特許第6578166号(P6578166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱農機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6578166-作業車両 図000002
  • 特許6578166-作業車両 図000003
  • 特許6578166-作業車両 図000004
  • 特許6578166-作業車両 図000005
  • 特許6578166-作業車両 図000006
  • 特許6578166-作業車両 図000007
  • 特許6578166-作業車両 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6578166
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B60T 7/04 20060101AFI20190909BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20190909BHJP
【FI】
   B60T7/04 D
   G05G1/30 E
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-179208(P2015-179208)
(22)【出願日】2015年9月11日
(65)【公開番号】特開2017-52458(P2017-52458A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2018年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(74)【代理人】
【識別番号】100166659
【弁理士】
【氏名又は名称】楠 和也
(72)【発明者】
【氏名】渡部 英知
(72)【発明者】
【氏名】安部 勝
(72)【発明者】
【氏名】内田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】安次 謙太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勇介
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−081171(JP,U)
【文献】 特開2015−059340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/04
G05G 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右のブレーキに対応する左右一対のブレーキペダル(17,18)と、左右一方側のブレーキペダルの踏込み操作によって、左右他方側のブレーキペダルも同時に踏込み操作されるように左右のブレーキペダルを連結する連結機構(19)と、該連結機構(19)による左右のブレーキペダル(17,18)の連結を解除する解除操作具(21)とを備え、前記連結機構(19)は、左右一方側のブレーキペダル(17)側に設けられた連結部(42)を、他方側のブレーキペダル(18)側に設けられた受け部(36)に凹設されて上方が開放された嵌合溝(36a)に、上側から挿入して嵌合させることにより、左右のブレーキペダルを連結させるように構成された作業車両において、前記受け部(36)を、板状に形成し、前記連結部(42)における受け部(36)の上縁部に接当する接当部(45)を、受け部(36)の厚み方向に沿う方向に形成するとともに、該接当部(45)を、断面視で、下方に山形に膨出する円弧状に形成し、該接当部(45)の少なくとも一部を受け部(36)よりも硬い材料によって構成した作業車両。
【請求項2】
前記接当部(45)は、前記連結部(42)側に受け部(36)よりも硬い材質の丸棒を溶着して構成した請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記接当部(45)は、前記受け部(36)上縁部の厚み方向と平行な状態で接当されるように構成した請求項1又は2の何れかに記載の作業車両。
【請求項4】
前記連結部(42)は、前記嵌合溝(36a)に挿入される作用部(42b)の上下方向の幅が、前記嵌合溝(36a)の深さ方向よりも幅広に形成されることにより、前記作用部(42b)が前記嵌合溝(36a)に挿入された場合に、該作用部(42b)の上部側が嵌合溝(36a)から上方に突出するように構成された請求項1乃至3の何れかに記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右の駆動輪を制動する一対のブレーキペダルを備えた作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
左右のブレーキに対応する左右一対のブレーキペダルと、左右一方側のブレーキペダルの踏込み操作によって、左右他方側のブレーキペダルも同時に踏込み操作されるように左右のブレーキペダルを連結する連結機構と、該連結機構による左右のブレーキペダルの連結を解除する解除操作具とを備え、前記連結機構は、左右一方側のブレーキペダル側に設けられた連結部を、他方側のブレーキペダル側に設けられた受け部に凹設されて上方が開放された嵌合溝に、上側から挿入して嵌合させることにより、左右のブレーキペダルを連結させるように構成された特許文献1及び2に記載の作業車両が従来公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−141833号公報
【特許文献1】特開平10−114261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献の作業車両は、前記連結部を上下回動させて受け部側に形成された凹部に係合することにより、左右のブレーキペダルが連結されて左右のブレーキペダルが同時に踏込み操作できるようになるものであるが、連結部と受け部との間が摺動して接触面が磨耗すると両部材間の摩擦抵抗が大きくなり、連結機構によって左右のブレーキペダルを連結する際に、連結部がスムーズに受け部側に連結されない場合があり得るという課題がった。
【0005】
本発明は、左右のブレーキに対応する左右一対のブレーキペダルと、左右一方側のブレーキペダルの踏込み操作によって、左右他方側のブレーキペダルも踏込み操作されるように左右のブレーキペダルを連結する連結機構とを備えた作業車両において、連結機構を構成する部材の磨耗を抑制し、ブレーキペダルの連結・連結解除をスムーズにできる作業車両を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明は、第1に、左右のブレーキに対応する左右一対のブレーキペダル17,18と、左右一方側のブレーキペダルの踏込み操作によって、左右他方側のブレーキペダルも同時に踏込み操作されるように左右のブレーキペダルを連結する連結機構19と、該連結機構19による左右のブレーキペダル17,18の連結を解除する解除操作具21とを備え、前記連結機構19は、左右一方側のブレーキペダル17側に設けられた連結部42を、他方側のブレーキペダル18側に設けられた受け部36に凹設されて上方が開放された嵌合溝36aに、上側から挿入して嵌合させることにより、左右のブレーキペダルを連結させるように構成された作業車両において、前記受け部36を、板状に形成し、前記連結部42における受け部36の上縁部に接当する接当部45を、受け部36の厚み方向に沿う方向に形成するとともに、該接当部45を、断面視で、下方に山形に膨出する円弧状に形成し、該接当部45の少なくとも一部を受け部36よりも硬い材料によって構成したことを特徴としている。
【0007】
第2に、前記接当部45は、前記連結部42側に受け部36よりも硬い材質の丸棒を溶着して構成したことを特徴としている。
【0008】
第3に、前記接当部45は、前記受け部36上縁部の厚み方向と平行な状態で接当されるように構成したことを特徴としている。
【0009】
第4に、前記連結部42は、前記嵌合溝36aに挿入される作用部42bの上下方向の幅が、前記嵌合溝36aの深さ方向よりも幅広に形成されることにより、前記作用部42bが前記嵌合溝36aに挿入された場合に、該作用部42bの上部側が嵌合溝36aから上方に突出するように構成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
前記連結部は、受け部側との接当する接当部を断面円弧状に形成し、該当接部の少なくとも一部を受け部側よりも硬く形成したことにより、連結部と受け部との摩擦抵抗が低減されて連結部が受け部上を移動し易くなるため、左右一対のブレーキペダルの連結・連結解除をスムーズ且つ確実に行うことができる。
【0011】
また、前記接当部は、前記連結部側に受け部よりも硬い材質の丸棒を溶着して構成したものによれば、簡易且つ低コストに連結部と受け部との摩擦抵抗を抑制できる。
【0012】
また、前記接当部は、前記受け部上縁部の厚み方向と平行な状態で接当されるように構成したものによれば、連結部が受け部の上縁側に当接した際の摩擦力を低く抑えることにより、連結部が受け部の上面側を滑らかスライドさせることができるため、連結機構による連結が解除された状態において、片方のブレーキペダルをスムーズに踏込み操作できる。
【0013】
なお、前記連結部は、受け部側に向って嵌合溝の溝方向に幅広となるように形成したものによれば、接当部が嵌合溝内に嵌合した際の保持力が大きくなるとともに、連結部が受け部側のブレーキペダルに接触する事態を防止できるため、前記連結機構による左右のブレーキペダルの連結がより安定する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明を適応したトラクタの側面図である。
図2】操縦部を示した要部斜視図である。
図3】ブレーキ操作ユニットを示す正面斜視図である。
図4】(A)乃至(D)は、左ブレーキペダルを示した平面図、斜視図、正面図、右側面図である。
図5】(A)乃至(D)は、右ブレーキペダルを示した平面図、斜視図、正面図、右側面図である。
図6】連結機構を示した要部正面図である。
図7】片ブレーキ状態で左ブレーキペダルを踏込み操作した状態を示した要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明を適応したトラクタの側面図であり、図2は、操縦部を示した要部斜視図である。本トラクタは、左右一対の前輪1,1及び駆動輪となる後輪2,2によって支持される機体フレーム3と、該機体フレーム3の前側に設置されたエンジン(図示しない)の上面側をカバーするボンネット4と、該ボンネット4の後方に配置されてオペレータが操縦等を行う操縦部6とを備えることにより走行機体7が構成されており、該走行機体7の後方には、昇降リンク8を介してロータリ耕耘機等の作業機(図示しない)を昇降可能に連結することができる。
【0016】
前記操縦部6は、オペレータが着座する座席11と、座席11の前方側に配置された操向操作具であるステアリングハンドル12と、座席11とステアリングハンドル12の間に設けられた床面であるフロアステップ13とを備え、ステアリングハンドル12の下方側には、座席11に着座したオペレータが操作する複数のペダル操作具が設けられている。
【0017】
図2に示すように、操縦部6の座席11前方側には、踏込み操作することにより前後(上下)方向に揺動操作される複数のペダル操作具が設けられている。具体的には、進行方向右(以下、単に右)側に配置されて左右の駆動輪2,2の制動操作を行うブレーキ操作ユニット14と、進行方向左(以下、単に左)側に配置されてエンジン側から伝動する動力を断続操作するクラッチペダル16とが設けられている。
【0018】
前記ブレーキ操作ユニット14は、右側の駆動輪2をブレーキ操作する右ブレーキペダル17と、左側の駆動輪2をブレーキ操作する左ブレーキペダル18とを備え、後述する連結機構19によって、左右のブレーキペダル17,18を同時に踏込み操作できるように連結した連結状態に切換えることができるように構成されている。
【0019】
前記クラッチペダル16は、左右方向に延設された軸部材22と、該軸部材22に外装される筒部から下方に向かって延設されるアーム16aと、該アーム16aに取付けられた踏板16bとから構成されており、軸部材回りに揺動可能に吊下げ支持されている。
【0020】
前記クラッチペダル16の左右内側には、フロアステップ13側に上記連結機構19により連結された左右のブレーキペダル17,18の連結を解除する連結解除ユニットが設けられている。該解除操作ユニットは、解除ペダル21の踏込み操作により前記連結機構19側と連係し、連結機構19による左右のブレーキペダル17,18の連結が解除された状態(片ブレーキ状態)に切換えることができるように構成されている。
【0021】
該構成により、オペレータは、一方側(図示する例では左側)の足で前記解除ペダル21を踏込み操作して左右のブレーキペダル17,18の連結を解除(片ブレーキ状態)しつつ、他方側(図示する例では右側)の足で片方のブレーキペダルの踏込み操作して旋回内側の駆動輪を制動することにより、走行機体7の小回り旋回操作を容易に実行することができる。以下、上記ブレーキ操作ユニット14の詳細な構成について説明する。
【0022】
図3に基づき、前記ブレーキ操作ユニットについて説明する。図3は、ブレーキ操作ユニットを示す正面斜視図である。前記ブレーキ操作ユニット14は、右ブレーキペダル17と、左ブレーキペダル18と、左右のブレーキペダル17,18が上下(前後)方向に揺動操作されるように支持する横方向の前記軸部材22と、ブレーキペダルの踏込み操作の有無を検出する検出センサ23と、左右のブレーキペダル17,18を同時に操作して制動作動させる操作具である駐車ブレーキレバー24と、前記連結機構19とを備えている。
【0023】
前記左右のブレーキペダル17,18は、オペレータが踏込み操作を行う踏板部17b,18bと、該踏板部17b,18bから前方上側の前記軸部材22に外装された筒部17c,18cに向けて上方方向に延設されるアーム17a,18aとを備え、前記筒部17c,18cに設けたL字状の取付片に取付けられた弾性部材26,26により、ブレーキペダル17,18がそれぞれ上方回動する側に付勢されている。
【0024】
上記筒部18cの左右一方(図示する例では左)側には板状の突設部28が後方側に向けて突設されており、該突設部28の上方側には、前記検出スイッチ23が設けられている。これにより、ブレーキペダル18が前記弾性部材26により上方限界位置(初期位置)まで回動した際に、検出スイッチ23が突設部28と接触してON操作される。すなわち、オペレータによりブレーキペダル18の踏込み操作が実行されると、筒部18cを介してと突設部28が下方回動されることにより、突設部28が検出スイッチ23から離間して検出スイッチ23がOFF操作される。
【0025】
前記駐車ブレーキレバー24は、駐車ブレーキレバー24と一体的に揺動作動する板状の揺動部31と、左ブレーキペダルの筒部18cから下方側に向けて延設された延設部32と、該延設部32の下端側に形成されて前記揺動部31の下部側と当接する当接片32aと、を介して、左ブレーキペダル18を踏込み側に操作可能に構成されている。また、前記駐車ブレーキレバー24が下方揺動操作されている場合には、連結機構19によって左右のブレーキペダル17,18が連結されるとともに、前記連結解除ペダル21が操作されないように構成されている。
【0026】
これにより、前記駐車ブレーキレバー24を下方揺動操作することにより、前記回動部31、当接片32a、延設部32、筒部18cを介して、左右のブレーキペダル17,18を踏込み操作することなく、下方揺動(制動)操作することができる。このとき、前方に向って延設される揺動部31の下部側には、前記当接片32aと多段階で係止される段状の係止部(図示しない)が形成されており、駐車ブレーキレバー24を下方揺動した状態で係止することができる。
【0027】
次に、図3乃至図7に基づき、前記連結機構について説明する。図4(A)乃至(D)
は、左ブレーキペダルを示した平面図、斜視図、正面図、右側面図であり、図5(A)乃至(D)は、右ブレーキペダルを示した平面図、斜視図、正面図、右側面図であり、図6は、連結機構を示した要部正面図であり、図7は、片ブレーキ状態で左ブレーキペダルを踏込み操作した状態を示した要部側面図である。
【0028】
前記連結機構19は、左右一方側(図示する例では左)側のブレーキペダル18のアーム18a中途部に設けられた受け部36と、左右他方(図示する例では右)側のブレーキペダル17のアーム部17a中途部に設けられた回動部37とから構成されている。
【0029】
前記受け部36は、左ブレーキペダル18のアーム18a中途部の内側面に取付けられた板状部材であって、該アーム18aの前後方向に延設されている。また、該受け部36は、前後方向の中途部(側面視でアームの後部近傍)に、前記回動部37が嵌合される凹設部(嵌合溝)36aが凹設されている。
【0030】
また、該受け部36は、図示されるように、その上面側がブレーキペダルの揺動支点を中心とした円弧状に成形されている。これにより、受け部36の上面側は、前記凹設部36aから前後方向に延設されるとともに、該受け部36の前後端側が、凹設部36aが形成された箇所よりも上方側に位置するように滑らかに湾曲形成されている(図4(D)等参照)。
【0031】
前記回動部37は、正面視で下方外側に向けてクランク状に屈曲形成された右ブレーキペダル17の前記アーム17aの中途部に取付けられた板状の取付部41と、該取付部41に回動自在に取付けられたL字状に形成された連結片(連結部)42と、該連結片42を回動操作する操作ワイヤ43と、該連結片42を軸回り(受け部36側)に回動するよう付勢する引張スプリング44とを備えている。
【0032】
上記連結片42は、回動支点から下方側に延設された延設部42aと、回動支点40から左右内(左)側に延設された作用部42bとが成形されている。該連結片42は、延設部42aに右ブレーキペダル17のアーム17a中途部に設けられた上記引張りスプリング44を連結することにより、作用部42b側が受け部36側に回動作動するように付勢されている。
【0033】
すなわち、該連結片42の作用部42b側が、引張スプリング44の付勢力によって受け部36側に下方回動され、該作用部42bが前記凹設部36aに嵌合されることによって、左右のブレーキペダル17,18が連結される。この左右のブレーキペダルが連結された連結状態では、左右一方側のブレーキペダルのみを踏込み操作した場合であっても、左右のブレーキペダルが同時に踏込み操作される。
【0034】
このとき、該連結片42は、回動支点40側から作用部42側に向けて、上下方向(凹設部36aの深さ方向)がより幅広となるように形成されており、作用部42が凹設部36aに嵌合された状態において、作用部42の上部側が凹設部36aから上方に突出するように構成されている。これにより、連結機構19による左右のブレーキペダルの連結状態がより安定する。
【0035】
また、該連結片の作用部42bには、受け部36(凹設部36a)側と当接する下部側に、棒状の当接部材が溶着等によって取付けられることによって、受け部36側との当接箇所が断面円弧状に膨出される接当部45が構成されている。このとき、該接当部45を構成する当接部材には、受け部36側よりも硬い部材が使用されている。ちなみに、該接当部45は、当接部材を作用部42b側に着脱自在にネジ固定等される構成であっても良い。
【0036】
上記操作ワイヤ43は、一端側が連結片42側に連結されるとともに、他端側が前記解除ペダル21側と連動するように構成されており、解除ペダル21が踏込み操作されることによって、前記連結片42の作用部42側を引張スプリング44の付勢力に抗して上方回動させ、連結片42と受け部36との連結を解除できる。言い換えると、解除ペダル21の踏込み操作によって、左右のブレーキペダル17,18の連結を解除した片ブレーキ状態に切換えることができる。
【0037】
すなわち、該構成の連結機構19は、前記引張スプリング44により連結片42が受け部36側に常時接当するように付勢されており、前記連結片42が凹設部36aに嵌合されることにより、左右のブレーキペダル17,18が連結された連結状態となり、前記解除ペダル21が踏込み操作されることにより上記操作ワイヤ43を介して連結片42の作用部42b側を上方回動させて、連結片42(作用部42)を凹設部36aから離間させることにより、左右のブレーキペダルの連結が解除された片ブレーキ状態に切換えられる。
【0038】
該片ブレーキ状態時では、図7に示されるように、左ブレーキペダル18が踏込み操作されると、左ブレーキペダル18側に設けられた受け部36が踏込み操作方向に移動するため、受け部36側に付勢される連結片42(接当部45)が、受け部36の上面側と接当した状態で(相対的に)後方に向かって滑らかにスライド移動する。また、片ブレーキ状態において右ブレーキペダル17が踏込み操作された場合には、連結片42(接当部45)側が受け部36の上面側に接当した状態で前方側へスライド移動する。
【0039】
このとき、受け部36側と当接する前記接当部45の断面が円弧状に形成されているため、接当部45と受け部36との間に生じる摩擦力が小さくなり、接当部45が受け部36の上面をよりスムーズに移動できる。また、断面円弧状の接当部45側が受け部36側よりも硬い部材で形成されたことにより、特に接当部45側が磨耗し難くなるため、接当部45と受け部36とが磨耗することで接触面が大きく(摩擦抵抗が大きく)なることを抑制できる。
【0040】
また、前記解除ペダル21が踏込み操作され、連結片42(接当部45)が受け部36の上縁部と接当している状態(片ブレーキ状態)では、円弧状の接当部45と、受け部36の上縁側とが平行となるように当接することで、互いに線接触するように構成されている。これにより、接当部45と受け部36の上縁部との間で必要以上に大きな摩擦力が発生することを防止できるため、片ブレーキ状態における左右一方側のブレーキペダルの踏込み操作がスムーズになるとともに、接当部45と受け部36の上縁部の磨耗をより抑制できる。
【0041】
また、受け部36の上面側がブレーキペダル17,18の揺動軸22を支点とした円弧状に形成されているため、片ブレーキ状態時のブレーキペダルの踏込み操作(接当部45の受け部36上面側の移動)がよりスムーズになる。また、円弧状に形成された前後方向中途部に前記嵌合部36aが形成されたことにより、左右のブレーキペダルの連結が解除される際に、連結片42(作用部42)の下方側への移動によって嵌合溝36a側へ案内されるため、片ブレーキ状態から連結状態への移行がスムーズになる。
【0042】
さらに、受け部36が前後方向に延設されたことによって、片ブレーキ状態時に左右何れのブレーキペダルが踏込み操作された場合であっても、前記接当部45は、常に受け部36の上面側に配置されるように構成されているため、解除ペダル21の誤操作等によって連結片42が受け部36の上面側から落ちる事態を確実に防止できる。
【符号の説明】
【0043】
17 右ブレーキペダル
18 左ブレーキペダル
19 連結機構
21 解除ペダル(解除操作具)
36 受け部
36a 凹設部(嵌合溝)
42 連結片(連結部)
45 接当部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7