特許第6578050号(P6578050)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水化学工業株式会社の特許一覧

特許6578050電力管理システム、電力管理方法及びプログラム
<>
  • 特許6578050-電力管理システム、電力管理方法及びプログラム 図000002
  • 特許6578050-電力管理システム、電力管理方法及びプログラム 図000003
  • 特許6578050-電力管理システム、電力管理方法及びプログラム 図000004
  • 特許6578050-電力管理システム、電力管理方法及びプログラム 図000005
  • 特許6578050-電力管理システム、電力管理方法及びプログラム 図000006
  • 特許6578050-電力管理システム、電力管理方法及びプログラム 図000007
  • 特許6578050-電力管理システム、電力管理方法及びプログラム 図000008
  • 特許6578050-電力管理システム、電力管理方法及びプログラム 図000009
  • 特許6578050-電力管理システム、電力管理方法及びプログラム 図000010
  • 特許6578050-電力管理システム、電力管理方法及びプログラム 図000011
  • 特許6578050-電力管理システム、電力管理方法及びプログラム 図000012
  • 特許6578050-電力管理システム、電力管理方法及びプログラム 図000013
  • 特許6578050-電力管理システム、電力管理方法及びプログラム 図000014
  • 特許6578050-電力管理システム、電力管理方法及びプログラム 図000015
  • 特許6578050-電力管理システム、電力管理方法及びプログラム 図000016
  • 特許6578050-電力管理システム、電力管理方法及びプログラム 図000017
  • 特許6578050-電力管理システム、電力管理方法及びプログラム 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6578050
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】電力管理システム、電力管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/46 20060101AFI20190909BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20190909BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20190909BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20190909BHJP
【FI】
   H02J3/46
   H02J3/32
   H02J13/00 311R
   G06Q50/06
【請求項の数】6
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-191303(P2018-191303)
(22)【出願日】2018年10月9日
(62)【分割の表示】特願2015-53727(P2015-53727)の分割
【原出願日】2015年3月17日
(65)【公開番号】特開2019-9999(P2019-9999A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2018年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】菅原 康博
(72)【発明者】
【氏名】松崎 純一
(72)【発明者】
【氏名】梅岡 尚
【審査官】 下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−196123(JP,A)
【文献】 特開2008−029104(JP,A)
【文献】 特開2013−017284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00 − 5/00
H02J 13/00
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池を備える複数の需要家施設を含む電力管理集合体内の電力管理を行う電力管理システムであり、
前記需要家施設毎に設定された前記蓄電池の蓄電電力における所定の電力量を、前記需要家施設のユーザの提供の受諾の可否に応じて、前記電力管理集合体内における他の需要家施設に提供するデマンド処理部
を備えることを特徴とする電力管理システム。
【請求項2】
前記需要家施設毎に設定された前記所定の電力量を示す数値と、当該所定の電力量の提供を受諾するか否かを示す受諾フラグとが対応付けて記憶された提供受諾テーブルをさらに備え、
前記デマンド処理部が、
前記提供受諾テーブルの前記受諾フラグを参照し、前記ユーザが前記所定の電力量の提供を受諾しているか否かの判定を行なう
ことを特徴とする請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項3】
前記受諾フラグが前記需要家施設のユーザによって任意に変更可能である
ことを特徴とする請求項2に記載の電力管理システム。
【請求項4】
前記所定の電力量を提供するか否かの各々に対応して、当該所定の電力量を含める場合、あるいは前記所定の電力量を含めない場合それぞれの前記蓄電池に対する蓄電計画を前記需要家施設毎に導出する蓄電計画導出部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電力管理システム。
【請求項5】
蓄電池を備える複数の需要家施設を含む電力管理集合体内の電力管理を行う電力管理方法であり、
前記需要家施設毎に設定された前記蓄電池の蓄電電力における所定の電力量を、前記需要家施設のユーザの提供の受諾の可否に応じて、前記電力管理集合体内における他の需要家施設に提供するデマンド処理過程
を含むことを特徴とする電力管理方法。
【請求項6】
蓄電池を備える複数の需要家施設を含む電力管理集合体内の電力管理を行う電力管理システムの動作をコンピュータに実行させるプログラムであり、
前記コンピュータを、
前記需要家施設毎に設定された前記蓄電池の蓄電電力における所定の電力量を、前記需要家施設のユーザの提供の受諾の可否に応じて、前記電力管理集合体内における他の需要家施設に提供するデマンド処理手段
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力管理システム、電力管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電などの再生可能エネルギー(自然エネルギー)を利用した発電装置と蓄電池と備えた電力管理システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、電力管理システムとして、蓄電池の蓄電量を考慮しつつ、予測される発電電力と予測される消費電力とに基づいて、蓄電池に対する充放電を制御し、電力(エネルギー)の有効活用が行われている(例えば、特許文献2参照)。
また、電力管理システムとして、複数の需要家施設からなるコミュニティ(集合体)において電力管理を行うものも知られている(例えば、特許文献3参照)。この電力管理システムは、コミュニティに属する複数の需要家施設の統合的な電力管理を行う、例えばTEMS(Town Energy Management System)やCEMS(Community Energy Management System)などと呼ばれているシステムに対応する。
【0003】
各需要家施設に設けられている蓄電池に蓄電される蓄電電力を効率的に使用する手法として、地域における需要家施設に設けられた蓄電池、すなわち分散された蓄電池を管理して、電力の運用が効率的に行われている。ここで、蓄電池における蓄電電力の運用として、複数の需要家施設のなかから、蓄電池の充電あるいは放電を行う需要家施設を選択し、選択した需要家施設の蓄電池に対する充放電の制御を行うことが行われる。
【0004】
上述した特許文献1には、需要家施設内の電力分配機がコミュニティを管理するサーバから系統電源から供給される時間毎の電気料金を示す料金情報を受けて、この料金情報に基づいて設定されたルール(例えば、電気料金の金額に対応して、電気料金が安いときに買電により蓄電、電気料金が高いときに蓄電池から放電するなどのルール)に従って、電力の方向(系統電源に対する受電あるいは逆潮流)を切り替える制御が行われている。
【0005】
また、地域における各需要家施設の蓄電池の容量の一部を、コミュニティ内の分散蓄電池として一体に管理し、この分散蓄電池に蓄電される蓄電電力を効率的に運用するように、各需要家施設の蓄電池の充放電の制御を行う方法もある(例えば、特許文献4参照)。
すなわち、同一のコミュニティ内あるいはコミュニティ外部において、電力が不足する需要家施設がある場合、このコミュニティ内の分散蓄電池を放電して、電力が不足した需要家施設、あるいは、コミュニティ外部に対して電力を供給する、すなわち系統電源に対して電力を逆潮流する運用も行われる。
【0006】
この電力不足は緊急に発生することもあり、予め分散蓄電池として、各需要家施設の蓄電池の電池容量の一部を共用の電力量として置くことは、電力管理システムが管理する上で都合が良い。分散蓄電池が普段から効率的に、電力管理システムにより共通に運用される運転が成されていれば、緊急のデマンドにも対応することが可能である。このため、他の需要家施設から電力を高料金で買い取ることができる環境を構成することにより、緊急時において、余剰電力を有する需要家施設の蓄電池から逆潮流させることは経済的にも、蓄電池の電池容量の一部を分散蓄電池として提供している需要家施設に有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5576218号公報
【特許文献2】特開2013−215092号公報
【特許文献3】特開2012−055078号公報
【特許文献4】特開2013−059241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献4における各需要家施設における分散蓄電池の共用管理を実行した場合、コミュニティ全体における蓄電池の使用効率を向上させることはできるが、各需要家施設において自由に蓄電池の状態を制御することはできない。例えば、需要家施設において計画外の消費電力が頻繁に発生した場合、分散蓄電池として提供した蓄電電力量が自由に使用できないため、分散蓄電池として蓄電池の電池容量の一部を提供しているがために、逆に蓄電池の残量が自身の必要とする電力量に満たない時間帯が発生する。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、分散蓄電池として自身の蓄電池の電力量の一部をコミュニティ内の共用分電力量として提供すると設定している場合にも、必要に応じて自身の蓄電池の充放電の制御を、予め設定されている共用分電力量を含めて行うことができる電力管理システム、電力管理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電力管理システムの一態様は、蓄電池を備える複数の需要家施設を含む電力管理集合体内の電力管理を行う電力管理システムであり、前記需要家施設毎に設定された前記蓄電池の蓄電電力における所定の電力量を、前記需要家施設のユーザの提供の受諾の可否に応じて、前記電力管理集合体内における他の需要家施設に提供するデマンド処理部を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の電力管理システムの一態様は、前記需要家施設毎に設定された前記所定の電力量を示す数値と、当該所定の電力量の提供を受諾するか否かを示す受諾フラグとが対応付けて記憶された提供受諾テーブルをさらに備え、前記デマンド処理部が、前記提供受諾テーブルの前記受諾フラグを参照し、前記ユーザが前記所定の電力量の提供を受諾しているか否かの判定を行なうことを特徴とする。
【0012】
本発明の電力管理システムの一態様は、前記受諾フラグが前記需要家施設のユーザによって任意に変更可能であることを特徴とする。
【0013】
本発明の電力管理システムの一態様は、前記所定の電力量を提供するか否かの各々に対応して、当該所定の電力量を含める場合、あるいは前記所定の電力量を含めない場合それぞれの前記蓄電池に対する蓄電計画を前記需要家施設毎に導出する蓄電計画導出部をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の電力管理方法の一態様は、蓄電池を備える複数の需要家施設を含む電力管理集合体内の電力管理を行う電力管理方法であり、前記需要家施設毎に設定された前記蓄電池の蓄電電力における所定の電力量を、前記需要家施設のユーザの提供の受諾の可否に応じて、前記電力管理集合体内における他の需要家施設に提供するデマンド処理過程を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明のプログラムの一態様は、蓄電池を備える複数の需要家施設を含む電力管理集合体内の電力管理を行う電力管理システムの動作をコンピュータに実行させるプログラムであり、前記コンピュータを、前記需要家施設毎に設定された前記蓄電池の蓄電電力における所定の電力量を、前記需要家施設のユーザの提供の受諾の可否に応じて、前記電力管理集合体内における他の需要家施設に提供するデマンド処理手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、分散蓄電池として自身の蓄電池の電力量の一部をコミュニティ内の共用分電力量として提供すると設定している場合にも、必要に応じて自身の蓄電池の充放電の制御を、予め設定されている共用分電力量を含めて行うことができる電力管理システム、電力管理方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態による電力管理システムの構成例を示す図である。
図2】第1の実施形態の需要家施設H内の設備の構成例を示す図である。
図3】第1の実施形態の操作端末10の構成例を示す図である。
図4】表示画面の一例を示す図である。
図5】第1の実施形態の上位サーバ200の構成例を示す図である。
図6】受信情報記憶部230に記憶されている蓄電池管理テーブルの構成を示す図である。
図7】共有使用比率を説明する図である。
図8】設備情報記憶部240に記憶されている各種設備の情報を示す図である。
図9】各需要家施設Hの各々における蓄電池30の共有使用比率(%)と自家使用比率(%)とを示す図である。
図10】電力料金232である料金レベルテーブルの一例を示す図である。
図11】需要家施設Hに対して蓄電計画導出部216が導出する通常時の蓄電計画LNを示す図である。
図12】需要家施設Hに対して蓄電計画導出部216が導出する緊急時の蓄電計画LNを示す図である。
図13】他の需要家施設Hに対して蓄電計画導出部216が導出する緊急時の蓄電計画LNを示す図である。
図14】第1の実施形態の電力管理システム1により行われる処理の一例を示すフローチャートである。
図15】第2の実施形態の電力管理システム1Aの構成例を示す図である。
図16】第2の実施形態の需要家施設H内の設備の構成例を示す図である。
図17】第2の実施形態の操作端末10の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による電力管理システムの構成例を示す図である。本実施形態における電力管理システムは、例えば、電力管理のコミュニティである所定の地域範囲(電力管理地域)における複数の需要家に対応する住宅、商業施設、産業施設などの需要家施設における電力を一括して管理するものである。このような電力管理システムは、例えば、すでに述べたTEMSやCEMSなどに対応する。
【0019】
電力管理システム1は、複数の需要家施設H−1〜H−nのそれぞれに設けられた操作端末10−1〜10−nが、WAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)などのネットワークNWを介して上位サーバ200と通信を行う。この通信は、例えば双方向に行われる。需要家施設H−1〜H−nは、例えば、戸建ての住宅や、マンション等の集合住宅、その他の住居、あるいは事業所、工場、商業施設などを含む。
各需要家施設H−1〜H−nには、操作端末10−1〜10−nと通信を行う蓄電池システム30−1〜30−nがそれぞれ備えられている。蓄電池システム30−1〜30−nには、例えば、リチウムイオン電池、鉛蓄電池、ニッケル水素電池等の二次電池が含まれる。
【0020】
また、需要家施設H−1〜H−nには、さらに太陽光発電システムSPが備えられていてもよい。以下、需要家施設H−1〜H−n、操作端末10−1〜10−n、および蓄電池システム30−1〜30−nを特に区別しない場合、それぞれを単に「需要家施設H」、「操作端末10」、「蓄電池システム30」と記載する。
【0021】
本実施形態の電力管理システムは、図1において電力管理地域として示す一定範囲の地域(電力管理地域)、あるいは電力管理のコミュニティにおける複数の需要家施設Hごとに備えられる電気設備を対象として電力管理を行う。
需要家施設Hは、例えば、住宅、商業施設、あるいは産業施設などに該当する。また、電力管理地域が、例えば1つまたは複数の集合住宅に対応し、需要家施設Hのそれぞれが集合住宅における各戸であるような態様でもよい。
【0022】
また、各需要家施設Hの位置は、電力管理システムが管理する構成となっていれば、同様に管理されている他の需要家施設と同一地域に限定されなくとも良い。すなわち、電力管理システムは、自身の管理下の需要家施設Hとして登録され、後述するネットワークNWを利用して管理する情報の送受信が行うことができれば、異なる地域(例えば、北海道、本州、九州、四国などの各地域)において登録された複数の需要家施設Hの集合体でも良い。この場合、共通の系統電源(不図示)は、需要家施設Hの各々に接続される地域における電源線の集合体であるコミュニティとなる。
【0023】
図1に示す電力管理地域における複数の需要家施設Hにおいては、再生可能エネルギーを利用して発電する発電装置である太陽電池を備える需要家施設Hが含まれる。また、電力管理地域における複数の需要家施設Hにおいては、電気設備の1つとして蓄電池を備える需要家施設Hが含まれる。このような需要家施設Hのうちには、太陽電池と蓄電池の両者を備える需要家施設Hが有ってもよいし、太陽電池システムSPと蓄電池システム30(蓄電池)のいずれか一方を備える需要家施設Hが有ってもよい。
【0024】
電力管理地域における各需要家施設Hには、共通の系統電源と接続されることで、商用電源が分岐して供給される。各需要家施設Hは、系統電源から供給される電力を負荷に供給することができる。これにより、負荷としての各種の電気設備(機器)が稼働される。
また、太陽電池SPを備える需要家施設Hは、太陽電池の発電電力あるいは蓄電池の蓄電電力を系統電源に出力する(逆潮流する)ことができる。
また、蓄電池システム30を備える需要家施設Hにおいては、系統電源から電力供給を受けて蓄電池に蓄電(充電)させることができる。また、蓄電池と太陽電池を備える需要家施設Hにおいては、系統電源から電力供給を受けて蓄電池に蓄電するだけでなく、太陽電池の発電電力を蓄電池に充電させることができる。
【0025】
また、本実施形態の電力管理システムにおいては、上位サーバ200が備えられる。
上位サーバ200は、電力管理地域に属する各需要家施設Hにおける電気設備を対象として電力制御を実行する。このために、図1における上位サーバ200は、ネットワークNWを介して需要家施設Hの各々と相互通信可能なように接続される。これにより、上位サーバ200は、各需要家施設Hにおける電気設備を制御することができる。
また、上位サーバ200は、後述する電力情報提供者300から各種情報を受信し、これに応じた情報を操作端末10に送信する。また、上位サーバ200は、操作端末10から送信された各種情報を電力情報提供者300へ送信する。
【0026】
電力情報提供者300とは、例えば、電力プロバイダや電力会社等である。電力情報提供者300は、時間に応じて電力使用の料金が変動する情報(以下、「電力料金」と称する)と、需要家施設Hごとの発電電力および消費電力と、電力を逆潮流することを要請するデマンド、需要家施設Hが使用する需要電力の増大また減少を要請するデマンド(また、「デマンド情報」と称することもある)と、太陽光の日射に関する情報(以下、「日射情報」と称する)等を上位サーバ200に送信する。本実施形態におけるデマンド情報は、主として逆潮流を要請するデマンドであり、逆潮流する電力量であるデマンド電力量と、デマンド電力の逆潮流を開始する時刻と終了する時刻との時間情報を含む。すなわち、上位サーバ200がデマンド情報を受信した時刻から、一定の期間後に要請が開始されるように設定されている。また、電力情報提供者は1つである必要はなく、例えば「日射情報」は、気象情報を専門として配信している事業者であってもよく、電気料金の配信とデマンドの配信も別の提供者であってもよい。電力需要の状況も電力会社からの配信ではなく、電力メータ情報を専門として収集し配信する事業者から受け取ることもできる。
【0027】
図2は、第1の実施形態の需要家施設H内の設備の構成例を示す図である。図中に示す破線および実線の矢印は、それぞれ通信線、電力線を表す。
需要家施設H内には、上述した操作端末10と、蓄電池システム30と、太陽光発電システムSPとのほかに、例えば、分電盤50と、需要家施設Hおよび系統電源電力CP間の電力を測定する電力メータ70と、家電設備あるいは工場設備等の需要設備60が備えられている。需要設備60には、蓄電池システム30により放電された電力、太陽光発電システムSPによって発電された電力、および系統電源電力CPの電力が、分電盤50を介して供給される。
【0028】
図3は、第1の実施形態の操作端末10の構成例を示す図である。操作端末10は、第1通信インターフェース12に接続された第1通信部14と、制御部16と、第2通信インターフェース20に接続された第2通信部18と、記憶部22とが内部バスIBを介して通信可能なように接続されている。制御部16は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサである。また、記憶部22は、RAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置を含む。
【0029】
第1通信インターフェース12は、ネットワークNWを介して上位サーバ200と通信を行うためのインターフェースであり、第2通信インターフェース20は、需要家施設H内の設備と通信を行うためのインターフェースである。第2通信インターフェース20は、例えば、ユーザの入力を受け付ける入力部と、ユーザに対して各種情報を表示する表示部との双方を備えるタッチパネル等のユーザインターフェースに接続される。
【0030】
第1通信部14は、第1通信インターフェース12を介して上位サーバ200と各種情報の送受信を行い、第2通信部18は、第2通信インターフェース20を介して需要家施設H内の設備と各種情報の送受信を行う。また、第1通信部14および第2通信部18は、受信した情報を記憶部22に記憶させる。なお、これら通信部は、両機能を備えた一体の機能部であってもよい。
【0031】
制御部16は、第1通信部14および第2通信部18によって受信された情報に基づいて、第2通信インターフェース20を介してユーザに表示させる表示画面を制御する。制御部16は、「選択部」の一例である。なお、制御部16は、表示画面の操作やボタン入力等の代わりに、ユーザから音声等による指示を受け付けてもよい。また、制御部16は、表示画面をユーザに表示させる代わりに、表示画面上の情報を音声等で通知してもよい。
【0032】
図4は、表示画面の一例を示す図である。表示画面には、例えば、現在時刻、「共通部分提供?」等の蓄電池システム30において予め設定されている共用分電力量を分散蓄電池として提供させるデマンドを受諾するか否かの選択項目と、共用分電力量の提供を開始する時刻と、共用分電力量の供給を終了する時刻と、「蓄電池電力供給」のような蓄電池システム30の共用分電力量の提供を示すデマンドの名称とが含まれる。
制御部16は、例えば、第1通信部14によって蓄電池システム30の共用分電力量の提供を要請するデマンドが受信されていた場合、「蓄電池電力供給」という表示画面を表示させる。この表示画面には、初期状態として、デマンドを受諾するという意味で「はい」という選択に予め選択項目が設定されている。このように、初期状態においてデマンドを受諾する状態を表示することで、この画面は、デマンドを受諾する操作を誘導する態様で表示されるものである。これによって、電力管理システム1は、デマンドを受諾してもらう方向にユーザを誘導し、電力管理地域内における不足電力量、あるいは電力管理地域の外部の不足電力量に対して電力の充足に寄与することができる。なお、初期状態は、「はい」、または「いいえ」のいずれか一方を選択可能なように予め設定しておいてもよいし、「はい」および「いいえ」の両方を選択可能なように予め設定しておいてもよい。
【0033】
制御部16は、上位サーバ200からデマンド情報を受信した時刻に表示画面を表示させ、デマンドを終了する時刻まで当該表示画面を表示し続けるように制御する。制御部16は、表示画面を表示させ始めた時刻からデマンドを開始する時刻までの期間に、ユーザによって選択項目が変更された場合、当該デマンドが受諾されなかったと判定する。
この結果、電力管理システム1は、ユーザに対して、後述する上位サーバ200が作成した蓄電池運用計画LNに基づいた蓄電池システム30の運用を行わせる。
【0034】
また、制御部16は、表示画面を表示させ始めた時刻からデマンドを開始する時刻までの期間に、ユーザによって選択項目が変更されない場合、当該デマンドが受諾されたと判定する。この結果、電力管理システム1は、ユーザに対して、後述する蓄電計画LN2に基づいた電力の使用を行わせる。すなわち、ユーザは、受諾したデマンドに基づいた電力の使用を行うことになる。
【0035】
制御部16は、上位サーバ200の作成した蓄電計画に基づいて、蓄電池システム30を制御しつつ、太陽光発電システムSP、需要設備60等の需要家施設H内の他の設備を制御する。制御部16は、例えば、蓄電計画に基づいて蓄電池システム30を作動させ、この作動によって変動した電力量分を他の設備が消費(発電)するように制御する。
【0036】
制御部16は、蓄電計画に基づいて、例えば、電気料金が高い場合、或いは節電を要請するデマンドが受諾された場合、蓄電池システム30を放電させ、この放電によって生じた余剰電力を需要設備60に供給するように各設備を制御する。この際、制御部16は、需要設備60によって消費される電力量が小さくなるように需要設備60の運転を制御すると好適である。制御部16は、例えば、エアコンの風量や温度等の設定を変更したり、照明機器を停止したりする。
【0037】
また、制御部16は、蓄電計画に基づいて、例えば、電気料金が安い場合、或いは電力の積極的な利用を要請するデマンドが受諾された場合、蓄電池システム30を充電させるように制御する。これによって、電気料金が高い場合、或いは節電を要請するデマンドが受諾した場合に、ユーザは、蓄電池システム30に蓄電された電力を使用することにより、需要電力量を抑えることができる。
【0038】
また、制御部16は、デマンドを開始してから終了するまでの期間に、選択項目の変更を受け付けるように表示画面を制御してもよい。電力管理システム1は、例えば、ユーザによって、デマンドを開始する前に、選択項目が「いいえ」に変更され、デマンドを開始してから終了するまでの期間に、選択項目が「はい」に変更された場合、共用分電力量に達していなくとも、この変更された時刻からデマンドを終了する時刻までの期間に、逆潮流を行う放電を蓄電池システム30に対して行わせない。
【0039】
また、制御部16は、デマンドが終了するまで、選択項目の状態が保持されるように記憶部22を制御する。また、制御部16は、デマンドが終了した後、ユーザによって変更された選択項目を初期状態にリセットするように制御する。
【0040】
また、制御部16は、ユーザによって選択されたデマンドの受諾の可否を示す情報を、デマンド情報の送信元である電力情報提供者300に通知する手段を有しても良い。これによって、電力情報提供者300は、より正確な逆潮流される電力の供給量を導出することができ、供給電力に対する需要電力のひっ迫の程度をより正確に把握することができる。
【0041】
図5は、第1の実施形態の上位サーバ200の構成例を示す図である。上位サーバ200は、例えば、送信部210と、受信部212と、デマンド処理部214と、蓄電計画導出部216と、送信情報記憶部220と、受信情報記憶部230と、設備情報記憶部240とを備える。デマンド処理部214および蓄電計画導出部216は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサである。また、送信情報記憶部220、受信情報記憶部230、および設備情報記憶部240は、RAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置を含む。以下、各記憶部の説明を先に行う。
【0042】
送信情報記憶部220は、計画情報221と、発電予測222と、需要予測223とを含む情報を記憶する。計画情報221とは、需要家施設Hが電力を使用する際に参照する情報である。本実施形態の電力管理システム1において、需要家施設Hの電力の使用は、蓄電池システム30に対する電力の充放電の計画である蓄電計画を含む計画情報221に基づいて行われる。
【0043】
また、発電予測222とは、予め算出された太陽光発電システムSPの所定時間ごと(例えば30分)における発電電力を示す情報である。また、需要予測223は、需要家施設Hにおいて、所定時間ごとに消費が予測される電力を示す情報である。
【0044】
受信情報記憶部230は、デマンド情報231と、電力料金232と、発電電力233と、消費電力234と、余剰電力235と、蓄電池管理テーブル236とを含む情報を記憶する。発電電力233および消費電力234は、それぞれ、所定時間(例えば、デマンド時限の30分)ごとの太陽光発電システムSPの発電量と、所定時間ごとに需要家施設Hにおいて消費された電力とを示す情報である。デマンド情報231は、電力供給を要求するデマンド、すなわち系統電源に対して電力(後述するデマンド電力量の電力)を逆潮流することを要求するデマンドを含んでいる。このデマンド情報231は、後述する蓄電計画導出部216が蓄電計画を生成する処理を行う段階より前のタイミングにおいて供給される。また、デマンド情報231は、デマンド電力を供給する時間範囲の時間情報も含んでいる。
【0045】
余剰電力235は、例えば、発電電力233が示す電力から消費電力234が示す電力を減算した情報として算出される。余剰電力235は、例えば、ある期間において消費電力234が発電電力233以上の場合、当該期間の電力の差がゼロ、または負値として算出される。すなわち、当該期間における余剰電力235は、消費電力234が発電電力233以上の場合、電力に余剰がないことを示す情報として受信情報記憶部230に記憶される。一方、当該期間における余剰電力235は、消費電力234が発電電力233未満の場合、電力に余剰があることを示す情報として受信情報記憶部230に記憶される。
【0046】
蓄電池管理テーブルは、上位サーバ200が電力管理を行う電力管理地域に属する需要家施設Hの各々の需要家施設識別情報とともに、この需要家施設識別情報が示す需要家施設Hの蓄電池システム30の最大蓄電電力(SOC(State Of Charge)100%)に対する共有使用比率(あるいは共用分電力量)と、この需要家施設識別情報が示す需要家施設Hのデマンド要求に対する可否を示す要求可否フラグとが記憶されている。
【0047】
図6は、受信情報記憶部230に記憶されている蓄電池管理テーブルの構成を示す図である。この図6において、蓄電池管理テーブルは、需要家施設H毎に、需要家施設Hを識別する需要家施設識別情報と、この需要家施設識別情報が示す需要家施設の共有使用比率と、要求可否フラグとが組として、受信情報記憶部230に書き込まれて記憶されている。共有使用比率は需要家施設毎に任意に変更することができる。また、要求可否フラグは、上位サーバ200からの電力供給(逆潮流)を要求するデマンドを受けるか受けないかを示すフラグであり、デマンドを受ける場合には可を示すフラグ、一方デマンドを受けない場合には否を示すフラグが受信部212によって書き込まれる。
【0048】
図7は、共有使用比率を説明する図である。図7においては、一例として、共有使用比率を0.4とし、自家使用比率を0.6とした場合を示している。すなわち、共有使用比率を0.4である場合、蓄電池システム30の最大蓄電電力(蓄電池システム30の電池容量であり、最大の蓄電電力量)の40%の蓄電電力量を電力管理地域で共用する共用分電力量として提供し、残りの蓄電池システム30の最大蓄電電力の蓄電電力の60%を自家用分電力量として使用することを示している。
【0049】
図1に戻り、設備情報記憶部240は、蓄電池の定義として、蓄電設備情報241と、発電設備情報242とを含む情報を記憶する。蓄電設備情報241には、蓄電池システム30の蓄電池容量(最大蓄電電力、kWh)、上限SOC(上限の充電率)、下限SOC(下限の充電率)、充放電時のロスである充電損失(%)、放電電時のロスである放電損失(%)、最大放電電力(kW)等の諸元を示す情報が含まれる。
【0050】
発電設備情報242には、太陽光発電システムSPにおける発電設備の定義として、インバータ容量(kW)、変換効率(%)、発電面積(m2)、経度、緯度、設置角等の諸元を示す情報が含まれる。インバータ容量は、インバータの出力できる電力の最大容量を示している。発電面積は、太陽電池の光エネルギーを吸収する面の面積を示している。経度及び緯度は、太陽光発電システムが設置されている位置を示す位置情報である。設置角は、太陽電池の光エネルギーを吸収する面が向いている方向を示している。
【0051】
また、需要設備情報として、需要家施設Hが一般家庭や商業施設である場合、需要設備60のエアコン、電気温水器、IH(Induction Heating)ヒータ、電子レンジ、洗濯機、掃除機、照明等の消費電力を示す情報も設備情報記憶部240に書き込まれて記憶されている。また、需要設備情報として、需要家施設Hが工場や事業所などである場合、空調設備、生産設備、照明等の消費電力を示す情報も設備情報記憶部240に書き込まれて記憶されている。
【0052】
図8は、設備情報記憶部240に記憶されている各種設備の情報を示す図である。この設備の情報は、需要家施設H毎に、需要家施設識別情報とともに、設備情報記憶部240に書き込まれて記憶されている。
図8(a)は、設備としての蓄電池の定義を示す蓄電設備情報241の構成例を示している。蓄電池の定義として、電池容量として12kWh、上限SOCとして100%、下限SOCとして0%、充電損失として10%、放電損失として10%、最大放電電力として3kWが示されている。電池容量は、蓄電池システム30の蓄電が可能である最大の蓄電電力量を示している。上限SOCは、電池容量における蓄電が可能な最大の充電率を示している。下限SOCは、電池容量における放電が可能な最低の充電率を示している。充電損失は、充電に用いた総電力量から蓄電池に充電する際に失われる電力量の割合を示している。
放電損失は、蓄電池から放電した総電力量から放電する際に失われる電力量の割合を示している。最大放電電力は、単位時間当たりに蓄電池から放電できる電力量を示している。
【0053】
図8(b)は、設備としての太陽光発電システムの定義を示す発電設備情報242の構成例を示している。太陽光発電システムの定義として、インバータ容量として6kW、変換効率15%、発電面積20m2、経度としてxxx、緯度としてxxx、設置角としてxxxが示されている。インバータ容量は、インバータの出力できる電力の最大容量を示している。変換効率は、太陽電池に照射した光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率を示している。発電面積は、太陽電池の光エネルギーを吸収する面の面積を示している。経度及び緯度は、太陽光発電システムが設置されている位置を示す位置情報である。設置角は、太陽電池の光エネルギーを吸収する面が向いている方向を示している。
【0054】
図1に戻り、送信部210は、送信情報記憶部220に記憶された情報を、各需要家施設Hの操作端末10および電力情報提供者300に送信する。受信部212は、操作端末10および電力情報提供者300から送信された情報を受信し、受信情報記憶部230に記憶させる。
【0055】
デマンド処理部214は、例えば、予め取得された日射情報と発電設備情報242に基づいて発電予測222を算出する。同様に、デマンド処理部214は、例えば、過去1週間内の所定時間ごとに、各需要家施設H内で消費された電力を算出し、算出した電力の平均値を需要予測223として算出する。
また、デマンド処理部214は、電力情報提供者300から送信されるデマンド情報231である電力供給(系統電源への逆潮流)として要求されるデマンド電力量を、蓄電地30が設けられた需要家施設Hに対して振り分ける処理を行う。
【0056】
ここで、デマンド処理部214は、受信情報記憶部230の蓄電池管理テーブル236と、設備情報記憶部240の蓄電設備情報241とを参照し、デマンド電力量の振分先及び振り分ける電力量である振分デマンド電力量とを求める。すなわち、デマンド処理部214は、受信情報記憶部230の蓄電池管理テーブル236における可否フラグが可となっている共用分電力量を提供することを受け入れた需要家施設Hの需要家施設識別情報を読み出し、デマンド電力量の振分先としての需要家施設Hを検出する。
【0057】
デマンド処理部214は、検出した需要家施設Hの各々の共有使用比率を、受信情報記憶部230の蓄電池管理テーブル236から読み出す。また、デマンド処理部214は、設備情報記憶部240の蓄電設備情報から、検出された需要家施設Hの蓄電池システム30の電池容量を読み出す。これにより、デマンド処理部214は、需要家施設H毎に電池容量と共有使用比率とを乗算し、逆潮流を可とする需要家施設H毎の共用分電力量を求める。デマンド処理部214は、逆潮流を可とする需要家施設H全ての共用分電力量を積算し、提供可能電力量を求める。
【0058】
そして、デマンド処理部214は、需要家施設Hの共用分電力量を提供可能電力量により除算し、除算結果として各需要家施設Hの各々の提供可能電力量比率を求める。デマンド処理部214は、提供可能電力量とデマンド電力量とを比較し、提供可能電力量がデマンド電力量以上の場合、各需要家施設Hの振分デマンド電力量を求める。すなわち、デマンド処理部214は、求めたそれぞれの需要家施設Hの提供可能電力量比率を、デマンド電力量に対して乗算し、乗算結果として各需要家施設Hの振分デマンド電力量を求める。
【0059】
一方、デマンド処理部214は、提供可能電力量とデマンド電力量とを比較し、提供可能電力量がデマンド電力量未満の場合、デマンド電力量を全て供給することが出来ないことを示す情報と、供給できる電力量である提供可能電力量とを、送信部210から電力情報提供者300に対して送信する。そして、電力情報提供者300から提供可能電力量の提供を受信部212を介して依頼されると、デマンド処理部214は、求めたそれぞれの需要家施設Hの提供可能電力量比率を、提供可能電力量に対して乗算し、乗算結果として各需要家施設Hの振分デマンド電力量を求める。
【0060】
蓄電計画導出部216は、逆潮流を否とする需要家施設Hの各々に対して、電力料金232と、デマンド処理部214により算出された発電予測222および需要予測223との計画導出情報に基づいて蓄電計画を導出する。また、蓄電計画導出部216は、逆潮流を可とする需要家施設Hの各々に対して、振分デマンド電力量と、この振分デマンド電力量を逆潮流する時間と、電力料金232と、デマンド処理部214により算出された発電予測222および需要予測223との計画導出情報に基づいて蓄電計画を導出する。このとき、蓄電計画導出部216は、需要予測223に対して、振分デマンド電力量を逆潮流する時間において加算し、振分デマンド電力量を含む需要予測223を求めて、蓄電計画を導出する。この蓄電計画とは、蓄電池システム30が充放電を行うのか、または停止するのかを所定時間ごとに決定したものである。以下、図を参照して蓄電計画の導出方法について説明する。
【0061】
図9は、各需要家施設Hの各々における蓄電池システム30の共有使用比率(%)と自家使用比率(%)とを示す図である。例えば、上位サーバ200が電力管理する電力管理地域に需要家施設H−1から需要家施設H−10の10個の蓄電池システム30を備える需要家施設Hがある場合を示している。需要家施設H−1から需要家施設H−10の各々において、蓄電池システム30の電池容量に対する共有使用比率と自家使用比率とが各需要家施設Hにより設定されている。
【0062】
図10は、電力料金232である料金レベルテーブルの一例を示す図である。料金レベルテーブルには、時間帯とその時間帯の料金と、料金のレベルを示す料金レベルとが対応して、送信情報記憶部220に書き込んで記憶されている。本実施形態においては、料金レベルが、電気料金が高くなるほど、料金レベルが大きくなるように定義されている。
電力料金232は、例えば、料金に応じた料金レベルが設定される。本実施形態の料金レベルは、10(円/kW)以下の場合、0に設定され、10〜15(円/kW)の場合、1に設定され、15〜20(円/kW)の場合、2に設定され、20〜30(円/kW)の場合、3に設定される。これら料金レベルの設定は、予め電力情報提供者300側で実施されてもよいし、上位サーバ200側(デマンド処理部214、蓄電計画導出部216)で実施してもよい。
【0063】
図11は、需要家施設Hに対して蓄電計画導出部216が導出する通常時の蓄電計画LNを示す図である。通常時は、逆潮流の振分デマンド電力量を含めた蓄電計画を行っていない状態を示している。図11において、横軸は時間を示し、左の縦軸は蓄電池システム30のSOCを示し、右側の縦軸は逆潮流の電力量(振分デマンド電力量)を示している。上述したように、逆潮流を行っていないため、逆潮流の電流量は0kWである。また、この図11は、デマンド電力の供出が要請され、需要家施設Hが供出を否とした場合の蓄電計画の導出の様子を示す図である。蓄電計画導出部216は、以下の処理により蓄電計画を作成する。
【0064】
蓄電計画導出部216は、所定時間ごとに蓄電池システム30に充放電を行わせるか否かを割り当てる。まず、蓄電計画導出部216は、最大の料金レベル(レベル3)が設定された期間において、優先的に放電が行われるように蓄電池システム30に対して放電を割り当てる。次に、蓄電計画導出部216は、最低の料金レベルの1レベル下の料金レベル(レベル0)が設定された期間において、蓄電池のSOCが閾値(0%)以上の場合、充電が行われるように蓄電池システム30の充電を割り当てる。以下、蓄電計画導出部216は、1日における時間が終了するまで上述した処理を繰り返す。
【0065】
図11に示す例において、蓄電計画導出部216は、料金レベルが0である23時から翌日の3時までの期間に充電を行って、蓄電池システム30のSOCを100とする。料金レベルが3である10時から22時までの期間において、蓄電池システム30を所定の放電量で放電させる計画を生成する。これにより、電気料金が高い時間帯に放電することにより、系統電源からの買電などによる電気量を低減させ、実質的な電気料金を低くすることにより、経済的効果を生じさせる。図11においては、消費電力を一定として示している。
【0066】
しかしながら、蓄電計画導出部216は、需要予測及び発電予測により、蓄電池システム30の蓄電電力の電力量(SOC)を予測して蓄電計画を生成する。ここで、蓄電計画において、放電が終了する22時に、SOCが30%となっている。これは、予め蓄電計画を生成する際に、停電などの非常用としての下限のSOC、すなわち蓄電池システム30からの放電を停止するSOCの設定値を需要家施設Hの各々が予め設定するように構成しても良い。そして、この非常用のSOCの設定が行われた場合、SOCが非常用の設定値となった時点で放電が停止される蓄電計画が生成される。一方、非常用のSOCの設定が行われ無い場合、SOCが0%まで放電される蓄電計画が生成される。そして、蓄電計画導出部216は、上記の蓄電池システム30の蓄電計画LNを導出後に、蓄電計画LNを計画情報221として、送信情報記憶部220に書き込んで記憶させる。
【0067】
図12は、需要家施設Hに対して蓄電計画導出部216が導出する緊急時の蓄電計画LNを示す図である。緊急時は、逆潮流の振分デマンド電力量を含めた蓄電計画を行っている状態を示している。図12において、横軸は時間を示し、左の縦軸は蓄電池システム30のSOCを示し、右側の縦軸は逆潮流の電力量(振分デマンド電力量)を示している。上述したように、逆潮流を行っているため、逆潮流の曲線LOが10時から12時まで電流量は2kWである。また、この図12は、デマンド電力の供出が要請され、需要家施設Hが供出を可とした場合の蓄電計画の導出の様子を示す図である。蓄電計画導出部216は、以下の処理により蓄電計画を作成する。
【0068】
蓄電計画導出部216は、デマンドが需要家施設Hのユーザによって受諾された場合、以下の処理を行う。
蓄電計画導出部216は、6時から22時が料金レベルが深夜の最低料金(料金レベル0)より高いので、この6時から22時までの間において、蓄電池システム30に対して放電を行わせる計画を生成する。蓄電計画導出部216は、受信情報記憶部230における電力料金232の料金テーブルを参照するとともに、振分デマンド電力量と、振分デマンド電力量を供給する時間とから蓄電計画を生成する。振分デマンド電力量を供給する時間が10時から12時であるが、2kWで2時間供給すると供給する電力量が4kWhとなり、振分デマンド電力量として4kWhを供給したことになる。
【0069】
この需要家施設Hにおける共用分電力量が4kWhであるため、12時で逆潮流が終了される。12時から13時までの間で供給するデマンド電力は他の需要家施設Hに振り分けられる。この図12においては、需要家施設Hの蓄電池システム30の最大放電電力が3kWであるため、系統電源への逆潮流を差し引いた1kWは自身の需要電力である。蓄電計画において、系統電源への逆潮流する振分デマンド電力量は、自身の需要電力に対して加算されている。この振分デマンド電力量を含んだ需要電力が最大放電電力の範囲内となるように、蓄電計画導出部216により蓄電計画は生成される。
【0070】
そして、蓄電計画導出部216は、上記の蓄電池システム30の蓄電計画LNを導出後に、蓄電計画LNを計画情報221として、送信情報記憶部220に書き込んで記憶させる。
また、ここで、蓄電計画において、放電が終了する22時に、SOCが20%となっている。図11でも示したように、これは予め停電などの非常用として、放電を停止するSOCを予め蓄電計画を生成する際に、各需要家施設H毎に設定するように構成しても良い。
【0071】
図13は、他の需要家施設Hに対して蓄電計画導出部216が導出する緊急時の蓄電計画LNを示す図である。緊急時は、逆潮流の振分デマンド電力量を含めた蓄電計画を行っている状態を示している。図13において、横軸は時間を示し、左の縦軸は蓄電池システム30のSOCを示し、右側の縦軸は逆潮流の電力量(振分デマンド電力量)を示している。上述したように、逆潮流を行っているため、逆潮流の曲線LOが10時から13時まで電流量は2kWである。また、この図13は、デマンド電力の供出が要請され、需要家施設Hが供出を可とした場合の蓄電計画の導出の様子を示す図である。蓄電計画導出部216は、以下の処理により蓄電計画を作成する。
【0072】
蓄電計画導出部216は、デマンドが需要家施設Hのユーザによって受諾された場合、以下の処理を行う。
蓄電計画導出部216は、6時から15時が料金レベルが深夜の最低料金(料金レベル0)より高いので、この6時から15時までの間において、蓄電池システム30に対して放電を行わせる計画を生成する。蓄電計画導出部216は、受信情報記憶部230における電力料金232の料金テーブルを参照するとともに、振分デマンド電力量と、振分デマンド電力量を供給する時間とから蓄電計画を生成する。振分デマンド電力量を供給する時間が10時から13時であるが、2kWで3時間供給すると供給する電力量が6kWhとなり、振分デマンド電力量として6kWhを供給したことになる。
【0073】
この需要家施設Hにおける共用分電力量が6kWhであるため、13時で逆潮流が終了される。13時から14時までは自身の需要の電力量としてのみ放電が行われる。この図13においては、需要家施設Hの蓄電池システム30の最大放電電力が3kWであるため、系統電源への逆潮流の電力量の2kWを差し引いた1kWは自身の需要電力である。蓄電計画において、系統電源への逆潮流する振分デマンド電力量は、自身の需要電力に対して加算されている。この振分デマンド電力量を含んだ需要電力が最大放電電力の範囲内となるように、蓄電計画導出部216により蓄電計画は生成される。
【0074】
そして、蓄電計画導出部216は、上記の蓄電池システム30の蓄電計画LNを導出後に、蓄電計画LNを計画情報221として、送信情報記憶部220に書き込んで記憶させる。
また、ここで、蓄電計画において、放電が終了する22時に、SOCが20%となっている。図11でも示したように、これは予め停電などの非常用として、放電を停止するSOCを予め蓄電計画を生成する際に、各需要家施設H毎に設定するように構成しても良い。
【0075】
図14は、第1の実施形態の電力管理システム1により行われる処理の一例を示すフローチャートである。本フローチャートは、例えば、蓄電計画が実施される前日など、蓄電計画が実施されるより前の時間に実行され、蓄電計画が生成される。
ステップS1:
デマンド処理部214は、例えば、予め取得された日射情報と発電設備情報242に基づいて発電予測222を算出する。また、デマンド処理部214は、例えば、過去1週間内の所定時間ごとに、各需要家施設H内で消費された電力を算出し、算出した電力の平均値を需要予測223として算出する。
【0076】
ステップS2:
デマンド処理部214は、受信情報記憶部230を参照して、デマンド情報の入力が有ったか否かの判定を行う。このとき、デマンド処理部214は、デマンド情報の入力が有った場合、処理をステップS3へ進める。一方、デマンド処理部214は、デマンド情報の入力が無い場合、処理をステップS9へ進める。
【0077】
ステップS3:
デマンド処理部214は、受信情報記憶部230からデマンド情報231を読み出す。デマンド情報231は、デマンド電力量と、このデマンド電力量を供給する時間帯との情報を含んでいる。
【0078】
ステップS4:
デマンド処理部214は、受信情報記憶部230の蓄電池管理テーブル236を参照し、可否フラグが可となっている共用分電力量を提供することを受け入れた需要家施設Hの需要家施設識別情報を抽出する。そして、デマンド処理部214は、抽出した需要家施設Hをデマンド電力量の振分先とする。
【0079】
ステップS5:
デマンド処理部214は、検出した需要家施設Hの各々の共有使用比率を、受信情報記憶部230の蓄電池管理テーブル236から読み出とともに、設備情報記憶部240の蓄電設備情報から、検出された需要家施設Hの蓄電池システム30の電池容量を読み出す。
そして、デマンド処理部214は、需要家施設H毎に電池容量と共有使用比率とを乗算し、逆潮流を可とする需要家施設H毎の共用分電力量を求め、逆潮流を可とする需要家施設H全ての共用分電力量を積算して提供可能電力量を求める。
【0080】
ステップS6:
デマンド処理部214は、提供可能電力量からデマンド電力量を減算して差分を求める。すなわち、デマンド処理部214は、提供可能電力量とデマンド電力量との電力量の大小の比較を行う。
【0081】
ステップS7:
デマンド処理部214は、差分が0以上か否かの判定を行う。このとき、デマンド処理部214は、差分が0以上の場合、処理をステップS8へ進める。一方、デマンド処理部214は、差分が0未満の場合、処理をステップS11へ進める。
【0082】
ステップS8:
デマンド処理部214は、需要家施設Hの共用分電力量を提供可能電力量により除算し、除算結果として各需要家施設Hの各々の提供可能電力量比率を求める。
そして、デマンド処理部214は、差分が0以上の場合、求めたそれぞれの需要家施設Hの提供可能電力量比率を、デマンド電力量に対して乗算し、乗算結果として各需要家施設Hの振分デマンド電力量を求める。デマンド処理部214は、求めた振分デマンド電力量を、需要予測における対応する時間の需要予測223に対して加算し、新たな需要予測を求める。
【0083】
ステップS9:
蓄電計画導出部216は、逆潮流を否とする需要家施設Hの各々に対して、電力料金232と、情報処理部214により算出された発電予測222および需要予測223との計画導出情報に基づいて蓄電計画を導出する。
そして、蓄電計画導出部216は、送信情報記憶部220において、求めた蓄電計画を計画情報221として書き込んで記憶させる。この計画情報221には、振分デマンド電力量に対応する電力を逆潮流させる時間が含まれている。
【0084】
ステップS10:
送信部210は、予め設定された所定の時間に、計画情報221を各需要家施設Hの各々に対して送信する。
各需要家施設Hの制御部16は、計画情報221に基づき、蓄電池システム30の充放電制御を行い、逆潮流する時間において、系統電源に対して振分デマンド電力量に対応した電力を逆潮流させる。
【0085】
ステップS11:
デマンド処理部214は、差分が0未満の場合、デマンド電力量を全て供給することが出来ないことを示す情報と、供給できる電力量である提供可能電力量とを、送信部210から電力情報提供者300に対して送信する。
そして、デマンド処理部214は、上述した送信に対して、電力情報供給者300から提供が必要とする回答の有無を確認する。このとき、デマンド処理部214は、電力情報提供者300から提供が必要とする回答が有った場合、処理をステップS12へ進める。
一方、デマンド処理部214は、電力情報提供者300から提供が必要とする回答が無い場合、処理をステップS9へ進める。
【0086】
ステップS12:
デマンド処理部214は、需要家施設Hの共用分電力量を提供可能電力量により除算し、除算結果として各需要家施設Hの各々の提供可能電力量比率を求める。
そして、デマンド処理部214は、求めたそれぞれの需要家施設Hの提供可能電力量比率を、提供可能電力量に対して乗算し、乗算結果として各需要家施設Hの振分デマンド電力量を求める。デマンド処理部214は、求めた振分デマンド電力量を、需要予測における対応する時間の需要予測223に対して加算し、新たな需要予測を求める。
【0087】
上述した構成により、本実施形態は、電力管理地域(コミュニティ)内で共用とする共用分電力量(分散蓄電池)を提供するための共有使用比率を設定していたとしても、デマンド要求に応えるか否かを需要家施設毎に設定することが可能なため、需要家施設自身の都合により、容易に共用分電力量を提供するか否かの選択を行うことができる。これにより、本実施形態によれば、分散蓄電池として自身の蓄電池の電池容量の一部を電力管理地域の共用の電力量として提供する状態にあっても、必要に応じて自身の需要に対応した蓄電池システム30の充放電の蓄電計画を得ることができる。
【0088】
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態の電力管理システム1Aについて説明する。第2の実施形態の電力管理システム1Aでは、電力情報提供者300から送信されるデマンド情報の代わりに、上位サーバ200が独自にデマンド情報を導出する点で、第1の実施形態と相違する。
従って、第2の実施形態の構成及び動作については、相違点を中心に説明し、共通する部分についての説明は省略する。
【0089】
図15は、第2の実施形態の電力管理システム1Aの構成例を示す図である。上位サーバ200は、各需要家施設Hの操作端末10から発電電力および消費電力を取得する。また、上位サーバ200は、ネットワークNWを介して、他の記憶装置内に記憶された電力料金と日射情報とを取得する。この電力料金は、例えば、当該需要家施設Hと契約していない他の地域の電力プロバイダ等の電力料金である。また、日射情報は、例えば、インターネット上に散見される天気情報に含まれる情報である。また、上位サーバ200は、電力会社が公開する電力の情報(例えば電力需給のひっ迫情報等)に基づいて、系統電源に対して逆流させるデマンド電力量及びデマンド電力量を系統電源に逆潮流させる時間を含むデマンド情報を導出する。
【0090】
図16は、第2の実施形態の需要家施設H内の設備の構成例を示す図である。各需要家施設Hには、それぞれ電力モニタ90が備えられている。電力モニタ90は、分電盤50に供給される電力を監視する。
【0091】
図17は、第2の実施形態の操作端末10の構成例を示す図である。本実施形態における操作端末10は、電力収集部24を備えている。第2通信部18は、例えば、電力モニタ90によって監視(測定)された分電盤50に供給される電力と、電力メータ70によって測定された系統電源電力CPから供給される電力との情報を、第2通信インターフェース20を介して受信する。電力収集部24は、第2通信部18により受信されたこれら電力の情報に基づいて、需要家施設Hの発電電力および消費電力を算出する。これによって、第2の実施形態の電力管理システム1は、電力情報提供者300から計画導出情報を取得せずに、蓄電計画を導出することができる。この結果、第2の実施形態の電力管理システム1は、上述した第1の実施形態と同様に、利用者の利便性を向上させることができる。
【0092】
以下に、その他の実施例(変形例)について記載する。
制御部16は、初期状態を変更することが可能な項目を含む表示画面を表示させてもよい。これによって、予め設定される選択項目がユーザの任意によって変更可能になる。ユーザは、例えば、選択項目の初期状態を「いいえ(受諾しない)」に変更してもよい。これによって、電力管理システム1は、ユーザの使用様態に応じた電力管理を行うことができる。
【0093】
また、制御部16は、当該デマンドから所定回数(例えば3回)のデマンドを受信するまでの間、選択項目の設定が保持されるように制御してもよい。また、制御部16は、ユーザの指定の期間(例えば1か月)、選択項目の設定が保持されるように制御してもよい。
【0094】
また、制御部16は、第2通信インターフェース20がスマートフォンやパソコン等と接続されている場合、メールやウェブページ等の情報を送信するように制御してもよい。
この場合の情報には、例えば、「系統電源への逆潮流によって電力を供給して下さい」、「12時から電気料金が高くなります」、「13時まで節電しましょう」のような、デマンドに応じた電力使用を促す内容の文章が含まれる。また、デマンドの受諾の可否は、当該メールへの返信、或いはウェブページ内での選択項目のクリック等によって行われると好適である。また、制御部16は、発光ダイオード等による光の点滅、スピーカによるアラーム音等でデマンドの通知を行ってもよい。この場合、デマンドの種類(増大または減少)に応じた光色や音色で、デマンドを通知すると好適である。
【0095】
上述した構成により、本実施形態は、電力管理地域(コミュニティ)内で共用とする共用分電力量(分散蓄電池)を提供するための共有使用比率を設定していたとしても、デマンド要求に応えるか否かを需要家施設毎に設定することが可能なため、需要家施設自身の都合により、容易に共用分電力量を提供するか否かの選択を行うことができる。これにより、本実施形態によれば、分散蓄電池として自身の蓄電池の電池容量の一部を電力管理地域の共用の電力量として提供する状態にあっても、必要に応じて自身の需要に対応した蓄電池システム30の充放電の蓄電計画を得ることができる。
【0096】
また、本実施形態によれば、電力管理地域内において電力が不足することが予想される需要家施設Hが前日までに上位サーバ200に対して、不足する電力量と時間とをデマンド要求として出力しておくことにより、上位サーバが電力管理地域内における需要家施設に対してもデマンド電力を、各需要家施設の共用分電力量から系統電源への逆潮流という形態で供給することが可能となる。
【0097】
また、図5における電力管理装置200の電力の管理機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより蓄電池の充電及び放電の管理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0098】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0099】
以下に、本発明の他の構成について記載する。
本発明の他の構成は、系統電源に接続され、電気設備の1つとして蓄電池を備える複数の需要家施設を含む電力管理地域内の需要家施設の電力管理を行う電力管理システムであり、前記蓄電池の最大蓄電容量と、前記電力管理地域内で共用の電力量として提供する共用分電力量との比である共有使用比率と、前記共用分電力量を共用として提供するかの可否を示すフラグとが前記需要家施設毎に示された蓄電池管理テーブルが記憶された記憶部と、前記蓄電池管理テーブルを参照し、前記需要家施設の各々の前記フラグに基づき、系統電源に対して逆潮流できる電力を求めるデマンド処理部とを備えることを特徴とする。
【0100】
本発明の他の構成は、前記デマンド処理部が、前記蓄電池管理テーブルを参照し、前記フラグが前記共用分電力量の提供を可とする需要家施設を抽出し、抽出された全ての前記需要家施設の前記共用分電力量を加算し、加算結果として前記電力管理地域における逆潮流可能な電力量である提供可能電力量を求めることを特徴とする。
【0101】
本発明の他の構成は、前記デマンド処理部が、前記需要家施設毎の前記共用分電力量を前記提供可能電力量で除算し、除算結果を前記デマンド電力を供給する際における前記需要家施設の提供可能電力量比率とすることを特徴とする。
【0102】
本発明の他の構成は、前記デマンド処理部が、提供可能電力量とデマンド電力量とを比較し、提供可能電力量がデマンド電力量以上の場合、前記需要家施設の各々の前記提供可能電力量比率を前記デマンド電力量に対して乗算し、乗算結果として前記需要家施設それぞれの逆潮流する電力量である振分デマンド電力量を求め、一方、提供可能電力量がデマンド電力量未満の場合、前記需要家施設の各々の前記提供可能電力量比率を前記提供可能電力量に対して乗算し、乗算結果として前記需要家施設のそれぞれの前記振分デマンド電力量を求めることを特徴とする。
【0103】
本発明の他の構成は、需要予測及び発電予測から前記需要家施設の前記蓄電池の充放電の計画である蓄電計画を生成する蓄電計画導出部をさらに備え、前記蓄電計画導出部が、前記需要予測に対して前記振分デマンド電力量を加算し、前記蓄電計画を生成することを特徴とする。
【0104】
本発明の他の構成は、前記蓄電計画導出部が、SOCが予め設定した数値に到達すると、前記蓄電池の放電を停止する蓄電計画を生成することを特徴とする。
【0105】
本発明の他の構成は、系統電源に接続され、電気設備の1つとして蓄電池を備える複数の需要家施設を含む電力管理地域内の需要家施設の電力管理を行う電力管理方法であり、前記蓄電池の最大蓄電容量と、前記電力管理地域内で共用の電力量として提供する共用分電力量との比である共有使用比率と、前記共用分電力量を共用として提供するかの可否を示すフラグとが前記需要家施設毎に示された蓄電池管理テーブルを参照し、前記需要家施設の各々の前記フラグに基づき、系統電源に対して逆潮流できる電力を求めるデマンド処理過程、を含むことを特徴とする。
【0106】
本発明の他の構成は、系統電源に接続され、電気設備の1つとして蓄電池を備える複数の需要家施設を含む電力管理地域内の需要家施設の電力管理を行う電力管理システムの動作をコンピュータに実行させるプログラムであり、コンピュータを、前記蓄電池の最大蓄電容量と、前記電力管理地域内で共用の電力量として提供する共用分電力量との比である共有使用比率と、前記共用分電力量を共用として提供するかの可否を示すフラグとが前記需要家施設毎に示された蓄電池管理テーブルを参照し、前記需要家施設の各々の前記フラグに基づき、系統電源に対して逆潮流できる電力を求めるデマンド処理手段、として機能させるためのプログラムである。
【0107】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0108】
1,1A…電力管理システム、H、H-1〜H-n…需要家施設、10、10-1〜10-n…操作端末、12…第1通信インターフェース、14…第1通信部、16…制御部、18…第2通信部、20…第2通信インターフェース、22…記憶部、30、30-1〜30-n…蓄電池システム、50…分電盤、60…需要設備、70…電力メータ、CP…系統電源電力、SP…太陽光発電システム、NW…ネットワーク、200…上位サーバ、210…送信部、212…受信部、214…デマンド処理部、216…蓄電計画導出部、220…送信情報記憶部、230…受信情報記憶部、240…設備情報記憶部、300…電力情報提供者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17