特許第6578071号(P6578071)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6578071印刷物上に形成された多色印刷のプリント・トゥ・プリント・レジスタの測定および補正
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6578071
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】印刷物上に形成された多色印刷のプリント・トゥ・プリント・レジスタの測定および補正
(51)【国際特許分類】
   B41F 33/00 20060101AFI20190909BHJP
   G06T 3/00 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   B41F33/00 290
   G06T3/00 750
【請求項の数】12
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2018-558713(P2018-558713)
(86)(22)【出願日】2017年5月19日
(65)【公表番号】特表2019-516581(P2019-516581A)
(43)【公表日】2019年6月20日
(86)【国際出願番号】IB2017052969
(87)【国際公開番号】WO2017199216
(87)【国際公開日】20171123
【審査請求日】2018年11月8日
(31)【優先権主張番号】16170496.0
(32)【優先日】2016年5月19日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591031371
【氏名又は名称】カーベーアー−ノタシ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ペリエ,ジャックス
【審査官】 長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−022994(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02660057(EP,A2)
【文献】 特開2009−150854(JP,A)
【文献】 特公平06−041224(JP,B2)
【文献】 特表2010−540295(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0109430(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 31/00−33/18
B41M 1/00−1/42
B41M 3/00−3/18
G06T 1/00
G06T 3/00
G07D 7/00−7/207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物の表面の有効印刷領域(EPA)に設けられた多色印刷(A−D)のプリント・トゥ・プリント・レジスタを測定する方法であって、多色印刷(A−D)は、1の印刷機によって印刷物上に構成され、少なくとも第1のパターン(A)と、当該第1のパターン(A)と区別可能な第2のパターン(B)とを含み、
前記有効印刷領域(EPA)に、それぞれ前記多色印刷(A−D)により設けられ、有効印刷領域(EPA)の表面にわたって行と列のパターンに沿って繰り返される個々のインプリント(P)のマトリクス配置が設けられ、
前記印刷物に映された、前記第1および第2のパターン(A、B)の間の実際のプリント・トゥ・プリント・レジスタの測定は:
(i)第1および第2のパターン(A、B)の少なくとも一部をカバーする印刷物の1以上のサンプル画像(SI、SI)と、
(ii)前記第1および第2のパターン(A、B)の製版デザインデータを用いて生成された1以上の対応する基準画像(RI、RI)と、
の間の関連性を処理して見出すことにより導出され、
この処理が、個々のインプリント(P)について繰り返され、前記有効印刷領域(EPA)にわたる様々なインプリント位置における第1および第2のパターン(A、B)間の実際のプリント・トゥ・プリント・レジスタの複数の測定値のセットが導出され、
前記複数の測定値のセットが、様々なインプリント位置におけるプリント・トゥ・プリント・レジスタのズレを表す対応するプリント・トゥ・プリント・レジスタマップ(M−A、MC−A、MD−A、...)にマッピングされ
前記少なくとも1つのサンプル画像(SI、SI)と少なくとも1つの基準画像(RI、RI)との間の対応関係は、前記少なくとも1つのサンプル画像(SI、S)と前記少なくとも1つの基準画像(RI、RI)との間の相互相関を実行することによって求められ、この相互相関は、前記少なくとも1つのサンプル画像(SISI)と前記少なくとも1つの基準画像(RI、RI)との間の相関関数の最適値を見出すことを含み、
前記多色印刷(A−D)は、複数の印刷機によって複数の連続したパスで前記印刷物上に形成され、前記印刷物には、異なる印刷プロセスに従って生成された印刷パターンの組合せが設けられ、前記多色印刷は、オフセット印刷パターンと凹版印刷パターンとの組み合わせから得られることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
a)前記第1および第2のパターン(A、B)間の実際のプリント・トゥ・プリント・レジスタを映す印刷物の少なくとも1つの印刷サンプルを提供するステップと、
b)前記印刷サンプル上の少なくとも1つの関心領域(RoI)を選択するステップであって、選択される関心領域は、前記第1のパターン(A)の少なくとも一部と前記第2のパターン(B)の少なくとも一部とを含むステップと、
c)前記印刷サンプル上の少なくとも選択された関心領域(RoI)をカバーする印刷サンプルの画像を取得し、当該印刷サンプルの画像を処理して、前記選択された関心領域(RoI)に対応する少なくとも1つのサンプル画像(SI、SI)を生成するステップと、
d)前記第1および第2のパターン(A、B)の製版デザインデータを用いて、前記選択された関心領域(RoI)に対応する領域に、前記第1および第2のパターン(A、B)の少なくとも1つの基準画像(RI、RI)を生成するステップであって、前記少なくとも1つの基準画像(RI、RI)は前記第1および第2のパターン(A、B)の所望の位置を反映する、ステップと、
e)前記第1および第2のパターン(A、B)の各々について、前記少なくとも1つのサンプル画像(SI、SI)と前記少なくとも1つの基準画像(RI、RI)との間の対応関係を見出し、当該対応関係の結果から位置情報(POS(x;y)、POS(x;y))を抽出するステップであって、前記位置情報(POS(x;y)、POS(x;y))は、前記第1および第2のパターン(A、B)のそれぞれの実際の位置を表す、ステップと、
f)ステップe)で抽出された第1および第2のパターン(A、B)の位置情報(POS(x;y)、POS(x;y))に基づいて、前記印刷サンプル中の前記第1および第2のパターン(A、B)間の実際のプリント・トゥ・プリント・レジスタの測定値を導出するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、ステップd)は、前記第1および第2のパターン(A、B)のそれぞれの別個の基準画像(RI、RI)を生成することであって、
d1)前記第1のパターン(A)の製版デザインデータを用いて、前記選択された関心領域(RoI)に対応する領域に前記第1のパターン(A)の第1の基準画像(RI)を生成するステップと、
d2)前記第2のパターン(B)の製版デザインデータを用いて、前記選択された関心領域(RoI)に対応する領域に前記第2のパターン(B)の第2の基準画像(RI)を生成する工程とを含むステップを具えるとともに、
ステップe)は、
e1)前記少なくとも1つのサンプル画像(SI、SI)と前記第1の基準画像(RI)との間の対応関係を見出し、前記対応関係の結果から、前記第1のパターン(A)の実際の位置を表す位置情報(POS(x;y))を抽出するステップと、
e2)前記少なくとも1つのサンプル画像と前記第2の基準画像(RI)との間の対応関係を見出し、前記対応関係の結果から、前記第2のパターン(B)の実際の位置を表す位置情報(POS(x;y))を抽出するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、ステップc)は、
c1)前記印刷サンプルの画像を処理して、前記第1のパターン(A)が強調された第1のサンプル画像(SI)を生成するステップと、
c2)前記印刷サンプルの画像を処理して、前記第2のパターン(B)が強調された第2のサンプル画像(SI)を生成するステップと、を含み、
前記第1のパターン(A)の位置情報(POS(x;y)は、ステップe1)で前記第1のサンプル画像(SI)と前記第1の基準画像(RI)との対応関係を求めることにより抽出され、
前記第2のパターン(B)の位置情報(POS(x;y))は、ステップe2)で前記第2のサンプル画像(SI)と前記第2の基準画像(RI)との対応関係を求めることにより抽出されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれかに記載の方法において、前記印刷サンプルの画像を処理するステップは、前記第1および第2のパターン(A、B)の予想される方向および/またはスケールと一致させるために、画像の向きおよび/またはスケールを補正するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の方法において、前記処理は、個々のインプリント(P)の各々に対して繰り返されて、各インプリント位置における前記第1および第2のパターン(A、B)間の実際のプリント・トゥ・プリント・レジスタの少なくとも1つの測定値を導出することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の方法において、前記多色印刷(A−D)は、2より多いパターンを含み、前記処理は、複数対のパターン(A−B、A−C、A−D,...)間のプリント・トゥ・プリント・レジスタを測定するために実行されることを特徴とする方法。
【請求項8】
印刷物表面の有効印刷領域(EPA)に設けられた多色印刷(A−D)のプリント・トゥ・プリント・レジスタを測定し補正する方法であって、多色印刷(A−D)は、複数の印刷機によって印刷物上に形成され、少なくとも第1のパターン(A)と、当該第1のパターン(A)と区別可能な第2のパターン(B)とを含み、前記有効印刷領域(EPA)には、それぞれ前記多色印刷(A−D)により設けられ、有効印刷領域(EPA)の表面にわたって行と列のパターンに沿って繰り返される個々のインプリント(P)のマトリクス配置が設けられ、前記方法は、
(i)請求項1乃至のいずれかに記載の方法に従って多色印刷(A−D)のプリント・トゥ・プリント・レジスタを測定して、前記有効印刷領域(EPA)にわたって様々なインプリント位置で前記第1および第2のパターン(A、B)間の実際のプリント・トゥ・プリント・レジスタの複数の測定値のセットを導出するステップであって、当該複数の測定値のセットは、様々なインプリント位置でのプリント・トゥ・プリント・レジスタのズレを表す対応するプリント・トゥ・プリント・レジスタマップ(MB−A、MC−A、MD−A、...)にマッピングされる、ステップと、
(ii)ステップ(i)で導出されたプリント・トゥ・プリント・レジスタマップ(MB−A、MC−A、MD−A、...)に基づいて、前記第1および第2のパターン(A、B)間のプリント・トゥ・プリント・レジスタのズレを補正するために、前記多色印刷(A−D)を印刷するのに使用された少なくとも1つの印刷プレート(PP)のプレート補正を決定するステップとを含み、
前記プレート補正は、ステップ(ii)において、プリント・トゥ・プリント・レジスタのズレの平均が最小となるように決定されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項に記載の方法において、前記プレート補正は、関連する印刷機における少なくとも1つの印刷プレート(PP)の位置を補正するために使用されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法において、前記プレート補正は、少なくとも1つの印刷プレート(PP)の製造のためのプレート作成データを補正するために使用されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれかに記載の方法において、前記多色印刷(A−D)は2より多い印刷プレート(PP)を使用して形成され、前記プロセスは、複数の対の印刷プレート(PP)間の印刷レジスタを補正するために実行されることを特徴とする方法。
【請求項12】
印刷物の表面の有効印刷領域(EPA)に設けられた多色印刷(A−D)のプリント・トゥ・プリント・レジスタを測定する測定装置であって、この多色印刷(A−D)は複数の印刷機によって印刷物上に形成され、少なくとも第1のパターン(A)と、当該第1のパターン(A)と区別可能な第2のパターン(B)とを含み、前記有効印刷領域(EPA)には、それぞれ前記多色印刷(A−D)により設けられ、有効印刷領域(EPA)の表面にわたって行と列のパターンに沿って繰り返される個々のインプリント(P)のマトリクス配置が設けられ、
前記測定装置は、画像取得システムと、請求項1乃至のいずれかの方法を実行するように設計されたおよび処理システムとを具えることを特徴とする測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、1以上の印刷プロセスによって印刷物上に形成され、少なくとも第1のパターンと、最初のパターンとは区別可能な第2のパターンとを含む多色印刷のプリント・トゥ・プリント・レジスタの測定に関する。本発明は、紙幣のようなセキュリティ文書の作成において特に有用である。より詳細には、本発明は、このような多色印刷のプリント・トゥ・プリント・レジスタを測定する方法、これを実現する測定装置、およびそのようなプリント・トゥ・プリント・レジスタを測定し補正する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多色印刷のプリント・トゥ・プリント・レジスタの測定(「カラー・レジスタ測定」とも呼ばれる)が、当該技術分野において知られている。そのような測定は、特に、多色印刷が典型的には複数の印刷版を使用して印刷物上に並べられた複数のオフセット印刷パターンから構成される、多色オフセット印刷において実行される。
例えばEP2660057A2には、印刷機の見当合わせを行うシステムが開示されており、この印刷機は、ウェブ上にそれぞれのカラー画像を印刷するための複数の印刷ステーションを具え、各印刷ステーションはそれぞれ異なる色に関連付けられ、少なくとも2つの印刷ステーションは見当合わせされておらず、前記システムは、
前記ウェブの共通領域の画像を取得する画像化装置であって、取得画像のドライバ側は、少なくとも1つのそれぞれの見当合わせされていない印刷ステーションに関連する少なくとも1つのカラー画像の少なくとも一部を含み、前記取得画像のオペレータ側は、少なくとも1つの他の見当合わせされていない印刷ステーションに関連付けられた少なくとも1つの他のカラー画像の少なくとも一部を含む画像化装置と、前記画像化装置と結合され、前記少なくとも2つの見当合わせされていない印刷ステーションを見当合わせするプロセッサであって、前記少なくとも1つのカラー画像の一部を、前記少なくとも1つの他のカラー画像の少なくとも一部と、
・前記共通領域上に印刷されたカラー画像にそれぞれ対応する少なくとも2つのモノクロ画像を見当合わせするステップであって、各モノクロ画像は、色分解空間における取得画像の各画素の位置に従って決定され、前記色分解空間における各画素の位置は、色投影面上における前記取得された画像の各画素の投影位置に従って決定され、前記色投影面は、それぞれの見当合わせされていない印刷ステーションに関連する色の座標と選択された色空間における前記ウェブの色の座標とに従って決定される、ステップと、
・前記ドライバ側の少なくとも1つのカラー画像の少なくとも一部を、前記オペレータ側の少なくとも1つの他のカラー画像の少なくとも一部と基準画像とに見当合わせするステップと、
により見当合わせするプロセッサとを具える。
【0003】
プリント・トゥ・プリント・レジスタの測定は、オフセット印刷などの1つの同じ印刷プロセスに関するのみならず、印刷物が異なる印刷プロセスにかけられる場合にも重要である。これは、典型的には複数の印刷フェーズ、特にオフセット印刷と凹版印刷とにかけられる紙幣などのセキュリティ文書の作製の場合に該当する。関連するプリント・トゥ・プリント・レジスタは、一定の品質要件を満たすには許容可能な公差内に保たれる必要があるため、オフセット印刷と凹版印刷間のプリント・トゥ・プリント・レジスタを評価し、測定し、場合によっては補正することも重要である。
【0004】
プリント・トゥ・プリント・レジスタは、通常、印刷物の有効な印刷範囲外のマージンに印刷される専用の印刷レジスタマークまたはターゲットを用いて測定される。この測定原理の一例は、例えばPolygraphische innovative Technik Leipzig GmbH(PITSID−www.pitsidleipzig.com)によって開発された「LUCHS」レジスタ測定システムである。このような特殊な印刷レジスタマークまたはターゲットは、印刷物上に追加のスペースを必要とする欠点を有し、このスペースはカラー測定などの他の目的にも使用される。さらに、有効な印刷領域外に位置するため、印刷されるデザインを損なうことなく、印刷物の有効な印刷領域内の実際のプリント・トゥ・プリント・レジスタを実際に測定することは事実上不可能である。
【0005】
このように、多色印刷のプリント・トゥ・プリント・レジスタを測定する既知の解決策を改善する必要があった。
【発明の概要】
【0006】
本発明の全般的な目的は、多色印刷におけるプリント・トゥ・プリント・レジスタを測定する改良された解決策を提供することであり、この解決策は、さらに効率的な方法でプリント・トゥ・プリント・レジスタを補正するのに利用可能である。
【0007】
より正確には、本発明の目的は、特別な印刷レジスタマークまたはターゲットを用いる必要がない、そのような解決策を提供することである。
【0008】
これらの目標は、特許請求の範囲に規定された解決策によって達成される。
【0009】
したがって、印刷物の表面の有効印刷領域に設けられた多色印刷のプリント・トゥ・プリント・レジスタを測定するプロセスが提供され、この多色印刷は、1以上の印刷機によって印刷物上に形成され、少なくとも第1のパターンと、当該第1のパターンと区別可能な第2のパターンとを含み、前記有効印刷領域には、それぞれ前記多色印刷により設けられ、有効印刷領域の表面にわたって行と列のパターンに沿って繰り返される個々のインプリントのマトリクス配置が設けられる。本発明によれば、印刷物に反映された第1のパターンと第2のパターン間の実際のプリント・トゥ・プリント・レジスタの測定は、(i)第1および第2のパターンの少なくとも一部をカバーする印刷物の1以上のサンプル画像と、(ii)前記第1および第2のパターンの製版デザインデータを用いて生成された1以上の対応する基準画像と、の間の関連性を処理して見いだすことにより導出される。さらに、このプロセスは、個々のインプリントについて繰り返され、有効印刷領域にわたる様々なインプリント位置における第1のパターンと第2のパターンとの間の実際のプリント・トゥ・プリント・レジスタの複数の測定値のセットが導出され、複数の測定値のセットが、様々なインプリント位置におけるプリント・トゥ・プリント・レジスタのズレを表す対応するプリント・トゥ・プリント・レジスタマップにマッピングされる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、この方法は:
a)前記第1および第2のパターン間の実際のプリント・トゥ・プリント・レジスタを反映する印刷物の少なくとも1つの印刷サンプルを提供するステップと、
b)前記印刷サンプル上の少なくとも1つの関心領域を選択するステップであって、選択される関心領域は、前記第1のパターンの少なくとも一部と前記第2のパターンの少なくとも一部とを含むステップと、
c)前記印刷サンプル上の少なくとも選択された関心領域をカバーする印刷サンプルの画像を取得し、印刷サンプルの画像を処理して、選択された関心領域に対応する少なくとも1つのサンプル画像を生成するステップと、
d)前記第1および第2のパターンの製版デザインデータを用いて、前記選択された関心領域に対応する領域に、前記第1および第2のパターンの少なくとも1つの基準画像を生成するステップと、
e)前記第1および第2のパターンの各々について、前記少なくとも1つのサンプル画像と前記少なくとも1つの基準画像との間の対応関係を見出し、対応関係の結果から位置情報を抽出するステップであって、前記位置情報は、前記第1および第2のパターンのそれぞれの実際の位置を表す、ステップと、
f)ステップe)で抽出された第1および第2のパターンの位置情報に基づいて、印刷サンプル中の第1および第2のパターン間の実際のプリント・トゥ・プリント・レジスタの測定値を導出するステップとを含む。
【0011】
この文脈において、ステップd)は、好ましくは、前記第1および第2のパターンのそれぞれの別個の基準画像を生成することであって、
d1)前記第1のパターンの製版デザインデータを用いて、前記選択された関心領域に対応する領域に前記第1のパターンの第1の基準画像を生成するステップと、
d2)前記第2のパターンの製版デザインデータを用いて、前記選択された関心領域に対応する領域に前記第2のパターンの第2の基準画像を生成する工程とを含むステップを具えるとともに、
ステップe)は、好ましくは、
e1)前記少なくとも1つのサンプル画像と前記第1の基準画像との間の対応関係を見出し、前記対応関係の結果から、前記第1のパターンの実際の位置を表す位置情報を抽出するステップと、
e2)前記少なくとも1つのサンプル画像と前記第2の基準画像との間の対応関係を見出し、前記対応関係の結果から、前記第2のパターンの実際の位置を表す位置情報を抽出するステップとを含む。
【0012】
さらに好ましくは、ステップc)は、
c1)前記印刷サンプルの画像を処理して、前記第1のパターンが強調された第1のサンプル画像を生成するステップと、
c2)前記印刷サンプルの画像を処理して、前記第2のパターンが強調された第2のサンプル画像を生成するステップと、を含み、
前記第1のパターンの位置情報は、前記ステップe1)で前記第1のサンプル画像と前記第1の基準画像との対応関係を求めることにより抽出され、前記第2のパターンの位置情報は、前記ステップe2)で前記第2のサンプル画像と前記第2の基準画像との対応関係を求めることにより抽出される。
【0013】
前述の好ましい実施形態において、印刷サンプルの画像を処理するステップは、有利には、第1および第2のパターンの期待される方向および/またはスケールと一致させるために、画像の向きおよび/またはスケールを補正するステップを含むことができる。
【0014】
本発明の特に有利な実施形態によれば、少なくとも1つのサンプル画像と少なくとも1つの基準画像との間の対応関係は、前記少なくとも1つのサンプル画像と前記少なくとも1つの基準画像との間の相互相関(cross-correlation)を実行することによって求められ、この相互相関は、前記少なくとも1つのサンプル画像と前記少なくとも1つの基準画像との間の相関関数の最適値を見出すステップを含む。
【0015】
好ましくは、測定プロセスは、個々のインプリントの各々に対して繰り返されて、各インプリント位置における第1および第2のパターンの間の実際のプリント・トゥ・プリント・レジスタの少なくとも1つの測定値を導出することができる。
【0016】
前述の発明は、2つ以上のパターンを含む多色印刷に適用可能であり、その場合、複数対のパターン間のプリント・トゥ・プリント・レジスタを測定するためにプロセスを実行することができる。
【0017】
また、印刷物表面の有効印刷領域に設けられた多色印刷物のプリント・トゥ・プリント・レジスタを測定し補正するプロセスが提供され、この多色印刷は、1以上の印刷機によって印刷物上に形成され、少なくとも第1のパターンと、当該第1のパターンと区別可能な第2のパターンとを含み、前記有効印刷領域には、それぞれ前記多色印刷により設けられ、有効印刷領域の表面にわたって行と列のパターンに沿って繰り返される個々のインプリントのマトリクス配置が設けられ、前記プロセスは、
(i)前記測定プロセスに従って多色印刷のプリント・トゥ・プリント・レジスタを測定して、前記有効印刷領域にわたって様々なインプリント位置で第1および第2のパターン間の実際のプリント・トゥ・プリント・レジスタの複数の測定値のセットを導出するステップであって、当該複数の測定値のセットは、様々なインプリント位置でのプリント・トゥ・プリント・レジスタのズレを表す対応するプリント・トゥ・プリント・レジスタマップにマッピングされる、ステップと、
(ii)ステップ(i)で導出されたプリント・トゥ・プリント・レジスタマップに基づいて、前記多色印刷を印刷するのに使用された少なくとも1つの印刷プレートのプレート補正を決定するステップと、を含む。
【0018】
このようなプレート補正は、特に、関連する印刷機における少なくとも1つの印刷プレートの位置を補正するため、または少なくとも1つの印刷プレートの製造のためのプレート作成データを補正するために使用することができる。
【0019】
本発明によれば、プレート補正はプリント・トゥ・プリント・レジスタマップに依存して有利に決定される。プリント・トゥ・プリント・レジスタマップは様々なインプリント位置における関連するプリント・トゥ・プリント・レジスタのズレの広範囲でより最適な表示を提供するので、これにより、プリント・トゥ・プリント・レジスタのズレのより最適な補正がもたらされる。
【0020】
ここでも、2以上の印刷プレートを使用して多色印刷が形成される場合、複数対の印刷プレート間でプリント・トゥ・プリント・レジスタを補正するためにプロセスを実行することができる。
【0021】
関連するプレート補正を決定するために、異なる手法を検討してもよい。そのようなアプローチの1つは、プリント・トゥ・プリント・レジスタのズレの平均を最小にすることである。別のより好ましい方法は、最大のプリント・トゥ・プリント・レジスタのズレが所望の公差内とすることである。
【0022】
上述のプロセスは、複数の印刷プレートを具える多色印刷機、特に表裏同時印刷用の多色オフセット印刷機のようなセキュリティ文書の製造のための多色印刷機によって多色印刷が印刷物上に形成される場合に有利に適用することができる。しかしながら、本発明は、印刷物が1つの同じ印刷技法(例えばオフセット印刷のみ)によって印刷されるか異なる印刷技法(例えば、オフセット印刷と凹版印刷の組み合わせなど)によって印刷されるかに拘わらず、多色印刷が複数の印刷機によって印刷物上に形成される場合にも等しく適用可能である。
【0023】
さらに、印刷物の表面の有効印刷領域に設けられた多色印刷のプリント・トゥ・プリント・レジスタを測定する測定装置が提供され、この多色印刷は1以上の印刷機によって印刷物上に形成され、少なくとも第1のパターンと、当該第1のパターンと区別可能な第2のパターンとを含み、前記有効印刷領域には、それぞれ前記多色印刷により設けられ、有効印刷領域の表面にわたって行と列のパターンに沿って繰り返される個々のインプリントのマトリクス配置が設けられ、前記測定装置は、前述の測定プロセスを実行するように設計された画像取得システムおよび処理システムを具える。
【0024】
本発明のさらなる有利な実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的な例としてのみ提示され、添付の図面によって示される、本発明の実施形態の以下の詳細な説明を読むことにより、より明確になるであろう。
図1図1は、紙幣といったセキュリティ文書の製造に典型的に使用される、シートの表裏同時印刷のために設計された印刷機の概略側面図である。
図2図2は、図1の印刷機の印刷グループの概略部分側面図である。
図3図3は、紙幣などのセキュリティ文書の製造の状況で使用される例示的な印刷シートの概略図である。
図4図4は、本発明の基本原理を示す概略図である。
図5図5は、図1および図2に示す種類の印刷機で印刷された印刷物の印刷サンプルの一部の画像(すなわち、印刷された紙幣の一部の画像)であり、この印刷物は、複数の並置された印刷パターンを有し、印刷パターン間の実際のプリント・トゥ・プリント・レジスタを反映する多色印刷が提供されている。
図6図6は、図5の画像から導出される例示的な黒と白のネガである。
図7図7は、多色印刷の一部を構成する第1のパターンの少なくとも一部と第2のパターンの少なくとも一部とを含む、選択された関心領域に関する図5の画像の一部であり、選択された関心領域は図5に強調表示されている。
図8図8は、画像の複数の色成分に応じた、図7の画像の分解を説明する図である。
図9図9は、図7の画像を処理して得られた第1のサンプル画像であり、第1のパターンを強調させた図である。
図10図10は、図7の画像を処理して得られた第2のサンプル画像であり、第2のパターンを強調させた図である。
図11図11は、選択された関心領域に対応する領域における多色印刷の第1および第2のパターンを示す製版デザインデータを示す図であり、第1および第2のパターンの所望の位置を反映している。
図12図12は、図11に示す第1のパターンの白黒画像である。
図13図13は、図12の白黒画像のネガであり、第1のパターンの配置のための第1の基準画像として好ましく使用される。
図14図14は、図11に示す第2パターンの白黒画像である。
図15図15は、図14の白黒画像のネガであり、第2のパターンの配置のための第2の基準画像として好ましく使用される。
図16図16は、図13の第1の基準画像と図9の第1のサンプル画像との間の対応関係を見出すステップを概略的に示す図である。
図17図17は、図13の第1の基準画像と図9の第1のサンプル画像の重ね合わせを概略的に示す図である。
図18図18は、図17の2つの画像間の相互相関関数を示し、2つの画像間のベストマッチに対応するピークを示し、このピークの位置が第1のパターンの関連位置情報を抽出するために使用される。
図19図19は、図15の第2の基準画像と図10の第2のサンプル画像との間の対応関係を見出すステップを概略的に示す。
図20図20は、図15の第2の基準画像と図10の第2のサンプル画像との重ね合わせを概略的に示す。
図21図21は、図20の2つの画像間の相互相関関数を示し、2つの画像間のベストマッチに対応するピークを示し、このピークの位置が第2のパターンの関連する位置情報を抽出するために使用される。
図22図22は、印刷物上の複数のインプリント位置で本発明に従って実施される複数のプリント・トゥ・プリント・レジスタ測定値のマップの実施例である。
図23図23は、複数対のパターン間の実際のプリント・トゥ・プリント・レジスタの測定値を活用し処理して対応するプレートの補正を算出し、多色印刷を印刷するために使用される関連する印刷プレートの位置を調整するプロセスを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、紙幣などのセキュリティ文書の製造に使用されるような、シートの表裏同時印刷のための枚葉給紙型オフセット印刷機の特定の状況について説明される。この特定の状況では、典型的には、シートの両面に、印刷機を1回通すだけで作製される一連の多色印刷が提供される。
【0027】
しかしながら、本発明は、多色印刷が単一の多色印刷機に1回だけ通して提供されるか、複数回の印刷機に複数回通して提供されるかに拘わらず、様々な多色印刷のプリント・トゥ・プリントレジスタを測定(および場合によっては補正)する目的に適用可能である。オフセット印刷は、さらに本発明の適用可能な分野の1つである。本発明は、例えば、オフセット印刷パターンと凹版印刷パターンの組み合わせにより得られる多色印刷などの、同じか異なる印刷プロセスに従って提供された印刷パターンの組み合わせが設けられた印刷物に関しても同様に適用可能である。
【0028】
言うまでもなく、多色印刷が形成される印刷物は、任意の適切な形状または形態であってよく、特に個別のシートまたは連続ウェブの形態を取ることができる。
【0029】
紙幣などのセキュリティ文書の製造の特定の状況において、印刷物には、典型的には、図3に例示されるように、シートに印刷された複数のセキュリティインプリントのマトリクス配置が設けられている。図3は、シート形態の印刷物の概略図である。以下の説明を読むことにより理解されるが、印刷物上の複数のインプリント位置または個々のインプリント位置におけるプリント・トゥ・プリント・レジスタの測定が可能であるため、本発明はこの例において特に有利である。
【0030】
図1、2は、紙幣の製造のために典型的に使用されるようなセキュリティ文書のシートの表裏同時印刷のための既知の枚葉給紙型オフセット印刷機を示し、印刷機全体が参照番号100で示されている。このような印刷機は、本出願人によりSuper Simultan(商標)IVの商品名で市販されている。この印刷機の基本的な構成は、国際公開公報第2007/105059A1号に既に記載されており、この文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
印刷機100は、シートの表裏同時オフセット印刷を実行するように特に適合されたオフセット印刷グループ101を具え、当該分野で典型的なように、2つのブランケット胴(または圧胴)110、120(図2に示す)は、矢印で示される方向に回転し、それらの間にシートが両面で同時に多色印象を受けるようにフィードされる。本例では、ブランケット胴110、120は、符号150で示す一対のサイドフレーム間に支持された3つのセグメントを有する胴である。ブランケット胴110、120は、それぞれの色の異なるインクパターンを、ブランケット胴110、120の周囲の一部に分配された版胴115、125(各側に4つ)から受け取り収集する。これらの版胴115、125はそれぞれ対応する印刷プレートPPを担持しており、対応するインキ装置10、20によってそれ自身インク付けされる。インキ装置の2つのグループ10、20は、有利には、中央に配置された版胴115、125とブランケット胴110、120に向かってまたは離して移動可能な2つのインキングキャリッジ151、152内に配置される。
【0032】
当技術分野で知られているように、各印刷プレートPPは、対応する版胴115、125の周囲に巻かれ、その先端部と後端部は適切なプレートクランプシステムによってクランプされ、このプレートクランプシステムは、版胴の対応する胴ピット内に配置されている(例えば、国際公開第2013/001518A1号、国際公開第2013/001009A1号および国際公開第2013/001010A2号パンフレット参照)。
【0033】
シートは、印刷グループ101(図1および図2の右側)の隣に配置されたシート供給グループ102(フィーダおよびフィーダテーブルを含む)から、ブランケット胴110、120の上流に配置された一連の移送シリンダ103a、103b、103c(本例では3つ)に供給される。移送シリンダ103bによる移送時に、シートは任意で、例えば米国特許第6,101,939号明細書および国際公開第2007/042919A2号パンフレットに記載されているようなさらなる印刷グループ(図1、2には図示せず)を使用して、紙の片面に最初の印刷を受けることができ、このような場合には移送シリンダ103bが圧胴の追加機能を果たす。シートがこの任意の追加的な印刷グループによって印刷される場合、シートは、乾燥または養生ユニット104によって最初に乾燥された後、表裏同時印刷が行われる前に、ブランケット胴110、120に移送される。
【0034】
図1、2の例では、シートはブランケット胴120の表面に移送され、そこで各シートの前縁が、ブランケット胴120の各セグメント間の胴ピットに配置された適切な把持手段によって保持される。このように各シートがブランケット胴120によって、ブランケット胴110と120との間の印刷ニップに搬送され、そこで表裏同時印刷が行われる。両面に印刷されると、印刷されたシートは、複数の送達パイルユニット(本例では3つの送達パイルユニットが示されている)を具えるシート送達ステーション180内に送達するために、当該技術分野で知られているようにチェーン把持システム160に搬送される。
【0035】
図1、2の例では、チェーン把持システム160とブランケット胴120の間に、吸引ドラムまたはシリンダなどの第1および第2の移送シリンダ(符号なし)が介在している。これらの第1および第2の移送シリンダは任意であり、国際出願番号WO2007/105059A1に記載されているように、シートの表裏の検査を実現できるように設計されている。
【0036】
シート表裏のプリント・トゥ・プリント・レジスタは、様々な要因に依存することが理解されよう。製版プレートの製造、プレート取り付け、印刷プロセス、および基板材料の挙動は特に、印刷パターンの歪みやプリント・トゥ・プリント・レジスタに影響する。図1、2の枚葉給紙型オフセット印刷機では、シート表側の印刷に用いられる4つの版胴115と、シート裏側の印刷に用いられる4つの版胴125とへの各印刷プレートPPの取り付けは、シートの両側に得られる多色印刷のプリント・トゥ・プリント・レジスタへの1つの重要な要因である。特に、版胴115に装着された4枚の印刷プレートPPはすべて、用紙の表側のプリント・トゥ・プリント・レジスタが最良となるように調整されなければならない。同様に、版胴120に装着された4枚の印刷プレートPPはすべて、用紙の裏側のプリント・トゥ・プリント・レジスタが最良となるように調整されなければならない。明らかに、シート表裏間の適切なプリント・トゥ・プリント・レジスタ(または表裏レジスタ)にも、表裏間の印刷プレートPPの適切な調整が必要である。その点で、本発明は、印刷された基板材料の片面または両面に形成され得る多色印刷のプリント・トゥ・プリント・レジスタを測定し、場合によっては補正するために適用可能であることを理解されたい。
【0037】
図1、2の枚葉給紙型オフセット印刷機に関する限りにおいて、関連する印刷プレートPPを製造するのに採用される製版プロセスの特性が十分に考慮されていると仮定すると、シート両側のプリント・トゥ・プリント・レジスタは、関連する印刷プレートPPが関連する版胴115、125に取り付けられる方法に特に左右され、シートの両面に関連する多色印刷を形成するパターンが、ブランケット胴110、120の間の印刷ニップでシートの表裏に同時に転写される前に、対応するブランケット胴110、120によって版胴115、125に最初に回収される。
【0038】
紙幣のようなセキュリティ文書の製造では、個々のシート(または連続ウェブの連続部分)は通常、複数の列および行(m×n)に配列された反復的なインプリントのマトリックス配列を示すように印刷される。図3は、紙幣などのセキュリティ文書の製造において使用される印刷シートSを概略的に示す。印刷シートSは、図3の矢印によって特定される印刷機を通るシートSの経路を横切る方向x(「軸方向」とも呼ばれる)の幅Wを有する。典型的な幅WはシートSは820mmである。印刷シートSは、印刷機を通るシートSの経路に平行な方向y(「周方向y」とも呼ばれる)の長さLを有する。シートSの典型的な長さLは700mmである。
【0039】
印刷シートSは、通常、有効印刷領域EPA内に、複数の行と列に並べて配置された複数のインプリントPのマトリクス配置を示すように印刷される。図示の例では、有効印刷領域EPAには、8の行(n=8)と5の列(m=5)のマトリクス状に40個のインプリントPが印刷されており、各インプリントPは、特定の寸法L1(軸方向x)とL2(周方向y)を示す。
【0040】
これに関連して、すべてのインプリントP、すなわちシートSの有効な印刷領域EPA全体に最適なプリント・プリント・レジスタを保証することが望ましい。プリント・トゥ・プリント・レジスタのズレが所定の許容値を超えると、関連するインプリントPは所望の印刷品質要件を満たさないとして拒絶される。
【0041】
本発明によれば、各インプリント位置に少なくとも第1のパターンと、当該第1のパターンと区別可能な第2のパターンとを含む多色印刷が施されているため、シートSの有効印刷領域EPA内の任意の所望のインプリント位置で複数のプリント・トゥ・プリント・レジスタ測定を実行することができる。より正確には、図4に概略的に示すように、本発明によれば、印刷物に映された多色印刷の第1パターンAと第2パターンBとの間の実際のプリント・トゥ・プリント・レジスタの測定は、(i)第1および第2のパターンA、Bの少なくとも一部をカバーする印刷物の少なくとも1つのサンプル画像と、(ii)前記第1および第2のパターンA、Bの製版デザインデータを用いて生成された少なくとも1つの対応する基準画像と、の間の対応関係を処理し見出すことから導出される。本発明の好ましい実施形態の以下の説明を読むことによって理解されるように、画像処理およびマッチング技術を使用して、前述の画像を処理し、パターンA、Bまたは多色印刷の一部を形成する他の任意の対のパターンであってもよい関連する対のパターン間の実際のプリント・トゥ・プリント・レジスタの測定を導出する。実際のプリント・トゥ・プリント・レジスタが測定されると、特に、適切なプレート補正を計算することによって、このプリント・トゥ・プリント・レジスタの補正をさらに実行することができ、好ましくは関連するパターンの印刷に用いられた1またはそれ以上の印刷プレートの一を補正して、見当ズレが最小限となるようにする。この補正プロセスは、実際には、測定プロセスからそれ自体分離することができる。
【0042】
本発明の特に好適かつ有利な実施形態を、図5〜23を参照して説明する。この好ましい実施形態によれば、印刷物の少なくとも1つの印刷サンプルが必要とされ、この印刷サンプルは実際の多色印刷のプリント・トゥ・プリント・レジスタを表している(これは説明のために不完全であると仮定される)。これは、基本的に、図1および図2の印刷機によって製造された1枚または複数枚の印刷シートのような、関連する印刷物の1つまたは複数の印刷サンプルを生成することを意味する。
【0043】
関連する印刷サンプルが利用可能になると、第1のパターンの少なくとも一部および第2のパターンの少なくとも一部が存在する印刷サンプル上の少なくとも1つの関心領域を識別して選択する。この関心領域は、好ましくは、見当ズレに非常に敏感な多色印刷の部分、すなわち特にプリント・トゥ・プリント・レジスタ内のわずかなズレが現れるパターンを対象とすべきである。そのようなレジスタに敏感な要素は、特に、例えば精密な曲線構造を示す多色のポジティブまたはネガティブのギロシェパターンのような、微細構造からなるか微細構造を共同で形成する多色印刷パターンであってもよい。図5は、図1および図2に示す種類の印刷機で印刷された印刷物の印刷サンプルの部分Pの画像(すなわち、例示的な例としてここで使用される印刷紙幣の一部の画像)であり、この画像は、カラーカメラなどの任意の適切な手段によって取得される。この印刷物には、複数の並置された(および/または場合によっては重ね合わされた)印刷パターンを含む多色印刷が提供され、そのうちの4つが図5に描かれた部分P上に現れており、参照符号A、B、C、Dで示される。適切な関心領域RoIは、図5の白い境界線によって強調表示されている。図5では、関連する関心領域RoI内にパターンA、BおよびCの一部が現れ、パターンDは関心領域RoIの外にある。説明目的のために、パターンA(説明のための「第1のパターン」)とパターンB(説明のための「第2のパターン」)の間でプリント・トゥ・プリント・レジスタがどのように測定されるかを説明するために、パターンAとBに特に注目する。パターンAとパターンCとの間、またはパターンBとパターンCとの間、または関連する関心領域内に見える他のパターンの間のプリント・トゥ・プリント・レジスタを測定するために、関連する原理が等しく適用可能である。
【0044】
この段階で、多色印刷を形成するパターンの製版デザインデータに基づいて、関連する関心領域を予め選択することができることを述べるべきである。実際に、印刷物の印刷データを測定するのに、多色印刷のどの領域がより適しているか、すなわちどの領域にレジスタに敏感な要素が含まれているかを製版デザインデータだけで特定することが可能である。
【0045】
図6は、図5の画像から得られる例示的な白黒ネガであり、すなわち2値化された図5の画像のネガであり、したがって、図5の画像の明暗領域間で選択された所定の2値化閾値を用いて白黒に変換された表現である。図6の表現では、関連するパターンA、B、C、Dは主に白色領域として現れ、印刷物の印刷されていない領域は主に黒色領域として現れる。
【0046】
例えば図5に示すように、関連する関心領域RoIが選択されると、印刷サンプルの画像が処理され、選択された関心領域RoIに対応する少なくとも1つのサンプル画像が生成される。図7は、図5の関心領域RoI内で取られ、パターンA、Bがここでも見える印刷サンプルの画像を示す。本発明の好ましい実施形態によれば、第1および第2のパターンA、Bが強調されている(すなわち、より明瞭に識別可能である)第1および第2のサンプル画像を生成するために、印刷サンプルの画像を処理することが有利である。この目的のために、さまざまな画像処理またはフィルタリング技術を用いることができる。図8は、例えば、画像の6つの選択された色成分についての印刷サンプル画像の可能な処理を示し、その結果が関連画像の複数の処理された表現a)〜f)となる。
【0047】
説明のために、図9は、第1のパターンAを強調する観点で図7の画像を処理して得られた第1のサンプル画像SIを示し、これに対し図10は、第2のパターンBを強調する観点で図7のサンプル画像を処理して得られた第2のサンプル画像SIを示す。本発明の好適な実施形態において、これらの第1および第2のサンプル画像SIおよびSIは、パターンAおよびBの間のプリント・トゥ・プリント・レジスタを測定するために使用される。このような処理は、元画像における印刷パターンの任意の所定の色の分離または類似の強調などを可能にする任意の適切な画像処理技術に従って実行することができる。説明のために、図8の表現e)が、第2のパターンBを非常によく表しており、図10に示す対応するサンプル画像SIを生成するために使用することができる。実際には、関連する画像処理技術は、画像内に存在するパターンの関連する色に適合し仕立てられており、これらの色は、既知であり予測される変数である。
【0048】
パターンA、B間のプリント・トゥ・プリント・レジスタを測定するには、選択された関心領域RoIに対応する領域内の第1および第2パターンA、Bの適切な基準画像(または複数の基準画像)がさらに必要である。本発明によれば、第1および第2のパターンA、Bのそのような基準画像は、第1および第2のパターンA、Bの製版デザインデータを使用して生成され、これらの基準画像は、第1および第2のパターンA、Bの所望の(すなわち、既知のまたは予想される)位置を反映するように規定される。関連する基準画像は、後述する実施例(例えば図13、15参照)のように製版デザインデータから直接得られる二値(「白黒」)画像であってもよいし、予想される印刷結果をより厳密に反映する処理またはシミュレートされた画像といった他の適切な画像であってもよい。後者の場合、基準画像は、例えば、本出願人の名義の(PCT)国際公開番号WO2013/132448A1に記載された原理に従って生成されたシミュレート画像であってもよく、その刊行物は全体が本書に組み込まれる。しかしながら、本出願人による試験によると、二値画像が、関連するサンプル画像との対応関係を見出す目的における基準画像として既に適切であることが実証された。(PCT)国際公開番号WO2013/132448A1に記載の原理は、特に、多色印刷の感度をレジスタのズレにシミュレートすることが可能である点でも有利である。
【0049】
図11は、選択された関心領域RoIに対応する領域内の多色印刷Pの第1および第2のパターンA、Bを示す製版デザインデータであり、第1および第2のパターンの所望の位置を映している。この例では、図示された領域は、例えば、図5に示す選択された関心領域RoIよりも大きいことが理解されよう。図11には、第1および第2のパターンA、Bのみが示されている。この例示的な実施例ではパターンA、B間のプリント・トゥ・プリント・レジスタの測定に関心があるため、この領域に存在するパターンCは考慮されない。
【0050】
本発明の好ましい実施形態によれば、第1および第2のパターンA、Bのそれぞれの基準画像、すなわち第1のパターンAの第1の基準画像と第2のパターンBの第2の基準画像とを別個に生成することが、ここでも有利である。そのような別個の基準画像の生成は、各パターンが典型的に関連する製版デザインデータによって規定されるので、比較的簡単である。
【0051】
図12は、図11に示す第1のパターンAの白黒表現であり、図13は、図12の白黒表現のネガである。換言すると、図13では、パターンAは黒の背景の白い領域として識別可能である。図13は、ここでは、第1のパターンAの第1の基準画像RIとして使用される。
【0052】
図14は、同様に、図11に示した第2のパターンBの白黒表現であり、図15は、図14の白黒表現のネガである。換言すると、図15では、パターンBはここでも黒の背景の白い領域として識別可能である。図15は、ここでは、第2のパターンBの第2の基準画像RIとして使用される。
【0053】
対応付けの結果から位置情報を抽出するために、第1および第2のパターンA、Bのそれぞれについて、サンプル画像と基準画像との対応関係が探され見出される。この位置情報は、第1及び第2のパターンA、Bのそれぞれの実際の位置を表す。すなわち、各パターンA、Bの位置情報に基づいて、この印刷サンプルにおける第1のパターンAと第2のパターンBとの間の実際のプリント・トゥ・プリント・レジスタの測定が導出可能である。
【0054】
図16は、図13の第1の基準画像RI図9の第1のサンプル画像SIとの間の対応を見つけるステップを概略的に示す。この対応関係を見出す好ましい方法は、図17に概略的に示すように第1の基準画像RIと第1のサンプル画像SIとの相互相関(cross-correlation)を実施することであり、図17には図13の第1の基準画像RIと、図9の第1のサンプル画像SIとの重ね合わせが示され、両画像は互いに近似的に一致している。本例では、相互相関は、基本的には、2つの画像の相対的オフセットの関数として2つの画像の位置における対応関係を、ここでは2つの変数、すなわちxの任意のy位置の関数として評価することに相当する。図17は相互相関の1つのステップを概略的に示し、ここではサンプル画像SIが基準画像RIに対して配置されている(反対も可能である)。得られた相互相関関数は、この特定の実施例の面として表され(図18に示す)、2つの画像間のベストマッチに対応するピークが強調されている。このようにして、第1のパターンAの(所定の基準点に対する)関連する位置情報POS(x;y)を抽出することができる。シャープなピークは、位置POS(x;y)における2つの画像間の最適な相対位置の誤差が小さいことを示す。その点で、プリント・トゥ・プリント・レジスタのズレに非常に敏感なパターン(すなわち、「レジスタに敏感な要素」)は、典型的には、シャープな相関ピークを示し、関連する関心領域とその中に含まれるパターンを選択する際に好ましい。
【0055】
同じプロセスが第2のパターンBについて行われる。これに関し、図19は、図15の第2の基準画像RI図10の第2のサンプル画像SIとの対応関係を見出すステップを概略的に示し、図20は、図15の第2の基準画像RI図10の第2のサンプル画像SIとの重ね合わせであり、ここで両画像は互いに近似的に一致している。ここでも、図20は、サンプル画像SIが基準画像RIに対して配置される相互相関の1つのステップを例示的に概略的に示していることを理解されたい(反対も同様に可能である)。得られた相互相関関数は、ここでも、(図21に示すように)この場合の面として表すことができ、2つの画像間のベストマッチに対応するピークが強調表示されている。同様に、第2のパターンBの(所定の基準点に対する)関連する位置情報POS(x;y)を抽出することができる。
【0056】
前述の例では、(例えば、図18、21に示されるように)測定範囲内で単一の、殆ど対称的なピークを示す相互相関関数を導くパターンを包含するように関心領域を選択することが有利である。ここでも、関係する相互相関関数がどのように見えるかを予測することができるので、関心領域の選択は、製版デザインデータに基づいて事前に行われることが有利である。
【0057】
パターンA、Bの位置情報POS(x;y)、POS(x;y)が分かれば、両方のパターンA、Bの相対位置の差を計算することが可能となり、すなわち選択された印刷サンプルに映された実際の第1のパターンAと第2のパターンBとの間のプリント・トゥ・プリント・レジスタの測定を導くことができる。
【0058】
代替例として、第1および第2のパターンA、Bの関連する位置情報を見つける目的で、単一のサンプル画像および/または単一の基準画像を使用することができる。例えば図6を、図13および図15の基準画像RIおよびRIとの相互相関の目的における単一のサンプル画像として用いることができる。しかしながら、上述したように、2つのパターンを別々に配置する目的で別個の画像を使用することが好ましく、これにより、処理における干渉が大幅に低減し、結果の品質と信頼性が向上する。
【0059】
サンプル画像の向きおよび/またはスケールを補正して、第1および第2のパターンの予想される向きおよび/またはスケールに近似的に一致させるために、印刷サンプルの画像を処理することが必要な場合がある。これにより、基準画像と比較した場合の、サンプル画像の向きおよび/またはスケールに生じ得る不一致を特に補償することが可能となる。この場合の不一致は、画像取得プロセスに起因する場合や、印刷サンプルの必要な画像を取得するのに用いた画像取得システムに関連する場合がある。
【0060】
上述したように、本発明の大きな利点は、多色印刷の2つのパターン間の実際のプリント・トゥ・プリント・レジスタの複数の測定が、印刷サンプル上の様々な位置、好ましくは図3のシートのすべてのインプリント位置で実行されることにある。1つの同じインプリント位置で、特にレジスタに敏感な要素が存在する多様な位置で、プリント・トゥ・プリント・レジスタの測定を複数回実行することも可能である。換言すれば、前述のプリント・トゥ・プリント・レジスタ測定プロセスは、図3に示す個々のインプリントPの複数のものについて繰り返され、有効印刷領域EPAにわたって様々なインプリント位置における第1および第2のパターンA、B間の実際のプリント・トゥ・プリント・レジスタの複数回の測定の対応するセットが導出される。
【0061】
その結果、印刷物の表面全体にわたるプリント・トゥ・プリント・レジスタのズレを表すマップが得られる。例えば、図22は、前述のプリント・トゥ・プリント・レジスタ測定の原理に従って実行される第1および第2のパターンA、B間の複数のプリント・トゥ・プリント・レジスタ測定値のマッピング結果を示す。図22の各ベクトルは、測定された各インプリント位置において測定されたx−yレジスタのズレを表す。ベクトルが大きいほど、測定されたレジスタのズレが大きい。この例では、図1および図2の印刷機の第1および第2の印刷プレートPPによって第1および第2のパターンA、Bが印刷されているものとする(図22のマップには「ユニット1」、「ユニット2」として記載)。図22に示す得られたプリント・ツー・プリント・レジスタのマップMB−Aは、レジスタのズレが、シートの表面にわたって典型的には不均一であり、複数のベクトルが異なる方向を指し、大きさも違うことを示している。これは、本発明の大きな利点、すなわち、有効印刷領域にわたってプリント・トゥ・プリント・レジスタのズレの分布をよりよく表した測定を導出できるという事実を強調しており、これは遙かに適切なプレート補正を実施できる可能性を示し、これは単に印刷物の有効印刷領域外の余白に印刷された専用の印刷見当マークまたはターゲットの使用に頼っているときには不可能であった。
【0062】
多色印刷が2以上のパターン(典型的にはそうである)を含む場合、上記のプロセスを簡単に繰り返して、基準パターンとして作用する第1のパターンと、多色印刷物を構成する他のパターンの各々との間のプリント・トゥ・プリント・レジスタを測定することができる。したがって、パターン/プレートの各対に対して、対応するプリント・トゥ・プリント・レジスタのマップを導出することが可能である(例えば、図23を参照すると、そのような3つのマップMB−A、MC−AおよびMD−Aが示されており、この場合の関連する多色印刷は4つの異なるパターンA〜Dを含むと考えられる)。
【0063】
多色印刷の実際のプリント・トゥ・プリント・レジスタが既知となるかマッピングされたら、見当ズレを最小限にするために、多色印刷を印刷するために使用される関連する印刷プレートの適切なプレート補正を決定することが可能となる。このプレート補正は、例えば、関連する印刷機における1以上の印刷プレートの位置を、これらの印刷プレートが取り付けられている印刷機において補正するのに用いることができ、または1以上の印刷プレートを製造するために使用されるプレートの元データを補正するために使用することができる。
【0064】
図1および図2の印刷機の特定の例において、4つの別個のパターンA〜Dからなる多色印刷が、4つの印刷プレートPPのすべてが表裏側に印刷されていると仮定すると、たとえばパターンA−B、A−CおよびA−Dの3対のパターン間の見当ズレのマッピングを行えば十分である。この場合、パターンAは「基準パターン」とみなされるが、他のパターンを基準としてもよい。いずれにしても、現在の例では、3つのマップにより、4つの印刷プレートPP(「ユニット1」から「ユニット4」)のすべてについて、印刷見当ズレの完全なマッピングが可能となる。図23はこのような3つのプリント・トゥ・プリント・レジスタのマップMB−A、MC−AおよびMD−Aを示し、これを処理してシート全体にわたるプリント・トゥ・プリント・レジスタを最適化し、図23に概略的に示すように、関連する印刷プレートPPに対応するプレート補正を導出する。
【0065】
処理ステップに関する限り、プレート補正は任意の所望の技術に従って計算することができる。例えば、すべての関連するプリント・トゥ・プリント・レジスタのマップは、関連するすべての対のパターン(例えば、パターン対B−A、C−A、D−A、C−B、D−B、D−C)間の平均プリント・トゥ・プリント・レジスタの偏差を最小にするために処理することができる。しかしながら、最大のプリント・トゥ・プリント・レジスタのズレが所望の許容値内に収まるような観点でデータを処理して、すべてのインプリントが所望の印刷品質要件を満たし、印刷品質検査における不許可率が全くないか、または非常に限定されるようにすることが好ましい。
【0066】
したがって、上述のプレート補正は、図1および図2の印刷機の印刷プレートPPのような、関連する印刷プレートの位置を補正および調整するために使用することができる。別の例では、プレート補正は、多色印刷物の製造に用いた関連する印刷プレートの元データを補正するのに使用することができる。これは、例えば、オフセット印刷パターンと凹版印刷パターンとの間のプリント・トゥ・プリント・レジスタのような、別個の印刷機で異なる印刷技術に従って印刷されるパターン間でプリント・トゥ・プリント・レジスタを最適化する場合であり得る。この場合、オフセット印刷プレートまたは凹版印刷プレートの元データを補正して、2つの印刷フェーズ間のミスマッチを低減することができる。
【0067】
上記プレート補正は、前述のプリント・トゥ・プリント・レジスタのマップ(すなわち、複数組のプリント・トゥ・プリント・レジスタの測定値)の処理から得られる。理論的にはプレート補正は単一または少数のプリント・トゥ・プリント・レジスタの測定値から導き出すことができるが、印刷物の表面にわたり分散された多くのプリント・トゥ・プリント・レジスタの測定値を用いると、実際のプリント・トゥ・プリント・レジスタをよりよく表したマッピングが得られ、より適切なプレート補正の計算が可能になる。
【0068】
前述の例では、関連する画像は、典型的に、印刷物の表面の数平方ミリメートルの領域をカバーする。図面に示された画像は明らかに例示的なものであり、その寸法および解像度は限定的ではない。これらは、関心領域に位置する関連するパターンに応じて適切に選択される。さらに、図16図17図19および図20は、基準画像がサンプル画像よりも寸法が大きい場合を示しているが、これは反対であってもよく、その場合、画像間の対応関係を見つけるには、上記とは反対のものではなく、サンプル画像内ので関連する基準画像を見出すことが含まれる。
【0069】
前述のプリント・トゥ・プリント・レジスタ測定の原理は、画像取得システムと、関連する処理ステップを実行するように設計された処理システムとを具える対応する測定装置に具体化することができる。提案された測定原理を実行するために変更可能な測定装置の一例が、国際公開公報第WO2002/131581A1号に開示されており、この文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0070】
上述した実施形態には、様々な変更および/または改良を加えることができる。特に、上述した実施形態は、セキュリティ文書の作成に使用されるようなシートの表裏同時印刷のための枚葉給紙型オフセット印刷機の特定例で説明されているが、本発明は、多色印刷を形成するために共同して使用される複数の印刷プレートを含む種類の任意の多色印刷機、または異なる印刷機に何回も複数して通された印刷物の製造例に等しく適用可能である。
【0071】
加えて、述べたように、本発明は、印刷された基板材料の片面または両面に形成され得る多色印刷物のプリント・トゥ・プリント・レジスタを測定し、場合によっては補正するために適用可能である。換言すれば、「多色印刷」は、印刷物の片面のみに印刷されたパターンを含む片面多色印刷であってもよいし(この場合、プリント・トゥ・プリント・レジスタは、印刷物の一方かつ同じ側の印刷見当ズレを包含すると理解される)、印刷物の両面に印刷されたパターンを含む両面多色印刷であってもよい(この場合、プリント・トゥ・プリント・レジスタは両側、潜在的には、印刷物の表裏側の「表裏レジスタ」の印刷見当ズレを包含すると理解される)。
【0072】
さらに、上述の好ましい実施形態は、2つのオフセット変数(すなわち、xおよびy位置)を用いた相互相関に基づいているが、相互相関は、例えば、関連するパターンの潜在的な回転シフトを表す変数を含む、2より多いオフセット変数で実施することができる。
【符号の説明】
【0073】
10 印刷機100のインキング装置(表側に4つのインキング装置)
20 印刷機100のインキング装置(裏側に4つのインキング装置)
100 表裏同時オフセット印刷機
101 印刷機100の印刷グループ
102 印刷機100のシートフィーダグループ
103a シート移送シリンダ(1セグメントシリンダ)
103b シート移送シリンダ(2セグメントシリンダ)
103c シート転写用シリンダ(1セグメントシリンダ)
104 乾燥/養生ユニット
110 (第1の)ブランケット胴(3セグメントシリンダ)
115 (4つの)版胴(1セグメントシリンダ)
120 (第2の)ブランケット胴(3セグメントシリンダ)
125 (4つの)版胴(1セグメントシリンダ)
150 ブランケット胴110、120を支持する対のサイドフレーム
151 インキング装置10を支持する(第1の)移動式インキングキャリッジ
152 インキング装置20を支持する(第2の)移動式インキキングャリッジ
160 シート移送システム(離間した把持バー付)
180 シート送達ステーション
PP 版胴115、125にそれぞれ保持されたPP印刷プレート
S 印刷シート
EPA 印刷シートSの有効印刷領域
P 有効印刷領域EPA内のセキュリティインプリント(例えば紙幣)
(インプリントは多色印刷で提供される)
L シートSの長さ(典型的には700mm)
W シートSの幅(典型的には820mm)
L1 (軸方向xにおける)セキュリティインプリントPの長さ
L2 (周方向yにおける)セキュリティインプリントPの長さ
インプリントPを形成する多色印刷の部分(図5
A インプリントPの多色印刷を構成する(第1の)印刷パターン
B インプリントPの多色印刷を構成する(第2の)印刷パターン
C インプリントPの多色印刷を構成する(第3の)印刷パターン
D インプリントPの多色印刷を構成する(第4の)印刷パターン
RoI インプリントPの部分P内で選択された関心領域
SI パターンAが強調された、選択されたRoI内の(第1の)サンプル画像
SI パターンBが強調された、選択されたRoI内の(第2の)サンプル画像
RI サンプル画像SIとの相互相関のためのパターンAの(第1の)基準画像
RI サンプル画像SIとの相互相関のためのパターンBの(第2の)基準画像
POS(x;y) サンプル画像SIと基準画像RIとの相互相関から導かれる第1のパターンAの位置情報
POS(x;y) サンプル画像SIと基準画像RIとの相互相関から導かれる第2のパターンBの位置情報
B−A 有効印刷領域(EPA)にわたる様々なインプリント位置におけるパターンAB間の複数のプリント・トゥ・プリント・レジスタ測定値のマッピングから得られるプリント・トゥ・プリント・レジスタのマップ
C−A 有効印刷領域(EPA)にわたる様々なインプリント位置におけるパターンAC間の複数のプリント・トゥ・プリント・レジスタ測定値のマッピングから得られるプリント・トゥ・プリント・レジスタマップ
D−A 有効印刷領域(EPA)にわたる様々なインプリント位置におけるパターンAD間の複数のプリント・トゥ・プリント・レジスタ測定値のマッピングから得られるプリント・トゥ・プリント・レジスタマップ
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