(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態に係る偏光光照射装置1の概略を示す正面図である。
図2は、偏光光照射装置1の概略を示す側面図である。偏光光照射装置1は、例えば、光源からの光を偏光膜を通過させて偏光を得、この偏光をガラス基板等の被露光面に照射して、液晶パネル用の配向膜等を生成するものである。
【0014】
以下、被露光対象物Wの搬送方向をy方向とし、搬送方向に直交する方向をx方向とし、鉛直方向をz方向とする。
【0015】
偏光光照射装置1は、主として、偏光照射部10と、駆動部20と、撮像部30と、を有する。
【0016】
偏光照射部10は、被露光対象物Wに偏光を照射する。
図2は、偏光照射部10の概略を示す平面図である。
図3は、偏光照射部10の概略を示す側面図である。なお、
図3の2点鎖線は、光が照射される範囲を示すものである。
【0017】
偏光照射部10は、主として、光源11と、特定波長透過フィルター12と、偏光子ユニット13と、ベース部材14と、を有する。なお、
図2では特定波長透過フィルター12の図示を省略している。
【0018】
光源11は、棒状のランプであり、偏光していない光(例えば、紫外光)を出射する。光源は、長手方向がy方向に沿うように、かつx方向に複数並べて配置される。なお、光源11の形態はこれに限られず、例えばx方向に沿って長い1本のランプであっても良い。
【0019】
特定波長透過フィルター12は、特定の波長範囲の光だけを透過し、他の波長の光をで吸収するようにつくられたフィルターである。特定波長透過フィルター12は、光源11の下側(−z側)に設けられる。
【0020】
偏光子ユニット13は、特定波長透過フィルター12の下側(−z側)に設けられる。偏光子ユニット13は、例えば、光源11から出射された無偏光の光を偏光する偏光子を含む。偏光子ユニット13は、ベース部材14に設けられる。偏光子ユニット13については、後に詳述する。
【0021】
特定波長透過フィルター12及び偏光子ユニット13は、光源11毎に1つずつ設けられる。なお、特定波長透過フィルター12及び偏光子ユニット13を、光源11毎に2つ設けてもよい。この場合には、特定波長透過フィルター12及び偏光子ユニット13を、y方向に並べて2つずつ設ければよい(
図2の点線参照)。
【0022】
図1の説明に戻る。駆動部20は、主として、ステージ21と、ステージガイドレール22と、を有する。
【0023】
ステージ21は、図示しない駆動手段により、ステージガイドレール22に沿って移動可能に設けられる(
図1の太矢印参照)。ステージ21の上面には、被露光対象物Wが載置される。
【0024】
撮像部30は、ステージ21上に載置された被露光対象物Wのアライメントに使用するカメラである。
【0025】
このように構成された偏光光照射装置1の作用について説明する。偏光光照射装置1は、被露光対象物Wを走査方向であるy方向に移動させながら、偏光照射部10から照射された光を被露光対象物Wの被露光面に照射して配向膜等を生成する。この偏光光照射装置1の作用は、すでに公知であるため、詳細な説明を省略する。なお、走査は、偏光照射部10を移動させてもよいし、被露光対象物W(ステージ21)を移動させてもよいし、それらの両方を相対的に移動させてもよい。
【0026】
露光時には、光源11からの光が照射されるため、偏光子ユニット13の温度が上昇する。本発明は、偏光子ユニット13の温度が上昇することによる不具合を防止する点に特徴がある。以下、偏光子ユニット13について詳細に説明する。
【0027】
図4は、偏光子ユニット13の概略を示す平面図である。
図5は、偏光子ユニット13の概略を示す断面図である。偏光子ユニット13は、主として、偏光子131と、ホルダ132と、ばね付きねじ133(ばね付きねじ133は、ばね付きねじ133A、ばね付きねじ133B、ばね付きねじ133Cを含む)と、を有する。
【0028】
偏光子131は、光源11からの光を偏光する光学素子であり、平面視が略矩形形状の板状の部材である。偏光子131は、例えば、ガラスにより形成された板材の表面に、金属製のワイヤーを一方向に周期的に並べることにより形成される。
【0029】
偏光子131の厚さは、ばね付きねじ133のねじ部133a(後に詳述)の直径より厚い。例えば、偏光子131の厚さは3mm〜7mm程度である。これにより、ばね付きねじ133が偏光子131の側面を確実に押圧することができる。
【0030】
ホルダ132(保持部材に相当)は、金属により形成され、平面視が略中空矩形形状の板状の部材である。ホルダ132には、孔132aと、凹部132bと、が形成される。凹部132bの底面132cには、偏光子131が載置される。偏光子131で偏光された光は、孔132aを通って下方(−z方向)へ照射される。
【0031】
ばね付きねじ133は、例えば、ねじ部133aと、偏光子131に当接するボール133bと、ボール133bを偏光子131に向けて付勢するコイルばね133c(弾性部材に相当)と、を有するボールプランジャーである。ボール133b及びコイルばね133cは、ねじ部133aの内部に設けられる。
【0032】
2本のばね付きねじ133A、133Bは、壁132dに設けられる。壁132dにはねじ孔(図示せず)が形成され、このねじ孔にねじ部133aが螺合されることにより、ばね付きねじ133A、133Bが壁132dに設けられる。
【0033】
また、1本のばね付きねじ133Cは、壁132eに設けられる。壁132eにはねじ孔(図示せず)が形成され、このねじ孔にねじ部133aが螺合されることにより、ばね付きねじ133Cが壁132eに設けられる。
【0034】
ホルダ132に形成されたねじ孔にねじ部133aが螺合されるため、ばね付きねじ133は、ホルダ132の壁132d、132eの法線方向に移動可能である(
図4、5の太矢印参照)。
【0035】
ばね付きねじ133A、133Bは、偏光子131の側面131aに当接する。ばね付きねじ133A、133Bのコイルばね133cは、ボール133bを介して、偏光子131の側面131aと対向する側面131bを、壁132fに向けて付勢する(
図4、5の矢印参照)。ばね付きねじ133A、133Bは、側面131bを壁132fに向けて付勢するときに偏光子131の回転を防止するため、側面131aの両端近傍をそれぞれ押圧する。なお、側面131aの両端近傍は、
図4に示す位置に限られない。
【0036】
ばね付きねじ133Cは、偏光子131の側面131aに隣接する側面131cに当接する。ばね付きねじ133Cのコイルばね133cは、ボール133bを介して偏光子131の側面131cと対向する側面131dを、壁132gに向けて付勢する(
図4の矢印参照)。
【0037】
このように、偏光子131には、コイルばね133cにより、側面131a、側面131cに、偏光子131の厚さ方向(z方向)と直交する方向(x方向又はy方向)の力が付勢される。これにより、偏光子131がホルダ132に設けられる。
【0038】
壁132fと壁132gとは隣接し、壁132fはx方向と平行であり、壁132gはy方向と平行である。コイルばね133cにより、偏光子131が壁132f、132gに押圧されることで、xy平面と平行な平面上において、ホルダ132に対して偏光子131が位置決めされる。
【0039】
本実施の形態によれば、偏光子131をホルダ132の壁132f、132gに押圧することで、偏光子131をホルダ132に設けつつ、熱膨張による不具合を防ぐことができる。
【0040】
従来のように偏光子131をホルダ132に接着する場合には、熱膨張による寸法変化が偏光子131とホルダ132とで異なることが原因で、偏光子131が割れてしまうおそれがある。それに対し、本実施の形態では、弾性部材を用いて偏光子131をホルダ132に設けるため、偏光子131が割れてしまうことを防止することができる。
【0041】
また、例えば、
図6に示すように、板ばね134を用いて偏光子131を底面132cに付勢する(−z方向に押圧する)ことで偏光子131をホルダ132に設ける偏光子ユニット130も考えられる。この場合には、偏光子131が割れてしまうおそれは小さい。ただし、偏光子131を凹部132b内に設けるためには、偏光子131が熱膨張することを見込んで、凹部132bの大きさを偏光子131の大きさより大きくする必要がある。そのため、熱膨張と収縮を繰り返すと、
図7に示すように、偏光子131が凹部132b内で回転してしまうおそれがある。
【0042】
それに対し、本実施の形態では、偏光子131の板厚が厚いため、コイルばね133cにより、z方向と直交するx方向又はy方向の力を偏光子131に直接付勢することができる。したがって、xy平面と平行な平面上において、ホルダ132に対して偏光子131を位置決めすることで、熱膨張による寸法変化が偏光子131とホルダ132とで異なる場合でも、偏光子131がホルダ132内で回転(移動を含む。以下同じ)してしまうことを防止できる。
【0043】
なお、本実施の形態では、偏光子131の厚さは、ばね付きねじ133のねじ部133aの直径より厚いが、偏光子131の厚さはこれに限られない。例えば、偏光子131の厚さは、ばね付きねじ133のボール133bが当接可能、かつコイルばね133cが力を付勢可能な厚さであればよい。
【0044】
また、本実施の形態では、側面131bを壁132fに押圧し、側面131dを壁132gに押圧することで偏光子131の回転を防止したが、偏光子131の回転を防止するためには、少なくとも側面131bを壁132fに押圧すればよい。
【0045】
また、偏光子131を任意の角度に回転させた状態で、側面131bを壁132fに押圧することもできる。
図8は、変形例にかかる偏光子ユニット13Aの概略を示す平面図である。
【0046】
ばね付きねじ133A、133Bが壁132dに設けられ、ばね付きねじ133Dが壁132fに設けられる。ばね付きねじ133A、133Bは、壁132dに対して移動可能であり、ばね付きねじ133Dは、壁132fに対して移動可能である(
図8の太矢印参照)。ばね付きねじ133Dの構成は、ばね付きねじ133A、133Bと同様である。
【0047】
まず、ばね付きねじ133Dのy方向の位置を調整し、次に、ばね付きねじ133A、133Bのy方向の位置をそれぞれ調整する。これにより、偏光子131を任意の角度に回転させることができる。
【0048】
ばね付きねじ133A、133Bのコイルばね133cにより、偏光子131には−y方向の力が付勢される。これにより、偏光子131を任意の角度に回転させた状態で、側面131bが壁132fに押圧される。
【0049】
<第2の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、コイルばね133cを有するばね付きねじ133を用いて偏光子131の側面に力を付勢したが、偏光子131の側面に力を付勢する弾性部材はこれに限られない。
【0050】
第2の実施の形態は、板ばねを用いて偏光子の側面に力を付勢する形態である。以下、第2の実施の形態の偏光光照射装置について説明する。第1の実施の形態の偏光光照射装置1と、第2の実施の形態の偏光光照射装置との差異は、偏光照射部のみであるため、以下偏光照射部についてのみ説明する。また、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0051】
図9は、第2の実施の形態の偏光照射部10Aにおける偏光子ユニット13Bの概略を示す平面図である。
図10は、偏光子ユニット13Bの概略を示す断面図である。
【0052】
偏光照射部10Aは、主として、光源11と、特定波長透過フィルター12と、偏光子ユニット13Bと、ベース部材14と、を有する。また、偏光子ユニット13Bは、主として、偏光子131と、ホルダ132と、板ばね135と、を有する。
【0053】
板ばね135は、金属製の板材を折り曲げて形成される。板ばね135は、壁132dに設けられ、偏光子131の側面131aに当接する。板ばね135は、側面131bを壁132fに向けて付勢する。板ばね135は、側面131aを回転させず、均等に力を付勢できるように、幅広の板材を用いて形成される。
【0054】
なお、板ばね135の幅は
図9に示す場合に限られない。また、側面131aの両端近傍をそれぞれ押圧する2つの板ばねを設けてもよい。また、偏光子131の板厚は、板ばね135が当接可能な厚さであればよい。
【0055】
本実施の形態によれば、偏光子131を壁132fに押圧することで、熱膨張や収縮により、偏光子131がホルダ132に対して回転することを防止することができる。
【0056】
<第3の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、コイルばね133cを有するばね付きねじ133を用いて偏光子131をホルダ132に対して位置決めしたが、ホルダ132は必須ではない。例えば、
図2の点線で示すように、偏光子ユニット13を1つの光源11に対して2つ設ける場合には、偏光子ユニット13、すなわち偏光子131が設けられたホルダ132を、ベース部材14上にy方向に並べて2つ設けるが、ホルダ132を用いず、ベース部材14に偏光子131を直接設けてもよい。
【0057】
第3の実施の形態は、ベース部材に偏光子を直接設ける形態である。以下、第3の実施の形態の偏光光照射装置について説明する。第1の実施の形態の偏光光照射装置1と、第3の実施の形態の偏光光照射装置との差異は、偏光照射部のみであるため、以下第3の実施の形態の偏光照射部についてのみ説明する。また、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0058】
図11は、第3の実施の形態の偏光照射部10Bにおける偏光子ユニット13Cの概略を示す斜視図である。
【0059】
偏光照射部10Bは、主として、光源11と、特定波長透過フィルター12と、偏光子ユニット13Cと、を有する。また、偏光子ユニット13Cは、主として、偏光子131と、ばね付きねじ133と、ベース部材136と、を有する。
【0060】
ベース部材136(保持部材に相当)は、金属の板材で形成される。ベース部材136には、壁136a、136bと、孔136cと、が形成される。ベース部材136には、孔136cを覆うように、偏光子131が載置される。
【0061】
2本のばね付きねじ133は、壁136bに設けられる。壁136bにはねじ孔(図示せず)が形成され、このねじ孔にねじ部133aが螺合されることにより、ばね付きねじ133が、x方向に移動可能に設けられる。
【0062】
ばね付きねじ133は、偏光子131の側面131dに当接する。ばね付きねじ133のコイルばね133cは、ボール133bを介して、偏光子131の側面131dと対向する側面131cを、壁136aに向けて付勢する。ばね付きねじ133は、xy平面上における偏光子131の回転を防止するため、側面131dの両端近傍をそれぞれ押圧する。
【0063】
本実施の形態によれば、偏光子131を壁136aに押圧することで、熱膨張や収縮により、偏光子131がベース部材136に対して回転することを防止することができる。
【0064】
なお、第3の実施の形態についても、第1の実施の形態の変形例と同様に、壁136aにもばね付きねじ133を設けることで、偏光子131を任意の角度に回転させた状態で、側面131cを壁136aに押圧することもできる。また、第3の実施の形態についても、第2の実施の形態と同様に、板ばねを用いて偏光子131を壁136aに付勢することもできる。
【0065】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0066】
また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、略中央とは、厳密に中央の場合には限られない。また、例えば、単に平行、直交等と表現する場合において、厳密に平行、直交等の場合のみでなく、略平行、略直交等の場合を含むものとする。また、本発明において「近傍」とは、例えばAの近傍であるときに、Aの近くであって、Aを含んでもいても含んでいなくてもよいことを示す概念である。