特許第6578053号(P6578053)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6578053
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】蒸気タービン
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/24 20060101AFI20190909BHJP
   F01D 9/02 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   F01D25/24 Q
   F01D25/24 R
   F01D25/24 G
   F01D9/02 104
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-501394(P2018-501394)
(86)(22)【出願日】2016年2月23日
(86)【国際出願番号】JP2016000945
(87)【国際公開番号】WO2017145190
(87)【国際公開日】20170831
【審査請求日】2018年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】310010564
【氏名又は名称】三菱重工コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】寺田 勝美
(72)【発明者】
【氏名】入川 寛明
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 祐一
【審査官】 齊藤 彬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−180748(JP,A)
【文献】 特開2014−047668(JP,A)
【文献】 特開2012−097601(JP,A)
【文献】 実開昭57−204406(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 25/24
F01D 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気が上流側から下流側に向けて流れるケーシングの内部の車室に設けられる静翼と、
前記静翼をケーシングに支持する支持手段と、を備え、
前記支持手段は、
前記ケーシングに固定される第一支持体と、
前記静翼と前記第一支持体を接続する第二支持体と、
前記上流側における前記第一支持体と前記第二支持体の間に、着脱可能に設けられる交換体と、を備え、
前記交換体は、
前記第一支持体と前記第二支持体の双方よりも耐エロージョン性の高い素材で構成される、
ことを特徴とする蒸気タービン。
【請求項2】
前記交換体は、
前記第二支持体に設けられる収容領域に着脱可能に設けられる、
請求項1に記載の蒸気タービン。
【請求項3】
前記交換体は、前記収容領域において、
前記第二支持体に形成された保持溝に、挿入端が挿入される、
請求項に記載の蒸気タービン。
【請求項4】
前記交換体は、
前記第支持体に着脱可能に取り付けられる抑止体により前記第支持体に支持されている、
請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の蒸気タービン。
【請求項5】
前記交換体、及び、前記抑止体の一方又は双方は、
締結手段により、着脱可能に取り付けられている、
請求項に記載の蒸気タービン。
【請求項6】
前記第一支持体と前記第二支持体の接続部分は、
前記第一支持体が前記第二支持体に設けられる窪みに挿入される構造をなしており、
前記交換体は、
前記窪みの内部において、前記第一支持体と前記第二支持体の間に、着脱可能に設けられる、
請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の蒸気タービン。
【請求項7】
前記第二支持体は、
前記上流側から前記窪みを区画する上流衝立と、
前記下流側から前記窪みを区画する下流衝立と、
径方向から前記窪みを区画する底床と、を備え、
前記交換体は、
前記第支持体に着脱可能に取り付けられる抑止体により前記第支持体に着脱可能に取り付けられ、
前記抑止体は、
前記底床に固定される固定辺と、
前記固定辺に連なり、前記交換体を上流衝立に押し付ける抑止辺と、を備える、
請求項に記載の蒸気タービン。
【請求項8】
前記第二支持体は、
前記下流衝立の一部に、蒸気の前記下流側への流れを案内するフローガイドを一体的に備える、
請求項に記載の蒸気タービン。
【請求項9】
前記第一支持体と前記第二支持体の接続が、
前記第二支持体の前記下流衝立と前記第一支持体の間の締結手段による、
請求項に記載の蒸気タービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気タービンの静止部品に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンの内部に設けられる静止部品の主たる構成要素である静翼は、蒸気タービンの車室を取り囲むケーシングに、仕切板を介して固定されている。
【0003】
蒸気タービンの静止部品、例えば仕切板には、運転中に、蒸気に含まれるドレン水滴が高速でぶつかるので、その表面を削り取る現象(エロージョン)が生じ、これを放置すると、静止部品としての機能を損なうおそれがある。
さらに、エロージョンにより静止部品の表面に亀裂が生じると、その亀裂に蒸気が浸入して、静止部品を腐食する現象(コロージョン)が生じる。
したがって、エロージョンやコロージョンによる障害が生じる前に、仕切板をはじめとする静止部品を定期的に交換する保守・点検作業が行われるが、その作業負担は大きい。
【0004】
そこで、特許文献1に記載のように、エロージョンの生じやすい箇所に、ステンレス鋼の溶接肉盛を形成させたり、Ni基合金をプラズマ溶射被覆させたりするエロージョン対策が提案されている。これにより、静止部品を交換する期間を延ばすことにより、作業負担を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭60−73806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、溶接肉盛、プラズマによる被膜のように耐エロージョン性の層を形成したとしても、蒸気タービンを長期間使用すれば、エロージョンの発生を抑えることはできないので、保守・点検作業を行う必要がある。ところが、エロージョンが発生した部分に耐エロージョン性の層を溶接肉盛又はプラズマ溶接により形成するには、当該部品を当該耐エロージョン性の層を形成するのに必要な装置を備える場所まで搬送する必要があるので、その作業負担は大きい。
【0007】
以上より本発明は、エロージョンが発生した際の交換が容易な蒸気タービンの静止部品を備える蒸気タービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の蒸気タービンは、蒸気が上流側から下流側に向けて流れるケーシングの内部の車室に設けられる静翼と、静翼をケーシングに支持する支持手段と、を備える。
この支持手段は、ケーシングに固定される第一支持体と、静翼と第一支持体を接続する第二支持体と、蒸気の流れる向きを基準にして、上流側における第一支持体と第二支持体の間に、着脱可能に設けられる交換体と、を備える、ことを特徴とする。
本発明の蒸気タービンによれば、交換体をエロージョンの生じやすい第一支持体と第二支持体の間に設けることができるので、必要な時期にエロージョンが生じた交換体を新たな交換体に交換できる。しかも、本発明によれば、交換体が着脱可能であるから、格別な装置類が備えられた場所に移動することなく、新たな交換体に容易に交換できる。
【0009】
本発明における交換体は、第一支持体と第二支持体の双方よりも耐エロージョン性の高い素材で構成されることが好ましい。
これにより、交換体を新しいものに交換するまでの期間を延ばし、交換頻度を少なくできる。
【0010】
本発明における交換体は、第二支持体に設けられる収容領域に着脱可能に設けることができる。
これにより、交換体を第一支持体と第二支持体の間に設置する作業の際に、所望の位置に容易に配置させることができる。
【0011】
本発明における交換体は、収容領域において、第二支持体に形成された保持溝に、挿入端が挿入されるインロー構造をなしていることが好ましい。
これにより、交換体を必要な位置に位置決めするのが容易であるとともに、交換作業をする際に交換体の姿勢を維持しやすい。
【0012】
本発明における交換体は、第二支持体に着脱可能に取り付けられる抑止体により第二支持体に支持されることが好ましい。
これにより、交換体の第二支持体への支持をより確実に行うことができる。
【0013】
本発明における交換体、及び、抑止体の一方又は双方は、締結手段により、着脱可能に取り付けることができる。
これにより、交換体、及び、抑止体の一方又は双方が、着脱可能であるとともに、交換体の第二支持体への取り付け、及び、抑止体の第一支持体の取り付け、を簡易かつ確実に行うことができる。
【0014】
本発明における第一支持体と第二支持体の接続部分は、第一支持体が第二支持体に設けられる窪みに挿入される構造をなしている場合には、交換体を、窪みの内部において、第一支持体と第二支持体の間に、着脱可能に設けることができる。
これにより、交換体を、第一支持体によっても支持することができる。
【0015】
本発明における第二支持体は、上流側から窪みを区画する上流衝立と、下流側から窪みを区画する下流衝立と、径方向から窪みを区画する底床と、を備えることができる。この場合には、交換体は、第二支持体に着脱可能に取り付けられる抑止体により第二支持体に着脱可能に取り付けられる。また、抑止体は、第二支持体に固定される固定辺と、固定辺に連なり、交換体を上流衝立に押し付ける抑止辺と、を備える。
これにより、交換体は、第二支持体に対してより確実に支持される。
【0016】
本発明における第二支持体は、下流衝立の一部に、蒸気の下流側への流れを案内するフローガイドを一体的に備えることができる。
これにより、フローガイドを個別に設けるのに比べて、製作コストを低減できる。
【0017】
本発明において、第一支持体と第二支持体の接続は、第二支持体の下流衝立と第一支持体の間の締結手段によることが好ましい。
そうすることにより、交換体の交換を含む保守・点検作業の負担を軽減できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、交換体をエロージョンの生じやすい第一支持体と第二支持体の間に設けることができるので、必要な時期にエロージョンが生じた交換体を新たな交換体に交換できる。しかも、本発明によれば、交換体が着脱可能であるから、格別な装置類が備えられた場所に移動することなく、新たな交換体に容易に交換できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る蒸気タービンの静止部品の概略構成を示す側面断面図である。
図2図1の一部拡大図である。
図3図2の一部拡大図である。
図4】(a)は、2つの交換体の平面図であり、(b)は、2つの抑止体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る蒸気タービン90の静止部品1の一実施形態について説明する。本発明の静止部品1は、図1に示すように、蒸気タービン90の内部に設置されている。
【0021】
図1に示すように、蒸気タービン90は、ケーシング91と、ケーシング91により気密に封止された車室92と、車室92に流入する蒸気Sの量と圧力を調整する調整弁93と、ケーシング91の内部に回転軸線Cを中心に回転可能に設けられ、図示しない発電機等の機械に動力を伝達するタービンロータ95と、タービンロータ95を軸回りに回転可能に支持する複数の軸受部98と、を有している。車室92内は、蒸気Sが上流側Uから下流側Lに流れるように形成されている。蒸気Sは、上流側Uの圧力が下流側Lより相対的に高くなっており、下流側Lに流れるにしたがって低圧になる。
なお、本実施形態において、タービンロータ95の回転軸線Cの方向に直行する方向を径方向といい、径方向の回転軸線Cに近い側を径方向の内側、径方向の回転軸線Cから遠い側を径方向の外側という。また、本実施形態において用いる蒸気Sの流れの上流側U、下流側Lは、相対的な位置関係を示している。
【0022】
車室92内に収容されるタービンロータ95は、シャフト96と、シャフト96の外周面に着脱可能に設けられる動翼97と、を備えている。
本実施形態においては、上流側Uから下流側Lに向けて複数の動翼97が、所定の間隔空けて設けられることで、動翼郡を形成している。それぞれの動翼97は、半割りのセグメントをシャフト96に取り付けることにより、シャフト96の周囲に連なって形成される。
【0023】
さらに、車室92内には、ケーシング91の内周面側からシャフト96の中心軸線Cに向かって延びる静翼10が設けられている。
動翼97と同様に、上流側Uから下流側Lに向けて複数の静翼10が、所定の間隔を空けて複数設けられることで、静翼群を構成している。それぞれの静翼10は、動翼群を構成する各動翼97の上流側Uに配置されることで、動翼97と交互に配置される。
【0024】
静翼10は静止部品1の構成要素であるが、本実施形態では、複数の静翼10のうちで下流側Lの2つの静翼10に後述する交換体30が適用される。
【0025】
静止部品1は、上述した静翼10の他に、静翼10を支持する手段として、図2に示すように、静翼10の基端が接続される仕切体20と、仕切体20に着脱可能に取り付けられる交換体30と、交換体30を仕切体20に着脱可能に取り付ける抑止体40と、一端が仕切体20に着脱可能に連結され、他端がケーシング91の内周面に固定される支持体50と、を有している。以下、下流側Lから二つ目の静止部品1を例にして説明する。
【0026】
[仕切体20]
本発明の第二支持体に対応する仕切体20は、上流側Uからの蒸気Sが動翼97を経由して下流側Lに流れるのを担保するために設けられる。
仕切体20は、ケーシング91の内周面に連なって設けられる。ただし、静翼10の周囲に配置される都合上、仕切体20は、半割り形状とされた二つのセグメント20A,20Bの組み合わせにより構成されている。仕切体20の本体21は、図3に示すように、支持体50の一部を収容する収容領域として窪み22を有する。さらに、窪み22を上流側Uから区画する上流衝立28と、窪み22を下流側Lから区画する下流衝立29と、窪み22を径方向から区画する底床23と、を備えている。窪み22、底床23、上流衝立28及び下流衝立29は、周方向に連なっている。それにより、仕切体20と支持体50の接続部分は、インロー構造になっている。なお、図3において、仕切体20のハッチングを省略している。
【0027】
窪み22は、底床23が回転軸線Cに平行に形成されている。底床23は、上流側Uの一部が他の領域よりも径方向の内側に後退することで保持溝25を備えている。窪み22は、図3に示すように、保持溝25に対応する領域において交換体30を収容し、この領域よりも下流側Lにおいて支持体50の先端側の一部を収容する。
なお、仕切体20は、図3では図示を省略するが、蒸気タービン90の運転時の熱伸びを考慮して、底床23と支持体50の先端との間に必要な隙間が設けられている。
【0028】
上流衝立28は、窪み22に臨む側面28Aから後述する交換体30を支持する。上流衝立28は、底床23から径方向の外側に向けて突出する寸法が、下流衝立29に比べて大きく形成されており、その高さが支持体50の径方向の半分を超える。仕切体20は、高さをこのように設定することにより、支持体50と径方向において重複する領域を確保して、回転軸線Cへの支持を確実にする。
【0029】
下流衝立29には、径方向の内側が減肉されることで、フローガイド27が本体21と一体的に設けられている。フローガイド27は、蒸気の下流側への流れを案内するものであり、対応する動翼97の先端と対向するように配置されている。
【0030】
[交換体30]
次に、交換体30について説明する。
換体30は、仕切体20の中でエロージョンが生じやすい部分を代替する部材であり、蒸気Sの流れる向きを基準にして、上流側における仕切体20と支持体50の間に、仕切体20に着脱可能に設けられることで、保守・点検の際の交換作業を容易にする。
交換体30は、図4(a)に示すように、車室92の周方向に連なるように、円環状に形成されている。ただし、交換体30は、仕切体20の周囲に配置される都合上、半割り形状とされた二つのセグメント30A,30Bの組み合わせにより構成される。
【0031】
交換体30は、図2及び図3に示すように、横断面が矩形状をなしており、仕切体20の所定位置に配置されたときの底床23からの高さHが上流衝立28の高さと一致する。つまり、上流衝立28の外径面と交換体30の外径面とは面一になっており、両者の間に段差がないので、エロージョン及びコロージョンの発生の要因となるスケールが滞留するのを軽減できる。
交換体30は、外周側から内周側に向けて一定の厚さ(回転軸線Cの方向の寸法)を有しており、最も内周側が薄肉とされた挿入端31と、挿入端31と対向する外径面32と、を有する。挿入端31は、保持溝25に隙間なく挿入されるように、その厚さ及び高さ(径方向の寸法)が設定される。
【0032】
交換体30は、ボルトB1により仕切体20に固定される。ボルトB1は交換体30に形成されるボルト孔33を貫通して仕切体20に締結される。ボルトB1が交換体30を仕切体20に固定する所定位置まで挿入されると、その頭が交換体30の内部に収容されて、その先端面だけが交換体30から露出するように、ボルトB1及びボルト孔33の寸法が設定される。なお、ボルトB1は、六角穴ボルトを採用できる。ボルトB2も同様である。
【0033】
好ましくは、図4(a)に示すように、複数のボルトB1,ボルト孔33により周方向に均等な間隔で締結することが、交換体30と仕切体20との密着性向上に寄与する。これにより、交換体30と仕切体20の間に蒸気Sが流入するのを防ぐことができる。なお、交換体30と仕切体20の密着性を確保できるのであれば、締結の間隔は均等でなくてもよい。
【0034】
以上のように構成される交換体30は、挿入端31が保持溝25に挿入される所定位置において仕切体20に固定されると、外径面32が車室92内に露出する。この露出する外径面32には、静止部品1において、車室92内の上流側Uから流れてきた水滴が衝突し、衝突した水滴が溜まる。
【0035】
なお、交換体30は、仕切体20と支持体50の双方よりも耐摩耗性を有する素材、つまり、耐エロージョン性の高い素材で形成されていることが好ましい。それにより、エロージョンが発生しやすい箇所に、耐摩耗性を有する交換体30の一部が露出することになり、効果的にエロージョンが発生するのを防ぐことができる。
【0036】
[抑止体40]
抑止体40は、交換体30を仕切体20に固定する。
抑止体40は、図4(b)に示すように、ケーシング91の周方向に連なるように、円環状に形成されている。ただし、抑止体40は、仕切体20の周囲に配置される都合上、半割り形状とされる二つのセグメント40A,40Bの組み合わせにより構成される。
【0037】
抑止体40は、図3に示すように、横断面がL字状をなしており、抑止体40を仕切体20に固定する固定辺43と、交換体30を仕切体20に向けて押し付ける抑止辺45と、を備えている。
【0038】
抑止辺45は、固定辺43が仕切体20の底床23に固定されると、交換体30を固定するボルトB1の頭の一部を覆う。これにより、交換体30を締結しているボルトB1が抜け落ちるのを防止できる。
【0039】
抑止体40は、固定辺43が底床23に固定されると、抑止辺45が交換体30を仕切体20の上流衝立28に向けて押し付ける。こうすることにより、ボルトB1による交換体30の締結に加えて、仕切体20に対する交換体30の支持をより確実にできる。
【0040】
抑止辺45と固定辺43の支持体50と当接する面は、抑止体40が支持体50の保持溝51に挿入された際に、抑止体40と支持体50の間の間隙が、微小な間隙になるように形成されている。
【0041】
本実施形態の抑止体40は、横断面の形状がL字状になっているので、最小限の横断面積、換言すれば、少ない素材の量で固定辺43と抑止辺45を備えることができる。
【0042】
抑止体40は、固定辺43がボルトB2により支持体50に締結されており、そのために、固定辺43にはその表裏を貫通するボルト孔41が、支持体50に連通して設けられている。締結されたボルトB2の頭が固定辺43の内部に収容されて、その先端面だけが固定辺43から露出するように、ボルトB2及びボルト孔41の寸法が設定される。そうすることで、支持体50と仕切体20の底床23との間の隙間を最小限に抑えることができる。
【0043】
抑止体40は、交換体30と同じ素材で形成されていてもよく、異なる素材で形成されていてもよいが、耐腐食性の高い素材で形成されていることが好ましい。
【0044】
[支持体50]
支持体50は、仕切体20を介して静翼10を支持する。
本発明の第一支持体に対応する支持体50は、ケーシング91の内周面から、タービンロータ95の中心軸に向かって延出しており、ケーシング91の周方向に連なる半円環状に形成されている。支持体50の上流側Uの側面には、抑止体40が挿入される保持溝51が形成されている。それにより、支持体50と仕切体20の間に抑止体40を設置しても、支持体50と仕切体20の間の間隙を最小限に抑えることで、蒸気Sが容易に流入するのを避ける。
【0045】
支持体50は、外径面側がケーシング91の内周面に溶接、その他の手段により固定され、内径面側に仕切体20が固定されている。支持体50も円環状の形態を有しているが、半割り形状の部材を二つ組み合わせて構成されている。
【0046】
支持体50は、支持体50の内径側が仕切体20の窪み22に収容されることで、仕切体20を支持する。
【0047】
以上説明した仕切体20、交換体30、抑止体40及び支持体50を備える静止部品1は、支持体50の内径側が仕切体20の窪み22に収容された状態で、仕切体20は支持体50に支持される。交換体30は、仕切体20に固定される抑止体40及びボルトB1の仕切体20への締結により、仕切体20に固定される。抑止体40は、仕切体20、交換体30及び支持体50の三つの部材の間に介在することで、外部には露出しない。
【0048】
なお、上述した交換体30及び抑止体40の素材としては、ステンレス鋼を用いるのが好ましく、具体的には、マルテンサイト系のステンレス鋼であるJIS SUS403、SUS410など、または、オーステナイト系のステンレス鋼であるJIS SUS304 SUS309などを用いることができる。
また、仕切体20及び支持体50の素材としては、JIS SM400、SN400などを用いることができる。
【0049】
蒸気タービン90の運転中には、車室92の内部に流入した蒸気Sに含まれるドレン水滴が、静止部品1を構成する仕切体20、交換体30及び支持体50の車室92に露出している表面に衝突する。仕切体20、交換体30及び支持体50が耐食性の優れた材料で作製されていたとしても、水滴の衝突が長く継続すると、仕切体20、交換体30及び支持体50にコロージョンが発生し得る。そこで、静止部品1について、保守・点検作業が行われる。
【0050】
[保守・点検作業]
保守・点検作業は、次のようにして行われる。
先ず、半割りとされている仕切体20の本体21,21のそれぞれを、水平方向であって、かつ、回転軸線Cから離れる向きに、支持体50の先端が仕切体20の窪み22から抜き取られるまで移動させる。これにより、支持体50から仕切体20を分離させる。そうすれば、抑止体40を支持体50に締結しているボルトB2が露出するので、抑止体40を新たなものと交換する場合には、ボルトB2を取り外して、抑止体40を支持体50から取り外す。
【0051】
一方、支持体50から分離された仕切体20において、頭が外部に露出したボルトB1を取り外してから、それまで使用していた交換体30を取り外す。このように、本実施形態は、ボルトB1を取り外すことにより、使用済みの交換体30を仕切体20から取り外すことができる。
なお、仕切体20と支持体50を分離する作業に先立って、動翼97をタービンロータ95から取り外すこともできる。
【0052】
使用済みの交換体30を取り外した後には、別途用意していた新しい交換体30を、挿入端31が仕切体20の保持溝25に挿入される所定の位置に配置させる。次に、配置された交換体30を仕切体20にボルトB1で固定する。以後は、取り外しの作業と逆の手順で仕切体20を支持体50に固定して、交換体30の交換作業が終了する。
【0053】
[実施形態の効果]
以下、本実施形態の静止部品1が奏する効果を説明する。
静止部品1は、仕切体20の中でエロージョンが生じやすい箇所が、耐摩耗性を有する素材で形成された交換体30に置き換えられているので、エロージョンの発生を抑制できる。したがって、本実施形態によれば、従前の交換体30を取り付けてから新たな交換体30に交換するまでの期間を延ばすことができる。また、交換体30と接する抑止体40も同様であり、新たな抑止体40に交換するまでの期間を延ばすことができる。
【0054】
さらに、交換体30は、着脱可能に取付けられている。したがって、交換体30にエロージョンが発生したとしても、交換体30だけを交換すればよく、仕切体20を全体として交換する必要がない。よって、交換する部材を最小限に抑えることができるので、保守・点検作業の費用を安価に抑えることができる。抑止体40の交換作業も同様である。
【0055】
さらにまた、本実施形態は、交換体30の交換はボルトの取り付け、取り外しでできるので、特別な環境下に移動することなく、交換体30の交換作業を行うことができるので、保守作業の負担を軽減することができる。
【0056】
以上、本発明を好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【0057】
例えば、本実施形態の交換体30は、横断面が矩形状をなしているが、本発明の交換体の形態はこれに限らない。本発明の交換体は、上流側Uにおける、仕切体20と支持体50の接触部のエロージョンに対応して設けられるものであるから、当該領域に交換体が設けられている限り、その形態は任意である。例えば、L字状の横断面を有する交換体を用いることもできる。
【0058】
本実施形態の交換体30は、挿入端31が保持溝25に挿入されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、平坦な底床23の上に交換体30の下端部を単純に載せるだけでもよい。
【0059】
交換体30は、支持体50に取付けられてもよい。この場合にも、交換体30は、ボルトにより支持体50に固定される。このボルトは交換体30を貫通して支持体50に締結され、上述した実施形態と同様に、その頭が交換体30の内部に収容されるようにするのが好ましい。こうして取り付けられた交換体30は、その外径面(32)が車室92内に露出する。
なお、交換体30が支持体50に取付けられる場合も、上流衝立28の側面に、交換体30が挿入される溝を形成してもよい。
【0060】
また、抑止体40の抑止辺45の部分を長くして、支持体50の先端を覆い隠すことができる。そうすれば、支持体50の先端にエロージョンが発生するのを抑制できるとともに、抑止体40にエロージョンが生じて交換する際の作業負担が小さい。
【0061】
また、抑止体40の横断面の形状はL字状に限定されるものでなく、抑止部と固定部を有しているかぎり、その形態は任意である。例えば、横断面が三角形、矩形をなしていてもよい。
【0062】
本実施形態では、交換体30などの取り付けの手段としてボルトB1,B2による締結を採用しているが、着脱可能に取付けられるのであれば、他の方法を採用してもよい。
【0063】
また、本実施形態では、交換体30と抑止体40の双方がボルトによる締結手段により、着脱可能に取付けられているが、どちらか一方のみが締結手段により、取付けられていてもよい。
【0064】
以上説明した実施形態において、本発明が適用されたのは、下流側Lの二つの静止部品1であるが、複数の静止部品1の中の一つ又は三つ以上の静止部品1に適用してもよい。
【0065】
また、支持体50の側に窪みを設けるとともに、仕切体20の側にこの窪みに挿入される部位を設けることできる。
【符号の説明】
【0066】
1 静止部品
10 静翼
20 仕切体
20A,20B セグメント
21 本体
22 窪み
23 底床
25 保持溝
27 フローガイド
28 上流衝立
29 下流衝立
30 交換体
30A,30B セグメント
31 挿入端
32 外径面
33 ボルト孔
40 抑止体
40A,40B セグメント
41 ボルト孔
43 固定辺
45 抑止辺
50 支持体
51 保持溝
90 蒸気タービン
91 ケーシング
92 車室
93 調整弁
95 タービンロータ
97 動翼
98 軸受部
図1
図2
図3
図4