【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はプロピレン重合体組成物であって:
【0011】
a)3.5〜12.0g/10分;好ましくは3.8〜7.5g/10分;より好ましくは4.0〜6.0g/10分の溶融流量(MFR、 ASTM D 1238、230℃/2.16kgに従い、すなわち2.16kgの荷重で230℃で測定する)を有する5.5重量%〜9.0重量%;好ましくは6.0重量%〜8.5重量%;より好ましくは6.5重量%〜8.0重量%の1−ヘキセン誘導単位を含有する40重量%〜80重量%;好ましくは45重量%〜74重量%;より好ましくは48重量%〜63重量%のプロピレン1−ヘキセン共重合体;
【0012】
b)3.5〜12.0g/10分;好ましくは3.8〜7.5g/10分;より好ましくは4.0〜6.0g/10分の溶融流量(MFR、 ASTM D 1238、230℃/2.16kgに従い、すなわち2.16kgの荷重で230℃で測定する)を有する1.5重量%〜6.5重量%;好ましくは2.0重量%〜6.1重量%;より好ましくは3.5重量%〜5.1重量%のエチレン誘導単位を含有する20重量%〜60重量%;好ましくは26重量%〜55重量%;より好ましくは37重量%〜52重量%のプロピレンエチレン共重合体を含み;
【0013】
a)とb)の量の合計が100であるプロピレン重合体組成物を提供する。
【0014】
。
【0015】
好ましくは上記のプロピレン1−ヘキセン共重合体の成分a)は1つ以上の下記特徴を付与する:
【0016】
i)DSCプロットは0〜5mW;好ましくは0〜3mW範囲の高さの差を有する少なくとも2つのピークを示す;
【0017】
ii)DSCで測定した、141.0℃〜151.0℃;好ましくは142.0℃〜149.0℃;より好ましくは142.5℃〜145.0℃範囲のより高い溶融温度。
【0018】
2つのピークの溶融温度の差が好ましくは5℃〜20℃;より好ましくは7℃〜15℃;さらに好ましくは8℃〜12℃の範囲である。
【0019】
本開示のプロピレン1−ヘキセン共重合体は、プロピレンおよび1−ヘキセン誘導単位のみを含有する。上記の共重合体は最大1.0重量%のエチレン誘導単位をさらに含有することができる。本開示のプロピレンエチレン共重合体は、プロピレンおよびエチレン誘導単位のみを含有する。上記の共重合体は最大1.0重量%の1−ヘキセン誘導単位をさらに含有することができる。
【0020】
DSC曲線におけるピーク(融解温度/融解熱(mW))は、温度Aに対する±5℃の範囲の融解熱の値(mW)に対して温度Aで最も高い融解熱値を有するDSC曲線上の点(融解温度/融解熱)として定義される。
【0021】
溶融温度値はISO 11357−3に従い、示差走査熱量計によって20℃/分の加熱速度で決定される。
【0022】
本開示の組成物は、極めて低いヘイズおよび低いシール開始温度(SIT)が付与され、従ってこの材料はフィルム、特にキャストまたはBOPPフィルムの製造に有利に使用することができる。
【0023】
特に、成分a)およびb)単独のヘイズより低い結果となる組成物のヘイズに相乗効果がある。
【0024】
プロピレン重合体組成物の成分a)およびb)は、ジハロゲン化マグネシウムに担持された立体特異的チーグラー・ナッタ触媒の存在下で行われる重合工程で得られることができる。分子量調節剤(好ましくは水素)を適切に投与することによって。
【0025】
連続式または配置式(batch)であり得る重合工程は、公知された技術に従って、気相で、または液相で不活性希釈剤の存在下または不存在下で、または混合された液体−気体技術によって行われる。2つの反応器において気相で重合を行うことが好ましい。
【0026】
重合反応時間、圧力および温度は重要ではないが、温度が20〜100℃であるのが最もよい。圧力は、大気圧以上であり得る。
【0027】
上述したように、分子量の調節は、公知された調節剤、特に水素を使用して行われる。
【0028】
上記の立体特異的な重合触媒は、下記反応の生成物を含む:
【0029】
1)ジハロゲン化マグネシウム(好ましくは塩化物)に担持されたチタン化合物および電子−供与体化合物(内部供与体)を含有する、固体成分;
【0030】
2)アルミニウムアルキル化合物(助触媒);および選択的に、
【0031】
3)電子−供与体化合物(外部供与体)。
【0032】
上記の触媒は、好ましくは、イソタクチック指数が90%超過(室温でキシレンに不溶性である画分の重量として測定される)であるプロピレンの同種重合体を製造することができる。
【0033】
固体触媒成分(1)は、一般的にエーテル、ケトン、ラクトン、N、Pおよび/またはS原子を含む化合物、ならびにびモノーおよびジカルボン酸エステルの中から選択された化合物を電子−供与体として含有する。
【0034】
上述した特性を有する触媒は、特許文献においてよく知られている;米国特許第4,399,054号およびヨーロッパ特許第45977号に記載された触媒が特に有利である。
【0035】
上記の電子−供与体化合物の中で特に適したものは、フタル酸エステルおよびコハク酸エステルである。
【0036】
適したコハク酸は、以下の式(I)に示す:
【0037】
【化1】
【0038】
上記式において、ラジカルR
1およびR
2は、互いに等しいか異なっており、選択的にヘテロ原子を含有する、C1−C20線状または分岐状アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはアルキルアリール基であり;ラジカルR
3〜R
6は、互いに等しいか異なっており、選択的にヘテロ原子を含有する、水素または、C1−C20線状または分岐状アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはアルキルアリール基であり、同一の炭素原子に結合されているラジカルR
3〜R
6は、一緒に連結されて環を形成することができる。
【0039】
R
1およびR
2は、好ましくはC1−C8アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルおよびアルキルアリール基である。R
1およびR
2が第1のアルキルおよび特に分岐状第1のアルキルから選択される化合物が特に好ましい。適したR
1およびR
2基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、ネオペンチル、2−エチルヘキシルである。エチル、イソブチルおよびネオペンチルが特に好ましい。
【0040】
式(I)によって記載された好ましい化合物群の中の1つは、R
3〜R
5が水素であり、R
6が3〜10個の炭素原子を有する分岐状アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルおよびアルキルアリールラジカルであるものである。式(I)の基の中で他の好ましい基は、R
3〜R
6の少なくとも2つのラジカルが水素と異なっており、選択的にヘテロ原子を含有する、C1−C20線状または分岐状アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはアルキルアリール基から選択されるものである。水素と異なる2つのラジカルが同一の炭素原子に連結されている化合物が特に好ましい。また、水素と異なる少なくとも2つのラジカルが異なる炭素原子、すなわちR
3およびR
5、またはR
4およびR
6に連結されている化合物が特に好ましい。
【0041】
公開されたヨーロッパ特許出願EP−A−361 493号および728769号に例示されているように、特に適した他の電子−供与体は、1,3−ジエーテルである。
【0042】
助触媒(2)として、好ましくは、Al−トリエチル、Al−トリイソブチルおよびAl−トリ−n−ブチルのようなトリアルキルアルミニウム化合物を使用する。
【0043】
外部電子−供与体(Al−アルキル化合物に添加される)として使用され得る電子−供与体化合物(3)は、芳香族酸エステル(例えば、安息香酸アルキル)、複素環式化合物(例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンおよび2,6−ジイソプロピルピペリジン)、および特に少なくとも1つのSi−OR結合(ここで、Rは炭化水素ラジカルである)を含有するケイ素化合物を含む。上記ケイ素化合物の例は、化学式R
a1R
b2Si(OR
3)
cの化合物であり、ここで、aおよびbは0〜2の整数であり、cは1〜3の整数であり、(a+b+c)の合計は4であり;R
1、R
2、およびR
3は、選択的にヘテロ原子を含有する、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキルまたはアリールラジカルである。
【0044】
テキシルトリメトキシシラン(2,3−ジメチル−2−トリメトキシシリル−ブタン)が特に好ましい。
【0045】
上述した1,3−ジエーテルは、また外部供与体として使用するのに適している。内部供与体が上記1,3−ジエーテルの中の1つである場合、外部供与体は省略されることができる。
【0046】
触媒は、少量のオレフイン(予備重合)と予備接触され、上記触媒を炭化水素溶媒中に触媒を懸濁液で維持させ、室温〜60℃の温度で重合させて、上記触媒の重量の0.5〜3倍の量の重合体を生成させることができる。
【0047】
上述した工程で製造された成分a)およびb)は当業界に公知された工程を使用してブレンディングされる。
【0048】
本発明による組成物はまた、2つ以上の反応器で順次的な重合によって製造されることができ、ここで第1反応器で成分a)が製造された後、成分a)の存在下に後続反応器で成分b)が製造されるか、またはその逆で製造される。使用されできる重合工程は上述されたものである。
【0049】
本開示の組成物はまた、オレフイン重合体に通常的に使用される添加剤、例えば、核形成剤および清澄剤、ならびに加工助剤を含有することができる。
【0050】
本開示のプロピレン重合体組成物はフィルムの製造に有利に使用されることができる。好ましくは少なくとも1つの層が本発明の組成物を含むキャストまたはBOPPフィルム単層、あるいは多層フィルム。
【0051】
本開示のプロピレン重合体組成物を用いて得られるフィルムは、良好なダイン保持性を特徴とし、これは、例えば、プラズマ処理またはコロナ処理が適用された長時間後にもフィルムを印刷するのに適している。
【0052】
本開示のプロピレン重合体組成物で得られた多層フィルムは、上記のプロピレン組成物を含む少なくとも1つのスキン層を有することを特徴としており、残りの層は多層フィルムまたはフィルムコーティング製品に使用するために当業界に公知された任意の材料で形成されることができる。従って、例えば、各々の層はポリプロピレン同種重合体または共重合体、あるいはEVA、EVOHのような他の種類の重合体で形成することができる。
【0053】
多層構造の層の組み合わせおよび数は特に制限されない。少なくとも一つのスキン層Aが本開示のプロピレン重合体組成物を含む場合、その数は通常3〜11層、好ましくは3〜9層、より好ましくは3〜7層、およびさらに好ましくは3〜5層であり、A/B/A、A/B/C、A/B/C/B/A、A/B/C/D/C/B/Aを含む組み合わせが可能である。
【0054】
本開示の多層フィルムの好ましい層は3または5であり、ここで少なくとも1つのスキン層は本開示のプロピレン/エチレン共重合体を含む。好ましい構造はA/B/AまたはA/B/Cであり、ここでAは本開示のプロピレン重合体組成物である。
【0055】
本開示の目的のために、スキン層は多層フィルムの上部層および/または下部層である。
【0056】
好ましくは、本開示の多層フィルムにおいてフィルムの上部層および下部層は、本開示のプロピレン/エチレン共重合体を含む。