特許第6578070号(P6578070)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6578070ガラス品を成形するためのマシンの型開閉のための方法及び機構
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6578070
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】ガラス品を成形するためのマシンの型開閉のための方法及び機構
(51)【国際特許分類】
   C03B 9/41 20060101AFI20190909BHJP
【FI】
   C03B9/41
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-546878(P2018-546878)
(86)(22)【出願日】2016年3月10日
(65)【公表番号】特表2019-507720(P2019-507720A)
(43)【公表日】2019年3月22日
(86)【国際出願番号】MX2016000025
(87)【国際公開番号】WO2017155380
(87)【国際公開日】20170914
【審査請求日】2018年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】516319474
【氏名又は名称】ビトロ、エセ.ア.ベ. デ セ.ウベ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティヘリナ ラモス、ビクター
【審査官】 井上 政志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0314872(US,A1)
【文献】 特開昭61−222930(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/175971(WO,A1)
【文献】 特開昭59−116129(JP,A)
【文献】 米国特許第01911119(US,A)
【文献】 特表昭58−500161(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0018256(US,A1)
【文献】 特開2001−019443(JP,A)
【文献】 特表2005−526682(JP,A)
【文献】 特表2013−527109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B7/00−7/22
C03B9/00−17/06
C03B19/00−19/10
C03B21/00−21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス製品を成形するために開閉する2つの半体に分割された少なくとも1つの型を含むタイプのガラス製品成形マシンのための型開閉機構であって、
支持構造体と、
一対の支持アームであって、各々が互いに対向して独立して装着され且つ前記支持構造体上に平行に分離され、各支持アームは、第1の枢動点の周りの運動のために装着された第1の端を、固定点における前記支持アームの前記第1の端の回転のために前記支持構造体上に装着される第1の静止軸上に有し、さらに、前記アームを閉位置又は開位置に移動させるために第2の端を有し、前記支持アームの前記第2の端が、第2の枢動軸の周りを移動するための第2の枢動点、及び、第3の枢動軸の周りを移動するための第3の枢動点を含む、一対の支持アームと、
型同期化手段であって、前記型支持アームの前記第2の枢動点における運動のために装着され、前記型を開閉するために内向き又は外向き運動により移動するために装着される、型同期化手段と、
前記型同期化手段に関節運動を提供するために前記型同期化手段に関節式に接続された第1の端と、固定点における枢動のために前記支持構造体に接続された第2の端とを有するレバー手段であって、前記レバー手段及び前記一対の支持アームが、前記型を開閉するために前記型同期化手段へ関節内向き又は外向き運動を伝達する、レバー手段と、
前記支持構造体に連結された駆動手段であって、前記駆動手段の各々が、出力シャフトを有し、前記駆動手段が、前記出力シャフトの各々に所定の回転角度で左又は右への回転運動を提供する、駆動手段と、
前記支持アームの各々によって、前記駆動手段の前記出力シャフトに関節式に別々に接続される相互接続リンケージ手段であって、前記駆動手段の前記出力シャフトの第1の回転運動により、前記支持アーム、前記レバー手段、及び前記型同期化手段が、型閉位置に移動され、さらに、第2の運動により、反対方向に移動され、前記支持アームの各々、前記レバー手段、前記同期化手段、及び前記型半体の各々が、開位置へと開かれる、相互接続リンケージ手段と
を含む、型開閉機構。
【請求項2】
前記同期化手段が、前記型の前記型半体の各々を保持するため、及び前記型の各々に同じ閉じる力を提供するために前記同期化手段の前部に連結された自己平衡手段を含む、請求項1に記載のガラス製品成形マシンのための型開閉機構。
【請求項3】
前記駆動手段が、プログラム可能なモータである、請求項1に記載のガラス製品成形マシンのための型開閉機構。
【請求項4】
前記相互接続リンケージ手段が、
一端において前記出力シャフトの上部に連結された相互接続クランクであって、前記駆動手段の前記出力シャフトと一緒に所定の回転角度で左又は右へ回転する、相互接続クランクと、
垂直静止軸に接続されて前記支持構造体上の固定枢動点において回転する第1の端、及び右側又は左側へ自由に回転する第2の端を有する、第1のリンクと、
前記支持アームの前記第3の枢動点において垂直軸を介して接続されて、前記垂直軸上で枢動運動により右側又は左側へ自由に枢動する第1の端、及び右側又は左側へ自由に回転するように接続された第2の端を有する、第2のリンクと、
第1の端及び第2の端を有する第3のリンクであって、前記第3のリンクの前記第1の端が、左側又は右側への枢動運動を有するために前記第1の回転リンクの前記第2の端及び前記第2のリンクの前記第2の端と共同で関節式に接続され、前記第3のリンクの前記第2の端が、前記相互接続クランクに接続され、前記駆動手段が、前記支持アームの各々及び前記型の前記型半体の各々の開閉のために、前記相互接続クランクへ回転運動を提供して、前記型支持アーム、前記型同期化手段、及び前記レバー手段に閉運動又は開運動を提供する、第3のリンクと、を含む、請求項1に記載のガラス製品成形マシンのための型開閉機構。
【請求項5】
前記支持アームが、片持ち位置に置かれ、曲線並進運動により前記アームの前記開閉を可能にする、請求項1に記載のガラス製品成形マシンのための型開閉機構。
【請求項6】
前記相互接続リンケージ手段が、二重リンク式であり、ここでは、前記型閉位置において、二重リンケージにより前記型の前記開閉機構を係止及び不動化することを可能にして、前記型の閉じる力を低減し、第2の運動により、前記支持アーム及び型半体の各々を開くために前記型開閉機構を係止解除又は解放する、請求項1に記載のガラス製品成形マシンのための型開閉機構。
【請求項7】
前記支持アーム及び型半体の各々の前記開閉運動が、所定の運動及び変位プロファイルに従ってプログラム可能である、請求項1に記載のガラス製品成形マシンのための型開閉機構。
【請求項8】
前記レバー手段が連接棒である、請求項1に記載のガラス製品成形マシンのための型開閉機構。
【請求項9】
物品を成形するために開閉される2つの半体に分割された少なくとも1つの型を含むタイプのガラス製品成形マシンのための型開閉方法であって、
支持構造体を提供するステップと、
一対の支持アームであって、各々が互いに向かい合って別々に装着され且つ前記支持構造体に平行に間隔を空けられ、各支持アームは、第1の枢動点の周りの運動のために装着された第1の端を、前記アームを閉位置又は開位置に移動させるために前記支持アームの前記第1の端、及び第2の端を回転させるため、固定点において、前記支持構造体上に装着される第1の静止軸内に有し、前記支持アームの前記第2の端が、第2の枢動軸の周りの運動のための第2の枢動点、及び、第3の枢動軸の周りの運動のための第3の枢動点を有する、一対の支持アームを提供するステップと、
型同期化手段であって、前記型支持アームの前記第2の枢動点における運動のために装着され、前記型を開閉するために内向き又は外向き運動により移動するために装着される、型同期化手段を提供するステップと、
前記同期化手段に関節運動を提供するために第4の枢動軸により前記同期化手段に関節式に接続された第1の端と、固定点において、第5の枢動軸に対して前記支持構造体に接続された第2の端とを有するレバー手段であって、前記レバー手段及び前記一対の支持アームが、前記型の前記開閉のために前記同期化手段へ関節内向き又は外向き運動を伝達する、レバー手段を提供するステップと、
前記支持構造体に連結された駆動手段であって、前記駆動手段の各々が、出力シャフトを有し、前記駆動手段が、各出力シャフトに所定の回転角度で左又は右への回転運動を提供する、駆動手段を提供するステップと、
各支持アーム及び前記駆動手段の前記出力シャフトによって関節式に且つ独立して接続される二重相互接続リンケージ手段であって、前記出力シャフトの第1の回転運動により、前記支持アーム及び前記同期化手段が、型閉位置に移動され、さらに、第2の運動により、反対方向に移動され、各型支持アーム、前記同期化手段、及び前記型半体の各々が、開く、二重相互接続リンケージ手段を提供するステップと、
前記支持アーム及び前記同期化手段の閉運動を実行し、前記支持アーム及び型半体の前記閉位置において二重リンクにより前記型開閉機構を係止及び不動化するために、前記駆動手段を介して各出力シャフトについて独立した回転運動を発生させるステップと、
前記型の各々においてガラス物品生成プロセスを実行するステップと、
前記ガラス物品生成プロセスが完了したら、第2の独立した回転運動を各シャフトに提供するステップであって、前記第2の回転運動が、前記型支持機構を係止解除して開くため、並びに前記支持アーム、前記同期化手段、及び前記型半体の各々の開運動を実行するために前記第1の回転運動と反対方向にある、ステップと、を含む、型開閉方法。
【請求項10】
前記支持アームの運動が、各型半体の開閉のために各支持アームに独立した運動プロファイルを生成するステップを含む、請求項9に記載の型開閉方法。
【請求項11】
前記支持アームの前記運動プロファイルが、
互いに対向する位置において、前記支持アーム及び前記型を閉位置まで移動させるために、可変速度及び正の加速度を伴って前記支持アームの開位置から最大点に達するまで、ゼロ値から第1の運動を発生させる段階と、
各型半体の結合と一致する、型の閉鎖の中心線において、可変速度を伴って及び負の加速度を伴って前記最大点から、ゼロ値により止まるまで第2の運動を発生させる段階と、
前記型及び前記支持アームを開くために、前記支持アームの前記開位置に達するまで、可変速度並びに正及び負の加速度を伴って第3の運動を発生させる段階とを含む、請求項10に記載の型開閉方法。
【請求項12】
時間T及び位置決め力Fを用いて、第1の支持アームを型分割線位置へ向けて各型半体の結合と一致する中心線で止まるまで移動させるステップと、
時間差Tn−1及びF以下の位置決め力を用いて、第2の支持アームを各型の前記半体の各々の前記中心分割線の位置に達するまで移動させるステップと、
前記物品の前記成形中に前記型の閉じる力を低減するために、前記支持アーム及び前記型半体の前記閉位置内に前記支持アームを係止するステップと、
真空又は毛管現象力に起因するガラス製品内の欠陥を回避するために前記支持アーム及び前記型半体を同時に開くステップと、を含む、請求項11に記載の型開閉方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス製品成形マシン、より具体的には、このタイプのマシンのための型開閉方法及び機構に関する。
【背景技術】
【0002】
首の狭いガラス容器などのガラス製品は、通常、ブロー・ブロー・プロセスによって、複数の類似した別個の成形区画を含み得るものなど、ガラス製品成形マシンにおいて生産される一方で、広口瓶、グラス、及び他のガラス物品は、いわゆる「ホット・モールド」内で、プレス・ブロー・プロセスによって、シリーズ「E」及び「F」として知られている成形マシンにおいて生産される。
【0003】
最初の単一区画ガラス容器成形マシンの1つは、米国特許第1,911,119号に記載されており、これは、パリソン又はプリフォーム成形ステーション、及び物品の最終成形又はブロー・ステーションを含む。これらステーションの各々は、別個の構造体に装着される。したがって、ブロー・ブロー・ブロー又はプレス・ブロー・プロセスによる容器の製造プロセス中、ゴブの形態にあるガラスが、パリソン成形ステーション内のパリソン又はプリフォーム型へと入れられ、ここでは、プロセスに応じて、ゴブは、容器の冠部を成形するためにブロー又は真空プロセスによってパリソン型の下部へ沈降される。その後、容器の冠部が成形されると、容器のパリソン又はプリフォームを成形するためにカウンター・ブローが行われる。続いて、容器プリフォームは、パリソン型の180度の運動を用いた反転機構により、成形ステーションの最終ブロー型、又は最終形状が容器に施される最終ブロー型へと移される。最後に、新しく成形された容器は、プッシャ機構によってマシンの前にあるデッド・プレートへと移され、次いでコンベア・ベルトによって焼戻し炉へと移される。
【0004】
パリソンの成形及びガラス物品の最終ブローの両方のために、パリソン又はプリフォーム成形ステーション、及び物品の最終成形又はブロー・ステーションは、一連の対向する型半体を含む。これらの型半体は、型開閉機構によって適所に保持され、この型開閉機構が、開位置と閉位置との間で移動して、ガラス製品成形プロセス中にパリソン又は最終ブロー型の型半体を開閉する。
【0005】
一般に、米国特許第1,911,119号などに示されるものなどの開閉機構は、可動及び固定式のボルトによって互いに接続されているレバー及びリンクという2つのエア・シリンダからなる。
【0006】
シリンダは、ピストンに対する側方動揺を吸収するために二重ロッドを有し、シリンダが楕円になることを防ぎ、キャップに対する少ない摩擦を確実にする。
【0007】
リンケージは、中央の柱に装着されたクランクと、ピストンの直線運動を、溝付きの内キャビティを有する2つのクランクの回転運動へと変形させるリンクとからなる。内面溝付きクランクは、クランクの上端に置かれたレバー及びボルトによってヒンジを接続する溝付きシャフトを受容し、ヒンジ支持と一緒に作用して、内面溝付きクランクは、型を開閉し、同時に、必要とされる閉じる力を獲得するためにシリンダによって提供される力を増加させる。
【0008】
開型動作は、ピストン・ストロークの端部近くの排気を遮断する役割を果たす、エア・シリンダ内のチェッキ弁及び排気孔の組み合わせによって衝撃緩和される。弁ブロックの上のフレームの裏に位置するニードル弁は、排気を制御してシリンダの衝撃緩和を統制する。
【0009】
型は、弁ブロックから動作される、スプール弁を通るマニホールドの統制された空気圧によって閉められる。弁ブロックがブリード空気を遮断するとき、ばね荷重スプール弁が、型を開くためにマニホールド空気をシリンダの反対側へと向ける。
【0010】
型開機構は、新たな成形マシンとともに進化しており、例えば、David Braithwaiteらによる米国特許第4,448,600号は、3つの型を同時に開閉するための機構に関し、ここでは、シリンダ−ピストン組立体は、3つの型の閉圧力を均等にする役割を果たすリンク又はジョイント・システムを介して型部品に接続される。リンク・システムは、1つの型とさらなるリンクとの間の圧力を均等にするシリンダ−ピストン組立体に中央に接続されるリンクを備え、さらなるリンクが他の2つの型の間の圧力を均等にする。
【0011】
別のタイプの型開閉機構が、Mario Balbiらに与えられた米国特許第8,113,016号に示されており、これは、開閉機構により閉じた成形位置と開いた摘出位置との間で移動する2つの半体に分割された型を有する。型は、各々がそれぞれの半型に接続された2つのハンドリング・アームを含み、この2つのハンドリング・アームは、単一のリニア・アクチュエータによってそれぞれの固定ヒンジ軸の周りを回転される。移動部材は、固定ヒンジ軸に平行の方向へ平行移動し、各ハンドリング・アーム用のそれぞれの誘導及び摺動組立体を有する機械的伝導装置によってハンドリング・アームに接続される。
【0012】
しかしながら、開機構の主な問題の1つは、プリフォーム又はパリソンの成形中、型を閉じたままにするために十分な力が必要とされることである。即ち、型が閉位置にあるとき、開閉機構が、プレス・ブロー又はブロー・ブロー・プロセスのいずれかによって、型内でのガラスの成形中にガラスによる水圧に抵抗することが重要である。例えば、44.5又は53.4N(10又は12ポンド)の圧力でのプランジャは、約9997.4hPaから10342.1hPa(145から150ポンド毎平方インチ)の内圧をガラス内に発生させることになる。これがいくつかのキャビティによって増加される場合、及び圧力が全方向にあるため、型開閉機構は、各型半体につき約103421hPa(1500ポンド毎平方インチ)のおよその圧力に耐えなければならない。そのため、開閉機構の主な機能の1つは、容器上のスタート・ラインを回避するために、又は最終物品に痕を残さないように、型を完全に閉じたままにすることである。
【0013】
技術データによると、各型の各半体は、およそ5560.2N(1250ポンド)の力の圧力を受ける、即ち、4キャビティ・マシンでは開閉機構の各アームは、アーム(左右)あたり約22241.1N(5000ポンド)の力を受ける、ということが確定されている。したがって、この機構のリンクの多くは、膨大な応力に曝され、それによりこれらに疲労及び亀裂を引き起こし、損傷した部品を交換するためにマシン区画シャットダウンを必要とする。
【0014】
知られている開閉機構の別の欠点は、それらの高い複雑性であり、そのことがいかなる冷却も型に適合されることを妨げる。
【0015】
さらなる欠点は、構成要素の数に起因して、開閉機構が重すぎるために、型の開閉運動を実行するためにはモータに対してより大きな力が必要とされるということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第1,911,119号
【特許文献2】米国特許第4,448,600号
【特許文献3】米国特許第8,113,016号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、本発明の目的の1つは、最小限の力で型を閉じること、即ち、閉じる力をおよそ8896.4N(2000ポンド)に低減することを目指す型開閉機構を提供することである。ピストンが動作しているときのみ、即ち、およそ1秒又は0.7秒の間、最大限の力(およそ22241.1N(5000ポンド))が加えられ、それによりリンクの疲労又は機構の摩耗を低減することが提案される。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記は、本発明の開閉機構における二重トグル配置(リンケージ)によって達成され、これにより、閉じている間の型の封鎖を維持することを可能にし、閉じる力をおよそ8896.4N(2000ポンド)低減する。即ち、二重トグル・システムが、第1の運動により型の閉位置においては開閉機構を不動化し、第2の運動により型を開くために機構を係止解除又は解放することを可能にする。
【0019】
本発明のさらなる利点の1つは、型ホルダ・アームが別々に移動すること、即ち、各アーム又はクランプが、独自のモータを有するため、各々がその開閉において同期されることである。このタイプの配置により、左のアーム又は型ホルダを最初に移動させることができ、それを事実上又は理論上のゼロに位置決めして、ある種の壁又は止め具をシミュレートする。続いて、100分の1又は2秒の位相シフトにより、右のアーム又は型ホルダが閉位置に達する。このタイプのオフセットは、異なる加速度及び速度を用いた各アームのモーション・プロファイルの定義により実現可能である。真空又は毛管現象力を解放するためには、開くモーションの間、両方の半体が同時に開かれることが重要である。
【0020】
さらなる利点は、アームが、片持ち位置に置かれ且つ互いから分離されるとき、準平行運動によるアームの開閉を可能にするという本発明のより容易な機構を製造することである。
【0021】
本発明の別の利点は、開閉機構が完全にモジュール式であること、即ち、保守、修繕、又は変更のために、機構全体がマシン区画から取り外されることである。
【0022】
最後に、本発明のさらなる利点は、ジョー又はアームが同じ設計で製造されるため、それらを左側又は右側のいずれかに置くことができるということである。標準では、四重から三重へのキャビティ変更が要求される場合、一組のインサートのみが変更される。これらのインサートは、すべての型において同じ閉じる力を伝達するために自己平衡又は自己補償している。
【0023】
本発明のこれら及び他の目的及び利点は、添付の図面と併せて提供される本発明の特定且つ好ましい実施例の以下の説明から、当業者には明らかになるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】ガラス製品成形マシンのための型開閉機構の好ましい実施例の斜視図である。
図2】開位置にある型開閉機構を示す平面図である。
図3】閉位置にある型開閉機構を示す平面図である。
図4】ガラス成形マシンのための型開閉機構の側面図である。
図5】ガラス製品成形マシンのための型開閉機構の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下は、パリソン若しくはプリフォーム側、又は最終ブロー型のいずれかに使用され得る本発明の型開閉機構の説明である。
【0026】
型開閉機構10は、図1から図5に示されるように、支持台14及び2つの垂直支持構造体16、18を含む支持構造体12を備える。支持構造体16、18の各々は、中間支持台20、22及び上部カバー24、26を含む(図1及び図5)。垂直支持構造体16、18は、平行に置かれ、支持台14上に互いに向き合って位置する。
【0027】
型支持機構28は、互いに対向して置かれた2つの型支持アーム30、32を備える。二重端30A、30B、30Cを備える各型支持アーム30、32は、垂直支持構造体16、18内に位置する第1の垂直静止シャフト38、40の周りの運動のために1つの第1の端において第1の枢動点34、36を有する。そのような第1の垂直静止シャフト38、40は、中間支持台20、22と上カバー24、26との間に置かれる。
【0028】
型支持アーム30、32は、第2の垂直シャフト46、48の周りの運動のために、対向する地点に第2の枢動点42、44を含む。また、第3の枢動シャフト54、56の周りの運動のために第3の枢動点50、52。型支持アーム30、32の第1の枢動点34、36、第2の枢動点42、44、及び第3の枢動点50、52は、アーム30、32の三角形構成の頂点に位置する。支持アーム30、32は、互いに独立して片持ち位置に置かれ、それにより、曲線並進運動によるアーム30、32の開閉を可能にする。
【0029】
同期化ビーム58、60は、第2の垂直シャフト46、48を通じて、型支持アーム30、32の各々と一緒に装着される。同期化ビーム58、60は、枢動運動を有するため、同期化ビームは、第2の垂直シャフト46、48に対して移動して、内向き及び外向きの運動を発生させること、さらには、同期化ビーム60上に垂直シャフト63により装着された第1のシングル型ホルダ62を含む型ホルダを自己平衡又は自己補償することができる。
【0030】
第1のシングル型ホルダ62は、その保持フランジ66によりパリソン又はブロー型64のいくつかの半体を支え(図2は4つのキャビティを示す)、また、デュアル型ホルダ68、70は、同期化ビーム58内の垂直シャフト71により装着され、ここでは4つの型半体72もまたデュアル型ホルダの保持タブ74によって装着されるため、型半体64、72の各々は、同様の閉じる力で均等に閉じられる。
【0031】
自己平衡又は自己補償する型ホルダは、キャビティの数によって異なる配置を有し、デュアル型ホルダを伴うシングル型ホルダであってもよく、例えば、三重キャビティでは、1つのデュアル型ホルダと向かい合っているシングル型ホルダの配置であり、その結果、他のシングル型ホルダはデュアル型ホルダと逆に配向される。そのような型ホルダは、すべての型において同じ閉じる力を伝達するために自己平衡又は自己補償している。
【0032】
連接棒76、78は、型30、32の支持アームの上に位置決めされ、且つその端のうちの一方において同期化ビーム58、60の外側に垂直シャフト80、82によって接続されて、型を開閉するために同期化ビーム58、60にパンタグラフ運動を伝達する。連接棒76、78の反対の端は、前記連接棒76、78が上部カバー24、26上に固定枢動点を有するように、上部カバー24、26の下部に保持ボルト84、86によって連結される。
【0033】
二重リンケージ・システムSEDは、支持アーム及び型半体の閉位置において、第1の運動により、開閉機構10を係止及び不動化することを可能にして、ガラス物品成形ステップ中に型の閉じる力を低減し、さらに第2の運動により、支持アーム及び型半体64、72の各々を開くために二重リンケージ機構SEDを係止解除又は解放する。
【0034】
二重リンケージ・システムSEDは、関節式フリー・リンク88、90と、関節式フリー・リンク88、90が固定枢動点で回転できるように、第1の端において垂直静止シャフト92、94によって接続され、中間支持台20、22と上カバー24、26との間に置かれた二重アーム88A、88B(図1及び図4にはアーム88のみが例証される)と、右側又は左側へ自由に回転するために第2の端とを備える。関節式フリー・リンク88、90、二重アーム88A、88Bは、垂直支持構造体16、18の外側外縁部の近くに位置する。二重リンケージ・システムSEDは、各型支持アーム30、32の端のうちの1つを、第3の枢動シャフト54、56の周りの運動のために、第3の枢動点50、52において、さらに、左又は右への枢動運動を有するために、垂直シャフト100、102によって、関節式フリー・リンク88、90における反対の端において接続する、一次リンク96、98を備える。一次リンク96、98と関節式フリー・リンク88、90との間の接続が、第1の閉リンケージ動作を可能にする。
【0035】
二次リンク104、106(図2及び図3)は、左又は右への枢動運動を有するために、垂直シャフト100、102を介して、第1の端によって、一次リンク96、98及び関節式フリー・リンク88、90と関節式に接続している。
【0036】
相互接続クランク108、110、前記相互接続クランク108、110は、相互接続クランク108、110に左又は右への枢動運動を伝達するために、プログラム可能なモータ116、118のシャフト112、114の上部において連結される。
【0037】
二次リンク104、106の対向する端は、垂直シャフト111、113によって相互接続クランク108、110に接続されている(図3)。二次リンク104、106、相互接続クランク108、110の間の接続は、一次リンク96、98と関節式フリー・リンク88、90との間の接続と併せて、第2の閉リンク動作を活性化する。
【0038】
上記のように、型開閉機構10は、型半体72、64を閉位置と開位置との間で移動させるために、互いに向かい合って置かれる一対の型支持アーム30、32を含む。
【0039】
型開閉機構10の部品の各々について説明された後、部品の各運動のさらなる理解のため、型支持アーム30の運動のみが、極座標システムに基づいて説明され、それは図2及び図3においてより明白に例証される。
【0040】
型支持アーム30が開位置にあるとき、シャフト112は、所定の回転角度で回転され、180°の角度で配向された水平位置にある相互接続クランク108は、およそ225°の角度へ反時計回り方向に移動する。相互接続クランク108の運動は、およそ90°の角度で上方位置に位置する二次リンク104が、45°の角度へ時計回り方向に回転し、型支持アーム30及び型72が閉位置にあるとき、この運動と相互接続クランク108及び二次リンク104が連携されるというようなものである。
【0041】
およそ315°の角度で下方へ配向される関節式フリー・リンク88は、(型支持アーム30の開位置において)その垂直静止シャフト92を通じて、およそ280〜285°の角度まで時計回り方向に回転し、この時、型支持アーム30は閉位置のままである。
【0042】
相互接続クランク108、二次リンク104、及び関節式フリー・リンク88の運動は、およそ45°の角度で上方に配向された位置にある一次リンク96(図2)を、時計回りと反対の方向に最大およそ90°の角度まで回転させ、型支持アーム30を閉位置へと押す。型支持アーム30は、第1の垂直静止シャフト38上で、その第1の枢動点34において回転し、また、反対の点では第2の枢動点42において、第2の垂直シャフト46の周りの移動のために回転する。このようなアーム30の運動が、型72の閉位置及び開位置へ向かう運動を伴って同期化ビーム58を移動させる。
【0043】
最後に、固定枢動点が上部カバー22の底部に位置する連接棒76が、保持ボルト84によって左又は右への枢動運動により移動される。二重リンケージ・システムSDE及び型支持アーム30内の連接棒76の連結は、前記型支持アーム30が型72の閉位置と開位置との間で準平行運動により移動することを可能にする。
【0044】
型支持アーム30、同期化ビーム58、連接棒76、及び二重リンケージ・システムSEDシステムのうちの1つのみの運動を説明したが、型支持アーム32を移動させるための機構のセットは、型支持アーム30のミラー配置であり、その運動は同じであるが反対方向であるということを理解されたい。
【0045】
先に説明されたように、モータ116、118は、モータ・シャフト112、114が各型の半体の1つ1つの開閉運動を実施するために型支持アーム30、32の各々に可変の加速度及び速度で運動を伝達することができるように、プログラム可能である。
【0046】
支持アーム(30、32)は独立して移動するため、各アームは、独自のプログラム可能なモータを有し、そのため、各アームは、その開閉において同期され、即ち、運動プロファイルは、型半体の各々の開閉運動のために支持アームの各々に対してプログラムされ得る。このタイプの配置により、支持アーム(30又は32)を移動させることができ、それを事実上又は理論上のゼロに位置決めして、ある種の壁又は止め具をシミュレートする。例えば、第1の運動は、互いに向き合った位置にある支持アーム及び型を閉位置へと進めるために、可変速度及び正の加速度を伴って支持アームの開位置から最大点まで、ゼロ値から発生され得、速度及び負の加速度を伴って最大点からそれが各型半体の結合に一致する型閉鎖の中心線(L)で止まるまで第2の運動を発生させ、ガラス製品生成プロセスが型において完了すると、型及び支持アームを開くために支持アームの開位置に達するまで可変速度並びに正の加速度及び負の加速度を伴って第3の運動を発生させる。
【0047】
加えて、型開閉は、第1の支持アーム、例えば、支持アーム30を、時間T1及び位置決め力F1(例えば、8896.4N(2000ポンド)の閉じる力)において、それが各型半体の結合と一致する中央又は仮想の線(L)で止まるまで、型の分割線の位置まで移動させ、時間差Tn−1(例えば、100分の1又は2秒の時間差)及びF2以下の位置決め力を用いて、第2の支持アーム(32)を、各型の各半体の中央分割線に達するまで移動させることによってプログラムされ得る。このタイプの時間差は、可変の加速度及び速度での各アームの運動プロファイルの定義により実現可能である。
【0048】
支持アーム(30、32)が閉じられると、これらは、支持アーム及び型半体の閉位置に係止され、物品の成形中に型の閉じる力を低減する。ガラス製品成形が型において完了すると、支持アーム及び型半体は、真空又は毛管現象力に起因するガラス製品における欠陥を回避するために、係止解除され、同時に開かれる。
【0049】
前述から分かるように、中空のガラス物品の製造のための、型を開閉するための機構について説明してきたが、多くの他の機能又は改善がなされ得ることは当業者には明らかであり、これらは以下の特許請求の範囲によって決定される領域内と見なされ得る。
図1
図2
図3
図4
図5