(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コンテナに係脱自在なフックを有し、かつ、前後方向に起伏回動可能に構成された荷役アームと、該荷役アームの起伏回動によってコンテナを車台から地上へ降ろす又は地上から車台へ積み込む際にコンテナを案内すべく車台の後端部における車幅方向両端部にそれぞれ配置される回転自在な案内ローラとを備え、前記案内ローラは、車幅方向の軸心回りに回転自在に取り付けられるローラ本体部と、該ローラ本体部の車幅方向外側端に配置され該ローラ本体部よりも径外方向に突出する環状の鍔部と、前記ローラ本体部に前記鍔部を着脱自在に取り付けるための取付部材とを備えた荷役車両であって、
前記鍔部の車幅方向外側に位置して該鍔部の車幅方向外側への移動を阻止する阻止部材を備え、
前記取付部材が、前記鍔部に形成された貫通孔に車幅方向外側から挿通して前記ローラ本体部に形成された螺子部にねじ込むことで該鍔部を該ローラ本体部に固定する螺子部材から構成され、前記阻止部材が、前記螺子部材の少なくとも一部分を車幅方向外側から覆う大きさのカバー部材から構成され、
前記車台側に固定され前記ローラ本体部を回転自在に支持する支持軸を備え、前記カバー部材が、前記支持軸の車幅方向外側端に設けられ径方向外側に突出するカバー部から構成されていることを特徴とする荷役車両。
前記カバー部は、前記支持軸とは別体形成され、別体形成された前記カバー部を前記支持軸の車幅方向外側端に着脱自在に取り付けていることを特徴とする請求項1に記載の荷役車両。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る荷役車両について説明する。
図1に示すように、荷役車両Vは、車台Fの前方に運転室Caを搭載し、車台Fの後方に荷役フレーム1を搭載している。荷役フレーム1は、
図5に示すように、前後方向に長い左右一対の縦フレーム1A,1Aと、これら縦フレーム1A,1Aの中間部同士を左右方向で連結する横フレーム1Bとを備えている。この荷役フレーム1上に、コンテナCtが搭載される。車台Fの後部には、アウトリガーDが設けられている。このアウトリガーDは、コンテナCtを積み下ろし時や積み込み時の他、ダンプさせる時に、作動させて地上GRに荷役車両Vを安定させるためのものである。
【0016】
また、
図5に示すように、荷役フレーム1の後端部に、ダンプアーム3の後端部が回動自在に軸支されており、横軸3T回りでダンプアーム3が傾動可能に構成されている。ダンプアーム3は、前後方向に長い左右一対の縦フレーム3A,3Aと、縦フレーム3A,3Aの中間部同士を左右方向で連結する中間部横フレーム3Bと、縦フレーム3A,3Aの前端部を連結する前端部横フレーム3Cとを備えている。縦フレーム3A,3Aの中間部の前側寄りに回動軸3Dが貫通されており、この回動軸3Dにリフトアーム4の後端部を一体回転自在に取り付けている。このリフトアーム4は、ダンプアーム3の縦フレーム3A,3A間に位置し、後端部がダンプアーム3の縦フレーム3A,3Aの前端部に前後方向で重なり合っている。また、リフトアーム4の中間部と荷役フレーム1の前端部とが一対の油圧式のリフトシリンダ5,5により連結されている。これらリフトシリンダ5,5を伸縮作動させることによって、回動軸3D回りにリフトアーム4を回動させることができる。
【0017】
図6(a)及び
図8(a)に示すように、リフトアーム4の前端部に、略L字状のフックアーム6の基端部が左右方向の横軸7回りに回動自在に取り付けられており、フックアーム6を後側へ傾動可能に構成している。フックアーム6の上端に、コンテナCtの係合部12に係合する略C字状のフック8を備えている。フックアーム6の中間部とリフトアーム4の前端部との間に油圧式のフックシリンダ9が連結されており、このフックシリンダ9の伸縮作動によって、フックアーム6を、
図6(a)に示す走行姿勢から
図8(a)に示す後側すなわちフック8がリフトアーム4の回動軸3Dに接近する方向に所定角度傾動した傾動姿勢(
図8(a)において走行姿勢から所定距離H後退した位置になる姿勢(後述するフック8が走行姿勢より回動軸3Dに接近した第2姿勢)へ姿勢変更できるようになっている。リフトアーム4とフックアーム6とから、コンテナCtを車台Fから地上へ降ろす又は地上から車台Fへ積み込むための荷役アームIと称する。
【0018】
ダンプアーム3を構成する一対の縦フレーム3A,3Aの後端のそれぞれには、
図1〜
図5に示すように、案内ローラ2が回転自在に取り付けられている。これら案内ローラ2,2は、荷役フレーム1上のコンテナCtを荷役アームIで地上に降ろす際や、コンテナCtを荷役アームIで地上から荷役フレーム1上に搭載する際に、回転しながらコンテナCtを移動案内する。
【0019】
コンテナCtは、下面に複数個の走行車輪11を備えた箱型に構成され、コンテナCtの前側には、後述するフックアーム6のフック8と係合可能な係合部12を備え、コンテナCtの後側には、開放自在なリヤゲート13を備えている。
【0020】
図6(a),(b)〜
図9に示すように、リフトアーム4の下面には、ダンプアーム3とリフトアーム4とでコンテナCtをダンプさせるべくダンプアーム3に対するリフトアーム4の起伏回動をロックするロック状態とフックアーム6とリフトアーム4とでコンテナCtを積み下ろす又はコンテナCtを積み込むべくダンプアーム3に対するリフトアーム4の起伏回動のロックを解除するロック解除状態とに切り替え可能なロック装置10を備えている。
【0021】
ロック装置10は、ダンプアーム3の前端部横フレーム3Cに設けられた左右一対の被ロック部14,14と、被ロック部14,14に係合して2つのアーム3,4をロックすべく解除可能にリフトアーム4の両横側部に横軸Y1回りに回動自在に軸支された略L字状の左右一対のロック部15,15と、ロック部15,15が被ロック部14に係合した係合状態に付勢する付勢手段16とを備えている。左右一対のロック部15,15は、ブラケット17により連結されている。付勢手段16は、リフトアーム4とロック部15,15との間に設けられた一対のコイルスプリング(
図6(a)では一方のみ図示している)から構成されている。
【0022】
フックアーム6とロック装置10とが連動部18により連動され、フックアーム6の後側への傾動によりロック装置10がロック状態からロック解除状態へ切り替えられるように構成されている。
【0023】
連動部18は、フックアーム6の後側への傾動(姿勢変更)途中でロック装置10のロックを解除し、ロック解除後のフックアーム6の後側への傾動(姿勢変更)時に解除状態を保持するロック解除部R1と、ロック解除後のフックアーム6の後側への傾動時にフックアーム6とロック装置10との連動を解除する連動解除部R2とを備えている。具体的には、連動部18は、
図6(a),(b)〜
図9に示すように、ロック装置10側のブラケット17に一端が連結された第1押し引きロッド19と、フックアーム6側に一端が連結された第2押し引きロッド20とを備え、第1押し引きロッド19と第2押し引きロッド20との間に、ロック解除部R1及び連動解除部R2を備えて構成されている。
【0024】
図6(b)及び
図10(c)に示すように、第1押し引きロッド19のロック装置10側の一端には、先端部が二股状となる連結部19Bを備え、ブラケット17の底板部17Aの上面には、上方に突出する縦板17Bを備えている。この縦板17Bに連結部19Bの二股状の先端を左右方向から挟み込み、この状態で縦板17Bに形成の孔(図示せず)と連結部19Bに形成の孔(図示せず)とにピンP1を通してからピンP1の先端を抜け止め処理することによって、縦板17Bと連結部19Bとを連結している。尚、縦板17Bに形成の孔は、上下方向に長い縦穴に形成し、連結部19Bに形成の孔は、ピンP1を通すことができる程度の丸孔に形成している。
【0025】
また、
図6(b)及び
図10(a)に示すように、第2押し引きロッド20のフックアーム6側の一端には、先端部が二股状となる連結部20Kを備え、フックアーム6の基端部にボルト止めされている底板6Aの上面には、上方斜め後方へ延びる縦板6Bを備えている。この縦板6Bに連結部20Kの二股状の先端を左右方向から挟み込み、この状態で縦板6Bに形成の孔(図示せず)と連結部20Kに形成の孔(図示せず)とにピンP2を通してからピンP2の先端を抜け止め処理することによって、縦板6Bと連結部20Kとを連結している。尚、縦板6Bに形成の孔は、上下方向に長い縦穴に形成し、連結部20Kに形成の孔は、ピンP2を通すことができる程度の丸孔に形成している。
【0026】
第1押し引きロッド19は、リフトアーム4の下面に取り付けられた複数の支持部材22によってリフトアーム4の長手方向への移動をスムーズに案内される。支持部材22は、
図10(b)に示すように、リフトアーム4の下面に固定されたコの字状の支持ブラケット22Aと、支持ブラケット22Aの一対の下向板部22a,22aに挟み込まれボルト22Mとナット22Nで固定される左右一対の半割部材22B,22Bとを備えている。各半割部材22B,22Bの対向面には、第1押し引きロッド19(
図10(b)では省略している)を挟持する円弧部22b,22bが形成されている。第2押し引きロッド20は、フックアーム6に連結される第1ロッド20Aと、後述する操作部24を介してロック装置10側へ延びるように連結される第2ロッド20Bとを備えている。第1ロッド20A及び第2ロッド20Bのそれぞれが、前記複数の支持部材22に支持されている。
【0027】
ロック解除部R1は、フックアーム6の後側への傾動途中でロック装置10がロック解除されるように構成されている。具体的には、ロック解除部R1は、第1押し引きロッド19の他端の端部材19Aに備えるピン19Pに連結する被操作部としての揺動リンク23と、この揺動リンク23を揺動操作すべく第2押し引きロッド20を構成する第1ロッド20Aと第2ロッド20Bとの間に設けられた操作部24とを備えている。
【0028】
揺動リンク23は、ピン19Pを貫通して連結するための長孔23Aを一端に備え、他端がリフトアーム4の下面に上下軸芯X1回りで揺動可能に軸支されている。揺動リンク23の揺動中心側となる基端部の上面には、一体回転する爪部25Aを有する回転部材25が設けられている。操作部24は、フックアーム6の後側への傾動途中でロック部15を付勢手段16による付勢力に抗して係合解除操作するためのものである。具体的には、操作部24は、揺動リンク23に付設の回転部材25の爪部25Aに当接して揺動リンク23を揺動操作する当接部26を備えている。当接部26は、操作部24の左右側部のうちの一方の側部を切欠いた切欠部26Kによって形成されている。そして、フックアーム6が後側へ所定距離後退した第1姿勢で当接部26が回転部材25の爪部25Aに当接して揺動リンク23の揺動を開始する。なお、第1姿勢は第2姿勢の所定距離Hよりも短く、第2姿勢よりも走行姿勢寄りである。この第1姿勢からフックアーム6が更に後側へ所定距離だけ後退した第2姿勢へ姿勢変更することにより揺動リンク23が揺動される。この揺動リンク23の揺動によって、ロック装置10がロック解除状態に切り替えられるように、爪部25Aに対する当接部26の位置を設定している。従って、フックアーム6が後側へ傾動することによって、当接部26が回転部材25の爪部25Aに当接して揺動リンク23を揺動操作する。そして、フックアーム6が第2姿勢へ姿勢変更すると、
図8(b)及び
図9のように、第2押し引きロッド20が矢印で示すロック装置10から離れる側へ引っ張られる。これにより、揺動リンク23が
図6(b)及び
図7から反時計回りに揺動されることで、第1押し引きロッド19がフックアーム6側へ引っ張られる。これにより、ロック部15,15を被ロック部14,14から係合離脱して、ロック装置10をロック解除する(
図8(a)参照)。このロック解除された時点が、フックアーム6が
図8(a)で示す第2姿勢である。
【0029】
連動部18には、フックアーム6の略起立状態からロック解除となる所定量の後側への姿勢変更時までロック状態を維持すべく、フックアーム6からの操作力をロック装置20のロック部15,15に伝達しない不感帯部を備えている。この不感帯部は、
図7に示すように、回転部材25の爪部25Aと切欠部26Kによって形成された当接部26との間に形成される隙間Eから構成されている。この隙間Eを形成することによって、フックアーム6を第1姿勢(第2姿勢よりも小さな姿勢変更量)へ姿勢変更するまで、回転部材25の爪部25Aに当接部26が当接することがない。そして、フックアーム6の第1姿勢で爪部25Aに当接部26が当接し、それから第2姿勢へフックアーム6が姿勢変更されることによって、揺動リンク23が揺動されてロック装置10がロック解除状態に切り替えられる。従って、
図13で示すように、ロック装置10のロック部15を被ロック部14にロックした状態でリフトシリンダ5を伸長作動させてダンプアーム3とリフトアーム4とを一緒に回動させて、コンテナCtをダンプさせた状態において、例えばフックシリンダ9にオイル漏れが発生してフックアーム6が後側へ傾動するような事態が発生した場合に、前記隙間(不感帯部)があるため、フックアーム6が第1姿勢まで姿勢変更するまで、回転部材25の爪部25Aに当接部26が当接することがないから、ロック部15,15をロック状態に維持し、ロック装置10のロック部15が被ロック部14からロック解除されることを防止することができる利点がある。
【0030】
連動解除部R2は、操作部24と揺動リンク23の回転部材25との間に、ロック装置10がロック解除された後において操作部24からの操作力を揺動リンク23に伝達しない融通部から構成されている。この融通部R2は、回転部材25の爪部25Aと、操作部24の当接部26からロック装置10側へ延びる平坦面27とから構成されている。つまり、回転部材25が回転して、爪部25Aが操作部24の平坦面27に乗り上げる(
図8(b)及び
図9参照)ことによって、操作部24が更に引っ張り操作されても、回転部材25は回転せず、爪部25Aが平坦面27に当接した姿勢を維持することになり、操作部24からの操作力を揺動リンク23に伝達しない融通部R2を構成している。従って、爪部25Aが操作部24の平坦面27に乗り上げてからは、フックアーム6が後方に更に姿勢変更することで、操作部24が更に引っ張り操作されても、揺動リンク23は全く動くことがなく、爪部25Aが平坦面27に当接した姿勢(ロック装置はロック解除状態)を維持する。この融通部R2によって、ロック装置10がロック解除された後において操作部24からの操作力が被操作部である揺動リンク23に伝達されないので、リフトアーム4の回動中にロック部15,15が動いて他物に不測に当接するといったことがない。
【0031】
また、操作部24の下面には、フックアーム6を傾動した姿勢から垂直となる姿勢に戻す際に、揺動リンク23の当接片23Bに当接して揺動リンク23を時計回りに強制的に揺動操作する戻し操作部28を設けている。戻し操作部28を設けることによって、付勢手段であるコイルスプリング16の付勢力が弱い場合でも、ロック装置10を確実にロック操作することができる。戻し操作部28は、ボルトに螺合された2つのナットから構成されており、ボルトに対するナットの位置を変更することによって、当接片23Bに当接するタイミングを変更することができる。
【0032】
案内ローラ2の取付構造について説明すれば、
図11〜
図13に示すように、各縦フレーム3Aの車幅方向における内側面と外側面とに角部が丸くなった略三角形状の支持プレート29が後方に突出するように固定され、これら一対のプレート29,29のそれぞれに、車幅方向に延びる円筒部材30が貫通した状態で固定され、これら円筒部材30,30に、案内ローラ2,2を回転自在に支持する略円柱状の支持軸31,31が内嵌されている。各円筒部材30には、前後方向で貫通する前後一対の貫通孔30A,30Aが車幅方向に2組形成される一方、各支持軸31には、円筒部材30の貫通孔30A,30Aに一致するように径方向で貫通する貫通孔31Aが車幅方向に2個形成されている。このように構成された各円筒部材30に各支持軸31を内嵌し、円筒部材30の前後一対の貫通孔30A,30Aに支持軸31の貫通孔31Aを一致させた状態でボルト32(
図13参照)を3つの貫通孔30A,31A,30Aに挿通させる。この挿通して外部へ突出したボルト32の先端部にナット33を螺合することによって、円筒部材30に支持軸31を固定することができる。
【0033】
各案内ローラ2は、
図14に示すように、支持軸31に左右一対のブッシュ34,34を介在させて回転自在に外嵌されるローラ本体部35と、ローラ本体部35の車幅方向外側端に配置され車幅方向外側ほど径方向外側に位置するテーパ面36Aを有する環状の鍔部36と、ローラ本体部35に鍔部36を着脱自在に取り付けるための多数(
図11では12本)の取付部材としてのボルト37とを備えている。
【0034】
ローラ本体部35は、円筒状部材からなり、車幅方向両側の内面に前記ブッシュ34,34が入り込む溝35M,35Mが形成されている。また、ローラ本体部35の車幅方向外側端部には、前記ボルト37が車幅方向外側から螺合する螺子部である螺子孔35Bが、周方向に所定間隔(ここでは等間隔)を置いて多数(ボルト37と同数の12個)形成されている。
【0035】
鍔部36は、ローラ本体部35の車幅方向外側面に当接されてローラ本体部35に前記ボルト37で固定される円環状の取付部38と、取付部38から外側に向けて拡がる載頭円錐状のコーン部39とを備えている。取付部38には、ボルト37の頭部37Aが入り込む多数(ボルト37と同数)の凹部38Aと、凹部38Aに連通してボルト37の軸部37Bを貫通する多数(ここでは12個)の貫通孔38Bが前記螺子孔35Bと一致するように周方向に等間隔で形成されている。また、取付部38のローラ本体部35側端面のうちの径方向外周端面に、コンテナCtの側面を受ける垂直姿勢の受面38Cが形成され、取付部38のローラ本体部35側端面のうちの径方向内周端面に、車幅方向外側に凹む環状の凹部38Dが形成されている。また、コーン部38は、車幅方向外側に向かうほど厚みが薄くなっている。
【0036】
鍔部36の車幅方向外側に位置して鍔部36の車幅方向外側への移動を阻止する阻止部材40を備えている。この阻止部材40は、ボルト(螺子部材)37の少なくとも一部を車幅方向外側から覆う大きさのカバー部材から構成されている。カバー部材40は、支持軸31の車幅方向外側端に径方向外側に突出して一体的に形成された円環状のカバー部31Kから構成されている。カバー部31Kには、グリスを注入するためのグリスニップル41が取り付けられている。グリスニップル41から注入されたグリスは、支持軸31に形成されている通路42を通してローラ本体部35の内周面と支持軸31の外周面との間の空間43に供給される。
【0037】
カバー部31Kは、
図11に示すように、周方向に並んだ多数のボルト37の頭部37Aのほぼ半分を車幅方向外側から覆う外形を有する大きさに設定され、
図14に示すように、カバー部31Kの内面31Uが取付部38の外側端38Tに僅かな隙間を置いて位置している。カバー部31Kは、ボルト37(特にボルト37の頭部37A)が抜け出す方向の移動軌跡(
図14の上下一対の一点鎖線で示している)と重なり合うよう位置している。従って、重量のあるコンテナCtが案内ローラ2へ繰り返し当接することによって、ボルト37が緩んでしまい、鍔部36がローラ本体部35から車幅方向外側へ移動することをカバー部(阻止部材40)31Kが阻止するので、鍔部36がローラ本体部35から外れることを阻止することができる。また、ボルト37の一部をカバー部31Kで覆っているので、ボルト37が緩んで螺子孔35Bから外れることをカバー部31Kが当接阻止することができ、重量のあるコンテナCtが案内ローラ2へ当接したときの当接力を鍔部36が受けたとしても、鍔部36がローラ本体部35からより一層外れ難くすることができる。
【0038】
また、カバー部材40が、支持軸31の車幅方向外側端に径方向外側に突出して一体的に形成された環状のカバー部31Kから構成することによって、カバー部材40を支持軸31とは別の部品から構成する場合に比べて部品点数を少なくすることができる。しかも、カバー部31Kが支持軸31に一体的に形成されているので、例えば支持軸31に別の部品のカバー部材をボルトにより連結する構成の場合に、ボルトが緩んで支持軸31からカバー部材40が外れるといったトラブルがない。
【0039】
案内ローラ2を支持軸31に組み付ける場合には、ローラ本体部35に鍔部36をボルト37により連結して構成された案内ローラ2を支持軸31に外嵌してから、円筒部材30に支持軸31を内嵌してボルト32で固定して案内ローラ2の組み付け作業を完了する。従って、鍔部36を新たな鍔部に交換する場合には、まず、ボルト32を緩めて円筒部材30から支持軸31を取り外す。続いて、支持軸31に外嵌している案内ローラ2を取り外してから、ボルト37を緩めてローラ本体部35から鍔部36を取り外すことになる。尚、
図12及び
図14に示すように、円筒部材30には、ローラ本体部35の側面35Fと略同じ高さのプレート30Bを備えている。ローラ本体部35の内側にコンテナCtの主桁が移動してもプレート30Bに載るので、ローラ本体部35に戻り易い。
【0040】
次に、荷役車両Vの荷役フレーム1上のコンテナCtを地上に降ろす降ろし動作について説明する。
【0041】
図1に示す、荷役車両Vの荷役フレーム1上にコンテナCtが搭載されている走行可能状態から、フックシリンダ9を伸長作動させる。これによって、フックアーム6を後側へ傾動させて第2姿勢へ姿勢変更させる(
図2参照)。この姿勢変更によって、前述したように、ロック解除部R1により第1押し引きロッド19が引っ張られて、ロック装置10がロック解除される(
図8(a),(b)参照)。このとき、コンテナCtは、荷役車両Vに対し、相対的に後方移動し、フックアーム6が第2姿勢へ姿勢変更すると、コンテナCtとダンプアーム3とを係合しているコンテナCtの脱落装置(図示せず)も解除される。また、コンテナCtの後部は、案内ローラ2の鍔部36で左右方向の移動が制限されつつ、荷役フレーム1の後方にスライド移動する。ロック装置10をロック解除すると、フックシリンダ9の伸長作動は停止状態としたまま、第1制御手段29によってリフトシリンダ5の伸長作動を開始してリフトアーム4を回動させて案内ローラ2回りにコンテナCtの前端を持ち上げながら後方へ移動させる。リフトシリンダ5の伸長作動を開始して所定時間(僅かな時間)が経過した後、第2制御手段30によりフックシリンダ9を再度伸長作動させて、最大角度まで傾動させる(
図8(a)ではフックアーム6を第2姿勢へ姿勢変更させた状態であるが、これよりも更に傾動させた第4姿勢まで姿勢変更させることで、フック8をリフトアーム4の回動軸3Dに接近する方向へ姿勢変更する)。
【0042】
リフトアーム4の仰角(見上げた時の水平に対する傾斜角度)が、80°〜90°になった時(
図3よりも更に傾斜角度が大きくなったとき)に、フックシリンダ9を短縮作動させて走行姿勢側へ所定距離近づけた姿勢である第3姿勢まで戻す。このときフック8をリフトアーム4の回動軸3Dより遠ざかる方向へ姿勢変更する。
【0043】
フックシリンダ9の短縮作動が終了すると、リフトシリンダ5のみを伸縮動作させながら、コンテナCtを地上へ降ろして、コンテナCtの降ろし作業が終了する(
図4参照)。尚、フックアーム6の後側への姿勢変更は、走行姿勢からフックアーム6を後側へ傾動させることにより行われる場合を示したが、走行姿勢からフックアーム6を後側へスライドさせることにより行われる場合であってもよい。
【0044】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。
【0045】
上記実施形態では、荷役アームIをリフトアーム4とフックアーム6とから構成したが、リフトアームとフックアームとが一体化された荷役アーム(リフトアームが傾動しない構成)であってもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、阻止部材40が、支持軸31の車幅方向外側端に一体形成されたカバー部31Kから構成したが、
図15に示すように、支持軸31とは別体形成された円板状の阻止部材40をボルト44により着脱自在に固定してもよい。
図15では、一本のボルト44を、支持軸31の中心に形成された螺子部(図示せず)にねじ込んでいる場合を示しているが、複数のボルトを周方向に所定間隔を置いて備えたものであってもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、カバー部31Kが、ボルト37(螺子部材)の少なくとも一部分を車幅方向外側から覆う大きさに構成したが、ボルト37の全てを車幅方向外側から覆う大きさに構成してもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、鍔部36がテーパ面36Aを有するものから構成したが、テーパ面の無い円板状の鍔部から構成してもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、支持軸31にローラ本体部35を回転自在に取り付けたが、支持軸31を回転自在な回転軸に構成し、この回転軸にローラ本体部を一体形成して実施してもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、ロック解除部R1を、揺動リンク23に付設の回転部材25の爪部25Aに当接して揺動リンク23を揺動操作する当接部26から構成し、連動解除部R2を、ロック装置10がロック解除された後において操作部24からの操作力を被操作部23に伝達しない融通部から構成したが、融通部を省略してもよい。このとき、ロック装置10は、ロック装置10のロック解除後も解除方向に動くことになるが、ロック装置10は解除状態を保持しているので、リフトアーム4の回動にダンプアーム3は連動しない。また、ロック解除部R1及び連動解除部R2を、フックアーム6側のロッド20からの引っ張り力をロック装置10側のロッド19へ伝達する伝達部に、噛み合い式又は摩擦式のクラッチを備えて構成してもよい。この場合、フックアーム6が所定の姿勢(所定の傾動角度又は所定のスライド位置)になったことを検出するセンサと、クラッチを入り切り操作する駆動機構と、センサからの検出信号に基づいて駆動機構を駆動制御する制御装置とを備えて実施することが好ましい。