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特許6578096放射性物質除去装置および放射性物質除去システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6578096
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】放射性物質除去装置および放射性物質除去システム
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/02 20060101AFI20190909BHJP
【FI】
   G21F9/02 511T
   G21F9/02 511C
   G21F9/02 551E
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-228306(P2014-228306)
(22)【出願日】2014年11月10日
(65)【公開番号】特開2016-90514(P2016-90514A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年9月7日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591105063
【氏名又は名称】みすず精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 宣久
(72)【発明者】
【氏名】上島 直幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 信春
【審査官】 大門 清
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−068127(JP,A)
【文献】 特開2000−075092(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00747626(EP,A1)
【文献】 特開2012−251981(JP,A)
【文献】 特表平04−505802(JP,A)
【文献】 特開2000−342926(JP,A)
【文献】 特開2004−012364(JP,A)
【文献】 特開2014−087735(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/071640(WO,A1)
【文献】 米国特許第04483273(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0051488(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G21F 9/02
F24F11/00−11/89
B01D46/00−46/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス中に含まれる放射性よう素および放射性よう化メチルを吸着除去可能で筒状に形成された放射性フィルタを有する放射性フィルタユニットと、
前記放射性フィルタユニットを収容して前記放射性フィルタの筒状の内側から外側へガスが流通可能な流通路を形成するケーシングと、
を含み、
円板状の天板と、円板状の底板と、前記天板および前記底板の中心を連結し前記底板を貫通する支柱とを含むフィルタケースを有し、
前記フィルタケースは、前記天板と前記底板との間で前記支柱を囲む前記放射性フィルタを保持し、前記ケーシングにおいて、前記天板により高さ位置を決めて支持され、前記支柱により水平位置を決めて支持されて収容されることを特徴とする放射性物質除去装置。
【請求項2】
前記放射性フィルタユニットは、
ガス中に含まれる粒子を捕集可能で筒状に形成されて前記放射性フィルタの筒状の内側に配置される第一高性能フィルタと、
ガス中に含まれる粒子を捕集可能で筒状に形成されて前記放射性フィルタの筒状の外側に配置される第二高性能フィルタと、
を有し、
前記ケーシングは、前記放射性フィルタおよび各前記高性能フィルタを内部に収容し前記第一高性能フィルタの筒状の内側から前記放射性フィルタを経て前記第二高性能フィルタの筒状の外側へガスが流通可能な流通路を形成することを特徴とする請求項1に記載の放射性物質除去装置。
【請求項3】
前記ケーシングは、収容する前記放射性フィルタユニットの上方位置を開放可能な開口部および当該開口部を開閉可能な蓋体を有し、
前記放射性フィルタユニットは、前記ケーシングに対して上下方向に移動可能に設けられ、かつ前記開口部を通過可能に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の放射性物質除去装置。
【請求項4】
ガス中に含まれる放射性よう素および放射性よう化メチルを吸着除去可能で筒状に形成された放射性フィルタを有する放射性フィルタユニットと、
前記放射性フィルタユニットを収容して前記放射性フィルタの筒状の内側から外側へガスが流通可能な流通路を形成するケーシングと、
を含み、
前記放射性フィルタユニットは、
ガス中に含まれる粒子を捕集可能で筒状に形成されて前記放射性フィルタの筒状の内側に配置される第一高性能フィルタと、
ガス中に含まれる粒子を捕集可能で筒状に形成されて前記放射性フィルタの筒状の外側に配置される第二高性能フィルタと、
を有し、
前記ケーシングは、前記放射性フィルタおよび各前記高性能フィルタを内部に収容し前記第一高性能フィルタの筒状の内側から前記放射性フィルタを経て前記第二高性能フィルタの筒状の外側へガスが流通可能な流通路を形成する共に、収容する前記放射性フィルタユニットの上方位置を開放可能な開口部および当該開口部を開閉可能な蓋体を有し、
前記放射性フィルタユニットは、前記ケーシングに対して上下方向に移動可能に設けられ、かつ前記開口部を通過可能に設けられており、
さらに前記放射性フィルタユニットは、各前記高性能フィルタがフィルタケースに保持され、前記放射性フィルタのみを上方に吊り上げることで、ケーシングに対して取り出したり取り付けたりできることを特徴とする放射性物質除去装置。
【請求項5】
ガス中に含まれる放射性よう素および放射性よう化メチルを吸着除去可能で筒状に形成された放射性フィルタを有する放射性フィルタユニットと、
前記放射性フィルタユニットを収容して前記放射性フィルタの筒状の内側から外側へガスが流通可能な流通路を形成するケーシングと、
を含み、
前記放射性フィルタユニットは、
ガス中に含まれる粒子を捕集可能で筒状に形成されて前記放射性フィルタの筒状の内側に配置される第一高性能フィルタと、
ガス中に含まれる粒子を捕集可能で筒状に形成されて前記放射性フィルタの筒状の外側に配置される第二高性能フィルタと、
を有し、
前記ケーシングは、前記放射性フィルタおよび各前記高性能フィルタを内部に収容し前記第一高性能フィルタの筒状の内側から前記放射性フィルタを経て前記第二高性能フィルタの筒状の外側へガスが流通可能な流通路を形成する共に、収容する前記放射性フィルタユニットの上方位置を開放可能な開口部および当該開口部を開閉可能な蓋体を有し、
前記放射性フィルタユニットは、前記ケーシングに対して上下方向に移動可能に設けられ、かつ前記開口部を通過可能に設けられており、
さらに前記放射性フィルタユニットは、前記第二高性能フィルタがフィルタケースに保持され、前記第二高性能フィルタとは分割して、前記第一高性能フィルタや、放射性フィルタを上方に吊り上げることで、ケーシングに対して取り出したり取り付けたりできることを特徴とする放射性物質除去装置。
【請求項6】
放射線を遮蔽可能に構成されて前記ケーシングの周りを囲んで配置される遮蔽体を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の放射性物質除去装置。
【請求項7】
前記放射性フィルタユニットは、
筒状に形成された前記放射性フィルタを多重構造または多重構造同等の厚さとすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の放射性物質除去装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の放射性物質除去装置と、
前記放射性物質除去装置の前記ケーシングと同構造のケーシングを有し、当該ケーシング内に流通するガスを加熱可能で筒状に形成された加熱ユニットが収容される加熱装置と、
前記放射性物質除去装置の前記ケーシングと前記加熱装置の前記ケーシングとが連結された状態で前記加熱装置を上流として各ケーシングにガスを流通させる送風機と、
を含む放射性ガス除去系統を備えることを特徴とする放射性物質除去システム。
【請求項9】
前記放射性ガス除去系統は、
前記放射性物質除去装置の前記ケーシングと同構造のケーシングを有し、当該ケーシング内に流通するガスに含まれる火山灰を除去可能で筒状に形成された火山灰フィルタユニットが収容される火山灰除去装置をさらに含み、
前記火山灰除去装置の前記ケーシングが前記加熱装置の前記ケーシングに連結された状態で、前記火山灰除去装置を上流として各ケーシングにガスを流通させることを特徴とする請求項8に記載の放射性物質除去システム。
【請求項10】
前記放射性ガス除去系統は、前記放射性物質除去装置が複数連結されることを特徴とする請求項8または9に記載の放射性物質除去システム。
【請求項11】
前記放射性ガス除去系統は、複数並列されることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1つに記載の放射性物質除去システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、原子力事業所等において放射性物質を除去する放射性物質除去装置および放射性物質除去システムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所などの原子力施設においては、周辺環境を保全する観点からセシウム,ストロンチウムなどを主成分とする放射性ミストや放射性微粒子などの放射性物質および放射性ガス、特に単体よう素(129131133)やよう化メチル(CH129I、CH131I、CH133I)を主成分とする有機よう素化合物からなる放射性よう素の放出量の低減を図ることが重要な課題となっている。
【0003】
従来、特許文献1に記載の放射性ガス除去装置は、筒状に形成されたケーシングと、ケーシングの筒状の他端側に設けられてケーシングの一端側の開口部から他端側の開口部にかけてケーシングの内部にガスを流通させる送風機と、ケーシングの内部に設けられておりガス中に含まれる放射性よう素および放射性よう化メチルならびに放射性物質を吸着する放射性フィルタと、ケーシングの内部であって放射性フィルタよりもガスの流通の下流側に設けられており放射性フィルタから離散される粒子を捕集する下流側高性能フィルタと、ケーシングの内部であって放射性フィルタよりもガスの流通の上流側に設けられておりガス中に含まれる有機溶剤ガス成分や酸性ガス成分を吸着するガス処理フィルタと、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−35286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の放射性ガス除去装置によれば、送風機によりケーシングの一端側から他端側にかけてケーシングの内部を流通するガスは、ガス処理フィルタ、放射性フィルタ、下流側高性能フィルタを順次通過してケーシングの外部に放出される。この際、まず、ガス処理フィルタにより、ガス中に含まれる有機溶剤ガス成分や酸性ガス成分を吸着する。次に、放射性フィルタにより、ガス中に含まれる放射性よう素および放射性よう化メチルを吸着除去する。次に、下流側高性能フィルタにより、放射性フィルタから離散される粒子を捕集する。この結果、ガスが放射性フィルタを通過する以前に、ガス処理フィルタにより有機溶剤ガス成分や酸性ガス成分が除去されるため、有機溶剤ガス成分や酸性ガス成分により放射性フィルタが目詰まりする事態を防ぎ、放射性フィルタの性能低下を抑えることができる。しかも、ガスが放射性フィルタを通過した後に、下流側高性能フィルタにより放射性フィルタから離散される粒子を捕集するため、放射性よう素および放射性よう化メチルならびに放射性物質を同伴する放射性フィルタの粒子がケーシングの外部に放出される事態を防ぐことができる。
【0006】
上述した放射性ガス除去装置は、筒状のケーシングの一端側から他端側にかけてケーシングの内部にガスを流通させ、放射性フィルタに放射性物質が吸着される。このため、筒状のケーシングの一端側において、放射性物質を吸着除去した放射性フィルタから放射線が放出されることになり、当該ケーシングの一端側の外部が放射線に曝されるおそれがある。
【0007】
本発明は上述した課題を解決するものであり、フィルタから放出される放射線によるケーシングの外部への影響を防ぐことのできる放射性物質除去装置および放射性物質除去システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明の放射性物質除去装置は、ガス中に含まれる放射性よう素および放射性よう化メチルを吸着除去可能で筒状に形成された放射性フィルタを有する放射性フィルタユニットと、前記放射性フィルタユニットを収容して前記放射性フィルタの筒状の内側から外側へガスが流通可能な流通路を形成するケーシングと、を含むことを特徴とする。
【0009】
この放射性物質除去装置によれば、ガスを放射性フィルタの筒状の内側から外側へ流通させることから、放射性フィルタの筒状の内側で放射性よう素および放射性よう化メチルの大部分が吸着除去されるため、放射性フィルタの筒状の外側における放射線の放出量が低減される。この結果、ケーシングの外側で放射線に曝される事態を防ぎ、放射性フィルタから放出される放射線によるケーシングの外部への影響を防ぐことができる。
【0010】
また、本発明の放射性物質除去装置では、前記放射性フィルタユニットは、ガス中に含まれる粒子を捕集可能で筒状に形成されて前記放射性フィルタの筒状の内側に配置される第一高性能フィルタと、ガス中に含まれる粒子を捕集可能で筒状に形成されて前記放射性フィルタの筒状の外側に配置される第二高性能フィルタと、を有し、前記ケーシングは、前記放射性フィルタおよび各前記高性能フィルタを内部に収容し前記第一高性能フィルタの筒状の内側から前記放射性フィルタを経て前記第二高性能フィルタの筒状の外側へガスが流通可能な流通路を形成することを特徴とする。
【0011】
この放射性物質除去装置によれば、放射性フィルタの筒状の内側にて第一高性能フィルタよりガス中に含まれる粒子と共に放射性物質の一部が捕集されるため、放射性フィルタの筒状の外側における放射線の放出量がさらに低減される。この結果、ケーシングの外側で放射線に曝される事態をさらに防ぎ、放射性フィルタから放出される放射線によるケーシングの外部への影響を防ぐ効果を助勢することができる。しかも、第一高性能フィルタよりガス中に含まれる粒子と共に放射性物質の一部が捕集されるため、放射性フィルタのフィルタ機能を維持することができる。さらに、第二高性能フィルタにより、放射性フィルタから離散される粒子が捕集されるため、放射性フィルタの筒状の外側における放射線の放出量がさらに低減される。この結果、ケーシングの外側で放射線に曝される事態をさらに防ぎ、放射性フィルタから放出される放射線によるケーシングの外部への影響を防ぐ効果を助勢することができる。
【0012】
また、本発明の放射性物質除去装置では、放射線を遮蔽可能に構成されて前記ケーシングの周りを囲んで配置される遮蔽体を含むことを特徴とする。
【0013】
この放射性物質除去装置によれば、遮蔽体により、ケーシングの外側で放射線に曝される事態をさらに防ぎ、放射性フィルタから放出される放射線によるケーシングの外部への影響を防ぐ効果を助勢することができる。
【0014】
また、本発明の放射性物質除去装置では、前記放射性フィルタユニットは、筒状に形成された前記放射性フィルタを多重構造または多重構造同等の厚さとすることを特徴とする。
【0015】
放射性フィルタによる放射性よう素および放射性よう化メチルの吸着除去性能は、放射性フィルタへのガスの流れ方向の厚さに比例して対数的に放射性よう素および放射性よう化メチルの透過係数((1−除去効率[%]/100)が低下することから、放射性フィルタを多重構造とすることで、放射性ガスの除去効率を向上することができる。また、単構造の厚さを多重構造同等に厚くすれば、多重構造の間隔分で放射性フィルタユニットを高性能としつつ装置の小型化を図ることができる。
【0016】
また、本発明の放射性物質除去装置では、前記ケーシングは、収容する前記放射性フィルタユニットの上方位置を開放可能な開口部および当該開口部を開閉可能な蓋体を有し、前記放射性フィルタユニットは、前記ケーシングに対して上下方向に移動可能に設けられ、かつ前記開口部を通過可能に設けられることを特徴とする。
【0017】
この放射性物質除去装置によれば、放射性フィルタユニットを交換する場合、放射性フィルタユニットを上方に移動させてケーシングの開口部から取り出すことで、放射性フィルタユニットの筒状の外側に作業者が近づく事態を防ぐため、放射性フィルタから放出される放射線によるケーシングの外部への影響を防ぐことができる。
【0018】
上述の目的を達成するために、本発明の放射性物質除去システムは、上述のいずれか1つに記載の放射性物質除去装置と、前記放射性物質除去装置の前記ケーシングと同構造のケーシングを有し、当該ケーシング内に流通するガスを加熱可能で筒状に形成された加熱ユニットが収容される加熱装置と、前記放射性物質除去装置の前記ケーシングと前記加熱装置の前記ケーシングとが連結された状態で前記加熱装置を上流として各ケーシングにガスを流通させる送風機と、を含む放射性ガス除去系統を備える。
【0019】
この放射性物質除去システムによれば、放射性物質除去装置の上流側に加熱装置を配置したことで、放射性物質除去装置の放射性フィルタへの湿分による影響を抑え、放射性フィルタでの放射性よう素および放射性よう化メチルの吸着性能を向上することができる。しかも、加熱装置のケーシングを放射性物質除去装置のケーシングと同構造とすることで、加熱ユニットを替えるだけで加熱装置を構成することができ、システム構築を容易に行うことができる。
【0020】
また、本発明の放射性物質除去システムでは、前記放射性ガス除去系統は、前記放射性物質除去装置の前記ケーシングと同構造のケーシングを有し、当該ケーシング内に流通するガスに含まれる火山灰を除去可能で筒状に形成された火山灰フィルタユニットが収容される火山灰除去装置をさらに含み、前記火山灰除去装置の前記ケーシングが前記加熱装置の前記ケーシングに連結された状態で、前記火山灰除去装置を上流として各ケーシングにガスを流通させることを特徴とする。
【0021】
この放射性物質除去システムによれば、放射性物質除去装置の上流側に火山灰除去装置を配置したことで、放射性物質除去装置のフィルタへの火山灰による目詰まりなどの影響を抑え、放射性物質の除去性能を向上することができる。しかも、火山灰除去装置のケーシングを放射性物質除去装置のケーシングと同構造とすることで、火山灰フィルタユニットを替えるだけで火山灰除去装置を構成することができ、システム構築を容易に行うことができる。
【0022】
また、本発明の放射性物質除去システムでは、前記放射性ガス除去系統は、前記放射性物質除去装置が複数連結されることを特徴とする。
【0023】
この放射性物質除去システムによれば、放射性物質除去装置が複数連結されることで、1つの放射性物質除去装置の機能が低下しても、他の放射性物質除去装置により放射性ガス除去作用を維持することができる。
【0024】
また、本発明の放射性物質除去システムでは、前記放射性ガス除去系統は、複数並列されることを特徴とする。
【0025】
この放射性物質除去システムによれば、複数の放射性ガス除去系統を並列することで、例えば、1つの放射性ガス除去系統における放射性物質除去装置の放射性フィルタユニットを取り替える場合に、他の放射性ガス除去系統により放射性ガス除去作用を継続することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、フィルタから放出される放射線によるケーシングの外部への影響を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の実施形態に係る放射性物質除去システムの側面図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る放射性物質除去システムの平面図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る放射性物質除去装置の側断面図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る放射性物質除去装置の平面図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る放射性物質除去装置の蓋体を外した状態の平面図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る放射性物質除去装置のフィルタユニットの側断面図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る放射性物質除去装置のフィルタユニットの側断面図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る放射性物質除去装置のフィルタユニットの一部拡大側断面図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係る放射性物質除去装置のフィルタユニットの一部拡大側断面図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係る放射性物質除去装置の加熱ユニットの側断面図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係る放射性物質除去装置の火山灰フィルタユニットの側断面図である。
図12図12は、本発明の実施形態に係る放射性物質除去装置の火山灰フィルタユニットの一部拡大側断面図である。
図13図13は、本発明の実施形態に係る放射性物質除去装置の火山灰フィルタユニットの一部拡大側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0029】
図1は、本実施形態に係る放射性物質除去システムの側面図である。図2は、本実施形態に係る放射性物質除去システムの平面図である。
【0030】
図1および図2に示すように、本実施形態の放射性物質除去システム100は、鉄筋コンクリートの壁101A、天井101B、床101Cなどにより堅牢に囲まれて閉塞された放射性ガス除去室101を有し、この放射性ガス除去室101内に設置されている。そして、放射性物質除去システム100は、放射性物質除去装置1と、加熱装置2と、火山灰除去装置3と、送風機4と、を含む。これらは、火山灰除去装置3、加熱装置2、放射性物質除去装置1、送風機4の順に接続されている。また、火山灰除去装置3は、放射性ガス除去室101の外部に通じる給気管5が接続されている。また、送風機4は、放射性ガス除去室101の外部に通じる排気管6が接続されている。この放射性物質除去システム100は、火山灰除去装置3、加熱装置2、放射性物質除去装置1の順で送風機4によりガスを流通させる放射性ガス除去系統Sが構成され、この放射性ガス除去系統Sに対して給気管5を介して放射性ガス除去室101の外部のガスを供給し、排気管6を介して放射性ガス除去系統Sを通過したガスを放射性ガス除去室101の外部の居室や作業室などの図に明示しない何らかの室内などに排出する。
【0031】
本実施形態の放射性物質除去システム100は、図1および図2に示すように、放射性物質除去装置1が複数(本実施形態では2つ)連結して配置されている。また、本実施形態の放射性物質除去システム100は、図2に示すように、上述した放射性ガス除去系統Sが複数(本実施形態では3系統)並列して配置されている。また、本実施形態の放射性物質除去システム100は、図1に示すように、放射性ガス除去室101内の天井101Bに、クレーン装置102が設けられている。クレーン装置102は、放射性物質除去装置1と、加熱装置2と、火山灰除去装置3と、送風機4に対して吊部102Aがアクセスできるように構成されている。このクレーン装置102は、図1に示すように、放射性ガス除去室101から隔離された操作室103にて操作される。また、図1に示すように、放射性ガス除去室101の外部に通じる給気管5の開放部5Aは、雨水などの侵入を防ぐようにフード7で覆われている。また、フード7は、ゴミなどの侵入を防ぐようにその開口部に網などのカバー8が設けられている。
【0032】
なお、放射性ガス除去室101は必ずしも有さなくてもよく、この場合、クレーン装置102は、例えば、ジブクレーンや橋形クレーンなどの固定式のものや、トラッククレーン、ホイールクレーン、クローラクレーンなどの移動式のものが適用される。また、放射性ガス除去系統Sは、給気側が外気に開放され、排気側が何らかの室内に開放される形態であってもよい。
【0033】
図3は、本実施形態に係る放射性物質除去装置の側断面図である。図4は、本実施形態に係る放射性物質除去装置の平面図である。図5は、本実施形態に係る放射性物質除去装置の蓋体を外した状態の平面図である。図6および図7は、本実施形態に係る放射性物質除去装置の放射性フィルタユニットの側断面図である。
【0034】
図3図4に示すように、放射性物質除去装置1は、ケーシング11の内部に放射性フィルタユニット21が収容されている。
【0035】
ケーシング11は、ケース本体12と、収容部13と、蓋体14とを含む。ケーシング11のケース本体12は、筒状に形成され、本実施形態では図4および図5に示すように、平面視で長円形の筒状に形成されている。また、ケース本体12は、その長手方向に沿って相反する方向に延在する入口管12Aと出口管12Bとが接続されている。入口管12Aおよび出口管12Bは、ケース本体12の側部の上方位置に設けられ、共に同じ高さ位置で中心Cを一致させて設けられている。また、入口管12Aおよび出口管12Bは、その開口部に接続用のフランジ12Aa,12Baが設けられている。このケース本体12は、筒状の上部が天板12Cで一部塞がれ、筒状の下部が底板12Dで塞がれている。
【0036】
ケーシング11の収容部13は、筒状に形成され、本実施形態では、図4および図5に示すように、平面視で円形の筒状に形成されている。この収容部13は、ケース本体12の筒状の内部においてケース本体12の長円形の一方の円形側に偏って配置され、この一方の円形の一部を伴って形成されている。また、収容部13は、その上端がケース本体12の天板12Cに連結され、当該連結部分が、ケース本体12の上部を開放可能な開口部12Eとして形成されている。また、収容部13は、その下端がケース本体12の底板12Dから上方に離れて設けられている。また、収容部13において、ケース本体12の長円形の一方の円形の一部を伴って形成された部分に、入口管12Aが接続されている。従って、入口管12Aは、収容部13を介してケース本体12の内部に接続されて出口管12Bに通じる。また、収容部13は、その筒状内であって、入口管12Aよりも下方となる位置に、円環板状の掛止部13Aが設けられている。また、収容部13の中心が一致するケース本体12の底板12Dは、上方に向けて挿通穴13Baを有した収容支持台13Bが設けられている。
【0037】
ケーシング11の蓋体14は、ケース本体12の天板12Cに対して複数のボルト14Aなどで着脱可能に設けられ、ケース本体12の上部を開放可能な開口部12Eを開閉可能とするものである。すなわち、蓋体14を取り付けることで、収容部13の上方位置が閉塞されて、ケーシング11として、入口管12Aから収容部13を介してケース本体12を通じて出口管12Bに至る流通路が形成される。一方、蓋体14を外すことで、収容部13の上方位置が開放される。
【0038】
また、上述したケーシング11において、遮蔽体15が設けられていてもよい。遮蔽体15は、例えば、鉛やタングステンなどで形成された金属板や水収納容器や水銀収納容器などにより放射線を遮蔽可能に構成されている。遮蔽体15は、図3に示すように、主としてケース本体12の筒状の周囲を覆うように設けられる。なお、遮蔽体15は、図には明示しないが、天板12C(蓋体14を含む)上面を覆うように設けられてもよく、底板12Dが接地せずに脚などで嵩上げされた場合にこの底板12Dの下面を覆うように設けられてもよい。
【0039】
放射性フィルタユニット21は、図3図5図7に示すように、フィルタケース22にフィルタ部23が保持されている。放射性フィルタユニット21のフィルタケース22は、天板22Aと、底板22Bと、支柱22Cと、を含む。天板22Aおよび底板22Bは、円板状に形成され、その中心が支柱22Cで連結されている。天板22Aは、収容部13における円環板状の掛止部13Aの内径よりも大きい外径に形成されていることで、掛止部13Aの内縁に掛かるように設けられている。また、天板22Aは、中央に貫通穴22Aaが形成されている。底板22Bは、フィルタケース22の底を塞ぐもので、収容部13における円環板状の掛止部13Aの内径よりも小さい外径に形成されて、掛止部13Aを抜けるように設けられている。支柱22Cは、その下端が底板22Bを貫通して延在し、天板22Aが掛止部13Aに掛かる場合、収容支持台13Bの挿通穴13Baに挿入する。すなわち、フィルタケース22は、天板22Aにより収容部13内で高さ位置を決めて支持され、支柱22Cにより水平位置を決めて支持されて収容される。そして、フィルタケース22は、図3に示すように、天板22Aの貫通穴22Aaおよび天板22Aと底板22Bとの間が、ケーシング11内において、入口管12Aから収容部13を介してケース本体12を通じて出口管12Bに至る流通路内に介在される。一方、フィルタケース22は、上方に吊り上げることで、支柱22Cが収容支持台13Bの挿通穴13Baから抜け、天板22Aが掛止部13Aから離れてケーシング11におけるケース本体12の開口部12Eから、ケーシング11の外部に取り出すことができる。このフィルタケース22のケーシング11に対する取り付けおよび取り外しは、上述したクレーン装置102により実施することができる。
【0040】
放射性フィルタユニット21のフィルタ部23は、図3に示すように円筒形状に形成されて、フィルタケース22の天板22Aと底板22Bとの間に挟まれて保持される。フィルタ部23は、その内側と外側との間にガスが流通可能に設けられ、天板22Aの貫通穴22Aaに筒形状の内側が通じ、天板22Aと底板22Bとの間で筒形状の外側が通じることで、ケーシング11内において、入口管12Aから収容部13を介してケース本体12を通じて出口管12Bに至る流通路内に介在される。
【0041】
この放射性フィルタユニット21のフィルタ部23は、放射性フィルタ23Aを有する。放射性フィルタ23Aは、フィルタ部23の円筒形状をなすように形成されている。この放射性フィルタ23Aは、ケーシング11の内部を流通されるガス中に含まれる放射性よう素および放射性よう化メチルを吸着する。具体的に、放射性フィルタ23Aは、母体を構成する基材と、この基材に添着される添着物質とを含む。基材に用いられる材料としては、特に限定されるものではなく、表面に複数の細孔を有するものであればよく、例えば、活性炭、アルミナ、ゼオライト、シリカゲル、活性白土などが挙げられる。ゼオライトとしては、天然ゼオライトまたは合成ゼオライトのどちらでもよい。また、ゼオライトとして、モルデナイト系ゼオライトなどが挙げられる。基材は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。また、放射性フィルタ23Aは、添着物質として、トリエチレンジアミン(TEDA:Tri−Ethylene−Di−Amine)またはよう化カリウム(KI)を含む。この放射性フィルタ23Aは、上記構成により、放射性よう素および放射性よう化メチルの他、Cs(セシウム)などを含む放射性物質を吸着する。なお、放射性フィルタ23Aは、図6に示すように、多重構造(本実施形態では2重構造)とされていたり、図7に示すように、多重構造分の厚さを有するように単構造とされていたりしてもよい。例えば、図6に示す多重構造の1つの厚さを5cmとすると、図7に示す単構造の厚さは10cmになる。
【0042】
また、放射性フィルタユニット21のフィルタ部23は、高性能フィルタ23Bを有する。高性能フィルタ23Bは、フィルタ部23の円筒形状をなすように形成されている。この高性能フィルタ23Bは、ケーシング11の内部を流通されるガス中に含まれる粒子を捕集する。高性能フィルタ23Bは、例えば、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter;対象粒子径が0.15[μm]で99.97[%]の除去効率)が適用される。この高性能フィルタ23Bは、放射性フィルタ23Aの筒状の内側に配置される第一高性能フィルタ23Bと、放射性フィルタ23Aの筒状の外側に配置される第二高性能フィルタ23Bと、を有する。第一高性能フィルタ23Bは、ケーシング11の内部を流通されるガスが放射性フィルタ23Aに至る前にガス中に含まれる粒子を捕集することで、粒子による放射性フィルタ23Aの目詰まりを防いで放射性フィルタ23Aのフィルタ機能を維持することができる。また、第二高性能フィルタ23Bは、放射性フィルタ23Aが上述したように、例えば、活性炭、アルミナ、ゼオライト、シリカゲル、活性白土などを基材としているため、何らかの事象により放射性フィルタ23Aの基材が破砕されて離散した場合に、この破砕片が放出されないように、破砕片を捕集することができる。
【0043】
図8および図9は、本実施形態に係る放射性物質除去装置のフィルタユニットの一部拡大側断面図である。上述した、放射性フィルタユニット21は、フィルタケース22を上方に吊り上げることで、フィルタ部23と共にケーシング11の外部に取り出すことができる。図8および図9では、フィルタ部23の放射性フィルタ23Aと高性能フィルタ23Bとを別に取り出したり取り付けたりできる構成を示している。
【0044】
図8に示すように、フィルタ部23の高性能フィルタ23Bは、上述と同様にフィルタケース22に保持されている。また、フィルタ部23の放射性フィルタ23Aは、フィルタケース22の天板22Aの一部を構成する部分天板22Abに上端部が固定されている。そして、部分天板22Abに、天板22Aと重複する部分を設け、この重複する部分に対応してシール部材(例えば、Y形シール)24を配置する。さらに、フィルタ部23の放射性フィルタ23Aは、その下端部に、底板22Bの上面に対応してシール部材(例えば、Y形シール)24を配置する。これにより、フィルタ部23の放射性フィルタ23Aのみを上方に吊り上げることで、ケーシング11に対して取り出したり取り付けたりすることができる。
【0045】
また、図9に示すように、フィルタ部23の第二高性能フィルタ23Bは、上述と同様にフィルタケース22に保持されている。また、フィルタ部23の放射性フィルタ23Aは、フィルタケース22の天板22Aの一部を構成する部分天板22Abに上端部が固定されている。そして、部分天板22Abに、天板22Aと重複する部分を設け、この重複する部分に対応してシール部材(例えば、Y形シール)24を配置する。さらに、フィルタ部23の放射性フィルタ23Aの下端部に、底板22Bの上面に対応してシール部材(例えば、Y形シール)24を配置する。また、フィルタ部23の第一高性能フィルタ23Bは、フィルタケース22の天板22Aの一部を構成する部分天板22Abに上端部が固定されている。そして、部分天板22Abに、放射性フィルタ23Aの部分天板22Abと重複する部分を設け、この重複する部分に対応してシール部材(例えば、Y形シール)24を配置する。さらに、フィルタ部23の第一高性能フィルタ23Bの下端部に、底板22Bの上面に対応してシール部材(例えば、Y形シール)24を配置する。これにより、フィルタ部23の第一高性能フィルタ23Bや、放射性フィルタ23Aを上方に吊り上げることで、ケーシング11に対して取り出したり取り付けたりすることができる。
【0046】
図10は、本実施形態に係る放射性物質除去装置の加熱ユニットの側断面図である。加熱装置2は、放射性物質除去装置1のケーシング11と同構造のケーシング11(図1および図2参照)の内部に図10に示す加熱ユニット26が収容されている。加熱装置2の加熱ユニット26は、放射性フィルタユニット21のフィルタケース22と同構造の加熱ケース22に、加熱部27が保持されている。加熱ケース22は、フィルタケース22と同一の符号を付してその説明を省略する。加熱部27は、円筒形状に形成されて、加熱ケース22の天板22Aと底板22Bとの間に挟まれて保持される。加熱部27は、その内側と外側との間にガスが流通可能に設けられ、天板22Aの貫通穴22Aaに筒形状の内側が通じ、天板22Aと底板22Bとの間で筒形状の外側が通じることで、ケーシング11内において、入口管12Aから収容部13を介してケース本体12を通じて出口管12Bに至る流通路内に介在される。加熱部27は、流通するガスを加熱するものであれば限定はないが、例えば、複数の薄板が隙間を空けて重ねて配置され、当該薄板が加熱されることで流通するガスを加熱する構成などがある。この加熱ユニット26は、フィルタケース22を上方に吊り上げることで、加熱部27と共にケーシング11の外部に取り出すことができる。
【0047】
図11は、本実施形態に係る放射性物質除去装置の火山灰フィルタユニットの側断面図である。火山灰除去装置3は、放射性物質除去装置1のケーシング11と同構造のケーシング11(図1および図2参照)の内部に図11に示す火山灰フィルタユニット28が収容されている。火山灰除去装置3の火山灰フィルタユニット28は、放射性フィルタユニット21のフィルタケース22と同構造のフィルタケース22に、フィルタ部29が保持されている。フィルタ部29は、円筒形状に形成されて、フィルタケース22の天板22Aと底板22Bとの間に挟まれて保持される。フィルタ部29は、その内側と外側との間にガスが流通可能に設けられ、天板22Aの貫通穴22Aaに筒形状の内側が通じ、天板22Aと底板22Bとの間で筒形状の外側が通じることで、ケーシング11内において、入口管12Aから収容部13を介してケース本体12を通じて出口管12Bに至る流通路内に介在される。
【0048】
この火山灰フィルタユニット28のフィルタ部29は、火山灰フィルタ29Aを有する。火山灰フィルタ29Aは、フィルタ部29の円筒形状をなすように形成されている。この火山灰フィルタ29Aは、ケーシング11の内部を流通されるガス中に含まれる火山灰に類する粒子を捕集する。火山灰フィルタ29Aは、例えば、粗フィルタすなわち高性能フィルタよりも捕集粒子径がやや大きめの中性能の微粒子フィルタあるいは高性能フィルタなどが適用される。
【0049】
また、火山灰フィルタユニット28のフィルタ部29は、粗フィルタ29Bを有する。粗フィルタ29Bは、フィルタ部29の円筒形状をなすように形成されている。この粗フィルタ29Bは、ケーシング11の内部を流通されるガス中に含まれる粗粒子(塵埃など)を捕集する。粗フィルタ29Bは、例えば、対象粒子径が50[μm]以上の空気濾過フィルタや、対象粒子径が25[μm]以上の中高性能フィルタが適用される。そして、粗フィルタ29Bは、火山灰フィルタ29Aの筒状の内側に配置される。粗フィルタ29Bは、ケーシング11の内部を流通されるガスが火山灰フィルタ29Aに至る前にガス中に含まれる粗粒子を捕集することで、粒子による火山灰フィルタ29Aの目詰まりを防いで火山灰フィルタ29Aのフィルタ機能を維持することができる。
【0050】
また、火山灰フィルタユニット28のフィルタ部29は、高性能フィルタ29Cを有する。高性能フィルタ29Cは、フィルタ部29の円筒形状をなすように形成されている。この高性能フィルタ29Cは、ケーシング11の内部を流通されるガス中に含まれる粒子を捕集する。高性能フィルタ23Bは、例えば、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter;対象粒子径が0.15[μm]で99.97[%]の除去効率)が適用される。そして、高性能フィルタ29Cは、火山灰フィルタ29Aの筒状の外側に配置される。高性能フィルタ29Cは、火山灰フィルタ29Aを通過した粒子を捕集する。
【0051】
図12および図13は、本実施形態に係る放射性物質除去装置の火山灰フィルタユニットの一部拡大側断面図である。上述した、火山灰フィルタユニット28は、フィルタケース22を上方に吊り上げることで、フィルタ部29と共にケーシング11の外部に取り出すことができる。図12および図13では、フィルタ部29の火山灰フィルタ29Aと他のフィルタ29B,29Cとを別に取り出したり取り付けたりできる構成を示している。
【0052】
図12に示すように、フィルタ部29の粗フィルタ29Bおよび高性能フィルタ29Cは、上述と同様にフィルタケース22に保持されている。また、フィルタ部29の火山灰フィルタ29Aは、フィルタケース22の天板22Aの一部を構成する部分天板22Abに上端部が固定されている。そして、部分天板22Abに、天板22Aと重複する部分を設け、この重複する部分に対応してシール部材(例えば、Y形シール)24を配置する。さらに、フィルタ部29の火山灰フィルタ29Aは、その下端部に、底板22Bの上面に対応してシール部材(例えば、Y形シール)24を配置する。これにより、フィルタ部29の火山灰フィルタ29Aのみを上方に吊り上げることで、ケーシング11に対して取り出したり取り付けたりすることができる。
【0053】
また、図13に示すように、フィルタ部29の高性能フィルタ29Cは、上述と同様にフィルタケース22に保持されている。また、フィルタ部29の火山灰フィルタ29Aは、フィルタケース22の天板22Aの一部を構成する部分天板22Abに上端部が固定されている。そして、部分天板22Abに、天板22Aと重複する部分を設け、この重複する部分に対応してシール部材(例えば、Y形シール)24を配置する。さらに、フィルタ部29の火山灰フィルタ29Aの下端部に、底板22Bの上面に対応してシール部材(例えば、Y形シール)24を配置する。また、フィルタ部29の粗フィルタ29Bは、フィルタケース22の天板22Aの一部を構成する部分天板22Abに上端部が固定されている。そして、部分天板22Abに、放射性フィルタ23Aの部分天板22Abと重複する部分を設け、この重複する部分に対応してシール部材(例えば、Y形シール)24を配置する。さらに、フィルタ部29の粗フィルタ29Bの下端部に、底板22Bの上面に対応してシール部材(例えば、Y形シール)24を配置する。これにより、フィルタ部29の粗フィルタ29Bや、火山灰フィルタ29Aを上方に吊り上げることで、ケーシング11に対して取り出したり取り付けたりすることができる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態の放射性物質除去装置1は、ガス中に含まれる放射性よう素および放射性よう化メチルを吸着除去可能で筒状に形成された放射性フィルタ23Aを有する放射性フィルタユニット21と、放射性フィルタユニット21を収容して放射性フィルタ23Aの筒状の内側から外側へガスが流通可能な流通路を形成するケーシング11と、を含む。
【0055】
この放射性物質除去装置1によれば、ガスを放射性フィルタ23Aの筒状の内側から外側へ流通させることから、放射性フィルタ23Aの筒状の内側で放射性よう素および放射性よう化メチルの大部分が吸着除去されるため、放射性フィルタ23Aの筒状の外側における放射線の放出量が低減される。この結果、ケーシング11の外側で放射線に曝される事態を防ぎ、放射性フィルタ23Aから放出される放射線によるケーシング11の外部への影響を防ぐことができる。
【0056】
また、本実施形態の放射性物質除去装置1では、放射性フィルタユニット21は、ガス中に含まれる粒子を捕集可能で筒状に形成されて放射性フィルタ23Aの筒状の内側に配置される第一高性能フィルタ23Bと、ガス中に含まれる粒子を捕集可能で筒状に形成されて放射性フィルタ23Aの筒状の外側に配置される第二高性能フィルタ23Bと、を有し、ケーシング11は、放射性フィルタ23Aおよび各高性能フィルタ23Bを内部に収容し第一高性能フィルタ23Bの筒状の内側から放射性フィルタ23Aを経て第二高性能フィルタ23Bの筒状の外側へガスが流通可能な流通路を形成する。
【0057】
この放射性物質除去装置1によれば、放射性フィルタ23Aの筒状の内側にて第一高性能フィルタ23Bよりガス中に含まれる粒子と共に放射性物質の一部が捕集されるため、放射性フィルタ23Aの筒状の外側における放射線の放出量がさらに低減される。この結果、ケーシング11の外側で放射線に曝される事態をさらに防ぎ、放射性フィルタ23Aから放出される放射線によるケーシング11の外部への影響を防ぐ効果を助勢することができる。しかも、第一高性能フィルタ23Bよりガス中に含まれる粒子と共に放射性物質の一部が捕集されるため、放射性フィルタ23Aのフィルタ機能を維持することができる。さらに、第二高性能フィルタ23Bにより、放射性フィルタ23Aから離散される粒子が捕集されるため、放射性フィルタ23Aの筒状の外側における放射線の放出量がさらに低減される。この結果、ケーシング11の外側で放射線に曝される事態をさらに防ぎ、放射性フィルタ23Aから放出される放射線によるケーシング11の外部への影響を防ぐ効果を助勢することができる。
【0058】
また、本実施形態の放射性物質除去装置1では、放射線を遮蔽可能に構成されてケーシング11の周りを囲んで配置される遮蔽体15を含む。
【0059】
この放射性物質除去装置1によれば、遮蔽体15により、ケーシング11の外側で放射線に曝される事態をさらに防ぎ、放射性フィルタ23Aから放出される放射線によるケーシング11の外部への影響を防ぐ効果を助勢することができる。
【0060】
また、本実施形態の放射性物質除去装置1では、放射性フィルタユニット21は、筒状に形成された放射性フィルタ23Aを多重構造または多重構造同等の厚さとする。
【0061】
放射性フィルタ23Aによる放射性よう素および放射性よう化メチルの吸着除去性能は、放射性フィルタ23Aへのガスの流れ方向の厚さに比例して対数的に放射性よう素および放射性よう化メチルの透過係数((1−除去効率[%]/100)が低下することから、放射性フィルタ23Aを多重構造とすることで、放射性ガスの除去効率を向上することができる。また、単構造の厚さを多重構造同等に厚くすれば、多重構造の間隔分で放射性フィルタユニット21を高性能としつつ装置の小型化を図ることができる。
【0062】
また、本実施形態の放射性物質除去装置1では、ケーシング11は、収容する放射性フィルタユニット21の上方位置を開放可能な開口部12Eおよび当該開口部12Eを開閉可能な蓋体14を有し、放射性フィルタユニット21は、ケーシング11に対して上下方向に移動可能に設けられ、かつ開口部12Eを通過可能に設けられる。
【0063】
この放射性物質除去装置1によれば、放射性フィルタユニット21を交換する場合、放射性フィルタユニット21を上方に移動させてケーシング11の開口部12Eから取り出すことで、放射性フィルタユニット21の筒状の外側に作業者が近づく事態を防ぐため、放射性フィルタ23Aから放出される放射線によるケーシング11の外部への影響を防ぐことができる。
【0064】
また、本実施形態の放射性物質除去システム100は、上述した放射性物質除去装置1と、放射性物質除去装置1のケーシング11と同構造のケーシング11を有し、当該ケーシング11内に流通するガスを加熱可能で筒状に形成された加熱ユニット26が収容される加熱装置2と、放射性物質除去装置1のケーシング11と加熱装置2のケーシング11とが連結された状態で加熱装置2を上流として各ケーシング11にガスを流通させる送風機4と、を含む放射性ガス除去系統Sを備える。
【0065】
この放射性物質除去システム100によれば、放射性物質除去装置1の上流側に加熱装置2を配置したことで、放射性物質除去装置1の放射性フィルタ23Aへの湿分による影響を抑え、放射性フィルタ23Aでの放射性よう素および放射性よう化メチルの吸着性能を向上することができる。しかも、加熱装置2のケーシング11を放射性物質除去装置1のケーシング11と同構造とすることで、加熱ユニット26を替えるだけで加熱装置2を構成することができ、システム構築を容易に行うことができる。
【0066】
また、本実施形態の放射性物質除去システム100では、放射性ガス除去系統Sは、放射性物質除去装置1のケーシング11と同構造のケーシング11を有し、当該ケーシング11内に流通するガスに含まれる火山灰を除去可能で筒状に形成された火山灰フィルタユニット28が収容される火山灰除去装置3をさらに含み、火山灰除去装置3のケーシング11が加熱装置2のケーシング11に連結された状態で、火山灰除去装置3を上流として各ケーシング11にガスを流通させる。
【0067】
この放射性物質除去システム100によれば、放射性物質除去装置1の上流側に火山灰除去装置3を配置したことで、放射性物質除去装置1のフィルタである主に第一高性能フィルタ23Bへの火山灰による目詰まりなどの影響を抑え、放射性物質の除去性能を向上することができる。しかも、火山灰除去装置3のケーシング11を放射性物質除去装置1のケーシング11と同構造とすることで、火山灰フィルタユニット28を替えるだけで火山灰除去装置3を構成することができ、システム構築を容易に行うことができる。
【0068】
また、本実施形態の放射性物質除去システム100では、放射性ガス除去系統Sは、放射性物質除去装置1が複数連結される。
【0069】
この放射性物質除去システム100によれば、放射性物質除去装置1が複数連結されることで、1つの放射性物質除去装置1の機能が低下しても、他の放射性物質除去装置1により放射性ガス除去作用を維持することができる。
【0070】
また、本実施形態の放射性物質除去システム100では、放射性ガス除去系統Sは、複数並列される。
【0071】
この放射性物質除去システム100によれば、複数の放射性ガス除去系統Sを並列することで、例えば、1つの放射性ガス除去系統Sにおける放射性物質除去装置1の放射性フィルタユニット21を取り替える場合に、他の放射性ガス除去系統Sにより放射性ガス除去作用を継続することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 放射性物質除去装置
2 加熱装置
3 火山灰除去装置
4 送風機
11 ケーシング
12 ケース本体
12E 開口部
14 蓋体
15 遮蔽体
21 放射性フィルタユニット
23A 放射性フィルタ
23B 高性能フィルタ(第一高性能フィルタ,第二高性能フィルタ)
26 加熱ユニット
28 火山灰フィルタユニット
100 放射性物質除去システム
S 放射性ガス除去系統
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13