【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記式で示される有機金属化合物であって、
【化2】
ここで、R
2=(C
1−C
20)ヒドロカルビルであり;M
1はグループ3〜14の金属であり;G=R
3b−Ch−R
3bまたはCh(OM
1L
1mOR
2)
cであり;Ch=発色団部分であり;R
3は炭素数1〜12の2価の連結基であり;R
4=H、R
2またはM(L
1)
mOR
2であり;L
1はリガンドであり;mはリガンドの数を示し、かつ1〜4の整数であり;a=1〜20の整数であり;各bはそれぞれ0〜25の整数であり;c=1または2である、有機金属化合物と、有機溶媒と、を含む組成物を提供する。このような組成物は、ハードマスクとしても機能できる、反射防止オキシメタル層の形成に好適である。
【0008】
また、本発明は、基板を提供する工程と、基板の表面上に上述した組成物の膜をコーティングする工程と、発色団部分を有するオキシメタル層を形成するのに十分な条件下で膜を硬化させる工程と、を含む、反射防止オキシメタル層の形成方法を提供する。
【0009】
本明細書において用いる場合、文脈が明確に別段の指定をしない限り、次の略号は以下の意味を持つものとする:ca.=約;℃=セ氏温度;g=グラム;mg=ミリグラム;mmol=ミリモル;L=リットル;mL=ミリリットル;μL=マイクロリットル;nm=ナノメーター;Å=オングストローム;Et=エチル;i−Pr=イソプロピル;n−Bu=n−ブチル;t−Bu=tert−ブチル;およびrpm=毎分回転数。別段の記載がない限り、全ての量は重量%(「wt%」)であり、全ての比はモル比である。全ての数値範囲は、このような数値範囲の合計を100%にする必要性が明確にある場合以外、包括的であり、任意の順序で組み合わせ可能である。
【0010】
用語「オリゴマー」は、更に硬化が可能な、二量体、三量体、四量体、およびその他の比較的低分子量の物質を指す。用語「ポリマー」は用語「オリゴマー」を含む。用語「硬化」は、重合、または、縮合等により膜または層の分子量を増大させる任意の工程を指す。用語「膜」、「層」は互いに代替可能に用いられている。冠詞「a」、「an」および「the」は単数および複数に言及する。「アルキル」および「アルキレン」は直鎖、分岐鎖、および環状のアルキル、アルキレンをそれぞれ示す。「アルキリデン」は直鎖、分岐鎖、環状アルキリデンを示す。用語「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタクリレートの双方を示す。
【0011】
本明細書内で、「オキシメタル層」は(−M−O−)
n領域を含むあらゆる層を示し、ここでMは金属であり、nは>1の整数であり、大部分の(−M−O−)
n領域を有するオキシメタル層および、金属窒化領域と(−M−O−)
n領域との両方を有する混合領域層のどちらをも備えている。オキシメタル層は、任意で炭素などの他の1つ以上の元素を含み得て、(−M−O−)
n領域に比べて相対的に微量で存在することが好ましい。本明細書でいう「領域」とは、(−M−O−)
n結合等の特定の結合の対応するブロックで構成される小型結晶、半結晶、または非晶質の領域を示す。
【0012】
本発明の組成物は、下記式
【化3】
の有機金属化合物であって、ここでR
2=(C
1−C
20)ヒドロカルビルであり;M
1はグループ3〜14の金属であり;G=R
3b−Ch−R
3bまたはCh(OM
1L
1mOR
2)
cであり;Ch=発色団部分であり;R
3は炭素数1〜12の2価の連結基であり;R
4=H、R
2またはM(L
1)
mOR
2であり;L
1はリガンドであり;mはリガンドの数を示し、かつ1〜4の整数であり;a=1〜20の整数であり;各bはそれぞれ0〜25の整数であり;c=1または2である、有機金属化合物と、有機溶媒と、を含む。a=1〜15の整数であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。a>1の場合には、有機金属化合物はオリゴマーであることが当業者には自明である。好ましくは、c=1である。M
1はグループ4、5、6、13、または14から選ばれることが好ましい。M
1として好ましい金属は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、タンタル、モリブデン、バナジウム、インジウム、ゲルマニウム、ガリウム、タリウム、またはアルミニウムである。
【0013】
中性リガンドおよびアニオン性リガンド等の任意のリガンドが、式(1)中で、L
1として好適に用いられ得る。中性リガンドは、電荷を帯びない部分、例えばCO
2から形成され、アニオン性リガンドは、例えばCH
3CH
2−Li
+等のアルキルリチウム化合物に見られる負電荷を帯びる部分、例えばアルキル陰イオンから形成される。好ましくは、L
1は(C
1−C
20)アルコキシ、(C
2−C
20)カルボキシル、β−ジケトナート、β−ヒドロキシケトナート、β−ケトエステル、β−ジケチミネート、アミジナート、グアニジナートまたはβ−ヒドロキシイミネートから、より好ましくは(C
1−C
12)アルコキシ、(C
2−C
12)カルボキシル、β−ジケトナート、β−ヒドロキシケトナート、β−ケトエステル、β−ジケチミネート、アミンジナート、グアニジナート、またはβ−ヒドロキシイミネートから、更に好ましくは(C
1−C
6)アルコキシ、(C
2−C
6)カルボキシル、β−ジケトナート、β−ヒドロキシケトナート、β−ケトエステル、β−ジケチミネート、アミンジナート、グアニジナート、またはβ−ヒドロキシイミネートから選択される。1つの実施形態では、L
1として選択された部分は20〜40erg/cm
2の表面エネルギーを有し得る。リガンドの数は式(1)において「m」で示され、1〜4であってよく、好ましくは2〜4である。L
1として好ましいリガンドには、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、イソ−ブトキシ、n−ペントキシ、ベンゾイルアセトネート;ペンタン−2,4−ジオネート(アセトアセテート);ヘキサフルオロアセトアセテート;2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオネート;およびエチル−3−オキソブタネート(エチルアセトアセテート)が含まれる。
【0014】
式(1)のR
2は、任意で、酸素原子などのヘテロ原子を含んでもよい。R
2の例示的なグループには、(C
1−C
20)アルキル、(C
1−C
20)アルキルデン、(C
6−C
20)アリール、(C
7−C
20)アルカリル、(C
7−C
20)アラルキルを含む。好ましくは、R
2は、(C
1−C
12)アルキル、(C
1−C
12)アルキルデン、(C
6−C
20)アリール、(C
7−C
20)アルカリル、(C
7−C
20)アラルキルから選択される。
【0015】
式(1)のR
3は、1〜12の炭素原子を有する任意の2価の連結基であってもよく、酸素、窒素、および硫黄からなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含み得る。好ましくは、R
3は、1〜10個の炭素原子を有する2価の連結基である。R
3は、(C
1−C
12)アルキレン、(C
1−C
12)アルキレン−X−、または(C
1−C
12)アルキリデン−X−であることが好ましく、ここでXは独立してOおよびSから選択され、より好ましくは、R
3は(C
1−C
12)アルキレン、(C
1−C
12)アルキレン−O−、または(C
1−C
12)アルキリデン−O−であり、更に好ましくは、(C
1−C
10)アルキレン、(C
1−C
10)アルキレン−O−、または(C
1−C
10)アルキリデン−O−であり、更により好ましくは、(C
1−C
6)アルキレン、(C
1−C
6)アルキレン−O−、または(C
1−C
6)アルキリデン−O−である。R
3としての例示的な2価の連結基には、−(CH
2)
z−(z=1〜4)、−(CH
2)
p−O−(p=2〜6)、[(C
2H
4)−O]
y(y=1〜6)、および−[(CH
2C(CH
3)H)−O]
f−(f=1〜6)が含まれる。各bは0〜20の整数であることが好ましく、より好ましくは0〜15であり、更に好ましくは1〜15であり、さらにより好ましくは1〜5である。更に、1つはb≠0であることが好ましく、それぞれがb≠0であることがより好ましい。Gは好ましくは、Ch、Ch−R
3b、R
3b−Ch、R
3b−Ch−R
3bまたはCh(OM
1L
1mOR
2)
cから選択される。また、発色団部分、Chは、芳香環またはイソシアヌレートから選択された1つ以上の部分を含むことが好ましく、イソシアヌレートが好ましい。好ましい芳香環発色団部分は、フェニル、ナフチル、アントラセニルおよびフェナントリルである。発色団部分は、任意で、発色団上の1個以上の水素原子を、(C
1−C
6)アルキル、シアノ、ハロ、ニトロおよびSO
3−Y(ここでY=H、アンモニウムまたはアルカリ金属イオン)から選択された1つ以上の置換基と置き換えることで、置換されてもよい。選択された特定の発色団部分は、所望された特定のnおよびk値に依存するであろう。このような発色団部分の選択は、当業者の能力の範囲内である。
【0016】
本有機金属化合物は、当該技術分野において公知の様々な方法、例えば下記一般式により調製され得る:
【化4】
ここで、R
2、R
4、M
1、L
1およびGは上記式(1)に定義された通りである。式(1)の化合物は、単一金属種、またはそれぞれが同様のプラズマエッチング抵抗性を有する異なる金属種の組み合わせを含有してもよいが、単一金属種を含有することが好ましい。一般に、このような反応は≦200℃、好ましくは≦150℃の温度で行われる。
【0017】
幅広い種類の有機溶媒が好適に用いられ得るが、ただし、有機金属化合物は、溶媒または選択した溶媒の混合物に可溶である。このような溶媒には、芳香族炭化水素類、アルコール類、ラクトン類、エステル類、グリコール類、グリコールエーテル類が含まれるが、これらに限定されない。有機溶媒の混合物を使用することもできる。例示的な有機溶媒として、トルエン、キシレン、メシチレン、2−メチル−1−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、メチルイソブチルカルビノール、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル(HBM)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートおよびプロピレングリコールメチルエーテルが含まれるがこれらに限定されない。好ましくは、有機溶媒は<10000ppmの水、より好ましくは<5000ppmの水、更に好ましくは≦500ppmの水を含む。有機溶剤が遊離カルボン酸基やスルホン酸基を有さないことが好ましい。
【0018】
本有機金属化合物の組成は、任意で1つ以上の表面平滑化剤(あるいは界面活性剤)を含み得る。任意の好適な界面活性剤を使用することが可能であるが、このような界面活性剤は通常、非イオン性である。本組成に有用なこのような界面活性剤の量は当業者に周知であり、通常、組成物の総重量を基準として0〜5重量%の範囲である。
【0019】
本有機金属化合物の組成は、任意に、
堆積された有機金属オリゴマー膜の硬化を補助する1つ以上の硬化剤を更に含んでも良い。例示的な硬化剤は、熱酸発生剤、光酸発生剤が挙げられる。好ましい硬化剤は熱酸発生剤である。このような硬化剤とその用途は当業者に周知であり、様々な製造元から一般に市販されている。本組成はこのような硬化剤を含まないことが好ましい。
【0020】
本発明の組成物は、任意で、金属を含まないバインダーポリマーを含んでもよく、つまり、バインダーポリマーは有機金属ポリマーではない。用語「バインダーポリマー」は、基板に有機金属化合物を結合するよう機能するポリマーである。界面活性剤は、この用語が本明細書で使用される場合、「バインダーポリマー」ではない。好ましいバインダーポリマーは、米国特許出願第13/776,496号に開示されている遊離ヒドロキシル部分を有するものである。例示的なバインダーポリマーは、重合単位として:ヒドロキシスチレン等のヒドロキシ置換ビニル芳香族化合物;ならびにヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、1−メチル−2−ヒドロキシエチルアクリレート、1−メチル−2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレートおよび2−ヒドロキシブチルメタクリレート等のヒドロキシ(C
2−C
10)アルキル(メタ)アクリレート、のうち1つ以上を有するものである。1つの実施形態では、本組成物はバインダーポリマーを含まない。
【0021】
本有機金属組成物は、任意に、20〜40erg/cm
2の表面エネルギーを有し、ヒドロキシル、保護ヒドロキシル、保護カルボキシルおよびそれらの混合物から選択された表面処理部分を含む、表面処理剤を含んでもよい。表面処理剤は高分子または非高分子でもよく、好ましくは高分子である。高分子表面処理剤は直鎖または分岐鎖状であってよく、1つ以上の表面処理部分を含むペンダント基、1つ以上の表面処理部分を含む末端基、および1つ以上の表面処理部分を含むポリマー骨格、のうち1つ以上を含む。理論に拘泥するものではないが、表面処理剤は、本組成物の
堆積時および/またはその後の溶媒除去工程時に、形成される膜の表面に向けて移行すると考えられる。表面処理剤の相対的に低い表面エネルギーが、空気界面に表面処理剤を移動する上で役立つと考えられる。なお、表面処理剤のこのような移動が、実質的にオキシメタル膜の完全硬化前に生じるべきであることは、当業者には自明である。硬化オキシメタル膜の形成は、表面処理剤の移動を実質的に規制する。適切な表面処理剤は米国特許出願第13/745,753号に開示されたものである。
【0022】
本発明の発色団部分を有する有機金属化合物と、発色団部分のない1つ以上の有機金属化合物とからなる混合物を本組成物で使用してもよい。更に、発色団部分を有する複数の有機金属化合物の混合物を、本組成物に使用することもできる。発色団部分を有する本有機金属化合物を含む組成物は一般的に、1つ以上の有機金属化合物と、1つ以上の有機溶媒と、あらゆる任意の成分と、を混合することによって調製される。有機金属化合物の混合物を、本組成物に使用することもできる。また、溶媒中の有機金属化合物の濃度が広い範囲にわたって変化し得ることは当業者には自明であり、スピンオン法により
堆積されたあらゆる膜の厚さは、溶媒中のオリゴマーの濃度に依存する。
【0023】
本発明の有機金属化合物の組成は、電子デバイス用基板の表面への膜
の堆積に利用することができることが判明した。続いて有機金属化合物の薄膜は、塗布される有機層(追加の底反射防止膜(BARC)層、またはフォトレジスト層等)と混合しないように十分に硬化されるが、所望のnおよびk値を提供する充分な発色団部分は依然として維持される。このような硬化膜は適切な反射防止オキシメタル層であり、ハードマスク層としても機能し得る。
【0024】
本組成物は、スピンコート法、スロットダイコート法、ドクターブレード法、カーテンコート法、ロールコート法、スプレーコート法、ディップコート法等、あらゆる適宜の手段により、電子デバイス基板上に配置してもよい。スピンコート法が好ましい。代表的なスピンコート法において、本組成物は、基板の有機金属オリゴマーの所望の層を得るため、15〜90秒の間に500〜4000rpmの速度で回転している基板に塗布される。回転速度を変更することで有機金属オリゴマー層の高さを調整できることは当業者には自明である。
【0025】
幅広い種類の電子デバイス用基板が本発明において用いられ、例えば、マルチチップモジュール等のパッケージング基板;フラットパネル表示基板;集積回路基板;有機発光ダイオード(OLED)を含む、発光ダイオード(LED)の基板;半導体ウエハ;多結晶シリコン基板;などである。このような基板は一般的に、シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、シリコンゲルマニウム、砒化ガリウム、アルミニウム、サファイア、タングステン、チタン、チタンタングステン、ニッケル、銅、金のうち1つ以上で構成される。適当な基板は、集積回路、光センサ、フラットパネルディスプレイ、光集積回路、LED等の製造に用いる等のウエハの形態でもよい。本明細書において、用語「半導体ウエハ」は、「電子デバイス用基板」、「半導体基板」、「半導体装置」、および様々なレベルの相互接続の様々なパッケージを包含することを企図し、シングルチップウエハ、マルチプルチップウエハ、様々なレベルのパッケージまたは、はんだ接続を要する他の部品を含む。このような基板はあらゆる大きさであってもよい。より小さなおよびより大きな直径のウエハを本発明で好適に使用する場合があるが、好ましいウエハ基板の直径は200mm〜300mmである。本明細書において、用語「半導電基板」とは、半導体装置のアクティブまた動作可能な部分を含む、1つ以上の半導体層、または構造を有するあらゆる基板を含む。用語「半導体基板」は、単独、またはそれらの上に他の材料を含む集合体としてのいずれかの半導電ウエハ、および単独、または他の材料を含む集合体としてのいずれかの半導電材料層、等のバルク半導電材料を含む半導電材料から成る構成を意味すると定義されるがこれらに限定されない。半導体装置は、少なくとも1つのマイクロ電子デバイスがバッチ製造されている、または今後される、半導体基板を示す。
【0026】
基板上に
堆積した後、有機金属化合物層は任意で、相対的に低い温度で焼成されて、有機金属化合物層からあらゆる溶剤およびその他の相対的に揮発性の成分を除去する。一般に、基板は≦125℃、好ましくは60〜125℃、より好ましくは90〜115℃、の温度で焼成される。焼成時間は一般的に10秒〜10分であり、30秒〜5分が好ましく、6〜180秒がより好ましい。基板がウエハの場合には、このような焼成工程は、ホットプレート上でウエハを加熱して行うこともできる。
【0027】
焼成工程に続いて、有機金属化合物層が、空気などの含酸素雰囲気中で、有機発色団を含む反射防止オキシメタル膜を確保するのに十分な状態下で硬化される。このような状態は、所望のnおよびk値を提供する膜中に十分な発色団部分を維持しつつ、次に塗布する、追加の反射防止層またはフォトレジスト層等の有機層に混合しないよう膜を硬化させるのに十分である。この硬化工程は、ホットプレート式の装置上で行うことが好ましいが、オーブン硬化を用いても同等の結果を得ることができる。一般的に、このような硬化は、≧150℃、好ましくは150〜400℃、の硬化温度で有機金属オリゴマーを加熱することにより行う。硬化温度が≧200℃であることがより好ましく、更に好ましくは≧250℃であり、さらにより好ましくは、250〜350℃である。また、高温で有機金属化合物の有機質部分の一部が除去されることは当業者には自明である。得られたオキシメタル層のnおよびk値は、得られたオキシメタル膜中に所望量の発色団部分が残存するよう、適当な硬化温度を選択することにより調整することができる。本有機金属化合物層を≧200℃で硬化すると、得られた金属オキシメタル膜は、反射防止膜およびフォトレジストの塗布に従来使用された溶媒による剥離(除去)に耐性を持つ。本有機金属化合物膜がこの段階で>400℃等、高すぎる温度で硬化されると、有機発色団部分は実質的に、または完全に、オキシメタル膜から除去され、それによりこれらの膜のBARCとしての価値が低下するおそれがあり、また得られた膜は、画像形成されたフォトレジスト層の現像に従来使用された、アルカリまたは溶剤現像剤による剥離への耐性を有するようになるであろう。硬化時間は10秒〜10分であってもよく、好ましくは30秒〜5分、より好ましくは45秒〜5分、更に好ましくは45〜180秒であってもよい。最終硬化温度の選択は、所望の硬化速度に主に依存し、より高い硬化温度はより短い硬化時間を必要とする。この硬化工程は、所望のnおよびk値を提供しつつ、続いて塗布される、例えばフォトレジストまたは追加のBARC層等の有機層と混合しないオキシメタル膜が得られるよう、十分な量の有機金属化合物を熱分解するために行われる。
【0028】
硬化工程が、溶媒の急速な上昇、および硬化による副生物によって膜質が低下させられないような方法等で行われていれば、初期焼成工程は必要ではない場合もある。例えば、比較的低温で開始し、その後250〜400℃の範囲まで徐々に上昇する傾斜焼成は、許容可能な結果をもたらすことができる。また、一部の場合において、二段硬化処理とするのが好ましく、その際、第1ステージでは250℃未満と低い焼成温度とし、第2段階では好ましくは250℃〜350℃の間の高い焼成温度とする。二段硬化処理は、均一な充填、および溝やビア等の、元々存在する基板表面形状の平坦化に役立つ。
【0029】
本有機金属化合物は、空気中、または窒素等の不活性雰囲気中で硬化され得る。理論に拘泥するものではないが、有機金属化合物の金属酸化物への変換は、コーティングに含まれる水分、および/または
堆積(鋳造)および硬化工程時の雰囲気から吸着した水分により促進され得るものと考えられている。
【0030】
有機発色団含有反射防止オキシメタル膜は、BARCとして好適に用いられ得る。例えば、スピンコート法等により、硬化オキシメタル膜表面上に、フォトレジストが配置されてもよい。例えばDow Electronic MaterialsよりEPIC(商標)の商品名で入手可能なもの等の、193nmリソグラフィに用いられるもの等、様々な種類のフォトレジストが好適に使用できる。適当なフォトレジストは、ポジティブトーン現像またはネガティブトーン現像レジストのいずれであってもよい。有機発色団含有反射防止オキシメタル層上に塗布後、次いでフォトレジスト層を、パターン化化学線を用いて画像形成(露出)し、その後、露光されたフォトレジスト層を、パターン化されたフォトレジスト層を提供する適切な現像剤を用い現像した。パターンはその後、公知の適当なエッチング技術、例えばプラズマエッチングにより、フォトレジスト層から下地の有機発色団含有反射防止オキシメタル層および基板に転送される。エッチング後、フォトレジスト層およびオキシメタル層は従来の技術を用いて除去される。その後電子デバイス用基板は、従来の手段に応じて処理される。
【0031】
式(1)の発色団部分Chは、得られた発色団含有オキシメタル反射防止膜において所望のnおよびk値を提供するように選択される。任意に、上述のあらゆる適切な方法等により有機発色団含有オキシメタル膜の表面上に有機BARC層が配置され得て、その後フォトレジストをBARC層上に配置し、上記のように処理することも可能である。例示的なBARCとしては、ARCブランドでBrewer Scienceから入手可能なもの、および、AR(商標)137 antireflectant等のAR(商標)ブランドでDow Electronic Materials(マールボロ、マサチューセッツ)から入手可能なものが挙げられる。
【0032】
金属酸化物の含有量が極めて高い膜が形成されるよう、実質的に全て(すなわち、少なくとも95重量%)の有機金属化合物が分解された、硬化オキシメタル層の表面エネルギーは、一般的に比較的高く、一般的に≦50°、例えば35〜45°の水接触角を有する。表面エネルギーはしばしば測定が困難であるため、水接触角等の代理測定が一般的に使用される。水接触角の測定は公知であり、好ましい方法は脱イオン(「DI」)水および2.5μL滴径を用いるKruss液滴形状解析装置モデル100を用いる。その有機含有量のため、本有機発色団含有オキシメタル膜は、一般に≧55°、例えば55〜70°の静的水接触角を有する。このような水接触角は、典型的には60〜70°の静水接触角を有する、続いて塗布される有機層、例えばフォトレジスト等と同様である。すなわち、本有機発色団含有オキシメタル膜の表面エネルギーは、続いて塗布される有機層、例えばフォトレジスト等のものと適合している。本有機発色団含有オキシメタル膜の表面エネルギーが高すぎる場合には、この表面を続いて塗布される有機層とより適合させるために、このような膜の表面を適当な表面処理剤により処理して表面エネルギーを低下(水接触角を上昇)させることも可能である。このような処理は、米国特許出願第13/745,752号に記載されている。このような処理後、有機発色団含有反射防止オキシメタル膜表面は、続いて塗布される有機層と実質的に一致する表面エネルギーを有し、すなわち、処理されたオキシメタル層の表面エネルギーは、続いて適用される有機層の表面エネルギーの20%以内、好ましくは10%以内であるべきである。
【0033】
実施例1
発色団部分を含む有機金属オリゴマーを次のように調整した。Dean−Starkトラップを備えたフラスコに、Ti(OR)
2(acac)
2(R=n−ブチルまたはイソプロピル、Tyzor AA−105、デュポン社から市販)、および0.33等量のtris−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(RCEIC)を添加した。この混合物を120〜130℃に加熱し、1〜2日間撹拌し、蒸留回収した。混合物をヘプタン(500ml)中で冷却し、急冷した。析出した固体を真空中で乾燥し、以下の式1に示す、13gの所望の製品、ポリマーAを得た。
式1:
【化5】
【0034】
実施例2
ジルコニウム−ビス(アセチルアセトン)−ビス(n−ブトキシド)(またはZr(acac)
2(OBu)
2)を0.33等量のTCEICと反応させること以外は実施例1の手順を繰り返し、ポリマーBを得る。
【0035】
実施例3
ハフニウム−ビス(アセチルアセトン)−ビス(n−ブトキシド)(またはHf(acac)
2(OBu)
2)を0.33等量のTCEICと反応させること以外は実施例1の手順を繰り返し、ポリマーCを得る。
【0036】
比較例4
TTCEICを約1等量のジエチレングリコールと置き換えた以外は実施例1の手順を繰り返し、式2に示す比較ポリマー1を得た。
式2:
【化6】
【0037】
実施例5
ポリマーAおよび比較ポリマーを、それぞれ固形分3.5wt%で2−メチル−1−ブタノールとガンマ‐ブチロラクトンとの混合物(95/5重量比)により調合し、0.2μmのポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)シリンジフィルタを介して濾過した。得られた溶液を、1500rpmでAR(商標)26Antireflectant(Dow Electronic Materialsより入手可能)の層を有するシリコンウエハ上に塗布し、280℃で60秒間焼成した。次に、市販のフォトレジスト(193nmまたは248nmのレジストのいずれか、Dow Electronic Materialsより入手可能)の層を、ポリマーAおよび比較ポリマーの両方の表面にスピンコートした。得られた高分子膜のn/k値をVUV−VASE(J.A.Woolam Co.Inc.)を用いて測定し、基板の反射率を表1に示す条件でKLA−Tencor社製のProlith(商標)ソフトウェアにより算出した。
【0038】
【表1】
【0039】
表2は、n/k値、および最小反射率の概要である。TCEICを組み込んだことで、n値が1.69〜1.85に増大し、最小反射率が3.3%〜2.1%に減少した。
【0040】
【表2】
【0041】
実施例6
5L三口フラスコに、還流コンデンサ、機械撹拌機および入口アダプタを備えた。この反応器に、400gのHf(OBu)
4(0.85mol)、および2.3Lの無水テトラヒドロフラン(THF)を添加し、この混合物を、機械撹拌を用いて激しく撹拌した。この撹拌混合物に、Scilogポンプを介して6時間かけて700mlの無水THF、およびペンタン−2,4−ジオン(170g、1.7mol)の溶液を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。その後、反応混合物を真空下で減圧乾燥した。無水酢酸エチル800mlを添加し、混合物を数時間室温で激しく撹拌した。この溶液を、微細フリットで濾過して、あらゆる不溶物を除去した。真空下で溶媒を濾液から除去し、ペールホワイトの固体(Hf(acac)
2(OBu)
2)を得て(288.5g、65%収率)、さらなる精製を行うことなく使用した。
【0042】
比較例7
2Lの三口フラスコに、還流コンデンサ、機械撹拌および熱電対を備えた。このフラスコに、実施例6(288.5g、0.55mol)からのHf(acac)
2(OBu)
2の無水酢酸エチル(1.3L)溶液、およびエチレンジグリコール(55.5g、0.52mol)を添加し、反応混合物を80°Cで16〜18時間還流した。次に、溶液を25℃まで冷却した後、微細フリットで濾過して、あらゆる析出した固体(94g)を除去した。濾液量を減らした後、一晩撹拌しながら、10倍量のヘプタンで急冷した。固体を収集し、ヘプタン(3×1L)で3回洗浄した。白色粉末を2時間強い真空下で乾燥し、式3に示す比較ポリマー2である、135gの白色のポリマーを得た。
式3:
【化7】
【0043】
実施例8
500ml三口フラスコに、機械撹拌器、コンデンサ、入口ストッパー、ガス導入口を備え、N
2のブランケット下で、50gのHf(OBu)
4(0.106モル)、および150mlの無水THFを添加した。ペンタン−2,4−ジオンの溶液(2等量)、および50mlの無水THFを6時間かけてScilogポンプを介して添加し、反応混合物を一晩撹拌した。THFを減圧下で除去し、得られた白色固体を、無水酢酸エチル400mlで2〜3時間溶出して、全固体を溶解した。反応混合物を500ml三口フラスコに移し、
1,4−ベンゼンジメタノールを添加した。反応混合物を、100ml酢酸エチルを除去しながら加熱還流し、18時間還流で保持した。その後、反応混合物を室温まで冷却し、次いで100〜150mlに濃縮し、続いて10倍量のヘプタンで急冷すると、ゴム状の固体に凝固した自由流動個体を得た。これを、ゴム状の物質を処置する間、ヘプタン中に放置した。ゴム状の材料は、自由流動性となって、これを一晩撹拌しながら放置した。固体を集め、ヘプタンで洗浄後、その後40℃で真空乾燥して、式(4)に示す、ポリマーDである、41gの製品を得た。
【0044】
実施例9
ポリマーD、比較ポリマー2、およびポリマーDと比較ポリマー2との1:1の混合物を使用した以外は、実施例5の手順を繰り返した。データを表3に示す。ポリマーD自体で、および比較ポリマー2との組み合わせにより、減少した反射率が得られることが明示されている。
【0045】
【表3】