態において、車両は、ガレージまたは障害物付近に駐車している時、自身のライダ、レーダ、レーザ、および他の位置センサを試験することができる。能動サスペンションアクチュエータを用いる車両を動かすことによって、車両は、障害物を検出する外向き監視センサからの予想される信号変化を計算することが可能である。信号における変化が車両の運動と一致していない場合、センサの不調が検出され得る。これは、不調が持続的である場合、およびセンサシステムが不一致の他のあらゆる原因を除去することができるほど冗長である場合、特に当てはまる。たとえば、ライダシステムは、たとえばカメラなど視覚ベースのシステムと関連し得る。車両が既知の方法で動くと、2つのセンサは、検出された障害物の相対運動を示してよく、それらは互いに一致する。この試験は、たとえば修理店において、特定の距離に所与の障害物および所与の照明を伴う制御されたセッティングで実行され得るが、試験妥当性が不確定である場合、「誤検知」誤り検出を除外するための適切な警告を伴い、車両が安全な場所に駐車している通常ベースで実行されてもよい。いくつかの実施形態において、試験結果は、たとえば内部警告フラグを設定するために用いられてよく、警告フラグが複数の様々な条件下での複数の試験を通して存続する場合、これは、認可修理店で試験すべき車両を示すフラグに引き上げるために用いられ得る。
【0177】
[0223] いくつかの実施形態において、能動サスペンションシステムのためのエネルギー需要は、再生を考慮に入れ、利用可能なエネルギーレベルとともに予想されてよく、そのどちらも、特定の行程に関して所与の道路上で与えられ得る最適な乗り心地を決定するために用いられ得る。
【0178】
[0224] いくつかの実施形態において、能動サスペンションシステムが搭載された車両は、予定経路に基づいてシステムの電力需要を予測し得る。電力需要は、たとえば、地形、路面状況、距離、海抜変化、その車両自体および/または1または複数の他の車両によって収集された履歴データ、実施中の快適性および/または性能要件、およびたとえば既知の外気温および所望の車室内温度に基づくHVACなどの補助電力要件に基づいて計算され得る。この情報に基づいて、車両は、予測エネルギー需要および/または行程の一部または残りのための瞬時電力要件に基づいて、先の経路のために利用可能なエネルギーを配分してよい。予測は、車両に燃料補給/再充電する機会も考慮に入れてよい。いくつかの実施形態において、車両は、車両の予測到着に時間を合わせた燃料補給/再充電スロットを確保するために燃料補給/再充電ステーションと通信してよい。また、車両は、到着時にステーションへのアクセス権を得るために、燃料補給/再充電施設によって指定され得るパスワードまたは他の固有識別手段を用いてよい。いくつかの例において、燃料補給/再充電ステーションは、バッテリパックの少なくとも一部が交換または補充されるステーションを含んでよい。
【0179】
[0225] いくつかの実施形態において、たとえば速度、経路および車線選択、交通状況、利用可能な車載エネルギー、燃料補給/再充電の機会、サスペンションまたはブレーキシステムのエネルギー再生潜在能力、快適性設定、および乗り物酔い回避要件など様々なパラメータ間のトレードオフを考慮に入れた移動エネルギー利用計画が展開され得る。
【0180】
[0226] いくつかの実施形態において、そのような基準に基づいた経路選択は、車両乗員が選択できるように車両乗員に提示され得る。車両または乗員は、最も省エネルギーである経路を取るように選択してよい。たとえば、省エネルギー経路は、乗員の不快感を防止し道路状況を補償するために能動サスペンションシステムによって必要なエネルギー量、および経路を通して車両を運転するために予想されるエネルギー消費量に少なくとも部分的に基づいて、経路を選択し構成する。特定の走行経路に必要なエネルギー要件は、たとえば予想される車両速度、走行距離、経路に沿った海抜変化、道路状況、予想される道路状況に沿って1または複数の動作モードで車両のサスペンションシステムを動作するためのエネルギー要件、および他の任意の適当なパラメータなどのパラメータを用いてあらゆる方法で計算され得る。上述した実施形態と同様に、この情報は、今後、所望の情報の推定に使用するために、車両のローカルに記憶され、または、遠隔に位置するサーバおよび/またはデータベースから車両へ無線送信されてよい。距離制限のある移動(たとえば追加の充電停止を伴う移動)および/または時間依存移動期限の際、エネルギー消費を低減し、所望の移動または移動の一部に十分なエネルギーが利用可能であることを確実にするために、車両システムの1または複数においてエネルギー割当てが実行され得る。たとえば、移動を完了するために十分なエネルギーがなく、かつ最大乗り物酔い抑制を提供している場合、車両は、サスペンションシステムが低減された乗り物酔い軽減モードを提供するモードで運転され得る。他の実施形態において、自律車両が、たとえば積荷および/または乗客のピックアップに向かう道中など空状態で走行している場合、車両は、省エネルギーのために、乗客の快適性を高めるように意図されたサスペンション制御アルゴリズムを緩和または不能にしてよい。
【0181】
[0227] 従来駆動型車両において、能動サスペンションアクチュエータは、運転者の道路感覚および操舵応答を改善するとともに、全乗員の快適性を改善するために用いられ得る。多くの場合、これら2つの要求セットは対立する。具体的には、車両の応答性および運転の娯楽性を高めるサスペンションシステムの性能特性は多くの場合、乗客のための快適な乗り心地を提供する要件と対立する。たとえば、たとえば1Hz未満の周波数など低周波数における車内の道路誘発運動を抑制することは、たとえば乗り物酔いの発生の可能性を低減することによって乗客の快適性を改善し得る。しかし、従来駆動型車両において、車両がこれらの低周波数における道路入力に応答しない場合、車両の操舵は道路から切り離されたように感じられる。この挙動は運転者にとって非常に不安になり得る。車両が定期的に駆動されるが場合によっては自律運転され得る特定の実施形態において、たとえば1Hz未満または0.5Hz未満などの低周波数は、車両が従来駆動モードで運転される場合よりも自律モードにおいて大きな程度まで抑制され得る。
【0182】
[0228] 1つの実施形態において、自律車両は、少なくとも1つのアクチュエータを含む能動サスペンションシステムと、車両を自律状態および従来駆動状態で運転する車両制御システムとを含む。自律状態において、能動サスペンションシステムは、能動サスペンションシステムが道路感覚およびドライバビリティ要件に多くの重み付けをもたせず、代わりに増加した乗客快適性および乗客体験に注力し得る第1のモードで動作してよい。車両が従来駆動状態で運転される場合、能動サスペンションシステムは、能動サスペンションシステムが運転者に所望のレベルの道路感覚およびドライバビリティを提供し得る第2のモードで動作してよい。上記に加えて、第1のモードにおいて、道路と車内構造との間の道路外乱の伝達率は、たとえば0.05Hz〜10Hzなど乗り物酔いに関連する第1の周波数範囲に関する道路と構造との間の道路外乱の伝達率よりも低い。
【0183】
[0229] 他の実施形態において、自律車両は、自律状態および従来駆動状態において選択的に動作してよい。自律車両は、車両の1または複数の様々な部分に対応し得る第1の構造および第2の構造の両方を含んでよい。第1の構造とホイールとの間の相対運動は、第1のサスペンションシステムによって制御され得る。同様に、第1の構造と第2の構造との間の相対運動は、第2のサスペンションシステムによって制御され得る。いくつかの実施形態において、第1および第2のサスペンションシステムの一方または両方は、能動サスペンションシステムであってよい。
【0184】
[0230] 車両は、専ら従来駆動型車両、自律車両、またはマルチモーダル車両であってよい。マルチモーダル車両は、特定のモードにおいて(運転者を有する)従来駆動型車両として、および他のモードにおいて自律車両として選択的に動作してよい。いくつかの車両は、様々な程度の運転者アシストを伴う主に従来駆動型の車両として、または様々な程度の運転者介入を伴う主に自律的な車両として動作してよい。
【0185】
[0231] 実施形態において、車上で電子制御されるサスペンションは、人間の運転および自律運転のための様々な動作モードを有し、車両は、車両が人間の運転者と自律運転との間で切り換わるとサスペンション動作モード間で切り換わってよい。実施形態において、車内の乗員は、人間の運転者と自律運転とで選択してよく、車両は、電子サスペンションの制御モードを自動的に変更してよい。実施形態において、電子サスペンションは、半能動サスペンションまたは完全能動サスペンションのいずれであってもよい。実施形態において、動作モードは、様々なアルゴリズム、様々なパラメータ設定、および/または電子サスペンションのための制御システムに対する他の変更を備えてよい。たとえば、能動サスペンションシステムは、自律運転モードで動作し、その後車両が従来駆動モードで運転される場合、たとえば乗り物酔いに関連する周波数範囲など1または複数の周波数範囲において、道路外乱から車両の少なくとも一部に伝達される運動をより大きな程度まで低減してよい。
【0186】
[0232] いくつかの実施形態において、自律車両が従来駆動モードで運転される場合、能動サスペンションシステムは、旋回の一部または全部において負からゼロの車両ロールを維持してよい。負のロールは、遠心力の結果、従来車両に通常生じる、回転の中心から離れた方向へのロールとして定義される。正のロールは、反対方向、すなわち旋回の内側および旋回の中心に向かう方向へのロールとして定義される。負からゼロのロールは、一般に、車両の運転者に好まれる。しかし、自律モードにおいて、乗客は旋回の一部または全部において正のロールを好み得る。したがって、自律運転中、能動サスペンションシステムは、車体をゼロから正のロールに維持してよい。この2つのモード間の切換えは、たとえば従来駆動から自律運転への切換えを示すセンサ入力の結果、または車両操作者または乗員からの指令または信号の結果として自動的に生じてよい。
【0187】
[0233] 上記に加えて、本発明者らは、動いている車両の乗員が、画像や車内の物体を読み、または注視している場合、人間の視覚眼反射(VOR)によって生じる目の運動が乗り物酔いを招き得ることを理解している。これは、VORの結果生じる読み手の目の焦点におけるシフトと、注視されている文字、画像、または物体の実際の位置との間の不一致によって生じ得る。VORは、たとえばコンピュータスクリーンまたは他のディスプレイなど注視されている物体が慣性固定されているという想定に基づいて焦点を調節する。しかし、動いている車内では、これは通常当てはまらない。したがって、1つの実施形態において、車内のディスプレイ上の画像は、ディスプレイから文字を読み、またはビデオを視聴している車両乗員の目に生じる網膜の滑りを少なくとも部分的に打ち消すように動かされ得る。
【0188】
[0234] いくつかの実施形態において、ディスプレイ上の画像の位置と、VORによる乗員の焦点の変化との間の矛盾は、1Hz〜10Hzの周波数範囲における車体の運動を低減することによって軽減され得る。追加または代替として、車両の1または複数の副部および/または車両の乗客室の運動が、同様にこの周波数範囲内で軽減され得る。たとえば座席、デスク、および/またはワーク面は、この周波数範囲におけるこれらの構造の運動を軽減するサスペンションシステムを含んでよい。
【0189】
[0235] 上記に加えて、
図30に示すように、1つの実施形態において、たとえばコンピュータまたはインタフェーススクリーンなどのディスプレイ580上の画像は、乗員の予想されるVORを少なくとも部分的に補償するために距離Dだけ動かされてよく、これは、乗員における乗り物酔いの可能性を軽減するために役立ち得る。たとえば、ディスプレイコントローラ582は、たとえば経験的または統計的に決定され得る頭部運動と車両運動との間の伝達関数を用いて、車両乗員の予想VORに起因する所与の周波数における乗員の焦点について予想される移動量Dを決定してよい。
【0190】
[0236] 画像の移動は、たとえば慣性空間において撮像された運動と車両の運動との間の伝達関数を決定することによっても決定され得る。画像を生成するシステムはその後、車両によって誘発される運動およびVORの結果生じる画像の予想位置の不一致を補償する運動を画像内に誘発するために用いられ得る。たとえば、コンピュータスクリーン上の文字の場合、画像は、特定の周波数範囲において文字の予想位置と実際の位置との不一致を軽減するために動かされ得る。
【0191】
[0237] 乗員の視覚は一般に約1Hz未満の運動を補償することができるので、いくつかの実施形態において、ディスプレイ上に表示された画像は、約1Hz以上10Hz以下、2Hz以上10Hz以下の周波数範囲、またはそれらより大きいまたは小さい範囲を含む他の任意の適当な周波数範囲を有する運動を補償するためにしか動かされなくてよく、本開示はその点で限定されない。
【0192】
[0238] いくつかの実施形態において、たとえば乗り物酔いまたは方向感覚の喪失などの不快感を最小限にし得る基準点を提供するために、合成画像が車両内部に投影され、乗員に対し可視化され得る。たとえば、合成画像または基準フレームは、外部環境および車両運動の乗員知覚を変更するために車両乗員に表示される現実的な様相の画像であってよい。たとえば、車内の面またはディスプレイに合成地平線が投影され得る。面上に投影または他の方法で表示された水平線は、車の実際の運動を追跡するように面に対して動かされ、車内の乗員に移動の基準を提供してよい。
【0193】
[0239] いくつかの実施形態において、能動サスペンションシステムの利点を示すために、スマートフォンアプリを介して移動概要が提供され得る。いくつかの実施形態において、移動概要に含まれ得る事項は、たとえば合計サスペンション移動、運転者の積極性、道路粗さプロファイル、マップディスプレイ上の走行経路、エネルギーである。
【0194】
[0240] いくつかの実施形態において、マップは、最新の移動における道路粗さを表示してよい。いくつかの実施形態において、記録された経路において能動サスペンションシステムを用いる利点がシステムによって計算され表示され得る。この利益は、たとえば1997年に発行されたISO規格2631−1において説明される重み付け因子を用いて計算され得る。
【0195】
[0241] また他の実施形態において、差し迫った、または起こり得る衝突または事故を検出するためにセンサが用いられ得る。これは、投影された車両の軌跡と、周囲物体、障害物、および/または他の車両とを比較することによって行われ得る。たとえば閾値パーセンテージを超えるパーセンテージの可能性など十分高い可能性がある場合、そのような出来事の車両乗員への影響を軽減するために車両および乗員を衝突に備える措置が取られ得る。たとえば、識別または予想された衝撃ベクトルおよび車内エアバッグの位置に対して座席が位置変更され得る。特定のエアバッグおよび安全装置が装備および/または展開され、1または複数人の乗員と正確に位置が合っていない他のそれらは不必要な展開または不所望の展開を防ぐために不能にされ得る。たとえば、無人の座席に隣接するエアバッグおよび/または乗員がそれに対し不適切な方向を向いたエアバッグは不能にされ得る。いくつかの実施形態において、車両エアバッグは衝突前に展開され、それによって展開の力および速度は、衝突による接触後に車両が減速し始めた後に展開されるエアバッグと比べて低減され得る。展開のタイミングは、移動ベクトルの交差を用いて決定された衝突予想時間および1または複数のエアバッグを展開するための時間を用いて決定され得る。
【0196】
[0242] いくつかの実施形態において、車内の使用中の各座席は、その位置に依存して、乗員への衝撃の影響を最小限にするように方向付け、固定、およびロックされ得る。たとえば座席は、車両の移動方向に対して最も近い順方向または逆方向に向けられ、ロックされ得る。鋭利な物体または硬い面は退避され、および/またはエアバッグまたは他の安全装置が位置変更され得る。したがって、衝突または事故が差し迫っていることを車両センサが検出するイベントにおいて、車両乗員に接触し得る1または複数の構成部品は、事故モードに配置され得る。そのような動作モードにおいて、そのような構成部品は、怪我を防止するために離れた所へ退避または移動され得る。たとえばエアバッグなどの安全装置の展開のレートおよび/または程度は、予想される衝撃の深刻度を考慮に入れて調整されてもよい。
【0197】
[0243] いくつかの実施形態において、衝突または事故が差し迫っていることを車両センサが検出した場合、乗員は、衝撃に備え、または特定の姿勢をとり、またはシートベルトを締めるように通知されてもよい。乗員は、ドライブの開始時、または新たな乗客が車両に乗り込んだ際、そのような手順を知らされ得る。この方法によって乗員は自身で衝撃に備えることができ、それは乗客の安全を促す最適な機会を提供することであり、ビデオ提示によって任意の新たな乗員に自動的に説明され得る。そのような指示は、全乗客が既に説明を受けたことをシステムが認識した場合、または1または複数人の乗員によって要求された場合、無効にされ得る。システムが、車内に子供用座席または幼い子供の存在を検出した場合、特別指示が与えられ得る。またシステムは、子供用座席が適切に固定されているかを試験し、危険な状態が存在する場合、乗員に通知することもできる。
【0198】
[0244]
図31は、上述した方法および特徴を実行する自律車両670の1つの実施形態を示す。実施形態において、車両は、4つの乗客座席671a〜671d、ワーク面672、エアバッグ673a〜673h、およびワーク面埋込み型エアバッグ674a〜674dを含む。車両が方向Aに移動し、物体と衝突しそうである場合、自律車両システムは、最も近い順方向または逆方向に向くように座席の位置を合わせ、衝突前にその位置にロックしてよい。あるいは、十分な時間がある場合、座席は、衝撃ベクトルの影響に対し最も有利な位置に向けられ、たとえば、衝撃による予想される動きに向かう方向または離れる方向へ向けられ得る。同時に、特定のエアバッグが展開するように装備され、特定のエアバッグは不能にされ得る。たとえば座席671aおよび671cが使用中であり図示するような位置にある場合、エアバッグ674dのみが装備され、残りのエアバッグは解除され得る。
【0199】
[0245] 車両運転中の乗り物酔いを軽減するために能動サスペンションシステムを用いることに加えて、本発明者らは、運転可能な道路車両内に設置された1または複数の能動サスペンションシステムは、車両に組み込まれ、車内に設置され、および/または車両に隣接して掲示されたディスプレイ上に描画されるマルチメディア体験のための、より現実的な環境をもたらすためにも用いられ得ることを認識している。たとえばそのような方法は、ビデオゲームのプレイ、映画鑑賞、および/またはビデオリアリティ体験の向上のために用いられ得る。
【0200】
[0246] 1つの実施形態において、1または複数のセンサを搭載した車両は、車内の道路誘発効果を記録するために用いられ得る。これらの記録された効果は、たとえば、ホイール(ばね下質量)運動および/またはロール、ピッチ、および/またはヒーブを含み得る車体(ばね上質量)運動を含んでよい。記録された情報は、1または複数のホイールまたはホイール組立体と車体における1または複数のポイントとの間の相対変位を含んでよい。記録された効果は、車上の1または複数のポイントおよび/またはホイール組立体の速度および/または加速度を含んでよい。データを収集するために用いられる車両には、たとえば受動サスペンションシステム、半能動サスペンションシステム、または能動サスペンションシステムが搭載され得る。道路誘発効果は、路上または他の走行面における走行の結果生じる、車体(ばね上質量)またはホイール組立体(ばね下質量)が経験する任意の変位、速度、または加速度を含んでよい。
【0201】
[0247] 能動サスペンションシステムを搭載した様々な車両は、その後、車両が屋内または屋外のいずれかに駐車または停車中である時、記録された運転誘発効果を少なくとも部分的に再現するために用いられ得る。たとえば、駐車車両の能動サスペンションシステムは、同じ車両または路上や他の表面を走行中の他の車両によって過去に記録された運動を模擬するために車体の1または複数の部分に運動を誘発してよい。いくつかの例において、駐車車両の運動は、記録された道路誘発効果をある程度軽減することによって、またはそれらに人工的に追加することによって修正され得る。
【0202】
[0248] たとえば車両ロール、ピッチ、および/またはヒーブなどの様々な事前記録された道路誘発効果が、能動サスペンションシステムを用いて再現され得る。そのような再現は、事前記録された道路誘発効果の「再生」と見なされ得る。追加または代替として、事前記録された、たとえば前後および横方向の加速などの道路誘発加速は、これらの方向に車両を支持し動かし得るプラットフォームまたは他の支持メカニズムを用いて再現され得る。能動サスペンションの制約の範囲内で、能動サスペンションは、車両を縦揺れまたは横揺れさせることによって特定の横方向および前後加速の感覚を誘発してもよい。このプロセス中、道路誘発効果は、事前記録された効果と照合するために駐車または停車車両において再現され得る。
【0203】
[0249] いくつかの実施形態において、能動サスペンションシステムは、記録されたロール、ピッチ、および/またはヒーブを精密に再現してよい。いくつかの実施形態において、精密な再現は、記録された運動の約1%、5%、10%、または他の任意の適当なパーセンテージ以下の誤差範囲を伴う、たとえば車体またはホイールの変位、速度、加速度、または躍度、または車両のロール、ピッチ、ヒーブ、ロールレート、ピッチレート、ロール加速度、ピッチ加速度など事前記録された道路誘発分量の再現を意味してよい。
【0204】
[0250] いくつかの実施形態において、特定の事前記録された効果を再現するために能動サスペンションアクチュエータの1または複数によって加えられる必要がある変位または力は、能動サスペンションシステムの1または複数の構成部品の能力を超えることがある。また、道路誘発運動の再現の程度も同様に他の理由によって制限されなければならないことが決定され得る。そのような場合、事前記録されたデータは、アクチュエータの運動または力指令を所定の閾値範囲内に制限するためにプリフィルタされ得る。たとえば、いくつかの実施形態において、アクチュエータコントローラに送信される最大作用力および/または最大変位指令は、圧縮および/または延伸時の所望の閾値に制限され得る。したがって、いくつかの実施形態において、再現中の1または複数の分量を制限するために、事前記録データがプリフィルタされる場合、その分量は、特定の閾値に到達すると単純に切り取られ得る。あるいは、システムに人工的な高周波励起をもたらす傾斜の不連続性を回避するために、分量の変化率が遷移され得る。たとえば、再生指令は、アクチュエータが硬い物理的ストップに衝突することなく、圧縮および/または延伸行程の終了に達するまで徐々に速度を落とすように制限され得る。「徐々に」という言葉は、分量の変化率の所定の閾値内に留まるとともに、所望の力および/または距離分量が同様に閾値範囲内に保たれることを含んでよい。
【0205】
[0251] 上述した方法を実行する場合、いくつかの実施形態において、運動再生中、1または複数のアクチュエータの電力またはエネルギー消費は1または複数のコントローラによって所定の最大値に制限され得る。たとえば、1または複数のアクチュエータのエネルギー消費は、システムの構成部品の過熱を防止するために制限され得る。いくつかの実施形態において、たとえば温度センサなど他のセンサは、システムの閾値温度を超えることを防止するために同様にアクチュエータ出力を制限するためのフィードバックメカニズムとして用いられ得る。
【0206】
[0252]
図32は、道路データ収集、プリフィルタ、および再生のためのシステムの実施形態の機能ブロック図を示す。車両701には、たとえば慣性測定ユニット(IMU)加速度計、および/または変位センサなど1または複数のセンサ702が搭載される。センサ(複数も可)からのデータは、アナログ形式の場合、データ取得システム703によってデジタル化され得る。
【0207】
[0253] 能動サスペンションシステムの任意のアクチュエータの容量は、けして無制限ではない。たとえば、能動サスペンションアクチュエータの移動および力出力の範囲は一般に、動作閾値および/または物理閾値のいずれかより下に上限を定められる。したがって、計測車701によって収集された、再現されるデータのセグメントは、車両の1または複数のアクチュエータ709の閾値能力を上回るデータのアスペクトを除去するためにプリフィルタ704によってプリフィルタされ得る。プリフィルタされたデータはデータベース705に記憶され、そこでデータは、第2の車両707の能動抑制システムコントローラまたは車両コントローラ706によってアクセスされ得る。第2の車両707は、道路データを収集するために用いられた車両701と同じ車両または異なる車両のいずれであってもよい。
【0208】
[0254] コントローラ706によってアクセスされるデータは一連の力指令に変換され、一定時間ステップで、能動サスペンションシステムの個別のアクチュエータに関連する角コントローラ708へ供給される。これらの力指令が力アクチュエータ709を用いて実行されると、(プリフィルタ後の)道路誘発効果が再現される。この実施形態において、各アクチュエータは、車両のホイール組立体の1つに連結される。いくつかの実施形態において、1または複数のホイール組立体はアクチュエータに取り付けられず、および/または単一のホイール組立体が複数のアクチュエータに取り付けられてもよい。
【0209】
[0255] いくつかの実施形態において、道路誘発効果が再現された場合、能動サスペンションシステムを有する車両は、乗り物酔い試験を行うためのプラットフォームとして用いられ得る。道路誘発運動が駐車車両において再現され、車内に座った1または複数人の被験者はその運動に晒され得る。たとえば車両は、繰り返す状況下での乗り物酔い制御アルゴリズムを試験するための試験台として用いられ得る。いくつかの実施形態において、乗り物酔い試験中の被験者は、たとえば本、タイプされた頁、コンピュータ、またはスマートフォンによる読書など特定の作業を実行するように要求され得る。いくつかの実施形態において、試験中、読み物は車両に固定されるか、または車両とともに動くようにされてもよい。あるいは読み物は、被験者によって保持されるか、または前庭眼反射(VOR)を少なくとも部分的に補償するように動かされてもよい。
【0210】
[0256]
図33は、再生中にコントローラに送信される「道路入力」を再生するために反応するコントローラによって実行される制御ループ710のブロック図を示す。また、コントローラは、「道路入力」によって車両に誘発される運動を低減するために、運動軽減アルゴリズムを同時に実行してもよい。いくつかの実施形態において、道路再生は、運動量を軽減するためにプリフィルタされていない。むしろ、アクチュエータコントローラは、入力外乱を拒絶し、車両が路面を走行中であるかのように所望通りに車体を制御するために、模擬された道路入力誘発外乱にリアルタイムで従う。コントローラは、
図11において上で詳述したものと同様の制御スキームを実行してよい。したがって、道路(すなわち、プリフィルタされた力指令)は、車両システムにある程度の外乱を与える。この外乱は、車載センサによって測定され、所望の軽減された力指令を実現するためにコントローラを介したフィードバックによって軽減される。
【0211】
[0257]
図34は、車両の前部ヒーブ運動720、後部ヒーブ運動721、およびロール運動を含む様々な種類の運動に関する軽減された周波数スペクトル対軽減されていない周波数スペクトルの比較を示す。グラフに示すように、前部ヒーブスペクトルにおいて0.3Hz〜2Hzの範囲内のエネルギーが軽減される。ただし、後部ヒーブ運動の場合、0.3Hz〜6Hzの範囲内で軽減される。また、ロールスペクトルにおける軽減は0.3Hz〜10Hzの範囲内である。当然、様々なサスペンションシステムおよび/または様々な動作モードに関する様々な周波数範囲内での様々な運動軽減性能が考えられる。
【0212】
[0258] いくつかの実施形態において、車両が、車両ダイナモメータ上の1または複数の速度で運転中、車両の能動サスペンションシステムは、所定の運動および/または事前記録された運動のいずれかを用いて特定の車体および/またはホイール運動を誘発するために用いられ得る。このように、車体運動の効果は、車両パワートレインが様々な速度で動作している時に研究され得る。同様に、いくつかの実施形態において、事前記録された道路誘発および/または人工的に発生させた車体および/またはホイール運動は、同様に追加の研究のために人工気候室内で生成され得る。
【0213】
[0259] いくつかの実施形態において、赤ん坊を「揺すって」眠らせる運動を生じるために、能動サスペンションシステムを有する車両の車体または一部に特定の運動が誘発されてもよい。
【0214】
[0260] 運動を再現することに加えて、いくつかの実施形態において、車両の能動サスペンションシステムは、車両が、たとえば駐車場、ガレージ、または他の都合の良い場所に駐車されている時、特定の車体および/またはホイール運動を誘発するために用いられ得る。これらの運動は、車両の1または複数人の乗員が鑑賞しているビデオの少なくとも1つの局面と少なくとも部分的に同期され得る。ビデオは、たとえばダッシュボード、背もたれ、および/または車内の他の任意の場所に取り付けられたディスプレイに表示され得る。あるいはディスプレイは、車内の表面に載置されたディスプレイに対応してよく、および/または、たとえばオキュラスリフトデバイスなどの仮想現実ヘッドセットの一部である。いくつかの実施形態において、システムは電気車両に一体化され、または電気車両とともに用いられてよく、その場合、電力はエンジンを作動せずとも供給され得る。
【0215】
[0261] ビデオと車体運動との少なくとも部分的な同期化は、たとえばビデオの制作者または第三者によって提供された運動追跡に基づいてよい。いくつかの実施形態において、再生中に用いられる情報は、能動サスペンションを有する車両を用いて少なくとも部分的に生成され得る。車両運動は、能動サスペンションシステムを制御するためのたとえばジョイスティック、キーボード、またはタッチ感知式コンピュータスクリーンなどのインタフェースを用いて人間によって生成され得る。車両運動は、たとえばビデオ視聴中の人間によって生成され得る。そのような人間によって命令された運動は、今後の再生のために記録され得る。再生中、車両の能動サスペンションシステムは、表示中のビデオと同様の形式および関連するタイミングで車両を動かすために用いられ得る。
【0216】
[0262] いくつかの実施形態において、能動サスペンションシステムは、車内で音楽鑑賞、ビデオ視聴、またはビデオゲームをプレイする際の乗員体験を向上するために、車内に特定の運動を誘発するために用いられ得る。これらの運動は、オーディオおよび/またはビデオ記録に付随する事前記録された運動追跡に応答して誘発され得る。またこれらは、1または複数のコントローラ入力を用いて車内のビデオゲームの1または複数人のプレーヤによって与えられる指令に応答してもよい。
【0217】
[0263] いくつかの実施形態において、車両は、車両の1または複数の能動サスペンションシステムを用いて、ダンスの動きを模擬し、またはサブウーファーを模倣する音を生成することによって音楽に応答させられ得る。
【0218】
[0264]
図43は、車両を音楽システムのサブウーファーとして機能させるために能動サスペンションシステム960が用いられ得る実施形態のブロック図を示す。オーディオ源961は、フィルタ962によって受け取られる電子オーディオ信号を生成し、フィルタ962は、ローパスフィルタとして動作し、オーディオ信号の低周波コンテンツを能動サスペンションシステムに提供する。この実施形態において、能動サスペンションシステムは、1または複数のサスペンションシステムアクチュエータを用いて、このフィルタされたオーディオ信号に応答して車体に低周波数振動を生成する。能動サスペンション制御装置は、車両が停止中および/または車両が路上を走行中、これらの可聴振動を生成するように車内に運動を誘発するために能動サスペンションを動作させ、能動サスペンションシステムは車両運動を制御するとともにサブ−ファーの機能を果たす。
図43の実施形態において、能動サスペンションコントローラへ入力され、能動サスペンションシステムによって再生されるフィルタされたオーディオ信号は、増加したレベルの低周波数音を生成するために低周波数振動を増大させ得る。いくつかの実施形態において、能動サスペンションシステムに提供されるオーディオ信号の低周波数コンテンツは、約300Hz、200Hz、100Hz、80Hz、60Hz、50Hz、または他の任意の適当な周波数以下であってよい。対応して、能動サスペンションシステムコントローラへ入力される周波数は、約10Hz、20Hz、30Hz、40Hz、または他の任意の適当な周波数以上であってよい。約10Hzおよび300Hzおよび10Hz〜80Hzの範囲で能動サスペンションシステムによって再生される低周波数範囲を含む、上記範囲の組み合わせが考えられる。当然、準可聴周波数を含む、上記より大きいまたは小さい周波数も用いられてよく、本開示はその点で限定されない。
【0219】
[0265] いくつかの実施形態において、車両運動は、ビデオゲーム(たとえばカーレースに関するもの)によって振り付けされ得る。運動は、たとえばオキュラスリフトなどの仮想現実デバイスで見られるビデオと同期され得る。
【0220】
[0266] 能動サスペンションシステムとインタラクトするために用いられるユーザインタフェースは、たとえば、ジョイスティック、キーボード、跳躍運動センサ、またはコンピュータタッチスクリーンを含んでよい。あるいは、いくつかの制御デバイスは、ビデオゲームに指令を伝達するためにも用いられ得る、たとえばステアリングホイール、ブレーキ、スロットル、および/またはホーンなど車両の制御装置の1または複数を含んでよい。いくつかの実施形態において、たとえばステアリングホイールなど車両の様々な制御装置がビデオゲーム用インタフェースとして用いられる場合、それらの通常機能は不能にされ得る。いくつかの実施形態において、ビデオゲーマーへの追加のフィードバックを提供するための出力として車両の他のデバイスが用いられ得る。たとえば、通気口またはHVACシステムは、ビデオゲーム内の動作と同調して空気を吹き出すように作動され得る。代替または追加として、ゲーム環境をより精密に模擬するために空調または暖房システムがオンにされ得る。
【0221】
[0267] 実施形態において、仮想世界における車両(たとえば車、宇宙船、飛行機、トラック、二輪車など)を含むビデオゲームは、仮想世界において模擬車両の運動を模擬するために現実の運転可能な車両の能動サスペンションを用いてよい。ゲームをプレイしている人間は、仮想世界の車両に旋回、加速、または他の操縦を実行させるために、能動サスペンションがインストールされた物理車両の制御装置(たとえばステアリングホイール、ブレーキ、スロットル)を含み得るユーザインタフェースを利用してよい。たとえば右側および/または左側アクチュエータは、操縦の結果予想されるように車を傾斜させるために用いられ得る。たとえば、ビデオゲームをプレイしている人間が、車両に左へ向きを変えるよう命令した場合、アクチュエータは、旋回をナビゲートしている模擬車両の速度に対応する程度に車を右へ傾斜させるために用いられ得る。
【0222】
[0268] いくつかの実施形態において、車両運動は、たとえば粗さを含む路面状況、仮想車両加速度(ロール、ピッチ、ヒーブ)、仮想車両RPM、仮想車両ギヤ位置、ゲーム音響、および仮想車両の調子/状態を含む、仮想現実ゲームからの様々な入力に応答して能動サスペンションを動作させる能動サスペンションシステムのコントローラによって誘発され得る。
【0223】
[0269] いくつかの実施形態において、能動サスペンションシステムは、音楽のリズムに応答して動かされ得る(たとえばWinampなどのリアルタイムアルゴリズム)。アルゴリズムは、車両運動を生成するためにリアルタイムで生オーディオデータを分析してよい。いくつかの実施形態において、能動サスペンションシステムは、音楽を「視覚化」するために用いられ得る。
【0224】
[0270]
図44は、能動サスペンションアクチュエータ981および1組のセンサ982を含む能動サスペンションシステムを有する駐車車両980の実施形態のブロック図を示す。仮想現実コンピュータ983は、仮想現実デバイス984を用いて視聴可能なビデオおよび/または音声を生成するために用いられ得る。同時に、仮想現実コントローラは、運動翻訳エンジン984に、仮想現実デバイスのユーザによって視聴されているものと協調して車両を動かすように車両の1または複数のアクチュエータに運動学的指令を提供させ得る。
【0225】
[0271] 車内のセンサは、1または複数人の車両乗員からの指令を受け取るために用いられ得る。これらの指令に応答する際、1または複数のセンサは、運動翻訳エンジンへのゲーム入力を提供してよく、運動翻訳エンジンは、仮想現実デバイスのユーザが視聴しているものを変更し得る仮想現実コンピュータへの運動指令を提供する。
【0226】
[0272]
図35は、ビデオディスプレイ732を含む車内の車両座席730の背面
図731を示す。ビデオディスプレイに映されているものは、サイ734が接近している車両733の画像を有するビデオシーンである。
【0227】
[0273]
図36は、ビデオディスプレイに映されたものに応答して車両の位置が変更された後の
図4の座席730を示す。ビデオディスプレイに映されたシーンは、
図4のシーンから変わっている。ここでは、サイ734が、車両733を左へ傾かせるほどの力で車両に衝突している。その結果、車両の能動サスペンションシステムは、車内でビデオが視聴されている車両に左方へのロール運動を適用することによって車両を傾かせ、ビデオ内の車両733のように実際の車両がサイに衝突されたような幻覚をもたらす。能動サスペンションシステムは、ビデオによって提供され、あるいは車内でのビデオ視聴中に過去に生成された運動追跡に基づいて、実際の車両の傾斜運動を時間調整してよい。
【0228】
[0274] 多少関連する実施形態において、道路効果データの収集中に車両の周辺のビデオが記録され得る。このように、駐車車両における道路誘発運動の再現中、車内の人間は、道路効果データが取得された道路のビデオを視聴することもできる。たとえば、車両は、玉石上を走行中に車内に誘発される効果を記録するために用いられ得る。
【0229】
[0275] このように、能動サスペンションシステムを有する車両は、道路誘発運動の軽減におけるシステムの有効性を示すために用いられ得る。たとえば、販売店のショールームにおいて、見込み顧客は、玉石上または他の路面を走行中の車両において誘発される運動が再現された車両に座ってよい。誘発運動はその後、本明細書で説明されるような特定のアクチュエータ制御アルゴリズムを用いて軽減され得る。この体験は、軽減された場合および軽減されていない場合の両方において玉石道路上を走行するビデオを見せることによって更に効果的になり得る。
【0230】
[0276] いくつかの実施形態において、能動または半能動サスペンションシステムのコントローラは、能動または半能動サスペンションに受動サスペンションシステムを模倣させるために用いられ得る。
図46において、曲線970は、受動自動車ダンパの圧縮時の力/速度関係を示し、曲線971は、延伸時の力/速度関係を示す。観察できるように、これらの曲線はいずれも一価関数であり、2つの曲線の差分は一般にヒステリシスによって生じる。
図45の曲線972は、能動サスペンションシステムの実施形態の一般的な力/速度挙動を示し、能動サスペンションシステムは力と速度とのほぼ無制限の組み合わせを実現するように見える。この能力によって、能動サスペンションシステムのコントローラまたは半能動サスペンションシステム(不図示)のコントローラは、これらのシステムに、曲線970および971の力/速度プロファイルを再現させることができる。また能動サスペンションシステムは、サスペンションシステム内のばねのばね定数における差を補償するように命令され得る。受動サスペンションシステムの性能の模倣は、たとえば車両販売店において見込み顧客の試乗中のマーケティングツールとして用いられ得る。このように、販売業者は、ユーザインタフェースを用いて顧客のために能動および受動サスペンション性能間で切り換えることにより、能動サスペンションシステムの利点を容易に説明することができる。
【0231】
[0277] 能動サスペンションシステムのいくつかの実施形態において、ヒューマンマシンインタフェース(HMI)は、車両が停止中または車両が路上を走行中のいずれかに、能動サスペンションシステムの性能に関する増加した情報を車両乗員に提供するために用いられ得る。追加または代替として、HMIは、能動サスペンションシステムの様々な動作モードを選択するために用いられ得る。
【0232】
[0278]
図47は、道路輪郭表示器991、モード選択992、運動キュー選択993、および事前設定選択器994を含むHMI990の実施形態を示す。センサ995は、サスペンションシステム996の性能および/または道路外乱情報を測定し、その情報をHMIコントローラへ提供するために用いられ得る。いくつかの実施形態において、HMIコントローラはその後、たとえば車両を表現するアバターを用いてHMIディスプレイに車の運動を表示してよい。道路相互作用は、路上の走行の結果として車両ホイールに誘発された運動に近似する輪郭を表現することによって示され得る。車両運動と車両ホイールの道路誘発運動との差は、能動サスペンションシステムの有効性を示すためにHMIディスプレイに示される。システムユーザ997は、能動サスペンションシステムの挙動を制御する車両モードを選択するためにHMIを用いてもよい。たとえばユーザは、能動サスペンションシステムが、大型高級車で経験するものに似た滑らかな乗り心地をもたらす快適モードを選択してよい。あるいはユーザは、車両が道路により接近し上下運動に従うスポーツカーモードを選択してよい。またユーザは、上述したようにたとえば旋回および他の操縦中に車両が提供し得る運動キューも選択してよい。車両は、たとえば1日のうち最初の対面時に所有者に挨拶するため、車の施錠されたことを示すため、および様々な指令に応答するために提供するジェスチャなど、様々な機能に関する事前設定を選択するためにHMIを用いてもよい。
例:乗り物酔い試験
【0233】
[0279] 乗り物酔い試験は、車両の能動サスペンションシステムを用いて、マサチューセッツ州ボストンエリア全体を様々な交通状況下で半能動サスペンションシステムを用いて走行する車両によって記録された運動を再現することによって行われた。試験に関して、上述したような車両の能動サスペンションシステムを用いた研究所内での再現のために、500秒にわたる道路データの連続セグメントが選択された。試験中、被験者は、合計30分間、記録された運動を「再現」している車両内に座った状態で、たとえばiPhoneなどのモバイルコンピューティングデバイスから文字を読んだ後、ゼロ(すなわち乗り物酔いしていない状態)から10(すなわち、嘔吐、むかつき、および/または空嘔吐)までの自身の乗り物酔いレベルを評価するよう求められた。試験はその後、半能動サスペンションシステムによって記録された同じ運動を用いて繰り返された。ただし、本明細書で説明されるような能動サスペンションシステムを用いた運動軽減方策が実行された。具体的には、上で論述された、軽減された運動および軽減されていない運動の両方に関して様々な運動のPSDの周波数領域比較を示す
図34を参照するように、能動サスペンションシステムは、0.2Hz〜10Hzの範囲内の車両運動を低減した。軽減されていない試験中に乗り物酔いを経験した被験者のうち67%が、軽減された運動の試験では乗り物酔いの兆候を示さなかった。初期試験中に乗り物酔いを経験した人々の残りの33%は、経験した乗り物酔いの割合および深刻度における大幅な緩和を報告した。
【0234】
[0280] これらの技術を用いて、本発明者らは、一般に乗り物酔いに関連する周波数の範囲外の特定の周波数における車両ロール、ピッチ、および/またはヒーブを低減することで、車内の乗り物酔い症状が大幅に低減され得ると認識している。したがって、上で詳述したように、車両の1または複数のサスペンションシステムは、車両乗員の乗り物酔いを低減するために、0.05Hz〜10Hz、0.2Hz〜10Hz、0.5Hz〜10Hz、1Hz〜10Hzの1または複数の周波数範囲、または他の任意の適当な周波数範囲における運動を打ち消すために用いられ得る。
【0235】
[0281] 本明細書で説明される技術の上記実施形態は、多数の方法のいずれかで実装され得る。たとえば実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、または両者の組み合わせを用いて実装され得る。ソフトウェアによる実装の場合、ソフトウェアコードは、単一のコンピューティングデバイスに設けられるか複数のコンピューティングデバイスに分散されるかにかかわらず任意の適切なプロセッサまたはプロセッサの集合において実行され得る。そのようなプロセッサは、たとえばCPUチップ、GPUチップ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、またはコプロセッサなどの名称で当該技術において知られる市販の集積回路部品を含む集積回路部品内に1または複数のプロセッサがある集積回路として実装され得る。あるいはプロセッサは、たとえばASICなどのカスタム回路、またはプログラマブル論理デバイスを構成した結果生じるセミカスタム回路において実装されてもよい。また更なる代替例として、プロセッサは、市販、セミカスタム、またはカスタムにかかわらず、より大きな回路または半導体デバイスの一部であってもよい。特定の例として、いくつかの市販のマイクロプロセッサは複数のコアを有し、それらのコアの1つまたはサブセットがプロセッサを構成してよい。もっともプロセッサは、任意の適切な形式の回路を用いて実装されてよい。
【0236】
[0282] また、コンピューティングデバイスは、たとえばラックマウントコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、またはタブレットコンピュータなど多数の形式のいずれかにおいて具体化され得ることを理解すべきである。また、コンピューティングデバイスは、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、スマートフォン、または他の任意の適切な携帯式または固定式電子デバイスを含む、一般にコンピューティングデバイスとは見なされないが適切な処理能力を有するデバイスに組み込まれてもよい。
【0237】
[0283] また、コンピューティングデバイスは、1または複数の入力および出力デバイスを有してよい。これらのデバイスは、とりわけ、ユーザインタフェースを提示するために用いられ得る。ユーザインタフェースを提供するために用いられ得る出力デバイスの例は、出力を視覚提示するためのプリンタまたはディスプレイスクリーン、および出力を聴覚提示するためのスピーカまたは他の音響生成デバイスを含む。ユーザインタフェースのために用いられ得る入力デバイスの例は、キーボード、およびたとえばマウス、タッチパッド、およびデジタイジングタブレットなどのポインティングデバイスを含む。他の例として、コンピューティングデバイスは、音声認識または他の可聴方式によって入力情報を受け取ってよい。
【0238】
[0284] そのようなコンピューティングデバイスは、たとえば企業内ネットワークまたはインターネットなど、ローカルエリアネットワークまたは広域ネットワークを含む任意の適切な形式の1または複数のネットワークによって相互接続され得る。そのようなネットワークは、任意の適切な技術に基づき、任意の適切なプロトコルに従って動作し、無線ネットワーク、有線ネットワーク、または光ファイバネットワークを含んでよい。
【0239】
[0285] また、本明細書で概説された様々な方法またはプロセスは、様々なオペレーティングシステムまたはプラットフォームのいずれか1つを利用する1または複数のプロセッサ上で実行可能なソフトウェアとして符号化され得る。また、そのようなソフトウェアは、多数の適切なプログラム言語および/またはプログラムまたはスクリプトツールのいずれかを用いて書かれてよく、フレームワークまたは仮想機械上で実行される実行可能機械言語コードまたは中間コードとしてコンパイルされてもよい。
【0240】
[0286] この点に関して、開示された実施形態は、1または複数のコンピュータまたは他のプロセッサ上で実行されると、上述した本発明の様々な実施形態を実装する1または複数のプログラムによって符号化された、コンピュータ可読記憶媒体(または複数のコンピュータ可読媒体)(たとえばコンピュータメモリ、1または複数のフロッピーディスク、コンパクトディスク(CD)、光ディスク、デジタルビデオディスク(DVD)、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイまたは他の半導体デバイスにおける回路構成、または他の有形のコンピュータ記憶媒体)として具体化され得る。上記例から明らかであるように、コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ実行可能命令を提供するために十分な時間、非一時的形式で情報を保持してよい。そのようなコンピュータ可読記憶媒体または複数の媒体は、そこに記憶されたプログラムまたは複数のプログラムが、上述したような本発明の様々な態様を実装するために1または複数の様々なコンピュータまたは他のプロセッサにロードされ得るように、持ち運び可能であってよい。本明細書で用いられる場合、「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、製品(すなわち製造した物品)または機械であると見なされ得る非一時的コンピュータ可読媒体のみを包含する。代替または追加として、本発明は、たとえば伝搬信号など、コンピュータ可読記憶媒体以外のコンピュータ可読媒体として具体化されてもよい。
【0241】
[0287] 「プログラム」、「ソフトウェア」、「コード」、または同様の用語は、本明細書において、上述したような本発明の様々な態様を実装するようにコンピューティングデバイスまたは他のプロセッサをプログラムするために利用され得る任意の種類のコンピュータコードまたはコンピュータ実行可能命令のセットを指す一般的な意味で用いられる。また、本実施形態の1つの態様によると、実行時に本発明の方法を実行する1または複数のコンピュータプログラムは、単一のコンピュータまたはプロセッサに常駐する必要はなく、本発明の様々な態様を実装するために複数の様々なコンピュータまたはプロセッサにモジュラー形式で分散してよいことを理解すべきである。
【0242】
[0288] コンピュータ実行可能命令は、1または複数のコンピュータまたは他のデバイスによって実行されるたとえばプログラムモジュールなど多数の形式であってよい。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行または特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。通常、プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態において所望に応じて結合または分散してよい。
【0243】
[0289] また、データ構造は、任意の適切な形式でコンピュータ可読媒体に記憶されてよい。説明を簡単にするために、データ構造は、データ構造内の位置を通して関係するフィールドを有するものとして示され得る。そのような関係は、フィールド間の関係を伝達するコンピュータ可読媒体内の位置をフィールドのためのストレージに割り当てることによって同様に実現され得る。ただし、ポインタ、タグ、またはデータ要素間の関係を確立する他のメカニズムの使用を含む任意の適切なメカニズムが、データ構造のフィールドにおける情報間の関係を確立するために用いられてよい。
【0244】
[0290] 本教示は様々な実施形態および例に関連して説明されたが、本教示がそのような実施形態または例に限定されることは意図されない。むしろ、本教示は、当業者によって理解されるような様々な代替例、変更例、および均等物を包含するものである。したがって、上記説明および図面は、単なる例にすぎない。