(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シャフトの前記バルーンよりも基端側の部位を支持し、前記フィルム巻取部と同期して前記フィルム巻取部の巻き取り方向へ移動する支持台をさらに有する請求項1に記載のバルーン折り畳み機。
【背景技術】
【0002】
カテーテルを用いた血管病変の治療は、外科的侵襲が少ないことから広く行われている。例えば、経皮的冠動脈形成術(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty)において、冠動脈の病変部を押し広げて血流を改善するために、バルーンカテーテルが用いられる。バルーンカテーテルは、長尺な中空状のシャフトと、シャフトの先端側に設けられるバルーンと、シャフトの基端側に設けられるハブとを有するのが一般的である。バルーンカテーテルには、表面に薬剤をコーティングした薬剤溶出性バルーン(Drug Eluting Balloon)が設けられることもある。
【0003】
バルーンカテーテルのバルーンは、血管内における通過性を良好にするため、収縮時においてできるだけ小径状であることが求められる。バルーンは、カテーテルの製造時に折り畳まれることで、小径状に形成される。バルーンの折り畳み(wrapping)は、バルーンを折って周方向に複数、例えば3枚あるいは4枚の羽根形状を形成するプリーティング(pleating)の工程と、形成された羽根形状を周方向一方に向かって畳むフォールディング(folding)の工程とによってなされる。
【0004】
従来のバルーン折り畳み機として、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。バルーン折り畳み機は、プリーティングを行うためのプリーティング部と、フォールディングを行うためのフォールディング部とを有している。また、バルーン折り畳み機は、バルーンカテーテルのシャフトを支持し、バルーンを各ヘッドに対して挿入できるようにスライド可能な支持台を有している。
【0005】
プリーティング部は、バルーンに対し羽根を形状付けするために周方向に複数のブレードを有する。複数のブレード間には、バルーンの挿入方向に沿う空間部が形成される。また、ブレードは、空間部の形状を変化させるように回動することができる。バルーンは、ブレード間の空間部に挿入され、回動するブレードによってバルーンが絞られることにより、羽根形状が形成される。
【0006】
フォールディング部は、バルーンに形成された羽根形状を周方向に沿って寝かせるように畳むことができるように、回動自在な複数のブレードを有する。複数のブレードに囲まれた領域にバルーンを挿入し、ブレード間の領域を閉じるように回動させることで、バルーンに形成された羽根形状が、周方向に沿って畳まれる。
【0007】
バルーンを折り畳む際には、バルーンカテーテルを支持台に載置し、支持台をプリーティング部に向かってスライドさせることで、バルーンをプリーティング部内に進入させ、プリーティングを行う。バルーンをプリーティング部から引き抜いたら、続いてバルーンをフォールディング部内に進入させ、フォールディングを行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
バルーンの通過性を良好にするためには、バルーンの折り畳みにおいて、羽根形状を周方向所定間隔毎に正確な形状に形成する必要がある。そのためには、バルーンをプリーティング部の中心位置に正確に位置決めしなければならない。バルーンの位置がプリーティング部の中心位置からずれていると、プリーティングにおいて形成される羽根形状が均一とならないことがある。また、バルーンの位置がフォールディング部の中心位置からずれていると、羽根形状が周方向において逆方向に畳まれるバックフォールドを生じる可能性がある。
【0010】
カテーテルを支持台に載置し、バルーンをプリーティング部に対し挿入する際、バルーンを有するカテーテルの先端付近は支持台により支持されていないため、バルーンの自重によってカテーテルは下方に撓む。これにより、バルーンをプリーティング部やフォールディング部の中心位置に正確に位置決めすることが難しい。また、薬剤溶出性バルーンにおいては、プリーティング部に挿入する際や、フォールディング部に挿入する際など、バルーンの出し入れに伴う周囲への接触により、薬剤コート層の欠損を生じる可能性がある。
【0011】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、バルーンをプリーティング部やフォールディング部に対し正確に位置決めできるバルーン折り畳み機およびバルーン折り畳み方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する本発明に係るバルーン折り畳み機は、周方向に空間部を挟みつつ並ぶ複数の羽根形成用部材を備え、中央部に前記バルーンを配置して前記羽根形成用部材を回動させて前記空間部に入り込む前記バルーンを前記羽根形成用部材により挟むことで前記バルーンに径方向へ突出する羽根形状を形成するプリーティング部と、周方向に並ぶ複数の畳み用部材を備え、中央部に前記バルーンを配置して前記畳み用部材を回動させて前記バルーンに形成された羽根形状を周方向に沿って畳むフォールディング部と、隣接する前記羽根形成用部材の間を通って前記プリーティング部の外部から中央部に至るとともに当該中央部から更に外部に至り、かつ隣接する前記畳み用部材の間を通って前記フォールディング部の外部から中央部に至るとともに当該中央部から更に外部に至る2枚の帯状のフィルムと、前記2枚のフィルムを巻き取るフィルム巻取部と、を有する。
【0013】
上記目的を達成する本発明に係るバルーン折り畳み方法は、長尺なシャフトの先端部にバルーンが設けられるバルーンカテーテルのバルーンを折り畳むバルーン折り畳み方法であって、2枚の帯状のフィルムの間に前記バルーンを挟むステップと、周方向に空間部を挟みつつ並ぶ複数の羽根形成用部材を回動させて前記空間部に前記バルーンを挟むことで前記バルーンに羽根形状を形成するステップと、羽根形状が形成された前記バルーンを、前記2枚のフィルムに挟んだ状態で、周方向に並ぶ複数の畳み用部材を回動させて前記バルーンに形成された羽根形状を周方向に沿って畳むステップと、を有する。
【発明の効果】
【0014】
上記のように構成したバルーン折り畳み機は、バルーンを2枚のフィルムに挟んで支持した状態のまま、プリーティング部からフォールディング部へ移動させることができるため、バルーンカテーテルの自重による撓みの発生を抑制し、バルーンをプリーティング部やフォールディング部に対して正確に位置決めできる。このため、バルーンに羽根形状を形成するために適切な位置、または羽根形状を畳むために適切な位置にバルーンを正確に位置決めできることから、バルーンの羽根形状を周方向均一に形成でき、かつ適切な方向へ羽根形状を畳むことができる。また、バルーンを2枚のフィルムに挟んで支持した状態のまま、プリーティング部からフォールディング部へ移動させることができるため、バルーンの表面に薬剤の層が設けられる場合に、薬剤の層の脱落を抑制できる。
【0015】
前記バルーン折り畳み機は、前記シャフトの前記バルーンよりも基端側の部位を支持し、前記フィルム巻取部と同期して前記フィルム巻取部の巻き取り方向へ移動する支持台をさらに有するようにすれば、バルーンの移動に伴ってシャフトを移動させることができるため、バルーンカテーテルの変形を抑制して、バルーンをプリーティング部やフォールディング部に対して適切に位置決めできる。
【0016】
前記フィルムは、凹または凸部を有するようにすれば、バルーンがフィルムから滑り難くなり、フィルムによってバルーンを良好に搬送することができる。
【0017】
上記のように構成したバルーン折り畳み方法は、バルーンを2枚のフィルムに挟んだ状態で、羽根形成用部材により羽根形状を形成し、さらに、バルーンを2枚のフィルムに挟んだ状態を維持しつつ、畳み用部材により羽根形状を畳む。したがって、バルーンが常に2枚のフィルムに挟まれて支持されるため、バルーンカテーテルの自重による撓みの発生を抑制し、バルーンを羽根形成用部材や畳み用部材に対して正確に位置決めできる。このため、バルーンに羽根形状を形成するために適切な位置、または羽根形状を畳むために適切な位置にバルーンを正確に位置決めできることから、バルーンの羽根形状を周方向均一に形成でき、かつ適切な方向へ羽根形状を畳むことができる。また、バルーンを2枚のフィルムに挟んだ状態のまま、バルーンに羽根形状を形成して折り畳むことができるため、バルーンの表面に薬剤の層が設けられる場合に、薬剤の層の脱落を抑制できる。
【0018】
前記バルーン折り畳み方法は、前記バルーンに羽根形状を形成するステップの前に、前記バルーンを前記2枚のフィルムに挟んだ状態で、隣接する前記羽根形成用部材の間を通って外部から前記複数の
羽根形成用部材の中央部へ到達させるステップを有し、前記バルーンに羽根形状を形成するステップの後に、羽根形状が形成された前記バルーンを前記2枚のフィルムに挟んだ状態で、隣接する前記羽根形成用部材の間を通って前記複数の羽根形成用部材の中央部から外部へ到達させるステップと、羽根形状が形成された前記バルーンを前記2枚のフィルムに挟んだ状態で、隣接する畳み用部材の間を通って前記複数の畳み用部材の外部から中央部へ到達させるステップと、を有し、羽根形状を周方向に沿って畳むステップの後に、羽根形状が折り畳まれた前記バルーンを前記2枚のフィルムに挟んだ状態で、隣接する前記畳み用部材の間を通って前記複数の畳み用部材の中央部から外部へ到達させるステップと、を有してもよい。これにより、バルーンを2枚のフィルムに挟んだ状態を維持しつつ、バルーンを羽根形成用部材の中央部へ到達させ、さらに畳み用部材の中央部へ到達させた後、畳み用部材の外へ到達させることができる。
【0019】
前記バルーン折り畳み方法において、前記フィルムの移動に同期させて、前記シャフトの前記バルーンよりも基端側の部位を移動させるようにすれば、バルーンの移動に伴ってシャフトを移動させることができるため、バルーンカテーテルの変形を抑制して、バルーンを羽根形成用部材や畳み用部材に対して正確に位置決めできる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。また、本明細書では、バルーンカテーテル50の生体管腔に挿入する側を「先端」若しくは「先端側」、操作する手元側を「基端」若しくは「基端側」と称することとする。
【0022】
本実施形態に係るバルーン折り畳み機は、長尺なシャフトの先端部にバルーンを有するバルーンカテーテルを製造する際に、バルーンをシャフトに対し巻き付けるように折り畳むことのできる装置である。
【0023】
最初に、バルーンカテーテル50について説明する。バルーンカテーテル50は、
図1、2に示すように、長尺で中空状のシャフト51と、シャフト51の先端側端部に設けられるバルーン52と、シャフト51の基端側端部に固着されるハブ56とを有している。バルーン52の長軸方向の長さは特に問わないが、約3mmより大きい。好ましくは、バルーンの長軸方向の長さは、約40〜200mm、さらに好ましくは約100〜200mmである。
【0024】
シャフト51は、中空状の外管53と、中空状の内管54とを有している。内管54は、外管53の中空内部に納められており、シャフト51は、先端部において二重管構造となっている。内管54の中空内部は、ガイドワイヤ57を挿通させるガイドワイヤルーメン65を形成する。また、外管53の中空内部であって、内管54の外側には、バルーン52の拡張用流体を流通させる拡張ルーメン66が形成される。内管54は、開口部55において外部に開口している。
【0025】
内管54は、外管53の先端よりもさらに先端側まで突出している。バルーン52は、基端側端部が外管53の先端部に固定され、先端側端部が内管54の先端部に固定されている。これにより、バルーン52の内部が拡張ルーメン66と連通している。拡張ルーメン66を介してバルーン52に拡張用流体を注入することで、バルーン52を拡張させることができる。拡張用流体は気体でも液体でもよく、例えばヘリウムガス、CO
2ガス、O
2ガス等の気体や、生理食塩水、造影剤等の液体を用いることができる。
【0026】
外管53および内管54は、ある程度の可撓性を有する材料により形成されるのが好ましい。そのような材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、あるいはこれら二種以上の混合物等のポリオレフィンや、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が挙げられる。
【0027】
このバルーンカテーテル50は、長尺なシャフト51を生体器官内に挿通させ、その先端側に設けられたバルーン52を病変部で拡張させることで、病変部を押し広げて治療を行うことができる。シャフト51には、先端側寄りにガイドワイヤ57が導入される開口部55が設けられている。すなわち、このバルーンカテーテル50は、いわゆるラピッドエクスチェンジ型(Rapid exchange type)のカテーテルである。
【0028】
次に、バルーン折り畳み機について説明する。
図3に示すように、バルーン折り畳み機は、台状に形成された基台1、プリーティング部2、フォールディング部3、支持台4、フィルム供給部5、フィルム巻取部9および制御部7を有している。プリーティング部2は、バルーン52に羽根形状を形成することができる。フォールディング部3は、バルーン52に形成された羽根形状を周方向に寝かせて畳むことができる。バルーン52に形成される羽根形状は、バルーン52の略長軸方向に延びる長さを有するバルーン薄膜素材の折り目によって形成され、バルーン52の長軸に対して垂直な断面で見たとき、折り目がバルーン52の長軸から周方向に突出するように形成される。羽根形状の長軸方向の長さは、バルーン52の長さを超えず、約3〜300mm、さらに好ましくは約40〜200mmである。羽根形状がシャフト51から周方向に突出する方向の長さは、1〜8mmである。羽根形状の数は特に限定されず、2枚、3枚、4枚、5枚、6枚、7枚のいずれかから選択することができるが、本実施形態では3枚である。支持台4は、バルーンカテーテル50を載置保持することができる。フィルム供給部5は、バルーン52を挟む2枚の第1フィルム45および第2フィルム46を供給し、フィルム巻取部9は、2枚の第1フィルム45および第2フィルム46を巻き取ることができる。制御部7は、プリーティング部2、フォールディング部3、支持台4およびフィルム巻取部9の作動を統括的に制御できる。制御部7は、例えばコンピュータである。フィルム供給部5、プリーティング部2、フォールディング部3およびフィルム巻取部9は、基台1に一列に並んで配置される。したがって、フィルム供給部5から供給される第1フィルム45および第2フィルム46が、プリーティング部2およびフォールディング部3を通って、フィルム巻取部9に巻き取られる。
【0029】
プリーティング部2は、基台1に対して垂直な前面板10を有し、前面板10は、バルーンカテーテル50が移動するためのスリット10aが形成されている。また、フォールディング部3は、基台1に対して垂直な前面板20を有し、前面板20は、バルーンカテーテル50が移動するためのスリット20aが形成されている。フォールディング部3の前面板20は、プリーティング部2の前面板10と同一平面上に位置している。
【0030】
支持台4は、基台1の上面に設けられる2枚のリニアガイド1bに載置されている。リニアガイド1bは、前面板10および前面板20の面と平行に延在している。このため、支持台4は、リニアガイド1bに沿って前面板10および前面板20の面と平行に移動可能である。
【0031】
基台1には、支持台4をリニアガイド1bに沿って移動させるための駆動機構1cが設けられる。駆動機構1cは、例えば、ボールねじ、油圧シリンダーまたはモータ等である。駆動機構1cは、制御部7により制御されて、支持台4をリニアガイド1bに沿って任意の位置へ移動させることができる。
【0032】
支持台4は、基台1に載置される基部30と、基部30上を水平移動可能な保持台部31とを有している。基部30は、リニアガイド1bに載置される底面部30aと、底面部30aの一側部から垂直上方に向かって伸びる側面部30bとを有している。底面部30aの上面には、保持台部31のプリーティング部2またはフォールディング部3へ向かうスライド移動を案内するスライド案内部30cが形成されている。
【0033】
保持台部31は、
図3、4に示すように、基部30の底面部30aおよび側面部30bに当接する略直方体状に形成されており、下面は底面部30aのスライド案内部30cによってスライド自在に案内される。保持台部31の上面には、バルーンカテーテル50のシャフト51を載置可能な溝状の載置部31aを有している。保持台部31は、油圧シリンダー等により構成される昇降機構31bを有している。昇降機構31bは、制御部7により制御され、載置部31aを任意の高さに昇降させることができる。
【0034】
また、保持台部31には、載置部31aの一部を上方から覆うように保持部32が設けられる。保持部32は、載置部31aに載置されたバルーンカテーテル50のシャフト51を保持して固定することができる。保持部32は、載置部31aを交差する保持棒32aと、保持棒32aを覆う柔軟な接触部32bと、保持棒32aを保持台部31に対して回転可能に支持する回転支持部32cと、回転支持部32cを回転させて接触部32bを載置部31aに押し付けるためのコイル32d(弾性部材)とを備えている。コイル32dを引き延ばすように接触部32bを載置部31aから引き離すことで、シャフト51を載置部31aに載置可能である。そして、シャフト51を溝状の載置部31aに載置した状態で、接触部32bをシャフト51に接触させることで、コイル32dによる押圧力により、シャフト51を保持することができる。このとき、接触部32bが柔軟であるため、シャフト51を損傷させずに適切に保持することができる。なお、載置部31aの接触部32bによりシャフト51が押圧される領域に、柔軟な材料を配置してもよい。また、本実施形態では、
図4に示すように、シャフト51は、シャフト51に交差する保持部32によって上から固定されるが、固定できるのであれば、他の方法により固定されてもよい。例えば、シャフト51の軸心に対して略垂直な方向の両側から、シャフト部51の表面にシリコーン樹脂などの柔軟な材質を当接させるようにして挟みこんで、バルーン52のシャフト51を固定してもよい。シャフト51を柔軟な材質で挟み込んで固定する際に、磁石の引き合う力を適用して挟みこんでもよい。また、シャフト51内の芯金材6(コアワイヤ)を磁性体で形成し、芯金材6を磁石で固定することもできる。
【0035】
プリーティング部2は、
図5に示すように、内部に3つのブレード12(羽根形成用部材)を有している。各ブレード12は、挿入されるバルーンカテーテル50の軸心方向に沿う各位置における断面形状が、同形状で形成される板状の部材である。ブレード12は、バルーン52が挿通される中心位置を基準として、それぞれが120°の角度をなすように配置されている。すなわち、各ブレード12は、周方向において等角度毎に配置されている。ブレード12は、外周端部付近に回動中心部12aを有し、この回動中心部12aを中心として回動することができる。また、ブレード12は、回動中心部12aより内周側に、軸方向に延びる移動ピン12cを有している。移動ピン12cは、プリーティング部2内で回転可能な回転部材14に形成される嵌合溝14aに嵌合している。回転部材14は、略水平方向に延びる梁部16に連結されている。回転部材14は、油圧シリンダーやモータ等の駆動源15から力を受けて傾く梁部16から回転力を受けて回動可能である。回転部材14が回転すると、嵌合溝14aに嵌合する移動ピン12cが周方向へ移動し、これにより、各々のブレード12が回動中心部12aを中心として回動する。3つのブレード12が回動することにより、ブレード12に囲まれた中心部の空間領域を狭めることができる。
【0036】
ブレード12は、回動中心部12aと反対側の内周端部に、略弧状の第1形状形成部12bと第2形状形成部12cとを有している。第1形状形成部12bは、ブレード12が回動するのに伴い、プリーティング部2内に挿通されるバルーン52の表面に当接して、バルーン52に羽根形状を形成することができる。第2形状形成部12cは、ブレード12が回動するのに伴い、バルーン52に形成される羽根部分に当接し、羽根形状を所定方向に湾曲させることができる。また、プリーティング部2は、ブレード12を加熱するためのヒーター(図示しない)を有している。ブレード12のバルーンカテーテル50の軸心方向に沿う長さは、バルーン52の長さよりも長い。また、ブレード12の第1形状形成部12b及び第2形状形成部12cの長さは、ブレード12の全長に渡っていてもよいし、渡っていなくてもよい。
【0037】
ブレード12には、フィルム供給部5から樹脂製の第1フィルム45および第2フィルム46が供給される。フィルム供給部5からブレード12へ各フィルムを案内するため、プリーティング部2内には複数の回転軸部13が設けられている。なお、ブレード12の数は、2枚以上であれば、特に限定されない。
【0038】
フォールディング部3は、内部に10個のブレード22(畳み用部材)を有している。各ブレード22は、挿入されるバルーンカテーテル50の軸心方向に沿う各位置における断面形状が、同形状で形成される板状の部材である。ブレード22は、バルーンが挿通される中心位置を基準として、それぞれが36°の角度をなすように配置されている。すなわち、各ブレード22は、周方向において等角度毎に配置されている。ブレード22は、略中央付近に回動中心部22aを有し、この回動中心部22aを中心として回動することができる。また、各ブレード22は、略外周端部付近に、軸方向に延びる移動ピン22cを有している。移動ピン22cは、フォールディング部3内で回転可能な回転部材23に形成される嵌合溝23aに嵌合している。回転部材23は、略水平方向に延びる梁部25に連結されている。回転部材23は、油圧シリンダーやモータ等の駆動源24から力を受けて傾く梁部25から回転力を受けて回動可能である。回転部材23が回転すると、嵌合溝23aに嵌合する移動ピン22cが周方向へ移動し、これにより、各々のブレード22が回動中心部22aを中心として回動する。10個のブレード22が回動することにより、ブレード22に囲まれた中心部の空間領域を狭めることができる。なお、ブレード22の数は、10個に限定されない。
【0039】
ブレード22は、先端側が屈曲すると共に、先端部22bは尖った形状を有している。先端部22bは、ブレード22が回動するのに伴い、フォールディング部3内に挿通されるバルーン52の表面に当接して、バルーン52に形成された羽根形状を周方向に寝かせるように畳むことができる。また、フォールディング部3は、ブレード22を加熱するためのヒーター(図示しない)を有している。
【0040】
フィルム供給部5は、2枚の帯状の第1フィルム45および第2フィルム46を、プリーティング部2へ供給する。フィルム供給部5は、第1フィルム45が巻かれた第1フィルム保持部40と、第2フィルム46が巻かれた第2フィルム保持部41とを有している。第1フィルム45および第2フィルム46は、第1フィルム保持部40および第2フィルム保持部41から供給され、回転軸部13で向きを変更しつつ互いに近づき、対向した状態で、隣接する2つのブレード12の間を通って第1形状形成部12bおよび第2形状形成部12cに囲まれる中央部に到達する。この位置において、第1フィルム45と第2フィルム46は、ブレード12が回動してバルーン52に羽根形状を形成する際に、バルーン52がブレード12の表面に直接接触しないように保護する。次に、第1フィルム45および第2フィルム46は、隣接する2つのブレード12の間を通ってフォールディング部3が位置する方向へ向かって移動し、プリーティング部2から外部に到達する。
【0041】
プリーティング部2から外部へ到達した第1フィルム45および第2フィルム46は、フォールディング部3に移動し、隣接する2つのブレード22の間を通って、先端部22bに囲まれる中央部に到達する。この位置において、第1フィルム45と第2フィルム46は、ブレード22が回動してバルーン52の羽根形状を畳む際に、バルーン52がブレード22の表面に直接接触しないように保護する。次に、第1フィルム45および第2フィルム46は、隣接する2つのブレード22の間を通ってフィルム巻取部9が位置する方向へ向かって移動し、フォールディング部3から外部に到達する。この後、第1フィルム45および第2フィルム46は、互いに離れながらフィルム巻取部9に巻き取られる。
【0042】
フィルム巻取部9は、図示しないモータ等の駆動源により回転駆動されて、第1フィルム45および第2フィルム46をフィルム供給部5から引き出しつつ巻き取る。フィルム巻取部9の駆動は、制御部7により制御される。フィルム巻取部9は、第1フィルム45を巻き取る第1フィルム巻取部42と、第2フィルム46を巻き取る第2フィルム巻取部43とを有している。
【0043】
次に、本実施形態に係るバルーン折り畳み機によりバルーン52を折り畳む方法を説明する。
【0044】
まず、バルーンカテーテル50のシャフト51を支持台4の載置部31aに載置し、保持部32によって保持される。ガイドワイヤルーメン65には、芯金材6が挿入される。この芯金材6によって、シャフト51の自重による撓みが抑制され、バルーン52を第1フィルム45および第2フィルム46の間に正確に位置決めできる。また、ガイドワイヤルーメン65に芯金材6が挿入されることで、保持部32におけるシャフト51の潰れを抑制できる。
【0045】
芯金材6は金属材によって細長い針金状に形成されている。芯金材6を形成する金属材は、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、Ni−Ti合金、Ni−Ti合金、タングステン、超硬合金等である。また、芯金材6は、これらいずれかの金属材をアニーリングして形成し、形状記憶させるようにしてもよい。芯金材6は、断面略円形状に形成されており、その外径は内管54の内径よりも0.01mm〜0.1mm小さい。
【0046】
バルーン52には、ハブ56に取り付けられる三方活栓、ハブ56および内管54を通じて拡張用流体が注入され、バルーン52はある程度拡張した状態とされる。また、プリーティング部2のブレード12が加熱される。
【0047】
次に、保持台部31を基部30の上面で移動させ、バルーン52を、フィルム供給部5およびプリーティング部2の間で、第1フィルム45および第2フィルム46の間に配置する。次に、制御部7によりフィルム巻取部9、駆動機構1cおよび昇降機構31bを制御し、隣接する2つのブレード12の間を通るように移動する第1フィルム45および第2フィルム46に合わせて、保持台部31に支持されるバルーンカテーテル50の位置および高さを調節する。このとき、3つのブレード12の第1形状形成部12bおよび第2形状形成部12cは、
図7に示すように、それぞれ離隔した状態となっている。このため、シャフト51がスリット10aに沿って移動しつつ、バルーン52が、
図6、7に示すように、隣接する2つのブレード12の間を通って第1形状形成部12bおよび第2形状形成部12cに囲まれた領域に到達できる。
【0048】
バルーン52が第1形状形成部12bおよび第2形状形成部12cに囲まれた領域に到達した後、フィルム巻取部9、駆動機構1cおよび昇降機構31bの動作を停止させる。
【0049】
次に、駆動源15を作動させて回転部材14を回転させると、
図8に示すように、ブレード12が回動し、各ブレード12の第1形状形成部12bが互いに近づき、ブレード12間の中心領域が狭まる。これに伴い、ブレード12間の中心領域に挿入されたバルーン52は、第1形状形成部12bによって内管54に対し押し付けられる。バルーン52のうち第1形状形成部12bによって押圧されない部分は、ブレード12の先端部と、当該ブレード12に隣接するブレード12の第2形状形成部12cとの間の隙間に押し出され、一方に湾曲した羽根形状が形成される。ブレード12によりバルーン52は加熱されるので、形成された羽根形状はそのままの形を維持することができる。このようにして、バルーン52に周方向3枚の羽根形状が形成される。
【0050】
このとき、各ブレード12のバルーン52と接触する表面は、第1フィルム45および第2フィルム46によって覆われており、バルーン52はブレード12の表面に直接接触することはない。バルーン52に羽根形状を形成した後、ブレード12を元の位置に戻すように回動させる。なお、プリーティングの過程において、バルーン52を過拡張させた後に、少し収縮(deflate)させるステップ、または、バルーン52を過拡張とならない程度に拡張させた後に、少し収縮させるステップを有していてもよい。
【0051】
次に、制御部7によりフィルム巻取部9、駆動機構1cおよび昇降機構31bを制御し、隣接するブレード12の間を通って移動する第1フィルム45および第2フィルム46に同期させて、保持台部31に支持されるバルーンカテーテル50の位置および高さを調節する。このとき、ブレード12の第1形状形成部12bおよび第2形状形成部12cは、
図7に示すように、それぞれ離隔した状態となっている。このため、シャフト51がスリット10aに沿って移動しつつ、バルーン52が、隣接する2つのブレード12の間を通ってプリーティング部2の外部に到達できる。また、バルーン52に羽根形状を形成した後、フィルム巻取部9により第1フィルム45および第2フィルム46の巻き取りを開始すると、第1フィルム45および第2フィルム46に引っ張り力が作用し、バルーン52に形成された羽根形状に密着する第1フィルム45と第2フィルム46が、羽根形状から離れる。なお、第1フィルム45および第2フィルム46がバルーン52から離れやすいように、フィルム巻取部9による巻き取り速度を制御してもよい。例えば、第1フィルム巻取部42および第2フィルム巻取部43の巻き取り速度を一時的に異ならせることで、第1フィルム45および第2フィルム46をバルーン52から離れやすくすることができる。
【0052】
続いて、制御部7によりフィルム巻取部9、駆動機構1cおよび昇降機構31bを制御し、隣接する2つのブレード22の間を通って移動する第1フィルム45および第2フィルム46に合わせて、保持台部31に支持されるバルーンカテーテル50の位置および高さを調節する。このとき、ブレード22の先端部22bは、
図10に示すように、それぞれ離隔した状態となっている。これにより、シャフト51がスリット20aに沿って移動しつつ、バルーン52が、
図9に示すように、先端部22bに囲まれた領域に到達できる。
【0053】
バルーン52がブレード22に囲まれた領域に到達した後、フィルム巻取部9、駆動機構1cおよび昇降機構31bの動作を停止させる。
【0054】
次に、駆動源24を作動させて回転部材23を回転させると、
図11に示すように、ブレード22が回動し、各ブレード22の先端部22bが互いに近づき、ブレード22間の中心領域が狭まる。これに伴い、ブレード22間の中心領域に挿入されたバルーン52は、各ブレード22の先端部22bによって羽根形状が周方向に寝かされた状態となる。ブレード22は、バルーン52の挿入前に予め加熱されており、ブレード22によってバルーン52が加熱されるので、ブレード22により周方向に寝かされた羽根形状は、そのままの形を維持することができる。
【0055】
このとき、各ブレード22のバルーン52と接触する表面は、第1フィルム45および第2フィルム46によって覆われており、バルーン52はブレード22の表面に直接接触することはない。バルーン52の羽根形状を畳んだ後、ブレード22を元の位置に戻すように回動させる。
【0056】
次に、制御部7によりフィルム巻取部9、駆動機構1cおよび昇降機構31bを制御し、隣接するブレード22の間を通ってフィルム巻取部9に向かって移動する第1フィルム45と第2フィルム46に同期させて、保持台部31に支持されるシャフト51の位置および高さを調節する。このとき、ブレード22の先端部22bは、
図10に示すように、それぞれ離隔した状態となっている。これにより、シャフト51がスリット20aに沿って移動しつつ、バルーン52が、隣接する2つのブレード22の間を通ってフォールディング部3の外部に到達できる。この際、フィルム巻取部9により第1フィルム45および第2フィルム46に引っ張り力が作用し、バルーン52の畳まれた羽根形状に挟まる第1フィルム45と第2フィルム46が、羽根形状から離れる。なお、第1フィルム45および第2フィルム46がバルーン52から離れやすいように、フィルム巻取部9による巻き取り速度を制御してもよい。
【0057】
次に、保持台部31を基部30の上面で移動させ、バルーン52を第1フィルム45および第2フィルム46の間から引き抜く。この後、第1フィルム45および第2フィルム46は、フィルム巻取部9の第1フィルム巻取部42および第2フィルム巻取部43に巻き取られる。この後、保持部32によるシャフト51の保持を解除し、バルーンカテーテル50におけるバルーン52の折り畳みが完了する。
【0058】
ここまでは、ラピッドエクスチェンジ型のカテーテルのバルーン52をバルーン折り畳み機で折り畳む場合について説明したが、オーバーザワイヤ型(Over−the−wire type)のカテーテルについて、同じバルーン折り畳み機でバルーン52を折り畳むこともできる。
【0059】
以上のように、本実施形態に係るバルーン折り畳み機は、長尺なシャフト51の先端部にバルーン52が設けられるバルーンカテーテル50のバルーン52を折り畳むバルーン折り畳み機であって、周方向に空間部を挟みつつ並ぶ複数のブレード12(羽根形成用部材)を備え、中央部にバルーン52を配置してブレード12を回動させて空間部に入り込むバルーン52をブレード12により挟むことでバルーン52に径方向へ突出する羽根形状を形成するプリーティング部2と、周方向に並ぶ複数のブレード22(畳み用部材)を備え、中央部にバルーン52を配置してブレード22を回動させてバルーン52に形成された羽根形状を周方向に沿って畳むフォールディング部3と、隣接するブレード12の間を通ってプリーティング部2の外部から中央部に至るとともに当該中央部から外部へ至り、かつ隣接するブレード22の間を通ってフォールディング部3の外部から中央部に至るとともに当該中央部から更に外部に至る2枚の帯状の第1フィルム45および第2フィルム46と、第1フィルム45および第2フィルム46を巻き取るフィルム巻取部9と、を有する。
【0060】
上記のように構成したバルーン折り畳み機は、バルーン52を2枚の第1フィルム45および第2フィルム46に挟んだ状態のまま、プリーティング部2からフォールディング部3へ移動させることができるため、バルーンカテーテル50の自重による撓みの発生を抑制し、バルーン52をプリーティング部2やフォールディング部3に対して正確に位置決めできる。このため、バルーン52に羽根形状を形成するために適切な位置、または羽根形状を畳むために適切な位置にバルーン52を正確に位置決めできることから、バルーン52の羽根形状を周方向均一に形成でき、かつ適切な方向へ羽根形状を畳むことができる。また、バルーン52を2枚の第1フィルム45および第2フィルム46に挟んで支持した状態のまま、プリーティング部2からフォールディング部3へ移動させることができるため、バルーン52の表面に薬剤の層が設けられる場合に、薬剤の層の脱落を抑制できる。
【0061】
また、バルーン折り畳み機は、シャフト51のバルーン52よりも基端側の部位を支持し、フィルム巻取部9と同期してフィルム巻取部9の巻き取り方向へ移動する支持台4を有する。これにより、バルーン52の移動に伴ってシャフト51を移動させることができるため、バルーンカテーテル50の変形を抑制して、バルーン52をプリーティング部2やフォールディング部3に対して適切に位置決めできる。
【0062】
また、本発明は、バルーン折り畳み方法をも含む。本実施形態に係るバルーン折り畳み方法は、長尺なシャフト51の先端部にバルーン52が設けられるバルーンカテーテル50のバルーン52を折り畳むバルーン折り畳み方法であって、2枚の帯状の第1フィルム45および第2フィルム46にバルーン52を挟むステップと、周方向に空間部を挟みつつ並ぶ複数のブレード12(羽根形成用部材)を回動させて空間部にバルーン52を挟むことでバルーン52に羽根形状を形成するステップと、羽根形状が形成されたバルーン52を、第1フィルム45および第2フィルム46に挟んだ状態で、周方向に並ぶ複数のブレード22(畳み用部材)を回動させてバルーン52に形成された羽根形状を周方向に沿って畳むステップと、を有する。
【0063】
上記のように構成したバルーン折り畳み方法は、バルーン52を2枚のフィルムに挟んだ状態で、ブレード12により羽根形状を形成し、さらに、バルーン52を2枚のフィルムに挟んだ状態を維持しつつ、ブレード22により羽根形状を畳む。これにより、バルーン52が常に第1フィルム45および第2フィルム46に挟まれて支持されるため、バルーンカテーテル50の自重による撓みの発生を抑制し、バルーン52をブレード12やブレード22に対して正確に位置決めできる。このため、バルーン52に羽根形状を形成するために適切な位置、または羽根形状を畳むために適切な位置にバルーン52を正確に位置決めできることから、バルーン52の羽根形状を周方向均一に形成でき、かつ適切な方向へ羽根形状を畳むことができる。また、バルーン52を第1フィルム45および第2フィルム46に挟んだ状態のまま、バルーン52に羽根形状を形成して折り畳むことができるため、バルーン52の表面に薬剤の層が設けられる場合に、薬剤の層の脱落を抑制できる。
【0064】
また、上述のバルーン折り畳み方法は、バルーン52に羽根形状を形成するステップの前に、バルーン52を第1フィルム45および第2フィルム46に挟んだ状態で、隣接するブレード12(羽根形成用部材)の間を通って外部から複数のブレード12の中央部へ到達させるステップを有し、バルーン52に羽根形状を形成するステップの後に、羽根形状が形成されたバルーン52を第1フィルム45および第2フィルム46に挟んだ状態で、隣接するブレード12の間を通って複数のブレード22(畳み用部材)の中央部から外部へ到達させるステップと、羽根形状が形成されたバルーン52を第1フィルム45および第2フィルム46に挟んだ状態で、隣接するブレード22の間を通って複数のブレード22の外部から中央部へ到達させるステップと、を有し、羽根形状を周方向に沿って畳むステップの後に、羽根形状が折り畳まれたバルーン52を第1フィルム45および第2フィルム46に挟んだ状態で、隣接するブレード22の間を通って複数のブレード22の中央部から外部へ到達させるステップと、を有する。これにより、バルーン52を第1フィルム45および第2フィルム46に挟んだ状態を維持しつつ、バルーン52をブレード12の中央部へ到達させ、さらにブレード22の間へ到達させた後、ブレード22の外へ到達させることができる。このため、バルーンカテーテル50の自重による撓みの発生を抑制し、バルーン52をブレード12やブレード22に対して正確に位置決めできる。これにより、バルーン52に羽根形状を形成するために適切な位置、または羽根形状を畳むために適切な位置にバルーン52を正確に位置決めできることから、バルーン52の羽根形状を周方向均一に形成でき、かつ適切な方向へ羽根形状を畳むことができる。また、バルーン52を第1フィルム45および第2フィルム46に挟んだ状態のまま、ブレード12の中央部からブレード22の中央部へ移動させることができるため、バルーン52の表面に薬剤の層が設けられる場合に、薬剤の層の脱落を抑制できる。
【0065】
また、第1フィルム45および第2フィルム46に挟んだ状態のバルーン52の横方向への移動において、バルーン52の基端側を支持して移動させるときに、追加的にバルーン52に挿入した芯金を、バルーン52の先端部より先端側に突出させ、この芯金の突出した部分を支持してもよい。これにより、バルーンカテーテル50の自重による撓みの発生を抑制し、バルーン52をブレード12やブレード22に対して正確に位置決めできる。
【0066】
また、上述のバルーン折り畳み方法において、第1フィルム45および第2フィルム46の移動に同期させて、シャフト51のバルーン52よりも基端側の部位を移動させてもよい。これにより、バルーン52の移動に伴ってシャフト51を移動させることができるため、バルーンカテーテル50の変形を抑制して、バルーン52をブレード12やブレード22に対して正確に位置決めできる。
【0067】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、
図12に示すように、バルーン52を挟むフィルム70は、バルーン52と接する面に、凹または凸部が形成されてもよい。フィルム70に凹部または凸部が形成されれば、バルーン52がフィルムから滑り難くなり、フィルム70によってバルーン52を良好に搬送することができる。