(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
着座姿勢又は起立姿勢にある被介護者の立ち上がり動作又は腰掛け動作を支援すると共に、前記被介護者が立ち上がった後は該被介護者の移動も支援する起立着座移動支援装置であって、
前記被介護者の上体に対して両斜め前方に水平に配置された一対の板体であり、脇を閉めた被介護者の肘、前腕及び手が置かれて前記被介護者の体重がかかる腕置き板体と、
着座姿勢の被介護者の体躯に対して前方斜め上方に前記腕置き板体を水平に保ったままスライド上昇させて、該腕置き板体にて脇を閉めた被介護者の肘、前腕及び手を押し上げることにより、前記被介護者の上体を起立姿勢まで斜め前方に上昇させる、又は、起立姿勢の被介護者の体躯に対して後方斜め下方に前記腕置き板体を水平に保ったままスライド下降させて、脇を閉めた被介護者の肘、前腕及び手が置かれる腕置き板体を下降させることにより、前記被介護者の上体を着座姿勢まで斜め後方に下降させる、前記腕置き板体の下側に設けられた昇降フレームと、
前記昇降フレームの下側に配置されて前記昇降フレームを支持し、床面との間に車輪が設けられることにより床面上を移動可能な基台と、
を備え、
前記一対の腕置き板体には、被介護者側の下部に各々滑車が設けられ、
前記被介護者の坐骨周辺を包んで支持する帯体、及び、該帯体の長さ方向の両端縁部に設けられた二つの環状紐体を備え、これら各々の環状紐体が前記滑車に各々取り付けられるスリングを有し、
前記スリングは、前記帯体の幅方向に延びる筒体を前記帯体の長さ方向の両端縁部に備え、これら筒体内には環状紐体の一部が摺動可能に挿通され、前記筒体から露出した環状紐体の他部が前記滑車に摺接可能に掛けられ、
前記被介護者の脇の下の部分のうち、胴体側部分、大胸筋側部分及び広背筋側部分に当接して、前記被介護者を脇の下から支持する上面が湾曲凹面の脇支持部が前記腕置き板体に設けられ、
前記基台は平面視でU字形であり、U字形の開口側から前記被介護者の両足を収容することができ、
前記基台のU字形の開口に嵌め込むことができ、立ち上がった被介護者が乗った状態で移動することができるボードを有する、ことを特徴とする起立着座移動支援装置。
前記一対の腕置き板体の上面には前記被介護者の手にて握ることができる垂直方向に延出する握り棒が各々設けられ、前記被介護者が立ち上がり動作を行う際には、該被介護者が小指側を下にして前記握り棒を握ることにより、該被介護者の肘、尺骨側の前腕及び手が前記腕置き板体に密着してこれらが該腕置き板体の上に固定され、前記被介護者が立ち上がった後は、該被介護者が小指側を下にして前記握り棒を握って任意の移動方向に起立着座移動支援装置を移動させることができることを特徴とする請求項1項に記載の起立着座移動支援装置。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1にかかる起立着座移動支援装置の斜視外観図である。
【
図2】実施形態1にかかる起立着座移動支援装置を使用者である被介護者側から説明する図である。
【
図3】実施形態1にかかる起立着座移動支援装置において、板体の下部に設けられている車輪の外観を説明する図である。
【
図4】着座姿勢にある被介護者が実施形態1にかかる起立着座移動支援装置を使用する状態を説明する図である。
【
図5】起立姿勢にある被介護者が実施形態1にかかる起立着座移動支援装置を使用する状態を説明する図である。
【
図6】被介護者の坐骨周辺を支持するスリングを備えた実施形態2にかかる起立着座移動支援装置の斜視外観図である。
【
図7】着座姿勢にある被介護者が実施形態2にかかる起立着座移動支援装置を使用する状態を説明する図である。
【
図8】起立姿勢にある被介護者が実施形態2にかかる起立着座移動支援装置を使用する状態を説明する図である。
【
図9】実施形態3にかかる起立着座移動支援装置においてスリングの変形例を示す図である。
【
図10】実施形態3にかかる起立着座移動支援装置において滑車を設けた変形例を示す図である。
【
図11】被介護者を脇の下から支持する脇支持部を備えた実施形態4にかかる起立着座移動支援装置の斜視外観図である。
【
図12】起立姿勢にある被介護者が実施形態4にかかる起立着座移動支援装置を使用する状態を説明する図である。
【
図13】実施形態5にかかる起立着座移動支援装置において基台の変形例を示す図であり、そのうち(a)は基台のU字形の開口にボードを嵌め込む前の状態を説明する図であり、(b)は基台のU字形の開口にボードを嵌め込んだ後の状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明するが、当該実施形態は本発明の原理の理解を容易にするためのものであり、本発明の範囲は、下記の実施形態に限られるものではなく、当業者が以下の実施形態の構成を適宜置換した他の実施形態も、本発明の範囲に含まれる。
【0012】
(実施形態1)
図1は起立着座移動支援装置900の斜視外観図であり、
図2は起立着座移動支援装置900を使用者である被介護者側から説明する図である。
図1及び
図2に示されるように、本実施形態にかかる起立着座移動支援装置900は、脇を閉めた被介護者の肘、前腕及び手が置かれて体重がかかる一対の腕置き板体100と、腕置き板体100の下側に設けられ、被介護者の体躯に対して前方斜め上方に腕置き板体100を水平に保ったままスライド上昇させる又は後方斜め下方に腕置き板体100を水平に保ったままスライド下降させる昇降フレーム300と、昇降フレーム300の下側に配置されてこの昇降フレーム300を支持する基台400と、を備える。
【0013】
一対の腕置き板体100は、被介護者の上体に対して両斜め前方に水平且つ平行に配置される板体である。腕置き板体100の上面には被介護者の手にて握ることができる垂直方向に延出する握り棒120が設けられる。
【0014】
基台400は、被介護者の体躯に対して両斜め前方に水平且つ平行に配置される一対の板体410と、この一対の板体410の前部どうしを結ぶ円弧状の連絡部420とからなる。即ち、基台400は、全体として、後方が開放されると共に前方が閉じている平面視でU字形であり、このU字形の開口側から被介護者の両足を収容することができる。また、板体410の下部には、前方及び後方に車輪430が各々設けられ、これにより床面上を移動することができる。
【0015】
図3は、板体410の下部に設けられている車輪430の外観を説明する図である。
図3に示すように、車輪430はキャスタ431に取り付けられており、車輪430は回転軸432を中心に起立着座移動支援装置900の進行方向に回転する。また、車輪430は回転軸432に対して偏位した垂直回動軸433の回りに、矢印で示すように回動可能である。これにより、起立着座移動支援装置900は前方へ移動可能であるのみならず、横方向へ移動することも可能であり、例えば狭い室内において起立着座移動支援装置900を自在に移動させることができる。回転軸432には、回転軸432の回転を拘止するためのストッパ434が設けられている。ストッパ434が回転軸432の回転を拘止することにより、車輪430が回転しなくなり、そのため起立着座移動支援装置900が前後等に移動しなくなる。被介護者が立ち上がり動作又は座り込み動作を行う際には、ストッパ434により回転軸432の回転を拘止させておくことが好ましい。
【0016】
図1及び
図2にもどり、昇降フレーム300は、例えば断面長方形の管状の下側フレーム310と、この下側フレーム310の内部にスライド自在に収納される上側フレーム320とからなる。なお、下側フレーム310及び上側フレーム320の断面は長方形に限定されるものではなく、例えば円、楕円、正方形等の種々の形態が可能である。上側フレーム320は、下側フレーム310とほぼ同等の長さを有する。昇降フレーム300は、腕置き板体100の下側に各々設けられている。即ち、下側フレーム310の下端部は板体410の後方に取り付けられ、上側フレーム320の上端部は腕置き板体100の前方に取り付けられており、これにより、下側フレーム310から上側フレーム320へ昇降フレーム300は被介護者の体躯に対して前方斜め上方に延出して形成されている。下側フレーム310は支持板330により支持されている。
【0017】
上側フレーム320のスライド駆動構造は公知のものを利用することができ、例えば、上側フレーム320をスライド駆動するボールネジやシリンダ等のスライド駆動部と、上側フレーム320の収納又は引き出し操作を行う、腕置き板体100の上面に設けられるスイッチと、このスイッチの操作に応じてスライド駆動部の制御を行う制御部と、を設けることができる。腕置き板体100の下側に設けられている各々の昇降フレーム300はリンクして伸縮する。上側フレーム320が下側フレーム310の内部に収納される、又は、上側フレーム320が下側フレーム310の内部から引き出しされることにより、昇降フレーム300は伸縮自在となる。
【0018】
なお、スイッチの操作にてスライド駆動部を操作するのではなく、被介護者の音声命令にて昇降フレーム300の伸縮操作をすることも可能である。かかる場合は、被介護者が発した音声命令を検知して所定の電気信号に変換して音声信号として出力する音声変換部と、この音声変換部からの音声信号を所定の操作命令として認識し、この操作命令に相当する操作命令信号を制御部に出力する音声認識部とを備える。
【0019】
次に、本実施形態にかかる起立着座移動支援装置900の使用態様について説明する。
【0020】
図4は、着座姿勢にある被介護者が実施形態1にかかる起立着座移動支援装置900を使用する状態を説明する図である。
図5は、起立姿勢にある被介護者が実施形態1にかかる起立着座移動支援装置900を使用する状態を説明する図である。
【0021】
まず、例えばベッドの上面等に着座している着座姿勢にある被介護者の立ち上がり動作を支援する使用態様について説明する。
図4に示されるように、被介護者は例えば椅子等に着座しており、上側フレーム320は下側フレーム310の内部に収納されている。被介護者が立ち上がり動作を行う際には、脇を閉めた被介護者の肘、前腕及び手が腕置き板体100に置かれて被介護者の体重がかかる。この際、被介護者は小指側を下にして120握り棒を握る。これにより、被介護者の肘、尺骨側の前腕及び手が腕置き板体100に密着してこれらが腕置き板体100の上に固定され、安定した立ち上がり動作の実現に寄与する。
【0022】
次に、
図5に示されるように、下側フレーム310の内部に収納された上側フレーム320が、下側フレーム310の内部から被介護者の体躯に対して前方斜め上方に引き出しされることにより、腕置き板体100が被介護者の肘、前腕及び手を押し上げる。これにより、被介護者の上半身に着座姿勢から起立姿勢に誘導する力が作用するので、被介護者の上体が起立姿勢まで斜め前方に安定して上昇される。なお
図5においては、上側フレーム320は下側フレームから最大限引き出されているが、このような実施形態に限定されず、上側フレーム320の下側フレームからの引き出しの程度は、被介護者の身長に対応して適宜設定することが可能である。
【0023】
そして、被介護者が立ち上がった後に移動する際は、被介護者は、脇を閉めて肘、前腕及び手を腕置き板体100に置き、この腕置き板体100に体重をかけながら移動を行う。これにより被介護者は体重の一部を起立着座移動支援装置900に預けながら自立歩行して移動でき、全体重が脚にかかることによるふらつきの可能性を低減させて安定して移動することができる。
【0024】
また、被介護者が立ち上がった後に移動する際は、被介護者は、小指側を下にして腕置き板体100の上面に設けられている握り棒120を握って任意の移動方向に起立着座移動支援装置900を移動させることができる。前述したように基台400は平面視でU字形であり、このU字形の開口側から被介護者の両足を収容させて歩行を行うことができるので、歩行を行う際に被介護者の脚が基台400に衝突することによる歩行行動の阻害の可能性が低減される。
【0025】
次に、起立姿勢にある被介護者の例えば便器の便座等への腰掛け動作を支援する使用態様について説明する。
図5に示されるように、被介護者が腰掛け動作を行う際には、脇を閉めた被介護者の肘、前腕及び手が置かれる腕置き板体100を、被介護者の体躯に対して後方斜め下方にスライド下降させる。これにより、被介護者の上体は着座姿勢まで斜め後方に安定して下降される。なお、腰掛け動作の際に、被介護者は、腕置き板体100の上面に設けられている握り棒120を握ることにより、被介護者の肘、尺骨側の前腕及び手が腕置き板体100に密着固定されるので、更なる安定した腰掛け動作の実現が可能となる。
【0026】
以上により、被介護者の安定した立ち上がり動作の支援が可能となり、更に安定した腰掛け動作及び安定した移動の支援も可能となる。
【0027】
(実施形態2)
実施形態2においては、起立着座移動支援装置900は更に被介護者の坐骨周辺を支持するスリングを備える。
図6は、実施形態2にかかる起立着座移動支援装置の斜視外観図である。
【0028】
図6に示されるように、本実施形態にかかる起立着座移動支援装置900では、被介護者の臀部を支えるスリング200と、腕置き板体100の被介護者側の下部に設けられるフック部110とを備える。スリング200は、被介護者の坐骨周辺を包んで支持する帯体210と、この帯体210の長さ方向の両端縁部に設けられた二つの環状紐体220とからなる。これら各々の環状紐体220は、腕置き板体100に設けられたフック部110に着脱自在に取り付けられる。帯体210は弾性材料にて形成され、特に限定されるものではないが、例えば天然ゴムやポリウレタンやSBR(スチレン・ブタジエンゴム)等の伸縮性を有するエラストマーにて形成される。なお、帯体210の長さ方向の両端縁部において、紐体の両端部を帯体210の幅方向の両端部に各々取り付けることにより環状紐体を形成することも可能である。また、帯体210は全てが弾性材料にて形成されるのではなく、部分的に弾性材料にて形成されるものとすることも可能である。
【0029】
次に、本実施形態にかかる起立着座移動支援装置900の使用態様について説明する。
【0030】
図7は、着座姿勢にある被介護者が実施形態2にかかる起立着座移動支援装置900を使用する状態を説明する図である。
図8は、起立姿勢にある被介護者が実施形態2にかかる起立着座移動支援装置900を使用する状態を説明する図である。
【0031】
まず、例えばベッドの上面等に着座している着座姿勢にある被介護者の立ち上がり動作を支援する使用態様について説明する。
図7に示されるように、管状紐体220の一方を腕置き板体100の下部に設けられた一方のフック部110に取り付け、帯体210を被介護者の坐骨周辺にあてがい、管状紐体220の他方を腕置き板体100の下部に設けられた他方のフック部110に取り付け、この状態にて被介護者は例えば椅子等に着座する。上側フレーム320は下側フレーム310の内部に収納されている。被介護者が立ち上がり動作を行う際には、脇を閉めた被介護者の肘、前腕及び手が腕置き板体100に置かれて被介護者の体重がかかる。
【0032】
次に、
図8に示されるように、下側フレーム310の内部に収納された上側フレーム320が、下側フレーム310の内部から被介護者の体躯に対して前方斜め上方に引き出しされることにより、腕置き板体100が被介護者の肘、前腕及び手を押し上げると共に腕置き板体100に取り付けられているスリング200が被介護者の坐骨周辺を吊り上げる。これにより、被介護者の上半身及び下半身に着座姿勢から起立姿勢に誘導する力が作用するので、被介護者の上体が起立姿勢まで斜め前方に安定して上昇される。そして、被介護者が立ち上がった後に移動する際は、前述の実施形態1と同様に、被介護者は、脇を閉めて肘、前腕及び手を腕置き板体100に置き、この腕置き板体100に体重をかけながら移動を行う。
【0033】
次に、起立姿勢にある被介護者の例えば便器の便座等への腰掛け動作を支援する使用態様について説明する。
図8に示されるように、被介護者が腰掛け動作を行う際には、脇を閉めた被介護者の肘、前腕及び手が置かれる腕置き板体100を被介護者の体躯に対して後方斜め下方にスライド下降させ、腕置き板体100に取り付けられているスリング200を吊り降ろす。これにより、被介護者の下半身を支持しながらの腰掛け動作が可能となり、被介護者が後方に転倒する可能性を低減できるので、被介護者の上体は着座姿勢まで斜め後方に安定して下降される。
【0034】
なお、上述の実施形態においては、被介護者の坐骨周辺を包んで支持するものは帯体であったが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、両端ほど形状が絞られている紡錘体とすることも可能である。紡錘体を用いることにより、被介護者の坐骨周辺を包む面積を大きくすることができ、より被介護者の下半身を安定して支持することができる。
【0035】
(実施形態3)
上述の実施形態2では、スリング200は、帯体210の長さ方向の両端縁部に環状紐体220が各々固定して取り付けられていた。しかしながら本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。実施形態3においては、スリング200は、帯体210の長さ方向の両端縁部に環状紐体220が摺動するように取り付けられる。
【0036】
図9はスリング200の変形例を示す図である。
図9に示されるように、スリング200は、帯体210の幅方向に延びる筒体230を帯体210の長さ方向の両端縁部に各々備える。これら筒体230内には環状紐体220の一部が摺動可能に挿通されており、筒体230から露出した環状紐体220の他部は、腕置き板体100の下部に設けられたフック部110に摺接可能に掛けられる。
【0037】
帯体210の長さ方向の両端縁部に環状紐体220が各々固定して取り付けられている場合にあっては、被介護者が立ち上がり動作又は腰掛け動作を行う際、管状紐体220の上部分と下部分とで伸び縮みの程度が異なり、これにより被介護者の坐骨周辺を包む帯体210に応力がかかり、被介護者の臀部に不快感を与える虞がありうるが、本実施形態によれば、立ち上がり動作又は腰掛け動作の際、管状紐体220の上部分と下部分とで伸び縮みの程度の差が発生することを抑制できるため、帯体210に発生する応力を抑制でき、被介護者の臀部に不快感を与える可能性を低減できる。
【0038】
また、上述の実施形態では、腕置き板体100の下部に設けられたのはフック部110であったが、
図10に示されるように、腕置き板体100の被介護者側下部に各々滑車130を設けることも可能である。この場合にあっては、帯体210の長さ方向の両端縁部に環状紐体220が各々固定して取り付けられているスリング200を使用し、そして各々の管状紐体220を滑車130に掛ける。これによっても、立ち上がり動作又は腰掛け動作の際、管状紐体220の上部分と下部分とで伸び縮みの程度の差が発生することを抑制でき、被介護者の臀部に不快感を与える可能性を低減できる。なお、帯体210の長さ方向の両端縁部において、帯体210の幅方向の両端部に、各々、帯体210の長さ方向に対して垂直位置に滑車を2個設け、これらの滑車と前述の滑車130とに管状紐体220を掛けることも可能である。
【0039】
(実施形態4)
実施形態4においては、起立着座移動支援装置900は、実施形態1の構成に加えて被介護者を脇の下から支持する脇支持部を備える。
図11は、実施形態4にかかる起立着座移動支援装置の斜視外観図である。
【0040】
図11に示されるように、本実施形態にかかる起立着座移動支援装置900では、脇支持部500が腕置き板体100に設けられている。脇支持部500は、平面視長円形状を有して長手方向の両端部において上方に反っている、被介護者の脇の下の部分に当接する当接部510と、上端は当接部510の下端に接続し、下端は腕置き板体100の側面に接続して、当接部510を支持する支持部520と、を備えている。当接部510は、柔軟性且つ弾力性を有する材質にて形成される。
【0041】
当接部510は、被介護者の脇の下の部分のうち、胴体側部分、大胸筋側部分及び広背筋側部分に当接して、脇支持部500は被介護者を脇の下から支持する。脇の下の部分のうち、中央部の奥には、脇窩動脈・静脈、橈骨神経、尺骨神経、正中神経等の上肢と繋がる重要な神経や血管が走行しており、脇の下の中央部を強い力にて圧迫するのではこれらの神経や血管に強い圧迫刺激を与える虞があるため、本発明では、当接部510は脇の下の中央部を避けて被介護者の脇の下の部分のうち胴体側部分に当接する。また、被介護者を安定して支えるために、当接部510は、被介護者の脇の下の部分のうち、大胸筋側部分及び広背筋側部分に当接する。
【0042】
次に、本実施形態にかかる起立着座移動支援装置900の使用態様について説明する。
【0043】
図12は、着座姿勢にある被介護者が実施形態4にかかる起立着座移動支援装置900を使用する状態を説明する図である。
【0044】
まず、例えばベッドの上面等に着座している着座姿勢にある被介護者の立ち上がり動作を支援する使用態様について説明する。
図12に示されるように、被介護者は例えば椅子等に着座しており、上側フレーム320は下側フレーム310の内部に収納されている。被介護者は、脇支持部500の当接部510を脇に挟み込むようにして当接部510を脇の下にあてがい、当接部510は、被介護者の脇の下の部分のうち、胴体側部分、大胸筋側部分及び広背筋側部分に当接する。被介護者が立ち上がり動作を行う際には、脇を閉めた被介護者の肘、前腕及び手が腕置き板体100に置かれて被介護者の体重がかかる。
【0045】
次に、図示しないが、下側フレーム310の内部に収納された上側フレーム320が、下側フレーム310の内部から被介護者の体躯に対して前方斜め上方に引き出しされることにより、腕置き板体100が被介護者の肘、前腕及び手を押し上げると共に腕置き板体100に取り付けられている脇支持部500の当接部510が被介護者を脇の下から押し上げる。これにより、実施形態1と比較して、被介護者の肘、前腕及び手を押し上げるのみならず被介護者を脇の下から押し上げるため、被介護者の上半身に着座姿勢から起立姿勢に誘導する力が更に安定的に作用するので、被介護者の上体が起立姿勢まで斜め前方に更に安定して上昇される。そして、被介護者が立ち上がった後に移動する際は、被介護者は、脇を閉めて肘、前腕及び手を腕置き板体100に置き、この腕置き板体100に体重をかけながら移動を行う。また、本実施形態では、この腕置き板体100に体重をかけるのみならず、脇支持部500にも体重をかけることができる。
【0046】
次に、起立姿勢にある被介護者の例えば便器の便座等への腰掛け動作を支援する使用態様について説明する。図示しないが、被介護者が腰掛け動作を行う際には、脇を閉めた被介護者の肘、前腕及び手が置かれる腕置き板体100を、被介護者の体躯に対して後方斜め下方にスライド下降させ、腕置き板体100に取り付けられている脇支持部500も後方斜め下方にスライド下降させる。これにより、実施形態1と比較して、更に、被介護者を脇の下から支えているため、被介護者の上体は着座姿勢まで斜め後方に更に安定して下降されることになる。
【0047】
(実施形態5)
上述の実施形態では、被介護者が立ち上がった後に移動する際は、被介護者は、その体重の一部を起立着座移動支援装置900に預けながら自立歩行して移動するものであった。しかしながら本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。実施形態5においては、被介護者は、基台400の上に乗った状態にて移動する。
【0048】
図13は基台400の変形例を示す図であり、そのうち(a)は基台400のU字形の開口にボード440を嵌め込む前の状態を説明する図であり、(b)は基台400のU字形の開口にボード440を嵌め込んだ後の状態を説明する図である。
図13(a)に示されるように、ボード440は、厚さ方向の中間部に平面視U字状に形成された嵌合凸部441を備え、この嵌合凸部441と対応する嵌合凹部442が、基台400のU字形の開口内周部の厚さ方向の中間部に形成されている。
【0049】
そして
図13(b)に示されるように、ボード440を基台400のU字形の開口には嵌め込むことにより、ボード440の嵌合凸部441と基台400の嵌合凹部442とが係合する。着座姿勢の被介護者は、基台400のU字形の開口に嵌め込まれたボード440に両足を乗せる。そして、被介護者の両足をボード440に乗せたまま、昇降フレーム300により被介護者を立ち上がらせる。または、被介護者は、立ち上がった後に、この基台400のU字形の開口には嵌め込まれたボード440に乗ることができる。その後は、介護者が、ボード440に乗った被介護者を例えば背後から押すことにより、自立歩行が困難な被介護者を移動させることができる。
【0050】
また、起立着座移動支援装置900に自走機能を設けておけば、ボード440に乗った被介護者は、自立歩行が困難であっても自走操作を行うことにより任意の方向へ移動することができる。自走機能としては公知の構造を設けることができ、例えば、車輪430を回転駆動するモータを含む駆動部と、起立着座移動支援装置900を自走させるための操作を行う操作手段を備える自走操作部と、この自走操作部の操作に応じてモータの回転制御を行う制御部と、を設けることができる。左右何れかの板体410の内部にはバッテリーが備えられてモータの電源とされ、また、起立着座移動支援装置900に例えばライトを備えているときにはその電源として使用される。被介護者が自走操作を行う操作手段としては例えばジョイスティックを腕置き板体100の上面に設けることができ、このジョイスティックの操作に応じた駆動力がモータによって発生して車輪430に与えられて起立着座移動支援装置900が自走する。なお、操作手段としてのジョイスティックを腕置き板体100の上面に設けず、有線又は無線のリモートコントロール方式とすることもでき、かかる場合にあっては介護者が遠隔操作を行うことが可能となる。
【0051】
(その他の実施形態)
前述の実施形態2では、起立着座移動支援装置900は被介護者の坐骨周辺を支持するスリング200を備えており、前述の実施形態4では、起立着座移動支援装置900は被介護者を脇の下から支持する脇支持部500を備えていた。しかしながら本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、起立着座移動支援装置900は、被介護者の坐骨周辺を支持するスリング200と被介護者を脇の下から支持する脇支持部500とを共に備えることも可能である。