特許第6578077号(P6578077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6578077パーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流方法、及びパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流基地
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6578077
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】パーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流方法、及びパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流基地
(51)【国際特許分類】
   C10L 5/44 20060101AFI20190909BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20190909BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   C10L5/44
   B09B5/00 Z
   B65G1/137 A
【請求項の数】17
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2019-23985(P2019-23985)
(22)【出願日】2019年2月13日
【審査請求日】2019年3月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浜田 航綺
(72)【発明者】
【氏名】田原 裕太
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 秀幸
【審査官】 齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/014028(WO,A1)
【文献】 特表2017−501050(JP,A)
【文献】 特開2014−136714(JP,A)
【文献】 特開2001−225918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G1/00−99/00
B09B1/00−5/00
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流方法であって、
出荷可能なパーム椰子殻を含むバイオマス燃料である製品燃料の、原料となる、パーム椰子殻を含むバイオマス燃料である加工前燃料を、供給元から受け入れる工程(a)と、
前記工程(a)で受け入れた前記加工前燃料に対して分離処理を施して、パーム椰子殻の繊維部を取り除く工程(b)と、
前記工程(b)で得られたバイオマス燃料が、出荷可能臭気よりも高い臭気を示す受入品燃料であるか前記出荷可能臭気以内の臭気を示す前記製品燃料であるかを判定する工程(c)と、
前記受入品燃料に対して所定の消臭処理を実行することで前記製品燃料を生成する工程(d)と、
前記製品燃料の保管先を、当該製品燃料の品質に応じて複数の製品置場の中から特定すると共に、特定された前記製品置場に前記製品燃料を保管する工程(e)と、
前記製品置場に保管されている前記製品燃料を、出荷先に出荷する工程(f)を有することを特徴とする、パーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流方法。
【請求項2】
前記工程(f)は、
前記出荷先の要求に応じた品質基準を満たす前記製品燃料が保管されている1以上の前記製品置場を特定する工程(f1)と、
前記工程(f1)で特定された前記製品置場に保管されている前記製品燃料を、前記出荷先に出荷する工程(f2)を有することを特徴とする、請求項1に記載のパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流方法。
【請求項3】
前記工程(f)は、
前記製品燃料の少なくとも一部を抽出する工程(f3)と、
前記工程(f3)で抽出された前記製品燃料に対して、発熱量及び/又は所定の化学成分に関する分析を行う工程(f4)と、
前記工程(f4)の分析結果に基づき、前記製品燃料の含有アルカリ金属量、含有塩素量、含有水分量、及び発熱量からなる群から選択される1つ以上の指標が属する範囲によって、前記製品燃料の品質を特定する工程(f5)と、
前記工程(f5)において特定された前記製品燃料の品質が、前記出荷先の要求に応じた品質基準を満たすことを確認する工程(f6)を有することを特徴とする、請求項1に記載のパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流方法。
【請求項4】
前記工程(f)は、
前記出荷先の要求に応じた品質基準を満たす前記製品燃料が保管されている1以上の前記製品置場を特定する工程(f1)と、
前記工程(f1)で特定された前記製品置場に保管されている前記製品燃料を、前記出荷先に出荷する工程(f2)を有し、
前記工程(f3)は、前記工程(f1)で特定された前記製品置場に保管されている前記製品燃料の少なくとも一部を抽出する工程を含むことを特徴とする、請求項3に記載のパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流方法。
【請求項5】
前記工程(d)における前記所定の消臭処理は、前記受入品燃料に対する、パーム椰子以外の樹種の木質チップ又は木質ペレットとの混合処理、消臭剤の散布処理、及び常温の大気の通気処理から選択される1つ以上の処理であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流方法。
【請求項6】
前記工程(c)は、
前記工程(b)で得られた前記バイオマス燃料の少なくとも一部を抽出する工程(c1)と、
前記工程(c1)で抽出された前記バイオマス燃料に対して、臭気測定を行う工程(c2)と、
前記工程(c2)の測定結果が属する範囲に基づき、前記バイオマス燃料が示す臭気が前記出荷可能臭気以内であるか否かを特定する工程(c3)を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流方法。
【請求項7】
前記工程(c)は、前記工程(c3)において前記バイオマス燃料が示す臭気が前記出荷可能臭気を超える場合には、前記バイオマス燃料が前記受入品燃料であると判定して、前記製品置場とは別の受入品置場に保管する工程(c4)を有することを特徴とする、請求項6に記載のパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流方法。
【請求項8】
前記工程(e)は、
前記製品燃料の少なくとも一部を抽出する工程(e1)と、
前記工程(e1)で抽出された前記製品燃料に対して、発熱量及び/又は所定の化学成分に関する分析を行う工程(e2)と、
前記工程(e2)の分析結果に基づき、前記製品燃料の含有アルカリ金属量、含有塩素量、含有水分量、及び発熱量からなる群から選択される1つ以上の指標が属する範囲によって、前記製品燃料の品質を特定する工程(e3)を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流方法。
【請求項9】
前記工程(a)は、前記供給元から、陸送又は海送によって運搬された前記加工前燃料を受け入れる工程を含み、
前記工程(f)は、前記製品燃料を、陸送又は海送によって前記出荷先に運搬する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流方法。
【請求項10】
前記工程(a)は、物流基地に対して、前記供給元としてのパーム椰子殻供給地又は第一物流基地から、前記加工前燃料を受け入れる工程を含み、
前記工程(f)は、前記物流基地から、前記出荷先としてのバイオマス燃料需要地又は第二物流基地に対して、前記製品燃料を出荷する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流方法。
【請求項11】
パーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流基地であって、
出荷可能なパーム椰子殻を含むバイオマス燃料である製品燃料を、出荷先に出荷するための出荷設備と、
前記製品燃料の原料となる、パーム椰子殻を含むバイオマス燃料である加工前燃料を、供給元から受け入れる受入設備と、
前記加工前燃料からパーム椰子殻の繊維部を除去するための分離設備と、
前記分離設備によって前記加工前燃料から前記繊維部が除去されたパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の臭気を測定する臭気測定設備と、
前記臭気測定設備によって測定された臭気が出荷可能臭気よりも高い臭気を示す前記バイオマス燃料である、受入品燃料に対して所定の消臭処理を施して、前記出荷可能臭気以内の臭気を示す前記製品燃料を生成するための消臭処理設備と、
前記臭気測定設備によって測定された臭気が前記出荷可能臭気以内の臭気である、又は、前記消臭処理が施されることで前記出荷可能臭気以内の臭気に抑制された前記製品燃料を品質別に保管する製品置場とを有することを特徴とする、パーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流基地。
【請求項12】
前記製品置場とは別に、前記受入品燃料を保管する受入品置場を有することを特徴とする、請求項11に記載のパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流基地。
【請求項13】
前記製品置場に保管可能な前記製品燃料の量と、前記受入品置場に保管可能な前記受入品燃料の量との合計が、5千t以上であることを特徴とする、請求項12に記載のパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流基地。
【請求項14】
前記消臭処理設備が、前記受入品燃料に対してパーム椰子以外の樹種からなる木質チップ又は木質ペレットを混合する混合設備、前記受入品燃料に対して消臭剤を散布する散布設備、前記受入品燃料に対して常温大気を通気させる通気設備のいずれか一つ以上を備えていることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか1項に記載のパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流基地。
【請求項15】
前記製品燃料に対して、発熱量及び/又は所定の化学成分に関する分析を行う分析設備を有することを特徴とする、請求項11〜14のいずれか1項に記載のパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流基地。
【請求項16】
海岸部に設置された港湾荷役設備を有し、
前記港湾荷役設備が前記出荷設備及び前記受入設備を構成することを特徴とする、請求項11〜15のいずれか1項に記載のパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流基地。
【請求項17】
前記受入設備は、船舶又は運搬車両によって、前記供給元としてのパーム椰子殻供給地又は他の第一物流基地から搬送された、前記加工前燃料、前記受入品燃料、又は前記製品燃料を受け入れる機能を有し、
前記出荷設備は、船舶又は運搬車両によって、前記出荷先としてのバイオマス燃料需要地又は他の第二物流基地に対して、前記加工前燃料、前記受入品燃料、又は前記製品燃料を出荷する機能を有することを特徴とする、請求項11〜16のいずれか1項に記載のパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流基地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流方法、及びその方法を実施するための物流基地に関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギー特別措置法の施行などにより、再生可能エネルギーである樹木の幹や枝、切削チップ、バークチップ、おが粉、樹皮、建築廃材等のバイオマスを、発電用ボイラやセメントクリンカ焼成装置の代替燃料として使用する技術開発が進められている。特に、数量安定性や発熱量の観点から、マレーシアやインドネシアにおけるパーム油産業由来のバイオマスの利用が積極的に進められている。
【0003】
パーム椰子殻(Palm Kernel Shell、以後、「PKS」と呼ぶ場合もある。)は、パーム油産業の副産物として年間1千万t以上発生することに加え、4000Kcal/kg以上の高い発熱量を有し、且つ焼成した際の灰分量が少ないという再生可能資源として望ましい特徴を有することから、バイオマス燃料として積極的な利用が進められている。
【0004】
一方で、PKSにはカプリル酸やカプリン酸等の低級脂肪酸をはじめとした多種多量の脂肪酸が含まれているため、PKSを大量に扱う場合には臭気対策が必要となる。例えば、下記特許文献1には、発電設備から発生する抽気蒸気を使用して80℃以上の温度で加熱処理した後、貯蔵することを特徴とするパーム椰子種子殻の貯蔵方法が開示されている。また、下記特許文献2には、115℃以上での熱処理工程を含む、パーム椰子種子殻の全含水率を7〜15質量%に調整し、更に含油率をPKS1gあたり10mg以下に調整する取扱方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−43335号公報
【特許文献2】特開2016−93790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1又は特許文献2に開示されている方法は、PKSの消臭処理のために貯蔵場所や処理場所等において熱源を必須とするものであり、PKSのバイオマス燃料への利用を図る上で制約が生じることとなる。また、PKSを、需要者に対して安定供給する上での抜本的な対策技術ではない。
【0007】
本発明は、臭気の問題を含むPKSの物流上の課題に鑑みたものであり、特に、所定の品質特性を有するパーム椰子殻を含むバイオマス燃料を需要者に対して安定的に供給することのできる方法を提供することを目的とする。また、本発明は、かかる方法を実現するための物流拠点(以下、「物流基地」と呼ぶ。)であって、需要地の近郊に設置することができるようPKSの不快臭の発生を抑制する機能を備えた物流基地を提供することを目的とする。
【0008】
なお、本発明における、パーム椰子殻(PKS)を含むバイオマス燃料とは、パーム油産業由来の木質バイオマスであるPKSを、50質量%以上含む木質バイオマス燃料を指す。このPKSを含むバイオマス燃料において、PKS以外の混在物としては、例えば、パーム樹幹(Oil Palm Trunk、OPT)、茎葉(Oil Palm Fronds、OPF)、空果房(Empty Fruit Bunch、EFB)等のPKS以外のパーム油産業由来の木質バイオマスや、後述するように本発明のバイオマス燃料の物流方法において消臭の一方法としてPKSと混合された、パーム椰子以外の樹種の木質チップ又は木質ペレットが挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、パーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流方法であって、
出荷可能なパーム椰子殻を含むバイオマス燃料である製品燃料の、原料となる、パーム椰子殻を含むバイオマス燃料である加工前燃料を、供給元から受け入れる工程(a)と、
前記工程(a)で受け入れた前記加工前燃料に対して分離処理を施して、パーム椰子殻の繊維部を取り除く工程(b)と、
前記工程(b)で得られたバイオマス燃料が、出荷可能臭気よりも高い臭気を示す受入品燃料であるか前記出荷可能臭気以内の臭気を示す前記製品燃料であるかを判定する工程(c)と、
前記受入品燃料に対して所定の消臭処理を実行することで前記製品燃料を生成する工程(d)と、
前記製品燃料の保管先を、当該製品燃料の品質に応じて複数の製品置場の中から特定すると共に、特定された前記製品置場に前記製品燃料を保管する工程(e)と、
前記製品置場に保管されている前記製品燃料を、出荷先に出荷する工程(f)を有することを特徴とする。
【0010】
上記方法によれば、臭気の強さが様々な程度で搬入されて来るパーム椰子殻(PKS)を含むバイオマス燃料(以後、「加工前燃料」と呼ぶ。)を、一箇所で受入れると共に、臭気の強さに応じて適当な処理が施されて消臭された後、燃料としての品質に応じて異なる保管場所に保管される。なお、ここでいう「加工前燃料」とは、パーム椰子殻の繊維部を取り除く前の状態のPKSを含むバイオマス燃料を指す。
【0011】
例えば、パーム油の収量が多くなるようにパーム椰子の果実に占める内果皮(Endocarp)の割合を小さく、そして中果皮(Mesocarp)の割合が大きくなるように品種改良されたTenera種(主な産地はマレーシア)は臭気が強く、一方、Tenera種に対して相対的に果実に占める内果皮の割合が大きく、中果皮の割合が小さいDura種(主な産地はインドネシア)は臭気が弱いとされる。また、加工前燃料は、油分の酸化等による自己発熱を生じるために、海送時の船倉内の温度が90℃程度になる。90℃前後の温度環境であれば、臭気の原因となる雑菌を失活させることが可能であるが、船倉内の湿度が高い場合にはかかる雑菌の失活が不充分となる。
【0012】
工程(a)において、マレーシアやインドネシアなどのパーム椰子殻供給地や、他のバイオマス燃料の物流基地から搬入された加工前燃料は、まず工程(b)において、分離処理を受ける。この分離処理によって、加工前燃料に含まれるPKSは、臭気の強さの程度が弱い殻部と、臭気の強さの程度が強いひげ状の繊維部とに分離される。
【0013】
分離されたPKSの殻部からなるPKSを含むバイオマス燃料(以後、「PKS燃料」と呼ぶことがある。)は、そのまま需要者に向けて出荷できる程度の臭気(以下、「出荷可能臭気」という。)を示すものと、出荷可能臭気を満たさないためにそのままでは出荷することができず、消臭処理が必要なものが想定される。このような臭気の強さの違いは、PKSを副産したパーム椰子の品種や、受け入れ工程(a)までに加工前燃料が経てきた保管環境の温湿度条件などに起因する。本明細書では、工程(b)を経た後のPKS燃料のうち、前者のように出荷可能臭気以内の臭気を示す燃料を「製品燃料」と呼び、後者のように出荷可能臭気よりも高い臭気を示す燃料を「受入品燃料」と呼ぶ。
【0014】
繊維部が分離(除去)されたPKS燃料は、工程(c)において臭気の高低に応じて、受入品燃料であるか製品燃料であるかが判定される。
【0015】
工程(c)において受入品燃料と判定されたPKS燃料は、工程(d)において所定の消臭処理が施され、出荷可能臭気以内の臭気を示す製品燃料となる。このように本発明の物流方法によれば、加工前燃料を受け入れて保管する機能を有する基地(物流基地)内において、消臭処理を行うことができるため、パーム椰子殻供給地等の供給元から搬入されてきた加工前燃料に対して繊維部が分離されてなるPKS燃料が、出荷可能臭気を満足しない場合であっても、出荷可能な程度に臭気が抑制された状態の燃料(製品燃料)に変換することが可能である。
【0016】
なお、工程(d)は、工程(c)において受入品燃料として判定されたPKS燃料に限らず、工程(a)において受け入れた時点で既に繊維部が取り除かれており、且つ出荷可能臭気よりも高い臭気であること、すなわち受入品燃料であることが予め把握できているPKS燃料についても、実行されるものとして構わない。
【0017】
製品燃料は、工程(e)において品質に応じた保管先(製品置場)に保管される。このため、需要者側から、特定の品質(以下、「要求品質」という。)の製品燃料が注文された場合であっても、当該要求品質を満たす製品燃料の物流基地内の在庫量を、短時間で認識することが可能である。そして、仮に在庫量が需要量を下回っている場合であっても、受入品置場内には消臭処理前の受入品燃料が保管されており、上述したように物流基地内において消臭処理をして製品燃料を生成することができるため、これにより需要量を賄うことができる。このように、必要に応じて受入品燃料に対して消臭処理が施された上で、製品燃料が出荷先に向けて出荷される(工程(f))。
【0018】
なお、工程(e)で製品置場に保管される対象となる製品燃料は、以下の(i)〜(iii)のいずれか一つを含むものとして構わない。
(i)工程(c)において製品燃料であると判定されたPKS燃料;
(ii)工程(d)において消臭処理が施された結果、製品燃料に変換されたPKS燃料;
(iii)工程(a)において受け入れた時点で既に繊維部が取り除かれており、且つ出荷可能臭気以内の臭気であること、すなわち製品燃料であることが予め把握できているPKS燃料。
【0019】
以上説明したように、本発明の物流方法によれば、燃料を受け入れて保管する基地内において必要に応じて消臭処理が実行されるため、例えば市街地の近郊といった、臭気の問題が生じやすい場所であっても燃料の保管が可能となる。また、予め臭気の高低に応じてPKS燃料を製品燃料と受入品燃料とに分類し、受入品燃料と判定されたPKS燃料に対してのみ消臭処理を施す態様とすることができる。これにより、消臭処理を実現するための設備として、大掛かりな設備が不要となる。
【0020】
従って、本発明の物流方法によれば、PKS燃料の物流拠点(物流基地)を柔軟に構築することが可能となり、PKSの利用を推進することができる。
【0021】
なお、前記工程(b)において分離されたPKSの繊維部は、本発明の物流方法における製品燃料には含まれない。かかるPKSの繊維部は、加熱による消臭処理等を本発明の物流基地とは異なる設備で施された後に、そのままの態様か、又はペレット状バイオマス燃料のバインダー等に利用されて、別途バイオマス燃料として活用しても構わない。
【0022】
前記工程(d)における前記所定の消臭処理は、前記受入品燃料に対する、パーム椰子以外の樹種の木質チップ又は木質ペレットとの混合処理、消臭剤の散布処理、及び常温の大気の通気処理から選択される1つ以上の処理であるものとして構わない。パーム椰子以外の樹種の木質チップ又は木質ペレットとしては、例えば、スギ、ヒノキ、カラマツ、アカマツ、サクラ等の消臭効果を有する樹種の木質チップ又は木質ペレットを採用することができる。
【0023】
上記の方法によれば、別途の熱源を用いることなく、出荷可能臭気よりも高い臭気を示す受入品燃料に対して消臭処理を施して、出荷可能臭気以内の臭気を示す製品燃料を生成することができるため、消臭処理を実行するために大掛かりな設備が不要となる。
【0024】
前記工程(f)は、
前記出荷先の要求に応じた品質基準を満たす前記製品燃料が保管されている1以上の前記製品置場を特定する工程(f1)と、
前記工程(f1)で特定された前記製品置場に保管されている前記製品燃料を、前記出荷先に出荷する工程(f2)を有するものとしても構わない。
【0025】
なお、需要者からの注文に対応するため、工程(c)で判定された製品燃料や、工程(d)で消臭処理を介して生成された製品燃料、又は、工程(a)で受け入れた製品燃料を、製品置場に保管することなくそのまま出荷したい場合もある。そして、このとき、出荷される製品燃料が需要者の要求品質を満足しているかどうかを確認したい場合がある。
【0026】
このような場合のために、
前記工程(f)は、
前記製品燃料の少なくとも一部を抽出する工程(f3)と、
前記工程(f3)で抽出された前記製品燃料に対して、発熱量及び/又は所定の化学成分に関する分析を行う工程(f4)と、
前記工程(f4)の分析結果に基づき、前記製品燃料の含有アルカリ金属量、含有塩素量、含有水分量、及び発熱量からなる群から選択される1つ以上の指標が属する範囲によって、前記製品燃料の品質を特定する工程(f5)と、
前記工程(f5)において特定された前記製品燃料の品質が、前記出荷先の要求に応じた品質基準を満たすことを確認する工程(f6)を有するものとしても構わない。
【0027】
ところで、上述したように、製品燃料は、品質に応じて異なる製品置場に保管される。このため、各製品置場に保管されている製品燃料は、当該製品置場が想定している品質を満たしていることが前提となる。よって、需要者の要求品質を満たす品質に対応した製品置場に保管されている製品燃料を出荷することで、通常は需要者の要求品質を満たすことが予想される。しかしながら、製品置場から製品燃料を取り出して出荷する場合であっても、保管期間中の吸湿等による品質変化の可能性もあることから、出荷の前に、製品燃料の品質が需要者の要求品質を満たしていることを念の為に確認しておきたい場合も想定される。
【0028】
このような場合のために、
前記工程(f)は、
前記出荷先の要求に応じた品質基準を満たす前記製品燃料が保管されている1以上の前記製品置場を特定する工程(f1)と、
前記工程(f1)で特定された前記製品置場に保管されている前記製品燃料を、前記出荷先に出荷する工程(f2)と、
上述した前記工程(f3)〜(f6)とを有し、
前記工程(f3)は、前記工程(f1)で特定された前記製品置場に保管されている前記製品燃料の少なくとも一部を抽出する工程を含むものとしても構わない。
【0029】
なお、前記工程(c)は、
前記工程(b)で得られた前記バイオマス燃料の少なくとも一部を抽出する工程(c1)と、
前記工程(c1)で抽出された前記バイオマス燃料に対して、臭気測定を行う工程(c2)と、
前記工程(c2)の測定結果が属する範囲に基づき、前記バイオマス燃料が示す臭気が前記出荷可能臭気以内であるか否かを特定する工程(c3)を有するものとしても構わない。
【0030】
工程(c2)は、例えばにおいセンサーなどの臭気測定設備を使って、抽出されたバイオマス燃料(PKS燃料)の臭気を測定する工程とすることができる。
【0031】
更に、前記工程(c)は、前記工程(c3)において前記バイオマス燃料が示す臭気が前記出荷可能臭気を超える場合には、前記バイオマス燃料が前記受入品燃料であると判定して、製品置場とは別の受入品置場に保管する工程(c4)を有するものとしても構わない。この場合、消臭処理に係る工程(d)は、受入品置場に保管されている受入品燃料に対して実行されるものとしても構わない。
【0032】
前記工程(e)は、
前記製品燃料の少なくとも一部を抽出する工程(e1)と、
前記工程(e1)で抽出された前記製品燃料に対して、発熱量及び/又は所定の化学成分に関する分析を行う工程(e2)と、
前記工程(e2)の分析結果に基づき、前記製品燃料の含有アルカリ金属量、含有塩素量、含有水分量、及び発熱量からなる群から選択される1つ以上の指標が属する範囲によって、前記製品燃料の品質を特定する工程(e3)を有するものとしても構わない。
【0033】
前記工程(a)は、前記供給元から、陸送又は海送によって運搬された前記加工前燃料を受け入れる工程を含み、
前記工程(f)は、前記製品燃料を、陸送又は海送によって前記出荷先に運搬する工程を含むものとしても構わない。
【0034】
この場合において、前記供給元は、パーム椰子殻供給地、又は工程(a)において加工前燃料を受け入れる物流基地とは異なる第一物流基地であり、前記出荷先は、バイオマス燃料需要地、又は前記物流基地とは異なる第二物流基地であるものとしても構わない。
【0035】
本発明は、パーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流基地であって、
出荷可能なパーム椰子殻を含むバイオマス燃料である製品燃料を、出荷先に出荷するための出荷設備と、
前記製品燃料の原料となる、パーム椰子殻を含むバイオマス燃料である加工前燃料を、供給元から受け入れる受入設備と、
前記加工前燃料からパーム椰子殻の繊維部を除去するための分離設備と、
前記分離設備によって前記加工前燃料から前記繊維部が除去されたパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の臭気を測定する臭気測定設備と、
前記臭気測定設備によって測定された臭気が出荷可能臭気よりも高い臭気を示す前記バイオマス燃料である、受入品燃料に対して所定の消臭処理を施して、前記出荷可能臭気以内の臭気を示す前記製品燃料を生成するための消臭処理設備と、
前記臭気測定設備によって測定された臭気が前記出荷可能臭気以内の臭気である、又は、前記消臭処理が施されることで前記出荷可能臭気以内の臭気に抑制された前記製品燃料を品質別に保管する製品置場とを有することを特徴とする。
【0036】
上記構成のパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流基地によれば、PKSを含むバイオマス燃料の供給を安定化させるための貯蔵基地兼出荷基地が実現される。需要者から要求される前記バイオマス燃料の品質は、臭気が充分に抑制されていることは前提の上で、当該需要者の利用状況に依存して異なることが予想される。このため、複数の需要者からの種々の要求品質を満足する製品燃料を、貯蔵し、且つ出荷可能にしておくことが望ましい。本発明のパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流基地によれば、臭気が抑制された状態の燃料(製品燃料)が、品質別に保管されているため、需要者からの要求品質を満足する製品燃料を特定することが容易である。
【0037】
また、仮に需要者からの要求品質を満足する製品燃料の在庫量が、需要量に対して不足していた場合、例えば受入品燃料に対して消臭処理を施すことで製品燃料を生成したり、複数の近郊の物流基地と連携することによって、要求品質を満足する製品燃料の所定量を確保することができ、これによって、需要量を賄うことが可能である。
【0038】
前記物流基地は、前記製品置場とは別に、前記受入品燃料を保管する受入品置場を有するものとしても構わない。この場合、前記製品置場に保管可能な前記製品燃料の量と、前記受入品置場に保管可能な前記受入品燃料の量との合計は、5千t以上であるのが好ましく、1万t以上であるのがより好ましく、2万t以上であるのが特に好ましい。このパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の貯蔵能力によって、例えば、75MW級バイオマス発電ボイラにおける数日分の必要燃料を在庫することができる。
【0039】
前記臭気測定設備は、連続測定が可能な設備であっても構わない。
【0040】
本発明のパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流基地は、臭気測定設備を有するため、PKS燃料が発する臭気の強さを、加工前燃料からPKSの繊維部を除去した後にリアルタイムに特定できる。これにより、パーム椰子殻の繊維部を除去した後のPKS燃料の保管先を、製品置場と受入品置場との間で適切に指定できる。特に、多量の入荷ロットを受入れた場合、前記の通り、船倉内の保管箇所によってPKS燃料の臭気の強さは異なることから、同一受入ロットのPKS燃料であっても臭気の強さはばらつきを有するため、搬入されたPKS燃料の臭気の強さを連続的に測定できることが望ましい。
【0041】
前記消臭処理設備が、前記受入品燃料に対してパーム椰子以外の樹種からなる木質チップ又は木質ペレットを混合する混合設備、前記受入品燃料に対して消臭剤を散布する散布設備、前記受入品燃料に対して常温大気を通気させる通気設備のいずれか一つ以上を備えるものとしても構わない。
【0042】
これらの消臭処理設備によれば、出荷可能臭気を満足しない受入品燃料を、別途の熱源を有することなく、出荷可能臭気を満足する製品燃料に変換することができる。
【0043】
前記パーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流基地は、前記製品燃料に対して、発熱量及び/又は所定の化学成分に関する分析を行う分析設備を有するものとしても構わない。
【0044】
かかる構成によれば、物流基地内で製品燃料に対して分析が行え、各製品燃料が有する品質を特定することができる。これにより、製品燃料の保管先となる製品置場を適切に指定することができる。更に、本発明のパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流基地が、分析設備を備えることで、船舶やトラック等の輸送手段への荷積み品、すなわち前記製品置場に保管されている製品燃料の品質を確認しながら、又は荷積み品の品質を確認後に出荷することが可能となり、需要者の要求品質を満足しない製品燃料の出荷を防止することができる。
【0045】
なお、前記製品置場に搬送される製品燃料に対して分析を行う分析設備、及び前記製品置場に保管されている製品燃料に対して分析を行う分析設備は、共通の設備としても構わないし、それぞれ別々の設備としても構わない。
【0046】
前記受入設備は、パーム椰子以外の樹種の木質チップ又は木質ペレットを受け入れる機能を有するものとしても構わないし、また、前記受入品置場は、パーム椰子以外の樹種の木質チップ又は木質ペレットを保管する機能を有するものとしても構わない。
【0047】
これによって、物流基地において、受入品燃料にパーム椰子以外の樹種の木質チップ又は木質ペレットを混合することが可能になり、仮にPKS燃料が出荷可能臭気よりも高い臭気を示していた場合であっても、出荷可能臭気まで抑制することができる。
【0048】
前記パーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流基地は、海岸部に設置された港湾荷役設備を有し、かかる港湾荷役設備が前記出荷設備及び前記受入設備を構成するものとしても構わない。
【0049】
前記受入設備は、船舶又は運搬車両によって、前記供給元としてのパーム椰子殻供給地又は第一物流基地から搬送された、前記加工前燃料、前記受入品燃料、又は前記製品燃料を受け入れる機能を有し、
前記出荷設備は、船舶又は運搬車両によって、前記出荷先としてのバイオマス燃料需要地又は第二物流基地に対して、前記加工前燃料、前記受入品燃料、又は前記製品燃料を出荷する機能を有するものとしても構わない。
【0050】
これによって、一箇所の物流基地において需要者からの注文量に対応できない場合に、隣接した他の物流基地が保管する製品燃料を混載することが可能になり、需要者への効率的な製品燃料の供給が可能になる。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、不快な臭気が抑制され、適当な品質を有するパーム椰子殻を含むバイオマス燃料を、安定的に供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明に係るパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流基地の一実施形態の構成を模式的に示すブロック図である。
図2】本発明に係るパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流方法の処理の流れを模式的に示すフローチャートである。
図3図2内のステップS40に含まれる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4】消臭処理設備の構成の一例を模式的に示すブロック図である。
図5図2内のステップS60に含まれる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6図2内のステップS70に含まれる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明に係るパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流方法、及びパーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流基地の実施形態について、適宜図面を参照して説明する。なお、以下では、それぞれを単に「物流方法」、「物流基地」と略記することがある。
【0054】
図1は、本発明に係る物流基地の一実施形態の構成を模式的に示すブロック図である。図2は、本発明に係る物流方法の処理の流れを模式的に示すフローチャートである。
【0055】
図1に示す物流基地1は、受入設備3と、分離設備4と、臭気測定設備5と、受入品置場6と、消臭処理設備7と、製品置場8と、出荷設備9とを有する。図1に示す物流基地1は、図2に示す物流方法を実施するための一態様である。
【0056】
なお、以下の説明では、図2に示すフローチャートに記載された各ステップの符号が適宜参照される。
【0057】
物流基地1は、供給元から搬送された加工前燃料又はPKS燃料を受入設備3において受け入れて保管すると共に、保管されたPKS燃料を出荷設備9から出荷先に出荷する機能を有する。ここで、上述したように、PKS燃料は製品燃料と受入品燃料に分類される。製品燃料とは、パーム椰子殻(PKS)を含むバイオマス燃料であって、臭気が出荷可能臭気以内に抑制されており、出荷できる状態の燃料を指し、受入品燃料とは、臭気が出荷可能臭気を超えているものを指す。また、加工前燃料は、PKS燃料の原料であって、供給元から搬送されて来たままの、繊維部を有するPKSを含むバイオマス燃料を指す。
【0058】
後述するように、加工前燃料は、臭気の強いひげ状の繊維部が付いており、物流基地1内において加工前燃料からこの繊維部が除去される処理が行われる。ただし、繊維部が除去された状態のPKS燃料であっても、依然として出荷可能臭気よりも高い臭気を示す燃料があり、このような燃料が「受入品燃料」に対応する。製品燃料は、加工前燃料から繊維部を除去する処理が行われるのみで出荷可能臭気以内の臭気を示すようになった燃料か、又は、前記受入品燃料に対して消臭処理が施されて出荷可能臭気以内の臭気を示すようになった燃料の両者を含む。
【0059】
上述した、受入品燃料、及び製品燃料を総称して、単に「PKS燃料」と記載されることがある。
【0060】
ここで、加工前燃料の供給元としては、パーム椰子殻供給地40(40A,40B,40C,‥‥)や、物流基地1とは異なるバイオマス燃料の物流基地41(41A,41B,41C,‥‥)が想定される。以下において、物流基地41は、物流基地1と区別するために「第一物流基地41」と称されることがある。
【0061】
なお、第一物流基地41からは、物流基地1に対して燃料の融通を行う目的で、製品燃料が供給される場合があり得る。また、第一物流基地41が、消臭処理を行う機能を有しない場合には、第一物流基地41から物流基地1に対して受入品燃料が供給される場合があり得る。更に、パーム椰子殻供給地40において、後述する繊維部を除去するための設備や、消臭処理を行うための設備を有する場合には、パーム椰子殻供給地40から物流基地1に対して、受入品燃料や製品燃料が供給される場合もあり得る。
【0062】
また、製品燃料の出荷先としては、燃料需要者50(50A,50B,50C,…)や、物流基地1とは異なるバイオマス燃料の物流基地51(51A,51B,51C,‥‥)が想定される。以下において、物流基地51は、物流基地1及び第一物流基地41と区別するために「第二物流基地51」と称されることがある。
【0063】
パーム椰子殻供給地40は、パーム椰子殻を含むバイオマス燃料の供給場所が想定され、具体的には、マレーシアやインドネシア等の東南アジア諸国である。また、第一物流基地41は、物流基地1に対してPKS燃料の融通を行う目的で、加工前燃料、受入品燃料、又は製品燃料を供給する場所が想定されており、具体的には、物流基地1と同様の機能を有している。例えば、第一物流基地41と物流基地1との間におけるPKS燃料の物流は、物流基地間の在庫調整や、大型船での荷役が困難な物流基地への横持ちや、注文量に対して複数の物流基地の在庫量で対応する際の一態様として行われる。
【0064】
燃料需要者50は、PKS燃料(特に製品燃料)の利用が予定されている場所(燃料需要場所)そのもの、又はこの燃料需要場所を有する事業体(企業、自治体など)が想定される。このような燃料需要場所としては、バイオマス発電所が一例として挙げられる。以下では、簡単のため、燃料需要者50が燃料需要場所そのものであるとして説明する。
【0065】
また、第二物流基地51は、PKS燃料が供給される場所が想定されており、具体的には、物流基地1や第一物流基地41と同様の機能を有している。
【0066】
パーム椰子殻は、乾燥することによって4000kcal/kg以上の良好な発熱量を発生し、燃料としての忌避成分である塩素やアルカリの含有量が少なく、且つ年間1千万t以上の発生量がある等、バイオマス燃料として非常に好ましい性質を有している。しかしながら、上記パーム椰子殻供給地40の一例として挙げられるマレーシアやインドネシアでは、一部のパーム椰子殻は現地のパーム油工場等でボイラ燃料として活用されているものの、かなりの量が未利用のまま廃棄されており、貴重な未利用バイオマス資源といえる。
【0067】
なお、本説明における発熱量とは、JIS Z 7302−2「廃棄物固形化燃料−第2部:発熱量試験方法」記載の真発熱量(低位発熱量)をいう。
【0068】
上記パーム椰子殻は、核(Kernel)を包む内果皮(Endocarp)、いわゆる種の殻であり、パーム椰子殻供給地40において内部の核を取り出す工程を経ているために半分程度に砕けている、粒径が5mm〜40mmの、相応の機械的強度を有する植物繊維の集合体である。従って、ペレット等に加工して機械的強度を付与する必要は無く、有姿で利用可能な木質バイオマス燃料である。
【0069】
《ステップS10,ステップS20》
上述したように、物流基地1は、パーム椰子殻供給地40や第一物流基地41などの供給元から出荷された加工前燃料又はPKS燃料を、受入設備3において受け入れる(ステップS10,ステップS20)。ステップS20が、上記工程(a)に対応する。
【0070】
パーム椰子殻供給地40や第一物流基地41などの供給元からは、加工前燃料、すなわち、出荷に際して所定の処理を施す必要のある、パーム椰子殻を含むバイオマス燃料が物流基地1に対して供給される。また別の例として、上述したように、前記供給元、特に第一物流基地41から、受入品燃料や製品燃料が物流基地1に対して供給される場合も想定される。後者の態様は、例えば、上述したように、物流基地1内の在庫量が少なく、近隣の他の物流基地(第一物流基地41)から製品燃料の融通を受けて燃料需要者50に対する需要を賄う場合に対応する。
【0071】
受入設備3は、海送用受入設備3aと、陸送用受入設備3bとを備えるのが好適である。海送用受入設備3aは、パーム椰子殻供給地40や第一物流基地41などの供給元から、船舶などの海送手段91によって物流基地1に対して搬送された加工前燃料又はPKS燃料を受け入れるための設備である。また、陸送用受入設備3bは、パーム椰子殻供給地40や第一物流基地41などの供給元から、トラックなどの運搬車両に代表される陸送手段92によって物流基地1に対して搬送された加工前燃料又はPKS燃料を受け入れるための設備である。
【0072】
より詳細には、海送用受入設備3aは、例えば海岸部に設置された港湾荷役設備で構成されており、専用埠頭が備えられるのが好適である。海送用受入設備3aは、バラ積み品の荷受ができる設備であれば特に限定されず、グラブバケット式、連続機械式、ニューマチック等の一般的なアンローダーが使用できる。特に、種々の形状、大きさの品に対応できる観点からグラブバケット式が好ましい。
【0073】
なお、船舶には荷役用のクレーンが装備されているものがある。このように、クレーンが装備された貨物船で搬送されてきた加工前燃料又はPKS燃料の受入を可能とするために、海送用受入設備3aは、コンベアが付設された受入ホッパーを備えるものとしても構わない。
【0074】
これにより、例えば、パーム椰子殻供給地40からは、加工前燃料を海送手段91を通じて物流基地1に対して多量に受入れることが可能になる。また、後述する海送用出荷設備9aを、海送用受入設備3aに兼用させることで、船舶を通して多量の製品燃料を出荷先(燃料需要者50,第二物流基地51)に対して出荷できる。これにより、物流コストを低減することができる。
【0075】
また、陸送用受入設備3bは、ダンプ式(跳ね上げ式)や床移動式(ウォーキングフロア又はスライドデッキ)の各種トラックからの荷降ろしに対応可能な設備であれば特に限定されず、コンベアが付設された受入ホッパー等が有効に使用できる。このように、受入設備3が陸送用受入設備3bを備えることで、港湾荷役設備を設置できない内陸部等においても物流基地1を構築することが可能となり、PKSを含むバイオマス燃料の利用の推進に寄与することができる。また、後述する陸送用出荷設備9bを、陸送用受入設備3bに兼用させてもよい。
【0076】
すなわち、物流基地1が備える受入設備3は、海送用受入設備3aと陸送用受入設備3bの双方を備えるものとしても構わないし、いずれか一方のみを備えるものとしても構わない。
【0077】
《ステップS30》
本ステップS30では、受入設備3において受け入れた加工前燃料に対して、繊維部を取り除く処理を行う。このステップS30は、上記工程(b)に対応する。なお、上述したように、供給元から受入品燃料や製品燃料が物流基地1に対して供給される場合があり、この場合には、すでに繊維部が取り除かれた状態で受入設備3で受け入れられることになるため、本ステップS30は省略される。図2では、ステップS30が省略された後、ステップS40が実行される場合と、ステップS60が実行される場合について図示されているが、これらの違いについては後述される。
【0078】
パーム椰子殻にはひげ状の繊維部が付いており、パーム椰子殻から発せられる臭気のうち、繊維部から発せられる臭気による割合が大きい。そこで、受入設備3で受け入れた加工前燃料については、分離設備4によって繊維部が分離除去される。
【0079】
分離設備4は、加工前燃料から繊維部が分離できる設備であって、乾式のものであれば特に限定されず、振動ふるい、面内ふるい、回転ふるい(トロンメル)等の各種ふるいや、風力選別機等が使用でき、操作の簡便性の観点からふるいを使用するのが好ましい。分離設備4としてふるいを用いる場合、かかるふるいの目開きは、繊維部の分離精度の観点から、0.6mm〜11.2mmが好ましい。このように、目開きが0.6mm〜11.2mmのふるいを用いた場合、繊維部はふるいを通過し、残部はふるい上に残存する。なお、加工前燃料は、パーム椰子殻供給地40でのパーム油脂搾取後から物流基地1に搬入されるまでの相当期間、通常大気中に晒されていたことにより乾燥が進んで、PKSでの繊維部の結合状態は非常に脆くなっており、上記分離設備を用いることで容易に繊維部を分離することができる。
【0080】
PKS中の繊維部の割合は、通常、1質量%以下であり、ステップS20で受け入れた加工前燃料のほとんどは、ふるい上に残存する。このふるい上の残部は、臭気の強い繊維部が除去されたことによって、物流基地1における受入時の状態よりも臭気が低下する。
【0081】
なお、分離設備4で加工前燃料から分離されたパーム椰子柄の繊維部は、そのままでは臭気が強いので、例えば、前記特許文献1に記載される抽気蒸気を使用した80℃以上の加熱処理や、上記特許文献2に記載される115℃以上での熱処理によって、十分に消臭した後に、バイオマス燃料として用いるものとしても構わない。その際、ペレット状バイオマス燃料を成型する際のバインダーとして用いても構わない。なお、この熱処理は、本発明に係る物流基地1が出荷する予定のPKS燃料(製品燃料)を生成する際には不要な処理であり、あくまで他のバイオマス燃料を生成するために行われる処理である。つまり、この熱処理を行うための設備は、本発明に係る物流基地1が備えていなくても構わない。
【0082】
《ステップS40》
ステップS30において、加工前燃料から繊維部が除去されることで、上述したように臭気が低下する。この結果、ステップS30が実行された後のPKS燃料としては、そのまま需要者に向けて出荷できる程度の臭気(出荷可能臭気)を有するもの(すなわち、製品燃料)が存在する一方で、未だ出荷可能臭気を満足しないために、そのままでは出荷できないもの(すなわち、受入品燃料)も存在する。
【0083】
本ステップS40では、このPKS燃料が、出荷可能臭気以内の臭気であるか否かが判定される。このステップS40が上記工程(c)に対応する。なお、ステップS40において、出荷可能臭気よりも高い臭気を示すことが判定されたPKS燃料については、受入品燃料として、受入品置場6に搬送されるものとしても構わない。
【0084】
なお、上述したように、供給元(パーム椰子殻供給地40,第一物流基地41)からは、繊維部が既に除去されてなるPKS燃料が物流基地1に対して供給される場合がある。この場合、ステップS20で受け入れたPKS燃料は、ステップS30に係る繊維部の除去工程を行う必要がない。ただし、このPKS燃料は、出荷可能臭気以内の臭気を示すか否かが不明であるため、本ステップS40が実行される。
【0085】
更に、上述したように、供給元(パーム椰子殻供給地40,第一物流基地41)からは、繊維部が既に除去されてなり、且つ、出荷可能臭気以内の臭気を示すことが明確化された状態のPKS燃料(すなわち、製品燃料)が、物流基地1に対して供給される場合がある。特に、第一物流基地41において製品燃料が保管されており、物流基地1に対して製品燃料の融通を行うような場合に対応する。このような場合には、ステップS20で受け入れたPKS燃料(製品燃料)に対しては、ステップS30、ステップS40、及びステップS50を経ることなく、ステップS60が実行される。ステップS50及びステップS60については、後述される。
【0086】
図3は、ステップS40に含まれる処理の流れの一例を示すフローチャートである。図3に示す例では、ステップS40は、ステップS41、ステップS42、ステップS43、及びステップS44の各処理を含んで構成される。なお、後述するように、ステップS44は省略される場合がある。
【0087】
まず、既に繊維部が取り除かれた状態のPKS燃料の臭気が、臭気測定設備5によって測定される(ステップS41)。このとき、PKS燃料の一部が抽出された上で、この抽出されたPKS燃料に対して臭気測定が行われるものとしても構わない。ステップS41が、工程(c1)及び工程(c2)に対応する。
【0088】
なお、上述したように、ステップS20で受け入れた時点で、PKSの繊維部が取り除かれている場合がある。この場合は、ステップS20の後に、ステップS41が実行される。
【0089】
図3に示すように、ステップS41において臭気が測定されるのは、次のステップS42において出荷可能臭気との比較に利用されるためである。ここで、本明細書内における「出荷可能臭気」とは、燃料需要者50の下に到着した時点における製品燃料の臭気が、嗅覚測定における9段階快・不快度表示法の段階が−1「やや不快」以上に相当する程度であることをいう。
【0090】
臭気の濃さ・強さの評価方法として、公定法にはガスクロマトグラフ法等の機器分析法や、三点比較式臭袋法の嗅覚測定法があるが、それら公定法は測定操作が煩雑であると共にリアルタイムで評価結果を確認できないため、物流基地1における管理方法として用いるのは困難である。
【0091】
臭気測定設備5は、上記の観点から、金属酸化物半導体ガスセンサを用いたにおいセンサーが好適である。また、かかる金属酸化物半導体ガスセンサを用いたにおいセンサーは、測定操作の簡便性、短時間で結果が得られるという特徴に加え、連続測定が可能であることからも、臭気測定設備5として好ましい。
【0092】
臭気測定設備5を用いたPKS燃料の臭気測定方法の具体的態様の一つとして、PKS燃料を、フード付きのコンベア(ベルトコンベア、チェーンコンベア等)等の外気と遮断されて臭気が拡散しない仕様の搬送設備によって物流基地1内を搬送しながら、臭気を測定する方法が利用できる。より具体的な一例としては、コンベアフード内のコンベア中央から上流側の位置に臭気測定設備5の検出部が設置される。
【0093】
例えば、事前に確認しておいた、前記9段階快・不快度表示法の段階が−1の場合における用いた臭気測定設備5の指示値を指標に、PKS燃料の臭気が、出荷可能臭気を満足するか否かが判定される(ステップS42,ステップS43)。
【0094】
例えば、臭気測定設備5としてKALMOR−Σ(カルモア社製)を用いた場合、PKS燃料が存在しない場所での大気測定値(ブランク)が200において、PKS燃料に粉炭を1割混合して不快臭が許容できる程度に低減した際のにおいセンサー指示値は600であることから、上記の臭気測定設備5の指標には閾値600を採用すればよい。
【0095】
臭気測定設備5によって測定されたPKS燃料の臭気が、出荷可能臭気以内である場合には(ステップS43においてYes)、後述するステップS60が実行される。一方、臭気測定設備5によって測定されたPKS燃料の臭気が、出荷可能臭気よりも高い場合には(ステップS43においてNo)、当該PKS燃料が受入品燃料であると判定され、受入品置場6に搬送・保管される(ステップS44)。この受入品置場6内に保管された受入品燃料は、後述するステップS50において出荷可能臭気を満足するように消臭処理が施される。ステップS43が工程(c3)に対応し、ステップS44が工程(c4)に対応する。
【0096】
上述したように、物流基地1は、受入品置場6と製品置場8とを有している。受入品置場6は、出荷可能臭気よりも高い臭気を示すPKS燃料(受入品燃料)を保管する場所であり、製品置場8は、出荷可能臭気以内の臭気を示すPKS燃料(製品燃料)を保管する場所である。
【0097】
なお、ステップS43において受入品燃料であると判定されたPKS燃料において、受入品置場6に一時的に保管されることなく、すなわち、ステップS44が実行されることなく、直ちに後述するステップS50に係る消臭処理が実行されるものとしても構わない。図3には、このような流れで処理が行われる場合が矢印付きの破線で示されている。
【0098】
《ステップS50》
次に、出荷可能臭気よりも高い臭気を示すPKS燃料である、受入品燃料に対して消臭処理が実施され、出荷可能臭気以内の臭気を示すPKS燃料(製品燃料)に改善される。このステップS50が工程(d)に対応する。図1に示すように、物流基地1は、このステップS50を実行するための消臭処理設備7を備えている。
【0099】
なお、図3を参照して上述したように、このステップS50は、受入品置場6に保管されていた受入品燃料に対して実行されるものとしても構わないし、ステップS43によって受入品燃料と判定された後、受入品置場6で保管されることなくそのまま実行されるものとしても構わない。更に、煩雑化を避ける目的で図2には省略されているが、ステップS20において、物流基地1において受け入れられた状態の燃料が、もともと繊維部は除去されているものの出荷可能臭気よりは高い臭気であること、すなわち受入品燃料であることが明らかである場合には、ステップS20の後、ステップS30及びステップS40を経ることなく、本ステップS50が実行されるものとしても構わない。
【0100】
消臭処理には、パーム椰子以外の樹種の木質チップ又は木質ペレットとの混合、消臭剤の散布及び常温大気の通気等が含まれる。なお、ステップS50では、これら全ての処理が実行されても構わないし、これらのうちの一部の処理のみが実行されても構わない。
【0101】
図4は、消臭処理設備7の構成の一例を模式的に示すブロック図である。図4に示す例では、消臭処理設備7は、受入品燃料に対してパーム椰子以外の樹種の木質チップ又は木質ペレットを混合するための混合設備71、受入品燃料に対して消臭剤を散布するための散布設備72、受入品燃料に対して常温大気を通気させるための通気設備73を備えて構成される。
【0102】
上述したように、混合設備71は、受入品燃料と、パーム椰子以外の樹種の木質チップ又は木質ペレットとを乾式混合するための設備であり、上記混合機能を奏する限りにおいて装置態様には限定されず、ホイールローダー等の重機、羽根付き混合機や、回転式ふるい等が有効に使用できる。
【0103】
上記パーム椰子以外の樹種の木質チップ又は木質ペレットは、好ましい香りを強く発するか、不快臭の臭気成分を吸着等することで、受入品燃料から発せられる不快臭を弱める効果を有するものであって、スギ、ヒノキ、カラマツ、アカマツ、サクラ等からなるチップやペレットが好ましい。当該木質チップ等は、受入品燃料(PKS燃料)と混合されてバイオマス燃料として出荷されるため、その大きさはPKSと同等の長辺が5cm以下であって、含水率が20質量%以下のものが好ましい。
【0104】
受入品燃料とパーム椰子以外の樹種の木質チップ等との混合比率は、混合後のバイオマス燃料中のパーム椰子殻の含有量が50質量%以上となるように、設定すればよい。
【0105】
消臭剤の散布設備72は、受入品燃料に、特定の消臭剤を散布するための設備であり、上記散布機能又は薬剤噴霧機能を奏する限りにおいて装置態様には限定されず、噴霧型、散布型、添加型等が有効に使用できる。
【0106】
消臭剤の散布設備72で用いられる消臭剤には、オゾンミスト等のオゾン酸化力による除菌消臭剤や、植物性精油や二酸化塩素系等の中和消臭剤等が好適に使用できる。特にオゾンによる消臭方法はオゾン発生器を準備することによって継続的に可能であるため、薬剤購入のランニングコストを抑制することができる。
【0107】
常温大気の通気設備73は、受入品燃料を乾燥して消臭することを目的とする設備である。一般に、パーム椰子殻供給地40から物流基地1に輸送されるPKSを含むバイオマス燃料(特に加工前燃料)は25質量%前後の水分を含有しているが、この水分含有率を8質量%以下にすることで、PKSが発する不快臭を許容できる程度に低減することができる。PKSを含むバイオマス燃料(ここでは受入品燃料)の水分含有率を8質量%以下にするための簡便な方法は、雨濡れの生じない環境において、常温の大気に当該受入品燃料を曝すことである。より具体的には、単に天日乾燥や室内乾燥等の自然乾燥が行える置場に静置するだけでもよいし、より効率的には、受入品燃料の置場の床面下にガス吹出し口を備える通気管を施設したり、受入品燃料のパイル内にガス吹出し口を備える通気管を直接挿入して受入品燃料内に強制的に常温大気を通気したり、送風機で受入品燃料のパイルに常温大気を吹き付ければ良い。
【0108】
なお、図4に示す例では、消臭処理設備7は、混合設備71、消臭剤の散布設備72、及び常温大気の通気設備73を全て備える構成が示されているが、これらの設備(71,72,73)の少なくともいずれか1つを備えるものとしても構わない。
【0109】
《ステップS60》
ステップS50で消臭された受入品燃料は、出荷可能臭気以内の臭気を示す製品燃料となり、ステップS40(より詳細にはステップS43)において出荷可能臭気以内の臭気を示すと判定された燃料と共に、製品置場8に保管される。このとき、製品燃料は、品質別に異なる製品置場8内に保管される。このステップS60が工程(e)に対応する。
【0110】
なお、上述したように、供給元(パーム椰子殻供給地40,第一物流基地41)からは、繊維部が既に除去されてなり、且つ、出荷可能臭気以内の臭気を示すことが明確化された状態のPKS燃料(すなわち、製品燃料)が、物流基地1に対して供給される場合がある。かかる場合には、図2に示すように、ステップS20において製品燃料が物流基地1に受け入れられた後、ステップS30、ステップS40、及びステップS50が省略されて、本ステップS60が実行される。
【0111】
図5は、ステップS60に含まれる処理の流れの一例を示すフローチャートである。図5に示す例では、ステップS60は、ステップS61、ステップS62、ステップS63、ステップS64、及びステップS65の各処理を含んで構成される。なお、後述するように、ステップS20において、供給元(パーム椰子殻供給地40,第一物流基地41)から製品燃料が物流基地1に受け入れられた場合には、ステップS61、ステップS62、及びステップS63は省略される場合がある。図5には、このような流れで処理が行われる場合が矢印付きの破線で示されている。
【0112】
まず、製品置場8に場内搬送されてきた製品燃料の中から、一部の製品燃料が抽出される(ステップS61)。例えば、図1に示すように、物流基地1は、ステップS61を実行するための、製品燃料用サンプラー12を備えるものとして構わない。製品燃料用サンプラー12は、分析・試験用の試料採取装置であって、代表性の高い試料が採取可能であれば、サンプリング方式などに特に限定はない。一般的に、JIS K 0060「産業廃棄物の採取方法」やJIS M 8100「粉塊混合物?サンプリング方法通則」に記載されるように、コンベヤやフィーダの落ち口に、落下する対象品の全流幅から採取できるサンプラーが好適に採用される。このステップS61が、工程(e1)に対応する。
【0113】
次に、抽出された製品燃料に対する分析が行われる(ステップS62)。例えば、図1に示すように、物流基地1は、ステップS62を実行するための、分析設備11を備えるものとして構わない。
【0114】
分析設備11は、必要となる試験・分析項目に対応可能な装置であれば、特に限定されず、汎用の試験装置や分析装置が使用できる。また、分析設備11は、ロボットハンドリング・オートメーションシステム等を用いた無人化の構成としても構わない。一例として、分析設備11は、上記製品燃料の含有アルカリ金属量、含有塩素量、含有水分量、及び発熱量を試験・分析する機能を有している。
【0115】
製品燃料に含まれる化学成分量(アルカリ金属、塩素など)の測定には、所望の化学成分量が得られる分析方法であれば特に限定されないが、汎用性や分析精度の観点からは、試料又は灰化した試料を酸で全溶解して得られた溶液に関する吸光光度法分析法、発光分光分析法、原子吸光分析法又はICP発光分光分析法を用いるのが好ましい。また、塩素含有量は、JIS Z 7302−6「廃棄物固形化燃料−第6部:全塩素分試験方法」の試験方法を使用することができる。なお、製品燃料の灰化は、アルカリ等の揮散成分の散逸を防止する観点から、600℃以下の低温度で実施するのが好ましい。
【0116】
また、製品燃料に含まれる水分量(又は含水率)の測定には、例えば、JIS Z 7302−3「廃棄物固形化燃料−第3部:水分試験方法」記載の方法を使用することができる。具体的には、乾燥室温度107±2℃で1時間加熱した場合の加熱前後の質量を用いればよい。更に、熱天秤分析(TG)等の機器分析を用いることもできる。
【0117】
また、製品燃料の発熱量の測定には、例えば、JIS Z 7302−2「廃棄物固形化燃料−第2部:発熱量試験方法」記載の方法を使用することができる。
【0118】
ただし、分析設備11は、上記製品燃料に含まれるアルカリ金属量、塩素量、水分量(含水率)、及び発熱量の全ての分析機能を備えていなければならないわけではなく、少なくともこれらのうちの1つ以上の分析機能を備えていればよい。
【0119】
なお、製品燃料用サンプラー12で抽出された上記製品燃料を、分析設備11の設置場所まで搬送する方法としては、特に限定されないが、自動的に試料搬送が可能な気送管システム等が好適に使用される。
【0120】
次に、分析設備11によって分析された結果に基づいて、対象となる製品燃料の品質が特定される(ステップS63)。ステップS63が工程(e3)に対応する。
【0121】
製品燃料の品質の特定の方法としては、任意の品質項目と各品質項目における任意の水準数で行えばよい。例えば、発熱量、水分量及びアルカリ含有量の3項目で選別する場合には発熱量と水分量の2項目については特定の閾値による大小の2水準に分類し、燃料需要者50からの要求品質が細かいアルカリ含有量については大中小の3水準に分類した、全体で12種類(=2×2×3)に分類する方法を採用することができる。分類の項目に塩素含有量を含めても構わない。
【0122】
次に、ステップS63で特定された製品燃料の品質に基づいて、当該製品燃料の保管先である製品置場8を、各製品置場(8a,8b,‥‥)の中から選択的に特定する(ステップS64)。上述したように、各製品置場8は、保管対象となる製品燃料の品質が異なっている。各製品置場8に割り当てられている製品燃料の品質に関する情報は、予め不図示の情報処理装置の記憶部又は紙面上に記憶されているものとして構わない。この記憶された情報に基づいて、製品燃料の保管先の製品置場8が特定される。
【0123】
そして、この特定された製品置場8に対して、製品燃料が搬送され、保管される(ステップS65)。なお、製品燃料の場内搬送には、ホイールローダーやブルドーザ等の重機や空気圧送を使用することもできるが、効率性、作業安全性、木質バイオマス燃料の飛散防止及び設備コスト等の観点からベルトコンベア、スクリュウコンベア、チェーンコンベア等のコンベア類を使用するのが好ましい。なお、PKS、木質チップ及び木質ペレット等はブリッジングと呼ばれる詰まり状態を引き起こしやすいため、経路の絞りを有する個所などには邪魔板等の詰まりを防止する工夫を施しておくのが好適である。
【0124】
なお、製品置場8(8a,8b,‥‥)は、製品燃料に雨濡れ等を生じさせること無く貯蔵でき、そして荷受けや荷払いに支障が生じない設備であれば特に限定されず、屋根付きの建屋やサイロが有効に利用できる。また、水濡れ防止と共に、貯蔵期間中の自然発火を防止する観点から、例えば特許第6381836号に記載されるような、製品燃料のパイルの切返し装置が備えられている貯蔵設備がより好ましい。なお、製品置場8として屋根付きの建屋を用いる場合、品質別に分類された製品燃料同士が混ざり合わないように管理できるのであれば、1つの建屋に複数の製品燃料を貯蔵することができる。
【0125】
なお、PKSを含むバイオマス燃料の供給元(パーム椰子殻供給地40、第一物流基地41)によっては、物流基地1に対して供給したバイオマス燃料(ここでは特に製品燃料)の品質を分析する機能を有している場合があり、このとき、前記供給元は、物流基地1に向けて供給したPKS燃料(製品燃料)の品質に係る情報を物流基地1に対して通知するものとしても構わない。この場合には、かかる通知されたPKS燃料の品質に係る情報に基づいて、保管先となる製品置場8を特定すると共に、当該特定された製品置場8に製品燃料を保管するものとしても構わない(ステップS64,ステップS65)。この場合には、必ずしも、物流基地1内において製品燃料に対する分析処理(ステップS61,ステップS62,ステップS63)が行われないものとしても構わない。図5において、ステップS20の終了後に、ステップS64が実行される場合が破線で示されているのは、この処理に対応する流れを表している。特に、この場合は、図2に示すように、ステップS20において燃料が受け入れられた後、ステップS30、ステップS40、及びステップS50が実行されることなく、ステップS60が実行されるものとして構わない。
【0126】
《ステップS70》
次に、製品置場8に保管されている製品燃料が、出荷先(燃料需要者50,第二物流基地51)に向けて出荷される。本ステップS70が、工程(f)に対応する。
【0127】
図6は、ステップS70に含まれる処理の流れの一例を示すフローチャートである。図6に示す例では、ステップS70は、ステップS71、ステップS72、ステップS73、ステップS74、ステップS75、及びステップS76の各処理を含んで構成される。
【0128】
各燃料需要者50(50A,50B,50C,‥‥)等からは、注文する特定の品質(要求品質)に関する情報が与えられる。物流基地1では、まず、この要求品質を満たす製品燃料が保管されている製品置場8が特定される(ステップS71)。このステップS71が工程(f1)に対応する。
【0129】
次に、特定された製品置場8に保管されている多量の製品燃料の中から、一部の製品燃料が抽出される(ステップS72)。このステップS72が工程(f3)に対応する。
【0130】
例えば、図1に示すように、物流基地1は、ステップS72を実行するための、出荷品用サンプラー13を備えるものとして構わない。この出荷品用サンプラー13は、上述した製品燃料用サンプラー12と同様の構成とすることができる。なお、製品燃料用サンプラー12が、出荷品用サンプラー13を兼ねても構わない。
【0131】
次に、抽出された製品燃料に対する分析が行われる(ステップS73)。このステップS73が工程(f4)に対応する。図1に示す例では、出荷品用サンプラー13で抽出された製品燃料に対して、ステップS62と同様の分析設備11によって分析される場合が図示されている。ただし、物流基地1は、ステップS62で用いられる分析設備11とは別に、ステップS73で実行されるための専用の分析設備11を備えるものとしても構わない。
【0132】
次に、分析設備11によって分析された結果に基づいて、出荷品用サンプラー13で抽出された製品燃料が属する品質を特定すると共に、当該特定された品質が要求品質を満たすかどうかが確認される(ステップS74)。このステップS74が、工程(f5)及び工程(f6)に対応する。なお、対象となる製品燃料が要求品質を満たしていない場合には、ステップS71に戻って再び対象となる製品燃料が保管されている別の製品置場8を特定するものとしても構わない。
【0133】
ステップS74において、対象となる製品燃料が要求品質を満たしていることが確認されると、製品置場8に保管されている多量の製品燃料が出荷設備9に搬送される(ステップS75)。
【0134】
出荷設備9は、海送用出荷設備9aと、陸送用出荷設備9bとを備えるのが好適である。海送用出荷設備9aは、バラ積み用のシップローダーや、コンテナ又はフレコン用のクレーンやホイスト等の、荷姿別に出荷が可能な設備であれば特に限定されない。また、陸送用出荷設備9bは、バラトラックへの積込み用のホッパーや、フレコンなどを扱うフォークリフト等の、荷姿別に出荷が可能な設備であれば特に限定されない。
【0135】
ただし、物流基地1が備える出荷設備9は、海送用出荷設備9aと、陸送用出荷設備9bのいずれか一方のみを備えるものとしても構わない。
【0136】
そして、製品燃料が、海送用出荷設備9aから船舶などの海送手段93によって燃料需要者50(50A,50B,50C,‥‥)又は第二物流基地51(51A,51B,51C,‥‥)に対して出荷され、陸送用出荷設備9bからトラックなどの運搬車両に代表される陸送手段94によって燃料需要者50(50A,50B,50C,‥‥)又は第二物流基地51(51A,51B,51C,‥‥)に対して出荷される(ステップS76)。このステップS76が工程(f2)に対応する。
【0137】
なお、製品燃料の性状は、水濡れ等が生じない限り貯蔵中に変質するおそれはほとんどないと考えられる。また、製品置場8で保管されている製品燃料は、ステップS60において保管先の製品置場8が決定される際に、その品質が分析・特定されている。このため、製品置場8に保管されている製品燃料は、出荷直前の時点においても、当該製品燃料が保管されている製品置場8に対応付けられている品質を引き続き確保している場合が多い。かかる観点から、ステップS72及びステップS73を省略し、ステップS74では、単に保管先の製品置場8に関連付けられている製品燃料の品質が要求品質を満たしているかどうかのみを確認するものとしても構わない。
【0138】
また、海送用出荷設備9a又は陸送用出荷設備9bから、第二物流基地51(51A,51B,51C,‥‥)に対して、製品燃料の他、出荷可能臭気よりも高い臭気を示すPKS燃料(受入品燃料)や、繊維部が取り外される前のPKSを含むバイオマス燃料(加工前燃料)が出荷されても構わない。
【0139】
なお、物流基地1が備える受入品置場6に保管可能なPKS燃料(受入品燃料)の量と、製品置場8(8a,8b,8c,‥‥)に保管可能なPKS燃料(製品燃料)の量との合計は、5千t以上であるのが好ましく、1万t以上であるのがより好ましく、2万t以上であるのが特に好ましい。物流基地1が、かかる貯蔵能力を備えることで、例えば75MW級バイオマス発電ボイラにおける数日分の必要燃料を在庫することができる。
【実施例】
【0140】
以下において、本発明について更に詳細に説明するために具体的な試験例を示すが、本発明はこれら試験例の態様に限定されるものではない。
【0141】
試料として、マレーシア産のTenera種のPKS(a1)(発熱量:4800kcal/kg)、目開き1.7mmのふるいを用いて当該PKSからひげ状の繊維部を分離して得られた殻部(a2)(発熱量:4800kcal/kg)、分離されたひげ状の繊維部(a3)、前記殻部(a2)にアカマツのチップ(含水率:30質量%)を等量混合したチップ混合品A(a4)(発熱量:4000kcal/kg)、及び当該アカマツのチップを含水率0.8質量%に乾燥したチップを前記殻部(a2)に等量混合したチップ混合品B(a5)(発熱量:4750kcal/kg)を準備した。
【0142】
PKS(a1)が、ステップS20において物流基地1において受け入れられる加工前燃料に対応する。殻部(a2)が、ステップS30において加工前燃料から繊維部が分離されてなるPKS燃料(ここでは受入品燃料)に対応する。なお、ここで分離された繊維部(a3)は、PKS燃料としては利用されない燃料であり、上述したように、例えばペレット状バイオマス燃料のバインダー等、他のバイオマス燃料として利用され得るものである。
【0143】
また、チップ混合品A(a4)及びチップ混合品B(a5)は、いずれも、ステップS50において消臭処理設備7によって受入品燃料に対して消臭処理が施されてなるPKS燃料(ここでは製品燃料)に対応する。チップ混合品B(a5)は、チップ混合品A(a4)と比較して、消臭処理の内容を異ならせている。
【0144】
上記試料a1〜a5について、含水率別の臭気の強さを測定した。なお、含水率の測定は、JIS Z 7302−3「廃棄物固形化燃料−第3部:水分試験方法」に準拠した方法、すなわち、試料を107±2℃で1時間加熱乾燥した際の、乾燥前後の質量差を試料に対する質量百分率をもって水分とした。臭気の強さは以下の手順で測定した。各試料の含水率別の臭気の強さの測定結果を表1に示す。なお、この臭気の強さの測定に用いたニオイセンサの指示値において、人が不快感を許容できる臭気の強さは600以下である。
【0145】
《臭気の強さの測定手順》
(i)試料100gを1Lのポリ容器に密封した。
(ii)30℃の恒温環境下で1日間静置した。
(iii)フレックスポンプを使用して、試料を封入したポリ容器内の気体を3Lガスバッグに採取した。
(iv)採取したガスバッグ内の気体の臭気の強さを、ニオイセンサ(株式会社カルモア製ネオシグマ)を用いて計測した。
【0146】
【表1】
【0147】
表1からは、以下の5点の内容が確認される。
(i)有姿のPKS(a1)は含水率を12質量%まで乾燥しても臭気が強い。
(ii)PKSは繊維部を除去することで臭気が弱まる。
(iii)繊維部が除去されたPKSの殻部は含水率が8質量%以下であれば許容できる程度に臭気が弱まる。
(iv)木質チップを混合することでPKSからの臭気を弱めることに効果がある。
(v)混合に利用される木質チップが乾燥されているほど、PKSからの臭気を弱める効果が大きい。
【0148】
次に、一度乾燥させて臭気を弱めた殻部に、水分を加えていった際の臭気の強さを調べた。これは、消臭処理が実施された後のPKSの保管について、水濡れ防止対策の要否を確認するためのものである。
【0149】
試料には、前記PKSの殻部(a2)を含水率が0質量%になるまで乾燥させたものに、所定の含水率となるように水を散布して作成した。臭気の強さの測定方法は上記試験と同じである。結果を表2に示す。なお、表2において含水率が0質量%でのニオイセンサの指示値400は、ほぼ無臭の状態を示す。
【0150】
【表2】
【0151】
表2からは、更に以下の2点の内容が確認される。
(vi)PKSの臭気の強さは含水率が高いほど強い。
(vii)表1の結果と対比すると、PKSの含水率と臭気の強さの関係は可逆的であり、PKSの保管設備には水濡れ防止の機能を備えるのが好適である。
【符号の説明】
【0152】
1 : パーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流基地
3 : 受入設備
3a : 海送用受入設備
3b : 陸送用受入設備
4 : 分離設備
5 : 臭気測定設備
6 : 受入品置場
7 : 消臭処理設備
8(8a,8b,8c,8d,‥‥) : 製品置場
9 : 出荷設備
9a : 海送用出荷設備
9b : 陸送用出荷設備
11 : 分析設備
12 : 製品燃料用サンプラー
13 : 出荷品用サンプラー
40(40A,40B,40C,‥‥) : パーム椰子殻供給地
41(41A,41B,41C,‥‥) : 他の物流基地(第一物流基地)
50(50A,50B,50C,‥‥) : 燃料需要者
51(51A,51B,51C,‥‥) : 他の物流基地(第二物流基地)
71 : 混合設備
72 : 消臭剤の散布設備
73 : 常温大気の通気設備
91 : 海送手段
92 : 陸送手段
93 : 海送手段
94 : 陸送手段
【要約】
【課題】所定の品質特定を有するパーム椰子殻を含むバイオマス燃料を需要者に対して安定的に供給する方法を提供する。
【解決手段】パーム椰子殻を含むバイオマス燃料の物流方法は、加工前燃料を供給元から受け入れる工程(a)と、加工前燃料に対して分離処理を施してパーム椰子殻の繊維部を取り除く工程(b)と、工程(b)で得られたバイオマス燃料が出荷可能臭気よりも高い臭気を示す受入品燃料であるか出荷可能臭気以内の臭気を示す製品燃料であるかを判定する工程(c)と、受入品燃料に対して所定の消臭処理を実行することで製品燃料を生成する工程(d)と、製品燃料の保管先を品質に応じて複数の製品置場の中から特定して保管する工程(e)と、製品置場に保管されている製品燃料を出荷先に出荷する工程(f)を有する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6